JP2023108426A

JP2023108426A - ジンを含有する容器詰め炭酸アルコール飲料及びその製造方法

Info

Publication number: JP2023108426A
Application number: JP2022009551A
Authority: JP
Inventors: 真路土肥; Shinji Doi; 康資三浦; Kosuke Miura
Original assignee: Suntory Holdings Ltd
Current assignee: Suntory Holdings Ltd
Priority date: 2022-01-25
Filing date: 2022-01-25
Publication date: 2023-08-04
Also published as: TW202346562A; WO2023145633A1

Abstract

【課題】本発明は、ジンを含有する容器詰め炭酸アルコール飲料において、ジン由来のメタリックな香り及び後口の苦味が改善された容器詰め炭酸アルコール飲料を提供することを目的とする。【解決手段】ジンを含有する容器詰め炭酸アルコール飲料に対して冷涼感付与物質を配合する。【選択図】なし

Description

本発明は飲料に関し、より具体的には、ジンを含有する容器詰めの炭酸アルコール飲料及びその製造方法に関する。

容器詰め炭酸アルコール飲料は、一般に、アルコール源となるベース酒を用いて製造されることが知られている。このようなベース酒としては、例えば、焼酎、スピリッツ、及び原料用アルコール等の蒸留酒等が使用されている。市場における容器詰め炭酸アルコール飲料としては、上記のベース酒に対して、果汁、香料、甘味料、及び酸味料等を添加することによって風味を付した製品が存在している。

容器詰め炭酸アルコール飲料の中でも、ジンを使用して風味を付した製品は、ジンに含まれる特徴的な香気成分に由来する爽やかな香味を有しており、消費者の間で一定のニーズがある。

アルコール飲料に対して香味の効果を高める技術は以前より知られており、これまでには、例えば、コリアンダー抽出物と糖類とを含むアルコール飲料（特許文献１）や、リモネンと冷涼感付与物質を含む容器詰め炭酸アルコール飲料（特許文献２）等が報告されている。

特許第６７９８８３８号公報特開２０１９－１８０２７９号公報

本発明者らは、容器詰め炭酸アルコール飲料を開発する過程において、ジンを使用することで特徴的な爽やかな香味を付与することができる一方で、ジンに由来するメタリックな香りや後口として苦味が感じられやすくなり、不快な香味も付与されてしまうという問題点もあることを見出した。

そこで、本発明は、ジンを含有する容器詰め炭酸アルコール飲料において、ジン由来のメタリックな香り及び後口の苦味が改善された容器詰め炭酸アルコール飲料を提供することを目的とする。

上記課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討した結果、冷涼感付与物質の添加が、容器詰め炭酸アルコール飲料におけるジン由来のメタリックな香りや後口の苦味の改善に有効であることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは本発明を完成するに至った。

本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
（１）ジン及び冷涼感付与物質を含む、容器詰め炭酸アルコール飲料。
（２）冷涼感付与物質を０．１～１００００ｐｐｂ含む、（１）に記載の飲料。
（３）冷涼感付与物質を０．１～１００ｐｐｂ含む、（１）又は（２）に記載の飲料。
（４）冷涼感付与物質が、メントール又はその誘導体、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、３－（ｌ－メントキシ）プロパン－１，２－ジオール、Ｎ－アルキル－ｐ－メンタン－３－カルボキサミド、２－メチル－３－（ｌ－メントキシ）プロパン－１，２－ジオール、ｐ－メンタン－３，８－ジオール、２－（ｌ－メントキシ）エタン－１－オール、３－（ｌ－メントキシ）プロパン－１－オール、４－（ｌ－メントキシ）ブタン－１－オール、３－ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、Ｎ－メチル－２，２－イソプロピルメチル－３－メチルブタンアミド、及びグリオキシル酸メンチルからなる群より選択される少なくとも一種である、（１）～（３）のいずれか１に記載の飲料。
（５）アルコール含有量が１～１５ｖ／ｖ％である、（１）～（４）のいずれか１に記載の飲料。
（６）アルコール含有量が５～９ｖ／ｖ％である、（１）～（５）のいずれか１に記載の飲料。
（７）甘味度が２以下である、（１）～（６）のいずれか１に記載の飲料。
（８）容器が缶である、（１）～（７）のいずれか１に記載の飲料。
（９）ジンと冷涼感付与物質とを混合する工程を含む、容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法。

本発明によれば、ジンを含有する容器詰め炭酸アルコール飲料において、メタリックな香りや後口の苦味が改善された容器詰め炭酸アルコール飲料を提供することができる。

本発明の容器詰め炭酸アルコール飲料について、以下に説明する。なお、特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ｐｐｍ」、「ｐｐｂ」、及び「重量％」は、重量／容量（ｗ／ｖ）のｐｐｍ、ｐｐｂ、及び重量％をそれぞれ意味する。

本発明の一態様は、ジン及び冷涼感付与物質を含む容器詰め炭酸アルコール飲料である。冷涼感付与物質の使用によって、容器詰め炭酸アルコール飲料におけるジン由来のメタリックな香りや後口の苦味を改善することができる。ここで、メタリックな香りとは、刺激があって金属を思わせる不快な香りを意味する。

（ジン）
本発明の飲料は、ジンを含有する。ジンは蒸留酒の一種であり、大麦、ライ麦、ジャガイモ等の穀類の発酵液にジュニパーベリー（セイヨウネズの実）の香りを付けた蒸留酒である。本発明において、ジンは自体公知の方法を用いて自ら作製したものを用いてもよく、或いは、酒類の原料として市場で入手可能な製造品を用いてもよい。本発明では、市場で入手可能な製造品が好適に用いられる。本発明においてジンは一種のみを用いてもよく、二種以上のジンを組み合わせて用いてもよい。

本発明において、飲料中のジンの含有量は特に限定されず、種々の目的に応じて適宜設定することができる。本発明の飲料におけるジンの含有量は、飲料中におけるジン由来のアルコールの量（ｖ／ｖ％）で示される。例えば、アルコール含有量（アルコール度数）が４０ｖ／ｖ％のジンを１０ｖ／ｖ％の量で飲料に含有させた場合、当該飲料におけるジンの含有量は、飲料中のジン由来のアルコールの量である４ｖ／ｖ％として表される。本発明の飲料におけるジンの含有量については特に限定されないが、例えば０．０１ｖ／ｖ％以上であり、好ましくは０．１ｖ／ｖ％以上、より好ましくは０．５ｖ／ｖ％以上である。ジンの含有量の上限値も特に限定されず、本発明の飲料におけるジンの含有量は、例えば１５ｖ／ｖ％以下、好ましくは１０ｖ／ｖ％以下、より好ましくは７ｖ／ｖ％以下である。本発明の飲料におけるジンの含有量は、特に限定されないが、例えば０．０１～１５ｖ／ｖ％、好ましくは０．１～１０ｖ／ｖ％、より好ましくは１～９ｖ／ｖ％、さらに好ましくは３～７ｖ／ｖ％である。本発明の飲料が二種以上のジンを含む場合、上記の含有量はジンの合計含有量を意味する。

（冷涼感付与物質）
本発明の飲料は、冷涼感付与物質を含有する。本発明において冷涼感付与物質とは、口に含んだ際に冷涼感が感じられる物質を意味する。冷涼感付与物質としては、例えば、メントール又はその誘導体、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、３－（ｌ－メントキシ）プロパン－１，２－ジオール、Ｎ－アルキル－ｐ－メンタン－３－カルボキサミド、２－メチル－３－（ｌ－メントキシ）プロパン－１，２－ジオール、ｐ－メンタン－３，８－ジオール、２－（ｌ－メントキシ）エタン－１－オール、３－（ｌ－メントキシ）プロパン－１－オール、４－（ｌ－メントキシ）ブタン－１－オール、３－ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、Ｎ－メチル－２，２－イソプロピルメチル－３－メチルブタンアミド、及びグリオキシル酸メンチル等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。メントールの誘導体としては、特に限定されないが、例えば、メントールの化学構造中のヒドロキシ基における水素原子が、１以上のヒドロキシ基で置換されていてもよいＣ１～Ｃ６のアルキル基に置換されたものや、或いは当該水素原子が、１以上のヒドロキシ基で置換されていてもよいＣ１～Ｃ６のアルキルカルボニル基に置換されたもの等が挙げられる。本発明において冷涼感付与物質は１種のみを用いてもよく、或いは２種以上を組み合わせ用いてもよい。冷涼感付与物質としては、好ましくはメントール又はその誘導体が用いられる。本発明において用いられるメントールは、ｌ－メントール及びｄ－メントールのいずれであってもよく、これらの混合物であってもよい。

本発明において冷涼感付与物質の由来は特に限定されず、ミント等のハーブの抽出物、又はその蒸溜物であってもよいし、アルコール源となる原料酒であってもよいし、それ以外の添加物であってもよい。

本発明の飲料における冷涼感付与物質の含有量は、特に限定されないが、例えば０．１～１００００ｐｐｂである。当該含有量の範囲で冷涼感付与物質が用いられる場合、ジンに由来するメタリックな香りや後口の苦味を効果的に改善することができる。冷涼感付与物質の含有量は、好ましくは０．５ｐｐｂ以上、より好ましくは１ｐｐｂ以上、さらに好ましくは３ｐｐｂ以上、さらにより好ましくは５ｐｐｂ以上である。また、冷涼感付与物質の含有量は、好ましくは１０００ｐｐｂ以下、より好ましくは５００ｐｐｂ以下、さらに好ましくは１００ｐｐｂ以下、さらにより好ましくは５０ｐｐｂ以下である。本発明の飲料における冷涼感付与物質の含有量は、好ましくは０．５～１０００ｐｐｂ、より好ましくは１～５００ｐｐｂ、さらに好ましくは３～１００ｐｐｂ、さらにより好ましくは５～５０ｐｐｂである。

本発明において、飲料中の冷涼感付与物質の含有量はガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。２種以上の冷涼感付与物質を用いた場合、上記の含有量は冷涼感付与物質の合計含有量を意味する。

（アルコール含有量）
本発明の飲料は、炭酸アルコール飲料である。本発明において、特に断りがない限り、「アルコール」とは、エタノールのことをいう。本発明の飲料におけるアルコール含有量は、特に限定されないが、例えば１～１５ｖ／ｖ％である。アルコール含有量が前記の範囲であると、ジンを含む炭酸アルコール飲料としてより味わい深く飲みやすい飲料となる傾向にある。本発明の飲料におけるアルコール含有量は、好ましくは１～１０ｖ／ｖ％、より好ましくは３～９ｖ／ｖ％、さらに好ましくは４～９ｖ／ｖ％、さらにより好ましくは５～９ｖ／ｖ％である。

飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって必要に応じて炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を水蒸気蒸留し、得られた留液の１５℃における密度を測定し、国税庁所定分析法（平１９国税庁訓令第６号、平成１９年６月２２日改訂）の付表である「第２表アルコール分と密度（１５℃）及び比重（１５／１５℃）換算表」を用いて換算して求めることができる。本発明においてアルコール含有量はアルコール度数（ｖ／ｖ％）と同義である。

本発明の飲料におけるアルコール含有量は、上述したジンを用いて調整してもよく、或いは、ジンとそれ以外の酒類を用いて調整してもよい。すなわち、本発明の飲料は、ジン以外の酒類を含んでいてもよい。ジン以外の酒類としては、例えばジン以外の蒸留酒を用いることができ、当該蒸留酒はその原料や製造方法によって限定されない。ジン以外の蒸留酒としては、例えば、スピリッツ（例えば、ウオッカ、ラム、テキーラ、ジン、アクアビット）、ニュートラルスピリッツ、リキュール類、焼酎、原料用アルコール等が挙げられる。本発明で用いられるジン以外の蒸留酒は、好ましくはニュートラルスピリッツである。

（炭酸ガス）
本発明の飲料は、炭酸ガスを含有する。炭酸ガスは、当業者に通常知られる方法を用いて飲料に付与することができ、例えば、これらに限定されないが、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させてもよいし、ツーヘンハーゲン社のカーボネーター等のミキサーを用いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合してもよいし、また、二酸化炭素が充満したタンク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させてもよいし、飲料と炭酸水とを混合してもよい。これらの手段を適宜用いて炭酸ガス圧を調節する。

本発明の飲料の炭酸ガス圧は、特に限定されないが、飲料温度が２０℃の際に、例えば０．５～４．０ｋｇｆ／ｃｍ^２、好ましくは１．０～３．５ｋｇｆ／ｃｍ^２、より好ましくは１．５～３．４ｋｇｆ／ｃｍ^２である。本発明において炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置ＧＶＡ－５００Ａを用いて測定することができる。例えば、試料温度を２０℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き（スニフト）、振とう後、炭酸ガス圧を測定する。本明細書においては、特に断りがない限り、炭酸ガス圧は、２０℃における炭酸ガス圧を意味する。

（甘味度）
本発明の飲料の甘味度は、特に限定されないが、例えば５以下である。甘味度が５以下である場合、本発明の飲料においてジン特有の爽やかな香味が感じられやすくなる傾向にある。本発明の飲料の甘味度は、好ましくは４以下、より好ましくは３以下、さらに好ましくは２以下である。

本明細書における甘味度とは、飲料１００ｇ中にショ糖１ｇ含有する飲料の甘さを「１」とした、飲料の甘味を表す指標である。当該飲料の甘味度は、各甘味成分の含有量を、ショ糖の甘味１に対する当該甘味成分の甘味の相対比に基づいて、ショ糖の相当量に換算して、次いで当該飲料に含まれる全ての甘味成分のショ糖甘味換算量（果汁やエキス等由来の甘味成分も含む）を総計することによって求められる。ショ糖の甘味１に対する各種代表的な甘味成分の甘味の相対比は、下表に示す。下表に記載のない甘味成分については、当該甘味成分を製造あるいは販売しているメーカーが提示する甘味度を用いたり、官能評価より甘味度を求めたりすることができる。

飲料の甘味度は、甘味成分を用いて調整することができる。飲料中に上記甘味成分を直接配合してもよいし、甘味成分を含有する原料、例えば果汁やエキス等を配合してもよい。また、甘味成分は１種のみならず２種以上を配合してもよい。好ましい甘味成分は、果糖、異性化糖、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、オリゴ糖（マルトオリゴ糖など）、及び糖アルコール（エリスリトール、キシリトールなど）であり、特に好ましい甘味成分は、果糖とショ糖である。

（テルピネン－４－オール）
本発明の飲料には、テルピネン－４－オールが含まれる。テルピネン－４－オールは、化学式Ｃ_１０Ｈ_１８Ｏで表されるテルピネオールの異性体であり、別名として４－メチル－１－（１－メチルエチル）－３－シクロヘキセン－１－オールとも称され、そのＣＡＳ登録番号は５６２－７４－３である。テルピネン－４－オールは、ティーツリー（ＴｅａＴｒｅｅ）の精油に含まれることが知られており、ジンに含まれることも知られている。本発明においてテルピネン－４－オールはジン由来であってもよいし、ジン以外の原料に由来するものであってもよい。

本発明の飲料におけるテルピネン－４－オールの含有量は、特に限定されないが、例えば２～５０００ｐｐｂであり、好ましくは６～１０００ｐｐｂ、より好ましくは６～５００ｐｐｂである。上記の通りテルピネン－４－オールはジンに含まれている成分であるが、本発明では飲料に対して容器詰めの処置を行うことによってジンにおける当該成分の濃度が低下する傾向にある。テルピネン－４－オールの濃度が低下するとジン由来のメタリックな香りが強く感じられることがあり、その場合、本発明では冷涼感付与物質の作用がより効果的に発揮されることとなる。本発明においては、テルピネン－４－オールはジンに含まれていることから、飲料中のジンの含有量は、飲料中のテルピネン－４－オールの含有量で調整することもできる。

本発明の飲料において、テルピネン－４－オールの含有量に対する冷涼感付与物質の含有量の重量比（［冷涼感付与物質の含有量］／［テルピネン－４－オールの含有量］）は、特に限定されないが、例えば０．００００２以上、好ましくは０．０００１以上、より好ましくは０．００１以上、さらに好ましくは０．０１以上である。また、当該重量比は、例えば５０００以下、好ましくは２０００以下、より好ましくは１０００以下、さらに好ましくは１００以下である。なお、前記の重量比は、テルピネン－４－オール及び冷涼感付与物質の含有量をいずれも同一の単位としたときに算出される比である。

（その他原料）
本発明の飲料には、上記に示した各種成分に加えて、通常の飲料に用いられる香料、栄養強化剤（ビタミン類など）、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、ｐＨ調整剤、及び品質安定剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。

（飲料）
本発明のアルコール飲料の種類は特に限定されず、例えば、ハイボール、チューハイ（酎ハイ）、カクテル、サワー等とすることができる。「ハイボール」、「チューハイ」との用語は、本発明の飲料との関連で用いられる場合、水と蒸留酒と炭酸とを含有する飲料を意味する。ハイボール、チューハイは、さらに果汁を含有してもよい。また、「サワー」との用語は、本発明の飲料との関連で用いられる場合、スピリッツと、柑橘類等の酸味のある果汁と、甘味成分と、炭酸とを含有する飲料を意味する。「カクテル」との用語は、本発明の飲料との関連で用いられる場合、ベースとなる酒類に果汁等を混ぜて作られたアルコール飲料を意味する。

本発明の飲料は、容器に詰められた状態の容器詰め飲料である。容器としては、特に限定されず、例えば、プラスチックボトル（ＰＥＴボトルなど）、缶（アルミ缶、スチール缶など）、紙パック、チルドカップ、瓶などを挙げることができる。なかでも、本発明では缶を容器として用いることが好ましい。

本発明の飲料は、加熱殺菌された容器詰め飲料であってもよい。加熱殺菌を行う場合、その方法は特に限定されず、例えばＵＨＴ殺菌及びレトルト殺菌等の通常の手法を用いて行うことができる。加熱殺菌処理の温度は特に限定されないが、例えば６５～１３０℃、好ましくは８５～１２０℃である。加熱殺菌処理の時間は特に限定されないが、例えば１０～４０分である。ただし、上記の条件と同等の殺菌価が得られれば適当な温度で数秒、例えば５～３０秒での加熱殺菌処理でもよい。

（製造方法）
本発明の飲料は、上述した成分を適宜配合することにより製造することができる。本発明の飲料の製造において、各種成分の配合順序は特に限定されるものではない。また、本発明の飲料の製造においては、上記に示した成分及び材料を配合する工程やそれらの含有量を調整する工程も含むことができる。本発明の飲料の製造における飲料中の成分の種類やその含有量等の各種要素については、本発明の飲料に関して上記した通りであるか、それらから自明である。

また、本発明の飲料の製造においては、必要に応じて飲料を加熱殺菌する工程が含まれ、また、飲料の容器詰めを行う工程も含むことができ、これらの工程を経て、容器詰め飲料とすることができる。加熱殺菌を行う条件は上記に説明した通りであるが、特に限定されるわけではない。

本発明の飲料の製造方法は、上記の通り特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法により本発明の飲料を得ることができる。まず、アルコール含有量が所定の値になるように、ジン、及び必要に応じてベース酒や原料となる酒類を水に加えて希釈する。次に冷涼感付与物質、及び必要に応じて他の添加剤をそれぞれ所定量添加し、均一に混合する。次いで、炭酸ガスの含有量が所定の量になるようにカーボネーションを行う。次いで、得られた飲料を容器に充填及び密封し、必要に応じて加熱殺菌を行う。これにより、本発明の飲料を得ることができる。なお、水に代えて炭酸水を用いることによって炭酸ガスを飲料に添加してもよい。本発明の別の一態様は、ジンと冷涼感付与物質とを混合する工程を含む、容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法である。

以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

＜参考例＞
ジンを含有する炭酸アルコール飲料について、各種成分の最終濃度が下表に示した濃度となるように飲料サンプルを調製した。具体的には、炭酸水にジン及びクエン酸（無水）を混合して飲料サンプルを調製し、必要に応じて原料用アルコールを添加して飲料のアルコール含有量を調整した。参考例１～４においては、原料に用いたジンはジン製品Ａ（サントリージン翠（ＳＵＩ）：アルコール度数４０％）とし、参考例５及び６ではジン製品Ｂ（ビーフィータージン：アルコール度数４０％）とし、参考例７及び８ではジン製品Ｃ（ゴードンロンドンドライジン：アルコール度数４３％）とした。飲料サンプルについては、アルミ缶に封入して容器詰め飲料にしたものと、封入しなかったものとを準備した。飲料サンプルの甘味度はいずれも０であった。また、ジンの含有量は、飲料中のジン由来のアルコールの量で表し、以下も同様とした。

得られた飲料サンプルについて、２名の専門パネルにて官能評価を行った。官能評価の項目及び基準は以下の通りとした。

（ジンのメタリックな香り）
１：ジンのメタリックな香りが強い
２：ジンのメタリックな香りがやや強い
３：ジンのメタリックな香りがやや弱い
４：ジンのメタリックな香りが弱い
５：ジンのメタリックな香りがとても弱い

（後口の苦み）
１：後口の苦みが強い
２：後口の苦みがやや強い
３：後口の苦みがやや弱い
４：後口の苦みが弱い
５：後口の苦みがとても弱い

評価結果については、各専門パネルが付けた評価点数の平均値とした。また、炭酸アルコール飲料としての好ましさを総合的に表す評価として、専門パネル全員での合議により以下の基準で総合評価を行った。

（総合評価）
×：好ましくない
△：あまり好ましくない
〇：やや好ましい
◎：好ましい

結果は上記の通りであり、ジンを含む容器詰め炭酸アルコール飲料のサンプルはいずれも、ジンのメタリックな香りが強く、また後口の苦みも強く感じられた。

＜実験例１＞
ジン、クエン酸（無水）、ｌ－メントール、炭酸水、及び原料用アルコールを用いて、各種成分の最終濃度が下表に示した濃度となるように飲料サンプルを調製した。具体的には、炭酸水に上記ジン製品Ａを混合し、クエン酸（無水）及びｌ－メントールを添加して飲料サンプルを調製し、必要に応じて原料用アルコールを添加して飲料のアルコール含有量を調整した。飲料サンプルはいずれも缶への封入を行い、容器詰め飲料とした。飲料サンプルの甘味度はいずれも０であった。また、各種飲料サンプルについては、飲料中に含まれるテルピネン－４－オールの濃度も示した。

得られた飲料サンプルについて、２名の専門パネルにて官能評価を行った。官能評価では、参考例と同様の基準を用いて「ジンのメタリックな香り」及び「後口の苦み」について調べた。また、本実験例では評価項目として「ジンの爽快な香り」と「冷涼感」をさらに加え、それぞれ以下の基準で評価を行った。

（ジンの爽快な香り）
１：ジンの爽快な香りが弱い
２：ジンの爽快な香りがやや弱い
３：ジンの爽快な香りがやや強い
４：ジンの爽快な香りが強い
５：ジンの爽快な香りがとても強い

（冷涼感）
１：冷涼感が強い
２：冷涼感がやや強い
３：冷涼感がやや弱い
４：冷涼感が弱い
５：冷涼感がとても弱い

評価結果については、各専門パネルが付けた評価点数の平均値とした。また、参考例と同様の基準及び方法を用いて、炭酸アルコール飲料としての好ましさを表す総合評価を行った。

結果は上記の通りであり、ジンを含有する容器詰め炭酸アルコール飲料においてメントールを配合すると、ジン由来のメタリックな香り及び後口の苦味が改善された。メントールの含有量が１０００ｐｐｂの水準では冷涼感がやや強く感じられたため、冷涼感の少ない１００ｐｐｂ以下でメントールを添加することがより好ましいことが分かった。

＜実験例２＞
原料として用いるジンの種類を変更して、各種成分の最終濃度が下表に示した濃度となるように飲料サンプルを調製した。飲料サンプルの調製は実験例１と同様にして行った。原料に用いたジンは、参考例と同様にしてジン製品Ａ、ジン製品Ｂ、及びジン製品Ｃとした。飲料サンプルはいずれも缶への封入を行い、容器詰め飲料とした。飲料サンプルの甘味度はいずれも０であった。

得られた飲料サンプルについて、２名の専門パネルにて官能評価を行った。官能評価は実験例１と同様の基準及び方法を用いて、「ジンのメタリックな香り」、「後口の苦み」、「ジンの爽快な香り」、「冷涼感」、及び総合評価について調べた。

結果は上記の通りであり、原料となるジンの種類を変更しても、メントールの配合によりジン由来のメタリックな香り及び後口の苦味が改善されるという効果は得られた。

＜実験例３＞
酸度、炭酸ガス圧及びアルコール含有量を変更した飲料に関して、各種成分の最終濃度が下表に示した濃度となるように飲料サンプルを調製した。飲料サンプルは実験例１と同様にして調製し、いずれも缶への封入を行って容器詰め飲料とした。飲料サンプルの甘味度はいずれも０であった。

結果は上記の通りであり、酸度、炭酸ガス圧及びアルコール含有量を変更した飲料においても、メントールを配合することによってジン由来のメタリックな香り及び後口の苦味が改善された。

Claims

ジン及び冷涼感付与物質を含む、容器詰め炭酸アルコール飲料。
冷涼感付与物質を０．１～１００００ｐｐｂ含む、請求項１に記載の飲料。
冷涼感付与物質を０．１～１００ｐｐｂ含む、請求項１又は２に記載の飲料。
冷涼感付与物質が、メントール又はその誘導体、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、３－（ｌ－メントキシ）プロパン－１，２－ジオール、Ｎ－アルキル－ｐ－メンタン－３－カルボキサミド、２－メチル－３－（ｌ－メントキシ）プロパン－１，２－ジオール、ｐ－メンタン－３，８－ジオール、２－（ｌ－メントキシ）エタン－１－オール、３－（ｌ－メントキシ）プロパン－１－オール、４－（ｌ－メントキシ）ブタン－１－オール、３－ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、Ｎ－メチル－２，２－イソプロピルメチル－３－メチルブタンアミド、及びグリオキシル酸メンチルからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項１～３のいずれか１項に記載の飲料。
アルコール含有量が１～１５ｖ／ｖ％である、請求項１～４のいずれか１項に記載の飲料。
アルコール含有量が５～９ｖ／ｖ％である、請求項１～５のいずれか１項に記載の飲料。
甘味度が２以下である、請求項１～６のいずれか１項に記載の飲料。
容器が缶である、請求項１～７のいずれか１項に記載の飲料。
ジンと冷涼感付与物質とを混合する工程を含む、容器詰め炭酸アルコール飲料の製造方法。