JP2023101886A - 軸受用リング部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金型のコストを低減することができると共に歩留まりを向上することができる軸受用リング部材の製造方法を提供する。【解決手段】軸受用リング部材の製造方法は、軌道面31aとなる第1表面11aを含む円環状の第1本体部11を有する第1ワーク部材10をパンチ60とダイス70とによって軸方向に挟み込んで内輪用リング部材30を形成する第1反転工程と、軌道面となる第2表面を含む円環状の第2本体部を有する第2ワーク部材をパンチ60とダイス70とによって軸方向に挟み込んで外輪用リング部材を形成する第2反転工程と、を備える。第1反転工程では、第1表面11aが軸方向における第1側S1を向いた状態で第1ワーク部材10をパンチ60とダイス70とによって挟み込み、第2反転工程では、第2表面が第1側S1とは反対側の第2側S2を向いた状態で第2ワーク部材をパンチ60とダイス70とによって挟み込む。【選択図】図4
Description
本発明は、軸受用リング部材の製造方法に関する。
特許文献1には、素材を金型を用いて所定の形状に成形した後に切断して2つの部材に分離させることにより、1つの素材から軸受の内輪及び外輪を製造する方法が記載されている。以下、このような成形方法を親子取り成形ともいう。特許文献2,3にも、親子取り成形により軸受の内輪及び外輪を製造する方法が記載されている。
上述したような製造方法では、1つの金型により内輪及び外輪を製造することができるため、金型のコストを低減することができる。一方、上述したような製造方法では、同じ個数の内輪及び外輪が形成される。そのため、内輪と外輪との間で不良率が異なると、内輪又は外輪のいずれか一方が不足する。しかしながら、親子取り成形では、内輪又は外輪の一方のみを形成することはできない。通常、内輪と外輪の不良率は一致しない。したがって、例えば余った内輪又は外輪の一方を廃棄することとなり、歩留まりが低下してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、金型のコストを低減することができると共に歩留まりを向上することができる軸受用リング部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の軸受用リング部材の製造方法は、軌道面となる第1表面を含む円環状の第1本体部を有する第1ワーク部材を、パンチとダイスとによって軸方向に挟み込んで第1表面が径方向の外側を向くように変形させることにより、内輪用リング部材を形成する第1反転工程と、軌道面となる第2表面を含む円環状の第2本体部を有する第2ワーク部材を、パンチとダイスとによって軸方向に挟み込んで第2表面が径方向の内側を向くように変形させることにより、外輪用リング部材を形成する第2反転工程と、を備え、第1反転工程では、第1表面が軸方向における第1側を向いた状態で第1ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込み、第2反転工程では、第2表面が第1側とは反対側の第2側を向いた状態で第2ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込む。
この軸受用リング部材の製造方法では、第1反転工程及び第2反転工程において共通のパンチ及びダイスが用いられ、第1反転工程では、第1表面が軸方向における第1側を向いた状態で第1ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込むことで内輪用リング部材が形成され、第2反転工程では、第2表面が第1側とは反対側の第2側を向いた状態で第2ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込むことで外輪用リング部材が形成される。これにより、共通のパンチ及びダイスを用いて内輪用リング部材及び外輪用リング部材を形成することができ、金型のコストを低減することができる。また、例えば、内輪用リング部材及び外輪用リング部材の一方が不足した場合に、内輪用リング部材と外輪用リング部材の数が互いに等しくなるように、第1反転工程又は第2反転工程を実施することができる。その結果、内輪用リング部材又は外輪用リング部材が余ることを抑制することができ、歩留まりを向上することができる。よって、この軸受用リング部材の製造方法によれば、金型のコストを低減することができると共に歩留まりを向上することができる。
第1反転工程では、押し部材によって第1ワーク部材を径方向に沿ってパンチの側へ押しながら、第1ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込み、第2反転工程では、押し部材によって第2ワーク部材を径方向に沿ってパンチの側へ押しながら、第2ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込んでもよい。この場合、第1ワーク部材又は第2ワーク部材をパンチとダイスとの間に良好に挟み込むことができる。
本発明の軸受用リング部材の製造方法は、軌道面となる第1表面を含む円環状の第1本体部を有する第1ワーク部材と、軌道面となる第2表面を含む円環状の第2本体部を有する第2ワーク部材と、を用意する工程と、第1表面が軸方向における第1側を向き、且つ第2表面が第1側とは反対側の第2側を向くように重ねられた第1ワーク部材及び第2ワーク部材を、パンチとダイスとによって軸方向に挟み込んで第1表面が径方向の外側を向くと共に第2表面が径方向の内側を向くように変形させることにより、内輪用リング部材及び外輪用リング部材を形成する反転工程と、を備える。
この軸受用リング部材の製造方法では、重ねられた第1ワーク部材及び第2ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込むことにより、内輪用リング部材及び外輪用リング部材が形成される。これにより、共通のパンチ及びダイスを用いて内輪用リング部材及び外輪用リング部材を形成することができ、金型のコストを低減することができる。また、例えば、内輪用リング部材及び外輪用リング部材の一方が不足した場合に、内輪用リング部材と外輪用リング部材の数が互いに等しくなるように、第1ワーク部材又は第2ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込んで内輪用リング部材又は外輪用リング部材を形成することができる。その結果、内輪用リング部材又は外輪用リング部材が余ることを抑制することができ、歩留まりを向上することができる。よって、この軸受用リング部材の製造方法によれば、金型のコストを低減することができると共に歩留まりを向上することができる。
反転工程では、押し部材によって第1ワーク部材又は第2ワーク部材を径方向に沿ってパンチの側へ押しながら、第1ワーク部材及び第2ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込んでもよい。この場合、第1ワーク部材及び第2ワーク部材をパンチとダイスとの間に良好に挟み込むことができる。
第1ワーク部材及び第2ワーク部材は、互いに同一の形状を有していてもよい。この場合、径方向に関して互いに対称な形状を有する内輪用リング部材及び外輪用リング部材を形成することができる。
第1ワーク部材及び第2ワーク部材は、互いに異なる形状を有していてもよい。この場合、径方向に関して互いに非対称な形状を有する内輪用リング部材及び外輪用リング部材を形成することができる。
パンチは、円筒状のパンチ本体部を有し、ダイスは、パンチ本体部との間で第1ワーク部材及び第2ワーク部材の少なくとも一方を挟み込む円筒状又は円柱状のダイス本体部を有し、式(1)及び式(2)が満たされていてもよい。
D1-2×A=d1 …(1)
D2+2×A=d2 …(2)
式(1)及び式(2)において、D1は、ダイス本体部の外径であり、d1は、第1ワーク部材の内径であり、D2は、パンチ本体部の内径であり、d2は、第2ワーク部材の外径である。この場合、第1ワーク部材及び第2ワーク部材をパンチとダイスとの間に良好に挟み込むことができる。
D1-2×A=d1 …(1)
D2+2×A=d2 …(2)
式(1)及び式(2)において、D1は、ダイス本体部の外径であり、d1は、第1ワーク部材の内径であり、D2は、パンチ本体部の内径であり、d2は、第2ワーク部材の外径である。この場合、第1ワーク部材及び第2ワーク部材をパンチとダイスとの間に良好に挟み込むことができる。
本発明の軸受用リング部材の製造方法は、第1反転工程により形成された内輪用リング部材の数と第2反転工程により形成された外輪用リング部材の数との間の差分に関する情報を取得する工程と、差分が存在する場合、内輪用リング部材の数と外輪用リング部材の数とが互いに等しくなるように、第1反転工程又は第2反転工程を実施する工程と、を更に備えてもよい。この場合、内輪用リング部材又は外輪用リング部材が余ることを確実に抑制することができ、歩留まりを向上することができる。
本発明の軸受用リング部材の製造方法は、反転工程により形成された内輪用リング部材の数と反転工程により形成された外輪用リング部材の数との間の差分に関する情報を取得する工程と、差分が存在する場合、内輪用リング部材の数と外輪用リング部材の数とが互いに等しくなるように、第1ワーク部材又は第2ワーク部材をパンチとダイスとによって挟み込んで内輪用リング部材又は外輪用リング部材を形成する工程と、を更に備えてもよい。この場合、内輪用リング部材又は外輪用リング部材が余ることを確実に抑制することができ、歩留まりを向上することができる。
第1ワーク部材は、第1本体部から第1表面の側に突出した一対の第1フランジ部を有し、第2ワーク部材は、第2本体部から第2表面の側に突出した一対の第2フランジ部を有していてもよい。この軸受用リング部材の製造方法によれば、このようなコ字状(U字状)の断面形状を有する第1ワーク部材及び第2ワーク部材からも、内輪用リング部材及び外輪用リング部材を製造することができる。
本発明によれば、金型のコストを低減することができると共に歩留まりを向上することができる軸受用リング部材の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
実施形態に係る軸受用リング部材の製造方法では、図1に示されるように、第1ワーク部材10から内輪用リング部材30が製造される。また、図2に示されるように、第2ワーク部材20から外輪用リング部材40が製造される。内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40は、略円筒状の軸受用リング部材である。図1及び図2には、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40の軸方向(中心軸CLに平行な方向)と平行な断面が示されている。この例では、第1ワーク部材10、第2ワーク部材20、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40の各々は、略コ字状(U字状)の断面形状を有している。
内輪用リング部材30は、例えば軸受の内輪として用いられ得る。製造された内輪用リング部材30自体が内輪として用いられてもよいし、内輪用リング部材30に更なる加工が施されることで内輪が製造されてもよい。外輪用リング部材40は、例えば軸受の外輪として用いられ得る。製造された外輪用リング部材40自体が外輪として用いられてもよいし、外輪用リング部材40に更なる加工が施されることで外輪が製造されてもよい。内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40が適用される軸受は、任意の軸受であってよく、例えばニードル軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、玉軸受等であってよい。
内輪用リング部材30は、本体部31と、一対のフランジ部32,33と、を有している。本体部31は、円筒状に形成されており、径方向の外側を向いた円筒状の軌道面31aを有している。一方のフランジ部32は、本体部31における軸方向の第1側S1(図1中の上側)の端部から径方向の外側に突出しており、他方のフランジ部33は、本体部31の第2側(第1側S1とは反対側)S2の端部から径方向の外側に突出している。各フランジ部32,33は、略円環板状に形成されている。この例では、各フランジ部32,33は、本体部31から湾曲して立ち上がっており、各フランジ部32,33と本体部31との間には湾曲部分(R部)が形成されている。
外輪用リング部材40は、本体部41と、一対のフランジ部42,43と、を有している。この例では、外輪用リング部材40は、内輪用リング部材30と径方向に関して対称な形状を有している。本体部41は、円筒状に形成されており、径方向の内側を向いた円筒状の軌道面41aを有している。一方のフランジ部42は、本体部41における第1側S1の端部から径方向の内側に突出しており、他方のフランジ部43は、本体部41における第2側S2の端部から径方向の内側に突出している。各フランジ部42,43は、略円環板状に形成されている。この例では、各フランジ部42,43は、本体部41から湾曲して立ち上がっており、各フランジ部42,43と本体部41との間には湾曲部分(R部)が形成されている。
第1ワーク部材10は、第1本体部11と、一対の第1フランジ部12,13と、を有している。第1本体部11は、円環板状に形成されており、内輪用リング部材30の軌道面31aとなる第1表面11aを有している。この例では、第1表面11aは、円環状の平坦面である。一方の第1フランジ部12は、第1本体部11における径方向の内縁から第1表面11aの側(図1中の上側)に突出しており、他方の第1フランジ部13は、第1本体部11における径方向の外縁から第1表面11aの側に突出している。各第1フランジ部12,13は、略円筒状に形成されている。この例では、各第1フランジ部12,13は、第1本体部11から湾曲して立ち上がっており、各第1フランジ部12,13と第1本体部11との間には湾曲部分(R部)が形成されている。
第2ワーク部材20は、第2本体部21と、一対の第2フランジ部22,23と、を有している。この例では、第2ワーク部材20は、第1ワーク部材10と同一の形状を有している。第2本体部21は、第1本体部11と同一の円環板状に形成されており、外輪用リング部材40の軌道面41aとなる第2表面21aを有している。この例では、第2表面21aは、円環状の平坦面である。一方の第2フランジ部22は、第2本体部21における径方向の内縁から第2表面21aの側(図2中の上側)に突出しており、他方の第2フランジ部23は、第2本体部21における径方向の外縁から第2表面21aの側に突出している。各第2フランジ部22,23は、第1フランジ部12と同一の略円筒状に形成されている。この例では、各第2フランジ部22,23は、第2本体部21から湾曲して立ち上がっており、各第2フランジ部22,23と第2本体部21との間には湾曲部分(R部)が形成されている。
実施形態の軸受用リング部材の製造方法は、第1用意工程(図1(a))と、第2用意工程(図2(a))と、第1反転工程(図1(b))と、第2反転工程(図2(b))と、を備えている。概略的には、この製造方法では、第1用意工程により用意された第1ワーク部材10に、第1反転工程において反転加工が施されることにより、内輪用リング部材30が形成される。また、第2用意工程により用意された第2ワーク部材20に、第2反転工程において反転加工が施されることにより、外輪用リング部材40が形成される。反転加工では、第1ワーク部材10又は第2ワーク部材20の断面形状が90度回転させられる。以下、各工程について説明する。なお、図6以外の各図では各部材における中心軸CLの一方側が省略されて示されているが、各部材は中心軸CLに関して対称な形状を有している。
第1用意工程は、第1ワーク部材10を用意する工程である(図1(a))。この例では、第1用意工程は、バーリング工程を含んでいる。図3に示されるように、バーリング工程では、円環板状の加工部材5にバーリング加工を施して加工部材5の断面形状を略U字状に変形させることにより、第1ワーク部材10を形成する。加工部材5は、例えば、板状の金属材料を打ち抜くことにより形成され得る(打ち抜き工程)。すなわち、第1用意工程は、打ち抜き工程を更に含んでいてもよい。
バーリング工程では、まず、図3(a)に示されるように、離間して配置されたインナーダイス51及びアウターダイス52上に、インナーダイス51とアウターダイス52との間に架け渡されるように加工部材5が配置される。続いて、図3(b)に示されるように、バーリングパンチ53がインナーダイス51とアウターダイス52との間に入り込むように移動することで、加工部材5の断面形状が板状から略U字状に変形する。
より具体的には、バーリング工程では、加工部材5にバーリングパンチ53とは反対側から接触する変形抑制部材54を用い、バーリングパンチ53及び変形抑制部材54によって加工部材5を挟みながら、バーリング加工を行う。変形抑制部材54は、バネ54aを内部に有しており、バーリングパンチ53の移動に伴って、バーリングパンチ53との間で加工部材5を挟んだ状態を維持しつつ移動する。バーリングパンチ53がインナーダイス51とアウターダイス52との間に入り込んだ図3(b)の状態においては、バーリングパンチ53が移動する前の図3(a)の状態と比べてバネ54aの収縮量が大きくなっており、加工部材5に作用する付勢力が大きくなっている。バーリング加工においては加工部材5が強く挟まれるが、変形抑制部材54がクッションとして機能することで、バーリングパンチ53によって押圧される箇所において加工部材5(第1ワーク部材10)が曲がってしまうことを抑制することができる。
第2用意工程は、第2ワーク部材20を用意する工程である(図2(a))。この例では、第2用意工程は、バーリング工程を含んでいる。バーリング工程については第1用意工程と同様であるので説明を省略する。この例では、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20の形状が互いに同一であるため、共通のインナーダイス51及びアウターダイス52等を用いてバーリング工程を行うことができる。換言すれば、この例では、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20は同一であり(1種類のワーク部材が用いられており)、第1用意工程及び第2用意工程は共通化されている。
第1反転工程では、第1ワーク部材10に反転加工を施すことにより、内輪用リング部材30を形成する(図1(b))。図4に示されるように、第1反転工程では、第1ワーク部材10をパンチ60とダイス70とによって軸方向に挟み込んで第1表面11aが径方向の外側を向くように変形させることにより、内輪用リング部材30を形成する。第1反転工程では、第1表面11aが軸方向における第1側S1を向いた状態で第1ワーク部材10がパンチ60とダイス70とによって挟み込まれる。
パンチ60は、パンチ本体部61と、突出部62と、を有している。パンチ本体部61は、軸方向に平行な軸線を有する略円筒状に形成されている。パンチ本体部61における第2側S2の表面の内縁部には、第1R面R1が形成されている。第1R面R1は、パンチ本体部61における第2側S2の角部が丸められることにより形成された湾曲面であり、軸方向に平行な断面(図4)において円弧状に形成されている。突出部62は、パンチ本体部61における第1側S1の端部から径方向の内側に突出している。突出部62は、例えば円筒状に形成されている。
ダイス70は、ダイス本体部71と、突出部72と、を有している。ダイス本体部71は、軸方向に平行な軸線を有する略円筒状に形成されている。ダイス本体部71における第1側S1の表面の内縁部には、第2R面R2が形成されている。第2R面R2は、ダイス本体部71における第1側S1の角部が丸められることにより形成された湾曲面であり、軸方向に平行な断面(図4)において円弧状に形成されている。突出部72は、ダイス本体部71における第2側S2の端部から径方向の外側に突出している。突出部72は、例えば円筒状に形成されている。
図4に示されるように、第1反転工程では、第1側S1に配置されたパンチ60のパンチ本体部61と第2側S2に配置されたダイス70のダイス本体部71とによって第1ワーク部材10を挟み込んで変形させる。図4(a)に示されるように、初期状態においては、第1ワーク部材10の第1本体部11が、第1表面11aが第1側S1を向いた状態でダイス70上に載置されている。その後、図4(b)に示されるように、パンチ60が第2側S2に移動してパンチ本体部61の第1R面R1により一方の第1フランジ部13が押圧されることで、第1ワーク部材10が径方向の外側に向けて立ち上がる。その後、パンチ60が第2側S2に更に移動すると、パンチ60の突出部62が第1ワーク部材10の他方の第1フランジ部12に接触し、第1ワーク部材10が突出部62によって第2側S2に押し込まれる。このような反転加工により第1ワーク部材10の断面形状が90度回転し、第1表面11aが径方向の外側を向くように第1ワーク部材10が変形する。その結果、第1本体部11及び一対の第1フランジ部12,13が、それぞれ内輪用リング部材30の本体部31及び一対のフランジ部32,33となり、内輪用リング部材30が得られる。また、この反転加工により、第1本体部11の第1表面11aが内輪用リング部材30の軌道面31aとなる。
また、第1反転工程では、押し部材80によって第1ワーク部材10の第1フランジ部12を径方向の内側から外側へ押しながら(すなわち、径方向に沿ってパンチ60の側へ押しながら)、第1ワーク部材10をパンチ60とダイス70とによって挟み込む。図5に示されるように、押し部材80は、全体として略円環状に形成されている。押し部材80は、周方向に沿って等間隔に並べられた複数(この例では8つ)のブロック部材80aを含んでいる。各ブロック部材80aは、例えば環状扇形に形成されている。各ブロック部材80aは、ダイス70上に配置されており、ダイス70に沿って径方向に移動可能となっている。ブロック部材80aが径方向の外側に移動することで、押し部材80は第1フランジ部12を径方向の外側へ押す。この押す力としては、例えばバネ、油圧、エアー、モータ、カム等の任意の機構又は動力源からの力が用いられてよい。この押す力は、例えば0.5~5tonf程度であってもよい。
第2反転工程では、第2ワーク部材20に反転加工を施すことにより、外輪用リング部材40を形成する(図2(b))。図6に示されるように、第2反転工程では、第1反転工程と共通のパンチ60及びダイス70を用い、第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって軸方向に挟み込んで第2表面21aが径方向の内側を向くように変形させることにより、外輪用リング部材40を形成する。第2反転工程では、第2表面21aが軸方向における第2側S2を向いた状態で第2ワーク部材20がパンチ60とダイス70とによって挟み込まれる。すなわち、第1反転工程と第2反転工程では、ワーク部材(第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20)の向きが軸方向に関して逆になっている。
図6に示されるように、第2反転工程では、第1反転工程と同様に、第1側S1に配置されたパンチ60のパンチ本体部61と第2側S2に配置されたダイス70のダイス本体部71とによって第2ワーク部材20を挟み込んで変形させる。図6(a)に示されるように、初期状態においては、第2ワーク部材20の第2本体部21が、第2表面21aが第2側S2を向いた状態でダイス70上に載置されている。その後、図6(b)に示されるように、パンチ60が第2側S2に移動してパンチ本体部61の第1R面R1により第2本体部21が押圧されることで、第2ワーク部材20が径方向の外側に向けて立ち上がる。その後、パンチ60が第2側S2に更に移動すると、パンチ60の突出部62が第2ワーク部材20の第2フランジ部22に接触し、第2ワーク部材20が突出部62によって第2側S2に押し込まれる。このような反転加工により第2ワーク部材20の断面形状が90度回転し、第2表面21aが径方向の内側を向くように第2ワーク部材20が変形する。その結果、第2本体部21及び一対の第2フランジ部22,23が、それぞれ外輪用リング部材40の本体部41及び一対のフランジ部42,43となり、外輪用リング部材40が得られる。また、この反転加工により、第2本体部21の第2表面21aが外輪用リング部材40の軌道面41aとなる。
また、第2反転工程では、第1反転工程と同様に、押し部材80によって第2ワーク部材20の第2フランジ部22を径方向の内側から外側へ押しながら(すなわち、径方向に沿ってパンチ60の側へ押しながら)、第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込む。押し部材80についても第1反転工程と第2反転工程との間で共通のものが用いられ得る。
実施形態の軸受用リング部材の製造方法では、例えば、第1反転工程と第2反転工程とが交互に実施され、内輪用リング部材30と外輪用リング部材40の対が順次形成される。実施形態の軸受用リング部材の製造方法は、第1反転工程の後に、第1反転工程により形成された内輪用リング部材30の良否を検査する第1検査工程を更に備えていてもよい。この場合、例えば、第1検査工程の検査結果が否であった場合には、第1反転工程を実施し、内輪用リング部材30を形成する。これにより、例えば第1反転工程により形成された内輪用リング部材30に不良が発生しており、検査結果が否であった場合に、内輪用リング部材30を続けて形成することができ、内輪用リング部材30が不足する事態の発生を抑制することができる。
また、実施形態の軸受用リング部材の製造方法は、第2反転工程の後に、第2反転工程により形成された外輪用リング部材40の良否を検査する第2検査工程を更に備えていてもよい。この場合、例えば、第2検査工程の検査結果が否であった場合には、第2反転工程を実施し、外輪用リング部材40を形成する。これにより、例えば第2反転工程により形成された外輪用リング部材40に不良が発生しており、検査結果が否であった場合に、外輪用リング部材40を続けて形成することができ、外輪用リング部材40が不足する事態の発生を抑制することができる。また、第1検査工程及び第2検査工程を実施することで(全数検査)、内輪用リング部材30と外輪用リング部材40とが必ず対になるように製造を行うことができる。
或いは、実施形態の軸受用リング部材の製造方法では、第1反転工程及び第2反転工程の各々が所定の複数回(例えば100回)実施された後に、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40の数が調整されてもよい。例えば、軸受用リング部材の製造方法は、第1反転工程により形成された内輪用リング部材30の数と第2反転工程により形成された外輪用リング部材40の数との間の差分に関する情報を取得する情報取得工程と、当該差分が存在する場合、内輪用リング部材30の数と外輪用リング部材40の数とが互いに等しくなるように、第1反転工程又は第2反転工程を実施する補充工程と、を更に備えていてもよい。
情報取得工程では、例えば、作業者又は機械により現時点における内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40の数がカウントされ、内輪用リング部材30の数と外輪用リング部材40の数との間の差分が算出される。補充工程では、例えば内輪用リング部材30が外輪用リング部材40よりも少ない場合、内輪用リング部材30の数が外輪用リング部材40の数と等しくなるように、第1反転工程が実施される。例えば、内輪用リング部材30が外輪用リング部材40よりも3つ少ない場合、第1反転工程が3回実施される。一方、外輪用リング部材40が内輪用リング部材30よりも少ない場合、外輪用リング部材40の数が内輪用リング部材30の数と等しくなるように、第2反転工程が実施される。このような情報取得工程及び補充工程を実施することによっても、内輪用リング部材30又は外輪用リング部材40が不足する事態の発生を抑制することができる。
[作用及び効果]
[作用及び効果]
実施形態の軸受用リング部材の製造方法では、第1反転工程及び第2反転工程において共通のパンチ60及びダイス70が用いられ、第1反転工程では、第1表面11aが軸方向における第1側S1を向いた状態で第1ワーク部材10をパンチ60とダイス70とによって挟み込むことで内輪用リング部材30が形成され、第2反転工程では、第2表面21aが第1側S1とは反対側の第2側S2を向いた状態で第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込むことで外輪用リング部材40が形成される。これにより、共通のパンチ60及びダイス70を用いて内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40を形成することができ、金型のコストを低減することができる。また、例えば、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40の一方が不足した場合に、内輪用リング部材30と外輪用リング部材40の数が互いに等しくなるように、第1反転工程又は第2反転工程を実施することができる。その結果、内輪用リング部材30又は外輪用リング部材40が余ることを抑制することができ、歩留まりを向上することができる。よって、実施形態の軸受用リング部材の製造方法によれば、金型のコストを低減することができると共に歩留まりを向上することができる。
第1反転工程では、押し部材80によって第1ワーク部材10を径方向に沿ってパンチ60の側へ押しながら、第1ワーク部材10をパンチ60とダイス70とによって挟み込み、第2反転工程では、押し部材80によって第2ワーク部材20を径方向に沿ってパンチ60の側へ押しながら、第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込む。これにより、第1ワーク部材10又は第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70との間に良好に挟み込むことができる。
第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20が、互いに同一の形状を有している。これにより、径方向に関して互いに対称な形状を有する内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40を形成することができ、コストを低減することができる。
実施形態の軸受用リング部材の製造方法は、第1反転工程により形成された内輪用リング部材30の数と第2反転工程により形成された外輪用リング部材40の数との間の差分に関する情報を取得する情報取得工程と、当該差分が存在する場合、内輪用リング部材30の数と外輪用リング部材40の数とが互いに等しくなるように、第1反転工程又は第2反転工程を実施する補充工程と、を備え得る。この場合、内輪用リング部材30又は外輪用リング部材40が余ることを確実に抑制することができ、歩留まりを向上することができる。
第1ワーク部材10が、第1本体部11から第1表面11aの側に突出した一対の第1フランジ部12,13を有し、第2ワーク部材20が、第2本体部21から第2表面21aの側に突出した一対の第2フランジ部22,23を有している。実施形態の軸受用リング部材の製造方法によれば、このようなコ字状(U字状)の断面形状を有する第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20からも、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40を製造することができる。
[変形例]
[変形例]
図7は、第1変形例を説明するための断面図である。図7(a)には第1反転工程の開始時の状態が示されており、図7(b)には第2反転工程の開始時の状態が示されている。第1変形例では、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20が互いに異なる形状を有している。すなわち、第1変形例では2種類のワーク部材が用いられる。一方、第1変形例においても、第1反転工程及び第2反転工程において共通のパンチ60及びダイス70が用いられる。第1変形例では、ダイス70のダイス本体部71が略円柱状に形成されている。第1変形例では、以下の式(3)及び式(4)が満たされている。
D1-2×A=d1 …(3)
D2+2×A=d2 …(4)
式(3)及び式(4)において、D1は、ダイス本体部71の外径(直径)であり、d1は、第1ワーク部材10の内径であり、D2は、パンチ本体部61の内径であり、d2は、第2ワーク部材20の外径である。
D1-2×A=d1 …(3)
D2+2×A=d2 …(4)
式(3)及び式(4)において、D1は、ダイス本体部71の外径(直径)であり、d1は、第1ワーク部材10の内径であり、D2は、パンチ本体部61の内径であり、d2は、第2ワーク部材20の外径である。
寸法Aは、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40の一方について反転加工が可能な条件が定まることで、決定され得る。例えば、第1ワーク部材10について反転加工が可能なパンチ60及びダイス70の形状が分かると、式(3)における寸法Aが算出され得る。この寸法Aの値を式(4)に代入することで、第2ワーク部材20の外径d2を決定することができる。
第1変形例の軸受用リング部材の製造方法では、第1反転工程において第1ワーク部材10をパンチ60とダイス70とによって挟み込む際に、押し部材80によって第1ワーク部材10を押さない。また、第2反転工程において第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込む際に、押し部材80によって第2ワーク部材20を押さない。
このような第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、金型のコストを低減することができると共に歩留まりを向上することができる。また、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20が互いに異なる形状を有していることで、径方向に関して互いに非対称な形状を有する内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40を形成することができる。また、上記式(3)及び式(4)が満たされていることで、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70との間に良好に挟み込むことができる。また、第1反転工程及び第2反転工程において押し部材80を用いる必要がなく、製造設備を簡易化することができる。なお、第1変形例の第1反転工程及び第2反転工程において、上記実施形態と同様に、押し部材80によって第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20をパンチ60の側へ押してもよい。
図8は、第2変形例を説明するための断面図である。第2変形例の軸受用リング部材の製造方法では、一回の反転加工により内輪用リング部材30と外輪用リング部材40とを同時に形成する。第2変形例の軸受用リング部材の製造方法は、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20を用意する用意工程と、重ねられた第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込んで変形させることにより、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40を形成する反転工程と、を備えている。第2変形例においても、第1変形例と同様に、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20は互いに異なる形状を有している。第2変形例の第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20並びにパンチ60及びダイス70は、例えば第1変形例のものと同一の形状を有している。すなわち、第2変形例においても、上記式(3)及び式(4)が満たされている。
第2変形例の用意工程は、上記実施形態の第1用意工程及び第2用意工程と同様である。すなわち、例えば、第2変形例の用意工程では、バーリング工程により第1ワーク部材10が形成されると共に、バーリング工程により第2ワーク部材20が形成される。図8に示されるように、第2変形例の反転工程の開始時点においては、第1ワーク部材10の第1表面11aが第1側S1を向き、且つ第2ワーク部材20の第2表面21aが第2側S2を向くように、第1ワーク部材10と第2ワーク部材20とが重ねられている。この例では、ダイス70上に第1ワーク部材10が載置されている。そして、第1表面11aと第2表面21aとが互いに向かい合うように、第1ワーク部材10上に第2ワーク部材20が載置されている。第1フランジ部12、第2フランジ部22、第1フランジ部13、第2フランジ部23は、径方向の内側からこの順に並んでいる。この状態からパンチ60を第2側S2に移動させて反転加工を実施することにより、第1表面11aが径方向の外側を向くと共に第2表面21aが径方向の内側を向くように第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20が変形させられ、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40が同時に形成される。
一方、第1ワーク部材10のみをパンチ60とダイス70とによって挟み込んで変形させることにより、内輪用リング部材30を単独で形成することもできる。また、第2ワーク部材20のみをパンチ60とダイス70とによって挟み込んで変形させることにより、外輪用リング部材40を単独で形成することもできる。
第2変形例の軸受用リング部材の製造方法においても、上述した第1検査工程及び第2検査工程が実施されてもよい。この場合、第1検査工程の検査結果が否であった場合には、第1ワーク部材10のみをパンチ60とダイス70とによって挟み込んで内輪用リング部材30を形成してもよい。また、第2検査工程の検査結果が否であった場合には、第2ワーク部材20のみをパンチ60とダイス70とによって挟み込んで外輪用リング部材40を形成してもよい。これにより、内輪用リング部材30又は外輪用リング部材40が不足する事態の発生を抑制することができる。
或いは、上記実施形態の場合と同様に、第2変形例の軸受用リング部材の製造方法においても、反転工程が所定の複数回(例えば100回)実施された後に、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40の数が調整されてもよい。例えば、第2変形例の軸受用リング部材の製造方法は、反転工程により形成された内輪用リング部材30の数と反転工程により形成された外輪用リング部材40の数との間の差分に関する情報を取得する情報取得工程と、当該差分が存在する場合、内輪用リング部材30の数と外輪用リング部材40の数とが互いに等しくなるように、第1ワーク部材10又は第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込んで内輪用リング部材30又は外輪用リング部材40を形成する補充工程と、を更に備えていてもよい。
補充工程では、例えば内輪用リング部材30が外輪用リング部材40よりも少ない場合、内輪用リング部材30の数が外輪用リング部材40の数と等しくなるように、第1ワーク部材10がパンチ60とダイス70とによって挟み込まれて内輪用リング部材30が形成される。一方、外輪用リング部材40が内輪用リング部材30よりも少ない場合、第2ワーク部材20がパンチ60とダイス70とによって挟み込まれて外輪用リング部材40が形成される。このような情報取得工程及び補充工程を実施することによっても、内輪用リング部材30又は外輪用リング部材40が不足する事態の発生を抑制することができる。
このような第2変形例によっても、上記実施形態と同様に、金型のコストを低減することができると共に歩留まりを向上することができる。すなわち、第2変形例の軸受用リング部材の製造方法では、重ねられた第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込むことにより、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40が形成される。これにより、共通のパンチ60及びダイス70を用いて内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40を形成することができ、金型のコストを低減することができる。また、例えば、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40の一方が不足した場合に、内輪用リング部材30と外輪用リング部材40の数が互いに等しくなるように、第1ワーク部材10又は第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込んで内輪用リング部材30又は外輪用リング部材40を形成することができる。その結果、内輪用リング部材30又は外輪用リング部材40が余ることを抑制することができ、歩留まりを向上することができる。
図9は、第3変形例を説明するための断面図である。第3変形例の軸受用リング部材の製造方法では、第2変形例と同様に、一回の反転加工により内輪用リング部材30と外輪用リング部材40とを同時に形成する。第3変形例においても、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20は互いに異なる形状を有している。第3変形例の軸受用リング部材の製造方法は、第2変形例と同様に、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20を用意する用意工程と、重ねられた第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込んで変形させることにより、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40を形成する反転工程と、を備えている。
第3変形例の反転工程の開始時点においては、第1ワーク部材10の第1表面11aが第1側S1を向き、且つ第2ワーク部材20の第2表面21aが第2側S2を向くように重ねられている。この例では、第1ワーク部材10の内部に第2ワーク部材20が配置されており、第1フランジ部12、第2フランジ部22、第2フランジ部23、第1フランジ部13が、径方向の内側からこの順に並んでいる。この状態からパンチ60を第2側S2に移動させて反転加工を実施することにより、第1表面11aが径方向の外側を向くと共に第2表面21aが径方向の内側を向くように第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20が変形させられ、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40が同時に形成される。
第3変形例の反転工程では、押し部材80によって第1ワーク部材10を径方向に沿ってパンチ60の側へ押しながら、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込む。このような第3変形例によっても、上記第2変形例と同様に、金型のコストを低減することができると共に歩留まりを向上することができる。なお、第3変形例の反転工程では、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20の形状によっては、押し部材80によって第1ワーク部材10ではなく第2ワーク部材20を径方向に沿ってパンチ60の側へ押しながら、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込んでもよい。
本発明は、上記実施形態及び変形例に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
例えば、第1ワーク部材10、第2ワーク部材20、内輪用リング部材30及び外輪用リング部材40は、図10及び図11に示される形状を有していてもよい。図10(a)、図10(b)、図11(a)、図11(b)には、それぞれ、軸受が深溝玉軸受、アンギュラ軸受、円筒軸受、円錐軸受である場合の例が示されている。軸受が自動調心玉軸受又は自動調心ころ軸受である場合、軸受が円筒軸受である場合と同様の構成となる。
図10(a)の例では、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20が互いに同一の形状を有している。図10(b)、図11(a)及び図11(b)の例では、第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20が互いに異なる形状を有している。図10及び図11に示されるように、第1ワーク部材10は、第1フランジ部12,13を有していなくてもよく、第2ワーク部材20は、第2フランジ部22,23を有していなくてもよい。内輪用リング部材30は、フランジ部32,33を有していなくてもよく、外輪用リング部材40は、フランジ部42,43を有していなくてもよい。第1表面11a、第2表面21a及び軌道面31a,41aは、湾曲面であってもよいし、傾斜面であってもよい。
上記実施形態及び各変形例ではパンチ本体部61が略円筒状に形成され、ダイス本体部71が略円筒状又は略円柱状に形成されていたが、それとは逆に、パンチ本体部61が略円筒状又は略円柱状に形成され、ダイス本体部71が略円筒状に形成されてもよい。すなわち、上記実施形態及び各変形例ではパンチ本体部61がダイス本体部71に対して径方向の外側に位置していたが、それとは逆に、パンチ本体部61がダイス本体部71に対して径方向の内側に位置していてもよい。この場合、例えば、突出部62はパンチ本体部61から径方向の内側に突出し、突出部72はダイス本体部71から径方向の外側に突出する。そのようなパンチ60及びダイス70が用いられる場合、第1反転工程では、押し部材80によって第1ワーク部材10の第1フランジ部13を径方向の外側から内側へ押しながら(すなわち、径方向に沿ってパンチ60の側へ押しながら)、第1ワーク部材10をパンチ60とダイス70とによって挟み込んでもよい。同様に、第2反転工程では、押し部材80によって第2ワーク部材20の第2フランジ部23を径方向の外側から内側へ押しながら(すなわち、径方向に沿ってパンチ60の側へ押しながら)、第2ワーク部材20をパンチ60とダイス70とによって挟み込んでもよい。
上記実施形態及び各変形例の反転工程では、パンチ60がダイス70に近づくことによりパンチ60とダイス70との間にワーク部材が挟み込まれたが、パンチ60とダイス70とが相対的に移動すればよく、例えば両部材が互いに近づくように移動することによりパンチ60とダイス70との間にワーク部材が挟み込まれてもよい。上記実施形態において第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20は互いに異なる形状を有していてもよい。第1変形例及び第2変形例において第1ワーク部材10及び第2ワーク部材20は互いに同一の形状を有していてもよい。実施形態の軸受用リング部材の製造方法において第1反転工程と第2反転工程の実施順は限定されず、第2反転工程の後に第1反転工程が実施されてもよい。
10…第1ワーク部材、11…第1本体部、11a…第1表面、12,13…第1フランジ部、20…第2ワーク部材、21…第2本体部、21a…第2表面、22,23…第2フランジ部、30…内輪用リング部材、31a…軌道面、40…外輪用リング部材、41a…軌道面、60…パンチ、70…ダイス、80…押し部材、S1…第1側、S2…第2側。
Claims (10)
- 軸受用リング部材の製造方法であって、
軌道面となる第1表面を含む円環状の第1本体部を有する第1ワーク部材を、パンチとダイスとによって軸方向に挟み込んで前記第1表面が径方向の外側を向くように変形させることにより、内輪用リング部材を形成する第1反転工程と、
軌道面となる第2表面を含む円環状の第2本体部を有する第2ワーク部材を、前記パンチと前記ダイスとによって軸方向に挟み込んで前記第2表面が径方向の内側を向くように変形させることにより、外輪用リング部材を形成する第2反転工程と、を備え、
前記第1反転工程では、前記第1表面が軸方向における第1側を向いた状態で前記第1ワーク部材を前記パンチと前記ダイスとによって挟み込み、前記第2反転工程では、前記第2表面が前記第1側とは反対側の第2側を向いた状態で前記第2ワーク部材を前記パンチと前記ダイスとによって挟み込む、軸受用リング部材の製造方法。 - 前記第1反転工程では、押し部材によって前記第1ワーク部材を径方向に沿って前記パンチの側へ押しながら、前記第1ワーク部材を前記パンチと前記ダイスとによって挟み込み、
前記第2反転工程では、前記押し部材によって前記第2ワーク部材を径方向に沿って前記パンチの側へ押しながら、前記第2ワーク部材を前記パンチと前記ダイスとによって挟み込む、請求項1に記載の軸受用リング部材の製造方法。 - 軸受用リング部材の製造方法であって、
軌道面となる第1表面を含む円環状の第1本体部を有する第1ワーク部材と、軌道面となる第2表面を含む円環状の第2本体部を有する第2ワーク部材と、を用意する工程と、
前記第1表面が軸方向における第1側を向き、且つ前記第2表面が前記第1側とは反対側の第2側を向くように重ねられた前記第1ワーク部材及び前記第2ワーク部材を、パンチとダイスとによって軸方向に挟み込んで前記第1表面が径方向の外側を向くと共に前記第2表面が径方向の内側を向くように変形させることにより、内輪用リング部材及び外輪用リング部材を形成する反転工程と、を備える、軸受用リング部材の製造方法。 - 前記反転工程では、押し部材によって前記第1ワーク部材又は前記第2ワーク部材を径方向に沿って前記パンチの側へ押しながら、前記第1ワーク部材及び前記第2ワーク部材を前記パンチと前記ダイスとによって挟み込む、請求項3に記載の軸受用リング部材の製造方法。
- 前記第1ワーク部材及び前記第2ワーク部材は、互いに同一の形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の軸受用リング部材の製造方法。
- 前記第1ワーク部材及び前記第2ワーク部材は、互いに異なる形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の軸受用リング部材の製造方法。
- 前記パンチは、円筒状のパンチ本体部を有し、
前記ダイスは、前記パンチ本体部との間で前記第1ワーク部材及び前記第2ワーク部材の少なくとも一方を挟み込む円筒状又は円柱状のダイス本体部を有し、
式(1)及び式(2)が満たされている、請求項1~6のいずれか一項に記載の軸受用リング部材の製造方法。
D1-2×A=d1 …(1)
D2+2×A=d2 …(2)
前記式(1)及び前記式(2)において、D1は、前記ダイス本体部の外径であり、d1は、前記第1ワーク部材の内径であり、D2は、前記パンチ本体部の内径であり、d2は、前記第2ワーク部材の外径である。 - 前記第1反転工程により形成された前記内輪用リング部材の数と前記第2反転工程により形成された前記外輪用リング部材の数との間の差分に関する情報を取得する工程と、
前記差分が存在する場合、前記内輪用リング部材の数と前記外輪用リング部材の数とが互いに等しくなるように、前記第1反転工程又は前記第2反転工程を実施する工程と、を更に備える、請求項1又は2に記載の軸受用リング部材の製造方法。 - 前記反転工程により形成された前記内輪用リング部材の数と前記反転工程により形成された前記外輪用リング部材の数との間の差分に関する情報を取得する工程と、
前記差分が存在する場合、前記内輪用リング部材の数と前記外輪用リング部材の数とが互いに等しくなるように、前記第1ワーク部材又は前記第2ワーク部材を前記パンチと前記ダイスとによって挟み込んで前記内輪用リング部材又は前記外輪用リング部材を形成する工程と、を更に備える、請求項3又は4に記載の軸受用リング部材の製造方法。 - 前記第1ワーク部材は、前記第1本体部から前記第1表面の側に突出した一対の第1フランジ部を有し、
前記第2ワーク部材は、前記第2本体部から前記第2表面の側に突出した一対の第2フランジ部を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の軸受用リング部材の製造方法。
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