JP2023097402A - 積層多孔質膜および積層多孔質膜を含む電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、電池の製造工程における、電解液注液時間を短縮できる積層多孔質膜および積層多孔質膜を含む電池用セパレータを提供することを目的とする。【解決手段】ポリオレフィン多孔質膜と、該ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面に多孔層を有する積層多孔質であって、前記多孔層は、無機粒子と有機合成樹脂成分とを含み、前記ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径をa[nm]、平均孔径をb[μm]、前記多孔層の空隙率をc[%]としたとき、特定の関係式を満たす積層多孔質膜。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリオレフィン多孔質膜と、該ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面に多孔層を有する積層多孔質膜を含む電池用セパレータに関する。本発明の実施形態に係る電池用セパレータはリチウムイオン二次電池用セパレータとして有用に用いることができる。
熱可塑性樹脂多孔質膜は、物質の分離や選択透過及び隔離材等として広く用いられている。例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池、及びポリマー電池等に用いる電池用セパレータや、電気二重層コンデンサ用セパレータ、逆浸透濾過膜、限外濾過膜、及び精密濾過膜等の各種フィルター、透湿防水衣料、及び医療用材料等である。
特にリチウムイオン二次電池用セパレータとしては、電解液含浸によりイオン透過性を有し、電気絶縁性、耐電解液性及び耐酸化性に優れ、電池異常昇温時に120~150℃程度の温度において電流を遮断し、過度の昇温を抑制する孔閉塞効果をも備えているポリオレフィン多孔質膜が好適に使用されている。
しかしながら、何らかの原因で孔閉塞後も昇温が続く場合、ポリオレフィン多孔質膜は破膜を生じることがある。この現象はポリオレフィンを用いた場合に限定される現象ではなく、その多孔質膜を構成する樹脂の融点以上では避けることができない。
これに対し、ポリオレフィン多孔質膜に対して、無機粒子とバインダー樹脂を主として構成する耐熱性多孔層を被覆した積層多孔質膜が採用されている。この積層多孔質膜をセパレータとして用いることで、ポリオレフィン多孔質膜の昇温による収縮を耐熱性多孔層により抑制されている。
このような積層多孔質膜において、電池製造における注液工程の電解液注液性を改善するために、例えば、
無機粒子と、樹脂バインダーとして特定のポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドなどの樹脂を用いた耐熱性多孔層が形成されたセパレータ(特許文献1)、特定の水溶性増粘剤、2価以上のアルコール由来の単量体単位を有するカルボジイミド化合物架橋剤および粒子重合体を含む多孔膜組成物から形成される耐熱性多孔層が形成されたセパレータ(特許文献2)、耐熱性多孔層の最表面の臨界表面張力と前記耐熱性多孔層を多孔質フィルムとの界面において剥離させた場合の多孔質フィルム側の臨界表面張力との関係において特定の式を満たすセパレータ(特許文献3)、が提案されている。
このような積層多孔質膜において、電池製造における注液工程の電解液注液性を改善するために、例えば、
無機粒子と、樹脂バインダーとして特定のポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドなどの樹脂を用いた耐熱性多孔層が形成されたセパレータ(特許文献1)、特定の水溶性増粘剤、2価以上のアルコール由来の単量体単位を有するカルボジイミド化合物架橋剤および粒子重合体を含む多孔膜組成物から形成される耐熱性多孔層が形成されたセパレータ(特許文献2)、耐熱性多孔層の最表面の臨界表面張力と前記耐熱性多孔層を多孔質フィルムとの界面において剥離させた場合の多孔質フィルム側の臨界表面張力との関係において特定の式を満たすセパレータ(特許文献3)、が提案されている。
しかしながら、上記の特許文献1~3に記載された技術は、まだ電解液注液性が十分とは言えなかったため、電解液注液性が更に良好な積層多孔質膜が求められている。
ここで言う電解液注液性とは、電池の製造工程において、積層多孔質膜を含む電極との積層体および捲回体に対し、電解液を注入して、全体に浸透しきるまでにかかる速さである。電解液注液性がよいと、注入にかかる時間が短くなり、電池の生産効率を高めることができる。本発明では、リチウムイオンを含んだ電解液としてエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、を1:1:1の体積比率で混合した液に、LiPF6を1mol/mlの濃度で含む混合物を使用し、2枚のガラス板に挟んだ積層多孔質膜に注入した後の濡れ広がり面積を測定することで、電解液の積層多孔質膜への浸透しやすさ、引いては電解液の注液性を評価することができる。
本発明の課題は電解液を滴下した際の拡張面積が広く、ひいては電池製造における電解液注液性が改善された積層多孔質膜および積層多孔質膜を含む電池用セパレータの提供である。
本発明者らは、従来の技術を鑑み、鋭意検討し、
ポリオレフィン多孔質膜と、該ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面に多孔層を有する積層多孔質膜であって、
前記多孔層は、無機粒子と有機合成樹脂成分とを含み、
前記ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径をa[nm]、空孔率をb[%]、前記多孔層の空隙率をc[%]としたとき、以下式(1)を満たす積層多孔質膜であることにより、本課題を解決することを見出した。
ポリオレフィン多孔質膜と、該ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面に多孔層を有する積層多孔質膜であって、
前記多孔層は、無機粒子と有機合成樹脂成分とを含み、
前記ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径をa[nm]、空孔率をb[%]、前記多孔層の空隙率をc[%]としたとき、以下式(1)を満たす積層多孔質膜であることにより、本課題を解決することを見出した。
20 ≦ a × c / b ≦ 100 式(1)
さらに好ましい特徴は
[I]電解液の拡張面積の内周面積を(A)mm2、外周面積を(B)mm2としたとき、下記を満たすことを特徴とする積層多孔質膜。
20 ≦ A 式(2)
1.0 ≦ B / A ≦ 1.3 式(3)
であること、
[II]前記、ポリオレフィン多孔質膜と多孔層との剥離強度が80N/m以上、450N/m以下であること、
[III]前記無機粒子が、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸ストロンチウム、酸化ストロンチウムの群より選ばれる1つ以上を含有すること、
[IV]前記ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径が15nm以上、130nm以下であること、
[V]前記ポリオレフィン多孔質膜の空孔率が20%以上、70%以下であること、
[VI]前記多孔層の空隙率が25%以上、70%以下であること、
[VII]前記無機粒子の平均粒径が0.1μm以上、2.5μm以下であること、
[VIII]前記多孔層の厚さが1.0μm以上、6.0μm以下であること。
[IX]前記多孔層が前記無機粒子と前記有機合成樹脂成分の合計を100重量%としたとき、前記無機粒子が、70重量%以上99重量%の割合で含有すること。
[X](メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アラミド樹脂の群より選ばれる1つ以上を含有すること、
[XI][I]~[X]のいずれかに記載の積層多孔質膜を含む電池用セパレータ。
である。
さらに好ましい特徴は
[I]電解液の拡張面積の内周面積を(A)mm2、外周面積を(B)mm2としたとき、下記を満たすことを特徴とする積層多孔質膜。
20 ≦ A 式(2)
1.0 ≦ B / A ≦ 1.3 式(3)
であること、
[II]前記、ポリオレフィン多孔質膜と多孔層との剥離強度が80N/m以上、450N/m以下であること、
[III]前記無機粒子が、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸ストロンチウム、酸化ストロンチウムの群より選ばれる1つ以上を含有すること、
[IV]前記ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径が15nm以上、130nm以下であること、
[V]前記ポリオレフィン多孔質膜の空孔率が20%以上、70%以下であること、
[VI]前記多孔層の空隙率が25%以上、70%以下であること、
[VII]前記無機粒子の平均粒径が0.1μm以上、2.5μm以下であること、
[VIII]前記多孔層の厚さが1.0μm以上、6.0μm以下であること。
[IX]前記多孔層が前記無機粒子と前記有機合成樹脂成分の合計を100重量%としたとき、前記無機粒子が、70重量%以上99重量%の割合で含有すること。
[X](メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アラミド樹脂の群より選ばれる1つ以上を含有すること、
[XI][I]~[X]のいずれかに記載の積層多孔質膜を含む電池用セパレータ。
である。
本発明の実施形態によって、電解液を滴下した際の拡張面積が広く、ひいては電池製造における電解液注液性に優れた積層多孔質膜および積層多孔質膜を含む電池用セパレータの提供をすることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る積層多孔質膜および積層多孔質膜を含む電池用セパレータは、ポリオレフィン多孔質膜と、該多孔質膜の少なくとも片面に設けられた多孔層とを有する。
[ポリオレフィン多孔質膜]
本発明の実施形態におけるポリオレフィン多孔質膜の厚さは、特に制限されるものではないが、25μm以下が好ましい。より好ましくは4μm以上、20μm以下であり、さらに好ましくは7μm以上、16μm以下である。ポリオレフィン多孔質膜の厚さが前述の範囲内であると、実用的な膜強度と孔閉塞機能を両立させることが出来、電池ケースの単位容積当たりの面積が制約されず、電池の高容量化に適する。
本発明の実施形態におけるポリオレフィン多孔質膜の厚さは、特に制限されるものではないが、25μm以下が好ましい。より好ましくは4μm以上、20μm以下であり、さらに好ましくは7μm以上、16μm以下である。ポリオレフィン多孔質膜の厚さが前述の範囲内であると、実用的な膜強度と孔閉塞機能を両立させることが出来、電池ケースの単位容積当たりの面積が制約されず、電池の高容量化に適する。
ポリオレフィン多孔質膜の透気抵抗度は30sec/100ccAir以上、300sec/100ccAir以下が好ましい。より好ましくは40sec/100ccAir以上、250sec/100ccAir以下であり、さらに好ましくは50sec/100ccAir以上、200sec/100ccAir以下である。透気抵抗度が30sec/100ccAir以上であると、十分な機械的強度と絶縁性が得られることで電池の充放電時に短絡が起こる可能性が低くなる。300sec/100ccAir以下であると、十分な電池の充放電特性、特にイオン透過性(充放電作動電圧)及び電池の寿命(電解液の保持量と密接に関係する)において十分であり、電池としての機能を十分に発揮することができる。
[平均孔径]
ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径a[nm]は、15nm以上、130nm以下が好ましい。より好ましくは30nm以上、100nm以下であり、さらに好ましくは40nm以上、70nm以下である。平均孔径aが15nmより小さいと、電気液がポリオレフィン多孔質膜に浸透しにくくなる。平均孔径aが130nmより大きいと、電解液が多孔層中で広がるより前に、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透しまい、炭酸プロピレンの拡張面積が小さくなる。平均孔径aが15nm以上、130nm以下であると、ポリオレフィン多孔質膜への炭酸プロピレンの浸透を促進し、引いては電池製造工程で電解液注液性をより良好にすることができる。
また、ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径a[nm])が15nm以上、130nm以下であると、有機合成樹脂成分によるアンカー効果により、ポリオレフィン多孔質膜に対する、十分な多孔層の密着強度が得られ、多孔層を積層した際に透気抵抗度及び電気抵抗度が大幅に悪化せず、かつ、孔閉塞現象の温度に対する応答が緩慢になることもなく、昇温速度による孔閉塞温度がより高温側にシフトすることも少ない。本発明で言う平均孔径とはJIS K 3832:1990で規定されるバブルポイント法にて得た測定値である。
ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径は、ポリオレフィン多孔質膜を製造する際、例えば、原料として用いるポリエチレンの重量平均分子量Mwや、延伸倍率などを調整したりすることにより、上記範囲とすることができる。例えば、延伸する際の温度を高くすると、平均孔径が大きくなる傾向であり、延伸する際の温度を低くすると、平均孔径が小さくなる傾向である。また、延伸する際の樹脂濃度を高くすると、平均孔径が小さくなる傾向であり、延伸する際の樹脂濃度を低くすると、平均孔径が大きくなる傾向である。
ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径a[nm]は、15nm以上、130nm以下が好ましい。より好ましくは30nm以上、100nm以下であり、さらに好ましくは40nm以上、70nm以下である。平均孔径aが15nmより小さいと、電気液がポリオレフィン多孔質膜に浸透しにくくなる。平均孔径aが130nmより大きいと、電解液が多孔層中で広がるより前に、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透しまい、炭酸プロピレンの拡張面積が小さくなる。平均孔径aが15nm以上、130nm以下であると、ポリオレフィン多孔質膜への炭酸プロピレンの浸透を促進し、引いては電池製造工程で電解液注液性をより良好にすることができる。
また、ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径a[nm])が15nm以上、130nm以下であると、有機合成樹脂成分によるアンカー効果により、ポリオレフィン多孔質膜に対する、十分な多孔層の密着強度が得られ、多孔層を積層した際に透気抵抗度及び電気抵抗度が大幅に悪化せず、かつ、孔閉塞現象の温度に対する応答が緩慢になることもなく、昇温速度による孔閉塞温度がより高温側にシフトすることも少ない。本発明で言う平均孔径とはJIS K 3832:1990で規定されるバブルポイント法にて得た測定値である。
ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径は、ポリオレフィン多孔質膜を製造する際、例えば、原料として用いるポリエチレンの重量平均分子量Mwや、延伸倍率などを調整したりすることにより、上記範囲とすることができる。例えば、延伸する際の温度を高くすると、平均孔径が大きくなる傾向であり、延伸する際の温度を低くすると、平均孔径が小さくなる傾向である。また、延伸する際の樹脂濃度を高くすると、平均孔径が小さくなる傾向であり、延伸する際の樹脂濃度を低くすると、平均孔径が大きくなる傾向である。
ポリオレフィン多孔質膜を構成するポリオレフィン樹脂は特に制限されるものではないが、ポリエチレンやポリプロピレンが好ましい。また、単一物又は2種以上の異なるポリオレフィン樹脂の混合物、例えばポリエチレンとポリプロピレンとの混合物であってもよいし、異なるオレフィンの共重合体であってもよい。電気絶縁性、及びイオン透過性等の基本特性に加え、電池異常昇温時において、電流を遮断し、過度の昇温を抑制する孔閉塞効果を具備しているからである。
なかでもポリエチレンが優れた孔閉塞性能の観点から特に好ましい。以下、本発明で用いるポリオレフィン樹脂としてポリエチレンを例に詳述するが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。
ポリエチレンとしては、例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレン等が挙げられる。また重合触媒にも特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒やフィリップス系触媒やメタロセン系触媒等が挙げられる。これらのポリエチレンはエチレンの単独重合体のみならず、他のα-オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。エチレン以外のα-オレフィンとしてはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル、スチレン等が好適である。
ポリエチレンは単一物でもよいが、2種以上のポリエチレンからなる混合物であることが好ましい。ポリエチレン混合物としては重量平均分子量(Mw)の異なる2種類以上の超高分子量ポリエチレン同士の混合物、同様な高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの混合物を用いてもよいし、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群から選ばれる2種以上ポリエチレンの混合物を用いてもよい。
ポリオレフィン多孔質膜は、充放電反応の異常時に孔が閉塞する機能を有することが好ましい。従って、構成する樹脂の融点(軟化点)は70℃以上、150℃以下が好ましい。より好ましくは80℃以上、140℃以下、さらに好ましくは100℃以上、130℃以下である。構成する樹脂の融点が70℃以上、150℃以下であると、正常使用時に孔閉塞機能が発現してしまって電池が使用不可になることがなく、また、異常反応時に孔閉塞機能が発現することで安全性を確保できる。
[空孔率]
ポリオレフィン多孔質膜の空孔率b[%]は、20%以上、70%以下が好ましい。より好ましくは25%以上、60%以下であり、さらに好ましくは30%以上、50%以下である。空孔率bが20%より小さいと、炭酸プロピレンがポリオレフィン多孔質膜に浸透しにくくなる。空孔率bが70%より大きいと、電解液が多孔層中で広がるより前に、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透しまい、電解液の拡張面積が小さくなる。空孔率bが20%以上、70%以下であると、ポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透を促進し、引いては電池製造工程で電解液注液性をより良好にすることができる。また、十分な電池の充放電特性、特にイオン透過性(充放電作動電圧)及び電池の寿命(電解液の保持量と密接に関係する)において十分であり、電池としての機能を十分に発揮することができ、十分な機械的強度と絶縁性が得られることで充放電時に短絡が起こる可能性が低くなる。
[空孔率]
ポリオレフィン多孔質膜の空孔率b[%]は、20%以上、70%以下が好ましい。より好ましくは25%以上、60%以下であり、さらに好ましくは30%以上、50%以下である。空孔率bが20%より小さいと、炭酸プロピレンがポリオレフィン多孔質膜に浸透しにくくなる。空孔率bが70%より大きいと、電解液が多孔層中で広がるより前に、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透しまい、電解液の拡張面積が小さくなる。空孔率bが20%以上、70%以下であると、ポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透を促進し、引いては電池製造工程で電解液注液性をより良好にすることができる。また、十分な電池の充放電特性、特にイオン透過性(充放電作動電圧)及び電池の寿命(電解液の保持量と密接に関係する)において十分であり、電池としての機能を十分に発揮することができ、十分な機械的強度と絶縁性が得られることで充放電時に短絡が起こる可能性が低くなる。
空孔率は、微多孔膜の重量W1と、それと等価な空孔のないポリマーの重量W2(幅、長さ、組成の同じポリマー)とを比較した、以下の式によって、測定できる。
空孔率[%) = (W1-W2)/W2×100
ポリオレフィン多孔質膜の空孔率は、ポリオレフィン多孔質膜を製造する際、例えば、原料として用いるポリエチレンの重量平均分子量Mwや、延伸倍率などを調整したりすることにより、上記範囲とすることができる。例えば、原料のポリエチレンの重量平均分子量Mwを高くすると空孔率は高くなる傾向となり、原料のポリエチレンの重量平均分子量Mwを低くすると空孔率は低くなる傾向となる。また、延伸倍率を高くすると空孔率は高くなる傾向となり、延伸倍率を低くすると空孔率は低くなる傾向となる。
ポリオレフィン多孔質膜の空孔率は、ポリオレフィン多孔質膜を製造する際、例えば、原料として用いるポリエチレンの重量平均分子量Mwや、延伸倍率などを調整したりすることにより、上記範囲とすることができる。例えば、原料のポリエチレンの重量平均分子量Mwを高くすると空孔率は高くなる傾向となり、原料のポリエチレンの重量平均分子量Mwを低くすると空孔率は低くなる傾向となる。また、延伸倍率を高くすると空孔率は高くなる傾向となり、延伸倍率を低くすると空孔率は低くなる傾向となる。
[多孔層]
本発明の実施形態に係る積層多孔質膜は、上記ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面に多孔層が設けられており、無機粒子と有機合成樹脂成分とを含む。
本発明の実施形態に係る積層多孔質膜は、上記ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面に多孔層が設けられており、無機粒子と有機合成樹脂成分とを含む。
前記多孔層は、ポリオレフィン多孔質膜の片面のみに設けられていても、両面に設けられていてもよい。片面のみに設ける場合、多孔層を形成する工程が少なくなり、より生産コストを抑えることができる、両面に設ける場合、ポリオレフィン多孔質膜の熱による収縮を、両面から抑制することで、より効果的に積層多孔質膜の熱による収縮率を低減することができる。
[空隙率]
本発明の実施形態に係る積層多孔質膜は、多孔層の空隙率c[%]が、25~70%であることが好ましい。より好ましくは35%以上、65%以下であり、さらに好ましくは40%以上、55%以下である。多孔層の空隙率が25%より小さいと、多孔層中の個々の無機粒子の隙間が狭くなることで、電解液が浸透しにくくなり、電解液の拡張面積が小さくなる、引いては電池製造工程での注液性が低下する。多孔層の空隙率が70%より大きいと、多孔層中の個々の無機粒子の隙間が広くなることで、電解液を保持することができず、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透するため、電解液の拡張面積が小さくなるため、ポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透を促進できず、引いては電池製造工程での注液性が低下する。多孔層の空隙率が25%以上、70%以下であると、電解液の拡張面積が大きくなり、引いては電池製造工程での電解液注液性を良好にすることができる。
空隙率は無機粒子の粒子径によって制御できる。粒子径を大きくすると、空隙率は大きくなる傾向があり、粒子径を小さくすると空隙率は小さくなる傾向がある。また、無機粒子と有機合成樹脂成分の重量比率、多孔層形成時の製造条件を調整することで、上記範囲とすることができる。例えば、無機粒子の重量比率を有機合成樹脂成分に比べて大きくすると空隙率は大きくなる傾向がある。
本発明の実施形態に係る積層多孔質膜は、多孔層の空隙率c[%]が、25~70%であることが好ましい。より好ましくは35%以上、65%以下であり、さらに好ましくは40%以上、55%以下である。多孔層の空隙率が25%より小さいと、多孔層中の個々の無機粒子の隙間が狭くなることで、電解液が浸透しにくくなり、電解液の拡張面積が小さくなる、引いては電池製造工程での注液性が低下する。多孔層の空隙率が70%より大きいと、多孔層中の個々の無機粒子の隙間が広くなることで、電解液を保持することができず、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透するため、電解液の拡張面積が小さくなるため、ポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透を促進できず、引いては電池製造工程での注液性が低下する。多孔層の空隙率が25%以上、70%以下であると、電解液の拡張面積が大きくなり、引いては電池製造工程での電解液注液性を良好にすることができる。
空隙率は無機粒子の粒子径によって制御できる。粒子径を大きくすると、空隙率は大きくなる傾向があり、粒子径を小さくすると空隙率は小さくなる傾向がある。また、無機粒子と有機合成樹脂成分の重量比率、多孔層形成時の製造条件を調整することで、上記範囲とすることができる。例えば、無機粒子の重量比率を有機合成樹脂成分に比べて大きくすると空隙率は大きくなる傾向がある。
多孔層の空隙率c[%]は、積層多孔質膜1m2当たりの重量M[g/m2]、多孔層の膜厚d[μm]、多孔層の平均密度C[g/cm3]から以下の式によって算出することができる。
空隙率 c=1-M/(d×C)×100
平均密度(C[g/cm3])は多孔層における無機粒子の重量比率(Rm)および、各有機合成樹脂成分の重量比率(R1、R2、・・・)とし、無機粒子の密度(Cm[g/cm3])、および各有機合成樹脂成分の密度(C1、C2、・・・[g/cm3])とした場合、以下の式で算出できる。
平均密度 C=(Cm+C1+C2+・・・)/(Cm/Rm+C1/R1+C2/R2+・・・)
[無機粒子]
本発明の無機粒子は、電気化学的に安定であれば特に材質を制限するものではない。具体的には、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、SiO2-MgO(ケイ酸マグネシウム)、SiO2-CaO(ケイ酸カルシウム)、ハイドロタルサイト、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、塩基性チタン酸塩、塩基性ケイチタン酸塩、塩基性酢酸銅、塩基性硫酸鉛、層状複水酸化物(Mg-Alタイプ、Mg-Feタイプ、Ni-Feタイプ、Li-Alタイプ)、層状複水酸化物-アルミナシリカゲル複合体、ベーマイト、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、ヘマタイト、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の陰イオン吸着材、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム、アパタイト、非塩基性チタン酸塩、ニオブ酸塩、ニオブ・チタン酸塩等の陽イオン吸着材、ゼオライト、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、石膏、硫酸バリウム、アルミナ三水和物(ATH)、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、ジルコニア、及びイットリア等の酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、及び窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、カオリナイト、タルク、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、アメサイト、ベントナイト等の層状シリケート、アスベスト、ケイ藻土、ガラス繊維、合成層状シリケート、例えば、雲母又はフルオロ雲母、及びホウ酸亜鉛から成る群から選択される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも特に硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸ストロンチウム、酸化ストロンチウムが好ましく、より好ましくは硫酸バリウムである。具体的には、炭酸バリウム、又は硫化バリウムに硫酸を加えることによって硫酸バリウムを得る方法(硫酸法)、塩化バリウムに硫酸ナトリウムを加えることによって硫酸バリウムを得る方法(芒硝法)で得られる硫酸バリウム粒子である。合成法により作製された硫酸バリウム粒子を用いることにより、多孔層の空隙率の制御を精度良く行うことができ、電解液の拡張面積が大きくなり、引いては電池製造工程での電解液注液性を良好にすることができる。
平均密度(C[g/cm3])は多孔層における無機粒子の重量比率(Rm)および、各有機合成樹脂成分の重量比率(R1、R2、・・・)とし、無機粒子の密度(Cm[g/cm3])、および各有機合成樹脂成分の密度(C1、C2、・・・[g/cm3])とした場合、以下の式で算出できる。
平均密度 C=(Cm+C1+C2+・・・)/(Cm/Rm+C1/R1+C2/R2+・・・)
[無機粒子]
本発明の無機粒子は、電気化学的に安定であれば特に材質を制限するものではない。具体的には、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、SiO2-MgO(ケイ酸マグネシウム)、SiO2-CaO(ケイ酸カルシウム)、ハイドロタルサイト、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、塩基性チタン酸塩、塩基性ケイチタン酸塩、塩基性酢酸銅、塩基性硫酸鉛、層状複水酸化物(Mg-Alタイプ、Mg-Feタイプ、Ni-Feタイプ、Li-Alタイプ)、層状複水酸化物-アルミナシリカゲル複合体、ベーマイト、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化鉄、オキシ水酸化鉄、ヘマタイト、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の陰イオン吸着材、リン酸ジルコニウム、リン酸チタニウム、アパタイト、非塩基性チタン酸塩、ニオブ酸塩、ニオブ・チタン酸塩等の陽イオン吸着材、ゼオライト、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、石膏、硫酸バリウム、アルミナ三水和物(ATH)、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、ジルコニア、及びイットリア等の酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、及び窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、カオリナイト、タルク、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、アメサイト、ベントナイト等の層状シリケート、アスベスト、ケイ藻土、ガラス繊維、合成層状シリケート、例えば、雲母又はフルオロ雲母、及びホウ酸亜鉛から成る群から選択される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも特に硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸ストロンチウム、酸化ストロンチウムが好ましく、より好ましくは硫酸バリウムである。具体的には、炭酸バリウム、又は硫化バリウムに硫酸を加えることによって硫酸バリウムを得る方法(硫酸法)、塩化バリウムに硫酸ナトリウムを加えることによって硫酸バリウムを得る方法(芒硝法)で得られる硫酸バリウム粒子である。合成法により作製された硫酸バリウム粒子を用いることにより、多孔層の空隙率の制御を精度良く行うことができ、電解液の拡張面積が大きくなり、引いては電池製造工程での電解液注液性を良好にすることができる。
本発明で用いる硫酸バリウム粒子は、コストが高くなるが、合成法で得られる沈降性硫酸バリウム粒子、中でも塩化バリウムを出発物質とし、硫酸ナトリウム(芒硝)と反応させる芒硝法により合成される硫酸バリウム粒子を用いることが好ましい。この理由は硫酸バリウム粒子の検討過程で芒硝法により合成される硫酸バリウム粒子は硫化水素の発生が極めて少なく、腐食性ガスの発生を抑制できるためである。
芒硝法により合成される硫酸バリウム粒子の場合、本発明の実施形態に係る積層多孔質膜1m2あたりから発生する硫化水素濃度は0.3ppm以下であることが好ましい。より好ましくは0.2ppm以下であり、さらに好ましくは0.1ppm以下である。積層多孔質膜1m2あたりから発生する硫化水素濃度が0.3ppmより大きいと、電池セル内部でガスが発生したり、電極の集電体と硫化水素が酸化反応することにより集電体が劣化し、電池の寿命が低下する場合がある。積層多孔質膜1m2あたりから発生する硫化水素濃度が0.3ppm以下であると、電池セル内部でのガスの発生を抑制することができ、電極の集電体の劣化を抑制することができる。ここでいう硫化水素濃度は、積層多孔質膜5m2を容量1Lの密閉容器に封入し、60℃雰囲気下で24時間放置した後、容器内のガスをJIS K 0804:2014で規定されるガス検知管法にて得た測定値を積層多孔質膜1m2あたりに換算した値である。
積層多孔質膜1m2あたりから発生する硫化水素濃度を0.3ppm以下とする方法は、特に限定されないが、例えば、沈降性硫酸バリウムの中でも硫酸法で製造された硫酸バリウムを加熱処理する方法、又は十分な水で洗った後、水分を乾燥させる方法でもよい。また、本発明の実施形態に係る積層多孔質膜は、積層多孔質膜1m2あたりから発生する硫化水素濃度が0.3ppmより大きいものを作製した後、積層多孔質膜に適宜、加熱処理などを施して、硫化水素濃度を0.3ppm以下としてもよい。
前記無機粒子は粒子表面への電解液の注液性を向上させる目的で、無機粒子表面に主成分とは異なる無機化合物処理および、官能基を付与する処理を施してもよい。
前記無機粒子は粒子表面への電解液の濡れ性を向上させる目的で、無機粒子表面に主成分とは異なる無機化合物処理および、官能基を付与する処理を施してもよい。
前記無機粒子の平均粒径は0.1μm以上、2.5μm以下が好ましい。より好ましくは0.3μm以上、2.0μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上、1.0μm以下である。無機粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、多孔層中の個々の無機粒子の隙間が狭くなることで、電解液が浸透しにくくなり、電解液の拡張面積が小さくなる、引いては電池製造工程での注液性が低下する場合がある。無機粒子の平均粒径が3.0μmより大きいと、多孔層中の個々の無機粒子の隙間が広くなることで、多孔質層の内部で電解液が広がる前にポリオレフィン多孔質膜に浸透するため、炭酸プロピレンの拡張面積が小さくなる、引いては電池製造工程での注液性が低下する場合がある。無機粒子の平均粒径が0.1μm以上、2.5μm以下であると、電解液の拡張面積が大きくなり、引いては電池製造工程での電解液注液性を良好にすることができる。
[関係式(1)]
本発明はポリオレフィン多孔質膜の平均孔径をa[nm]、空孔率をb[%]、前記多孔層の空隙率をc[%]としたとき、下記式(1)を満たすようにすることで電解液の拡張面積を大きくすることができ、引いては電解液注液性を良好にすることができる。より好ましくは式(4)を満たすようにすることである。さらに好ましくは式(5)を満たすことである。
本発明はポリオレフィン多孔質膜の平均孔径をa[nm]、空孔率をb[%]、前記多孔層の空隙率をc[%]としたとき、下記式(1)を満たすようにすることで電解液の拡張面積を大きくすることができ、引いては電解液注液性を良好にすることができる。より好ましくは式(4)を満たすようにすることである。さらに好ましくは式(5)を満たすことである。
20 ≦ a × c / b ≦ 100 式(1)
40 ≦ a × c / b ≦ 80 式(4)
50 ≦ a × c / b ≦ 70 式(5)
ポリオレフィン多孔質膜は、ある片面から電解液を滴下した場合、液滴が広がることなく、所定の時間経過した後でも、ポリオレフィン多孔質膜の内部に浸透せずに、表面に電解液が残る場合がある。多孔層が存在すると、多孔層の表面から電解液を滴下した場合、多孔層内部で電解液が浸透することで、液滴が広がり、多孔層を介してポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透を促進することができる。本発明者らが鋭意検討した結果、多孔層を介してポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透度合いは、多孔層の空隙率c[%]を、ポリオレフィン多孔質膜の空孔率b[%]で除したものに、ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径a[nm]を乗じたものを一定範囲内とすることにより著しく良好にできることを見出した。
このときポリオレフィン多孔質膜の空孔率b[%]、多孔層の空隙率c[%]の比率c/bは0.3以上、3.0以下であることが好ましい。より好ましくは0.5以上、2.5以下、さらに好ましくは0.7以上、2.0以下である。c/bが0.3未満であると、電解液が多孔層の内部で広がるより前に、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透しまい、炭酸プロピレンの拡張面積が小さくなる、引いては電池製造工程での注液性が低下する。c/bが3.0より大きいと、電解液が多孔層中で停滞し、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透しない。c/bが0.3以上、3,0以下であると、ポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透を促進し、引いては電池製造工程で電解液注液性をより良好にすることができる。
40 ≦ a × c / b ≦ 80 式(4)
50 ≦ a × c / b ≦ 70 式(5)
ポリオレフィン多孔質膜は、ある片面から電解液を滴下した場合、液滴が広がることなく、所定の時間経過した後でも、ポリオレフィン多孔質膜の内部に浸透せずに、表面に電解液が残る場合がある。多孔層が存在すると、多孔層の表面から電解液を滴下した場合、多孔層内部で電解液が浸透することで、液滴が広がり、多孔層を介してポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透を促進することができる。本発明者らが鋭意検討した結果、多孔層を介してポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透度合いは、多孔層の空隙率c[%]を、ポリオレフィン多孔質膜の空孔率b[%]で除したものに、ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径a[nm]を乗じたものを一定範囲内とすることにより著しく良好にできることを見出した。
このときポリオレフィン多孔質膜の空孔率b[%]、多孔層の空隙率c[%]の比率c/bは0.3以上、3.0以下であることが好ましい。より好ましくは0.5以上、2.5以下、さらに好ましくは0.7以上、2.0以下である。c/bが0.3未満であると、電解液が多孔層の内部で広がるより前に、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透しまい、炭酸プロピレンの拡張面積が小さくなる、引いては電池製造工程での注液性が低下する。c/bが3.0より大きいと、電解液が多孔層中で停滞し、ポリオレフィン多孔質膜へ浸透しない。c/bが0.3以上、3,0以下であると、ポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透を促進し、引いては電池製造工程で電解液注液性をより良好にすることができる。
さらに本発明の積層多孔膜は、電解液の拡張面積の内周面積を(A)mm2、外周面積を(B)mm2としたとき、下記を満たすことが好ましい。かかる態様とすることで、注液工程での電解液の注液時間を短縮でき、電解液注液性を良好にすることができ、より好ましくは式(6)を満たすようにすることである。
20 ≦ A 式(2)
1.0 ≦ B / A ≦ 1.3 式(3)
1.1 ≦ B / A ≦ 1.2 式(6)
ここでいう電解液とはエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、を1:1:1の体積比率で混合した液に、LiPF6を1mol/mlの濃度で含む混合物であり、前記電解液の拡張面積とは2枚のガラス版に挟んだ積層多孔質膜に対し、前記電解液を0.5μl注入した後、1分後に計測した面積である。
1.0 ≦ B / A ≦ 1.3 式(3)
1.1 ≦ B / A ≦ 1.2 式(6)
ここでいう電解液とはエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、を1:1:1の体積比率で混合した液に、LiPF6を1mol/mlの濃度で含む混合物であり、前記電解液の拡張面積とは2枚のガラス版に挟んだ積層多孔質膜に対し、前記電解液を0.5μl注入した後、1分後に計測した面積である。
内周面積(A)とは主としてポリオレフィン多孔質膜内での拡張面積を表し、外周面積(B)とは主として多孔層中での拡張面積を表す。BとAの比率、つまり式(3)が1.3より大きいと、多孔層中での電解液の広がりは大きくなるが、ポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透を促進しないため、結果的に注液工程での電解液の注液時間が長くなる可能性がある。
[炭酸プロピレンの拡張面積]
本発明の実施形態に係る積層多孔質膜は、後述する測定方法により求められる炭酸プロピレンの拡張面積が30mm2以上であることが好ましく、より好ましくは、50mm2以上、さらに好ましくは80mm2以上である。炭酸プロピレンの拡張面積とは、電池の製造工程において、積層多孔質膜への電解液の浸透しやすさを表す指標である。炭酸プロピレンの拡張面積を上記の値以上とすることで、電池の製造工程における積層多孔質膜を含む電池用セパレータへの電解液注液性を良好にすることができる。
本発明の実施形態に係る積層多孔質膜は、後述する測定方法により求められる炭酸プロピレンの拡張面積が30mm2以上であることが好ましく、より好ましくは、50mm2以上、さらに好ましくは80mm2以上である。炭酸プロピレンの拡張面積とは、電池の製造工程において、積層多孔質膜への電解液の浸透しやすさを表す指標である。炭酸プロピレンの拡張面積を上記の値以上とすることで、電池の製造工程における積層多孔質膜を含む電池用セパレータへの電解液注液性を良好にすることができる。
[塗膜剥離強度]
塗膜剥離強度とはポリオレフィン多孔質膜と多孔層との密着強度のことであり、具体的には下記手順で得られた値である。
(1)積層多孔質膜を150mm×25mmのサイズに切る
(2)厚さ5mmのアルミ板に両面テープ(清和産業製「透明フィルム両面テープSFR-2020」を貼り、積層多孔質膜のポリオレフィン多孔質膜側を貼り付け、重さ2kgのゴムローラー(テスター産業製 SA-1003-B手動型 ゴム硬度80±5Hs)で5往復荷重を与える。
(3)幅15mmのセロハンテープ(ニチバンNo.405幅15mm)を100mm切り、端の10mmに10mm×100mmのPETフィルム(東レ(株)製 ルミラーE20 0.05mm)を貼り付け、残りの90mmを多孔層に貼り、重さ2kgのゴムローラー(テスター産業製 SA-1003-B手動型 ゴム硬度80±5Hs)で2往復荷重を与える。
(4)測定装置((株)島津製作所 オートグラフAGS-X)を用い、アルミ板を下のチャックで挟み、紙を上のチャックで挟み、多孔層面に対し180°方向に、引張速度100mm/分で引っ張った際の荷重を測定する。
(5)塗膜がはがれ始めの位置より20mmの地点から80mmの地点までの平均荷重を算出し、1000/15をかけることで塗膜剥離強度[N/m]を算出する。
塗膜剥離強度とはポリオレフィン多孔質膜と多孔層との密着強度のことであり、具体的には下記手順で得られた値である。
(1)積層多孔質膜を150mm×25mmのサイズに切る
(2)厚さ5mmのアルミ板に両面テープ(清和産業製「透明フィルム両面テープSFR-2020」を貼り、積層多孔質膜のポリオレフィン多孔質膜側を貼り付け、重さ2kgのゴムローラー(テスター産業製 SA-1003-B手動型 ゴム硬度80±5Hs)で5往復荷重を与える。
(3)幅15mmのセロハンテープ(ニチバンNo.405幅15mm)を100mm切り、端の10mmに10mm×100mmのPETフィルム(東レ(株)製 ルミラーE20 0.05mm)を貼り付け、残りの90mmを多孔層に貼り、重さ2kgのゴムローラー(テスター産業製 SA-1003-B手動型 ゴム硬度80±5Hs)で2往復荷重を与える。
(4)測定装置((株)島津製作所 オートグラフAGS-X)を用い、アルミ板を下のチャックで挟み、紙を上のチャックで挟み、多孔層面に対し180°方向に、引張速度100mm/分で引っ張った際の荷重を測定する。
(5)塗膜がはがれ始めの位置より20mmの地点から80mmの地点までの平均荷重を算出し、1000/15をかけることで塗膜剥離強度[N/m]を算出する。
塗膜剥離強度[N/m]は80N/m以上、450N/m以下であることが好ましく、より好ましくは150N/m以上、400N/m以下、さらに好ましくは200N/m以上、350N/m以下である。塗膜剥離強度が80N/m未満であると、多孔層とポリオレフィン多孔質膜を十分に密着させることができず、多孔層の脱落を引き起こすことに加え、多孔層とポリオレフィン多孔質膜の間に空間ができることで、注液した電解液が滞留し、多孔層中での電解液の広がりを抑制する可能性がある。塗膜剥離強度が450N/mより大きいと多孔層に含まれる無機粒子や有機合成樹脂成分が、ポリオレフィン多孔質膜の空孔を塞ぐことで、ポリオレフィン多孔質膜への電解液の浸透および、多孔層とポリオレフィン多孔質膜との界面で電解液が広がることを抑制する可能性がある。
[有機合成樹脂成分]
本発明の実施形態における有機合成樹脂成分は、多孔層を構成する無機粒子同士が結着する効果、及び多孔層をポリオレフィン多孔質膜と密着させる効果を兼ね備えている。
具体的には、(メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アラミド樹脂の群より選ばれる1つ以上を使用することができ、市販されている水溶液又は水分散体を使用することができる。アクリル系樹脂としては、具体的には、昭和電工(株)製“ポリゾール”シリーズ、日本ゼオン(株)製“BM”シリーズ、東亜合成(株)製“ジュリマー”(登録商標)AT-210、ET-410、“アロン”(登録商標)A-104、AS-2000、NW-7060、トーヨーケム(株)製“LIOACCUM”(登録商標)シリーズ、JSR(株)製 TRD202A、TRD102A、荒川化学(株)製“ポリストロン”(登録商標)117、705、1280、昭和電工(株)製“コーガム”(登録商標)シリーズ、大成ファインケミカル(株)製 WEM-200U、及びWEM-3000等が挙げられる。ポリビニルアルコールとしては、具体的には、クラレ(株)製“クラレポバール”(登録商標)3-98、3-88、三菱ケミカル(株)製“ゴーセノール”(登録商標)N-300、GH-20等が挙げられる。中でも汎用性が高く、無機粒子同士の結着がしやすいアクリル系樹脂が好ましい。
本発明の実施形態における有機合成樹脂成分は、多孔層を構成する無機粒子同士が結着する効果、及び多孔層をポリオレフィン多孔質膜と密着させる効果を兼ね備えている。
具体的には、(メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アラミド樹脂の群より選ばれる1つ以上を使用することができ、市販されている水溶液又は水分散体を使用することができる。アクリル系樹脂としては、具体的には、昭和電工(株)製“ポリゾール”シリーズ、日本ゼオン(株)製“BM”シリーズ、東亜合成(株)製“ジュリマー”(登録商標)AT-210、ET-410、“アロン”(登録商標)A-104、AS-2000、NW-7060、トーヨーケム(株)製“LIOACCUM”(登録商標)シリーズ、JSR(株)製 TRD202A、TRD102A、荒川化学(株)製“ポリストロン”(登録商標)117、705、1280、昭和電工(株)製“コーガム”(登録商標)シリーズ、大成ファインケミカル(株)製 WEM-200U、及びWEM-3000等が挙げられる。ポリビニルアルコールとしては、具体的には、クラレ(株)製“クラレポバール”(登録商標)3-98、3-88、三菱ケミカル(株)製“ゴーセノール”(登録商標)N-300、GH-20等が挙げられる。中でも汎用性が高く、無機粒子同士の結着がしやすいアクリル系樹脂が好ましい。
前記多孔層には、無機粒子の分散安定性を向上させる目的の分散剤や、塗工性を向上させる目的で増粘剤及び濡れ剤等、耐熱性を向上させる目的で熱硬化性樹脂及び架橋剤等を適宜含んでもよい。
[多孔層の重量組成比]
本発明の実施形態における多孔層中に含まれる無機粒子の含有量は、無機粒子と有機合成樹脂成分の合計を100質量%として、70質量%以上、99質量%以下である。より好ましくは76質量%以上、98質量%以下であり、さらに好ましくは83質量%以上、97質量%以下である。無機粒子の含有量が上記範囲であると、多孔層の内部で電解液が浸透するため、ポリオレフィン多孔質膜への浸透を促進することができ、引いては電池の製造工程における電解液注液性を良好とすることができる。
また、無機粒子の含有量が50質量%より小さいと、多孔層中の個々の無機粒子の隙間が有機合成樹脂成分で目詰まりしてしまうため、イオンの移動経路が狭くなったり、長くなることで電気抵抗度や透気抵抗度が大きくなる。
本発明の実施形態における多孔層中に含まれる無機粒子の含有量は、無機粒子と有機合成樹脂成分の合計を100質量%として、70質量%以上、99質量%以下である。より好ましくは76質量%以上、98質量%以下であり、さらに好ましくは83質量%以上、97質量%以下である。無機粒子の含有量が上記範囲であると、多孔層の内部で電解液が浸透するため、ポリオレフィン多孔質膜への浸透を促進することができ、引いては電池の製造工程における電解液注液性を良好とすることができる。
また、無機粒子の含有量が50質量%より小さいと、多孔層中の個々の無機粒子の隙間が有機合成樹脂成分で目詰まりしてしまうため、イオンの移動経路が狭くなったり、長くなることで電気抵抗度や透気抵抗度が大きくなる。
無機粒子の含有量が99質量%より大きいと、個々の無機粒子同士をつなぎ留めている有機合成樹脂成分が不足し、多孔層としての構造が保てない。
無機粒子の含有量が50質量%以上、99質量%以下であると、多孔層中の個々の無機粒子の隙間が有機合成樹脂成分で目詰まりすることが少なくなり、良好な電気抵抗度や透気抵抗度を得ることができ、且つ、無機粒子同士をつなぎ留めているバインダーが不足することがなくなるため、熱によるポリオレフィン多孔質膜の収縮を抑制することができる。
[多孔層の平均厚さ]
本発明の実施形態における多孔層の厚さは、1.0μm以上、6.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは1.0μm以上、5.0μm以下であり、さらに好ましくは3.0μm以上、4.0μm以下である。多孔層の厚さが1.0μmより小さいと、多孔層の内部を電解液が浸透する量が少なくなり、ポリオレフィン多孔質膜への浸透が促進されない場合がある。多孔層の厚さが6.0μmより大きいと、多孔層の体積が増えるため、層内部で電解液が滞留してしまい、ポリオレフィン多孔質膜への浸透が促進されない場合がある。多孔質層の厚さが1.0μm以上、6.0μm以下であると、多孔質層に浸透した電解液が好適にポリオレフィン多孔質膜へ浸透するため、引いては電池の製造工程における電解液注液性を促進することができる。
本発明の実施形態における多孔層の厚さは、1.0μm以上、6.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは1.0μm以上、5.0μm以下であり、さらに好ましくは3.0μm以上、4.0μm以下である。多孔層の厚さが1.0μmより小さいと、多孔層の内部を電解液が浸透する量が少なくなり、ポリオレフィン多孔質膜への浸透が促進されない場合がある。多孔層の厚さが6.0μmより大きいと、多孔層の体積が増えるため、層内部で電解液が滞留してしまい、ポリオレフィン多孔質膜への浸透が促進されない場合がある。多孔質層の厚さが1.0μm以上、6.0μm以下であると、多孔質層に浸透した電解液が好適にポリオレフィン多孔質膜へ浸透するため、引いては電池の製造工程における電解液注液性を促進することができる。
[多孔層の形成方法]
本発明を得るための多孔層は以下の工程で得ることができる。
(a)多孔層用塗工分散液の作製。
(b)ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面、又は両面に前記スラリーをコーティングする工程。
(c)前記コーティング後、溶媒をドライヤーで乾燥させ、多孔層を形成する工程。
本発明を得るための多孔層は以下の工程で得ることができる。
(a)多孔層用塗工分散液の作製。
(b)ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面、又は両面に前記スラリーをコーティングする工程。
(c)前記コーティング後、溶媒をドライヤーで乾燥させ、多孔層を形成する工程。
前記工程(a)において、分散媒として水を用いることが好ましい。多孔層用塗工分散液の分散安定性を損なわない範囲であれば、分散媒として水にメタノール、エタノール、N-メチルピロリドンなどの親水性の溶媒を混ぜたものを使用してもよい。無機粒子と有機合成樹脂を少なくとも含有する多孔層用塗工分散液を作製する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーおよび遊星式混練機、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌等が挙げられる。本願発明の構成要素の1つである、多孔層の空隙率を20%以上、70%以下とするためには、本工程で無機粒子の割れ、及び欠けができるだけ発生しないマイルド分散であることが望ましい。無機粒子の分散が過度であると、無機粒子が割れることによって、新たに多くの活性面が露出したり、0.1μmより小さい粒子が新たに多く生成し、割れによって生成した無機粒子が空隙に入り込むことで、電解液の拡張面積を小さくする場合がある。マイルド分散であると、無機粒子が、割れることによってできる新たな粒子の数を少なくすることができ、電解液の拡張面積が大きくなり、引いては電池製造工程での電解液注液性を良好にすることができる。
ここで言うマイルド分散とは、凝集状態にある無機粒子を分散媒に分散させる工程において、粒子に過剰なエネルギーを与えることなく、無機粒子の一次粒子のサイズ、形状、結晶構造、表面状態などを維持したまま分散させた状態であり、具体的には、例えば、ビーズミル分散装置を用いる場合、ビーズ径が、より小さいビーズを使用したり、ビーズ比重がより小さいビーズを使用することでマイルド分散状態を得ることができる。
マイルド分散状態とするには、前記セラミック製ビーズのビーズ粒径は0.3mm以上、1.0mm以下が好ましい。より好ましくは0.4mm以上、0.8mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以上0.7mm以下である。
ここで言うマイルド分散とは、凝集状態にある無機粒子を分散媒に分散させる工程において、粒子に過剰なエネルギーを与えることなく、無機粒子の一次粒子のサイズ、形状、結晶構造、表面状態などを維持したまま分散させた状態であり、具体的には、例えば、ビーズミル分散装置を用いる場合、ビーズ径が、より小さいビーズを使用したり、ビーズ比重がより小さいビーズを使用することでマイルド分散状態を得ることができる。
マイルド分散状態とするには、前記セラミック製ビーズのビーズ粒径は0.3mm以上、1.0mm以下が好ましい。より好ましくは0.4mm以上、0.8mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以上0.7mm以下である。
ビーズ粒径が0.3mm未満であると、セラミック製ビーズ1個あたりの質量が小さく、セラミック製ビーズ間に発生するずり応力が小さくなるため、無機粒子の凝集体を十分に解砕できず、スラリー中に多孔層の厚さよりも大きな凝集体が残る。すると、多孔層の構造に無機粒子を均質に分布させることができなくなるため、多孔層中で炭酸プロピレンが十分に浸透せず、電解液の拡張面積が小さくなる場合がある。
ビーズ粒径が1.0mmより大きいと、セラミック製ビーズ1個当たりの衝撃力が増えるため、すでに解砕された個々の無機粒子を、より細かいく粉砕してしまい、多孔層を形成する無機粒子同士の隙間に細かい粒子が入ることで、塗工層中での電解液の濡れ広がりを阻害する場合がある。
ビーズ粒径が0.3mm以上、1.0mm以下であると、無機粒子の凝集体に対する十分な解砕効果が得られるため、多孔層の厚さよりも大きな粒子が残らず、電解液の拡張面積が大きくなり、引いては電池製造工程での電解液注液性を良好にすることができる。
ここでセラミック製ビーズの材質は、アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素から選ばれる少なくとも1種類を使用できる。
[ビーズ充填率]
前記セラミック製ビーズのビーズ充填率は45%以上、85%以下が好ましい。より好ましくは80体積%以上、50体積%以下、さらに好ましくは60体積%以上、70体積%以下である。ここでビーズ充填率とは、使用するセラミック製ビーズの重量[g)]を、充填密度[g/cm3]で除して得られた体積[cm3]を、さらにヴェッセル容量[cm3]で除した、セラミック製ビーズの体積占有率である。
前記セラミック製ビーズのビーズ充填率は45%以上、85%以下が好ましい。より好ましくは80体積%以上、50体積%以下、さらに好ましくは60体積%以上、70体積%以下である。ここでビーズ充填率とは、使用するセラミック製ビーズの重量[g)]を、充填密度[g/cm3]で除して得られた体積[cm3]を、さらにヴェッセル容量[cm3]で除した、セラミック製ビーズの体積占有率である。
ビーズ充填率が45体積%未満であると、前記ヴェッセル内でのセラミック製ビーズの存在量が少ないため、セラミック製ビーズ間の接触点が少なくなり、無機粒子の凝集体が残存しやすくなる。すると、多孔層の構造に無機粒子を均質に分布させることができなくなるため、多孔層中で十分に電解液が浸透せず、電解液の拡張面積が小さくなる場合がある。
ビーズ充填率が85体積%より大きいと、セラミック製ビーズ間の接触点が過剰に多くなることで、すでに解砕された個々の無機粒子を、より細かい粒子に粉砕してしまい、多孔層を形成する無機粒子同士の隙間に細かい粒子が入ることで、塗工層内部での電解液の浸透を阻害し、電解液の拡張面積が小さくなる場合がある。
セラミック製ビーズの充填率が45体積%以上、85体積%以下であると、無機粒子の凝集体に対する十分な解砕効果が得られるため、電解液の拡張面積が大きくなり、引いては電池製造工程での電解液注液性を良好にすることができる。
前記工程(b)において、ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面又は両面に多孔層用塗工分散液をコーティングする方法は公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、小径グラビアコーター法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、エアナイフコート法、マイヤーバーコート法、パイプドクター法、ブレードコート法及びダイコート法等が挙げられ、これらの方法は単独又は組み合わせて行うことができる。
[界面活性剤]
前記工程(c)で得られたスラリーにはポリオレフィン多孔質膜上に、より均一な厚さで多孔層を形成するために、適宜、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤とは濡れ剤、レベリング剤、及び消泡剤等のことである。前記界面活性剤は無機粒子の分散状態を崩さないために、有機合成樹脂成分が十分に混ざった状態で最後に添加することが好ましい。
前記工程(c)で得られたスラリーにはポリオレフィン多孔質膜上に、より均一な厚さで多孔層を形成するために、適宜、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤とは濡れ剤、レベリング剤、及び消泡剤等のことである。前記界面活性剤は無機粒子の分散状態を崩さないために、有機合成樹脂成分が十分に混ざった状態で最後に添加することが好ましい。
本発明の実施形態に係る積層多孔質膜は、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル-亜鉛電池、銀-亜鉛電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、及びリチウム-硫黄電池等の二次電池等の電池用セパレータとして用いることができる。特に、リチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるのが好ましい。
以下、実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例よって何ら制限されるものではない。なお、実施例中の測定値は以下の方法で得た値である。
1.無機粒子の平均粒径[μm]
無機粒子の平均粒径は、走査電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM6701F)を用いて、多孔層表面の無機粒子のLEI像を倍率10000倍で撮影した(加速電圧2.0kV)。次いで任意の無機粒子50個の長径を測定し、その平均値を平均粒径とした。
無機粒子の平均粒径は、走査電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM6701F)を用いて、多孔層表面の無機粒子のLEI像を倍率10000倍で撮影した(加速電圧2.0kV)。次いで任意の無機粒子50個の長径を測定し、その平均値を平均粒径とした。
2.厚さ[μm]
ポリオレフィン多孔質膜及び積層多孔質膜を接触式膜厚計((株)ミツトヨ製“ライトマチック”(登録商標)series318)を使用して5点の測定値を平均することによって厚さを求めた。超硬球面測定子φ9.5mmを用い、加重0.15Nの条件で測定した。さらに、多孔層の厚さ[μm]は、積層多孔質膜を前記スラリーに含まれる溶媒と同じ液で洗浄し、多孔層を除去したポリオレフィン多孔質膜を前記接触式膜厚計にて測定し、下記計算式にて得た。
ポリオレフィン多孔質膜及び積層多孔質膜を接触式膜厚計((株)ミツトヨ製“ライトマチック”(登録商標)series318)を使用して5点の測定値を平均することによって厚さを求めた。超硬球面測定子φ9.5mmを用い、加重0.15Nの条件で測定した。さらに、多孔層の厚さ[μm]は、積層多孔質膜を前記スラリーに含まれる溶媒と同じ液で洗浄し、多孔層を除去したポリオレフィン多孔質膜を前記接触式膜厚計にて測定し、下記計算式にて得た。
多孔層の厚さ[μm]=積層多孔質膜の厚さ[μm]-ポリオレフィン多孔質膜の厚さ[μm]
3.多孔層の空隙率[%]
多孔層の空隙率は下記の方法にて測定した。詳細な手順を下記に説明する。
3.多孔層の空隙率[%]
多孔層の空隙率は下記の方法にて測定した。詳細な手順を下記に説明する。
1)積層多孔膜を50mm×50mmの大きさで3枚切り出し、重量を測定する。
2)積層多孔膜1m2当たりの重量を算出し、以下の式にて空隙率を算出する。
空隙率 c=1-M/(d×C)×100
M[g/m2] :多孔層の空隙率は、積層多孔質膜1m2当たりの重量
d[μm] :多孔層の膜厚
C[g/cm3] :多孔層の平均密度
4.電解液の拡張面積、内周面積(A)、外周面積(B)[mm2]
積層多孔質膜の電解液の拡張面積は下記の方法にて測定した。詳細な手順を下記に説明する。
1)積層多孔質膜を50mm×50mmの大きさで切り出し、これを測定試料とした。
2)温度23℃、露点温度-50℃のドライルームに24時間放置した。
3)前記ドライルーム内で、多孔膜を上にした積層多孔質膜を、70mm×70mm 厚み5mm 重さ100gの表面が平滑なガラス板2枚で、ガラス板同士のずれがないように挟み固定した。その時、積層多孔質膜のある1辺を2枚のガラス板の端部と平行とし、かつ、ガラス板の端部より1mm内側となる位置に固定した。
4)電解液(エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、を1:1:1の体積比率で混合した液に、LiPF6を1mol/mlの濃度で含む混合物)を測定液とし、マイクロシリンジを用いて測定液0.5μLを採取し、2枚のガラス板の間から、積層多孔質膜の端部に染み込ませるように注入した。
5)測定液注入から1分経過後の測定試料を上方から撮影し、その撮影像から試料液が濡れ拡がった液滴の面積から、電解液の拡張面積(mm2)、内周面積(A)(mm2)、外周面積(B)(mm2)を測定した。
M[g/m2] :多孔層の空隙率は、積層多孔質膜1m2当たりの重量
d[μm] :多孔層の膜厚
C[g/cm3] :多孔層の平均密度
4.電解液の拡張面積、内周面積(A)、外周面積(B)[mm2]
積層多孔質膜の電解液の拡張面積は下記の方法にて測定した。詳細な手順を下記に説明する。
1)積層多孔質膜を50mm×50mmの大きさで切り出し、これを測定試料とした。
2)温度23℃、露点温度-50℃のドライルームに24時間放置した。
3)前記ドライルーム内で、多孔膜を上にした積層多孔質膜を、70mm×70mm 厚み5mm 重さ100gの表面が平滑なガラス板2枚で、ガラス板同士のずれがないように挟み固定した。その時、積層多孔質膜のある1辺を2枚のガラス板の端部と平行とし、かつ、ガラス板の端部より1mm内側となる位置に固定した。
4)電解液(エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、を1:1:1の体積比率で混合した液に、LiPF6を1mol/mlの濃度で含む混合物)を測定液とし、マイクロシリンジを用いて測定液0.5μLを採取し、2枚のガラス板の間から、積層多孔質膜の端部に染み込ませるように注入した。
5)測定液注入から1分経過後の測定試料を上方から撮影し、その撮影像から試料液が濡れ拡がった液滴の面積から、電解液の拡張面積(mm2)、内周面積(A)(mm2)、外周面積(B)(mm2)を測定した。
5.積層多孔質膜の炭酸プロピレンの拡張面積[mm2]
積層多孔質膜の炭酸プロピレンの拡張面積、下記の方法にて測定した。詳細な手順を下記に説明する。
1)積層多孔質膜MD100mm×TD100mmの大きさで切り出し、これを測定試料とした。
2)温度23℃、露点温度-50℃のドライルームに24時間放置した。
3)前記ドライルーム内で、多孔層を上にして積層多孔質膜のMD方向両端から5mmをそれぞれクリップでシワが入らないように水平に把持した。
4)炭酸プロピレン(富士フィルム和光純薬株式会社製)を測定液とし、マイクロシリンジを用いて測定液0.5μLを採取し、測定試料に静かに滴下した。
5)測定液滴下から8分経過後の測定試料を条件から撮影し、その撮影像から試料液が濡れ拡がった液滴の面積[mm2]を炭酸プロピレンの拡張面積とした。
積層多孔質膜の炭酸プロピレンの拡張面積、下記の方法にて測定した。詳細な手順を下記に説明する。
1)積層多孔質膜MD100mm×TD100mmの大きさで切り出し、これを測定試料とした。
2)温度23℃、露点温度-50℃のドライルームに24時間放置した。
3)前記ドライルーム内で、多孔層を上にして積層多孔質膜のMD方向両端から5mmをそれぞれクリップでシワが入らないように水平に把持した。
4)炭酸プロピレン(富士フィルム和光純薬株式会社製)を測定液とし、マイクロシリンジを用いて測定液0.5μLを採取し、測定試料に静かに滴下した。
5)測定液滴下から8分経過後の測定試料を条件から撮影し、その撮影像から試料液が濡れ拡がった液滴の面積[mm2]を炭酸プロピレンの拡張面積とした。
6.塗膜剥離強度
塗膜剥離強度とはポリオレフィン多孔質膜と多孔層との密着強度のことであり、具体的には下記手順で得られた値である。
(1)積層多孔質膜を150mm×25mmのサイズに切る
(2)厚さ5mmのアルミ板に両面テープ(清和産業製「透明フィルム両面テープSFR-2020」を貼り、積層多孔質膜のポリオレフィン多孔質膜側を貼り付け、重さ2kgのゴムローラー(テスター産業製 SA-1003-B手動型 ゴム硬度80±5Hs)で5往復荷重を与える。
(3)幅15mmのセロハンテープ(ニチバンNo.405幅15mm)を100mm切り、端の10mmに10mm×100mmの紙(厚み0.05~0.09mmを貼り付け、残りの90mmを多孔層に貼り、重さ2kgのゴムローラー(テスター産業製 SA-1003-B手動型 ゴム硬度80±5Hs)で2往復荷重を与える。
(4)測定装置((株)島津製作所 オートグラフAGS-X)を用い、アルミ板を下のチャックで挟み、紙を上のチャックで挟み、多孔層面に対し180°方向に、引張速度100mm/分で引っ張った際の荷重を測定する。
(5)塗膜がはがれ始めの位置より20mmの地点から80mmの地点までの平均荷重を算出し、1000/15をかけることで塗膜剥離強度[N/m]を算出する。
塗膜剥離強度とはポリオレフィン多孔質膜と多孔層との密着強度のことであり、具体的には下記手順で得られた値である。
(1)積層多孔質膜を150mm×25mmのサイズに切る
(2)厚さ5mmのアルミ板に両面テープ(清和産業製「透明フィルム両面テープSFR-2020」を貼り、積層多孔質膜のポリオレフィン多孔質膜側を貼り付け、重さ2kgのゴムローラー(テスター産業製 SA-1003-B手動型 ゴム硬度80±5Hs)で5往復荷重を与える。
(3)幅15mmのセロハンテープ(ニチバンNo.405幅15mm)を100mm切り、端の10mmに10mm×100mmの紙(厚み0.05~0.09mmを貼り付け、残りの90mmを多孔層に貼り、重さ2kgのゴムローラー(テスター産業製 SA-1003-B手動型 ゴム硬度80±5Hs)で2往復荷重を与える。
(4)測定装置((株)島津製作所 オートグラフAGS-X)を用い、アルミ板を下のチャックで挟み、紙を上のチャックで挟み、多孔層面に対し180°方向に、引張速度100mm/分で引っ張った際の荷重を測定する。
(5)塗膜がはがれ始めの位置より20mmの地点から80mmの地点までの平均荷重を算出し、1000/15をかけることで塗膜剥離強度[N/m]を算出する。
(実施例1)
[積層多孔質膜の作製]
水700gに対し、ポリアクリル酸系分散剤(花王製「カーセラ2000」)を0.63重量部加え、ディスパー羽根を取り付けたスリーワンモーター(東機産業(株)製)にて1000rpmで10分攪拌した。さらに、芒硝法硫酸バリウム(粒子径0.6μm)1000gを、攪拌しながら加え、さらに60分攪拌し、混合液を得た。
得られた混合液を、ビーズミル分散機(淺田鉄工(株)製ピコミルPCM-LR)、及びビーズ粒径が0.5mmのアルミナビーズ(TB-05,ビーズ比重3.9g/cm3,大明化学工業株式会社製)を用い、ビーズ充填率75体積%、アジテーター周速8m/sec、流速18kg/hrの条件で3回分散を行い、マスターバッチ液を得た。
[積層多孔質膜の作製]
水700gに対し、ポリアクリル酸系分散剤(花王製「カーセラ2000」)を0.63重量部加え、ディスパー羽根を取り付けたスリーワンモーター(東機産業(株)製)にて1000rpmで10分攪拌した。さらに、芒硝法硫酸バリウム(粒子径0.6μm)1000gを、攪拌しながら加え、さらに60分攪拌し、混合液を得た。
得られた混合液を、ビーズミル分散機(淺田鉄工(株)製ピコミルPCM-LR)、及びビーズ粒径が0.5mmのアルミナビーズ(TB-05,ビーズ比重3.9g/cm3,大明化学工業株式会社製)を用い、ビーズ充填率75体積%、アジテーター周速8m/sec、流速18kg/hrの条件で3回分散を行い、マスターバッチ液を得た。
得られたマスターバッチ液1000gに対し、アクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)を45g、及び水80gを、ディスパー羽根を取り付けたスリーワンモーター(東機産業(株)製)にて500rpmで攪拌しながら加え、さらに10分攪拌する。次いでノニオン系界面活性剤(サンノプコ(株)製 SNウェット366)3.5gを攪拌しながら加え、さらに10分攪拌して塗工液を得た。
得られた塗工液を、表1に示すポリオレフィン多孔質膜a(厚さ10.1μm、平均孔径48nm、空孔率33%、東レ(株)製“SETELA”(登録商標))の片面(1面)に、マイクログラビア法に塗布、乾燥し、厚さ4.0μmの多孔層を有する積層多孔質膜を作製した。作製した積層多孔質膜の評価結果を表3に示した。
(実施例2~13)
実施例1のポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜b~mに代えた以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1のポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜b~mに代えた以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(比較例1~4)
実施例1のポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜n~qに代えた以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1のポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜n~qに代えた以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(実施例14~22)
実施例1の無機粒子Aを、表2に記載の無機粒子B~E、H~Lに代えた以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の無機粒子Aを、表2に記載の無機粒子B~E、H~Lに代えた以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(比較例5、6)
実施例1の無機粒子Aを、表2の無機粒子F、Gに代えた以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の無機粒子Aを、表2の無機粒子F、Gに代えた以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(実施例23)
実施例1の無機粒子Aを、表2に記載の無機粒子Dに代え、多孔層の厚さを1.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の無機粒子Aを、表2に記載の無機粒子Dに代え、多孔層の厚さを1.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(実施例24)
実施例1の多孔層の厚さを2.1μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の多孔層の厚さを2.1μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(実施例25)
実施例1の多孔層の厚さを4.8μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の多孔層の厚さを4.8μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(実施例26)
実施例1の多孔層の厚さを6.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の多孔層の厚さを6.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(比較例7)
実施例1の無機粒子Aを、表2に記載の無機粒子Eに代え、多孔層の厚さを0.7μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の無機粒子Aを、表2に記載の無機粒子Eに代え、多孔層の厚さを0.7μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(比較例8)
実施例1の多孔層の厚さを7.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1の多孔層の厚さを7.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(実施例27)
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を30gとし、有機合成樹脂量の合計を2.7重量%としたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を30gとし、有機合成樹脂量の合計を2.7重量%としたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(実施例28)
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を9gとし、有機合成樹脂量の合計を1.3重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜cとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を9gとし、有機合成樹脂量の合計を1.3重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜cとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(実施例29)
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を345gとし、有機合成樹脂量の合計を19.5重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜dとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を345gとし、有機合成樹脂量の合計を19.5重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜dとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(実施例30)
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を556gとし、有機合成樹脂量の合計を27.9重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜mとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を556gとし、有機合成樹脂量の合計を27.9重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜aを、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜mとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(比較例9)
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を3gとし、有機合成樹脂量の合計を0.8重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜を、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜fとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を3gとし、有機合成樹脂量の合計を0.8重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜を、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜fとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
(比較例10)
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を570gとし、有機合成樹脂量の合計を28.2重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜を、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜kとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
実施例1のアクリル樹脂水分散体(固形分40重量%)の量を570gとし、有機合成樹脂量の合計を28.2重量%とし、ポリオレフィン多孔質膜を、表1に記載のポリオレフィン多孔質膜kとしたこと以外は、実施例1と同様に積層多孔質膜を作製し、評価を実施した。結果を表3に示す。
本発明の積層多孔質膜は、リチウムイオン電池などの非水電解質電池に好ましく用いられる電池用セパレータとして好適に用いることができる。
Claims (12)
- ポリオレフィン多孔質膜と、該ポリオレフィン多孔質膜の少なくとも片面に多孔層を有し、
前記多孔層は無機粒子と有機合成樹脂成分とを含み、
前記ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径をa[nm]、空孔率をb[%]、前記多孔層の空隙率をc[%]としたとき、以下式(1)を満たす積層多孔質膜。
20 ≦ a × c / b ≦ 100 式(1) - 以下の方法で測定される、電解液の拡張面積の内周面積を(A)mm2、外周面積を(B)mm2としたとき、下記を満たす請求項1に記載の積層多孔質膜。
20 ≦ A 式(2)
1.0 ≦ B / A ≦ 1.3 式(3)
[電解液の拡張面積の測定方法]
1)積層多孔質膜を50mm×50mmの大きさで切り出し、これを測定試料とする。
2)温度23℃、露点温度-50℃のドライルームに測定試料を24時間放置する。
3)前記ドライルーム内で、多孔膜を上にした測定試料を、70mm×70mm 厚み5mm 重さ100gの表面が平滑なガラス板2枚で、ガラス板同士のずれがないように挟み固定する。その際、測定試料の任意の1辺を2枚のガラス板の端部と平行とし、かつ、ガラス板の端部より1mm内側となる位置に固定する。
4)電解液(エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、を1:1:1の体積比率で混合した液に、LiPF6を1mol/mlの濃度で含む混合物)を測定液とし、マイクロシリンジを用いて測定液0.5μLを採取し、2枚のガラス板の間から、測定試料の端部に染み込ませるように注入する。
5)測定液注入から1分経過後の測定試料を上方から撮影し、その撮影像から試料液が濡れ拡がった液滴の面積から、電解液の拡張面積(mm2)、内周面積(A)(mm2)、外周面積(B)(mm2)を測定する。 - 前記、ポリオレフィン多孔質膜と多孔層との剥離強度が80N/m以上、450N/m以下である請求項1または2に記載の積層多孔質膜。
- 前記無機粒子が、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸ストロンチウム、酸化ストロンチウムの群より選ばれる1つ以上を含有する、請求項1または2に記載の積層多孔質膜。
- 前記ポリオレフィン多孔質膜の平均孔径が15nm以上、130nm以下である、請求項1または2に記載の積層多孔質膜。
- 前記ポリオレフィン多孔質膜の空孔率が20%以上、70%以下である、請求項1または2に記載の積層多孔質膜。
- 前記多孔層の空隙率が25%以上、70%以下である、請求項1または2に記載の積層多孔質膜。
- 前記無機粒子の平均粒径が0.1μm以上、2.5μm以下である、請求項1または2に記載の積層多孔質膜。
- 前記多孔層の厚さが1.0μm以上、6.0μm以下である、請求項1または2に記載の積層多孔質膜。
- 前記多孔層が、前記無機粒子と前記有機合成樹脂成分の合計を100重量%としたとき、前記無機粒子が、70重量%以上99重量%の割合で含有する請求項1または2に記載の積層多孔質膜。
- 前記多孔層の有機合成樹脂成分が、(メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アラミド樹脂の群より選ばれる1つ以上を含有する請求項1または2に記載の積層多孔質膜。
- 請求項1または2に記載の積層多孔質膜を含む電池用セパレータ。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021212046 | 2021-12-27 | ||
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023097402A true JP2023097402A (ja) | 2023-07-07 |
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ID=87006218
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022204055A Pending JP2023097402A (ja) | 2021-12-27 | 2022-12-21 | 積層多孔質膜および積層多孔質膜を含む電池用セパレータ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023097402A (ja) |
-
2022
- 2022-12-21 JP JP2022204055A patent/JP2023097402A/ja active Pending
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