JP2023098510A - ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法 - Google Patents

ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023098510A
JP2023098510A JP2021215316A JP2021215316A JP2023098510A JP 2023098510 A JP2023098510 A JP 2023098510A JP 2021215316 A JP2021215316 A JP 2021215316A JP 2021215316 A JP2021215316 A JP 2021215316A JP 2023098510 A JP2023098510 A JP 2023098510A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
beer
alcoholic beverage
fermented alcoholic
beverage
flavored fermented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021215316A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023098510A5 (ja
Inventor
智慎 加野
Tomochika Kano
あい子 森下
Aiko Morishita
惟道 三吉
Koremichi Miyoshi
俊浩 米田
Toshihiro Yoneda
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Holdings Co Ltd
Original Assignee
Kirin Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kirin Holdings Co Ltd filed Critical Kirin Holdings Co Ltd
Priority to JP2021215316A priority Critical patent/JP2023098510A/ja
Publication of JP2023098510A publication Critical patent/JP2023098510A/ja
Publication of JP2023098510A5 publication Critical patent/JP2023098510A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Alcoholic Beverages (AREA)
  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

【課題】ボディ感が増強されるとともに飲んだ後の心地よさが向上したビール風味発酵アルコール飲料の提供。【解決手段】ビール風味発酵アルコール飲料であって、飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度が1ppb以上である、ビール風味発酵アルコール飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法に関する。
近年の健康志向の高まりにより、糖質含有量が低減されたビールテイスト飲料が求められている。糖質を低減したビールおよびビール系飲料は、水っぽくうすい味となるため、ボディ感が弱く、飲んだ後心地よくないという問題がある。
このような状況下、糖質を低減したビールやビール系飲料においてもボディ感を増強または付与し、飲んだ後の心地よさを向上または付与する方法が求められている。
味の強度を高めるための従来の方法としては苦味価(BU)上昇や、ホップによる香気成分を付与する方法があるが、BU上昇により全体の味のバランスが崩れ、ホップによる香気成分付与は単調な印象になってしまう。
本発明者らは、今般、ビール風味発酵アルコール飲料においてシス-リナロールオキサイドの濃度を所定の範囲に調整することにより、ボディ感を増強でき、飲んだ後の心地よさを向上できることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
従って、本発明は、ボディ感が増強されるとともに、飲んだ後の心地よさが向上したビール風味発酵アルコール飲料およびその製法を提供する。
そして、本発明には、以下の発明が包含される。
(1)飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度が1ppb以上である、ビール風味発酵アルコール飲料。
(2)飲料中の糖質の濃度が0.5g/100mL以下である、(1)に記載のビール風味発酵アルコール飲料。
(3)麦芽使用比率が50質量%以上100質量%以下である、(1)または(2)に記載のビール風味発酵アルコール飲料。
(4)アルコール濃度が3体積%超である、(1)~(3)のいずれか一つに記載のビール風味発酵アルコール飲料。
(5)ビール風味発酵アルコール飲料を製造する方法であって、飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度が1ppb以上に調整される、方法。
(6)飲料中の糖質の濃度が0.5g/100mL以下に調整される、(5)に記載の方法。
(7)麦芽使用比率が50質量%以上100質量%以下である、(5)または(6)に記載の方法。
(8)飲料中のアルコール濃度が3体積%超に調整される、(5)~(7)のいずれか一つに記載の方法。
(9)ビール風味発酵アルコール飲料において、ボディ感を増強するとともに飲んだ後の心地よさを向上する方法であって、飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度が1ppb以上に調整される、方法。
本発明によれば、ビール風味発酵アルコール飲料において、ボディ感を増強するとともに飲んだ後の心地よさを向上することが可能となる。
発明の具体的説明
[ビール風味発酵アルコール飲料]
本発明のビール風味発酵アルコール飲料は、飲料中のシス-リナロールオキサイド濃度が所定の範囲にあるものである。このようなビール風味発酵アルコール飲料は、その製造の際に、シス-リナロールオキサイド濃度を調整することにより得ることができる。シス-リナロールオキサイドの濃度調整の具体的手段は特に限定されるものではなく、例えば、シス-リナロールオキサイドの添加、シス-リナロールオキサイドを含有する原料の使用量の増減、シス-リナロールオキサイドを最終製品内に生成する原料の使用量の増減、酵母による発酵によってシス-リナロールオキサイドに変換される物質の濃度調整等が挙げられる。
本明細書において化合物「シス-リナロールオキサイド」とは、IUPAC名「シス-2-(5-エテニル-5-メチルオキソラン-2-イル)プロパン-2-オール」の化合物を意味する。
本発明において「ビール風味発酵アルコール飲料」とは、ビール(麦芽およびホップを原料として用い、ビール酵母による発酵によって得られるアルコール飲料)、またはビールと同様の風味を有する発酵アルコール飲料を意味する。本発明において「発酵アルコール飲料」とは、炭素源、窒素源および水などを原料として酵母により発酵させたアルコール(エタノール)含有飲料を意味する。本発明のビール風味発酵アルコール飲料は、好ましくはホップを原料として用いることによりホップの香気が付与された発酵飲料である。本発明のビール風味発酵アルコール飲料は、好ましくは発酵麦芽飲料、すなわち、原料として少なくとも麦芽を使用した飲料を意味する。このような発酵麦芽飲料としては、ビール、発泡酒、リキュール(例えば、酒税法上、「リキュール(発泡性)(1)」に分類される飲料)などが挙げられ、好ましくはビールである。本発明のビール風味発酵アルコール飲料は、好ましくは麦芽使用比率50質量%以上100質量%以下、より好ましくは麦芽使用比率50質量%以上95質量%以下の発酵麦芽飲料である。
本発明において、「ppb」という単位は「μg/L」と同義である。
本発明のビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイド濃度は、例えば、1ppb以上が挙げられ、好ましくは2ppb以上である。ビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイド濃度は、本発明の効果が奏される限り特に限定されるものではないが、例えば50ppb以下である。本発明の一つの実施態様によれば、本発明のビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイド濃度は、例えば、1~50ppbが挙げられ、好ましくは2~50ppb、より好ましくは2~30ppb、さらに好ましくは2~25ppb、さらに好ましくは2~15ppb、さらに好ましくは2~10ppbとされる。上記濃度範囲とすることにより、複雑性を付与することも可能である。
ビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイドの定量は、GC/MS分析により行うことができる。その際に、より正確な濃度測定のためには、既知の濃度を有する幾つかの対照サンプルの測定値に基づいて作成した検量線を用いることが望ましい。このGC/MS分析は、例えば、次のように実施することができる。まず、飲料中の成分をC18固相カラムで抽出し、ジクロロメタン溶出画分を分析用試料として用いる。定量は内部標準法によって行い、内部標準物質にはボルネオール(Borneol)を用い、分析用試料中25ppbになるよう添加する。GC/MSの分析条件は、以下の表1に従うことができる。
Figure 2023098510000001
本発明のビール風味発酵アルコール飲料中のアルコール濃度は、特に制限されるものではないが、好ましくは3体積%(v/v%)超とされ、より好ましくは3.5体積%以上、さらに好ましくは4体積%以上とされる。ビール風味発酵アルコール飲料のアルコール濃度は、本発明の効果が奏される限り特に限定されるものではないが、例えば20体積%以下である。本発明の一つの実施態様によれば、本発明のビール風味発酵アルコール飲料中のアルコール濃度は、好ましくは3体積%超10体積%以下とされ、より好ましくは3体積%超7体積%以下、さらに好ましくは3体積%超6体積%以下、あるいは、好ましくは3.5~10体積%、より好ましくは3.5~7体積%、さらに好ましくは3.5~6体積%、あるいは、好ましくは4~10体積%、より好ましくは4~7体積%、さらに好ましくは4~6体積%とされる。なお、ビール風味発酵アルコール飲料中のアルコールの濃度の測定は公知の方法によって行うことができ、具体的には、日本国国税庁が定める「BCOJビール分析法 8.3.6 アルコライザー法」に基づいて行うことができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明のビール風味発酵アルコール飲料において、シス-リナロールオキサイド濃度は1ppb以上、より好ましくは2ppb以上であり、また100ppb以下であり、かつアルコール濃度は3体積%超、より好ましくは3.5体積%以上、さらに好ましくは4体積%以上であり、また20体積%以下とされる。より具体的には、ビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイド濃度は、好ましくは1~50ppb、より好ましくは2~50ppb、さらに好ましくは2~30ppb、さらに好ましくは2~25ppb、さらに好ましくは2~15ppb、さらに好ましくは2~10ppbであり、かつ、アルコール濃度は、好ましくは3体積%超10体積%以下、より好ましくは3体積%超7体積%以下、さらに好ましくは3体積%超6体積%以下、あるいは、好ましくは3.5~10体積%、より好ましくは3.5~7体積%、さらに好ましくは3.5~6体積%、あるいは、好ましくは4~10体積%、より好ましくは4~7体積%、さらに好ましくは4~6体積%である。本発明の特に好ましい実施態様によれば、ビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイド濃度は2~25ppbであり、かつアルコール濃度は4~6体積%である。ビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイド濃度およびアルコール濃度が上記濃度である場合には、上記アルコール飲料において、ボディ感を増強し、飲んだ後の心地よさを向上するとともに、香りと味のバランスをとることも可能である。中でも、ビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイド濃度を2~10ppb、かつアルコール濃度を4~6体積%に調整することにより、香りと味とのバランスをより良いものとすることができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明のビール風味発酵アルコール飲料は糖質の含有量が通常よりも低減された飲料とされる。この「通常よりも低減された」とは、そのビール風味発酵アルコール飲料を製造する際に糖質の含有量を低下させるための工夫がなされていることを意味する。このような低糖質のビール風味発酵アルコール飲料における具体的な糖質濃度の数値は特に限定されるものではないが、例えば、1.5g/100mL以下、好ましくは1.5g/100mL未満、より好ましくは1.1g/100mL以下、さらに好ましくは1.0g/100mL以下、さらに好ましくは1.0g/100mL未満、さらに好ましくは0.5g/100mL以下、さらに好ましくは0.5g/100mL未満とすることができる。一つの実施態様において、低糖質ビール風味発酵アルコール飲料中の糖質の濃度は0.4g/mL以下である。
糖質濃度の測定は公知の方法によって行うことができ、当該試料の質量から、水分、たんぱく質、脂質、灰分および食物繊維量を除いて算出する方法(食品表示基準について(平成27年3月30日 消食表第139号)別添 栄養成分等の分析方法等 参照)に従って行うことができる。
本発明のビール風味発酵アルコール飲料は、炭酸飲料とすることができる。炭酸ガス圧は好みに応じて適宜調整することができ、例えば、0.05~0.4MPa(20℃におけるガス圧)の範囲で調整することができる。
本発明のビール風味発酵アルコール飲料は、pHを、例えば、2.0~5.0、好ましくは2.3~4.8、より好ましくは2.9~4.5に調整することができる。飲料のpHは市販のpHメーター(例えば、HORIBA Scientific 卓上pH計、株式会社堀場アドバンスドテクノ製)を使用して容易に測定することができる。
本発明のビール風味発酵アルコール飲料は、好ましくは容器詰飲料として提供される。本発明のビール風味発酵アルコール飲料に使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、好ましくは金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル)、または瓶とされる。
本発明の一つの実施態様によれば、本発明のビール風味発酵アルコール飲料は、飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度調整以外は、通常のビール風味発酵アルコール飲料の製造方法に従って製造することができる。通常の製法としては、例えば、少なくとも水および麦芽を含んでなる発酵前液を発酵させる方法、すなわち、麦芽等の醸造原料から調製された麦汁(発酵前液)に発酵用ビール酵母を添加して発酵を行い、所望により発酵液を低温にて貯蔵した後、ろ過工程により酵母を除去する方法が挙げられる。
本発明では、いずれかの工程でホップ(ホップの加工品を含む)を添加することができる。ホップの添加量は、典型的には、発酵工程における発酵前液の容量に対して0.1~5g/Lとなるように調整することができ、好ましくは0.1~2g/L、より好ましくは0.2~1.5g/Lとすることができる。
本発明では、麦芽、ホップおよび水以外に、米、とうもろこし、こうりゃん、馬鈴薯、でんぷん、糖類(例えば、液糖)、果実、コリアンダー等の酒税法で定める副原料や、タンパク質分解物、酵母エキス等の窒素源、色素、起泡・泡持ち向上剤、水質調整剤、発酵助成剤等のその他の添加物を醸造原料として使用することができる。また、未発芽の麦類(例えば、未発芽大麦(エキス化したものを含む)、未発芽小麦(エキス化したものを含む))を醸造原料として使用してもよい。
[ビール風味発酵アルコール飲料の製造方法]
本発明の別の態様によれば、ビール風味発酵アルコール飲料の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)が提供される。本発明の製造方法は、ビール風味発酵飲料におけるシス-リナロールオキサイドの濃度を所定の範囲に調整する工程を含むものである。ビール風味発酵アルコール飲料におけるシス-リナロールオキサイドの濃度調整の具体的手段は特に限定されるものではなく、例えば、ビール風味発酵アルコール飲料の原料および/または中間物へのシス-リナロールオキサイドの添加、シス-リナロールオキサイドを含有する原料の使用量の増減、シス-リナロールオキサイドを最終製品内に生成する原料の使用量の増減、酵母による発酵によってシス-リナロールオキサイドに変換される物質の濃度調整等が挙げられる。
本発明の製造方法において、ビール風味発酵アルコール飲料におけるシス-リナロールオキサイドの濃度、アルコール濃度、糖質の濃度、麦芽比率、炭酸ガスの圧力、pH、およびそれらの調整方法、測定方法等は、いずれも上述した本発明のビール風味発酵アルコール飲料と同様とすることができる。
本発明の製造方法により得られるビール風味発酵アルコール飲料の形態は、上述した本発明のビール風味発酵アルコール飲料と同様とすることができる。
本発明の製造方法により得られるビール風味発酵アルコール飲料には、上述した本発明のビール風味発酵アルコール飲料について説明したのと同様に、ホップ(ホップの加工品を含む)、その他の添加物、未発芽の麦類等を原料として用いることができる。
[ビール風味発酵アルコール飲料においてボディ感を増強するとともに飲んだ後の心地よさを向上する方法]
本発明の別の態様によれば、ビール風味発酵アルコール飲料において、ボディ感を増強するとともに飲んだ後の心地よさを向上する方法(以下、「本発明の方法」ともいう。)が提供される。本発明の方法は、ビール風味発酵飲料におけるシス-リナロールオキサイドの濃度が所定の範囲に調整する工程を含むものである。ビール風味発酵アルコール飲料におけるシス-リナロールオキサイドの濃度調整の具体的手段は特に限定されるものではなく、例えば、ビール風味発酵アルコール飲料の原料および/または中間物へのシス-リナロールオキサイドの添加、シス-リナロールオキサイドを含有する原料の使用量の増減、シス-リナロールオキサイドを最終製品内に生成する原料の使用量の増減、酵母による発酵によってシス-リナロールオキサイドに変換される物質の濃度調整等が挙げられる。
本発明の方法において、ビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度は、1ppb以上、好ましくは2ppb以上に調整される。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1:ビール風味発酵アルコール飲料におけるシス-リナロールオキサイド濃度とボディ感や飲んだ後の心地よさとの関係
本実施例では、試験醸造したビールにシス-リナロールオキサイドを添加して、これらを様々な濃度で含有する試飲サンプルを調製し、官能評価を行って、ビール風味発酵アルコール飲料におけるシス-リナロールオキサイドの濃度と、ボディ感や飲んだ後の心地よさならびに香りおよび味のバランスとの関係を調べた。
(1)試飲サンプルの調製
以下の手順に従って、ビール風味発酵アルコール飲料の試飲サンプルを調製した。
本実施例のビール風味発酵アルコール飲料の製造においては、主原料として大麦麦芽を使用した(麦芽使用比率60%)。糖化に際してはグルコアミラーゼを主体とした酵素製剤を用い、糖化の温度および時間を調整し、濾過することで麦汁を得た。得られた麦汁にホップと資化性糖を主体として含む液糖とを添加し、100℃で煮沸した。次いで、麦汁を静置して凝固したタンパク質(トリューブ)を分離した後、冷却して発酵前液を得た。得られた発酵前液に下面発酵酵母を添加し、主発酵および後発酵を行い発酵液を得た。得られた発酵液を低温で貯蔵して発酵を停止させ、濾過することにより、清澄なビール風味発酵アルコール飲料を得た。
得られたビール風味発酵アルコール飲料の糖質の濃度が0.4g/100mLとなるようにビール風味発酵アルコール飲料を水で希釈してベース飲料を得た。次いで、アルコールの濃度がそれぞれ3体積%、4体積%および6体積%となるように、得られたベース飲料に酒類原料用アルコール(第一アルコール株式会社製、アルコール濃度95%)を添加した。さらに、シス-リナロールオキサイドの濃度がそれぞれ0.1ppb、2ppb、10ppbおよび25ppbとなるようにシス-リナロールオキサイドを添加して、試験区1~10の各試飲サンプルを調製した。なお、実施例における各飲料中のアルコール、糖質およびシス-リナロールオキサイドの濃度は、それぞれ以下の方法に従って測定した。
実施例における各飲料中のアルコールの濃度は、日本国国税庁が定める「BCOJビール分析法 8.3.6 アルコライザー法」に従って測定した。
実施例における各飲料中の糖質の濃度は、日本国消費者庁が定める「食品表示基準について(平成27年3月30日 消食表第139号)別添 栄養成分等の分析方法等」に基づいて、測定対象となる飲料の質量から、水分、たんぱく質、脂質、灰分、および食物繊維のそれぞれの質量を除くことにより測定した。
実施例における各飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度の測定は、下記の条件によるGC/MS分析により行った。具体的には、飲料中の成分をC18固相カラムで抽出し、ジクロロメタン溶出画分を分析用試料として用いた。定量は内部標準法によって行い、内部標準物質にはボルネオール(Borneol)を用い、分析用試料中25ppbになるよう添加した。
Figure 2023098510000002
(2)試飲サンプルの官能評価
上記(1)で得られた試飲サンプルについて、訓練された5名のパネルによる官能評価を行った。官能評価の評価項目は、「ボディ感」、「飲んだ後の心地よさ」ならびに「香りおよび味のバランス」の3項目とした。以下にそれぞれの具体的な評価基準を示す。
a.ボディ感。1(弱く感じられる)~3(中程度に感じられる)~5(強く感じられる)の5段階のスコアで評価。
b.飲んだ後の心地よさ。1(心地よくない)~3(心地よい)~5(非常に心地よい)の5段階のスコアで評価。
c.香りおよび味のバランス。1(バランスが悪い)~3(バランスが良い)~5(バランスが非常に良い)の5段階のスコアで評価。
下記表3に、試飲サンプル中のシス-リナロールオキサイド濃度および官能評価結果をまとめて示す。官能評価結果のスコアは、平均値±標準偏差として示す。
Figure 2023098510000003
ボディ感と飲んだ後の心地よさならびに香りおよび味のバランスの評価では、試験区1をそれぞれスコア3.0として評価した。
表2に示される結果から、試験区2、4~6および8~10において官能評価結果が良好であった。これらの試験区では、ボディ感が増強され、飲んだ後の心地よさが向上していた。さらに、試験区4~6および8~10において香りと味のバランスが良好であった。
試験区4~6および8~10の成分濃度と、他の試験区の成分濃度との比較から、ビール風味発酵アルコール飲料中のシス-リナロールオキサイド濃度は、2ppb以上、好ましくは2~25ppb、さらに好ましくは2~10ppbとするとよいことが分かる。また、本発明のビール風味発酵アルコール飲料中のアルコール濃度は、3体積%以上、好ましくは3~6体積%、より好ましくは4~6体積%とするとよいことが分かる。

Claims (9)

  1. 飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度が1ppb以上である、ビール風味発酵アルコール飲料。
  2. 飲料中の糖質の濃度が0.5g/100mL以下である、請求項1に記載のビール風味発酵アルコール飲料。
  3. 麦芽使用比率が50質量%以上100質量%以下である、請求項1または2に記載のビール風味発酵アルコール飲料。
  4. アルコール濃度が3体積%超である、請求項1~3のいずれか一項に記載のビール風味発酵アルコール飲料。
  5. ビール風味発酵アルコール飲料を製造する方法であって、飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度が1ppb以上に調整される、方法。
  6. 飲料中の糖質の濃度が0.5g/100mL以下に調整される、請求項5に記載の方法。
  7. 麦芽使用比率が50質量%以上100質量%以下である、請求項5または6に記載の方法。
  8. 飲料中のアルコール濃度が3.5体積%以上に調整される、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. ビール風味発酵アルコール飲料において、ボディ感を増強するとともに飲んだ後の心地よさを向上する方法であって、飲料中のシス-リナロールオキサイドの濃度が1ppb以上に調整される、方法。
JP2021215316A 2021-12-28 2021-12-28 ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法 Pending JP2023098510A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021215316A JP2023098510A (ja) 2021-12-28 2021-12-28 ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021215316A JP2023098510A (ja) 2021-12-28 2021-12-28 ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2023098510A true JP2023098510A (ja) 2023-07-10
JP2023098510A5 JP2023098510A5 (ja) 2024-08-20

Family

ID=87072349

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021215316A Pending JP2023098510A (ja) 2021-12-28 2021-12-28 ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023098510A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6567396B2 (ja) 高アルコールならではの嗜好性と飲みやすさを両立した発酵麦芽飲料
JP2023126640A (ja) ビールテイスト飲料
JP2017112911A (ja) ビールらしい苦味を有する未発酵のビールテイスト飲料
JP2024069566A (ja) 飲み応えが付与されたビールテイスト発酵アルコール飲料およびその製造方法
JP2023129589A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法
JP2020028276A (ja) ビールテイスト飲料およびその製造方法
JP2015226490A (ja) 麦芽及び麦芽飲料
JP2023098510A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法
JP2023098513A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法
TW202212557A (zh) 啤酒風味飲料
JP7116536B2 (ja) ビールテイスト飲料、ビールテイスト飲料の製造方法及びビールテイスト飲料の高級感を改善する方法
JP7518870B2 (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法
JP2023098515A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法
JP2022141125A (ja) 麦芽発酵飲料
JP7518875B2 (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法
JP2022141129A (ja) 麦芽発酵飲料
JP2023098516A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製造方法
JP2023098518A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製造方法
JP2023098519A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製造方法
JP2023098517A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製造方法
JP2023168994A (ja) ビール風味発酵飲料およびその製法
JP2023168997A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法
JP2023181897A (ja) ビール風味発酵アルコール飲料およびその製法
JP7526374B1 (ja) ビールテイストアルコール飲料およびその製法
JP2020028274A (ja) ビールテイスト飲料およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240809

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240809

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20240809