JP2023113375A - 二相ステンレス形鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Fumitaka Ichikawa
利行 奥井
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Abstract

【課題】研磨を施した際に研磨むらの発生を抑制することのできる省合金型二相ステンレス形鋼およびその製造方法を提供する。【解決手段】化学組成が、質量%で、C:0.040%以下、Si:0.01~1.5%、Mn:0.05~15.0%、P:0.050%以下、S:0.0050%以下、Cr:19.0~26.0%、Ni:1.0~6.0%、Mo:1.5%以下、Cu:2.0%以下、N:0.05~0.25%、Al:0.050%以下、残部:Feおよび不純物であり、金属組織が、面積%で、フェライト相:35~70%を含み、残部がオーステナイト相および硬質相であり、フェライト相の化学組成に関するA値(=20[C]α+ 20[N]α+ [Cr]α+ [Mn]α+ 0.5[Al]α+ 1.5[Mo]α+ 2[Ni]α+ 2.4[Cu]α)が30以上であり、オーステナイト相の化学組成に関するB値(=500.0-400[C]γ-400[N]γ-9[Si]γ-8[Mn]γ-14[Cr]γ-35[Ni]γ-35[Cu]γ-20[Mo]γ)が0以下である、二相ステンレス形鋼。【選択図】なし

Description

本発明は、二相ステンレス形鋼およびその製造方法に関する。
ステンレス鋼は、耐食性に優れていることから、建材、自動車、家電等多くの用途に用いられている。ステンレス鋼は、その内部組織によってオーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、二相ステンレス鋼等に分けられる。この中でも、二相ステンレス鋼は、内部組織にオーステナイト相およびフェライト相の両相を含んでおり、高い強度を有することから、建材または構造材料として用いられている。
さらに、二相ステンレス鋼は、SUS304等に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼よりも、一般にNi含有量が低く、合金コストが低い。また、Niの価格変動の影響を受けにくくなるという特長を有している。
熱間圧延ステンレス鋼板および鋼帯の中でも、代表的な二相ステンレス鋼の鋼種は、JIS G 4304:2015に記載のSUS329J1またはSUS329J4L等の比較的高価なステンレス鋼である。これらは、高価なNiおよびMoをそれぞれ、約6~7%および約3~4%含有している。
一方で近年、省合金型二相ステンレス鋼と呼ばれる、NiおよびMo等の高価な元素が少ない二相ステンレス鋼が注目されている。従来の二相ステンレス鋼の主要鋼種であったSUS329J1およびSUS329J4L等は、オーステナイト系の高耐食鋼SUS316よりも高耐食である。これに対して、省合金型二相ステンレス鋼は、耐食性をSUS316およびSUS304に近いレベルとした代わりに、NiおよびMoをNおよびMnで代用し、NiおよびMoの含有量をそれぞれ、約1~6%および約0~1%と大幅に低減している。
特許文献1には、Ni量が比較的少ない二相ステンレス鋼が開示されている。また、特許文献2には、Ni量が少なく、MnおよびN等のオーステナイト生成元素を活用した安価な二相ステンレス鋼が開示されている。
建材または構造材としてこれらの二相ステンレス鋼を活用するには、板形状のものだけでなく、形鋼の形状を有するステンレス鋼が必要とされる。熱間成形ステンレス鋼の形鋼の種類は、JIS G 4317に記載されているものの、その中でも二相ステンレス鋼は、前述したSUS329J1またはSUS329J4L等の比較的高価なステンレス鋼のみである。このようなこともあり、省合金型二相ステンレス鋼の形鋼に関するいくつかの発明が開示されている。
特許文献3には、省合金型二相ステンレス鋼成分の形鋼が開示されている。また、特許文献4には、省合金型二相ステンレス鋼成分の溶接溝形鋼が開示されている。
米国特許第4828630号明細書 特開昭61-56267号公報 特開2018-159119号公報 特開2020-100859号公報
建材または構造材としてステンレス形鋼が利用されるのは、ダムおよび水門に代表される治水設備等、耐食性が必要である用途の他に、例えば、人の目につき、意匠性が必要となる建築構造用材料に用いられることが多い。近年では公共施設、商業施設、オフィスビル等において、魅力的なデザインに資する建築構造用材料のニーズがより高まっている。ステンレス形鋼は、構造材料として建築物の形状を維持する働きを持たせることができる他に、研磨などの表面加工によって高い意匠性を持たせることができ、かつ塗装および表面処理等を行わずとも、高い耐食性によって長期間同じ表面状態を維持できる。そのため、このような用途に使用するのに適している。
製造された省合金型の二相ステンレス形鋼は、建材として使用される場合、一部は意匠性の確保のため、表面研磨が施された状態で使用されることがある。この研磨の際に、従来法では、研磨後の目視外観にむら(以下、「研磨むら」ともいう。)が発生するおそれがあった。この要因および適切な処置方法等についてはこれまで不明であった。そのため、研磨むらが発生すると、意匠性の観点から使用できなくなる場合、または研磨むらがなくなるまで時間とコストとをかけて丁寧に研磨のやり直しを行わなければならない場合があった。このようなこともあり、省合金型の二相ステンレス形鋼製品における、研磨時の研磨むらの発生を抑制する必要がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、研磨を施した際に研磨むらの発生を抑制することのできる省合金型二相ステンレス形鋼およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した課題を解決するために検討を重ねた結果、以下の知見を得るに至った。
(a)二相ステンレス鋼は、オーステナイト相とフェライト相との二相組織を含み、オーステナイト相とフェライト相とがそれぞれ有する化学組成は、鋼全体での化学組成とは異なる。
(b)研磨むらの発生した二相ステンレス形鋼について詳細な調査を行った結果、いずれも、フェライト相およびオーステナイト相の化学組成が、それぞれ、所定の条件を満たしていなかった。言い換えれば、フェライト相およびオーステナイト相の化学組成が所定の条件を満足するよう調整することによって、研磨むらを抑制することが可能である。
(c)二相ステンレス形鋼中のフェライト相およびオーステナイト相の化学組成が所定の条件を満たすように調整するためには、ビレットの熱間圧延前の加熱温度、熱間圧延の最終パス温度、および熱間圧延後の最終熱処理温度を適切に調整することが効果的である。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、下記の二相ステンレス形鋼およびその製造方法を要旨とする。
(1)化学組成が、質量%で、
C:0.040%以下、
Si:0.01~1.50%、
Mn:0.05~15.00%、
P:0.0500%以下、
S:0.0050%以下、
Cr:19.0~26.0%、
Ni:1.0~6.0%、
Mo:1.5%以下、
Cu:2.0%以下、
N:0.05~0.25%、
Al:0.050%以下、
残部:Feおよび不純物であり、
金属組織が、面積%で、フェライト相:35.0~70.0%を含み、残部がオーステナイト相および硬質相であり、
フェライト相の化学組成に関する下記(i)式で定義されるA値が30.0以上であり、
オーステナイト相の化学組成に関する下記(ii)式で定義されるB値が0.0以下である、
二相ステンレス形鋼。
A=20[C]α+20[N]α+[Cr]α+[Mn]α+0.5[Al]α+1.5[Mo]α+2[Ni]α+2.4[Cu]α ・・・(i)
B=500.0-400[C]γ-400[N]γ-9[Si]γ-8[Mn]γ-14[Cr]γ-35[Ni]γ-35[Cu]γ-20[Mo]γ ・・・(ii)
但し、上記(i)式中の[C]α、[N]α、[Cr]α、[Mn]α、[Al]α、[Mo]α、[Ni]α、および[Cu]αは、フェライト相におけるC、N、Cr、Mn、Al、Mo、Ni、およびCuの含有量(質量%)を表し、上記(ii)式中の[C]γ、[N]γ、[Si]γ、[Mn]γ、[Cr]γ、[Ni]γ、[Cu]γ、および[Mo]γは、オーステナイト相におけるC、N、Si、Mn、Cr、Ni、Cu、およびMoの含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0を代入する。
(2)前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、
Ti:0.05%以下、
Nb:0.15%以下、
V:0.5%以下、
W:1.0%以下、
Co:1.0%以下、
B:0.0050%以下、
Ca:0.0050%以下、
Mg:0.0050%以下、から選択される1種以上を含有する、
上記(1)に記載の二相ステンレス形鋼。
(3)上記(1)または(2)に記載の二相ステンレス形鋼を製造する方法であって、
上記(1)または(2)に記載の化学組成を有する鋼素材に対して、
(a)1100~1350℃の温度範囲で加熱する工程と、
(b)圧延の最終パス温度が500℃以上700℃未満となる条件で熱間圧延を行う工程と、
(c)下記(iii)式で求められるT1(℃)以上、かつ925~1170℃の温度範囲で、30秒以上30分未満の最終熱処理を行う工程と、を順に施す、
二相ステンレス形鋼の製造方法。
T1=548+24.3[Cr]-52.5[Ni] ・・・(iii)
但し、上記(iii)式中の[Cr]および[Ni]は、前記鋼素材におけるCrおよびNiの含有量(質量%)を表す。
本発明によれば、研磨を施した際に研磨むらの発生を抑制することのできる省合金型二相ステンレス形鋼を工業的に安定して得ることができる。
実施例で用いられる試験片の形状を説明するための図である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
1.二相ステンレス形鋼の化学組成
本発明の一実施形態に係る二相ステンレス形鋼の化学組成について説明する。各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.040%以下
Cは、Cr等の耐食性確保のための元素と結合して炭化物を形成し、局所的に耐食性確保のための元素の効果を阻害するなど、耐食性に悪影響を及ぼし、いわゆる鋭敏化を生じさせる可能性がある。このため、C含有量の上限を0.040%とする。なお、鋭敏化をさらに抑制する観点から、C含有量は0.035%以下であることが好ましい。なお、下限は特に指定しないが、過度な低減は精錬コストの上昇に繋がるため、C含有量は0.001%以上とすることが好ましい。また、精錬コストの観点から、C含有量はより好ましくは0.005%以上である。
Si:0.01~1.50%
Siは、精錬工程の際に脱酸元素として利用される。脱酸の効果を十分に得るために、Si含有量は0.01%以上とする。また、Si含有量は好ましくは0.10%以上、より好ましくは、0.15%以上である。一方、過剰な添加は靭性の劣化を引き起こす。そこで、Si含有量の上限を1.50%とする。靭性確保の観点から、Si含有量は好ましくは1.20%以下、より好ましくは1.00%以下である。
Mn:0.05~15.00%
Mnは、精錬工程の際に脱酸元素として利用される。また、Niと共に、オーステナイト相の安定化元素として働き、またNiよりも安価かつ、価格安定性が良好である。このことから、オーステナイト安定化元素として、一定量のMnを含有させることにより、合金コストの低減および製造コストの安定化を図ることができる。このため、Mn含有量の下限を0.05%とする。また、製造コストの観点からはMn含有量は0.50%以上であることが好ましい。一方、Mn含有量が過剰であると、オーステナイト相が過度に増加し、二相組織が形成されなくなるおそれがある。また、不動態皮膜を弱体化させ耐食性に影響を及ぼす可能性がある。このような観点から、Mn含有量の上限を15.00%とする。なお、耐食性の観点から、Mn含有量は10.00%以下が好ましく、より好ましくは9.00%以下である。
P:0.0500%以下
Pは、熱間加工性、靭性、および溶接性を劣化させるおそれがある元素である。このことから、P含有量は低いほど好ましく、0.0500%以下とする。特に、熱間加工性の観点からは、P含有量は0.0400%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.0300%以下である。下限は設けないが、過度な低減は精錬コストの上昇に繋がるため、P含有量は0.0010%以上または0.0030%以上とすることが好ましい。また、P含有量はより好ましくは0.0050%以上、さらに好ましくは0.0100%以上である。
S:0.0050%以下
Sは、鋼中に含まれる不可避的不純物元素であり、熱間加工性および耐食性を低下させる。このことから、S含有量は低いほど好ましく、0.0050%以下とする。特に、熱間加工性の観点からは、S含有量は0.0030%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.0020%以下、さらに好ましくは0.0010%以下である。下限は設けないが、過度な低減は精錬コストの上昇に繋がるため、S含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。また、精錬コストの点から、S含有量はより好ましくは0.0002%以上、さらに好ましくは0.0003%以上である。
Cr:19.0~26.0%
Crは、耐酸化性を向上させ、また不動態皮膜を形成させることにより耐食性を向上させる元素である。さらに、Crは二相ステンレス形鋼の組織中のフェライト相の安定化元素である。二相ステンレス形鋼として十分な耐食性を確保するために、Cr含有量の下限は19.0%とする。耐食性確保の観点から、Cr含有量はより好ましくは19.5%以上である。一方で、過度な添加は、フェライト相の過度な増加、脆化相であるσ相の生成の助長に加え、合金コストの上昇を招くため、Cr含有量の上限は26.0%とする。合金コスト低減の観点から、Cr含有量はより好ましくは25.5%以下、さらに好ましくは25.0%以下である。
Ni:1.0~6.0%
Niは、耐食性を向上させるだけでなく、Mnなどと共にオーステナイト相の安定化元素として機能する。耐食性の観点から、Ni含有量の下限を1.0%とする。一方、Niは価格が高いことに加え、市場価格が不安定であることから、過度な添加は合金コストの上昇と不安定化に繋がる。そのため、Ni含有量の上限を6.0%とする。合金コスト低減および安定化の観点から、Ni含有量はより好ましくは5.5%以下、さらに好ましくは5.0%以下である。
Mo:1.5%以下
Moは、耐食性向上に寄与する元素であるが、過度の含有は合金コストの大幅な向上を招くだけでなく、熱間加工性の劣化による製造性低下を引き起こすおそれがある。したがって、Mo含有量の上限を1.5%とする。合金コスト低減の観点から、Mo含有量はより好ましくは1.3%以下である。下限は設けないが、耐食性確保の観点から、Mo含有量は0.05%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.07%以上である。
Cu:2.0%以下
Cuは、酸に対する耐食性を付加的に高め、また靭性を改善する元素である一方、過度な含有は熱間加工性の低下、および脆化の原因となるεCu相の析出を引き起こすおそれがある。そのため、Cu含有量の上限を2.0%とする。下限は設けないが、酸に対する耐食性、靭性確保の観点から、Cu含有量は0.05%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.07%以上である。
N:0.05~0.25%
Nは、耐食性の向上に寄与し、またNi、Mnと共にオーステナイト相の安定化元素として機能する。このことから、N含有量の下限を0.05%とする。耐食性およびオーステナイト相安定化の観点から、N含有量は好ましくは0.06%以上、より好ましくは0.07%以上である。一方、精錬工程時に過度に添加しようとすると、Nガスの発生によって気泡が生成する場合がある。このため、N含有量の上限を0.25%以下とする。製造安定性の観点から、N含有量は好ましくは0.24%以下、より好ましくは0.23%以下である。
Al:0.050%以下
Alは、精錬工程の際に脱酸元素として利用される。一方、過度の含有は加工性の低下に繋がるため、Al含有量の上限を0.050%とする。加工性の観点から、Al含有量は好ましくは0.040%以下、より好ましくは0.030%以下である。下限は設けないが、脱酸効果確保の観点から、Al含有量は0.001%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.003%以上、さらに好ましくは0.005%以上である。
本発明の一実施形態に係る二相ステンレス形鋼の化学組成においては、上記の基本組成に加えて、必要に応じて下記の元素から選択される1種以上を含有させてもよい。
Ti:0.05%以下
Tiは、固溶強化元素として強度向上に寄与するだけでなく、炭窒化物の生成によっても強度向上に寄与する元素である。しかし、過剰な添加は熱間加工性の劣化による製造性低下に繋がるだけでなく、固溶N量の減少を引き起こす。そのため、Ti含有量の上限を0.05%以下とする。固溶N量確保の観点から、Ti含有量は好ましくは0.045%以下、より好ましくは0.04%以下である。下限は設けないが、強度確保の観点から、Ti含有量は0.005%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.01%以上である。
Nb:0.15%以下
Nbは、Tiと同様に、固溶強化元素、または炭窒化物生成元素として強度向上に寄与する。しかし、過剰な添加は熱間加工性の劣化による製造性低下に繋がるだけでなく、固溶N量の減少を引き起こす。そのため、Nb含有量の上限を0.15%以下とする。固溶N量確保の観点から、Nb含有量は好ましくは0.14%以下、より好ましくは0.13%以下である。下限は設けないが、強度確保の観点から、Nb含有量は0.01%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.02%以上である。
V:0.5%以下
Vは、Ti、Nbと同様に固溶強化元素、または炭窒化物生成元素として強度向上に寄与する。しかし、過剰な添加は熱間加工性の劣化による製造性低下に繋がるだけでなく、固溶N量の減少を引き起こす。そのため、V含有量の上限を0.5%以下とする。固溶N量確保の観点から、V含有量は好ましくは0.45%以下、より好ましくは0.4%以下である。下限は設けないが、強度確保の観点から、V含有量は0.03%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.05%以上である。
W:1.0%以下
Wは、Moと同様、ステンレス鋼の耐食性向上に寄与し、また強度を向上させる。しかし過剰な添加は加工性の低下を引き起こすことから、W含有量の上限を1.0%以下とする。加工性の観点から、W含有量は好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.8%以下である。下限は設けないが、強度確保の観点から、W含有量は好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上である。
Co:1.0%以下
Coは、耐食性および靭性向上に有効な元素であり、またオーステナイト相の安定化元素としても機能する。しかし、過度な添加は合金コストの大幅な上昇に繋がるため、Co含有量の上限を1.0%以下とする。合金コストの観点から、Co含有量は好ましくは0.9%以下、より好ましくは0.8%以下である。下限は設けないが、耐食性の観点から、Co含有量は好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.03%以上である。
B:0.0050%以下
Bは、熱間加工性を向上させ製造性を高める効果がある。しかし、過剰な添加はBの窒化物析出による固溶N量の減少、靭性の低下に繋がることから、B含有量の上限を0.0050%以下とする。固溶N量および靭性確保の観点から、B含有量は好ましくは0.0045%以下、より好ましくは0.0040%以下である。下限は設けないが、製造性確保の観点から、B含有量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.0005%以上である。
Ca:0.0050%以下
Mg:0.0050%以下
CaおよびMgは、熱間加工性を向上させ製造性を高める効果を有する。そのため、CaおよびMgの少なくともいずれかを含有させてもよい。しかし、過剰な添加は逆に熱間加工性および靭性を低下させるおそれがあるため、いずれの含有量の上限も0.0050%とする。CaおよびMgの含有量はいずれも好ましくは0.0040%以下、より好ましくは0.0035%以下である。下限は設けないが、製造性確保の観点から、CaおよびMgの含有量は好ましくは0.0001%以上、より好ましくは0.0003%以上である。
上記の化学組成において、残部はFeおよび不純物である。ここで「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
2.金属組織
本発明の一実施形態に係る二相ステンレス形鋼は、面積%で、フェライト相:35.0~70.0%を含み、残部がオーステナイト相および硬質相である金属組織を有する。フェライト相の面積率が70.0%を超えると、オーステナイト相の面積率が30.0%未満となり、十分な強度が得られない。一方、フェライト相の面積率を35.0%未満とするためには、オーステナイト相の面積率を65.0%超とすることとなり、以下のような種々の問題が生じ得る。
まず、一般的に希少金属にも分類され高価なオーステナイト安定化元素であるNiの含有量を増加する必要があり、高価となる。また、省合金で安価な二相ステンレス鋼を想定した場合、N、Mnの含有量が高くなり過ぎ、高強度となり過ぎる。それに加えて、熱間加工時に粗大な化合物を形成する。特にMnの含有量が高い場合、耐食性、耐酸化性を低下させる。以上の理由から、厚さ方向中心位置におけるフェライト相の面積率は35.0~70.0%とする。
フェライト相以外の相は、オーステナイト相および硬質相である。硬質相には、加工等により不可避的に生成するマルテンサイト相、ならびに炭化物、窒化物、炭窒化物、σ相、およびLaves相等の析出物が含まれる。硬質相の面積率は極力低い方が望ましいが、マルテンサイト相は7.0%以下、析出物は合計で3.0%以下であれば許容される。
フェライト相の面積率は、電子線後方散乱回折装置(EBSD)により測定する。具体的には、形鋼の平面部において、圧延方向に平行かつ形鋼の平面部に垂直な面を観察面とし、観察する形鋼の平面部の厚さをtとしたときに、表面から(1/8)t~(3/8)tの領域内において、表面を電解研磨、または化学研磨した100μm×100μmの領域2箇所を対象とし、それぞれ1μmのステップで測定を行うものとする。そして、2箇所の測定結果から体心立方構造の相を特定し面積率を求め、フェライトの面積率とする。
また、この測定で、面心立方構造のオーステナイト相、それぞれ独自の結晶構造を有するσ相、Laves相の相同定、面積率の計算も行う。マルテンサイト相に関しては、フェライト相と同様に体心立方構造を有するが、高密度の転位が導入されるため、EBSDによる測定では、結晶粒界と共に測定不能な領域として観測される。このことから、EBSDにおいて、測定不能な領域の観測された面積のうち、結晶粒界によるものを除いた面積率を、マルテンサイト相の面積率と見做すことができる。なお、結果の解析には、TSL社製OIM Analysis ver.7.3.0を用いる。
3.フェライト相およびオーステナイト相の化学組成
本発明の一実施形態に係る二相ステンレス形鋼においては、フェライト相の化学組成に関する下記(i)式で定義されるA値が30.0以上であり、オーステナイト相の化学組成に関する下記(ii)式で定義されるB値が0.0以下である。
A=20[C]α+20[N]α+[Cr]α+[Mn]α+0.5[Al]α+1.5[Mo]α+2[Ni]α+2.4[Cu]α ・・・(i)
B=500.0-400[C]γ-400[N]γ-9[Si]γ-8[Mn]γ-14[Cr]γ-35[Ni]γ-35[Cu]γ-20[Mo]γ ・・・(ii)
但し、上記(i)式中の[C]α、[N]α、[Cr]α、[Mn]α、[Al]α、[Mo]α、[Ni]α、および[Cu]αは、フェライト相におけるC、N、Cr、Mn、Al、Mo、Ni、およびCuの含有量(質量%)を表し、上記(ii)式中の[C]γ、[N]γ、[Si]γ、[Mn]γ、[Cr]γ、[Ni]γ、[Cu]γ、および[Mo]γは、オーステナイト相におけるC、N、Si、Mn、Cr、Ni、Cu、およびMoの含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0を代入する。
フェライト相の化学組成に関するA値、およびオーステナイト相の化学組成に関するB値が、省合金型二相ステンレス形鋼の研磨むらの発生に関係する理由は必ずしも明確ではない。しかし、要因として下記の要素が関係していると推察される。
フェライト相およびオーステナイト相は、その結晶構造、化学組成、または加工誘起変態の有無など、性質が異なるため、一般的に強度および加工硬化特性が異なる。ステンレス鋼の内部組織の場合、各相の化学組成にもよるが、一般的に、フェライト相よりもオーステナイト相の方が強度および加工硬化特性が共に高いと言われている。
また、オーステナイト相は、化学組成によって決まる相の安定性が低いと加工誘起変態によって硬質なマルテンサイト相になりやすくなる。化学組成の差異によってフェライト相の強度、およびオーステナイト相の加工誘起変態の挙動が変化すると、それによって、研磨された際の表面状態が変化すると考えられる。つまり、強度が低ければ、研磨による減肉が起きやすく、一方、硬度が高い、または加工誘起マルテンサイト変態が起こる場合は、研磨による減肉が起きにくい。
つまり、内部組織の中で強度差が大きい場合、減肉しやすい箇所、減肉しにくい箇所の差ができてしまい、極微細な、何らかの山谷形状をした表面状態が生まれ、目視した際に細かいむらとして見られるものと推察される。このことから、フェライト相とオーステナイト相(厳密にはオーステナイト相から加工誘起されたマルテンサイト相も含む)の強度差が小さくなるほど、研磨むらは目立ちにくくなると考えられる。
フェライト相の化学組成によって決まるA値は、厳密な相関があるかは不明だが、おそらくはフェライト相の固溶強化の程度を反映しているものと思われる。一方、オーステナイト相の化学組成によって決まるB値は、オーステナイト系ステンレス鋼における、加工誘起マルテンサイト変態の起きやすさを示すMd30値と類似しており、こちらもまた相関は不明であるものの、おおよそは、加工誘起マルテンサイト相の生成によってオーステナイト相の存在している部分が硬化する量に対応していると推察される。
つまり、A値が30.0以上、B値が0.0以下であれば、フェライト相、オーステナイト相間の強度差が、研磨むらが起こり得る閾値以下となり、その結果、目視で研磨むらが発生しなくなるものと考えられる。なお、この研磨むら自体の発生要因についても推定であり、少なくとも触針式の粗度計で計測した限りでは、研磨むらの発生していないものと、発生しているものとで、明確な差は見られない。
なお、本発明においては、フェライト相およびオーステナイト相の化学組成については、電子線マイクロアナライザ(Electron probe micro analyzer:EPMA)を用いて測定することとする。また、各相の化学組成にはわずかなばらつきがあるため、圧延方向に平行かつ形鋼の平面部に垂直な面、または圧延方向に垂直かつ形鋼の平面部に垂直な面を観察面とし、形鋼の平行部の厚みをtとした際に、当該平行部の表面から(1/8)t~(3/8)tの深さの領域内で、それぞれ最低5個以上のフェライト結晶粒、オーステナイト結晶粒に対して点分析を行い、その平均値によってそれぞれの元素の化学組成の値を求めることとする。
EPMAの測定条件については、分析精度を保証できる限りにおいて適宜調整すればよく、例えば、加速電圧:15kV、ビーム径:~1μm、照射時間:20sの条件で行うことができる。
4.製造方法
本発明の一実施形態に係る二相ステンレス形鋼の製造方法について説明する。本実施形態に係る二相ステンレス形鋼は、製造方法に関わらず、上記の特徴を有していればその効果が得られる。しかしながら、以下の方法によれば安定して本実施形態の二相ステンレス形鋼を製造できる。
本発明の一実施形態に係る二相ステンレス形鋼の製造方法においては、上述した化学組成を有する鋼素材に対して、(a)加熱工程と、(b)熱間圧延工程と、(c)最終熱処理工程とを順に施す。各工程について以下に詳しく説明する。なお、鋼素材の形状については、特に限定されず、ビレット、ブルーム、スラブ等のいずれであってもよい。
(a)加熱工程
加熱工程においては、鋼素材に対して熱間圧延を施す前に、1100~1350℃の温度範囲で加熱する。加熱工程における加熱温度は、フェライト単相域で鋼素材の元素偏析を低減させるため、1100℃以上とする。加熱温度が1100℃未満であると、A値を30以上にできなくなるおそれがある。またこの際、ソーキングを兼ねた加熱とすることが好ましい。偏析軽減の観点から、加熱温度は好ましくは1270℃以上である。
一方、加熱温度が1350℃を超えると、鋼素材表面において異常酸化が起こり、圧延時にヘゲ疵が生じる原因となるだけでなく、加熱に費やされるエネルギー量が増加し、製造コストの上昇に繋がる。このことから、加熱温度は1350℃以下とする。製造コストの観点から、加熱温度は好ましくは1330℃以下である。
加熱時間については特に限定しないが、鋼素材の元素偏析低減の観点から0.5時間以上とすることが好ましく、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは1.5時間以上である。一方、表面の異常酸化抑制、および、製造効率の観点から、加熱時間は24時間以下とすることが好ましい、製造効率の観点から、より好ましくは20時間以内である。
(b)熱間圧延工程
熱間圧延工程においては、上記の加熱工程によって加熱された鋼素材に対して、圧延の最終パス温度が500℃以上700℃未満となる条件で熱間圧延を行う。なお、「圧延の最終パス温度」とは、熱間圧延の最終パスの入側における被圧延材の表面温度を意味する。本実施形態での製造工程においては、熱間圧延時に加工発熱の影響より圧延ロールとの接触による抜熱の影響の方が大きいため、最終パスの出側温度は、入側温度より低くなる。
本実施形態においては、A値およびB値を制御するために、熱間圧延の最終パスにおいて被圧延材の温度をできる限り低くすることが好ましい。最終パスにおける温度が700℃未満であれば、A値およびB値を制御する効果が期待できる。圧延の最終パス温度は、好ましくは670℃以下である。一方、最終パス温度が500℃を下回ると、被圧延材の圧延反力が増大し、設備負荷が過度に増大する。そのため、最終パスにおける被圧延材の温度は、500℃以上とする。製造における安定性の観点から、好ましくは510℃以上である。
熱間圧延の最終パス温度がA値およびB値に影響する要因については未だ不明であり、推察の域を出ないが、以下に述べるような機構で影響を及ぼしていると考えられる。すなわち、低温域での最終パスによって蓄積された高密度の転位組織が、後述する最終熱処理での転位芯拡散、または高密度の再結晶粒界生成による粒界拡散等による原子拡散を促進させ、フェライト相およびオーステナイト相の化学組成の変化が促進され、A値の上昇およびB値の減少に繋がっていると考えられる。
ステンレス鋼の熱間圧延における転位組織は、圧延パスの度に組織内に蓄積するものの、圧延初期から中期に蓄積された加工組織は、時間と共に回復および再結晶によって減少してしまう。そのため、圧延の後期、特に最終パスにおける転位組織の導入が最も効果的である。最終圧延パスにおける被圧延材の温度が低温であればあるほど、導入される転位量自体が大きくなると同時に、特にフェライト相において顕著な、回復による転位密度の減少を抑制できる。
熱間圧延工程において用いられる圧延ロールの形状については特に制限はなく、所望の形状を得るために適したものを採用すればよい。
(c)最終熱処理工程
最終熱処理工程においては、下記(iii)式で求められるT1(℃)以上、かつ925~1170℃の温度範囲で、30秒以上30分未満の最終熱処理を行う。
T1=548+24.3[Cr]-52.5[Ni] ・・・(iii)
但し、上記(iii)式中の[Cr]および[Ni]は、前記鋼素材におけるCrおよびNiの含有量(質量%)を表す。
熱間圧延後の最終熱処理工程は、形鋼の加工性を確保するだけでなく、二相ステンレス形鋼の内部組織、特に、フェライト相およびオーステナイト相の化学組成に影響する。本発明者らは、最終熱処理工程において、上記(iii)式で求められるT1(℃)以上に加熱することにより、フェライト相およびオーステナイト相の化学組成が変化し、A値が上昇、B値が低下することを明らかとした。
ここで、T1が925℃未満の場合、最終熱処理温度がT1(℃)以上であったとしても、925℃以上でなければB値が低下しにくい。そのため、最終熱処理温度は、T1(℃)以上、かつ925℃以上とする。一方、加工性確保の観点から、最終熱処理温度を1170℃超の温度域まで上げても効果はなく、却って熱処理に費やされるエネルギーコストの増大を招くことから、最終熱処理温度は1170℃以下とする。
形鋼圧延後のひずみを減少させ、加工性を確保するだけでなく、十分に原子を拡散させ、A値およびB値を所定範囲内に制御するためには、最終熱処理は一定時間以上実施する必要がある。そのため、最終熱処理時間は30秒以上とする。加工性確保の観点から、最終熱処理時間は好ましくは60秒以上、より好ましくは120秒以上である。
一方、最終熱処理が過度に長時間である場合、熱処理に係るエネルギーコストが増大するだけでなく、過剰に生成したスケールによって歩留まりの悪化および品質の劣化が生じる。そのため、最終熱処理時間は30分以下とする。エネルギーコストの観点から、最終熱処理時間は好ましくは25分以下である。
上記の工程を経て得られた二相ステンレス形鋼に対して、さらにスケール除去のための酸洗処理を施してもよい。また、形状処理、または疵もしくはバリの除去を目的とした研磨等の表面加工処理をさらに行ってもよい。
また、本発明の一実施形態に係る二相ステンレス形鋼は、H形鋼、I形鋼、山形鋼(アングル)、平鋼、溝形鋼(チャンネル)、Z形鋼、丸形鋼等、種々の形状の形鋼に適用できる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する二相ステンレス鋼のビレットを溶製し、種々の条件で加熱した後、熱間圧延によって、図1に示すような、辺の長さが50mm、厚さが5mmの断面を有する等辺山形鋼の形状の試験片を作製し、水冷した後、種々の条件で熱処理した。熱処理後の冷却は強制風冷を用いた。二相ステンレス形鋼試験片の作製条件について表2に示す。
Figure 2023113375000001
Figure 2023113375000002
得られた試験片について、図1に示されるaの位置から圧延方向に平行で山側表面に垂直な断面観察試験片を切り出した。そして、切り出された断面観察試験片の山側表面から(1/8)t~(3/8)tの領域内において、断面を電解研磨した100μm×100μmの領域2箇所を対象とし、それぞれ1μmのステップでEBSD測定を行った。そして、2箇所の測定結果から体心立方構造の相を特定し面積率を求め、フェライトの面積率とした。
また、この測定で、面心立方構造のオーステナイト相、それぞれ独自の結晶構造を有するσ相、Laves相の相同定、面積率の計算も行った。さらに、EBSDにおいて、測定不能な領域の観測された面積のうち、結晶粒界によるものを除いた面積率を、マルテンサイト相の面積率とした。なお、結果の解析には、TSL社製OIM Analysis ver.7.3.0を用いた。
次に、上記と同じ断面の山側表面から距離0.63~1.87mmの領域において、EPMAを用いて、フェライト結晶粒およびオーステナイト結晶粒のそれぞれについて、5粒ずつ点分析を実施した。分析に際しては、加速電圧:15kV、ビーム径:~1μm、照射時間:20sの条件とした。そして得られた測定値の平均値を、各相の化学組成とした。そして、そこから算出されるフェライト相のA値、オーステナイト相のB値をそれぞれ算出した。
続いて、各試験片を用いて、研磨むらの発生度合いの評価のための研磨試験を行った。研磨試験においては、#120研磨を行い、その後目視にて研磨むらの有無を確認した。
それらの結果を表2に併せて示す。なお、研磨むらの有無については、確認できなかった場合を○、確認できた場合を×で示している。
表2に示す結果から明らかなように、本発明の規定を満足する二相ステンレス形鋼においては、#120研磨において研磨むらが発生せず、意匠性が必要となる建築構造用材料として好適に用いることができることを確認した。
本発明によれば、研磨を施した際に研磨むらの発生を抑制することのできる省合金型二相ステンレス形鋼を工業的に安定して得ることができる。

Claims (3)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.040%以下、
    Si:0.01~1.50%、
    Mn:0.05~15.00%、
    P:0.0500%以下、
    S:0.0050%以下、
    Cr:19.0~26.0%、
    Ni:1.0~6.0%、
    Mo:1.5%以下、
    Cu:2.0%以下、
    N:0.05~0.25%、
    Al:0.050%以下、
    残部:Feおよび不純物であり、
    金属組織が、面積%で、フェライト相:35.0~70.0%を含み、残部がオーステナイト相および硬質相であり、
    フェライト相の化学組成に関する下記(i)式で定義されるA値が30.0以上であり、
    オーステナイト相の化学組成に関する下記(ii)式で定義されるB値が0.0以下である、
    二相ステンレス形鋼。
    A=20[C]α+20[N]α+[Cr]α+[Mn]α+0.5[Al]α+1.5[Mo]α+2[Ni]α+2.4[Cu]α ・・・(i)
    B=500.0-400[C]γ-400[N]γ-9[Si]γ-8[Mn]γ-14[Cr]γ-35[Ni]γ-35[Cu]γ-20[Mo]γ ・・・(ii)
    但し、上記(i)式中の[C]α、[N]α、[Cr]α、[Mn]α、[Al]α、[Mo]α、[Ni]α、および[Cu]αは、フェライト相におけるC、N、Cr、Mn、Al、Mo、Ni、およびCuの含有量(質量%)を表し、上記(ii)式中の[C]γ、[N]γ、[Si]γ、[Mn]γ、[Cr]γ、[Ni]γ、[Cu]γ、および[Mo]γは、オーステナイト相におけるC、N、Si、Mn、Cr、Ni、Cu、およびMoの含有量(質量%)を表し、含有しない場合は0を代入する。
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、
    Ti:0.05%以下、
    Nb:0.15%以下、
    V:0.5%以下、
    W:1.0%以下、
    Co:1.0%以下、
    B:0.0050%以下、
    Ca:0.0050%以下、
    Mg:0.0050%以下、から選択される1種以上を含有する、
    請求項1に記載の二相ステンレス形鋼。
  3. 請求項1または請求項2に記載の二相ステンレス形鋼を製造する方法であって、
    請求項1または請求項2に記載の化学組成を有する鋼素材に対して、
    (a)1100~1350℃の温度範囲で加熱する工程と、
    (b)圧延の最終パス温度が500℃以上700℃未満となる条件で熱間圧延を行う工程と、
    (c)下記(iii)式で求められるT1(℃)以上、かつ925~1170℃の温度範囲で、30秒以上30分未満の最終熱処理を行う工程と、を順に施す、
    二相ステンレス形鋼の製造方法。
    T1=548+24.3[Cr]-52.5[Ni] ・・・(iii)
    但し、上記(iii)式中の[Cr]および[Ni]は、前記鋼素材におけるCrおよびNiの含有量(質量%)を表す。
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