JP5161330B2 - 光直交振幅変調回路および光送信器 - Google Patents

光直交振幅変調回路および光送信器 Download PDF

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Description

本発明は、変調符号として直交振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation:QAM)方式を用いる光変調信号を生成する多値変調技術に関する。
長距離光伝送システムにおいては、1本の光ファイバ中に複数の波長を多重化して伝送するWDM伝送技術が適用されており、経済的かつ大容量の情報伝送が実現されている。
WDM伝送装置では、変復調方式としては、従来、光強度のオン・オフによる2値の強度変調を行い、受信側ではフォトダイオードにより直接検波するIM−DD(Intensity Modulation Direct Detection)方式を用いることが一般的であった。近年、限られた光伝送帯域を有効に利用して周波数利用効率を向上させるために、多値変調方式が検討されている。これまで、1シンボルあたり8値(8ビット)の伝送が可能な直交位相−強度変調方式(非特許文献1参照)などが提案されている。
S.Hayaseet al.,ECOC2003,Paper Th2.6.4,2003.
しかしながら、従来の多値変調回路においては以下のような課題がある。非特許文献1では、8値の振幅−位相状態を生成するために、位相変調用の変調器2台(同相成分および直交成分)と強度変調用の変調器を直列に用いている。このような構成では、各々の変調器の損失が加算されるため、十分な送信パワーが得られないという課題がある。また、1シンボルで伝送するビット数が大きくなるにつれて、符号化または復号化回路の構成が複雑になるという課題もある。
本発明は、このような背景を考慮してなされたもので、並列型のマッハツェンダー型振幅変調回路において、同相側および多相側の変調器をそれぞれ多値のベースバンド信号で振幅変調することにより、1台の変調器で8値以上の多値直交振幅変調信号の生成を行うことを目的とする。
本発明は、入力光を2経路に分離する光分離部と、この光分離部によって分離された一方の光信号の位相をπ/2だけシフトさせる直交位相制御部と、前記光分離部によって分離された一方の光信号に振幅変調の同相成分を重畳する第一のマッハツェンダー型振幅変調部と、前記光分離部によって分離された他方の光信号に振幅変調の直交成分を重畳する第二のマッハツェンダー型振幅変調部と、この第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部からそれぞれ出力された同相成分および直交成分の光信号を結合する光結合部とから構成される光直交振幅変調回路である。
ここで、本発明の特徴とするところは、m系列およびn系列の並列バイナリデータ信号からそれぞれ2mレベルおよび2nレベルのアナログ信号を生成し、これらのアナログ信号を前記第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部の駆動信号としてそれぞれ出力する2つのディジタル−アナログ変換部を備えたところにある。
これにより、1台の光直交振幅変調回路で8値以上の多値直交振幅変調信号の生成を行うことができる。なお、上記の第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部は、単一の並列型のマッハツェンダー型振幅変調回路によって実現することができるので、従来のように、2台の変調器を用いる必要はなく、変調器2台分の損失が加算されることはない。また、従来のように、強度変調用の変調器を直列に用いる必要はなく、強度変調用の変調器の損失が加算されることもない。
このような構成に加え、入力されたバイナリデータ信号をシリアル−パラレル変換し、前記m系列およびn系列(m,n≧2)の2組の並列バイナリデータ信号を出力するシリアル−パラレル変換部を有することが望ましい。
また、前記第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部の振幅変調特性の非線形性による信号波形歪を予めそれぞれ補正する第一および第二の歪補正部を備えることにより、マッハツェンダー型振幅変調部に求められる歪特性の許容範囲を広くすることができ、安価な汎用の並列型のマッハツェンダー型振幅変調回路を利用することができる。
また、前記シリアル−パラレル変換部から出力された同相成分および直交成分それぞれの並列バイナリデータ信号に対して、m並列の入力並列バイナリデータの各ビットから生成されるmビットのディジタルデータ信号をディジタル−アナログ変換した値をxとし、逆余弦関数y=cos−1(x)で与えられる値yをアナログ−ディジタル変換した値をkビット(k>m)の出力並列バイナリデータ信号としたとき、mビットの全ての可能な組み合わせの各々に対してkビットの出力並列バイナリデータ信号の対応テーブルを予めメモリ部に保持しており、入力並列バイナリデータ信号の値に応じて対応テーブルを参照して出力並列バイナリデータ信号を出力する歪補正部を備えることにより、歪補正のための演算処理を省くことができるため、処理を簡略化することができ、回路規模を小さく抑えることができる。また、動作速度が高速化されていない場合でも対応することができる。
また、歪補正のための簡略化された構成としては、例えば、入力バイナリデータ信号を同相成分および直交成分それぞれが2系列となるように並列バイナリデータ信号にシリアル−パラレル変換し、同相成分および直交成分それぞれに対して各々のバイナリ信号に減衰を与える減衰部を設け、この減衰部から出力される2系列の信号を加算する加算手段を備える。この構成では、同相成分および直交成分それぞれ2系統のバイナリデータ信号に対して振幅減衰率の比を約2:3とすることが望ましい。
あるいは、変調信号の最大振幅を制限し、当該最大振幅がマッハツェンダー型振幅変調部の入出力特性の線形領域を逸脱しないようにして当該マッハツェンダー型振幅変調部を当該変調信号により駆動することによっても歪を抑えることができる。
また、本発明の光直交振幅変調回路では、入力バイナリデータ信号を2組のn系列の並列バイナリデータ信号にシリアル−パラレル変換し、同相成分および直交成分がそれぞれ2nレベル(n≧2)の変調信号により変調されることにより22n値の光直交振幅変調を実現することができる。
あるいは、本発明の光直交振幅変調回路では、3ビットのデータを、1、0、−1の3値より成り、かつ同時に0にならないような2系列の信号に変換し、1、−1をそれぞれマッハツェンダー型振幅変調部の出力が最大で位相が互いにπラジアンだけ反転している2点とし、0を透過率がゼロになる点となるように前記第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部を駆動することにより、マッハツェンダー型振幅変調部の駆動信号の最大振幅を制限しなくても非線形性の影響を受けることが無い。
この構成においては、入力されたバイナリデータ信号をシリアル−パラレル変換し、3系列の並列バイナリデータ信号を出力するシリアル−パラレル変換部を有することが望ましい。
また、本発明を光送信器の観点からみると、本発明は、パワー一定の連続光を出力するCW光源を有し、このCW光源からの連続光を本発明の光直交振幅変調回路に入力する光送信器である。このように、CW光源を有することにより高出力の変調信号を得ることができる。
あるいは、本発明の光送信器は、シリアル−パラレル変換部から出力される並列バイナリデータ信号のビットレートと同じ周波数で光の強度を変調するRZ変調部を前記CW光源の後段または光結合部の後段に配置してもよい。これによれば、第一および第二のマッハツェンダー型直交振幅変調回路で生じるシンボル間遷移時の波形歪を除去することができる。
あるいは、本発明の光送信器は、シリアル−パラレル変換部から出力される並列バイナリデータ信号のビットレートと同じ周波数で発振するパルス光源を前記CW光源に代えて備えてもよい。これによれば、上記RZ変調部を用いることなく、同様の効果を得ることができる。
また、本発明を光直交振幅変調方法の観点からみることもできる。すなわち、本発明は、入力光が光分離部により2経路に分離され、この分離された一方の光信号は直交位相制御部により位相をπ/2だけシフトされ、分離された一方の光信号には第一のマッハツェンダー型振幅変調部により振幅変調の同相成分が重畳され、分離された他方の光信号には第二のマッハツェンダー型振幅変調部により振幅変調の直交成分が重畳され、この第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部からそれぞれ出力された同相成分および直交成分の光信号は光結合部により結合される光直交振幅変調方法である。
ここで、本発明の特徴とするところは、入力されたバイナリデータ信号がシリアル−パラレル変換され、m系列およびn系列(m,n≧2)の2組の並列バイナリデータ信号として出力され、このm系列およびn系列の並列バイナリデータ信号からそれぞれ2mレベルおよび2nレベルのアナログ信号が生成され、前記第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部の駆動信号として供給されるところにある。
また、同相成分および直交成分それぞれの変調信号に対して、前記第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部の振幅変調特性の非線形性による信号波形歪が予め補正されるようにすることができる。
あるいは、シリアル−パラレル変換された同相成分および直交成分それぞれの並列バイナリデータ信号に対して、m並列の入力並列バイナリデータ信号の各ビットから生成されるmビットのディジタルデータ信号をディジタル−アナログ変換した値をxとし、逆余弦関数y=cos−1(x)で与えられる値yをアナログ−ディジタル変換した値をkビット(k>m)の出力並列バイナリデータ信号としたとき、mビットの全ての可能な組み合わせの各々に対してkビットの出力並列バイナリデータ信号の対応テーブルを予めメモリ手段に保持しており、入力並列バイナリデータ信号の値に応じて対応テーブルを参照して出力並列バイナリデータ信号を出力することにより信号波形歪が予め補正されるようにすることができる。
また、入力バイナリデータ信号を同相成分および直交成分それぞれが2系列となるように並列バイナリデータ信号にシリアル−パラレル変換し、同相成分および直交成分それぞれに対して、各々のバイナリ信号を減衰させ、減衰された2系列の信号を加算することにより信号波形歪が予め補正されるようにすることができる。このときには、同相成分および直交成分それぞれ2系統のバイナリデータ信号に対して、振幅減衰率の比を約2:3とすることが望ましい。
あるいは、変調信号の最大振幅を制限し、当該最大振幅がマッハツェンダー型振幅変調手段の入出力特性の線形領域を逸脱しないようにして当該マッハツェンダー型振幅変調手段が当該変調信号により駆動されるようにすることができる。
また、入力バイナリデータ信号を2組のn系列の並列バイナリデータ信号にシリアル−パラレル変換し、同相成分および直交成分がそれぞれ2nレベル(n≧2)の変調信号により変調されるようにすることができる。
あるいは、本発明の光直交振幅変調方法は、入力されたバイナリデータ信号がシリアル−パラレル変換され、3系列の並列バイナリデータ信号として出力され、この並列バイナリデータ信号から得られる3ビットのデータが、1、0、−1の3値より成り、かつ同時に0にならないような2系列の信号に変換され、1、−1をそれぞれマッハツェンダー型振幅変調部の出力が最大で位相が互いにπラジアンだけ反転している2点とし、0を透過率が0になる点となるように前記第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部の駆動信号として供給されることを特徴とする。
また、シリアル−パラレル変換された並列バイナリデータ信号のビットレートと同じ周波数で光の強度が変調されることが望ましい。
また、本発明の光直交振幅変調方法を実行するのに際し、パワー一定の連続光を出力するCW光源からの連続光を用いることができる。また、このときに、シリアル−パラレル変換後の並列バイナリデータ信号のビットレート信号と同じ周波数で発振するパルス光を前記CW光源からの連続光に代えて用いてもよい。
本発明によれば、並列型のマッハツェンダー型振幅変調回路において、同相側および多相側の変調器をそれぞれ多値のベースバンド信号で振幅変調することにより、1台の変調器で8値以上の多値直交振幅変調信号の生成を行うことができる。
第一実施例の光直交振幅変調回路の構成図。 第一実施例のMZM♯1および♯2の駆動条件を示す図。 第一実施例の出力光信号のコンスタレーション図。 第二実施例の光直交振幅変調回路の構成図。 第二実施例のMZM♯1および♯2の駆動条件を示す図。 入力ビットデータと出力データとの対応関係を示す図。 4値不等間隔レベル信号生成部の構成例を示す図。 第三実施例の光直交振幅変調回路の構成図。 第三実施例の出力光信号のコンスタレーション図。
(第一実施例)
本発明の第一実施例を図1から図3を参照して説明する。図1は、第一実施例の光直交振幅変調回路の構成を示す図である。図1に示すように、本実施例の光直交振幅変調回路は、パワー一定のCW光を出力するCW光源1、CW光源1からの光を2経路に分離する光分離部2、2経路に分離した光信号の一方にπ/2の位相差を与える直交位相制御部3、2系統の光信号の各々に対して振幅変調を重畳するマッハツェンダー型振幅変調部(以降、MZMと記す)♯1および♯2、各々の振幅変調された2つの光信号を合波する光結合部4、入力された2値バイナリデータを、複数の並列信号に変換するシリアル−パラレル変換部5、シリアル−パラレル変換部5から出力された並列ディジタル信号から、2系統のアナログ信号に変換するディジタル−アナログ(D/A)変換部6−1および6−2から構成される。
MZM♯1は、D/A変換部6−1から出力されるアナログ信号により駆動され、CW光源1から出力された光信号に対して当該アナログ信号による振幅変調の同相成分を重畳し、MZM♯2は、D/A変換部6−2から出力されるアナログ信号により駆動され、CW光源1から出力された光信号に対して当該アナログ信号による振幅変調の直交成分を重畳する。
ここで、本実施例の特徴とするところは、入力バイナリ信号を複数の並列バイナリ信号に変換し、その並列信号からD/A変換により多値のアナログ信号に変換して、同相成分および直交成分をそれぞれMZM♯1および♯2を用いて変調することにより、多値の直交振幅変調を実現した点にある。なお、MZM♯1および♯2は、単一の並列型のマッハツェンダー型振幅変調回路を用いてコンパクトに構成することができる。
次に、第一実施例の動作を説明する。ここでは、16値の直交振幅変調の場合を例にとって説明する。入力されたバイナリデータは、シリアル−パラレル変換部5において1:4分離されることにより4系列の変列データに変換され、この4ビットのデータは、例えば、上位2ビットと下位2ビットというように、さらに2組に分割される。この2系列の信号はそれぞれD/A変換部6−1および6−2においてD/A変換されることにより4値の変調信号が生成され、同相成分および直交成分各々のMZM♯1および♯2はこの2系統の4値変調信号を用いて駆動される。
ここで、MZM♯1および♯2がデュアル電極型変調器であり、これをプッシュ・プル駆動した場合には、MZM♯1および♯2の出力信号は、
out=E0cos(π(V/Vπ))
…(1)
と表される。ここで、E0はMZM♯1および♯2に入力される信号光の電界であり、Vは各変調器に印加される信号の電圧、Vπはπラジアンの位相シフトを得るのに必要な電圧である。(1)式はLiNbO3のシングル駆動x−cut変調器を用いた場合にも、振幅V→V/2とすれば適用できる。
図2に、MZM♯1および♯2の駆動電圧に対する出力電界の様子を示す。図2からわかるように、最大の透過率を得るために駆動電圧をVπ程度に設定すると、入出力特性の非線形性により振幅波形に歪みが生じてしまう。そこで、図2に示すように、本実施例では、駆動振幅をVπ/3程度に制限することとする。これにより、ほぼ線形性を保った状態で電界成分の変調が可能であることが図2からわかる。MZM♯1および♯2の透過率が最小となる点にバイアス点を設定(V→(V−Vπ)/2)し、駆動振幅を線形領域(Vπ/3程度)に限った場合には、位相制御部の位相差がπ/2に設定されたMZM♯1および♯2の出力電界は、
out=E0/2(sin(π(VI/Vπ))−isin(π(VQ/Vπ)))exp(iω0t)=E0/2(π(VI/Vπ)−i(π(VQ/Vπ)))exp(iω0t
…(2)
と表される。ここで、VIおよびVQは同相成分・直交成分それぞれのMZM♯1および♯2に印加される電圧であり、図2に示したような4値の値をとる。(2)式から、出力信号は16値のQAM信号になっていることがわかる。
図3に、(2)式から得られる出力信号のコンスタレーション図を示す。なお、本実施例では同相成分・直交成分がそれぞれ4値のレベルをとり、16値の直交振幅変調信号を生成する場合を例にとって説明したが、一般にシリアル−パラレル変換部5で同相成分、直交成分ともそれぞれn系列(n≧2)の並列バイナリデータに変換し、それぞれ2n値の多値信号で変調することにより22nの直交振幅変調信号を生成することも同様な構成により可能であることは説明するまでもない。
(第二実施例)
第一実施例で説明したように、MZM♯1および♯2の変調特性は(1)式に示す余弦関数で表される非線形性を有している。第一実施例では、この非線形性による波形歪みを抑圧するために、MZM♯1および♯2の駆動振幅をVπ/3程度に制限し、線形領域のみで駆動する構成を示した。しかしながら、この構成では変調器の透過率が小さい領域での動作となるため、CW光源により高出力の特性が要求される。第二実施例では、より高いパワーの光出力を得るためにMZM♯1および♯2を非線形領域で駆動し、MZM♯1および♯2の非線形性をキャンセルしてリニア特性を実現する送信回路構成を説明する。
図4は、第二実施例の光直交振幅変調回路の構成を示す図である。第二実施例の特徴は、通常のD/A変換部6−1、6−2に代えて、歪補正機能付D/A変換部16−1、16−2を用い、この歪補正機能付D/A変換部16−1、16−2においてMZM♯1および♯2の非線形性をキャンセルするために、入力された信号に対してMZM♯1および♯2の通過特性の逆関数が出力されるような処理を行うものである。
すなわち、MZM♯1および♯2の通過特性は(1)式の余弦関数で表されるため、歪補正機能付D/A変換部16−1、16−2では、入力並列データからD/A変換された入力信号xに対して逆余弦関数を出力するように、
out=cos−1(xin/x
…(3)
の変換を行ってから出力すればよい。これによりMZM♯1および♯2から出力される信号は、各レベル間の間隔が等間隔の信号となる。
図5に、第二実施例でのMZM♯1および♯2の駆動条件を示す。ここでは一例として同相成分、直交成分それぞれが4値信号である場合について説明する。図5に示すように、入力される信号は2ビットの信号であり、D/A変換後は、その最大値を1で規格化した場合に、−1、−1/3、1/3、1の4値であり、各レベル間は等間隔となる。このD/A変換された信号は、(3)式で表される変換により、0、0.4、0.6、1の不等間隔の値に変換され、さらにこの信号でMZMを駆動することにより、変調後の電界の振幅は等間隔となるようにすることができる。
次に、入力信号から(3)式により変換後の変調器駆動信号を得る方法について説明する。(3)式からディジタル回路により演算処理を行うことも考えられるが、回路規模、動作速度を考えると、簡略化された方法を用いることが望ましい。簡略化された方法として、まず、入力されるディジタル信号と出力信号との1:1の対応表を予め(3)式に基づいて用意しておき、対応表を参照することにより出力信号を得るという方法が考えられる。図6に2ビット信号に対する出力信号の対応表を示す。入力信号が2ビットの場合には、出力信号は4ビットの信号で表せば十分である。また、入力信号が2ビットの場合には、(3)式の出力を簡略化された方法として、減衰回路と加算回路による構成方法も考えられる。図7に減衰器7−1、7−2と加算器8による構成を示す。
本構成例は、2つの入力バイナリデータに対して、一方に減衰を与えて加算する構成である。ここで、変調後の電界振幅のレベルを等間隔とするためには、減衰器7−1、7−2において振幅比がcos−1(1/3):cos−1(−1/3)≒2:3となるようにすれば、所望の出力を得ることが可能である。本構成は、アナログ回路でもディジタル回路でも比較的容易に構成することができる。
(第三実施例)
第一および第二実施例では、入力されたバイナリデータを4系列の並列バイナリデータに変換し、さらにこれを2組に分け、それぞれ同相成分および直交成分の振幅変調を行うMZM♯1および♯2により16値のQAM信号を生成する例を説明した。この構成では、MZM♯1および♯2の通過特性の非線形性を補償するために、MZM♯1および♯2を線形領域で駆動する、あるいは、MZM♯1および♯2の通過特性の逆関数で与えられる変調駆動信号を求める手段が必要であった。
しかし、同相成分、直交成分がそれぞれ2値、または3値レベルで変調される場合には、駆動条件を適切に設定すれば、MZM♯1および♯2の通過特性の非線形性の影響を受けずに変調が可能である(各レベル間の遷移時には非線形性により波形歪が生じるが、1タイムスロットの中央では各レベル間の間隔が等間隔となっているため信号品質に影響は無い)。本実施例では、同相および直交成分がそれぞれ3値の変調器駆動信号で変調され、8値のQAM信号を生成する変調器構成について説明する。
図8は、第三実施例の光直交振幅回路の構成を示す図である。入力されたバイナリデータは、シリアル−パラレル変換部15において3系列の並列データに変換され、さらにこの3系列のデータは、3値符号化部9により2系列の3値(1,0,−1)信号に変換される。ここで、この2系列の3値信号は同時に“0”の値は取らないものとする。この2系統の3値信号により駆動されるMZM♯1および♯2によりCW光源1からの光信号に振幅変調の同相成分および直交成分をそれぞれ重畳することにより、8値の光直交振幅変調信号を得ることができる。
ここで、MZM♯1および♯2は、図8に示すように、“0”レベルが出力振幅が最小となる点(null
point)にバイアスされており、1および−1はMZM♯1および♯2の振幅が最大であり、位相がπだけ異なっている。図8からわかるように、このようなMZM♯1および♯2の駆動条件では、出力の電界振幅レベルの間隔は等間隔となるため、MZM♯1および♯2の駆動信号をVπとしても非線形性の影響を受けることが無い。図9に本実施例の光直交変調回路の出力光信号のコンスタレーション図を示す。
さらに、本実施例では、光結合部4の後段に光強度変調部10を付加して、シリアル−パラレル変換部15から出力される並列バイナリ信号のビットレートに等しいB/3(B:入力信号のビットレート)の周波数で光強度を周期的に変調する構成をとっている。これにより、2つのMZM♯1および♯2で生じるシンボル間遷移時の波形歪を除去することができ、良好な受信特性を得ることが可能となる。
なお、ここで光強度変調部10としては、LiNbO3MZMや、電界吸収型変調器を適用することができる。LiNbO3MZMを用いた場合には、変調器に与える周波数をB/6として、振幅およびバイアス点を調整することにより、繰り返し周波数がB/3のRZパルス(33%RZ、CS−RZ)を発生することが可能である。
また、CW光源1の代わりに周波数B/3で発振するパルス光源を用いれば、光強度変調部10を用いることなく同様の効果を達成することができる。
本発明によれば、十分な送信パワーを得ることができ、符号化または復号化回路の構成を従来と比較して簡単化することができる光直交振幅変調回路を実現することができるので、光通信システムにおける伝送容量の大容量化の実現に寄与することができる。
1 CW光源
2 光分離部
3 直交位相制御部
4 光結合部
5、15 シリアル−パラレル変換部(S/P変換部)
6−1、6−2 ディジタル−アナログ変換部(D/A)
7−1、7−2 減衰器
8 加算器
9 3値符号化部
10 光強度変調部
16−1、16−2 歪補正機能付ディジタル−アナログ変換部(歪補正機能付D/A)

Claims (9)

  1. 入力光を2経路に分離する光分離部と、この光分離部によって分離された一方の光信号の位相をπ/2だけシフトさせる直交位相制御部と、前記光分離部によって分離された一方の光信号に振幅変調の同相成分を重畳する第一のマッハツェンダー型振幅変調部と、前記光分離部によって分離された他方の光信号に振幅変調の直交成分を重畳する第二のマッハツェンダー型振幅変調部と、この第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部からそれぞれ出力された同相成分および直交成分の光信号を結合する光結合部とから構成される光直交振幅変調回路において、
    3ビットの入力並列バイナリデータを、1、0、−1の3レベルで構成され、かつ同時に0にならないような2系列の3値駆動信号に変換し、1、−1がそれぞれマッハツェンダー型振幅変調部の透過率最大で位相が互いにπラジアンだけ反転している2点となり、かつ0が透過率最小になる点となるように前記第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部を駆動する
    ことを特徴とする光直交振幅変調回路。
  2. 入力されたバイナリデータ信号をシリアル−パラレル変換し、3系列の並列バイナリデータ信号を出力するシリアル−パラレル変換部を有する請求項1記載の光直交振幅変調回路。
  3. パワー一定の連続光を出力するCW光源を有し、
    このCW光源からの連続光を請求項1または2に記載の光直交振幅変調回路に入力する
    光送信器。
  4. シリアル−パラレル変換部から出力される並列バイナリデータ信号のビットレートと同じ周波数で光の強度を変調するRZ変調部を前記CW光源の後段または光結合部の後段に配置した請求項3記載の光送信器。
  5. シリアル−パラレル変換部から出力される並列バイナリデータ信号のビットレートと同じ周波数で発振するパルス光源を前記CW光源に代えて備えた請求項4記載の光送信器。
  6. 入力光が光分離部により2経路に分離され、この分離された一方の光信号は直交位相制御部により位相をπ/2だけシフトされ、分離された一方の光信号には第一のマッハツェンダー型振幅変調部により振幅変調の同相成分が重畳され、分離された他方の光信号には第二のマッハツェンダー型振幅変調部により振幅変調の直交成分が重畳され、この第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部からそれぞれ出力された同相成分および直交成分の光信号は光結合部により結合される光直交振幅変調方法において、
    入力されたバイナリデータ信号がシリアル−パラレル変換され、3系列の並列バイナリデータ信号として出力され、当該並列バイナリデータ信号から得られる3ビットのデータが、1、0、−1の3レベルで構成され、かつ同時に0にならない2系列の3値駆動信号に変換され、1、−1がそれぞれマッハツェンダー型振幅変調部の透過率最大で位相が互いにπラジアンだけ反転している2点となり、かつ0が透過率最小となる点となるように前記第一および第二のマッハツェンダー型振幅変調部の駆動信号として供給される
    ことを特徴とする光直交振幅変調方法。
  7. シリアル−パラレル変換された並列バイナリデータ信号のビットレートと同じ周波数で光の強度が変調される請求項6に記載の光直交振幅変調方法。
  8. パワー一定の連続光を出力するCW光源からの連続光を用いる請求項6または7に記載の光直交振幅変調方法。
  9. シリアル−パラレル変換後の並列バイナリデータ信号のビットレート信号と同じ周波数で発振するパルス光を前記CW光源からの連続光に代えて用いる請求項6または7に記載の光直交振幅変調方法。
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