JP2023100025A - 自転車靴用クリート - Google Patents

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Abstract

【課題】 踏み込み力を効率よく伝達するクリートを提供する。4スタンス理論の実行を可能としたクリートを提供する。長距離走などに適したクリートを提供する。【解決手段】 自転車靴用クリートを、略三角形状の成形体のクリートでそのつまさきとかかとの中間部において三角形の2等分線より靴底の外側部分を内側部分よりも幅広として踏み込み面の面積を有効利用する。また、クリートのつま先側部、かかと側部においてその左右部分の厚みを異ならせることにより、踏み込み面(靴底面)が所望の角度で傾斜されてペダル上面に固定される。傾斜の異なるクリートを適宜変更することで、使用者の個性に適した傾斜角度としてペダル漕ぎを行う。すなわち、4スタンス理論をペダル漕ぎにて実行できる。三角形クリートの2等分線上で踏み込み力のペダルへの伝達中心位置を後方かかとより、またはつま先よりとする。【選択図】図1

Description

この発明は自転車靴用クリート、詳しくは乗車に際して自転車競技用靴をペダルに固定する自転車靴用クリートの改良に関する。
自転車競技などで使用する自転車靴のクリートは、靴底に固定されて、ペダルにはめ込まれてペダルにこの靴を固定するためのものである。このクリートは靴底にネジで取り付けられる。ロード用は通常3本のネジで、MTB用は2本のネジで固定する。クリートを靴底に固定した靴を履いた乗り手は、クリートをペダル係合構造にはめ込むことで、靴をペダルに固定する。
ところで、近年「4スタンス理論」が喧伝されている。4スタンス理論は、「ヒトの身体の使い方には4種類あり、自転車のペダリングでもそれぞれが自分のタイプに適ったペダルの踏み方をしている」という理論である。この4種類のスタンスは、血液型と同じように先天的なもので、立つ、座る、歩く、つかむといった単純な行為でも、タイプによって身体の形や動かす各部位の順序などが異なると言われている。この4タイプには優劣はなく、自転車のペダリングに関しても身体の使い方が違うということである。
そこで、個々の乗り手(サイクリスト)にあっても、4スタンス理論と外側を広げたクリートを使って自身のタイプを自覚して踏み込みトレーニングすることでその能力を効果的に高めることができるものと考えられる。
従来の自転車靴用クリートについては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この文献には自転車用ペダルアセンブリが開示されており、このアセンブリは、自転車用ペダルと自転車靴用クリートとを備えている。自転車用ペダルは、ペダル本体に連結され、前クランプ部材と、後クランプ部材とを含む。自転車用靴クリートは、平面視して略三角形板形状のプラスチック製である。具体的には、図14に示すように、このクリート101は靴底102にネジ103およびワッシャ(ファスナ材)104で固定される。クリート101はペダル105に嵌め込み固定される。詳しくは、クリート101は、「品」字形状に配置された矩形のネジ取付口106をその三角形本体の中央部に計3個有している。クリートは、ペダルの前クランプ部に係合する前方取付部107と、後クランプ部材に係合する後方取付部108と、前方取付部と後方取付部とを連続する中間接続部109とを含み、この中間接続部109に上記3個のネジ取付口106が配置されている。
特開2003-95175号公報
しかしながら、このような従来のクリートにあっては、以下の問題点が懸念される。
第1に、従来のクリートについては4スタンス理論への適用について何ら考慮されていなかった。すなわち、クリートは4タイプの乗り手に対しては最善の形状・構成となっていなかった。
第2に、平面視して略三角形の中間接続部、特にネジ取付口を配置した部分にあって、その三角形の底辺に垂直でつま先側の頂点を通る仮想の中心線によりクリートが靴底に配置された場合の靴底の外側部分と線対称となる靴底の内側部分とにあってはその幅方向の長さは同等であって(その両側のエッジが仮想中心線から同じ長さだけ幅方向に離間していて)、その部分での靴底への当接部分の面積も同等であった。この場合、乗り手の踏み込み力は靴底の外側部分について内側部分よりも大きな力として働くことが理解される。よって、踏み込み力を効率よくペダルを介して回転力に伝達するには、靴底に対してその外側部分へのクリートの当接面積を、内側部分のそれより大とすることで、4スタンス理論の適用をより有効にして、推進力のさらなるアップに繋がる。
第3に、略三角形のクリートにあっては、ペダルクランプに固定された場合であっても、乗り手の踏み込み力の中心位置のつま先側を低くする場合は短距離走に好適で、一方、この中心位置のかかと側を低くする方が、特に長距離走の場合に有効である。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、その目的に応じて、また、その個人のタイプ(個性)に対応して、さらに対象となる競技についてそれぞれその構造(靴底面の傾斜)を変更することにより、4スタンス理論などにより乗り手(漕ぎ手)の踏み込み力を最大としてペダルに伝達することができ、上述した課題は解消されることを知見し、この発明を完成させた。
この発明は、全ての競技者(サイクリスト)に対して効率よく踏み込み力をペダルに伝達可能とするクリートを提供することを、その目的としている。
この発明は、上述する従来技術の問題点に鑑みなされたもので、4スタンス理論の実現のために踏み込みにおける前後左右への適切な傾斜を得ることができるクリートを提供することを、その目的としている。
この発明は、内股、がに股(外股)の乗り手に対して、また長距離走、短距離走などに対してそれぞれ好適な傾斜を与えるクリートを提供することを、その目的としている。
請求項1に記載の発明は、自転車靴の底面に固定された板状の自転車靴用クリートであって、この自転車靴用クリートをペダル軸にペダルフレームを介して係止させたとき、上記靴底面が上記ペダル軸の軸線を含む平面(その中心軸線を含む平面)に対して傾斜するよう、自転車靴用クリートの厚さをその一部とその残り部とで異ならせたことを特徴とする自転車靴用クリートである。
傾斜するとは、所定の勾配(角度)を有して面同士(靴底面とペダル軸面と)が交差することを含む。
靴底面は通常中足部が最も幅広に形成されている。この中足部がペダル踏み込みの中心部分であり、クリートはこの中足部に固定される。クリートはその素材はプラスチックなどで、板材を例えば平面視して三角形状、四角形状に成型されて、靴底にはネジ止め等されて固定される。
板状のクリートは、例えば凹凸、係止用の孔などを一部に有することもある。その厚さは、すなわち、板状クリートの一部が厚く、残りの部分はこの一部より薄く形成されており、クリート上面が平坦面を構成するときその下面は平坦面に対して傾斜した面(所定角度だけ勾配を有して交差する面)で形成されている。具体的には、右足靴用の略三角形のクリートの場合、その外側部分を内側部分より厚くして内側が低く、外側が高い傾斜を形成することができる。かかとより外側のみを厚くしてつま先下がりで内側傾斜面を靴底に付加することなどである。
このように傾斜面を形成することは、以下の場合においても有効に作用する。すなわち、自転車の乗り手(ペダルの漕ぎ手)については左利き足の場合と、右利き足の場合とがある。この利き足に対応して左右の靴底面の傾斜を任意に異ならせることで、両足のバランスを適正化する。最大の推進力を得るものである。
具体的には、左利き足の漕ぎ手は、左重心となるため、左側にそのお尻が落ちて左足が縮み左右のバランスをとろうとしてかかとが外側にいって左足は内股になる。その右足は、左重心の場合に右足が伸び、左右のバランスを取ろうとしてかかとが内側にいって外股となる。つまり、左利き足の漕ぎ手は左重心で、左足が内股で力が入りやすいが、右足は外股で力が入りにくい状態となる。そこで、左右の靴のクリートを異ならせて左右の靴底面に異なる傾斜角度を形成して、左右のバランスをとることで、踏み込みでのペダルへの力の伝達がスムースとなり推進力を増すことができる。
もちろん、右利き足の場合は右重心となり、左足が外股で力がはいりにくく、右足は内股で力が入りやすい。これをバランスするのが左右足で異なる傾斜角度を設けるクリートとなる。
請求項2に記載の発明は、上記自転車靴用クリートは平面視して略三角形状であって、その1頂点をつま先側に残りの2頂点をかかとよりで靴幅方向にて離間して配されて靴底の中足部に固定されるとともに、自転車靴用クリートの上記1頂点を含むつま先部ではその靴幅方向での内側部分とその外側部分とはその厚さを異ならせ、上記2頂点を含むかかとより部では靴幅方向の内側部分とその外側部分とは同じ厚さとした請求項1に記載の自転車靴用クリートである。
板状のクリートは平面視して略三角形状(大略して3辺を有する形状)である。靴底の中足部、すなわち中足骨の下であって最も幅広で、踏み込み力が直接作用する靴底部分に対して固定される。このクリートは三角形の1頂点を含む角部(その先端部は湾曲形成されている)を靴底ではつま先に向けて、残りの2頂点を含むかかとより部は靴底ではかかとよりの土踏まず側に配置される。
このクリート配置において靴底面(平坦面と仮定する)に所定の傾斜を付与するため、クリートの厚みをその一部と残り部とで異ならせている。湾曲した先端を含むつま先部を外側部分と内側部分とに分けた場合(これらは靴底幅方向に対峙している)のこれらの厚さを異ならせている。一方を比較して厚く、他方を比較して薄くし形成してある。なお、内側部分とは靴底において、競技者においての足の内方部分(土踏まず側)であり、外側部分とはその反対側部分である。
このとき、かかとより部では内側部分、外側部分とも同じ厚さであって、例えば厚みの小さい部分(つま先部の)とほぼ同じ厚さとしてある。
請求項3に記載の発明は、上記自転車靴用クリートは平面視して略三角形状であって、その1頂点をつま先側に残りの2頂点をかかとよりで靴幅方向にて離間して配されて靴底の中足部に固定されるとともに、自転車靴用クリートの上記1頂点を含むつま先部ではその靴幅方向の内側部分とその外側部分とはその厚さを同じとし、上記2頂点を含むかかとより部の靴幅方向での内側部分とその外側部分とは異なる厚さとした請求項1に記載の自転車靴用クリートである。
このクリート配置において靴底面に所定の傾斜を付与するため、クリートの一部と他部との厚みを異ならせている。かかとより部を外側部分と内側部分とに分けた場合のこれらの厚さを異ならせている。なお、内側部分と外側部分との間の部分についてはこれらを連続させるようにその厚みは徐々に厚くなるよう(薄くなるよう)形成してある。これら部分の一方を比較して厚く、他方を比較して薄くしてある。
このとき、つま先部では内側部分、外側部分とも同じ厚さであって、例えば厚みの小さい部分(かかとより部の)とほぼ同じ厚さとしてある。
上記請求項2~請求項3に記載の自転車靴用クリートは、以下のようにも表現することができる。すなわち、略三角形状の板材で、その上面が自転車靴の靴底面に当接してその靴底に固定されるとともに、その下面がペダルフレームの上面に当接して固定可能な自転車靴用クリートであって、つま先側を略三角形の1頂点とし、これよりかかと側に略三角形の2頂点が配置され、これらかかと側の2頂点を結ぶ直線が靴幅方向に延びるように靴底に固定され、その上面が靴底のつま先面に当接するつま先側部と、その上面が靴底のつま先面よりかかと側よりの面に当接するかかと側部とを有するとともに、以下の1)~4)のいずれかの構成を有することにより、この自転車靴用クリートをペダルフレームに固定したとき、このペダルフレームの上面に対して自転車靴用クリートの下面を傾斜させた自転車靴用クリートである。
1)上記つま先側部(つま先部)におけるその外側部分(その上下面が靴底面とペダルフレーム上面とに当接ないし規定される部分)の厚みをその内側部分(その上下面が靴底面とペダルフレーム上面とに当接ないし規定される部分)のそれよりも大とし、かつ、上記かかと側部(かかとより部)におけるその外側部分(その上下面が靴底面とペダルフレーム上面とに当接ないし規定される部分)とその内側部分(その上下面が靴底面とペダルフレーム上面とに当接ないし規定される部分)とを同じ厚みとし、つま先外側上がりの傾斜とした構成とする。
2)上記つま先側部におけるその内側部分の厚みをその外側部分のそれより大とし、上記かかと側部におけるその外側部分とその内側部分とを同じ厚みとし、つま先内側上がりの傾斜とした構成とする。
3)上記つま先側部におけるその内側部分とその外側部分とを同じ厚みとし、上記かかと側部におけるその外側部分の厚みがその内側部分のそれよりも大とし、かかと外側上がりの傾斜とした構成とする。
4)上記つま先側部におけるその内側部分とその外側部分とを同じ厚みとし、上記かかと側部におけるその内側部分の厚みがその外側部分のそれよりも大とし、かかと内側上がりの傾斜とした構成とする。
以上の1)~4)においては、厚みを異ならせた内側部分、外側部分とは、その上面が靴底面に当接し、その下面がペダルフレーム上面に当接するか、ペダルフレームによりその下面の高さ位置が規定、位置決めされる部分とする。すなわち、これらの4つの内外側部分で、ペダルフレーム装着時における靴底面の傾斜が規定されるものとする。
これらの1)から4)に示す構成のクリートは、ペダルの漕ぎ手である競技者の個性に応じて選択される。その個性は4種類のクリートについて使用により適切に選択されることとなる。最も踏み込み力を発揮しやすいタイプの構成のクリートを使用することとなる。4スタンス理論の実践となる。
なお、これらの4種類のクリートについては請求項2に記載の外側部が幅広とした場合に適用することでより、踏み込み力の適切な伝達を可能とする。それにより4スタンス理論をより活かしてペダルへの回転力および推進力への変換の効率が高まることとなる。すなわち、これら4種類のタイプのクリートは、その中央部の外側を幅広とした構成に限られず、外側も内側も同等の幅で面積についてもほぼ同じ構成のクリートについても適用できる。
よって、例えば自転車競技者個々の個性に対応した最も力の発揮できる傾斜を、上記1)から4)のうちの所定のクリートによりペダルに付加した状態でのペダリングを可能とするものである。
なお、各種クリート、特にペダル側の掛止機構に対応した各種形状のクリートについても、掛止機構に対応する凹凸部を除いてその板状体部分ではその厚みの違いによりクリートを介してペダルフレーム上面に対して靴底に傾斜を付加する構成を適用することができる。
請求項4に記載の発明は、略三角形状の板材で、その上面が自転車靴の靴底面に当接してその靴底に固定される自転車靴用クリートであって、靴底に固定されたとき、つま先側を三角形の1頂点とし、これよりかかと側に三角形の2頂点が配置され、これらかかと側の2頂点を結ぶ直線が靴幅方向に延びるとともに、これらの3頂点を含む平面(靴底装着時のクリート下面)にてこの直線と直交する垂線で上記1頂点を含み靴底の長手方向に延びる仮想線について、この仮想線により左右に分けられて、そのつま先側部とそのかかと側部とを除くその中央部(仮想線の延びる方向でのつま先、かかとよりを除く中間部)における、その靴底の外側部分に当接する外側部と、この外側部に対向し、靴底の内側部分に当接する内側部とを有し、この外側部を内側部よりも幅広とし、これらの外側部と内側部とはこの仮想線を中心として非対称形状とし、その外側部の面積が内側部のそれよりも大とした請求項1~3のいずれか1項に記載の自転車靴用クリートである。
また、自転車靴用クリートは、略三角形状の板材で、その上面が自転車靴の靴底面に当接してその靴底に固定される。自転車靴用クリートが靴底の中足部(足裏の相当部)に固定されたとき、つま先側を三角形の1頂点とし、これよりかかと側に三角形の2頂点が配置され、これらかかと側の2頂点を結ぶ直線が靴幅方向に延びる。これらの3頂点を含む平面にてこの直線と直交する垂線で上記1頂点を含み靴底の長手方向に延びる仮想線について、この仮想線により分けられて、そのつま先側部とそのかかと側部とを除くその中央部における、その靴底の外側部分に当接する外側部と、この外側部に対向し、靴底の内側部分(競技者ではその土踏まず側部分)に当接する内側部とを有する。そして、この外側部を内側部よりも幅広とし、これらの外側部と内側部とは仮想線を中心として非対称形状とする。その結果、この自転車靴用クリートでは、その外側部の面積が内側部のそれよりも大とした。
ここに、平面視して略三角形状の板材であるクリートにおける中央部とは、略三角形のつま先側の1頂点と底辺との間の部分、すなわち、直交する垂線(仮想線)の線分全体においてそのつま先側頂点からの距離で1/4から3/4の位置までの範囲、特に1/3から2/3の範囲を示すものとする。この範囲は、クリートを靴底に3本ネジで取り付ける場合ではそのつま先側矩形取付口の長辺部分の側方を含むものとする。なお、2本のネジで取り付ける構造のクリートについては、上記1/3ないし2/3の範囲での外側部が幅広部とされる。
このクリートは、例えば樹脂製であって、平面視して略三角形の形状であり、つま先側(略三角形の端部)がペダルの前クランプ部に係合し、そのかかと側(略三角形の底辺部)がペダルの後クランプ部に係合するとともに、これらのつま先側とかかと側とを連続する中央部乃至中間部を有している。この中央部(中間部)には例えば「品」字形状に矩形の3つのネジ取付口が配置されている。そして、この中央部においては底辺の2等分線でこれに直交する仮想線より外側の外側部(靴底の外側位置)と、反対側の内側部(靴底の内側位置)とに分けられる。この中央部上面は靴底のつま先側を頂点とした略三角形の一部分であってその平面(湾曲面)が靴底面に当接して固定される。
この発明は、4スタンス理論におけるどのタイプのペダルの踏み方でも、ペダリングの踏み込み時に、力が外側へ逃げてペダルに力がつたわりにくくなり、回転力・推進力が低下する。この問題を解決するために、クリートの内側より外側の踏み面を広くし、力の分散を防ぎ、回転力、推進力のアップに繋げた。
4スタンス理論をより有効にするため、内側より外側の踏み面を広くすることは、今までに無い、発明者による知見である。
また、上述の仮想線について、自転車靴用クリートにおいて、その上面が靴底のつま先面に当接するつま先部と、その上面が靴底のつま先面よりかかとよりの面に当接するかかとより部とを有するものとし、さらにこのつま先部の厚みを、上記かかとより部のそれよりも大とすることにより、ペダル踏み込み力が作用する作用力中心をそのかかとより部に位置させる。または、上記かかとより部の厚みを、上記つま先部のそれより大とすることにより、ペダル踏み込み力が作用する作用力中心をそのつま先部に位置させる。
クリートにおいてそのつま先部の厚みを大とし、そのかかとより部の厚みを小とした。この結果、靴底にクリートを固定した場合、踏み込み力はかかと側に大きく作用する。いわゆる後重心となる。よって、長距離走などによるペダリングにおいてより効果を発揮することができる。なお、この場合、靴底に固定した略三角形のクリートにおける底辺の2等分線上においてペダリング力の作用中心が位置される。
また、つま先側部の厚みを小、かかと側部をこれより大とした場合は、つま先重心となり、短距離走に適した構成とすることもできる。
つまり、靴底固定のクリートについて、クリート下面(固定面)がペダルフレーム取付面(ペダル軸の軸線を含む平面)に対して平行ではなく所定の角度を有して交差するよう傾斜させる傾斜手段を有するクリートである。
この傾斜手段はクリートの一部の厚みを他部に対して大きくすることでクリート下面を傾斜させるものとする。
上記つま先側の部分をその内側より部分と外側より部分とでその厚みを異ならせ、そのかかとより部では内外で同じ厚さとするか、または、かかとより部の内外の厚みを異ならせ、つま先側部の内外で同じ厚みとしたものである。
請求項1~4に記載の発明によれば、4スタンス理論に適合したクリートを提供することができる。すなわち、乗り手それぞれの個性に応じて最適な傾斜のクリート(ペダルフレーム上面に対してのクリート下面、ie靴底面の傾斜)を得ることができる。すなわち、4スタンス理論をより有効に、最も大きな踏み込み力をペダル回転推進力に結びつけることができる。個性に対応して効率よくペダルを踏み込みことが可能となる。
また、靴底において例えば中足骨の下側で土踏まずよりつま先側に固定されるクリートにあっては靴底の外側部分に当接する外側部をその内側部に比較して幅広形状とすることにより、乗り手の踏み込み力は主としてクリートの外側部からペダル(ペダルフレーム)に伝達される。これはペダルの踏み込み力の伝わる面が広くなることを意味し、乗り手の踏み込み力がより良くペダルに伝わることを意味する。ペダルへの踏み込み力は、靴底ではその内側よりも外側に大きく伝わるからである。乗り手にとってその身体的特徴から自転車においては靴底の内側よりもその外側を介して踏み込み力が伝わるからである。
また、クリートの厚み変更によりその傾斜角度を異ならせた2種類のクリートを左右靴に使用すると、左利き足、右利き足の漕ぎ手に対応した左右足のバランスを改善することができる。外股、内股の踏み込み角度をバランス良く改善してその推進力を全体としてアップすることにつながる。
なお、踏み込み力はかかと側に大きく作用するいわゆる後重心となると(厚みの変更により設定すると)、長距離走などによるペダリングにおいてより効果を発揮する。または、厚みの変更でつま先側に重心を移すことにより短距離走に適したクリートを提供する。
なお、請求項1~3に記載した発明として、その4つのコーナ部の厚み大のコーナをそれぞれ4カ所に変更したクリートとすることについて、外側幅広であるクリートの構成、または、重心かかと側またはつま先側であるクリートの構成を組み合わせることにより、それぞれの効果を重畳することが可能である。
この発明の実施例1に係るクリートをペダルにセットした状態を説明するための分解斜視図である。 この発明の実施例1に係るクリートの底面を示すその斜視図である。 この発明の実施例1に係るクリートを示すその平面図である。 この発明の実施例2に係るクリートを示すその底面図である。 この発明の実施例2に係るクリートを示すその側面図である。 この発明の実施例1に係るクリートがペダルフレームに装着された状態を示すその側面断面図である。 この発明の実施例2に係るクリートを示すその平面図である。 この発明の実施例2に係るクリートを示すその底面図である。 図7におけるA-A線における矢視断面図である。 図7におけるB-B線における矢視断面でクリート前側部分の厚みを示すための模式図である。 この発明の実施例2に係るクリートを4スタンス理論に適用する場合であって図10とは異なる形状のクリートを説明するための図10と同様の模式図である。 この発明の実施例2に係るクリートを4スタンス理論に適用する場合であってその後端部形状を説明するための図7のC-C線における失視断面図である。 この発明の実施例2に係るクリートを4スタンス理論に適用する別の場合を説明するための図12と同様のクリートの断面図である。 従来の自転車靴用クリートの靴底への固定状態を示す分解斜視図である。
以下、この発明の実施例に係る自転車靴用クリートについて図面を参照して具体的に説明する。
図1~図6は、この発明の実施例1に係る自転車用クリートを説明するための図である。4スタンス理論などをクリートにおいて実践した例である。
まず、図1に示すように、実施例1に係る自転車靴用のクリート11は、3個のネジを使用して競技者用靴の靴底(その中足部)に固定されるタイプのクリートである。このクリート11は自転車ペダル12にその掛止機構により固定されることとなる。
掛止機構であるペダル側は、基端がペダルクランクに連結されたペダル軸13と、ペダル軸先端にその軸線回りに回転自在に固定されたペダルフレーム14とを有している。ペダルフレーム14にあっては、その上面にクリート11の一部の下面が当接して、後述するように、クリート11が係止されたとき、クリート下面全体がペダル軸13を含む平面とほぼ平行な面としてクリート11を支持することとなる。ペダルフレーム14は平面視して略矩形であってその前後端部において前クランプ材と後クランプ材とを有している。前クランプ材はペダルフレーム14の前端部に配されて、略U字形状に湾曲してクリート嵌合掛止溝(または係止孔)15を有しており、後クランプ材は大略矩形板状体であるペダルフレーム14の後端部に配されている。後クランプ材はフック形状材16でペダル軸13と平行な軸に対して回動自在に取り付けられて、バネ17により下方に向かって付勢されてクリート11の後端の一部を挟み込み固定する構成である。
クリート11は、これらの前クランプ材15、後クランプ材16によりペダル本体14の上面にその下面(その一部)が当接などして係止・固定される。
すなわち、クリート11は平面視して大略三角形の形状を有する樹脂製の板体で構成されており、その三角形の1頂点部分を含むつま先側部21と、その三角形の2頂点部分を含む(三角形の底辺部分を含む)かかと側(かかとより)部22と、これらのつま先側部21とかかと側部22とを一体として連続、連結する中央部(中間部)23とにより構成されている。
つま先側部21は平面視して半円形乃至湾曲形状(U字形状)に形成され、厚み方向にて2段に形成されており、この段差面により段差下側平面が上記前クランプ材のペダル掛止溝15に挿入されて嵌合、掛止される。28はクリート11先端部分であり、係止溝15に嵌合して係止される部分とされる。
かかと側部22は所定の厚みを有して中央部23に向かってわずかに傾斜した形状で、その底面には1対のかかと突起24,24がその最外の左右部分に下方に突出して形成されている。これらの1対の突起24,24の間は突起より厚みが小さい(薄い)中間板状部分であって、この中間板状部分(31A,31Bはその左右端部下面)が上記後クランプ材であるフック16に挟み込まれてペダルフレーム14上面に対して掛止・固定されることとなる。固定時、これらかかと突起24,24はペダルフレーム14の上面には当接しない。クリート11の中間部23の左右端の下面30A,30Bがフレーム14の一部上面14Aに当接した状態で掛止される。
以上により、靴底に固定されたクリート11(すなわちシューズ自体)はペダルフレーム14に対して着脱自在に取り付けられていることとなる。この場合、フレーム上面に対して実施例1のようにその下面を傾斜させたクリート11は、ペダルフレーム14に対してわずかに回動可能の構成とすることもできる。
また、平面視して略三角形のクリート11にあってこれらつま先側部21とかかと側部22とを連続、連結する中間部ないし中央部23には、平面視して「品」字の形状に3個の矩形孔、すなわちネジ取付口25,26,27が配置、形成されている。これらの3個のネジ取付口25,26,27を介して例えばファスナ材(ワッシャなど)でネジにより、靴底にこのクリート11をネジ止めし、クリート11の上面は靴底の最も幅広部分(中足部)に当接して固定されることとなる。中央部23にてつま先側に配置された取付口25が配置される位置は以下の通りとする。すなわち、クリート11のかかと側部22に位置する一対のかかと突起24,24を結ぶ線を底辺(靴底ではその幅方向に一致する)とした場合、その三角形での底辺を2等分する位置からつま先(三角形のつま先側の頂点)に向かって延びる2等分線(底辺とは直交)CLが、その矩形開口25の略2等分線と一致する位置である(図3参照)。かつ、この取付口25は中央部23に配置されている。
そして、このクリート11にあっては、靴底面に固定され、さらに靴底への固定状態でペダルフレームに係止される。このとき、所望のクリート11を適用することで、靴底面とペダル軸の軸線を含む平面との間に任意の勾配を形成するものである。
例えばつま先側が薄くかかとよりが厚いクサビ形状のクリートであれば、つま先下がり、かかと上がりの勾配を靴底面に形成することができる。
また、つま先に向かって左側部分が右側部分に比較して薄く、右側部分が厚いクリートの場合は、右足用靴に使用するとき内側が低く外側が高い傾斜を得ることができる。
さらに、クリートを平面視して略三角形のとき、4つの隅部についてそのうちの1の隅部、例えばつま先側の左側のみを厚くし、その他をこれより低くしたときは、つま先左側部分が高くその他の低い傾斜、右足用ではつま先の内側部分が高い傾斜を形成することができる。これは4隅部のいずれか1隅を高く、残りの3隅を低くした傾斜面を靴底に得ることができることを意味する。
これらの傾斜を得ることにより4スタンス理論の実践が可能となる。また、利き足に応じて形成される左重心、右重心に対応してこれらでの両足のバランスをとることで、踏み込みによる推進力を改善することを可能とした。厚みの変更例については後述する。
この実施例に係るクリート11にあっては、つま先部21にあって上記仮想線CLより左側部分21Aの厚みはその右側部分21Bの厚みよりも大きく形成されている。このとき、かかと側部22における2突起24,24の中間部の厚みは左右両端にて同じとし、左側部分のそれよりも小さいものとしてある。
この結果、このクリート11を右足用靴の靴底に固定すると、つま先内側上がりの傾斜を靴底に付与することができる。
また、このクリート11を左足用靴に使用するとき、つま先左側(つま先外側)上がりの傾斜を靴底面に形成することができる。
同様にして競技者乃至漕ぎ手の個性に対応したクリートを左右とも選択することで、最大限の推進力を得ることができる。
さらには、例えば走行の目的、長距離走、短距離走の別によりクリートを任意に選択することも可能となる。
長距離走では後重心でのクリートを自己の個性に対応した状態で選択し、短距離走では同じ漕ぎ手にあっても前重心となるためのクリートを選択することとする。なお、これらの場合においては個々の好みによりその傾斜角度をも選択することができる。例えば3度の傾斜が適切な場合、または同じ傾きだが1度を選択する場合である。これは左右の靴についても適切な傾斜、傾斜角度をそれぞれ選択することを意味する。
また、以上に述べた傾斜およびその傾斜角度を適切なクリートを複数のクリートから選択するシステムとすることで、シューズ(競技靴)、ビンディングペダルを変更することなく、クリートだけの変更で容易に適切な状況を得ることができる。
さらには、この実施例に係るクリートは中間部における幅広部を外側部分に形成してあることにより、幅広部を設けていないクリートについてよりも、その漕ぎ手の踏み込み力によるペダル推進力が大となる。
このクリート11にあっては、靴底固定状態で底面視して略三角形状のプラスチック製本体を有する。略三角形状のプラスチック製本体にあって、そのつま先側部21ではその左右の端部の厚さは異なるものとされている。同時に、かかと側部22での厚さについては左右の端部(最も厚い部分である上記一対の突起24,24ではなくこれに近接する部分)の厚さは同一とされている。なお、クリート上面は靴底に密着して(当接して)固定されており、ほぼ平坦面または湾曲した面として構成されている。
または、つま先側部の左右の端部の厚さを同一とし、かかと側部の左右の端部の厚さを異ならせている。
また、この実施例にあっては、レース靴の靴底で土踏まずと母趾の付け根との間の位置(中足骨の下の位置)に固定される略三角形状(底面視)のクリート(樹脂製またはカーボン製の本体)11は、靴底固定のためのネジを挿入するためのつま先側の1個の矩形取付口25およびかかと側の2個の並設された矩形取付口26,27を有しているが、この取付口25の配置された部分である中央部23においては、靴底の外側部分に当接する取付口27側部分の靴幅方向の長さが、2等分線CLを挟んで反対側の部分のそれよりも大としてある。つまり、中央部23において外側部分23Aは内側部分23Bよりも幅広に形成されている。この結果、クリート中央部上面の靴底との当接面積は外側部分が大、内側部分は小である。この関係は、左足用クリートに対して右足用クリートにおいても同様とする。前者では外側部分の接触面積が大、すなわち踏み込み面が外側部分にシフトすることとなり、乗り手の踏み込み力は、十分にペダルに伝わることとなる。逆に内側部分が幅広で外側部分が幅狭のクリートの構造とすると、踏み込み力は十分に伝達されないこととなる。
換言すると、クリート11は、略三角形状のプラスチック製板材で、つま先側が三角形の1頂点に、かかと側が拡幅して三角形の2頂点として靴底に取り付けられる。ペダル12に対しては、クリート本体の前端部がペダル本体への前方連結部として、その後端部がペダルへの取付部として機能する。そして、これらの中間部(中央部)、3個の矩形ネジ孔が「品」字形状に配置された部分で2等分線CLではそのつま先端から1/4から3/4の距離までの範囲のクリート本体11では、矩形ネジ孔より外側部分23Aが当該ネジ孔より内側部分23Bに比較して幅広に形成されている。中央部23(中間部)の底面視、平面視して左右の縁形状が異なることで明確とされている。この場合、中央部23での幅広とする範囲は上述の1/4乃至3/4、特に1/3~2/3、さらには取付口25を取り囲む範囲を含めるものとする。なお、ロード用の3取付口タイプに限られず、マウンテンバイク用の2取付口のタイプにあっても、この発明は適用できる。このMTバイク用では、その靴底への当接面において外側部分を幅広とし、内側部分を幅狭とすることとできる。
要は、クリートの中間部にて靴底当接部全体としてその2等分線CLを基準として外側部分が幅広、内側部分が幅狭の形状として、外側の靴底外側(右足は右側、左足は左側)への当接面の面積を内側よりも大としている。いわば三角形クリートにて中間部乃至中央部は底面視すると線分CLについて非線対称形状とされる。
図7~図13は、この発明の実施例2に係る自転車靴用クリートを説明するための図面である。
この実施例2にあっては、底面視(平面視)して大略三角形の板状体であるクリート本体51について4スタンス理論を適用した場合である。
クリート本体51は硬質のプラスチック製であり、靴底で土踏まず相当部分よりはつま先側の中足部(中足骨の下側部位)相当部分に固定される。靴底の当該部位からその厚みだけ下方に向かって突出した板状略三角形のクリート51は、そのつま先側端部の掛止突起およびかかと側の段差部にてペダル装置のペダルフレーム上面に固定される。
ここで、問題とされるのは、略三角形でほぼ一定の厚さの板状体であるクリート本体51の厚み、特にペダルフレーム上面に当接して固定される部分の厚みである。上記掛止突起、後端側のかかと突起は除かれる。
この場合のクリート51としては例えば4つのタイプのクリート51A,51B,51C,51Dを準備する(図7は平面図、図8は底面図、図9は図7のA-A線断面図)。略三角形本体を平面視して4隅のうちの1隅の厚みを、残りの3隅の厚みより大きくすることで、クリート本体51の下面をペダルフレーム上面(平坦面と想定できる)に対して傾斜させるものである。つま先外側上がりの傾斜、つま先内側上がりの傾斜、かかと外側上がりの傾斜およびかかと内側上がりの傾斜である。左右一対のペダルにおいてはその傾斜状態は同じクリート51を使用する。または、左足用の靴クリートは、右足用の靴クリートと異なるタイプのクリートを使用することもできる。さらにまた、クリートは同一タイプであってもその厚み乃至傾斜角度は異なるものとして準備、使用することもできる。例えばつま先外上がりの傾斜でも角度を1度、2度、3度などのクリートである。
各クリート51A(図10),51B(図11)については、その三角形における4つの隅(コーナ)部にあってそのつま先側の内外(三角形では左右の斜辺の交差するつまさき側部位の両側であって、クリート51を靴底に固定した場合の内側と外側)の各コーナの厚みが異なる場合である(内側の一部または外側の一部が高く、その他の部分はこれより低い)。また、そのかかと側の内外のコーナは同じ厚さとする(なお、その他部位の厚さは全体としてほぼ同じであってコーナ部の最大厚より小さい関係とする)。これにより、つま先内側上がりの傾斜、または、つま先外側上がりの傾斜を得ることができる。ペダルフレーム上面を水平とした場合クリート51の下面はフレーム上面に対して傾斜することとなる。この結果として、踏み込み足の靴底面が傾斜しており、漕ぎ手の踏み込み力を最大限ペダルに伝達することができる。なお、これらの厚みの差(52A,53A)または(52B、53B)は、例えば5mm単位で適宜変更設定できるものとする。
または、クリート51C(図12),51D(図13)については、つま先側の2コーナ部の厚さは同じだが、かかと側でその内外部である2コーナ部54C,55Cまたは54D,55D間の厚さが異なる場合である。これにより、かかと内側上がりの傾斜またはかかと外側上がりの傾斜を得るものとする。
なお、クリート本体51の中央部(つま先側掛止部、かかと側掛止部を除く中間部)についてはその外側部OUTが内側部INよりも幅広、つまり三角形の底辺を2等分する仮想線から外側、内側部分が非対称となる。外側部分OUTが幅広としてある。非対称三角形状のクリート51に限られず、対称形状のクリートに対しても、この発明(厚み差での傾斜)は適用することができる。なお、ペダルフレーム上面とはペダル軸を含む平面と平行であって、ペダリング時は水平面とされる構造である。また、図7~図9にて61,62,63は「品」字形状に配置されるネジによるクリート取付開口である。同じく71は先端側のクリート掛止部突起、72は後端側のバネに付勢されたフック材(掛止機構の一部)による掛止段差部を示す。
以下、具体的に説明する。ただし、これらのクリート51A乃至51Dについては一部厚みを除いて同一タイプのクリート(中央部で外側部分OUTが、内側部分INよりも幅広のタイプ)とする。
図10に示すクリート51A(この断面はフレーム当接面、すなわちクリート下面の高さの違いを示す図)は、つま先側のコーナ部分(図7のB-B矢視断面図で一部は省略)にて平面視して右側部分52Aの厚みが、左側部分53Aのそれより大とし、かかと側の左右両端部の厚みは同一としてある。なお、つま先側53Aの厚みとかかと側の厚み(両端部)とは略同じ程度としてある。つまり、かかと側の厚みは右側部分52Aの厚みより小さい関係としてある。
図11に示すクリート51Bは、つま先側の左右のコーナ部分52B,53B(図7のB-B矢視断面図)は、左側(靴底では内側部分)53Bの厚さが右側(靴底固定時は外側部分)52Bのそれよりも厚く形成されている。なお、かかと側の厚みは左右の端部にて同一とされている。また、つま先側の厚みと、かかと側の厚みで、左側53Bの厚みは、かかと側のそれより大としてある。
次に、図12に示すクリート51C(図7のC-C線矢視図)は、その左右の両端部(突起を除く平坦部でフレーム上面に当接する部分)55C,54Cにおいてその厚みが異なり、左側の端部55Cの厚みが右側54Cのそれより大とされている。つま先側の厚みはその左右端部で同じとされ、左側部分55Cの厚みよりも小とされている。
次に、図13に示すクリート51Dは、かかと側左右端部54D,55Dの厚みの関係が、図12のクリート51Cそれとは逆の関係としてある。すなわち、左側55Dよりも右側54Dの厚みが大である。この厚み54Dと、つま先側端部の厚みとの関係は、上記図12のクリート51Cの場合と同じとする。
そして、これらのクリートのどのタイプのクリート51A,51B,51C,51Dが、競技者、乗り手の個性に合致するかを検証し、選択することとなる。この場合、略三角形のクリート51A,51B,51C,51Dについて靴底に固定した場合、その厚みを特定の1部位(クリートの4隅の一つ)で厚く形成してあるため、これらの1を選択してその個性に適合した傾斜(ペダルフレーム上面に対する傾斜)を有するクリートとして使用することができる。また、当該特定部位の厚みのみの変更により、傾斜を変更して、その個性に適合させるものとする。すなわち、クリート本体の平面形状にはとらわれないものとする。また、クリート本体の一部に成形されるペダルへの掛止機構、掛止構造については適宜とするが、4タイプにおいては、コーナ部の厚み以外は共通の構成として比較する。さらには、厚みの違い(例えば0.5~1cm)の程度についてはその個性に対応させることができるが、この実施例にあっては、その一例のみを示すものとする。
以上のように、大略三角形状のクリート本体のつま先部にて靴底の外側対応部分をその内側部分よりも厚みを大とした、かつ、かかと側の外側部分および内側部分を同じ厚みとしたクリートを第1のタイプ(つま先外側上がりの傾斜)とし、つま先内側を外側より厚みが大、かかと側の外側部分と内側部分を同じ厚みとした第2のタイプ(つま先内側上がりの傾斜)、つま先側の内側部分と外側部分とは厚みが同じで、かかと側外側部分の厚みが内側部分よりも大とした第3タイプのクリート(かかと外側上がりの傾斜)、およびつま先側の内側部分と外側部分との厚みは同じで、かかと側の内側部分の厚みが外側部分よりも大とした第4のタイプのクリート(かかと内側上がりの傾斜)を準備する(これは左右両足について準備する)。そして、競技者、乗り手の個性、どのタイプが最も効率よく踏み込み力をペダルに伝達できるかをチェックし、最良タイプを選択する。これらのクリートにより靴底のペダルフレーム上面に対する傾斜角度がそれぞれ異なるとした結果、踏み込み力がこのクリートを介して最大としてペダルに伝達することができ、競技者であれば、その効果を競技において確認することができる。その他乗り手が疲労度などでその傾斜による効果を感知することもできる。
さらに、これらのクリートに付加して、上記外側部分が幅広のタイプのクリートにあっても、または、通常の内側、外側の幅がほぼ同じタイプのクリートであっても、そのクリート平面的な重心位置(踏み込み力がペダルに伝わる中心的位置)を従来よりも後方よりとすることができる。この結果、乗り手のペダリング力の加わる中心点が従来のクリートより後方よりとされる(かかと重心タイプ)。具体的には、平面略三角形状のクリートにあって、かかと側のその左端部分とその右端部分とのほぼ中間位置(三角形の底辺のほぼ半分位置での底辺と直交する2等分線の線上で後端(かかと側)の最奥部分の厚さがその他のそれより大としてある。
換言すると、自転車靴用クリートであって、クリートのペダリング力の加わる中心位置(2等分線上の位置)を、後端かかと側部における厚みを、その幅方向の中間位置で、かつ後端縁に近接した位置(1~2cm程度の位置)にてその厚みを大とすることにより、乗り手運転者のペダリング力伝達中心とした。
また、これとは逆につま先側の厚さを大きくしてつま先重心タイプのクリートとすることができる。これは短距離走に適している。なお、これらの場合にあっても上記実施例1に示す傾斜を同時に与えたクリートとすることもできる。その効果を重ねて実現できる。
このような構成により、例えば長距離走などにおいて好適なクリートを得ることができる。なお、この2等分線上での最大厚み位置をかかと側(最後端)とすることについては、上記各実施例におけるクリート本体の4隅の厚み調整による傾斜させたクリートに対しても適用することができる。これによれば、幅広、後ろ重心、任意傾斜のクリートを得ることができる。
この発明は、自転車靴用クリートに適用する技術として有用である。特に4スタンス理論に適合したクリートとして有用である。また、長距離走、短距離走に適したクリートとして有用である。
11 クリート、
12 ペダル、
21 つま先部、
22 かかとより部、
23 中央部(中間部)、
23A,23B 幅広部(外側部),幅狭部(内側部)、
24 かかと突起、
51A~51D 傾斜下面を有するクリート、
CL 三角形の2等分線(仮想線)。

Claims (4)

  1. 自転車靴の底面に固定された板状の自転車靴用クリートであって、
    この自転車靴用クリートをペダル軸にペダルフレームを介して係止させたとき、上記靴底面が上記ペダル軸の軸線を含む平面に対して傾斜するよう、自転車靴用クリートの厚さをその一部とその残り部とで異ならせたことを特徴とする自転車靴用クリート。
  2. 上記自転車靴用クリートは平面視して略三角形状であって、その1頂点をつま先側に残りの2頂点をかかとよりで靴幅方向にて離間して配されて靴底の中足部に固定されるとともに、
    自転車靴用クリートの上記1頂点を含むつま先部ではその靴幅方向での内側部分とその外側部分とはその厚さを異ならせ、上記2頂点を含むかかとより部では靴幅方向の内側部分とその外側部分とは同じ厚さとした請求項1に記載の自転車靴用クリート。
  3. 上記自転車靴用クリートは平面視して略三角形状であって、その1頂点をつま先側に残りの2頂点をかかとよりで靴幅方向にて離間して配されて靴底の中足部に固定されるとともに、
    自転車靴用クリートの上記1頂点を含むつま先部ではその靴幅方向の内側部分とその外側部分とはその厚さを同じとし、上記2頂点を含むかかとより部の靴幅方向での内側部分とその外側部分とは異なる厚さとした請求項1に記載の自転車靴用クリート。
  4. 略三角形状の板材で、その上面が自転車靴の靴底面に当接してその靴底に固定される自転車靴用クリートであって、
    靴底に固定されたとき、つま先側を三角形の1頂点とし、これよりかかと側に三角形の2頂点が配置され、これらかかと側の2頂点を結ぶ直線が靴幅方向に延びるとともに、
    これらの3頂点を含む平面にてこの直線と直交する垂線で上記1頂点を含み靴底の長手方向に延びる仮想線について、この仮想線により分けられて、そのつま先側部とそのかかと側部とを除くその中央部における、その靴底の外側部分に当接する外側部と、この外側部に対向し、靴底の内側部分に当接する内側部とを有し、
    この外側部を内側部よりも幅広とし、これらの外側部と内側部とはこの仮想線を中心として非対称形状とし、その外側部の面積が内側部のそれよりも大とした請求項1~3のいずれか1項に記載の自転車靴用クリート。
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