JP2023106183A - 複合金属粒子及び該複合金属粒子が分散している複合金属粒子分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】経時変化によって劣化しない分散性を有する複合金属粒子を提供する。【解決手段】複合金属粒子は、卑金属の水酸化物マトリクスと、卑金属の水酸化物マトリクス中に分散している卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶と、を有し、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶は、直径3~50nmであって、卑金属の水酸化物マトリクスと卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶との合計質量に対して60~90質量%の比率で分散している。【選択図】図1

Description

本発明は、ナノ粒子インクに用いることができる複合金属粒子、及び、この複合金属粒子を用いた複合金属粒子分散液に関する。より詳細には、絶縁基板の上に導電性の配線を形成した回路基板を作製するための複合金属粒子及び複合金属粒子分散液に関する。
絶縁基板の表面に配線パターンを形成してプリント配線板等の回路基板を製造する方法として、以下の方法が知られている。例えば、銅張積層板に配線パターンのレジストを施した後にエッチングで不要部分の銅箔を取り除いて配線パターンのみを残すサブトラクティブ法や、絶縁基板表面の必要な部分にメッキをして配線パターンを形成するアディティブ法が用いられている。しかしながら、これらの配線パターン形成方法は、製造工程数が多いために設備コストが高くなり、かつ製造に要する時間も長くなる。さらに製造時に多量の廃液が生じるという問題もある。
そこで、これらの問題を解決するために金属ナノ粒子を含有する導電性インクを用いて配線パターンを形成することが行われている。金属ナノ粒子を用いた導体膜として、CuOを主成分とする銅系ナノ粒子を用いた導体膜が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された導体膜は、分散液を基材上に塗布および乾燥させる工程と、200℃以下の温度で加熱する工程と、還元性雰囲気中で塗膜を還元する工程と、を実施することで導電性の高い導体膜を形成することができる。
また、粒径が50nm以下のCuまたはAgナノ粒子を用いた回路導体が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に記載された回路導体は、ナノ粒子を含む導電性インクをアルコールが存在する低酸素雰囲気下で焼成することで多層に形成された配線パターンを形成することができる。
これらの配線パターンを形成する際に用いられる導電性インクは、金属ナノ粒子を溶媒中に分散させたものである。金属ナノ粒子として、Cuナノ粒子を用いた導電性インクが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3に記載された第1の導電性インクは、Cuナノ粒子およびAgの化合物ナノ粒子と、ナノ粒子を被覆する有機分散剤と、ナノ粒子を分散させる分散媒とを備えることで十分な導電性を持った配線パターンを形成することができる。
さらに、熱分解性有機ポリマーを加えた導電性インクが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。特許文献4に記載された第2の導電性インクは、ナノスケールの金属粒子、有機溶剤、熱分解性有機ポリマーで構成されている。熱分解性有機ポリマーを加えることで導電性インクの粘度を制御することができる。
特開2016-96136号公報 特開2007-53212号公報 特開2012-172135号公報 特開2007-182547号公報
溶媒中の粒子には、ファンデルワールス力に由来する凝集力と、静電気的反発による分散力とが作用する。粒子サイズがナノスケールまで小さくなり、粒子間距離が短くなるとファンデルワールス力が優位になるため粒子の凝集が発生する。そこで、粒子の凝集を防ぐためにナノ粒子の導電性インクでは分散剤を用いている。
しかしながら、前記従来の第1の導電性インクは、分散性を維持するために有機分散剤を用いているため、有機物の反応が進行するのを抑制するために低温で保存しなければならないという問題を有している。また、低温で保存した場合でも分散性を維持できるのは6ヶ月程度であるという問題がある。
また、前記従来の第2の導電性インクは、熱分解性有機ポリマーを用いているため、前記第1の導電性インクと同様に有機物の反応に起因する問題を有している。
本発明は、前記従来の問題を解決するもので、経時変化によって劣化する有機物の分散剤を用いることなく、金属ナノ粒子の分散性を維持させることができる複合金属粒子、および該複合金属粒子が分散している複合金属粒子分散液を提供することを目的とする。
上記目標を達成するために、本発明に係る複合金属粒子は、卑金属の水酸化物マトリクスと、卑金属の水酸化物マトリクス中に分散している卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶とを有し、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶は、直径3~50nmであって、卑金属の水酸化物マトリクスと卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶との合計質量に対して60~90質量%の比率で分散している。
また、本発明に係る複合金属粒子が分散している複合金属粒子分散液は、上記複合金属粒子がアルコール、アルカン、エーテル、芳香族、例えば、プロパノール、エタノール、イソプロピルエーテル、ヘキサン、メタノール、ブタノール、シクロヘキサン、及び、灯油から選ばれた少なくとも1つ以上の有機溶媒に分散している。
以上のように、本発明に係る複合金属粒子によれば、無機物である卑金属の水酸化物マトリクス中に、前記卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶が分散した構造を有しているため、化学的安定性が高く、低温での保存が不要になる。
また、本発明に係る複合金属粒子が分散している複合金属粒子分散液によれば、化学的に安定な複合金属粒子を用いた分散液であるため、低温で保存することなく長期保存が可能になる。
実施の形態1に係る複合金属粒子の断面構造を示す概略断面図である。 実施の形態1に係る複合金属粒子の作製過程を示す概略図である。 実施の形態1に係る複合金属粒子を用いて焼結体を形成する過程を示す図であり、(a)は、複合金属粒子をフラックスと混合したペーストの構成を示す概略図であり、(b)は、焼結で加熱する前の複合金属粒子の状態を示す部分拡大図であり、(c)は、卑金属の水酸化物マトリクスが収縮した状態を示す概略図であり、(d)は、焼結後の状態を示す概略図である。 配線材料がパターニングされた配線基板の模式図である。 複合金属粒子に含まれるSnのナノサイズ単結晶又は多結晶の径と、複合金属粒子の比抵抗およびシェア強度との関係を示す図である。 複合金属粒子に含まれるSnのナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率と、複合金属粒子の比抵抗およびシェア強度との関係を示す図である。 実施例1-9と、比較例1-7とにおける複合金属粒子の比抵抗とシェア強度と、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径及び含有比率との関係を示す表1である。 実施例10-23と、比較例8-11とにおける複合金属粒子の比抵抗とシェア強度と、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径及び含有比率との関係を示す表2である。 実施の形態2に係る複合金属粒子分散液の構造を示す概略断面図である。
第1の態様に係る複合金属粒子は、卑金属の水酸化物マトリクスと、卑金属の水酸化物マトリクス中に分散している卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶とを有し、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶は、直径3~50nmであって、卑金属の水酸化物マトリクスと卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶との合計質量に対して60~90質量%の比率で分散している。
本構成によって、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶と卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶との間に無機物からなる物理障壁を形成して卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の分散性を維持させることが可能となる。
第2の態様に係る複合金属粒子は、上記第1の態様において、卑金属がSn、Bi、In、Zn、及びSbの何れかの元素であってもよい。
第3の態様に係る複合金属粒子は、上記第1の態様において、卑金属がCuであってもよい。
第4の態様に係る複合金属粒子分散液は、上記第1から第3のいずれかの態様に係る複合金属粒子がアルコール、アルカン、エーテル、芳香族、例えば、プロパノール、エタノール、イソプロピルエーテル、ヘキサン、メタノール、ブタノール、シクロヘキサン、及び、灯油から選ばれた少なくとも1つ以上の有機溶媒に分散している。
以下、本開示の実施の形態に係る複合金属粒子及び複合金属粒子分散液について、添付図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
<複合金属粒子101>
図1は、本開示の実施の形態1に係る複合金属粒子101の断面構造を示す概略断面図である。
図1において、複合金属粒子101は、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102と、卑金属の水酸化物マトリクス103とで構成されており、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102は、卑金属の水酸化物マトリクス103中に分散している。卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の周囲には卑金属の水酸化物マトリクス103が存在するため、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102同士が接触していない。
上記構成によって、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶と卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶との間に無機物からなる物理障壁を形成して卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の分散性を維持させることができる。
以下に、この複合金属粒子を構成する各部材について説明する。
<卑金属>
卑金属としては、Sn、Bi、In、Zn、Sb、及びCuから選ばれる少なくとも1つの元素であってもよい。また、上記卑金属元素間の合金、例えば、SnBi、SnIn、BiIn等の合金であってもよい。
<卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶>
卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶は、直径3~50nmであればよい。
<卑金属の水酸化物マトリクス>
卑金属がSnの場合には、水酸化物マトリクスは、Sn(OH)である。卑金属がBiの場合には、水酸化物マトリクスは、Bi(OH)であり、卑金属がInの場合には、水酸化物マトリクスは、In(OH)であり、卑金属がZnの場合には、水酸化物マトリクスは、Zn(OH)である。また、卑金属がSbの場合には、水酸化物マトリクスは、Sb(OH)であり、卑金属がCuの場合には、水酸化物マトリクスは、Cu(OH)である。なお、卑金属が複数の元素を含む場合には、水酸化物マトリクスは、それぞれの元素の水酸化物マトリクスの混合物又は各元素が固溶している固溶体であってもよい。
<複合金属粒子の作製>
図2は、実施の形態1に係る複合金属粒子の作製過程を示す図である。
(i)はじめに、卑金属の原料粒子104を有機溶媒105に浸漬する(図2(a))。
(ii)ここに周波数26kHzで出力600Wの超音波を照射すると、超音波キャビテーション圧壊時の衝撃圧によって卑金属の原料粒子104の表面から卑金属のナノ1次粒子106が分離して有機溶媒105中に飛び出してくる。同時に、有機溶媒の酸化反応、分子間脱水、分子内脱水によってHO107を生成する(図2(b))。
(iii)さらに、超音波照射を続けることによって卑金属のナノ1次粒子106とHO107の生成量は増加していく(図2(c))。
(iv)卑金属のナノ1次粒子106とHO107との生成物の濃度が高くなると、卑金属のナノ1次粒子106は、クラスタを形成して卑金属のナノ2次粒子である卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102となる。一方で、卑金属のナノ1次粒子106の一部は、HO107と反応して卑金属の水酸化物108となる(図2(d))。
(v)これらの現象は時間とともに進行していく(図2(e))。卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102と卑金属の水酸化物108の濃度が高くなると、これらが凝集して卑金属の水酸化物108で構成された卑金属の水酸化物マトリクス103に卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102が分散した構造となる(図2(f))。
卑金属の原料粒子104の成分は、例えば、Sn(融点232℃)であり、粒子のメジアン径は30μmである。また、有機溶媒105は、例えば、プロパノールであり、卑金属の原料粒子104と有機溶媒105の合計質量に対する、卑金属の原料粒子104の質量比率は12質量%である。
<焼結体形成プロセス>
図3は、前記複合金属粒子を用いて焼結体を形成する過程を示した概略図である。
(1)準備した複合金属粒子101をフラックス109と混合したペースト110(図3(a))を絶縁基板(図示せず)の上にディスペンサーによって供給する。この時、絶縁基板の上に供給するペースト量は配線パターンに応じて適宜調節する。図3(b)は、加熱する前のペースト110の一部分を拡大して示した部分拡大図である。図3(b)に示すように、卑金属の水酸化物マトリクス103中に、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102が分散した複合金属粒子101がフラックス109で覆われている。
(2)次に、これを酸素濃度200ppmの窒素雰囲気で200℃に加熱する。熱エネルギーを加えると、図3(c)に示すように、卑金属の水酸化物マトリクス103は収縮して空隙が形成され、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102同士が接触して焼結が始まる。同時に、フラックス109は、卑金属の水酸化物マトリクス103を構成する水酸化物と酸化物とを還元して卑金属原子と水とを生成する(図示せず)。この卑金属原子は、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶と結合し、水は気化して取り除かれる。なお、卑金属の水酸化物マトリクス103が収縮するのは、卑金属の水酸化物マトリクス103がアモルファス状態で存在しているからである。
(3)時間の経過に伴って、上記の反応が進行し、およそ30分後に図3(d)に示すように、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102が焼結した焼結体111を得ることができる。
<パターニングされた配線基板>
図4は、絶縁基板112の上に、ペースト110を供給して焼結体を形成した配線基板を示した模式図である。絶縁基板112はポリイミドフィルム製であり、絶縁基板表面に複合金属粒子の焼結体で導電性パターンが形成されている。絶縁基板112は、ポリイミドフィルに限らず、アルミナ基板、ガラスエポキシ基板等を用いてもよい。
<特性>
複合金属粒子101をフラックス109と混合したペースト110を、ポリイミドフィルム(100mm×40mm)の上にディスペンサーを用いて線幅100μmで供給し、酸素濃度200ppmの雰囲気に保ち200℃で30分間加熱して配線パターンの焼結体を形成した。この配線パターンの比抵抗を測定すると28μΩcmであり、比抵抗が40μΩcm以下の導電性を持っていることがわかる。また、無酸素Cu継手をペースト110で接合した試験片を作製して、シェア強度を測定した結果は6.7MPaであり、4MPa以上の十分な強度であった。
<卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102>
本実施の形態1において卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102は、単結晶又は多結晶の直径が5nmのSnを用いているが、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の直径は5nmに限らず、3nm以上で50nm以下の任意の直径の粒子を用いてもよい。
卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102は、直径1nmまで形成可能であるが、直径3nm未満の単結晶又は多結晶は卑金属の水酸化物マトリクス中への分散が困難になるため、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の径の下限値は3nmである。卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の焼結体形成プロセスは卑金属粒子のナノ効果によって行われている。卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の径が小さくなると、粒子の体積に対する表面積の割合である比表面積が増加する。この効果によって径が50nm以下になると、単位時間当たりの拡散量が多くなるため、短時間で卑金属相の拡散を進行させて焼結することができるようになる。
また、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の金属成分はSnに限らず、水酸化物を形成する組成であればよく、例えば、Bi、In、Zn、Sb、Cu等を用いることができる。また、単一金属に限らず、SnBi、SnIn、BiIn等の合金を用いてもよい。
<卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径(径)>
ここで、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の直径(径)について説明する。
図5は、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の直径と、複合金属粒子の比抵抗(●:黒丸)およびシェア強度(○:白丸)との関係を示す図である。ここでは、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102にSn、卑金属の水酸化物マトリクス103に水酸化スズ(Sn(OH))を用いた複合金属粒子101を、フラックスと混ぜてペースト化している。複合金属粒子101の全体を100質量%とした場合に対する卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の含有比率は、80質量%である。このペーストを、ディスペンサーを用いてポリイミドフィルム(100mm×40mm)の上に線幅100μmで供給し、酸素濃度200ppmの雰囲気に保ち200℃で30分間加熱して配線パターンの焼結体を形成して比抵抗を測定した。また、無酸素Cu継手をペースト110で接合した試験片を作製してシェア強度を測定した。図5において、横軸は卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の直径である。縦軸は抵抗率計で測定した比抵抗と、ボンドテスターで測定したシェア強度である。
卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径が5nmの時の比抵抗は28μΩcmであり、直径が大きくなると比抵抗は上昇する。これは、直径が大きくなることで比表面積が小さくなり、単位時間当たりの拡散量が減少するため所定の時間内で十分な焼結状態を得られないためである。直径が50nmの時は、比抵抗は39μΩcmであるが、直径が70nmになると比抵抗は46μΩcmに上昇し、40μΩcmを超えてしまう。また、直径を小さくした場合も比抵抗は上昇する。直径が2nmになると比抵抗は47μΩcmになる。これは、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径が小さくなると卑金属の水酸化物マトリクスへの分散が不十分となり直径の大きい単結晶又は多結晶が生じるためである。比抵抗は40μΩcm以下が必要であるので、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径は3nmから50nmがよい。さらに比抵抗は30μΩcm以下が望ましいため、直径は5~10nmがよい。
シェア強度は、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径が5nmの時に6.7MPaであり、4MPa以上の良好な結果である。しかしながら、直径が大きくなると比抵抗の場合と同じ理由でシェア強度は低下し、直径が70nmの時に4MPa以下の3.2MPaになる。また、直径を小さくした場合のシェア強度は直径3nmの時は4.8MPaであるが、直径2nmで4MPa以下の3.0MPaになる。シェア強度は4MPa以上が必要であるので、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径は3nmから50nmがよい。さらにシェア強度は6MPa以上が望ましいため、直径は5~10nmがよい。
図5の結果からわかるように、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径が3~50nmであれば比抵抗が40μΩcm以下かつシェア強度が4MPa以上であり、配線パターンとして使用することができる。また、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径が、5~10nmであれば比抵抗が30μΩcm以下に低下するため、より汎用性の高い配線パターンとして使用することが可能である。
<卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率>
つぎに、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の含有比率について説明する。
図6は、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の含有比率と、複合金属粒子の比抵抗(●:黒丸)およびシェア強度(○:白丸)との関係を示した図である。ここでは、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102に直径5nmのSn、卑金属の水酸化物マトリクス103に水酸化スズ(Sn(OH))を用いた複合金属粒子101を、フラックスと混ぜてペースト化している。このペーストを、ディスペンサーを用いてポリイミドフィルム(100mm×40mm)の上に線幅100μmで供給し、酸素濃度200ppmの雰囲気に保ち、200℃で30分間加熱して配線パターンの焼結体を形成して比抵抗を測定した。また、無酸素Cu継手をペースト110で接合した試験片を作製してシェア強度を測定した。図6において、横軸は卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の含有比率である。縦軸は抵抗率計で測定した比抵抗と、ボンドテスターで測定したシェア強度である。
卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率が80質量%の時の比抵抗は28μΩcmであり、含有比率が大きくなると比抵抗は上昇する。これは、含有比率が大きくなることで卑金属の水酸化物マトリクスの量が不足し、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の分散性が保てなくなり、直径の大きい単結晶又は多結晶が生じるためである。含有比率が90質量%の時は36μΩcmであるが、含有比率が95質量%になると50μΩcm以上に上昇し、40μΩcmを超えてしまう。また、含有比率を小さくした場合も比抵抗は上昇する。含有比率が60質量%の時は38μΩcmであるが、含有比率が50質量%になると45μΩcmに上昇し、40μΩcmを超えてしまう。これは、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率が小さくなると焼結で形成される金属ネットワークが少なくなるためである。比抵抗は40μΩcm以下が必要であるので、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率は60~90質量%がよい。さらに比抵抗は30μΩcm以下が望ましいため、含有比率は70~80質量%がよい。
シェア強度は、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率が80質量%の時に6.7MPaであり、4MPa以上の良好な結果である。しかしながら、含有比率が大きくなるとシェア強度は低下し、含有比率が90質量%の時に5.0MPaとなり、95質量%の時に4MPa以下の1.4MPaになる。また、含有比率を小さくした場合のシェア強度は含有比率が50質量%の時は4.5MPaであるが、含有比率40質量%で4MPa以下の1.2MPaになる。シェア強度は4MPa以上が必要であるので、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率は50~90質量%がよい。さらにシェア強度は6MPa以上が望ましいため、含有比率は70~80質量%がよい。しかしながら、50質量%の時は比抵抗が40μΩcm以上となるので適さない。
図6の結果からわかるように、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率が60~90質量%であれば比抵抗が40μΩcm以下かつシェア強度が4MPa以上であり、配線パターンとして使用することができる。また、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率が、70~90質量%であれば比抵抗が30μΩcm以下に低下するため、より汎用性の高い配線パターンとして使用することが可能である。
<卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102>
本実施の形態1において卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102は、直径5nmのSnを用いているが、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の直径は5nmに限らず、3nm以上で50nm以下の任意の直径の粒子を用いてもよい。また、本実施の形態1において卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率は、80質量%を用いているが、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率は80質量%に限らず、60質量%以上で90質量%以下の任意の含有比率を用いることができる。
図7の表1は、実施例1-9と、比較例1-7とについて、複合金属粒子の比抵抗とシェア強度が卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径と含有比率によって変化することを示す表である。表1は、複合金属粒子101をフラックス109と混合したペースト110を、ポリイミドフィルム(100mm×40mm)の上にディスペンサーを用いて線幅100μmで供給し、酸素濃度200ppmの雰囲気に保ち200℃で30分間加熱して形成した配線パターン焼結体の比抵抗と、無酸素Cu継手をペースト110で接合した試験片のシェア強度である。
図7の表1の結果からわかるように、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径が3nm~50nmであり、かつ卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率が60質量%~90質量%であれば、比抵抗は40μΩcm以下の十分な導電性が得られ、シェア強度は4MPa以上の十分な強度が得られる。
また、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102はSnに限らず、卑金属の水酸化物を生成するBi、In、Zn、Sb、Cu等を用いることができる。また、単一金属に限らず、Sn-58質量%Bi、Sn-50質量%In、Bi-45質量%In等を用いることができる。図8の表2は、実施例10-23と、比較例8-11とについて、Sn以外の卑金属を用いた場合の複合金属粒子の比抵抗とシェア強度を示す表である。
図8の表2の結果からわかるように、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の直径が3nm~50nmであり、かつ卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の含有比率が60質量%~90質量%であれば、比抵抗は40μΩcm以下の十分な導電性が得られ、シェア強度は4MPa以上の十分な強度が得られる。
<フラックス109>
フラックス109は、溶剤と活性剤とチクソ剤で構成されている。溶剤はポリエチレングリコール、活性剤はトリメチロールエタンとメタンスルホン酸、チクソ剤はゲルオールである。フラックス109と複合金属粒子101は、85:15の質量比で混合してペースト化している。
溶剤はポリエチレングリコールに限らず、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ヘキシルカルビトール等を用いてもよい。活性剤はトリメチロールエタンとメタンスルホン酸に限らず、アントラニル酸、レブリン酸、トリエチルアミン等を用いてもよい。チクソ剤はゲルオールに限らず、カスターワックス、テピルス等を用いてもよい。また、フラックス109と複合金属粒子101との混合比率は85:15に限らず、フラックスの粘度、複合金属粒子の大きさに応じて適宜調節してもよい。
かかる構成によれば、卑金属の水酸化物マトリクス中に、前記卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶が分散した構造を有した複合金属粒子とすることによって、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶と卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶との間に無機物からなる物理障壁を形成して卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の分散性を維持させることが可能となる。これによって、化学的安定性が高く、低温での保存が不要になる。
(実施の形態2)
図9は、本実施の形態2に係る複合金属粒子分散液の構成を示す概略断面図である。
図9において、複合金属粒子分散液113は、複合金属粒子101と、有機溶媒114とで構成されている。複合金属粒子101は、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102と、卑金属の水酸化物マトリクス103とで構成されており、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102は、卑金属の水酸化物マトリクス103中に分散している。卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102の周囲には卑金属の水酸化物マトリクス103が存在するため、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶102同士が接触していない。
<有機溶媒114>
有機溶媒114は、複合金属粒子101を分散させるための液体であり、例えば、プロパノールである。有機溶媒114と複合金属粒子101は、87:13の質量比で混合して分散液にしている。
有機溶媒114は、プロパノールに限らず、アルコール、アルカン、エーテル、芳香族、例えば、プロパノール、エタノール、イソプロピルエーテル、ヘキサン、メタノール、ブタノール、シクロヘキサン、及び、灯油から選ばれた少なくとも1つ以上の有機溶媒を用いてもよい。なお、灯油(ケロシン)は、JIS K2203に基づく品質を有するものであればよく、例えば、1号灯油であってもよい。また、有機溶媒114と複合金属粒子101の混合比率は87:13に限らず、有機溶媒の粘度、複合金属粒子の大きさに応じて適宜調節してもよい。
かかる構成によれば、複合金属粒子を有機溶媒に浸漬しているため、複合金属粒子の表面の酸化を防止して高品質な状態を保つことができる。さらに、複合金属粒子は、卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶と卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶との間に無機物からなる物理障壁を形成して卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶の分散性を維持させているため、化学的安定性が高く、低温での保存が不要になる。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
本発明に係る複合金属粒子、および複合金属粒子が分散している複合金属粒子分散液は、無機物である卑金属の水酸化物マトリクス中に、前記卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶が分散した構造を有している。このため、化学的安定性が高く、低温での保存が不要になる。さらに、複合金属粒子と複合金属粒子分散液とは、ナノ粒子インクに用いることができ、これを用いて絶縁基板の上に高品質な導電性の配線を形成した回路基板を作製することができる。
101 複合金属粒子
102 卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶
103 卑金属の水酸化物マトリクス
104 卑金属の原料粒子
105 有機溶媒
106 卑金属のナノ1次粒子
107 H
108 卑金属の水酸化物
109 フラックス
110 ペースト
111 焼結体
112 絶縁基板
113 複合金属粒子分散液
114 有機溶媒

Claims (4)

  1. 卑金属の水酸化物マトリクスと、
    前記卑金属の水酸化物マトリクス中に分散している前記卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶と
    を有し
    前記卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶は、直径3~50nmであって、前記卑金属の水酸化物マトリクスと前記卑金属のナノサイズ単結晶又は多結晶との合計質量に対して60~90質量%の比率で分散している、複合金属粒子。
  2. 前記卑金属がSn、Bi、In、Zn、及びSbの何れかの元素である、請求項1に記載の複合金属粒子。
  3. 前記卑金属がCuである、請求項1に記載の複合金属粒子。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の複合金属粒子がプロパノール、エタノール、イソプロピルエーテル、ヘキサン、メタノール、ブタノール、シクロヘキサン、及び、灯油から選ばれた少なくとも1つ以上の有機溶媒に分散している、複合金属粒子分散液。
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