JP2023115731A - 貝類飼育方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】養殖場所を選ばずに、アワビ等の貝類を効率的に養殖することができる貝類飼育方法を提供する。【解決手段】貝類飼育方法では、貝類であるアワビa1の飼育水槽10の飼育水W1をろ過して飼育水槽10に戻す循環経路C1を制御する制御装置20を備えた貝類養殖システムA1を用いる。そして、飼育水槽10内の貝類の飼育条件を測定し、飼育条件に応じて、徐放性を調整したカルシウム供給材を、飼育水W1に浸漬して、アワビa1を飼育する。【選択図】図1

Description

本発明は、アワビ等の貝類を養殖するための貝類飼育方法に関する。
アワビの陸上養殖では、引き込んだ海水を連続的に供給して飼育に用いて排水する「かけ流し方式」と、飼育水を浄化しながら循環して長期間使う「閉鎖循環方式」(又は「完全循環方式」)がある。飼育水としては、自然海水や、自然海水に近い様々な塩類をブレンドしたものを溶解して作る人工海水を用いる。また、海水を浄化しながら使うものの、少しずつ、新鮮な海水を入れ替える部分循環方式もある(例えば、特許文献1)。この文献に記載された循環方式の貝類飼育方法は、水槽とろ過タンクとを配管系で繋ぎ、その配管系に循環ポンプと水温調整器とを介在する。配管系の一端は吸込管として水槽の底部に接続し、他の一端は戻し管として水槽内に設けられる散水管に接続する。ろ過タンクには、ミネラル分を含んだろ材を収容する。そして、循環ポンプにより水槽内の貯水をろ過タンクとの間で循環させる。
また、カルシウム塩添加海水で稚アワビを飼育する技術も検討されている(例えば、非特許文献1)。この文献に記載された技術では、内部ろ過循環式飼育槽を用いて、飼育水に塩化カルシウムを1g/Lを添加する。塩化カルシウム添加により飼育した貝の殻幅は、無添加で飼育した貝より増加する傾向が現われた。これは、外套膜上皮細胞が塩化カルシウムを同化して、炭酸カルシウムの分泌を促進し、殻縁部を成長肥大したものと思われる。塩化カルシウム添加により飼育した貝は、無添加貝に比較して、アラゴナイトの結晶板の表面を著しく粗くして真珠光沢を失なうとともに、結晶板周囲の境い目で、ところどころ深い穴と溝を形成することが開示されている。
特開2002-119169号公報
坂井英世,"カルシウム塩添加海水で飼育した稚アワビの殻体変化について",[online],1975年3月25日,水産増殖,22巻,3-4号,p.105-109[令和4年1月23日検索],インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/aquaculturesci1953/22/3-4/22_3-4_105/_pdf/-char/ja>
特許文献1では、ろ材で処理したエンザイム処理水を用いる。このエンザイム処理水では、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン等に数ppmの増加がみられる。また、自然海水のカルシウムイオン濃度は、390~420mg/Lで自然海水と同等程度であり、飼育水全般を優位に濃度上昇させる効果は期待できない。また、非特許文献1では、1g/Lの塩化カルシウムを添加しており、最適化されていない。特に、アワビは環境変化を嫌うデリケートな生き物である。このため、アワビの陸上養殖においては、適正に水質を調整しなければ、生育の促進は困難である。
上記課題を解決する貝類飼育方法は、貝類の飼育水槽の飼育水をろ過して前記飼育水槽に戻す循環経路を制御する制御装置を備えた貝類養殖システムを用いる。そして、前記飼育水槽内の貝類の飼育条件を測定し、前記飼育条件に応じて、徐放性を調整したカルシウム供給材を、前記飼育水に浸漬して、前記貝類を飼育する。
本発明によれば、養殖場所を選ばずに、アワビ等の貝類を効率的に養殖することができる。
実施形態における貝類養殖システムの説明図である。 実施形態におけるホルダの説明図である。 実施形態におけるハードウェア構成の説明図である。 実施形態における処理手順の説明図である。 実施形態における飼育条件と溶けやすさとの関係の説明図であって、(a)は流速、(b)は飼育量、(c)は換水率、(d)pHとの関係の説明図である。 実施形態における処理手順の説明図である。 実施形態における処理手順の説明図である。 別例のホルダの説明図である。
以下、図1~図7を用いて、貝類飼育方法を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、徐放性カルシウム物質(カルシウム供給材)を付与してエゾアワビの陸上養殖を行なう。
図1に示すように、循環式の貝類養殖システムA1は、飼育水槽10、制御装置20、循環経路C1を備える。本実施形態では、一つの循環経路C1に対して複数の飼育水槽10を接続する。
飼育水槽10は、アワビa1を飼育(陸上養殖)するための水槽であり、曝気・水流撹拌装置11、シェルター12を備える。飼育水槽10には、飼育水W1を貯水する。本実施形態では、徐放性カルシウム物質を添加した海水を用いており、海水の塩分濃度を30~31‰に調整する。更に、海水のカルシウムイオン濃度としては450~650mg/L、pHは、7.8~8.2に調整する。本実施形態では、飼育水槽10内の海水を飼育水W1と呼ぶ。
曝気・水流撹拌装置11及びシェルター12は、飼育水槽10内に設置される。
この曝気・水流撹拌装置11は、曝気と水流による撹拌により、飼育水W1の水質を安定化させる。
シェルター12は、貝類の陰を好む習性に合わせて、陰を形成する囲いである。
循環経路C1には、飼育水槽10の飼育水W1の一部が供給される。そして、循環経路C1は、ろ過された海水を飼育水槽10に還流させる。なお、飼育水槽10に供給された海水は、曝気・水流撹拌装置11により、飼育水槽10全体に攪拌される。
更に、本実施形態では、ホルダ15を飼育水槽10の上流側の縁に吊り下げる。
図2に示すように、ホルダ15は、下面(底面)に開口部150を有する筒形状の部材である。開口部150には、支持材151が設けられている。支持材151として、下面の開口部150の端部間を橋渡しするワイヤを用いる。
そして、ホルダ15には、徐放性カルシウム物質としての硫酸カルシウムからなる柱状の石膏柱500(二水石膏)のブロックが、カルシウム供給材として挿入される。支持材151は、開口部150からの石膏柱500を保持して脱落を防止する。石膏柱500の外径は、ホルダ15の内径とほぼ一致している。そして、石膏柱500は、ホルダ15の内面を摺動して、支持材151によって支持される。
このホルダ15の下端は、飼育水W1に浸漬される。これにより、開口部150において、石膏柱500は開口面積(一定面積)で飼育水W1に晒される。この結果、硫酸カルシウムが飼育水W1に溶け出す。
石膏柱500がホルダ15内を摺動して、残量が少なくなった場合には、新たな石膏柱500をホルダ15の上方の開口部から追加する。
制御装置20は、循環経路C1による飼育水W1(海水)の循環の管理を行なう。
(ハードウェア構成例)
図3は、制御装置20として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。入力装置H12は、管理者等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。記憶装置H14は、制御装置20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、制御装置20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、制御装置20のアプリケーションプログラムが起動された場合、各処理を実行するプロセスを動作させる。プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。
(貝類養殖システムの機能)
本実施形態では、図1に示す制御装置20は、センサ30、バルブV1~V3、ポンプP1を制御する。
センサ30は、飼育水槽10の飼育水W1のカルシウムイオン濃度を計測する。
バルブV1は、バッファタンク32に対して、飼育水槽10の飼育水W1の供給及び停止を制御する制御弁である。
バッファタンク32は、飼育水槽10に供給する海水を蓄積する蓄水槽である。このバッファタンク32には、飼育水槽10から供給された飼育水W1の他、必要に応じて自然海水や人工海水が供給される。
バルブV2は、電解装置33に対して、バッファタンク32の海水の供給及び停止を制御する制御弁である。
電解装置33は、色素(難分解性有機物)を部分酸化し、除去しやすくする。具体的には、配管内に並べた電極板に電圧をかけることで、有機物を部分酸化し、微生物分解を促進する。
固形物除去装置34は、円筒型のろ布(ドラムフィルタ)であり、残餌やフンなど固形ゴミを物理的に除去する。この固形物除去装置34は、ろ過量に応じて、ろ布の目詰まりを検知して、必要に応じて逆洗してフィルタ性能を回復する。
この固形物除去装置34は、バルブV3を介して、脱窒装置35に接続される。
バルブV3は、脱窒装置35に対して、固形物除去装置34の海水の供給及び停止を制御する制御弁である。
脱窒装置35は、微生物(アンモニア酸化細菌及び脱窒菌)が硝酸を窒素に変換することにより無害化する硝酸処理を、定期的に行なう装置である。具体的には、アンモニア酸化細菌が、酸素とアンモニアをエネルギー源にして増えることにより、排泄物由来の強いアンモニアを酸化して、硝酸に変換する。更に、脱窒菌は、酸素がなくなると硝酸から酸化力を得て(硝酸呼吸)、有機物を分解する。硝酸中の窒素原子は窒素分子になり、空気中に放出される。
脱窒装置35の下流は、生物ろ過槽36に接続される。脱窒装置35は、硝酸処理を定期的に行なう。このため、バルブV3を開閉する。これにより、固形物除去装置34からの海水の供給及び停止を制御する。そして、生物ろ過槽36には固形物除去装置34からバイパス配管が設けられている。
生物ろ過槽36は、ろ材に付着した微生物が有害なアンモニアを毒性の低い硝酸にするアンモニア処理、有機物を分解する溶解性有機物分解処理を行なう。ここでは、多孔質のミネラル入りのろ材としてサンゴを用いる。その場合のミネラル分は、鉄分、カルシウム、マグネシウム、硫黄、カリウム、チタン、リン、コバルト、アルミニウム、ナトリウム、マンガン、ストロンチウム、バリウム、錫、亜鉛、バナジウム、ポロニウム、ニッケル、および銅を含む。
生物ろ過槽36には、ポンプP1を介してクーラー37が接続されている。
ポンプP1は、循環経路C1における海水の循環を行なう。このポンプP1により、海水を、常時、循環させてもよいし、定期的に循環させてもよい。
クーラー37は、飼育水槽10に供給する海水の温度を調節する。本実施形態では、水温を15℃に設定することで、アワビa1の成長速度を維持しつつ、雑菌の繁殖を抑制している。
そして、温度調節された海水は、飼育水槽10に還流される。
(飼育処理)
この飼育処理は、初期処理、濃度確認処理、徐放性確認処理を含む。
(初期処理)
図4を用いて、初期処理を説明する。
ここでは、まず、飼育条件の測定を行なう(ステップS11)。ここで、飼育条件の要素としては、飼育水槽10の流速、アワビa1の飼育量、換水率、pHを用いる。具体的には、飼育水槽10の水流の流速を、流速計を用いて計測する。更に、アワビa1の飼育量を、飼育水槽10内のアワビa1の個体数、サイズ(殻長)によって計測する。ここで、個体数が多い程、サイズが大きい程、飼育量は大きくなる。換水率は、飼育水槽10の飼育水W1の入れ替えの単位時間当たりの割合である。この換水率は、飼育水槽10の容量を循環経路C1の水量計で計測した水量で乗算することにより算出される。pHは、飼育水槽10の飼育水W1の水素イオン濃度である。このpHを、pH計で計測する。
次に、石膏柱の溶けやすさの評価を行なう(ステップS12)。具体的には、飼育条件に対して、易溶性テーブルT1を用いて、石膏柱に求められる溶けやすさの段階評価を行なう。この易溶性テーブルT1には、飼育条件に対して、石膏柱に求められる溶けやすさ(徐放性)の段階評価が記録される。
図5に示すように、飼育条件に対して、石膏柱の溶けやすさを調節する。例えば、図5(a)に示すように、流速が早い方が、徐放性カルシウム物質は溶け易いので、石膏柱を溶け難くする。また、図5(b)に示すように、アワビa1の飼育量が多い場合、徐放性カルシウム物質の消費が多いので、石膏柱を溶け易くする。また、図5(c)に示すように、換水率が高い方が、徐放性カルシウム物質は溶け易いので、石膏柱を溶け難くする。また、図5(d)に示すように、pHが低い場合、徐放性カルシウム物質は溶け易いので、石膏柱を溶け難くする。
そして、溶けやすさに基づいて石膏柱の含水率を決定する(ステップS13)。具体的には、易溶性テーブルT1を用いて、特定した段階的評価の統計値を算出する。この統計値に対応して含水率を決定する。この場合には、石膏柱の溶けやすさの段階的評価の統計値に対して含水率を決める含水率決定情報を用いる。ここでは、石膏柱に求められる溶けやすさの評価結果が高い方が、含水率を高くする。すなわち、石膏柱に求められる溶けやすさを総合的に評価することにより、飼育条件に応じた含水率を特定する。
次に、含水率を調整した石膏柱を作製する(ステップS14)。具体的には、易溶性テーブルT1を用いて決定した含水率になるように、硫酸カルシウムの粉剤に加水量を調節して石膏柱500を作製する。
そして、石膏柱を水槽に供給する(ステップS15)。具体的には、作製した石膏柱500を、ホルダ15に装填する。このホルダ15を、下面の開口部150が飼育水W1に浸かるように、飼育水槽10の上流側の縁に吊り下げる。なお、カルシウム剤の供給位置は、カルシウムイオンを飼育水W1全体に展開しやすい場所であればよく、飼育水槽10の上流側に限定されるものではない。
(濃度確認処理)
次に、図6を用いて、濃度確認処理を説明する。この処理は、アワビa1の飼育時に、所定の時間間隔で定期的に実行される。
まず、制御装置20は、カルシウムイオン濃度の検知処理を実行する(ステップS21)。具体的には、制御装置20は、センサ30を用いて、飼育水槽10内の飼育水W1のカルシウムイオン濃度を検知する。
次に、制御装置20は、濃度は適正かどうかについての判定処理を実行する(ステップS22)。具体的には、制御装置20は、検知したカルシウムイオン濃度と基準値とを比較する。本実施形態では、基準範囲として450~650mg/Lを用いる。
基準値範囲内と判定した場合(ステップS22において「YES」の場合)、制御装置20は、次のカルシウムイオン濃度の検知処理(ステップS21)の実行タイミングまで待機する。
一方、基準値範囲外と判定した場合(ステップS22において「NO」の場合)、制御装置20は、注意喚起処理を実行する(ステップS23)。具体的には、制御装置20は、注意喚起メッセージを表示装置H13に出力する。この注意喚起メッセージには、センサ30で検知したカルシウムイオン濃度に関する情報を含める。この場合、管理者は、後述する徐放性確認処理を行なう。そして、制御装置20は、次のカルシウムイオン濃度の検知処理(ステップS21)の実行タイミングまで待機する。
(徐放性確認処理)
図7を用いて、徐放性確認処理を説明する。この処理は、上述した濃度確認処理で注意喚起メッセージが出力された場合や、アワビa1の飼育時に、所定の時間間隔で定期的に実行される。
まず、ステップS11と同様に、飼育条件を再測定する(ステップS31)。
次に、飼育条件が変化しているかどうかを判定する(ステップS32)。具体的には、初期処理において、測定した飼育条件と、今回の飼育条件とを比較する。そして、易溶性テーブルT1の段階評価において、必要な溶けやすさが変化している場合には、飼育条件が変化していると判定する。
飼育条件が変化していないと判定した場合(ステップS32において「NO」の場合)、必要に応じて石膏柱を補填する(ステップS33)。
一方、飼育条件が変化していると判定した場合(ステップS32において「YES」の場合)、初期処理に戻り、石膏柱の溶けやすさの評価(ステップS12)以降の処理を行なう。そして、ホルダ15の石膏柱500を交換する。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、貝類養殖システムA1は、飼育水槽10、循環経路C1を備える。これにより、場所を選ばず、貝類の養殖を行なうことができる。循環方式の貝類飼育方法は、海洋で養殖を行なう海面養殖と比べて、気候の変動による影響を抑制して安定した養殖を、海洋環境に影響を与えない形で実現できる。
(2)本実施形態では、飼育水槽10の飼育水W1のカルシウムイオン濃度として、基準範囲として450~650mg/Lを用いる。このカルシウムイオン濃度を用いることにより、成長速度が増加することを実験的に確認した。更に、成長速度が上がった場合にも、天然海水での飼育とほぼ同等の殻の品質である。一方、更にカルシウムイオン濃度が高い実験では、成長速度が鈍化している。すなわち、ミネラル成分におけるカルシウムの配合比を、海水よりも飼育水槽10内の飼育水で高める。このため、カルシウム以外のミネラル成分では、海水に準じた配合比を実現しながら、殻の主成分で成長に特に不可欠なカルシウムに特化して、海水よりも高い配合比を実現することができる。その結果、殻の成長を含めた貝類そのものの成長速度を高めることが可能となる。
(3)本実施形態では、循環経路C1は、電解装置33、固形物除去装置34、脱窒装置35、生物ろ過槽36を備える。これにより、循環する飼育水W1の水質浄化を行なうとともに、ろ材に含まれるミネラル分を供給することができる。
(4)本実施形態では、飼育条件の測定(ステップS11)、石膏柱の溶けやすさの評価(ステップS12)、溶けやすさに基づいて石膏柱の含水率の決定(ステップS13)を行なう。これにより、徐放性を活かして、長期にカルシウムを飼育水W1に供給することができる。飼育条件によって、カルシウムの必要量は異なるが、含水率を調節することにより、飼育条件に応じて適切なカルシウム濃度を維持することができる。
(5)本実施形態では、下面に開口部150を有するホルダ15に、石膏柱500を挿入する。石膏柱500は、開口部150において、飼育水W1に浸漬される。従って、開口部150の開口面積で浸漬されるので、溶ける速度を一定に維持することができる。
(6)本実施形態では、制御装置20は、カルシウムイオン濃度の検知処理(ステップS21)、濃度が適正かどうかについての判定処理(ステップS22)を実行する。そして、適正でないと判定した場合(ステップS22において「NO」の場合)、制御装置20は、注意喚起処理を実行する(ステップS23)。これにより、適切なカルシウムイオン濃度を維持することができる。
(7)本実施形態では、徐放性確認処理を実行する。貝の成長等によって、飼育条件が変わる場合があるが、この変化に対応して、必要に応じて石膏柱を再作製することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態においては、飼育条件としては、飼育水槽10の流速、アワビa1の飼育量、換水率、pHを用いる。飼育条件は、カルシウム供給量に影響を与える要素であれば、これらに限定されるものではなく、これらの一部や、他の要素を加えてもよい。
・上記実施形態においては、制御装置20を用いて、濃度確認処理を行なう。ここで、カルシウムイオン濃度の確認を手動で行なうようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、飼育条件の再測定を手動で行なったが、制御装置20が行なってもよい。この場合には、飼育水槽10に流速計、pH計を常設する。更に、循環経路C1に流れる飼育水W1の水量計を常設する。また、飼育水槽10内を撮影するカメラを常設する。そして、制御装置20は、流速計、pH計、水量計から、計測した水流の流速及び飼育水槽10内の飼育水W1のpHを取得する。また、制御装置20は、水量計から循環水量を取得する。そして、制御装置20は、飼育水槽10内の飼育水W1の水量を、循環水量で除算して、換水率を算出する。
また、制御装置20は、カメラから飼育水槽10内の撮影画像を取得する。次に、制御装置20は、撮影画像の画像認識により、飼育水槽10内のアワビa1の個体数やサイズを特定して、飼育量を算出する。
そして、制御装置20は、これらの情報を用いて、飼育条件の変化を確認する。
・上記実施形態においては、濃度確認処理、徐放性確認処理を、定期的に(所定の時間間隔で)実行する。この時間間隔は、アワビa1の飼育状態(例えば、飼育数)や、成長状態に応じて変更してもよい。
・上記実施形態においては、循環経路C1は、電解装置33、固形物除去装置34、脱窒装置35、生物ろ過槽36を備える。水質浄化のための構成は、これらに限定されるものではない。
・上記実施形態においては、貝類養殖システムA1をアワビa1の養殖に適用した。カルシウムを消費して成長する貝類であればアワビa1に限定されるものではない。
・上記実施形態においては、徐放性カルシウム物質として硫酸カルシウムを用いるが、カルシウムを供給できれば、これに限定されるものではない。例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等を用いることができる。水酸化カルシウムは、溶解度が高いが、アルカリ化するため、pH調整を行なう。炭酸カルシウムは、溶解度が低いので、溶解度が高いカルシウム物質の調整剤として用いることができる。
・上記実施形態においては、支持材151を、下面の開口部150の端部間を橋渡しするワイヤで構成するが、飼育水に浸漬される開口面積を一定にして、石膏柱500の脱落を防止できれば、この構成に限定されるものではない。例えば、開口面積に影響を与えない範囲で、開口部150の周囲に突起を設けてもよい。
・上記実施形態においては、溶けやすさに基づいて石膏柱の含水率を決定する(ステップS13)。カルシム供給量の調整方法は、含水率の調整に限定されるものではない。例えば、含水率に代えて、或いは加えて硫酸カルシウム(第1のカルシウム剤)に水酸化カルシウム(第2のカルシウム剤)を分散させて調節してもよい。
図8に示すように、石膏柱500に水酸化カルシウム剤510を均一に埋め込む。水酸化カルシウム剤510の埋め込み量によって、カルシウム供給量を調節する。この場合、第1及び第2のカルシウム剤を用いて、カルシム濃度及びpHを調節してもよい。
A1…貝類養殖システム、C1…循環経路、P1…ポンプ、バルブ…V1~V3、W1…飼育水、10…飼育水槽、11…曝気・水流撹拌装置、12…シェルター、15…ホルダ、150…開口部、151…支持部、500…石膏柱、510…水酸化カルシウム剤、20…制御装置、32…バッファタンク、33…電解装置、34…固形物除去装置、35…脱窒装置、36…生物ろ過槽、37…クーラー。

Claims (7)

  1. 貝類の飼育水槽の飼育水をろ過して前記飼育水槽に戻す循環経路を備えた貝類養殖システムを用いた貝類飼育方法であって、
    前記飼育水槽内の貝類の飼育条件を測定し、
    前記飼育条件に応じて、徐放性を調整したカルシウム供給材を、前記飼育水に浸漬して、前記貝類を飼育することを特徴とする貝類飼育方法。
  2. 前記カルシウム供給材は、前記飼育条件に応じて含水率を調整した石膏であることを特徴とする請求項1に記載の貝類飼育方法。
  3. 前記カルシウム供給材は、第1のカルシウム剤としての前記石膏に対して、前記飼育条件に応じた量の第2のカルシウム剤を分散して配合することを特徴とする請求項2に記載の貝類飼育方法。
  4. 前記飼育条件は、前記飼育水槽内の水流の流速、前記貝類の飼育量、前記飼育水槽の換水率、及び前記飼育水のpHの要素の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の貝類飼育方法。
  5. 前記カルシウム供給材をブロックで構成し、前記ブロックにおいて、一定面積の面で前記飼育水に浸漬させることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の貝類飼育方法。
  6. 底面に開口部を備えたホルダに、柱状の前記カルシウム供給材を保持させ、
    前記開口部において、前記カルシウム供給材を、前記飼育水に浸漬させることを特徴とする請求項5に記載の貝類飼育方法。
  7. 前記飼育水槽において、前記貝類としてアワビを養殖し、
    前記循環経路を制御する制御装置が、前記飼育水のカルシウムイオン濃度が450~650mg/Lになるように高めた海水を供給することを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の貝類飼育方法。
JP2022018110A 2022-02-08 2022-02-08 貝類飼育方法 Pending JP2023115731A (ja)

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