JP2023095530A - 義歯安定剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを両立できる密着タイプの義歯安定剤を提供することを提供することである。【解決手段】平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂、及びポリエチレングリコールを含有する、義歯安定剤。【選択図】なし
Description
本発明は、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを両立できる密着タイプの義歯安定剤に関する。
義歯安定剤は、加齢に伴う顎堤の吸収や変形等により生じた不適合義歯床を、口蓋粘膜に固定し、咬合、咀嚼、会話等の機能を補う歯科用製剤である。
義歯安定剤の中でも酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤は、ペースト状の形態を有しており、義歯と歯茎との隙間を埋めて中の空気を追い出し、吸盤のように義歯を歯茎に密着固定させるという作用機構から「密着タイプ」と称される。当該義歯安定剤は、酢酸ビニル樹脂が口腔内で唾液を吸収することで収縮してクッション状を呈し、その結果、義歯が歯茎からずれないように固定する効果(義歯安定効果)と軟弾性を発現して歯茎への負担を軽減する効果(クッション効果)を発揮する。このような特性から、密着タイプの義歯安定剤は「クッションタイプ」と称されることもある。
従来、密着タイプの義歯安定剤について、特性の改良及び向上を目指して、様々な処方が提案されている。例えば、特許文献1には、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤において、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体又はその塩を助剤として全組成物中1~5重量%配合することにより、優れた固定力を保持しつつ、使用時に義歯からのはみ出しを抑制できることが記載されている。
密着タイプの義歯安定剤では、義歯装着時に義歯からはみ出すのを抑制するために、垂れにくい(流れにくい)特性を有していることが重要になる。密着タイプの義歯安定剤を垂れにくくするには、酢酸ビニル樹脂の含有量を高めたり、重合度が高い酢酸ビニル樹脂を使用したりすることにより、硬さを高めることが有効になる。但し、密着タイプの義歯安定剤の硬さを高めて垂れにくくすると、チューブ容器から押し出しにくくなり、使用簡易性の低下を招く。このように、密着タイプの義歯安定剤において、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とはトレードオフの関係にあり、従来技術では、これらの両特性を兼ね備えさせる製剤技術は十分な検討がなされていない。
そこで、本発明は、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを両立できる密着タイプの義歯安定剤を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂と共にポリエチレングリコールを配合した密着タイプの義歯安定剤は、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを両立できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂、及びポリエチレングリコールを含有する、義歯安定剤。
項2. 前記ポリエチレングリコールの平均分子量が190~3800である、項1に記載の義歯安定剤。
項3. 更に、エタノールを含む、項1又は2に記載の義歯安定剤。
項4. 更に、水を含む、項1~3のいずれかに記載の義歯安定剤。
項1. 平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂、及びポリエチレングリコールを含有する、義歯安定剤。
項2. 前記ポリエチレングリコールの平均分子量が190~3800である、項1に記載の義歯安定剤。
項3. 更に、エタノールを含む、項1又は2に記載の義歯安定剤。
項4. 更に、水を含む、項1~3のいずれかに記載の義歯安定剤。
本発明によれば、密着タイプの義歯安定剤において、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを両立できるので、使用時に義歯の装着操作を容易に行うことが可能になる。
1.義歯安定剤
本発明の義歯安定剤は、平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂、及びポリエチレングリコールを含有することを特徴とする。本発明の義歯安定剤では、酢酸ビニル樹脂の中から平均重合度1100以下のものを選択し、これをポリエチレングリコールと組み合わせて含有させることにより、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを兼ね備えることが可能になっている。以下、本発明の義歯安定剤について詳述する。
本発明の義歯安定剤は、平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂、及びポリエチレングリコールを含有することを特徴とする。本発明の義歯安定剤では、酢酸ビニル樹脂の中から平均重合度1100以下のものを選択し、これをポリエチレングリコールと組み合わせて含有させることにより、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを兼ね備えることが可能になっている。以下、本発明の義歯安定剤について詳述する。
[酢酸ビニル樹脂]
本発明の義歯安定剤に含まれる酢酸ビニル樹脂の平均重合度は、1100以下であればよいが、好ましくは500~1100、より好ましくは650~1100、更に好ましくは800~1100、特に好ましくは850~1100が挙げられる。本発明において、酢酸ビニル樹脂の平均重合度は、JIS K6725-1977「ポリ酢酸ビニル試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値である。
本発明の義歯安定剤に含まれる酢酸ビニル樹脂の平均重合度は、1100以下であればよいが、好ましくは500~1100、より好ましくは650~1100、更に好ましくは800~1100、特に好ましくは850~1100が挙げられる。本発明において、酢酸ビニル樹脂の平均重合度は、JIS K6725-1977「ポリ酢酸ビニル試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値である。
本発明の義歯安定剤における酢酸ビニル樹脂の含有量については、特に制限されないが、例えば、30~80重量%、好ましくは45~75重量%、より好ましくは55~75質量%が挙げられる。
[ポリエチレングリコール]
本発明の義歯安定剤では、更にポリエチレングリコールを含む。前記特定の重合度の酢酸ビニル樹脂とポリエチレングリコールを併用することにより、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを両立させることが可能になる。
本発明の義歯安定剤では、更にポリエチレングリコールを含む。前記特定の重合度の酢酸ビニル樹脂とポリエチレングリコールを併用することにより、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを両立させることが可能になる。
本発明で使用されるポリエチレングリコールの平均分子量については、特に制限されないが、例えば、100~12500、好ましくは150~9300、より好ましくは190~3800が挙げられる。本発明において、ポリエチレングリコールの平均分子量は、医薬部外品原料規格2021に記載されている方法で測定される数平均分子量である。
本発明で使用されるポリエチレングリコールの具体例として、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはマクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000が挙げられる。本発明では、平均分子量が異なる2種のポリエチレングリコールを組み合わせて使用してもよい。
本発明の義歯安定剤におけるポリエチレングリコールの含有量については、例えば、0.05~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、より好ましくは0.2~7質量%が挙げられる。
また、本発明の義歯安定剤において、前記酢酸ビニル樹脂とポリエチレングリコールの比率については、例えば、前記酢酸ビニル樹脂100重量部当たり、ポリエチレングリコールが0.01~50重量部、好ましくは0.1~30重量部、より好ましくは0.3~10重量部が挙げられる。
[エタノール]
本発明の義歯安定剤には、必要に応じてエタノールが含まれていてもよい。本発明の義歯安定剤においてエタノールが含まれている場合には、酢酸ビニルを軟化させ、クッション性を向上させることができる。
本発明の義歯安定剤には、必要に応じてエタノールが含まれていてもよい。本発明の義歯安定剤においてエタノールが含まれている場合には、酢酸ビニルを軟化させ、クッション性を向上させることができる。
本発明の義歯安定剤にエタノールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、1~40重量%、好ましくは5~30重量%、より好ましくは10~20重量%が挙げられる。
[水]
本発明の義歯安定剤には、必要に応じて水が含まれていてもよい。特に、発明の義歯安定剤において、エタノールと水が含まれている場合には、酢酸ビニルを軟化させ、クッション性を更に向上させることが可能になる。
本発明の義歯安定剤には、必要に応じて水が含まれていてもよい。特に、発明の義歯安定剤において、エタノールと水が含まれている場合には、酢酸ビニルを軟化させ、クッション性を更に向上させることが可能になる。
本発明の義歯安定剤に水を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、0.5~40重量%、好ましくは1~30重量%、より好ましくは3~15重量%が挙げられる。
[剥離向上剤]
本発明の義歯安定剤は、必要に応じて、義歯の使用後に義歯安定剤を義歯床の接触面から剥し易くするための剥離向上剤が含まれていてもよい。
本発明の義歯安定剤は、必要に応じて、義歯の使用後に義歯安定剤を義歯床の接触面から剥し易くするための剥離向上剤が含まれていてもよい。
本発明で使用される剥離向上剤の種類については、特に制限されないが、例えば、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー(アクリル酸エチルとメタクリル酸メチルとメタクリル酸塩化トリメチルアンモニオエチルの共重合)、ポリブテン、ポリイソブチレン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ベントナイト、二酸化ケイ素、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの剥離向上剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの剥離向上剤の中でも、好ましくはアンモニオアルキルメタクリレートコポリマーが挙げられる。
本発明の義歯安定剤に剥離向上剤を含有させる場合、その含有量については、使用する剥離向上剤の種類に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~15重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~5重量%が挙げられる。
[その他の成分]
本発明の義歯安定剤には、前述する成分の他に、必要に応じて、pH調整剤、可塑剤、乳化剤、粘度調整剤、水浸透性向上剤、水不溶性粉体、湿潤剤、防腐剤、金属石けん、防腐剤、殺菌剤、色素、香料、矯味剤、清涼化剤、甘味剤、歯垢分解酵素等の添加剤が含まれていてもよい。
本発明の義歯安定剤には、前述する成分の他に、必要に応じて、pH調整剤、可塑剤、乳化剤、粘度調整剤、水浸透性向上剤、水不溶性粉体、湿潤剤、防腐剤、金属石けん、防腐剤、殺菌剤、色素、香料、矯味剤、清涼化剤、甘味剤、歯垢分解酵素等の添加剤が含まれていてもよい。
[形状・容器]
本発明の義歯安定剤は、密着タイプであるので、クリーム、ジェル等のペースト状の形状であればよい。
本発明の義歯安定剤は、密着タイプであるので、クリーム、ジェル等のペースト状の形状であればよい。
本発明の義歯洗浄剤を収容する容器については、特に制限されないが、本発明の義歯洗浄剤は押出容易性を有しているので、チューブ容器が好ましい。チューブ容器の素材については、特に制限されず、プラスチックチューブ、プラスチックとアルミのラミネートチューブ等のいずれであってもよい。
[製造方法]
本発明の義歯安定剤は、各配合成分の混合物を減圧下で脱泡させながら加温して攪拌することによって製造することができる。かかる製造は、例えばプラネタリーミキサー等の攪拌機を用いることで簡単に実施することができる。
本発明の義歯安定剤は、各配合成分の混合物を減圧下で脱泡させながら加温して攪拌することによって製造することができる。かかる製造は、例えばプラネタリーミキサー等の攪拌機を用いることで簡単に実施することができる。
[適用対象・使用方法]
本発明の義歯安定剤は、義歯と顎堤(歯茎)との間を密着させて、上顎下又は下顎上に装着固定化するために使用される。対象とする義歯は、総義歯又は部分義歯のいずれであってもよいが、総義歯が好ましい。対象とする義歯の床の材質は、特に限定されず、レジン床又は金属床のいずれであってもよいが、レジン床が好ましい。
本発明の義歯安定剤は、義歯と顎堤(歯茎)との間を密着させて、上顎下又は下顎上に装着固定化するために使用される。対象とする義歯は、総義歯又は部分義歯のいずれであってもよいが、総義歯が好ましい。対象とする義歯の床の材質は、特に限定されず、レジン床又は金属床のいずれであってもよいが、レジン床が好ましい。
本発明の義歯安定剤は、通常の密着タイプの義歯安定剤と同様の方法で使用することができる。例えば、水分を除いた義歯床(入れ歯の土台)の上顎又は下顎と接触する面全体に薄く伸ばしながら塗布付着させることで用いられる。斯くして義歯安定剤を付着させた義歯は、口腔内に入れて上顎又は下顎に装着すると、義歯安定剤が唾液の水分を吸収し収縮することでクッション状になり、歯茎(上顎又は下顎)に密着することで安定に固定される。
2.垂れ抑制方法
本発明の垂れ抑制方法は、酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定剤の垂れを抑制する方法であって、義歯安定剤において、平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂及びポリエチレングリコールを含有させることを特徴とする。本発明の垂れ抑制方法において、使用される酢酸ビニル樹脂、ポリエチレングリコール、その他に配合可能な成分、それらの配合量等については、前記「1.義歯安定剤」の欄に記載の通りである。
本発明の垂れ抑制方法は、酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定剤の垂れを抑制する方法であって、義歯安定剤において、平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂及びポリエチレングリコールを含有させることを特徴とする。本発明の垂れ抑制方法において、使用される酢酸ビニル樹脂、ポリエチレングリコール、その他に配合可能な成分、それらの配合量等については、前記「1.義歯安定剤」の欄に記載の通りである。
3.押出性向上方法
本発明の押出性向上方法は、酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定剤の容器からの押出性を向上させる方法であって、義歯安定剤において、平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂及びポリエチレングリコールを含有させることを特徴とする。本発明の押出性向上方法において、使用される酢酸ビニル樹脂、ポリエチレングリコール、その他に配合可能な成分、それらの配合量、容器等については、前記「1.義歯安定剤」の欄に記載の通りである。
本発明の押出性向上方法は、酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定剤の容器からの押出性を向上させる方法であって、義歯安定剤において、平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂及びポリエチレングリコールを含有させることを特徴とする。本発明の押出性向上方法において、使用される酢酸ビニル樹脂、ポリエチレングリコール、その他に配合可能な成分、それらの配合量、容器等については、前記「1.義歯安定剤」の欄に記載の通りである。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1
1.義歯安定剤の調製
表1に示す成分を所定量配合し、各成分が均一に分散するようにプラネタリーミキサーで撹拌することにより、密着タイプの義歯安定剤を調製した。得られた義歯安定剤について、以下の方法で、垂れにくさ及び容器からの押出容易性を評価した。
1.義歯安定剤の調製
表1に示す成分を所定量配合し、各成分が均一に分散するようにプラネタリーミキサーで撹拌することにより、密着タイプの義歯安定剤を調製した。得られた義歯安定剤について、以下の方法で、垂れにくさ及び容器からの押出容易性を評価した。
2.垂れにくさ及び容器からの押出容易性の評価方法
2-1.垂れにくさ
義歯安定剤5gをプラスチックシャーレ(直径8.6cm)の中心部分に乗せた後に、室温下(25℃付近)でプラスチックシャーレを垂直に傾けた状態にして1時間静置した。その後、義歯安定剤が垂れた距離(移動距離)を測定し、以下の判定基準に従って、垂れにくさを判定した。
<垂れにくさの判定基準>
〇:移動距離が4mm未満
△:移動距離が4mm以上5mm以下
×:移動距離が5mm超
2-1.垂れにくさ
義歯安定剤5gをプラスチックシャーレ(直径8.6cm)の中心部分に乗せた後に、室温下(25℃付近)でプラスチックシャーレを垂直に傾けた状態にして1時間静置した。その後、義歯安定剤が垂れた距離(移動距離)を測定し、以下の判定基準に従って、垂れにくさを判定した。
<垂れにくさの判定基準>
〇:移動距離が4mm未満
△:移動距離が4mm以上5mm以下
×:移動距離が5mm超
2-2.容器からの押出容易性
10mL容ビーカー(直径2.9cm)に義歯安定剤5gを入れて、空気が入れずに表面を平滑にした。次いで、レオメーター(「SUNRHEOMETER CR-500DX」、株式会社サン科学)を使用して、以下の設定条件で、室温下(25℃付近)で最大荷重(g)を測定した。
モード:定深度測定モード(MODE20)
試料台速度:10mm/分
押し込み深さの設定値:2mm
アダプター:No.1(20mm)(直径20mmの円板状)
10mL容ビーカー(直径2.9cm)に義歯安定剤5gを入れて、空気が入れずに表面を平滑にした。次いで、レオメーター(「SUNRHEOMETER CR-500DX」、株式会社サン科学)を使用して、以下の設定条件で、室温下(25℃付近)で最大荷重(g)を測定した。
モード:定深度測定モード(MODE20)
試料台速度:10mm/分
押し込み深さの設定値:2mm
アダプター:No.1(20mm)(直径20mmの円板状)
求めた初期の試験荷重を以下の基準に従って分類し、容器からの押出容易性を判定した。本試験で求めた最大荷重は、圧縮した際の最大応力に対応している。最大荷重が160g超の場合には、容器から押し出すのに強い押圧が必要で、押し出し難くなる。また、最大荷重が90g未満の場合には、容器から極端に出やくなり、適量の押し出しが困難になる。最大荷重が90~160gであれば適量を容器から押し出すのに適しており、特に最大荷重が130~150gであれば押出性がとりわけ優れているといえる。
<容器からの押出容易性の分類基準>
×A:最大荷重が160g超
△A:最大荷重が151g以上160g以下
〇 :最大荷重が130g以上150g以下
△B:最大荷重が90g以上129g以下
×B:最大荷重が90g未満
<容器からの押出容易性の分類基準>
×A:最大荷重が160g超
△A:最大荷重が151g以上160g以下
〇 :最大荷重が130g以上150g以下
△B:最大荷重が90g以上129g以下
×B:最大荷重が90g未満
3.結果
結果を表1に示す。ポリエチレングリコールを含むことなく、平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定剤では、垂れにくかったが、硬くなり過ぎており、容器からの押出し難くなっていた(比較例1)。また、ポリエチレングリコールを含むことなく、配合する酢酸ビニル樹脂の重合度を1100以下に下げると、容器からの押出容易性が改善されたが、逆に垂れ易くなっていた(比較例2及び3)。また、平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂とポリエチレングリコールを併用しても、容器からの押出容易性は改善できなかった(比較例4)。これに対して、平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂とポリエチレングリコールを含む義歯安定剤では、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを兼ね備えることができていた(実施例1~8)。
結果を表1に示す。ポリエチレングリコールを含むことなく、平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂を含む義歯安定剤では、垂れにくかったが、硬くなり過ぎており、容器からの押出し難くなっていた(比較例1)。また、ポリエチレングリコールを含むことなく、配合する酢酸ビニル樹脂の重合度を1100以下に下げると、容器からの押出容易性が改善されたが、逆に垂れ易くなっていた(比較例2及び3)。また、平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂とポリエチレングリコールを併用しても、容器からの押出容易性は改善できなかった(比較例4)。これに対して、平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂とポリエチレングリコールを含む義歯安定剤では、垂れにくい特性と容器からの押出容易性とを兼ね備えることができていた(実施例1~8)。
なお、実際に義歯使用者に各義歯安定剤を用いて義歯を装着させて、義歯洗浄剤のはみ出しの有無を評価したところ、実施例1~8、比較例1及び4の義歯安定剤は、義歯装着時に義歯からのはみ出しを抑制できていたが、比較例2及び3の義歯安定剤では、義歯装着時に義歯からはみ出し易かった。
Claims (4)
- 平均重合度1100以下の酢酸ビニル樹脂、及びポリエチレングリコールを含有する、義歯安定剤。
- 前記ポリエチレングリコールの平均分子量が190~3800である、請求項1に記載の義歯安定剤。
- 更に、エタノールを含む、請求項1又は2に記載の義歯安定剤。
- 更に、水を含む、請求項1~3のいずれかに記載の義歯安定剤。
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