JP2023114329A - 複合シートの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シートの切断によって貫通孔を形成する際に発生するシートの切れ端による装置の汚染を防止し、貫通孔を有する複合シートを安定的に製造し得る技術を提供すること。【解決手段】本発明の複合シートの製造方法は、複合シート製造工程で製造された複合シート1における、貫通孔5の近傍に連接するシートの切れ端を切除する後処理工程を有する。前記後処理工程では、複合シート1の被処理面を、第1搬送ロール21及び第2搬送ロール22それぞれの周面に順次接触させつつ、複合シート1を搬送することで、複合シート1から前記切れ端を切除する。第2搬送ロール22を用いた後処理工程では、該ロール22を、複合シート1の搬送速度以上の周速度で回転させる。【選択図】図3

Description

本発明は、複数のシートが積層一体化された複合シートの製造技術に関する。
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の表面シートとして、複数のシートが重ね合わされた状態で接合部を介して接合され、該接合部に貫通孔を有する複合シートが従来使用されている。特許文献1には、前記複合シートの一種として、互いに積層された第1シート及び第2シートが部分的に熱融着されて熱融着部が形成され、該第1シートにおける該熱融着部以外の部分が該第2シート側とは反対側に突出した凸部を形成し、該熱融着部に複数の開孔が形成された立体シートが記載されている。前記開孔は、立体シートの形成材料である樹脂を加熱により溶融させることによって形成される。
また従来、シートの加工又は使用によって発生する繊維屑、紙粉、毛玉などを除去する技術が様々な技術分野で種々提案されている。
例えば特許文献2には、原料不織布に起毛加工を施して起毛不織布を製造する際に、起毛加工によって発生する原料不織布由来の繊維屑による装置の汚れを防止する目的で、起毛加工が施された原料不織布に除電処理を施した後、該原料不織布を、周面に凹凸を有する凹凸ロールの該周面に接触させつつ搬送させ、該原料不織布から脱落する繊維屑を吸引除去することが記載されている。
特許文献3には、用紙に付着している紙粉を除去する紙粉除去装置として、走行する用紙の表面に周面が接触するとともに、該用紙の走行速度に対して該周面の周速が速度差を有するように回転する紙粉除去ロールと、該紙粉除去ロールの周面に付着した紙粉を取り除く清掃手段とを備え、用紙の周面に付着している紙粉を該紙粉除去ロールで擦り取るとともに、該紙粉除去ロールの周面に付着した紙粉を、該清掃手段としての不織布によって拭い取るようにしたものが記載されている。
特許文献4には、毛布の表面に付着した毛玉の除去方法として、対象となる毛布を、吸引ボックス内に配置されたかき取りロールの周面に接触させつつ搬送させる方法が記載されている。
特開2006-175689号公報 特開2016-113723号公報 特開2010-52835号公報 特開昭62-6968号公報
重ね合わされた複数のシートどうしの接合部に貫通孔が形成された複合シートを製造する場合に、該貫通孔の形成方法として、特許文献1に記載されているような、シートの溶融による形成方法の他に、シートの物理的な切断による形成方法が考えられる。溶融による貫通孔の形成方法は、その適用範囲が、加熱により溶融するシートに制限されるが、切断による貫通孔の形成方法は、そのような制限は無く、より広い範囲に適用できるという利点がある。一方で、重ね合わされた複数のシートどうしの接合部を切断して貫通孔を形成すると、その切断によって生じたシートの切れ端が切断現場の周辺に飛散したり、あるいは、貫通孔の形成直後は複合シートから切れ端が切除されずに貫通孔の近傍などに残存し、その後の工程(例えば複合シートの巻き取り工程)でそれまで複合シートに残存していた切れ端が複合シートから剥がれて周囲に飛散したりする場合がある。このようなシートの切れ端の飛散は、複合シートの製造装置の汚染、故障を招き、複合シートの安定的な製造を妨げるおそれがある。
本発明の課題は、シートの切断によって貫通孔を形成する際に発生するシートの切れ端による装置の汚染を防止し、貫通孔を有する複合シートを安定的に製造し得る技術を提供することに関する。
本発明は、第1シートと第2シートとが重ね合わされた状態で複数の接合部を介して接合され、該接合部に貫通孔が形成された、複合シートの製造方法である。
本発明の複合シートの製造方法の一実施形態は、前記第1シートと前記第2シートとを重ね合わせて積層シートを得、該積層シートに前記接合部を形成して両シートを一体化するとともに、該接合部を切断して前記貫通孔を形成して複合シートを製造する複合シート製造工程と、
前記複合シート製造工程で製造された複合シートにおける、前記貫通孔の近傍に連接するシートの切れ端を切除する後処理工程とを有する。
本発明の複合シートの製造方法の一実施形態では、前記後処理工程は、第1の後処理工程と第2の後処理工程とを含み、
前記第1の後処理工程は、前記複合シートの被処理面を、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転する第1搬送ロールの該周面に接触させつつ、該複合シートを搬送することで、該複合シートから前記切れ端を切除し、
前記第2の後処理工程は、前記複合シートにおける前記第1搬送ロールとの接触面を、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転する第2搬送ロールの該周面に接触させつつ、該複合シートを搬送することで、該複合シートに残存する前記切れ端を切除する。
本発明の複合シートの製造方法の一実施形態は、前記第2の後処理工程では、前記第2搬送ロールを、前記複合シートの搬送速度以上の周速度で回転させる。
また本発明は、第1シートと第2シートとが重ね合わされた状態で複数の接合部を介して接合され、該接合部に貫通孔が形成された、複合シートの製造装置である。
本発明の複合シートの製造装置の一実施形態は、前記第1シートと前記第2シートとを重ね合わせてなる積層シートに前記接合部を形成する接合装置、及び該接合部を切断して前記貫通孔を形成する切断装置を含む、複合シート製造部と、
前記複合シート製造部で製造された複合シートにおける、前記貫通孔の近傍に連接するシートの切れ端を切除する後処理部とを備える。
本発明の複合シートの製造装置の一実施形態では、前記後処理部は、第1搬送ロールと、該第1搬送ロールよりも前記複合シートの搬送方向の下流側に配置された第2搬送ロールとを含み、両搬送ロールは、それぞれ、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転するようになされており、
前記後処理部では、前記複合シートの被処理面を、前記の各搬送ロールの前記周面に接触させつつ、該複合シートを搬送するようになされている。
本発明の複合シートの製造装置の一実施形態では、前記第2搬送ロールは、前記複合シートの搬送速度以上の周速度で回転する。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
本発明によれば、シートの切断によって貫通孔を形成する際に発生するシート切れ端の飛散による装置の汚染を防止し、貫通孔を有する複合シートを安定的に製造し得る、複合シートの製造方法及び製造装置が提供される。
図1は、本発明によって製造される複合シートの一実施形態の模式的な斜視図である。 図2は、図1に示す複合シートの第1シート側の面(凹凸面側)の模式的な平面図である。 図3は、本発明の複合シートの製造装置の一実施形態の概略図である。 図4は、図3に示す製造装置が備える第1賦形ロールの一部を拡大して模式的に示す斜視図である。 図5(a)は、図3に示す製造装置が備える接合・切断装置の先端部(超音波ホーンの先端部)の被加工物の搬送方向に沿う断面を模式的に示す断面図、図5(b)は、該先端部の先端面(超音波ホーンの振動印加面)の模式的な平面図である。 図6は、本発明によって製造される複合シートの一実施形態の製造時における貫通孔及びその周辺の写真であり、該貫通孔の近傍にシートの切れ端が連接された状態を示す。 図7は、図3に示す製造装置が備える後処理部の第1搬送ロールの周面の模式的な平面図である。 図8は、本発明に係る後処理工程で実施される、搬送ロールを用いた複合シートの後処理の様子を模式的に示す図であり、該搬送ロールの半径方向に沿う模式的な断面図である。 図9は、抱き角度の説明図である。 図10は、本発明の複合シートの製造装置の他の実施形態の概略図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
先ず、本発明の複合シートの製造方法又は製造装置により製造される複合シートについて説明する。図1及び図2には、前記複合シートの一実施形態である複合シート1が示されている。複合シート1は、第1シート2と第2シート3とが重ね合わされた状態で複数の接合部4を介して接合され、接合部4に貫通孔5が形成されたものである。
本実施形態では、接合部4は、互いに直交する二方向であるX方向及びY方向の双方において、複数間欠配置されている。また本実施形態では、第1シート2における接合部4以外の部分が、第2シート3側とは反対側に突出した凸部7を形成しており、複合シート1の第1シート2側の面は、接合部4に対応する凹部6と接合部4以外の部分に対応する凸部7とからなる凹凸形状を有している。凹部6(接合部4)及び凸部7は、それぞれ、千鳥状に配置されている。一方、第2シート3側の面は、凸部7が形成されておらず、実質的に平坦である。また本実施形態では、複数の接合部4それぞれに貫通孔5が1個形成されている。複数の貫通孔5は、それぞれ、接合部4に包囲されている。
前記「Y方向」は、複合シートの製造時における流れ方向、すなわち複合シート又はその原材料(例えば、第1シート、第2シート)若しくは中間品(例えば、第1シートと第2シートとの積層シート)の搬送方向MD(Machine Direction)に一致し、前記「X方向」は、搬送方向MDに直交する搬送直交方向CD(Cross machine Direction)に一致する。
本実施形態では、接合部4は、両シート2,3の融着により形成された融着部である。融着部である接合部4においては、両シート2,3の少なくとも一方を構成する熱可塑性樹脂が溶融固化していることによって両シート2,3が接合している。
なお本発明では、接合部4の形態は融着部に制限されず、例えば、接着剤による両シート2,3の接合部であり得る。すなわち接合部4は、両シート2,3の間に接着剤を塗布することにより形成されたものでもよい。
両シート2,3としては、例えば、不織布、織布、樹脂製フィルム等を用いることができ、複合シート1の用途等に応じて適宜選択し得る。両シート2,3として使用可能な不織布の具体例として、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布が挙げられる。また、両シート2,3の素材は特に制限されないが、接合部4を両シート2,3の融着により形成する場合、すなわち接合部4を融着部とする場合は、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。例えば、両シート2,3が不織布である場合、その不織布の構成繊維は熱可塑性樹脂からなるものが好ましい。熱可塑性樹脂としては、この種のシートの素材として従来使用されているものを特に制限なく用いることができる。
両シート2,3は、単層構造でもよく、1種又は2種以上の素材を積層した積層構造でもよい。また、両シート2,3は、互いに同種でもよく、異種でもよい。ここでいう「同種」とは、対比するシートどうしで、素材(構成繊維の種類、繊維径及び長さ)、製造工程、シートの厚み及び坪量がすべて同じである場合を意味する。これらのうちの1つでも異なる場合、その対比するシートどうしは互いに「異種」である。
本発明によって製造される複合シートは、貫通孔を有しているため、通気性、液の引き込み性に優れており、斯かる特長を活かして種々の用途に用いることができる。前記複合シートの用途として、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品の構成部材、清掃シート、対人用の化粧シート等が挙げられる。
本実施形態の複合シート1は、貫通孔5に加えて、第1シート2側の面が凹部6と凸部7とからなる凹凸形状を有しているため、該面の肌触りが良好で、且つ厚み方向と直交する面方向での液の拡散を適度に抑制し得る。そのため、肌触りの良さ、面方向での液拡散防止性が重視される吸収性物品の構成部材として特に有用であり、とりわけ、吸収性物品において着用者の肌と接触し得る部材である表面シートとして有用である。複合シート1が吸収性物品の表面シートとして用いられる場合、典型的には、凹凸形状を有する第1シート2側の面が、着用者の肌側に向けられる。
次に、本発明の複合シートの製造方法及び製造装置について説明する。図3には、本発明の複合シートの製造装置の一実施形態である製造装置10が示されている。製造装置10を用いた複合シートの製造方法では、前述の複合シート1を製造する。
製造装置10は、複合シート製造部11と、複合シート製造部11で製造された複合シート1に後処理を施す後処理部20とを備える。
複合シート製造部11は、第1シート2と第2シート3とを重ね合わせてなる積層シートに接合部4を形成する接合装置と、接合部4を切断して貫通孔5を形成する切断装置とを含む。前記積層シートでは、両シート2,3どうしは単に重ね合わされているだけで、互いに接合されておらず一体となっていない。
本実施形態では、複合シート製造部11は、図3に示すように、前記の接合装置及び切断装置の双方を兼ねる接合・切断装置15を備える。接合・切断装置15は、第1シート2と第2シート3とを重ね合わせてなる積層シートに超音波振動を印加して接合部4を形成するとともに、形成した接合部4を物理的に切断して貫通孔5を形成する装置であり、接合及び開孔を実質的に同時に行うことができる。
また本実施形態では、製造目的物である複合シート1が第1シート2側の面に凹凸形状を有していることに対応して、複合シート製造部11は、図3に示すように、接合・切断装置15よりも搬送方向MDの上流側に、第1シート2を凹凸形状に変形させる賦形装置12を含む。すなわち本実施形態の複合シート製造部11では、賦形装置12を用いて第1シート2を凹凸形状に変形させた後、その変形した第1シート2に第2シート3を重ね合わせて積層シートを得、該積層シートを接合・切断装置15に導入して接合部4及び貫通孔5を形成し、複合シート1を製造する。
賦形装置12は、図3に示すように、第1賦形ロール13及び第2賦形ロール14を備える。図示の形態では、第1賦形ロール13は、第2賦形ロール14に比べて径が大きい。両賦形ロール13,14は、周面に凹凸を有する凹凸ロールであり、一方の周面の凸部と他方の周面の凹部とが噛み合うように対向配置されている。
図4には、第1賦形ロール13の周面の一部が示されている。第1賦形ロール13は、複数の扁平な歯車130がそれらの回転軸を一致させて重ね合わされたもので、歯車130の積層体である。なお、図4に示す形態では、2枚の歯車130が重ね合わされているが、第1賦形ロール13を構成する歯車130の数は特に制限されない。
隣り合う歯車130,130の間には隙間Gが設けられている。これにより、被加工物(第1シート2)に無理な伸長力が加わる、両賦形ロール13,14の噛み合い部で被加工物が破断する等の不都合が一層効果的に防止され得る。
第1賦形ロール13の周面を構成する複数の歯車130それぞれの周面には、凸部131と凹部132と周方向に交互に配置されている。
凹部132の底部には吸引孔133が形成されている。吸引孔133は、ブロワ、真空ポンプなどの吸引源(図示せず)に通じており、該吸引源を作動させることで吸引孔133に吸引力が生じ、該吸引力によって被加工物を第1賦形ロール13の周面に固定することができる。賦形装置12では、両賦形ロール13,14の噛み合い部から両シート2,3の合流部までの間において、被加工物が第1賦形ロール13の周面側に固定されるように、吸引孔133による吸引が制御される。
第2賦形ロール14は、吸引孔133を有していない点以外は、第1賦形ロール13と基本的に同様に構成されている。第1賦形ロール13に関する説明は、吸引孔133に関する説明を除き、第2賦形ロール14にも適宜適用される。
賦形装置12では、図3に示すように、回転軸周りに回転する両賦形ロール13,14の噛み合い部に、実質的に凹凸形状を有しない扁平な第1シート2を導入することで、第1シート2を凹凸形状に変形させる。両賦形ロール13,14の噛み合い部に導入された第1シート2において、第1賦形ロール13の凹部132と第2賦形ロール14の凸部(図示せず)とで押圧された部分が、複合シート1の凸部7となる。第1賦形ロール13の周面における凹部132の配置パターン(位置及び平面視形状)は、製造目的物である複合シート1における凸部7の配置パターンに対応する。
接合・切断装置15は、被加工物(第1シート2と第2シート3とを重ね合わせてなる積層シート)に接合部4を形成する接合装置として、超音波ホーン16を含む超音波処理機構を備える。超音波ホーン16は、図5に示すように、その先端に被加工物と接触する振動印加面160を有する。前記超音波処理機構は、基本的に、公知の超音波融着機と同様に構成されており、超音波ホーン16以外に、例えば、超音波発振器、コンバーター、ブースター等を含んで構成されている。超音波ホーン16は、第1賦形ロール13の半径方向に移動可能に配置されており、超音波ホーン16を同方向に移動させることで、超音波ホーン16の先端の振動印加面160と、これに対向する第1賦形ロール13の凸部131の先端面との間のクリアランスを調整することができる。前記クリアランスは、被加工物に対する加圧力と密接に関係し、一般に、該クリアランスが小さいほど、被加工物に対する加圧力が大きくなる。
また、接合・切断装置15は、被加工物(前記積層シート)に形成した接合部4を切断して貫通孔5を形成する切断装置として、図5に示すように、超音波ホーン16の振動印加面160に設けられた搬送直交方向CDに延びる溝17を備える。
複合シート製造部11では、被加工物が超音波ホーン16の振動印加面160と第1賦形ロール13の周面との間を搬送方向MDに搬送されるところ、振動印加面160に搬送直交方向CDに延びる溝17が形成されていると、溝17を挟んで搬送方向MDの前後に存在する角部171を介して被加工物にせん断力が作用し、これにより被加工物の接合部4が切断されて貫通孔5が形成される。
本実施形態では、振動印加面160の搬送方向MDの中央部に、搬送直交方向CDに対して平行な1本の溝17が、振動印加面160の搬送直交方向CDの全長にわたって連続している。溝17の平面視形状、振動印加面160における位置及び配置数は、前述の被加工物に対するせん断力が生じることを条件として特に制限されない。例えば、溝17は、搬送直交方向CDに対して直交せずに交差する部分を有していてもよい。
溝17の深さD(図5(a)参照)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下である。
溝17の幅(搬送方向MDの長さ)W(図5(b)参照)は、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下である。
後処理部20は、前述の複合シート製造部11(賦形装置12、接合・切断装置15)よりも搬送方向MDの下流側に配置されており、複合シート製造部11で製造された帯状の複合シート1を、その長手方向を搬送方向MDとして搬送しつつ、複合シート1に後処理を施す。前記「後処理」は、貫通孔5の近傍に連接するシートの切れ端を切除する処理である。
図6には、本発明によって製造される複合シートの一実施形態の製造時における一方の面の写真が示されている。図6に示す複合シートは、前述の複合シート1と同様に、第1シート側の面が凹凸形状を有し、第2シート側の面が実質的に平坦であるところ、図6に示されているのは、この第2シート側の平坦面である。図6中、平面視略四角形形状の黒色部分が「貫通孔」であり、該貫通孔の搬送方向MDの上流側の端から搬送方向MDの上流側に符号L1で示す範囲にわたって延在する白色部分が「シートの切れ端」である。このシートの切れ端は、貫通孔の形成に伴って発生したものであり、貫通孔の形成位置に存在していた第1シート及び/又は第2シートの一部が、複合シートから切り離されずに残ったものである。後処理部20は、このシートの切れ端を複合シート1から切除する処理を実施する。
後処理部20は、図3に示すように、第1搬送ロール21と、第1搬送ロール21よりも搬送方向MDの下流側に配置された第2搬送ロール22とを含む。両搬送ロール21,22は、それぞれ、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転するようになされている。
後処理部20の複数の搬送ロール21,22は、それぞれ、駆動源(図示せず)と接続されており、駆動回転する。
本実施形態では、第1搬送ロール21の周面の凹凸は、図7に示すように、該ロール21の回転軸に沿って延びる溝200が該ロール21の周方向に複数間欠配置されることで形成されている。溝200は搬送直交方向CDに対して平行である。第1搬送ロール21の周面には、溝200に対応する凹部と溝200の非配置部に対応する凸部とが周方向に交互に形成されている。
本実施形態では、第2搬送ロール22の周面も、第1搬送ロール21の周面と同様に構成されており、溝200が該ロール22の周方向に複数間欠配置されている。
後処理部20では、図3に示すように、複合シート1の被処理面を、前記の各搬送ロール21,22の周面に接触させつつ、複合シート1を搬送するようになされている。本実施形態では、複合シート1の被処理面、すなわち図6に示す「シートの切れ端」が存在する面は、貫通孔5の形成時に溝17(前記切断装置)と接触する第2シート3側の面であり、第2シート3側の面を搬送ロール21,22に順次抱かせるようにして、複合シート1を搬送する。
図8には、第1搬送ロール21による複合シート1の後処理の様子が示されている。複合シート1の被処理面(第2シート3側の面)を第1搬送ロール21の周面に接触させつつ、複合シート1を搬送させることで、図中符号8で示すシートの切れ端が、該周面の溝200に引っ掛かり切除される。
第2搬送ロール22による後処理も、第1搬送ロール21による後処理と同様に実施される。第2搬送ロール22による後処理では、第1搬送ロール21による後処理の後に複合シート1に残存する切れ端8を切除する。
本発明では、後処理部の複数の搬送ロールそれぞれの周面の凹凸のパターン、具体的には例えば、凸部の高さ(凹部の深さ)、凸部又は凹部の平面視形状、凸部又は凹部の位置等は、凹凸を設ける目的(複合シートからの切れ端の切除)を達成し得るものであればよく、特に制限されない。例えば、図7に示すような、凹部(溝200)と凸部(溝200の非配置部)とが規則的に形成された凹凸パターンに代えて、不規則な凹凸パターンでもよい。また、後処理部の搬送ロールの周面の凹凸は、該周面の目視観察ではその存在を確認し難いような微小なものでも、該周面を手指で触れたときにざらざらとした触感を知覚でき、それによって凹凸の存在を確認できる程度であれば、前記後処理に使用し得る。本発明に係る後処理部の搬送ロールには、このような微小凹凸を周面に有する搬送ロールが包含される。ただし、複合シートからシートの切れ端を確実に切除する観点からは、後処理部の複数の搬送ロールそれぞれの周面の凹凸は、図7に示すような、凹部(溝200)と凸部(溝200の非配置部)とが搬送ロールの周方向に交互に配置された規則的なパターンを有するものが好ましい。
複合シートからシートの切れ端を効率よく切除する観点から、後処理部20の複数の搬送ロール21,22それぞれの周面の溝200の該搬送ロールの周方向の長さ(幅)L2(図7及び図8参照)は、シートの切れ端の同方向の長さL1(図6及び図8参照)と同じか、又は長さL1に比べて長いことが好ましい。
シートの切れ端の長さL1と溝200の幅L2との比率は、長さL1≦幅L2を前提として、長さL1/幅L2として、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、そして、好ましくは1以下、より好ましくは0.8以下である。
溝200の幅L2は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、そして、好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下である。
製造装置10の主たる特徴の1つとして、後処理部20において、第2搬送ロール22が、複合シートの搬送速度以上の周速度で回転する点が挙げられる。
本発明者の知見によれば、複合シートの搬送時にこれと接触する搬送ロールによる、複合シートからのシートの切れ端の切除の程度は、シートの切れ端が存在する複合シートの被処理面と搬送ロールとの接触機会(接触回数、接触時間)及び接触圧力と密接に関係し、該接触機会が多いほど、また、該接触圧力が大きいほど、シートの切れ端が切除されやすくなる。そこで本発明では、第1搬送ロール21よりも搬送方向MDの下流側に配置された第2搬送ロール22の周速度(回転速度)を複合シートの搬送速度と同等以上とすることで、複合シートと搬送ロール21,22との接触機会及び/又は接触圧力を増加させて、シートの切れ端の切除効率の向上を図っている。つまり製造装置10では、複合シートからのシートの切れ端の切除は主に第1搬送ロール21で行い、第2搬送ロール22の主な役割は、第1搬送ロール21による切れ端の切除効率を高めることにある。尤も、第2搬送ロール22でも、複合シートからのシートの切れ端の切除が行われ、第1搬送ロール21では切除できなかったシートの切れ端を切除する。
このように貫通孔5の形成に伴って発生するシートの切れ端を後処理部20で効率よく切除することで、その後の工程で切れ端が複合シートから剥がれて周囲に飛散して製造装置10を汚染する不都合が防止され、複合シートを安定的に製造することができる。
第2搬送ロール22の周速度V2と複合シート1の搬送速度V0との比率は、V2≧V0を前提として、V2/V0として、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、好ましくは11以下、より好ましくは4以下である。
第2搬送ロール22の周速度V2は、複合シート1の搬送速度V0以上であることを前提として、好ましくは100m/分以上、より好ましくは500m/分以上、そして、好ましくは1100m/分以下、より好ましくは900m/分以下である。
複合シート1の搬送速度V0は、第2搬送ロール22の周速度V2以下であることを前提として、好ましくは50m/分以上、より好ましくは100m/分以上、そして、好ましくは400m/分以下、より好ましくは300m/分以下である。
本発明では、後処理部20の複数の搬送ロールの回転方向は特に制限されず、互いに同じでも異なっていてもよく、また、複合シートの搬送方向と同方向でも逆方向でもよいが、複合シートからシートの切れ端を効率よく切除する観点から、第1搬送ロール21は、複合シートの搬送方向MDとは逆方向に回転し、第2搬送ロール22は、搬送方向MDと同方向に回転することが好ましい。本実施形態は斯かる好ましい形態であり、図3に示すように、第1搬送ロール21の回転方向R1は、複合シート1の搬送方向MDと逆方向であり、第2搬送ロール22の回転方向R2は、搬送方向MDと同方向である。斯かる好ましい形態によれば、複合シートにおける第2搬送ロール22よりも搬送方向MDの上流側を搬送中の部分の搬送テンションが増加し、それによって複合シートと第1搬送ロール21との接触機会及び接触圧力が増加するので、シートの切れ端の切除効率の一層の向上が期待できる。
第2搬送ロール22の複合シートに対する抱き角度は、第1搬送ロール21の複合シート1に対する抱き角度と同じか又はそれよりも大きいことが好ましい。このように、第1搬送ロール21よりも搬送方向MDの下流側に配置された第2搬送ロール22の複合シートに対する抱き角度を、第1搬送ロール21のそれと同等以上とすることで、第2搬送ロール22による複合シートの引張力が向上して複合シートの搬送テンションが大きくなり、それによって複合シートと各搬送ロール21,22との接触圧力が高まるため、複合シートに連接するシートの切れ端の切除効率が一層向上し得る。特に前述したように、第1搬送ロール21を搬送方向MDとは逆方向に回転させ、且つ第2搬送ロール22を搬送方向MDと同方向に回転させるとともに、両搬送ロール21,22の抱き角度について前記の大小関係を成立させることで、複合シートからのシートの切れ端の切除効率がより一層確実に向上し得る。
前記「抱き角度」は、図9に示す如き、第1搬送ロール21の軸心21Cと直交する方向での断面視において、被搬送物である複合シート1の搬送ロール21の周面との接触開始点と軸心21Cとを結ぶ仮想直線VL1と、複合シート1の搬送ロール21の周面との接触終点と軸心21Cとを結ぶ仮想直線VL2とのなす角度θである。斯かる抱き角度の説明は、第2搬送ロール22にも適用される。
第2搬送ロール22の複合シートに対する抱き角度をθ2、第1搬送ロール21の複合シートに対する抱き角度をθ1とした場合、両者の比率は、前記のとおりθ2≧θ1を前提として、θ2/θ1として、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
抱き角度θ2は、抱き角度θ1以上であることを前提として、好ましくは22.5度以上、より好ましくは45度以上、そして、好ましくは270度以下、より好ましくは180度以下である。
抱き角度θ1は、抱き角度θ2以下であることを前提として、好ましくは22.5度以上、より好ましくは45度以上、そして、好ましくは270度以下、より好ましくは180度以下である。
本実施形態では、製造装置10は、後処理部20(搬送ロール21,22)で切除されたシートの切れ端を吸引除去する吸引除去手段を備える。これにより、複合シートから切除された切れ端による製造装置10の汚染、故障が一層確実に防止される。
より具体的には、本実施形態では図3に示すように、後処理部20は、樹脂、金属等の非通気性壁材によって画成された単一の空間内であるフード24の内部に配置され、前記吸引除去手段が、後処理部20で切除されたシートの切れ端をフード24の内部から吸引除去するようにされている。前記吸引除去手段は、吸引源(図示せず)と、該吸引源及びフード24の内部の双方に連通するダクト25とを含み、該吸引源を作動させることで、フード24の内部の複合シートから切除されたシートの切れ端をダクト25に集めて回収する。前記吸引除去手段としては、空間に飛散するシート片を吸引可能な公知の手段を適宜用いることができる。
図3に示す形態では、後処理部20の複数の搬送ロール21,22が非通気性壁材によって画成された単一の空間内に配置されているが、本発明では、後処理部20の複数の搬送ロール21,22はそれぞれ個別に非通気性壁材によって画成された空間内に配置されていてもよい。すなわち後処理部20は、内部に第1搬送ロール21が配置される第1のフードと、内部に第2搬送ロール22が配置される第2のフードとを備え、両フードの内部それぞれにおいて、吸引除去手段によって、切除されたシートの切れ端を該フードの内部から吸引除去するようにされていてもよい。
次に、本発明の複合シートの製造方法について、前述した製造装置10を用いて、複合シート1を製造する場合を例にとって説明する。製造目的物である複合シート1は、図1及び図2に示すように、第1シート2における接合部4以外の部分の少なくとも一部が第2シート3側とは反対側に突出した、凸部7を有する凹凸シートである。
本発明の複合シートの製造方法は、図3に示すように、複合シート1を製造する工程(複合シート製造工程)と、該工程で製造された複合シート1における、貫通孔5の近傍に連接するシートの切れ端を切除する後処理工程とを有する。
前記複合シート製造工程では、第1シート2と第2シート3とを重ね合わせて積層シートを得、該積層シートに接合部4を形成して両シート2,3を一体化するとともに、接合部4を切断して貫通孔5を形成して複合シート1を製造する。
本実施形態の製造方法は、前記複合シート製造工程の前に、第1シート2を凹凸形状に変形させる賦形工程を有し、該複合シート製造工程では、該賦形工程で凹凸形状に変形させた第1シート2を用いて前記積層シートを製造する。
具体的には、前記賦形工程では、図3に示すように、周面に凹凸を有する第1賦形ロール13及び第2賦形ロール14をそれぞれ回転軸周りに回転させ、両賦形ロール13,14の噛み合い部に、扁平な帯状の第1シート2をその長手方向を導入方向として導入することで、第1シート2に凹部6と凸部7とからなる凹凸形状を付与する。
前記賦形工程で凹凸形状に変形された第1シート2は、第1賦形ロール13の周面に吸引保持された状態で、該ロール13の回転によって、第2シート3との合流位置まで搬送される。そして、前記複合シート製造工程では、所定の合流位置にて、第1賦形ロール13の周面に吸引保持された状態で搬送中の第1シート2の上に扁平な帯状の第2シート3を重ね合わせて積層シートを得、該積層シートを該ロール13の回転によって搬送しつつ、接合・切断装置15が備える超音波ホーン16の先端の振動印加面160(図5参照)と該ロール13の周面との間に挟んで、振動印加面160により該積層シートに対して超音波振動を印加する。これにより、前記積層シートにおける、振動印加面160と前記ロール13の周面の凸部131(図4参照)の先端面とで挟まれた部分が発熱して溶融し、再度固化することで、融着部である接合部4が形成される。また、こうして形成された接合部4が、振動印加面160に設けられた搬送直交方向CDに延びる溝17と接触しつつ搬送方向MDに搬送されることで、接合部4にせん断力が作用して接合部4が物理的に切断され、貫通孔5が形成される。
このような接合・切断装置15による複合シート製造工程を経て製造された帯状の複合シート1は、第2シート3側の面における貫通孔5の近傍に、不要部分であるシートの切れ端(図6参照)を有している。
前記複合シート製造工程に続いて実施される後処理工程は、第1の後処理工程と第2の後処理工程とを含む。
まず、第1の後処理工程では、図3に示すように、複合シート1の被処理面である第2シート3側の面を、第1搬送ロール21の周面に接触させつつ、複合シート1を搬送する。これにより、貫通孔5の形成に伴って貫通孔5の近傍に形成されたシートの切れ端が、第1搬送ロール21の周面の溝200に引っ掛かることで切除される(図8参照)。続いて行われる第2の後処理工程では、複合シート1における第1搬送ロール21との接触面(第2シート3側の面)を第2搬送ロール22の周面に接触させつつ、複合シート1を搬送することで、複合シート1に残存する切れ端を切除する。
前記後処理工程の主たる特徴の1つは、第2の後処理工程において、第2搬送ロール22を、複合シート1の搬送速度以上の周速度で回転させる点にある。これにより前述したとおり、複合シート1の被処理面と各搬送ロール21,22との接触機会が増加するので、複合シート1の被処理面に存在するシートの切れ端を効率よく切除することができる。このように製造装置10の所定箇所で複合シート1の不要部分であるシートの切れ端を効率よく切除することで、その後の複合シート1の巻き取り工程などでシートの切れ端が剥がれて周囲に飛散して製造装置10を汚染する等の不都合が防止され、複合シート1を安定的に製造することが可能となる。
特に本実施形態の製造方法では、図3に示すように、前記第1の後処理工程では、第1搬送ロール21を、複合シート1の搬送方向MDとは逆方向である回転方向R1に回転させ、前記第2の後処理工程では、第2搬送ロール22を、搬送方向MDと同方向である回転方向R2に回転させるため、複合シート1の搬送テンションが比較的大きなものとなり、これにより、複合シート1と各搬送ロール21,22との接触機会が比較的多くなり、また、両者の接触圧力が比較的大きくなるため、複合シート1からシートの切れ端を一層効率よく切除することが可能となり、本発明の所定の効果が一層確実に奏される。
また前述したように、第2搬送ロール22の複合シート1に対する抱き角度(図9参照)を、第1搬送ロール21の複合シート1に対する抱き角度と同じか又はそれよりも大きくすることで、複合シート1に連接するシートの切れ端の切除効率が一層向上し、本発明の所定の効果が一層確実に奏される。
また本実施形態の製造方法は、前記後処理工程で複合シート1から切除されたシートの切れ端を、該後処理工程の実施空間から吸引除去する吸引除去工程を有するため、シートの切れ端による製造装置10の汚染、故障が一層確実に防止される。前記後処理工程の実施空間は、図3に示すように、非通気性壁材によって画成された単一の空間内であるフード24の内部である。
図10には、本発明の他の実施形態が示されている。後述する他の実施形態については、前記実施形態(製造装置10及びそれを用いた複合シート1の製造方法)と異なる構成を主に説明し、同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。後述する実施形態において特に説明しない構成は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
図10に示す製造装置10Aにおいては、後処理部20は、前述の第1搬送ロール21及び第2搬送ロール22に加えて更に、第2搬送ロール22よりも複合シート1の搬送方向MDの下流側に、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転する第3搬送ロール23を含む。第3搬送ロール23は、両搬送ロール21,22と同様に構成されている(図7及び図8参照)。そして、製造装置10Aにおいては、第3搬送ロール23は、複合シート1の搬送方向MDと同方向に、第2搬送ロール22の周速度以上の周速度で回転する。
製造装置10Aを用いた複合シート1の製造方法では、前述したとおり、帯状の複合シート1の被処理面(第2シート3側の面)を、第1搬送ロール21及び第2搬送ロール22それぞれの周面に順次接触させつつ、複合シート1を搬送した後、更に、複合シート1における第2搬送ロール22との接触面を第3搬送ロール23の周面に接触させつつ、複合シート1を搬送し、複合シート1に残存するシートの切れ端を切除する(第3の後処理工程)。そして、前記第3の後処理工程では、第3搬送ロール23を、複合シート1の搬送方向MDと同方向である回転方向R3に、複合シート1の搬送速度以上の周速度で回転させるため、複合シート1における第3搬送ロール23よりも搬送方向MDの上流側を搬送中の部分の搬送テンションが大きくなり、それによって複合シートと第1搬送ロール21及び第2搬送ロール22それぞれとの接触圧力が増加するので、複合シート1からシートの切れ端を効率よく切除することができる。つまり製造装置10Aでは、複合シートからのシートの切れ端の切除は主に両ロール21,22で行い、第3搬送ロール23の主な役割は、両ロール21,22による切れ端の切除効率を高めることにある。
本発明の所定の効果を一層確実に奏させるようにする観点から、製造装置10Aを用いた複合シート1の製造方法においても前述したとおり、図10に示すように、前記第1の後処理工程では、第1搬送ロール21を、複合シート1の搬送方向MDとは逆方向に回転させ、前記第2の後処理工程では、第2搬送ロール22を、搬送方向MDと同方向に回転させることが好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、前述の一の実施形態が具備する構成は、他の実施形態に適用することが可能である。
例えば複合シート1の製造方法は、複合シート製造工程の前に、第1シートを凹凸形状に変形させる賦形工程を有していたが、該賦形工程は無くてもよく、本発明は、凹凸形状を有しない複合シートにも適用できる。
また、複合シート1の製造方法の賦形工程では、対向配置された2個の賦形ロール13,14を用いて第1シート2を凹凸形状に変形させたが、第1賦形ロール13のみを用いて賦形工程を行うこともできる。その場合、第1賦形ロール13の周面に第1シート2を導入するだけで、該周面に配された吸引孔133(図4参照)による吸引力によって、第1シート2が該周面の凹凸の形状に追従するように変形し得る。このような、第1賦形ロール13の周面での吸引による第1シート2の追従・変形は、吸引力や吸引孔133の配置などを適宜調整することで実現可能である。
また、複合シート1の製造方法では、接合部4の形成手段として、超音波処理による熱融着を用いたが、接合部4の形成手段はこれに制限されず、例えば、加熱による熱融着を用いることもできる。
また、複合シート1の製造方法では、貫通孔5の形成手段として、超音波ホーン16の振動印加面160に設けた搬送直交方向CDに延びる溝17を用いたが、貫通孔5の形成手段はこれに制限されず、例えば、カッター等の切断手段を用いることもできる。
また、複合シート1の製造方法では、被加工物(前記積層シート)に接合部4を形成する接合装置と該被加工物に貫通孔5を形成する切断装置とを兼ね備えた接合・切断装置を用い、接合部4の形成と貫通孔5の形成を実質的に同時に実施したが、これに代えて、該接合装置と該切断装置とが搬送方向MDに所定距離を置いて配置された複合シートの製造装置を用い、該接合装置による接合部4の形成を実施した後、被加工物を該切断装置に搬送して貫通孔5の形成を実施してもよい。
1 複合シート
2 第1シート
3 第2シート
4 接合部
5 貫通孔
6 凹部
7 凸部
8 シートの切れ端
10,10A複合シートの製造装置
11 複合シート製造部
12 賦形装置
13 第1賦形ロール
14 第2賦形ロール
15 接合・切断装置
16 超音波ホーン
160 振動印加面
17 溝
20 後処理部
200 溝
21 第1搬送ロール
22 第2搬送ロール
23 第3搬送ロール
24 フード
25 ダクト

Claims (16)

  1. 第1シートと第2シートとが重ね合わされた状態で複数の接合部を介して接合され、該接合部に貫通孔が形成された、複合シートの製造方法であって、
    前記第1シートと前記第2シートとを重ね合わせて積層シートを得、該積層シートに前記接合部を形成して両シートを一体化するとともに、該接合部を切断して前記貫通孔を形成して複合シートを製造する複合シート製造工程と、
    前記複合シート製造工程で製造された複合シートにおける、前記貫通孔の近傍に連接するシートの切れ端を切除する後処理工程とを有し、
    前記後処理工程は、第1の後処理工程と第2の後処理工程とを含み、
    前記第1の後処理工程は、前記複合シートの被処理面を、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転する第1搬送ロールの該周面に接触させつつ、該複合シートを搬送することで、該複合シートから前記切れ端を切除し、
    前記第2の後処理工程は、前記複合シートにおける前記第1搬送ロールとの接触面を、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転する第2搬送ロールの該周面に接触させつつ、該複合シートを搬送することで、該複合シートに残存する前記切れ端を切除し、
    前記第2の後処理工程では、前記第2搬送ロールを、前記複合シートの搬送速度以上の周速度で回転させる、複合シートの製造方法。
  2. 前記第1の後処理工程では、前記第1搬送ロールを、前記複合シートの搬送方向とは逆方向に回転させ、前記第2の後処理工程では、前記第2搬送ロールを、該搬送方向と同方向に回転させる、請求項1に記載の複合シートの製造方法。
  3. 前記第2搬送ロールの前記複合シートに対する抱き角度は、前記第1搬送ロールの該複合シートに対する抱き角度と同じか又はそれよりも大きい、請求項1又は2に記載の複合シートの製造方法。
  4. 前記複合シートにおける前記第2搬送ロールとの接触面を、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転する第3搬送ロールの該周面に接触させつつ、該複合シートを搬送し、該複合シートに残存する前記切れ端を切除する第3の後処理工程を有し、
    前記第3の後処理工程では、前記第3搬送ロールを、前記複合シートの搬送方向と同方向に、前記第2搬送ロールの周速度以上の周速度で回転させる、請求項1~3の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
  5. 前記後処理工程で用いる前記の各搬送ロールの周面の前記凹凸は、当該搬送ロールの回転軸に沿って延びる溝が当該搬送ロールの周方向に複数間欠配置されることで形成されており、
    前記溝の前記周方向の長さは、前記切れ端の同方向の長さと同じか又はそれに比べて長い、請求項1~4の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
  6. 前記後処理工程で切除された前記切れ端を、該後処理工程の実施空間から吸引除去する吸引除去工程を有する、請求項1~5の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
  7. 前記後処理工程を、非通気性壁材によって画成された単一の空間内で実施するとともに、前記吸引除去工程を該単一の空間内で実施する、請求項6に記載の複合シートの製造方法。
  8. 前記複合シートは、前記第1シートにおける前記接合部以外の部分の少なくとも一部が前記第2シート側とは反対側に突出した、凸部を有し、
    前記複合シート製造工程の前に、前記第1シートを凹凸形状に変形させる賦形工程を有し、該複合シート製造工程では、該賦形工程で凹凸形状に変形させた前記第1シートを用いて前記積層シートを製造する、請求項1~7の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
  9. 第1シートと第2シートとが重ね合わされた状態で複数の接合部を介して接合され、該接合部に貫通孔が形成された、複合シートの製造装置であって、
    前記第1シートと前記第2シートとを重ね合わせてなる積層シートに前記接合部を形成する接合装置、及び該接合部を切断して前記貫通孔を形成する切断装置を含む、複合シート製造部と、
    前記複合シート製造部で製造された複合シートにおける、前記貫通孔の近傍に連接するシートの切れ端を切除する後処理部とを備え、
    前記後処理部は、第1搬送ロールと、該第1搬送ロールよりも前記複合シートの搬送方向の下流側に配置された第2搬送ロールとを含み、両搬送ロールは、それぞれ、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転するようになされており、
    前記後処理部では、前記複合シートの被処理面を、前記の各搬送ロールの前記周面に接触させつつ、該複合シートを搬送するようになされており、
    前記第2搬送ロールは、前記複合シートの搬送速度以上の周速度で回転する、複合シートの製造装置。
  10. 前記第1搬送ロールは、前記複合シートの搬送方向とは逆方向に回転し、前記第2搬送ロールは、該搬送方向と同方向に回転する、請求項9に記載の複合シートの製造装置。
  11. 前記第2搬送ロールの前記複合シートに対する抱き角度は、前記第1搬送ロールの該複合シートに対する抱き角度と同じか又はそれよりも大きい、請求項9又は10に記載の複合シートの製造装置。
  12. 前記後処理部は、前記第2搬送ロールよりも前記複合シートの搬送方向の下流側に、周面に凹凸を有し且つ回転軸周りに回転する第3搬送ロールを含み、
    前記第3搬送ロールは、前記複合シートの搬送方向と同方向に、前記第2搬送ロールの周速度以上の周速度で回転する、請求項9~11の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
  13. 前記後処理部が備える前記の各搬送ロールの周面の前記凹凸は、当該搬送ロールの回転軸に沿って延びる溝が当該搬送ロールの周方向に複数間欠配置されることで形成されており、
    前記溝の前記周方向の長さは、前記切れ端の同方向の長さと同じか又はそれに比べて長い、請求項9~12の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
  14. 前記後処理部で切除された前記切れ端を吸引除去する吸引除去手段を備える、請求項9~13の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
  15. 前記後処理部は、非通気性壁材によって画成された単一の空間内に配置され、前記吸引除去手段は、該後処理部で切除された前記切れ端を該単一の空間から吸引除去する、請求項14に記載の複合シートの製造装置。
  16. 前記複合シート製造部は、前記接合装置よりも前記第1シートの搬送方向の上流側に、該第1シートを凹凸形状に変形させる賦形装置を含み、該賦形装置によって凹凸形状に変形させた該第1シートを用いて前記積層シートを製造する、請求項9~15の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
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