JP2023108361A - 1,3-ブタンジオールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】臭気が少なく、且つ着色の無い1,3-ブタンジオール製品を安定的に提供すること。【解決手段】アセトアルドール類の水素化反応によって得られた1,3-ブタンジオール反応粗液を精製するための、低沸除去塔、高沸除去塔、及び脱水蒸留塔による蒸留操作を含む精製工程を含む1,3-ブタンジオールの製造方法であって、低沸除去塔の塔底液、高沸除去塔の留出液、及び脱水蒸留塔の塔底液における各液中の過酸化物濃度がいずれも0.2mmol/kg以下である1,3-ブタンジオールの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、1,3-ブタンジオールの製造方法に関する。
1,3-ブタンジオールは沸点207℃の粘稠な無色透明及び無臭の水溶性液体であり、様々な誘導体の原料として用いられている。具体的には、長鎖のカルボン酸と1,3-ブタンジオールのエステルは可塑剤として利用されている。また、1,3-ブタンジオールは、生体毒性の低さ及び安定性から、化粧品原料にも用いられる。1,3-ブタンジオールは、化粧品原料としては、保湿効果、抗菌性、べたつきが少ない等の特徴を有しているため、シャンプー、乳液、保湿剤などの幅広い製品に用いられる。保湿剤等の化粧料用途の場合、臭気が少なく、且つ着色の無い1,3-ブタンジオール含有製品(本開示において「1,3-ブタンジオール製品」ともいい、1,3-ブタンジオールの含有量が100%の純品も包含される。)が求められている。1,3-ブタンジオール自体はほとんど無臭及び無着色であるが、1,3-ブタンジオール製品では製造過程で生じた副生物又は不純物に起因して臭気又は着色が生じている。
1,3-ブタンジオールの主たる製造方法の一つは、アセトアルデヒドを縮合させてアセトアルドール(3-ヒドロキシブタナール)を得て、これを水素化する方法である。しかし、アセトアルドール自身は不安定であり、単一物質としての取扱いが困難である。
そこで、実際には、アセトアルデヒドを塩基性触媒の存在下で縮合させてアルドキサン(2,6-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-オールの慣用名)を取得し、アルドキサンを加熱分解して生じるアセトアルデヒドを留去することで、アセトアルドールの二量体であるパラアルドール(4-ヒドロキシ-α,6-ジメチル-1,3-ジオキサン-2-エタノールの慣用名)を得る(特許文献1)。
このパラアルドールを水素化反応の原料として、1,3-ブタンジオールを製造する。更にアルドキサンを水素化反応の原料とした場合でも、エタノールが副生するものの1,3-ブタンジオールを製造することができる。したがって、本開示ではパラアルドール、及びアルドキサンもアセトアルドールの等価体であるとみなし、これらを含めて「アセトアルドール類」と総称する。アセトアルドール類の水素化反応の触媒としては、一般的にスポンジニッケル触媒が用いられる。反応型式としては流動床である、連続懸濁気泡塔などが用いられている。
臭気の少ない1,3-ブタンジオール製品を得る手法として、例えば、特開平7-258129号公報(特許文献2)は、高沸点物を除去するための蒸留を行う際に、苛性ソーダ等の化合物を添加して蒸留する方法を開示している。国際公開第2000/007969号(特許文献3)は、高沸点物を除いた粗1,3-ブタンジオールに、アルカリ金属化合物を塩基として添加して加熱処理した後、1,3-ブタンジオールを留出させアルカリ金属化合物及び高沸点物を蒸留残さとして分離し、続いて1,3-ブタンジオール留分から低沸点物を留去する方法を開示している。特開昭61-065834号公報(特許文献4)では、水を蒸留塔に添加しながら水と1,3-ブタンジオールを分離精製することで臭気を低減させる方法を開示している。しかしながら、前記の方法から得られる1,3-ブタンジオール製品はいずれも、依然として臭気を有し、且つ黄色く着色することがあった。これらの文献には着色に関する記述は無く、1,3-ブタンジオール製品をどの程度精製する必要があるのか定量化されていなかった。また、着色の無い1,3-ブタンジオール製品を水存在下で加熱させると着色し臭気が発生することもあり、かかる1,3-ブタンジオール製品は化粧品原料として不適であった。
特開昭62-212384号公報 特開平7-258129号公報 国際公開第2000/007969号 特開昭61-065834号公報
本発明の課題は、臭気が少なく、且つ着色の無い1,3-ブタンジオール製品を安定的に提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、1,3-ブタンジオール製品中の過酸化物濃度が着色及び臭気に影響するとの知見を得た上で、1,3-ブタンジオールを含むプロセス液中の過酸化物濃度を定量及び管理することにより、上記課題が解決できることを見いだし、本発明に至った。
即ち、本発明は、以下の[1]から[2]を包含する。
[1]
アセトアルドール類の水素化反応によって得られた1,3-ブタンジオール反応粗液を精製するための、低沸除去塔、高沸除去塔、及び脱水蒸留塔による蒸留操作を含む精製工程を含む1,3-ブタンジオールの製造方法であって、前記低沸除去塔の塔底液、前記高沸除去塔の留出液、及び前記脱水蒸留塔の塔底液における各液中の過酸化物濃度がいずれも0.2mmol/kg以下である1,3-ブタンジオールの製造方法。
[2]
前記精製工程において、前記低沸除去塔、前記高沸除去塔、及び前記脱水蒸留塔における各気相中の酸素ガス濃度がいずれも100体積ppm以下である[1]に記載の1,3-ブタンジオールの製造方法。
本発明により、臭気が少なく、且つ着色の無い1,3-ブタンジオール製品が安定的に提供される。かかる1,3-ブタンジオール製品は化粧品用途に好適である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明するが、本発明はこれらの形態のみに限定されるものではない。
(1,3-ブタンジオール反応粗液の製造)
一実施形態の1,3-ブタンジオール製品は、1,3-ブタンジオール反応粗液を精製することにより得ることができる。1,3-ブタンジオール反応粗液の製造方法は、特には限定されないが、例えば、公知の方法(特公平3-80139号公報、特開平7-258129号公報等参照)により製造することができる。
具体的には、下記反応式に示すようにアセトアルデヒドを出発原料とし、パラアルドールを水素化して1,3-ブタンジオールを得ることができる。
1.縮合工程
Figure 2023108361000001
2.熱分解工程
Figure 2023108361000002
3.水素化工程
Figure 2023108361000003
1.縮合工程
アセトアルデヒドからアセトアルドール、又は更にアルドキサンを得る工程である。水素化反応の原料であるアセトアルドール類の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の方法により調製される。
アセトアルデヒドに触媒量の塩基を作用させることで、アセトアルデヒド2分子が反応し、アセトアルドール1分子を得る。塩基としては、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられる。生成したアセトアルドールは不安定であるため、速やかにアセトアルドール1分子とアセトアルデヒド1分子が反応してアルドキサン1分子を生ずる。このようなアセトアルデヒドからアセトアルドールを、更にはアルドキサンを得る反応のことを本開示では縮合反応と呼び、縮合反応を行う工程を縮合工程と称することとする。
縮合反応は平衡反応であるため、平衡組成に近付くと反応の進行が遅くなる。その状態で塩基が存在すると、アセトアルドールから更に縮合が進んだ三量体などの高沸成分が生成したり、アセトアルドールが脱水してクロトンアルデヒドが生成したりする。そこで必要に応じて酸を加えて塩基を中和し、反応を停止する。酸としては、例えば酢酸などの有機酸が用いられる。
縮合反応は液相にて、温度20~50℃、圧力0.1~0.2MPaG(ゲージ圧)、反応時間2~20分で行うことができる。反応雰囲気は、窒素ガス、アルゴンなどの不活性ガス下であることが好ましい。縮合反応に用いる反応器に制限はなく、例えば槽型反応器が用いられる。
2.熱分解工程
縮合工程で得られたアルドキサンを水素化することでも1,3-ブタンジオールを得ることはできるが、アルドキサン1分子からは1,3-ブタンジオール1分子とともにエタノール1分子が生ずる。エタノールの併産が好ましくない場合は、必要に応じてアルドキサンの熱分解反応によりアルドキサンをパラアルドールに変換し、得られたパラアルドールを水素化することで、エタノールの副生なしで1,3-ブタンジオールを得ることができる。
アルドキサンを加熱すると、平衡反応によりアルドキサン1分子はアセトアルドール1分子とアセトアルデヒド1分子に分解する。ある温度及び圧力条件下ではアセトアルデヒドは気化し、系内から除去され、このとき残ったアセトアルドール2分子が会合することでパラアルドール1分子が生成する。副生したアセトアルデヒドは、出発原料として再利用することができる。このようなアルドキサンからパラアルドールとアセトアルデヒドを得る反応のことを本開示では熱分解反応と呼び、熱分解反応を行う工程を熱分解工程と称することとする。
パラアルドール1分子を水素化すると、1,3-ブタンジオール2分子を得ることができる。熱分解反応を進めてアルドキサンを完全にパラアルドールに転化してから水素化反応を行えば、エタノールは全く副生しない。しかしながらアルドキサンをパラアルドールに転化する過程では、アセトアルドールの脱水によるクロトンアルデヒドの生成や、アセトアルドール、クロトンアルデヒド等の重合による高沸成分の生成が起こる。そのため、実際にはアルドキサンの熱分解反応は適当な転化率で止められ、熱分解反応液としてアルドキサンとパラアルドールの混合物を取得する。
熱分解反応は、液相にて温度60~80℃、圧力0.01~0.1MPaG、反応時間20~90分で行うことができる。反応雰囲気は、窒素ガス、アルゴンなどの不活性ガス下であることが好ましい。
熱分解反応液中のパラアルドールとアルドキサンを分離したのち、パラアルドールのみを水素化反応の原料として用いてもよい。あるいは、蒸留などの一般的な分離法では両者の分離は困難であるため、分離せずに混合物のまま水素化反応の原料として用いてもよい。水素化反応の原料は、前工程で生成したクロトンアルデヒド又は高沸成分だけでなく、縮合工程で使用した塩基の中和によって生成した塩を含んでいてもよい。
3.水素化工程
熱分解工程で得られたパラアルドールは、水素ガス(H)の存在下にて水素化触媒と接触させることで水素化され、1,3-ブタンジオールに転化される。熱分解工程の原料であり、未反応であったアルドキサンを同時に水素化して1,3-ブタンジオールを得ることもできる。本開示では、パラアルドール、及びアルドキサンを含むアセトアルドール類の水素化反応を行う工程を水素化工程と呼ぶ。
水素化反応を実施する温度は50~150℃とすることができ、好ましくは70~130℃である。温度が50℃以上とすることで水素化反応を確実に進行させることができ、150℃以下とすることで水素化分解反応などの副反応を抑制して、目的生成物である1,3-ブタンジオールの収率を高めることができる。
水素化反応を実施する圧力は5~15MPaGとすることができ、好ましくは7~12MPaGである。圧力が5MPaG以上とすることで水素化反応を促進することができ、15MPa以下とすることで水素の昇圧にかかるコスト及び設備コストを低減することができる。
水素化触媒としては任意のものが使用されるが、一般的に有効な水素化触媒はニッケル系の触媒である。特に、アルミナ、シリカなどの担体にニッケルを担持させた安定化ニッケル、及びニッケルとアルミとの合金からアルミを溶出させたスポンジニッケルが有効である。
水素化反応を行うための反応器に特に制限はなく、例えば槽型反応器が用いられる。
水素化工程で得られた反応液(本開示において「1,3-ブタンジオール反応粗液」という。)には、目的物である1,3-ブタンジオール以外に種々の副生物及び不純物が含まれる。これらの副生物及び不純物の中の低沸分(低沸点成分)としては、例えば、主にはアルドキサンを水素化することによって生じるエタノール、アセトアルドールを水素化する際に副生する1-ブタノール、2-ブタノール、及び2-プロパノールが挙げられる。低沸分は、縮合工程又は熱分解工程から持ち込まれた水を含んでもよい。
(1,3-ブタンジオール反応粗液の精製工程)
前記製造方法によって得られた1,3-ブタンジオール反応粗液は、少なくとも、副生する低沸分を除去する低沸除去塔、1,3-ブタンジオールよりも沸点の高い不純物(高沸点成分)を除去する高沸除去塔、及び水を添加して1,3-ブタンジオールを塔底より抜き出す脱水蒸留塔の3つによる蒸留操作を含む精製工程に供される。低沸除去塔では、低沸点成分が留去され、1,3-ブタンジオールを主成分とする液が塔底液として得られる。高沸除去塔では、1,3-ブタンジオールを主成分とする留出液が塔頂より得られる。高沸点成分は塔底液として排出される。脱水蒸留塔では、水が塔頂液として留去され、1,3-ブタンジオールを主成分とする液が塔底液として得られる。
精製工程における低沸除去塔、高沸除去塔、及び脱水蒸留塔の順番は特に限定されない。低沸除去塔、高沸除去塔、及び脱水蒸留塔以外の精製方法を追加してもよい。例えば、公知の方法(特許第4559625号公報、特開2003-96006号公報等参照)と同様に、有機溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、トルエン等)で不純物を抽出する工程、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を添加して加熱処理する工程、活性炭等の吸着剤を用いて不純物を除去する工程、又はこれらの組み合わせを、1,3-ブタンジオール反応粗液の精製方法として追加してもよく、これらの工程を繰り返して用いてもよい。
低沸除去塔、高沸除去塔、又は脱水蒸留塔として用いられる蒸留塔としては、例えば、多孔板塔、泡鐘塔、及び充填塔があげられる。
低沸除去塔としては、理論段数が5~40段の充填塔が好ましく、理論段数が10~20段の充填塔がより好ましい。塔底部圧力は絶対圧で1~20kPaが好ましく、5~10kPaがより好ましい。塔底部温度は圧力に依存するが、100~160℃が好ましく、110~150℃がより好ましい。還流比は0.1~10.0が好ましく、0.5~3.0がより好ましい。
高沸除去塔としては、理論段数が5~40段の充填塔が好ましく、理論段数が10~20段の充填塔がより好ましい。塔底部圧力は絶対圧で1~20kPaが好ましく、5~10kPaがより好ましい。塔底部温度は圧力に依存するが、100~160℃が好ましく、110~150℃がより好ましい。還流比は0.1~10.0が好ましく、0.5~3.0がより好ましい。
脱水蒸留塔としては、理論段数が5~20段の充填塔が好ましく、理論段数が5~10段の充填塔がより好ましい。塔底部圧力は絶対圧で1~20kPaが好ましく、5~10kPaがより好ましい。塔底部温度は圧力に依存するが、100~160℃が好ましく、110~150℃がより好ましい。還流比は0.1~5.0が好ましく、0.1~2.0がより好ましい。添加する水は純水(イオン交換水)又は蒸留水が好ましい。水の添加量は1,3-ブタンジオール100質量部に対し、1~200質量部が好ましく、10~100質量部がより好ましい。
本開示における過酸化物とは、ペルオキシド構造をもつ有機化合物を意味する。1,3-ブタンジオール反応粗液中、又は1,3-ブタンジオール製品中に過酸化物が含有された状態で当該反応粗液が加熱される、あるいは当該製品が長期間保管されると、1,3-ブタンジオール、あるいは1,3-ブタンジオールの製造中に副生又は混入した副生物又は不純物が酸化されて、アセトアルデヒド、アセトアルドール、4-ヒドロキシ-2-ブタノンなどの臭気の原因物質に変換され、1,3-ブタンジオール製品の臭気が悪化する。過酸化物の化学構造は、酸化される不純物が多岐にわたるため、一概に規定することができない。
過酸化物濃度は、主として1,3-ブタンジオールが含まれているプロセス液中の過酸化物量を測定することにより決定される。ここでいうプロセス液とは、低沸除去塔については塔底液、高沸除去塔については留出液、脱水蒸留塔については塔底液である。低沸除去塔の塔底液、高沸除去塔の留出液、及び脱水蒸留塔の塔底液における各液中の過酸化物濃度はいずれも0.2mmol/kg以下とする。前記過酸化物濃度は好ましくは0.1mmol/kg以下である。プロセス液中の過酸化物濃度の測定は実施例に記載の方法で行われる。
過酸化物濃度は、減圧下での蒸留塔気相中に含まれる酸素ガス(酸素分子)濃度と相関する。酸素ガス濃度が高い状態にて蒸留塔内でプロセス液が加熱されると、プロセス液中の成分が酸化されて過酸化物が発生する。蒸留塔気相中に含まれる酸素ガス濃度は、蒸留塔を減圧する真空ポンプの排ガスをポータブル型酸素分析計(MODEL3110/ユナイテッド・アナライザーズ・ジャパン株式会社製)を用いて測定される。酸素ガス濃度は、蒸留塔の圧力調整ラインに窒素ガスラインと酸素ガスラインの2種類を導入し、バルブ開度で調節することができる。
低沸除去塔、高沸除去塔、及び脱水蒸留塔による蒸留操作を含む1,3-ブタンジオール反応粗液の精製工程において、低沸除去塔、高沸除去塔、及び脱水蒸留塔における各気相中の酸素ガス濃度は、いずれも100体積ppm以下であることが好ましい。酸素ガス濃度が100体積ppmより高い濃度で精製を行うと、過酸化物濃度が0.2mmol/kgより大きくなり、1,3-ブタンジオール製品に着色が発生し、且つ臭気も悪化することがある。
本開示の精製工程を含む製造方法により得られる1,3-ブタンジオールを含む製品は、低臭気で且つ着色が無く、保湿剤等の化粧料用途の原料として好適である。
以下において本発明の実施の形態を具体的な形で記載するが、本発明は実施例のみに限定されない。
1.臭気評点
参照試料としてまったく臭いを感じない1,3-ブタンジオール製品を0とし、ほとんど無臭の1,3-ブタンジオール製品を1とし、僅かに臭気の感じられるものを2とし、それらの参照試料との相対評価で評価試料の点数を付けた。評価試料及び参照試料は共栓広口試薬瓶に入れ、密栓し室温に静置した後、大気中で速やかに臭いをかぎ、比較し、点数を付けた。評価は成人3名で実施し、その点数の平均値を採用した。
2.過酸化物濃度分析
200mL三角フラスコ内に撹拌子を入れ、窒素ガス雰囲気下とし、試料3g、トルエン10mL、及び酢酸10mLを入れて混合した。更にヨウ化カリウム水溶液(1.2g/mL)を1mL加え、撹拌し5分静置した。続いて蒸留水50mLを加え、電位差滴定装置にて当量点まで滴定を行った。当量点は、滴定曲線上の最大変曲点を示す。
過酸化物濃度分析装置:電位差滴定装置AT-510(京都電子工業株式会社製)
滴定液:0.005mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液(富士フイルム和光純薬株式会社)
<実施例1>
120mLのSUS316L製オートクレーブに、アセトアルドール類としてパラアルドール10g、エタノール40g、及びスポンジニッケル触媒(日興リカ株式会社製R-201)1gを加えた。オートクレーブを水素ガスにて8MPaGに加圧し、撹拌を開始した。30℃から120℃まで1℃/分の速度で昇温し、120℃に達した瞬間にオートクレーブをただちに冷却して反応を停止し、1,3-ブタンジオール反応粗液を得た。反応中は圧力が7MPaGまで低下するごとに、圧力8MPaGまで水素ガスを供給した。触媒を濾別した後、1,3-ブタンジオール反応粗液中の低沸点物を蒸留(理論段数20段の充填塔(低沸除去塔)を用い、塔底部圧力が絶対圧で10kPaの減圧下、塔底部温度が150℃で蒸留)することにより留去し分離した。続いて低沸除去塔の塔底液に含まれる1,3-ブタンジオール100質量部に対し、水100質量部を混合して溶液とし、これを蒸留(理論段数10段の充填塔(脱水蒸留塔)を用い、塔底部圧力が絶対圧で10kPaの減圧下、150℃で蒸留)して低沸点成分である水を留去した。脱水蒸留塔の塔底液である1,3-ブタンジオール含有プロセス液中の高沸点成分を塔底液として蒸留(理論段数20段の蒸留塔(高沸除去塔)を用い、塔底部圧力が絶対圧で10kPaの減圧下、150℃で蒸留)により分離し、留出分である精製1,3-ブタンジオール(1,3-ブタンジオール製品)を得た。前記蒸留操作の際、各蒸留塔の圧力調整ラインの酸素ガスラインの弁を全閉とし、低沸除去塔、脱水蒸留塔、及び高沸除去塔の各気相中の酸素ガス濃度をそれぞれ、20体積ppm、50体積ppm、及び10体積ppmとした。低沸除去塔及び脱水蒸留塔の各塔底液、高沸除去塔の留出液中のそれぞれの過酸化物濃度は全て検出下限以下(0.01mmol/kg以下)であった。得られた1,3-ブタンジオール製品は無色透明であり、臭気評点は0であった。
<実施例2>
各蒸留塔の気相中の酸素ガス濃度以外は実施例1と同じ条件で実施した。酸素ガス濃度は各蒸留塔の圧力調整ラインの酸素ガスラインの弁を微開とし調整した。低沸除去塔、脱水蒸留塔、及び高沸除去塔の各気相中の酸素ガス濃度はそれぞれ、60体積ppm、60体積ppm、及び70体積ppmであり、低沸除去塔及び脱水蒸留塔の各塔底液、高沸除去塔の留出液中の過酸化物濃度はそれぞれ、0.16mmol/kg、0.01mmol/kg、及び0.15mmol/kgであった。得られた1,3-ブタンジオール製品は無色透明であり、臭気評点は0であった。
<比較例1>
各蒸留塔の気相中の酸素ガス濃度以外は実施例1と同じ条件で実施した。酸素ガス濃度は各蒸留塔の圧力調整ラインの酸素ガスラインの弁の開度で調整した。低沸除去塔、脱水蒸留塔、及び高沸除去塔の各気相中の酸素ガス濃度はそれぞれ、2100体積ppm、4000体積ppm、及び3700体積ppmであり、低沸除去塔及び脱水蒸留塔の各塔底液、高沸除去塔の留出液中の過酸化物濃度はそれぞれ、4.81mmol/kg、0.01mmol/kg、及び1.54mmol/kgであった。得られた1,3-ブタンジオール製品は黄色く着色しており、臭気評点は2であった。
<比較例2>
各蒸留塔の気相中の酸素ガス濃度以外は実施例1と同じ条件で実施した。酸素ガス濃度は各蒸留塔の圧力調整ラインの酸素ガスラインの弁の開度で調整した。低沸除去塔、脱水蒸留塔、及び高沸除去塔の各気相中の酸素ガス濃度はそれぞれ、530体積ppm、300体積ppm、及び70体積ppmであり、低沸除去塔及び脱水蒸留塔の各塔底液、高沸除去塔の留出液中の過酸化物濃度はそれぞれ、0.57mmol/kg、0.01mmol/kg、及び0.02mmol/kgであった。得られた1,3-ブタンジオール製品は黄色く着色しており、臭気評点は2であった。
蒸留条件と結果を表1に示す。
Figure 2023108361000004
本発明は、低臭気で着色が無い極めて高品質の1,3-ブタンジオール製品を提供する。

Claims (2)

  1. アセトアルドール類の水素化反応によって得られた1,3-ブタンジオール反応粗液を精製するための、低沸除去塔、高沸除去塔、及び脱水蒸留塔による蒸留操作を含む精製工程を含む1,3-ブタンジオールの製造方法であって、前記低沸除去塔の塔底液、前記高沸除去塔の留出液、及び前記脱水蒸留塔の塔底液における各液中の過酸化物濃度がいずれも0.2mmol/kg以下である1,3-ブタンジオールの製造方法。
  2. 前記精製工程において、前記低沸除去塔、前記高沸除去塔、及び前記脱水蒸留塔における各気相中の酸素ガス濃度がいずれも100体積ppm以下である請求項1に記載の1,3-ブタンジオールの製造方法。
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