JP2023105884A - 表面被覆切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】Ti基合金のような表面被覆切削工具との溶着性の高い材料を切削加工に供した場合であっても、優れた耐クラック性、耐摩耗性を長期間の使用にわたって発揮する表面被覆切削工具の提供【解決手段】基体と該基体の上に被覆層を有する表面被覆切削工具であって、(a)前記被覆層は、0.5~5.0μmの平均厚さのTi1-xMxBy(Mは周期表の4~6族の元素の1または2以上、xが0.05~0.50、yが1.0~2.5)の硼化物層を有し、(b)前記硼化物層は、その厚さ方向に前記xが繰返しの変化を有し、(c)前記xの極大値の平均値と前記xの極小値の平均値との差Δxが0.02~0.10であって、(d)前記xの極大値と前記xの極小値の前記厚さ方向平均間隔 Γが2~20nmであることを特徴とする表面被覆切削工具【選択図】図4

Description

この発明は、表面被覆切削工具(以下、被覆工具ということがある)に関する。
従来、超硬合金等を基体とし、この基体の表面に被覆層を蒸着法により形成した被覆工具が知られている。この被覆工具は耐摩耗性を有しているが、この耐摩耗性をさらに向上させるべく、種々の提案がなされ、金属硼化物を含む被覆層に関する提案もなされている。
例えば、特許文献1には、基体表面に中間皮膜を介した被覆層は、Al、Si、Cr、W、Ti、Nb、Zrから選択される1種以上の元素の硼化物であって、六方晶の結晶構造であり、前記中間皮膜は、AlxMyからなる窒化物又は炭窒化物(x+y=100、40≦x≦95、5≦y≦60、MはTi、Cr、V、Nbから選択される1種以上)であり、前記基体側が立方晶の結晶構造、前記被覆層側が六方晶の結晶構造である被覆工具が記載され、該被覆工具は耐摩耗性に優れるとされている。
また、例えば、特許文献2には、式W1-xTa2-z、または式V1-xで表され、0.00≦x≦0.45、-0.03≦z≦0.03である三元遷移金属二硼化物被覆層を有する被覆工具が記載され、該被覆工具は優れた機械特性を有するとされている。
特開2012-228735号公報 特表2020-536167号公報
本発明は、前記事情や提案を鑑みてなされたものであって、例えば、Ti基合金のような表面被覆切削工具との溶着性の高い材料を切削加工に供した場合であっても、優れた耐クラック性、耐摩耗性を長期間の使用にわたって発揮する表面被覆切削工具を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る表面被覆切削工具は、
基体と該基体の上に被覆層を有し、
(a)前記被覆層は、0.5~5.0μmの平均厚さのTi1-x(Mは周期表の4~6族の元素の1または2以上、xが0.05~0.50、yが1.0~2.5)の硼化物層を有し、
(b)前記硼化物層は、その厚さ方向に前記xが繰返しの変化を有し、
(c)前記xの極大値の平均値と前記xの極小値の平均値との差Δxが0.02~0.10であって、
(d)前記xの極大値と前記xの極小値の前記厚さ方向平均間隔Γが2~20nm
である。
さらに、前記実施形態に係る表面被覆切削工具は、以下の(1)~(3)の事項のいずれか一つ以上を満足してもよい。
(1)前記Mは、Wを必ず含むこと。
(2)前記被覆層の縦断面において、六方晶構造の柱状晶である結晶粒の面積をShex、それ以外の結晶構造の結晶粒の面積をSothとしたとき、{Shex/(Shex+Soth)}×100が40%以上、100%以下であること。
(3)前記六方晶構造の柱状晶である結晶粒は、その平均粒幅Kが0.01μm以上0.10μm以下であって、平均アスペクト比Aが2.0以上5.0以下であり、前記基体の表面の垂線とのなす角度の平均値θが10度以内であること。
前記の表面被覆工具は、Ti基合金のような表面被覆切削工具との溶着性の高い材料を切削加工に供した場合であっても、優れた耐クラック性、耐摩耗性を長期間の使用にわたって発揮する。
六方晶構造の柱状結晶粒(i)において、基体の表面に平行な最大投影長さ(Ti)と、基体の表面の垂線に平行な最大投影長さ(Vi)の説明図である。 六方晶構造の柱状結晶粒(i)が基体の表面の垂線となす角度(θi)、結晶粒の長さ(Hi)の説明図である。 六方晶構造の柱状結晶粒(i)において、結晶粒の幅(Ki)の説明図である。 Mの含有量の繰返し変化を示す模式図である。
本発明者は、Tiと周期表の4~6族の元素(M)との複合硼化物(以下、「TiMB」ということがある)について鋭意検討した。その結果、TiMBは、被覆工具の被覆層として用いた場合に、TiとMの比率を適切に制御することにより、TiBが本来有する硬さを維持しながら、Ti基合金に対する反応性を低く抑えることができること、すなわち、高硬度と耐溶着性を両立できることを突き止めた。また、被覆層の厚さ方向に対してTiとMの含有量が繰り返し変化している構造、および六方晶の柱状結晶組織を有する構造により、被覆層の摩耗を抑制できるとの知見を得た。
以下、本発明の実施形態に係る表面被覆切削工具について、説明する。なお、本明細書および特許請求の範囲において数値範囲を「A~B」(A、Bはともに数値である)と表現するとき、その範囲は上限(B)および下限(A)の数値を含んでおり、上限値(B)のみに単位が記載されているとき、上限(B)と下限(A)の単位は同じである。また、数値は公差を含む。
また、本明細書および特許請求の範囲において、基体の表面とは、次のものをいう。
すなわち、基体がインサートのような平面の表面を有するときは、縦断面(インサートでは、基体の表面の凹凸を無視して基体の表面を平面と考えたときの基体の表面に垂直な断面。軸物工具では軸に対して垂直な断面)においてエネルギー分散型X線分析法(EDS:Energy dispersive X-ray spectroscopy)を用いた元素マッピングを実施し、得られた元素マップに対して公知の画像処理を行うことで被覆層(後述する下部層が存在すれば、被覆層の代わりに下部層を用いる)と基体の界面を定め、こうして得られた被覆層と基体との界面の粗さ曲線について、平均直線を算術的に求め、これを基体の表面とする。そして、この平均直線に対して、垂直な方向を基体に垂直な方向(被覆層の厚さ方向)、この垂直な方向に引いた直線を垂線とする。
また、基体がドリル、エンドミルのように曲面の表面を有する場合であっても、被覆層の厚さに対して工具径が十分に大きければ、測定領域における被覆層と基体との間の界面は略平面となることから、同様の手法により基体の表面を決定することができる。
すなわち、例えばドリル、エンドミルであれば、軸方向に垂直な断面の被覆層の縦断面においてEDSを用いた元素マッピングを実施し、得られた元素マップに対して公知の画像処理を行うことで被覆層と基体の界面を定め、こうして得られた被覆層と基体との界面の粗さ曲線について、平均線を算術的に求め、これを基体の表面とする。そして、この平均線に対して、垂直な方向を基体に垂直な方向(被覆層の厚さ方向)とする。
1.被覆層
被覆層は、TiMB層を含む。以下、このTiMB層について説明する。
(1)平均厚さ
TiMB層の平均厚さは、0.5~5.0μmであることが好ましい。その理由は、平均厚さが、0.5μm未満であると、TiMB層が長期にわたって耐摩耗性、耐欠損性を発揮することが難しく、一方、5.0μmを超えると、TiMB層が有する残留応力によってTiMB層が基体から剥離しやすくなって、チッピングが発生しやすくなるためである。
TiMB層の平均厚さは、0.5~3.0μmであることがより好ましい。
なお、TiMB層の平均厚さは、例えば、集束イオンビーム装置(FIB:Focused Ion Beam system)、クロスセクションポリッシャー装置(CP:Cross section Polisher)等を用いて、被覆層を任意の位置の縦断面で切断して観察用の試料を作製し、その縦断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いた観察により複数箇所(例えば、5箇所)の厚さの測定結果を平均したものである。
(2)平均組成
TiMB層の平均組成は、式:Ti1-xで表したとき、xは0.05~0.50、yは1.0~2.5を満足することが好ましい。ただし、Mは周期表の4~6族の元素(すなわち、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W)の1または2以上である。
ただし、Mが2種以上のとき、すなわち、M=M1、M2、・・・、Mn(2≦n≦8)であるとき、
Mi(i=1~n)の含有量をxiとすると、x=x1+x2+…+xnとなる。
x、yを前記範囲とした理由は、次のとおりである。
xが、0.05未満であるとTiMB層の十分な耐溶着性が発揮できず、一方、0.50を超えると、TiMB層の硬さが不十分となる。
yが、1.0未満であるとTiMB層の十分な耐溶着性が発揮できず、一方、2.5を超えるとTiMBが六方晶構造とはならず、TiMB層の硬さが不十分となり、耐チッピング性が低下する。
xは0.10~0.35、yは1.7~2.3であることがより好ましい。
Mとして、Wを含むことがより好ましい。また、Mとして数種の元素が含有される場合に、Mの中のWの含有量は原子比で30%以上であることが好ましい。
周期表4~6族元素の中でWは、特に、Ti合金に対する高温中の固溶度が低く、優れた耐溶着性を有すると共に耐摩耗性も良好である。また、Wを添加することでTiMB層の靭性を増すことができ、耐チッピング性が向上する。
TiMB層の平均組成は、電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)を用い、電子線を被覆層の表面、もしくは、被覆層の任意の位置の縦断面の複数箇所(例えば、5箇所)に照射し、それぞれの箇所から得られた被覆層を構成する元素に対応する特性X線を解析することで各元素の含有量の定量化を行い、その結果を算術平均して求める。
(3)厚さ方向のMの含有量の変化
TiMB層は、その厚さ方向にMの含有量xが繰返し変化を有することが好ましい。
Mの含有量xの変化は、例えば、図4に模式的に示されるものである。図4では、Mの含有量xの極大値、極小値のそれぞれが同じ値であり、隣接する極大値と極小値の間隔も同じであるが、本明細書および特許請求の範囲でいうMの繰返し変化とは、Mが極大値と極小値を交互にとるように繰り返して変化すればよく、極大値及び極小値がそれぞれ同じ値であっても同じ値でなくてもよく、隣接する極大値と極小値との間隔も同じであっても異なっていてもよい。
Mの含有量の繰返し変化は、後述する高出力パルススパッタリング装置内のテーブル回転によりターゲットと基材表面との位置関係が変化するために生じる。
このxの極大値の平均値と極小値の平均値との差Δxが0.02~0.10であることが好ましい。その理由は、Δxが0.02~0.10であれば、Ti基合金等の溶着性の高い材料の切削加工において、耐摩耗性および耐凝着性が確実に発揮される。
ここで、xの極大値および極小値とは、次のものをいう。
図4において、Mの含有量xの平均値とは、xの変化曲線を横切る水平線(l)であって、この平均値よりも上方の面積と下方の面積が等しくなるものである。
そして、この上方の面積を与える厚さ方向の領域においてxの極大値を求め、この下方の面積を与える厚さ方向の領域においてxの極小値を求める。
また、極大値と極小値を与える間隔の平均値、すなわち、極大値を与える被覆層の厚さ方向の位置と極小値を与える同方向の位置との間隔の平均値Γは、2~20nmであることが好ましい。その理由は、2nmより短いと、被覆層の厚さ方向に進展する摩耗やクラック等による被覆層の破壊を十分に抑制できず、一方、20nm超えるとこの破壊が進展しやすくなり、耐摩耗性に劣り、被覆切削工具の寿命が短くなるためである。
前記xの極大値と極小値およびその厚さ方向の平均間隔は、高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法(HAADF-STEM:High-Angle Annular Dark Field Scanning Transmission Electron Microscopy)を用いた解析によって求める。すなわち、組成の違いに応じて明るい層と暗い層が交互に視認されるので、前述の上方の面積を与える領域(明るい領域でMが多い)と前述の下方の面積を与える領域(暗い領域でMが少ない)の存在を確認することができる。また、STEM-EDS(Energy Dispersive X-ray Spectrpscopy)を用いてTiMB層厚さ方向に明暗の領域を少なくとも20個を跨ぐ長さで組成ライン分析を行い、TiとMの繰返しの含有量の変化を観察する。xの極大値と極小値をそれぞれ求め、それぞれ、10以上の測定結果を平均してこれらの平均値とする。
(3)六方晶の柱状結晶粒
(3-1)面積率
被覆層の縦断面において、六方晶構造の柱状晶粒(六方晶柱状晶粒ということがある)の面積をShex、それ以外の結晶構造の結晶粒の面積をSothとしたとき、{Shex/(Shex+Soth)}×100により定義される面積割合が40%以上、100%以下であることがより好ましい。
その理由は、面積割合が40%未満であると、TiMB層が前述の目的を達成するために必要な耐摩耗性、耐チッピング性を有しない。面積割合は高い方が好ましく、上限は制約がなく100%、すなわち、すべての結晶粒が六方晶柱状晶粒であってもよい。
ここで、六方晶柱状晶粒とは、後述するアスペクト比が1.0を超えるものをいう。
(3-2)結晶幅とアスペクト比
六方晶柱状晶粒の平均結晶幅は、0.01~0.10μmであることが好ましい。その理由は、0.01μm未満であると粒径が小さく、切削中に結晶粒が脱落しやすく、耐摩耗性に劣り、一方、0.10μmを超えると切削中に結晶粒の亀裂やクラック等の破壊が発生したときの破壊サイズが大きくなり、耐摩耗性が劣るためである。
また、平均アスペクト比は、2.0~5.0であることが好ましい。その理由は、2.0未満であると、柱状の結晶粒よりも粒状の結晶粒が多くなって耐摩耗性が劣り、一方、5.0を超えると切削中に結晶粒の亀裂やクラック等の破壊が発生した場合の破壊サイズが大きくなり、耐摩耗性が劣るためである。
(3-3)基体の表面の垂線となす角度
六方晶構造の柱状結晶粒が基体の表面の垂線となす角度の平均値θが10度以下であることが好ましい。その理由は、角度の平均値θがこの範囲にあると、切削中に結晶粒が脱落しづらく、損耗が抑制されることに加え、皮膜表面に負荷される摩擦に対して各々の結晶粒が盾の役割を果たすため摩耗が進行し辛く、優れた耐摩耗性を発揮するためである。
(3-4)測定方法
面積割合、結晶幅とアスペクト比、および、基体の表面の垂線となす角度の測定は、結晶粒界の画定を行って、次のように測定する。
[1]結晶粒界の画定
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による、自動結晶方位マッピング(ACOM:Automated Crystal Orientation Mapping)-TEMを用いた被覆層の縦断面の解析を行い、六方晶柱状晶粒iの結晶粒界を画定する。
ここで、iは六方晶柱状晶粒を区別する番号で、i=1~nであり、nは測定対象となる六方晶柱状晶粒の総数であって、その値が20以上となるように選ぶ。
[2]六方晶柱状粒iの大きさの測定
結晶粒界を画定し六方晶柱状晶粒iを特定したら、その六方晶柱状晶粒の大きさを測定する。
すなわち、図1に示すように、六方晶柱状粒iについて、
1)最大垂直投影長さVi
2)最大水平投影長さLi
3)最大水平横断長さCi
を測定する。
ここで、
前記1)の最大垂直投影長さViとは、六方晶柱状粒iに対して、基体の表面に平行な方向から平行光線をあて、この平行な方向へ投影される長さであり、換言すると、基体の表面に対する水平な直線で六方晶柱状粒iを横断する直線のうち、基体に最も近い点と最も遠い点をそれぞれ通る直線の基体の表面に垂直な方向の距離であり、
前記2)の最大水平投影長さLiとは、六方晶柱状粒iに対して、基体の表面に垂直な方向から平行光線をあて、この垂直な方向へ投影される長さであり、換言すると、基体の表面に対する垂直な直線で六方晶柱状粒iを横断する直線のうち、この左側の点の中の最も左にある点と、この右側の点の中の最も右側の点をそれぞれ通る直線の基体の表面に平行な方向の距離であり、
前記3)の最大水平横断長さCiとは、基体の表面に平行な直線が六方晶柱状粒iを横断するとき、その横断する長さの最大長さである。
[3]測定長さの換算
前記[2]で測定した1)最大垂直投影長さVi、2)最大水平投影長さLi、および、3)最大水平横断長さTiから、
4)六方晶柱状粒iの長さHi
5)六方晶柱状粒iの幅Ki
に換算する。
すなわち、図2に示すように、辺の長さが、最大垂直投影長さViと最大水平投影長さLiとなる四角形を作図し、その対角線と最大垂直投影長さを与える辺となす角度θiを求め、
前記4)六方晶柱状粒の長さHiを、
六方晶柱状粒の長さHi=Vi/cosθi
により算出する。
また、図3に示すように、斜辺の長さが最大水平横断長さCiであり、前記θiの角度を有する直角三角形を作図し、
前記5)六方晶柱状粒iの幅Kiを、
六方晶柱状粒iの幅Ki=Ci×cosθi
として、それぞれ、算出する。
[4]平均結晶幅と平均アスペクト比
六方晶柱状晶粒iのアスペクト比(Ai)をAi=Hi/Kiとし、アスペクト比が1を超える六方晶柱状晶粒iに対して、以下のようにして平均結晶幅(K)、平均アスペクト比(A)、θi平均値(θ)を求める。
平均結晶幅(W)は、[数1]によって、求める。
Figure 2023105884000002
また、アスペクト比(Ai=Hi/Ki)と面積(Si=Hi×Ki)により、平均アスペクト比Aを[数2]により求める。
Figure 2023105884000003
さらに、基体の表面の垂線となす角度θiの平均値(θ)を[数3]により求める。
Figure 2023105884000004
2.その他の層(下部層)
被覆層として、本実施形態のTiMB層を含む被覆層はTi基合金のような切削工具との溶着性の高い材料を切削により加工する場合においても、十分に優れた耐クラック性、耐摩耗性を長期間の使用にわたって発揮するが、前記TiMB層とは別に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、0.1~2.0μmの合計平均厚さを有するTi化合物(化学量論的な化合物に限定されない)層を含む下部層を基体に隣接して被覆層とは別に設けた場合には、この層が被覆層と基体の密着性を高め、より一層優れた耐チッピング性、および、耐熱亀裂性を発揮することができる。
3.基体
(1)材質
材質は、従来公知の基体の材質であれば、前述の目的を達成することを阻害するものでない限り、いずれのものも使用可能である。一例をあげるならば、超硬合金(WC基超硬合金、WCの他、Coを含み、さらに、Ti、Ta、Nb等の炭窒化物を添加したものも含むもの等)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの等)、セラミックス(炭化チタン、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなど)、cBN焼結体、またはダイヤモンド焼結体のいずれかであることが好ましい。
(2)形状
基体の形状は、切削工具として用いられる形状であれば特段の制約はなく、インサートの形状、ドリル、エンドミルの形状が例示できる。
4.製造方法
スパッタンリング法または混入液滴の抑制が容易な大電力パルススパッタリング(High Power Impulse Magnetron Sputtering:HiPIMS)法を用いることができる。
次に、実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
原料粉末として、いずれも1~3μmの平均粒径を有するWC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示されたように配合した。ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結し、直径が4mmの超硬基体形成用丸棒焼結体を作製した。さらに、この丸棒焼結体から、研削加工にて、切刃部の直径×長さがそれぞれ2mm×4mm、ねじれ角40度の4枚刃スクエア形状を持ったWC基超硬合金製の基体(エンドミル)1および2を製造した。
(a)前記基体1、2のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した状態で、高出力パルススパッタリング装置内の回転テーブル上の中心軸から半径方向に所定距離離れた位置に外周部に沿って装着し、一方、高出力パルススパッタリング装置内には、回転テーブルを挟んで対向する4か所に板状のターゲットを設置した。すなわち、対向しあう2個のTiとMと硼素の焼結体ターゲット、および、対向しあう2個のTi金属ターゲットを配置した。
(b)前記装置内を排気して0.1Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を500℃に加熱した後、前記回転テーブル上で自転する基体に-200Vの直流バイアス電圧を印加した後、前記装置内へ放電・スパッタ用ガスとしてアルゴン(以下Arと表記する)ガスを導入し、2.0Paの雰囲気とする。さらに前記装置内に具備されるタングステンフィラメントへ40Aの電流を流すことによりArイオンを励起させ、前記基体を1時間、Arボンバード処理した。
(c)前記装置内にスパッタ用ガスとしてArガスと反応ガスとしての窒素ガスを導入して0.6Paの反応雰囲気とすると共に、前記金属Tiターゲットに表2に示される所定のパルススパッタ条件で高出力パルススパッタを行い、もって前記基体の表面に、表2に示される平均厚さのTiN層を被覆層の下部層として成膜した。ただし、すべての基体に下部層を形成したわけではない(後述する実施例3、7、10、11、および15に下部層を成膜した)。
(d)引き続き、装置内に導入するガスのうち窒素ガスを閉じると共に、装置内雰囲気を0.5Paとし、十分に窒素ガスの排出がなされ、Arガスのみの装置内雰囲気となった後、TiとMと硼素からなる焼結体ターゲットに表2に示される所定のパルススパッタ条件で、所定時間で高出力パルススパッタを行い、表3に示す本発明被覆エンドミル(以下、実施例という)1~16を製造した。
また、比較の目的で、これら基体1~2に対して、表4に示す条件で前記(a)~(d)の手順により下部層と被覆層を形成し、表5に示す比較被覆エンドミル(以下、比較例という)1~7を製造した。ただし、すべての基体に下部層を形成したわけではない(比較例5および6に下部層を成膜した)。
Figure 2023105884000005
Figure 2023105884000006
Figure 2023105884000007
Figure 2023105884000008
Figure 2023105884000009
次に、実施例1~16、比較例1~7に対して、以下の切削試験を行い、その結果を表6に示す。
被削材:Ti基合金(質量%で、Ti-6%Al-4%V合金)のブロック材
(幅190mm×250mm)
切削速度:80m/min
回転速度:12732min-1
送り速度:1019mm/min
軸方向切込み量(ap):2.0mm
径方向切込み量(ae):0.2mm
エンドミル刃外径:2mm
切削長150m(切削時間として147分に相当)まで切削し、逃げ面摩耗幅を測定し、チッピング発生の有無を観察した。
Figure 2023105884000010
表6に示す結果から明らかなように、実施例1~16は、Ti基合金の湿式切削試験であっても優れた耐摩耗性および耐溶着性を有していることがわかる。
これに対して、比較例1~7は、チッピングが発生し短時間の工具寿命であった。

Claims (4)

  1. 基体と該基体の上に被覆層を有する表面被覆切削工具であって、
    (a)前記被覆層は、0.5~5.0μmの平均厚さのTi1-x(Mは周期表の4~6族の元素の1または2以上、xが0.05~0.50、yが1.0~2.5)の硼化物層を有し、
    (b)前記硼化物層は、その厚さ方向に前記xが繰返しの変化を有し、
    (c)前記xの極大値の平均値と前記xの極小値の平均値との差Δxが0.02~0.10であって、
    (d)前記xの極大値と前記xの極小値の前記厚さ方向平均間隔 Γが2~20nm
    であることを特徴とする表面被覆切削工具。
  2. 前記Mは、Wを必ず含むことを特徴とする請求項1に記載された表面被覆切削工具。
  3. 前記被覆層の縦断面において、六方晶構造の柱状晶である結晶粒の面積をShex、それ以外の結晶構造の結晶粒の面積をSothとしたとき、{Shex/(Shex+Soth)}×100が40%以上、100%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載された表面被覆切削工具。
  4. 前記六方晶構造の柱状晶である結晶粒は、その平均粒幅Kが0.01μm以上0.10μm以下であって、平均アスペクト比Aが2.0以上5.0以下であり、前記基体の表面の垂線とのなす角度の平均値θが10度以内であることを特徴とする請求項3に記載された表面被覆切削工具。
JP2022006886A 2022-01-20 2022-01-20 表面被覆切削工具 Pending JP2023105884A (ja)

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