JP2023112281A - 炭素繊維シートの製造方法および炭素繊維シート製品 - Google Patents

炭素繊維シートの製造方法および炭素繊維シート製品 Download PDF

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Abstract

Figure 2023112281000001
【課題】
酸素に起因する耐熱シートや熱処理炉、炭素繊維シート前駆体の焼損・損耗を防止することにより、欠点や金属(特に鉄)異物コンタミの発生を抑えることができる炭素繊維シートの製造方法を提供する。
【解決手段】
炭素繊維シート前駆体と、該炭素繊維シート前駆体に載置された耐熱シートとを連続的に搬送しながら、不活性雰囲気の熱処理炉内を通過させて炭素繊維シートを製造する炭素繊維シートの製造方法であって、
前記耐熱シートは、前記熱処理炉の炉入口では前記炭素繊維シート前駆体と離間しており、前記熱処理炉の炉内空間中において前記炭素繊維シート前駆体に載置されることを特徴とする炭素繊維シートの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池や、メタノール型燃料電池、リン酸型燃料電池、および、水電解装置(特に固体高分子型水電解装置)のガス拡散体として好ましく用いられる炭素繊維シートの製造方法に関する。
燃料電池において発電反応が起こる膜電極接合体を構成するガス拡散体としては、炭素短繊維を樹脂炭化物で結着したカーボンペーパー、炭素繊維を交絡させた炭素繊維不織布等の炭素繊維シートが用いられている。炭素繊維シートの端部に割れや欠けが存在すると電解質膜を劣化させる要因となるため、炭素繊維シートはこのような割れや欠け等の欠点を可能な限り含有しないことが求められる。
そのような炭素繊維シートを製造する方法として、特許文献1には、炭素繊維シート前駆体上に耐熱シートを載置した状態で熱処理することで、熱分解物の堆積や炭素繊維シート前駆体への接触を防止する方法が開示されている。
特開2009-191406号公報
本発明者らは、特許文献1の方法では、炭素繊維シート前駆体と耐熱シートとの間に空気が介在した状態で不活性雰囲気の熱処理炉に進入することにより、空気に含まれる酸素に起因して耐熱シートや熱処理炉、炭素繊維シート前駆体が焼損・損耗してしまう課題があることを見出した。特に、熱処理炉内では炭素繊維シート前駆体に含まれる金属(特に鉄)が蒸発し、熱分解ガスに含まれて放出されるため、金属(特に鉄)を含む析出粒子等の異物粒子が発生する場合がある。耐熱シートが焼損・損耗していると、炭素繊維シート前駆体表面にこのような異物粒子が落下し、炭素繊維シートに穴や金属(特に鉄)異物コンタミを発生させることが問題となる。
本発明は、上記のような酸素に起因する耐熱シートや熱処理炉、炭素繊維シート前駆体の焼損・損耗を防止することにより、欠点や金属(特に鉄)異物コンタミの発生を抑えることができる炭素繊維シートの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を達成するための本発明は、炭素繊維シート前駆体と、該炭素繊維シート前駆体に載置された耐熱シートとを連続的に搬送しながら、不活性雰囲気の熱処理炉内を通過させて炭素繊維シートを製造する炭素繊維シートの製造方法であって、前記耐熱シートは、前記熱処理炉の炉入口では前記炭素繊維シート前駆体と離間しており、前記熱処理炉の炉内空間中において前記炭素繊維シート前駆体に載置されることを特徴とする炭素繊維シートの製造方法である。
本発明によれば、炭素繊維シートへの欠点の発生を抑えつつ、熱処理炉内に持ち込まれた酸素に起因する耐熱シートや熱処理炉、炭素繊維シート前駆体の焼損・損耗を防止し、欠点や金属(特に鉄)異物コンタミの少ない炭素繊維シートを製造することができる。
本発明の炭素繊維シート前駆体の製造方法を用いて炭素繊維シートを製造するための製造装置における熱処理炉の断面模式図 熱処理炉100を熱処理炉の入り口側から見た模式図 耐炎糸を耐熱シートの端部に繋いで図1に示す熱処理炉に導入する実施形態を示す模式図
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を用いて具体的に説明する。
<炭素繊維シートの製造方法>
最初に、熱処理炉100について説明する。図1は、本発明の炭素繊維シートの製造方法を用いて炭素繊維シートを製造するための製造装置における熱処理炉の断面模式図であり、図2は熱処理炉100を熱処理炉の入り口側から見た模式図である。
熱処理炉100には、炭素繊維シート前駆体10が通過可能な炉内空間101が貫通して設けられている。炉内空間101は2つの開口部を有し、一方が熱処理炉の入口(以下、炉入口という)105、他方が熱処理炉の出口(以下、炉出口)106となる。炉内空間101の上下には、炉内空間101を昇温させるための熱源107が配置されている。熱源107と炉内空間101とは、マッフル上壁102およびマッフル下壁103で隔てられており、マッフル下壁103の上にはさらに炭素繊維シート前駆体10が走行する炉床104が設けられている。また、炉内空間101は、不活性雰囲気とすることが可能であり、炭素繊維シート前駆体10の熱処理を行う間、炭素繊維シート20と熱処理炉100自体の酸化を防止するため、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気に保たれている。そして、炭素繊維シート前駆体10は、炉内空間101を連続的に走行する間に熱処理を受け、炭素繊維シート20となる。
炭素繊維シート20の好適な電気伝導性を保つために、熱処理炉100の熱処理温度(熱処理炉内の最高温度)は1500℃以上であることが好ましい。熱処理炉の熱処理温度が1500℃より低くなると、炭素繊維シート20の黒鉛化度が低くなり、電気伝導性や熱伝導性が低くなる。熱処理炉の熱処理温度を3000℃より高くすると、加熱のために大きなエネルギーが必要になるとともに、炉に用いる炭素部材が消耗しやすい。熱処理温度は、1800~2800℃がより好ましく、1900~2600℃がさらに好ましい。
熱処理炉100を構成する素材は黒鉛等の炭素材料、金属、セラミックスを用いることが可能であるが、安価であることから黒鉛等の炭素材料金属が好ましく、1000℃以上となる部分は化学的安定性から黒鉛等の炭素材料がより好ましい。
炭素繊維シート前駆体10は、炭素繊維または炭素繊維化可能な有機繊維を含む。好ましい態様において、炭素繊維シート前駆体10は、炭素繊維または炭素繊維化可能な有機繊維を、炭素化可能な有機物で結着して構成される。さらに好ましくは、炭素繊維シート前駆体10は、炭素短繊維または炭素化可能な有機繊維の短繊維を抄紙し、炭素化可能な有機物樹脂を含浸・硬化させて構成される。この場合、短繊維の長さは3~12mmの範囲内にあることが好ましい。短繊維の長さが6~9mmの範囲内にあると、短繊維の抄紙の際に良好な分散性を得られるとともに、引張強度が高く、破れにくい多孔質炭素繊維シートを得ることができるためにより好ましい。あるいは、炭素繊維シート前駆体10は、PAN耐炎糸を乾式工程で不織布化し、加熱ロールでカレンダー処理することによって作製されたものであってもよい。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維のいずれでも用いることができる。この中でも、得られた炭素繊維シート20の曲げ強度や引張強度を高くできるPAN系炭素繊維またはピッチ系炭素繊維を用いることが好ましく、PAN系炭素繊維を用いることがさらに好ましい。
炭素化可能な有機物は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができるが、炭化収率が高い熱硬化性樹脂を用いるのが好ましく、中でもフェノール樹脂を用いるのがより好ましい。
炭素繊維シートを燃料電池電極基材として用いる場合には、導電性向上のため、炭素繊維シート前駆体は炭素粉末を含むことが好ましい。この場合、炭素粉末は炭素繊維シート前駆体の1~50質量%であることが好ましい。
炭素繊維シート前駆体10は炉入口105より挿入され、炉出口106に向かって、高温に保たれた炉内空間101内を、炉床104上を引きずられながら滑るように連続的に移動する。この過程で、炭素繊維シート前駆体10は、炉内空間101内において熱処理を受け、前述の有機物が炭化させて炭素繊維シート20となり、炉出口106より熱処理炉100外に送り出される。この際、炭素繊維シート前駆体10は、1枚のみ搬送しても、複数枚重ねて同時に搬送してもよい。
炉入口105の上流側には、炭素繊維シート前駆体10の上面を覆うための耐熱シート108が配置されている。本実施形態において、耐熱シート108は熱処理炉の上流側に設置したロール112から巻き出して供給される。熱処理中にロール112を回転させることで、耐熱シート108を供給・移動させることができる。
耐熱シート108は熱処理炉入口に設けたシャッター109のスリット部110から熱処理炉内に搬入されて、熱処理炉内の不活性ガス雰囲気化で炭素繊維シート前駆体10と接するように、炭素繊維シート前駆体10に載置される。耐熱シート108の下面と炭素繊維シート前駆体10の間に熱分解ガスが流れると、耐熱シート108と炭素繊維シート前駆体10の間に析出粒子等が発生し、炭素繊維シート前駆体10の表面に付着する可能性がある。そのため、耐熱シート108は、搬送中の炭素繊維シート前駆体10の上面に接触していることが好ましい。
耐熱シート108は、熱処理炉100の炉入口105の時点では、炭素繊維シート前駆体10と離間している。仮に、炉入口105よりも上流で炭素繊維シート前駆体10に耐熱シート108を載置し、その状態で熱処理炉100内に搬入すると、炭素繊維シート前駆体10と耐熱シート108の間に空気が介在する可能性がある。そのようにして空気が炉内空間101中に混入すると、耐熱シート108や熱処理炉100、炭素繊維シート前駆体10の損耗の原因となる場合がある。そのため、本発明においては、耐熱シート108は、炭素繊維シート前駆体10と離間した状態で熱処理炉内に搬入され、炉内空間101において炭素繊維シート前駆体10に載置される。
より具体的には、図2に示すように、耐熱シート108は、炭素繊維シート前駆体10と独立して、炉入口105に備えられたシャッター109のスリット部110から、炭素繊維シート前駆体10と独立に炉内空間101へと導入することが好ましい。また、図3に示すように耐炎糸111を耐熱シート108の端部に繋いで熱処理炉内に導入してもよい。
耐熱シート108は、炭素繊維シート前駆体10が炉内空間101を通過する間、位置を固定せずに、搬送方向に移動させることが好ましい。耐熱シート108が熱処理炉内で移動せずに滞留していると、熱分解ガスからの析出粒子等が多数落下した際に耐熱シート108が損傷する可能性がある。また、高温領域等、耐熱シート108が損耗しやすい領域に長時間耐熱シート108が止まっていると耐熱シート108が焼損・損耗しやすくなる。なお、耐熱シートを搬送方向に移動させる、とは、炭素繊維シート前駆体10の進行する向きへの移動させる場合と、炭素繊維シート前駆体10の進行する向きとは逆向きへの移動させる場合の両者を含むものとする。
ただし、耐熱シート108を炭素繊維シート前駆体10に随伴して移動するのみであると、耐熱シート108としては炭素繊維シート前駆体10以上の長さが必要となる。そのため、耐熱シート108は炭素繊維シート前駆体10とは独立して、搬送方向に移動させることが好ましい。耐熱シート108は炭素繊維シート前駆体10を熱処理中に連続的に移動させてもよく、その場合は耐熱シート108の必要長さを短くするために、前記炭素繊維シート前駆体の搬送速度よりも遅い速度で移動させるのが好ましい。より好ましくは前期炭素繊維シート前駆体とは逆方向に移動させる態様である。更に、前記耐熱シート108の必要長さを短くするためには、炭素繊維シート前駆体10が一定長搬送されるごとに、炭素繊維シート前駆体10とは独立に間欠的に移動させることが好ましい。特に、炭素繊維シート前駆体10が一定長搬送されるごとに、耐熱シート108と繋がったロール112を一定間隔で回転させ、耐熱シート108を炭素繊維シート前駆体10の進行する向きとは逆向きに一定長移動させることが好ましい。熱処理炉100の炉内空間101において炉入口105近傍は温度が低く、炭素繊維シート前駆体は炉内空間101の低温側から高温側に移動するため、炭素繊維シート前駆体10の進行する向きとは逆向きに耐熱シート108を移動させることで、耐熱シート108上に落下した析出粒子等を炉入口105側移動させ、融解・蒸発を防ぐことができる。耐熱シート108上の析出粒子等が熱処理炉内の高温部で融解・蒸発した場合、耐熱シート108に穴が発生する原因となる。
耐熱シート108は、炭素繊維シート前駆体10よりも広幅であることが好ましい。より具体的には、耐熱シート108の幅は炭素繊維シート前駆体10の幅の1.01~1.50倍の範囲であることが好ましい。耐熱シート108の幅が炭素繊維シート前駆体10の幅の1.50倍より大きいと、耐熱シート108の幅の分だけ熱処理炉100の幅を広げる必要があり、熱処理炉100の設置費用やランニングコストの増加に繋がるため好ましくない。耐熱シート108の幅が1.01倍より小さいと、炭素繊維シート前駆体10が蛇行した場合、耐熱シート108で覆われていない炭素繊維シート前駆体10上へ金属(特に鉄)を含む析出粒子等が落下する場合がある。
耐熱シート108は、熱処理炉100内の不活性ガス雰囲気下1500~3000℃の範囲で分解を起こさない材料であれば特に限定されないが、炭素繊維不織布や炭素繊維織物を用いることが好ましい。炭素繊維不織布は、乾式、湿式共に耐熱シート108として使用できる。乾式の炭素繊維不織布は、例えば炭素繊維化可能なポリアクリロニトリル(PAN)繊維を空気中で200~300℃に加熱することによって得られるPAN耐炎糸を不織布化し、熱処理して炭素化することにより得ることができる。湿式の炭素繊維不織布は、炭素繊維シート前駆体10を熱処理して得る炭素繊維シート20を用いることが好ましい。炭素繊維織物は、炭素繊維不織布よりも表面が粗いため、炭素繊維シート前駆体10と接触した際、炭素繊維シート前駆体10の表面を摩耗させやすいが、耐久性やハンドリング性に優れている。炭素繊維不織布は熱処理炉内で損耗しやすく耐久性は炭素繊維織物に劣るが、炭素繊維シート前駆体10と重ねずに熱処理炉内に供給することで、熱処理炉内への酸素混入を低減し耐熱シート108の損耗を抑えることができる。湿式の炭素繊維不織布は乾式の炭素繊維不織布よりも表面が平滑であることから、耐熱シート108としては乾式よりも湿式の炭素繊維不織布を用いることがより好ましい。
耐熱シート108は、少なくとも炉内に挿入した部分について、炭素繊維シート前駆体10を1回~3回熱処理する毎(すなわち、炭素繊維シート前駆体を1枚ずつ熱処理する場合には、1~3ロール処理する毎)に交換することが好ましい。耐熱シート108を繰り返し使用すると、耐熱シート108の上面に付着した析出粒子等が落下して炭素繊維シート前駆体10に付着する可能性がある。また、析出粒子等の落下により損傷した耐熱シート108を使用した場合、損傷した箇所に析出粒子等が落下すると炭素繊維シート前駆体10に貫通孔が開く原因やコゲが発生する原因となる。耐熱シート108は、炭素繊維シート前駆体10を1回熱処理する毎に取り換えることがより好ましい。
耐熱シート108の目付は、30~60g/mであることが好ましい。目付が30g/m未満の場合は、耐熱シート108の強度が弱く、耐熱シート108が切れたりするため好ましくない。目付が60g/mを超えると、耐熱シート108を炭素繊維シート前駆体10と接触させていると、耐熱シート108の自重により炭素繊維シート前駆体10に摩擦力がかかり、炭素繊維シート前駆体10に切れ目や欠けが発生し破断の原因となるため好ましくない。耐熱シート108の目付は、30~45g/mであることがより好ましい。目付が45g/mを超えると、耐熱シート108の自重により炭素繊維シート前駆体10に摩擦力がかかり、炭素繊維シート前駆体10の表面が摩耗する。
なお、以上のような熱処理炉に供する前に、炭素繊維シート前駆体10に対し、該熱処理炉より低温の低温炉、例えば最高温度600~1000℃の低温炉を通過させることにより、予備熱処理を行ってもよい。この場合、低温炉において炭素繊維シート前駆体10の重量減少がより多くなる傾向があるが、低温炉で発生した分解ガスが高温部に流れて固化析出することを防止することができる。
<炭素繊維シート>
本発明の他の側面である炭素繊維シート製品は、典型的には30μm以上の長径を有する金属(特に鉄)異物の個数が0~0.02個/mのロール状物である。炭素繊維シート製品中の30μm以上の長径を有する金属(特に鉄)異物の個数は、X線透過測定で金属異物の位置を特定後、蛍光X線測定で元素同定することで確認でき、例えば市販のX線異物解析装置EA8000等で測定することができる。金属(特に鉄)異物は少ないほど、後加工時に金属(特に鉄)異物を避ける回数を減らし、屑発生を減らすことで加工が効率的にできる。特に鉄異物を含む炭素繊維シートを固体高分子型の燃料電池や水電解装置に組み込んだ場合、鉄と過酸化水素の接触により発生するOHラジカルが電解質膜の劣化を促進するため、燃料電池の耐久性を悪化させることがある。すなわち、固体高分子型の燃料電池や水電解装置において、特に避けるべき金属としては鉄が挙げられる。
また、炭素繊維シート製品は、0.4mm以上の長径を有する貫通孔の個数が0~0.02個/mであることが好ましい。炭素繊維シート製品中の0.4mm以上の長径を有する貫通孔の個数は、炭素繊維シートの背面から光を透過し目視で観察することで検出することができ、貫通孔の長径は、例えば楕円形の場合には最も長い径部分を指し、目盛り付きのルーペで貫通孔を観察することで長径の長さを測定することができる。貫通孔は少ないほど、後加工時に貫通孔部分を避ける回数を減らし、屑発生を減らすことで加工が効率的にできる。
1ロールの炭素繊維シートの面積は広いほど、撥水処理などの後加工を効率化できる。炭素繊維シート製品1ロールの幅と長さの積である面積は、50m以上であることが好ましく、より好ましくは300m以上であるが、本発明の炭素繊維シートの製造方法は、このようなサイズの炭素繊維シートの製造においてより効果的である。すなわち、前述の本発明の炭素繊維シートの製造方法においては、炭素繊維シート前駆体として、1ロールの面積が50m以上の炭素繊維シート前駆体を用いることが好ましい。
以下、本発明の具体的な実施例について、比較例を挙げて説明する。熱処理炉および耐熱シートの条件は次の通り一定の条件とした。
熱処理炉は図1に示すような横型熱処理装置であり、炭素繊維シート前駆体の搬送方向は水平方向とした。また、熱処理炉の前に低温の予備熱処理炉を設置して、予備熱処理を行った炭素繊維シート前駆体を、最高温度2300℃の熱処理炉で連続的に熱処理した。
耐熱シートは別途炭素繊維シート前駆体を熱処理して得た目付45g/m、幅350mmの湿式の炭素繊維不織布を使用した。
炭素繊維シート前駆体300mm幅、1000mの熱処理完了後、耐熱シートを熱処理炉から取り出して外観を確認し、耐熱シートに穴が発生していないか確認した。
また、熱処理により得た炭素繊維シートは、光源を備えた検査機で全長を検査し、透過光により目視確認した貫通孔について長径が0.4mm以上の貫通孔の数を記録した。また、炭素繊維シートの全長についてX線透過測定を実施し、検出された金属(特に鉄)異物については蛍光X線測定を行い30μm以上の長径を有する金属(特に鉄)異物の個数を確認した。
(実施例1)
炭素繊維シート前駆体は熱処理炉入口のシャッターの下から供給し、耐熱シートとして使用した炭素繊維シートは熱処理炉入口のシャッターのスリット部から導入した。また、炭素繊維シート前駆体300mm幅、1000mの熱処理において、炭素繊維シート前駆体を250m熱処理する毎に耐熱シートを0.3m巻き取った。熱処理終了後に耐熱シートを熱処理炉から取り出し外観を確認した結果、耐熱シートに穴が生じていないことを確認した。また、熱処理により得られた炭素繊維シートについて全長を検査した結果、貫通孔は1つも発生しておらず、金属(特に鉄)異物も検出されなかった。
(比較例1)
炭素繊維シート前駆体は熱処理炉入口のシャッターの下から供給し、耐熱シートとして使用した炭素繊維シートも炭素繊維シート前駆体の上に重ねて熱処理炉入口のシャッターの下から導入した。このとき、シャッターのスリット部から熱処理炉内に酸素が混入しないよう、スリット部は塞いだ状態とした。また、炭素繊維シート前駆体300mm幅、1000mの熱処理において、炭素繊維シート前駆体を250m熱処理する毎に耐熱シートを0.3m巻き取った。熱処理終了後に耐熱シートを熱処理炉から取り出し外観を確認した結果、耐熱シートが損耗し穴が生じていることを確認した。また、熱処理により得られた炭素繊維シートについて全長を検査した結果、貫通孔は11個発生しており0.02個/mを上回った。また、長径30μm以上の鉄異物は70個検出され、0.02個/mを上回った。鉄異物は特に該貫通孔の周囲で発生していた。
10 炭素繊維シート前駆体
20 炭素繊維シート
100 熱処理炉
101 炉内空間
102 マッフル上壁
103 マッフル下壁
104 炉床
105 熱処理炉の入口(炉入口)
106 熱処理炉の出口(炉出口)
107 熱源
108 耐熱シート
109 シャッター
110 スリット部
111 耐炎糸
112 ロール

Claims (14)

  1. 炭素繊維シート前駆体と、該炭素繊維シート前駆体に載置された耐熱シートとを連続的に搬送しながら、不活性雰囲気の熱処理炉内を通過させて炭素繊維シートを製造する炭素繊維シートの製造方法であって、
    前記耐熱シートは、前記熱処理炉の炉入口では前記炭素繊維シート前駆体と離間しており、前記熱処理炉の炉内空間中において前記炭素繊維シート前駆体に載置されることを特徴とする炭素繊維シートの製造方法。
  2. 前記炭素繊維シート前駆体が前記熱処理炉の炉内空間を通過する間、前記耐熱シートを、前記炭素繊維シート前駆体の搬送方向に、前記炭素繊維シート前駆体とは独立に移動させる、請求項1に記載の炭素繊維シートの製造方法。
  3. 前記炭素繊維シート前駆体が一定長搬送されるごとに、前記耐熱シートを間欠的に移動させる、請求項2に記載の炭素繊維シートの製造方法。
  4. 前記耐熱シートを、前記炭素繊維シート前駆体の搬送速度よりも遅い速度で連続的に移動させる、請求項2に記載の炭素繊維シートの製造方法。
  5. 前記耐熱シートが、搬送中の炭素繊維シート前駆体よりも広幅である、請求項1~4のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  6. 前記耐熱シートを、前記熱処理炉の上流側に設置したロールから巻き出して供給する、請求項1~5のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  7. 前記耐熱シートが炭素繊維不織布である、請求項1~6のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  8. 前記耐熱シートの目付が30~60g/mである、請求項1~7のいずれかに記載の
  9. 耐熱シートを、炭素繊維シート前駆体を1回~3回熱処理する毎に交換する、請求項1~8のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  10. 前記熱処理炉に供する前に、前記炭素繊維シート前駆体に対し、前記熱処理炉よりも低温の低温炉を通過させる予備熱処理を行う、請求項1~9のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  11. 前記炭素繊維シート前駆体として、1ロールの面積が50m以上の炭素繊維シート前駆体を用いる、請求項1~10のいずれかに記載の炭素繊維シートの製造方法。
  12. 長径30μm以上の金属異物の個数が1mあたり0.02個以下である、ロール状の炭素繊維シート製品。
  13. 0.4mm以上の長径を有する貫通孔の個数が1mあたり0.02個以下である、請求項12に記載の炭素繊維シート製品。
  14. 炭素繊維シート1ロールの幅と長さの積である面積が50m以上である、請求項12または13に記載の炭素繊維シート製品。
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