JP2023115312A - ポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法 - Google Patents

ポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構造体の空洞全体にわたって効率的にポリウレタンフォームを充填させる。【解決手段】内部に空洞14を有し、かつ空洞14に連通する複数の注入孔15A,15Bが設けられる構造体10を用意し、複数の注入孔15A、15Bからポリウレタン組成物をスプレーガンにより空洞14に注入して、空洞14においてポリウレタン組成物を発泡させて、空洞14にポリウレタンフォームを充填させる。【選択図】図1

Description

本発明は、内部の空洞にポリウレタンフォームが充填されたポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法に関する。
建築分野においては、様々な構造体が使用され、例えば、樹脂成形体、金属枠材、セメントなどの金属以外の無機材料によって形成される成形体などが使用される。各構造体は、軽量化などのために、内部に空洞を有することが多いが、空洞の内部には、断熱材、難燃材などを充填することがある。断熱材、難燃材としては、ポリウレタンフォームが使用されることが知られている。
ポリウレタンフォームは、例えば特許文献1に示されるように、パネルに充填されるときには、ポリオール液剤とポリイソシアネート液剤とを混合したうえで、パネルの側面などに設けられた1つの注入孔から注入することが知られている。注入されたポリオール液剤とポリイソシアネート液剤の混合物(以下、「ポリウレタン組成物」ともいう)は、パネル内部の空洞にて反応かつ発泡させられ、ポリウレタンフォームとなる。
特開2002-331604号公報
ところで、建築物に使用される各種構造体の空洞は、細長の形状になったり、複雑な形状となったりすることがある。例えば、パネルは、窓などに対応して開口部が設けられたりすると、空洞の形状が複雑となる。また、パネルや板状部材は、強度確保のために、内部に隔壁が設けられたり、内部に細長の空洞を有するリブが設けられたりすることがある。
しかし、構造体内部の空洞の形状が細長になったり、複雑な形状になったりすると、ポリウレタン組成物は、空洞全体に行き渡る前に発泡して、空洞全体にポリウレタンフォームを充填することが難しい。
また、ポリウレタン組成物は、空洞全体に行き渡らせるために、長尺の空洞や複雑な形状の空洞の奥にホースを伸ばし、ホースを引き抜きながら注入させることも試みられている。しかし、この方法によると、ポリウレタン組成物の反応速度を遅くする必要がある。反応速度の遅いポリウレタン組成物の場合、製造時間も長くなるうえ、後工程として加熱装置を用いた加熱工程が必要となるため、作業性、実用性の面で不利となる。
そこで、本発明は、内部の空洞が細長であったり、複雑な形状であったりしても、空洞全体にわたって効率的にポリウレタンフォームを充填させることが可能なポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、ポリウレタンフォームが充填される構造体の空洞に連通する注入孔を複数個設け、かつスプレーガンを用いて各注入孔からポリウレタン組成物を注入することで上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の(1)~(7)を提供する。
(1)内部に空洞を有し、かつ前記空洞に連通する複数の注入孔が設けられる構造体を用意し、
前記複数の注入孔からポリウレタン組成物をスプレーガンにより前記空洞に注入して、前記空洞において前記ポリウレタン組成物を発泡させて、前記空洞にポリウレタンフォームを充填させる、ポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
(2)前記スプレーガンを備える混合噴射装置において、ポリオール液剤と、ポリイソシアネート液剤とを混合させ、混合させて得た前記ポリウレタン組成物を前記スプレーガンより放出させる上記(1)に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
(3)前記構造体が、内部に細長の空洞を有する上記(1)又は(2)に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
(4)前記ポリウレタン組成物を注入した後、注入孔を塞ぐ上記(1)~(3)のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
(5)前記ポリウレタン組成物のゲルタイムが15秒以下である上記(1)~(4)のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
(6)前記ポリウレタン組成物が難燃剤を含む上記(1)~(5)のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
(7)前記難燃剤が、赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む上記(6)に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
本発明では、内部の空洞が細長であったり、複雑な形状であったりしても、空洞全体にわたって効率的にポリウレタンフォームを充填させることが可能なポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法を提供する。
構造体の一例を示す斜視図である。 構造体の一例を示す斜視図である。 構造体の一例を示す斜視図である。 混合噴射装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明について、実施形態を参照に詳細に説明する。
本発明のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法は、内部に空洞を有し、その空洞に連通する複数の注入孔が設けられる構造体を用意し、その構造体にポリウレタン組成物を注入し、内部で発泡させて、空洞にポリウレタンフォームを充填させるものである。
[構造体]
本発明でポリウレタンフォームが充填される構造体は、内部に空洞を有するものが使用される。構造体は、特に限定されないが、建築物において使用される建築物用構造体であることが好ましい。構造体の空洞は、いかなる形状でもよいが、長尺の空洞であることが好ましく、より好ましくは細長の空洞である。また、複雑な形状を有する空洞であることも好ましい。本製造方法では、従来、ポリウレタンフォームを短時間で充填することが難しい細長の空洞や、複雑な形状の空洞を有する構造体であっても、短時間で良好な作業性でポリウレタンフォームを充填できる。
なお、長尺の空洞とは、断面寸法に対する長手方向の長さが、例えば2倍以上となるものである。また細長の空洞とは、断面寸法に対する長手方向の長さが5倍以上のものをいい、好ましくは10倍以上、より好ましくは30倍以上である。なお、断面寸法とは、空洞の横断面において最大長さとなる部分であり、例えば楕円ならば長径であり、矩形や方形ならば対角線の長さである。なお、断面形状の大きさ(すなわち、断面寸法)が長手方向に沿って変化する場合には、その変動する部分における最大の断面寸法を上記断面寸法とすればよい。
また、複雑な形状を有する空洞とは、長手方向に沿って断面形状が大きく(例えば、断面寸法が2倍以上)変動したり、また、空洞が分岐したり、空洞が曲がった形状を有したりする場合などをいう。
構造体に形成される注入孔は、構造体の内部に形成された1つの空洞に対して、2つ以上設けられるように形成されるとよい。すなわち、例えば、構造体の内部において、互いに連通しない2つ以上の空洞が設けられる場合には、各空洞に対して、2つ以上の注入孔が連通されるとよい。
注入孔が設けられる位置は、特に限定されないが、構造体の空洞が長尺や細長の形状を有する場合、注入孔は、構造体の長手方向に沿って2つ以上設けられるとよい。すなわち、複数の注入孔は、長手方向における位置が互いに異なるように配置されるとよい。これにより、空洞が長尺や細長であっても、空洞にポリウレタンフォームを充填しやすくなる。
また、少なくとも1つの注入孔が、長手方向において、中央部よりも一方の端部側に配置され、別の少なくとも1つの注入孔が、長手方向において、中央部よりも他方の端部側に配置されるとよい。このような構成により、長尺や細長の空洞に対して、より一層ポリウレタンフォームを充填しやすくなる。
また、空洞が複雑な形状を有する場合には、その複雑な形状に対してポリウレタンフォームが隙間なく充填できるように、注入孔の位置を適宜調整するとよい。
構造体の具体例としては、板状部材、枠材などが挙げられる。板状部材としては、パネル、フラットデッキなどが挙げられる。例えば、図1に示すパネル10は、パネルの主面を構成し、それらの間に空洞14を形成するように互いに離間して配置される主面材11A、11Bと、側面を構成し、空洞14を取り囲む側面材12A~12Dからなるものが挙げられる。パネル10は、主面材11の長さLが、例えば1つの側面の寸法(例えば、側面材12A、12Cの対角線の長さ)の2倍以上となる長尺物である。
図1に示すように、パネル10においては、例えば長手方向の端部である側面材12A、12Cそれぞれに注入孔15A、15Bが設けられるが、注入孔はその他の位置に配置されてもよい。
また、図2に示すパネル20は、開口部26を有するパネルであり、上記のように、主面材21A、21Bと、側面材22A~22Dに加えて、開口部26を構成するための開口部用面材23が設けられる。パネル20では、開口部26が例えば2つ設けられることで、空洞24は、側面材22B、22D近傍の中央部において三方に分岐され、また、角部において曲げられた複雑な形状を有する。注入孔は、空洞24全体に渡ってポリウレタンフォームが充填される位置に配置されればよく、例えば、面材21Aの中央部、及び各角部に注入孔25A~25Eが設けられるが、注入孔はこれら配置位置に限定されない。
図3は構造体が枠材である例を示す。枠材は、例えば、窓、扉などの建具における開口部を取り囲む枠体の一部または全部を構成する部材である。例えば、枠体は、一対の側枠部と、上枠部と、下枠部からなるが、枠材は、これら枠部の少なく一部を構成すればよい。
図3に示す枠材30は、内部に細長の空洞34を有する筒状部材31であり、例えば、枠材30の両端は、他の枠材に接続することで閉塞させるとよい。図3に示す枠材30は、断面四角形であるが、円形、三角形などの他の形状を有してもよい。枠材30には、空洞34に連通する注入孔が複数設けられる。例えば、図3に示すように、注入孔35A~35Eが長手方向に沿って複数並べられるとよい。図3の構成では、注入孔35A~35Eは、等間隔に配置されるが、等間隔以外でもよい。勿論、空洞34に連通する注入孔は2つ以上であればいくつでもよく、例えば注入孔を2つにして、筒状部材31の両端部それぞれの近傍のみに設けてもよい。
図1~3に示した構造体は、構造体の一例であって、上記例に限定されず、内部に空洞を有する限りいかなる構造を有してもよい。例えば、内部が複雑な形状を有する構造体としては、上記したパネル(例えば、図1に示すパネル10)の内部に真空断熱板を配置した構造体などが挙げられる。また、構造体は、例えば、金属サイディングの芯材を構成するパネルなどでもよい。
また、上記したパネル以外の板状部材としてフラットデッキなども挙げられる。フラットデッキは、例えば、鋼板などの金属板をロール成形などすることで得られる。フラットデッキは、床又は屋根構造において、例えば上面にコンクリートが打設されるための型枠材として使用される。
フラットデッキは、上面が平坦面とされたフラット部を有し、フラット部の下面に、複数の補強リブが突設されている。各補強リブは、内部に空洞がある突条であり、長手方向に沿って延在して配置され、長手方向における両端部が圧潰されて閉塞されている。各補強リブの空洞は、細長の空洞であり、かつ空洞の両端部は、圧潰されることで、長手方向に沿って断面形状が大きく変動する部材であり、複雑な形状を有する。フラットデッキの補強リブの断面形状は、内部に空洞が形成される限り特に限定されず、三角形、四角形などでもよいし、その他の形状でもよい。
フラットデッキにおいて、注入孔は1つの補強リブに対して複数設けられる限り特に限定されず、例えば各補強リブの両端部それぞれの近傍のみに設けられてよいし、各補強リブの長手方向に沿って複数個並べられてもよい。
[ポリウレタン組成物の注入方法]
上記構造体内部の各空洞には、複数の注入孔からスプレーガンにより、ポリウレタン組成物を注入する。ポリウレタン組成物は、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを含有し、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とが、構造体内部の空洞において反応することで、ポリウレタン樹脂が形成される。また、ポリウレタン組成物は、発泡剤を含有し、構造体の空洞内部において発泡剤によって発泡され、ポリウレタンフォームとなる。ポリウレタンフォームは、内部に多数の気泡を有し、優れた断熱性を有し、断熱材として使用可能である。また、ポリウレタンフォームは、後述するように、難燃剤を含有させ、難燃性、不燃性を高めることで、耐火材としても使用できる。さらに、構造体の芯材などとして使用してもよい。
ポリウレタン組成物の注入方法は、特に限定されないが、ポリオール成分を含むポリオール液剤と、ポリイソシアネート成分を含むポリイソシアネート液剤とを予め用意し、これらを混合し、その混合物(ポリウレタン組成物)をスプレーガンにより空洞に注入する方法が好ましい。
より具体的には、スプレーガンを備える混合噴射装置を使用して、混合噴射装置においてポリオール液剤と、ポリイソシアネート液剤とを混合して、その混合物をスプレーガンより放出させて、空洞に注入することが好ましい。
ポリウレタン組成物としては、室温(25℃)でも反応及び発泡が進行するものを使用するとよい。そのようなポリウレタン組成物を使用することで、ポリウレタン組成物を注入した後、加熱手段を用いて加熱などすることなく、室温付近に放置することでポリウレタンフォームが形成できる。
また、ポリウレタン組成物を注入した後、注入孔を塞ぐとよい。注入孔は、例えば、樹脂キャップ、ネジなど、注入孔に嵌め込み可能な閉塞部材によって塞ぐとよい。
図4は混合噴射装置の一実施形態を示す。図4に示す混合噴射装置60は、第1及び第2の容器61、62とスプレーガン68とを備える。スプレーガン68には、ポリオール液剤及びイソシアネート液剤が混合される混合部63が設けられる。第1の容器61にはポリオール液剤が、第2の容器62にはイソシアネート液剤が収納されている。第1及び第2の容器61、62には、それぞれ配管64A、64Bが連結されており、配管64A,64Bを介して、ポリオール液剤及びイソシアネート液剤が混合部63に移送される。
スプレーガン68は、特に限定されないが、スプレーガン68を手持ちできるようにするハンドルと、引き金などを備えるとよい。スプレーガン68には、圧縮空気やポリウレタン組成物が導入される経路に弁などが設けられる。引き金はその弁の開閉を操作するものであり、引き金を押すと弁が開けられ、内部で混合されて得られたポリウレタン組成物が圧縮空気により、スプレーガン68の先端から外部に放出される。
第1の容器61、62には、それぞれ開閉バルブ65A,65Bが取り付けられており、開閉バルブ65A、65Bを閉じることにより移送を中断できる。ポリオール液剤及びイソシアネート液剤は、エアーコンプレッサーなどの加圧手段67A,67Bからの圧縮空気により加圧されて混合部63に移送される。
混合部63で得られた混合物(ポリウレタン組成物)は、加圧手段67Cから供給された圧縮空気と共に、スプレーガン68から外部へ放出される。加圧手段67Cは圧縮空気をスプレーガン68に供給できるものならば限定されずエアーコンプレッサーなどが挙げられる。
ポリオール液剤及びイソシアネート液剤は、加圧されて移送されることで、混合部63において容易に混合することになるが、混合部63には、必要に応じてスタテックミキサなどの混合手段が設けられてもよい。混合部63によって混合されたポリオール液剤及びイソシアネート液剤の混合物(ポリウレタン組成物)は、加圧手段67Cから供給された圧縮空気と共に、スプレーガン68から外部へ放出される。
なお、混合噴射装置は、上記のような構成に限定されず、様々な変更が可能である。例えば、混合部63はスプレーガン68の内部に設けられたが、スプレーガン68とは別部材として設けられてもよい。
また、発泡剤は、典型的には後述するようにポリオール液剤に予め配合された状態で、第1の容器61に収納されているが、発泡剤は、二酸化炭素などの無機物理発泡剤の場合には、混合部でポリウレタン組成物に混合させてもよい。より具体的には、二酸化炭素供給装置などを設けて、二酸化炭素供給装置から供給された二酸化炭素を混合部において、ポリオール液剤と、ポリイソシアネート液剤とに混合させてもよい。
本発明では、上記のように、複数の注入孔から、ポリウレタン組成物を構造体内部の空洞に注入させる必要があるが、手持ち可能なスプレーガンを使用してポリウレタン組成物を空洞内に注入するので、高い作業性でポリウレタンフォームを空洞に充填させることが可能になる。また、ポリウレタン組成物として反応性が高く注入後すぐに発泡するものを使用しても、注入孔を複数設けることで、ポリウレタン組成物を空洞全体にわたって行き渡らせやすくなる。そのため、空洞が細長であったり、複雑な形状を有していたりしても、空洞全体にわたって効率的にポリウレタンフォームを充填させることが可能になる。
[ポリウレタン組成物]
本発明で使用するポリウレタン組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分と発泡剤とを含有する。ポリウレタン組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を反応させ、かつ発泡させることでポリウレタンフォームとなるものである。
[ポリオール成分]
ポリオール成分としては、例えば、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコールなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの水酸基含有化合物と、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネートなどとの脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
脂環族ポリオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロヘキシルメタンジオール、ジメチルジシクロヘキシルメタンジオール等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、ヒドロキシカルボン酸と上記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
ここで多塩基酸としては、具体的には、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸等の脂肪族系、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸などのフタル酸、トリメリット酸などの芳香族系が挙げられる。
ポリエステルポリオールにおいて使用する多価アルコールとしては、具体的には、2価のアルコール(ジオール)が好ましい。より具体的には、ビスフェノールAなどの芳香族系、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール、平均分子量が150~500のポリオキシエチレングリコールなどの脂肪族系等が挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する開始剤に、アルキレンオキサイド(以下、AOと略す)を開環付加重合させることで得られるものが挙げられる。AOとしては、炭素数2~6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2-プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3-プロピレオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも性状や反応性の観点から、PO、EOおよび1,2-ブチレンオキサイドが好ましく、POおよびEOがより好ましい。AOを二種以上使用する場合(例えば、POおよびEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
上記開始剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール類、 グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体等の四~八価のアルコール、フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1-ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8-テトラヒドロキシアントラセン、1-ヒドロキシピレン等のフェノール類、ひまし油ポリオール、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2~100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)が挙げられる。
また、開始剤としては、アミン類であってもよい。アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミンや、ジアミン類が挙げられる。ジアミン類としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミンなどのアルキレンジアミンなどの脂肪族アミン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、p-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、ナフタレンジアミンなどの芳香族アミンが挙げられる。
ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、およびポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。また、ポリエステルポリオールとしては、難燃性の観点から、芳香族系ポリエステルポリオールが好ましく、中でも、芳香族系多塩基酸と、脂肪族系多価アルコール、特に脂肪族系ジオールとから得られるポリエステルポリオールが好ましく、芳香族系多塩基酸としては、各種フタル酸がより好ましい。
[ポリイソシアネート成分]
ポリウレタンフォームを形成するポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2個以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系などの各種ポリイソシアネート化合物を用いることができる。好ましくは、取扱の容易さ、反応の速さ、得られるポリウレタンフォームの物理特性が優れていること、および低コストであることなどから、液状ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いる。液状MDIとしては、クルードMDI(ポリメリックMDIともいう)が挙げられる。液状MDIの具体的な市販品としては、「44V-10」,「44V-20」(住化コベストロウレタン株式会社製)、「ミリオネートMR-200」(日本ポリウレタン工業)などが挙げられる。また、ウレトンイミン含有MDI(例えば、市販品として「ミリオネートMTL」:日本ポリウレタン工業製)などでもよい。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよく、併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。
ポリウレタンフォーム(ポリウレタン組成物)におけるイソシアネート指数(NCO INDEX)は、特に限定されないが、40~600が好ましく、100~500がより好ましい。また、イソシアネート指数は、難燃性を向上させる観点からは、200以上にすることも好ましい。
ここで、イソシアネート指数とは、ポリウレタン組成物に含まれる全ての活性水素基(なお、発泡剤としての水は2官能活性水素化合物として計算)に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比を百分率で表したもの(活性水素基100当量に対するイソシアネート基の当量比)を意味する。
[発泡剤]
本発明のポリウレタン組成物は、上記のとおり発泡剤を含む。発泡剤としては、例えば、水、有機物理発泡剤、無機物理発泡剤などが挙げられる。
有機物理発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフロオロエタン、CHF3、CH、CHF等のフッ素化合物、ジイソプロピルエーテル等のエーテル化合物、などが挙げられる。
また、ハイドロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロオレフィン化合物なども挙げられる。ハイドロフルオロカーボン化合物としては、ジクロロモノフルオロエタン(例えばHCFC141b(1、1-ジクロロ-1-フルオロエタン))、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1、1-ジフルオロエタン)等の塩素原子を含有するものでもよいし、HFC-245fa(1、1、1、3、3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1、1、1、3、3-ペンタフルオロブタン)等でもよい。ハイドロフルオロオレフィン化合物としては、クロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、HFO-1233zd(E)(トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)などのクロロトリフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン等の塩素を含有するものでもよいし、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン等でもよい。
無機物理発泡剤としては、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機物理発泡剤等が挙げられる。
発泡剤としては、水、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィンから選択される少なくとも一種を使用することが好ましいが、これらのなかではハイドロフルオロオレフィンを使用することが好ましい。また、発泡剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。二種以上併用する場合には、例えば、有機物理発泡剤を2種以上併用してもよいし、水と有機物理発泡剤を併用してもよいし、その他の組み合わせでもよいが、好ましくは、ハイドロフルオロオレフィンと水を併用する。
ポリウレタン組成物における発泡剤の配合量は特に限定はないが、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.1~25質量部の範囲であることが好ましく、1~20質量部の範囲であることがより好ましく、3~17質量部の範囲であることが更に好ましく、5~14質量部の範囲であることが最も好ましい。発泡剤の配合量をこれら下限値以上とすることで、発泡が促進され、得られる成形体の密度を低減することができる。また、上限値以下とすることで、フォームのセルが破泡してポリウレタンフォームを形成できないなどの不具合を防止できる。
なお、ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の反応生成物であり、ウレタン樹脂100質量部とは、ポリウレタン組成物におけるポリイソシアネート成分とポリオール成分の合計100質量部を意味する。
[整泡剤]
ポリウレタン組成物は、さらに整泡剤を含有することが好ましい。整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。また、シリコーン整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとポリエチレングリコールのグラフト共重合体を含むものでもよい。
ポリウレタン組成物における整泡剤の配合量は、特に限定さないが、例えば、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.01~5質量部であることが好ましく、0.1~4.0質量部であることがより好ましく、0.5~3.0質量部であることが更に好ましい。
整泡剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
[触媒]
ポリウレタン組成物は、さらに触媒を含有することが好ましい。ポリウレタン組成物は、触媒として、例えばウレタン化触媒、三量化触媒、又はこの両方を含有するとよいが、両方を含有することが好ましい。
ウレタン化触媒は、ポリオール成分とポリイソシアネートとの反応を促進させる触媒である。具体的には、アミノ化合物、錫化合物、ビスマス化合物、アセチルアセトン金属塩が挙げられる。
前記アミノ化合物としては、例えば、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-メチル-N’,N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環中の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1-メチルイミダゾール、トリメチルアミノエチルピペラジン、トリプロピルアミン等が挙げられる。
また、錫化合物としては、例えば、オクチル酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。ビスマス化合物としては、ネオデカン酸ビスマス、オクチル酸ビスマスなどが挙げられる。
アセチルアセトン金属塩としては、例えば、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンベリリウム、アセチルアセトンクロム、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンモリブデン、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム等が挙げられる。
ウレタン樹脂硬化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
ポリウレタン組成物におけるウレタン樹脂硬化触媒の配合量に特に限定はないが、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.3~10質量部の範囲であることが好ましく、0.5~8質量部の範囲であることがより好ましく、1~5質量部の範囲であることが更に好ましい。上記範囲内とすることで、適度な反応速度で、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を促進でき、ゲルタイムを所望の範囲内に調整しやすくなる。
三量化触媒は、イソシアヌレート結合を形成する三量化を促進する触媒である。ポリウレタン樹脂は、三量化が促進されることで、ポリウレタンフォームの難燃性が向上する。
三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の芳香族化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩、2-エチルアジリジン等のアジリジン類、ナフテン酸鉛、オクチル酸鉛等の鉛化合物、ナトリウムメトキシド等のアルコラート化合物、カリウムフェノキシド等のフェノラート化合物、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用することができる。
三量化触媒は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
三量化触媒の配合量は特に限定されないが、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.5~12質量部の範囲であることが好ましく、1~9質量部の範囲であることがより好ましく、2~7質量部の範囲であることが更に好ましい。三量化触媒の量を上記範囲内とすることで、イソシアヌレート結合が適度に形成され、難燃性が向上する。
また、触媒の合計量は、ウレタンの硬化速度や難燃性を向上させる観点から、ウレタン樹脂100質量部に対して、0.5~15質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましく、1.5~8質量部がさらに好ましい。
[難燃剤]
ポリウレタンフォーム、すなわちポリウレタン組成物には、難燃剤を含有させることが好ましい。ポリウレタンフォームに含有される難燃剤は、赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤および金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。ポリウレタンフォームは、これら難燃剤を使用することで、ポリウレタンフォームの不燃性、難燃性を付与しやすくなる。
ポリウレタン組成物に配合される難燃剤は、難燃性、不燃性の観点からは赤リンを、取り扱い性の観点からはリン酸エステルを含むことが好ましく、難燃性、不燃性、取り扱い性の観点からは赤リンとリン酸エステルの両方を使用することがより好ましい。
また、赤リン、又は赤リンとリン酸エステルに加えて、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤および金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種を使用することがさらに好ましい。
(赤リン)
本発明に使用する赤リンに限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。赤リンは、赤リン単体で配合される必要はなく、適宜、表面処理などがされていてもよい。
ポリウレタンフォームにおける赤リンの配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、3.0~18質量部の範囲であることが好ましく、4.0~12質量部であることがより好ましい。赤リンの配合量を3.0質量部以上とすることで、ポリウレタンフォームの自己消火性が保持され、ポリウレタンフォームに不燃性を付与しやすくなる。また18質量部以下とすることでポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
(リン酸エステル)
上記リン酸エステルは特に限定されないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。モノリン酸エステルは、分子中にリン原子を1つ有する化合物である。
モノリン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
縮合リン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ-2,6-キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX-200)、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルを挙げられる。
市販の縮合リン酸エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR-733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR-741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(ADEKA社製、商品名アデカスタブPFR)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名FP-600、FP-700)等を挙げることができる。
上記の中でも、硬化前の組成物中の粘度の低下させる効果と初期の発熱量を低減させる効果が高いためモノリン酸エステルを使用することが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートを使用することがより好ましい。リン酸エステルは一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
リン酸エステルの配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~52質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~13質量部の範囲であることが最も好ましい。
前記リン酸エステルを1.5質量部以上とすることで、火災時にポリウレタンフォームから形成される緻密残渣が割れることを防止でき、52質量部以下とすることでポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。また、上記範囲内とすることで不燃性、難燃性を付与しやすくなる。
(リン酸塩含有難燃剤)
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、リン酸と、周期律表IA族~IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。
リン酸は特に限定はないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等の各種リン酸が挙げられる。
前記周期律表IA族~IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。前記脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。また前記芳香族アミンとして、ピリジン、トリアジン、メラミン、アンモニウム等が挙げられる。
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよい。
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、 リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩等が挙げられる。
またポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
これらの中でも、前記リン酸塩含有難燃剤の自己消火性が向上するため、モノリン酸塩を使用することが好ましく、リン酸二水素アンモニウムを使用することがより好ましい。
リン酸塩含有難燃剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
リン酸塩含有難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~52質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。
リン酸塩含有難燃剤の配合量が1.5質量部以上であると、ポリウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。また、52質量部以下とするとポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
(臭素含有難燃剤)
臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。
芳香族臭素化化合物の具体例としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー有機臭素化合物が挙げられる。
また、臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物、ポリ(臭素化ベンジルアクリレート)、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物、臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン、 架橋または非架橋臭素化ポリ(-メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
燃焼初期の発熱量を制御する観点から、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモベンゼン等が好ましく、ヘキサブロモベンゼンがより好ましい。
臭素含有難燃剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
本発明に使用する臭素含有難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~52質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。
臭素含有難燃剤の配合量を1.5質量部以上とすると、ポリウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。また52質量部以下とすると、ポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
(ホウ素含有難燃剤)
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。
酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。
具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
ホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましく、ホウ酸亜鉛であればより好ましい。
ホウ素含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
ホウ素含有難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~52質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。
ホウ素含有難燃剤を1.5質量部以上とすると、ポリウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。また52質量部以下とするとポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
(アンチモン含有難燃剤)
また本発明に使用するアンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
アンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
アンチモン含有難燃剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
アンチモン含有難燃剤の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~52質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。 アンチモン含有難燃剤の配合量を1.5質量部以上とすると、ポリウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。また52質量部以下とするとポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
(金属水酸化物)
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等が挙げられる。金属水酸化物は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することもできる。
金属水酸化物の配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、1.5~52質量部の範囲であることが好ましく、1.5~20質量部の範囲であることがより好ましく、2.0~15質量部の範囲であることが更に好ましく、2.0~10質量部の範囲であることが最も好ましい。 金属水酸化物の配合量を1.5質量部以上とすると、ポリウレタンフォームの自己消火性が保持され、耐火性が付与されやすくなる。また52質量部以下とするとポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
上記難燃剤の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記の(a)~(n)のいずれか等が挙げられ、これらの中では赤リンとリン酸エステルとを少なくとも含む組み合わせが好ましい。
(a)赤リンおよびリン酸エステル
(b)赤リンおよびリン酸塩含有難燃剤
(c)赤リンおよび臭素含有難燃剤
(d)赤リンおよびホウ素含有難燃剤
(e)赤リンおよびアンチモン含有難燃剤
(f)赤リンおよび金属水酸化物
(g)赤リン、リン酸エステルおよびリン酸塩含有難燃剤
(h)赤リン、リン酸エステルおよび臭素含有難燃剤
(i)赤リン、リン酸エステルおよびホウ素含有難燃剤
(j)赤リン、リン酸塩含有難燃剤および臭素含有難燃剤
(k)赤リン、リン酸塩含有難燃剤およびホウ素含有難燃剤
(l)赤リン、臭素含有難燃剤およびホウ素含有難燃剤
(m)赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤および臭素含有難燃剤
(n)赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤およびホウ素含有難燃剤
難燃剤の合計配合量は、ウレタン樹脂100質量部に対して、4.5~70質量部の範囲であることが好ましく、8~40質量部の範囲であることがより好ましく、10~30質量部の範囲であることが更に好ましく、12~25質量部の範囲であることが最も好ましい。
前記難燃剤の配合量を4.5質量部以上とすると、ポリウレタンフォームに不燃性を付与しやすくなる。また、火災時に、ポリウレタンフォームから形成される緻密残渣が割れることを防止できる。70質量部以下とすると、ポリウレタン組成物の発泡が難燃剤により阻害されにくくなる。
[無機充填材]
ポリウレタン組成物は、上記以外にも針状フィラーや、針状フィラー以外の無機充填材を含有してもよい。針状フィラーとしては、例えば、チタン酸カリウムウィスカー、マグネシウム含有ウィスカー、珪素含有ウィスカー、ウオラストナイト、セピオライト、ゾノライト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、スラグ繊維、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。上記した難燃剤に加えて、針状フィラーを配合することで、難燃性、不燃性等を向上させやすくなる。針状フィラーは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
ポリウレタン組成物における針状フィラーの配合量は、特に限定されないが、ウレタン樹脂100質量部に対して、3.0~30質量部の範囲であることが好ましく、3.0~20質量部の範囲であることがより好ましく、3.0~18質量部の範囲であることが更に好ましく、6.0~18質量部の範囲であることが最も好ましい。
針状フィラーの配合量を3.0質量部以上とすると、ポリウレタンフォームの燃焼後の形状が保持されやすくなり、また30質量部以下とすると、針状フィラーによってポリウレタンフォームの発泡が阻害されにくい。
上記針状フィラー以外の無機充填材としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、各種磁性粉、フライアッシュ等が挙げられる。
無機充填材は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を使用することができる。
[その他の添加剤]
ポリウレタン組成物は、上記以外の添加剤をさらに含有してもよく、例えば、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
本発明のポリウレタンフォームは、上記したように、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び発泡剤を含むポリウレタン組成物を得て、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させ、かつ発泡させることで製造するものである。この際、上記の通り、ポリオール成分を含むポリオール液剤と、ポリイソシアネート成分を含むポリイソシアネート液剤とを用意してこれらを混合して、ポリウレタン組成物を得るとよい。
ポリオール液剤は、典型的にはポリオール成分に加えて発泡剤を含む。また、ポリウレタン組成物に、発泡剤以外の成分が配合される場合には、ポリオール液剤にその成分を含有させることが好ましい。したがって、ポリオール液剤は、発泡剤以外にも、整泡剤、触媒、難燃剤、無機充填材、及びこれら以外のその他の添加剤から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
ポリオール成分は、発泡剤や各種添加剤に対する安定性が高く、ポリオール液剤に発泡剤や添加剤を配合しても、ポリウレタンフォームの原料が経時劣化することを防止できる。一方で、ポリイソシアネート液剤は、通常、ポリイソシアネート成分単体からなることが好ましいが、ポリイソシアネート成分が劣化しない限り適宜添加剤などが配合されていてもよい。
ポリオール液剤の20℃における粘度は、特に限定されないが、2000mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以下であることが好ましい。ポリオール液剤の粘度を上記上限値以下とすることで、ポリウレタン組成物の流動性も良好となり、ポリウレタンフォームを空洞全体に行き渡らせやすくなる。また、ポリオール液剤の粘度は、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは200mPa・s以上である。ポリオール液剤の粘度は、例えば使用するポリオール成分の分子量などにより適宜調整できる。なお、ポリオール液剤の粘度は、B型粘度計を使用し、温度20℃にて測定したものである。
ポリウレタン組成物のゲルタイムは、好ましくは15秒以下である。なお、ゲルタイムとは、ポリオール液剤とポリイソシアネート液剤とを10℃で混合した際にゲル化するまでの時間である。ゲルタイムが15秒以下となることで、ポリウレタン組成物を空洞に注入した後に、室温下でポリウレタン組成物を直ちに反応かつ発泡させることができる。そのため、高い作業性で空洞内部にポリウレタンフォームを充填することができる。ゲルタイムは、上記観点から10秒以下がより好ましい。
また、ゲルタイムは、空洞に注入する前に硬化することを防止する観点から、1秒以上が好ましく、3秒以上がさらに好ましい。
ポリウレタン組成物のゲルタイムを調整する方法は、特に限定されないが、ウレタン化触媒を使用し、配合量を適宜調整するとよい。また、分子量の小さいポリオール成分を使用したり、水酸基価の大きいポリオール成分を使用したりすることで、ゲルタイムを上記のように短くできる。
ポリウレタンフォームの密度は、特に限定されないが、20~200kg/mの範囲であることが好ましい。密度を200kg/m以下とすることで、ポリウレタンフォームが軽量となり、空洞内部にポリウレタンフォームが充填された構造体を建築物に施工しやすくなる。また、20kg/m以上とすることで、所望の難燃性、不燃性を発現しやすくなる。これら観点から、ポリウレタンフォームの密度は、25~100kg/mの範囲であることがより好ましく、30~80kg/mの範囲であることがさらに好ましい。ポリウレタンフォームの密度は、JIS K7222に準拠して測定できる。
得られるポリウレタンフォームは、難燃性、準不燃性、不燃性の少なくともいずれかを付与することもできる。より具体的には、ポリウレタンフォームは、ISO-5660の試験方法により準拠して、放射熱強度50kW/mにて加熱したときに、5分経過時の総発熱量が8MJ/m以下となるものが好ましく使用される。より好ましくは、10分経過時の総発熱量が8MJ/m以下となるものが使用され、20分経過時の総発熱量が8MJ/m以下となるものがさらに好ましく使用される。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
ポリウレタンフォームの物性及び性状の測定方法は、以下のとおりである。
[ゲルタイム]
10℃に温度調整したポリオール液剤とポリイソシアネート液剤を撹拌羽が8000回転/分で回転する撹拌機で1秒間撹拌混合し、発泡形成したポリウレタンフォームのゲルタイムを測定した。ゲルタイムは、攪拌開始から時間を測定し、発泡中のフォーム頭頂部にガラス棒を挿し込んだ際フォームが糸引きを開始した時間、又は挿し込めなくなった時間とした。
[総発熱量]
ポリウレタンフォームの耐火性は、以下の方法により評価した。ポリウレタンフォームを縦10cm、横10cmおよび厚み5cmに切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備した。コーンカロリーメーター試験用サンプル用いて、ISO-5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/mにて5、10、20分間加熱したときのコーンカロリーメーター試験による5、10、20分経過後の総発熱量を測定して耐火性を評価した。
[実施例1]
構造体としては、図3に示すような断面形状40mm×25mmの断面矩形で、長さ100cmの細長の空洞を有する断面四角筒状の枠材を用意した。枠材の両端は、別の枠材により塞ぐとともに、枠材に20cmおきに、空洞に連通する直径10mmの注入孔を形成した。注入孔は合計5個であった。
また、表1の配合に従って、ポリオール液剤を調製した。そして、スプレーガンを備える混合噴射装置(GRACO社製、製品名「H-25」)を用いて、ポリオール液剤とポリイソシアネート成分(ポリイソシアネート液剤)とを混合し、表1に示す配合を有するポリウレタン組成物を得て、ポリウレタン組成物を、スプレーガンより注入孔を介して空洞内部に注入した。空洞内部では、ポリウレタン組成物が反応かつ発泡して、ポリウレタンフォームとなった。なお、ポリオール液剤、及びポリイソシアネート成分は、混合噴射装置内部で40℃に維持された状態で混合されて、ポリウレタン組成物とされた。
各注入孔からは1~2秒間ポリウレタン組成物を空洞に注入した。ポリウレタン組成物を注入する孔は順次変更した。ポリウレタン組成物は、注入直後から発泡を開始し、全ての注入孔からのポリウレタン組成物の注入が終わると直ちに、空洞内部の全体にポリウレタンフォームが充填された。
[実施例2]
ポリオール液剤、ポリイソシアネート成分(ポリイソシアネート液剤)、及びポリウレタン組成物の配合を以下の表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。ポリウレタン組成物は、注入直後から発泡を開始し、全ての注入孔からのポリウレタン組成物の注入が終わると直ちに、空洞内部の全体にポリウレタンフォームが充填された。
表1、2における各成分は、以下のとおりである。
(ポリオール成分)
ポリオール成分1:p-フタル酸系ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRFK-505、水酸基価:250mgKOH/g、官能基数:2[一分子当たり])
ポリオール成分2:芳香族系ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRDK-133、水酸基価:315mgKOH/g、官能基数:2[一分子当たり])
(発泡剤)
発泡剤(水):水
発泡剤(HFO):1233zd(E)(ハネウェル社製、製品名:ソルスティスLBA)
(整泡剤)
整泡剤:ポリアルキレングリコール系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH-193)
(触媒)
触媒1:ウレタン化触媒、ペンタメチルジエチレントリアミン(東ソー社製、製品名:TOYOCAT-DT)
触媒2:三量化触媒、オクチル酸カリウム(Ele社製、製品名「ペルキャット9540」)
触媒3: 三量化触媒、東ソー社製、製品名:TOYOCAT-TR20
触媒4:ウレタン化触媒、1-メチルイミダゾール、花王株式会社製、製品名:Kao No.110
触媒5:ウレタン化触媒、オクチル酸ビスマス、日本化学産業株式会社製、製品名:PUCAT 25
(難燃剤)
TMCPP:トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名:TMCPP)
赤リン:燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140
ホウ酸亜鉛:リオティントミネラルズアジア社製、製品名:FireBrake ZB
(ポリイソシアネート成分)
ポリイソシアネート成分:ポリメリックMDI(製品名「スミジュール44V-20」、住化コベストロウレタン株式会社製)
[比較例1]
注入孔を枠材の一方の端部近傍のみに1つ形成した点を除いて実施例1と同様に実施いた。注入孔からポリウレタン組成物の注入を続けても、空洞全体にポリウレタンフォームが行き渡らず、空洞全体にポリウレタンフォームを充填できなかった。
10、20 パネル(構造体)
14、24、34 空洞
15A,15B,25A~25E,35A~35E 注入孔
30 枠材(構造体)
60 混合噴射装置
61 第1の容器
62 第2の容器
63 混合部
68 スプレーガン

Claims (7)

  1. 内部に空洞を有し、かつ前記空洞に連通する複数の注入孔が設けられる構造体を用意し、
    前記複数の注入孔からポリウレタン組成物をスプレーガンにより前記空洞に注入して、前記空洞において前記ポリウレタン組成物を発泡させて、前記空洞にポリウレタンフォームを充填させる、ポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
  2. 前記スプレーガンを備える混合噴射装置において、ポリオール液剤と、ポリイソシアネート液剤とを混合させ、混合させて得た前記ポリウレタン組成物を前記スプレーガンより放出させる請求項1に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
  3. 前記構造体が、内部に細長の空洞を有する請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
  4. 前記ポリウレタン組成物を注入した後、注入孔を塞ぐ請求項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
  5. 前記ポリウレタン組成物のゲルタイムが15秒以下である請求項1~4のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
  6. 前記ポリウレタン組成物が難燃剤を含む請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
  7. 前記難燃剤が、赤リン、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項6に記載のポリウレタンフォーム充填構造体の製造方法。
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