JP2023101096A - 希少糖の効率的な生産用単糖間平衡反応促進剤 - Google Patents

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健 何森
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明秀 吉原
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Abstract

【課題】 希少糖の効率的な生産。【解決手段】 有機ゲルマニウム化合物からなり、少なくとも一つが希少糖である単糖間での平衡状態を含む化学反応系に用いるための単糖間平衡反応促進剤。単糖間の平衡反応における平衡比を有機ゲルマニウム化合物との錯体形成能の強度が大きい単糖側にシフトさせるための促進剤である。有機ゲルマニウム化合物がポリ-トランス-2-カルボキシエチルゲルマセスキオキサン(Ge-132)を含む、若しくはそれからなる。【選択図】図1

Description

本発明は、希少糖の効率的な生産に用いられる有機ゲルマニウム化合物からなる単糖間平衡反応促進剤およびそれを用いた希少糖の効率的な生産方法に関する。
希少糖とは、糖の基本単位である単糖のうち、自然界に大量に存在するD-グルコース(ブドウ糖)に代表される「天然型単糖」に対して、「自然界に微量にしか存在しない単糖」と定義付けられている。希少糖の存在量は非常に少なく、D-グルコース(ブドウ糖)に比べて圧倒的に存在量が少ない。近年、希少糖は、種々の生理効果を有することから注目され、研究が盛んにおこなわれているが、工業的に広く使用されるためには、これらの希少糖が効率的に生産されることが不可欠である。そのなかでも、現在、大量生産が可能な希少糖は、D-プシコースおよびD-アロースである。D-プシコースは、英語名の一つにD-alluloseがあるが、以後、本発明ではD-アルロースを用いることとする。
D-アルロースは、ケトヘキソースに分類されるアルロースのD体であり、六炭糖(ヘキソース)である。希少糖生産の観点からイソメラーゼを考えた場合、D-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)とともにL-ラムノースイソメラーゼが基盤酵素と言える。
従来の技術は、純粋な希少糖D-アルロースをケトース3-エピメラーゼ(例えば、D-アルロース3-エピメラーゼ)を用いてD-フルクトースを原料として生産している。希少糖D-アルロースはD-フルクトースにエピメラーゼを作用し、D-フルクトースとD-アルロースの混合物を作り、それを分離精製することで粉末結晶のD-アルロースを作ることができる。このD-アルロースはそれ自身で甘味料、医薬品等の用途があり、世界中で大量生産され販売が始まっている。このD-アルロースはエネルギーゼロで各種機能性があることから、特に甘味料としての販売が先行している。
さらに進んで、世界で戦える製品としてのD-グルコース、D-フルクトースおよびD-アルロースからなる3種の糖を含有するD-アルロースの機能性を持つ砂糖に近い味質の甘味料を求めて、世界的な規模の大量生産方法(新製造プロセス)の提供を目的とした発明が提案されている。製造コストの大半を占める原材料費を「D-グルコースとD-フルクトースを含む混合糖である安価な異性化糖または転化糖を」を用いること、擬似移動層クロマトグラフィーは用いることなく生産することで多工程プロセスの短工程化すること、ならびに、酵素の高耐久性(寿命)に由来する低コスト酵素触媒の利用とを組み合わせて、D-グルコース、D-フルクトースおよびD-アルロースからなる3種の糖を含有するD-アルロースの機能性を持つ砂糖に近い味質の甘味料の十分価格競争力を有する世界的な規模の大量生産方法を提供することができるとしている(PCT/JP2021/017565)。異性化糖の生産においては製造コストの大半を占める原材料費が占めることが多く、酵素触媒性能向上のメリットが占める割合は大きくないとはいえ、世界レベルでの競争になってビジネス規模が非常に大きくなるにつれて、触媒性能改善の利益は大きい。
大量生産が始まったD-アルロースはD-プシコースともいい、D-フルクトースのエピマーであり、砂糖の70%程度の甘味度があり、甘味の質においてD-フルクトースに類似している。D-アルロースはD-フルクトースと異なり、体内吸収時にほとんど代謝されずカロリーはほぼゼロに近く、脂質合成酵素の活性を抑制することで腹部脂肪を減少させる機能が明らかにされている。今までにD-アルロースは、低カロリー甘味料として(特許文献1)、体重減少に有効な甘味料として(非特許文献1および2)使用できることが報告され、特許文献2には、D-アルロースの血糖上昇抑制作用に着目し、健康食品、糖尿病患者用飲食品、痩身用飲食品などに使用することが記載されている。
また、D-タガトースは、砂糖の90%程度の甘味度でエネルギーが2kcal/gであり、低カロリー甘味料として用いられている。また、HDLコレステロールの上昇効果や体脂肪蓄積抑制効果(特許文献3)を有し、D-アルロースと同様に食後血糖上昇抑制作用を有することもわかっている。
これら希少糖の製造には、現在イソメラーゼによる方法が使用されており、これは有用な酵素反応が見出された結果である。そのイソメラーゼの一種であるケトース3-エピメラーゼは、複数のケトースを基質とすることができ、基質となるケトースのうち最も3位のエピ化活性が高いケトースを名称に入れて、たとえばD-タガトースに対して3位のエピ化活性が最も高い酵素をD-タガトース3-エピメラーゼと呼ぶことがある。このD-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)を利用することにより、D-フルクトースから希少糖であるD-アルロースを製造する技術が確立されている。
たとえば、非特許文献3には、シュードモナス チコリ(Pseudomonas
cichorii)ST-24株由来のD-ケトース3-エピメラーゼが開示されており、この酵素を利用することによりD-フルクトースからD-アルロースが製造できることが記載されている。しかしながら、この酵素は別名D-タガトース3-エピメラーゼとも呼ばれるように、D-タガトースの3位のエピ化活性が最も高く、D-フルクトースへの作用は比較的弱い。
また、特許文献4にはアグロバクテリウム ツメファシエンス(
Agrobacterium tumefaciens)由来のD-アルロース3-エピメラーゼを用いるD-アルロースの生成方法が、特許文献5には、アルスロバクター グロビフォルミス(Arthrobacter globiformis)由来のケトース3-エピメラーゼを用いるD-アルロースの製造方法が報告されているが、これらのケトース3-エピメラーゼは、D-アルロースやD-タガトースを工業的規模で大量生産できる程、活性の高いものではない。
そのような時、食品を製造する際に使用が認められ毒性がないとされる微生物由来であり、かつ活性が高く耐熱性を有し、高活性でD-フルクトースからD-アルロースへの異性化を触媒できる新規なケトース3-エピメラーゼが見出された(特許文献7)。
特許第4473980号公報 特許第5421512号公報 特許第5749880号公報 特許第4648975号公報 特許第5997693号公報 特開2017-148015号公報 特許第5639759号公報 WO2020-105709 特許第3524094号公報 特許第6887195号公報
Asia Pac.J.Clin.Nutr.(2001)10,233-237 Asia Pac.J.Clin.Nutr.(2004)13,127 Biosci.Biotech.Biochem.(1993)57,1037-1039 J.Appl.Glycosci. (2016)63,39-45 Future.Med.Chem.(2015)7(10)1233-1246 Biol.Trace Elem.Res.(2018)181(1)164-172
平衡反応を用いる異性化糖の生産においては製造コストの大半を占める原材料費が占めることが多く、酵素触媒性能向上のメリットが占める割合は大きくないとはいえ、世界レベルでの競争になっており、ビジネス規模が非常に大きくなるにつれて、触媒性能改善の利益は大きくなってきた。例えば、特許文献7のケトース3-エピメラーゼの耐熱性に基づき、世界規模での利用に拍車がかかっており(PCT/JP2021/017565)、当該酵素の世界的供給に触媒ビジネスやライセンスビジネスの構築が期待される。
一般には、平衡反応においては、目的物の収率を上げるためには反応条件や原料の選択が重要である。アルドース構造を有する化合物のケトース構造を有する化合物への異性化には有機ゲルマニウム化合物を主剤とする促進剤が開発されている(非特許文献4)が、少なくとも一つが希少糖である単糖間での平衡状態を含む化学反応系を用いるビジネス、およびケトース3-エピメラーゼ(例えば、D-アルロース3-エピメラーゼ)の平衡反応を用いるビジネスそのものは始まったばかりであり、世界各国に生産拠点を増加する準備にむけて動き始めてはいるが、少なくとも一つが希少糖である単糖間での平衡状態を含む化学反応系で、および、ケトース3-エピメラーゼ(例えば、D-アルロース3-エピメラーゼ)を用いる平衡反応で効率的な変換方法については従来実用化されていないのが実情である。
本発明は、例えば、製造コストの大半を占める原材料費をたとえば「D-グルコースとD-フルクトースを含む混合糖である安価な異性化糖または転化糖を」を用いること、擬似移動層クロマトグラフィーは用いることなく生産することで多工程プロセスの短工程化すること、酵素の高耐久性(寿命)に由来する低コスト酵素触媒の利用、ならびに、固定化酵素の乾燥体の利用とを組み合わせて、D-アルロースの、あるいは、D-グルコース、D-フルクトースおよびD-アルロースからなる3種の糖を含有するD-アルロースの機能性を持つ砂糖に近い味質の甘味料の十分価格競争力を有する世界的な規模の大量生産方法を全世界に広めるために、イソメラーゼ、例えばケトース3-エピメラーゼ(D-アルロース3-エピメラーゼなど)またはケトース3-エピメラーゼ活性を有するタンパク質を用いる効率的な変換方法の提供を目的としている。
本発明は、以下の(1)ないし(9)の単糖間平衡反応促進剤を要旨とする。
(1)有機ゲルマニウム化合物からなり、少なくとも一つが希少糖である単糖間での平衡状態を含む化学反応系に用いるための単糖間平衡反応促進剤。
(2)単糖間の平衡反応における平衡比を有機ゲルマニウム化合物との錯体形成能の強度が大きい単糖側にシフトさせるための促進剤である、上記(1)に記載の単糖間平衡反応促進剤。
(3)ケトースおよびケトース間での平衡状態を含む化学反応系である、上記(1)または(2)に記載の単糖間平衡反応促進剤。
(4)イソメラーゼ存在下の単糖間の変換反応系である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤。
(5)イソメラーゼ存在下が、ケトース3-エピメラーゼまたはケトース3-エピメラーゼ活性を有するタンパク質存在下である、上記(4)に記載の単糖間平衡反応促進剤。
(6)有機ゲルマニウム化合物がポリ-トランス-2-カルボキシエチルゲルマセスキオキサン(Ge-132)を含む、若しくはそれからなる、上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤。
(7)希少糖が少なくともD-アルロースを含むことを特徴とする、上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤。
(8)反応物質である単糖(a)と生成物質である単糖(b)間で平衡状態にある化学反応系である、上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤。
(9)反応物質である単糖(a)がD-フルクトース、生成物質である単糖(b)がD-アルロースであり、平衡比を76:24から38:62に変更可能である、上記(8)に記載の単糖間平衡反応促進剤。
また、本発明は、以下の(10)の希少糖を効率的に生産する方法を要旨とする。
(10)上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤を用いることを特徴とする、単糖間の変換反応により希少糖を効率的に生産する方法。
本発明により、反応物質である単糖(a)と生成物質である単糖(b)間で平衡状態にある化学反応系で単糖(b)として希少糖、例えばD-アルロースを効率的な変換方法で生産することができる、単糖間平衡反応促進剤を提供することができる。
また、本発明は、例えば、製造コストの大半を占める原材料費をたとえば「D-グルコースとD-フルクトースを含む混合糖である安価な異性化糖または転化糖を」を用いること、擬似移動層クロマトグラフィーは用いることなく生産することで多工程プロセスの短工程化すること、酵素の高耐久性(寿命)に由来する低コスト酵素触媒の利用、ならびに、固定化酵素の乾燥体の利用とを組み合わせて、D-アルロースの、あるいは、D-グルコース、D-フルクトースおよびD-アルロースからなる3種の糖を含有するD-アルロースの機能性を持つ砂糖に近い味質の甘味料の十分価格競争力を有する世界的な規模の大量生産方法を全世界に広めるために、イソメラーゼ、例えばケトース3-エピメラーゼ(D-アルロース3-エピメラーゼなど)またはケトース3-エピメラーゼ活性を有するタンパク質を用いる効率的な変換方法を提供することができる。
D-アルロースの転化率に対するHClの影響を示す。 全糖の収量を示す。 THGPと単糖の分離における希釈の影響を示す。 ST-24株のDTEを用いたD-フルクトースからD-アルロースへの変換率の経時変化を示す。 上:Ge-132なし、下:Ge-132あり スイートザイムを用いたD-グルコースからD-フルクトースへの変換率の時間経過を示す。 上:Ge-132なし、下:Ge-132あり NN-6株のHPLCを用いたD-アルロースからD-アロースへの変換率の経時変化を示す。 上:Ge-132なし、下:Ge-132あり NN-6株のLREAを用いたL-ソルボースからL-タガトースへの変換率の経時変化を示す。 NN-6株の固定化DXIおよびLREを用いたD-キシロースからD-キシルロースおよびD-リブロースへの変換率の時間経過を示す。 上:Ge-132なし、下:Ge-132あり NN-6株の固定化DXIおよびLREを用いたD-グルコースからD-フルクトースおよびD-アルロースへの変換率の経時変化を示す。 上:Ge-132なし、下:Ge-132あり ST-24株のDTEを用いたD-フルクトース反応に対するTHGP濃度の効果を示す。1MまでTHGPの濃度の増加に伴ってD-アルロースの平衡比も高まった。 単糖のイズモリング(Izumoring)全体図を示す。
希少糖について説明する。
希少糖とは自然界に希にしか存在しない単糖(アルドース、ケトース)およびその誘導体(糖アルコール)と定義づけることができる。
一般に自然界に多量に存在するアルドースとしてはD-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-リボース、D-キシロース、L-アラビノースの6種類あり、それ以外のアルドースは希少糖と定義される。ケトースとしては、D-フルクトースが存在しており、他のケトースは希少糖といえる。他のケトースとして、D-アルロース、D-タガトース、D-ソルボース、L-フルクトース、L-アルロース、L-タガトース、L-ソルボースが挙げられる。また糖アルコールは単糖を還元してできるが、自然界にはD-ソルビトールが比較的多いがそれ以外のものは量的には少ないので、これらも希少糖といえる。
これらの糖は、酸化還元酵素の反応、アルドース異性化酵素の反応、アルドース還元酵素の反応で変換できることは、知られている。D-グルコース(ブドウ糖)やD-フルクトースは自然界に多量に存在する糖であり安価であるが、これらから希少糖を合成することができなかった。ところが、新規な酵素が発見された。それはガラクチトールからD-タガトースを合成する酵素を持つ菌の培養液中に、全く予期しなかったD-ソルボースが発見されたことに端を発する。その原因を調べた結果、この菌がD-タガトース3エピメラーゼ(DTE)という酵素を産生していることを発見した(特許文献2)。このDTEはこれまでつながらなかったD-タガトースとD-ソルボースの間をつなぐ酵素であることがわかる。そしてさらに驚くことに、このDTEは全てのケトースの3位をエピ化する酵素であり、これまで合成接続できなかったD-フルクトースとD-アルロース、L-ソルボースとL-タガトース、D-タガトースとD-ソルボース、L-アルロースとL-フルクトース、に作用するという非常に幅広い基質特異性を有する、すなわち非常に幅広く基質を選択できるというユニークな酵素であることが分かった。このDTEの発見によって、すべての単糖がリング状につながり、単糖の知識の構造化が完成し、イズモリング(Izumoring)と名付けた(図11参照)。
図11で示される生産過程と分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図がイズモリング(Izumoring)の全体図である。図11から理解できることは、単糖は、炭素数4、5、6全てがつながっているということである。全体図は、イズモリングC6の中でのつながりと、イズモリングC5の中でのつながりと、イズモリングC4の中でのつながりと、C4、C5、C6が全てつながっていることである。炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリングは、図11の下段に示すように、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。これらの糖は、酸化還元酵素の反応、アルドース異性化酵素の反応、アルドース還元酵素の反応で変換できることは、本発明者らの研究を含めた研究で知られている。
この図11の下段を見ると、左側にL型、右側にD型、真ん中にDL型があり、しかもリングの中央(星印)を中心としてL型とD型が点対称になっていることもわかる。例えば、D-グルコースとL-グルコースは、中央の点を基準として点対称になっている。しかもイズモリングの価値は、全ての単糖の生産の設計図にもなっていることである。先の例で、D-グルコースを出発点としてL-グルコースを生産しようと思えば、D-グルコースを異性化→エピ化→還元→酸化→エピ化→異性化するとL-グルコースが作れることを示している。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリングを使って、自然界に多量に存在する糖と微量にしか存在しない希少糖との関係が示されている。D-グルコース、D-フルクトース、D-マンノースと、牛乳中の乳糖から生産できるD-ガラクトースは、自然界に多く存在し、それ以外のものは微量にしか存在しない希少糖と分類される。DTEの発見によって、D-グルコースからD-フルクトース、D-アルロースを製造し、さらにD-アロース、アリトール、D-タリトールを製造することができるようになった。希少糖D-アルロースは、これまで入手自体が困難であったが、自然界に多量に存在する単糖から希少糖を大量生産する方法が開発されつつあり、その技術を利用して製造することができる。
炭素数が5つの単糖(ペントース)のイズモリングは、図11の中段に示すように、炭素数6のイズモリングよりも小さいリングである。しかし、C6のイズモリングと同じようにアルドース8個、ケトース4個および糖アルコール4個全てを含むことに変わりは無く、全てが酵素反応で結ばれる。異なる点は、酸化還元反応、異性化反応のみでリング状に全てが連結できることである。一方、DTEを用いることによって、さらに効率のよい生産経路が設計できることがわかる。
炭素数5のイズモリングの特徴は、炭素数6のイズモリングが点対象に全単糖が配置されているのに対し、左右が対象に配置されていることが大きな特徴である。これら全ペントースは、酵素反応により連結されていることから、炭素数6のイズモリングの場合と全く同様に、すべてのペントースが構造的に整理され(知識の構造化)、全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できる意義を持っている。
炭素数が4つの単糖(テトロース)のイズモリングについての説明は省略する。
イズモリング(Izumoring)の意義をまとめると、生産過程と分子構造(D型、L型)により、すべての単糖が構造的に整理され(知識の構造化)、単糖の全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できること、が挙げられる。
本発明で使用するイソメラーゼ、特に、酵素ケトース3-エピメラーゼについて、D-キシロースイソメラーゼおよびL-ラムノースイソメラーゼとともに説明する。
イソメラーゼは、生体分子を異性体に転換させる反応を触媒する一群の酵素の総称であり、異性化酵素ともいう。イソメラーゼは「化学式は変化しない反応」を触媒する。
本発明においてイソメラーゼとは、単糖であるアルドースとケトースを結びつける酵素のアルドースイソメラーゼ、ケトースとケトースを結びつける酵素のケトース3-エピメラーゼをいう。ヘキソースに作用するイソメラーゼは「化学式C12は変化しない反応」を触媒する。光学異性の相互変換を触媒するイソメラーゼの内、基質分子内に複数ある不斉点〈立体構造〉の1つを異性化する酵素をエピメラーゼと呼ぶ。糖は多数の不斉点を持つために異性化酵素は一般にはエピメラーゼと呼ばれる。エピメラーゼは単糖の場合、Cに結合したOH基の位置を反対側に移動させる酵素であり、「化学式C12は変化しない反応」を触媒する。従ってイソメラーゼに属する酵素である。イソメラーゼがエピメラーゼよりも上位に存在する。
すなわち、酵素「イソメラーゼ」とは、この業界で良く知られており、例えばケトース3-エピメラーゼ、アルドースイソメラーゼのD-キシロースイソメラーゼ、グルコースイソメラーゼが挙げられる。たとえばアルドースイソメラーゼは「分子内での水素の移動」を触媒し、CとC間の酸化還元反応を進める。
希少糖生産の観点からイソメラーゼを考えた場合、(i)D-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)とともに(ii)Pseudomonas stutzeriから単離されたL-ラムノースイソメラーゼ(LRhI, EC 5.3.1.14)が基盤酵素と言える。
(i)ケトース3-エピメラーゼの一種であるD-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)は1991年に香川大学農学部キャンパスから単離された微生物
Pseudomonas cichoriiから見つかった酵素である。D-タガトース3-エピメラーゼは、D-タガトースの炭素第3位の水酸基の向きを反転してD-ソルボースに転換する。この反応は可逆的な平衡反応であり,D-タガトースとD-ソルボースの平衡比は20:80である。また、本酵素はD-タガトースとD-ソルボースだけでなく、D-フルクトースとD-アルロース(平衡比70:30)、L-タガトースとL-ソルボース(平衡比27:73)、L-アルロースとL-フルクトース(平衡比24:76)といったすべての炭素数6のケトースに作用すること、D-キシルロースとD-リブロース(平衡比85:15)やL-キシルロースとL-リブロース(平衡比70:30)といった炭素数5のケトースのエピ化反応も触媒することが可能な広い基質特異性を示している。本酵素の発見により、香川大学では多数存在する希少糖の生産が可能になるとともに、希少糖生産酵素研究を進める原動力になったと言える。
(ii)アルドースイソメラーゼはケトースとアルドースを相互変換する異性化酵素である。炭素数6の単糖では16種のアルドヘキソースがそれぞれに対応する8種のケトヘキソースに相互変換することができる。その基質特異性に応じてさまざまな酵素名で呼ばれる。
最も有名なアルドースイソメラーゼはD-キシロースをD-キシルロースに変換するD-キシロースイソメラーゼであるが,D-グルコースをD-フルクトースに変換するD-グルコースイソメラーゼやD-マンノースをD-フルクトースに変換するD-マンノースイソメラーゼとともに生体内で代謝酵素として働いているものも多い。
ただし、グルコースイソメラーゼは科学的正式名称ではない。酵素の名称としてグルコースイソメラーゼは国際生化学分子生物学連合で登録されているEC番号には入れられていない。これは「科学的な酵素の名称」ではない。D-キシロースイソメラーセが科学的名称でグルコースイソメラーゼは商業名として一般に使用されているのみである。
本発明者らはこれまでにさまざまな基質特異性を示す異性化酵素を見いだしており、D-キシロースイソメラーゼ、D-アラビノースイソメラーゼ、L-アラビノースイソメラーゼ、L-リボースイソメラーゼ、L-ラムノースイソメラーゼなどがある。
D-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)とともに基盤酵素と言えるのが,
Pseudomonas stutzeriから単離されたL-ラムノースイソメラーゼ(LRhI, EC 5.3.1.14)であるが、LRhIはL-ラムノース-L-ラムニュロース間の可逆的な異性化反応を触媒する酵素である。
P. stutzeri由来LRhIはL-ラムノース-L-ラムニュロース間だけでなくL-リキソース-L-キシルロース間、L-マンノース-L-フルクトース間、D-グロース-D-ソルボース間、D-リボース-D-リブロース間、D-アロース-D-アルロース間、L-タロース-L-タガトース間にも作用できる幅広い基質特異性が明らかとなった。これらの構造を考えたところ炭素第2位と炭素第3位の水酸基が右側にあるアルドースと対応するケトース間の異性化反応を触媒することが明らかとなり、この広い基質特異性を利用し、D-アルロースからD-アロースへの変換を中心に、イズモリング上のさまざまな希少アルドース生産が可能である。
D-アラビノースイソメラーゼについて、一般にアルドースイソメラーゼは基質特異性が比較的広い。基質特異性が広いといっても、基質となるアルドースは3~4種が通常である。D-アラビノースイソメラーゼは、D-アラビノース、L-ガラクトースおよびL-フコース等に作用する等のように、構造が比較的類似したものに作用するのである。
また、L-アラビノースイソメラーゼについても、L-アラビノースとL-リブロース以外にL-アルトロースとL-アルロース、D-ガラクトースとD-タガトースにも作用する。また、L-エリトルロースを、L-アラビノースイソメラーゼによりL-エリトルロースとL-トレオースの平衡混合物に変換する。
L-リボースイソメラーゼについて、L-リボースイソメラーゼは、基質として、L-リボースのみならず、D-リキソース、D-タロース、D-マンノース、L-アロース及びL-グロースにも作用する。これらのアルドースは異性化され、それぞれ対応するケトースになる。
エピメラーゼはイソメラーゼの中に含まれるので、(a)「D-グルコースをD-フルクトースに異性化する酵素」、(b)「D-フルクトースをD-アルロースに異性化する酵素」と表現することができる。
上記の(a)「D-グルコースをD-フルクトースに異性化する酵素」について、この中には、例えばある微生物のL-ラムノースイソメラーゼがD-グルコースに作用し、D-フルクトースに変換するものがあったとしてもそのL-ラムノースイソメラーゼも含まれる。あらゆる微生物、植物、動物等の生物が持つタンパク質がD-グルコースをD-フルクトースに変換するものも全てが含まれる。
また、(b)「D-フルクトースをD-アルロースに異性化する酵素」について、これにはあらゆる生物の生産するタンパク質がD-フルクトースをD-アルロースへ変換する場合においてもこれに含まれる。
従って、EC番号に「EC.5.-(異性化酵素)」に属する全ての酵素を含む。たとえ新たに発見された酵素、他の異性化酵素に分類されているものがこれらの反応を触媒し得る作用をわずかでも持っていると、それを含むことを意味する。本発明で使用する『イソメラーゼ』という名称は単糖であるアルドースとケトースを結びつける、ケトースとケトースを結びつける、広い酵素群を含むものとして使用している。
本発明の実施例で使用しいているD-アルロース3-エピメラーゼ(DAE)について説明する。
例えば、Shinella sp. NN-6は受託番号NITE P-02202であるが、2020年2月15日で保管終了している公知菌株である。特許文献6ではShinella sp.由来のDEAと記載されており、その後の研究でL-リブロース3-エピメラーゼであることが判明した。これもケトース3-エピメラーゼの一種である。
この菌株をL-ラムノースで培養すると、L-ラムノースイソメラーゼおよびD-アルロース3-エピメラーゼ(DAE)を生産する。反応物質であるD-フルクトースを希少糖D-アルロースに異性化するD-フルクトースと希少糖D-アルロース間の平衡反応により異性化を進行させ、生成物質である希少糖D-アルロース含有量に達した段階で反応を終了させるために用いる。
このD-アルロース3-エピメラーゼ(DAE)は、D-フルクトースをD-アルロースへ異性化する酵素であれば、酵素の起源や分類名称が何であってもよい。L-ラムノースイソメラーゼ(LRhI)も、D-アルロースをD-アロースへ異性化する酵素であれば、酵素の起源や分類名称が何であってもよい。
例えば、食品を製造する際に使用が認められ毒性がないとされる微生物由来であり、かつ活性が高く耐熱性を有し、高活性でD-フルクトースからD-アルロースへの異性化を触媒できるとして見出されたアルスロバクター グロビホルミス(Arthrobacter globiformis)M30株が例示される。M30株は、日本国独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に2011年6月22日原寄託されたNITE P-1111からブダペスト条約に基づく寄託への移管を2012年5月2日に請求し、受託番号 NITE BP-1111として国際寄託されている。
また、シュードモナス属に属する細菌由来のD-ケトヘキソース3-エピメラーゼ(特許文献7)が例示される。
さらにまた、アルスロバクター ヒスチジノロボランス(
Arthrobacter histidinolovorans)Y586-1株由来のケトース3-エピメラーゼが好ましいものとして例示される(特許文献8)。
Y586-1株は、2018年11月7日に日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8所在の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに国際寄託し、受託番号NITE BP-02813として寄託されている。
該Y586-1株由来のケトース3-エピメラーゼは、特許文献5に記載されたアルスロバクター グロビフォルミス由来のケトース3-エピメラーゼに比べて、培養液あたりで生産される酵素が約2倍高い活性を有するので、それを用いることで効率よくD-アルロースの大量生産が可能になる。また、酵素の至適温度が70℃と高く、しかも80℃においても、至適温度での70℃での活性を100とした相対活性が59.4と約60%あり、高耐熱性である。しかも、60℃で1時間保温処理した後の残存活性も49.4%という熱耐性を有することから、至適温度の70℃での反応において、より多量の生産物を得ることができる。この酵素のもつ優れた耐熱性は、酵素のアミノ酸置換変異体の作成により、さらに高めることができるという特性がある。
すなわち、該Y586-1株由来のケトース3-エピメラーゼの遺伝子に突然変異を導入して、対応するアミノ酸残基を部位特異的変異操作により他のアミノ酸残基に置換して、様々なアミノ酸置換を有する変異体を調製することにより、アミノ酸置換していない野生型酵素より耐熱性の高い酵素を得ることができ、その変異体を用いることができる。反応温度70℃と50℃におけるケトース3-エピメラーゼ活性の比(T70/T50)、あるいは、60℃で1時間保温後の残存活性、という2つの指標で耐熱性を評価した、耐熱性を有する変異体である。それにより用いるD-アルロース3-エピメラーゼの高耐熱性からの該酵素の高耐久性(寿命)に由来するトータルの生産性に基づく工業的に実用可能な低コストの製造方法を実現した。
さらに、部位特異的変異操作による塩基置換により変化させて各種のケトース3-エピメラーゼ変異体を作成し、その中から、酵素の寿命を高める上で重要な性質は耐熱性であるという酵素一般の技術常識を考慮して、野生型より耐熱性の高いアミノ酸置換変異体が得られる部位のものを選択し、そのうち親株野生型組換え酵素Y586-1株 DAE(1.78)を上回る変異酵素は37種中20種得られたところ、当該国際出願の明細書中の表10の8番目に記載されたアミノ酸置換変異体を用いことができる。
当該変異体は、(1)変異配列名と(2)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。
(1)Y586DAE_V129IA200VS218N
(2)配列番号1で表されるアミノ酸配列
MKIGCHGLVWTGRFDAEGIRYSVQKTKEAGFDLIEFPLMDPFSFDVATAKSALAEHGLTASASLGLSEATDVSSEDPAIVKAGEELLNRALDVLAELGATDFCGVIYSAMKKYMEPATEQGLSNSKAAIGRVVDRAAGLGINVSLEVVNRYETNVLNTGRQALSYLSDVKRPNLGVHLDTYHMNIEESDMFSPVLDTAEVLKYVHIGESHRGYLGTGNVDFDNFFKALGRIGYDGPVVFESFSSAVVAPDLSRMLGIWRNLWADNEELGAHANAFIRDKLTAIKTIELH
このような耐熱性を有する変異体を用いることで、高耐熱性と高生産性からは、活性というよりも酵素の高耐久性(寿命)に由来するトータルの生産性がもたらされる。
いずれにせよこれらの酵素は、精製酵素を使っても良いし、該酵素を生産微生物でも良い。
本発明においては、精製酵素または、該酵素生産微生物は、精製酵素または、該酵素生産微生物を固定化した固定化酵素、固定化微生物として用いられる。
[酵素の固定化]
固定化酵素を用いることで、連続的で大量のエピ化反応を行うことが可能となり、該酵素として耐熱性の酵素を用いると、その寿命が延びる。酵素を固定化する担体として公知の任意のものを用いることができる。
酵素はイオン交換樹脂、合成吸着剤などの適切な基材に固定化して用いることがもっとも実用的である。イオン交換樹脂、例えば塩基性陰イオン交換樹脂としては、強塩基性陰イオン交換樹脂あるいは弱塩基性陰交換樹脂のいずれでも用いることができ、たとえば、強塩基性陰イオン交換樹脂としては、HPA25L(三菱ケミカル社製)、IRA904CL(オルガノ社製)等が挙げられ、弱塩基性陰イオン交換樹脂としてはWA30(三菱ケミカル社製)、FPA54、FPA95(オルガノ社製)等が挙げられる。 固定化したケトース3-エピメラーゼは、その異性化能が消失したあとに容易に溶離させることができることから、固定化担体の再生を非常に簡便に行うことができ、生産コストを下げることができる。耐熱性の酵素を用いると、その寿命が延び、生産コストをいっそう下げることができる。
酵素による異性化は、酵素を固定化しての利用が可能であり、種々の固定化方法によって安定で利用しやすい固定化酵素を得ることができる。固定化酵素を用いることで、連続的に大量の異性化および異性化反応を行うことが可能である。たとえば、それぞれ1000U/湿重量樹脂(g)の活性を有する固定化酵素を使用して行われる。菌体細胞を破壊するかして得られた破壊細胞の溶液から粗酵素液として採取し、カラム充填したイオン交換樹脂、合成吸着剤などに対し、該粗酵素液を低温(4℃)下で通液させ、イオン交換樹脂に粗酵素タンパク質を結合させ、精製水を通液させて洗浄し、固定化酵素を得ることができる。商業的生産に完全に満足できる安定性(活性維持)の点で連続生産に耐えられる固定化系が得られる。得られた固定化酵素を用いて連続的で大量の異性化反応(エピ化反応)を行うことができる。
[有機ゲルマニウム化合物について]
本発明で使用する有機ゲルマニウム化合物が、ポリ-トランス-2-カルボキシエチルゲルマセスキオキサン(Ge-132)を含む、若しくはそれからなる。
ポリ-トランス-2-カルボキシエチルゲルマセスキオキサン(Ge-132)は公知の化合物であり、化1で表される、ゲルマニウム原子と酸素原子とが交互に結合して構成された、あたかもクラウンエーテルのような12員環を基本構造とするシート状巨大分子の常温で固体の結晶性化合物である。その誘導体も公知の化合物であり、非特許文献4~6、特許文献9、10などにGe-132と同様に用いられることが記載されている。
(1)
また、Ge-132はさまざまな毒性試験で安全である。Ge-132は、免疫調節、骨粗鬆症の抑制、抗炎症作用、抗リウマチ作用といった様々な生理作用を持つ有機ゲルマニウム化合物である。Ge-132は機能性食品や化粧品の成分として使用されている。
Ge-132は、化2で示されるように、水中では加水分解して単量体である3-(トリヒドロキシゲルミル)プロピオン酸(THGP)となる。
(2)
生体内は水分に富んでいるため、Ge-132は生体内では加水分解を受けてTHGP又はその塩を生成していると考えられる。THGPの溶液を乾固させると、複数のTHGPが脱水縮合したポリマー構造の固体有機ゲルマニウム化合物が生成される。Ge-132はこうして生成される固体有機ゲルマニウム化合物の一種である。
THGPは、化3で示されるように、糖類などが有する1,2-シスジオール構造と錯体を形成する。
(3)
その強度は糖によって異なり、化4で示されるように、D-グルコースとD-フルクトースを比較した場合、D-フルクトースの方が錯体を形成しやすい。
(4)
このようにTHGPは、シス-ジオール含有化合物との脱水縮合によりラクトン型のTHGP-シス-ジオール錯体を形成し、当該シス-ジオール含有化合物の生理的機能を制御するものと考えられている(非特許文献5)。相互作用による生理的機能制御の例として、THGPがアデノシンやATPと錯体を形成することでこれらとP1あるいはP2受容体との結合を阻害し、疼痛抑制に関与し得ることが報告されている(非特許文献6)。このような知見から、Ge-132が示す種々の生理作用は、生体内で加水分解されることで生成するTHGPと生体成分との相互作用によって発揮されているものと考えられている。
THGP存在下でD-グルコースを基質にD-キシロースイソメラーゼを反応させた場合、化5で示されるように、平衡比が錯体を形成しやすいD-フルクトース側に偏ることが報告されている(非特許文献4)。D-グルコースとD-フルクトースの平衡比は55:45から20:80に変化する。
(5)
THGP濃度の考察
一般式6で示すように、Ge-132の1モルおよび単糖1モルは、水中では、THGP2モルと単糖1モルになる。
(6)
実験例6で説明されているように、1Mの糖に対して1MのTHGPを用いるのが平衡比への影響を調査するには最適であることが示唆されている。
以下に、本発明の実施例の実験例からの結果をまとめる。
Ge-132による希少糖生産の最適化のため、すべてのイズモリング反応に対する効果を調査できる。
DTEは全てのケトースの3位をエピ化する酵素であり、D-フルクトースとD-アルロース、L-ソルボースとL-タガトース、D-タガトースとD-ソルボース、L-アルロースとL-フルクトース、に作用するという非常に幅広い基質特異性を有する酵素である。このDTEの発見によって、すべての単糖がリング状につながり、単糖の知識の構造化が完成し、イズモリング(Izumoring)と名付けた(図11)。
実施例の実験例でTHGPが糖の平衡比に及ぼす影響の調査を実施した。ポリ-トランス-2-カルボキシエチルゲルマセスキオキサン(Ge-132)は示性式[(GeCHCHCOOH)で表される水溶性の有機ゲルマニウム化合物であり、水溶液中で3-(トリヒドロキシゲルミル)プロピオン酸(THGP)に加水分解される。THGPは糖類などが有する1,2-シスジオール構造と錯体を形成する。その強度は糖によって異なることが知られており、D-グルコースとD-フルクトースを比較した場合、D-フルクトースの方が錯体を形成しやすい。THGP存在下でD-グルコースを基質にD-キシロースイソメラーゼを反応させた場合、平衡比が錯体を形成しやすいD-フルクトース側に偏ることが報告されている。しかしながら、少なくとも1種の希少糖を含む単糖間での平衡状態を含む化学反応系において、あるいは、ケトースおよびケトース間での平衡状態を含む化学反応系において、同様の挙動を示すことは、実験的に証明されている報告は見いだせない。
実施例の実験例におけるTHGPが希少糖の平衡比に及ぼす影響を調査した結果をまとめた。
1. 固定化グルコースイソメラーゼを作用させて、Ge-132の存在なしで、D-グルコースをD-フルクトースに変換するD-グルコースとD-フルクトース間の平衡反応は、55:45で平衡に達した。Ge-132の存在下では、19:81で平衡に達した。
2. ケトース3-エピメラーゼを作用させて、Ge-132の存在なしで、D-フルクトースをD-アルロースに変換するD-フルクトースとD-アルロース間の平衡反応は、76:24で平衡に達した。Ge-132の存在下では、38:62で平衡に達した。
3. ケトース3-エピメラーゼを作用させて、Ge-132の存在なしで、L-ソルボースをL-タガトースに変換するL-ソルボースとL-タガトースの平衡反応は、74:26で平衡に達した。Ge-132の存在下では、74:26で平衡に達した。
4. L-ラムノースイソメラーゼを作用させて、Ge-132の存在なしで、D-アルロースをD-アロースに変換するD-アルロースとD-アロース間の平衡反応は、66:34で平衡に達した。Ge-132の存在下では、100:0で平衡に達した。
5. D-キシルロースイソメラーゼおよびケトース3-エピメラーゼを作用させて、Ge-132の存在なしで、D-キシロースをD-キシルロースおよびD-リブロースに変換するD-キシロースとD-キシルロースおよびD-リブロース間の平衡反応は、73:16:11で平衡に達した。Ge-132の存在下では、11:61:28で平衡に達した。
6. D-キシロースイソメラーゼおよびケトース3-エピメラーゼを作用させて、Ge-132の存在なしで、D-グルコースをD-フルクトースおよびD-アルロースに変換するD-グルコースとD-フルクトースおよびD-アルロース間の平衡反応は、45:40:15で平衡に達した。Ge-132の存在下では、6:36:58で平衡に達した。
本発明の単糖間平衡反応促進剤は、ケトースおよびケトース間での平衡状態を含む化学反応系であれば、D-グルコースとD-フルクトースおよびD-アルロース間の平衡反応のように、同時に、アルドースおよびケトース間での平衡状態が存在していてもよい。
イズモリングに含まれるすべての異性化反応のみならず、少なくとも一つが希少糖である単糖間での平衡状態を含む化学反応系における、単糖の異性化酵素全般に適用され得る。
以下に、本発明の詳細を実施例で示す。本発明はこれらの実施例で限定されることはない。
本実験例で使用した
1.超音波ホモジナイザー:Digital Sоnifier(登録商標) Mоdels 450D(Bransоn社製)
2.有機ゲルマニウム化合物:(株)浅井ゲルマニウム研究所製のGe―132
3.酵素:
[実験例1]Pseudomonas cichorii ST-24株
[実験例2]スイートザイム(Sweetzyme)(ノボザイムズ ジャパン(株))、固定化グルコースイソメラーゼであり、Streptmyces sp.由来
[実験例3]Shinella sp. NN-6由来組換えL-ラムノースイソメラーゼ(LRhI)
〔L-ラムノースイソメラーゼは出願全周知の酵素であり、単糖間の平衡反応における平衡比を有機ゲルマニウム化合物との錯体形成能の強度を調べるためには、L-ラムノースイソメラーゼであれば酵素の起源や分類名称が何であってもよいことは明らかである。
念のために述べると、実験に用いたShinella sp. NN-6は、受託番号NITE P-02202(特許文献6)であり、2020年2月15日で保管終了しているが、本学農学部で保管しており、分譲可能である。また、NN-6株の特徴を解析する上で必須となるゲノムの全塩基配列を解析し、得られた配列情報から遺伝子の同定と機能の推定を行って、データベースに登録済みである。その情報(配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質)は、本出願後に公開される投稿論文発表と同時に公開される。〕
配列番号2
MAEFRIAQDVVARENDKRAKALKEDYEALGANLARRGIDIEAVTGKVENFFVAVPSWGVGTGGTRFARFPGAGEPRGIFDKLDDCAVIQQLTRATPNVSLHIPWDKADPKELKAKGDALGLGFDAMNSNTFSDAPGQKHSYKYGSLSHTDAATRAQAVEHNLECIEIGKAIGSKALTVWVGDGSNFPGQSDFTKAFERYLAAMAEIYKGLPDDWKLFSEHKMYEPAFYSTVVQDWGTNYLIAQTLGPKAQCLVDLGHHAPNTNIEMIVARLIQFGKLGGFHFNDSKYGDDDLDAGAIEPYRLFLVFNELVDAEARGVKGFHPAHMIDQSHNVTDPIESLINSANEIRRAYAQALLVDRMALSGYQDDNDALMATETLKRAYRTDVEPILAEARRRTGGAVDPVATYRASGYRAKVAAERPASVAGGGGII

[実験例4]Shinella sp. NN-6由来組換えL-リブロース3-エピメラーゼ(LREA)
〔L-リブロース3-エピメラーゼAは出願全周知の酵素である。単糖間の平衡反応における平衡比を有機ゲルマニウム化合物との錯体形成能の強度を調べるためには、L-リブロース3-エピメラーゼであれば酵素の起源や分類名称が何であってもよいことは明らかである。
念のために述べると、実験に用いたShinella sp. NN-6は、受託番号NITE P-02202(特許文献6)であり、2020年2月15日で保管終了しているが、本学農学部で保管しており、分譲可能である。また、NN-6株の特徴を解析する上で必須となるゲノムの全塩基配列を解析し、得られた配列情報から遺伝子の同定と機能の推定を行って、データベースに登録済みである。その情報((配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質)は、本出願後に公開される投稿論文発表と同時に公開される。〕
配列番号3
MKNKLGLHANVWVRDWGREDCVLAVNKTAELGFDIIEISAPDPKALDIAFTAAELRKAGISANLSLGLDAESDISSGDPARVKAGETRLREVIAAAAELGSSHVCGILYSAFQKYPEPPTAAGIAGAVEVLRRIGEEAGRHGITLGLEVVNRYETNVLNTAGQGVEFCKRVGLPNVKVHLDSYHMNIEEADMEMALVDTGAHLGYFHIGESNRGYLGAGSVDFGRIFNGLARIGYDGPIVFESFSSAVVGQPLCGILGIWRNLWEDGEDLARHAKTFIEARLKSAREVGLEASRSTLP

[実験例5]固定化Shinella sp. NN-6由来D-キシロースイソメラーゼ(DXI)およびL-リブロース3-エピメラーゼ(LRE)
実験例4と同様に、実験例5のLREは、特許文献6ではShinella sp.由来のDEAと記載されており、その後の研究でL-リブロース3-エピメラーゼであることが判明した。これもケトース3-エピメラーゼの一種である。また、本菌株のLREは複数あり、組換えLREのうちの1種をLREAとしている。
D-キシロースイソメラーゼは出願全周知の酵素である。単糖間の平衡反応における平衡比を有機ゲルマニウム化合物との錯体形成能の強度を調べるためには、D-キシロースイソメラーゼであれば酵素の起源や分類名称が何であってもよいことは明らかである。
念のために述べると、実験に用いたShinella sp. NN-6は、受託番号NITE P-02202(特許文献6)であり、2020年2月15日で保管終了しているが、本学農学部で保管しており、分譲可能である。また、NN-6株の特徴を解析する上で必須となるゲノムの全塩基配列を解析し、得られた配列情報から遺伝子の同定と機能の推定を行って、データベースに登録済みである。その情報(配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質)は、上記2種(配列番号2,3)と異なり、未登録である。元菌のD-キシロースイソメラーゼのN末端アミノ酸配列および、以下の配列の相同性検索の結果からD-キシロースイソメラーゼであると判断している。
配列番号4
MATGFFGDIAKIRYEGPESTNPLAFRHYNPDEIVMGKRMEDHLRFAVAYWHTFVWPGGDPFGGQTFERPWFEDSMKAAKLKADVAFEFFQLLGVPFYCFHDADVRPEGKDFVENTRNLNEIVDYFAEKQAATGVKLLWGTANLFSNRRYMGGAATNPDPDVFAFAAATVKTCIDATQRLGGDNYVLWGGREGYETLLNTNLGQELDQLGRFVNMVVEYKHKIGFKGAILIEPKPQEPTKHQYDYDVATVYGFLKKYGLENEVKLNIEQGHAILAGHSFEHELALANALGIFGSIDMNRNDYQSGWDTDQFPNNVPEMALAYYQVLAGGGFTTGGTNFDAKLRRQSIEPADLLIGHIGGMDCCARGLKAAAKMIEDKALSGPLAERYAGWQKPEAQKILSGGSSLEALEAYVRGGNVNPQPRSGRQEFLENVVNRYV

[実験例6]Pseudomonas cichorii ST-24株由来DTE組換え大腸菌を培養した。
[実験例1]
実験方法
1-1)Pseudomonas cichorii ST-24株由来D-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)を用いたD-フルクトースとD-アルロース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査
〈実験方法の概略〉ST-24株由来組換えDTEの調製(ST-24 :
Pseudomonas cichorii ST-24、DTE: D-tagatose 3-epimerase)→前培養(3mL、30℃、200rpm、一晩)→培養(100mL、30℃、200rpm、O.D.600nm=0.4-0.8)→誘導(1mM IPTG、4時間)→緩衝液(50m M リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0))による洗浄×2→超音波処理(振幅40%、20秒、4セット)→遠心分離(4℃、12000rpm、5分)→酵素反応→HPLC分析
1-1-1)THGP溶液の調整
Ge-132を少量の超純水に懸濁し、Ge-132が完全に溶解するまで水酸化ナトリウム水溶液を添加した。その後、pH7.5になるまで水酸化ナトリウム水溶液を添加し、THGPが2Mとなるように超純水でメスアップした。
1-1-2)菌体の培養
100μg/mLのアンピシリンを含むSB培地3mLに組換え大腸菌を植菌し、一晩前培養した。前培養液100μLを同培地100mLに植え継ぎ、30℃、200rpmでO.D.600nm=0.4-0.8になるまで培養した。その後、終濃度が1mMとなるようにIPTGを添加し、30℃、200rpmで4時間誘導した。培地組成は表1に示した。表1に示す通り、SB培地(pH7.0)は、ポリペプトン 3.5%、イースト抽出物 2%、NaCl 1%、アンピシリン 100μg/mLで構成される。
1-1-3)酵素反応
10000rpm、4℃、5分間の遠心分離により1-1-2)の培養液から菌体を回収した。得られた菌体を50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で2回洗浄した。
洗浄後の菌体を同緩衝液5mLに懸濁し、振幅(Amplitude)40%、20秒で4回超音波破砕した後、4℃、9000rpmで5分間遠心分離した。遠心後の上清を粗酵素として0.5MのD-フルクトースを基質に酵素反応させた。反応液から適宜600μLサンプリングし、100℃、3分間の熱処理により反応を停止させた。
酵素反応の条件を表2に示した。表2に示す通り、D-フルクトースのための酵素反応の条件は、1M Ge-132 300μL、1M D-フルクトース 150μL、酵素 150μL、温度 40℃、緩衝液 50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)からなる。
THGP溶液の代わりに超純水を添加したものをネガティブコントロールとした。
1-1-4)酸処理条件の検討
THGPと糖の配位結合を解離させるため、熱処理後のサンプル100μLに0-3Nの塩酸を100μL添加し、氷上で数時間静置してGe-132を析出させた。その後、12000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上清を回収した。
1-1-5)HPLC分析
1―1-4)で得られたサンプルを糖濃度が50mMとなるように超純水で希釈した。希釈したサンプルに乾燥させた脱塩樹脂(陽イオン交換樹脂ダイヤイオンSK1B(H+型)および陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA411(CO3 2-型)を1:1で混合したもの)を添加し、室温で30分撹拌して脱塩処理した。脱塩後の反応液をウルトラフリー-MC.GV 0.22μmに移し6000rpmの遠心分離によりろ過した。得られたサンプルを表3に示した条件でHPLC分析し、糖組成を分析した。さらに、コントロールの反応開始時点の基質のエリア面積を100%として糖の回収率を算出した。
1-1-6)希釈濃度の検討
マイクロチューブに2MのTHGP溶液(pH7.5)と1MのD-グルコース、D-フルクトース、D-アルロース溶液を150μLずつ添加し、常温で数時間静置させ、THGPと糖を結合させた。上記の混合液から100μLを回収し2Nの塩酸を100μL添加し、氷中で数時間静置してGe-132を析出させた。その後、15000rpm、4℃で5分間遠心分離し、上清を回収した。塩酸処理した混合液および、塩酸添加前の混合液を糖濃度が5mM、2.5mM、1mMになるよう超純水で希釈し、1-1-5)と同様にHPLC分析にて糖の量を測定した。ポジティブコントロールとしてTHGPの代わりに超純水を添加したものとエリア面積を比較することで糖の解離率を算出した。
1-1-7)D-フルクトースとD-アルロースの平衡比へのTHGPの影響の調査
1-1-3)と同様に酵素を調製し、反応液を600μLにスケールダウンして酵素反応させた。反応液から適宜100μLサンプリングし、100℃、3分間の熱処理により反応を停止させた。熱処理後のサンプル80μLに2Nの塩酸を80μL添加し、氷中で数時間静置してGe-132を析出させた。15000rpm、4℃、5分間の遠心分離により上清を回収し、糖濃度が1mMになるよう超純水で希釈した。1-1-5)と同様に操作を施してHPLC分析し、糖組成を確認した。
[結果および考察]
1-2.実験例1の結果および考察
1-2-1)Pseudomonas cichorii ST-24株由来DTEを用いたD-フルクトースとD-アルロース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査結果
ST-24株由来のDTEをD-フルクトースに48時間反応させた。THGPを添加した反応液をそのままHPLC分析すると糖の総エリア面積が減少していたため、塩酸処理によりGe-132を析出させることで回収率の改善を試みた。
反応液に等量の0-3N塩酸を添加したところ、2Nまでは塩酸の濃度が増加すると糖の転換率および回収率が増加した(図1,2)。2Nと3Nではほとんど差が見られなかったため、2Nの塩酸による酸処理が最適条件とした。
THGPと単糖の錯体は希釈によって解離するため、最適な糖液の希釈濃度を検討した(図3)。D-グルコースは5mMに希釈することでほぼ完全に解離した。D-フルクトースは5mMの希釈では完全に解離せず、1mMに希釈することでほぼ完全に解離した。D-アルロースは1mMに希釈しても64.4%しか解離しなかった。2Nの塩酸で処理した後に1mMまで希釈することによりほぼ100%解離した。したがって、HPLC分析する際は塩酸処理した後、1mMに希釈することを最適条件とした。範囲としては0mM以上であればよく、最適なのは1mMである。
以上の結果より、D-アルロース、D-フルクトース、D-グルコースの順番で錯体形成能が高いことが示唆された。
再度ST-24株由来のDTEをD-フルクトースに48時間反応させ、上記の条件でHPLC分析した。酵素反応THGP無添加の反応液は反応開始48時間後D-フルクトース:D-アルロース=76.7:23.3となった(図4上)。一方、THGPを添加した反応液は反応開始48時間後にD-フルクトース:D-アルロース=37.5:62.5となり、D-アルロース側に平衡が偏った(図4下)。そのため、D-アルロースはD-フルクトースよりもTHGPとの錯体形成能が高いことが示唆された。
[実験例2]
実験方法
2-1)スイートザイムを用いたD-グルコースとD-フルクトース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査
〈調査方法の概略〉スイートザイムの調製(超純水によるスイートザイムの洗浄×10)→酵素反応→熱処理(100℃、3分)→HCl処理(1N HCl)→1mMに希釈→HPLC分析)
2-1-1)酵素反応
1-1-1)に準じた操作により2M THGP水溶液(pH7.0)を調整した。0.05gのスイートザイムを1.5mLマイクロチューブに添加し、純水で10回洗浄した。洗浄したスイートザイムを50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で3回洗浄して置換した。これを用いてD-グルコースを基質に酵素反応した。THGP溶液の代わりに超純水を添加したものをネガティブコントロールとした。反応液から適宜100μLサンプリングし、100℃、3分間の熱処理により反応を停止させた。
D-グルコースのための酵素反応の条件(酵素反応の組成など)を表4に示した。表4に示す通り、1M Ge-132(pH7.0) 300μL、1M D-グルコースおよび2mM MgCl300μL、スイートザイム 0.05g、温度 40℃、緩衝液 50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)からなる。
2-1-2)HPLC分析
1-1-7)と同様に反応液を希釈し、1-1-5)と同様の操作を施して糖組成を分析した。
[結果および考察]
2-2.実験例2の結果および考察
2-2-1)スイートザイムを用いたD-グルコースとD-フルクトース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査結果
スイートザイムを用いてD-グルコースを基質に酵素反応させた。THGP無添加の反応液は反応開始8時間後にD-グルコース:D-フルクトース=54.7:45.3となり、反応開始48時間後ではD-グルコース:D-フルクトース=48.6:51.4となった(図5上)。24時間後以降はD-フルクトースの比率が増加しているが、この時点では菌体(雑菌)が生えていたため、D-グルコースが資化され見かけ上のD-フルクトース比が増加したと考えられた。
一方、THGPを添加した反応液は反応開始8時間後にD-グルコース:D-フルクトース=18.6:81.4となり、反応開始48時間後ではD-グルコース:D-フルクトース=9.1:90.9となった。そのため、D-フルクトースはD-グルコースよりもTHGPとの錯体形成能が高いことが示唆された(図5下)。
2-2-1)の結果を踏まえて、D-アルロース、D-フルクトース、D-グルコースの順番でTHGPとの錯体形成能が高く、反応時の平衡比もこの順に偏ることが示唆された。
[実験例3]
実験方法
3-1)Shinella sp. NN-6由来組換えLRhIを用いたD-アロースとD-アルロース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査
〈調査方法の概略〉NN-6株由来LRhIの調製(NN-6:Shinella sp. NN-6、LRhI: L-ラムノースイソメラーゼ)→前培養(3mL、30℃、200rpm、一晩)→培養(100mL、30℃、200rpm、O.D.600nm=0.4-0.8)→誘導(1mM IPTG、4時間)→緩衝液(50mM グリシンNaOH緩衝液(pH9.0))による洗浄×2→超音波処理(振幅40%、20秒、4セット)→遠心分離(4℃、12000rpm、5分)→酵素反応→HPLC分析
3-1-1)THGP溶液の調整
1-1-1)と同様の操作を施し、2M THGP水溶液(pH9.0)を調整した。
3-1-2)菌体の培養
1-1-2)と同様の操作を施し、Shinella sp. NN-6由来L-ラムノースイソメラーゼ(LRhI)組換え大腸菌を培養した。
3-1-3)酵素反応
10000rpm、4℃、5分間の遠心分離により3-1-2)の培養液から菌体を回収した。得られた菌体を50mMグリシン‐NaOH緩衝液(pH9.0)で2回洗浄した。洗浄後の菌体を同緩衝液5mLに懸濁し、振幅40%、20秒で4回超音波破砕した後、4℃、9000rpmで5分間遠心分離した。遠心後の上清を粗酵素としてD-アロースを基質に酵素反応させた。反応液から適宜100μLサンプリングし、100℃、3分間の熱処理により反応を停止させた。
D-アロースのための酵素反応の条件(酵素反応の組成など)を表5に示した。表5に示すとおり、1M Ge-132(pH9.0) 500μL、1M D-アロースおよび4mM MnCl250μL、酵素 250μL、温度 45℃、緩衝液 50mM グリシン‐NaOH緩衝液(pH9.0)からなる。
THGP溶液の代わりに超純水を添加したものをネガティブコントロールとした。
3-1-4)HPLC分析
1-1-7)と同様に反応液を希釈し、1-1-5)と同様の操作を施して糖組成を分析した。
[結果および考察]
3-2.実験例3の結果および考察
3-2-1)Shinella sp. NN-6由来組換えLRhIを用いたD-アロースとD-アルロース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査結果
NN-6株由来組換えLRhIを用いてD-アロースを基質に酵素反応させた。THGP無添加の反応液は反応開始144時間後にD-アロース:D-アルロース=36.9:63.1となった(図6上)。THGPを添加した反応液は反応開始144時間後にD-アロース:D-アルロース=0:100となり、完全にD-アルロース側に平衡が移動した(図6下)。
D-アルロースはアロースと比較してTHGPとの錯体形成能が極めて高いことが示唆された。
[実験例4]
実験方法
4-1)Shinella sp. NN-6由来組換えL-リブロース3-エピメラーゼAを用いたL-ソルボースとL-タガトース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査
〈調査方法の概略〉NN-6株由来LREAの調製(NN-6:Shinella sp. NN-6、LREA:L-リボース3-エピメラーゼA)→前培養(3mL、30℃、200rpm、一晩)→培養(100mL、30℃、200rpm、O.D.600nm=0.4-0.8)→誘導(1mM IPTG、4時間)→緩衝液(50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0))による洗浄×2→超音波処理(振幅40%、20秒、4セット)→遠心分離(4℃、12000rpm、5分)→酵素反応→HPLC分析
4-1-1)THGP溶液の調整
1-1-1)と同様の操作を施し、2M THGP水溶液(pH7.0)を調整した。
4-1-2)菌体の培養
1-1-2)と同様の操作を施し、NN-6由来L-リブロース-エピメラーゼ(LREA)組換え大腸菌を培養した。
4-1-3)酵素反応
10000rpm、4℃、5分間の遠心分離により4-1-2)の培養液から菌体を回収した。得られた菌体を50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で2回洗浄した。洗浄後の菌体を同緩衝液5mLに懸濁し、振幅40%、20秒で4回超音波破砕した後、4℃、9000rpmで5分間遠心分離した。遠心後の上清を粗酵素としてL-ソルボースを基質に酵素反応させた。反応液から適宜100μLサンプリングし、100℃、3分間の熱処理により反応を停止させた。
酵素反応の条件を表6に示した。表6に示す通り、2M THGP(pH10.0) 500μL、2M L-ソルボースおよび4mM MnCl250μL、酵素 250μL、温度 45℃、緩衝液 50mM グリシン‐NaOH緩衝液(pH9.0)からなる。
THGP溶液の代わりに超純水を添加したものをネガティブコントロールとした。
4-1-4)HPLC分析
1-1-7)と同様に反応液を希釈し、1-1-5)と同様の操作を施して糖組成を分析した。
[結果および考察]
4-2.実験例4の結果および考察
4-2-1)NN-6由来LREAを用いたL-ソルボースとL-タガトース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査結果
NN-6株由来LREAを用いてL-ソルボースを基質に酵素反応させたTHGP無添加の反応液は反応開始96時間後にL-ソルボース:L-タガトース=74.0:26.0となった(図7)。
図7に示すとおり、THGPを添加した反応液は反応開始96時間後にL-ソルボース:L-タガトース=73.7:25.3となり、THGPの添加ではL-タガトース、L-ソルボース間の平衡比はほぼ変わらなかった。
以上の結果より、L-タガトースとL-ソルボースはTHGPに対して同程度の錯体形成能を有していることが示唆された。
[実験例5]
実験方法
5-1)固定化NN-6由来D-キシロースイソメラーゼ(DXI)およびL-リブロース3-エピメラーゼ(LRE)を用いたD-キシロースとD-キシルロース、D-リブロース間およびD-グルコースとD-フルクトース、D-アルロース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査
〈実験方法の概略〉固定化酵素の調製(固定化:NN-6由来D-キシロースイソメラーゼ(DXI)の固定化、NN-6由来L-リブロース3-エピメラーゼ(LRE)の固定化)→緩衝液(グリシン‐NaOH緩衝液(pH8.5)による洗浄×2→超音波処理(振幅7%、4分、9セット)→金属処理(10mM MnCl、30分)→熱処理(55℃、10分)→ポリエチレングリコール分画(10%―20%)→固定化(HPA25L、4℃、一晩)→酵素反応→HPLC分析
5-1-1)THGP溶液の調整
1-1-1)と同様の操作を施し、2M THGP水溶液(pH7.0)を調整した。
5-1-2)菌体の培養と固定化酵素の調製
1%D-キシロースを炭素源として含むYE培地3mLにNN-6株を植菌し、30℃、200rpmで24時間培養した。この培養液100μLを同培地100mLに植継ぎ、30℃、200rpmで24時間培養した。続いて、この培養液全量を同培地10Lに植継ぎ、孔径0.22μmのフィルターに空気を3mL/minで通気しながら30℃、200rpmで21時間培養した。培地組成は表7に示した。
5-1-3)部分精製
10000rpm、4℃、5分間の遠心分離により5-1-2)の培養液から菌体を回収した。得られた菌体を50mMグリシン-NaOH緩衝液(pH7.0)で2回洗浄した。洗浄後の菌体を同緩衝液に懸濁し、振幅70%、4分で9回超音波破砕した。破砕液を4℃、10000rpmで5分間遠心分離し10000rpm、4℃で5分間遠心分離した。得られた粗酵素液に終濃度1mMとなるように塩化マンガンを添加した後、60℃、30分の熱処理により不要なタンパク質を沈殿させた。遠心分離により不溶性タンパク質を除去した。その上清に、ポリエチレングリコール#6000(PEG)分画により両酵素を部分精製した。
5-1-5)酵素の固定化
50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化したHPA25Lに部分精製酵素を添加し、冷蔵庫で一晩固定化させた。
5-1-6)固定化酵素反応
5-1-5)で得られた固定化酵素を用いて、D-キシロースまたはD-グルコースを基質に酵素反応させた。反応液から適宜100μLサンプリングし、100℃、3分間の熱処理により反応を停止させた。酵素反応の条件を表8に示した。表8に示すとおり、固定化酵素 10U、2M THGP(pH7.0) 1500μL、2M 基質、2mM CоClおよび2mM MnCl 1500μL、温度 50℃、撹拌 60rpm、緩衝液 50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)からなる。
THGP溶液の代わりに超純水を添加したものをネガティブコントロールとした。
5-1-7)HPLC分析
1-1-7)と同様に反応液を希釈し、1-1-5)と同様の操作を施して糖組成を分析した。
[結果および考察]
5-2.実験例5の結果および考察
5-2-1)固定化Shinella sp. NN-6由来DXIおよびLREを用いたD-キシロースとD-キシルロース、D-リブロース間およびD-グルコースとD-フルクトース、D-アルロース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査結果
D-キシロースを炭素源として培養したNN-6株の菌体抽出液を金属処理、熱処理およびPEG分画によって部分精製した。PEG10-20%画分にDXI活性の90%が回収され、この画分を固定化酵素に用いた。
固定化酵素を用いてD-キシロースを基質に酵素反応させた。THGP無添加の反応液は反応開始4時間後に平衡に達し、この時点でD-キシロース:D-キシルロース:D-リブロース=74.3:15.4:10.4となった(図8上)。THGPを添加した場合は反応開始後6時間で平衡に達し、この時点でD-キシロース:D-キシルロース:D-リブロースの比が11.5:61.3:27.2となりD-キシルロースやD-リブロースに平衡が偏った(図8下)。そのため、D-キシルロース、D-リブロース、D-キシロースの順で錯体形成能が高いことが示唆された。
同じ固定化酵素を用いてD-グルコースを基質に酵素反応させた。THGP無添加の反応液は反応開始48時間後に平衡に達し、D-グルコース:D-フルクトース:D-アルロース=44.6:39.9:15.5となった(図9上)。THGP添加した反応液も反応開始後48時間で平衡に達した。この時点でD-グルコース:D-フルクトース:D-アルロース=6.9:35.8:57.3となり、無添加時よりD-アルロースに平衡が偏っていた(図9下)。各段階の平衡比はD-グルコース:D-フルクトース=16.1:83.8、D-フルクトース:D-アルロース=38.5:61.4となり、1-1)や1-2)の結果と近い値になった。
[実験例6]
Pseudomonas cichorii ST-24株由来組換えDTEを用いたD-フルクトースとD-アルロース間の平衡比におけるTHGPの影響の調査
実験方法
6-1-1)THGP溶液の調整
1-1-1)と同様の操作を施し、2M THGP水溶液(pH7.5)を調整した。
6-1-2)菌体の培養
1-1-2)と同様の操作を施し、Pseudomonas cichorii ST-24株由来DTE組換え大腸菌を培養した。
6-1-3)酵素反応
1-1-1)と同様に粗酵素を調製した。6-1-1)で調整したTHGP溶液を適宜希釈して使用し、THGPの終濃度が0-1Mの範囲でD-フルクトースを基質に酵素反応させた。反応液から適宜100μLサンプリングし、100℃、3分間の熱処理により反応を停止させた。酵素反応の条件を表12に示した。表12に示すとおり、0.2M THGP(pH7.5) 500μL、2M D-フルクトース250μL、温度 40℃、緩衝液 50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)からなる。
THGP溶液の代わりに超純水を添加したものをネガティブコントロールとした。
6-1-4)HPLC分析
1-1-7)と同様に反応液を希釈し、1-1-5)と同様の操作を施して糖組成を分析した。
[結果および考察]
6-2.実験例6の結果および考察
6-2-1)THGP濃度の検討結果
終濃度0-1MのTHGPを添加したPseudomonas cichorii ST-24株由来DTEを用いて0.5M D-フルクトースを基質に酵素反応させた。0.5MまではTHGPの濃度の増加に伴ってD-アルロースの平衡比も高まったが、それ以上の濃度では大きな平衡比の変化が見られなかった(図10)。そのため、1Mの糖に対して1MのTHGPを用いるのが平衡比への影響を調査するには最適であると示唆された。
理論的には等モルで混合であるが、THGPを添加する量はわずかでも平衡比は変わる。範囲としては0mM以上であればよく、最適なのは1mMである。
本発明者らのグループで発見した基盤酵素である(i)D-タガトース3-エピメラーゼ(DTE)および(ii)Pseudomonas stutzeriから単離されたL-ラムノースイソメラーゼ(L-rhamnоse isоmerase; LRhI, EC 5.3.1.14)を活用して、D-アルロースおよびそれを含む組成物の生産を安価な原料から効率よく生産するために、世界レベルで通用する非常に大きな規模のビジネスに育てるのに役立つ技術のひとつであると期待される。

Claims (10)

  1. 有機ゲルマニウム化合物からなり、少なくとも一つが希少糖である単糖間での平衡状態を含む化学反応系に用いるための単糖間平衡反応促進剤。
  2. 単糖間の平衡反応における平衡比を有機ゲルマニウム化合物との錯体形成能の強度が大きい単糖側にシフトさせるための促進剤である、請求項1に記載の単糖間平衡反応促進剤。
  3. ケトースおよびケトース間での平衡状態を含む化学反応系である、請求項1または2に記載の単糖間平衡反応促進剤。
  4. イソメラーゼ存在下の単糖間の変換反応系である、請求項1ないし3のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤。
  5. イソメラーゼ存在下が、ケトース3-エピメラーゼまたはケトース3-エピメラーゼ活性を有するタンパク質存在下である、請求項4に記載の単糖間平衡反応促進剤。
  6. 有機ゲルマニウム化合物がポリ-トランス-2-カルボキシエチルゲルマセスキオキサン(Ge-132)を含む、若しくはそれからなる、請求項1ないし5のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤。
  7. 希少糖が少なくともD-アルロースを含むことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤。
  8. 反応物質である単糖(a)と生成物質である単糖(b)間で平衡状態にある化学反応系である、請求項1ないし7のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤。
  9. 反応物質である単糖(a)がD-フルクトース、生成物質である単糖(b)がD-アルロースであり、平衡比を76:24から38:62に変更可能である、請求項8に記載の単糖間平衡反応促進剤。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の単糖間平衡反応促進剤を用いることを特徴とする、単糖間の変換反応により希少糖を効率的に生産する方法。
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