JP2023102835A - 光変調装置、光変調プログラム、及び光変調方法 - Google Patents

光変調装置、光変調プログラム、及び光変調方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気/光変換過程の非線形性の影響が少ない光変調装置を提供する。【解決手段】 本発明は、n系統のビット列を発生させる第1手段と、ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う第2手段と、光信号を分岐する第3手段と、分岐された光信号を変調する第4手段と、変調された各光信号及び分岐された光信号を結合する第5手段を有し、第2手段は、第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1演算部と、第2~第n-1演算部を備え、第2~第n-1演算部は、自身より1段前の演算部の演算結果及び第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、第4手段は、第1ビットに従って分岐された光信号を変調する第1の変調部と、第2~第nの変調部を備え、第2~第nの変調部については、第1~第n-1の演算部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を変調する。【選択図】 図1

Description

本発明は、光変調装置、光変調プログラム、及び光変調方法に関する。
近年、スマートフォン等のモバイルアプリケーションの発達、IoT(Internet Of Things)技術の出現により通信需要が急速に増大しており、加入者系光ネットワークの光伝送装置に大容量化が要求されている。そこで、従来基幹系光ネットワークに適用されていたコヒーレント光伝送装置を、加入者系光ネットワークに応用する研究が進められている。
コヒーレント光伝送は、信号光の振幅と位相の両方を情報の送受に利用するため、既存の加入者系光ネットワークで用いられてきた強度変調直接検波方式の光伝送に比べて単位時間当りに運ぶ情報量が多く、大容量通信に適した方式である。以下、一般的なコヒーレント光伝送系の構成および動作について説明を行う。
図2は、従来のコヒーレント光伝送系の一般的な構成を示す全体構成図である。図2において、光伝送システム10は、送信側伝送装置100、伝送路104、及び受信側伝送装置200を有する。
送信側伝送装置100は、受信側伝送装置200に送信する情報に従って光変調し、その変調光を伝送路104に送出する。図2に示すように、送信側伝送装置100は、送信手段101、第1の光源102、光変調手段103を有する。さらに、送信手段101は、ビット列発生手段110と、シンボル変換手段111とを有する。
送信手段101は、通報情報を含む電気信号を光変調手段103に与えるものである。ここで、電気信号とは、電流、電圧等の電気的な量の時間変化のことであり、その時間変化の仕方が情報を表す。加入者系光通信ネットワークでは、送信側伝送装置100と受信側伝送装置200との間で授受される通報情報は、2値(ビット)系列で表される。
ビット列発生手段110は、通報情報としてのビット系列を発生して、ビット系列をシンボル変換手段111に与える。
シンボル変換手段111は、ビット列発生手段110から出力されるビット系列を電気信号に変換して出力する。
第1の光源102は、連続光を発生して、光変調手段103に与える。
光変調手段103は、送信手段101から出力される電気信号に従って、第1の光源102から出力される連続光を変調する。このとき、光変調手段103から出力される出力光の振幅および位相の両方若しくはいずれか一方に、通報情報が含まれるよう、電気信号は光信号に変換される。その変調光は伝送路104に送出される。変調方式として、例えば、位相偏移変調(PSK;phase shift keying)は信号の位相を、直交振幅偏移変調(QAM; quadrature amplitude modulation)は信号の振幅および位相を情報の送受に用いる。
受信側伝送装置200は、送信側伝送装置100から送出された信号光を、伝送路104を介して受光し、受光した信号光を逆変換(光復調)して情報を取得する。
図2に示すように、受信側伝送装置200は、光コヒーレント検波手段106、第2の光源105、受信手段107を有する。さらに、受信手段107は、シンボル逆変換手段112と、ビット受信手段113とを有する。
第2の光源105は、連続光を発生して、光コヒーレント検波手段106に与える。
光コヒーレント検波手段106は、伝送路104から出力される信号光と、第2の光源105から出力される連続光とのビート成分を電気信号として出力する。このとき、入力された信号光の振幅および位相に関する情報が電気信号に変換される。
受信手段107は、光コヒーレント検波手段106から出力された電気信号から通報情報を復元する。
シンボル逆変換手段112は、光コヒーレント検波手段106からの電気信号をビット列に変換してビット受信手段113に与える。
ビット受信手段113は、通報情報の届け先であり、シンボル逆変換手段112からのビット系列(通報情報)を受信する。
次に、上述のシンボル変換手段111での動作について補足説明を行う。入力ビット系列は複数ビットを1単位として処理される。この単位に含まれるビット数は多値数と呼ばれる。例えば、16QAMフォーマットでは、多値数は4である。
続いて、シンボル変換手段111は、入力ビット系列を複数種類の値のいずれかに対応させる。例えば16QAMフォーマットでは、4ビットを1単位(多値数を4)として、入力ビット系列を16(=2の4乗)種類の値のいずれか一つに対応させる。その16種類の中のいずれかの値を保持するものがシンボルであり、シンボルを時系列であらわしたものがシンボル系列である。シンボル変換手段111をFPGA、ASIC、等のデジタル装置で実現する場合、シンボル系列は複数のビット系列を一組としたもので表現される。この組の系列数は桁数と呼ばれる。
後段の光変調手段103への入力は、アナログ信号であるので、デジタル-アナログ変換器(digital-to-analog converter;DAC)を用いて前記シンボル系列をアナログ信号に変換する。例えば非特許文献1では、オフライン処理ではあるが16QAMフォーマットでシンボル系列を発生させ、6桁のDACを用いてそのシンボル系列をアナログ信号に変換して光変調を実現している。
既存の加入者系光ネットワークで用いられてきた強度変調直接検波方式の光伝送では光信号強度が2種類(発光又は消光)のいずれかをとるのに対し、コヒーレント光伝送系では2種類以上の振幅のいずれかをとり、転送効率を向上させようとするほどより多種類の振幅のいずれかをとる。それらの振幅の違いは受信側で区別されなければならない。設計の簡素化等を考慮すると、通常、電気領域で十分区別ができる振幅差のシンボル系列を発生し、その間隔を保って光信号に変換する。即ち、コヒーレント光伝送系では光変調手段103での電気/光変換の過程で線形性が求められる。
この点、非特許文献2では、以下のようにして光変調手段の非線形性の影響を緩和している。
非特許文献2の図8では、従来の64QAM光変調手段の一例(64QAM変調器)が示されている。まず、光源から出力された連続光は、3つに等分岐されそれぞれマッハツェンダー型のIQ(in-phase and quadrature)変調器を用いてQPSK(quaternary PSK)変調される。QPSKが多値数2のフォーマットなので、2つのビット系列を入力することでその変調器から変調光が得られる。そのため、多値数が6である64QAM変調の入力ビット系列を処理するには、単位の6ビットを2ビットずつそれら3つのQPSK変調器の入力に割り当てることができる。得られた3系統のQPSK変調光は振幅比が1対2対4、つまりパワー比が1対4対16になるようにパワー調整を行う。パワー比の比率が2の累乗なので等分岐光方向性結合器を用いて容易にパワー調整できる。それら3系統のQPSK変調光をコヒーレントに結合することにより、64QAM変調光が得られる。
QPSK変調光は2相のBPSK(binary PSK)変調光を結合したものなので、電気/光変換の過程はBPSK変調と同等である。
非特許文献3の図2・3には、BPSK光変調の原理が示さている。入力印加電圧と出力光振幅との関係は正弦波状である。例えば、入力ビット値が1の場合印加電圧を正弦波の山に、入力ビット値が0の場合印加電圧を正弦波の谷になるように動作点を設定することで、連続光をBPSKフォーマットに変調することができる。ここで、BPSKフォーマットの光信号はπラジアン位相が異なる2種類の光パルスの時系列である。それら位相を便宜上0ラジアンおよびπラジアンとする。又は振幅の大きさと位相をひとまとめにしてそれぞれプラス(+)の振幅、マイナス(-)の振幅と表現する場合もある。動作点付近での入出力特性はビット1,0いずれにに対しても、印加電圧が少々異なってもほぼ同じ振幅の変調光が得られる。
2つのBPSK変調器出力光をπ/2ラジアンの位相差をつけてコヒーレント結合することでQPSK信号が得られる。
図3は、64QAM光変調手段における64QAM光変調の片相当りの入出力関係を示す説明図である。図3では、最左3列の入力ビット(QPSK1入力ビット~QPSK3入力ビット)に中央3列の入力電気信号振幅(QPSK1入力振幅~QPSK3入力振幅)を対応させるとする。QPSK1、QPSK2、QPSK3は、非特許文献2の図8に対応し、数値はそれらの振幅を表す。出力光の振幅は、最右一列(64QAM光出力振幅)の数値で示されている。
電気信号振幅および光信号振幅は任意スケールであり、”プラス”、”マイナス”の表記である。得られる光振幅は片相で-7,-5,-3,-1,+1,+3,+5,+7の8値である。両相の位相差をπ/2ラジアンとすると、非特許文献2の図8の光変調手段全体の出力に描かれているように、シンボル時間毎に一つの点が描け、十分長い時間では複素平面状で64(=8x8)値の点が描ける。なお、前述例の一点を信号点と呼び、十分長い時間での信号点の集合として表した図は、コンスタレーションと呼ばれている。
64QAMは多値数6のフォーマットであり、出力光信号のコンスタレーションは64個の信号点が正方形格子状に並んだ形をしている。このコンスタレーション図の中で、同相成分軸の非負部分の半直線(同相成分振幅が正で直交成分振幅が0である部分)と、一つの信号点と複素平面の原点とを結んだ線分とのなす角は、その信号点に対応する光信号の位相に一致する。そのため前記なす角を位相とも呼ぶ。
以上のように電気/光変換を直接処理する部分をQPSK変調器とすることで、従来の強度変調直接検波方式と同等の線形性を光変調器に要求すればよい。また、シンボル変換手段入力のビット系列を直接NRZ(non-return-to-zero)化した電気アナログ信号を光変調器への電気入力としているのでDACが不要となる。
F. Pittala, et al., " 400-Gbit/s DP-16-QAM Transmission Over 40-km Unamplified SSMF With Low-Cost PON Lasers," IEEE Photonics Technology Letters, vol. 31, no. 15, pp. 1229-1232, 2019. 美野真司,他,「PLC-LN ハイブリッド集積技術を用いた高速多値光変調器」,NTT技術ジャーナル,2011年3月. 電子情報通信学会「知識ベース」,9群,6編,3章.
ところで、非特許文献2に記載の光変調手段で、入力ビットと出力光コンスタレーションとの対応が図4(A)に示すように得られる。図4において、横軸は出力光同相成分の振幅を、縦軸は出力光直交成分の振幅を示す。格子状のマスは信号点を表す。横軸に関して、最左マスは振幅-7、その一つ右のマスは振幅-5、以下同様に最右マスは振幅+7を表す。縦軸に関して、最下マスは振幅-7、その一つ上のマスは振幅-5、以下同様に最上マスは振幅+7を表す。ビットの並びは(QPSK1同相成分、QPSK2同相成分、QPSK3同相成分、QPSK1直交成分、QPSK2直交成分、QPSK3直交成分)である。
ここで、変調された光信号点が受信側で正しく復元できるかというのが、伝送性能を評価する上で一つの重要な要素である。正しく認識できない場合、誤って認識される可能性の高い信号点は本来認識されるべき信号点に隣接する信号点である。図4(A)の対応では隣接信号点間で6ビットのうち2ビットが異なる場合がある。例えば、(同相成分振幅、直交成分振幅)の組が(+3,+1)と(+5,+1)の隣接信号点である。このように一つの信号点の受信誤りが2ビットの受信ビット誤りとなる。
また、非特許文献2に記載の光変調手段で、QPSK1の光変調器を使用せずQPSK2およびQPSK3の光変調器を使用した場合、16QAMフォーマットの出力光信号が得られる。16QAMの場合の入力ビットと出力光コンスタレーションとの対応は図4(B)に示されている。例えば、(同相成分振幅、直交成分振幅)の組が(+1,+1)と(-1,+1)の隣接信号点間で4ビットのうち2ビットが異なる場合がある。
伝送品質を向上させるには、信号点の認識が隣接信号点に誤る場合1ビットの受信ビット誤りとなるようにビットと信号点を対応付けることが望ましい。
また、光伝送性能を評価する上で重要なパラメータのもう一つとして位相オフセットが存在する。位相オフセットとは受信側での信号光と局部発振光の位相の差のことである。加入者系光ネットワークでは光源として主に半導体レーザーが使用される。半導体レーザーから発生する光の位相は、ランダムな揺らぎをもつ確率過程である。信号光は送信装置で、局部発振光は送信装置と独立に動作する受信装置で発生するため、それらの位相の差、つまり位相オフセットもまた確率過程となる。PSKやQAMと呼ばれる変調方式を用いた光伝送では、信号の位相を情報の送受に用いるため、この位相オフセットが伝送品質に影響を及ぼす。
非特許文献1で実施の16QAM、非特許文献2で実施の64QAMフォーマットでは、位相が異なる信号点間の隣接の位相差が信号点毎に異なっている。設定できる位相の範囲は0乃至2πラジアンに限定されており、その範囲で割り当てられた信号点間の位相差には大小が生じる。その中で隣接の位相差が小さい信号点ほど前記位相オフセットの影響を受けやすく、その隣接位相差が最小の信号点の伝送品質によって伝送全体の品質が左右される。
そのため、DACが不要、かつ電気/光変換過程の非線形性の影響が少ない光変調装置、光変調プログラム、及び光変調方法が望まれている。
第1の本発明は、振幅に関する多値数nに従い光変調を行う光変調装置であって、(1)n系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、(2)前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、(3)光源から入力された光信号を分岐する分岐手段と、(4)前記分岐手段で分岐された光信号を各々振幅変調する振幅変調手段と、(5)前記振幅変調手段で変調された各光信号及び前記分岐手段で分岐された光信号の1つをコヒーレント結合する結合手段とを有し、(6)前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第n-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第n-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、(7)前記振幅変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第1の振幅変調部と、第2~第nの振幅変調部を備え、前記第2~第nの振幅変調部については、前記第1~第n-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を振幅変調することを特徴とする。
第2の本発明の光変調プログラムは、振幅に関する多値数nに従い光変調を行う光変調装置に搭載されるコンピュータを、(1)n系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、(2)前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、(3)光源から入力された光信号を分岐する分岐手段と、(4)前記分岐手段で分岐された光信号を各々振幅変調する振幅変調手段と、(5)前記振幅変調手段で変調された各光信号及び前記分岐手段で分岐された光信号の1つをコヒーレント結合する結合手段として機能させ、(6)前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第n-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第n-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、(7)前記振幅変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第1の振幅変調部と、第2~第nの振幅変調部を備え、前記第2~第nの振幅変調部については、前記第1~第n-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を振幅変調することを特徴とする。
第3の本発明は、振幅に関する多値数nに従い光変調を行う光変調装置に使用する光変調方法であって、(1)情報ビット列発生手段は、n系統の情報ビット列を発生させ、(2)排他的論理和手段は、前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行い、(3)分岐手段は、光源から入力された光信号を分岐し、(4)振幅変調手段は、前記分岐手段で分岐された光信号を各々振幅変調し、(5)結合手段は、前記振幅変調手段で変調された各光信号及び前記分岐手段で分岐された光信号の1つをコヒーレント結合し、(6)前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第n-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第n-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、(7)前記振幅変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第1の振幅変調部と、第2~第nの振幅変調部を備え、前記第2~第nの振幅変調部については、前記第1~第n-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を振幅変調することを特徴とする。
第4の本発明は、位相に関する多値数mに従い光変調を行う光変調装置であって、(1)m系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、(2)前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、(3)光源から入力された光信号を位相変調する位相変調手段とを有し、(4)前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第m-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第m-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第mビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、(5)前記位相変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って前記光信号を位相変調する第1の位相変調部と、第2~第mの位相変調部を備え、前記第2~第mの振幅変調部については、前記第1~第m-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って、自身より1段前の位相変調部で処理された出力光を位相変調することを特徴とする。
第5の本発明の光変調プログラムは、位相に関する多値数mに従い光変調を行う光変調装置に搭載されるコンピュータを、(1)m系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、(2)前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、(3)光源から入力された光信号を位相変調する位相変調手段として機能させ、(4)前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第m-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第m-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第mビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、(5)前記位相変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って前記光信号を位相変調する第1の位相変調部と、第2~第mの位相変調部を備え、前記第2~第mの振幅変調部については、前記第1~第m-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って、自身より1段前の位相変調部で処理された出力光を位相変調することを特徴とする。
第6の本発明は、位相に関する多値数mに従い光変調を行う光変調装置に使用する光変調方法であって、(1)情報ビット列発生手段は、m系統の情報ビット列を発生させ、(2)排他的論理和手段は、前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行い、(3)位相変調手段は、光源から入力された光信号を位相変調し、(4)前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第m-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第m-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第mビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、(5)前記位相変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って前記光信号を位相変調する第1の位相変調部と、第2~第mの位相変調部を備え、前記第2~第mの振幅変調部については、前記第1~第m-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って、自身より1段前の位相変調部で処理された出力光を位相変調することを特徴とする。
本発明によれば、DACが不要、かつ電気/光変換過程の非線形性の影響が少ない光変調装置、光変調プログラム、及び光変調方法を提供できる。
第1の実施形態に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。 従来のコヒーレント光伝送系の一般的な構成を示す全体構成図である。 従来の光変調手段における64QAM光変調の片相当りの入出力関係を示す説明図である。 従来の光変調手段における入力ビットと出力光の対応付けを示す説明図である。 第1の実施形態に係る光変調装置の動作を示すタイムチャート(その1)である。 第1の実施形態に係る光変調装置の動作を示すタイムチャート(その2)である。 第1の実施形態に係る光変調装置の処理結果(図5及び図6で示される時間波形)をコンスタレーション表記した説明図である。 第2の実施形態に係る多振幅化の一例を示す説明図(その1)である。 第2の実施形態に係る多振幅化の一例を示す説明図(その2)である。 第2の実施形態に係る光変調装置の構成を示すブロック図(その1)である。 第2の実施形態に係る光変調装置の構成を示すブロック図(その2)である。
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係る光変調装置、光変調プログラム、及び光変調方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。第1の実施形態では、光伝送装置に本発明の光変調装置を適用する場合を例示する。
(A-1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。
図1において、光変調装置1は、連続光源11、分岐手段12、第1の振幅変調手段13、第2の振幅変調手段14、結合手段15、第1の位相変調手段16、第2の位相変調手段17、情報ビット列発生手段18、第1の排他的論理和手段19、及び第2の排他的論理和手段20を有する。
光変調装置1は、図1に例示する構成要素を搭載した専用のICチップ等をハードウェアとして適用してもよいし、又は、CPUと、CPUが実行するプログラムを中心としてソフトウェア的に構成しても良いが、機能的には、図1で表すことができる。
連続光源11は、連続光を発生して、分岐手段12に出力する手段である。
分岐手段12は、連続光源11から入力(入射)された連続光を、3つに分岐する手段である。分岐手段12は、連続光を3つに分岐した1つの光を第1の振幅変調手段13に出力し、分岐したもう1つの光を第2の振幅変調手段14に出力し、分岐した残りの光を結合手段15に出力する。
第1の振幅変調手段13は、分岐手段12からの光(分岐手段12の出力ポートの1つの光)を入力し、後述の情報ビット列発生手段18の第1のビット18B-1の値に従って、振幅変調して出力する手段である。第1の振幅変調手段13は、振幅変調した光を結合手段15に出力する。
第2の振幅変調手段14は、分岐手段12からの光(分岐手段12の上記とは別の出力ポートの1つの光)を入力し、後述の第1の排他的論理和手段19の出力ビットの値に従って振幅変調して出力する手段である。第2の振幅変調手段14は、振幅変調した光を結合手段15に出力する。
結合手段15は、第1の振幅変調手段13の出力光と、第2の振幅変調手段14の出力光と、分岐手段12の上記2つとは別の出力ポートの出力光とを結合して出力する手段である。結合手段15は、結合した光を第1の位相変調手段16に出力する。
第1の位相変調手段16は、結合手段15の出力光を入力し、後述の情報ビット列発生手段18の第3のビット18B-3の値に従って位相変調して出力する手段である。第1の位相変調手段16は、位相変調した光を第2の位相変調手段17に出力する。
第2の位相変調手段17は、第1の位相変調手段16の出力光を入力し、後述の第2の排他的論理和手段20の出力ビットの値に従って位相変調して出力する手段である。第2の位相変調手段17は、位相変調した光を、出力信号25として外部に出力する。
情報ビット列発生手段18は、送受信する時系列の2値情報を発生する手段である。情報ビット列発生手段18では、4系統の2値情報が並列に発生し、4系統のそれぞれを第1のビット18B-1、第2のビット18B-2、第3のビット18B-3、及び第4のビット18B-4とする。なお、送受信する2値情報時系列が直列等、4系統の並列になっていない場合、予め並列数の変換をした出力が本手段であるとする。
第1の排他的論理和手段19は、情報ビット列発生手段18から出力される2値情報時系列の第1のビット18B-1及び第2のビット18B-2の排他的論理和を演算し、その演算結果の2値情報時系列を上述の第2の振幅変調手段14に出力する手段である。
第2の排他的論理和手段20は、情報ビット列発生手段18から出力される2値情報時系列の第3のビット18B-3及び第4のビット18B-4の排他的論理和を演算し、その演算結果の2値情報時系列を上述の第2の位相変調手段17に出力する手段である。
上述の情報ビット列発生手段18、第1の排他的論理和手段19、及び第2の排他的論理和手段20は、2値情報系列を処理・演算する手段であるので、例えば、ASICやFPGA等のデジタル信号処理装置で実現することができる。
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態に係る光変調装置1の動作を説明する。
図5及び図6は、第1の実施形態に係る光変調装置1の動作を示すタイムチャートである。
図5(A)(図6(A))では、情報ビット列発生手段18から発生するビット系列が示されている。ビット系列は、左から順に発生するとし、また、発生する4ビットは図に示すように同期しているとする。図5(B)~図5(E)は、結合手段15の入出力光信号波形を示している。
第1の振幅変調手段13では、上述のBPSK変調方式で情報ビット列の第1のビット18B-1に従って変調されるので、ビット1を振幅+2、ビット0を振幅-2に対応させると、その出力波形は図5(B)のようになる。この波形をもつ光信号が結合手段15に入力される。
一方、第2の振幅変調手段14では、上述のBPSK変調方式で情報ビット列の第1のビット18B-1及び第2のビット18B-2の排他的論理和に従って変調されるので、第1の排他的論理和手段19の出力ビットのビット1を振幅+1、ビット0を振幅-1に対応させると、その出力波形は図5(C)のようになる。この波形をもつ光信号が結合手段15に入力される。
また、結合手段15の一つの入力は、分岐手段12の出力が直接接続されているので、図5(D)の波形で示す連続光が結合手段15に入力される。この連続光の振幅を+4とする。
以上説明した3系統の光を結合手段15に入力しコヒーレントに結合することにより図5(E)に示す波形の光信号が得られる。
図6(F)では、第1の位相変調手段16の出力光信号の波形が示されている。図6(F)において、線は、波形振幅の変化を表し、数字は位相を表しその時間での結合手段15の出力光信号からの位相差を示す。波形振幅は、図5(E)と同一である。
位相変調手段の入出力特性は、上述の非特許文献の図2・3に示す通りであり、所望の位相シフトを与えるよう電圧を印加することで、入力光の位相を変調することができる。第1の位相変調手段16では、情報ビット列の第3のビット18B-3に従って変調されるので、ビット1を位相+π/2ラジアン、ビット0を位相-π/2ラジアンに対応させることにより、図6(F)に示す位相変化をもつ光信号が得られる。
図6(G)では、第2の位相変調手段17の出力光信号の波形が示されている。線は波形振幅の変化を表し、数字は位相を表しその時間での結合手段15の出力光信号からの位相差を示す。波形振幅は、図5(E)と同一である。
第2の位相変調手段17では、情報ビット列の第3のビット18B-3及び第4のビット18B-4の排他的論理和に従って変調されるので、第2の排他的論理和手段20の出力ビットのビット1を位相+π/4ラジアン、ビット0を位相-π/4ラジアンに対応させると、図6(G)に示す位相変化をもつ光信号が得られる。
図7は、第1の実施形態に係る光変調装置の処理結果(図5及び図6で示される時間波形)をコンスタレーション表記した説明図である。
図7(A)は結合手段15の出力光信号のコンスタレーション表記、図7(B)は第1の位相変調手段16の出力光信号のコンスタレーション表記、図8(c)は第2の位相変調手段17の出力光信号(即ち、目的とする出力信号25)のコンスタレーション表記を示している。
各図において、信号点のそばに記載した「0」,「1」の数字は対応する情報ビットであり、ビットの並びは左から順に第1のビット18B-1、第2のビット18B-2、第3のビット18B-3、及び第4のビット18B-4である。対応する情報ビットは、隣接する信号点間で1ビットの違いしかない。
(A-3)第1の実施形態の効果
第1の本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
光変調装置1は、送信するビット系列を直接アナログ化した2値の電気信号で光変調手段を駆動することで電気/光変換が実現できる。よってビット系列をシンボル系列に変換するシンボルマッパやDACといった手段が不要になり、簡素な構成で装置化することが可能となる。
また、個々の光振幅変調手段は、2値の電気信号で駆動され、その出力光シンボルは2種類であり、互いに位相がπラジアン異なるが、共に振幅が同じである。よって、電気/光変換過程の非線形性の影響が緩和され、良好な波形の光を送信することで受信信号の品質が向上する。
さらに、隣接信号点間で、割り当てられている4ビットのパターンが1ビットしか異ならない。よって、1つのシンボル誤りが複数のビット誤りに変換されないビット/シンボル変換であり、良好な誤り特性をもつ伝送が達成できる。
そして、同じ多値数4の変調方式である16QAMでは隣接信号点間の位相差が最小で(tan-13-π/4)≒0.464ラジアンである。一方、光変調装置1では、信号点間位相差の最小値はπ/2≒1.57ラジアンである。よって本実施形態の方が光源の位相雑音に対する耐性が高い。そのため、光源として使用される半導体レーザーは、従来に比べれば高い精度が求められない。言い換えれば、光源については、従来よりもコストダウンを図る余地が有る。
(B)第2の実施形態
以下では、本発明に係る光変調装置、光変調プログラム、及び光変調方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。第2の実施形態では、光伝送装置に本発明の光変調装置を適用する場合を例示する。
(B-1)第2の実施形態の構成
上述した第1実施形態の変調方式は、多値数4(振幅に関して2、位相に関して2)であった。ここで、多値数n(nは2以上の整数)の変調が実現ができるか考察する。
図8、図9は、第2の実施形態に係る多振幅化の一例を示す説明図である。図8(A)では、多値数2の場合の光振幅の割り当てを示している(第1の実施形態の振幅に関する割り当てと同様)。図8(A)中の振幅は、最上位桁をb1、最下位桁をC1とした2進数を10進数表記したものである。この振幅に0.5を加え、続いて2倍したものが、上述の結合手段15の出力振幅(任意スケール)となる。また、図8(B)では、多値数3の場合の光振幅を割り当てを示している。図8(B)中の振幅は、最上位桁をb1、次の上位桁をC1、最下位桁をC2とした2進数を10進数表記したものである。この振幅に0.5を加え、続いて2倍したものが上述の結合手段15の出力振幅(任意スケール)となる。図9では、多値数4の場合の光振幅を割り当てを示している。図9中の振幅は、最上位桁をb1、次の上位桁をc1、次の上位桁をc2、最下位桁をc3とした2進数を10進数表記したものである。この振幅に0.5を加え、続いて2倍したものが上述の結合手段15の出力振幅(任意スケール)となる。
これ以降(多値数5以上の場合)も、図8、図9で示した演算と同様の方法により、振幅が決定できる。多振幅化と多位相化とは同じ原理で動作するので、位相についても、上記同様の演算により位相が決定できる。次に、上記手法による光変調装置の構成を示す。
図10、図11は、第2の実施形態に係る光変調装置の構成を示すブロック図である。第2の実施形態では、振幅方向に関する多値数を示す「n」と、位相方向に関する多値数を示す「m」の合計数「m+n」が光変調装置の多値数となる。
図10、図11において、光変調装置3は、連続光源31、分岐手段32、振幅変調手段33(33-1~33-n)、結合手段34、情報ビット列発生手段35、排他的論理和手段36(36-1~36-n+m-2)、及び位相変調手段37(37-1~33-m)を有する。
光変調装置3は、図10、図11に例示する構成要素を搭載した専用のICチップ等をハードウェアとして適用してもよいし、又は、CPUと、CPUが実行するプログラムを中心としてソフトウェア的に構成しても良いが、機能的には、図1で表すことができる。
連続光源31は、上述の連続光源11と同様である。
分岐手段32は、連続光を、分岐する数以外は、上述の分岐手段12と基本的に同様である。分岐手段32は、n+1個に連続光を分岐して出力する。
振幅変調手段33(33-1~33-n)は、基本的には、第1の実施形態の第1の振幅変調手段13及び第2の振幅変調手段14と同様の機能を備える。即ち、振幅変調手段33-1は、第1の振幅変調手段13と同様の処理を行い、振幅変調手段33-2は、第2の振幅変調手段14と同様の処理を行う(これ以降も同様である)。最終的に、振幅変調手段33-nは、分岐手段32からの光を入力し、後述の排他的論理和手段36-n-1の出力ビットの値に従って振幅変調して結合手段34に出力する。
結合手段34は、各振幅変調手段33の出力光と、分岐手段32からの出力光とを結合して出力する手段である。結合手段34は、結合した光を位相変調手段37-1(第1の位相変調手段37-1)に出力する。
位相変調手段37(37-1~37-m)は、基本的には、第1の実施形態の第1の位相変調手段16及び第2の位相変調手段17と同様の機能を備える。即ち、位相変調手段37-1は、第1の位相変調手段16と同様の処理を行い、位相変調手段37-2は、第2の位相変調手段17と同様の処理を行う(これ以降も同様である)。最終的に、位相変調手段37-mは、位相変調手段37-m-1の出力光を入力し、後述の排他的論理和手段36-n+m-2の出力ビットの値に従って位相変調して出力する(位相変調した光を、出力信号40として外部に出力する)。
情報ビット列発生手段35は、第1の実施形態の情報ビット列発生手段18と同様に、送受信する時系列の2値情報を発生する手段である。情報ビット列発生手段35では、n+m系統の2値情報が並列に発生する。即ち、情報ビット列発生手段35は、第1のビット35B-1~第n+mのビット35B-n+mを発生させる。
排他的論理和手段36(36-1~36-n+m-2)は、基本的には、第1の排他的論理和手段19及び第2の排他的論理和手段20と同様の機能を備える。即ち、排他的論理和手段36-1は、第1の排他的論理和手段19と同様の処理を行い、排他的論理和手段36-nは、第2の排他的論理和手段20と同様の処理を行う。
上述の情報ビット列発生手段35、排他的論理和手段36(36-1~36-n+m-2)は、2値情報系列を処理・演算する手段であるので、例えば、ASICやFPGA等のデジタル信号処理装置で実現することができる。
(B-2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態に係る光変調装置3の動作を説明する。第2の実施形態の光変調装置3は、第1の実形形態の光変調装置1の発展形(一般化した構成)であるので、以下、異なる点のみを補足して説明を行う。
まず、第1の実施形態の光変調装置1は、言い換えれば、nが2、mが2の多値数4の光変調装置3の構成であるので、nが2、mが2までの光変調装置3の動作は、第1の実施形態と同様である。
nが3以上の処理(振幅方向の処理)について、第3の振幅変調手段33-3では、上述のBPSK変調方式で排他的論理和手段36-2の出力ビット及び第3のビット35B-3の排他的論理和に従って変調される(第4以降も同様)。最終的に、第nの振幅変調手段33-nでは、排他的論理和手段36-n-2の出力ビット及び第nのビット35B-nの排他的論理和に従って変調される。
一方、mが3以上の処理(位相方向の処理)について、第3の位相変調手段37-3では、排他的論理和手段36-nの出力ビット及び第n+3のビット35B-n+3の排他的論理和に従って、第2の位相変調手段37-2の出力光が変調される(第4以降も同様)。最終的に、第mの位相変調手段37-mでは、排他的論理和手段36-n+m-3の出力ビット及び第n+mのビット35B-n+mの排他的論理和に従って、変調される。
(B-3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、振幅方向に関する多値数が3以上で、位相方向に関する多値数が3以上の場合の光変調でも、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
(C)他の実施形態
上述した各実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
(C-1)上述した第1の実施形態の光信号の変調方式は16相振幅位相偏移変調(16APSK)であり、多値数4のビット/シンボル変換である。その光変調過程で、多値数2の4相パルス振幅変調(4PAM)(図7(A))や多値数3の8APSK(図7(C))の光信号が生成される。それらの変調方式に対してもビットと信号点の対応関係は、隣接信号点間で1ビットしかビットパターンが異ならないようになっている。したがって、上述した第1の実施形態で、結合手段15の出力を装置全体の出力光信号とすることで4PAMの光信号を、第1の位相変調手段16の出力を装置全体の出力光信号とすることで8APSKの光信号を発生できる。そして、これらの変形例は、上述した実施形態と同等の効果を有する。また、結合手段15の出力光、第1の位相変調手段16の出力光、および第2の位相変調手段17の出力光をスイッチ手段で選択するような構成をとることにより、変調方式を可変できる光変調装置を実現することができる。
(C-2)上述した第2の実施形態では、光変調装置3で、多値数n(振幅方向)と多値数m(位相方向)の光変調を行う一例を示していたが、変形例として、振幅又は位相のいずれかのみ変調を行っても良い。振幅のみの変調を行う場合、結合手段34の出力光を装置全体の出力光信号とすれば良い。また、位相のみの変調を行う場合、振幅の変調を行わず、光源からの光信号に対して位相のみ変調処理を行った信号を装置全体の出力光信号とすれば良い。
1、3…光変調装置、11…連続光源、12…分岐手段、13…第1の振幅変調手段、14…第2の振幅変調手段、15…結合手段、16…第1の位相変調手段、17…第2の位相変調手段、18…情報ビット列発生手段、18B-1~18B-14…第1のビット~第4のビット、19…第1の排他的論理和手段、20…第2の排他的論理和手段、25…出力信号、31…連続光源、32…分岐手段、33(33-1~33-n)…振幅変調手段、34…結合手段、35…情報ビット列発生手段、35B-1~35B-n+m…第1のビット~第n+mのビット、36(36-1~36-n+m-2)…排他的論理和手段、37(37-1~37-m)…位相変調手段、40…出力信号。
非特許文献3の図2・3には、BPSK光変調の原理が示さている。入力印加電圧と出力光振幅との関係は正弦波状である。例えば、入力ビット値が1の場合印加電圧を正弦波の山に、入力ビット値が0の場合印加電圧を正弦波の谷になるように動作点を設定することで、連続光をBPSKフォーマットに変調することができる。ここで、BPSKフォーマットの光信号はπラジアン位相が異なる2種類の光パルスの時系列である。それら位相を便宜上0ラジアンおよびπラジアンとする。又は振幅の大きさと位相をひとまとめにしてそれぞれプラス(+)の振幅、マイナス(-)の振幅と表現する場合もある。動作点付近での入出力特性はビット1,0いずれに対しても、印加電圧が少々異なってもほぼ同じ振幅の変調光が得られる。
第1の本発明は、振幅に関する多値数n(nは3以上の整数)に従い光変調を行う光変調装置であって、(1)n系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、(2)前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、(3)光源から入力された光信号を分岐する分岐手段と、(4)前記分岐手段で分岐された光信号を各々振幅変調する振幅変調手段と、(5)前記振幅変調手段で変調された各光信号及び前記分岐手段で分岐された光信号の1つをコヒーレント結合する結合手段とを有し、(6)前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第n-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第n-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、(7)前記振幅変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第1の振幅変調部と、第2~第nの振幅変調部を備え、前記第2~第nの振幅変調部については、前記第1~第n-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を振幅変調することを特徴とする。
第2の本発明の光変調プログラムは、振幅に関する多値数n(nは3以上の整数)に従い光変調を行う光変調装置に搭載されるコンピュータを、(1)n系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、(2)前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、(3)光源から入力された光信号を分岐する分岐手段と、(4)前記分岐手段で分岐された光信号を各々振幅変調する振幅変調手段と、(5)前記振幅変調手段で変調された各光信号及び前記分岐手段で分岐された光信号の1つをコヒーレント結合する結合手段として機能させ、(6)前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第n-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第n-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、(7)前記振幅変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第1の振幅変調部と、第2~第nの振幅変調部を備え、前記第2~第nの振幅変調部については、前記第1~第n-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を振幅変調することを特徴とする。
第3の本発明は、振幅に関する多値数n(nは3以上の整数)に従い光変調を行う光変調装置に使用する光変調方法であって、(1)情報ビット列発生手段は、n系統の情報ビット列を発生させ、(2)排他的論理和手段は、前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行い、(3)分岐手段は、光源から入力された光信号を分岐し、(4)振幅変調手段は、前記分岐手段で分岐された光信号を各々振幅変調し、(5)結合手段は、前記振幅変調手段で変調された各光信号及び前記分岐手段で分岐された光信号の1つをコヒーレント結合し、(6)前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第n-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第n-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、(7)前記振幅変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第1の振幅変調部と、第2~第nの振幅変調部を備え、前記第2~第nの振幅変調部については、前記第1~第n-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を振幅変調することを特徴とする。

Claims (10)

  1. 振幅に関する多値数nに従い光変調を行う光変調装置であって、
    n系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、
    前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、
    光源から入力された光信号を分岐する分岐手段と、
    前記分岐手段で分岐された光信号を各々振幅変調する振幅変調手段と、
    前記振幅変調手段で変調された各光信号及び前記分岐手段で分岐された光信号の1つをコヒーレント結合する結合手段とを有し、
    前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第n-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第n-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、
    前記振幅変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第1の振幅変調部と、第2~第nの振幅変調部を備え、前記第2~第nの振幅変調部については、前記第1~第n-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を振幅変調する
    ことを特徴とする光変調装置。
  2. 前記nは、2であり、
    前記排他的論理和手段は、前記第1の排他的論理和部のみ備え、
    前記振幅変調手段は、前記第1の振幅変調部と、前記第1の排他的論理和部の演算結果に従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第2の振幅変調部のみ備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の光変調装置。
  3. 当該光変調装置は、振幅に関する多値数nと、位相に関する多値数mに従い光変調を行う光変調装置であって、
    前記結合手段の出力光を位相変調する位相変調手段をさらに有し、
    前記情報ビット列発生手段は、n+m系統の情報ビット列を発生させ、
    前記排他的論理和手段は、さらに、前記情報ビット列の第n+1ビット及び第n+2ビットの排他的論理和を演算する第nの排他的論理和部と、第n+1~第n+m-2の排他的論理和部を備え、前記第n+1~第n+m-2の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第n+3~第n+mビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、
    前記位相変調手段は、前記情報ビット列の第n+1ビットに従って前記結合手段の出力光を位相変調する第1の位相変調部と、第2~第mの位相変調部を備え、前記第2~第mの振幅変調部については、前記第n+1~第n+m-2の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って、自身より1段前の位相変調部で処理された出力光を位相変調する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光変調装置。
  4. 前記mは、1であり、
    前記排他的論理和手段は、前記第1~第n-1の排他的論理和部のみ備え、
    前記位相変調手段は、前記第1の位相変調部のみ備える
    ことを特徴とする請求項3に記載の光変調装置。
  5. 前記mは、2であり、
    前記排他的論理和手段は、前記第1~第nの排他的論理和部のみ備え、
    前記位相変調手段は、前記第1の位相変調部と、前記第nの排他的論理和部の演算結果に従って、前記第1の位相変調部で処理された出力光を位相変調する第2の位相変調部のみ備える
    ことを特徴とする請求項3に記載の光変調装置。
  6. 振幅に関する多値数nに従い光変調を行う光変調装置に搭載されるコンピュータを、
    n系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、
    前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、
    光源から入力された光信号を分岐する分岐手段と、
    前記分岐手段で分岐された光信号を各々振幅変調する振幅変調手段と、
    前記振幅変調手段で変調された各光信号及び前記分岐手段で分岐された光信号の1つをコヒーレント結合する結合手段として機能させ、
    前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第n-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第n-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、
    前記振幅変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第1の振幅変調部と、第2~第nの振幅変調部を備え、前記第2~第nの振幅変調部については、前記第1~第n-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を振幅変調する
    ことを特徴とする光変調プログラム。
  7. 振幅に関する多値数nに従い光変調を行う光変調装置に使用する光変調方法であって、
    情報ビット列発生手段は、n系統の情報ビット列を発生させ、
    排他的論理和手段は、前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行い、
    分岐手段は、光源から入力された光信号を分岐し、
    振幅変調手段は、前記分岐手段で分岐された光信号を各々振幅変調し、
    結合手段は、前記振幅変調手段で変調された各光信号及び前記分岐手段で分岐された光信号の1つをコヒーレント結合し、
    前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第n-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第n-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第nビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、
    前記振幅変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って分岐された光信号の1つを振幅変調する第1の振幅変調部と、第2~第nの振幅変調部を備え、前記第2~第nの振幅変調部については、前記第1~第n-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って分岐された各光信号を振幅変調する
    ことを特徴とする光変調方法。
  8. 位相に関する多値数mに従い光変調を行う光変調装置であって、
    m系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、
    前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、
    光源から入力された光信号を位相変調する位相変調手段とを有し、
    前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第m-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第m-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第mビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、
    前記位相変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って前記光信号を位相変調する第1の位相変調部と、第2~第mの位相変調部を備え、前記第2~第mの振幅変調部については、前記第1~第m-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って、自身より1段前の位相変調部で処理された出力光を位相変調する
    ことを特徴とする光変調装置。
  9. 位相に関する多値数mに従い光変調を行う光変調装置に搭載されるコンピュータを、
    m系統の情報ビット列を発生させる情報ビット列発生手段と、
    前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行う排他的論理和手段と、
    光源から入力された光信号を位相変調する位相変調手段として機能させ、
    前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第m-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第m-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第mビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、
    前記位相変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って前記光信号を位相変調する第1の位相変調部と、第2~第mの位相変調部を備え、前記第2~第mの振幅変調部については、前記第1~第m-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って、自身より1段前の位相変調部で処理された出力光を位相変調する
    ことを特徴とする光変調プログラム。
  10. 位相に関する多値数mに従い光変調を行う光変調装置に使用する光変調方法であって、
    情報ビット列発生手段は、m系統の情報ビット列を発生させ、
    排他的論理和手段は、前記情報ビット列のビット情報を用いて排他的論理和の演算を行い、
    位相変調手段は、光源から入力された光信号を位相変調し、
    前記排他的論理和手段は、前記情報ビット列の第1ビット及び第2ビットの排他的論理和を演算する第1の排他的論理和部と、第2~第m-1の排他的論理和部を備え、前記第2~第m-1の排他的論理和部については、自身より1段前の排他的論理和部の演算結果及び前記情報ビット列の第3~第mビットのいずれかとの排他的論理和を演算し、
    前記位相変調手段は、前記情報ビット列の第1ビットに従って前記光信号を位相変調する第1の位相変調部と、第2~第mの位相変調部を備え、前記第2~第mの振幅変調部については、前記第1~第m-1の排他的論理和部のそれぞれの演算結果に従って、自身より1段前の位相変調部で処理された出力光を位相変調する
    ことを特徴とする光変調方法。
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