JP2023107117A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視される所定の走行モードの要求が検知された場合におけるドライバーが覚える違和感を抑制できるハイブリッド車両の制御装置を提供する。【解決手段】ハイブリッド車両10の電子制御装置90は、電動機MGのみから駆動トルクが出力された状態であってエンジン12の始動要求と自動変速機28の変速要求とが重複して発生し且つエンジン12の始動制御よりも自動変速機28の変速制御が優先して実行される所定の条件下において、その所定の条件下に比較して変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視される所定の走行モードであるスポーツモードの選択要求が検知された場合、変速制御よりもエンジン12の始動制御を優先して実行する。【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関、その内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路に動力伝達可能に接続された電動機、及び動力伝達経路のうち電動機と駆動輪との間に設けられた自動変速機、を備えるハイブリッド車両の、制御装置に関する。
内燃機関、その内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路に動力伝達可能に接続された電動機、及び動力伝達経路のうち電動機と駆動輪との間に設けられた自動変速機、を備えるハイブリッド車両の、制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載されたハイブリッド車両の制御装置がそれである。特許文献1に記載のハイブリッド車両の制御装置では、例えばアクセル操作等による要求駆動トルクの増加を検知しない所定の条件下においては、内燃機関の始動制御よりも自動変速機の変速制御が優先して実行される一方、そうでない条件下では、変速制御よりも始動制御が優先して実行されることが開示されている。
ところで、内燃機関の始動制御よりも自動変速機の変速制御が優先して実行される所定の条件下において、変速ショックの低減よりも動力性能(車両応答性)の向上が重視される所定の操作がドライバー(運転者)により実施される場合がある。そのような所定の操作が実施されることでその所定の操作に伴う要求が検知された場合、始動制御よりも変速制御が優先して実行されると、始動制御の実行が遅延するため、エンジンのもたつき(=ヘジテーション)に起因してドライバーが違和感を覚えるおそれがある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視される所定の走行モードの要求が検知された場合におけるドライバーが覚える違和感を抑制できるハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、内燃機関、前記内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路に動力伝達可能に接続された電動機、及び前記動力伝達経路のうち前記電動機と前記駆動輪との間に設けられた自動変速機、を備えるハイブリッド車両の、制御装置であって、前記電動機のみから駆動トルクが出力された状態であって前記内燃機関の始動要求と前記自動変速機の変速要求とが重複して発生し且つ前記内燃機関の始動制御よりも前記自動変速機の変速制御が優先して実行される所定の条件下において、前記所定の条件下に比較して変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視される所定の走行モードの要求が検知された場合、前記変速制御よりも前記始動制御を優先して実行することにある。
第1発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、前記電動機のみから駆動トルクが出力された状態であって前記内燃機関の始動要求と前記自動変速機の変速要求とが重複して発生し且つ前記内燃機関の始動制御よりも前記自動変速機の変速制御が優先して実行される所定の条件下において、前記所定の条件下に比較して変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視される所定の走行モードの要求が検知された場合、前記変速制御よりも前記始動制御が優先して実行される。例えば、変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視される所定の操作がドライバーにより実施されることで、その所定の操作に伴う所定の走行モードの要求が検知された場合には、変速制御よりも始動制御が優先して実行される。これにより、所定の走行モードの要求が検知された場合に、そうでない場合に比較して始動制御の実行が遅延しないため、ヘジテーションに起因してドライバーが覚える違和感が抑制される。
第2発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、第1発明において、前記内燃機関の始動要求と前記自動変速機の変速要求とが重複して発生した場合における要求駆動トルクの時間当たり変化量が所定の変化量以下であることにより、前記所定の条件が成立する。要求駆動トルクの時間当たり変化量が所定の変化量以下である場合には、ドライバーは動力性能の向上よりも変速ショックの低減を重視していると考えられる。そのため、そのような場合には内燃機関の始動制御よりも自動変速機の変速制御が優先して実行される所定の条件が成立させられて、動力性能の向上よりも変速ショックの低減が重視された制御が実現され得る。
以下、本発明の各実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の各実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の実施例1に係るハイブリッド車両10(以下、単に「車両10」と記す。)の概略構成図であるとともに、車両10における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。
車両10は、走行用駆動力源PGであるエンジン12及び電動機MGと、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路PTに設けられた動力伝達装置16と、を備えるハイブリッド車両である。また、車両10は、インバータ52、油圧制御回路54、電動オイルポンプであるEOP56、バッテリ60、及び電子制御装置90を備える。動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材であるケース18内において、エンジン12側から順に、エンジン連結軸20、クラッチK0、電動機連結軸22、トルクコンバータ24、自動変速機28の入力回転部材であるAT入力軸26、自動変速機28等を備える。また、動力伝達装置16は、自動変速機28の出力回転部材であるAT出力軸30に連結されたディファレンシャルギヤ32、ディファレンシャルギヤ32に連結された一対のドライブシャフト34等を備える。
エンジン12は、周知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置90によって、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等を含むエンジン制御装置50が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTe[Nm]が制御される。なお、本明細書では、特に区別しない場合には、トルク、駆動力、動力、及び力(パワー)は同意である。エンジン12は、本発明における「内燃機関」に相当する。
エンジン連結軸20は、エンジン12とクラッチK0とを連結する部材であって、例えばクランク軸である。
電動機MGは、例えば電気エネルギーから機械的な動力を発生させる電動機としての機能(電動機機能)及び機械的な動力から電気エネルギーを発生させる発電機としての機能(発電機機能)を備えた所謂モータジェネレータである。電動機MGは、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路PTに動力伝達可能に接続されている。電動機MGは、後述するインバータ52を介して車両10に備えられたバッテリ60に接続されている。バッテリ60は、電動機MGに対して電力を授受する蓄電装置である。電動機MGは、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、電動機MGの出力トルクであるMGトルクTmg[Nm]が制御される。なお、電動機MGは、本発明における「電動機」に相当する。
エンジン12に連結されたエンジン連結軸20と、電動機MGのロータに連結された電動機連結軸22と、の間にはクラッチK0が設けられている。クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を断接する摩擦係合装置であり、例えば湿式多板型の油圧式摩擦係合装置である。クラッチK0は、後述する油圧制御回路54からクラッチK0の断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される油圧が調圧されることにより、完全係合状態、半係合状態(スリップ状態)、及び解放状態などの断接状態が切り替えられる。クラッチK0が完全係合状態にされると、クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を可能とする。クラッチK0が解放状態にされると、クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を切断する。クラッチK0が半係合状態にされると、クラッチK0は、半係合状態に基づいた伝達トルク容量(クラッチK0の係合力)に応じてエンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を可能とする。
電動機MGは、バッテリ60に蓄えられた電力により回転駆動され、例えば車両10の走行用駆動力を出力したり、エンジン12のクランキングに必要なクランキングトルクTcr[Nm]を出力したりする。すなわち、電動機MGは、走行用駆動力を出力する走行用駆動力源PGとしての機能と、クランキング用の駆動力源としての機能と、を有する。また、電動機MGは、エンジン12からクラッチK0を介して入力される駆動力により発電したり、駆動輪14側から入力される被駆動力を回生により電力に変換して発電したりする。それら発電された電力は、インバータ52を介してバッテリ60に充電される。
インバータ52は、電動機MGとバッテリ60との間に設けられ、電子制御装置90によって制御されることにより直流を交流に変換したり交流を直流に変換したりする電源回路である。例えば、インバータ52は、バッテリ60から供給される直流を交流に変換して電動機MGに出力して駆動したり、電動機MGで発電された交流を直流に変換してバッテリ60に出力したりする。
バッテリ60は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の充放電可能な二次電池である。バッテリ60は、主に電動機MGを駆動するための電力を供給したり、回生により電動機MGで発電された電力を充電したりするのに用いられる。
トルクコンバータ24は、周知のトルクコンバータである。トルクコンバータ24は、電動機連結軸22に連結されたポンプ翼車と、AT入力軸26に連結されたタービン翼車と、ポンプ翼車とタービン翼車とを直結するロックアップクラッチ40と、を備える。トルクコンバータ24は、走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)と駆動輪14との間の動力伝達経路PTに配設され、走行用駆動力源PGから出力された走行用駆動力を流体を介して電動機連結軸22からAT入力軸26へ伝達できる流体式伝動装置である。車両10は、機械式のオイルポンプであるMOP42を備える。MOP42は、ポンプ翼車に連結されており、走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)により回転駆動させられて、ケース18内の各部で用いられる作動油OILを吐出する。
EOP56は、走行用駆動力源PGであるエンジン12や電動機MGの回転とは独立して、EOP駆動用モータ58の回転により駆動可能な周知のオイルポンプである。EOP駆動用モータ58は、周知の電動機であり、例えば電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、EOP駆動用モータ58の回転速度が制御される。EOP56は、EOP駆動用モータ58により回転駆動させられて、ケース18内の各部で用いられる作動油OILを吐出する。
自動変速機28は、動力伝達経路PTのうち電動機MGと駆動輪14との間に設けられている。自動変速機28は、走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)からAT入力軸26に入力された走行用駆動力を変速してAT出力軸30に出力する周知の自動変速機であって、例えば遊星歯車式や常時噛合型平行軸式の有段変速機、或いは、ベルト式やパワーローラー式の無段変速機などである。自動変速機28は、電子制御装置90により制御される油圧制御回路54によって、異なる変速比γat(=AT入力回転速度Ni[rpm]/AT出力回転速度No[rpm])のうちから所望の変速比γatが形成されるように制御される。変速比γatは、ギヤ比ともいう。本実施例では、自動変速機28は、複数組の遊星歯車装置と、複数の変速用係合装置CBと、を備える、周知の遊星歯車式の自動変速機である。変速用係合装置CBは、各々、油圧制御回路54から変速用係合装置CBの断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される油圧が調圧されることにより、完全係合状態、半係合状態、及び解放状態などの断接状態が切り替えられる。自動変速機28は、変速用係合装置CBのうちのいずれかの係合装置の係合によって、変速比γatが異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちのいずれかのギヤ段が形成される。
ディファレンシャルギヤ32は、自動変速機28のAT出力軸30から伝達された走行用駆動力を受けて、一対のドライブシャフト34に対し適宜回転速度差を許容しつつ相互に等しい駆動トルクを伝達する、周知のディファレンシャルギヤである。
油圧制御回路54は、MOP42やEOP56から吐出された作動油OILの油圧を元圧として、ケース18内の各部に必要な作動油OILを供給する。例えば、油圧制御回路54は、クラッチK0の断接制御用の油圧、自動変速機28の変速制御用の油圧、トルクコンバータ24のロックアップクラッチ40の断接制御用の油圧をそれぞれ生成し、ケース18内の各油圧アクチュエータに供給する。
エンジン12から出力される走行用駆動力は、クラッチK0が係合された場合には、エンジン連結軸20から、クラッチK0、電動機連結軸22、トルクコンバータ24、自動変速機28、ディファレンシャルギヤ32、及びドライブシャフト34等を順次介して駆動輪14へ伝達される。電動機MGから出力される走行用駆動力は、クラッチK0の断接状態にかかわらず、電動機連結軸22から、トルクコンバータ24、自動変速機28、ディファレンシャルギヤ32、及びドライブシャフト34等を順次介して駆動輪14へ伝達される。
車両10においては、BEV走行モード及びHEV走行モードのうちいずれかの駆動モードが選択可能である。BEV走行モードは、エンジン12の運転を停止させた状態で電動機MGを力行制御することにより、走行用駆動力源PGのうち電動機MGのみを駆動力源とするBEV(Battery Electric Vehicle)走行を行う駆動モードである。BEV走行モードでは、クラッチK0が解放状態とされてBEV走行が行われる。HEV走行モードは、エンジン12を運転させた状態で走行用駆動力源PGのうちの少なくともエンジン12を駆動力源とするHEV(Hybrid Electric Vehicle)走行を行う駆動モードである。HEV走行モードでは、クラッチK0が完全係合状態とされてHEV走行が行われる。
車両10の走行をBEV走行モード及びHEV走行モードのいずれとするかは、例えば駆動力源切替マップにより切り替えられる。駆動力源切替マップは、例えば車速V[km/h]及び要求駆動トルクTrdem[Nm]を変数とする二次元座標で駆動モードが予め定められた関係である。要求駆動トルクTrdemとは、車両10に要求される駆動トルクであって、例えば駆動輪14に要求される駆動トルクTr[Nm]である。要求駆動トルクTrdemの算出方法については、後述する。
一般的にエンジン効率が低下する、車速Vが比較的低い低車速領域且つ要求駆動トルクTrdemが比較的低い低負荷領域(=アクセル開度θacc[%]が比較的低い領域)において、BEV走行モードが選択される領域とされる。一方、車速Vが比較的高い高車速領域、或いは、要求駆動トルクTrdemが比較的高い高負荷領域(=アクセル開度θaccが比較的高い領域)において、HEV走行モードが選択される領域とされる。また、BEV走行モードは、バッテリ60の充電状態値(予め定められた満充電容量に対する実際に蓄電されている充電量の比)SOC[%]が所定のエンジン始動閾値以上の場合に適用される。言い換えると、バッテリ60の充電状態値SOCが所定のエンジン始動閾値未満の場合には、駆動力源切替マップにおいて、BEV走行モードが選択される領域が無くなり、全てHEV走行モードが選択される領域とされることと同じである。HEV走行モードでは、電動機MGの回転速度であるMG回転速度Nmg[rpm]は、エンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne[rpm]と同値である。所定のエンジン始動閾値は、エンジン12を強制的に始動してバッテリ60を充電する必要がある充電状態値SOCであることを判定するための予め定められた閾値である。
車両10は、予め設定された複数の走行モード、例えばノーマルモードとスポーツモード(パワーモード)とを選択可能である。ノーマルモードは、スポーツモードに比較して動力性能の向上よりも変速ショックの低減を重視した走行モード、すなわちスポーツモードに比較して動力性能の向上よりも変速ショックの低減を優先した状態での運転を可能とする走行モードの制御様式である。スポーツモードは、ノーマルモードに比較して変速ショックの低減よりも動力性能の向上を重視した走行モード、すなわちノーマルモードに比較して変速ショックの低減よりも動力性能の向上を優先した状態での運転を可能とする走行モードの制御様式である。
電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、電動機制御用、油圧制御用等の各コンピュータを含んで構成される。なお、電子制御装置90は、本発明における「制御装置」に相当する。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ70、タービン回転速度センサ72、出力回転速度センサ74、MG回転速度センサ76、アクセル開度センサ78、スロットル弁開度センサ80、バッテリセンサ82、スポーツモードセンサ86など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne[rpm]、AT入力回転速度Ni[rpm]と同値であるタービン回転速度Nt[rpm]、車速Vに対応するAT出力回転速度No[rpm]、電動機MGの回転速度であるMG回転速度Nmg[rpm]、ドライバーの加速操作の大きさを表すドライバーのアクセル操作量であるアクセル開度θacc[%]、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth[%]、バッテリ60のバッテリ温度THbat[℃]やバッテリ充放電電流Ibat[A]やバッテリ電圧Vbat[V]、スポーツモードスイッチ84がドライバーにより操作されたか否かを表すスポーツモード信号SPTonなど)が、それぞれ入力される。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路54、EOP駆動用モータ58など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御するためのエンジン制御信号Se、インバータ52を介して電動機MGを制御するためのMG制御信号Smg、変速用係合装置CBを制御するための変速制御信号SatやクラッチK0を制御するためのK0制御信号Sk0やロックアップクラッチ40を制御するためのLU制御信号Slu、EOP56を制御するためのEOP制御信号Seopなど)が、それぞれ出力される。
電子制御装置90は、ハイブリッド制御部92、クラッチ制御部94、変速制御部96、及び設定部98を機能的に備える。
ハイブリッド制御部92は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御部92aと、インバータ52を介して電動機MGの作動を制御する電動機制御部92bと、を機能的に備え、それらの制御機能によりエンジン12及び電動機MGによるハイブリッド駆動制御等を実行する。
ハイブリッド制御部92は、例えば要求駆動量マップに実際のアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで、ドライバーによる車両10に対する要求駆動量(例えば要求駆動トルクTrdem)を算出する。要求駆動量マップは、例えばアクセル開度θacc及び車速Vと要求駆動量との間の関係が実験的に或いは設計的に予め定められて記憶されたマップである。要求駆動量は、車両10に要求される駆動量であって、例えば要求駆動トルクTrdemである。要求駆動トルクTrdemは、見方を換えればそのときの車速Vにおける要求駆動パワーPrdem[W]である。要求駆動量としては、駆動輪14における要求駆動力Frdem[N]、AT出力軸30における要求出力トルク等を用いることもできる。要求駆動量の算出では、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良い。このように、要求駆動トルクTrdem、要求駆動パワーPrdem、要求駆動力Frdem、及びAT出力軸30における要求出力トルクは、車両10の要求駆動量である点では同意である。
ハイブリッド制御部92は、伝達損失、補機負荷、自動変速機28の変速比γat、バッテリ60の充電可能電力Win[W]や放電可能電力Wout[W]等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン12を制御するエンジン制御信号Seと、電動機MGを制御するMG制御信号Smgと、を出力する。エンジン制御信号Seは、例えばそのときのエンジン回転速度NeにおけるエンジントルクTeを出力するエンジン12のパワーであるエンジンパワーPe[W]の指令値である。MG制御信号Smgは、例えばそのときのMG回転速度NmgにおけるMGトルクTmgを出力する電動機MGの消費電力Wm[W]の指令値である。
バッテリ60の充電可能電力Winは、バッテリ60の入力電力の制限を規定する入力可能な最大電力であって、バッテリ60の入力制限を示している。バッテリ60の放電可能電力Woutは、バッテリ60の出力電力の制限を規定する出力可能な最大電力であり、バッテリ60の出力制限を示している。バッテリ60の充電可能電力Winや放電可能電力Woutは、例えばバッテリ温度THbat及びバッテリ60の充電状態値SOCに基づいて電子制御装置90により算出される。
ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合には、駆動モードをBEV走行モードとする。一方で、ハイブリッド制御部92は、少なくともエンジン12の出力を用いないと要求駆動トルクTrdemを賄えない場合には、駆動モードをHEV走行モードとする。他方で、ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合であっても、バッテリ60の充電状態値SOCが予め定められたエンジン始動閾値未満となる場合やエンジン12等の暖機が必要な場合などには、HEV走行モードを成立させる。このように、ハイブリッド制御部92は、要求駆動トルクTrdem等に基づいて、HEV走行中にエンジン12を自動停止したり、BEV走行中にエンジン12を始動したりして、BEV走行モードとHEV走行モードとを切り替える。
エンジン制御部92aは、車両10に対する駆動要求量を実現するようにエンジントルクTeを制御する。電動機制御部92bは、車両10に対する駆動要求量を実現するようにMGトルクTmgを制御する。具体的には、BEV走行モードにおいては、電動機制御部92bは、要求駆動トルクTrdemを実現するようにMGトルクTmgを制御する。HEV走行モードにおいては、エンジン制御部92aは、要求駆動トルクTrdemの全部又は一部を実現するようにエンジントルクTeを制御し、電動機制御部92bは、要求駆動トルクTrdemに対してエンジントルクTeでは不足するトルク分を補うようにMGトルクTmgを制御する。
クラッチ制御部94は、BEV走行中にエンジン12を始動させるエンジン始動制御が実行される場合に、クラッチK0の断接状態を制御する。例えば、クラッチ制御部94は、後述する始動制御部92cによりエンジン始動制御が実行される場合には、クランキングトルクTcrをエンジン12側へ伝達するために、クラッチK0を解放状態から半係合状態を経て完全係合状態になるように制御する。例えば、エンジン始動制御では、クラッチK0の係合速度(=クラッチK0の伝達トルク容量の増加速度)及び係合ショックが許容範囲内となるように、実験的に或いは設計的に予め定められたK0用タイムチャートに従ってクラッチK0の伝達トルク容量が次第に大きくなるように制御される。
ハイブリッド制御部92は、さらに始動制御部92cを機能的に備える。始動制御部92c及びクラッチ制御部94は、必要に応じて電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12をクランキングしてエンジン12を始動させるエンジン始動制御を実行する。具体的には、始動制御部92cは、クラッチ制御部94によるクラッチK0の解放状態から係合状態への切り替えに合わせて、クランキングが終了するまで電動機MGがクランキングトルクTcrを出力するように制御する。また、始動制御部92cは、クラッチK0及び電動機MGによるエンジン12のクランキング(以下、「K0クランキング」と記す。)に連動して、エンジン12への燃料供給や点火などを制御する。
変速制御部96は、例えば変速マップを用いて自動変速機28の変速判断を行い、必要に応じて変速制御を実行するための変速制御信号Satを油圧制御回路54へ出力する。変速マップは、例えば車速V及び要求駆動トルクTrdemを変数とする二次元座標上に、自動変速機28の変速が判断されるための変速線を有する予め定められた所定の関係である。変速マップでは、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良いし、又、要求駆動トルクTrdemに替えて要求駆動力Frdemやアクセル開度θaccやスロットル弁開度θthなどを用いても良い。
ここから、BEV走行中にエンジン12の始動要求(以下、単に「始動要求」と記す。)と自動変速機28の変速要求(以下、単に「変速要求」と記す。)とが時期的に重複して発生した場合について説明する。「時期的に重複して発生した場合」とは、例えば、変速要求に基づく変速制御の実行完了前に始動要求が発生した場合や始動要求に基づくエンジン始動制御の実行完了前に変速要求が発生した場合である。なお、BEV走行中は、本発明における「電動機のみから駆動トルクが出力された状態」に相当する。
設定部98は、第1の要求判定部98a、要求駆動トルク判定部98b、第2の要求判定部98c、及び優先制御設定部98dを機能的に備える。
第1の要求判定部98aは、BEV走行モードにおいて始動要求及び変速要求が重複して発生したか否かを判定する。具体的には、駆動モードがBEV走行モードであって変速要求に基づく変速制御の実行完了前に始動要求が発生した場合、或いは、駆動モードがBEV走行モードであって始動要求に基づくエンジン始動制御の実行完了前に変速要求が発生した場合、のいずれかであるか否かを判定する。例えば、(a)要求駆動トルクTrdemが電動機MGの出力のみで賄える範囲よりも増大した場合、(b)エンジン12等の暖機が必要である場合、又は、(c)バッテリ60の充電状態値SOCがエンジン始動閾値未満である場合には、始動要求が発生したとされる。例えば、前述した変速マップにおいて、車速V及び要求駆動トルクTrdemが表す点が変速線を横切った場合に、変速要求が発生したとされる。また、第1の要求判定部98aは、BEV走行モードにおいて始動要求が発生せず且つ変速要求が発生したか否か、及び、BEV走行モードにおいて変速要求が発生せず且つ始動要求が発生したか否か、についても判定する。
要求駆動トルク判定部98bは、要求駆動トルクTrdemの時間当たり変化量であるトルク変化量α[Nm/sec]が所定の変化量α_jdg以下であるか否かを判定する。所定の変化量α_jdgは、電動機MGのみから駆動トルクTrが出力された状態であって始動要求と変速要求とが重複して発生し且つエンジン始動制御よりも変速制御が優先して実行するための実験的に或いは設計的に予め定められたトルク変化量αの上限値である。トルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下であると判定されるのは、例えば不図示のアクセルペダルがドライバーにより緩やかに踏み込まれた場合である。
第1の要求判定部98aによりBEV走行モードにおいて始動要求及び変速要求が重複して発生したと判定され、且つ、要求駆動トルク判定部98bによりトルク変化量αが所定の変化量α_jdgを超過していると判定された場合、(a)優先制御設定部98dは、変速制御よりもエンジン始動制御を優先して実行するように優先順位を設定し、且つ、(b)始動制御部92cは、エンジン始動制御を開始する。第1の要求判定部98aによりBEV走行モードにおいて始動要求及び変速要求が重複して発生したと判定され、且つ、要求駆動トルク判定部98bによりトルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下であると判定された場合、(a)優先制御設定部98dは、エンジン始動制御よりも変速制御を優先して実行するように優先順位を設定し、且つ、(b)変速制御部96は、変速制御を開始する。なお、第1の要求判定部98aによりBEV走行モードにおいて始動要求及び変速要求が重複して発生したと判定され、且つ、要求駆動トルク判定部98bによりトルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下であると判定された場合は、本発明における「所定の条件下」に相当する。
優先制御設定部98dにより設定された優先順位により変速制御が実行されている場合には、第2の要求判定部98cは、変速制御の実行完了前に、変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視されるスポーツモードの選択要求が検知されるか否かを判定する。すなわち、第2の要求判定部98cは、変速制御の実行完了前に、スポーツモード信号SPTonが検知されるか否かを判定する。なお、スポーツモードの選択要求は、本発明における「所定の走行モードの要求」に相当する。
第2の要求判定部98cによりスポーツモードの選択要求が検知されたと判定された場合、(a)優先制御設定部98dは、変速制御よりもエンジン始動制御を優先して実行するように優先順位を設定し直し、(b)変速制御部96は、変速制御の実行を中断し、且つ、(c)始動制御部92cは、エンジン始動制御を開始する。
優先制御設定部98dにより変速制御よりもエンジン始動制御を優先して実行するように優先順位が設定し直された場合、第2の要求判定部98cは、所定の期間の経過前にスポーツモードの選択要求が解除されるか否かを判定する。所定の期間は、例えばスポーツモードの選択要求により変速制御よりもエンジン始動制御を優先して実行する期間として、実験的に或いは設計的に予め定められた期間である。
第2の要求判定部98cにより所定の期間の経過前にスポーツモードの選択要求が解除されたと判定された場合、(a)優先制御設定部98dは、エンジン始動制御よりも変速制御を優先して実行するように優先順位を再度設定し直し、(b)始動制御部92cは、エンジン始動制御の実行を中断し、且つ、(c)変速制御部96は、変速制御を開始する。
第2の要求判定部98cによりスポーツモードの選択要求が解除されずに所定の期間が経過したと判定された場合、変速制御部96は、変速制御を実行する。
第1の要求判定部98aによりBEV走行モードにおいて始動要求及び変速要求が重複して発生したと判定され且つ優先して実行されたエンジン始動制御が完了した場合、変速制御部96は、変速制御を実行する。第1の要求判定部98aによりBEV走行モードにおいて始動要求が発生せず且つ変速要求が発生したと判定された場合、変速制御部96は、変速制御を実行する。
第1の要求判定部98aによりBEV走行モードにおいて始動要求及び変速要求が重複して発生したと判定され且つ優先して実行された変速制御が完了した場合、始動制御部92cは、エンジン始動制御を実行する。第1の要求判定部98aによりBEV走行モードにおいて変速要求が発生せず且つ始動要求が発生したと判定された場合、始動制御部92cは、エンジン始動制御を実行する。
図2は、図1に示す電子制御装置90の制御作動を説明するフローチャートの一例である。図2のフローチャートは、BEV走行モードにおいて繰り返し実行される。
まず、第1の要求判定部98aの機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、BEV走行モードにおいて始動要求及び変速要求が重複して発生したか否かが判定される。
S10の判定が肯定された場合には、要求駆動トルク判定部98bの機能に対応するS20において、トルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下であるか否かが判定される。
S20の判定が否定された場合には、優先制御設定部98d及び始動制御部92cの機能に対応するS30において、(a)変速制御よりもエンジン始動制御を優先して実行するように優先順位が設定され、且つ、(b)エンジン始動制御が実行される。S30の実行後、変速制御部96の機能に対応するS40において、変速制御が実行され、その後リターンとなる。
S20の判定が肯定された場合には、優先制御設定部98d及び変速制御部96の機能に対応するS50において、(a)エンジン始動制御よりも変速制御を優先して実行するように優先順位が設定され、且つ、(b)変速制御が開始される。S50の実行後、第2の要求判定部98cの機能に対応するS60において、変速制御の実行が完了したか否かが判定される。S60の判定が否定された場合、第2の要求判定部98cの機能に対応するS70において、ドライバーによる変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視される走行モード、すなわち変速制御よりもエンジン始動制御が優先して実行されるスポーツモードの選択要求が検知されるか否かが判定される。S70の判定が否定された場合、再度S60が実行される。S70の判定が肯定された場合、優先制御設定部98d及び始動制御部92cの機能に対応するS80において、変速制御よりもエンジン始動制御を優先して実行するように優先順位が設定し直され、且つ、エンジン始動制御が開始される(例えば、K0クランキングが開始される)。
S80の実行後、第2の要求判定部98cの機能に対応するS90において、所定の期間が経過したか否かが判定される。S90の判定が肯定された場合、S40が実行される。S90の判定が否定された場合、第2の要求判定部98cの機能に対応するS100において、ドライバーによる変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視される走行モード、すなわち変速制御よりもエンジン始動制御が優先して実行されるスポーツモードの選択要求が解除されたが否かが判定される。S100の判定が否定された場合、再度S90が実行される。S100の判定が肯定された場合、優先制御設定部98d及び始動制御部92cの機能に対応するS110において、エンジン始動制御よりも変速制御を優先して実行するように優先順位が再度設定し直され、且つ、K0クランキングが中断される。S110の実行後、変速制御部96の機能に対応するS120において、変速制御が実行される。S60の判定が肯定された場合及びS120の実行後、始動制御部92cの機能に対応するS130において、エンジン始動制御が実行される。S130の実行後は、リターンとなる。
S10の判定が否定された場合には、第1の要求判定部98aの機能に対応するS140において、BEV走行モードにおいて始動要求が発生せず且つ変速要求が発生したか否かが判定される。S140の判定が肯定された場合には、S40が実行される。S140の判定が否定された場合には、第1の要求判定部98aの機能に対応するS150において、BEV走行モードにおいてエンジン12の変速要求が発生せず且つ始動要求が発生したか否かが判定される。S150の判定が肯定された場合には、S130が実行される。S150の判定が否定された場合には、リターンとなる。
本実施例によれば、BEV走行中であって始動要求と変速要求とが重複して発生し且つエンジン始動制御よりも変速制御が優先して実行されるトルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下であると判定された場合において、その場合に比較して変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視されるスポーツモードの選択要求が検知されると、変速制御よりもエンジン始動制御が優先して実行される。例えば、変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視されるスポーツモードを選択する操作がドライバーにより実施されることで、その操作に伴うスポーツモードの選択要求が検知された場合には、変速制御よりもエンジン始動制御が優先して実行される。これにより、スポーツモードの選択要求が検知された場合に、そうでない場合に比較してエンジン始動制御の実行が遅延しないため、ヘジテーションに起因してドライバーが覚える違和感が抑制される。
本実施例によれば、始動要求と変速要求とが重複して発生した場合におけるトルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下であることにより、エンジン始動制御よりも変速制御が優先して実行される「所定の条件」が成立する。トルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下である場合には、ドライバーは動力性能の向上よりも変速ショックの低減を重視していると考えられる。そのため、そのような場合にはエンジン始動制御よりも変速制御が優先して実行される「所定の条件」が成立させられて、動力性能の向上よりも変速ショックの低減が重視された制御が実現され得る。
図3は、本発明の実施例2に係る電子制御装置190を備えるハイブリッド車両110(以下、単に「車両110」と記す。)の概略構成図であるとともに、ハイブリッド車両110における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。車両110は、前述の実施例1における車両10の構成と略同じであるが、動力伝達装置16の替わりに動力伝達装置116となっている点が主に異なる。そのため、実施例1と異なる部分を中心に説明することとし、実施例1と機能において実質的に共通する部分には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
動力伝達装置116は、ケース18内において、エンジン12側から順に、エンジン連結軸20、動力分割機構124、AT入力軸26、自動変速機28等を備える。エンジン連結軸20には、機械式のオイルポンプであるMOP142が配設されている。車両110は、ケース18内に収容された第1電動機MG1及び第2電動機MG2を備える。本実施例では、実施例1におけるクラッチK0、電動機MG、トルクコンバータ24、及びMOP42の替わりに、MOP142、動力分割機構124、第1電動機MG1、及び第2電動機MG2が設けられている。また、車両110は、インバータ152、油圧制御回路54、バッテリ60、及び電子制御装置190を備える。なお、エンジン12、第1電動機MG1、及び第2電動機MG2は、車両110の走行用駆動力源PGとして駆動輪14に走行用駆動力を出力することが可能である。
第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、所謂モータジェネレータであって、例えば三相同期モータジェネレータである。
第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、各々、インバータ152に接続されている。インバータ152は、第1電動機MG1とバッテリ60との間及び第2電動機MG2とバッテリ60との間に設けられ、電子制御装置190によって制御されることにより直流を交流に変換したり交流を直流に変換したりする電源回路である。例えば、インバータ152は、バッテリ60から供給され直流を交流に変換して第1電動機MG1や第2電動機MG2に出力したり、第1電動機MG1や第2電動機MG2で発電された交流を直流に変換してバッテリ60に出力したりする。
電子制御装置190によってインバータ152が制御されることにより、第1電動機MG1から出力されるトルクであるMG1トルクTmg1[Nm]及び第2電動機MG2から出力されるトルクであるMG2トルクTmg2[Nm]がそれぞれ制御される。MG1トルクTmg1及びMG2トルクTmg2は、例えば正回転の場合、加速側となる正トルクでは力行トルクであり、減速側となる負トルクでは回生トルクである。例えば、MG2トルクTmg2が力行トルクである場合には、第2電動機MG2から走行用駆動力が出力されているということになる。
動力分割機構124は、エンジン12と自動変速機28との間に設けられ、例えばシングルピニオン型の遊星歯車装置で構成されている。動力分割機構124においては、遊星歯車装置のキャリアCA0、サンギヤS0、及びリングギヤR0は、それぞれエンジン連結軸20すなわちエンジン12、第1電動機MG1、及び中間伝達部材126に連結されている。動力分割機構124は、エンジン12から出力される駆動力を第1電動機MG1及び中間伝達部材126に機械的に分割する。中間伝達部材126には、第2電動機MG2が動力伝達可能に接続されている。中間伝達部材126は、自動変速機28の入力軸であるAT入力軸26に連結されている。このように、第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、動力伝達経路PTに動力伝達可能にそれぞれ接続されている。自動変速機28は、動力伝達経路PTのうち第1電動機MG1及び第2電動機MG2と駆動輪14との間に設けられている。
動力分割機構124は、第1電動機MG1の運転状態が制御されることにより動力分割機構124を構成する遊星歯車装置の差動状態が制御される電気式の無段変速機として機能する。動力分割機構124において第1電動機MG1に分割されたエンジン12の駆動力により、第1電動機MG1は発電する。第1電動機MG1での発電電力Wmg1[W]はバッテリ60に充電されたり、発電電力Wmg1の全部又は一部或いは発電電力Wmg1に加えてバッテリ60からの電力は第2電動機MG2の回転駆動に用いられたりする。動力分割機構124において中間伝達部材126に分割されたエンジン12の駆動力は、走行用駆動力としてAT入力軸26を介して自動変速機28に入力される。
車両110においては、BEV走行モード及びHEV走行モードのうちいずれかの駆動モードが選択可能である。BEV走行モードは、エンジン12の運転を停止させた状態で第1電動機MG1及び/又は第2電動機MG2を力行制御するBEV走行を行う駆動モードである。HEV走行モードは、エンジン12を運転させた状態で走行用駆動力源PGのうちの少なくともエンジン12を駆動力源とするHEV走行を行う駆動モードである。
BEV走行モードは、例えば第2電動機MG2のみから走行用駆動力が自動変速機28に入力されるMG2走行モードである。本実施例におけるBEV走行モードは、このMG2走行モードを意味する。BEV走行モードでは、第2電動機MG2は走行用駆動力を出力する。HEV走行モードは、例えば第1電動機MG1にエンジントルクTeに対する反力トルクを出力させることで第1電動機MG1で発電が行われるとともに、第2電動機MG2に走行用駆動力を出力させることでエンジン12の直達トルクTd[Nm]{=Te/(1+ρ)=-(1/ρ)×Tmg1}とMG2トルクTmg2との合計が自動変速機28に入力されるエンジン走行モードである。本実施例におけるHEV走行モードは、このエンジン走行モードを意味する。なお、歯車比ρは、動力分割機構124を構成する遊星歯車装置における歯車比(=サンギヤS0の歯数Zs/リングギヤR0の歯数Zr)である。
MOP142は、エンジン12や第1電動機MG1及び第2電動機MG2により回転駆動可能な周知のオイルポンプである。MOP142が駆動されることで、油圧制御回路54に作動油OILが圧送される。
電子制御装置190は、前述の実施例1における電子制御装置90の構成と略同じであるが、ハイブリッド制御部92の替わりにハイブリッド制御部192となっている点及びクラッチ制御部94を備えない点とが主に異なる。なお、電子制御装置190は、本発明における「制御装置」に相当する。
電子制御装置190には、車両110に備えられた各種センサ等(エンジン回転速度センサ70、入力回転速度センサ172、出力回転速度センサ74、MG1回転速度センサ176a、MG2回転速度センサ176b、アクセル開度センサ78、スロットル弁開度センサ80、バッテリセンサ82、スポーツモードセンサ86など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン回転速度Ne、AT入力回転速度Ni、AT出力回転速度No、第1電動機MG1の回転速度であるMG1回転速度Nmg1[rpm]、第2電動機MG2の回転速度であるMG2回転速度Nmg2[rpm]、アクセル開度θacc、スロットル弁開度θth、バッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbat、スポーツモード信号SPTonなど)が、それぞれ入力される。
電子制御装置190からは、車両110に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ152、油圧制御回路54など)に各種指令信号(例えばエンジン制御信号Se、インバータ152を介して第1電動機MG1の回転制御,第2電動機MG2の回転制御をそれぞれ実行するためのMG1制御信号Smg1,MG2制御信号Smg2、変速制御信号Satなど)が、それぞれ出力される。
電子制御装置190は、ハイブリッド制御部192、変速制御部96、及び設定部98を機能的に備える。
ハイブリッド制御部192は、実施例1におけるハイブリッド制御部92の機能と略同じであるが、電動機制御部92b及び始動制御部92cの替わりにそれぞれ電動機制御部192b及び始動制御部192cとなっている点が異なる。
電動機制御部192bは、車両110に対する駆動要求量を実現するようにMG1トルクTmg1及びMG2トルクTmg2を制御する。例えば、BEV走行モードにおいては、電動機制御部192bは、要求駆動トルクTrdemを実現するようにMG2トルクTmg2を制御する。HEV走行モードにおいては、エンジン制御部92aは、要求駆動トルクTrdemの全部又は一部を実現するようにエンジントルクTeを制御し、電動機制御部192bは、要求駆動トルクTrdemに対してエンジントルクTeでは不足するトルク分を補うようにMG2トルクTmg2を制御する。
始動制御部192cは、BEV走行中において、必要に応じてクランキングによりエンジン12を始動させるエンジン始動制御を実行する。具体的には、始動制御部192cは、クランキングが終了するまで第1電動機MG1がクランキングトルクTcrを出力するように制御する。また、始動制御部192cは、クランキングに連動して、エンジン12への燃料供給や点火などを制御する。BEV走行中において、第2電動機MG2は、走行用駆動力を出力する走行用駆動力源PGとして機能し、第1電動機MG1は、クランキング用の駆動力源として機能する。本実施例における第1電動機MG1及び第2電動機MG2を合わせたものは、本発明における「電動機」に相当する。
図3に示す電子制御装置190は、前述の実施例1で説明した図2のフローチャートと略同一の制御作動であるが、エンジン始動制御が実行される場合にクラッチK0の断接制御が行われず且つ電動機MGの替わりに第1電動機MG1からクランキングトルクTcrが出力される点が異なる。
本実施例によれば、前述の実施例1と同様に、BEV走行中であって始動要求と変速要求とが重複して発生し且つエンジン始動制御よりも変速制御が優先して実行されるトルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下であると判定された場合において、その場合に比較して変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視されるスポーツモードの選択要求が検知されると、変速制御よりもエンジン始動制御が優先して実行される。また、始動要求と変速要求とが重複して発生した場合におけるトルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下であることにより、「所定の条件」が成立する。これにより、実施例1と同様の効果を奏する。
以上、本発明の各実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例2では、BEV走行モードとして、第2電動機MG2のみから走行用駆動力が自動変速機28に入力されるMG2走行モードが例示されていたが、本発明はこの態様に限らない。例えば、BEV走行モードとして、第1電動機MG1のみから走行用駆動力が自動変速機28に入力されるMG1走行モードであっても良い。
前述の実施例1,2では、始動要求と変速要求とが重複して発生した場合において、エンジン始動制御よりも変速制御が優先して実行される、本発明における「所定の条件下」として、トルク変化量αが所定の変化量α_jdg以下であると判定された場合が例示されていたが、本発明はこの態様に限らない。要は、始動要求と変速要求とが重複して発生した場合において、エンジン始動制御よりも変速制御が優先して実行される場合であれば良い。
本発明は、実施例1や実施例2に係る車両10,110と異なる車両構成にも適用可能である。例えば、前述の実施例1では、動力伝達経路PTのうち電動機MGと自動変速機28との間に流体式伝動装置であるトルクコンバータ24が設けられた態様であったが、トルクコンバータ24に替えてトルク増幅作用のないフルードカップリングなどの他の流体式伝動装置が用いられても良い。また、流体式伝動装置は、必ずしも備えられている必要はなく、例えば発進用のクラッチに置き換えられても良い。
前述の実施例1,2では、本発明における「所定の走行モードの要求」としてスポーツモードの選択要求が例示されていたが、本発明はこの態様に限らない。例えば、車両10,110が被牽引車を牽引する走行に適した予め定められた走行モードであるトーイングモードを備える場合には、ドライバーによる不図示のトーイングモード選択スイッチの操作によるトーイングモードの選択は、本発明における「所定の走行モードの要求」に相当する。例えば、車両10,110が自動変速レンジ(Dレンジ)と手動変速レンジ(Mレンジ、Sレンジ)とを備え且つ自動変速レンジから手動変速レンジへの切り替えに連動してノーマルモードからスポーツモードへ切り替えられる場合には、自動変速レンジから手動変速レンジへの切り替えは、本発明における「所定の走行モードの要求」に相当する。例えば、車両10,110がトランスファ(前後輪動力分配装置)を備えるパートタイム式の四輪駆動車両であり且つ変速制御よりもエンジン始動制御を優先して実行する走行モードである低速四輪駆動モードが選択可能である場合には、ドライバーによる不図示のトランスファ切替レバーの操作による低速四輪駆動モードの選択は、本発明における「所定の走行モードの要求」に相当する。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10,110:ハイブリッド車両
12:エンジン(内燃機関)
14:駆動輪
28:自動変速機
90,190:電子制御装置(制御装置)
MG:電動機(電動機)
MG1:第1電動機(電動機)
MG2:第2電動機(電動機)
PT:動力伝達経路
12:エンジン(内燃機関)
14:駆動輪
28:自動変速機
90,190:電子制御装置(制御装置)
MG:電動機(電動機)
MG1:第1電動機(電動機)
MG2:第2電動機(電動機)
PT:動力伝達経路
Claims (1)
- 内燃機関、前記内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路に動力伝達可能に接続された電動機、及び前記動力伝達経路のうち前記電動機と前記駆動輪との間に設けられた自動変速機、を備えるハイブリッド車両の、制御装置であって、
前記電動機のみから駆動トルクが出力された状態であって前記内燃機関の始動要求と前記自動変速機の変速要求とが重複して発生し且つ前記内燃機関の始動制御よりも前記自動変速機の変速制御が優先して実行される所定の条件下において、前記所定の条件下に比較して変速ショックの低減よりも動力性能の向上が重視される所定の走行モードの要求が検知された場合、前記変速制御よりも前記始動制御を優先して実行する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022008242A JP2023107117A (ja) | 2022-01-21 | 2022-01-21 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022008242A JP2023107117A (ja) | 2022-01-21 | 2022-01-21 | ハイブリッド車両の制御装置 |
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Family Applications (1)
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2022
- 2022-01-21 JP JP2022008242A patent/JP2023107117A/ja active Pending
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