JP2023102681A - 車両の制御装置 - Google Patents

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真吾 江藤
Shingo Eto
聖二 増永
Seiji Masunaga
真司 中野
Shinji Nakano
宗伸 荒武
Takanobu Aratake
雄二 今永
Yuji Imanaga
一貴 今西
Kazutaka Imanishi
大海 平田
Hiromi Hirata
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Abstract

Figure 2023102681000001
【課題】車両を制動する際に、油圧の元圧を確保しつつエネルギー効率の悪化を抑制する。
【解決手段】回生制動を行う際に、電動機の回転速度が所定電動機回転速度以上である場合は、回生制動が許可される一方で、電動機の回転速度が所定電動機回転速度未満である場合は、駆動輪の回転に対して電動機の回転が自由にされた状態とされると共に、回生制動が禁止されるので、電動機の回転速度が所定電動機回転速度未満となるまでは回生制動を行うことが可能であり、又、車速の低下に拘わらずオイルポンプの回転速度を所定オイルポンプ回転速度以上に維持可能なように電動機の回転速度を制御することができる。よって、車両を制動する際に、油圧の元圧を確保しつつエネルギー効率の悪化を抑制することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、電動機によって回転駆動される機械式のオイルポンプを備えた車両の制御装置に関するものである。
動力源として機能する電動機と、前記電動機からの動力が伝達される駆動輪と、前記電動機によって回転駆動される機械式のオイルポンプと、前記オイルポンプが吐出する作動油を元にして調圧された油圧によって制御状態が切り替えられる油圧装置と、を備えた車両の制御装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載されたハイブリッド車両の制御装置がそれである。この特許文献1には、駆動輪側から入力される被駆動トルクを回生により電力に変換し、その電力を蓄電装置に蓄積する、電動機の回生制動を行うことが開示されている。
特開2019-202748号公報
ところで、回生制動を行う際には、駆動輪の回転に対して電動機の回転が拘束された状態とする方が自由にされた状態とする場合に比べて被駆動トルクが電動機に伝達され易く、エネルギー効率を向上することができる。一方で、車両を制動する際には、車速の低下に伴って電動機の回転速度も低下させられる為、機械式のオイルポンプが油圧の元圧を確保できる十分な流量の作動油を吐出することができない可能性がある。車両を制動する際に、油圧の元圧を確保する為に、駆動輪の回転に対して電動機の回転が自由にされた状態で回生制動を行ったり、又は、回生制動そのものを行わないようにすると、エネルギー効率が悪化する可能性がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両を制動する際に、油圧の元圧を確保しつつエネルギー効率の悪化を抑制することができる車両の制御装置を提供することにある。
第1の発明の要旨とするところは、(a)動力源として機能する電動機と、前記電動機からの動力が伝達される駆動輪と、前記電動機によって回転駆動される機械式のオイルポンプと、前記オイルポンプが吐出する作動油を元にして調圧された油圧によって制御状態が切り替えられる油圧装置と、を備えた車両の、制御装置であって、(b)前記車両を制動する際に、前記駆動輪の回転に対して前記電動機の回転が拘束された状態で、前記電動機を発電機として機能させることによって前記駆動輪に対して回生による制動トルクを発生させる、前記電動機の回生制動を行う制動制御部を含んでおり、(c)前記制動制御部は、前記回生制動を行う際に、前記電動機の回転速度が前記オイルポンプによる前記作動油の吐出流量が前記油圧の元圧を確保できる所定オイルポンプ回転速度に基づいて設定された所定電動機回転速度以上である場合は、前記回生制動を許可する一方で、前記電動機の回転速度が前記所定電動機回転速度未満である場合は、前記駆動輪の回転に対して前記電動機の回転が自由にされた状態とすると共に、前記回生制動を禁止することにある。
前記第1の発明によれば、回生制動を行う際に、電動機の回転速度が所定電動機回転速度以上である場合は、回生制動が許可される一方で、電動機の回転速度が所定電動機回転速度未満である場合は、駆動輪の回転に対して電動機の回転が自由にされた状態とされると共に、回生制動が禁止されるので、電動機の回転速度が所定電動機回転速度未満となるまでは回生制動を行うことが可能であり、又、車速の低下に拘わらずオイルポンプの回転速度を所定オイルポンプ回転速度以上に維持可能なように電動機の回転速度を制御することができる。よって、車両を制動する際に、油圧の元圧を確保しつつエネルギー効率の悪化を抑制することができる。
本発明が適用される車両の概略構成を説明する図であると共に、車両における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。 電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートであり、車両を制動する際に油圧の元圧を確保しつつエネルギー効率の悪化を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、動力源SPとして機能する、エンジン12及び電動機MGを備えたハイブリッド車両である。又、車両10は、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置16と、を備えている。
エンジン12は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置90によって、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等を含むエンジン制御装置50が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。
電動機MGは、電力から機械的な動力を発生させる発動機としての機能及び機械的な動力から電力を発生させる発電機としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。電動機MGは、車両10に備えられたインバータ52を介して、車両10に備えられたバッテリ54に接続されている。バッテリ54は、電動機MGに対して電力を授受する蓄電装置である。電動機MGは、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、電動機MGの出力トルクであるMGトルクTmが制御される。MGトルクTmは、例えば電動機MGの回転方向がエンジン12の運転時と同じ回転方向である正回転の場合、加速側となる正トルクでは力行トルクTmpであり、減速側となる負トルクでは回生トルクTmrである。具体的には、電動機MGは、バッテリ54から供給される電力により動力を発生する。又、電動機MGは、エンジン12の動力や駆動輪14側から入力される被駆動トルクにより発電を行う。バッテリ54は、電動機MGの発電による電力を充電する。前記電力は、特に区別しない場合には電気エネルギーも同意である。前記動力は、特に区別しない場合には駆動力、トルク、及び力も同意である。
動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材であるケース18内において、K0クラッチ20、トルクコンバータ22、自動変速機24等を備えている。K0クラッチ20は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路におけるエンジン12と電動機MGとの間に設けられたクラッチである。トルクコンバータ22は、K0クラッチ20を介してエンジン12に連結されている。自動変速機24は、トルクコンバータ22に連結されており、トルクコンバータ22と駆動輪14との間の動力伝達経路に介在させられている。トルクコンバータ22及び自動変速機24は、各々、動力源SPと駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成している。又、動力伝達装置16は、自動変速機24の出力回転部材である変速機出力軸26に連結されたプロペラシャフト28、プロペラシャフト28に連結されたディファレンシャルギヤ30、ディファレンシャルギヤ30に連結された1対のドライブシャフト32等を備えている。又、動力伝達装置16は、エンジン12とK0クラッチ20とを連結するエンジン連結軸34、K0クラッチ20とトルクコンバータ22とを連結する電動機連結軸36等を備えている。
電動機MGは、ケース18内において、電動機連結軸36に動力伝達可能に連結されている。つまり、電動機MGは、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路、特にはK0クラッチ20とトルクコンバータ22との間の動力伝達経路に動力伝達可能に連結されている。見方を換えれば、電動機MGは、K0クラッチ20を介することなくトルクコンバータ22や自動変速機24と動力伝達可能に連結されている。
トルクコンバータ22は、電動機連結軸36と連結されたポンプ翼車22a、及び自動変速機24の入力回転部材である変速機入力軸38と連結されたタービン翼車22bを備えている。トルクコンバータ22は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路における電動機MGと駆動輪14との間に設けられた、動力源SPからの動力を流体を介して電動機連結軸36から変速機入力軸38へ伝達する流体式伝動装置である。トルクコンバータ22は、ポンプ翼車22aとタービン翼車22bとを連結する、つまり電動機連結軸36と変速機入力軸38とを連結するLUクラッチ40を備えている。LUクラッチ40は、トルクコンバータ22の入出力回転部材を連結する直結クラッチ、すなわち公知のロックアップクラッチである。
LUクラッチ40は、例えば多板式或いは単板式のクラッチにより構成される油圧式の摩擦係合装置である。LUクラッチ40は、車両10に備えられた油圧制御回路56から供給される調圧された油圧PRcnであるLU油圧PRluによりLUクラッチ40のトルク容量であるLUトルクTluが変化させられることで、作動状態つまり制御状態が切り替えられる。LUクラッチ40の制御状態としては、LUクラッチ40が解放された状態である解放状態(完全解放状態ともいう)、LUクラッチ40が滑りを伴って係合された状態であるスリップ状態、及びLUクラッチ40が係合された状態である係合状態(完全係合状態ともいう)がある。LUクラッチ40が解放状態とされることにより、トルクコンバータ22はトルク増幅作用が得られるトルクコンバータ状態とされる。又、LUクラッチ40が係合状態とされることにより、トルクコンバータ22はポンプ翼車22a及びタービン翼車22bが一体回転させられるロックアップ状態とされる。
自動変速機24は、例えば不図示の1組又は複数組の遊星歯車装置と、係合装置CBと、を備えている、公知の遊星歯車式の自動変速機である。係合装置CBは、例えば複数の公知の油圧式の摩擦係合装置を含んでいる。係合装置CBは、各々、油圧制御回路56から供給される調圧された油圧PRcnであるCB油圧PRcbによりそれぞれのトルク容量であるCBトルクTcbが変化させられることで、係合状態、スリップ状態、解放状態などの制御状態が切り替えられる。
自動変速機24は、係合装置CBのうちの何れかの係合装置の係合によって、変速比(ギヤ比ともいう)γat(=AT入力回転速度Ni/AT出力回転速度No)が異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちの何れかのギヤ段が形成される有段変速機である。自動変速機24は、後述する電子制御装置90によって、ドライバー(=運転者)のアクセル操作や車速V等に応じて形成されるギヤ段が切り替えられる。AT入力回転速度Niは、変速機入力軸38の回転速度であり、自動変速機24の入力回転速度である。AT入力回転速度Niは、トルクコンバータ22の出力回転速度であるタービン回転速度Ntと同値である。AT入力回転速度Niは、タービン回転速度Ntで表すことができる。AT出力回転速度Noは、変速機出力軸26の回転速度であり、自動変速機24の出力回転速度である。
K0クラッチ20は、例えば多板式或いは単板式のクラッチにより構成される油圧式の摩擦係合装置である。K0クラッチ20は、油圧制御回路56から供給される調圧された油圧PRcnであるK0油圧PRk0によりK0クラッチ20のトルク容量であるK0トルクTk0が変化させられることで、係合状態、スリップ状態、解放状態などの制御状態が切り替えられる。
車両10において、K0クラッチ20の係合状態では、エンジン12とトルクコンバータ22とが動力伝達可能に連結される。一方で、K0クラッチ20の解放状態では、エンジン12とトルクコンバータ22との間の動力伝達が遮断される。電動機MGはトルクコンバータ22に連結されているので、K0クラッチ20は、エンジン12を電動機MGと断接するクラッチとして機能する。
動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力は、K0クラッチ20が係合された場合に、エンジン連結軸34から、K0クラッチ20、電動機連結軸36、トルクコンバータ22、自動変速機24、プロペラシャフト28、ディファレンシャルギヤ30、及びドライブシャフト32等を順次介して駆動輪14へ伝達される。又、電動機MGから出力される動力は、K0クラッチ20の制御状態に拘わらず、電動機連結軸36から、トルクコンバータ22、自動変速機24、プロペラシャフト28、ディファレンシャルギヤ30、及びドライブシャフト32等を順次介して駆動輪14へ伝達される。
車両10は、機械式のオイルポンプであるMOP58、電動式のオイルポンプであるEOP60、ポンプ用モータ62等を備えている。MOP58は、ポンプ翼車22aに連結されており、動力源SPにより回転駆動させられて動力伝達装置16にて用いられる作動油OILを吐出する。ポンプ用モータ62は、EOP60を回転駆動する為のEOP60専用のモータである。EOP60は、ポンプ用モータ62により回転駆動させられて作動油OILを吐出する。MOP58やEOP60が吐出した作動油OILは、油圧制御回路56へ供給される。油圧制御回路56は、MOP58及び/又はEOP60が吐出した作動油OILを元にして各々調圧した油圧PRcnである、LU油圧PRlu、CB油圧PRcb、K0油圧PRk0などを供給する。LUクラッチ40、係合装置CB、K0クラッチ20は、各々、MOP58が吐出する作動油OILを元にして調圧された油圧PRcnによって制御状態が切り替えられる油圧装置である。
車両10は、ホイールブレーキ装置64を備えている。ホイールブレーキ装置64は、不図示の、ブレーキ油圧を発生させるブレーキマスタシリンダ及びシリンダアクチュエータなどを備えている。駆動輪14及び不図示の従動輪を含む車輪WHは、各々、ホイールブレーキ66を備えている。尚、車両10が全輪駆動車両であれば、この従動輪は駆動輪となる。ホイールブレーキ装置64は、後述する電子制御装置90からの指令に従って、ホイールブレーキ66による制動トルクTBである車輪制動トルクTBwを車輪WHに付与するブレーキ装置である。ホイールブレーキ装置64は、運転者による例えばブレーキペダルの踏込操作などに応じて、ホイールブレーキ66に各々設けられた不図示のホイールシリンダへブレーキ油圧を供給する。ホイールブレーキ装置64では、通常時には、ブレーキマスタシリンダから発生させられる、ブレーキ操作量Braに対応した大きさのマスタシリンダ油圧がブレーキ油圧としてホイールシリンダへ供給される。一方で、ホイールブレーキ装置64では、例えばABS機能作動時、横滑り抑制制御時、自動車速制御時、自動運転制御時、自動ブレーキ機能作動時、回生制御時などには、車輪制動トルクTBwの発生の為に、各制御で必要な車輪制動トルクTBwに対応した大きさのブレーキ油圧がホイールシリンダへ供給される。ブレーキ操作量Braは、ブレーキペダルの踏力に対応する、運転者によるブレーキペダルの踏込操作の大きさつまりブレーキ操作の大きさを表す信号である。
車両10は、更に、車両10の制御装置を含む電子制御装置90を備えている。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、電動機制御用、クラッチ制御用、変速機制御用等の各コンピュータを含んで構成される。
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ70、タービン回転速度センサ72、出力回転速度センサ74、MG回転速度センサ76、アクセル開度センサ78、スロットル弁開度センサ80、ブレーキセンサ82、バッテリセンサ84、油温センサ86など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne、AT入力回転速度Niと同値であるタービン回転速度Nt、車速Vに対応するAT出力回転速度No、電動機MGの回転速度であるMG回転速度Nm、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセル操作量であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキ66を作動させる為のブレーキペダルが運転者によって操作されている状態を示す信号であるブレーキオン信号Bon、ブレーキ操作量Bra、バッテリ54のバッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbat、油圧制御回路56内の作動油OILの温度である作動油温THoilなど)が、それぞれ供給される。
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56、ポンプ用モータ62、ホイールブレーキ装置64など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御する為のエンジン制御指令信号Se、電動機MGを制御する為のMG制御指令信号Sm、係合装置CBを制御する為のCB油圧制御指令信号Scb、K0クラッチ20を制御する為のK0油圧制御指令信号Sk0、LUクラッチ40を制御する為のLU油圧制御指令信号Slu、EOP60を制御する為のEOP制御指令信号Seop、車輪制動トルクTBwを制御する為のブレーキ制御指令信号Sbraなど)が、それぞれ出力される。
電子制御装置90は、車両10における各種制御を実現する為に、動力源制御手段すなわち動力源制御部92、K0クラッチ制御手段すなわちK0クラッチ制御部94、変速機制御手段すなわち変速機制御部96、LUクラッチ制御手段すなわちLUクラッチ制御部98、及び制動制御手段すなわち制動制御部99を備えている。
動力源制御部92は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部92aとしての機能と、インバータ52を介して電動機MGの作動を制御する電動機制御手段すなわち電動機制御部92bとしての機能と、を含んでおり、それらの制御機能によりエンジン12及び電動機MGによるハイブリッド駆動制御等を実行するハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部である。
動力源制御部92は、例えば駆動要求量マップにアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで、運転者による車両10に対する駆動要求量を算出する。前記駆動要求量マップは、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である。前記駆動要求量は、例えば駆動輪14における要求駆動トルクTrdemである。要求駆動トルクTrdem[Nm]は、見方を換えればそのときの車速Vにおける要求駆動パワーPrdem[W]である。前記駆動要求量としては、駆動輪14における要求駆動力Frdem[N]、変速機出力軸26における要求AT出力トルク等を用いることもできる。前記駆動要求量の算出では、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良い。動力源制御部92は、伝達損失、補機負荷、自動変速機24の変速比γat等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン12を制御するエンジン制御指令信号Seと、電動機MGを制御するMG制御指令信号Smと、を出力する。
動力源制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合には、車両10を駆動する駆動モードとしてモータ駆動モードつまりBEV駆動モードを成立させる。BEV駆動モードは、K0クラッチ20の解放状態において、エンジン12の運転が停止させられた状態で電動機MGのみを動力源SPに用いて走行するモータ走行つまり電動走行(=BEV走行)が可能な電動駆動モードである。一方で、動力源制御部92は、少なくともエンジン12の出力を用いないと要求駆動トルクTrdemを賄えない場合には、駆動モードとしてエンジン駆動モードつまりHEV駆動モードを成立させる。HEV駆動モードは、K0クラッチ20の係合状態において、少なくともエンジン12を動力源SPに用いて走行するエンジン走行つまりハイブリッド走行(=HEV走行)が可能なハイブリッド駆動モードである。他方で、動力源制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合であっても、バッテリ54の充電が必要な場合やエンジン12等の暖機が必要な場合などには、駆動モードとしてHEV駆動モードを成立させる。
動力源制御部92特にはエンジン制御部92aは、エンジン12の制御状態を停止状態から運転状態へ切り替えるエンジン12の始動要求であるエンジン始動要求の有無を判定する。例えば、エンジン制御部92aは、BEV駆動モード時に、要求駆動トルクTrdemが電動機MGの出力のみで賄える範囲よりも増大したか否か、又は、エンジン12等の暖機が必要であるか否か、又は、バッテリ54の充電が必要であるか否かなどに基づいて、エンジン始動要求が有るか否かを判定する。
K0クラッチ制御部94は、動力源制御部92によりエンジン始動要求が有ると判定された場合には、エンジン12の始動制御を実行するようにK0クラッチ20を制御する。例えば、K0クラッチ制御部94は、クランキングトルクTcrをエンジン12側へ伝達する為のK0トルクTk0が得られるように、解放状態のK0クラッチ20を係合状態に向けて制御する為のK0油圧制御指令信号Sk0を油圧制御回路56へ出力する。クランキングトルクTcrは、エンジン回転速度Neを引き上げるエンジン12のクランキングに必要な所定のトルクである。
動力源制御部92は、エンジン始動要求が有ると判定した場合には、エンジン12の始動制御を実行するようにエンジン12及び電動機MGを制御する。例えば、電動機制御部92bは、K0クラッチ20の係合状態への切替えに合わせて、電動機MGがクランキングトルクTcrを出力する為のMG制御指令信号Smをインバータ52へ出力する。又、エンジン制御部92aは、エンジン12のクランキングに連動して、燃料供給やエンジン点火などを開始する為のエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置50へ出力する。
変速機制御部96は、例えば予め定められた関係である変速マップを用いて自動変速機24の変速判断を行い、必要に応じてつまりその変速判断の結果に応じて自動変速機24の変速制御を実行する為のCB油圧制御指令信号Scbを油圧制御回路56へ出力する。変速機制御部96は、自動変速機24の変速制御では、例えば係合装置CBのうちの解放側係合装置の解放状態への切替えと、係合装置CBのうちの係合側係合装置の係合状態への切替えと、によって自動変速機24の変速を行う。前記変速マップは、例えば車速V及び要求駆動トルクTrdemを変数とする二次元座標上に、自動変速機24の変速が判断される為の変速線を有する所定の関係である。前記変速マップでは、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良いし、又、要求駆動トルクTrdemに替えて要求駆動力Frdemやアクセル開度θaccやスロットル弁開度θthなどを用いても良い。
LUクラッチ制御部98は、解放状態、スリップ状態、及び係合状態のうちの何れかの制御状態となるようにLUクラッチ40を制御する、つまりLUクラッチ40の制御状態を制御するロックアップクラッチ制御部である。具体的には、LUクラッチ制御部98は、例えば予め定められた関係であるロックアップ領域線図を用いて制御領域の判断を行い、その判断した制御領域に対応する制御状態が実現されるLU油圧PRluをLUクラッチ40へ供給する為のLU油圧制御指令信号Sluを油圧制御回路56へ出力する。前記ロックアップ領域線図は、例えば車速V及び要求駆動トルクTrdemを変数とする二次元座標上に、完全解放領域すなわちロックアップオフ領域、スリップ領域、完全係合領域すなわちロックアップ領域を有する所定の関係である。
制動制御部99は、例えば運転者によるアクセル操作(例えばアクセル開度θacc、アクセル開度θaccの減少速度)、車速V、降坂路の勾配、ホイールブレーキ66を作動させる為の運転者によるブレーキ操作(例えばブレーキ操作量Bra、ブレーキ操作量Braの増大速度)などに基づいて要求制動トルクTBdemを設定する。制動制御部99は、車両10の減速走行中には、要求制動トルクTBdemが得られるように車両10の制動トルクTBを発生させる。制動トルクTB(<0)が小さい側は、制動トルクTBの絶対値が大きい側であるが、便宜上、例えば制動トルクTBの絶対値を大きくすることを、単に制動トルクTBを大きくするつまり制動トルクTBを増加させると表現したり、制動トルクTBの絶対値を小さくすることを、単に制動トルクTBを小さくするつまり制動トルクTBを減少させると表現する。
要求制動トルクTBdemは、基本的には、ホイールブレーキ装置64による車輪制動トルクTBwに対する要求制動トルクであり、車輪制動トルクTBwによって実現されるものであるが、例えばエネルギー効率の向上の観点から回生制動トルクTBrによって優先して実現される。要求制動トルクTBdemを実現する制動トルクTBは、例えば回生制動トルクTBr及び車輪制動トルクTBwによって発生させられる。回生制動トルクTBrは、電動機MGの回生による制動である回生制動によって得られる制動トルクTBである。つまり、制動制御部99は、電動機MGを発電機として機能させることによって駆動輪14に対して回生による制動トルクTBである回生制動トルクTBrを発生させる、電動機MGの回生制動すなわちMG回生制動を行う。電動機MGの回生トルクTmrは、駆動輪14における回生制動トルクTBrが自動変速機24の変速比γatやディファレンシャルギヤ30等の減速比等に基づいて電動機連結軸36上に換算された、電動機MGの回生時のMGトルクTmである。電動機MGの回生は、駆動輪14から入力される被駆動トルクにより電動機MGを回転駆動させて発電機として作動させ、電動機MGの発電電力をバッテリ54へ充電する制御である。
MG回生制動を行う際には、電動機MGと駆動輪との間の動力伝達経路が動力伝達可能な動力伝達可能状態とされていることが必要である。電動機MGと駆動輪との間の動力伝達経路における動力伝達可能状態は、自動変速機24において何れかのギヤ段が形成された状態とされることで実現させられる。又、MG回生制動を行う際には、駆動輪14の回転に対して電動機MGの回転が拘束された状態とする方が自由にされた状態とする場合に比べて被駆動トルクが電動機MGに伝達され易く、エネルギー効率を向上することができる。その為、制動制御部99は、車両10を制動する際に、駆動輪14の回転に対して電動機MGの回転が拘束された状態でMG回生制動を行う。電動機MGと駆動輪との間の動力伝達経路が動力伝達可能状態とされているときに、駆動輪14の回転に対して電動機MGの回転が拘束された状態は、例えばLUクラッチ40が係合状態又はスリップ状態とされることで実現させられる。電動機MGと駆動輪との間の動力伝達経路が動力伝達可能状態とされているときに、駆動輪14の回転に対して電動機MGの回転が自由にされた状態は、例えばLUクラッチ40が解放状態とされることで実現させられる。LUクラッチ制御部98は、MG回生制動が行われる際には、スリップ状態又は係合状態となるようにLUクラッチ40を制御する。
制動制御部99は、要求制動トルクTBdemの全部を回生制動トルクTBrで賄える場合には、必要な回生制動トルクTBrを要求制動トルクTBdemとする。要求制動トルクTBdemの絶対値が回生制動トルクTBrの上限値の絶対値よりも大きい為に、要求制動トルクTBdemの一部しか回生制動トルクTBrで賄えない場合には、必要な回生制動トルクTBrを回生制動トルクTBrの上限値とすると共に、必要な車輪制動トルクTBwを要求制動トルクTBdemのうちの回生制動トルクTBrでは賄えない他部とする。
制動制御部99は、必要な回生制動トルクTBrを実現する為の回生トルクTmrが得られるように電動機MGによる回生制御を実行する指令を電動機制御部92bへ出力する。電動機制御部92bは、必要な回生制動トルクTBrを実現する為の回生トルクTmrが得られる為のMG制御指令信号Smを出力して電動機MGの回生制御を行う。制動制御部99は、必要な車輪制動トルクTBwが得られるようにホイールブレーキ66を作動する為のブレーキ制御指令信号Sbraをホイールブレーキ装置64へ出力する。
ところで、車両10を制動する際には、車速Vの低下に伴ってMG回転速度Nmも低下させられる為、つまりMOP58の回転速度であるMOP回転速度Nmopが低下させられる為、MOP58が油圧PRcnの元圧を確保できる十分な流量の作動油OILを吐出することができない可能性がある。これに対して、車両10を制動する際に、油圧装置(LUクラッチ40、係合装置CB、K0クラッチ20等)の油圧PRcnの元圧を確保する為に、駆動輪14の回転に対して電動機MGの回転が自由にされた状態でMG回生制動を行ったり、又は、MG回生制動そのものを行わないようにすると、エネルギー効率が悪化する可能性がある。
そこで、 制動制御部99は、車両10を制動する際には、MG回転速度Nmの低下を予測して、MG回生制動を禁止する。但し、MG回生制動の際はLUクラッチ40がスリップ状態又は係合状態とされている為、MG回生制動を禁止するだけでは、依然として車速Vの低下に伴ってMG回転速度Nmが低下させられるので、制動制御部99は、MG回生制動を禁止することと併せて、LUクラッチ40を解放状態とする指令をLUクラッチ制御部98へ出力する。
これにより、電動機制御部92bは、電動機MGの力行によって、車速Vの低下に拘わらMOP回転速度Nmopを所定MOP回転速度Nmopf以上に維持可能なようにMG回転速度Nmを制御することができる。所定MOP回転速度Nmopfは、例えばMOP58による作動油OILの吐出流量が油圧装置の油圧PRcnの元圧を確保できるMOP回転速度Nmopの下限値として予め定められた所定オイルポンプ回転速度である。
MG回転速度Nmの低下を予測することとは、この先、MG回転速度NmがMOP回転速度Nmopを所定MOP回転速度Nmopf以上に維持できなくなってしまうことを予測することである。例えば、制動制御部99は、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf未満である場合に、MG回転速度Nmの低下を予測する。油圧PRcnの元圧の確保は、エネルギー効率に対して性能優先順位が高い。その為、元圧の確保が不可能となるMG回転速度Nmに対して、MG回生制動を禁止するMG回転速度Nmつまり所定MG回転速度Nmfには相応の余裕代(=マージン)が確保されている。すなわち、所定MG回転速度Nmfは、所定MOP回転速度Nmopfに基づいて設定された所定電動機回転速度であって、例えば所定MOP回転速度Nmopfに対応するMG回転速度Nmに所定マージンNmmgnが加算されたMG回転速度Nmの閾値である。尚、本実施例では、所定MOP回転速度Nmopfに対応するMG回転速度Nmは、元圧を確保できるMG回転速度Nmの下限値であって、所定MOP回転速度Nmopfと同値であるが、例えばMOP58と電動機MGとがギヤ機構を介して連結されている構成では、そのギヤ機構のギヤ比分だけ所定MOP回転速度Nmopfと異なる値となる。
このように、制動制御部99は、MG回生制動を行う際に、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf以上である場合は、MG回生制動を許可する一方で、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf未満である場合は、駆動輪14の回転に対して電動機MGの回転が自由にされた状態とすると共に、MG回生制動を禁止する。
ここで、車両10の減速度が大きい強減速時つまり制動トルクTBが大きいときは車両10の減速度が小さい弱減速時つまり制動トルクTBが小さいときに比べてMG回転速度Nmの低下が速い。この強減速時において油圧PRcnの元圧を確保できる作動油OILの吐出流量を確保する為に、強減速時に合わせて所定マージンNmmgnを大きく取って所定MG回転速度Nmfを一律に高い値に設定すると、弱減速時にもMG回生制動の禁止が強減速時と同程度に頻繁に発生してしまい、エネルギー効率が向上し難くなる可能性がある。
その為、制動制御部99は、車両10の減速度に応じて所定MG回転速度Nmfを切り替える。例えば、制動制御部99は、強減速時には所定MG回転速度Nmfを高い値に設定する一方で、弱減速時には所定MG回転速度Nmfを低い値に設定する。つまり、制動制御部99は、車両10の減速度が大きい程、所定MG回転速度Nmfを高い値に設定する。これにより、油圧PRcnの元圧の確保に必要な作動油OILの吐出流量を確保することができ、又、車両10の減速度に応じてMG回生制動を継続することでエネルギー効率を一層向上することができる。つまり、エネルギー効率の向上と油圧PRcnの元圧の確保とを一層両立させることができる。
所定MG回転速度Nmfは、車両10の減速度に応じて予め定められている。制動制御部99は、車両10の減速度に基づいて所定MG回転速度Nmfを設定する。所定MG回転速度Nmfを設定する際の車両10の減速度としては、加速度センサ等により検出される実際の減速度、又は、要求制動トルクTBdem、又は、要求制動トルクTBdemを実現する制動トルクTB(=車輪制動トルクTBw+回生制動トルクTBr)などを用いても良いが、例えば要求制動トルクTBdemの変化がそのまま反映されると、所定MG回転速度Nmfが大きく変動し、誤判定の可能性がある。その為、本実施例では、所定MG回転速度Nmfを設定する際の車両10の減速度として、制動トルクTBの変化を抑制した値、例えば制動トルクTBをなました値であるなまし値を用いる。この制動トルクTBのなまし値は、例えば要求制動トルクTBdemを実現する為の各々の指令信号に基づいて算出される制動トルクTBに対して公知の一次遅れ処理が施された値である。
車両10の減速度に応じた所定MG回転速度Nmfは、例えば自動変速機24のギヤ段毎に予め定められていても良い。同じ制動トルクTBであっても、ギヤ比が比較的大きなローギヤ段のときはAT入力回転速度Niの傾きが大きくなり、ギヤ比が比較的小さなハイギヤ段のときはAT入力回転速度Niの傾きが小さくなる。その為、ギヤ段毎の所定MG回転速度Nmfは、車両10の減速度が同じときには、ローギヤ段程高くなるように予め定められている。
具体的には、制動制御部99は、運転者によってブレーキ操作が為された状態であるか否か、つまりブレーキ要求が有りの状態であるか否かを判定する。制動制御部99は、ブレーキ要求が有りの状態であると判定した場合には、MG回生制動を実施しているか否かを判定する。
制動制御部99は、MG回生制動を実施していると判定した場合には、車両10の減速度に応じた所定MG回転速度Nmfを算出する。制動制御部99は、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf以上であるか否かを判定する。
制動制御部99は、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf以上であると判定した場合には、MG回生制動を許可する。一方で、制動制御部99は、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf未満であると判定した場合には、MG回生制動を禁止する。制動制御部99は、MG回生制動を禁止したときには、LUクラッチ40を解放状態とする指令をLUクラッチ制御部98へ出力すると共に、例えばMG回転速度Nmが所定MOP回転速度Nmopfに対応するMG回転速度Nmに低下するまでの期間において、回生制動トルクTBr分を徐々に車輪制動トルクTBw分に置き換えて要求制動トルクTBdemを実現する。
図2は、電子制御装置90の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、車両10を制動する際に油圧PRcnの元圧を確保しつつエネルギー効率の悪化を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、例えば繰り返し実行される。
図2において、フローチャートの各ステップは制動制御部99の機能に対応している。ステップ(以下、ステップを省略する)S10において、ブレーキ要求が有りの状態であるか否かが判定される。このS10の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS10の判断が肯定される場合はS20において、MG回生制動を実施しているか否かが判定される。このS20の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。このS20の判断が肯定される場合はS30において、車両10の減速度に応じた所定MG回転速度Nmfが算出される。次いで、S40において、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf以上であるか否かが判定される。このS40の判断が肯定される場合はS50において、MG回生制動が許可される。上記S40の判断が否定される場合はS60において、MG回生制動が禁止される。この際、LUクラッチ40を解放状態とする指令が出力されると共に、回生制動トルクTBr分が徐々に車輪制動トルクTBw分に置き換えられる。
上述のように、本実施例によれば、MG回生制動を行う際に、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf以上である場合は、MG回生制動が許可される一方で、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf未満である場合は、駆動輪14の回転に対して電動機MGの回転が自由にされた状態とされると共に、MG回生制動が禁止されるので、MG回転速度Nmが所定MG回転速度Nmf未満となるまではMG回生制動を行うことが可能であり、又、車速Vの低下に拘わらずMOP回転速度Nmopを所定MOP回転速度Nmopf以上に維持可能なようにMG回転速度Nmを制御することができる。よって、車両10を制動する際に、油圧PRcnの元圧を確保しつつエネルギー効率の悪化を抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、要求制動トルクTBdemが運転者によるブレーキ操作に基づいて設定されたり、ブレーキ要求の有無が運転者のブレーキ操作によるブレーキ要求に基づいて判断されたが、この態様に限らない。例えば、ブレーキ要求は、アクセルオフの減速走行中におけるブレーキ要求、公知の自動運転制御におけるブレーキ要求、又は、公知の自動車速制御におけるブレーキ要求などに基づいて判断されても良いし、要求制動トルクTBdemは、それらのブレーキ要求などに基づいて設定されても良い。
また、前述の実施例では、車両10の減速度に応じた所定MG回転速度Nmfが算出されたが、この態様に限らない。例えば、所定MG回転速度Nmfは、強減速時に合わせて予め定められた一律の所定MG回転速度Nmfが用いられても良い。この場合、図2のフローチャートにおけるS30は必要ない。このようにしても、車両10を制動する際に、油圧PRcnの元圧を確保しつつエネルギー効率の悪化を抑制するという一定の効果は得られる。
また、前述の実施例では、所定MG回転速度Nmfを設定する際の車両10の減速度として、制動トルクTBのなまし値を用いたが、この態様に限らない。例えば、要求制動トルクTBdemの大部分を回生制動トルクTBrにて実現しているときには、所定MG回転速度Nmfを設定する際の車両10の減速度として、回生制動トルクTBrのなまし値を用いても良い。
また、前述の実施例では、自動変速機24として遊星歯車式の自動変速機を例示したが、この態様に限らない。例えば、自動変速機24は、公知のDCT(Dual Clutch Transmission)を含む同期噛合型平行2軸式自動変速機、公知のベルト式無段変速機などであっても良い。尚、自動変速機24は、必ずしも備えられている必要はない。
また、前述の実施例では、流体式伝動装置としてトルクコンバータ22が用いられたが、この態様に限らない。例えば、流体式伝動装置として、トルクコンバータ22に替えて、トルク増幅作用のないフルードカップリングなどの他の流体式伝動装置が用いられても良い。又は、流体式伝動装置は、必ずしも備えられている必要はなく、例えば発進用のクラッチに置き換えられても良い。要は、動力源として機能する電動機と、電動機によって回転駆動される機械式のオイルポンプと、オイルポンプが吐出する作動油を元にして調圧された油圧によって制御状態が切り替えられる油圧装置と、を備えた車両であれば、本発明を適用することができる。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
14:駆動輪
20:K0クラッチ(油圧装置)
40:LUクラッチ(油圧装置)
58:MOP(機械式のオイルポンプ)
90:電子制御装置(制御装置)
99:制動制御部
CB:係合装置(油圧装置)
MG:電動機
OIL:作動油
PRcn:油圧
SP:動力源

Claims (1)

  1. 動力源として機能する電動機と、前記電動機からの動力が伝達される駆動輪と、前記電動機によって回転駆動される機械式のオイルポンプと、前記オイルポンプが吐出する作動油を元にして調圧された油圧によって制御状態が切り替えられる油圧装置と、を備えた車両の、制御装置であって、
    前記車両を制動する際に、前記駆動輪の回転に対して前記電動機の回転が拘束された状態で、前記電動機を発電機として機能させることによって前記駆動輪に対して回生による制動トルクを発生させる、前記電動機の回生制動を行う制動制御部を含んでおり、
    前記制動制御部は、前記回生制動を行う際に、前記電動機の回転速度が前記オイルポンプによる前記作動油の吐出流量が前記油圧の元圧を確保できる所定オイルポンプ回転速度に基づいて設定された所定電動機回転速度以上である場合は、前記回生制動を許可する一方で、前記電動機の回転速度が前記所定電動機回転速度未満である場合は、前記駆動輪の回転に対して前記電動機の回転が自由にされた状態とすると共に、前記回生制動を禁止することを特徴とする車両の制御装置。
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