JP2023084040A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンと電動機との間にクラッチが介挿されている構造を有するハイブリッド車両の制御装置において、エンジン始動時のシステム軸トルクの指示値が電動機の最大トルクとエンジントルクとの合算値を上回ることを防止しつつ、加速の応答性を確保することができるハイブリッド車両の制御装置を提供する。【解決手段】エンジン12の始動過渡期におけるクランキング完了時点からクラッチK0が完全係合されるまでの期間で設定されるシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmの上昇率βが、クラッチK0が完全係合した時点における前記指示値Tsyscmが電動機MGの最大MGトルクTmmaxおよびエンジントルクTeの合算値以下となるように設定されているため、前記期間においてシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmが電動機MGの最大MGトルクTmmaxおよびエンジントルクTeの合算値を上回ることが防止される。【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンおよび電動機を駆動力源とするハイブリッド車両のエンジン始動制御に関するものである。
特許文献1には、エンジンと電動機との間にクラッチが介挿されている構造を有するハイブリッド車両において、エンジンの始動時には、電動機のトルクをクラッチを介してエンジンに伝達することによって、エンジンをクランキングさせることが記載されている。
特開2014-201279号公報
ところで、エンジンの始動開始からクラッチが完全係合するまでの期間において、エンジンのエンジントルクおよび電動機のトルクが入力されるシステム軸に伝達されるシステム軸トルクは、電動機の最大トルクとエンジントルクとの合算値を上回ることができない。ここで、エンジンの始動時に必要なアシストトルクの指示値が大小複数パターン設定されている場合、最も大きなアシストトルクの指示値に合わせてシステム軸トルクの上昇率を決定すると、最も小さなアシストトルクの指示値の場合に始動制御を実行したとき、システム軸トルクの指示値が、電動機の最大トルクとエンジントルクとの合算値を上回ってしまう虞がある。一方で、最も小さなアシストトルクの指示値に合わせてシステム軸トルクの上昇率を決定すると、最も大きなアシストトルクの指示値の場合に始動制御を実行したとき、駆動力の立ち上がりに遅れが生じて加速の応答性を確保できなくなる。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジンと電動機との間にクラッチが介挿されている構造を有するハイブリッド車両の制御装置において、エンジン始動時のシステム軸トルクの指示値が電動機の最大トルクとエンジントルクとの合算値を上回ることを防止しつつ、加速の応答性を確保することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)エンジンと、電動機と、前記エンジンと前記電動機との間に介挿されているクラッチと、を備えるハイブリッド車両に適用され、前記エンジンのエンジントルクおよび前記電動機のトルクが伝達されるシステム軸に入力されたトルクがシステム軸トルクとして駆動輪側に伝達され、前記エンジンの始動時には、前記クラッチを係合させて前記電動機のトルクをアシストトルクとして前記エンジンに伝達することによって前記エンジンをクランキングさせるように構成されているハイブリッド車両の制御装置であって、(b)前記エンジンの始動過渡期におけるクランキング完了時点から前記クラッチが完全係合される時点までの期間、または、前記クランキング完了時点から前記クラッチが完全係合される時点より所定時間経過した時点までの期間、で設定される前記システム軸トルクの指示値の上昇率が、前記エンジンのクランキングに必要なアシストトルクが大きい場合には前記エンジンのクランキングに必要なアシストトルクが小さい場合に比べて大きくなるように設定され、(c)前記システム軸トルクの指示値の上昇率が、前記クラッチが完全係合した時点、または、前記クラッチが完全係合した時点より前記所定時間経過した時点における前記指示値が前記電動機の最大トルクおよびエンジントルクの合算値以下となるように設定されていることを特徴とする。
第1発明によれば、エンジンの始動過渡期におけるクランキング完了時点からクラッチが完全係合されるまでの期間、または、クランキング完了時点からクラッチが完全係合される時点に対して所定時間経過した時点までの期間、で設定されるシステム軸トルクの指示値の上昇率が、クラッチが完全係合した時点、または、クラッチが完全係合した時点より所定時間経過した時点における前記指示値が電動機の最大トルクおよびエンジントルクの合算値以下となるように設定されているため、前記期間においてシステム軸トルクの指示値が電動機の最大トルクおよびエンジントルクの合算値を上回ることが防止される。また、前記期間におけるシステム軸トルクの指示値の上昇率が、エンジンのクランキングに必要なアシストトルクが大きい場合にはアシストトルクが小さい場合に比べて大きくなるように設定されているため、アシストトルクが大きく走行用の駆動力が制限される場合であってもクランキング完了後から電動機のトルクを有効に活用して加速の応答性を確保することができる。
ここで、好適には、前記期間におけるシステム軸トルクの指示値の上昇率が、クラッチが完全係合した時点、または、クラッチが完全係合した時点より所定時間経過した時点における前記指示値が電動機の最大トルクおよびエンジントルクの合算値となる値に設定されている。このようにすれば、クラッチが完全係合した時点では、アシストトルクの大きさに拘わらず、システム軸トルクの指示値が電動機の最大トルクおよびエンジントルクの合算値となり、電動機のトルクを最も有効に活用することができる。
本発明が適用された電子制御装置を搭載したハイブリッド車両の概略構成図であるとともに、車両における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。 エンジン始動時における各回転速度および各トルクの挙動を示すタイムチャートである。 必要クランキングトルクとシステム軸トルクの上昇率との関係を示す図である。 必要クランキングトルクに基づいて上昇率が変更される場合における、エンジン始動時における各回転速度および各トルクの挙動を示すタイムチャートである。 電子制御装置の制御機能の要部を説明するフローチャートであり、必要クランキングトルクの大きさに拘わらず、適切な加速の応答性を確保できる制御作動を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された電子制御装置90を搭載したハイブリッド車両10(以下、単に「車両10」と記す。)の概略構成図であるとともに、車両10における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。
車両10は、走行用駆動力源であるエンジン12および電動機MGと、エンジン12と一対の駆動輪34との間の動力伝達経路PTに設けられた動力伝達装置14と、を備える。車両10は、エンジン12および電動機MGを走行用駆動力源とするハイブリッド車両である。また、車両10は、インバータ52、油圧制御回路50、バッテリ54、および電子制御装置90を備える。
エンジン12は、周知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置90によって、エンジン12に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTe[Nm]が制御される。エンジン12が運転状態とされると、エンジン12からエンジントルクTeが出力され、エンジン12が停止状態とされると、エンジン12からエンジントルクTeが出力されない。なお、本明細書では、特に区別しない場合には、トルク、駆動力、動力、および力(パワー)は同意である。
動力伝達装置14は、車体に取り付けられる非回転部材であるケース20内において、エンジン12側から順に、エンジン連結軸32、クラッチK0、電動機MGの電動機連結軸40、トルクコンバータ16、自動変速機18の入力回転部材であるAT入力軸36、自動変速機18等を備える。動力伝達装置14は、自動変速機18の出力回転部材であるAT出力軸24に連結されたデファレンシャルギヤ28、デファレンシャルギヤ28に連結された一対の車軸30等を備える。
エンジン連結軸32は、エンジン12とクラッチK0とを連結する部材であって、例えばクランク軸である。
電動機MGは、例えば電気エネルギーから機械的な動力を発生させる電動機としての機能(電動機機能)および機械的な動力から電気エネルギーを発生させる発電機としての機能(発電機機能)を備えた所謂モータジェネレータである。電動機MGは、後述するインバータ52を介して車両10に備えられたバッテリ54に接続されている。バッテリ54は、電動機MGに対して電力を授受する蓄電装置である。電動機MGは、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、電動機MGの出力トルクであるMGトルクTm[Nm]が制御される。
エンジン12に連結されたエンジン連結軸32と、電動機MGのロータに連結された電動機連結軸40と、の間にはクラッチK0が設けられている。クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間に介挿され、エンジン12と電動機MGとの間での動力伝達を断接可能な係合装置であり、例えば湿式多板型の油圧式摩擦係合装置である。クラッチK0が完全係合状態にされると、クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を可能とする。クラッチK0が解放状態にされると、クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を切断する。クラッチK0が半係合状態すなわちスリップ係合状態にされると、クラッチK0は、スリップ係合状態に基づいた伝達トルク容量(クラッチK0の係合力)に応じてエンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を可能とする。
電動機MGは、バッテリ54に蓄えられた電力により回転駆動され、ハイブリッド車両10の走行用駆動力を出力する。また、電動機MGは、エンジン12からクラッチK0を介して入力される走行用駆動力により発電したり、駆動輪34側から入力される被駆動力を回生により電力に変換して発電したりする。それら発電された電力は、インバータ52を介してバッテリ54に充電される。
インバータ52は、電動機MGとバッテリ54との間に設けられ、電子制御装置90によって制御されることにより直流を交流に変換したり交流を直流に変換したりする電源回路である。例えば、インバータ52は、バッテリ54から供給される直流を交流に変換して電動機MGに出力して駆動したり、電動機MGで発電された交流を直流に変換してバッテリ54に出力したりする。
バッテリ54は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の充放電可能な二次電池である。バッテリ54は、主に電動機MGを駆動するための電力を供給したり、回生により電動機MGで発電された電力を充電したりするのに用いられる。
トルクコンバータ16は、周知のトルクコンバータである。トルクコンバータ16は、電動機連結軸40に連結されたポンプ翼車16aと、AT入力軸36に連結されたタービン翼車16bと、ポンプ翼車16aとタービン翼車16bとを直結するロックアップクラッチ38と、を備える。トルクコンバータ16は、走行用駆動力源(エンジン12、電動機MG)と駆動輪34との間の動力伝達経路PTに配設され、走行用駆動力源から出力された走行用駆動力を流体を介して電動機連結軸40からAT入力軸36へ伝達する流体式伝動装置である。車両10は、機械式のオイルポンプ22を備える。オイルポンプ22は、ポンプ翼車16aに連結されており、走行用駆動力源(エンジン12、電動機MG)により回転駆動させられて、動力伝達装置14で用いられる作動油を吐出する。
自動変速機18は、走行用駆動力源(エンジン12、電動機MG)からAT入力軸36に入力された走行用駆動力を変速してAT出力軸24に出力する周知の自動変速機であり、例えば遊星歯車式や常時噛合型平行軸式の有段変速機、或いは、ベルト式やパワーローラー式の無段変速機などである。自動変速機18は、電子制御装置90により制御される油圧制御回路50によって、異なる変速比γ(=AT入力回転速度Ni[rpm]/AT出力回転速度No[rpm])のうちから所望の変速比γが形成されるように制御される。変速比γは、ギヤ比ともいう。本実施例では、自動変速機18は、複数組の遊星歯車装置と、複数の変速用係合装置CBと、を備える、公知の遊星歯車式の自動変速機である。変速用係合装置CBは、各々、油圧制御回路50から変速用係合装置CBの断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される油圧が調圧されることにより、完全係合状態、半係合状態、および解放状態などの断接状態が切り替えられる。自動変速機18は、変速用係合装置CBのうちのいずれかの係合装置の係合によって、変速比γが異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちのいずれかのギヤ段を形成する。
デファレンシャルギヤ28は、自動変速機18のAT出力軸24から伝達された走行用駆動力を受けて、一対の車軸30に対し適宜回転速度差を許容しつつ相互に等しい駆動トルクを伝達する、周知の差動機構である。
油圧制御回路50は、オイルポンプ22から吐出された作動油の油圧を元圧として、ケース20内の各部に必要な作動油を供給する。例えば、油圧制御回路50は、クラッチK0のトルク容量Tk0を制御する油圧、自動変速機18の変速制御用の油圧、トルクコンバータ16のロックアップクラッチ38の係合状態を制御する油圧などをそれぞれ生成し、ケース20内に備えられた各油圧アクチュエータに供給する。
動力伝達装置14において、エンジン12から出力される走行用駆動力は、クラッチK0が完全係合状態とされた場合には、エンジン連結軸32から、クラッチK0、電動機連結軸40、トルクコンバータ16、自動変速機18、デファレンシャルギヤ28、および一対の車軸30等を順次介して駆動輪34へ伝達される。電動機MGから出力される走行用駆動力は、クラッチK0の断接状態にかかわらず、電動機連結軸40から、トルクコンバータ16、自動変速機18、デファレンシャルギヤ28、および一対の車軸30等を順次介して駆動輪34へ伝達される。このように、エンジン12および電動機MGのうち少なくとも一方から駆動輪34に走行用の駆動トルクTrが伝達される。
車両10においては、BEV走行モードおよびエンジン走行モードすなわちHEV走行モードのいずれかの走行モードが選択可能である。BEV走行モードは、エンジン12の運転を停止させた状態で電動機MGを力行制御することにより走行用駆動力源(エンジン12、電動機MG)のうち電動機MGのみを駆動力源とするBEV(Battery Electric Vehicle)走行を行う走行モードである。BEV走行モードでは、クラッチK0が解放状態とされてBEV走行が行われる。HEV走行モードは、エンジン12を運転させた状態で走行用駆動力源のうち少なくともエンジン12を駆動力源とするHEV(Hybrid Electric Vehicle)走行を行う走行モードである。HEV走行モードでは、クラッチK0が完全係合状態とされてHEV走行が行われる。
車両10の走行をBEV走行モードおよびHEV走行モードのいずれとするかは、例えば駆動力源切替マップにより切り替えられる。駆動力源切替マップは、例えば車速V[km/h]および目標システム軸トルクTsystgt[Nm]を変数とする二次元座標で走行モードが予め定められた関係である。目標システム軸トルクTsystgtとは、システム軸トルクTsys[Nm]の運転者の要求に基づく目標値(要求値)である。システム軸トルクTsysは、走行用駆動力源(エンジン12、電動機MG)から駆動輪34側へ出力されて駆動輪34に伝達される駆動トルクであって、例えばトルクコンバータ16に入力される電動機連結軸40における駆動トルクである。目標システム軸トルクTsystgtの算出方法については、後述する。なお、電動機連結軸40が、本発明のエンジントルクおよび電動機のトルクが伝達されるシステム軸に対応する。
車速Vが比較的低い低車速領域且つ目標システム軸トルクTsystgtが比較的低い低負荷領域(=アクセル開度θacc[%]が比較的低い領域)では、BEV走行モードが選択される。一方、車速Vが比較的高い高車速領域、或いは、目標システム軸トルクTsystgtが比較的高い高負荷領域(=アクセル開度θaccが比較的高い領域)では、HEV走行モードが選択される。
電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、電動機制御用、油圧制御用等の複数個のコンピュータを含んで構成される。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ70、タービン回転速度センサ72、出力軸回転速度センサ74、MG回転速度センサ76、アクセル開度センサ78、スロットル開度センサ80、バッテリセンサ82など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne[rpm]、AT入力回転速度Ni[rpm]と同値であるタービン回転速度Nt[rpm]、車速Vに対応するAT出力回転速度No[rpm]、電動機MGの回転速度であるMG回転速度Nm[rpm]、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセル操作量であるアクセル開度θacc[%]、電子スロットル弁の開度であるスロットル開度θth[%]、バッテリ54のバッテリ温度THbat[℃]やバッテリ充放電電流Ibat[A]やバッテリ電圧Vbat[V]など)が、それぞれ入力される。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン12、インバータ52、油圧制御回路50など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御するためのエンジン制御信号Se、電動機MGを制御するためのMG制御信号Sm、変速用係合装置CBを制御するための変速制御信号SatやクラッチK0を制御するためのK0制御信号Sk0やロックアップクラッチ38を制御するためのLU制御信号Sluなど)が、それぞれ出力される。
電子制御装置90は、ハイブリッド制御部92、クラッチ制御部94、および変速制御部96を機能的に備える。
ハイブリッド制御部92は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御部92aと、インバータ52を介して電動機MGの作動を制御する電動機制御部92bと、を機能的に備え、それらの制御機能によりエンジン12および電動機MGによるハイブリッド駆動制御等を実行する。
クラッチ制御部94は、走行モードに応じてクラッチK0の断接状態を制御する。例えば、BEV走行モードにおいては、クラッチ制御部94は、クラッチK0が解放状態になるように制御する。例えば、HEV走行モードにおいては、クラッチ制御部94は、クラッチK0が完全係合状態になるように制御する。HEV走行モードでは、MG回転速度Nmは、エンジン回転速度Neと同値である。
変速制御部96は、例えば変速マップを用いて自動変速機18の変速判断を行い、変速制御を実行するための変速制御信号Satを油圧制御回路50へ出力する。変速マップは、例えば車速Vおよび目標システム軸トルクTsystgtを変数とする二次元座標上に、自動変速機18の変速が判断されるための変速線を有する予め定められた所定の関係である。変速マップでは、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良いし、又、目標システム軸トルクTsystgtに替えて後述する要求駆動力Frdemやアクセル開度θaccやスロットル開度θthなどを用いても良い。
ハイブリッド制御部92は、例えば要求駆動量マップに実際のアクセル開度θaccおよび車速Vを適用することで、運転者による車両10に対する要求駆動量(例えば、目標システム軸トルクTsystgt)を算出する。要求駆動量マップは、アクセル開度θaccおよび車速Vと要求駆動量との間の関係が実験的にまたは設計的に予め定められて記憶されたマップである。要求駆動量は、車両10に要求される駆動量であって、例えば目標システム軸トルクTsystgtである。目標システム軸トルクTsystgtは、見方を換えればそのときの車速Vにおける要求駆動パワーPrdem[W]である。要求駆動量としては、駆動輪34における要求駆動トルクTrdem[Nm]、駆動輪34における要求駆動力Frdem[N]、AT出力軸24における要求出力トルク等を用いることもできる。要求駆動量の算出では、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良い。このように、目標システム軸トルクTsystgt、要求駆動トルクTrdem、要求駆動パワーPrdem、要求駆動力Frdem、およびAT出力軸24における要求出力トルクは、車両10の要求駆動量である点では同意である。
ハイブリッド制御部92は、伝達損失、補機負荷、自動変速機18の変速比γ、バッテリ54の充電可能電力Win[W]や放電可能電力Wout[W]等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン12を制御するエンジン制御信号Seと、電動機MGを制御するMG制御信号Smと、を出力する。エンジン制御信号Seは、例えばそのときのエンジン回転速度NeにおけるエンジントルクTeを出力するエンジン12のパワーであるエンジンパワーPe[W]の指示値(=指令値)である。MG制御信号Smは、例えばそのときのMG回転速度NmにおけるMGトルクTmを出力する電動機MGの消費電力Wm[W]の指示値である。
バッテリ54の充電可能電力Winは、バッテリ54の入力電力の制限を規定する入力可能な最大電力であり、バッテリ54の入力制限を示している。バッテリ54の放電可能電力Woutは、バッテリ54の出力電力の制限を規定する出力可能な最大電力であり、バッテリ54の出力制限を示している。バッテリ54の充電可能電力Winや放電可能電力Woutは、例えばバッテリ温度THbatおよびバッテリ54の充電状態値(予め定められた満充電容量に対する実際に蓄電されている充電量の比)SOC[%]に基づいて電子制御装置90により算出される。なお、充電状態値SOCは、バッテリ54の充電状態を示す値であり、例えばバッテリ充放電電流Ibatおよびバッテリ電圧Vbatなどに基づいて電子制御装置90により算出される。
ハイブリッド制御部92は、車両10の状態に応じた走行モード(BEV走行モード、HEV走行モード)で車両10を制御する。例えば、車両10の状態に応じた走行モードは、前述した駆動力源切替マップにより選択される。
エンジン制御部92aは、車両10に対する要求駆動量を実現するようにエンジントルクTeを制御する。電動機制御部92bは、車両10に対する要求駆動量を実現するようにMGトルクTmを制御する。具体的には、BEV走行モードでの走行においては、電動機制御部92bは、目標システム軸トルクTsystgtを実現するようにMGトルクTmを制御する。HEV走行モードでの走行においては、エンジン制御部92aは、目標システム軸トルクTsystgtの全部又は一部を実現するようにエンジントルクTeを制御し、電動機制御部92bは、目標システム軸トルクTsystgtに対してエンジントルクTeでは不足するトルク分を補うようにMGトルクTmを制御する。
ハイブリッド制御部92は、さらに始動制御部92cを機能的に備える。始動制御部92cおよびクラッチ制御部94は、必要に応じて電動機MGおよびクラッチK0を用いてエンジン12をクランキングしてエンジン12を始動させるエンジン始動制御を実行する。具体的には、始動制御部92cは、クラッチ制御部94によるクラッチK0の解放状態から半係合状態を経た完全係合状態への切り替えに合わせて、クランキングが終了するまで電動機MGがクランキングトルクTcr[Nm]を出力するように制御する。これより、クランキングトルクTcrがクラッチK0を経由してエンジン12に伝達されることで、エンジン12がクランキングさせられる。
また、始動制御部92cは、クラッチK0および電動機MGによるエンジン12のクランキングに連動して、エンジン12への燃料供給や点火などを制御する。なお、ここにいう「エンジン始動制御」とは、単にエンジン12が完爆して(運転を開始して)自立運転可能になるまでのことの他に、クラッチK0が完全係合されてエンジン12からエンジントルクTeが出力されるまでのエンジン始動に関わる一連の制御作動のことでもある。なお、始動制御部92cは、エンジン12が始動制御中であるか否かを判定し、さらに、エンジン12のクランキングが完了したか否かを判定する。
ここから、アクセルオン状態においてエンジン12が始動される場合について説明する。アクセルオン状態とは、運転者から加速要求がされている状態(例えばアクセル開度θaccが零値よりも大きく、不図示のアクセルペダルが踏み込み操作されている状態)である。
始動制御部92cは、システム軸トルク設定部98を機能的に備えている。システム軸トルク設定部98は、エンジン12の始動制御時におけるクランキングの実行中での、目標システム軸トルクTsystgtに対するシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmを算出する。
エンジン12のクランキング中においては、電動機MGの出力トルクであるMGトルクTmが、電動機MGから駆動輪34側に出力されて走行用駆動力として用いられるシステム軸トルクTsys分と、電動機MGからクラッチK0を経由してエンジン12側へ出力されてクランキングに用いられるクランキングトルクTcr分と、の合算値となる。このクランキングトルクTcrが、エンジン12をクランキングさせるアシストトルクとして機能する。なお、電動機MGからエンジン12に伝達されるクランキングトルクTcrは、クラッチK0を経由して伝達されることから、クラッチK0のトルク容量Tk0を超えるトルクはエンジン12側に伝達されない。すなわち、通常はクランキングトルクTcrは、クラッチK0のトルク容量Tk0と略等しくなる。また、MGトルクTmには、電動機MGの電気的特性および機械的特性により予め設計的に定められた、電動機MGが出力可能なトルクの最大値である最大MGトルクTmmax[Nm]が規制されている。最大MGトルクTmmaxは、MG回転速度Nmに応じて変化する。一般には、最大MGトルクTmmaxは、MG回転速度Nmが高くなるほど低下する。
また、BEV走行中において、走行用駆動力として使用されるMGトルクTmの上限値が上限ガード値Tsysgdとして予め設定されている。上限ガード値Tsysgdは、クランキングの実行中において最大MGトルクTmmaxからエンジン12のクランキングに必要なクランキングトルクTcrを確保した後の残余分とされる。エンジン始動制御中において、BEV走行中におけるシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmは、上限ガード値Tsysgd以下の値に制限される。
始動制御部92cは、例えば運転者によるアクセルペダルの踏込に伴う目標システム軸トルクTsystgtの増加からエンジン12の始動を判断すると、エンジン12のクランキングを開始する。このとき、システム軸トルク設定部98は、システム軸トルクTsysの指示値Tsyscmを上限ガード値Tsysgdを超えない範囲で設定する。
エンジン12のクランキングが完了し、エンジン12が自走可能になると、クランキングトルクTcrが不要になる。このとき、クランキングトルクTcrの低下に合わせて上限ガード値Tsysgdが増加する。システム軸トルク設定部98は、エンジン12のクランキングの完了後において、システム軸トルクTsysの指示値Tsyscmを、上限ガード値Tsysgdの増加に合わせて所定の上昇率β(上昇勾配、スイープレートともいう)で上昇するように設定する。エンジン12のクランキング後の上昇率βの設定については後述する。
クラッチK0が完全係合状態に切り替わると、エンジントルクTeをシステム軸に相当する電動機連結軸40に伝達することが可能になるため、上限ガードTsysgdがさらに増加する。システム軸トルク設定部98は、クラッチK0が完全係合状態に切り替わった後、上限ガード値Tsysgdの増加に併せて、システム軸トルクTsysの指示値Tsyscmを、クランキング後と同じ上昇率βまたはクランキング後とは異なる上昇率で増加するように設定する。ハイブリッド制御部92は、システム軸トルク設定部98によって設定されたシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmにシステム軸トルクTsysが追従するように、エンジン12のエンジントルクTeおよび電動機MGのMGトルクTmを制御する。
ところで、本実施例の車両10では、エンジン始動時に必要となるクランキングトルクTcr(以下、必要クランキングトルクTcrn)が、エンジン12が停止した状態でのクランク角やエンジン12の始動方法などに応じて異なる。そこで、本実施例では、エンジン12が停止した状態でのクランク角や始動方法などに応じて、必要クランキングトルクTcrnが複数設定されている。ここで、必要クランキングトルクTcrnが小さい場合には、必要クランキングトルクTcrnが大きい場合に比べて、最大MGトルクTmmaxのうち走行用駆動力として使用可能なMGトルクTmが増加する。従って、必要クランキングトルクTcrnが小さい場合には、必要クランキングトルクTcrnが大きい場合に比べて上限ガード値Tsysgdが大きくなる。一方で、必要クランキングトルクTcrnが大きい場合には、必要クランキングトルクTcrnが小さい場合に比べて、最大MGトルクTmmaxのうち走行用駆動力として使用可能なMGトルクTmが減少する。従って、必要クランキングトルクTcrnが大きい場合には、必要クランキングトルクTcrnが小さい場合に比べて上限ガード値Tsysgdが小さくなる。
図2は、エンジン始動時における各回転速度(エンジン回転速度Ne、MG回転速度Nm)、および、各トルク(目標システム軸トルクTsystgt、システム軸トルクTsysの指示値Tsyscm、システム軸トルクTsysの上限ガード値Tsysgd(Tsysgd1,Tsysgd2)、必要クランキングトルクTcrn(Tcrn1,Tcrn2)、エンジントルクTe、MGトルクTm、最大MGトルクTmmax)の挙動を示すタイムチャートである。図2において、エンジントルクTeおよびMGトルクTmについては、実際のトルク(実トルク)を示し、その他のトルク(Tsystgt等)については指示値を示している。また、必要クランキングトルクTcrn1(以下、最大クランキングトルクTcrn1)は、複数設定されている必要クランキングトルクTcrnのうちの最大値を示し、必要クランキングトルクTcrn2(以下、最小クランキングトルクTcrn2)は、複数設定されている必要クランキングトルクTcrnのうちの最小値を示している。さらに、上限ガード値Tsysgd1は、最大クランキングトルクTcrn1とされた場合の上限ガード値Tsysgdを示し、上限ガード値Tsysgd2は、最小クランキングトルクTcrn2とされた場合の上限ガード値Tsysgdを示している。なお、図2では、最大クランキングトルクTcrn1および最小クランキングトルクTcrn2が示されているが、実際には、最大クランキングトルクTcrn1と最小クランキングトルクTcrn2との間で、さらに複数の必要クランキングトルクTcrnが設定されている。
以下、必要クランキングトルクTcrnが最大クランキングトルクTcrn1であった場合について図2を用いて説明する。図2のt1時点において運転者によってアクセルペダルが踏み込まれることで、実線で示す目標システム軸トルクTsystgtが増加している。t2時点では、目標システム軸トルクTsystgtの増加に伴ってエンジン12の始動が判断され、エンジン12の始動制御が開始される。t1時点以降では、二点鎖線で示すシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmが引き上げられ、クランキングが完了するt4時点では、指示値Tsyscmが、実線で示す上限ガード値Tsysgd1付近に到達している。t1時点からt5時点の手前までは、電動機MGのMGトルクTmによって走行用駆動力が発生させられるため、破線で示すMGトルクTmが、指示値Tsyscmに追従するようにして増加している。
t3時点では、エンジン12のクランキングが開始され、電動機MGからシステム軸トルクTsysに加えて実線で示すクランキングトルクTcrが出力される。また、図示しないが、クランキングトルクTcrの出力開始に合わせてクラッチK0の係合が開始され、クランキングトルクTcrに合わせてクラッチK0のトルク容量Tk0が増加する。これより、クラッチK0を介してクランキングトルクTcrがエンジン12側に伝達されることで、破線で示すエンジン回転速度Neが引き上げられている。
t4時点においてエンジン12のクランキングが完了すると、システム軸トルクTsysの指示値Tsyscmが所定の上昇率βで増加している。t5時点においてクラッチK0が完全係合されると、一点鎖線で示すエンジントルクTeが出力可能になり、システム軸トルクTsysがエンジントルクTeおよびMGトルクTmの合算値として出力可能になる。これに関連して、t5時点以降は上限ガード値Tsysgdが増加し、また、上限ガード値Tsysgdに追従するようにして指示値Tsyscmが増加している。
ここで、図2のt4時点からt5時点の間で設定される上昇率βが高くなると加速の応答性が向上するが、指示値Tsyscmが最大MGトルクTmmaxを上回ることはできない。そこで、図2に示す最小クランキングトルクTcrn2に合わせて上昇率βを設定すれば、全ての必要クランキングトルクTcrnに対して指示値Tsyscmが最大MGトルクTmmaxを上回ることが防止される。一方で、最大クランキングトルクTcrn1の場合に、最小クランキングトルクTcrn2に基づいて設定された上昇率βが適用されると、MGトルクTmを十分に使い切れず、加速にもたつきが生じるヘジテーションが発生する虞がある。図2においては、最小クランキングトルクTcrn2に合わせて上昇率βが設定された態様が示されている。このとき、t4時点からt5時点の間での指示値Tsyscmの上昇が緩やかとなる。また、t5時点以降では、MGトルクTmに加えてエンジントルクTeが出力されることとなるが、エンジントルクTeの増加に対してt5時点以降でMGトルクTmが大きく減少し、MGトルクTmを十分に使い切れていない。
これに対して、システム軸トルク設定部98は、エンジン12のクランキングに必要な必要クランキングトルクTcrnに応じて上昇率βを変更する。システム軸トルク設定部98は、必要クランキングトルクTcrnをパラメータとする上昇率βを規定する関係マップを記憶しており、必要クランキングトルクTcrnが決まると、関係マップに必要クランキングトルクTcrnを適用することで適切な上昇率βを決定する。
前記関係マップは予め実験的または設計的に求められる。図3は、前記関係マップの傾向を示す図である。図3において、横軸が必要クランキングトルクTcrnを示し、縦軸が上昇率βを示している。図3に示すように、必要クランキングトルクTcrnが大きくなるほど上昇率βが増加している。これより、必要クランキングトルクTcrnが大きく、BEV走行時の上限ガード値Tsysgdが小さくなる場合であっても、クランキング完了後において上昇率βが高くなるため、MGトルクTmが有効に使用されてエンジン始動時の加速の応答性が確保される。
ここで、指示値Tsyscmの上昇率βが、クラッチK0が完全係合状態となる時点における指示値Tsyscmが最大MGトルクTmmaxおよびエンジントルクTeの合算値(=Tmmax+Te)以下となるように設定されている。これより、クランキング完了後において、指示値Tsyscmが最大MGトルクTmmaxおよびエンジントルクTeの合算値を超えることが防止される。なお、上昇率βの下限値は、少なくとも、複数設定されている必要クランキングトルクTcrnのうち最小値である最小クランキングトルクTcrn2に合わせて設定された場合の上限値βよりも大きい値に設定される。従って、上限値βは、最小クランキングトルクTcrn2に合わせて設定された場合の上限値βよりも大きく、且つ、クラッチK0が完全係合状態となる時点における指示値Tsyscmが最大MGトルクTmmaxおよびエンジントルクの合算値以下の値に設定される。
また、好適には、指示値Tsyscmの上昇率βが、クラッチK0が完全係合状態となる時点における指示値Tsyscmが、最大MGトルクTmmaxおよびエンジントルクTeの合算値となる値に設定されている。このように設定されることで、必要クランキングトルクTcrnの大きさに拘わらず、クラッチK0が完全係合状態になると、指示値Tsyscmが最大MGトルクTmmaxとエンジントルクTeとの合算値となることで、MGトルクTmを最大限に活用することが可能になる。その結果、加速の応答性が十分に確保される。なお、クラッチK0が完全係合状態となる時点で指示値Tsyscmが最大MGトルクTmmaxおよびエンジントルクTeの合算値となる上昇率βは、予め実験的または設計的に求められる。なお、実際には、車両毎のばらつき等を考慮して上昇率βが決定される。
図4は、エンジン始動時において、必要クランキングトルクTcrnに応じて上昇率βが変更される場合の、各回転速度(Ne,Nm)および各トルク(Tsystgt,Tsyscm,Tsysgd(Tsysgd1,Tsysgd2),Tcr(Tcr1,Tcr2),Te,Tm,Tmmax)の挙動を示すタイムチャートである。なお、図4にあっては、アクセルペダルが踏み込まれるt1時点からクランキングが完了するt4時点までの間は、前述した図2と変わらないため、t4時点までの説明については省略する。
図4のt4時点においてエンジン12のクランキングが完了すると、システム軸トルクTsysの指示値Tsyscmが上昇率β1で増加している。ここで、上昇率β1は、最大クランキングトルクTcrn1を前記関係マップに適用することで求められた値に設定されている。最大クランキングトルクTcrn1はエンジン始動時に必要な必要クランキングトルクTcrnの中で最も大きい値であるため、図4に示す上昇率β1は、設定されている上昇率βの中で最も大きい値となる。一方、必要クランキングトルクTcrnが最も小さい最小クランキングトルクTcrn2の場合には、図4に示す上昇率β2は、設定される上昇率βのうちで最も小さい値となる。これより、クランキングの完了時点からクラッチK0が完全係合されるまでの期間に設定されるシステム軸トルクTsysの上昇率βが、エンジン12のクランキングに必要な必要クランキングトルクTcrnが大きい場合には、必要クランキングトルクTcrnが小さい場合に比べて大きくなるように設定されている。
また、好適には、クラッチK0が完全係合状態となるt5時点において、指示値Tsyscmが最大MGトルクTmmaxとエンジントルクTeとの合算値となるように上昇率βが設定される。このように、上昇率βが変更されることで、クラッチK0が完全係合されるt5時点では、必要クランキングトルクTcrnの大きさに拘わらず指示値Tsyscmが最大MGトルクTmmaxとエンジントルクTeの合算値と等しくなる。その結果、t5時点以降に走行用駆動力として使用されるMGトルクTmが高い値で維持され、t5時点以降の電動機MGのMGトルクTmの減少量が、図2に示したt5時点以降でのMGトルクTmの減少量に比べて減少している。従って、MGトルクTmが有効に使用され、加速の応答性が確保される。
図5は、電子制御装置90の制御機能の要部を説明するフローチャートであり、必要クランキングトルクTcrnの大きさに拘わらず、適切な加速の応答性を確保できる制御作動を説明するフローチャートである。このフローチャートは、BEV走行中において繰り返し実行される。
先ず、始動制御部92cの制御機能に対応するステップ(以下、ステップを省略)S10において、エンジン12の始動制御中であるか否かが判定される。S10の判定が否定された場合、本ルーチンが終了させられる。S10の判定が肯定された場合、始動制御部92cの制御機能に対応するS20において、エンジン12のクランキングが完了したか否かが判定される。クランキングの完了は、例えば、クランキングに伴うエンジン回転速度Neが、クランキングが完了したと判断できる所定値に到達したか否かに基づいて判定される。S20の判定が否定された場合、本ルーチンが終了させられる。S20の判定が肯定された場合、システム軸トルク設定部98の制御機能に対応するS30において、エンジン始動時に設定される必要クランキングトルクTcrnに関係マップを適用することによって上昇率βが設定される。次いで、システム軸トルク設定部98の制御機能に対応するS40において、S30で設定された上昇率βからシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmが算出される。始動制御部92cに対応するS50では、実際のシステム軸トルクTsysが指示値Tsyscmに追従するように、エンジン12および電動機MGが制御される。始動制御部92cの制御機能に対応するS60では、クラッチK0が完全係合状態に切り替わったか否かが判定される。クラッチK0が完全係合状態に切り替わったか否かの判定は、例えばエンジン12のクランキングが完了した時点より所定時間経過したか否などに基づいて判定される。S60の判定が否定された場合、S50に戻り、システム軸トルクTsysの制御が継続して実行される。S50の判定が肯定された場合、本ルーチンが終了させられる。
上述のように、本実施例によれば、エンジン12の始動過渡期におけるクランキング完了時点からクラッチK0が完全係合されるまでの期間で設定されるシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmの上昇率βが、クラッチK0が完全係合した時点における前記指示値Tsyscmが電動機MGの最大MGトルクTmmaxおよびエンジントルクTeの合算値以下となるように設定されているため、前記期間においてシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmが電動機MGの最大MGトルクTmmaxおよびエンジントルクTeの合算値を上回ることが防止される。また、前記期間におけるシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmの上昇率βが、必要クランキングトルクTcrnが大きい場合には必要クランキングトルクTcrnが小さい場合に比べて大きくなるように設定されているため、必要クランキングトルクTcrnが大きく走行用の駆動力が制限される場合であってもクランキング完了後から電動機MGのMGトルクTmを有効に活用して加速の応答性を確保することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、クランキング完了時点からクラッチK0が完全係合されるまでの期間で設定されるシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmの上昇率βが、クラッチK0が完全係合した時点における指示値Tsyscmが電動機MGの最大MGトルクTmとエンジントルクTeの合算値以下となるように設定されるものであったが、本発明は、必ずしもこれに限定されない。例えば、クランキング完了時点からクラッチK0が完全係合される時点より所定時間経過した時点までの期間で設定されるシステム軸トルクTsysの指示値Tsyscmの上昇率βが、その所定時間経過した時点における指示値Tsyscmが電動機MGの最大MGトルクTmとエンジントルクTeの合算値以下となるように設定されるものであっても構わない。前記所定時間は、予め実験的または設計的に求められ、例えば数十msec程度に設定される。
また、前述の実施例では、必要クランキングトルクTcrnと上昇率βとの関係マップに基づいて上昇率βが決定されるものであったが、予め規定されている必要クランキングトルクTcrnを変数とする上昇率βを算出する関係式に基づいて、上昇率βが求められるものであっても構わない。
また、前述の実施例では、電動機連結軸40がエンジントルクTeおよびMGトルクTmが伝達されるシステム軸として機能するものであったが、本発明は、必ずしも電動機連結軸40に限定されない。要は、エンジントルクTeおよびMGトルクTmが入力される回転軸であれば、システム軸として適宜適用することができる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:ハイブリッド車両(車両)
12:エンジン
34:駆動輪
40:電動機連結軸(システム軸)
90:電子制御装置(制御装置)
MG:電動機
K0:クラッチ
Te:エンジントルク
Tcr:クランキングトルク(アシストトルク)
Tcrn:必要クランキングトルク(エンジンのクランキングに必要なトルク)
Tmmax:最大MGトルク(電動機の最大トルク)
Tsys:システム軸トルク
Tsyscm:指示値(システム軸トルクの指示値)
β:上昇率

Claims (1)

  1. エンジンと、電動機と、前記エンジンと前記電動機との間に介挿されているクラッチと、を備えるハイブリッド車両に適用され、前記エンジンのエンジントルクおよび前記電動機のトルクが伝達されるシステム軸に入力されたトルクがシステム軸トルクとして駆動輪側に伝達され、前記エンジンの始動時には、前記クラッチを係合させて前記電動機のトルクをアシストトルクとして前記エンジンに伝達することによって前記エンジンをクランキングさせるように構成されているハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記エンジンの始動過渡期におけるクランキング完了時点から前記クラッチが完全係合される時点までの期間、または、前記クランキング完了時点から前記クラッチが完全係合される時点より所定時間経過した時点までの期間、で設定される前記システム軸トルクの指示値の上昇率が、前記エンジンのクランキングに必要なアシストトルクが大きい場合には前記エンジンのクランキングに必要なアシストトルクが小さい場合に比べて大きくなるように設定され、
    前記システム軸トルクの指示値の上昇率が、前記クラッチが完全係合した時点、または、前記クラッチが完全係合した時点より前記所定時間経過した時点における前記指示値が前記電動機の最大トルクおよびエンジントルクの合算値以下となるように設定されている
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
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