JP2023115489A - 記録装置および記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】搬送誤差に起因する記録品質の低下を簡易な処理で防ぐ。【解決手段】記録装置は、記録ヘッドと、記録ヘッドを搭載し主走査方向に沿う往復移動を実行するキャリッジと、媒体を主走査方向に交差する搬送方向へ搬送する搬送部と、制御部とを備え、制御部は、キャリッジによる主走査方向の一方側から他方側への往路移動に伴い記録ヘッドに液体を吐出させる往路パスと、キャリッジによる前記他方側から前記一方側への復路移動に伴い記録ヘッドに液体を吐出させる復路パスと、を実行可能であり、画像データに基づいて媒体へ液体を吐出して画像を記録する場合に、搬送に応じた媒体の前記一方側の送り量が前記他方側の送り量よりも小さければ往路パスにより画像を記録し、搬送に応じた媒体の前記他方側の送り量が前記一方側の送り量よりも小さければ復路パスにより画像を記録する、第1記録制御を実行する。【選択図】図7
Description
本発明は、記録装置および記録方法に関する。
キャリッジに搭載された記録ヘッドを使用するシリアルタイプの画像記録装置の記録シート搬送装置が開示されている(特許文献1参照)。文献1によれば、記録手段により偏心調整パターンを記録するとともに偏心調整パターンの濃度を濃度検出器で読み取ることにより、搬送ローラーの1回転における搬送誤差の分布を検出し、搬送誤差を補正するための補正値を算出し、補正値に基づいて搬送誤差を補正するように搬送ローラーの駆動を制御する。
搬送ローラーの偏心や、搬送ローラーによるニップ力のばらつき等による媒体の搬送誤差は、媒体における記録結果の品質低下の原因となる。そのため、搬送誤差に起因する記録品質の低下を簡易な処理で防ぐための工夫が求められている。
記録装置は、媒体へ液体を吐出する複数のノズルが並ぶノズル列を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを搭載し、主走査方向に沿う往復移動を実行するキャリッジと、媒体を前記主走査方向に交差する搬送方向へ搬送する搬送部と、前記記録ヘッド、前記キャリッジおよび前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記キャリッジによる前記主走査方向の一方側から他方側への移動である往路移動に伴い前記記録ヘッドに液体を吐出させる往路パスと、前記キャリッジによる前記他方側から前記一方側への移動である復路移動に伴い前記記録ヘッドに液体を吐出させる復路パスと、を実行可能であり、画像データに基づいて前記媒体へ液体を吐出して画像を記録する場合に、前記搬送に応じた前記媒体の前記一方側の送り量が前記媒体の前記他方側の送り量よりも小さければ、前記往路パスにより前記画像を記録し、前記搬送に応じた前記媒体の前記他方側の送り量が前記媒体の前記一方側の送り量よりも小さければ、前記復路パスにより前記画像を記録する、第1記録制御を実行する。
媒体へ液体を吐出する複数のノズルが並ぶノズル列を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドを搭載し、主走査方向に沿う往復移動を実行するキャリッジと、媒体を前記主走査方向に交差する搬送方向へ搬送する搬送部と、を備える記録装置による記録方法であって、前記記録装置は、前記キャリッジによる前記主走査方向の一方側から他方側への移動である往路移動に伴い前記記録ヘッドに液体を吐出させる往路パスと、前記キャリッジによる前記他方側から前記一方側への移動である復路移動に伴い前記記録ヘッドに液体を吐出させる復路パスと、を実行可能であり、画像データに基づいて前記媒体へ液体を吐出して画像を記録する記録工程を有し、前記記録工程では、前記搬送に応じた前記媒体の前記一方側の送り量が前記媒体の前記他方側の送り量よりも小さければ、前記往路パスにより前記画像を記録し、前記搬送に応じた前記媒体の前記他方側の送り量が前記媒体の前記一方側の送り量よりも小さければ、前記復路パスにより前記画像を記録する。
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状や濃淡が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
1.装置構成の概略説明:
図1は、本実施形態にかかる記録装置10の構成を簡易的に示している。記録装置10により、本実施形態の記録方法が実行される。
記録装置10は、制御部11、表示部13、操作受付部14、記憶部15、通信IF16、搬送部17、キャリッジ18、記録ヘッド19等を備える。IFはインターフェイスの略である。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
図1は、本実施形態にかかる記録装置10の構成を簡易的に示している。記録装置10により、本実施形態の記録方法が実行される。
記録装置10は、制御部11、表示部13、操作受付部14、記憶部15、通信IF16、搬送部17、キャリッジ18、記録ヘッド19等を備える。IFはインターフェイスの略である。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、ROM11bや、その他のメモリー等に保存されたプログラム12に従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行することにより、記録モード判定部12a、パス方向決定部12b、記録制御部12cといった各種機能を実現する。プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア回路により処理を行う構成としてもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成としてもよい。
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路と、を含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザーによる入力を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。表示部13および操作受付部14を含めて、記録装置10の操作パネルと呼んでもよい。表示部13や操作受付部14は、記録装置10の構成の一部であってもよいが、記録装置10に対して外付けされた周辺機器であってもよい。
記憶部15は、例えば、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブや、その他のメモリーによる記憶手段である。制御部11が有するメモリーの一部を記憶部15と捉えてもよい。記憶部15を、制御部11の一部と捉えてもよい。
通信IF16は、記録装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部装置と通信を実行するための一つまたは複数のIFの総称である。外部装置とは、例えば、パーソナルコンピューター、サーバー、スマートフォン、タブレット型端末等の通信装置である。
通信IF16は、記録装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部装置と通信を実行するための一つまたは複数のIFの総称である。外部装置とは、例えば、パーソナルコンピューター、サーバー、スマートフォン、タブレット型端末等の通信装置である。
搬送部17は、制御部11による制御下で媒体30を所定の搬送方向に沿って搬送するための手段である。搬送部17は、例えば、回転して媒体30を搬送するローラーや、回転の動力源としてのモーター等を備える。また、搬送部17は、モーターで動くベルトやパレットに媒体30を搭載して媒体30を搬送する機構であってもよい。媒体30は、例えば用紙であるが、記録の対象となり得る媒体であればよく、フィルムや生地等、紙以外の素材であってもよい。
キャリッジ18は、制御部11による制御下で、図示しないキャリッジモーターの動力により所定の主走査方向に沿って往復移動を行う移動手段である。主走査方向と搬送方向とは交差している。また、キャリッジ18は、記録ヘッド19を搭載している。
記録ヘッド19は、制御部11による制御下でインクジェット方式により液体を媒体30へ吐出して記録を行う手段である。液体とは主にインクであるが、記録ヘッド19はインク以外の液体を吐出することも可能である。キャリッジ18と記録ヘッド19とをまとめて、記録部と呼んでもよい。
記録ヘッド19は、制御部11による制御下でインクジェット方式により液体を媒体30へ吐出して記録を行う手段である。液体とは主にインクであるが、記録ヘッド19はインク以外の液体を吐出することも可能である。キャリッジ18と記録ヘッド19とをまとめて、記録部と呼んでもよい。
記録装置10は、一台のプリンターによって実現される構成であってもよいが、通信可能に接続した複数の装置を有するシステムによって実現されてもよい。例えば、記録装置10は、制御部11の役割を担う情報処理装置と、搬送部17やキャリッジ18や記録ヘッド19を含んで前記情報処理装置による制御下で記録を実行するプリンターとを含むシステムであってもよい。この場合、前記情報処理装置を、記録制御装置や画像処理装置等として把握することができる。
図2は、媒体30と記録ヘッド19等との関係性を、上方からの視点により簡易的に示している。記録ヘッド19はキャリッジ18に搭載されており、キャリッジ18と共に主走査方向D1に沿った往路移動や復路移動をすることができる。便宜上、主走査方向D1のマイナス側を主走査方向D1の「一方側」、プラス側を主走査方向D1の「他方側」と呼ぶ。また、主走査方向D1の一方側から他方側へのキャリッジ18の移動を「往路移動」、他方側から一方側へのキャリッジ18の移動を「復路移動」と呼ぶ。図2や、後述の図3A,3B,3C、図5、図6A,6B、図8を参照する際は、一方側は左側、他方側は右側、往路が左から右、復路が右から左、と解してよい。
記録ヘッド19は、インク等の液体を吐出するための複数のノズル20を有する。図2に示す白丸の1つ1つが、個々のノズル20である。ノズル20から吐出される液滴をドットと言う。記録ヘッド19は、液体の種類毎のノズル列を有する。記録ヘッド19は、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)といった複数色のインクを吐出可能である。記録ヘッド19を、液体吐出ヘッド、印刷ヘッド、印字ヘッド、インクジェットヘッド等と呼んでもよい。
図2では、ごく簡単に4つのノズル列21C,21M,21Y,21Kを記載している。1色のインクに対応するノズル列は、搬送方向D2におけるノズル20同士の間隔であるノズルピッチが一定或いはほぼ一定の複数のノズル20によって構成されている。主走査方向D1と搬送方向D2とは、直交或いはほぼ直交している。ノズル列21Cは、Cインクを吐出する複数のノズル20からなるノズル列である。同様に、ノズル列21Mは、Mインクを吐出する複数のノズル20からなるノズル列であり、ノズル列21Yは、Yインクを吐出する複数のノズル20からなるノズル列であり、ノズル列21Kは、Kインクを吐出する複数のノズル20からなるノズル列である。記録ヘッド19は、CMYK以外の色のインクや所定の液体に対応したノズル列を有していてもよい。
図2では、同じノズル列を構成する複数のノズル20が並ぶノズル並び方向は搬送方向D2と平行であるが、記録ヘッド19の構成によっては、ノズル並び方向は搬送方向D2に対して斜めに交差していてもよい。搬送部17は、媒体30を搬送方向D2の上流から下流へ搬送する。搬送方向D2の上流、下流を、単に上流、下流と言う。記録ヘッド19が有するノズル列21C,21M,21Y,21Kといった複数のノズル列は、主走査方向D1に沿って並んでおり、搬送方向D2において位置が同一である。
制御部11は、画像を表現する画像データに基づいて記録ヘッド19に媒体30へインクを吐出させる。知られているように、記録ヘッド19では、ノズル20毎に駆動素子が設けられており、画像データに応じて各ノズル20の駆動素子への駆動信号の印加が制御されることにより、各ノズル20がドットを吐出したりドットを吐出しなかったりして、画像データが表現する画像が媒体30に記録される。
キャリッジ18の移動に伴う記録ヘッド19による液体吐出を「パス」と呼んだり「走査」と呼んだりする。キャリッジ18の往路移動によるパスを「往路パス」と呼び、キャリッジ18の復路移動によるパスを「復路パス」と呼ぶ。往路パスおよび復路パスの両方で行う記録が双方向記録であり、往路パスまたは復路パスのどちらか一方のみによる記録が単方向記録である。単方向記録では、キャリッジ18の往路移動または復路移動のいずれかは、記録ヘッド19による液体吐出を伴わない単なる移動である。
制御部11は、このようなキャリッジ18および記録ヘッド19によるパスと、搬送部17による媒体30の所定距離の搬送である、いわゆる紙送りとを組み合わせることにより、画像データが表現する画像を媒体30に記録する。画像データが表現する画像のうち、1回のパスで記録される単位を「バンド」と呼ぶ。また、バンドの搬送方向D2における長さを「バンド幅」と呼ぶ。制御部11は、概略的には、バンドの記録とバンド幅に相当する距離の紙送りとを繰り返すことにより、複数のバンドからなる画像を媒体30上に再現することができる。
ここで、バンディングについて簡単に説明する。
制御部11による制御下で搬送部17が所定のバンド幅分の紙送りを実行したとしても、搬送部17を構成するローラーを始めとする各種部品の動作誤差や製造誤差等に起因して、実際に媒体30が送られる距離は、若干長かったり逆に短かったりする場合がある。つまり、搬送誤差が生じ得る。1回の紙送りによる送り量が所定のバンド幅よりも長い場合、媒体30へ先に記録されたバンドと後に記録されたバンドとの間に隙間が生じ、「白筋」が視認され得る。一方、1回の紙送りによる送り量が所定のバンド幅よりも短い場合、媒体30へ先に記録されたバンドと後に記録されたバンドとが一部重なって、「黒筋」が視認され得る。白筋とは、周囲の色よりも薄く見える筋状のムラであり、必ずしも白色である必要は無い。また黒筋とは、周囲の色よりも濃く見える筋状のムラであり、必ずしも黒色である必要は無い。このようなバンド同士の境界部に生じ得る筋状のムラをまとめて「バンディング」とも言う。なお、バンディングによる影響を軽減するために、媒体30へ先に記録されたバンドと後に記録されたバンドとの一部を重ねて記録する場合もあるが、このような場合でも同様にバンディングは生じ得る。
制御部11による制御下で搬送部17が所定のバンド幅分の紙送りを実行したとしても、搬送部17を構成するローラーを始めとする各種部品の動作誤差や製造誤差等に起因して、実際に媒体30が送られる距離は、若干長かったり逆に短かったりする場合がある。つまり、搬送誤差が生じ得る。1回の紙送りによる送り量が所定のバンド幅よりも長い場合、媒体30へ先に記録されたバンドと後に記録されたバンドとの間に隙間が生じ、「白筋」が視認され得る。一方、1回の紙送りによる送り量が所定のバンド幅よりも短い場合、媒体30へ先に記録されたバンドと後に記録されたバンドとが一部重なって、「黒筋」が視認され得る。白筋とは、周囲の色よりも薄く見える筋状のムラであり、必ずしも白色である必要は無い。また黒筋とは、周囲の色よりも濃く見える筋状のムラであり、必ずしも黒色である必要は無い。このようなバンド同士の境界部に生じ得る筋状のムラをまとめて「バンディング」とも言う。なお、バンディングによる影響を軽減するために、媒体30へ先に記録されたバンドと後に記録されたバンドとの一部を重ねて記録する場合もあるが、このような場合でも同様にバンディングは生じ得る。
また、搬送部17が有するローラーの偏心や、ローラーによる媒体30のニップ力のばらつき等に起因する搬送誤差により、搬送される媒体30が搬送方向D2に対して傾くことがある。この傾きを「スキュー」とも言う。つまり、1回の紙送りによる送り量が、主走査方向D1の一方側と他方側とで異なることにより、媒体30にスキューが生じる。このようなスキューにより、媒体30へ先に記録されたバンドと後に記録されたバンドとの間に白筋および黒筋の両方が生じることもある。
2.キャリッジ速度とバンド幅との関係性:
次に、キャリッジ18の速度に応じて媒体30に記録されるバンド幅が変化する現象を説明する。
図3Aは、キャリッジ18の速度とバンド幅との関係性を説明するための図である。図3Aは、媒体30の一部と、1回のパスにより媒体30に記録されたバンドBD1とを例示している。各図においてバンド内の白抜きの矢印はパスの方向を示しており、図3Aによれば、バンドBD1は1回の往路パスにより記録された画像である。符号T1,T2,T3は、パスを実行する際のキャリッジ18の加速区間T1、定速区間T2、減速区間T3を示している。つまり、キャリッジ18は、1回のパスにおいて速度0の状態から加速して所定の速度V1に達し、速度V1による定速を経て減速し、再び速度0となる。図3Aは、往路パスの例であるから、加速区間T1、定速区間T2、減速区間T3が主走査方向D1の一方側から他方側へ順に並んでいるが、復路パスの例であれば、当然に加速区間T1、定速区間T2、減速区間T3は主走査方向D1の他方側から一方側へ順に並ぶ。
次に、キャリッジ18の速度に応じて媒体30に記録されるバンド幅が変化する現象を説明する。
図3Aは、キャリッジ18の速度とバンド幅との関係性を説明するための図である。図3Aは、媒体30の一部と、1回のパスにより媒体30に記録されたバンドBD1とを例示している。各図においてバンド内の白抜きの矢印はパスの方向を示しており、図3Aによれば、バンドBD1は1回の往路パスにより記録された画像である。符号T1,T2,T3は、パスを実行する際のキャリッジ18の加速区間T1、定速区間T2、減速区間T3を示している。つまり、キャリッジ18は、1回のパスにおいて速度0の状態から加速して所定の速度V1に達し、速度V1による定速を経て減速し、再び速度0となる。図3Aは、往路パスの例であるから、加速区間T1、定速区間T2、減速区間T3が主走査方向D1の一方側から他方側へ順に並んでいるが、復路パスの例であれば、当然に加速区間T1、定速区間T2、減速区間T3は主走査方向D1の他方側から一方側へ順に並ぶ。
キャリッジ18の移動中、記録ヘッド19のノズル列の各ノズル20から吐出されるドットは、気流の影響を受けてノズル列の長手方向つまり搬送方向D2の上流側、下流側に広がって飛翔し、媒体30に着弾する。また、この広がりの程度はキャリッジ18の速度が速いほど大きくなる。そのため図3Aに示すように、往路パスで記録されるバンドBD1のバンド幅は、主走査方向D1の一方側から他方側に向かって加速を開始したばかりの時点ではH1であり、加速区間T1ではH1から徐々に広がり、速度V1の定速区間T2ではH2となる。つまり、バンド幅H1<バンド幅H2である。なお、定速区間T2の後の減速区間T3では、慣性により特にバンド幅の目立った変化は見られない。図3Bおよび図3Cも図3Aと同様に、キャリッジ18の速度とバンド幅との関係性を説明するための図である。図3A,3B,3Cでは、判り易さを優先して、キャリッジ18の速度に応じてバンド幅が変化する様子をはっきりと示している。図3B,3Cに関しては後述する。
このように、1回のパスで記録されるバンドのバンド幅は、記録元の画像データでは一定であっても記録結果としては一定ではなく、主走査方向D1の一方側と他方側のうちパスを開始する側のバンド幅は、パスを終了する側のバンド幅よりも小さい。本実施形態では、制御部11は、画像データに基づいて媒体30へ画像を記録する場合に、スキューに起因して生じ易いバンディングを抑制するために、上述のようにバンド幅が一定でない現象を利用する「第1記録制御」を実行する。第1記録制御は、搬送に応じた媒体30の主走査方向D1の一方側の送り量が他方側の送り量よりも小さければ往路パスにより画像を記録し、搬送に応じた媒体30の主走査方向D1の他方側の送り量が一方側の送り量よりも小さければ復路パスにより画像を記録する処理である。
3.スキュー情報の取得方法:
搬送に応じた媒体30の主走査方向D1の一方側の送り量が他方側の送り量よりも小さいとは、媒体30が一方側へスキューするということである。一方、搬送に応じた媒体30の主走査方向D1の他方側の送り量が一方側の送り量よりも小さいとは、媒体30が他方側へスキューするということである。制御部11は、第1記録制御を実行するために、記録装置10において媒体30がどのようにスキューするのかを認識する必要がある。
搬送に応じた媒体30の主走査方向D1の一方側の送り量が他方側の送り量よりも小さいとは、媒体30が一方側へスキューするということである。一方、搬送に応じた媒体30の主走査方向D1の他方側の送り量が一方側の送り量よりも小さいとは、媒体30が他方側へスキューするということである。制御部11は、第1記録制御を実行するために、記録装置10において媒体30がどのようにスキューするのかを認識する必要がある。
図4は、制御部11がプログラム12に従って実行するスキュー情報取得処理をフローチャートにより示している。
ステップS100では、制御部11の記録制御部12cは、キャリッジ18、記録ヘッド19および搬送部17を制御して、複数回のパスによりテストパターン40を媒体30へ記録する。テストパターン40を表現する画像データであるテストパターン画像データが予め記憶部15に記憶されており、記録制御部12cは、テストパターン画像データに基づいて記録ヘッド19にインクを吐出させることにより、テストパターン40を媒体30へ記録する。
ステップS100では、制御部11の記録制御部12cは、キャリッジ18、記録ヘッド19および搬送部17を制御して、複数回のパスによりテストパターン40を媒体30へ記録する。テストパターン40を表現する画像データであるテストパターン画像データが予め記憶部15に記憶されており、記録制御部12cは、テストパターン画像データに基づいて記録ヘッド19にインクを吐出させることにより、テストパターン40を媒体30へ記録する。
図5は、ステップS100により媒体30に記録されたテストパターン40の一例を示している。テストパターン40は、概略、4つのバンドBD4,BD5,BD6,BD7により構成されている。バンドBD4,BD5,BD6,BD7の色は特に限られない。例えば、バンドBD4,BD5,BD6,BD7は、いずれもグレー色の無地の画像である。
バンドBD4は、第1の往路パスにより記録されたバンドである。バンドBD4に対して上流に隣り合うバンドBD5は、第1の往路パスの後、搬送部17による媒体30の所定のバンド幅分の紙送りを経た上で、第2の往路パスにより記録されたバンドである。さらに、バンドBD5から上流に離間した位置のバンドBD6は、第1の復路パスにより記録されたバンドである。バンドBD6に対して上流に隣り合うバンドBD7は、第1の復路パスの後、搬送部17による媒体30の所定のバンド幅分の紙送りを経た上で、第2の復路パスにより記録されたバンドである。なお、バンドBD4,BD5の組と、バンドBD6,BD7の組との位置関係は、図の例とは逆であってもよい。つまり、バンドBD4,BD5の組よりも、バンドBD6,BD7の組の方が下流に記録されてもよい。
図5において破線で囲ったように、バンドBD4のうち主走査方向D1の一方側の領域である「第1パターン41a」およびバンドBD5のうち主走査方向D1の一方側の領域である「第3パターン41b」をまとめて「往路開始側パターン41」と呼ぶ。
また、破線で囲った、バンドBD4のうち主走査方向D1の他方側の領域である「第2パターン42a」およびバンドBD5のうち主走査方向D1の他方側の領域である「第4パターン42b」をまとめて「往路終了側パターン42」と呼ぶ。
また、破線で囲った、バンドBD4のうち主走査方向D1の他方側の領域である「第2パターン42a」およびバンドBD5のうち主走査方向D1の他方側の領域である「第4パターン42b」をまとめて「往路終了側パターン42」と呼ぶ。
同様に、破線で囲った、バンドBD6のうち主走査方向D1の他方側の領域である「第5パターン43a」およびバンドBD7のうち主走査方向D1の他方側の領域である「第7パターン43b」をまとめて「復路開始側パターン43」と呼ぶ。
また、破線で囲った、バンドBD6のうち主走査方向D1の一方側の領域である「第6パターン44a」およびバンドBD7のうち主走査方向D1の一方側の領域である「第8パターン44b」をまとめて「復路終了側パターン44」と呼ぶ。
また、破線で囲った、バンドBD6のうち主走査方向D1の一方側の領域である「第6パターン44a」およびバンドBD7のうち主走査方向D1の一方側の領域である「第8パターン44b」をまとめて「復路終了側パターン44」と呼ぶ。
図5の例では、往路開始側パターン41の第1パターン41aと第3パターン41bとの境界部、および、復路開始側パターン43の第5パターン43aと第7パターン43bとの境界部には、同程度の白筋が発生している。また、往路終了側パターン42の第2パターン42aと第4パターン42bとの境界部、および、復路終了側パターン44の第6パターン44aと第8パターン44bとの境界部には、同程度の黒筋が発生している。ここで言う同程度とは、濃度や太さが同じ程度という意味である。図3Aで説明したように、パスの開始側がパスの終了側よりバンド幅が小さいことに起因して、往路開始側パターン41内や復路開始側パターン43内には白筋が発生し易い。図5のように、往路開始側パターン41内のバンディングと復路開始側パターン43内のバンディングとが同程度であり、往路終了側パターン42内のバンディングと復路終了側パターン44内のバンディングとが同程度である場合は、紙送りによる主走査方向D1の一方側の送り量と主走査方向D1の他方側の送り量とに差が無いか殆ど無い状態、つまり媒体30がスキューしていない状態と言える。なお、バンディングが同程度である状態とは、どちらにもバンディングが殆ど見られない状態も含む。
図6Aおよび図6Bはそれぞれ、ステップS100により媒体30に記録されたテストパターン40の一例を示している。図6A,6Bの見方は図5と同じである。図5や図6A,6Bにおいても、判り易さを優先して白筋や黒筋といったバンディングを実際よりも明確に表現している。また、図5、図6A,6Bでは、バンドBD4,BD5,BD6,BD7はいずれも、主走査方向D1に沿って連続的にインクが吐出されて形成されているが、テストパターン40を記録する目的に照らせば、往路開始側パターン41と往路終了側パターン42との間はインクによって記録されない空白領域であってもよい。同様に、復路開始側パターン43と復路終了側パターン44との間はインクによって記録されない空白領域であってもよい。
図6Aの例では、往路開始側パターン41の第1パターン41aと第3パターン41bとの境界部には白筋が比較的はっきりと発生しているが、復路開始側パターン43の第5パターン43aと第7パターン43bとの境界部には目立ったバンディングは発生していない。また、往路終了側パターン42の第2パターン42aと第4パターン42bとの境界部には黒筋が比較的はっきりと発生しているが、復路終了側パターン44の第6パターン44aと第8パターン44bとの境界部には目立ったバンディングは発生していない。このように、バンドBD4,BD5それぞれのバンド幅が大きい往路終了側パターン42内で、バンドの重なりによる黒筋が目立って発生し、バンドBD6,BD7それぞれのバンド幅が小さく白筋が発生し易い復路開始側パターン43内で目立ったバンディングが無い場合は、紙送りによる主走査方向D1の他方側の送り量が主走査方向D1の一方側の送り量よりも小さい状態、つまり媒体30が他方側にスキューする状態と言える。
一方、図6Bの例では、往路開始側パターン41の第1パターン41aと第3パターン41bとの境界部には目立ったバンディングは発生しておらず、復路開始側パターン43の第5パターン43aと第7パターン43bとの境界部には白筋が比較的はっきりと発生している。また、往路終了側パターン42の第2パターン42aと第4パターン42bとの境界部には目立ったバンディングは発生しておらず、復路終了側パターン44の第6パターン44aと第8パターン44bとの境界部には黒筋が比較的はっきりと発生している。このように、バンドBD4,BD5それぞれのバンド幅が小さく白筋が発生し易い往路開始側パターン41内で目立ったバンディングが無く、バンドBD6,BD7それぞれのバンド幅が大きい復路終了側パターン44内で、バンドの重なりによる黒筋が目立って発生している場合は、紙送りによる主走査方向D1の一方側の送り量が主走査方向D1の他方側の送り量よりも小さい状態、つまり媒体30が一方側にスキューする状態と言える。
ユーザーは、ステップS100により媒体30に記録されたテストパターン40を目視で評価し、往路開始側パターン41、往路終了側パターン42、復路開始側パターン43、復路終了側パターン44のそれぞれにおけるバンディングの程度や違いに応じてスキューの状態を判断する。つまり、図5に示したようなテストパターン40の記録結果が得られた場合は、スキューは無いと判断し、図6Aに示したようなテストパターン40の記録結果が得られた場合は、主走査方向D1の他方側へのスキュー有りと判断し、図6Bに示したようなテストパターン40の記録結果が得られた場合は、主走査方向D1の一方側へのスキュー有りと判断することができる。
ステップS110では、制御部11は、スキュー情報を取得する。つまり、ユーザーは操作受付部14を操作することにより、スキュー無し、主走査方向D1の一方側へのスキュー有り、主走査方向D1の他方側へのスキュー有り、といった「スキュー情報」を入力し、制御部11は、入力されたスキュー情報を取得する。スキュー情報は、紙送りによる主走査方向D1の一方側の送り量と他方側の送り量との大小関係を表す情報に該当する。従って、ステップS110では、制御部11は、第1パターン~第8パターンまでの記録結果に基づいて、媒体30の前記一方側の送り量と前記他方側の送り量との大小関係を表す情報を取得する、と言える。
ステップS110におけるスキュー情報の取得は、ユーザーによる直接的な入力に限られない。例えば、ユーザーは、テストパターン40が記録された媒体30を、図示しないスキャナーに読み取らせる。スキャナーは、テストパターン40の読取結果としての読取画像データを生成し、記録装置10へ転送する。テストパターン40の読取画像データを受信した記録装置10では、制御部11が、読取画像データを解析して往路開始側パターン41、往路終了側パターン42、復路開始側パターン43、復路終了側パターン44のそれぞれにおけるバンディングの程度や違いに応じてスキューの状態を判断し、スキュー無し、主走査方向D1の一方側へのスキュー有り、主走査方向D1の他方側へのスキュー有り、といったスキュー情報を取得してもよい。
ステップS120では、制御部11は、ステップS110で取得したスキュー情報に応じて、「バンディング低減モード」のためのパス方向を記憶部15に保存し、図4のフローチャートを終える。バンディング低減モードは、記録装置10が有する、異なる記録品質に対応した複数の記録モードのうちの1つであり、第1記録制御を実行する記録モードである。また、バンディング低減モードは、相対的に記録品質が高い所定の記録モードに該当する。制御部11は、主走査方向D1の一方側へのスキュー有りというスキュー情報を取得した場合は、パス方向として往路移動、つまり往路パスを保存する。また、主走査方向D1の他方側へのスキュー有りというスキュー情報を取得した場合は、パス方向として復路移動、つまり復路パスを保存する。
なお、スキュー無しというスキュー情報を取得した場合は、制御部11は、ステップS120では、バンディング低減モードのためのパス方向を保存しない。あるいは、制御部11は、バンディング低減モードを実行しない旨の設定を保存してもよい。
4.記録制御処理:
図7は、制御部11がプログラム12に従って実行する記録制御処理をフローチャートにより示している。フローチャートは、本実施形態にかかる記録方法を表している。
制御部11は、ユーザーが任意に選択した画像データに基づく記録の開始指示を、操作受付部14を介して受けたり、外部装置から通信IF16を介して受けたりした場合に、図7のフローチャートを開始する。ユーザーが任意に選択した画像データを、以下では、記録対象の画像データという意味で「対象画像データ」と呼ぶ。
図7は、制御部11がプログラム12に従って実行する記録制御処理をフローチャートにより示している。フローチャートは、本実施形態にかかる記録方法を表している。
制御部11は、ユーザーが任意に選択した画像データに基づく記録の開始指示を、操作受付部14を介して受けたり、外部装置から通信IF16を介して受けたりした場合に、図7のフローチャートを開始する。ユーザーが任意に選択した画像データを、以下では、記録対象の画像データという意味で「対象画像データ」と呼ぶ。
ステップS200では、制御部11の記録モード判定部12aは、実行すべき記録モードを判定するための情報(以下、記録モード判定情報)を取得する。記録装置10は、記録モードとして、バンディング低減モードの他、例えば、高速であることを優先する「急ぎモード」等を有する。急ぎモードは、バンディング低減モードよりも記録品質の面では劣る。バンディング低減モードは、当然別の呼び名であってもよく、例えば「きれいモード」と称してもよい。また、記録品質を優先する記録モードの中でも、特に媒体30のスキューによるバンディングを低減することを目的とした所定の記録モードが、バンディング低減モードであってもよい。
いずれにしてもユーザーは、操作受付部14を操作することにより、バンディング低減モードを含む、異なる記録品質に対応した複数の記録モードの中から、記録モードを選択することができる。そして、記録モード判定部12aは、この選択を受け付ける。ユーザーによって選択された記録モードを示す情報が、記録モード判定情報である。
ステップS210では、記録モード判定部12aは、ステップS200で取得した記録モード判定情報に応じて、バンディング低減モードを実行する否かを判定し、バンディング低減モードを実行するのであれば“Yes”の判定からステップS220へ進む。一方、バンディング低減モード以外の記録モードを実行するのであれば“No”の判定からステップS240へ進む。つまり、記録モード判定部12aは、記録モード判定情報がバンディング低減モードを示していれば、ステップS210で“Yes”と判定し、記録モード判定情報がバンディング低減モード以外の記録モードを示していれば、ステップS210で“No”と判定する。
ステップS200において記録モード判定部12aが取得する記録モード判定情報は、ユーザーによって選択される記録モードの情報に限らず、対象画像データ自体であってもよい。記録モード判定部12aは、取得した対象画像データのヘッダーやボディを解析して、対象画像データが表現する画像が、バンディングが所定基準以上に目立ち易い「第1種類」の画像であるか否かを判定する。第1種類の画像とは、空白を含まない画像や画像全体の面積における空白の比率が所定比率以下の画像であり、具体的には写真画や人物画等である。一方、文字画像等は、画像内での空白の比率が高くバンディングが目立ち難いため、第1種類の画像に該当しない。
そしてステップS210では、記録モード判定部12aは、対象画像データが表現する画像が第1種類に該当する場合には、バンディング低減モードを実行すると判定し、“Yes”からステップS220へ進むとしてもよい。また、記録モード判定部12aは、対象画像データが表現する画像が第1種類に該当しない場合には、バンディング低減モードを実行しないと判定し、ステップS210の“No”からステップS240へ進むとしてもよい。
なお、ユーザーによる記録モードの選択と、対象画像データが第1種類の画像に該当するか否かの判定との両方を行う構成では、どちらを優先するとしてもよい。例えば、ユーザーによってバンディング低減モードが選択されていれば、記録モード判定部12aは、対象画像データが第1種類の画像に該当するか否かに関係なく、ステップS210で“Yes”と判定してもよい。あるいは、ユーザーによってバンディング低減モードが選択されており、かつ、対象画像データが第1種類の画像に該当する場合に、ステップS210で“Yes”と判定するとしてもよい。
ステップS220では、パス方向決定部12bは、バンディング低減モードに採用するパス方向を決定する。上述のスキュー情報取得処理により、パス方向は記憶部15に保存されているため、パス方向決定部12bは、記憶部15に保存されているパス方向を読み出して、その通りにパス方向を決定すればよい。つまり、パス方向として往路パスが保存されていれば、パス方向を往路パスに決定し、パス方向として復路パスが保存されていれば、パス方向を復路パスに決定する。
ステップS230では、記録制御部12cは、ステップS220で決定したパス方向の単方向記録にて、対象画像データに基づく記録を実行する。言うまでもないが、記録制御部12cは、対象画像データを、記録ヘッド19がインクジェット方式の液体吐出に使用する形式の画像データとするために、対象画像データに対して解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、パス分解処理等を必要に応じて実行した上で、記録を開始する。ステップS220で往路パスが決定されたのであれば、ステップS230では、記録制御部12cは、キャリッジ18、記録ヘッド19および搬送部17を制御して、複数回の往路パスのみで対象画像データが表現する画像を媒体30へ記録する。逆に、ステップS220で復路パスが決定されたのであれば、ステップS230では、記録制御部12cは、キャリッジ18、記録ヘッド19および搬送部17を制御して、複数回の復路パスのみで対象画像データが表現する画像を媒体30へ記録する。このようなステップS220,S230が、バンディング低減モードによる記録、つまり第1記録制御である。
ステップS230で往路パスを実行するということは、往路パスと次の往路パスとの間の紙送りで媒体30が主走査方向D1の一方側にスキューする傾向があるということであるため、図6Bに示したバンドBD4,BD5のような、バンディングが殆ど生じない好適な記録結果が得られる。つまり、主走査方向D1の一方側へのスキューにより、先に記録されたバンドの当該一方側の一部と、次に記録されるバンドの当該一方側の一部とが接近し、かつ、先に記録されたバンドの他方側の一部と、次に記録されるバンドの当該他方側の一部とが離間し易いが、いずれのバンドにおいても当該一方側ではバンド幅が小さく、当該他方側ではバンド幅が大きい。そのため、バンド同士の一部の重なりや一部の離間が緩和され、黒筋や白筋が殆ど生じない記録結果が得られる。
また、ステップS230で復路パスを実行するということは、復路パスと次の復路パスとの間の紙送りで媒体30が主走査方向D1の他方側にスキューする傾向があるということであるため、図6Aに示したバンドBD6,BD7のような、バンディングが殆ど生じない好適な記録結果が得られる。つまり、主走査方向D1の他方側へのスキューにより、先に記録されたバンドの当該他方側の一部と、次に記録されるバンドの当該他方側の一部とが接近し、かつ、先に記録されたバンドの一方側の一部と、次に記録されるバンドの当該一方側の一部とが離間し易いが、いずれのバンドにおいても当該他方側ではバンド幅が小さく、当該一方側ではバンド幅が大きい。そのため、バンド同士の一部の重なりや一部の離間が緩和され、黒筋や白筋が殆ど生じない記録結果が得られる。
なお、記憶部15に、バンディング低減モードのためのパス方向が保存されていなかったり、バンディング低減モードを実行しない旨の設定が保存されていたりする場合は、媒体30がスキューしないということであるため、第1記録制御の効果が得られない。そのため、パス方向決定部12bは、記憶部15に、バンディング低減モードのためのパス方向が保存されていなかったり、バンディング低減モードを実行しない旨の設定が保存されていたりする場合は、図7に破線の矢印で示すように、ステップS220からステップS240へ進めばよい。
ステップS240では、記録制御部12cは、双方向記録にて対象画像データに基づく記録を実行する。つまり、キャリッジ18、記録ヘッド19および搬送部17を制御して、往路パスおよび復路パスにより対象画像データが表現する画像を媒体30へ記録する。ステップS240は、バンディング低減モード以外の記録モードに対応している。図7では、バンディング低減モード以外の記録モードをステップS240の1つにまとめて記載しているが、双方向記録であっても、記録モードに応じて様々な設定を異ならせてもよい。例えば、双方向記録において、単純に1つのバンドを1回のパスで記録するモードの他に、1つのバンドに相当する面積を複数回のパスで記録するいわゆるオーバーラップ記録を採用するモード等が有ってもよい。
このようなステップS230又はステップS240を経て図7のフローチャートを終了する。
このようなステップS230又はステップS240を経て図7のフローチャートを終了する。
5.まとめ:
このように本実施形態によれば、記録装置10は、媒体30へ液体を吐出する複数のノズル20が並ぶノズル列を有する記録ヘッド19と、記録ヘッド19を搭載し、主走査方向D1に沿う往復移動を実行するキャリッジ18と、媒体30を主走査方向D1に交差する搬送方向D2へ搬送する搬送部17と、記録ヘッド19、キャリッジ18および搬送部17を制御する制御部11と、を備える。制御部11は、キャリッジ18による主走査方向D1の一方側から他方側への移動である往路移動に伴い記録ヘッド19に液体を吐出させる往路パスと、キャリッジ18による前記他方側から前記一方側への移動である復路移動に伴い記録ヘッド19に液体を吐出させる復路パスと、を実行可能である。そして、制御部11は、画像データに基づいて媒体30へ液体を吐出して画像を記録する場合に、搬送に応じた媒体30の前記一方側の送り量が媒体30の前記他方側の送り量よりも小さければ、往路パスにより画像を記録し、搬送に応じた媒体30の前記他方側の送り量が媒体30の前記一方側の送り量よりも小さければ、復路パスにより画像を記録する、第1記録制御を実行する。
このように本実施形態によれば、記録装置10は、媒体30へ液体を吐出する複数のノズル20が並ぶノズル列を有する記録ヘッド19と、記録ヘッド19を搭載し、主走査方向D1に沿う往復移動を実行するキャリッジ18と、媒体30を主走査方向D1に交差する搬送方向D2へ搬送する搬送部17と、記録ヘッド19、キャリッジ18および搬送部17を制御する制御部11と、を備える。制御部11は、キャリッジ18による主走査方向D1の一方側から他方側への移動である往路移動に伴い記録ヘッド19に液体を吐出させる往路パスと、キャリッジ18による前記他方側から前記一方側への移動である復路移動に伴い記録ヘッド19に液体を吐出させる復路パスと、を実行可能である。そして、制御部11は、画像データに基づいて媒体30へ液体を吐出して画像を記録する場合に、搬送に応じた媒体30の前記一方側の送り量が媒体30の前記他方側の送り量よりも小さければ、往路パスにより画像を記録し、搬送に応じた媒体30の前記他方側の送り量が媒体30の前記一方側の送り量よりも小さければ、復路パスにより画像を記録する、第1記録制御を実行する。
前記構成によれば、記録装置10は、搬送部17による搬送誤差で主走査方向D1の一方側の送り量が他方側の送り量よりも小さかったり、逆に主走査方向D1の他方側の送り量が一方側の送り量よりも小さかったりする媒体30のスキューが生じる場合に、主走査方向D1の一方側と他方側とのうち送り量が小さい側をパスの開始側として単方向記録を行う。これにより、パスで記録される画像の幅がパスの開始側と終了側とで異なることを利用して、パスで記録される画像同士が一部で重なったり離間したりすることを抑制し、バンディングによる記録品質低下をできるだけ防ぐことができる。また、特別な装置や複雑な補正演算を必要とせず、簡易な処理で、バンディングによる記録品質低下を防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、制御部11は、異なる記録品質に対応した複数の記録モードの中から記録モードの選択を受け付けることが可能であり、複数の記録モードの中から、相対的に記録品質が高い所定の記録モードの選択を受け付けた場合に第1記録制御を実行するとしてもよい。
前記構成によれば、ユーザーによる記録モードの選択に応じて第1記録制御を実行したりしなかったりする。そのため、第1記録制御が必要でない場合は、第1記録制御よりも記録速度に優れた記録モード等を採用して、記録効率を向上させることができる。
前記構成によれば、ユーザーによる記録モードの選択に応じて第1記録制御を実行したりしなかったりする。そのため、第1記録制御が必要でない場合は、第1記録制御よりも記録速度に優れた記録モード等を採用して、記録効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、制御部11は、画像データが表現する画像が、往路パスまたは復路パスによって記録される単位であるバンド同士の境界部に生じるバンディングが所定基準以上に目立ち易い第1種類の画像である場合に、第1記録制御を実行するとしてもよい。
前記構成によれば、バンディングによる記録品質の低下が目立ち易い第1種類の画像を記録する場合に、第1記録制御を実行する。そのため、第1種類以外の画像を記録する場合は、第1記録制御よりも記録速度に優れた記録モード等を採用して、記録効率を向上させることができる。
前記構成によれば、バンディングによる記録品質の低下が目立ち易い第1種類の画像を記録する場合に、第1記録制御を実行する。そのため、第1種類以外の画像を記録する場合は、第1記録制御よりも記録速度に優れた記録モード等を採用して、記録効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、制御部11は、第1の往路パスにより、媒体30の前記一方側の位置に第1パターン41aを記録するとともに媒体30の前記他方側の位置に第2パターン42aを記録し、第1の往路パスの後に搬送部17に媒体30を所定距離搬送させた上で、第2の往路パスにより、媒体30の前記一方側の位置に第3パターン41bを記録するとともに媒体30の前記他方側の位置に第4パターン42bを記録する。さらに、第1の復路パスにより、媒体30の前記他方側の位置に第5パターン43aを記録するとともに媒体30の前記一方側の位置に第6パターン44aを記録し、第1の復路パスの後に搬送部17に媒体30を前記所定距離搬送させた上で、第2の復路パスにより、媒体30の前記他方側の位置に第7パターン43bを記録するとともに媒体30の前記一方側の位置に第8パターン44bを記録する。そして、第1パターン41aから第8パターン44bまでの記録結果に基づいて、媒体30の前記一方側の送り量と前記他方側の送り量との大小関係を表す情報を取得する。
前記構成によれば、制御部11は、第1パターン41aから第8パターン44bまでを含むテストパターン40を媒体30へ記録することにより、その記録結果から前記大小関係を表すスキュー情報を取得し、第1記録制御において往路パスと復路パスとのどちらを実行すべきかを決定することができる。
前記構成によれば、制御部11は、第1パターン41aから第8パターン44bまでを含むテストパターン40を媒体30へ記録することにより、その記録結果から前記大小関係を表すスキュー情報を取得し、第1記録制御において往路パスと復路パスとのどちらを実行すべきかを決定することができる。
本実施形態は、装置やシステムに限らず、装置やシステムが実行する方法や、方法をプロセッサーに実行させるプログラム12といった各種カテゴリーの発明を開示する。
例えば、媒体30へ液体を吐出する複数のノズル20が並ぶノズル列を有する記録ヘッド19と、記録ヘッド19を搭載し、主走査方向D1に沿う往復移動を実行するキャリッジ18と、媒体30を主走査方向D1に交差する搬送方向D2へ搬送する搬送部17と、を備える記録装置10による記録方法を把握することができる。この場合、記録装置10は、キャリッジ18による主走査方向D1の一方側から他方側への移動である往路移動に伴い記録ヘッド19に液体を吐出させる往路パスと、キャリッジ18による前記他方側から前記一方側への移動である復路移動に伴い記録ヘッド19に液体を吐出させる復路パスと、を実行可能であり、記録方法は、画像データに基づいて媒体30へ液体を吐出して画像を記録する記録工程を有する。そして、記録工程では、搬送に応じた媒体30の前記一方側の送り量が媒体30の前記他方側の送り量よりも小さければ、往路パスにより画像を記録し、搬送に応じた媒体30の前記他方側の送り量が媒体30の前記一方側の送り量よりも小さければ、復路パスにより前記画像を記録する。図7によれば、ステップS230が上述の記録工程に該当する。
例えば、媒体30へ液体を吐出する複数のノズル20が並ぶノズル列を有する記録ヘッド19と、記録ヘッド19を搭載し、主走査方向D1に沿う往復移動を実行するキャリッジ18と、媒体30を主走査方向D1に交差する搬送方向D2へ搬送する搬送部17と、を備える記録装置10による記録方法を把握することができる。この場合、記録装置10は、キャリッジ18による主走査方向D1の一方側から他方側への移動である往路移動に伴い記録ヘッド19に液体を吐出させる往路パスと、キャリッジ18による前記他方側から前記一方側への移動である復路移動に伴い記録ヘッド19に液体を吐出させる復路パスと、を実行可能であり、記録方法は、画像データに基づいて媒体30へ液体を吐出して画像を記録する記録工程を有する。そして、記録工程では、搬送に応じた媒体30の前記一方側の送り量が媒体30の前記他方側の送り量よりも小さければ、往路パスにより画像を記録し、搬送に応じた媒体30の前記他方側の送り量が媒体30の前記一方側の送り量よりも小さければ、復路パスにより前記画像を記録する。図7によれば、ステップS230が上述の記録工程に該当する。
なお、記録結果から媒体30のスキュー情報を取得するためのテストパターンは、図5等に示した具体例に限定されない。制御部11は、ステップS100において、記録結果を評価や解析することによりスキュー情報を取得できるような構成のテストパターンを媒体30へ記録すればよい。
また、スキュー情報は、記録装置10が製造者により出荷される時点で、記憶部15に保存されていてもよい。つまり、製品出荷前に、搬送部17による搬送で媒体30がどのようにスキューするかを予め製品毎に評価し、その評価結果がスキュー情報として記憶部15に保存される。そして、ステップS220では、パス方向決定部12bは、記憶部15に保存されているスキュー情報に従って、バンディング低減モードに採用するパス方向を往路パスと復路パスとのどちらにすべきか決定してもよい。
6.変形例:
本実施形態に含まれる変形例について説明する。変形例の組み合わせも本実施形態の開示範囲に含まれる。
本実施形態に含まれる変形例について説明する。変形例の組み合わせも本実施形態の開示範囲に含まれる。
第1変形例:
制御部11は、画像データが表現する画像のうち、往路パスまたは復路パスによって記録される単位であるバンド同士の境界部に生じるバンディングが所定基準以上に目立ち易い第1領域51については第1記録制御を実行し、画像データが表現する画像のうち第1領域51以外の第2領域52については、往路パスおよび復路パスにより記録する第2記録制御を実行するとしてもよい。ここで言う画像データは、上述の対象画像データである。また、第2記録制御は双方向記録である。
制御部11は、画像データが表現する画像のうち、往路パスまたは復路パスによって記録される単位であるバンド同士の境界部に生じるバンディングが所定基準以上に目立ち易い第1領域51については第1記録制御を実行し、画像データが表現する画像のうち第1領域51以外の第2領域52については、往路パスおよび復路パスにより記録する第2記録制御を実行するとしてもよい。ここで言う画像データは、上述の対象画像データである。また、第2記録制御は双方向記録である。
図8は、1ページ分の対象画像データ50を例示している。図8では、対象画像データ50の向きと方向D1,D2との対応関係も併せて示している。なお、対象画像データ50が表現する画像の内容については図示を省略している。第1変形例では、制御部11は、図7のフローチャートにおいて、ステップS200,S210を省いてステップS220を実行し、ステップS230で以下の処理を行う。あるいは、図7のフローチャートにおいて、ステップS200~S220を経たステップS230で以下の処理を行う。
記録制御部12cは、先ず対象画像データ50を複数のバンドに分割する。バンド幅は、記録ヘッド19におけるノズル列の搬送方向D2の長さ等から予め決まっている。図8の例では、対象画像データ50内を破線で区切った主走査方向D1に長尺な各領域が、バンドBD01,BD02,BD03,BD04,BD05,BD06,BD07である。
次に、記録制御部12cは、対象画像データ50内の各バンドBD01,BD02,BD03,BD04,BD05,BD06,BD07のそれぞれについて、第1領域51と第2領域52とのどちらに該当するかを判断する。記録制御部12cは、領域内に空白を含まないか若しくは領域内の空白の比率が所定比率以下の領域を第1領域51とし、第1領域51に該当しない領域を第2領域52とすればよい。図8の例では、記録制御部12cは、バンドBD01,BD02,BD03,BD07を第2領域52と判断し、バンドBD04,BD05,BD06を第1領域51と判断したものとする。
このような判断に従い、記録制御部12cは、キャリッジ18、記録ヘッド19および搬送部17を制御して、第1領域51に該当するバンドの媒体30への記録は第1記録制御を実行し、第2領域52に該当するバンドの媒体30への記録は第2記録制御を実行する。つまり、図8に示すように、第2領域52であるバンドBD01,BD02,BD03の記録は、往路パス、復路パス、往路パスというように双方向記録で行う。バンドBD03の往路パスに続いて、第1領域51であるバンドBD04,BD05,BD06の記録は、単方向記録で行う。ここでは、ステップS220において、パス方向決定部12bが、バンディング低減モードに採用するパス方向を往路パスに決定したとする。そのため、記録制御部12cは、バンドBD04,BD05,BD06については、いずれも往路パスで記録する。
連続する3つのバンドBD01,BD02,BD03のための双方向記録に要する時間は、同じく連続する3つのバンドBD04,BD05,BD06のための単方向記録に要する時間と比べて、キャリッジ18の移動回数が少ないため短い。記録制御部12cは、バンドBD06の往路パスに続く第2領域52であるバンドBD07の記録は、直前のバンドBD06のパス方向とは逆の復路パスにより実行すればよい。
このような第1変形例によれば、1ページ分の画像の中でも、バンディングによる記録品質の低下が目立ち易い第1領域51に限って第1記録制御を実行し、第2領域52については双方向記録を実行する。そのため、バンディングによる記録品質の低下を効果的に抑制しつつ、記録効率の低下も抑制することができる。
第2変形例:
制御部11は、媒体30の前記一方側の送り量と媒体30の前記他方側の送り量との差に応じて、第1記録制御におけるキャリッジ18の移動の加速度又は速度を調整する、としてもよい。第2変形例に関連して、図3Bおよび図3Cについて説明する。図3B,3Cの見方は、図3Aと同じである。
制御部11は、媒体30の前記一方側の送り量と媒体30の前記他方側の送り量との差に応じて、第1記録制御におけるキャリッジ18の移動の加速度又は速度を調整する、としてもよい。第2変形例に関連して、図3Bおよび図3Cについて説明する。図3B,3Cの見方は、図3Aと同じである。
図3Bは、媒体30の一部と、1回の往路パスにより媒体30に記録されたバンドBD2とを例示している。バンドBD2を図3AのバンドBD1と比較すると、キャリッジ18の加速区間T1がバンドBD2の方が長い。つまり、バンドBD2に関しては、往路パス開始前の速度0から速度V1に達するまでの時間がバンドBD1よりも長いため、加速区間T1におけるキャリッジ18の加速度がバンドBD1の記録時よりも小さい。このようなバンドBD2によれば、バンドの辺のうち、加速区間T1に対応してバンド幅が変化することによりキャリッジ18の進行方向に対して斜めを向く辺(以下、傾き部35)がより長くなる。そのため、媒体30のスキューによるバンド同士の重なり部分、つまり黒筋の面積を減らす効果がより高くなると言える。図3B,3Cでは、傾き部35を、2点鎖線で判り易く示している。
図3Cは、媒体30の一部と、1回の往路パスにより媒体30に記録されたバンドBD3とを例示している。バンドBD3は、バンドBD1よりもキャリッジ18の加速区間T1が長い点はバンドBD2と同様である。さらに、バンドBD3は、定速区間T2におけるキャリッジ18の速度V2が、バンドBD1やバンドBD2の定速区間T2の速度V1よりも遅い。そのため、バンドBD3の定速区間T2及び減速区間T3のバンド幅H3は、バンドBD1やバンドBD2の定速区間T2及び減速区間T3のバンド幅H2よりも小さい。つまり、バンド幅H1<バンド幅H3<バンド幅H2である。このようなバンドBD3によれば、バンドBD2と比べて、傾き部35の傾きをより小さくできる。そのため、媒体30のスキューがより小さい場合に、そのような小さなスキューに合わせてバンディングを効果的に減らすことができる。
ステップS110において制御部11が取得するスキュー情報は、これまでに説明した主走査方向D1の一方側へのスキュー有り、又は他方側へのスキュー有り、といった情報に加え、主走査方向D1の一方側の送り量と他方側の送り量との差、つまりスキューの程度を示す情報を含んでもよい。ユーザーは、テストパターン40を評価してスキューの程度がどれぐらいであるかを、所定の複数段階の程度の中から選んで入力したり、搬送方向D2に対する角度で入力したりして、制御部11がスキューの程度を取得する。あるいは、制御部11は、テストパターン40の読取画像データを解析して、主走査方向D1の一方側へのスキューの程度、又は他方側へのスキューの程度を取得してもよい。そして、ステップS120では、制御部11は、スキュー情報に応じたバンディング低減モードのためのパス方向に加えて、スキューの程度の情報も記憶部15に保存し、図4のフローチャートを終える。
そして、図7のステップS230において、記録制御部12cは、ステップS220で決定したパス方向の単方向記録を実行する際に、上述の様に保存されているスキューの程度に応じて、キャリッジ18の移動の加速度や速度を調整すればよい。例えば、図3Aに示すバンドBD1の加速区間T1の長さや定速区間T2の速度V1が、バンディング低減モードにおけるキャリッジ18移動の基本的な設定であるとする。そして、記録制御部12cは、スキューの程度がある基準以上に大きければ、前記決定したパス方向の単方向記録を実行する際に、図3Bに示すバンドBD2の加速区間T1の長さをキャリッジ18の移動の設定に採用して、各パスを実行すればよい。記録制御部12cは、スキューの程度が逆に比較的小さければ、前記決定したパス方向の単方向記録を実行する際に、図3Cに示すバンドBD3の加速区間T1の長さや定速区間T2の速度V2をキャリッジ18の移動の設定に採用して、各パスを実行してもよい。なお、制御部11は、搬送部17による紙送りの距離も、キャリッジ18の速度に応じて想定されるバンド幅H2やH3を考慮して、媒体30上でバンド間に隙間や重なりができるだけ生じないように適宜調整することが可能である。
このような第2変形例によれば、これまでに説明した第1記録制御に加えて、媒体30の主走査方向D1の一方側の送り量と他方側の送り量との差に応じてキャリッジ18の移動の加速度又は速度を調整する。そのため、スキューの程度に応じて、より精度良く記録結果におけるバンディングを低減させることができる。
10…記録装置、11…制御部、12…プログラム、12a…記録モード判定部、12b…パス方向決定部、12c…記録制御部、13…表示部、14…操作受付部、15…記憶部、16…通信IF、17…搬送部、18…キャリッジ、19…記録ヘッド、20…ノズル、21C,21M,21Y,21K…ノズル列、30…媒体、40…テストパターン、41…往路開始側パターン、41a…第1パターン、41b…第3パターン、42…往路終了側パターン、42a…第2パターン、42b…第4パターン、43…復路開始側パターン、43a…第5パターン、43b…第7パターン、44…復路終了側パターン、44a…第6パターン、44b…第8パターン、50…対象画像データ、51…第1領域、52…第2領域、BD1,BD2,BD3,BD4,BD5,BD6,BD7…バンド
Claims (7)
- 媒体へ液体を吐出する複数のノズルが並ぶノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載し、主走査方向に沿う往復移動を実行するキャリッジと、
媒体を前記主走査方向に交差する搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記記録ヘッド、前記キャリッジおよび前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記キャリッジによる前記主走査方向の一方側から他方側への移動である往路移動に伴い前記記録ヘッドに液体を吐出させる往路パスと、
前記キャリッジによる前記他方側から前記一方側への移動である復路移動に伴い前記記録ヘッドに液体を吐出させる復路パスと、を実行可能であり、
画像データに基づいて前記媒体へ液体を吐出して画像を記録する場合に、前記搬送に応じた前記媒体の前記一方側の送り量が前記媒体の前記他方側の送り量よりも小さければ、前記往路パスにより前記画像を記録し、前記搬送に応じた前記媒体の前記他方側の送り量が前記媒体の前記一方側の送り量よりも小さければ、前記復路パスにより前記画像を記録する、第1記録制御を実行することを特徴とする記録装置。 - 前記制御部は、
異なる記録品質に対応した複数の記録モードの中から前記記録モードの選択を受け付けることが可能であり、
複数の前記記録モードの中から、相対的に記録品質が高い所定の記録モードの選択を受け付けた場合に、前記第1記録制御を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 - 前記制御部は、前記画像データが表現する画像が、前記往路パスまたは前記復路パスによって記録される単位であるバンド同士の境界部に生じるバンディングが所定基準以上に目立ち易い第1種類の画像である場合に、前記第1記録制御を実行する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
- 前記制御部は、
前記画像データが表現する画像のうち、前記往路パスまたは前記復路パスによって記録される単位であるバンド同士の境界部に生じるバンディングが所定基準以上に目立ち易い第1領域については前記第1記録制御を実行し、
前記画像データが表現する画像のうち前記第1領域以外の第2領域については、前記往路パスおよび前記復路パスにより記録する第2記録制御を実行する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。 - 前記制御部は、前記媒体の前記一方側の送り量と前記媒体の前記他方側の送り量との差に応じて、前記第1記録制御における前記キャリッジの移動の加速度又は速度を調整する、ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の記録装置。
- 前記制御部は、
第1の前記往路パスにより、前記媒体の前記一方側の位置に第1パターンを記録するとともに前記媒体の前記他方側の位置に第2パターンを記録し、
第1の前記往路パスの後に前記搬送部に前記媒体を所定距離搬送させた上で、第2の前記往路パスにより、前記媒体の前記一方側の位置に第3パターンを記録するとともに前記媒体の前記他方側の位置に第4パターンを記録し、
さらに、第1の前記復路パスにより、前記媒体の前記他方側の位置に第5パターンを記録するとともに前記媒体の前記一方側の位置に第6パターンを記録し、
第1の前記復路パスの後に前記搬送部に前記媒体を前記所定距離搬送させた上で、第2の前記復路パスにより、前記媒体の前記他方側の位置に第7パターンを記録するとともに前記媒体の前記一方側の位置に第8パターンを記録し、
前記第1パターンから前記第8パターンまでの記録結果に基づいて、前記媒体の前記一方側の送り量と前記他方側の送り量との大小関係を表す情報を取得する、ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の記録装置。 - 媒体へ液体を吐出する複数のノズルが並ぶノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載し、主走査方向に沿う往復移動を実行するキャリッジと、
媒体を前記主走査方向に交差する搬送方向へ搬送する搬送部と、を備える記録装置による記録方法であって、
前記記録装置は、前記キャリッジによる前記主走査方向の一方側から他方側への移動である往路移動に伴い前記記録ヘッドに液体を吐出させる往路パスと、前記キャリッジによる前記他方側から前記一方側への移動である復路移動に伴い前記記録ヘッドに液体を吐出させる復路パスと、を実行可能であり、
画像データに基づいて前記媒体へ液体を吐出して画像を記録する記録工程を有し、
前記記録工程では、前記搬送に応じた前記媒体の前記一方側の送り量が前記媒体の前記他方側の送り量よりも小さければ、前記往路パスにより前記画像を記録し、前記搬送に応じた前記媒体の前記他方側の送り量が前記媒体の前記一方側の送り量よりも小さければ、前記復路パスにより前記画像を記録する、ことを特徴とする記録方法。
Priority Applications (2)
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JP2022017718A JP2023115489A (ja) | 2022-02-08 | 2022-02-08 | 記録装置および記録方法 |
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