JP2023106033A - モータステータ及びこれを備えるモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】コイルの形状精度に優れ、所定の出力を安定的に発揮することができるモータステータを低コストに提供する。【解決手段】円筒状のステータコア2に設けられた放射状のティース4に絶縁部材10を介して巻装されたコイルCと、結線用端子5aを有するバスバー5とを備えたモータステータ1において、絶縁部材10が、ステータコア2の軸方向一端側でバスバー5を保持した保持部13を有し、コイルCからステータコア2の軸方向一端側に引き出されたコイル線CLが、バスバー5の結線用端子5aに絡げられた状態で結線用端子5aに結線されており、保持部13に、結線用端子5aにコイル線CLが絡げられることで結線用端子5aに作用する引張力を緩和する緩和部14を設けられている。【選択図】図5
Description
本発明は、モータステータ及びこれを備えるモータに関し、特に、電動オイルポンプや電動パーキングブレーキなどといった車両(自動車)に搭載される電装機器の駆動源として好適に用い得るブラシレスモータのステータに関する。
下記の特許文献1には、筒状のステータコアに周方向に間隔を空けて設けられた複数のティースのそれぞれに、インシュレータなどとも称される絶縁部材を介してコイル(U相コイル、V相コイル又はW相コイル)を巻装してなるモータステータと、このモータステータの径方向内側に配されたモータロータとを備えたインナロータ型の三相ブラシレスモータが開示されている。上記のモータステータでは、ティースに巻装されたコイルからステータコアの軸方向外側に引き出されたコイル線(「引出線」などとも称される)がバスバーに結線(電気的に接続)されることでモータの駆動回路(給電回路)が形成される。特許文献1のモータステータは、ステータコアと同軸に配置されたバスバーユニットを備えており、バスバーユニットに、それぞれがコイル線の結線用端子を有するU相バスバー、V相バスバー、W相バスバー及び中性点バスバーが互いに非接触の状態で保持されている。
特許文献1のモータでは、コイル線の結線用端子を有するバスバーが、ステータコアとは別に設けられたバスバーユニットに保持されている関係上、
(1)コイルを巻装した後、コイルから引き出されるコイル線をバスバーの結線用端子に結線する際に両者の位置合わせを行う必要があるために、コイル線の結線作業をスムーズに実施することが難しく、また、
(2)コイルを巻装した後、コイルから引き出されたコイル線を結線するまでの間のコイルの巻き緩み等に起因して、コイルの形状精度が低下するおそれがある、などといった問題がある。
(1)コイルを巻装した後、コイルから引き出されるコイル線をバスバーの結線用端子に結線する際に両者の位置合わせを行う必要があるために、コイル線の結線作業をスムーズに実施することが難しく、また、
(2)コイルを巻装した後、コイルから引き出されたコイル線を結線するまでの間のコイルの巻き緩み等に起因して、コイルの形状精度が低下するおそれがある、などといった問題がある。
そこで、本発明は、コイルの形状精度に優れ、所定の出力を安定的に発揮することができるモータステータを低コストに提供可能とすることを主たる目的とする。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、
円筒状のステータコアと、ステータコアに設けられた放射状のティースに絶縁部材を介して巻装されたコイルと、結線用端子及び外部接続端子を有するバスバーと、を備えたモータステータにおいて、
絶縁部材が、ステータコアの軸方向一端側でバスバーを保持した保持部を有し、
コイルからステータコアの軸方向一端側に引き出されたコイル線が、上記保持部に保持されたバスバーの結線用端子に絡げられた状態で結線用端子に結線され、
上記保持部に、結線用端子に上記コイル線が絡げられることで結線用端子に作用する引張力を緩和する緩和部が設けられていることを特徴とする。
円筒状のステータコアと、ステータコアに設けられた放射状のティースに絶縁部材を介して巻装されたコイルと、結線用端子及び外部接続端子を有するバスバーと、を備えたモータステータにおいて、
絶縁部材が、ステータコアの軸方向一端側でバスバーを保持した保持部を有し、
コイルからステータコアの軸方向一端側に引き出されたコイル線が、上記保持部に保持されたバスバーの結線用端子に絡げられた状態で結線用端子に結線され、
上記保持部に、結線用端子に上記コイル線が絡げられることで結線用端子に作用する引張力を緩和する緩和部が設けられていることを特徴とする。
本発明に係るモータステータでは、絶縁部材が、ステータコアの軸方向一端側でバスバーを保持した保持部を有する。これはすなわち、ティースとこれに巻装されたコイルの間を絶縁するための絶縁部材が、特許文献1に開示された従来品で言うバスバーを保持した部分を一体的に有していることを意味する。このため、従来品よりも部品点数を削減できる。
また、本発明では、コイルから引き出されたコイル線が、保持部に保持されたバスバーの結線用端子に絡げられた状態で結線用端子に結線されている。係る構成は、例えば、コイルの巻装時に、コイル線のうち結線用端子に対する結線予定箇所を絡げておき、その後、コイル線の結線予定箇所(絡げられた部分)を結線用端子に結線することで得られる。要するに、本発明に係るモータステータでは、結線用端子に対するコイル線の結線予定箇所の位置決めがなされた状態で結線作業を実施することができるので、コイルの形状精度が低下するのを可及的に防止しつつ、結線用端子に対するコイル線の結線作業をスムーズに(効率良く)実施することができる。但し、コイル線がバスバーの結線用端子に絡げられると、これに伴う引張力が結線用端子に継続的に作用するので、結線用端子が変形・破損等することによって適正な結線状態を維持できなくなる可能性がある。この点、本発明では、絶縁部材の保持部に、上記引張力を緩和する緩和部を設けているので、係る不具合の発生を可及的に防止することができる。
緩和部は、例えば、相互に分離して設けられた第1突起及び第2突起を有するものとすることができる。この場合、コイル線のうち結線用端子に結線された部分よりも上流側及び下流側に位置する部分を、それぞれ、第1突起及び第2突起に絡げるようにすれば、結線用端子に作用する引張力を効果的に緩和することができる。
緩和部を構成する第1突起及び第2突起は、少なくとも一部が、結線用端子を軸方向に投影した投影面内に配置されるように設けることができる。このようにすれば、引張力の緩和能力を高めることができる。
コイル線は、例えば、熱加締めとも称されるヒュージングにより結線用端子に結線することができる。ヒュージングであれば、絶縁皮膜付の導線からなるコイル線の絶縁皮膜が除去されるのと略同時に、導線を結線用端子に接合することができるので、結線作業を効率良くかつ精度良く行うことができる。
本発明は、ティース及びこれに巻装されたコイルが周方向に間隔を空けて複数設けられ、一本の連続したコイル線を複数のティースのそれぞれに順次集中巻きすることにより複数のコイルが形成されたモータステータに好ましく適用することができる。
本発明は、例えば10極12スロットの三相ブラシレスモータ用のモータステータに好ましく適用することができる。なお、10極12スロットの三相ブラシレスモータとしては、例えば、モータロータに設けられる永久磁石の数が10で、モータステータに設けられるスロットの数が12のSPM型(ロータ外周に永久磁石が取り付けられた表面磁石型)やIPM型(ロータに永久磁石が埋設された埋め込み磁石型)の他、周方向の極数が10のリング形マグネットを有し、かつスロットの数が12のモータ、を挙げることができる。
本発明に係るモータステータが上記のような特長を有することから、本発明に係るモータステータと、モータロータとを備えたモータ(三相ブラシレスモータ)は、所定の出力を安定的に発揮できて信頼性に富む、という特長を有する。
以上のことから、本発明によれば、コイルの形状精度に優れ、所定の出力を安定的に発揮することができるモータステータを低コストに提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面(図1~図8)に基づいて説明する。以下の説明においては、方向性を示すために「軸方向」、「径方向」及び「周方向」との語句を使用するが、これらはそれぞれ、モータステータ1の軸心と平行な方向、軸心を中心とする円の径方向、及び軸心を中心とする円の周方向である。
まず、図8に基づき、本発明の実施形態に係るモータステータ1を備えたモータ30の一構成例を簡単に説明する。図8に示すモータ30は、モータステータ1と、径方向隙間(図示省略)を介してモータステータ1の径方向内側に配置されたモータロータ32と、これらを収容したケーシング31とを備える。図示例のモータロータ32は、出力軸33と、出力軸33と一体回転可能に設けられたロータコア34と、ロータコア34に周方向等間隔で保持された複数(例えば10極)の永久磁石35とを備え、出力軸33は、軸方向に離間して配された2つの転がり軸受36,37によってケーシング31に対して回転自在に支持されている。
図8に示すモータ30は、例えば車両に搭載される電動ポンプ、より具体的には、車両のトランスミッションケースに取り付けられ、エンジンの停止中にトランスミッションにオイルを圧送することによってトランスミッション内部で必要とされる油圧を確保するために使用される電動ポンプ(電動オイルポンプ)の駆動源として用いることができる。図示は省略するが、モータ30を電動オイルポンプの駆動源として用いる場合、ケーシング31の外側にある出力軸33の自由端に、出力軸33と一体回転可能なポンプロータが設けられる。
次に、図1~図3に基づき、本発明の一実施形態に係るモータステータ1を説明する。なお、図1は、コイル巻装前のモータステータ1(モータステータ1の構成部材であるステータコアに絶縁部材及びバスバーを組み付けたアセンブリ)の概略斜視図、図2は、図1のモータステータ1からバスバーを分離した図、図3は、本発明の実施形態に係るモータステータ1(コイルが巻装されたモータステータ1)の概略平面図である。
モータステータ1は、磁気特性に優れた金属材料(例えば電磁鋼板)で形成された円筒状のステータコア2と、U相バスバー5、V相バスバー6、W相バスバー7及び中性点バスバー(N相バスバー)8と、絶縁材料(ここでは樹脂材料)で形成された絶縁部材10と、複数のコイルCとを備える。
ステータコア2は、筒部3と、筒部3の内周面からステータコア2の中心に向けて突出した放射状のティース4とを有し、本実施形態では計12個のティース4が周方向等間隔で設けられている。なお、以下、計12個のティース4を区別して説明する場合には、周方向に沿って順に配置した計12個のティース12を、それぞれ、第1ティース4A~第12ティース4Lという(図3参照)。図3においては、ステータコア2の12時の位置に第1ティース4Aを配置し、以降、反時計回りに30°ピッチで残り11個のティース4(第2ティース4B~第12ティース4L)を順に配置している。
上記のように、本実施形態のモータステータ1は計12個のティース4(ティース4間に形成されるスロット)を備え、モータステータ1の径方向内側に配置されるモータロータ32には10個の永久磁石35が設けられる(図8参照)。そのため、本実施形態のモータステータ1は、10極12スロットの三相ブラシレスモータ用のモータステータである。このようなブラシレスモータは、スロットの数をN、モータの相数をm、モータロータに設けられる永久磁石の個数(極数)をPとした場合、q=N/(m×P)の計算式で算出される「毎極毎相のスロット数q」が分数(=2/5)となる、いわゆる分数溝モータである。
絶縁部材10は、ステータコア2の筒部3の内周面を被覆する第1被覆部11と、ステータコア2のティース4(詳細には、ティース4のうち、コイル20が巻装される部分)を被覆する第2被覆部12と、ステータコア2の軸方向一端側に設けられ、バスバー5~8を互いに非接触の状態で保持した短円筒状の保持部13と、を備える。
バスバー5~8は、図示しない外部電源から出力されたモータの駆動電流をコイルCに供給(分配)する部材である。このため、バスバー5~8は、何れも、銅やアルミニウム合金等の高い導電性を有する金属材料で形成される。
図2に示すように、本実施形態のU相バスバー5は、全体として略円弧状に形成され、長手方向(周方向)の一端にコイル線CLが結線される結線用端子5aが設けられ、長手方向(周方向)の他端に外部電源に接続される外部接続端子5bが設けられている。V相バスバー6及びW相バスバー7も、それぞれ、U相バスバー5と同様に全体として略円弧状に形成され、周方向の一端にコイル線CLが結線される結線用端子6a,7aが設けられ、周方向の他端に外部電源に接続される外部接続端子6b,7bが設けられている。これらU相バスバー5、V相バスバー6及びW相バスバー7は、図1等に示すように、端子5a,6a,7aを外部に露出(保持部13の軸方向外側に突出)させると共に、端子5b,6b,7bを保持部13の径方向外側に突出させた状態で保持部13に保持される。
中性点バスバー8は、後述するU相コイル部21、V相コイル部22及びW相コイル部23との間にそれぞれ中性点を形成する結線用端子8a、8b,8cが間隔を空けて設けられた円弧状の導電部材である(図2参照)。この中性点バスバー8も、U相バスバー5等と同様に、端子8a,8b,8cを外部に露出(保持部13の軸方向外側に突出)させた状態で保持部13に保持される(図1参照)。
なお、図1~2及び図5(b)に示すように、U相バスバー5の結線用端子5aは、軸方向外側及び周方向両側に開口した略V字状をなす。その他のバスバー6~8の結線用端子6a,7a,8a~8cも、結線用端子5aと同様の略V字状をなす。
図3に示すように、コイルCは、ステータコア2に取り付けられた絶縁部材10(の第2被覆部12)を介して、計12個のティース4のそれぞれに(いわゆる集中巻きで)巻装されている。コイルCには、計4個のU相コイルCU1~CU4と、計4個のV相コイルCV1~CV4と、計4個のW相コイルCW1~CW4とがあり、これらが上記のバスバー5~8を用いてスター結線されることにより、図6及び図7に示すようなモータの駆動回路(給電回路)20が形成される。
計12個設けられるコイルCは、一本の連続したコイル線(銅等の金属材料からなる導線を絶縁皮膜で被覆したもの)CLを絶縁部材10(の第2被覆部12)で被覆された計12個のティース4のそれぞれに集中巻きで順次巻装することにより形成される。本実施形態では、図6及び図7に示すように、最初にU相コイルCU1が形成(巻装)され、以降、CU2→CU3→CU4→CV3→CV4→CV1→CV2→CW1→CW2→CW3→CW4の順にコイルCが巻装される。以下、各ティース4にコイルCを巻装するコイル巻装工程、及びコイル巻装工程の完了後に実施される結線工程の具体例を説明する。
[コイル巻装工程]
図6に示すように、この工程では、まず、第1ティース4Aの外周にコイル線CLが反時計回り方向に所定回数巻き回される。これにより、U相コイルCU1が第1ティース4Aの外周に集中巻きで巻装される。なお、第1ティース4Aの外周へのコイル線CLの巻き回しは、ステータコア2の軸方向一端側(保持部13が設けられた側であり、図6では紙面上側。以下の説明においても同様。)から開始し、ステータコア2の軸方向一端側で終了させる。つまり、U相コイルCU1を第1ティース4Aに巻装する際、コイル線CLの巻き始め部及び巻き終わり部は、何れも、ステータコア2の軸方向一端側に引き出す。残りのU相コイルCU2~CU4、V相コイルCV1~CV4、及びW相コイルCW1~CW4を対応するティースに巻装する際も同様である。これは、コイル線CLのうち、その長手方向で隣り合う2つのコイル間に介在して両コイルを接続する部分(渡り線部CL1~CL12)をバスバー5~8が設けられたステータコア2の軸方向一端側に配置し、所定の渡り線部を対応するバスバー5~8の結線用端子に結線するためである。
図6に示すように、この工程では、まず、第1ティース4Aの外周にコイル線CLが反時計回り方向に所定回数巻き回される。これにより、U相コイルCU1が第1ティース4Aの外周に集中巻きで巻装される。なお、第1ティース4Aの外周へのコイル線CLの巻き回しは、ステータコア2の軸方向一端側(保持部13が設けられた側であり、図6では紙面上側。以下の説明においても同様。)から開始し、ステータコア2の軸方向一端側で終了させる。つまり、U相コイルCU1を第1ティース4Aに巻装する際、コイル線CLの巻き始め部及び巻き終わり部は、何れも、ステータコア2の軸方向一端側に引き出す。残りのU相コイルCU2~CU4、V相コイルCV1~CV4、及びW相コイルCW1~CW4を対応するティースに巻装する際も同様である。これは、コイル線CLのうち、その長手方向で隣り合う2つのコイル間に介在して両コイルを接続する部分(渡り線部CL1~CL12)をバスバー5~8が設けられたステータコア2の軸方向一端側に配置し、所定の渡り線部を対応するバスバー5~8の結線用端子に結線するためである。
U相コイルCU1を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第2ティース4Bの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、U相コイルCU2が第2ティース4Bの外周に集中巻きで巻装される。
U相コイルCU2を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第7ティース4Gの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、U相コイルCU3が第7ティース4Gの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第7ティース4Gの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、U相コイルCU2,CU3を接続する渡り線部CL2を、保持部13に保持されたU相バスバー5の結線用端子5aに絡げる。U相コイルCU3を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第8ティース4Hの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、U相コイルCU4が第8ティース4Hの外周に集中巻きで巻装される。
ここで、当該コイル巻装工程の実施段階において、バスバー5~8は、絶縁部材10に対して相対移動不可能に保持部13に保持させておいても良いし、絶縁部材10に対して相対移動可能に保持部13に保持させておいても良い。前者の構成は、例えば、バスバー5~8をインサート部品として絶縁部材10(保持部13)を樹脂で射出成形することにより得ることができる。また、後者の構成は、例えば、バスバー嵌合用の溝部13a~13dを有する図2に示す絶縁部材10(保持部13)を樹脂で射出成形した後、上記溝部13a~13dにバスバー5~8をアウトサート(嵌合)することにより得ることができる。後者の構成であれば、前者の構成に比べ、当該コイル巻装工程で実施されるバスバーの結線用端子へのコイル線の絡げ作業を容易化することができる。なお、後者の構成を採用した場合、各バスバーの結線用端子にコイル線を結線することにより、絶縁部材10に対するバスバー5~8の相対移動を規制(保持部13に対してバスバー5~8を固定)することができる。
U相コイルCU4(計4つのU相コイルCU1~CU4)を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第9ティース4Iの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、V相コイルCV3が第9ティース4Iの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第9ティース4Iの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、U相コイルCU4とV相コイルCV3を接続する渡り線部CL4を、保持部13に保持された中性点バスバー8の結線用端子8aに絡げる。V相コイルCV3を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第10ティース4Jの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、V相コイルCV4が第10ティース4Jの外周に集中巻きで巻装される。
V相コイルCV4を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第3ティース4Cの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、V相コイルCV1が第3ティース4Cの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第3ティース4Cの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、V相コイルCV4,CV1を接続する渡り線部CL6を、保持部13に保持されたV相バスバー6の結線用端子6aに絡げる。V相コイルCV1を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第4ティース4Dの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、V相コイルCV2が第4ティース4Dの外周に集中巻きで巻装される。
V相コイルCV2(計4つのV相コイルCV1~CV4)を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第5ティース4Eの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、W相コイルCW1が第5ティース4Eの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第5ティース4Eの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、V相コイルCV2とW相コイルCW1を接続する渡り線部CL8を、保持部13に保持された中性点バスバー8の結線用端子8bに絡げる。W相コイルCW1を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第6ティース4Fの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、W相コイルCW2が第6ティース4Fの外周に集中巻きで巻装される。
W相コイルCW2を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第11ティース4Kの外周に反時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、W相コイルCW3が第11ティース4Kの外周に集中巻きで巻装される。なお、コイル線CLを第11ティース4Kの外周に巻き回す前には、コイル線CLのうち、W相コイルCW2,CW3を接続する渡り線部CL10を、保持部13に保持されたW相バスバー7の結線用端子7aに絡げる。W相コイルCW3を巻装した後、コイル線CLをステータコア2の軸方向一端側から第12ティース4Lの外周に時計回り方向に所定回数巻き回す。これにより、W相コイルCW4が第12ティース4Lの外周に集中巻きで巻装される。
以上により、一本の連続したコイル線CLの長手方向に沿って計4個のU相コイル、計4個のV相コイル、及び計4個のW相コイルが順に形成される。計12個のコイルCが形成された一本の連続したコイル線CLの巻き始め部(長手方向一端部)CLs及び巻き終わり部(長手方向他端部)CLfは、何れも、中性点バスバー8の結線用端子8cに絡げられる。これにより、計12個のティース4のそれぞれにコイルCを集中巻きで巻装するコイル巻装工程が完了する。
[結線工程]
この結線工程では、バスバー5~8の結線用端子に絡げられたコイル線CL(の渡り線部)が、絡げ先の結線用端子に結線される。具体的には、
・コイル線CLの渡り線部CL2がU相バスバー5の結線用端子5aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL6がV相バスバー6の結線用端子6aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL10がW相バスバー7の結線用端子7aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL4が中性点バスバー8の結線用端子8aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL8が中性点バスバー8の結線用端子8bに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL12(スタート線CLs及びフィニッシュ線CLf)が中性点バスバー8の結線用端子8cに結線される。
この結線工程では、バスバー5~8の結線用端子に絡げられたコイル線CL(の渡り線部)が、絡げ先の結線用端子に結線される。具体的には、
・コイル線CLの渡り線部CL2がU相バスバー5の結線用端子5aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL6がV相バスバー6の結線用端子6aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL10がW相バスバー7の結線用端子7aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL4が中性点バスバー8の結線用端子8aに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL8が中性点バスバー8の結線用端子8bに結線され、
・コイル線CLの渡り線部CL12(スタート線CLs及びフィニッシュ線CLf)が中性点バスバー8の結線用端子8cに結線される。
図示は省略するが、コイル線CLの結線は、一対の電極でV字状をなした結線用端子をこれに絡げられたコイル線CLの線径方向に圧縮しながら一対の電極間に所定時間通電する、いわゆるヒュージング(熱加締め)により行われる。ヒュージングであれば、絶縁皮膜付の導線からなるコイル線CLの絶縁皮膜が除去されるのと略同時に、結線用端子に対して導線を接合することができるので、コイル線CLの結線作業を効率良く行い得る。
なお、上記6つの結線用端子に対するコイル線CL(の渡り線部)の結線は、個別に施すようにしても良いし、まとめて施すようにしても良い。また、前述したコイル巻装工程を実施するのに先立って、コイル線CLのうち、結線用端子に絡げられる部分(端子に対して結線される結線予定箇所)の絶縁皮膜を除去しておいても良い。この場合、結線工程では、例えば、V字状をなした結線用端子を加締めるだけでもコイル線CLを結線用端子に対して結線することができる他、TIG溶接やレーザ溶接等の溶接によってコイル線CLを結線用端子に対して結線することもできる。
上記態様でバスバー5~8の結線用端子にコイル線CL(の渡り線部)が結線されると、図7に示すように、計4個のU相コイルCU1~CU4が2並列2直列で接続されたU相コイル部21と、計4個のV相コイルCV1~CV4が2並列2直列で接続されたV相コイル部22と、計4個のW相コイルCW1~CW4が2並列2直列で接続されたW相コイル部23とがバスバー5~8を用いて互いに結線(スター結線)されたモータ駆動回路20が得られる。
なお、本実施形態のU相コイル部21は、U相コイルCU1,CU2を直列に接続してなる第1列と、U相コイルCU3,CU4を直列に接続してなる第2列とが、コイル線CLのうちU相コイルCU2,CU3を接続する渡り線部CL2によって並列接続されたものである。また、V相コイル部22は、V相コイルCV3,CV4を直列に接続してなる第1列と、V相コイルCV1,CV2を直列に接続してなる第2列とが、コイル線CLのうちV相コイルCV4,CV1を接続する渡り線部CL6によって並列接続されたものである。また、W相コイル部23は、W相コイルCW1,CW2を直列接続してなる第1列と、W相コイルCW3,CW4を直列接続してなる第2列とが、コイル線CLのうちW相コイルCW2,CW3を接続する渡り線部CL10によって並列接続されたものである。
本実施形態のモータステータ1は、上述したコイル巻装工程の実施時に、バスバー5~8の結線用端子5a,6a,7a及び8a~8cにコイル線CL(の渡り線部)を絡げるのに伴って上記の各結線用端子に継続的に作用する(軸方向の)引張力を緩和することを可能にした点に特徴がある。すなわち、図1の要部拡大図である図4に例示するように、絶縁部材10に設けられた短円筒状の保持部13のうち、U相バスバー5の結線用端子5aが配置された位相と略同一位相上には、上記の引張力を緩和するための緩和部14が一体的に設けられている。詳細な図示は省略するが、保持部13のうち、V相バスバー6の結線用端子6a、W相バスバー7の結線用端子7a、中性点バスバー8の結線用端子8a~8cが配置された位相と略同一位相上にも緩和部14が設けられている。
図4に示す本実施形態の緩和部14は、保持部13の端面から軸方向外側に延びた支持部15と、相互に分離(図示例では軸方向及び周方向に相互に離間)して設けられ、支持部15の外径面から径方向外側に突出した第1突起16及び第2突起17を有する。第1突起16及び第2突起17は、何れも、少なくとも一部が、対応する結線用端子(ここではU相バスバー5の結線用端子5a)を軸方向に投影した投影面Pの範囲内に配置されるように設けられる。
上記構成の緩和部14が設けられた本実施形態では、コイル線CL(コイル線CLのうちU相コイルCU2,CU3を接続する渡り線部CL2)が対応する結線用端子(U相バスバー5の結線用端子5a)に絡げられる際、コイル線CLは緩和部14を構成する第1突起16及び第2突起17にも絡げられる。
具体的には、図5(a)(b)に示すように、軸方向で互いに対向する保持部13と第1突起16の端面間に画成された間隙(通路)に配置したコイル線CLの進行方向(図5(a)中に塗り潰し矢印で示す)を周方向から軸方向外向きに変換することにより、コイル線CLを第1突起16に絡げる。次いで、結線用端子5aの内側通路に配置したコイル線CLの進行方向を周方向から軸方向内向きに変換すると共に、コイル線CLを第1突起16と第2突起17間に画成された通路に配置するようにコイル線CLの進行方向を軸方向内向きから周方向に変換することにより、コイル線CLを結線用端子5a及び第2突起17に絡げる。
図示しての詳細説明は省略するが、V相バスバー6の結線用端子6a、W相バスバー7の結線用端子7a、及び中性点バスバー8の結線用端子8a~8cに対応するコイル線CL(の渡り線部)を絡げる際にも、コイル線CLは、上記の各結線用端子に対応するようにして設けられた緩和部14の第1突起16及び第2突起17にも絡げられる。
以上で説明したように、本実施形態のモータステータ1においては、コイルCから引き出されたコイル線CL(の渡り線部)が、絶縁部材10の保持部13に保持されたバスバー5~8の結線用端子に絡げられた状態で結線用端子に結線されている。このような構成は、コイルCの巻装時に、コイル線CLのうちで結線用端子に対する結線予定箇所を絡げておき、その後、コイル線CLの結線予定箇所を対応する結線用端子に結線することで得られる。要するに、本実施形態のモータステータ1では、結線用端子に対するコイル線CLの結線予定箇所の位置決めがなされた状態で結線作業を実施することができるので、コイルCの形状精度が低下するのを可及的に防止しつつ、結線用端子に対するコイル線CLの結線作業をスムーズに実施することができる。
但し、コイル線CLがバスバーの結線用端子に絡げられると、これに伴う引張力が結線用端子に継続的に作用するので、結線用端子が変形・破損等することによって適正な結線状態を維持できなくなる可能性がある。この点、本実施形態のモータステータ1では、絶縁部材10の保持部13に、上記引張力を緩和する緩和部14を設けているので、係る不具合の発生を可及的に防止することができる。
特に、本実施形態のように、相互に分離して設けられた第1突起16及び第2突起17を有する緩和部14を採用した場合には、コイル線CLのうち結線用端子に結線された(絡げられた)部分よりも上流側及び下流側に位置する部分を、それぞれ、第1突起16及び第2突起17に容易に絡げることができるので、結線用端子に作用する引張力を効果的に緩和することができる。また、本実施形態では、第1突起16及び第2突起17の少なくとも一部が、対応する結線用端子を軸方向に投影した投影面P内に配置されるので、この点からも引張力の緩和能力を高めることができる。また、樹脂製の保持部13に緩和部14が一体的に設けられる本実施形態においては、緩和部14を構成する第1突起16及び第2突起17を樹脂で射出成形することができる。このとき、両突起16,17が周方向に相互に離間していれば、成形金型の型割りを簡素化でき、成形コストを低減できるという利点もある。
また、本実施形態のモータステータ1では、計4個のバスバー5~8を、ステータコア2の軸方向一端側に配置した絶縁部材10の保持部13に互いに非接触の状態で保持させている。これはすなわち、ティース4とこれに巻装されたコイルCの間を絶縁するための絶縁部材10が、従来品で言うバスバーユニットのバスバーホルダに相当する部分を一体的に有していることを意味する。この場合、モータステータ1とは別にバスバーユニットを設ける必要がなくなるので部品点数を削減できる。
ところで、以上で説明した10極12スロットの三相ブラシレスモータ用の駆動回路(スター結線)を形成する際、計4個のバスバー(U相バスバー、V相バスバー、W相バスバー及び中性点バスバー)に対する結線箇所は最大で12箇所にも及ぶ。これに対し、上記態様で計12個のコイルCがスター結線されたモータ駆動回路20を形成すれば、計4個のバスバー5~8に対する結線箇所を6箇所にまで減じることができる。これにより、結線作業の簡素化を通じてモータステータ1の更なるコスト低減を図ることもできる。
以上で説明したような作用効果が相俟って、本発明によれば、各コイルCの形状精度に優れ、所定の出力を安定的に発揮することができるモータステータ1を低コストに提供することができる。
以上、本発明の実施形態に係るモータステータ1について説明を行ったが、モータステータ1には、本発明の要旨を変更しない限りにおいて適宜の変形を施すことができる。例えば、以上で説明した実施形態では、一本の連続したコイル線CLを計12個のティース4のそれぞれに集中巻きで順次巻装することによって計12個のコイルCを一本のコイル線CL上に形成したが、一本のコイル線CL上に形成するコイルCの数は任意に選択することができる。但し、モータステータ1のコスト低減を図る上では、バスバー5~8に対するコイル線CLの結線箇所を極力減じるのが好ましいことから、モータステータ1の低コスト化を重要視する場合には、一本の連続したコイル線CLを複数のティースのそれぞれに順次集中巻きすることによって複数のコイルCを形成するのが好ましい。
以上では、緩和部14として、支持部15に2つの突起16,17が軸方向に相互に離間して設けられたものを採用したが、支持部15に設ける突起は、一つもしくは三つ以上とすることもできる。
また以上では、10極12スロットの三相ブラシレスモータ(分数溝モータ)用のステータ1に本発明を適用する場合について説明したが、本発明は、その他の分数溝モータ用のステータ、例えば14極12スロットの三相ブラシレスモータ用のステータや、14極18スロットの三相ブラシレスモータ用のステータに適用することもできる。後者の場合、例えば2並列3直列で接続されたU相~W相コイルをスター結線することでモータ駆動回路が形成される。また、本発明は、U相コイル、V相コイル及びW相コイルがバスバーを用いてデルタ結線されるモータステータにも適用することができる。
本発明は以上で説明した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは言うまでもない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 モータステータ
2 ステータコア
4 ティース
5 U相バスバー
5a 結線用端子
6 V相バスバー
6a 結線用端子
7 W相バスバー
7a 結線用端子
8 中性点バスバー
8a,8b,8c 結線用端子
10 絶縁部材
13 保持部
14 緩和部
16 第1突起
17 第2突起
20 モータ駆動回路
30 モータ
32 モータロータ
33 出力軸
35 永久磁石
C コイル
CL コイル線
2 ステータコア
4 ティース
5 U相バスバー
5a 結線用端子
6 V相バスバー
6a 結線用端子
7 W相バスバー
7a 結線用端子
8 中性点バスバー
8a,8b,8c 結線用端子
10 絶縁部材
13 保持部
14 緩和部
16 第1突起
17 第2突起
20 モータ駆動回路
30 モータ
32 モータロータ
33 出力軸
35 永久磁石
C コイル
CL コイル線
Claims (7)
- 円筒状のステータコアと、該ステータコアに設けられた放射状のティースに絶縁部材を介して巻装されたコイルと、結線用端子及び外部接続端子を有するバスバーと、を備えたモータステータにおいて、
前記絶縁部材が、前記ステータコアの軸方向一端側で前記バスバーを保持した保持部を有し、
前記コイルから前記ステータコアの軸方向一端側に引き出されたコイル線が、前記バスバーの結線用端子に絡げられた状態で前記結線用端子に結線され、
前記保持部に、前記結線用端子に前記コイル線が絡げられることで前記結線用端子に作用する引張力を緩和する緩和部が設けられていることを特徴とするモータステータ。 - 前記緩和部は、相互に分離して設けられた第1突起及び第2突起を有し、
前記コイル線のうち前記結線用端子に結線された部分よりも上流側及び下流側に位置する部分が、それぞれ、前記第1突起及び前記第2突起に絡げられている請求項1に記載のモータステータ。 - 前記第1突起及び第2突起は、少なくとも一部が、前記結線用端子を軸方向に投影した投影面内に配置されている請求項2に記載のモータステータ。
- ヒュージングにより、前記コイル線が前記結線用端子に結線されている請求項1~3の何れか一項に記載のモータステータ。
- 前記ティース及びこれに巻装された前記コイルが周方向に間隔を空けて複数設けられ、
一本の連続したコイル線を複数の前記ティースのそれぞれに順次集中巻きすることにより複数の前記コイルが形成されている請求項1~4の何れか一項に記載のモータステータ。 - 10極12スロットの三相ブラシレスモータ用である請求項1~5の何れか一項に記載のモータステータ。
- 請求項1~6の何れか一項に記載のモータステータと、モータロータとを備えたモータ。
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