JP2023111412A - 円錐ころ軸受 - Google Patents

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佐保子 竹之内
sahoko Takenouchi
貴司 脇坂
Takashi Wakizaka
康由 林
Yasuyoshi Hayashi
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Abstract

【課題】外輪の内径面に形成されている鍔部と当該鍔部に接触する円錐ころの端面との間の焼き付きを抑制することが可能な円錐ころ軸受を提供する。【解決手段】円錐ころ軸受は、外輪と、円錐ころとを備えている。外輪は、外輪の中心軸である第1中心軸に沿う軸方向における端面である第1端面及び第2端面と、第1中心軸を中心とする円周に沿う周方向に沿って延在している内径面及び外径面とを有する。内径面は、第1中心軸側を向いている。外径面は、軸方向に直交し、かつ第1中心軸を通る径方向における内径面の反対面である。内径面は、周方向に沿って延在しており、かつ第1端面から第2端面側に向かうにつれて外径面との距離が小さくなるように傾斜している軌道面を含む。軌道面と第2端面との間にある内径面の部分には、径方向における内側に突出している鍔部が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、円錐ころ軸受に関する。より特定的には、本発明は、外輪の内径面に鍔部が形成されている外輪を有する円錐ころ軸受に関する。
例えば、特許第6778310号公報(特許文献1)には、円錐ころ軸受が記載されている。特許文献1に記載の円錐ころ軸受は、外輪と、複数の円錐ころとを有している。外輪の中心軸である第1中心軸に沿う方向を、軸方向とする。軸方向に直交し、かつ第1中心軸を通る方向を、径方向とする。第1中心軸を中心とする円周に沿う方向を、周方向とする。
外輪は、軸方向における端面である第1端面及び第2端面と、周方向に沿って延在している内径面及び外径面とを有している。内径面及び外径面は、それぞれ、第1中心軸側及び第1中心軸とは反対側を向いている。内径面は、円錐ころに接触する軌道面を有している。軌道面は、第1端面側から第2端面側に向かうにつれて外径面との間の距離が小さくなるように傾斜している。軌道面と第2端面との間にある内径面の部分には、径方向において内側に突出している鍔部が形成されている。
円錐ころは、第3端面と、第4端面と、外周面とを有している。第3端面及び第4端面は、円錐ころの中心軸である第2中心軸に沿う方向における端面である。第4端面は、鍔部に接触している。外周面は、第3端面及び第4端面に連なっており、かつ軌道面に接触している。
特許第6778310号公報
上記のとおり、特許文献1に記載の円錐ころ軸受では、外輪の内径面に鍔部が形成されているため、円錐ころの第4端面が鍔部に対して摺動する速度が、内輪の外径面に鍔部が形成されている場合と比較して、大きくなる。その結果、特許文献1に記載の円錐ころ軸受では、第4端面が鍔部に焼き付いてしまうことがある。
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、外輪の内径面に形成されている鍔部と当該鍔部に接触する円錐ころの端面との間の焼き付きを抑制することが可能な円錐ころ軸受を提供するものである。
本発明に係る円錐ころ軸受は、外輪と、円錐ころとを備えている。外輪は、外輪の中心軸である第1中心軸に沿う軸方向における端面である第1端面及び第2端面と、第1中心軸を中心とする円周に沿う周方向に沿って延在している内径面及び外径面とを有する。内径面は、第1中心軸側を向いている。外径面は、軸方向に直交し、かつ第1中心軸を通る径方向における内径面の反対面である。内径面は、周方向に沿って延在しており、かつ第1端面から第2端面側に向かうにつれて外径面との距離が小さくなるように傾斜している軌道面を含む。軌道面と第2端面との間にある内径面の部分には、径方向における内側に突出している鍔部が形成されている。円錐ころは、円錐ころの中心軸である第2中心軸に沿う方向において、第3端面と、第3端面の反対面であり、かつ鍔部に接触する第4端面とを有する。第4端面の曲率半径を円錐ころの円錐角の頂点と第4端面との間の距離で除した値は、0.75以上0.95以下である。
上記の円錐ころ軸受では、第4端面の曲率半径を円錐ころの円錐角の頂点と第4端面との間の距離で除した値が、0.80以上0.90以下であってもよい。
上記の円錐ころ軸受では、鍔部が、第4端面に接触する鍔面を有していてもよい。鍔面は、軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において、第4端面及び鍔面の接触点における第4端面の接線に平行であってもよい。
上記の円錐ころ軸受では、軌道面の延長線と円錐ころの円錐角の頂点及び第4端面及び鍔面の接触点を通る直線とがなす角度が円錐ころの円錐角の1/6以下であってもよい。上記の円錐ころ軸受では、軌道面の延長線と円錐ころの円錐角の頂点及び第4端面及び鍔面の接触点を通る直線とがなす角度が円錐ころの円錐角の1/8以下であってもよい。
本発明に係る円錐ころ軸受によると、外輪の内径面に形成されている鍔部と当該鍔部に接触する円錐ころの端面との間の焼き付きを抑制することが可能である。
円錐ころ軸受100の断面図である。 鍔面10ea及び第4端面30bの近傍における円錐ころ軸受100の拡大断面図である。 曲率半径Rを距離DISで除した値と油膜厚さとの間の関係を示すグラフである。 曲率半径Rを距離DISで除した値と鍔部10eのPV値との関係を示すグラフである。 鍔面10eaがストレート鍔である場合の接触楕円の範囲を示す模式図である。 鍔面10eaが球面鍔である場合も接触楕円の範囲を示す模式図である。
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。実施形態に係る円錐ころ軸受を、円錐ころ軸受100とする。
(円錐ころ軸受100の構成)
以下に、円錐ころ軸受100の構成を説明する。
図1は、円錐ころ軸受100の断面図である。図1には、軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面が示されている。図1に示されるように、円錐ころ軸受100は、外輪10と、内輪20と、複数の円錐ころ30とを有している。円錐ころ軸受100は、例えば、ロボットや建設機械の減速機に使用される。
外輪10の中心軸を、第1中心軸とする。第1中心軸に沿う方向を、軸方向とする。軸方向に直交し、かつ第1中心軸を通る方向を、径方向とする。第1中心軸を中心とする円周に沿う方向を、周方向とする。
外輪10は、第1端面10aと、第2端面10bと、内径面10cと、外径面10dとを有している。第1端面10a及び第2端面10bは、軸方向における外輪10の端面である。第2端面10bは、軸方向における第1端面10aの反対面である。
内径面10cは、周方向に沿って延在している。内径面10cは、第1中心軸側を向いている。内径面10cは、軌道面10caを有している。軌道面10caは、円錐ころ30に接触する内径面10cの部分である。軌道面10caは、周方向に沿って延在している。軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において、軌道面10caは、径方向における軌道面10caと外径面10dとの間の距離が第1端面10a側から第2端面10b側に向かうにつれて小さくなるように傾斜している。
外径面10dは、周方向に沿って延在している。外径面10dは、第1中心軸とは反対側を向いている。このことを別の観点から言えば、外径面10dは、径方向における内径面10cの反対面である。外輪10は、外径面10dにおいて、図示しないハウジングに嵌め合わされる。
軌道面10caと第2端面10bとの間にある内径面10cの部分には、鍔部10eが形成されている。鍔部10eは、径方向における内側に向かって突出している。円錐ころ30に接触する鍔部10eの面を、鍔面10eaとする。なお、鍔面10eaは、ヌスミ部10fを介して軌道面10caに連なっている。また、鍔面10eaの内径側の端(ヌスミ部10fとは反対側の端)は、面取り部10gになっていてもよい。
内輪20は、端面20aと、端面20bと、内径面20cと、外径面20dとを有している。端面20a及び端面20bは、軸方向における内輪20の端面である。端面20bは、軸方向における端面20aの反対面である。内径面20cは、周方向に沿って延在している。内径面20cは、第1中心軸側を向いている。内輪20は、内径面20cにおいて、図示しない軸に嵌め合わされる。
外径面20dは、周方向に延在している。外径面20dは、第1中心軸とは反対側を向いている。このことを別の観点から言えば、外径面20dは、径方向における内径面20cの反対面である。内輪20は、外径面20dが内径面10cと間隔を空けて対向するように、外輪10の径方向における内側に配置されている。
外径面20dは、軌道面20daを有している。軌道面20daは、円錐ころ30に接触する外径面20dの部分である。軌道面20daは、周方向に沿って延在している。軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において、軌道面20daは、径方向における軌道面20daと内径面20cとの間の距離が端面20a側から端面20b側に向かうにつれて大きくなるように傾斜している。なお、内輪20には、鍔部は形成されていない。
複数の円錐ころ30は、軌道面10caと軌道面20daとの間において、周方向に沿って並んでいる。円錐ころ30の中心軸を、第2中心軸とする。円錐ころ30は、第3端面30a(小端面)と、第4端面30b(大端面)と、外周面30cとを有している。
第3端面30a及び第4端面30bは、第2中心軸に沿う方向における円錐ころ30の端面である。第4端面30bは、第2中心軸に沿う方向における第3端面30aの反対面であり、鍔面10eaに接触している。第4端面30bの直径は、第3端面30aの直径よりも大きい。外周面30cは、第3端面30a及び第4端面30bに連なっている。外周面30cは、円錐面により構成されている。外周面30cは、軌道面10ca及び軌道面20daに接触している。
円錐ころ軸受100は、図示しない保持器をさらに有している。保持器は、周方向において隣り合っている2つの円錐ころ30の間の間隔が一定範囲内となるように、複数の円錐ころ30を保持している。
<外輪10及び円錐ころ30の詳細構成>
円錐ころ30の円錐角を、円錐角θとする。円錐角θの頂点を、頂点Pとする。軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において、軌道面10caに接触している外周面30cの部分の延長線(軌道面10caの延長線)を、直線L1とする。軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において、軌道面20daに接触している外周面30cの部分の延長線(軌道面20daの延長線)を、直線L2とする。直線L1と直線L2とがなす角度が円錐角θであり、直線L1及び直線L2が交差する位置が頂点Pである。なお、第1中心軸は、頂点Pを通る。
第4端面30bは、軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において、部分円弧状である。第4端面30bの曲率半径を、曲率半径Rとする。頂点Pと第4端面30bとの間の距離を、距離DISとする。距離DISは、曲率半径Rよりも大きい。曲率半径Rを距離DISで除した値は、0.75以上0.95以下である。曲率半径Rを距離DISで除した値は、0.80以上0.90以下であることが好ましい。
図2は、鍔面10ea及び第4端面30bの近傍における円錐ころ軸受100の拡大断面図である。図2に示されるように、鍔面10ea及び第4端面30bは、接触点CPにおいて、互いに接触している。軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において、接触点CPにおける第4端面30bの接線を直線L3とする。軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において、鍔面10eaは、好ましくは直線L3に平行になっている。接触点CP及び頂点Pを通る直線を、直線L4とする。直線L1と直線L4とがなす角を、接点角ρとする。接点角ρは、円錐角θの1/6以下であることが好ましい(すなわち、接点角ρを円錐角θで除した値は、1/6以下であることが好ましい)。接点角ρを円錐角θで除した値は、1/8以下であることがさらに好ましい。
軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において鍔面10eaが直線L3に平行になっていることを、ストレート鍔ということがある。なお、軸方向に平行であり、かつ第1中心軸を通る断面視において鍔面10eaが第4端面30bに沿う円弧状になっていることを、球面鍔ということがある。
(円錐ころ軸受100の効果)
以下に、円錐ころ軸受100の効果を説明する。
円錐ころ軸受100では、外輪10に円錐ころ30と接触する鍔部(鍔部10e)が形成されている。そのため、円錐ころ軸受100では、第4端面30bの鍔部10eに対する摺動速度は、内輪20に円錐ころ30と接触する鍔部を有している場合と比較して、大きくなる。その結果、鍔部10e及び第4端面30bの近傍における発熱が大きくなる。鍔部10e及び第4端面30bの近傍における発熱は、鍔部10eの第4端面30bに対する焼き付きの原因となり得る。
図3は、曲率半径Rを距離DISで除した値と油膜厚さとの間の関係を示すグラフである。図3中において、横軸は曲率半径Rを距離DISで除した値であり、縦軸は鍔面10eaと第4端面30bとの間の油膜厚さの相対値である。図3中の縦軸は、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75である際の鍔面10eaと第4端面30bとの間の油膜厚さを1として相対的に表示されている。
図3に示されるように、鍔面10eaと第4端面30bとの間の油膜厚さは、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75となる際に最大値となり、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75よりも大きくなるに伴って低下する。曲率半径Rを距離DISで除した値が0.95よりも大きくなると、鍔面10eaと第4端面30bとの間の油膜厚さは、急激に低下する。
円錐ころ軸受100では、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75以上0.95になっているため、潤滑油が鍔面10eaと第4端面30bとの間における油膜厚さが確保されている。鍔面10eaと第4端面30bとの間の潤滑性が良好になるほど、鍔部10e及び第4端面30bの近傍における発熱が抑制される。
図4は、曲率半径Rを距離DISで除した値と鍔部10eのPV値との関係を示すグラフである。図4中において、横軸は曲率半径Rを距離DISで除した値の相対値であり、縦軸は鍔部10eのPV値である。図4中の縦軸は、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.80である際のPV値を1として相対的に表示されている。ここで、鍔部10eのPV値は、P値とV値との積である。P値は鍔面10eaにおける最大接触面圧であり、V値は鍔部10eと第4端面30bの鍔部10eに対する摺動速度である。鍔部10eのPV値が大きくなるほど、鍔部10e及び第4端面30bの近傍における発熱が大きくなる。
図4に示されるように、鍔部10eのPV値は、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75よりも大きくなるに伴って低下する。円錐ころ軸受100では、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75以上になっているため、PV値の上昇、ひいては鍔部10e及び第4端面30bの近傍における発熱が抑制されている。
以上のように、円錐ころ軸受100では、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75以上0.95以下とされているため、鍔面10eaと第4端面30bとの間の油膜厚さの確保及び鍔部10eにおけるPV値の上昇抑制により、鍔部10e及び第4端面30bの近傍における発熱、ひいては鍔部10eと第4端面30bとの間の焼き付きが抑制されている。
曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75以上0.95以下とされることによる効果を確認するために、円錐ころ軸受のサンプルとして、サンプル1からサンプル7が準備された。サンプル1からサンプル7では、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.70以上1.00以下の範囲内で変化された。
サンプル1からサンプル7では、円錐ころ軸受の内径、外径及び幅が、それぞれ30.162mm、64.292mm及び21.433mmとされた。サンプル1からサンプル7では、内輪20が外輪10に対して7000回転/分の回転速度で回転された。サンプル1からサンプル7では、650kg重(約6.37kN)のアキシャル荷重が加えられた。サンプル1からサンプル7の焼き付き性の評価は、外輪の外径面における初期ピーク温度を測定することにより行われた。
なお、外輪の外径面における初期ピーク温度が160℃以上170℃未満である場合に評価Aとされ、外輪の外径面における初期ピーク温度が170℃以上180℃未満である場合に評価Bとされ、外輪の外径面における初期ピーク温度が180℃以上である場合に評価Cとされた。
Figure 2023111412000002
表1に示されるように、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75以上0.95以下であるサンプル2からサンプル6では、焼き付き性の評価がB以上であった。曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75未満であるサンプル1及び曲率半径Rを距離DISで除した値が0.95超であるサンプル7では、焼き付き性の評価がCであった。この比較から、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.75以上0.95以下とすることにより鍔部10eと第4端面30bとの間の焼き付きが抑制されることが、実験的に明らかになった。
曲率半径Rを距離DISで除した値が0.80以上0.90以下であるサンプル3からサンプル5では、焼き付き性の評価がAであった。この比較から、曲率半径Rを距離DISで除した値が0.80以上0.90以下とすることにより鍔部10eと第4端面30bとの間の焼き付きがさらに抑制されることが、実験的に明らかになった。
図5Aは、鍔面10eaがストレート鍔である場合の接触楕円の範囲を示す模式図である。図5Bは、鍔面10eaが球面鍔である場合も接触楕円の範囲を示す模式図である。図5A及び図5B中において、接触楕円の範囲はクロスハッチングにより示されている。図5A及び図5Bに示されるように、鍔面10eaが球面鍔である場合の接触楕円の面積は、鍔面10eaがストレート鍔である場合と比較して大きくなる。接触楕円の面積が大きくなるほど、鍔部10e及び第4端面30bの近傍における発熱が大きくなる。そのため、鍔面10eaがストレート鍔である場合、鍔部10eと第4端面30bとの間の焼き付きがさらに抑制される。また、この場合には、ヌスミ部10fや面取り部10gが接触楕円に干渉してスキューが発生することを抑制できる。
接点角ρの値が小さくなるにつれて、接触点CPにおける第4端面30bの滑り速度が小さくなる。他方で、接点角ρの値が大きくなるにつれて、接触点CPにおける第4端面30bの滑り速度が大きくなる。接触点CPにおける第4端面30bの滑り速度が大きくなると、鍔部10e及び第4端面30bの近傍における発熱が大きくなる。そのため、接点角ρが円錐角θの1/6以下である場合、接触点CPにおける第4端面30bの滑り速度が小さくなり、鍔部10eと第4端面30bとの間の焼き付きがさらに抑制される。
接点角ρを円錐角θで除した値を1/6以下にすることよる効果を確認するため、円錐ころ軸受のサンプルとして、サンプル8からサンプル14が準備された。サンプル8からサンプル14では、接点角ρを円錐角θで除した値が1/10以上1/4以下の範囲内で変化された。
サンプル8からサンプル14では、円錐ころ軸受の内径、外径及び幅が、それぞれ30mm、62mm及び17.25mmとされた。サンプル8からサンプル14では、内輪20が外輪10に対して3000回転/分の回転速度で回転された。サンプル8からサンプル14では、650kg重(約6.37kN)のアキシャル荷重が加えられた。サンプル8からサンプル14の焼き付き性の評価は、上記の回転速度で1時間回転された後に外輪の外径面における温度を測定することにより行われた。
なお、上記の回転速度で1時間回転された後の外輪の外径面における温度上昇が40℃未満である場合に評価Aとされ、上記の回転速度で1時間回転された後の外輪の外径面における温度上昇が40℃以上60℃未満である場合に評価Bとされ、上記の回転速度で1時間回転された後の外輪の外径面における温度上昇が60℃以上80℃未満である場合に評価Cとされ、上記の回転速度で1時間回転された後の外輪の外径面における温度上昇が80℃以上である場合に評価Dとされた。
Figure 2023111412000003
表2に示されるように、接点角ρを円錐角θで除した値が1/6以下であるサンプル8からサンプル12では、焼き付き性の評価がB以上であった。接点角ρを円錐角θで除した値が1/6超であるサンプル13及びサンプル14では、焼き付き性の評価がC以下であった。この比較から、接点角ρを円錐角θで除した値が1/6以下とすることにより鍔部10eと第4端面30bとの間の焼き付きがさらに抑制されることが、実験的に明らかになった。また、接点角ρを円錐角θで除した値が1/8以下であるサンプル8からサンプル10では、焼き付き性の評価がAであった。この比較から、接点角ρを円錐角θで除した値が1/8以下とすることにより鍔部10eと第4端面30bとの間の焼き付きが特に抑制されることが、実験的に明らかになった。
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
上記の実施形態は、例えば減速機に用いられ、外輪に鍔部が形成されている円錐ころ軸受に特に有利に適用される。
10 外輪、10a 端面、10b 端面、10c 内径面、10ca 軌道面、10d 外径面、10e 鍔部、10ea 鍔面、10f ヌスミ部、10g 面取り部、20 内輪、20a 第1端面、20b 第2端面、20c 内径面、20d 外径面、20da 軌道面、30 円錐ころ、30a 第3端面、30b 第4端面、30c 外周面、100 円錐ころ軸受、CP 接触点、DIS 距離、L1,L2,L3,L4 直線、P 頂点、R 曲率半径。

Claims (5)

  1. 外輪と、
    円錐ころとを備え、
    前記外輪は、前記外輪の中心軸である第1中心軸に沿う軸方向における端面である第1端面及び第2端面と、前記第1中心軸を中心とする円周に沿う周方向に沿って延在している内径面及び外径面とを有し、
    前記内径面は、前記第1中心軸側を向いており、
    前記外径面は、前記軸方向に直交し、かつ前記第1中心軸を通る径方向における前記内径面の反対面であり、
    前記内径面は、前記周方向に沿って延在しており、かつ前記第1端面から前記第2端面側に向かうにつれて前記外径面との距離が小さくなるように傾斜している軌道面を含み、
    前記軌道面と前記第2端面との間にある前記内径面の部分には、前記径方向における内側に突出している鍔部が形成されており、
    前記円錐ころは、前記円錐ころの中心軸である第2中心軸に沿う方向において、第3端面と、前記第3端面の反対面であり、かつ前記鍔部に接触する第4端面とを有し、
    前記第4端面の曲率半径を前記円錐ころの円錐角の頂点と前記第4端面との間の距離で除した値は、0.75以上0.95以下である、円錐ころ軸受。
  2. 前記曲率半径を前記頂点と前記第4端面との間の距離で除した値は、0.80以上0.90以下である、請求項1に記載の円錐ころ軸受。
  3. 前記鍔部は、前記第4端面に接触する鍔面を有し、
    前記鍔面は、前記軸方向に平行であり、かつ前記第1中心軸を通る断面視において、前記第4端面及び前記鍔面の接触点における前記第4端面の接線に平行である、請求項1又は請求項2に記載の円錐ころ軸受。
  4. 前記軌道面の延長線と前記頂点及び前記接触点を通る直線とがなす角度は、前記円錐角の1/6以下である、請求項3に記載の円錐ころ軸受。
  5. 前記軌道面の延長線と前記頂点及び前記接触点を通る直線とがなす角度は、前記円錐角の1/8以下である、請求項3に記載の円錐ころ軸受。
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