JP2023107494A - 転写型記録用の中間転写体、中間転写体の製造方法、及び転写型インクジェット記録装置 - Google Patents

転写型記録用の中間転写体、中間転写体の製造方法、及び転写型インクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】転写型記録用中間転写体の画像形成面に適用でき、かつ繰り返し使用における耐久性が向上した、転写型記録用の中間転写体、及びこの中間転写体の製造方法を提供することにある。【解決手段】中間転写体の表面層が、下記一般式(1)の有機シロキサン化合物と、芳香環を有する重合性基含有化合物と、を含む組成物の硬化物となるように形成する中間転写体の製造方法。TIFF2023107494000015.tif2676(式中、Xは、反応性官能基、nは、平均繰り返し単位数、R1は、炭素数1~4のアルキル基を表し、平均繰り返し単位数nは、5≦n≦100を満たす。)【選択図】図1

Description

本発明は、転写型記録用の中間転写体、かかる中間転写体の製造方法、及び転写型インクジェット記録装置に関する。
トナーやインクなどの色材を含む材料で中間転写体の上に画像を形成し、画像形成面から記録媒体に転写することによって画像を記録する転写型記録方法があり、オフセット印刷方式や電子写真方式、インクジェット方式などが知られている。例えば、インクジェット方式では、中間画像を転写する方式において、中間転写体上に離型層を形成した上にホットメルトインクを付与し、離型層とホットメルトインクを同時に転写する方式(特許文献1)や、転写体上に樹脂微粒子入りの反応液とインクとを付与した後に転写する方式(特許文献2)がある。
転写型記録方法において、中間転写体は中間画像を記録媒体へ転写する転写性(画像の剥離性)が求められ、さらにその性能を繰り返し利用できるようにクリーニング性も備えていなければならない。それらの性能を有する中間転写体はこれまでにいくつか提案されている。特許文献3では、中間転写体の表層にシリコーンゴムを一層設けることで表面のタック性が低く、適度な撥水性を有する中間転写体を作製し、高い転写性とクリーニング性を実現している。
特開2002-240411号公報 特開2009-45851号公報 特許第4586107号公報
しかしながら、特許文献1~3は、記録媒体によっては転写不良が生じる場合があった。また、特許文献3はシリコーンゴムを用いることで繰り返し高品位な画像を記録媒体に転写することができるものの、画像形成面に用いているシリコーンゴムの機械強度が他のゴムと比較して弱いことから、その耐久性には限度があった。したがって、本発明の目的はシリコーンゴムが示す高い転写性とクリーニング性を維持しつつ、耐久性に優れた転写型記録用の中間転写体を提供することにある。
本発明にかかる中間転写体は、基層と、表面層を有する転写型記録用の中間転写体であって、該表面層が、
下記一般式(1)の有機シロキサン化合物と、
芳香環を有する重合性基含有化合物と、を含む組成物を硬化してなる硬化物を含むことを特徴とする。
Figure 2023107494000002
式(1)中、Xは、反応性官能基、nは、平均繰り返し単位数、R1は、それぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基を表し、平均繰り返し単位数nは、5≦n≦100を満たす。
本発明によれば、中間画像を中間転写体から記録媒体に転写する転写性と、色材などの残渣を取り除くクリーニング性と、前記中間転写体上に画像形成して記録媒体に転写を行ったのちにクリーニングする一連の記録プロセスを繰り返しても画像品位が低下しない耐久性と、を有している中間転写体を提供することができる。
本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態における中間転写体の構成を表す模式図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。好適な実施形態としてインクジェット記録装置を用いて本発明の詳細を説明するが、本発明の効果はインクジェット記録装置に限ったものではない。
本実施形態のインクジェット記録装置としては、被吐出媒体としての中間転写体上にインクを吐出してインク像を形成し、液吸収部材によるインク像からの液体吸収後のインク像を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置である。以下、本実施形態のインクジェット記録装置を「転写型インクジェット記録装置」と称する。
<転写型インクジェット記録装置>
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。この記録装置は、中間転写体101を介して記録媒体108にインク像を転写することで記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、転写型インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体108はX方向に搬送される。
本発明の転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、中間転写体101、支持部材102、反応液付与装置103、インク付与装置104、液除去装置105、押圧部材106、記録媒体搬送装置107及びワックス膜形成装置110を有する。中間転写体101は支持部材102によって支持されている。中間転写体101上にワックス膜を形成するワックス膜形成装置110が配置され、インクと反応する反応液を付与する反応液付与装置103が配置されている。インク付与装置104は、反応液が付与された中間転写体101上に有色のインク、及び転写補助液を付与し、中間転写体上に、インク像を形成するインクジェットヘッドを備えている。液除去装置105は、中間転写体上のインク像から液体成分を除去する。押圧部材106は、液体成分を除去した中間転写体上のインク像を紙などの記録媒体108上に転写するための部材である。また、転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて転写した後の中間転写体101の表面をクリーニングする中間転写体クリーニング部材109を有していてもよい。当然のことではあるが、中間転写体101、反応液付与装置103、インク付与装置104のインクジェットヘッド、液除去装置105および中間転写体クリーニング部材109は、それぞれ、Y方向において用いられる記録媒体108に対応するだけの長さを有している。
中間転写体101は、支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、中間転写体101が移動する。移動する中間転写体101上に、反応液付与装置103によって反応液、および、インク付与装置104によってインクが順次付与され、中間転写体101上にインク像が形成される。中間転写体101上に形成されたインク像は、中間転写体101の移動により、液除去装置105まで移動される。
液除去装置105で液体を除外する方法は、従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を用いることができる。
また、上記手法以外に、多孔質体を含む液吸収部材を押し当てることで液体を吸収する手段を用いることもできる。この際、液吸収部材が接触した状態において、液吸収部材は、所定の押圧力をもって中間転写体101に押圧されることが液吸収部材を効果的に機能させる点で特に好ましい。
液吸収部材の接触による液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、中間転写体上に形成された画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
そして、液体成分が除去された液除去後のインク像は、液除去前のインク像と比べてインクが濃縮された状態となり、さらに中間転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部111へ移動される。この転写部111において中間転写体101の表面に形成された液除去後のインク像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が中間転写体101を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後のインク像は液除去前のインク像、および液除去後のインク像の反転画像である。
なお、本実施形態では中間転写体101上には反応液が付与されてからインクが付与されて画像が形成されるため、インクによる画像が形成されない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。
したがって、液吸収部材の接触による液体成分の除去においては、画像から液体成分を除去すると表現して説明しているが、画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも中間転写体上の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について、以下に説明する。
<支持部材>
支持部材は、中間転写体に対して搬送性や機械的な耐久性を付与するために、必要に応じて用いることができる。支持部材は、中間転写体の表面層側の面に対して反対側の面(補強層側14の面)を支持する。
支持部材は、その搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の強度を有することが要求される。支持部材の材質としては、金属、セラミックス、樹脂などが好ましい。中でも、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましい。これらから選択された材質で支持部材を構成すると、転写時の加圧に耐えうる剛性や寸法精度を確保できるとともに、動作時の慣性(イナーシャ)を軽減して制御の応答性を向上させることができる。尚、これらの材質は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
支持部材の形状や構造は、中間転写体を支持できるように設定されていればよく、特に制限はない。例えば、支持部材の形状に関しては、適用する転写型インクジェット記録装置の形態または記録媒体への転写態様、中間転写体の形状等に合わせて、ローラ状、ドラム状、ベルト状等の形状の支持部材を用いることができる。図1に示す転写型インクジェット記録装置では、ドラム状の支持部材の外周面に中間転写体を設けることでドラム状の中間転写体が形成されている。
<中間転写体>
本発明にかかる中間転写体は、表面層を有する。また、中間転写体は、例えば、ハンドリングや転写部への固定に必要な強度を中間転写体に付与するために、基層を更に有することが好ましい。基層は、画像形成面を有する表面層を支持し、必要とされる機械的強度や物性を中間転写体に付与できるものであれば特に限定されないが、基層としては、弾性層、圧縮層、及び補強層のうちの少なくとも一つの層を有することが好ましい。基層を複数層で形成してもよい。複数層からなる基層は、それぞれ作製して得られた各層を接着層などの中間層によって接着した構造を有してもよいし、先に用意あるいは形成した層上で次の層を形成して一体化した積層構造を有してもよい。あるいは、これらの2つの層構造の両方を有してもよい。図2に、本実施形態にかかる中間転写体の構成を、厚さ方向における部分断面図として模式的に示す。図2に示した中間転写体は、表面層11と、基層としての弾性層12、圧縮層13及び補強層14が、これらの順に積層された構造を有する。尚、補強層14、圧縮層13、表面層11は一体となっていてもよい。
中間転写体の形状としては、シート形状、ローラ形状、ドラム形状、ベルト形状、無端ウエブ形状などを挙げることができる。また、中間転写体のサイズは、記録媒体のサイズ等に合わせて適宜設定することができる。特に、図1の実施形態のようなドラム状の中間転写体を用いると、同一の中間転写体を連続して繰り返し使用することが容易となり、生産性の観点からも好適な構成となる。
(補強層)
補強層14は、中間転写体の搬送精度や機械的な耐久性を向上させるために用いることができる。補強層14は支持部材と接触する。補強層14には、搬送精度や耐久性の観点から、ある程度の強度を有することが要求される。補強層14は、布、フィルム、シート等により形成することができる。布の材質としては、綿、ポリエステル、ポリイミド、ナイロン等が挙げられる。フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等が挙げられる。補強層14の厚さは特に限定されず、目的とする補強機能を有する補強層を得ることができるように設定すればよい。例えば、補強層14の厚さは0.1mm以上1.5mm以下とすることが好ましい。また、中間転写体は、支持部材と接触する補強層(「第一の補強層」とも称する)とは別に、圧縮層13と弾性層12との間に更に補強層(「第二の補強層」とも称する)を有していてもよい。
(圧縮層)
圧縮層13は、転写時に中間転写体が受ける圧力(転写圧)を均一にするために用いることができる。圧縮層13は、空隙を内包するゴム(スポンジゴム)を有することが好ましい。ここで、空隙は連続気泡、独立気泡のいずれで構成されてもよいが、転写圧による圧縮層の変形回復性の観点から、独立気泡が好ましい。ゴムとしては、ポリブタジエン系ゴム、ニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、フルオロシリコーン系ゴム、ウレタン系ゴム、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマーが好ましい。これらの1種または2種以上を組み合わせて圧縮層13の形成に用いることができる。圧縮層の厚さは、転写圧の均一化及び転写時の中間転写体の移動方向への歪みの抑制の観点から、好適な変形状態をより効果的に得るためには、0.1mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。
(弾性層)
弾性層12は、中間転写体の記録媒体への追従性を向上させるために用いることができる。弾性層12を構成する材料としては、樹脂、エラストマー、ゴム、セラミック等の各種材料を適宜用いることができる。これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
加工特性等の点で、各種エラストマー及び各種ゴムが好ましい。ゴムの具体例としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)等が挙げられる。これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴムは、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。従って、弾性層12は、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムの少なくとも1種を含むことが好ましく、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン・プロピレン・ジエンゴムの少なくとも1種を含むことがより好ましい。
弾性層12は、弾性層の全質量を基準として、これら樹脂やセラミック、ゴムを、合計で10質量%以上100質量%以下含有していることが好ましく、30質量%以上含有していることがより好ましく、50質量%以上含有していることがさらに好ましい。弾性層12は前記材料の他に、各種フィラーや添加剤を含有してもよい。
弾性層12の圧縮弾性率E2は、0.5MPa以上50.0MPaとすることが好ましい。また、弾性層12の圧縮弾性率E2は、3.0MPa以上25.0MPa以下とすることがより好ましく、5.0MPa以上25.0MPa以下とすることが特に好ましい。弾性層12の圧縮弾性率E2を、0.5MPa以上とすることで、弾性層12の大きな変形を抑制し、弾性層12の変形に表面層11を追従させやすくなる。弾性層12の圧縮弾性率E2を、50.0MPa以下とすることで、特に高速時において局所的に表面層11にかかる応力を、弾性層12で十分に緩和することができ、耐クラック性及び転写性も高めることができる。
弾性層12の厚さは、上記の弾性層12の機能をより効果的に発揮させるという観点から、0.05mm以上、0.5mm以下であることが好ましい。弾性層12の厚さの上限は、0.2mm以下であることが更に好ましい。
(表面層)
表面層11は画像形成面を有し、この画像形成面に、ワックス膜、反応液、およびインクによりインク像が形成される。この中間転写体上に形成されるインク像を中間画像と称することがある。
中間転写体の画像形成面(転写体の表面)は、中間画像の良好な形成と、中間画像の記録媒体への転写を両立する表面性を有することが重要である。中間転写体上に高品位な中間画像を形成するためには、中間転写体表面がワックス膜および反応液の均一塗布に適した濡れ性を有していることが好ましい。ここで付与する反応液はインクを高粘度化する成分として酸を含み、高品位な中間画像を形成するために用いる。また、ワックス膜は中間画像の記録媒体への転写を補助するために用いる。
表面層の材質としては、主材料としてシリコーン系材料を用いることが好ましく、表面層に用いられるシリコーン材料の構造としては、下記式Aで示すジアルキルシロキサンの繰り返しによって構成されていることが望ましい。下記式Aにおいて、アルキル基(-Alk)は炭素数1~10であることが好ましい。また、炭素数1~4であるほうが転写性を向上させるという点でより好ましい。また、下記式Aにおいて、nは、ジアルキルシロキサンの平均繰り返し単位数であり、5≦n≦100を満たすことが好ましい。
Figure 2023107494000003
本発明においては、中間転写体の表面層が、下記一般式(1)の有機シロキサン化合物と、芳香環を有する重合性基含有化合物と、を含む組成物を硬化してなる硬化物であることを特徴としている。
Figure 2023107494000004
式(1)中、Xは、反応性官能基、nは、平均繰り返し単位数、R1は、それぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基を表し、平均繰り返し単位数nは、5≦n≦100を満たす。
表面層の材質としては、主材料として上記したシリコーン系材料を用いることが好ましいが、各印刷方式で求められる表面層の必要物性に応じて材料を追加し、複合材料として用いることがより好ましい。例えば、撥水性を向上させるためにフルオロアルキルユニットを追加することや柔軟性を向上させるためにエチレンオキサイドユニットを追加することなどが挙げられる。また表面層は、複数の材料を積層して形成されていてもよいが、最表面層はシリコーン系材料であることが好ましい。例えば、ウレタンゴムシートにシリコーンゴムを積層した材料や、ポリエチレンテレフタレートフィルムにシリコーンゴムを積層した材料、ウレタンゴムシートにシロキサン化合物を成膜させた材料などが挙げられる。
また、表面層を形成する際に用いる硬化剤としては、ラジカル開始剤、光開始剤など種々の重合性基含有化合物を用いることができるが、中間転写体の表層としては脂肪酸などの有機材料との親和性を高め、均一塗布できるという点で芳香環を有する重合性基含有化合物を用いることが望ましい。芳香環を有する重合性基含有化合物としては、トリアリールスルホニウム塩の光酸発生剤等が挙げられ、具体的には、CPI-100P(製品名、サンアプロ社)、CPI-101A(製品名、サンアプロ社)、CPI-200K(製品名、サンアプロ社)、CPI-210S(製品名、サンアプロ社)、CPI-310B(製品名、サンアプロ社)、CPI-410S(製品名、サンアプロ社)などが挙げられる。
硬化剤の添加量は硬化する材料の種類にあわせて適宜調整し用いることができるが、硬化する材料に対する硬化剤の添加量が0.01質量%以上であることが安定して硬化する上でより好ましく、20質量%以下であることが硬化後の材料の平滑性を担保する上でより好ましい。
さらに、前記組成物に含まれる、芳香環を有する重合性基含有化合物の量が、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
また、前記硬化物に含まれる重合性基含有化合物が、カチオン重合性基含有化合物であり、前記反応性官能基が、エポキシ基であることが好ましい。
本発明の中間転写体においては、その表面層が、下記一般式(2)で表される、反応性官能基Yを有する有機シロキサン材料と、芳香環を有する重合性基含有化合物を含む材料の溶液を中間転写体用の部材に塗工する工程と、その塗工した部材を光照射によって硬化する工程の2つの工程により製造される。
Figure 2023107494000005
式(2)中、Yは、反応性官能基、nは平均繰り返し単位数、R1は、炭素数1~4のアルキル基を表し、平均繰り返し単位数nは、5≦n≦100を満たす。
<インクジェット記録方法>
<画像形成工程>
画像形成工程は、中間転写体の画像形成面にワックス膜を形成するワックス付与工程と、反応液を付与する反応液付与工程と、中間転写体の画像形成面にインクを付与してインク像を形成するインク付与工程と、を有する。
ワックスの付与は、反応液の付与前及び反応液の付与後の少なくとも一方において行うことができる。反応液の付与は、インクの付与前及びインクの付与後の少なくとも一方において行うことができる。インクと反応液は、これらの少なくとも一部が重なり合うように中間転写体の画像形成面に付与される。反応液によるインクの高粘度化をより効果的に行うには、反応液が付与された中間転写体の画像形成面にインクを付与することが好ましい。
<ワックス膜形成装置>
本実施形態の転写型インクジェット記録装置は、中間転写体101の上にワックス膜を形成するワックス膜形成装置110を有する。図1のワックス膜形成装置110は、ワックスを収容するワックス収容部110aとワックス収容部110aにあるワックスを中間転写体101上に付与するための、ワックス供給部材110b及びワックス付与部材110cを有している。
ワックス膜形成装置110は、ワックスを被吐出媒体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。
ワックスは溶融した状態で付与することが好ましく、ワックス付与時の中間転写体101の温度をワックスの融点未満にすることで、ワックスを固化させながら薄層で形成することが可能となる。
<ワックス>
ワックスとは化学的に厳密な意味では、脂肪酸と水に不溶性な高級一価アルコール類または二価アルコール類とのエステルをいうが、本件でのワックスとは広義的に以下のようなものを示す。
本実施形態に用いることができるワックスの種類は特に限定されない。ワックスの具体例としては、例えば蜜蝋、ラノリン、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス;フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ワックスなどの合成ワックス;ウレタン変性ワックス、アルコール変性ワックス等の変性ワックス;α-オレフィン-無水マレイン酸共重合体ワックスなどが挙げることができる。これらのワックスは、必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態では、インク層と中間転写体の間にワックスが形成されていることによって、転写性と耐ブロッキング性を向上させることができる。
<反応液付与装置>
本実施形態の転写型インクジェット記録装置は、中間転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を中間転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
反応液付与装置103は、反応液を被吐出媒体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。反応液付与装置103による反応液の付与は、被吐出媒体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料など)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂などのカチオン性成分や、有機酸など挙げることができる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の二価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の三価の金属イオンが挙げられる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、NO 、NO 、SO 2-、CO 2-、HCO 、PO 3-、HPO 2-、及びHPO 等の無機アニオン;HCOO、(COO、COOH(COO)、CHCOO、C(COO、CCOO、C(COO及びCHSO 等の有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0~5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸などのモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、などのジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸などのトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸などのテトラカルボン酸及びその塩や水素塩、などを挙げることができる。
カチオン性樹脂としては、例えば、1~3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂などを挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジンなどの構造を有する樹脂などを挙げることができる。反応液における反応剤の溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。
反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
反応液中の反応剤以外の成分としては、後述するインクに用いることができるものとして挙げた、水、水溶性有機溶剤、その他の添加剤などと同様のものを用いることができる。
<インク付与装置>
本実施形態の転写型インクジェット記録装置は、中間転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。中間転写体上では反応液とインクとが混合され、反応液とインクとによってインク像が形成され、さらに、液除去装置105にてインク像から液体成分が吸収される。
本実施形態ではインクを付与するインク付与装置104として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気-熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気-機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは、電気-熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。
本実施形態では、インクジェットヘッドは図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるY方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。インクジェットヘッドはその下面(中間転写体101側)にノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて中間転写体101の表面と対向している。
インク付与量は画像濃度(duty)やインク厚みで表現することができるが、本実施形態では各インクドットの質量に付与個数を掛け、印字面積で割った平均値をインク付与量(g/m)とした。尚、画像領域における最大インク付与量とは、インク中の液体成分を除去する観点より、被吐出媒体の情報として用いられる領域内において、少なくとも5mm以上の面積において付与されているインク付与量を示す。
インク付与装置104は、被吐出媒体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを被吐出媒体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することになり、これらは図1に示す転写型インクジェット記録装置におけるX方向に並ぶように配置される。
また、インク付与装置は、色材を含有しない、あるいは色材を含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクを吐出するインクジェットヘッドを含んでいてもよい。そしてこのクリアインクを反応液、カラーインクとともにインク像を形成するために利用することができる。例えば、画像の光沢性を向上させるためにこのクリアインクを用いることができる。転写後の画像が光沢感を醸すように、配合する樹脂成分を適宜調整し、さらには、クリアインクの吐出位置を制御するとよい。このクリアインクは、最終記録物ではカラーインクよりも表面層側にある方が望ましいので、中間転写体型の記録装置では、カラーインクよりも先に中間転写体101上に付与するようにする。そのためにインク付与装置104と対面する中間転写体101の移動方向において、クリアインク用のインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより上流側に配置することができる。
また、本発明では、光沢用とは別に、中間転写体101から記録媒体への画像の転写性を向上させるためにクリアインクを利用する。例えば、カラーインクよりも粘着性を発現する成分を多く含ませ、これをカラーインクに付与することで中間転写体101上に付与する転写性向上液としてクリアインクを利用することができる。例えば、インク付与装置104と対面する中間転写体101の移動方向において、転写性向上用のクリアインクのためのインクジェットヘッドをカラーインク用のインクジェットヘッドより下流側に配置しておく。そしてカラーインクを中間転写体101に付与した後、カラーインク付与後の中間転写体上にクリアインクを付与することで、インク像の最表面にはクリアインクが存在することになる。転写部111での記録媒体へのインク像の転写において、インク像の表面のクリアインクはある程度の粘着力で記録媒体108に粘着し、これによって、液除去後のインク像が記録媒体108へ移動しやすくなる。
<インク>
本実施形態に適用されるインクの各成分について説明する。
(色材)
本実施形態に適用されるインクに含有される色材として、顔料や染料を用いることができる。インク中の色材の含有量は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタンなどの無機顔料;アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン、イソインドリノン系、イミダゾロン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系などの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。顔料の分散方式は特に限定されない。例えば、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を直接又は他の原子団を介して結合させた自己分散顔料などを用いることもできる。勿論、分散方式の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。
顔料を分散させるための樹脂分散剤としては、インクジェット用の水性インクに用いられる公知の樹脂分散剤を使用することができる。中でも本実施形態の態様においては、分子鎖中に親水性ユニットと疎水性ユニットとを併せ持つアクリル系の水溶性の樹脂分散剤を用いることが好ましい。樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
インク中の樹脂分散剤は、液媒体に溶解した状態であってもよく、液媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。本発明において樹脂が水溶性であることとは、その樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法により粒子径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。
親水性ユニット(アニオン性基などの親水性基を有するユニット)は、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸などのアニオン性基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマーなどを挙げることができる。酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。
疎水性ユニット(アニオン性基などの親水性を有しないユニット)は、例えば、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマー(すなわち、(メタ)アクリルエステル系モノマー)などを挙げることができる。
樹脂分散剤の酸価は50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。また、樹脂分散剤の重量平均分子量は1,000以上50,000以下であることが好ましい。顔料の含有量(質量%)が、樹脂分散剤の含有量に対する質量比率で(顔料/樹脂分散剤)、0.3倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
自己分散顔料としては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(-R-)を介して顔料の粒子表面に結合しているものを用いることができる。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン;アンモニウム;有機アンモニウム;などを挙げることができる。また、他の原子団(-R-)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。
色材として用いることができる染料の種類は特に限定されないが、アニオン性基を有する染料を用いることが好ましい。染料の具体例としては、アゾ系、トリフェニルメタン系、(アザ)フタロシアニン系、キサンテン系、アントラピリドン系などが挙げられる。これらの染料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また分散剤を用いず、顔料自体を表面改質して分散可能としたいわゆる自己分散顔料を用いることも本実施形態において好適である。
(樹脂粒子)
本実施形態に適用されるインクは、樹脂粒子を含有させることができる。樹脂粒子は色材を含むものである必要はない。樹脂粒子は、画像品位や定着性の向上に効果がある場合があり、好適である。
本実施形態に用いることのできる樹脂粒子の材質としては、特に限定されず公知の樹脂を適宜用いることができる。具体的には、オレフィン系、ポリスチレン系、ウレタン系、アクリル系などの各種の材料で構成される樹脂粒子が挙げられる。樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上2,000,000以下の範囲が好適である。樹脂粒子の動的光散乱法により測定される体積平均粒子径は、10nm以上1,000nm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下が好ましく、より好ましくは2.0質量%以上40.0質量%以下である。
(水性媒体)
本実施形態に用いることのできるインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上を含有させることができる。
(その他添加剤)
本実施形態に用いることのできるインクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂など種々の添加剤を含有してもよい。
<補助液>
中間転写体上には、インク画像にてバインダーとなる熱可塑性樹脂、を含有する転写補助用の液体である補助液を付与する。これによって、記録媒体への転写性が向上する。補助液は水性、非水性のいずれでも良いが、水溶性の熱可塑性樹脂およびワックス粒子を含有することが好ましい。
本実施形態において水溶性の熱可塑性樹脂とは、水に溶解可能な樹脂のことである。補助液用の水溶性の熱可塑性樹脂の種類は目的とするバインダー機能を得ることができるものであれば、特に限定されない。補助液付与手段の種類によって、水溶性の熱可塑性樹脂の種類を変えることが好適である。例えば、補助液付与手段がインクジェットデバイスの場合には、重量平均分子量が2000以上、20000以下の範囲の水溶性の熱可塑性樹脂が好まし。更に、重量平均分子量が5000以上、10000以下の範囲の水溶性の熱可塑性樹脂がより好ましい。また、補助液付与装置がローラ塗布装置である場合には、重量平均分子量が更に大きな水溶性の熱可塑性樹脂も使用できる。
水溶性の熱可塑性樹脂のガラス転移温度(ガラス転移点:Tg)、ワックス粒子の融点(Tm)は、40℃以上150℃以下が好ましい。なお、軟化点または融点により転写温度の設定を行う場合にも、軟化点または融点が40℃以上150℃以下の範囲のある水溶性の熱可塑性樹脂が好ましい。
水溶性の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、およびその誘導体等から選ばれた少なくとも二つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性の重合性単量体)からなるブロック共重合体、あるいは、ランダム共重合体、グラフト共重合体、またはこれらの塩等を挙げることができる。また、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂も好ましく使用することができる。これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂である。特に好ましくは、水溶性樹脂は疎水部を有することが好ましい。疎水部としては、特に限定はされないが、スチレン基等の不飽和結合を有する官能基を有していることが好ましい。
これらの水溶性樹脂の1種または2種以上の組合せを補助液の成分として用いることができる。
補助液中における水溶性の熱可塑性樹脂の含有量は、補助液の全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下の範囲が好ましい。水溶性の熱可塑性樹脂の含有量は、補助液の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下の範囲がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下の範囲が更に好ましい。水溶性の熱可塑性樹脂の含有量をこれらの範囲とすることによって、インクジェットデバイスから補助液を吐出する場合における吐出安定性、吐出液滴の着弾位置精度等の特性の向上と、ローラ塗布の場合における塗布状態の均一性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、補助液はロジン系の樹脂粒子を含む。ロジン系樹脂粒子を構成するロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン、当該原料ロジンの不均化物、当該原料ロジンを水素添加処理した安定化ロジン、重合ロジン等のロジン類;当該ロジン類のエステル化物、当該ロジン類のフェノール変性物、不飽和酸変性ロジン類等の各種公知のものが挙げられる。当該ロジン類のエステル化物とは、前記ロジン類と多価アルコール類とのエステル化物をいう。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリトリトール、ジグリセリンなどの4価アルコール;ジペンタエリトリトールなどの6価アルコール等が挙げられる。これら多価アルコール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。当該ロジン類のフェノール変性物としては、前記ロジン類にフェノールやアルキルフェノールなどのフェノール類を付加させたものや、当該ロジン類のフェノール付加物と多価アルコール類とのエステル化物、前記ロジン類にレゾール型フェノール樹脂を反応させた、いわゆるロジン変性フェノール樹脂、およびそのエステル化物等が挙げられる。不飽和酸変性ロジン類としては、前記ロジン類をマレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和酸で変性したものや、そのエステル化物などが挙げられる。また、不飽和酸変性ロジンのエステル化物とは、前記不飽和酸変性ロジンと前記多価アルコール類をエステル化反応させたものである。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ロジン系樹脂粒子を構成するロジン系樹脂の重量平均分子量は、300以上5,000以下であることが好ましい。
ロジン系樹脂粒子は、ロジン系樹脂粒子が液中に分散したロジン系樹脂粒子分散体の形態で補助液の調製に用いることが好ましい。また、ロジン系樹脂粒子は、ロジン系樹脂粒子が乳化剤により分散されて形成されたものであることが好ましい。乳化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、公知の乳化剤を用いることができる。乳化剤の種類は、補助液中におけるロジン系樹脂粒子の分散状態の安定性を考慮して選択することが好ましい。
乳化剤は、乳化能力を有していれば、低分子化合物および高分子化合物のいずれでもよい。乳化剤の具体例としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等のアニオン系乳化剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを有するノニオン系乳化剤を挙げることができる。また、前記インクに用いる顔料分散剤として例示したものを乳化剤として用いて、ロジン系樹脂粒子を分散させることも可能である。乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ロジン系樹脂粒子における、ロジン系樹脂と乳化剤との質量比(ロジン樹脂の含有量:乳化剤の含有量)は、1:1~20:1の範囲内であることが好ましい。
また、室温での印字物同士の張り付きを防止する観点から、ロジン系樹脂粒子を構成するロジン系樹脂のガラス転移点もしくは融点、または、乳化剤のガラス転移点もしくは融点の、いずれかもしくは両方が、30℃以上であることが好ましい。
また、ロジン系樹脂粒子を構成するロジン系樹脂の酸価は、記録媒体との疎水性相互作用を増加させる観点から、低いことが好ましい。具体的には、ロジン系樹脂の酸価は、50mgKOH/g以下が好ましく、25mgKOH/g以下がより好ましい。
ロジン系樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は、10nm以上1000nm以下が好ましく、50nm以上500nm以下がより好ましい。
ロジン系樹脂粒子の含有量は、補助液の全質量に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。また、補助液に含有される熱可塑性樹脂粒子とロジン系樹脂粒子との質量比(熱可塑性樹脂粒子の含有量:ロジン系樹脂粒子の含有量)は、20:1~1:2の範囲内であることが好ましく、10:1~1:1の範囲内であることがより好ましい。熱可塑性樹脂粒子とロジン系樹脂粒子との質量比が上記範囲内であることで、熱可塑性樹脂粒子の添加によりもたらされた補助液層の強度を維持しつつ、良好な転写性を得ることができる。
また、補助液の表面張力は、インクの表面張力よりも低いことが好ましい。これにより、中間転写体上で補助液が広がって、インクとの接触性を向上させることができる。
また、樹脂粒子のガラス転移温度Tgは、30℃以上150℃以下が好ましい。
補助液は、上記の各成分に加えて、その他、インクに用いる界面活性剤、水溶性有機溶剤調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、水溶性樹脂およびその中和剤、粘度調整剤など種々の添加剤を含有しても良い。
補助液が非水性の場合に用いる液媒体としては既知の有機溶剤を使用すればよいが、メタノール、エタノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。
<液除去装置>
液除去装置105で液体を除外する方法は、従来から用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を用いることができる。また、上記手法以外に、多孔質体を含む液吸収部材を押し当てることで液体を吸収する手段を用いることもできる。加熱による方法を用いる場合は、短時間で効率的に加熱できることから赤外線ヒーターを用いることが好ましい。
多孔質体を含む液吸収部材を押し当てる方式の場合は、インク像に接触してインク像の液体成分の量を減少させる液吸収部材を含む。液吸収部材はローラの外周面に形成されてもよいし、液吸収部材が無端のシート状に形成され、循環的に走行されるものでもよい。画像の保護の点で、液吸収部材の移動速度を中間転写体の周速度と液吸収部材の速度とを同期させて移動させてもよい。
液吸収部材は、インク像に接触する多孔質体を含んでもよい。液吸収部材へのインク固形分付着を抑制するため、インク像に接触する面の多孔質体の孔径は、10μm以下であってもよい。ここで、孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。なお、液体成分は、一定の形を有さず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
このようにして、中間転写体101上には、液体成分が除去され、液体成分の減少したインク像が形成される。この液除去後のインク像は次に転写部111において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。
<転写用の押圧部材>
本実施形態では、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108上に中間転写体101上の液除去後のインク像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。中間転写体101上のインク像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時の慣性(イナーシャ)を軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
中間転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が中間転写体101を押圧する押圧時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ中間転写体101の耐久性を損なわないようにするために、5m/s以上100m/s以下であることが好ましい。尚、本実施形態における押圧時間とは、記録媒体108と中間転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(「I-SCAN」、新田株式会社製)を用いて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
また、中間転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が中間転写体101を押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ中間転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が9.8N/cm(1kg/cm)以上294.2N/cm(30kg/cm)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と中間転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器を用いて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。
中間転写体101上の液除去後のインク像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が中間転写体101を押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には中間転写体101上の第二の画像、中間転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
<記録媒体および記録媒体搬送装置>
本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。
また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を用いて本実施形態を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
(実施例1)
中間転写体は、図2に示す層構造を有し、厚さ2.0mmの一枚の綿糸の織布からなる第一の補強層14、厚さ1.0mmの多孔質性のアクリロニトリル・ブタジエンゴムからなる圧縮層13、厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムからなる第二の補強層(不図示)、弾性層12、及び、表面層11をこの順に積層することで製造した。各中間転写体の弾性層、表面層は以下の通りに製造した。
(弾性層)
圧縮層13上に、厚さ0.05mmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムからなる第二の補強層を介して、シリコーンゴム形成用の材料を積層し、加硫を行い、シリコーンゴムからなる弾性層を得た。弾性層の厚さは、0.20mmであった。
(表面層)
(表面層aの作製)
下記構造式(3)で表される両端エポキシ変性ポリシロキサンを100部、CPI410S(α)(商品名、サンアプロ株式会社製)4mol%をメチルイソブチルケトン310部に溶解させて材料塗工用のコーティング液を調製した。
Figure 2023107494000006
調製したコーティング液を用いて、プラズマ表面処理を行った弾性層上にコーティング液をスピンコートにて塗布して成膜を行った。次に、UVランプ(装置名:FUSION LIGHT HAMMER、Alpha UV Systems製、ピーク波長:365nm、積算光量1190mJ/cm)を照射して露光後、150℃にて2時間の加熱を行い、硬化させて表面層を形成した。尚、スピンコートの回転数を制御することによって、厚さ5μmの表面層を形成し、表面層aを得た。
(画像の形成)
上記の方法により得られた中間転写体について、図1に示す転写型インクジェット記録装置を用いて後述する項目についての評価を行った。中間転写体の支持部材は、アルミニウム合金からなる円筒型のドラムを用いた。
ワックスにはHi-Mic-2095(商品名、日本精蝋株式会社製)を用い、図1に示すワックス膜形成装置110を用いて中間転写体の表面に連続的に付与した。
続いて、下記組成の反応液を、ローラー式塗布装置を用いて、中間転写体の表面に連続的に付与した。本実施例では有機酸としてクエン酸を利用した。
・クエン酸:20.0部
・グリセリン:5.0部
・メガファックF-444(商品名、DIC社製):1.0部
・イオン交換水:74.0部
続いて、画像形成用のインクを、中間転写体の画像形成面へとインクジェットデバイスから吐出し、中間転写体上にインク像(ミラー反転している画像)を形成した。インクとしては、下記組成の樹脂分散型顔料インクを用いた。
・C.I.ピグメントブルー15:3:3.0部
・スチレン-アクリル酸-アクリル酸エチル共重合体(酸価240、重量平均分子量50000):1.0部
・グリセリン:10.0部
・エチレングリコール:5.0部
・アセチレノールE100(商品名、川研ファインケミカル社製):0.5部
・1,2-ヘキサンジオール:0.5部
・イオン交換水:80部
記録媒体としてコート紙(商品名:オーロラーコート、日本製紙製)を用い、インク像を記録媒体へと圧着・転写することで、最終画像を形成した。この転写を、1.0m/secの速度で50000回行った。この際のクリーニングは、1,2-ヘキサンジオール20%溶液で濡らしたモルトンローラーを、中間転写体の表面に当接させて払拭する方法で行った。
(実施例2、表面層bの作製)
下記構造式(4)で表される両端エポキシ変性ポリシロキサンを100部、CPI410S(α)(商品名、サンアプロ株式会社製)4mol%をメチルイソブチルケトン310部に溶解させて材料塗工用のコーティング液を調製した。それ以外の工程及び評価は、実施例1と同様の方法で行い表面層bを得た。さらに、得られた表面層bを実施例1と同様の方法で評価した。
Figure 2023107494000007
(実施例3、表面層cの作製)
下記構造式(5)で表される両端エポキシ変性ポリシロキサンを100部、CPI410S(α)(商品名、サンアプロ株式会社製)0.3mol%をメチルイソブチルケトン310部に溶解させて材料塗工用のコーティング液を調製した。それ以外の工程及び評価は、実施例1と同様の方法で行い表面層cを得た。さらに、得られた表面層cを実施例1と同様の方法で評価した。
Figure 2023107494000008
(実施例4、表面層dの作製)
上記構造式(5)で表される両端エポキシ変性ポリシロキサンを100部、CPI410S(α)(商品名、サンアプロ株式会社製)0.03mol%をメチルイソブチルケトン310部に溶解させて材料塗工用のコーティング液を調製した。それ以外の工程及び評価は、実施例1と同様の方法で行い表面層dを得た。さらに、得られた表面層dを実施例1と同様の方法で評価した。
(実施例5、表面層eの作製)
上記構造式(5)で表される両端エポキシ変性ポリシロキサンを100部、CPI410S(α)(商品名、サンアプロ株式会社製)40mol%をメチルイソブチルケトン310部に溶解させて材料塗工用のコーティング液を調製した。それ以外の工程及び評価は、実施例1と同様の方法で行い表面層eを得た。さらに、得られた表面層eを実施例1と同様の方法で評価した。
(実施例6、表面層fの作製)
上記構造式(5)で表される両端エポキシ変性ポリシロキサンを100部、CPI410S(α)(商品名、サンアプロ株式会社製)60mol%をメチルイソブチルケトン310部に溶解させて材料塗工用のコーティング液を調製した。それ以外の工程及び評価は、実施例1と同様の方法で行い表面層fを得た。さらに、得られた表面層fを実施例1と同様の方法で評価した。
(比較例1、表面層gの作製)
下記構造式(6)で表される両端エポキシ変性ポリシロキサンを100部、CPI410S(α)(商品名、サンアプロ株式会社製)4mol%をメチルイソブチルケトン310部に溶解させて材料塗工用のコーティング液を調製した。それ以外の工程及び評価は、実施例1と同様の方法で行い表面層gを得た。さらに、得られた表面層gを実施例1と同様の方法で評価した。
Figure 2023107494000009
(比較例2、表面層hの作製)
下記構造式(7)で表される両端エポキシ変性ポリシロキサンを100部、CPI410S(α)(商品名、サンアプロ株式会社製)4mol%をメチルイソブチルケトン310部に溶解させて材料塗工用のコーティング液を調製した。それ以外の工程及び評価は、実施例1と同様の方法で行い表面層hを得た。さらに、得られた表面層hを実施例1と同様の方法で評価した。
Figure 2023107494000010
(比較例3、表面層iの作製)
上記構造式(5)で表される両端エポキシ変性ポリシロキサンを100部、三フッ化ホウ素(BF3)-アミン錯体(β)4mol%をメチルイソブチルケトン310部に溶解させて材料塗工用のコーティング液を調製した。それ以外の工程及び評価は、実施例1と同様の方法で行い表面層iを得た。さらに、得られた表面層iを実施例1と同様の方法で評価した。
(評価)
<中間画像品位>
中間転写体上に印字した中間画像を評価した。中間画像の評価は、印字抜け、中間画像の表面粗さRaの2点を以下の基準で評価し、点数付けを行った。印字抜けは、中間画像を目視することで評価した。表面粗さRaはカラー3Dレーザー顕微鏡VK-9710(株式会社キーエンス製)の10倍レンズを用いて、1350μm×1012μmの画角で、全画面の表面粗さ(算術表面粗さSa)を測定した。
A:印字抜けがなく、中間画像のRaが2.0以上3.0以下
B:印字抜けがないが、中間画像のRaが3.0以上
C:印字ぬけがあり、中間画像のRaが3.0以上
<転写性>
記録媒体に転写後の画像と、それに対応する中間転写体表面を目視で観察して評価を行った。転写性の評価は、転写後の画像における画像抜け、転写後の画像に対応する中間転写体表面の転写残り、を目視で観察し、以下の基準で評価した。
AA:画像に抜けがなく、中間転写体上に転写残りがない
A:画像に抜けはないが、中間転写体上に目視できない転写残りがある
B:画像に抜けはないが、中間転写体上に目視できる転写残りがある
C:画像に目視できる抜けがあり、中間転写体上に転写残りがある
D:転写しない
<耐久性>
上記の50000回転写後の中間転写体の表面層の傷、クラック、及び削れの状態を、金属顕微鏡AXIO(カールツァイス株式会社製)にて観察し、さらに、画像抜けなどの画像品位も目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:転写後の中間転写体の表面層は初期と同等な状態
B:表面層の一部に傷がみられるが、画像品位に問題なし
C1:表面層にクラックが発生して画像品位に影響する
C2:表面層の削れが発生して画像品位に影響する
実施例1~6、比較例1~3で得られた結果を、表1に示す。
Figure 2023107494000011
実施例1乃至2において、有機シロキサンの平均繰り返し単位数nを比較したところ、どちらも良好な中間画像が得られたが、特に実施例2のn=100の場合は、中間転写体の柔軟性がより高いことから、転写性も良好であった。
実施例3乃至6において、使用した重合性基含有化合物の量を比較した。いずれの実施例も、中間画像品位、転写性、耐久性ともに良好な結果であったが、実施例4で硬化剤をより少なくした場合は、中間画像の品位が劣る結果になった。また、実施例6で硬化剤をより多くした場合は、中間画像品位および転写性が実施例5と比較してより劣る結果になった。比較例1乃至2において、有機シロキサンの平均繰り返し単位数を変更した比較を行った。比較例1のn=1にした場合、中間画像は転写せず、表面層にはクラックが発生して耐久性は十分ではなかった。この耐久性が不十分である理由としては、表面層の硬度が高くなってしまったことが原因である。比較例2のn=150にした場合には、表面層に削れが発生した。これは、表面層が柔軟すぎることが原因である。比較例3で芳香環を持たない重合性基含有化合物を用いて表面層を作製し、評価を行った。この場合、中間画像品位が十分ではなかった。
100 転写型インクジェット記録装置
101 中間転写体
102 支持部材
103 反応液付与装置
104 インク付与装置
105 液除去装置
106 転写用の押圧部材
107 記録媒体搬送装置
108 記録媒体
109 転写体クリーニング部材
110 ワックス膜形成装置
11 表面層
12 弾性層
13 圧縮層
14 補強層

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)の有機シロキサン化合物と、
    芳香環を有する重合性基含有化合物と、を含む組成物を硬化してなる硬化物を含む表面層を有する
    中間転写体。
    Figure 2023107494000012
    (式(1)中、Xは、反応性官能基、nは、平均繰り返し単位数、R1は、それぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基を表し、平均繰り返し単位数nは、5≦n≦100を満たす。)
  2. 前記組成物に含まれる重合性基含有化合物が、カチオン重合性基含有化合物である、請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記反応性官能基が、エポキシ基である、請求項1または2に記載の中間転写体。
  4. 前記芳香環を有する重合性基含有化合物が、トリアリールスルホニウム塩の光酸発生剤である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の中間転写体。
  5. 前記組成物に含まれる、前記芳香環を有する重合性基含有化合物の量が、0.01質量%以上20質量%以下である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の中間転写体。
  6. 下記一般式(2)で表される、反応性官能基Yを有する有機シロキサン材料と、
    芳香環を有する重合性基含有化合物を含む材料の溶液を中間転写体用の部材に塗工する工程と、
    その塗工した部材を光照射によって硬化する工程の
    2つの工程を有する中間転写体の製造方法。
    Figure 2023107494000013
    (式(2)中、Yは、反応性官能基、nは、平均繰り返し単位数、R1は、それぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基を表し、平均繰り返し単位数nは、5≦n≦100を満たす。)
  7. 中間転写体、支持部材、反応液付与装置、インク付与装置、液除去装置、押圧部材、記録媒体搬送装置及びワックス膜形成装置を有する転写型インクジェット記録装置であって、
    該中間転写体は支持部材によって支持され、
    該中間転写体上にワックス膜形成装置が配置され、インクと反応する反応液を付与する反応液付与装置が配置され、該インク付与装置は、反応液が付与された中間転写体上に有色のインク、及び転写補助液を付与し、中間転写体上に、インク像を形成するインクジェットヘッドを備え、
    該液除去装置は、中間転写体上のインク像から液体成分を除去し、
    該押圧部材は、液体成分を除去した中間転写体上のインク像を記録媒体に転写し、
    該中間転写体は、下記一般式(1)の有機シロキサン化合物と、
    芳香環を有する重合性基含有化合物と、を含む組成物を硬化してなる硬化物を含む表面層を有する、ことを特徴とする、転写型インクジェット記録装置。
    Figure 2023107494000014
    (式(1)中、Xは、反応性官能基、nは、平均繰り返し単位数、R1は、それぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基を表し、平均繰り返し単位数nは、5≦n≦100を満たす。)
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