JP2023104918A - 仕上げされた皮革代用品 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明者らは、菌糸体から成長させた材料の上面を皮革の代用品として仕上げることは、まだ完全に満足できるものではないことを認識した。【解決手段】本発明は、仕上げされた皮革代用品を製造するための方法に関し、方法は、菌糸体から成長したシート材料を提供するステップを含み、シート材料は、上面層および底面を示し、方法は、底面のみに少なくとも１つの仕上げコーティングを適用するステップを含む。【選択図】図２

Description

本発明は、仕上げされた皮革代用品を製造する方法、そのような方法によって得られる仕上げされた皮革代用品、およびそれらの使用に関する。

皮革は、家具の室内装飾品、衣類、靴、手荷物、ハンドバッグおよびアクセサリー、ならびに自動車用途を含む、非常に多様な用途に使用される。現在、天然皮革のための原料には動物の皮が使われている。動物の皮や本革のような皮革ではなく、天然繊維や合成繊維を合成ポリマーなどでコーティングした合成皮革が開発されている。多くの材料が使用されているが、ほとんどの合成皮革は、ポリウレタンとポリ塩化ビニルのコーティングを施したポリエステルニットベースで構成されている。これらのマイクロプラスチック、非生分解性プラスチックベースの製品の加工だけでなく、寿命や寿命の終わりは、環境に優しいとは程遠い。さらに、このような合成皮革は、天然皮革の品質、耐久性、および名声に欠ける。

したがって、現在の傾向は、非石油系材料、特に植物源の使用に向かっている。真菌ベースの材料、特に菌糸体タイプの材料は、複合材料であるか否かにかかわらず、天然材料であり、真菌材料の成長によって得られる。それらの成長は、多様な形、大きさ、密度を得るように制御されている。菌糸体から得られる材料、例えば、国際出願ＷＯ２０１８０１４００４（Ｍｙｃｏｗｏｒｋｓ）、米国特許出願２０１５／００３３６２０、または米国特許９，４８５，９１７（ＥｃｏｖａｔｉｖｅＤｅｓｉｇｎ）、または国際出願ＷＯ２０２０２３７２０１（Ｂｏｌｔ ｔｈｒｅａｄｓ）に記載されたものなどは、皮革のための代用品として使用することができる厚いシートの形態の材料を製造することを可能にする。

しかし、それらが皮革代用品として使用される前に、これらの原料は処理される必要があり、典型的には安定化され、可塑化され、そしてエンノーブル化される。材料のエンノーブル化は、材料を着色すること、その柔軟性、機械的特性、密度を変更すること、および色の均一性、撥水性、滑らかな手触りを改善するために材料の表面に何らかのコーティングまたは仕上げを加えることを含むことができる。

本発明者らは、菌糸体から成長させた材料の上面を皮革の代用品として仕上げることは、まだ完全に満足できるものではないことを認識した。それらは均質性を欠き、上面上のいくつかの領域はより密であるか、または多かれ少なかれ疎水性であるか、または多かれ少なかれ多孔性であり、これはトップコートの不均一な接着、着色、ならびに表面の可塑化および潤滑化をもたらした。さらに、本発明者らは、高い表面繊維密度およびより疎水性の性質のために、上面は水溶液を浸透させなかったことを証明した。

次に、本発明者らは、仕上げコーティングを底面に適用し、仕上げされた底面を皮革代用品の可視部分として使用するという、直感に反する決定を行った。言い換えれば、発明者らは、材料を反転させ、底面のみを仕上げた。

このように、本発明は、仕上げされた皮革代用品を製造する方法を提供し、その方法は、
ａ）菌糸体から成長したシート材料であって、底部から上部への菌糸体の成長の意味で定義される上面層および底面層を示すシート材料を提供するステップと；
ｂ）前記シート材料を、潤滑剤を含む水溶液と接触させるステップと；
ｃ）それを乾燥させるステップと；
ｄ）前記底面のみに少なくとも１つの仕上げコーティングを適用するステップと；を含む。

仕上げは、１つまたは複数のコートで、同時にまたは連続して適用することができる。

本発明の別の目的は、本明細書で定義される方法によって得られる仕上げされた皮革代用品である。

本発明の更に別の主題は、ファッション、アクセサリー、家庭用品および他の家具産業における皮革の代用品としての仕上げされた皮革代用品の使用である。

その図が再現された国際特許出願ＷＯ２０１８０１４００４に記載された、上面および底面を画定する菌糸体の成長を示す概略図である。 本発明の方法の概略図である。上部層は空気と接触する面であり、底部層は菌糸体の成長中に栄養培地に最も近い面である。内側部分は菌糸体（Ａ．左側）でできているが、織物（Ｂ．右側）のような別の材料を組み込むこともでき、全体の機械的耐性を確保する。材料を加工し、反転させ、仕上げた後、仕上げされた物品の最終的な外側部分は、出発菌糸体シート材料の下部である。 上面（３Ａ）および底面（３Ｂ）のＳＥＭ写真（走査電子顕微鏡）である。 上面（３Ａ）および底面（３Ｂ）のＳＥＭ写真（走査電子顕微鏡）である。 図２に記載のように処理された、得られた菌糸体シート材料（底部）の写真である。

菌糸体の成長
糸状菌は、栄養分として摂取する過程で食物の中に直接、糸状の細胞（菌糸とよばれる）が伸びて相互に連結した網として、その体を成長させる。

糸状菌は、枝分かれした群体菌糸の小さな断片をつなぎ合わせて、菌糸体と呼ばれる組織の束やシートを組み立てて織り上げ、より大きな構成要素全体を形成するという自然の傾向をもっている。

本発明において使用される菌糸体は、任意の所望の真菌接種物（すなわち、所望の真菌株の任意の所望の増幅可能なコロニー）に由来し得る。例えば、真菌種は、子嚢菌類、担子菌類、不完全菌類、卵菌類、および接合菌類からなる群から選択することができ、好ましくは、マンネンタケ（Ｇａｎｏｄｅｒｍａ ｌｕｃｉｄｕｍ）、霊芝（Ｇａｎｏｄｅｒｍａ ｔｓｕｇａｅ）、コフキサルノコシカケ（Ｇａｎｏｄｅｒｍａ ａｐｐｌａｎａｔｕｍ）、オオマンネンタケ（Ｇａｎｏｄｅｒｍａ ｒｅｓｉｎａｃｅｕｍ）、霊芝（Ｇａｎｏｄｅｒｍａ ｏｒｅｇｏｎｅｎｓｅ）よりも優先して、多孔菌目、マンネンタケ科から選択することができる。他の候補には、カワラタケ（Ｔｒａｍｅｔｅｓ ｖｅｒｓｉｃｏｌｏｒ）、ヤキフタケ（Ｔｒａｍｅｔｅｓ ｐｕｂｅｓｃｅｎｓ）、スエヒロタケ（Ｓｃｈｉｚｏｐｈｙｌｌｕｍ ｃｏｍｍｕｎｅ）、およびアミヒラタケ（Ｐｏｌｙｐｏｒｏｕｓ ｓｑｕａｍｏｓｕｓ）を含む。

好ましい実施形態において、菌糸体は霊芝菌糸体である。

菌糸体から成長したシート材料は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、ＷＯ２０１８０１４００４（Ｍｙｃｏｗｏｒｋｓ）に記載された方法を用いて得ることができる。

本明細書中で使用される場合、用語「シート」は、一般的に平坦または平坦な形状および厚さに対する表面積の高い比を有する固体材料の層を指す。

第１の真菌接種物は、エンクロージャ内で、またはエンクロージャに導入される前に、離散粒子とリグノセルロース系廃棄物などの栄養素との混合物を含むことができる栄養物質に導入されて、真菌の均一な分布を全体にわたって提供することができる。基板は、コロニーを形成するために残される。形成する真菌組織構造と基板との相互作用を制御するために、コロニー形成された基板の開放表面上に中間層を確立することができる。特定の例において、セルロースベースの材料、例えば、綿またはレーヨンは、それらが生分解性であり、かつて霊芝のための好ましくない食物源であるので、しばしば使用され、これは、それらがリグニン含有材料がしない方法で成長プロセスを通して強度を維持することを意味する。基板上の均一な中間材料の存在は、真菌組織が成長し得る一貫した表面を可能にし、環境中への真菌菌糸の均一な拡大を支持する。生きた真菌菌糸は基板から中間層を通って成長する。図１を参照のこと。

特定の実施形態において、真菌材料は、周期的に操作されて、密度、均一性、およびより高い強度を含む所望の特徴を付与する方法で成長を誘導し得る。真菌材料の成長は、例えば、直交構造、格子および他の二次元または三次元構造のような所定のパターンで誘導することができる。

真菌組織は、表面にわたって均一な特徴を達成するために、成長の間に改変され得、誘導され得るか、または成長組織の操作、もしくは粒子、繊維、メッシュ、織物、および他の添加剤、骨組み、および成分の添加を通して、別個の局所特性を呈するように操作され得る。

中間層は、材料のさらなる成長を終了させるために、それが成長した栄養源から剥離されてもよく、または真菌組織層は、適所に残され任意に再利用される中間層から剥離されてもよい。

特定の実施形態において、菌糸体から成長したシート材料は、以下のステップを含む方法によって得られた。
ａ．栄養媒体を提供するステップと；
ｂ．前記栄養媒体から真菌組織を成長させるステップであって、真菌組織が真菌菌糸を含む、ステップと；
ｃ．中間層を画定する多孔質材料を通して真菌組織の成長を延長させるステップと；
ｄ．前記栄養媒体から離れて多孔質材料を通って延長する前記真菌組織の一部を管理可能な空間内に成長させるステップであって、前記空間内の真菌組織が、少なくとも１つの連続する真菌材料層を画定する、ステップと；
ｅ．少なくとも１つの層における前記真菌菌糸のうちの少なくとも１つの、組成または成長パターンの変化を誘導するステップと；
ｆ．前記栄養媒体から前記真菌材料の少なくとも一部を分離するステップと；
ｇ．物理的または化学的手段によって前記真菌材料の前記一部を改変するステップと。

中間層は典型的には、前記真菌組織と容易に結合せず、均一な成長の初期条件を提供し、それによって真菌組織の均一な成長を達成する。多孔質材料は、微細穿孔されているか、または織られていることが好ましい。

成長する真菌組織が、成長パターンの変化を誘導するように操作された後、真菌材料は、中間層から引き抜かれ得、それによって、真菌材料の連続的な成長を促進する。

別の実施形態では、菌糸体の成長によって得られる材料は、米国特許第９，４８５，９１７号（Ｅｃｏｖａｔｉｖｅ Ｄｅｓｉｇｎ）に記載された方法によって得られる材料などの自立材料であってもよい。

この方法では、菌糸は基板を通して成長し、基板の正味の形状はエンクロージャの物理的寸法によって制限される。

次のステップでは、菌糸ネットワークによって互いにしっかりと保持された基板が、エンクロージャから分離され、必要に応じて、内部エンクロージャまたは要素が分離される。

複合材料
特定の実施形態では、菌糸体から成長したシート材料は、場合により菌糸体内に埋め込まれた、菌糸体から成長していない別の材料をさらに含む。

材料は、成長を誘導し、および／または複合材料を生成するために、真菌材料がまだ生存可能である間に、成長する真菌組織に組み込まれ得る。一実施形態では、好適な長さおよび構造特性の様々な織物形態（例えば、織物、ニット、フル、フェルト）を含むセルロース系、合成または他の有機繊維が、成長する真菌組織の露出表面上に堆積され、複合材料の成長を可能にする。複合繊維の組成および組織化は、真菌組織が操作されることを可能にし、引張および圧縮強度を含む材料全体の機械的特性を強化する。

別の実施形態において、真菌組織は、所望の特性および品質を有する複合体を作製するために、種々の材料の２Ｄおよび３Ｄマトリックスおよび物体を通して成長され得る。この追加された材料の層は、真菌細胞が成長することができる任意の材料（１マイクロメートルより大きい細孔径）で構成することができる。これらの層は、成長する細胞の表面上またはその付近に押圧され得るか、そうでなければ、その表面上に押しつけられ得るか、または成長する真菌材料の２つ以上の層の間に配置され得、その結果、これらの補強層は、次いで、真菌組織に組み込まれる。

菌糸体から成長していない材料は、好ましくは、綿、絹、リネン、ポリエステル、ポリアミド、ウール、ナイロン、Ｄｙｎｅｅｍａ（登録商標）、セルロース、またはビスコース、モダール、およびリヨセル（Ｔｅｎｃｅｌｌ／Ｌｅｎｚｉｎｇ ＡＧ）を含む任意の再生セルロース繊維（「レーヨン」とも呼ばれる）、またはそれらの任意の組合せを含む。

上面層および底面層
菌糸体から成長したシート材料は、典型的には均一ではなく、構造的極性を示し、上面層は底部層よりも疎水性である。

上面層は、底面層と比較してより多くの真菌菌糸先端を含むとして、および／または菌糸体の成長中に空気（またはガス）と接触する表面として定義され得る。

一般に、上面層および底面層は、底部から上部への菌糸体の成長の意味で定義される。

上面層および底面層は、異なる構造特性を示す。上面層は、典型的には、底面層と比較して、より多孔質でなく、より疎水性である。

したがって、本発明において出発材料として使用される、菌糸体から成長したシート材料は、菌糸体を粉砕し、任意にポリマーを添加して、ペーストに変換することを含むプロセスによって得られる材料ではなく、得られないことを理解すべきである。このような材料は構造的極性を示さず、上面層は底部層よりも疎水性である。

潤滑化
本発明の方法は、シート材料を、潤滑剤を含む水溶液と接触させるステップｂ）を含む。このステップは、材料に油を導入するので、潤滑ステップまたは加脂ステップとも呼ばれる。

この接触ステップは、例えば、それをドラム、洗濯機、安定した桶または他の適切な処理手段に投入することによって、材料を溶液に浸すステップを含み得る。

好ましい実施形態において、潤滑剤を含む水溶液は、加脂剤および乳化剤を含有する。

加脂剤は、典型的には、鉱物、合成、動物および植物ベースの油またはそれらの組合せおよび混合物のような種々のタイプの油を含み得る。動物脂肪をベースとする油は、例えば、魚油、羊毛脂肪、蜜蝋、またはラード油であってよい。植物ベースの脂肪をベースとする油は、例えば、ヒマシ油、ヤシ油、綿油、オリーブ油、菜種油、アマニ油であってよい。例えば、合成油をベースとする油は、改質または合成脂肪酸または脂肪アルコールまたは改質植物油または動物油から誘導することができる。これらの加脂剤は、好ましくは、それらが水に可溶性または乳化可能であるように、上記油の硫酸化、亜硫酸化またはスルホン酸の形成によって得られる。

油の微小液滴が材料を浸透し得るように、当技術分野で周知の他の可塑剤および湿潤剤を使用することができる。種々の加脂剤は、イオン性および非イオン性乳化剤、界面活性剤、石鹸および硫酸塩のような他の化合物を添加した水中の乳化油を含有する。

可塑化および安定化
好ましい実施形態では、本方法のステップｂ）は、シートを可塑化および／または安定化することをさらに含む。可塑化および安定化のステップは、潤滑化と同時に、または潤滑化に連続して行うことができる。

好ましい実施形態において、可塑化および／または安定化は、少なくとも１つのポリカルボン酸と任意に組み合わされて、前記シートを少なくとも１つのポリオールおよび／または脂肪溶剤と接触させることによっては行われ得る。

可塑剤の例には、グリセロールおよびそのエステル、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、クエン酸、オレイン酸、オレイン酸ポリオールおよびそのエステル、エポキシ化トリグリセリド植物油、ヒマシ油、ペンタエリトリトール、脂肪酸エステル、カルボン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、生物学的可塑剤、およびこれらの組合せが含まれる。

好ましくは、シートをグリセロールと、好ましくはクエン酸と組み合わせて（好ましくは水中で）接触させることができる。

前記剤は、ドラムまたは材料が投入される任意の装置に添加することができる。

完全な浸透のためにシートをマッサージすることは、さらに有利であり得る。

なめしおよび染色
好ましい実施形態では、本方法のステップｂ）は、シート材料をタンニンと接触させるステップをさらに含み、好ましくは、潤滑剤を含む水溶液がタンニンをさらに含む。好ましいタンニンは、縮合タンニン、加水分解可能なタンニンおよび／または合成タンニンである。

本明細書中で使用される場合、用語「タンニン」は、一般に、タンパク質構造と強力な結合を形成する任意の分子をいう。最も一般的に使用されるタイプのタンニンは、植物性タンニン、すなわち、樹木および植物から抽出されるタンニン、および硫酸クロム（ＩＩＩ）などのクロムタンニンである。タンニンの他の例には、改質された天然由来のポリマー、生体高分子、およびクロム以外の金属の塩、例えば、ケイ酸アルミニウム（ケイ酸アルミニウムナトリウム、ケイ酸アルミニウムカリウムなど）またはａｌｕｎなどのアルミニウムが含まれる。スルホン化芳香族化合物および／または非スルホン化芳香族化合物とホルムアルデヒドおよび／または尿素との縮合によって得られるものなどの合成タンニンも使用することができる。

シート材料に色を付与するために、酸性染料、直接染料、分散染料、硫黄染料、合成染料、反応性染料、顔料（例えば、酸化鉄ブラック、二酸化チタンおよびコバルトブルー）ならびに天然染料などの種々の染料を使用することができる。いくつかの実施形態において、材料をアルカリ溶液中に浸漬して、染料溶液の適用前に材料中への染料の取り込みおよび浸透を促進する。いくつかの実施形態において、材料は、染料溶液の適用前に、好ましくはｐＨを低下させることによって染料を固定する前に、材料への染料の取り込みおよび浸透を促進にするために、塩化アンモニウム、水酸化アンモニウムおよび／またはギ酸に予め浸漬される。

いくつかの実施形態において、タンニンを染料溶液に添加してもよい。

様々な実施形態において、可塑化剤は、染料の添加後または添加中に添加される。種々の実施形態において、可塑化剤は、染料溶液と共に添加されてもよい。

様々な実施形態において、材料への染料の取り込みおよび浸透を促進するために、染料溶液が適用されている間に、材料を機械的加工または撹拌に供することができる。

乾燥
潤滑剤を含む水溶液で湿らされ、任意に可塑化剤および／または安定化剤、タンニン、および／または染料で種々の処理を施されたシート材料は、次いで、典型的には５０～１００℃、好ましくは７０～８０℃で、好ましくは１０～６０分間加熱することによって、典型的には架橋によって硬化させることができる。

次いで、この方法の乾燥ステップｃ）は、材料を室温で、または換気されたオーブン（約２０～４０℃）中で、またはなめし革乾燥機トンネル中で数日間放置することを含む。

好ましい実施形態において、ポリカルボン酸（例えば、クエン酸）、ポリオール（例えば、グリセロール）および菌糸体材料の間の重合は、表面の滑らかな外観の安定化および材料全体の強化を誘発する。また、乾燥後も柔軟性を維持する。

仕上げ
本発明の方法は、乾燥した材料上に少なくとも１つの仕上げコーティングを適用するステップｄ）を含む。

仕上げプロセスは、パッド、スプレーまたはローラーコーティングなどの表面コーティング技術を使用することができる。好ましくは、この仕上げコーティングの堆積は、表面をライニングしながら菌糸体繊維を敷設して圧縮するように、ローラーコーティングによって行われる。

バフ研磨、ステーキングおよびエンボス加工などの機械的プロセスも同様に使用することができる。

１つまたは複数の仕上げコーティング層を適用することができる。

仕上げコーティングは、典型的には、ポリマーエマルジョン、架橋剤、および任意に顔料および／またはフィラーを含有する水溶液を乾燥シート上に接触させることによって適用される。好ましい実施形態では、いくつかの溶液が適用される。

仕上げコーティングは、少なくとも１つのモノマー、および場合によっては少なくとも１つの触媒を含むことができ、プロセスは、前記モノマーを重合するステップをさらに含む。別の実施形態では、仕上げコーティングは、少なくとも１つのポリマー、少なくとも１つの架橋剤、および場合によっては少なくとも１つの触媒を含むことができ、本方法は、前記ポリマーを架橋するステップをさらに含む。

好ましい実施形態では、接着を促進するために、プライマーコートと呼ばれる第１の水層が適用される。プライマーは、アルコールおよびポリマーの分散液を含むことができる。プライマーの乾燥後、いくつかの樹脂および架橋剤のエマルジョンを含有することができる次のコートが適用される。この段階で、着色剤、顔料またはフィラーをこの混合物に添加して、最終材料、すなわち仕上げされた皮革代用品の色をもたらすかまたは調節することができる。例えば、ポリマーエマルジョンは、水性媒体中におよび／またはカチオン性または非イオン性のアニオン性界面活性剤の存在下でおよび／またはアルコール性有機溶媒の存在下で、アニオン性、カチオン性または中性のポリウレタンまたはアクリレートのエマルジョンを含むことができる。

最後に、トップコートと呼ばれる１つまたは複数の層が典型的に適用されて、材料を摩耗および変色から保護し、また、仕上げされた皮革代用品にその最終的な触感および審美性を与える。それは、ポリマー、シリコーン剤および架橋剤の混合物から構成されてもよい。

任意に、架橋剤、例えばポリカルボジイミドまたはポリイソシアネートまたはポリアジリジンを添加して、堆積された層を硬化させ、より良好な機械的耐性を確保することができる。

必要に応じて、材料に質感を与えたり、表面を平滑化するために、表面加工、テクスチャ加工、研磨ステップを行うことができる。

特定の実施形態において、仕上げステップｄ）は、微結晶セルロースまたはセルロースナノフィブリルおよび／または粉砕された貝殻などの天然起源のフィラーを組み込むことを含むことができる。

別の好ましい実施形態において、仕上げステップｄ）は、天然ポリマー、例えばカゼイン、アルブミンまたは他のタンパク質、または合成ポリマー、例えばポリウレタンおよびポリアクリレートのエマルジョンを適用することを含む。

典型的には、２４時間は、次のステップに進む前に、仕上げが安定化し、乾燥するのに有利である。

仕上げされた皮革代用品
本明細書に記載の方法によって得られる製品は、仕上げされた皮革代用品である。ファッション、アクセサリー、家電製品、その他の家具業界で皮革の代用品として使用できる。

特にバッグ、靴、時計のストラップ、ベルト、財布などの製造に使用できる。

図面および実施例は、本発明の範囲を限定することなく本発明を説明する。

実施例
菌糸体シート材料は、国際出願ＷＯ２０１８０１４００４（Ｍｙｃｏｗｏｒｋｓ）に記載されているようにして得た。

図３Ａおよび図３Ｂは、それぞれ上面および底面のＳＥＭ画像であり、構造および多孔性の点での相違を示す。上面はあまり多孔質ではなく、菌糸体菌糸は圧縮され、融合され、一方、底面はより多孔質であり、よりコンパクトではない。水滴の吸収時間を接触角ゴニオメータ装置で測定した。水滴吸収時間はそれぞれ上面で２７秒、底面で１．５秒であり、ｔ＝０秒での接触角はそれぞれ上面で７３°、底面で４３°であった。これらの結果は、上面と比較して底面の方が水の浸透が容易であり、親水性が高いことを確認している。

次に、図２に示すように、菌糸体シートに以下の処理を施す。
－浸漬：菌糸体シートは、最初に室温、静的条件で水系溶液に浸漬される。
－安定化／潤滑化：次に、水、グリセリン、植物性なめし剤、加脂剤、染料の混合物で構成された４０～６０℃の浴を用いて、材料をドラム内で安定化し、酸性条件で固定する
－可塑化：この混合物の完全かつ均一な浸透を達成するために、水にグリセロールおよびクエン酸を添加し、室温でマッサージすることによって、材料を可塑化する。
－乾燥：その後、材料は５０～８０℃で５～１２０分間加熱することによって架橋され、最終的に２５～４０℃で乾燥される
－仕上げ：次いで、水、フィラー剤（コロイド状樹脂）、ポリマーおよびワックスエマルジョンを含むポリマーエマルジョン、ならびに油からなる軟化剤および湿潤剤を含む浸透溶液を含有する種々の水溶液を噴霧することによって、仕上げコーティングを底面層のみに適用する。

仕上げされた製品（図４参照）は、特に耐摩耗性と屈曲性の点で、皮革の代用品として優れた特性を示している。また、天候の変化や紫外線の影響を受けない。

Claims (10)

1. 仕上げされた皮革代用品の製造方法であって、
   ａ）菌糸体から成長したシート材料であって、底部から上部への菌糸体の成長の意味で定義される上面層および底面層を示すシート材料を提供するステップと；
   ｂ）前記シート材料を、潤滑剤を含む水溶液と接触させるステップと；
   ｃ）それを乾燥させるステップと；
   ｄ）前記底面のみに少なくとも１つの仕上げコーティングを適用するステップと；
   を含む、方法。
2. 前記仕上げコーティングは、ポリマーエマルジョンと、任意に顔料および／またはフィラーとを含有する水溶液を、前記乾燥シートの前記底面に接触させること、例えばスプレーすることによって適用される、請求項１に記載の方法。
3. ステップｂ）が、前記シート材料をタンニンと接触させるステップをさらに含み、好ましくは、潤滑剤を含む前記水溶液がタンニンをさらに含む、請求項１または２に記載の方法。
4. ステップ（ｂ）が、少なくとも１つのポリカルボン酸と任意に組み合わされて、好ましくはなめされた前記シートを少なくとも１つのポリオールおよび／または脂肪溶剤と接触させることによって好ましくは行われる、前記シートの可塑化および／または安定化ステップをさらに含む、請求項１～３のいずれか一項に記載の方法。
5. 前記仕上げコーティングが、少なくとも１つのモノマーおよび少なくとも１つの触媒を含み、前記方法が、前記モノマーを重合するステップをさらに含む、請求項１～４のいずれか一項に記載の方法。
6. 前記仕上げコーティングが、少なくとも１つのポリマー、少なくとも１つの架橋剤、および少なくとも１つの触媒を含み、前記方法が、前記ポリマーを架橋するステップをさらに含む、請求項１～５のいずれか一項に記載の方法。
7. 前記菌糸体が霊芝菌糸体である、請求項１～６のいずれか一項に記載の方法。
8. 請求項１～７のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能な仕上げされた皮革代用品。
9. ファッション、アクセサリー、家庭用品および他の家具産業における皮革の代用品としての請求項８に記載の仕上げされた皮革代用品の使用。
10. バッグ、靴、時計のストラップ、ベルトまたは財布を製造するための、請求項９の使用。