JP2023104491A - 圧電素子及び圧電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギー損失を低減する圧電素子及び当該圧電素子を有する圧電デバイスを提供する。【解決手段】水晶素子1は、水晶素板3と、励振電極7と、引出電極9と、搭載電極11と、を有する。水晶素板3は、D1方向及びD1方向に直交するD2方向に広がっている。2つの励振電極7は、水晶素板3の表裏に重なっている。2つの搭載電極11は、-D1側に位置しており、2つの引出電極9を介して2つの励振電極7と接続されている。平面透視において、4つの線、励振電極7の-D1側の短辺7aと、-D1側の短辺7aの両端から-D1側へD1方向に平行に延びる2つの仮想線と、2つの搭載電極11に対して+D1側から接するD2方向に平行な仮想線と、によって囲まれる領域を第1領域A1とするとき、各引出電極9は、励振電極7の長辺7bから、搭載電極11まで、第1領域A1に重ならずに、一定の幅で延びている。【選択図】図3

Description

本開示は、圧電素子、及び当該圧電素子を有する圧電デバイスに関する。
水晶振動子及び水晶発振器等の圧電デバイスが知られている(例えば下記特許文献参照)。このような圧電デバイスは、水晶素子等の圧電素子と、圧電素子を保持しているパッケージとを有している。
圧電素子は、例えば、圧電素板(板状の圧電体)と、圧電素板の表裏に重なる2つの励振電極と、を有している。2つの励振電極によって圧電素板に電圧が印加されることによって圧電素板が振動する。この振動は、例えば、発振信号(例えば一定の周波数で信号強度が振動する信号)の生成に利用される。
また、圧電素子は、2つの励振電極から圧電素板の一端(例えば矩形状の圧電素板の1つの短辺)に向かって引き出されている2つの引出電極と、圧電素板の一端に位置し、2つの引出電極に接続されている2つの搭載電極と、を有している。2つの搭載電極は、例えば、パッケージが有している2つのパッドと導電性の接合材によって接合される。これにより、圧電素子は、パッケージに電気的に接続されるとともに、パッケージによって支持される。
特許文献1では、励振電極から水晶素板(圧電素板)の側面(水晶素板の表裏の面をつなぐ面)を経由して搭載電極に到達する引出電極が開示されている。水晶素板の側面は、励振電極よりも側方に位置しており、ひいては、引出電極は、励振電極と搭載電極との間の領域に対して側方に位置している。特許文献1の引出電極において、水晶素板の側面上を延びている部分の幅は、水晶素板の表裏にて励振電極から水晶素板の側面に向かって延びている部分の幅よりも広くなっている。
特開2017-50751号公報
例えば、エネルギー損失を低減できる圧電素子及び圧電デバイスが提供されることが待たれる。
本開示の一態様に係る圧電素子は、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に広がっている圧電素板と、前記圧電素板の表裏に重なっている2つの励振電極と、前記2つの励振電極から引き出されている2つの引出電極と、前記2つの励振電極に対して前記第1方向の第1側に位置しており、前記2つの引出電極を介して前記2つの励振電極と接続されている2つの搭載電極と、を有しており、前記2つの励振電極のそれぞれは、前記第1側に位置して前記第2方向に沿っている第1縁部と、前記第1縁部の両端から前記第1方向の第2側へ延びる2つの第2縁部と、を有しており、平面透視において、前記第1縁部と、前記第1縁部の両端から前記第1側へ前記第1方向に平行に延びる2つの仮想線と、前記2つの搭載電極に対して前記第2側から接する、前記第2方向に平行な仮想線と、によって囲まれる領域を第1領域と称するとき、前記2つの引出電極のそれぞれは、前記2つの励振電極のうちの自己に対応する励振電極の前記2つの第2縁部のいずれか1つから、前記2つの搭載電極のうちの自己に対応する搭載電極まで、前記第1領域に重ならずに、一定の幅で延びている。
本開示の一態様に係る圧電デバイスは、上記圧電素子と、前記圧電素子を保持しているパッケージと、を有している。
上記の構成によれば、例えば、エネルギー損失を低減できる。
第1実施形態に係る水晶素子を示す斜視図。 図1の水晶素子を示す他の斜視図。 図1の水晶素子の平面図。 図3の領域IVの拡大図。 図1の水晶素子を有する水晶デバイスの断面図。 第2実施形態に係る水晶素子の一部を示す平面図。 第3実施形態に係る水晶素子の一部を示す平面図。 第4実施形態に係る水晶素子の一部を示す平面図。
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものである。従って、例えば、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。図面同士において同一の部材の寸法比率も必ずしも一致しない。また、細部の図示が省略されることがあり、一部の形状が誇張されて図示されることがある。ただし、上記は、実際の寸法比率が図面のとおりとされてもよいこと、及び図面から形状及び寸法比率等の特徴が抽出されてよいことを否定するものではない。
図面には、便宜上、直交座標系D1-D2-D3を付すことがある。実施形態に係る圧電素子及び圧電デバイスは、いずれの方向が上下方向又は水平方向とされてもよい。ただし、便宜上、+D3側を上方とした表現をすることがある。また、平面視又は平面透視は、特に断りが無い限り、D3方向に平行に見ることを指す。また、図面の理解を容易にするために、比較的薄い層(例えば導体層)の表面(すなわち断面でない面)にハッチングを付すことがある。
相対的に後に説明される態様(実施形態及び変形例)の説明においては、基本的に、先に説明された態様との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項は、先に説明された態様と同様とされたり、先に説明された態様から類推されたりしてよい。先に説明された態様の説明は、矛盾等が生じない限り、後に説明される態様に援用されてよい。複数の態様において、互いに対応する部材については、便宜上、相違点があっても同一の符号を付すことがある。
平面形状の縁部を指す用語としての「辺」は、一般に、多角形の縁部(換言すれば直線)を指すが、実施形態の説明では、便宜上、多角形でなくてもよい形状の縁部(例えば曲線状であってもよい縁部)に用いられることがある。同様に、「長辺」及び「短辺」は、一般に、長方形の辺を指すが、実施形態の説明では、便宜上、長方形以外の縁部に用いられることがある。「平行」は、通常、直線同士の距離が一定である関係を指すが、実施形態の説明では、便宜上、直線でなくてよい線(例えば曲線)同士の距離が一定である関係に用いられることがある。
矩形又は矩形状というとき、特に断りが無い限り、角部が面取りされているなど、厳密に正方形又は狭義の長方形でなくてもよいものとする。矩形以外の多角形についても同様である。ここでいう面取りは、製造上の誤差(公差)によって生じる角部の丸みの大きさよりも大きいものである。公差が存在していてよいことは、面取りに限らず、いうまでもないことだからである。
<第1実施形態>
(水晶素子の概要)
図1は、第1実施形態に係る水晶素子1(圧電素子の一例)の斜視図である。図2は、図1とは反対側から水晶素子1を見た斜視図である。図3は、水晶素子1の平面図である。
水晶素子1は、例えば、交流電圧が印加されることによって振動を生じるものである。この振動は、例えば、一定の周波数で信号強度(例えば電圧及び/又は電流)が振動する発振信号の生成に利用される。換言すれば、水晶素子1は、例えば、水晶振動子又は水晶発振器に含まれるものである。発振信号の周波数は任意である。
水晶素子1は、例えば、水晶素板3(圧電素板の一例)と、水晶素板3に重なっている(少なくとも)2つの導体パターン5(図示の例では第1導体パターン5A及び第2導体パターン5B)と、を有している。2つの導体パターン5は、互いに短絡されていない。各導体パターン5は、例えば、励振電極7と、励振電極7から引き出されている引出電極9と、引出電極9に接続されている搭載電極11と、を有している。すなわち、水晶素子1は、1対の励振電極7と、1対の引出電極9と、1対の搭載電極11と、を有している。
1対の搭載電極11は、水晶素子1の実装に寄与する。具体的には、例えば、後述する図5に示すように、搭載電極11とパッケージ103とが導電性の接合材105によって接合される。これにより、水晶素子1がパッケージ103に電気的に接続されるとともに固定される。
なお、水晶素子1は、パッケージ103以外の部材(例えば回路基板)に実装されてもよい。ただし、実施形態の説明では、便宜上、パッケージ103に実装されることを前提とした表現をすることがある。
パッケージ103を介して1対の搭載電極11に交流電圧が印加されると、その交流電圧は1対の引出電極9を介して1対の励振電極7に印加される。これにより、1対の励振電極7によって水晶素板3に交流電圧(電界)が印加され、水晶素板3が振動する。
図3では、平面透視において2つの励振電極7(1つは図3では不図示)と2つの搭載電極11との間に位置し、各励振電極7の幅(D2方向の長さ)と同じ幅を有している領域が破線で囲まれている。この領域を第1領域A1と称するものとする。引出電極9は、励振電極7から搭載電極11まで第1領域A1に重ならずに一定の幅で延びている。
前段落で述べたような引出電極9の構成によって、例えば、エネルギーの損失が低減される。その詳細については後述するが、例えば、引出電極9の幅が変化する部分において電流の反射が生じる現象が避けられることが挙げられる。
以上が第1実施形態に係る水晶素子1の概要である。以下において、第1実施形態の説明は、概略、下記の順に行う。なお、第1領域A1は、水晶素板3(第2節)における領域であるが、励振電極7及び搭載電極11によってその範囲が定義されることから、導体パターン5(第3節)の説明において説明する。
1.水晶素子1全般に係る事項
2.水晶素板3
3.導体パターン5
3.1.励振電極7
3.2.搭載電極11
3.3.第1領域A1
3.4.引出電極9
4.水晶素子の寸法の例
5.水晶素子1の利用例(図5)
6.第1実施形態についてのまとめ
(1.水晶素子全般に係る事項)
上述したように、本実施形態では、2つの引出電極9は、第1領域A1を避けて一定の幅で延びている。この構成は、種々の種類の水晶素子1に適用されてよい。種々の種類の水晶素子1は、例えば、少なくとも、以下の構成要素を有している。水晶素板3(換言すれば板状の水晶片)。水晶素板3の表裏に重なって互いに対向している2つの励振電極7。2つの励振電極7から引き出されている2つの引出電極9。2つの引出電極9に接続されている2つの搭載電極11。
水晶素板3に関して、板状は、例えば、所定方向(D3方向)の長さ(厚さ)が上記所定方向に直交する平面に沿う方向(D1-D2平面に沿う方向)の長さに比較して十分に短い形状である。厚さ及びその他の長さに基づく板状であるか否かの判断は、合理的になされてよい。なお、板状といえる寸法の例については後述する(第4節参照)。板状の水晶素板3の表裏(2つの励振電極7が重なっている面)は、板形状の最も広い面であり、本実施形態の説明では、主面、又は第1面3a及び第2面3bと称することがある。
水晶素板3は、第1方向(D1方向)及び第1方向に直交する第2方向(D2方向)に広がっている。平面透視において、2つの搭載電極11は、2つの励振電極7に対して、D1方向の一方側(-D1側。別の観点では第1端3cの側)に位置している。これにより、水晶素板3において、2つの励振電極7と2つの搭載電極11との間に位置する第1領域A1を定義できる。また、第1領域A1を避けて一定の幅で延びるという引出電極9の構成を適用できる。
水晶素子1は、例えば、いわゆるATカット型の水晶素子とされている。ATカット型においては、1対の励振電極7によって水晶素板3に交流電圧が印加されることによって、いわゆる厚み滑り振動が生じる。水晶素子1は、厚み滑り振動以外の振動を利用するものであっても構わない。厚み滑り振動以外の振動としては、例えば、屈曲振動モード、捩じり振動モード、長さ縦振動モード、幅縦振動モード、幅・長さ縦結合振動モード及び輪郭すべり振動モードが挙げられる。また、厚み滑り振動を利用する水晶素子1は、ATカット以外のカット角のものであっても構わない。例えば、水晶素子1は、BTカット型のものであってもよい。
なお、本実施形態の説明では、便宜上、特に断り無く、水晶素子1がATカット型のものであることを前提とした説明及び表現をすることがある。
水晶素子1は、例えば、後に詳述するように、パッケージ103の凹部R1の底面(第1基板面111c)に対向するように実装される(図5参照)。水晶素子1は、+D3側の面(第1面3a)及び-D3側の面(第2面3b)のいずれを第1基板面111cに対向させることも可能に構成されていてもよいし、そのように構成されていなくてもよい(図示の例)。例えば、水晶素子1は、D1方向に平行な不図示の対称軸(中心線)に関して180°回転対称の構成とされていてもよいし、そのような構成とされていなくてもよい(図示の例)。本実施形態の説明では、基本的に、第1面3a及び第2面3bのうち第2面3bが第1基板面111cに対向する面として想定されている態様を例にとる。
水晶素子1は、種々の方法によって作製されてよい。例えば、水晶素板3は、エッチング(例えばウェットエッチング)によって作製されてよい。
エッチングによって作製される水晶素板3は、エッチングに対する水晶の異方性に起因して、側面等に傾斜面(別の観点では結晶面)を有していることがある。実施形態の説明では、そのような傾斜面の存在については基本的に無視する。寸法等の説明において、厳密性が要求される場合においては、その説明は、合理性を欠いたり、矛盾が生じたりしない限り、傾斜面を無視して適用されてもよいし、傾斜面を考慮して適用されてもよい。例えば、水晶素板3のD1方向の長さというとき、当該長さは、第1面3a又は第2面3bの長さ(結晶面を除いた長さ)であってもよいし、平面透視における最大長さ(結晶面を考慮した長さ)であってもよい。
(2.水晶素板)
上記の説明から理解されるように、水晶素板3のカット角は任意である。ATカットの水晶素板3においては、例えば、結晶のX軸はD1方向に平行であり、結晶のY’軸はD3方向に平行であり、結晶のZ’軸はD2方向に平行である。Y’軸及びZ’軸は、典型的には、Y軸及びZ軸をX軸回りに35°15′だけ回転させて得られる軸である。35°15′は、35°15′±10°とされてもよい。厚み滑り振動は、第1面3aと第2面3bとをD1方向(X軸方向)に相対移動させる振動である。D1方向の正側とX軸の正側とは互いに同じ側であってもよいし、互いに逆側であってもよい。他の方向の正負と他の軸の正負との関係についても同様である。
水晶素板3の具体的な形状は、種々のものとされてよい。図示の例では、水晶素板3は、平板状とされている。すなわち、第1面3a及び第2面3bは、互いに平行な平面状である。また、別の観点では、水晶素板3の厚さは一定である。
水晶素板3の形状は、平板状以外の形状であってもよい。そのような形状としては、例えば、以下のものを挙げることができる。1対の励振電極7と重なって励振される中央の領域(メサ部)が、その外周の領域よりも厚い、いわゆるメサ型。上記とは逆に、1対の励振電極7と重なって励振される中央の領域(逆メサ部)が外周の領域よりも薄い、いわゆる逆メサ型。1対の励振電極7と重なって励振される振動部と、当該振動部の縁部の一部(例えば1辺、2辺又は3辺)に隣接し、振動部よりも厚く、1対の搭載電極11が位置する固定部と、を有するもの。外周部において外周縁に近づくほど薄くなるベベル型。上記の振動部及び固定部を有する水晶素板においては、固定部が、振動部に対して、一方の面側(例えば-D3側)に厚くなるものと、両面側(-D3側及び+D3側)に厚くなるものとがある。
また、図示の例では、水晶素板3の平面形状は、矩形状とされている。すなわち、水晶素板3は、互いに平行な1対の辺と、互いに平行な他の1対の辺とを有している。前者の1対の辺と後者の1対の辺とは互いに直交している。別の観点では、水晶素板3の平面形状は、互いに対向する1対の縁(直線とは限らない)と、互いに対向する他の1対の縁(直線とは限らない)とを有している。前者の1対の縁と後者の1対の縁とは互いに交差している(直交するとは限らない)。換言すれば、水晶素板3の平面形状は、その輪郭が4つの縁によって構成されていると捉えることができる形状である。
水晶素板3の平面形状は、矩形状以外の形状であってもよい。そのような形状としては、例えば、円形状、楕円形状又は矩形状以外の多角形状が挙げられる。また、水晶素板3の平面形状は、多角形の任意の数の辺(例えば矩形状の1辺、2辺、3辺又は4辺)を外側に曲線状に膨らませた形状とされてもよい。また、水晶素板3の平面形状は、一部に突起又は切欠きを有する形状であってもよい。なお、矩形状の任意の数の辺を外側に曲線状に膨らませた形状は、4つの縁によって構成されていると捉えることができる水晶素板3の平面形状の例である。
水晶素板3の平面形状は、D1方向及びD2方向のいずれを長手方向としていてもよいし、そのような区別ができない形状(例えば正方形状又は円形状)であってもよい。なお、D1方向は、既述のとおり、2つの励振電極7から2つの搭載電極11への方向であり、また、別の観点では、厚み滑り振動の方向である。ATカット型の水晶素板3の平面形状が長手方向及び短手方向の区別ができるものである場合においては、D1方向が長手方向とされることが多い(本実施形態においてもそのようにされてよい。)。ただし、図1~図3に示す例では、厚み滑り振動の方向に直交する方向(D2方向)が長手方向とされている。
水晶素板3の形状は、対称性を有していてもよいし(図示の例)、有していなくてもよい。後者の例としては、例えば、既述の振動部及び固定部を有する水晶素板において、固定部が振動部に対して一方の面側(-D3側)にのみ厚くなっているもの、及び平面視において固定部が振動部の2辺又は3辺に沿って位置しているもの(固定部がL字状又はU字状を呈しているもの)を挙げることができる。
水晶素板3は、図示の例とは異なり、適宜な位置に、種々の目的で、凹部、凸部及び貫通孔を有していてもよい。このような凹部、凸部及び/又は貫通孔は、第1領域A1に位置していても構わない。第1領域A1に位置している凹部、凸部及び/又は貫通孔は、例えば、搭載電極11のパッケージ103に対する固定が励振電極7の領域における振動に及ぼす影響を低減することに寄与してよい。また、貫通孔は、例えば、導体パターン5の表裏の導通に寄与してよい。
(3.導体パターン)
導体パターン5の材料は、例えば、金属とされてよい。金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)若しくは銀(Ag)又はこれらの少なくとも1つを主成分とする合金を挙げることができる。導体パターン5は、単一の材料からなる1層の導体層によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の導体層が積層されて構成されていてもよい。導体パターン5は、例えば、その面積全体に亘って材料の構成が同じであってもよいし、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
導体パターン5の厚さは、基本的に、その全体に亘って一定である。従って、例えば、引出電極9において、横断面(延びる方向に直交する断面)の面積は平面視における幅に比例する。また、例えば、引出電極9において、幅が一定であれば、単位長さ当たりの抵抗値は一定である。ただし、導体パターン5において、一部の領域の厚さは、他の領域の厚さと異なっていてもよい。例えば、水晶素板が、D1-D2平面に平行な面と、D1-D2平面に傾斜する面とを有しており、上記のいずれの面にも導体パターン5(例えば引出電極9)が重なっている態様において、前者の面に重なっている部分と、後者の面に重なっている部分とで厚さが異なっていてもよい。
(3.1.励振電極)
1対の励振電極7は、既述のように水晶素板3に電圧を印加すべく、水晶素板3の両主面(第1面3a及び第2面3b)に位置している。1対の励振電極7は、例えば、平面透視において概ね互いに過不足なく重なる位置、形状及び大きさで設けられている。ただし、互いに重複しない部位が存在しても構わない。平面視における励振電極7の位置、形状及び大きさ等は適宜に設定されてよい。
例えば、励振電極7は、水晶素板3の中央側の領域に位置している。別の観点では、励振電極7は、水晶素板3の外縁から離れて位置している。励振電極7の幾何中心は、例えば、水晶素板3の平面視における幾何中心とD2方向において概ね一致している。また、励振電極7の幾何中心は、水晶素板3の幾何中心に対して、例えば、+D1側(2つの搭載電極11とは反対側)に位置している。
図示の例では、励振電極7の形状(特に断りが無い限り平面形状)は、矩形状とされている。例えば、励振電極7は、互いに平行な1対の短辺7aと、互いに平行な1対の長辺7bとを有している。1対の短辺7aと1対の長辺7bとは直交している。別の観点では、励振電極7の形状は、互いに対向する1対の縁(直線とは限らない)と、互いに対向する他の1対の縁(直線とは限らない)とを有している。前者の1対の縁と後者の1対の縁とは互いに交差している(直交するとは限らない)。換言すれば、励振電極7の形状は、その輪郭が4つの縁によって構成されていると捉えることができる形状である。
励振電極7の形状は、搭載電極11側の第1縁部(-D1側の短辺7a)と、第1縁部の両端から搭載電極11とは反対側に延びる2つの第2縁部(2つの長辺7b)とを有する種々の形状とされてよい。例えば、励振電極7の4つの辺のうち1辺、2辺(例えば1対の短辺又は1対の長辺)、3辺又は4辺は、外側に曲線状に膨らんでいてもよい。また、例えば、搭載電極11とは反対側の縁部(+D1側の短辺7a)と、2つの第2縁部(2つの長辺7b)とは、その境界が明瞭でなくても構わない。例えば、励振電極7の+D1側は、半楕円状であってもよい。
励振電極7は、D1方向及びD2方向のいずれを長手方向としていてもよいし、そのような区別ができなくてもよい(例えば正方形状)。なお、D1方向は、既述のとおり、2つの励振電極7から2つの搭載電極11への方向であり、また、別の観点では、厚み滑り振動の方向である。ATカット型の水晶素子1の励振電極7が長手方向及び短手方向の区別ができるものである場合においては、D1方向が長手方向とされることが多い。図示の例においても、励振電極7は、D1方向が長手方向とされている。すなわち、D1方向の最大長さ(又は平均長さ)は、D2方向の最大長さ(又は平均長さ)よりも長い。
平面視において、励振電極7の形状と、水晶素板3の形状とは、類似していてもよいし、異なる形状であってもよい。前者としては、例えば、水晶素板3の形状及び励振電極7の形状の双方が矩形状である態様が挙げられる。後者としては、例えば、水晶素板3の形状及び励振電極7の形状の一方が矩形状であり、他方が矩形の1辺、2辺、3辺又は4辺を外側に膨らむ曲線状とした態様が挙げられる。
(3.2.搭載電極)
2つの搭載電極11は、既述のように、2つの励振電極7に対して第1方向(D1方向)の一方側(-D1側、第1端3cの側)に位置している。なお、このようにいうとき、2つの励振電極7と、2つの搭載電極11とは、D1方向に直交するD2方向における配置範囲の一部同士が、互いに重複していてもよいし(図示の例)、互いに重複していなくてもよい。2つの搭載電極11が共に-D1側に位置していることから、2つの搭載電極11が接合材105によってパッケージ103に固定されると、水晶素子1は、片持ち梁状に支持される(図5参照)。
2つの搭載電極11は、第1端3c(水晶素板3の-D1側の縁部)に沿って並んでいる。2つの搭載電極11は、例えば、水晶素板3のD1方向に平行な中心線(不図示)に対して、概略、線対称の位置、形状及び大きさで設けられてよい。ただし、両者は、位置、形状及び/又は大きさが非対称であっても構わない。例えば、2つの搭載電極11は、下記に述べる中間部11cの位置及び/又は面積が互いに異なっていてもよい。
各搭載電極11は、例えば、以下の3つの部分を有していると捉えることができる。水晶素板3の第1面3aに重なっている上面部11a。水晶素板3の第2面3bに重なっている下面部11b。水晶素板3の側面に重なり、上面部11aと下面部11bとをつないでいる中間部11c。第2面3bは、既述のように、パッケージ103の第1基板面111cに対向する面である。従って、下面部11bは、第1基板面111cに対向する部分である。
平面透視したとき、上面部11a及び下面部11bの位置、形状及び大きさは、互いに異なっていてもよいし(図示の例)、互いに同じであってもよい。別の観点では、既述のように、水晶素子1がパッケージ103に実装されるとき、第1基板面111cに対向する面は、第1面3a及び第2面3bの一方(ここでは第2面3b)に限られていてもよいし(図示の例)、限られていなくてもよい。前者の態様において、搭載電極11は、下面部11bのみ、又は下面部11b及び中間部11cのみを有していてもよい。
上記の各部の具体的な位置、形状及び大きさは適宜に設定されてよい。図示の例では、以下のとおりである。
上面部11a及び下面部11bそれぞれは矩形状とされている。別の観点では、上面部11a及び下面部11bそれぞれは、第1面3a及び第2面3bの-D1側の縁部及び当該縁部につながる縁部(-D2側又は+D2側の縁部)に一致する2つの縁部を有している。また、上面部11a及び下面部11bそれぞれは、励振電極7の搭載電極11側の短辺7a(縁)に沿う(例えば平行な)1つの縁部を有している。
また、図示の例では、上面部11a及び下面部11bそれぞれにおいて、長手方向は、D2方向(2つの励振電極7から2つの搭載電極11への方向に直交する方向)とされている。短手方向(D1方向)の長さ(例えば最大長さ)に対する長手方向(D2方向)の長さ(例えば最大長さ)の比は、一般的な搭載電極11に比較して大きくされている。例えば、長手方向の長さは、短手方向の長さの2倍以上、3倍以上又は5倍以上とされてよい。
図示の例では、下面部11bの面積は、上面部11aの面積よりも大きくされている。また、下面部11bのD1方向における長さは、上面部11aのD1方向における長さよりも長くされている。下面部11bのD2方向における長さは、上面部11aのD2方向における長さに対して、短くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、長くてもよい。
図示の例では、中間部11cは、水晶素板3の-D1側の側面に位置しているとともに、水晶素板3の-D2側又は+D2側の側面に位置している。水晶素板3の-D1側の側面に位置している部分は、当該側面のD3方向の全体に亘っているとともに、上面部11aのD2方向の長さ及び下面部11bのD2方向の長さの少なくとも短い方の長さ(図示の例では更に長い方の長さ)に亘っている。水晶素板3の-D2側又は+D2側の側面に位置している部分は、当該側面のD3方向の全体に亘っているとともに、上面部11aのD1方向の長さ及び下面部11bのD1方向の長さの少なくとも短い方の長さ(図示の例では更に長い方の長さ)に亘っている。
搭載電極11の各部の位置、形状及び大きさに関して、図示の例とは異なる態様の例を挙げる。例えば、下面部11b及び/又は上面部11aは、矩形状以外(例えば円形状、楕円状又は矩形状以外の多角形)であってもよい。下面部11b及び/又は上面部11aの励振電極7側の縁部は、励振電極7の搭載電極11側の縁部(-D1側の短辺7a)に対して平行でなくてもよいし、更には、短辺7aに沿っていると捉えることができなくてもよい。下面部11b及び/又は上面部11aは、D1方向の長さがD2方向の長さ以上であってもよい。中間部11cは、-D1側の側面と、-D2側又は+D2側の側面との一方の側面のみに位置していてもよい。また、1つの搭載電極11の中間部11cは、平面視における水晶素板3の外縁に沿う方向において分離され、2以上の部位を有していてもよい。中間部11cの-D1側の側面に位置する部分のD2方向の長さは、下面部11bのD2方向の長さ及び上面部11aのD2方向の長さよりも短くても構わない。-D2側又は+D2側の側面に位置する部分のD1方向の長さについても同様である。
(3.3.第1領域)
これまでに、第1領域A1は、平面透視において、2つの励振電極7と2つの搭載電極11との間に位置し、各励振電極7の幅(D2方向の長さ)と同じ幅を有している領域であるものとして説明した。ここでは、励振電極7及び搭載電極11の位置、形状及び寸法が図示の例とは異なる態様においても、第1領域A1を明確に特定(定義)できるように、他の観点若しくは表現によって第1領域A1について説明する。
水晶素板3は、既述のように、第1方向(図示の例ではD1方向)及び当該第1方向に直交する第2方向(図示の例ではD2方向)に広がっていると捉えることができる。第1方向は、2つの励振電極7から2つの搭載電極11への方向である。より詳細には、第1方向は、例えば、水晶素板3(及び/又は水晶素板3のうち励振される領域)の形状を左右対称にしたり、2つの搭載電極11の形状を左右対称にしたりするときの不図示の対称軸に平行な方向とされてよい。
そして、2つの搭載電極11は、2つの励振電極7に対して、第1方向の第1側(第1方向の一方側。図示の例では-D1側。別の観点では第1端3cの側)に位置している。なお、このようにいうとき、既に述べたように、2つの励振電極7の第2方向(D2方向)の配置範囲と、2つの搭載電極11の第2方向の配置範囲とは、重複していてもよいし、重複していなくてもよい。第1方向の第1側とは反対側(第2方向の他方側。図示の例では+D1側)は第2側ということができる。
第1領域A1の励振電極7側(+D1側)の境界線は、励振電極7の第1側(-D1側)の第1縁部(図示の例では-D1側の短辺7a)とされてよい。従って、例えば、-D1側の短辺7aが外側(-D1側)に膨らむ曲線状である態様においては、第1領域A1は、D2方向の両側部分がD2方向の中央側部分よりも+D1側に広がる形状となる。
2つの励振電極7は、基本的に、平面透視において互いに過不足無く重複することが想定されている場合が多い。従って、2つの励振電極7の第1縁部のいずれが第1領域A1の特定に用いられてもよい。なお、2つの第1縁部の第1方向における位置が部分的に又は全体的にずれている態様においては、2つの第1縁部のうち相対的に第1側に位置する部分(一方の第1縁部の全部であることもある)が第1領域A1の境界線の部分として捉えられてよい。すなわち、第1領域A1を第1側に狭くするように第1領域A1の境界線が特定されてよい。
第1領域A1の第2方向(D2方向)の両側の境界線は、第1縁部(-D1側の短辺7a)の両端から第1側(-D1側)へ第1方向(D1方向)に平行に延びる仮想線(符号省略。換言すれば仮想直線)とされてよい。従って、例えば、2つの長辺7bが外側(D2方向の両側)に膨らむ曲線状である態様においては、第1領域A1の幅(D2方向の長さ)は、励振電極7の最大幅よりも小さくなる。
既述のように、基本的に、2つの励振電極7のいずれの第1縁部(-D1側の短辺7a)が第1領域A1の特定に用いられてもよい。なお、2つの第1縁部の間で+D2側の端部のD2方向における位置が互いに異なる場合は、相対的に-D2側の位置が、第1領域A1の+D2側の境界線の、D2方向における位置の特定に用いられてよい。同様に、2つの第1縁部の間で-D2側の端部のD2方向における位置が互いに異なる場合は、相対的に+D2側の位置が、第1領域A1の-D2側の境界線の、D2方向における位置の特定に用いられてよい。すなわち、第1領域A1の幅(D2方向の長さ)を小さくするように第1領域A1の境界線が特定されてよい。
第1縁部(-D1側の短辺7a)と第2縁部(長辺7b)との角部は面取りがなされていてもよい。この場合、第1縁部の端部は、面取りがなされていない形状を想定することによって特定されてよい。例えば、第1縁部及び/又は第2縁部が直線であれば、その直線を延長したり、第1縁部及び/又は第2縁部が曲線であれば、曲率(曲率が一定でない場合は端部の曲率)が維持されるように曲線を延長したりして、面取りがなされていない場合の第1縁部と第2縁部との仮想的な交点を特定し、当該交点を第1縁部の端部として用いてよい。そして、その特定された端部まで仮想的に延長された第1縁部を用いて、第1領域A1の、第2側(+D1側)の境界線及び第2方向の両側(-D2側及び+D2側)の境界線が特定されてよい。
第1領域A1の第1側(-D1側)の境界線は、平面透視において2つの搭載電極11に対して第2側(+D1)から接し、第2方向(D2方向)に平行な仮想線(符号省略。換言すれば仮想直線)とされてよい。従って、例えば、搭載電極11の+D1側の縁部が+D1側に膨らむ曲線状であっても、第1領域A1の-D1側の境界線は直線状である。また、この-D1側の境界線は、当該境界線と搭載電極11の+D1側の縁部とが接する点(又は線)を除いて、搭載電極11の全体よりも励振電極7の側(第2側)に位置している。
第1領域A1の第1側(-D1側)の境界線(仮想線)に関して、2つの搭載電極11に接するという要件は、2つの搭載電極11の双方に接することを必要とすることを指すのではなく、2つの搭載電極11の全体を1つの部材として見たときに当該1つの部材に接することを指す。従って、例えば、一方の搭載電極11の+D1側の縁部が他方の搭載電極11の+D1側の縁部よりも+D1側に位置している態様においては、仮想線は、上記一方の搭載電極11の+D1側の縁部に接していればよい。ただし、通常は、1対の搭載電極11は、第1方向(D1方向)に平行な対称軸(例えば水晶素板3の中心線)に対して左右対称に構成されるから、仮想線は、2つの搭載電極11に接することになる。
また、第1領域A1の第1側(-D1側)の境界線(仮想線)は、「平面透視において」、2つの搭載電極11に接するものである。従って、図示の例のように、上面部11aと下面部11bとの間で+D1側の縁部のD1方向における位置が互いに異なる態様においては、相対的に+D1側に位置する+D1側の縁部が境界線の特定に用いられてよい。例えば、図示の例では、下面部11bの+D1側の縁部が境界線の特定に用いられてよい。
纏めると、第1領域A1は、平面透視において、(少なくとも1つの)励振電極7の第1縁部(-D1側の短辺7a)と、第1縁部の両端から第1側(-D1側)へ第1方向(D1方向)に平行に延びる2つの仮想線と、2つの搭載電極11に対して第2側(+D1側)から接する、第2方向(D2方向)に平行な仮想線と、によって囲まれる領域であってよい。
なお、第1領域A1を特定するにあたり、励振電極7及び搭載電極11の特異的な部分は除外されてもよい。例えば、平面透視において搭載電極11が+D1側の縁部の一部に+D1側に突出する比較的小さな凸部(例えば突出量及び幅それぞれが引出電極9の幅よりも小さい凸部)を有する場合においては、このような凸部は無視されてよい。そのような凸部を無視して第1領域A1を定義しても、本開示に係る技術の趣旨に反するとは限らない。
(3.4.引出電極)
既述のように、各引出電極9は、自己に対応する励振電極7の2つの第2縁部(図示の例では長辺7b)のいずれか1つから、自己に対応する搭載電極11まで、第1領域A1に重ならずに、一定の幅で延びている。この要件を満たす限り、引出電極9の具体的な位置、形状及び寸法は任意である。図示の例では、引出電極9は、励振電極7の第2縁部(長辺7b)から搭載電極11の第2側(+D1側)の縁部まで、第1方向(D1方向)に角度θ1で傾斜する方向に直線状に延びている。
第1領域A1の励振電極7側(+D1側)の境界線は、既述のように、励振電極7の第1側の第1縁部(-D1側の短辺7a)とされてよい。従って、第1領域A1に重なっていないという要件を満たす引出電極9は、短辺7aから延び出る部分をその幅内に有していない。例えば、引出電極9は、その全幅に関して、第2縁部(長辺7b)から延び出ている。なお、製造上の誤差(公差)によって、短辺7aから延び出る部分が存在してもよいことはもちろんである。
第1領域A1に関する先の説明では、第1縁部(-D1側の短辺7a)と第2縁部(長辺7b)との角部が面取りされている場合の第1縁部の端部が、面取りされていない場合の第1縁部と第2縁部との交点を想定することによって特定されてよいことについて述べた。上記のような仮想的な端部まで延長された第1縁部を用いて特定した第1領域A1と重なっていない引出電極9は、第2縁部のみから延び出ており、第1縁部からは延び出ていないと捉えられてよい。
図4は、図3の領域IVの拡大図である。
既述のように、引出電極9は、励振電極7から搭載電極11まで一定の幅で延びている。ただし、引出電極9の励振電極7との接続部9aの幅は、幅の捉え方にもよるが、励振電極7の縁部(より詳細には第2縁部)の形状、及び/又は励振電極7の縁部に対する引出電極9の向きに起因して、一定でなくても構わない。
例えば、図4の例では、引出電極9は、基本的に一定の幅で直線状に延びている。しかしながら、励振電極7の長辺7bが延びる方向と引出電極9が延びる方向とが直交していないことから、接続部9aにおいては、三角形状の領域(斜線のハッチングが付された領域)が構成されている。この三角形状の領域は、例えば、引出電極9の大部分が延びている方向(D1方向に対して角度θ1で傾斜する方向)に直交する方向の長さを幅として考えたときに、幅が一定とはいえない。このような領域が生じていても構わない。
従って、引出電極9が励振電極7から搭載電極11まで一定の幅で延びているというとき、引出電極9は、例えば、搭載電極11側から、引出電極9の幅方向両側の2つの縁部9c及び9dのうち少なくとも一方の縁部(図示の例では縁部9c)が励振電極7(長辺7b)と接続される位置までの、D1方向に角度θ1で傾斜する方向における範囲において、一定の幅を有していればよい。
ただし、図4の例は、励振電極7内に破線で示すように、励振電極7側の端部まで一定の幅で延びている引出電極9と、励振電極7とが一部(破線で示す三角形の領域)同士を重複させていると捉えることもできる。このような捉え方によって、引出電極9は、接続部9aにおいても一定の幅で延びていると判断されても構わない。
図4の例では、長辺7bは第1方向(D1方向)に平行な直線状であるが、長辺7bが直線状でない場合(例えば曲線状である場合)、及び/又はD1方向に傾斜している場合においても、上記の説明が適用されてよいことは明らかである。また、引出電極9と第2縁部(長辺7b)とが直交することなどによって、引出電極9が接続部9aにおいても一定の幅で延びてよいことはもちろんである(後述する図8参照)。
引出電極9の励振電極7との接続部9aについて述べたが、引出電極9の搭載電極11との接続部9bについても同様である。すなわち、接続部9bの幅は、一定でなくても構わない。換言すれば、引出電極9が励振電極7から搭載電極11まで一定の幅で延びているというとき、引出電極9は、例えば、励振電極7側から、引出電極9の幅方向両側の2つの縁部9c及び9dのうち少なくとも一方の縁部(図示の例では縁部9c)が搭載電極11(より詳細には図示の例では+D1側の縁部)と接続される位置までの、D1方向に角度θ1で傾斜する方向における範囲において、一定の幅を有していればよい。また、搭載電極11側の端部まで一定の幅で延びている引出電極9と、搭載電極11とが一部同士を重複させていると捉えられてもよい。
水晶素板3の+D2側又は-D2側の側面は、既に触れたように、D3方向に対して傾斜する傾斜面を有していることがある。そして、搭載電極11は、上記傾斜面に位置する部分を有することがある。さらに、引出電極9の搭載電極11との接続部9bも、上記傾斜面に位置する部分を有することがある。このような特異的な部分の形状は、搭載電極11側の端部まで一定の幅で延びている引出電極9と、搭載電極11とが一部同士を重複させていると捉えることが困難な形状となっていても構わない。この場合であっても、例えば、既述のように、励振電極7側から2つの縁部9c及び9dのうち少なくとも一方の縁部(図示の例では縁部9c)が搭載電極11と接続される位置までの範囲において引出電極9の幅が一定であれば、励振電極7から搭載電極11までの幅が一定という要件は満たされると解釈されてよい。
また、既述のように、水晶素板3は、平板状(図示の例)に限られず、例えば、水晶素板3の厚さを徐々に変化させる傾斜面を有していてもよい。そして、引出電極9は、そのような傾斜面上に位置する部分を有していてもよい。引出電極9のうち傾斜面上の部分においては、D3方向に平行に見たときの引出電極9の幅と、傾斜面の法線方向に見たときの引出電極9の幅とは相違する。このような場合において、引出電極9のうち傾斜面上の部分の幅は、上記の2種の幅のいずれが、他の領域の幅と同一であるか否かの判断に用いられてもよい。理想的には、引出電極9は、各面の法線方向に見たときの幅、及び各面の法線方向における厚みが、複数の面上の部分同士で互いに同じである。この場合、単位長さ当たりの抵抗値が一定になるからである。ただし、設計及び製造方法の都合上、そのようにすることが困難な場合がある。従って、例えば、引出電極9は、平面透視したとき(D3方向に平行に見たとき)に、一定の幅となっていてよい。
また、水晶素板3がメサ部又は逆メサ部を有するような構成において、励振電極7の縁部は、メサ部又は逆メサ部の周囲の斜面に位置することがある。その結果、引出電極9の励振電極7との接続部9aが比較的急峻な斜面に位置する特異的な部分を有することがある。このような特異的な部分の形状は、励振電極7側の端部まで一定の幅で延びている引出電極9と、励振電極7とが一部同士を重複させていると捉えることが困難な形状となっていても構わない。この場合であっても、例えば、既述のように、搭載電極11側から2つの縁部9c及び9dのうち少なくとも一方の縁部(図示の例では縁部9c)が励振電極7と接続される位置までの範囲において引出電極9の幅が一定であれば、励振電極7から搭載電極11までの幅が一定という要件は満たされると解釈されてよい。
引出電極9の、励振電極7の第2縁部(長辺7b)に対する接続位置は任意である。例えば、引出電極9の第1側(-D1側)の縁部9cは、第2縁部の第1側の端部につながってもよいし(図示の例)、第2縁部の第1側の端部から第2側(+D1側)に離れていてもよい。後者の場合における縁部9cと第2縁部の第1側の端部との距離も任意である。例えば、当該距離は、引出電極9と第2縁部とが接続されている部分の第2縁部に沿う長さ(D1方向の長さ)よりも短くてもよいし、同等でもよいし、長くてもよい。
引出電極9の、搭載電極11に対する接続位置も任意である。図示の例では、引出電極9は、搭載電極11の第2側(+D1側)の縁部に接続されている。より詳細には、図1、図3及び図4に示されているように、上面側(+D3側)の引出電極9は、自己に対応する搭載電極11の上面部11aの+D1側の縁部に接続されている。また、下面側(-D3側)の引出電極9は、図2及び図3に示されているように、自己に対応する搭載電極11の下面部11bの+D1側の縁部に接続されている。別の観点では、各引出電極9(その幅の一部又は全部(図示の例では全部))は、第1面3a又は第2面3bにおいて搭載電極11に接続されている。
引出電極9の、搭載電極11に対する他の接続位置としては、例えば、以下のものを挙げることができる。引出電極9は、搭載電極11の第2側(+D1)の縁部に加えて、又は代えて、搭載電極11の他の縁部に接続されていてもよい。既述のように、搭載電極11は、上面部11aを有さず、中間部11c及び下面部11bのみを有していてもよい。この場合において、上面側(+D3側)の引出電極9は、例えば、中間部11cの上面側の縁部に接続されていてもよい。さらに、既述のように、搭載電極11は、上面部11a及び中間部11cを有さず、下面部11bのみを有していてもよい。この場合において、上面側(+D3側)の引出電極9は、水晶素板3の側面を経由して、下面部11bの任意の位置の縁部に接続されていてもよい。なお、導体パターン5のうち水晶素板3の側面に位置している部分が、引出電極9の一部であるか、搭載電極11の中間部11cであるかは、その形状等から合理的に判断されてよい。
引出電極9(その幅の一部又は全部)は、水晶素板3の側面において、搭載電極11の第2側(+D1側)の縁部に接続されていてもよい。このとき、水晶素板3の側面は、D3方向に平行であってもよいし、D3方向に対して一部又は全部が傾斜していてもよい。後者の態様において、水晶素板3の側面は、例えば、エッチングに対する水晶の異方性によって現れる結晶面(例えばm面)を有していてよい。引出電極9は、その幅の全体が1つの結晶面内で搭載電極11に接続されていてもよい。なお、既述のように、実施形態の説明では、特に断りが無い限り、傾斜面の存在を無視されており、次段落における説明は、第1面3a又は第2面3bにおけるものである。
図示の例のように引出電極9が搭載電極11の+D3側の縁部に接続される態様において、その具体的な位置も任意である。図1、図3及び図4に示されているように、図示の例では、上面側(+D3側)の引出電極9は、第2側(+D1側)の縁部9dが上面部11aの+D1側の縁部の-D2側(2つの搭載電極11の並び方向において自己に対応する搭載電極11が位置する側)の端部につながっている。また、図2及び図3から理解されるように、下面側(-D3側)の引出電極9は、D1方向に平行な不図示の中心線に関して、上面側の引出電極9と180°回転対称の関係を有している。そして、下面側の引出電極9は、第2側(+D1側)の縁部9dが、下面部11bの+D1側の縁部の+D2側(2つの搭載電極11の並び方向において自己に対応する搭載電極11が位置する側)の端部から-D2側に若干離れた位置につながっている。
もちろん、図示の例とは異なり、2つの引出電極9は、180°回転対称の関係となっていなくてもよい。上面側(+D3側)の引出電極9の縁部9dは、上面部11aの+D1側の縁部の-D2側の端部から離れていてもよい。下面側(-D3側)の引出電極9の縁部9dは、下面部11bの+D1側の縁部の+D2側の端部につながっていてもよい。
+D3側又は-D3側の引出電極9の縁部9dが上面部11a又は下面部11bの+D1側の縁部の端部から離れている場合の距離は任意である。
(4.水晶素子の寸法の例)
以下に、水晶素子1の各部の寸法の例を示す。なお、ここでの寸法の例は、特に断りが無い限り、後述する実施形態に適用されてよいものである。逆に言えば、ここで例示される寸法の範囲は、本実施形態に係る水晶素子1に適用できない寸法を含むことがある。
また、例えば、水晶素板3のD1方向の長さは、水晶素板3の+D1側及び/又は-D1側の縁部が曲線状である態様において一定ではない。このように、所定の寸法が一定でない態様においては、以下に例示する寸法は、特に断りが無い場合は、最大寸法、最小寸法又は平均寸法のいずれに適用されてもよい。特異部分(例えば水晶素板3の比較的小さい突起部分)については、以下に例示する寸法の測定において、考慮されてもよいし、考慮外とされてもよい。
各種の寸法の範囲は、矛盾が生じないように適宜に組み合わされてよい。例えば、励振電極7のD1方向の長さの範囲の上限の例として、水晶素板3のD1方向の長さの範囲の下限の例よりも大きい値が示されるが、励振電極7のD1方向の長さの範囲の例と、水晶素板3のD1方向の長さの範囲の例とは、励振電極7のD1方向の長さが水晶素板3のD1方向の長さを超えないことを条件として、組み合わされてよい。矛盾が生じない条件は、論理的に明らかであることから、以下では特に説明しない。
水晶素板3(別の観点では水晶素子1)の第1方向(D1方向)における長さは、500μm以上1500μm以下とされてよい。水晶素板3の第2方向(D2方向)における長さは300μm以上2000μm以下とされてよい。水晶素板3の厚さ(1対の励振電極7間の厚さ)は、3μm以上100μm以下とされてよい。
厚み滑り振動を利用する水晶素子1においては、水晶素板3の1対の励振電極7間の厚さは、発振信号の周波数を決定する因子となっている。例えば、公知のように、ATカットの水晶素子においては、基本的には、f=1.67×n/tの関係が成り立つ。ここで、fは周波数(MHz)、nは利用される振動の次数、t(mm)は厚さである。水晶素子1は、基本波モードを利用するものであってもよいし、オーバートーンモードを利用するものであってもよい。なお、基本波モードが利用されてよいこと、及び厚さtが3μm以上100μm以下とされてよいことから理解されるように、水晶素子1が利用する周波数は、例えば、16MHz以上500MHz以下とされてよい。
励振電極7の第1方向(D1方向)における長さは、200μm以上1200μm以下とされてよい。励振電極7の第2方向(D2方向)における長さの範囲も上記と同様とされてよい。励振電極7において、第1方向における長さを第2方向の長さよりも長くする場合は、前者は後者の1.1倍以上1.5倍以下とされてよい。
水晶素板3の第1方向(D1方向)の長さは、励振電極7の第1方向における長さに対して、1.1倍以上2倍以下とされてよい。水晶素板3の第2方向(D2方向)の長さは、励振電極7の第2方向における長さに対して、1.1倍以上3倍以下とされてよい。
励振電極7の第2側の縁部(+D1側の短辺7a)から水晶素板3の第2側の縁部までの第1方向(D1方向)における距離は50μm以上300μm以下とされてよい。また、当該距離は、励振電極7の第1方向における長さの1/20以上1/3以下とされてよい。
励振電極7の第2方向(D2方向)の両側の縁部(+D2側又は-D2側の長辺7b)から水晶素板3の第2方向の両側の縁部までの第2方向における距離d1(図4参照)それぞれは50μm以上800μm以下とされてよい。また、距離d1は、励振電極7の幅(第2方向の長さ)に対して、1/20以上1倍以下とされてよい。
励振電極7と搭載電極11との第1方向(D1方向)における距離d2(別の観点では第1領域A1の第1方向の長さ。図4参照)は、50μm以上300μm以下とされてよい。また、当該距離は、励振電極7の第1方向における長さの1/20以上1/3以下とされてよい。
なお、距離d2が50μm以上、80μm以上又は100μm以上確保されていると、例えば、接合材105が励振電極7に到達してしまう蓋然性が低減される。また、例えば、距離d2が上記のような下限以上であると、水晶素子1が利用する周波数が100MHz以上の態様において、接合材105による固定が励振電極7による励振に及ぼす影響が低減されやすい。
第1領域A1と水晶素板3の第1側(-D1側)の縁部との第1方向(D1方向)における距離d3(別の観点では搭載電極11の第1方向における長さ。図4参照)は、50μm以上300μm以下とされてよい。また、当該距離は、励振電極7の第1方向における長さの1/20以上1/3以下とされてよい。
第1方向(D1方向)に対する直線状の引出電極9が延びる方向の角度θ1は、0°以上、10°以上、20°以上、30°以上又は40°以上とされてよく、また、60°以下、50°以下、45°以下、40°以下又は35°以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。例えば、角度θ1は、30°以上45°以下とされてよい。
引出電極9の幅(引出電極9が延びる方向に直交する方向の長さ)は、20μm以上、50μm又は100μm以上とされてよく、また、300μm以下、200μm以下又は100μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。また、引出電極9の幅は、励振電極7の幅(D2方向の長さ)の1/10以上1/3以下とされてよい。
本実施形態においては、引出電極9は、励振電極7の第2縁部(長辺7b)から第1方向(D1方向)に角度θ1で傾斜する方向に直線状に延びて搭載電極11に到達する。このような態様において、引出電極9が水晶素板3の主面(第1面3a又は第2面3b)上において搭載電極11に到達するためには、距離d1は、少なくとも、d2×tanθ1の長さを要する。すなわち、距離d1の範囲の下限は、d2×tanθ1とされてよい。距離d1の範囲の下限がd2×tanθ1である場合においても、既述の距離d1の範囲の例(50μm以上800μm以下及び/又は励振電極7の幅に対して1/20以上1倍以下)は適用されてよい。
また、本実施形態においては、距離d1の範囲の下限は、比較的大きくされてもよい。これにより、水晶素板3の主面上で励振電極7から搭載電極11まで第1領域A1を避けて直線状に延びる引出電極9の実現が容易化される。例えば、距離d1の下限は、100μm又は200μmとされてよく、また、励振電極7の幅の1/3又は1/2とされてよい。
(5.水晶素子の利用例)
図5は、水晶素子1の利用例としての水晶デバイス101の断面図である。この図は、図1のV-V線に対応している。
水晶デバイス101は、例えば、全体として、概略、薄型の直方体形状を有している電子部品である。水晶デバイスの寸法は、適宜な大きさとされてよい。一例を挙げると、長辺又は短辺の長さは、0.6mm以上2.0mm以下であり、上下方向の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下である。水晶デバイス101は、例えば、その下面を不図示の実装基体(例えば回路基板)の上面に対向させて表面実装される。
水晶デバイス101は、例えば、水晶振動子として構成されている。水晶デバイス101は、例えば、水晶素子1と、当該水晶素子1を保持しているパッケージ103とを有している。パッケージ103は、例えば、水晶素子1の保護に寄与するとともに、水晶素子1と上記の不図示の実装基体との電気的接続に寄与する。
パッケージ103は、例えば、水晶素子1を支持する基体107と、基体107に接合されて水晶素子1を気密に封止する蓋体109と、を有している。パッケージ103の内部空間は、例えば、真空とされ、又は適当なガス(例えば、窒素)が封入されている。基体107は、例えば、絶縁部材111と、絶縁部材111に位置している種々の導体とを有している。
絶縁部材111は、水晶素子1を収容する凹部R1を有する形状とされている。別の観点では、絶縁部材111は、平板状の基板部111aと、基板部111aの上面の縁部に沿って設けられている枠部111bとを有している。基板部111a及び枠部111bの材料は任意であり、例えば、セラミックである。基板部111aは、凹部R1の底面を構成する第1基板面111cと、水晶デバイス101の下面を構成する第2基板面111dとを有している。
基体107が有している導体としては、例えば、以下のものが挙げられる。水晶素子1と電気的に接続される2つのパッド113(1つのみ図示)。水晶デバイス101を実装基体に実装するための4つの外部端子115(2つのみ図示)。2つのパッド113と、4つの外部端子115のうちの2つとを接続する2つの配線導体117(1つのみ図示)。2つのパッド113に2つの配線導体117を介して接続されている2つの外部端子115に交流電圧が印加されることによって水晶素子1に交流電圧が印加される。
2つのパッド113は、2つの接合材105によって2つの引出電極9と接合される。これにより、水晶素子1が固定されるとともに、2つの励振電極7が2つの外部端子115と電気的に接続される。すなわち、水晶素子1がパッケージ103に実装される。2つのパッド113は、第1基板面111cに重なる導体層(例えば金属)によって構成されている。2つの搭載電極11の位置から理解されるように、2つのパッド113は、基板部111aの長手方向の一端側(-D1側)において、基板部111aの短手方向(D2方向)に並んでいる。パッド113の形状及び寸法は任意である。
4つの外部端子115は、第2基板面111dに重なる導体層(例えば金属)によって構成されている。外部端子115の位置、形状及び寸法は任意である。例えば、4つの外部端子115は、第2基板面111dの4隅に位置している。2つのパッド113に接続される2つの外部端子115の位置も任意である。例えば、当該2つの外部端子115は、第2基板面111dの1対の対角に位置していてもよいし、-D1側の2隅に位置していてもよい。
2つの配線導体117の構成は種々のものとされてよい。例えば、配線導体117は、基板部111aを貫通するビア導体を有していてもよいし、第1基板面111c、第2基板面111d、基板部111aの内部、及び/又は基板部111aの側面(キャスタレーションの内面を含む)に重なる層状導体を有していてもよいし、ビア導体及び層状導体の双方を有していてもよい。なお、図5に例示されている配線導体117は、ビア導体のみによって構成されている。
接合材105の材料は任意である。例えば、接合材105は、導電性接着剤からなる。導電性接着剤は、金属からなるフィラーを混ぜ込んだ熱硬化性樹脂によって構成されている。接合材105は、搭載電極11に対して、下面部11bのみに接合されていてもよいし、下面部11bに加えて中間部11cに接合されていてもよいし(図示の例)、さらに上面部11aに接合されていてもよい。
念のために記載すると、接合材105は、例えば、導体パターン5のうち搭載電極11以外の部分(引出電極9及び励振電極7)に接合されておらず、また、水晶素板3の主面(第1面3a及び第2面3b)のうち導体パターン5から露出している領域に接合されていない。ただし、接合材105は、特性が大きく低下しない量で、搭載電極11からその外側に比較的少量で食み出して、引出電極9の搭載電極11側の一部等に接合されていてもよい。
蓋体109は、例えば、絶縁体又は金属からなる平板状の部材である。蓋体109の基体107に対する接合方法も任意である。例えば、両者は、シーム溶接によって接合されてよい。図示の例では、シーム溶接に利用される金属層119及び121が図示されている。蓋体109が金属からなる態様においては、2つのパッド113に接続されていない2つの外部端子115のうち1つ又は2つは、不図示の配線導体117を介して蓋体109と接続されていてもよい。
水晶素子1は、上記の利用例の他、種々の態様で利用されてよい。
例えば、水晶振動子(圧電振動子)は、水晶素子1以外の電子素子を有していてもよい。そのような電子素子としては、例えば、感温素子(例えばサーミスタ)が挙げられる。また、水晶デバイス(圧電デバイス)は、水晶素子1に加えて、水晶素子1に電圧を印加して発振信号を生成する集積回路素子(IC:Integrated Circuit)を有する水晶発振器(圧電発振器)であってもよい。
上記から理解されるように、水晶デバイスが有するパッドの数及び外部端子の数は任意であり、また、複数のパッド及び複数の外部端子の役割及び接続関係も任意である。例えば、発振器においては、水晶素子1が搭載される2つのパッド113は、外部端子115ではなく、当該発振器内のICに電気的に接続されてよい。
圧電デバイスにおいて、水晶素子1をパッケージングするパッケージの構造は、適宜な構成とされてよい。例えば、パッケージは、上面及び下面に凹部を有する断面H型のものであってもよい。この場合、下面の凹部には、例えば、上記の感温素子又はICが実装されてよい。また、パッケージは、基板状の基体(凹部を有していない基体)と、基体に被せられるキャップ状の蓋体とで構成されるものであってもよい。また、例えば、圧電デバイス(パッケージ)は、恒温槽を有するものであってもよい。
(6.第1実施形態についてまとめ)
以上のとおり、本実施形態に係る圧電素子(水晶素子1)は、圧電素板(水晶素板3)と、2つの励振電極7と、2つの引出電極9と、2つの搭載電極11とを有している。水晶素板3は、第1方向(D1方向)及びD1方向に直交する第2方向(D2方向)に広がっている。2つの励振電極7は、水晶素板3の表裏に重なっている。2つの引出電極9は、2つの励振電極7から引き出されている。2つの搭載電極11は、2つの励振電極7に対してD1方向の第1側(-D1側)に位置しており、2つの引出電極9を介して2つの励振電極7と接続されている。2つの励振電極7のそれぞれは、-D1側に位置してD2方向に沿っている第1縁部(-D1側の短辺7a)と、第1縁部の両端からD1方向の第2側(+D2側)へ延びる2つの第2縁部(長辺7b)と、を有している。
ここで、平面透視において、以下の縁部及び仮想線によって囲まれる領域を第1領域A1と称するものとする。-D1側の短辺7a。-D1側の短辺7aの両端から-D1側へD1方向に平行に延びる2つの仮想線(符号省略)。2つの搭載電極11に対して+D1側から接する、D2方向に平行な仮想線。このように第1領域A1を規定するとき、2つの引出電極9のそれぞれは、2つの励振電極7のうちの自己に対応する励振電極7の2つの長辺7bのいずれか1つから、2つの搭載電極11のうちの自己に対応する搭載電極11まで、第1領域A1に重ならずに、一定の幅で延びている。
従って、例えば、第1領域A1に引出電極9が位置する態様に比較して、励振電極7から水晶素板3の-D1側の縁部まで励振電極7の幅で広がる領域(第1領域A1を含む。)に励振電極7以外の導体(引出電極9及び搭載電極11)が集中しない。これにより、例えば、水晶素子1が小型化されて励振電極7と搭載電極11との距離が短くされたときに、励振電極7以外の導体の影響によって、励振電極7の領域及びその周囲の領域における振動が意図されていたものと異なってしまう蓋然性が低減される。特に、D1方向に第1面3aと第2面3bとが相対移動する厚み滑り振動を利用するATカット型においては、第1領域A1に引出電極9が重ならないことによって、引出電極9が振動に及ぼす影響を低減しやすい。別の観点では、本実施形態では、第1領域A1に引出電極9が位置する態様に比較して、水晶素子1を小型化することが容易である。
ここで、本開示に係る発明者の鋭意検討の結果、第1領域A1に重ならないように引出電極9を配置して引出電極9が振動に及ぼす影響を低減しても、期待された電気的特性の向上が必ずしも確認されない場合が生じ得ることが分かった。さらに、その原因を追究すると、引出電極9が第1領域A1に重ならないように配置された結果、一般的な態様(引出電極9が励振電極7の-D1側の短辺7aから搭載電極11までD1方向に平行に延びる態様)に比較して、引出電極9の形状が複雑化し、引出電極9が直接的に電気的特性に影響を及ぼしていることが分かった。
一方、本実施形態では、励振電極7から搭載電極11まで引出電極9の幅を一定にしている。従って、例えば、引出電極9の幅が変化する部分における電流(別の観点では電気信号)の反射が低減される。その結果、エネルギーの損失が低減され、前段落で述べた引出電極9自体に起因する電気的特性の低下が低減される。この効果は、特に、水晶素子1が小型化されて引出電極9の幅が小さくされ、引出電極9の抵抗値が比較的大きいときに有効である。
水晶素板3は、その表裏に位置する2つの主面(第1面3a及び第2面3b)と、2つの主面をつなぐ側面と、を有していてよい。2つの引出電極9の一方(+D3側の引出電極9)は、(その幅の少なくとも一部が)2つの主面の一方(第1面3a)において2つの搭載電極11の一方につながっていてよい。2つの引出電極9の他方(-D3側の引出電極9)は、(その幅の少なくとも一部が)2つの主面の他方(第2面3b)において2つの搭載電極11の他方につながっていてよい。
この場合、例えば、引出電極9が励振電極7から水晶素板3の側面に至り、当該側面のみにおいて搭載電極11につながっている態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、引出電極9は、主面(第1面3a又は第2面3b)と側面との境界に跨るように延びる部分が低減される、又は無くされる。その結果、例えば、引出電極9は、3次元的に屈曲する部分が低減される。これにより、屈曲に起因して電流の反射及び/又は電磁波が生じる蓋然性が低減される。また、屈曲部分が低減されることによって、引出電極9の厚さが変化する蓋然性が低減され、ひいては、厚さの変化に起因して電流の反射が生じる蓋然性も低減される。電磁波及び/又は電流の反射が低減されることによって、エネルギーの損失が低減される。また、例えば、対象とする周波数に応じて水晶素板3の厚さが変更されたり、製造方法の条件変更に応じて水晶素板3の側面(結晶面)の形状が変わったりしても、引出電極9の幅が影響を受けにくい。その結果、引出電極9の幅を一定にすることが容易である。
2つの引出電極9のそれぞれは、自己に対応する励振電極7から自己に対応する搭載電極11まで、2つの励振電極7からD1方向に対して傾斜する方向に直線状に延びていてよい。
この場合、エネルギーの損失を低減する効果が向上する。その理由としては、引出電極9が曲がっている部分を有している態様(後述する図6参照)では、曲がっている部分で電気信号の反射が生じる可能性があるが、引出電極9が直線状の場合においては、そのような蓋然性が低いことが挙げられる。また、曲がっている部分においては、電磁波が生じる可能性があるが、そのような蓋然性も低くなる。すなわち、EMI(Electro Magnetic Interference)が低減される。さらに、水晶素板3及び励振電極7等の寸法が既定である場合(引出電極9の形状に応じて水晶素板3の寸法等を変更しない場合)においては、引出電極9の長さが最短とされる。この観点からも、エネルギーの損失が低減される。
上記のような直線状の各引出電極9のD1方向に対する傾斜角度(角度θ1)は、30°以上45°以下とされてよい。
角度θ1が30°以上の場合においては、例えば、引出電極9を第1領域A1から離しやすい。その結果、上述した引出電極9が振動に及ぼす影響を低減する効果が向上する。また、角度θ1が45°以下の場合においては、例えば、励振電極7の長辺7bから水晶素板3の縁部までの距離d1(>d2×tanθ1)を小さくしやすい。ひいては、水晶素子1のD2方向における小型化に有利である。
励振電極7の2つの長辺7bから、2つの長辺7bに対してD2方向の両側に位置する水晶素板3の2つの縁部までの距離d2それぞれの最小値は、2つの励振電極7のそれぞれのD2方向における幅の最大値の1/2以上とされてよい。
この場合、励振電極7の長辺7bから搭載電極11まで、引出電極9をD1方向に対して斜めに、かつ直線状に延ばすことが容易化される。なお、一般的な水晶素子1においては、励振電極7の側方(-D2側又は+D2側)にこのような広い領域は確保されない。特に、水晶素板3が平板状のものにおいては、このような広い領域は確保されない。
また、本実施形態に係る圧電デバイス(水晶デバイス101)は、上記に述べたような水晶素子1と、水晶素子1を保持しているパッケージ103と、を有している。これにより、例えば、エネルギーの損失が低減された水晶デバイス101が実現される。
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る水晶素子201の一部を示す平面図である。この図は、第1実施形態の図4に対応している。なお、この図では、説明の便宜上、引出電極209の互いに異なる領域に対して互いに異なるハッチングを付している。
第2実施形態においても、引出電極209は、励振電極7の長辺7bから搭載電極11まで、第1領域A1に重ならずに、一定の幅で延びている。ただし、第1実施形態の引出電極9が直線状に延びていたのに対して、本実施形態の引出電極209は、第1方向の第1側(-D1側)に向かって曲がる曲がり部209fを有している。これにより、例えば、第1実施形態に比較して、距離d1を小さくすることが容易化されている。なお、念のために記載すると、図6では不図示の他の引出電極209(及び他の引出電極209に関連する距離d1)も、図示された引出電極209と同様(180°回転対称)である。
より詳細には、図示の例では、引出電極209は、励振電極7に接続されている接続部209a(例えば斜線のハッチングが付された領域)と、当該接続部209aから直線的に延びている第1直線部209eと、当該第1直線部209eに接続されている上記の曲がり部209f(例えば斜線のハッチングが付された領域)と、曲がり部209fから搭載電極11まで直線状に延びている第2直線部209gと、を有している。
接続部209a及び第1直線部209eは、第1実施形態の引出電極9の、励振電極7側の一部に相当している。接続部209aにおいては、幅の捉え方にもよるが、第1実施形態の接続部9aと同様に、幅が一定でなくてもよい。第1直線部209eは、第1実施形態の引出電極9と同様に、D1方向に対して角度θ1で傾斜する方向に直線状に延びている。第1直線部209eの長さは任意である。例えば、当該長さは、引出電極209の幅に対して、短くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、長くてもよく、また、第2直線部209gの長さに対して、短くてもよいし(図示の例)、同等でもよいし、長くてもよい。
第2直線部209gは、D1方向に平行に延びている。換言すれば、D1方向に対する第2直線部209gが延びる方向の角度は0°である。図示の例とは異なり、第2直線部209gは、D1方向に対して、搭載電極11に近づくほど第1領域A1から離れる側へ(すなわち、自己に対応する第1直線部209eが傾斜している側と同じ側へ)傾斜していてもよい。この場合の第2直線部209gのD1方向に対する角度は、角度θ1よりも小さい。また、上記とは異なり、第2直線部209gは、D1方向に対して、搭載電極11に近づくほど第1領域A1に近づく側に傾斜していてもよい。ただし、この場合の第2直線部209gのD1方向に対する角度は、引出電極209が第1領域A1に重ならないように設定される。上記から理解されるように、引出電極209が-D1側に向かって曲がっているというとき、その曲がった後の方向(第2直線部209gが延びる方向)のD1方向に対する角度は、0°(図示の例)に限定されず、角度θ1と正負が同じで絶対値が小さい角度、又は角度θ1と正負が異なる角度であってもよい。
第2直線部209gの長さ(第2直線部209gが延びる方向の長さ)は任意である。例えば、第2直線部209gのD1方向の長さ(図示の例では第2直線部209gが延びる方向の長さと同じ)は、第1領域A1のD1方向の長さ(距離d2)に対して、1/2未満であってもよいし、1/2程度であってもよいし、1/2超であってもよい(図示の例)。
引出電極209は、搭載電極11との接続部(符号省略。第2直線部209gに含まれる。)においても幅が一定となっている。ただし、第1実施形態で述べたように、搭載電極11の形状、及び/又は引出電極209と搭載電極11との接続の向き等に起因して、幅が一定でなくなっていてもよい。例えば、第2直線部209gがD1方向に対して角度θ1よりも小さい(ただし0°ではない)角度で傾斜している態様において、第1実施形態と同様に、接続部によって三角形状の領域(幅が一定でない領域)が構成されていてもよい。
曲がり部209fの形状は種々のものとされてよい。図示の例では、曲がり部209fは、扇状の領域とされている。なお、扇状の領域及びその周囲の領域を曲がり部209fとして捉えてもよい。図示の例の曲がり部209fは、外周側に、屈曲点P1を中心とする弧状(上位概念で言えば曲線状)の縁部209jを有している。屈曲点P1は、2つの直線状の縁部209h及び209iの交点である。換言すれば、屈曲点P1は、第1直線部209eの、曲がり部209fの内周側に位置する縁部209hの、曲がり部209f側の端部であり、また、第2直線部209gの、曲がり部209fの内周側に位置する縁部209iの、曲がり部209f側の端部である。弧状の縁部209j(扇状の領域)の中心角の大きさは、例えば、第1直線部209e(縁部209h)のD1方向に対する角度θ1と、第2直線部209g(縁部209i)のD1方向に対する傾斜角度(符号省略。図示の例では0°)との差と同じであり、図示の例では角度θ1と同じである。
特に図示しないが、引出電極209が曲がっている部分において、引出電極209が延びる方向の種々の位置における引出電極209の幅は、例えば、当該曲がっている部分の外周側の縁部の種々の位置と、その種々の位置における接線に直交する方向における引出電極209の長さによって定義されてよい。図示の例の曲がり部209f(扇状の領域)においては、縁部209jの種々の位置における接線に直交する方向は、弧状の縁部209jの半径方向であり、引出電極209の幅は、縁部209jがなす弧の半径となるから、一定である。すなわち、曲がり部209fにおいて引出電極209の幅は一定である。ひいては、引出電極209の幅は、第1直線部209e、曲がり部209f及び第2直線部209gの全体に亘って一定である。
図示の例とは異なる態様の曲がり部としては、例えば、以下のものを挙げることができる。内縁と外縁とが、中心及び中心角が同じで、半径が異なる弧状である態様。内縁及び外縁のそれぞれが、曲率が変化する曲線状であり(換言すれば弧状ではなく)、前段落の定義による引出電極209の幅が一定である態様。
以上のとおり、本実施形態においても、2つの引出電極209のそれぞれは、2つの励振電極7のうちの自己に対応する励振電極7の2つの第2縁部(長辺7b)のいずれか1つから、2つの搭載電極11のうちの自己に対応する搭載電極11まで、第1領域A1に重ならずに、一定の幅で延びている。
従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、引出電極209が振動に及ぼす影響を低減することができるとともに、引出電極209においてエネルギーの損失が低減される。
2つの引出電極209のそれぞれは、自己に対応する励振電極7から自己に対応する搭載電極11へ延びる過程で第1側(-D1側)へ向かって曲がる曲がり部209fを有していてよい。曲がり部209fの外周側の縁部209jが曲線状であってよい。
この場合、例えば、少なくとも外周側の縁部209jが曲線状であることによって、引出電極209の幅を一定に維持しつつ、引出電極209が延びる方向を変化させることができる。そして、引出電極209が延びる方向を変化させることによって、既述のように、第1実施形態に比較して、距離d1を短くすることが容易化される。ひいては、水晶素子201を小型化することが容易化される。
2つの引出電極209のそれぞれは、曲がり部209fから第1側(-D1側)へ向かって直線状に延びる直線部(第2直線部209g)を有していてよい。曲がり部209fの外周側の縁部209jは、第2直線部209gの2つの縁部のうち、曲がり部209fの内周側に位置する縁部209iの、曲がり部209fの側の端部(屈曲点P1)を中心とする弧状の部分を有していてよい。
別の観点では、2つの引出電極209のそれぞれは、曲がり部209fの内周側に位置する縁部が、直線状に延びるとともに屈曲点P1で互いに交差する2つの部分(209h及び209i)を有していてよい。曲がり部209fの外周側の縁部209jは、屈曲点P1を中心とする弧状であってよい。
これらの場合、例えば、内周側の縁部及び外周側の縁部の双方が弧状であるような他の態様に比較して、引出電極209は、小さいスペースで大きな方向変換を行うことができる。その結果、距離d1を短くする効果が向上する。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る水晶素子301の一部を示す平面図である。この図は、第1実施形態の図4の一部に対応している。
第1実施形態では、引出電極9の、励振電極7との接続部9aの幅は、幅の定義にもよるが、一定でなくてもよいことを述べた。ただし、接続部9aは、一定の幅とされてもよい。第3実施形態は、そのような例となっている。具体的には、第3実施形態の引出電極309の、励振電極7との接続部309aは、第2実施形態の曲がり部209fと同様の構成とされている。すなわち、接続部309aの外縁は点P2を中心とする弧状とされている。これにより、接続部309aの幅は一定とされている。
図示の例では、引出電極309は、幅の少なくとも一部が励振電極7に接続されている位置(点P2の位置)から、搭載電極11(ここでは不図示)まで、第1方向(D1方向)に対して傾斜する方向に直線状に延びている。従って、引出電極309は、第1実施形態の引出電極9と同様に、励振電極7から搭載電極11まで第1方向(D1方向)に対して傾斜する方向に直線状に延びている引出電極の一例として捉えられてよい。
また、引出電極309は、第2実施形態の曲がり部209fと同様の構成(接続部309a)を有している。従って、引出電極309は、第2実施形態の引出電極209と同様に、自己に対応する励振電極7から自己に対応する搭載電極11へ延びる過程で第1側(-D1側)へ向かって曲がる曲がり部(接続部309a)を有する引出電極の一例として捉えられてもよい。
第3実施形態において、点P2は、第2実施形態の屈曲点P1と異なり、引出電極209が有する直線状の2つの縁部の交点ではなく、励振電極7の第2縁部(長辺7b)と引出電極309の-D1側(別の観点では曲がり部の内周側)の縁部との交点である。より詳細には、図示の例では、点P2は、長辺7bの-D1側の端部に位置している。なお、図示の例とは異なり、点P2(長辺7bと引出電極309の-D1側の縁部との交点)は、長辺7bの端部から+D1側に離れていてもよい。
曲がり部(接続部309a)よりも搭載電極11側の直線部分に着目した場合においては、点P2は、第2実施形態の屈曲点P1と同様のものとして捉えることができる。すなわち、点P2は、曲がり部(接続部309a)から第1側(-D1側)へ向かって直線状に延びる直線部の2つの縁部のうち、曲がり部の内周側に位置する縁部の、曲がり部の側の端部である。
特に図示しないが、接続部309aは、他の態様の曲がり部(内縁も曲線状の曲がり部)であってもよい。また、第3実施形態では、引出電極309の、励振電極7との接続部9aについて、幅が一定とされてもよいことについて述べた。同様に、引出電極309の搭載電極11との接続部についても、曲がり部209f(又は他の態様の曲がり部)と同様の形状が採用されることによって、幅が一定とされてもよい。
引出電極309において、接続部309a(曲がり部)から搭載電極11へ延びる方向(角度θ1)は任意である。例えば、角度θ1は、第1実施形態の角度θ1と同様に、0°超であってもよいし、第2実施形態の第2直線部209gのD1方向に対する角度と同様に、0°であってもよい。換言すれば、引出電極309は、励振電極7の第2縁部(長辺7b)から搭載電極11まで第1領域A1に重ならずに第1方向に平行に直線状に延びていてもよい。
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係る水晶素子401の一部を示す平面図である。この図は、第1実施形態の図4の一部に対応している。
第1実施形態では、引出電極9は、励振電極7からD1方向に斜めに傾斜する方向に延び出た。ただし、図8に示すように、引出電極409(接続部409a)は、励振電極7からD1方向に直交する方向に直線状に延び出てもよい。そして、引出電極409は、第2実施形態と同様に、曲がり部409fを含むことによって、励振電極7よりも-D1側に位置する搭載電極11に向かって延びていてよい。
なお、図示の例では、曲がり部409fは、図7の曲がり部209fと同様に扇状の態様となっている。ただし、曲がり部409fは、他の態様(内縁も曲線状の態様)であってもよい。また、曲がった後の方向は、第2実施形態でも述べたように、D1方向に平行であってもよいし、D1方向に傾斜する方向であってもよい。
以上の実施形態において、水晶素子1、201、301及び401は、それぞれ圧電素子の一例である。水晶デバイス101は圧電デバイスの一例である。水晶素板3は圧電素板の一例である。D1方向は第1方向の一例である。D2方向は第2方向の一例である。-D1側は第1方向の第1側の一例である。+D1側は第1方向の第2側の一例である。励振電極7の-D1側の短辺7aは第1縁部の一例である。励振電極7の長辺7bは第2縁部の一例である。水晶素板3の第1面3a及び第2面3bは、それぞれ圧電素板の主面の一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態及び変形例に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、既述の実施形態は、適宜に組み合わされてよい。例えば、図7に示した幅が一定の接続部309aの形状は、図6に示した引出電極209の接続部209aの形状に適用されてもよい。
圧電体は、水晶に限定されない。例えば、圧電体は、他の単結晶であってもよいし、多結晶からなるもの(例えばセラミック)であってもよい。なお、水晶に適宜なドーパントが添加されたものは水晶の一種と捉えられてよい。
1…水晶素子(圧電素子)、3…水晶素板(圧電素板)、7…励振電極、7a…短辺(励振電極の第1縁部)、7b…長辺(励振電極の第2縁部)、9…引出電極、11…搭載電極、101…水晶デバイス(圧電デバイス)、A1…第1領域。

Claims (10)

  1. 第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に広がっている圧電素板と、
    前記圧電素板の表裏に重なっている2つの励振電極と、
    前記2つの励振電極から引き出されている2つの引出電極と、
    前記2つの励振電極に対して前記第1方向の第1側に位置しており、前記2つの引出電極を介して前記2つの励振電極と接続されている2つの搭載電極と、
    を有しており、
    前記2つの励振電極のそれぞれは、前記第1側に位置して前記第2方向に沿っている第1縁部と、前記第1縁部の両端から前記第1方向の第2側へ延びる2つの第2縁部と、を有しており、
    平面透視において、前記第1縁部と、前記第1縁部の両端から前記第1側へ前記第1方向に平行に延びる2つの仮想線と、前記2つの搭載電極に対して前記第2側から接する、前記第2方向に平行な仮想線と、によって囲まれる領域を第1領域と称するとき、
    前記2つの引出電極のそれぞれは、前記2つの励振電極のうちの自己に対応する励振電極の前記2つの第2縁部のいずれか1つから、前記2つの搭載電極のうちの自己に対応する搭載電極まで、前記第1領域に重ならずに、一定の幅で延びている
    圧電素子。
  2. 前記圧電素板は、その表裏に位置する2つの主面と、2つの主面をつなぐ側面と、を有しており、
    前記2つの引出電極の一方は、前記2つの主面の一方において前記2つの搭載電極の一方につながっており、
    前記2つの引出電極の他方は、前記2つの主面の他方において前記2つの搭載電極の他方につながっている
    請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記2つの引出電極のそれぞれは、前記自己に対応する励振電極から前記自己に対応する搭載電極まで、前記第1方向に対して傾斜する方向に直線状に延びている
    請求項1又は2に記載の圧電素子。
  4. 前記2つの引出電極のそれぞれの前記第1方向に対する傾斜角度が30°以上45°以下である
    請求項3に記載の圧電素子。
  5. 前記2つの第2縁部から、前記2つの第2縁部に対して前記第2方向の両側に位置している前記圧電素板の2つの縁部までの距離それぞれの最小値が、前記2つの励振電極のそれぞれの前記第2方向における幅の最大値の1/2以上である
    請求項3又は4に記載の圧電素子。
  6. 前記圧電素板は平板状である
    請求項5に記載の圧電素子。
  7. 前記2つの引出電極のそれぞれは、前記自己に対応する励振電極から前記自己に対応する搭載電極へ延びる過程で前記第1側へ向かって曲がる曲がり部を有しており、前記曲がり部の外周側の縁部は曲線状である
    請求項1に記載の圧電素子。
  8. 前記2つの引出電極のそれぞれは、前記曲がり部から前記第1側へ向かって直線状に延びる直線部を有しており、
    前記曲がり部の外周側の縁部は、前記直線部の2つの縁部のうち、前記曲がり部の内周側に位置する縁部の、前記曲がり部の側の端部を中心とする弧状の部分を有している
    請求項7に記載の圧電素子。
  9. 前記2つの引出電極のそれぞれは、前記曲がり部の内周側に位置する縁部が、直線状に延びるとともに屈曲点で互いに交差する2つの部分を有しており、
    前記曲がり部の外周側の縁部は、前記屈曲点を中心とする弧状である
    請求項8に記載の圧電素子。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の圧電素子と、
    前記圧電素子を保持しているパッケージと、
    を有している圧電デバイス。
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