ところで、建物などを建築する際の基礎工事の一環として、軸方向に相互に接続された複数の杭部材を回転させながら地中に打ち込む作業が行われることがある。この場合、例えば前記特許文献1で開示されている杆状キーを介した角型鋼管同士の接続構造を杭部材同士の接続構造に適用することが考えられる。
しかしながら、前記のとおり、他方の角型鋼管には一方の角型鋼管の嵌合方向の移動を規制するための規制面が形成され、一方の角型鋼管には規制面と当接する端面が形成される。つまり、前記特許文献1では、所定の嵌合深さで一方の角型鋼管の他方の角型鋼管に対する挿入位置を規制するために、両鋼管に対して肉厚の小さくなる部分を形成する必要がある。このため、前記特許文献1で開示されている鋼管同士の接続構造を杭部材同士の接続構造に適用した場合、各杭部材の強度が低下するおそれがある。
また、前記特許文献1で開示されている杆状キーを介して一方の角型鋼管と他方の角型鋼管とを相互に接続する場合は、一方の角型鋼管の外周面及び他方の角型鋼管の内周面に溝条がそれぞれ形成され、かつ、他方の角型鋼管の外周面にネジ孔が形成される。つまり、前記特許文献1では、各鋼管の肉厚を減らすように各鋼管が加工される。このため、前記特許文献1で開示されている鋼管同士の接続構造を杭部材同士の接続構造に適用した場合、各杭部材の強度が低下するおそれがある。
本発明の目的は、各杭部材の強度の低下を抑制しながら、一方の杭部材の他方の杭部材に対する嵌合深さが所定の嵌合深さを超えることが規制された状態で各杭部材同士を接続することができる接続部材、接続ユニット及び杭ユニットを提供することにある。
本発明は、所定の軸を中心とする円の軌跡に対して交差するような角度を持った第一交差面を含む第一内周面を有する管状の第一杭部材と、前記第一内周面に嵌合することが可能な形状を有する第二外周面を有するとともに前記第一杭部材の内側に嵌合される第二杭部材と、の間に介在するとともに前記所定の軸を中心とする回転力を伝達可能な状態で前記第一杭部材と前記第二杭部材とを互いに接続する接続部材であって、前記第一交差面と、前記第一杭部材に嵌合された前記第二杭部材の前記第二外周面における前記第一交差面と対向する第二交差面と、の間の隙間を埋めるように前記第一交差面と前記第二交差面との間に設けられる隙間調整部と、前記第一杭部材に対する前記第二杭部材の嵌合深さが予め設定された規定嵌合深さよりも深くなるような前記第一杭部材及び前記第二杭部材の一方の前記軸に沿った軸方向における一方側への移動を規制するために、前記隙間調整部から内外方向の一方側に延びるとともに前記第一杭部材及び前記第二杭部材の一方の前記軸方向における一方の端面と接触することにより前記第一杭部材及び前記第二杭部材の一方を支持する支持部と、前記第一杭部材に対する前記第二杭部材の嵌合深さが前記規定嵌合深さとなるように前記支持部が位置決めされた状態で前記第一杭部材及び前記第二杭部材の他方に係止されるように、前記隙間調整部から内外方向の他方側に延びる係止部と、を有している、接続部材を提供する。
また、本発明は、杭ユニットであって、所定の軸を中心とする円の軌跡に対して交差するような角度を持った第一交差面を含む第一内周面を有する管状の第一杭部材と、前記第一内周面に嵌合することが可能な形状を有する第二外周面を有するとともに前記第一杭部材の内側に嵌合される第二杭部材と、前記第一杭部材と前記第二杭部材との間に介在するとともに前記所定の軸を中心とする回転力を伝達可能な状態で前記第一杭部材と前記第二杭部材とを互いに接続する、前記接続部材と、を有している、杭ユニットを提供する。
本発明では、隙間調整部が第一交差面と第二交差面との間に配置された状態で、隙間調整部から内外方向の一方側に延びる支持部により第一杭部材及び第二杭部材の一方の軸方向における一方の端面を支持し、かつ、隙間調整部から内外方向の他方側に延びるとともに第一杭部材及び第二杭部材の他方に係止する係止部により支持部の軸方向における位置を位置決めすることができる。これにより、第一杭部材及び第二杭部材の一方が、第一杭部材に対する第二杭部材の嵌合深さが規定嵌合深さよりも深くなるような方向に移動することが規制される。
さらに、本発明では、前記のような移動を規制するための支持部と係止部とが、第一交差面と第二交差面との間のデッドスペースを利用して配置される隙間調整部によって連結されている。このため、本発明では、各杭部材に対して肉厚を減らすような加工を施すことなく、上述した第一杭部材に対する第二杭部材の移動を規制することができる。したがって、本発明によれば、第一杭部材及び第二杭部材の強度の低下を抑制しながら、第二杭部材の第一杭部材に対する嵌合深さが所定の嵌合深さを超えることが規制された状態で第一杭部材及び第二杭部材を接続することができる。
また、本発明は、所定の軸を中心とする円の軌跡に対して交差するような角度を持った第一交差面を含む第一内周面を有する管状の第一杭部材と、前記第一内周面に嵌合することが可能な形状を有する第二外周面を有するとともに前記第一杭部材の内側に嵌合される第二杭部材と、前記第一内周面に嵌合することが可能な形状を有する第三外周面を有するとともに前記軸に沿った軸方向において前記第二杭部材とは反対側から前記第一杭部材の内側に嵌合される第三杭部材と、を接続するための接続ユニットであって、前記第一杭部材と前記第二杭部材との間に介在するとともに前記所定の軸を中心とする回転力を伝達可能な状態で前記第一杭部材と前記第二杭部材とを互いに接続する、前記接続部材と、前記第二杭部材と前記第三杭部材とが前記軸方向において互いに離間することを規制するように前記第二杭部材と前記第三杭部材とを連結する連結部材と、を有している、接続ユニットを提供する。
この構成によれば、第二杭部材と第三杭部材とが軸方向において互いに離間することが連結部材により規制されるため、第二杭部材及び第三杭部材の一方に対して第二杭部材及び第三杭部材の他方から離間する方向の力を与えることにより、第一杭部材、第二杭部材及び第三杭部材をまとめて移動させることができる。したがって、例えば接続ユニットにより互いに接続された第一杭部材、第二杭部材及び第三杭部材を第二杭部材から地面に打ち込んだ状態で、第三杭部材を引き上げることにより、第一杭部材、第二杭部材及び第三杭部材を地面から引き抜くことができる。
ところで、前記のとおり、第二杭部材及び第三杭部材は第一杭部材の内側に挿入される。ここで、第二杭部材及び第三杭部材を連結する連結部材を、第一杭部材、第二杭部材、及び第三杭部材において外側に露出した状態で形成した場合、当該連結部材は、第一杭部材、第二杭部材、及び第三杭部材を地面に打ち込む際に生じる抵抗を増加させる。
そこで、前記接続ユニットにおいて、前記第二杭部材及び前記第三杭部材の一方は、前記軸方向と直交する前記第二杭部材及び前記第三杭部材の一方の断面形状の範囲内に設けられた被取り付け部を有し、前記第二杭部材及び前記第三杭部材の他方は、前記軸方向と直交する前記第二杭部材及び前記第三杭部材の他方の断面形状の範囲内に設けられた被係合部を有し、前記連結部材は、前記第二杭部材及び前記第三杭部材の一方の断面形状の範囲内で前記被取り付け部に取り付け可能な形状を有する取り付け部と、前記取り付け部から前記第一杭部材の内側を通じて前記被係合部まで到達可能な長さを有する延出部と、前記延出部に接続されているとともに前記第二杭部材及び前記第三杭部材の他方の断面形状の範囲内で前記被係合部に係合可能な形状を有する係合部と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、連結部材を第二杭部材及び第三杭部材の断面形状の範囲内に収めることができるため、第一杭部材、第二杭部材、及び第三杭部材を地面に打ち込む際に生じる抵抗を連結部材が増加させることを防止できる。
ところで、建物などを建築する際の基礎工事の一環として杭部材を地面に打ち込む際は、所定の断面形状を有する杭部材を一本打ち込み、当該杭部材の打ち込み深さが足りない場合に、当該杭部材に別の杭部材を接続してさらに打ち込む。前記の作業は所定の断面形状を有する一本の杭部材を打ち込むことを想定したものであるため、杭部材を地面に打ち込む際に杭部材が地面から受ける抵抗及び杭部材に要求される剛性を考慮すると、先に打ち込まれた杭部材に接続される別の杭部材の断面形状は、先に打ち込まれた杭部材の断面形状と近いことが好ましい。
そこで、本発明は、杭ユニットであって、所定の軸を中心とする円の軌跡に対して交差するような角度を持った第一交差面を含む第一内周面を有する管状の第一杭部材と、前記第一内周面に嵌合することが可能な形状を有する第二外周面を有するとともに前記第一杭部材の内側に嵌合される第二杭部材と、前記第一内周面に嵌合することが可能な形状を有する第三外周面を有するとともに前記軸に沿った軸方向において前記第二杭部材とは反対側から前記第一杭部材の内側に嵌合される第三杭部材と、前記第一杭部材と前記第二杭部材と前記第三杭部材とを接続する、前記接続ユニットと、を有しており、前記第三杭部材は、前記第二杭部材の断面形状と同一の断面形状を有している、杭ユニットを提供する。
本発明では、同一の断面形状を有する第二杭部材と第三杭部材とを接続ユニットを介して接続することができる。このため、第二杭部材の断面形状と第三杭部材の断面形状とが異なる場合と比較して、杭ユニットを地面に打ち込む際に生じる抵抗の変化、及び、第二杭部材及び第三杭部材の剛性の相違を抑えることができる。
また、本発明では、共通した部品を第二杭部材や第三杭部材として用いることができる。したがって、杭ユニットの製造コストが低下する。
ところで、前記のとおり、第一交差面と第二交差面との間には隙間が形成されている。ここで、第二杭部材と第三杭部材とが同一の断面形状を有している場合、第一杭部材と第三杭部材との間にも隙間が形成される。
そこで、前記杭ユニットは、前記第一交差面と、前記第一杭部材に嵌合された前記第三杭部材の前記第三外周面における前記第一交差面と対向する第三交差面と、の間の隙間を埋めるように前記第一交差面と前記第三交差面との間に設けられた隙間調整部材をさらに有していることが好ましい。
この構成によれば、隙間調整部材によって第一交差面と第三交差面との間の隙間を埋めることができる。このため、第一杭部材と第三杭部材との間において回転力を効率よく伝達することができる。
ところで、前記杭ユニットを用いる場合、第一杭部材を地中に刺し込まれる長さの一部を担う要素として捉え、第一杭部材と第二杭部材と第三杭部材との合計長さ(杭部材同士の嵌合深さを除く長さ)を杭の刺し込み深さとして管理することができる。一方、第一杭部材を第二杭部材と第三杭部材を接続するための要素として捉え、第二杭部材と第三杭部材との合計長さを地中に刺し込まれる長さとして管理することができれば、現場においては、同一断面形状を有する第二杭部材と第三杭部材の長さのみを用いて地中への刺し込み深さを管理することができるため、管理効率が向上する。
そこで、前記杭ユニットにおいて、前記第一内周面の断面形状は前記軸方向の全長に亘って一定であり、前記第一杭部材の軸方向における全長は、前記第二杭部材及び前記第三杭部材の軸方向における全長よりも短いことが好ましい。
この構成によれば、第一内周面の断面形状が軸方向の全長に亘って一定であるため、第一杭部材の内側で第二杭部材と第三杭部材とを突き合わせることができる。つまり、第一杭部材を第二杭部材と第三杭部材とを接続するための要素として使用することができる。さらに、第一杭部材の全長が第二及び第三杭部材の全長よりも短いため、第二及び第三杭部材が突き合わされた状態で、両杭部材の突き合わされた端部と反対側の端部を第一杭部材の外側に露出させることができる。したがって、前記態様によれば、第二杭部材と第三杭部材との合計長さを杭ユニットの地中への刺し込み深さとして管理することができる。
前記接続部材は、前記支持部により前記軸方向における一方側への移動が規制された前記第一杭部材及び前記第二杭部材の一方に対し、前記第一杭部材及び前記第二杭部材の一方の前記軸方向における他方側への移動が規制されるように係止される第一規制手段と、前記第一杭部材及び前記第二杭部材の他方に対し、前記接続部材の前記軸方向における他方側への移動が規制されるように係止される第二規制手段と、をさらに有していることが好ましい。
この構成によれば、第一杭部材及び第二杭部材の一方と接続部材とが軸方向において互いに離間することが第一規制手段によって規制されるとともに、接続部材と第一杭部材及び第二杭部材の他方とが軸方向において互いに離間することが第二規制手段によって規制される。このため、第一杭部材及び第二杭部材の一方に対して第一杭部材及び第二杭部材の他方から離間する方向の力を与えることにより、第一杭部材及び第二杭部材をまとめて移動させることができる。したがって、例えば接続部材により互いに接続された第一杭部材及び第二杭部材を第二杭部材から地面に打ち込んだ状態で、第一杭部材を引き上げることにより、第一杭部材及び第二杭部材を地面から引き抜くことができる。
前記接続部材において、前記第一杭部材は、前記第一内周面を有する管状の第一本体部と、前記第一本体部から外側に突出する第一突出部と、を有し、前記第二杭部材は、前記第二外周面を有する第二本体部と、前記第二本体部から外側に突出する第二突出部と、を有し、前記第一規制手段は、前記第一突出部及び前記第二突出部の一方に対し、前記第一杭部材及び前記第二杭部材の一方の前記軸方向における他方側への移動が規制されるように係止する第一係止部を有し、前記第二規制手段は、前記第一突出部及び前記第二突出部の他方に対し、前記接続部材の前記軸方向における他方側への移動が規制されるように係止する第二係止部を有することが好ましい。
この構成によれば、第一規制手段は第一本体部から突出する第一突出部及び第二本体部から突出する第二突出部の一方に係止するとともに、第二規制手段は第一本体部から突出する第一突出部及び第二本体部から突出する第二突出部の他方に係止する。このため、第一杭部材及び第二杭部材の肉厚を減らすような加工を行うことなく、第一杭部材及び第二杭部材の一方と接続部材とが軸方向において互いに離間することを規制するとともに、第一杭部材及び第二杭部材の他方と接続部材とが軸方向において互いに離間することを規制できる。
本発明によれば、各杭部材の強度の低下を抑制しながら、一方の杭部材の他方の杭部材に対する嵌合深さが所定の嵌合深さを超えることが規制された状態で各杭部材同士を接続することができる。
以下、本発明の実施形態に係る接続部材、接続ユニット及び杭ユニットについて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的な範囲を限定するものではない。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る杭ユニット100の構成について、図1~図4を参照しながら説明する。以下の説明では、図1~図4の紙面における下方向を軸方向における一方側とし、図1~図4の紙面における上方向を軸方向における他方側とする。
本実施形態に係る杭ユニット100は、所定の軸AXを中心とする回転力が作用した状態で地中に打ち込まれるものである。本実施形態において、所定の軸AXを中心とする回転力は、後述する第三杭部材30に対して作用する。図1に示すように、本実施形態に係る杭ユニット100は、軸AXが延びる軸方向に沿って延びる管状の第一杭部材10と、軸方向に沿って延びるとともに軸方向の一方側から第一杭部材10に嵌合される第二杭部材20と、軸方向に沿って延びるとともに軸方向において第二杭部材20とは反対側から第一杭部材10に嵌合される第三杭部材30と、第一杭部材に嵌合された第三杭部材と第一杭部材との間に生じる隙間を埋めるための4つの隙間調整部材40と、第一杭部材10と第二杭部材20と第三杭部材30とを接続する接続ユニット90と、を有する。
第一杭部材10は、第三杭部材30に作用する回転力を受けるとともにこの回転力を第二杭部材20に伝達するように、第二杭部材20及び第三杭部材30に嵌合されている。第一杭部材10は、軸AXを中心とする円の軌跡に対して交差するような角度を持つ第一交差面12を含む第一内周面11を有する。具体的に、第一杭部材10は、平面視で四角形に現れる第一内周面11を有し、第一内周面11には、4つの第一交差面12が含まれている。第一内周面11の内側に第二杭部材20及び第三杭部材30が挿入されることにより、第一杭部材10に対して第二杭部材20及び第三杭部材30が嵌合する。
なお、本実施施形態では、第一杭部材10に対する第二杭部材20の嵌合深さが予め設定されている。以下では、予め設定された第一杭部材10に対する第二杭部材20の嵌合深さのことを規定嵌合深さと呼ぶ。
また、図示は省略するが、第一内周面11の断面形状は軸方向の全長に亘って一定であり、第一杭部材10の軸方向における全長は、第二杭部材20及び第三杭部材30の軸方向における全長よりも短い。
第二杭部材20は、第一杭部材10に嵌合されるとともに第一杭部材10を介して第三杭部材30に接続される。図1に示すように、第二杭部材20は、軸方向に延びる管状の第二本体部24と、第二本体部24の軸方向における他方側の端部に取り付けられるとともに軸方向と直交する第二杭部材20の断面形状の範囲内に設けられた被係合部26とを有している。第二本体部24は、第一杭部材10の第一内周面11に嵌合可能な形状を有するとともに第一内周面11の内側に嵌合される第二外周面23を有する。第二外周面23は、第一内周面11と相似した形状を有する。第二外周面23は、第二杭部材20が第一杭部材10の内側に嵌合された状態で第一杭部材10の第一交差面12と対向する第二交差面22を含む。具体的には、第二本体部24は、平面視で四角形に現れる第二外周面23を有し、第二外周面23には、4つの第二交差面22が含まれている。本実施形態では、第二外周面23が第一内周面11の内側に挿入された状態で、第一交差面12と第二交差面22との間に隙間が形成されるように第一杭部材10及び第二杭部材20の寸法が設計されている。これにより、例えば第二外周面23の径に寸法誤差が生じている場合であっても、前記隙間によって両杭部材の嵌合が許容される。また、図1及び図3に示すように、第二本体部24は、第二外周面23と相似した形状を有するとともに第二外周面23に取り囲まれる第二内周面21を有している。図1及び図3に示すように、被係合部26は、互いに対向する第二内周面21間に亘って延びるように第二本体部24に取り付けられる。被係合部26には、当該被係合部26を軸方向に貫通するとともに軸方向に見る視点において軸方向と直交する方向に延びる貫通孔HLが形成されている。被係合部26は、例えば溶接などの方法を用いることにより第二内周面21に固定されている。
第三杭部材30は、第一杭部材10に嵌合されるとともに第一杭部材10を介して第二杭部材20に接続される。第三杭部材30は、第二本体部24と同一の断面形状を有する第三本体部34と、第三本体部34の軸方向における一方側の端部に取り付けられるとともに軸方向と直交する第三杭部材30の断面形状の範囲内に設けられた被取り付け部36とを有している。第三本体部34は、第一杭部材10の第一内周面11に嵌合可能な形状を有するとともに第一内周面11の内側に嵌合される第三外周面33を有する。第三外周面33は第一内周面11と相似した形状を有する。第三外周面33は、第三杭部材30が第一杭部材10の内側に嵌合された状態で第一杭部材10の第一交差面12と対向する第三交差面32を含む。具体的には、第三本体部34は、平面視で四角形に現れる第三外周面33を有し、第三外周面33には、4つの第三交差面32が含まれている。前記のとおり、第三本体部34は第二本体部24と同一の断面形状を有するため、第一杭部材10と第三杭部材30との間には隙間が形成される。また、図1に示すように、第三本体部34は、第三外周面33と相似した形状を有するとともに第三外周面33に取り囲まれる第三内周面31を有している。図1に示すように、被取り付け部36は、互いに対向する第三内周面31間に亘って延びるように第三本体部34に取り付けられている。被取り付け部36は、例えば溶接などの方法を用いることにより第三内周面31に固定されている。
図2に示すように、第一杭部材10の第一交差面12と第三杭部材30の第三交差面32との間の隙間には、当該隙間を埋めるための隙間調整部材40が設けられる。隙間調整部材40は、四対の第一交差面12及び第三交差面32のそれぞれの対に対して第一交差面12と第三交差面32との間の隙間に設けられている。また、各隙間調整部材40は、例えば金属板により形成されている。なお、各隙間調整部材40は、樹脂などにより形成されるものであってもよい。
次に、接続ユニット90について説明する。接続ユニット90は、第一杭部材10と第二杭部材20とを接続する接続部材1と、第二杭部材20と第三杭部材30とを連結する連結部材80と、を有する。
接続部材1は、第一杭部材10と第二杭部材20との間に介在するとともに軸AXを中心とする回転力を伝達可能な状態で第一杭部材10と第二杭部材20とを接続する。図1及び図4に示すように、接続部材1は、第一交差面12と第二交差面22との間に設けられる隙間調整部50と、第一杭部材10を支持する支持部60と、第二杭部材20に係止される係止部70と、を有する。接続部材1は、例えば金属板によって形成されている。なお、接続部材1は、樹脂などにより形成されるものであってもよい。
隙間調整部50は、第一交差面12と第二交差面22との間の隙間を埋めるように第一交差面12と第二交差面22との間に設けられる。図1に示すように、本実施形態に係る接続部材1は、4つの第一交差面12と4つの第二交差面22との間の各隙間に配置されるとともに軸方向に延びる4つの隙間調整部50を有する。
支持部60は、第一杭部材10に対する第二杭部材20の嵌合深さが規定嵌合深さよりも深くなるような第一杭部材10及び第二杭部材20の一方の軸方向における一方側への移動を規制する。ここでは、支持部60は、第一杭部材10に対する第二杭部材20の嵌合深さが規定嵌合深さを超えるように第一杭部材10が軸方向における一方側へと移動することを規制する。図1に示すように、本実施形態に係る接続部材1は、第一杭部材10の軸方向の一方側の第一一方側端面15に接触するために各隙間調整部50の軸方向における一方側の端部から外側方向(軸AXから離れる方向)に延びる4つの支持部60を有する。これらの支持部60が第一一方側端面15に接触するとともに第一杭部材10を支持することにより、規定嵌合深さを超えるような第一杭部材10の第二杭部材20に対する相対的な移動が規制される。
係止部70は、第一杭部材10に対する第二杭部材20の嵌合深さが規定嵌合深さとなるように支持部60が位置決めされた状態で第一杭部材10及び第二杭部材20の他方に係止される。
本実施形態では、係止部70は、支持部60の位置決めをするために、第二杭部材20に係止される。図1に示すように、本実施形態に係る接続部材1は、各隙間調整部50の軸方向における他方側の端部から内側方向(軸AXに近づく方向)に延びる4つの係止部70を有する。これらの係止部70は、第二杭部材20の軸方向の他方側の第二他方側端面25に対して軸方向における他方側から接触することにより接続部材1の軸方向における一方側への移動が規制されるように第二杭部材20に係止される。なお、図1及び図4に示すように、本実施形態では、4つの係止部70は、それぞれが互いに連結されている。なお、図示は省略するが、4つの係止部70はそれぞれが互いに独立していてもよい。
なお、係止部70が係止する対象は第二他方側端面25に限定されるものではなく、第二杭部材20の第二交差面22の内側の領域に第二他方側端面25とは別に係止可能な部分(例えば、被係合部26)を有する場合には、その部分を利用することもできる。
連結部材80は、第二杭部材20と第三杭部材30とが軸方向において互いに離間することを規制するように第二杭部材20と第三杭部材30とを連結する。図1及び図2に示すように、連結部材80は、第三杭部材30の軸方向に直交する断面形状の範囲内で被取り付け部36に取り付け可能な形状を有する取り付け部81と、取り付け部81から第一杭部材10の内側を通じて第二杭部材20の被係合部26まで到達可能な長さを有する延出部82と、延出部82に接続されているとともに第三杭部材30の断面形状の範囲内で被係合部26に係合可能な形状を有する係合部83と、を有する。延出部82は、被係合部26の貫通孔HLに軸方向に挿通可能で、かつ、貫通孔HL内で軸AX回りに回転可能な形状を有する。係合部83は、軸AXを中心として所定の回転位置(以下、通過位置)において貫通孔HLを通過可能で、かつ、軸AXを中心として通過位置から所定角度回転した位置(以下、係合位置)において貫通孔HLに通過不能となるように、軸方向に見て軸方向と直交する方向に延びる形状を有する。なお、取り付け部81は、例えば溶接などの方法を用いることにより被取り付け部36に固定されていてもよく、ボルト等によって着脱可能に被取り付け部36に取り付けられていてもよい。
ここで、図5A~図5Dを参照しながら、第一杭部材10、第二杭部材20及び第三杭部材30の接続方法について説明する。
まず、図5Aに示すように、第二杭部材20に対して軸方向における他方側から接続部材1を取り付けるステップS1が行われる。具体的に、4つの隙間調整部50が4つの第二交差面22に対向するように軸AXを中心とする周方向における接続部材1の姿勢を調整した状態で、係止部70を第二他方側端面25に取り付ける。これにより、支持部60が所定の位置に位置決めされる。
続いて、図5Bに示すように、第三杭部材30の外側に第一杭部材10を被せるステップS2が行われる。このステップS2では、係合部83が第一杭部材10の軸方向における一方側に露出した状態となるように第三杭部材30の外側に第一杭部材10を被せる。
続いて、ステップS2の状態を維持したまま、連結部材80を被係合部26に係合させるステップS3が行われる。具体的には、図5Bに示すように、連結部材80の係合部83が第二杭部材20の被係合部26に設けられた貫通孔HLを通過可能となるように係合部83が通過位置に位置決めされた状態で第三杭部材30を軸方向における一方側に移動させる(図5Bの矢印B1参照)。
次いで、図5Cに示すように、係合部83が貫通孔HLを通過した状態で第三杭部材30を第二杭部材20に対して所定の角度(例えば90度)だけ相対的に回転させる(係合位置に回転させる)。これにより、連結部材80の係合部83が被係合部26に対して係合し、第二杭部材20及び第三杭部材30の互いに離れる方向の移動が規制される。
続いて、図5Dに示すように、ステップS3の係合状態を維持したまま、軸AXを中心とする回転力を伝達可能な状態で第一杭部材10、第二杭部材20及び第三杭部材30を接続するステップS4が行われる。具体的には、第三杭部材30の軸方向の一方側の第三一方側端面35を第二他方側端面25に突き合わせるように第三杭部材30と第二杭部材20とを軸方向に互いに近づける。さらに、第一杭部材10を第二杭部材20に対して所定の嵌合深さ位置まで嵌合する。つまり、第一杭部材10が接続部材1の支持部60に当接する嵌合深さ位置まで第一杭部材10を第二杭部材20に外嵌する。このステップS4では、軸AXを中心とする回転力が伝達可能な状態で第一杭部材10、第二杭部材20及び第三杭部材30が接続されるため、第三杭部材30に回転力が作用した場合に、第二杭部材20と第三杭部材30との連結状態(第三杭部材30を第二杭部材20に対して所定の角度だけ相対的に回転させた状態)が維持される。したがって、第三杭部材30に引き抜き方向の力を与えることにより、杭ユニット100全体を地面から引き抜くことができる。
なお、前記の方法と同様の方法を用いることで、第二杭部材20及び第三杭部材30の一方に対して、第二杭部材20及び第三杭部材30の他方とは別の杭部材を軸方向に接続することができる。例えば、前記の方法と同様の方法を用いることで、第二杭部材20に対して、地面を掘削するための羽根96が取り付けられた第四杭部材95を軸方向において連結することができる(図5E参照)。このとき、第二杭部材20と第四杭部材95とは、第二杭部材20と第三杭部材30とが嵌合する第一杭部材10とは別の第一杭部材10に嵌合することにより接続される。一方、第二杭部材20に対して地面を掘削するための羽根96を設けることもできる。
次に、前記の通り説明した本実施形態に係る杭ユニット100の特徴および作用効果について列記する。
本実施形態では、隙間調整部50が第一交差面12と第二交差面22との間に配置された状態で、隙間調整部50から内外方向の一方側に延びる支持部60により第一杭部材10及び第二杭部材20の一方の軸方向における一方の端面を支持し、かつ、隙間調整部50から内外方向の他方側に延びるとともに第一杭部材10及び第二杭部材20の他方に係止する係止部70により支持部60の軸方向における位置を位置決めすることができる。これにより、第一杭部材10及び第二杭部材20の一方が、第一杭部材10に対する第二杭部材20の嵌合深さが規定嵌合深さよりも深くなるような方向に移動することが規制される。
さらに、本実施形態では、前記のような移動を規制するための支持部60と係止部70とが、第一交差面12と第二交差面22との間のデッドスペースを利用して配置される隙間調整部50によって連結されている。このため、本実施形態では、各杭部材に対して肉厚を減らすような加工を施すことなく、上述した第一杭部材10に対する第二杭部材20の移動を規制することができる。したがって、本実施形態によれば、第一杭部材10及び第二杭部材20の強度の低下を抑制しながら、第二杭部材20の第一杭部材10に対する嵌合深さが所定の嵌合深さを超えることが規制された状態で第一杭部材10及び第二杭部材20を接続することができる。
また、本実施形態では、第二杭部材20と第三杭部材30とが軸方向において互いに離間することが連結部材80により規制されるため、第二杭部材20及び第三杭部材30の一方に対して第二杭部材20及び第三杭部材30の他方から離間する方向の力を与えることにより、第一杭部材10、第二杭部材20及び第三杭部材30をまとめて移動させることができる。したがって、例えば接続ユニット90により互いに接続された第一杭部材10、第二杭部材20及び第三杭部材30を第二杭部材20から地面に打ち込んだ状態で、第三杭部材30を引き上げることにより、第一杭部材10、第二杭部材20及び第三杭部材30を地面から引き抜くことができる。
また、本実施形態では、連結部材80を第二杭部材20及び第三杭部材30の断面形状の範囲内に収めることができるため、第一杭部材10、第二杭部材20、及び第三杭部材30を地面に打ち込む際に生じる抵抗を連結部材80が増加させることを防止できる。
また、本実施形態では、同一の断面形状を有する第二杭部材20と第三杭部材30とを接続ユニット90を介して接続することができる。このため、第二杭部材20の断面形状と第三杭部材30の断面形状とが異なる場合と比較して、杭ユニット100を地面に打ち込む際に生じる抵抗の変化、及び、第二杭部材20及び第三杭部材30の剛性の相違を抑えることができる。
また、本実施形態では、共通した部品を第二杭部材20や第三杭部材30として用いることができる。したがって、杭ユニット100の製造コストが低下する。
また、本実施形態では、隙間調整部材40によって第一交差面12と第三交差面32との間の隙間を埋めることができる。このため、第一杭部材10と第三杭部材30との間において回転力を効率よく伝達することができる。
また、本実施形態では、第一内周面11の断面形状が軸方向の全長に亘って一定であるため、第一杭部材10の内側で第二杭部材20と第三杭部材30とを突き合わせることができる。つまり、第一杭部材10を第二杭部材20と第三杭部材30とを接続するための要素として使用することができる。さらに、第一杭部材10の全長が第二及び第三杭部材20、30の全長よりも短いため、第二及び第三杭部材20、30が突き合わされた状態で、両杭部材の突き合わされた端部と反対側の端部を第一杭部材10の外側に露出させることができる。したがって、前記態様によれば、第二杭部材20と第三杭部材30との合計長さを杭ユニット100の地中への刺し込み深さとして管理することができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る杭ユニット200の構成について、図6~図10を参照しながら説明する。以下の説明では、図6~図10の紙面における下方向を軸方向における一方側とし、図6~図10の紙面における上方向を軸方向における他方側とする。
本実施形態に係る杭ユニット200は、所定の軸AXを中心とする回転力が作用した状態で地中に埋め込まれるものである。本実施形態において、所定の軸AXを中心とする回転力は、後述する第一杭部材110に対して作用する。図6に示すように、杭ユニット200は、軸AXが延びる軸方向に沿って延びる管状の第一杭部材110と、軸方向に沿って延びるとともに軸方向の一方側から第一杭部材110に嵌合される第二杭部材120と、第一杭部材110と第二杭部材120とを接続する接続部材101と、を有する。
第一杭部材110は、接続部材101を介して第二杭部材120に接続される。第一杭部材110は、軸方向に延びる管状の第一本体部114と、第一本体部114から外側方向に延びるとともに軸方向における他方側を向く他方側端面118を有する第一突出部116とを有する。図6に示すように、第一本体部114は、軸AXを中心とする円の軌跡に対して交差するような角度を持つ第一交差面112を含む第一内周面111を有する。また、第一内周面111は、第一交差面112とは異なる別第一交差面117であって、軸AXを中心とする円の軌跡に対して交差するような角度を持つ別第一交差面117を含む。具体的に、第一本体部114は、平面視で四角形に現れる第一内周面111を有し、第一内周面111には、互いに対向する2つの第一交差面112と、互いに対向する2つの別第一交差面117とが含まれている。第一内周面111の内側に第二杭部材120が挿入されることにより、第一杭部材110に対して第二杭部材120が嵌合する。
なお、本実施施形態では、第一杭部材110に対する第二杭部材120の嵌合深さが予め設定されている。以下では、予め設定された第一杭部材110に対する第二杭部材120の嵌合深さのことを規定嵌合深さと呼ぶ。
第二杭部材120は、第一杭部材110に嵌合されるとともに接続部材101を介して第一杭部材110に接続される。図6に示すように、第二杭部材120は、軸方向に延びる管状の第二本体部124と、第二本体部124から外側方向に延びる第二突出部128とを有する。第二本体部124は、第一杭部材110の第一内周面111に嵌合可能な形状を有するとともに第一内周面111の内側に嵌合される第二外周面123を有する。第二外周面123は、第一内周面111と相似した形状を有する。第二外周面123は、第二杭部材120が第一杭部材110の内側に嵌合された状態で第一杭部材110の第一交差面112と対向する第二交差面122と、第二杭部材120が第一杭部材110の内側に嵌合された状態で別第一交差面117と対向する別第二交差面127とを含む。具体的には、第二本体部124は、平面視で四角形に現れる第二外周面123を有し、第二外周面123には、互いに対向する2つの第二交差面122と、互いに対向する2つの別第二交差面127とが含まれている。本実施形態では、第二外周面123が第一内周面111の内側に挿入された状態で、第一交差面112と第二交差面122との間、及び、別第一交差面117と別第二交差面127との間に隙間が形成されるように第一杭部材110及び第二杭部材120の寸法が設計されている。これにより、例えば第二外周面123の径に寸法誤差が生じている場合であっても、前記隙間によって両杭部材の嵌合が許容される。第一交差面112と第二交差面122との間の隙間には、接続部材101の後述する隙間調整部150が設けられる。別第一交差面117と別第二交差面127との間の隙間には、接続部材101の後述する別隙間調整部185が設けられる。図6及び図8に示すように、第二突出部128は、第二本体部124から外側方向に延びる第一部分128Aと、第一部分128Aから軸方向に直交する方向に延びる第二部分128Bと、を有する。具体的に、第一部分128Aは、軸方向と直交する方向において別第二交差面127の中間部から外側に突出する。第二部分128Bは、第一部分128Aの外側端部から別第二交差面127に沿って軸方向と直交する方向に延びる。このため、軸方向に見て、第二本体部124と第二部分128Bとの間には隙間が形成される。また、図8に示すように、第二部分128Bは軸方向における一方側を向く一方側端面129を有する。
接続部材101は、第一杭部材110と第二杭部材120との間に介在するとともに軸AXを中心とする回転力を伝達可能な状態で第一杭部材110と第二杭部材120とを接続する。本実施形態に係る接続部材101は、それぞれが互いに軸方向に直交する方向から接近するようにして第二杭部材120に取り付けられる一対の接続片105を有する(図9及び図10参照)。一対の接続片105は、それぞれ、第一交差面112と第二交差面122との間に設けられる隙間調整部150と、第一杭部材110を支持する支持部160と、支持部160の軸方向における位置を決める係止部170と、第一突出部116に係止される第一規制手段181と、第二突出部128に係止される第二規制手段182と、を有する。一対の接続片105は、例えば金属板によって形成されている。なお、両接続片105は、樹脂などにより形成されるものであってもよい。本実施形態において、両接続片105は実質的に同様の構成を有するため、以下では一方の接続片105のみについてその構成を説明する。
隙間調整部150は、第一交差面112と、第二交差面122と、の間の隙間を埋めるように第一交差面112と第二交差面122との間に設けられる。
支持部160は、第一杭部材110に対する第二杭部材120の嵌合深さが規定嵌合深さよりも深くなるような第一杭部材110及び第二杭部材120の一方の軸方向における一方側への移動を規制する。ここでは、支持部160は、第一杭部材110に対する第二杭部材120の嵌合深さが規定嵌合深さを超えるように第一杭部材110が軸方向における一方側へと移動することを規制する。図6に示すように、支持部160は、第一杭部材110の軸方向の一方側の第一一方側端面115に接触するために隙間調整部150の軸方向における一方側の端部から外側方向(軸AXから離れる方向)に延びる。支持部160が第一一方側端面115に接触するとともに第一杭部材110を支持することにより、規定嵌合深さを超えるような第一杭部材110の第二杭部材120に対する相対的な移動が規制される。
係止部170は、第一杭部材110に対する第二杭部材120の嵌合深さが規定嵌合深さとなるように支持部160が位置決めされた状態で第一杭部材110及び第二杭部材120の他方に係止される。ここでは、係止部170は、支持部160の位置決めをするために、第二杭部材120に係止される。図6に示すように、係止部170は、隙間調整部150の軸方向における他方側の端部から内側方向(軸AXに近づく方向)に延びる。係止部170は、第二杭部材120の軸方向の他方側の第二他方側端面125に対して軸方向における他方側から接触することにより接続片105のそれぞれの軸方向における一方側への移動が規制されるように第二杭部材120に係止される。なお、係止部170が係止する対象は第二他方側端面125に限定されるものではなく、第二杭部材120の第二交差面122の内側の領域に第二他方側端面125とは別に係止可能な部分を有する場合には、その部分を利用することもできる。
第一規制手段181は、支持部160により軸方向における一方側への移動が規制された第一杭部材110及び第二杭部材120の一方に対し、第一杭部材110及び第二杭部材120の一方の軸方向における他方側への移動が規制されるように係止されるものである。ここでは、第一規制手段181は、第一杭部材110の軸方向における他方側への移動が規制されるように第一杭部材110に係止される。図6に示すように、第一規制手段181は、支持部160の外側方向における端部から軸方向における他方側に延びる折り返し部184と、第一突出部116に対し、第一杭部材110の軸方向における他方側への移動が規制されるように係止する第一係止部187とを有している。具体的に、折り返し部184には内外方向に延びる雌ネジ部183が形成されており、第一係止部187は雄ネジ部分188を有している。本実施形態では、第一係止部187の雄ネジ部分188が雌ネジ部183に螺合された状態で第一係止部187が折り返し部184を貫通する。第一係止部187の折り返し部184を通過した部分が、第一突出部116の他方側端面118に当接することにより、第一係止部187は第一杭部材110に係止される。
第二規制手段182は、第一杭部材110及び第二杭部材120の他方に対し、接続片105のそれぞれの軸方向における他方側への移動が規制されるように係止されるものである。ここでは、第二規制手段182は、接続片105の軸方向における他方側への移動が規制されるように第二杭部材120に係止される。図6及び図8に示すように、本実施形態に係る接続片105は、2つの第二規制手段182を有する。第二規制手段182のそれぞれは、別第一交差面117と別第二交差面127との間の隙間、及び、第二本体部124と第二部分128Bとの間の隙間に配置されるように係止部170から軸方向の一方側に延びる別隙間調整部185と、第二突出部128に対し、接続片105の軸方向における他方側への移動が規制されるように係止する第二係止部186と、を有する。具体的には、第二係止部186は、別隙間調整部185の軸方向の一方側の端部から外側方向に延び、第二突出部128の一方側端面129に接触することにより、接続部材101の第二杭部材120に対する軸方向の他方側への移動を規制する。
次に、前記の通り説明した本実施形態に係る杭ユニット200の特徴および作用効果について列記する。
本実施形態では、第一杭部材110及び第二杭部材120の一方と接続部材101とが軸方向において互いに離間することが第一規制手段181によって規制されるとともに、接続部材101と第一杭部材110及び第二杭部材120の他方とが軸方向において互いに離間することが第二規制手段182によって規制される。このため、第一杭部材110及び第二杭部材120の一方に対して第一杭部材110及び第二杭部材120の他方から離間する方向の力を与えることにより、第一杭部材110及び第二杭部材120をまとめて移動させることができる。したがって、例えば接続部材101により互いに接続された第一杭部材110及び第二杭部材120を第二杭部材120から地面に打ち込んだ状態で、第一杭部材110を引き上げることにより、第一杭部材110及び第二杭部材120を地面から引き抜くことができる。
また、本実施形態では、第一規制手段181は第一本体部114から突出する第一突出部116及び第二本体部124から突出する第二突出部128の一方に係止するとともに、第二規制手段182は第一本体部114から突出する第一突出部116及び第二本体部124から突出する第二突出部128の他方に係止する。このため、第一杭部材110及び第二杭部材120の肉厚を減らすような加工を行うことなく、第一杭部材110及び第二杭部材120の一方と接続部材101とが軸方向において互いに離間することを規制するとともに、第一杭部材110及び第二杭部材120の他方と接続部材101とが軸方向において互いに離間することを規制できる。
(その他の実施形態)
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。
前記実施形態1では、第三杭部材30を第二杭部材20に対して所定角度だけ相対的に回転させることにより第二杭部材20と第三杭部材30とを連結する例について説明したが、第二杭部材20と第三杭部材30との連結方法はこれに限定されるものではない。例えば、以下のように実施形態3に係る連結部材を用いることによっても、第二杭部材20と第三杭部材30とを連結することができる。図11及び図12を参照しながら、実施形態1と異なる点について主に詳細に説明する。
実施形態3に係る杭ユニット100は、軸AXが延びる軸方向に沿って延びる管状の第一杭部材10Aと、軸方向に沿って延びるとともに軸方向の一方側から第一杭部材10Aに嵌合される第二杭部材20Aと、軸方向に沿って延びるとともに軸方向において第二杭部材20Aとは反対側(本実施形態では、軸方向の他方側)から第一杭部材10Aに嵌合される第三杭部材30Aと、第一杭部材10Aと第二杭部材20Aと第三杭部材30Aとを接続する接続ユニット90Aと、を有する。接続ユニット90Aは、第一杭部材10Aと第二杭部材20Aとを接続する接続部材1Aと、第二杭部材20Aと第三杭部材30Aとを連結する連結部材80Aと、を有する(図11及び図12参照)。
第一杭部材10Aは、軸AXを中心とする円の軌跡に対して交差するような角度を持つ第一交差面(図示省略)を含む第一内周面11Aを有する。
第二杭部材20Aは、軸方向に延びる管状の第二本体部24Aと、軸方向と直交する第二杭部材20Aの断面形状の範囲内に設けられた被係合部26Aとを有する。第二本体部24Aは、第一杭部材10Aの第一内周面11Aに嵌合可能な形状を有するとともに第一内周面11Aの内側に嵌合される第二外周面23Aと、第二外周面23Aと相似した形状を有するとともに第二外周面23Aに取り囲まれる第二内周面21Aとを有する。被係合部26Aは、第二内周面21Aにおける対向する部分同士を接続する接続板22A(図12参照)と、接続板22Aから軸方向の他方側に延びる第二取り付け部27Aと、第二取り付け部27Aの軸方向の他方側の端部から軸方向と直交する方向に延びる第二係合部28Aと、を有する。第二係合部28Aは、第二本体部24Aの軸方向の他方側の第二他方側端面25Aの軸方向の他方側に位置する。
第三杭部材30Aは、第三内周面31Aを有するとともに軸方向に延びる管状の第三本体部34Aと、第三内周面31Aにおいて対向する部分同士を接続するように第三本体部34Aに固定された被取り付け部36A(図12参照)と、を有する。
連結部材80Aは、被取り付け部36Aに取り付けられた取り付け部37Aと、取り付け部37Aから第一杭部材10Aの内側を通じて被係合部26Aまで到達可能な長さを有する延出部39Aと、延出部39Aに接続された係合部38Aと、を有する。取り付け部37Aは、第三杭部材30Aの断面形状の範囲内に設けられている。係合部38Aは、第三杭部材30の断面形状の範囲内で被係合部26Aに係合可能な形状を有する。具体的に、係合部38Aは、第三本体部34Aの軸方向の一方側の第三一方側端面35Aの軸方向の一方側において延出部39Aから軸方向と直交する方向に延びている(図12参照)。
第二杭部材20Aと第三杭部材30Aとは、例えば第二他方側端面25Aと第三一方側端面35Aとを突き合わせた状態で、第二杭部材20Aを第三杭部材30Aに対して軸方向に直交する方向に相対的に移動させる(スライドさせる)とともに連結部材80Aの係合部38Aが被係合部26Aに係合することにより連結される(図12参照)。なお、前記の方法により係合部38Aと被係合部26Aとを係合させる際は、第二杭部材20Aの前記のスライドを妨げることがないように、第一杭部材10Aを軸方向における他方側に移動させる。以上説明したような態様により連結部材を構成する場合においても、前記実施形態に係る連結部材と同様の効果を得ることができる。
また、前記実施形態1では、第二外周面23が第一内周面11と相似した形状を有する例について説明した。しかしながら、第二外周面23の形状はこれに限定されるものではなく、第一杭部材10と第二杭部材20との間で回転力を伝達可能な状態で第一内周面11に嵌合することができる形状であれば、第二外周面23の形状は適宜変更可能である。なお、前記実施形態1に係る第三外周面33の形状及び前記実施形態2に係る第二外周面123の形状についても同様である。
また、前記実施形態1では、第二杭部材20が軸方向における一方側から第一杭部材10に嵌合されるとともに、第三杭部材30が軸方向における他方側から第一杭部材10に嵌合される例について説明したが、第二杭部材20は軸方向における他方側から第一杭部材10に嵌合されてもよく、第三杭部材30は軸方向における一方側から第一杭部材10に嵌合されてもよい。この点については、実施形態2及び実施形態3についても同様である。
また、前記実施形態1では、支持部60が第一杭部材10に対する第二杭部材20の嵌合深さが規定嵌合深さを超えるように第一杭部材10が軸方向における一方側へと移動することを規制する例について説明したが、支持部の構成はこれに限定されるものではない。例えば、第二杭部材20が軸方向における他方側から第一杭部材10に嵌合される場合、第一杭部材10に対する第二杭部材20の嵌合深さが規定嵌合深さを超えるように第二杭部材20が軸方向における一方側へと移動することを規制するように支持部を構成することができる。この場合、接続部材1は、第二杭部材20の軸方向の一方側の端面(図示省略)に接触するために各隙間調整部50の軸方向における一方側の端部から内側方向(軸AXに近づく方向)に延びる支持部と、各隙間調整部50の軸方向における他方側の端部から外側方向(軸AXから離れる方向)に延びることにより第一杭部材10に係止される係止部とを有していればよい。つまり、第二杭部材20が軸方向における他方側から第一杭部材10に嵌合される場合は、図1において符号70を付した部材が支持部60として機能し、かつ、図1において符号60を付した部材が係止部70として機能する。この点については、実施形態2及び実施形態3においても同様である。
なお、このように支持部が隙間調整部の内側に設けられる場合、実施形態2においては、第一規制手段181と第二規制手段182とが逆転する。具体的に、図6において符号182を付した部材が第一規制手段181として機能し、かつ、図6において符号181を付した部材が第二規制手段182として機能する。
また、前記実施形態2に係る第二杭部材120は、第一杭部材110とは別の杭部材と軸方向において接続されてもよい。例えば、図13に示すように、第二杭部材120には、軸方向の一方側から第四杭部材195が接続されていてもよい。第四杭部材195は、軸方向に延びる管状の第四本体部194と、第四本体部194から外側方向に突出する第四突出部199と、第四本体部194に取り付けられる羽根196であって、地面を掘削するための羽根196とを有している。第四本体部194は、第二外周面123と相似した形状を有するとともに第二外周面123が内側に嵌合する第四内周面191と、第四内周面191と相似した形状を有するとともに第四内周面191を取り囲む第四外周面198と、を有する。また、第四杭部材195は、上述した接続部材101を介して第二杭部材120に接続されている。具体的に、接続部材101は、軸方向において図6に示す姿勢と反対向きの姿勢で第二杭部材120と第四杭部材195との間に介在することにより、第二杭部材120の軸方向の一方側への移動を規制した状態で第二杭部材120と第四杭部材195とを接続する。なお、図13では、第一杭部材110、第二杭部材120、接続部材101及び第四杭部材195の一部の断面図を示し、第四杭部材195の残りの部分の側面図を示している。
また、前記実施形態2では、第二規制手段182の第二係止部186が第二突出部128の一方側端面129に係止するために外側方向に延びる例について説明したが、第二規制手段182の第二突出部128に対する係止方法はこれに限定されるものではない。例えば、第二規制手段182は、雄ネジ部分を有する所定の締結部材(図示省略)を用いることにより第二突出部128に係止されてもよい。具体的に第二規制手段182の第二係止部186は、第二係止部186の外側の端部から軸方向の他方側に延びる別折り返し部189(図14参照)をさらに有していてもよい。別折り返し部189には、所定の締結部材が貫通可能に形成された穴HL2が形成されている。当該穴HL2に貫通させた所定の締結部材を第二突出部128の第二部分128Bの軸方向における他方側を向く他方側端面(図示省略)に係止させることにより、第二規制手段182は接続部材101を第二杭部材120に係止させることができる。
また、前記実施形態1及び3では、図2に示すような隙間調整部材40が第一杭部材10、10Aと第三杭部材30、30Aとの間の隙間に設けられる例について説明した。しかしながら、実施形態1及び3に係る杭ユニット100においては、図15に示すような隙間調整部材140が用いられてもよい。以下、図15を参照しながら説明する。
杭ユニット100は、前記の第一杭部材10に代えて、軸AXが延びる軸方向に沿って延びる管状の第一杭部材10Bを有する。第一杭部材10Bは、軸方向に延びる管状の第一本体部14Bと、第一本体部14Bの周回りに設けられるとともに外側方向に延びる第一突出部16Bを有する。
隙間調整部材140は、第三杭部材(図示省略)と第一杭部材10Bとの間の隙間に挿入されるとともに軸方向に延びる挿入部142と、挿入部142に接続されるとともに隙間調整部材140を第一杭部材10Bに係止させるための係止部分141と、を有する。具体的に、係止部分141は、隙間調整部材140が軸方向における一方側へと移動することを規制するように挿入部142の軸方向の他方側の端部から外側に延びる第一係止部分143と、隙間調整部材140が第一杭部材10Bの内側に移動することを規制するように第一係止部分143の外側の端部から軸方向の一方側に延びる第二係止部分144と、隙間調整部材140が軸方向における他方側へと移動することを規制するように第二係止部分144の軸方向の他方側の端部から内側に延びる第三係止部分145と、を有する。以上説明したような態様により隙間調整部材140を構成する場合においても、前記実施形態1及び3に係る隙間調整部材40と同様の効果を得ることができる。