JP2023094326A - 退出誘導システムおよび退出誘導方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車道に面した所定の領域から該車道へ車両を安全に退出させることができる技術を提供する。【解決手段】所定領域101の出口102から隣接する車道120に退出する車両11を誘導する退出誘導システムであって、出口102の上流側に配置され、車道120を下流側に移動する移動体12を検出する検出手段1と、車道120への退出可否を決定するコントローラ2と、車両11のドライバーに対して車道120への退出可否を報知する報知手段3と、を備える。コントローラ2は、検出手段1が検出した移動体12の移動速度を算出し、移動体12が出口102に到達するまでに要する到達時間を予測し、到達時間に基づいて車両11の車道120への退出可否を決定し、報知手段3を介して車道120への退出可否を報知する。【選択図】図4
Description
本発明は、退出誘導システム、および退出誘導方法に関する。
従来、センサ等を用いて他車両の位置を検出して、自車両との衝突をより確実に回避するための技術が知られている。
例えば特許文献1では、車載のミリ波レーダを備え、該レーダの検出可能範囲に存在する他車両を検出し、検出した他車両との衝突可能性を判定し、判定結果に応じてドライバーに所定の警報等を報知する衝突判定装置が開示されている。
ところで、車道に面した所定の領域から該車道へ車両が安全に退出するためには、退出中の車両に向かって該車道の上流から他車両が走行してこないことを確認する必要がある。
しかしながら、上記の衝突判定装置では、車載レーダの検出可能範囲外を走行している車両を検出することができないため、検出可能範囲外の離れた位置から自車両に向かって走行してくる車両の存在を把握することができない。すなわち、上記の衝突判定装置では、車両が車道に面した所定の領域から該車道へ退出する際に上流から他車両が走行してこないことを確認することができないので、該車両を安全に退出させることはできない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされた発明であり、車道に面した所定の領域から該車道へ車両を安全に退出させることができる技術を提供することを目的とする。
本発明による退出誘導システムは、所定領域の出口から隣接する車道に退出する車両を誘導する退出誘導システムであって、出口の上流側に配置され、車道を下流側に移動する移動体を検出する検出手段と、車道への退出可否を決定するコントローラと、車両のドライバーに対して車道への退出可否を報知する報知手段と、を備える。コントローラは、検出手段が検出した移動体の移動速度を算出し、移動体が出口に到達するまでに要する到達時間を予測し、到達時間に基づいて車両の車道への退出可否を決定し、報知手段を介して車道への退出可否を報知する。
本発明によれば、所定領域の出口の上流側から該出口に向かって移動する移動体を検出し、該移動体が出口に到達するまでに要する時間を予測することができるので、車道に面した所定の領域から車両を安全に退出させることができる。
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る退出誘導システム10を説明するための図である。図1は、退出誘導システム10が高速道路100に設けられた作業領域101に適用された例を示す。図1では、高速道路100の一部であって、車両の進行方向が同一の車線110と車線120とからなる片側2車線部分が示されている。なお、図1中の点線太矢印が示すとおり、車線110、120における車両の進行方向は、図の下側(上流側)から図の上側(下流側)に向かう方向に規定されているものとする。
図1は、本発明の一実施形態に係る退出誘導システム10を説明するための図である。図1は、退出誘導システム10が高速道路100に設けられた作業領域101に適用された例を示す。図1では、高速道路100の一部であって、車両の進行方向が同一の車線110と車線120とからなる片側2車線部分が示されている。なお、図1中の点線太矢印が示すとおり、車線110、120における車両の進行方向は、図の下側(上流側)から図の上側(下流側)に向かう方向に規定されているものとする。
作業領域101(ハッチング領域参照)は、高速道路100上に複数のロードコーン111により区画された領域であって、例えば路面の修繕作業が行われる工事現場等であってよい。このような作業領域101には一又は複数の車両11が存在し得る。作業領域101にある車両11が作業領域101から退出する際には、作業領域101の出口102から車線120に退出するとともに、車線120を上流側から走行してくる車両12と衝突しないように、車線120の下流側へ向かって走行する。退出誘導システム10は、所定領域(本例では作業領域101)の出口102から、出口102に隣接する車道(本例では車線120)に車両11を安全に退出させるためのシステムである。以下、本実施形態の退出誘導システム10の詳細を説明する。なお、車両11および車両12の車種に制限はなく、トラック、ダンプカー、クレーン車等の種々の作業車両、普通車両、二輪車両等が含まれてよい。
図2は、本実施形態に係る退出誘導システム10の構成例を説明するブロック図である。退出誘導システム10は、レーダ1と、コントローラ2と、表示装置3と、を含んで構成される。
レーダ1は、照射範囲内を移動する移動体を検出するための検出手段として構成される。本実施形態のレーダ1は、例えばドップラレーダ、またはドップラセンサにより構成されてよい。レーダ1は、いわゆるドップラ効果による周波数の変位を観測することによって観測対象である移動体を検出することができるレーダである。レーダ1が照射範囲内の移動体に起因する周波数の変位等を検出することによって後述するコントローラ2により移動体の移動方向および移動速度を算出することが可能となる。本実施形態のレーダ1は、マイクロ波(周波数3G~30GHz、波長1~10cmの範囲内の電波)、または、ミリ波(周波数30G~300GHz、波長1~10mmの範囲内の電波)を出力(照射)し、出力したマイクロ波又はミリ波に由来する反射波を受信するにより、照射範囲(移動体検出可能範囲)内における周波数の変位を移動体情報として検出するように構成される。
そして、本実施形態のレーダ1は、作業領域101の出口102に対して上流側(図1の下側)の道路であって少なくとも作業領域101の出口102に隣接する車線120を照射範囲内に含むように設置される。レーダ1の設置場所の詳細については図7を参照して後述する。なお、ここでの照射範囲とは、レーダ1が出力するマイクロ波又はミリ波が到達可能な範囲と定義され得る。
ただし、レーダ1は必ずしも上記のドップラレーダ等で構成される必要はない。レーダ1は、レーダ1が検出した情報に基づいて移動体の移動速度を算出可能であればよく、例えばステレオカメラ等のイメージセンサや複数の赤外線センサ等の公知の他のセンサにより構成されてもよい。なお、イメージセンサを用いた場合には検出した画像を解析することにより画像に含まれる移動体の速度を算出することができる。また、複数の赤外線センサを用いた場合には、線外線センサが検出した移動体の少なくとも2点間における距離と検出時間差とから当該移動体の速度を算出することができる。レーダ1が検出した移動体情報は、公知の有線または無線の通信手段を介してコントローラ2に送信される。
コントローラ2は、設定部20、移動体検知部21、予測部22、誘導情報決定部23、表示制御部24等の機能部を有する。コントローラ2は、例えば、プロセッサとしての中央演算装置(CPU)、記憶媒体としての読み出し専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)、入出力インタフェース(I/Oインタフェース)等がバスを介して接続されて構成される情報処理装置である。また、コントローラ2が備えるROMには、前述の各機能部がそれぞれに有する各機能を実行するためのプログラム(制御プログラム)が格納されている。すなわち、コントローラ2は、記憶媒体に格納された各種プログラムを実行することによって、誘導情報決定部23等の各機能部の機能を実現するように構成される。なお、コントローラ2を構成するプロセッサおよび記憶媒体として上述した構成は例示であって、これらに加えて、或いは代えて、GPU、フラッシュメモリ、ハードディスク、ストレージ等を含んでもよい。また、上述の各機能部の機能は必ずしもコントローラ2のみによって実現される必要はなく、機能部毎に適宜選択された複数のコントローラがそれぞれ、或いは協調することによって実現されるように構成されてもよい。また、コントローラ2を実現する具体的な態様に特に制限はなく、いわゆるコンピュータ、或いはサーバとして実現されてよい。また、コントローラ2は、退出誘導システム10を管理する事業者が直接又は間接的に管理する所定の場所に物理的に設置されてもよいし、クラウド上に仮想的に設けられてもよい。
このように構成されるコントローラ2は、レーダ1が検出した移動体情報に基づいて、移動体の速度と、該移動体が出口102に到達するまでに要する時間とを算出するとともに、車両11の退出を誘導するための情報を車両11のドライバーに報知する機能を実現する。コントローラ2の各機能部の詳細について、以下説明する。
設定部20は、退出誘導システム10を適切に稼働させるための所定の設定値を設定する。ここでの所定の設定値は、例えば、レーダ1の設置位置、報知する情報の内容等に関する設定値であって、退出誘導システム10のユーザ(オペレータ等)から不図示の入力手段を介して入力されてよい。設定される内容の詳細については図4を参照して後述する。
移動体検知部21は、レーダ1が検出した情報(移動体情報)に基づいて移動体の速度を算出する。
予測部22は、レーダ1が検出した移動体が出口102に到達するまでに要する時間を予測する。より具体的には、予測部22は、レーダ1が検出した移動体の位置から出口102までの距離と移動体検知部21が算出した移動体の速度とに基づいて、レーダ1が移動体(例えば車両12)を検出してから出口102に到達するまでに必要な時間(以下、これを到達時間と称する)を算出する。ここでの到達時間は、レーダ1が移動体を検出した時点から出口102に到達すると予想される時点までの時間と定義されてよい。なお、出口102の幅方向(図の上下方向)におけるどの位置(上流側端部、下流側端部、あるいはそれらの中間地点等)に到達するまでの時間を予測するかは現場の状況等に応じて適宜設定されてよい。
誘導情報決定部23は、車両11のドライバーに報知する情報(誘導情報)を決定する。より具体的には、誘導情報決定部23(以下、単に決定部23ともいう)は、予測部22による予測結果と設定部20による所定の設定値とに基づいて、誘導情報の内容とこれを報知するタイミング(報知時間帯)とを決定する。決定部23が決定する誘導情報とその報知時間帯については図5~図7を参照して後述する。
表示制御部24は、決定部23が決定した誘導情報とその報知時間帯に従って表示装置3の表示を制御する。表示される誘導情報については図3を参照して後述する。
表示装置3は、作業領域101からの退出を誘導するための情報を車両11のドライバーに報知するための報知手段として構成される。
図3は、表示装置3の構成例、および表示装置3に表示される誘導情報例を説明するための図である。本実施形態の表示装置3は、発行体としての多数のLED素子がマトリクス状に配置された表示部(LEDパネルユニット)を備え、表示制御部3により各LED素子の明滅と発色等が制御されることによって所定の誘導情報を表示可能に構成される。
例えば、表示装置3は、図3(a)、(b)に示すように車両11の退出可否を文字で表示するように構成されてもよい。この場合、表示装置3は、誘導情報として「退出」と表示することで車両11が出口102から退出することを促し、「待機」と表示することで車両11が出口102から退出することを制するように構成される。また、表示装置3は、退出可否だけでなく、図3(c)に示すように、さらに「準備」と表示可能とすることで、まもなく退出可能になることを示唆して退出の準備を促すように構成されてもよい。また、文字情報の内容に応じて発色パターンが変わるように構成されてもよい。例えば、「退出」は緑、「待機」は赤、「準備」は黄色等で表示することにより、車両11のドライバーに対して誘導情報をより直感的に報知することが可能になる。ただし、表示装置3の構成および誘導情報の内容は例示であって、上述の態様に限られない。表示装置3の構成および誘導情報の内容は、車両11のドライバーに対して少なくとも出口102からの退出の可否を報知可能であればどのような態様であってもよい。表示装置3は、例えば、信号機を想起させるような赤、黄、緑で構成された三色灯等であってもよい。表示装置3による誘導情報の表示タイミングについては図6、7等を参照して後述する。
以上が本実施形態の退出誘導システム10の構成例である。なお、図1および図2では省略されているが、退出誘導システム10は、退出誘導システム10の動作を制御するのに必要となる他の構成、例えば、電力源となるバッテリや、レーダ1とコントローラ2と表示装置3との間、或いはこれらと不図示の外部装置との間の通信を行う通信ユニット等を備えてもよい。通信ユニットとしては、例えばNIC(Network Interface Card)で構成された情報通信手段等が採用されてもよい。また、特に図1に示すレーダ1や表示装置3の配置、及び、図2に示す各機能部の構成は、上述した構成に限らず、退出誘導システム10が導入される現場の状況や作業内容等に応じて適宜追加、変更等されてよい。例えば、移動体検知部21は、必ずしもコントローラ2の一機能部として構成される必要はなく、レーダ1に付設された不図示のコントローラの一機能部として構成され、算出した移動体の速度等に関する情報がコントローラ2に送信されるように構成されてもよい。
次に、退出誘導システム10の動作について図4から図7を参照して説明する。
図4は、退出誘導システム10の動作に関するゼネラルフローチャートである。コントローラ2が備える記憶媒体には、図示のフローチャートを参照して以下に説明する処理(退出誘導処理)を実行する制御プログラムが格納されている。
なお、本実施形態においては、ステップS10からの処理が実行される前に退出誘導システム10が高速道路100に設置されているものとする。より具体的には、ステップS10からの処理が実行される際には、少なくとも表示装置3が出口102の近傍に、レーダ1が出口102から上流側に所定距離離れた位置に、それぞれ設置されているものとする。なお、ここでの所定距離は、少なくともレーダ1が検出した移動体が出口102に到達するまでの間において、退出誘導システム10による車両11の誘導を安全かつ適切に行うために必要な時間を確保できることを前提に調整される。すなわち、ここでの所定距離は、例えば適用される道路が高速道路であれば、一般道に適用された場合よりも長くなる等、退出誘導システム10が適用される場所に応じて調整されてよい。
ステップS10では、コントローラ2(設定部20)は、ユーザの入力に応じて所定の設定値を設定する。設定される所定の設定値は、例えば、レーダ1の設置位置(設置距離)、レーダ1の照射範囲、誘導情報の内容、誘導情報の表示タイミング、各種算出値の補正の要否、等に関するいずれか一以上の設定値であってよい。なお、ユーザによる設定部20に対する入力操作は、パソコンまたはスマートフォン等を介して実行できるように構成されてもよい。各設定値について以下説明する。
レーダ1の設置距離は、レーダ1の設置位置から出口102までの距離である。レーダ1の設置位置から出口102の幅方向におけるどの位置(上流側端部、下流側端部、あるいはそれらの中間地点等)までの距離を設定するかは適宜選択されてよい。また、表示装置3を出口102の近傍に設置する場合には、レーダ1の設置位置と表示装置3との間の距離が設定されてもよい。本実施形態では、例えば500mと設定される。
レーダ1の照射範囲は、移動体を検出する範囲であって、例えば移動体を検出する対象となる車線を指定することにより設定されてよい。図1および図7では出口102に隣接する車道として一つの車線(車線120)のみが示されているが、これに限られない。出口102に隣接する車道、或いは出口102が設けられた道路が複数の車線を含む場合には、ユーザは、当該複数の車線のうち移動体を検出する一または複数の車線をレーダ1の照射範囲として設定することができる。本実施形態では、例えば一つの車線(車線120)がレーダ1の照射範囲として設定される。
誘導情報の内容は、表示装置3に表示される内容である。例えば、図3で示す「退出」と「待機」(緑と赤)の2パターンを表示するか、或いは、これに「準備」(黄)を加えた3パターンで表示するか、等の表示態様が誘導情報の内容として設定される。本実施形態では、誘導情報例として「退出」、「待機」、「準備」の3パターンが表示されるように設定されるものとする。
誘導情報の表示タイミングに関する設定値は、誘導情報の内容に応じた表示タイミングを指定することにより設定される。ここで設定され得る表示タイミングの詳細については図5を参照して後述する。
各種算出値の補正に関する設定値は、検出対象の移動体(車両12)が走行する道路特性、および/又は車両特性に応じて、コントローラ2が算出した到達時間等の算出値を補正するために設定される。ここでの道路特性とは、車両12の走行速度に影響を与え得る特性であって、例えば車道の勾配、車道の曲がりくねり(カーブ)の程度、車道の幅、路面の凹凸、降雨や降雪等に起因する路面状態等が想定される。例えば、車線120が上流側から出口102に向かって下り坂である場合には、車両12が速度算出時よりも加速する可能性を考慮して、予測部22が算出した到達時間がより早くなるような補正値が設定されてもよい(例えば-1秒)。また、車両特性とは、車両11が停車状態からある程度の速度に達するまでの早さ、換言すると、車両11が出口102から完全に退出できるまでの早さに影響を与え得る特性であって、車両11の車種や重量等が想定される。例えば、車両11が大量の土砂を積んだトラックであって、完全に退出するのに要する時間が長く必要だと判断できる場合には、例えば「準備」や「待機」を表示する時間帯を長くして退出可能時間が相対的に短くなるような補正値が設定されてもよい。
設定処理が終わると続くステップS11の処理が実行される。
ステップS11では、コントローラ2(移動体検知部21)が、レーダ1により検出された移動体情報が取得されたか否か判定する。移動体情報が取得されると、当該移動体情報に基づいて到達予想時刻等を算出するためにステップS12の処理が実行される。移動体情報を取得したと判定されない場合には、移動体情報が取得されるまで、すなわちレーダ1が移動体を検知するまでステップS11の判定処理が繰り返し実行される。
ステップS12では、コントローラ2(移動体検知部21、予測部22、誘導情報決定部23)が誘導情報決定処理を実行する。誘導情報決定処理の詳細については図5を参照して後述する。誘導情報決定処理が終了すると、続くステップS13の処理が実行される。
ステップS13では、コントローラ2(表示制御部24)が表示制御処理を実行する。表示制御処理の詳細については図6を参照して後述する。
以上が本実施形態の退出誘導処理の詳細である。ただし、退出誘導処理は、必ずしもコントローラ2が上述のフローに従って全ての処理を実行する必要は無い。例えば、設定処理は、退出誘導システム10を道路100に設置する前に予め実行されていてもよい。
ステップS12の誘導情報決定処理の詳細について、図5を参照して説明する。
図5は、退出誘導システム10が行う誘導情報決定処理を説明するフローチャートである。本フローチャートで説明する誘導情報決定処理は、レーダ1の照射範囲内において下流側へ移動する移動体を検出した際に実行される。なお、コントローラ2が備える記憶媒体には、図示のフローチャートを参照して以下に説明する処理を実行する制御プログラムが格納されている。
ステップS121では、コントローラ2(移動体検知部21)が、レーダ1が検出した移動体の移動速度を算出する。本実施形態においては、レーダ1が検出した移動体(以下、車両12とする)の移動体情報に基づいて車両12の移動速度が算出される。
ステップS122では、コントローラ2(予測部22)が、車両12の移動速度と、レーダ1の設置距離とに基づいて到達時間を算出する。なお車道120が上流側から出口102に向かって下り勾配等である場合であって設定処理により所定の補正値が入力されている場合には、入力された補正値に従って到達時間が補正される。到達時間が算出されると、誘導情報の表示タイミングを決定するためにステップS123~ステップS125の処理が実行される。
ステップS123では、コントローラ2(誘導情報決定部23)が、予測された到達時間に基づいて車両11の退出を許可しない時間帯(待機時間帯)を算出する。待機時間帯は、停車状態の車両11が出口102から車道120への退出を開始すると車両12と衝突する可能性がある時間帯である。待機時間帯は、車両11のドライバーに対して退出禁止を報知する時間帯として算出される。
ステップS124では、コントローラ2(誘導情報決定部23)が、予測された到達時間に基づいて車両11の退出を許可する時間帯(退出時間帯)を算出する。退出時間帯は、停車状態の車両11が出口102から車道120への退出を開始しても、他車両と衝突するおそれが無く安全に退出することができる時間帯である。退出時間帯は、車両11のドライバーに対して退出許可を報知する時間帯として算出される。
ステップS125では、コントローラ2(誘導情報決定部23)が、予測された到達時間に基づいて車両11の退出をまもなく許可する時間帯(退出準備時間帯)を算出する。退出準備時間帯は、退出時間帯に移行する直前の時間帯である。退出準備時間帯は、車両11のドライバーに対して退出時間帯にまもなく移行することを報知することで退出の準備を促す時間帯として算出される。
以上が本実施形態における誘導情報決定処理の詳細である。ただし、誘導情報決定処理は必ずしも上述のフローに従って全ての処理が実行される必要は無い。例えば、ステップS123からステップS125までに係る処理(表示タイミング決定処理)の順序は適宜変更されてもよい。また、例えば退出時間帯のみが算出されれば、その他の時間帯は退出を原則禁止する時間帯となる。すなわち、少なくとも退出時間帯(又は退出を許可しない時間帯)のみを算出すれば車両11のドライバーに対して退出可否を報知することができるので、ステップS123からステップS125までに係る処理は必ずしも全て実行される必要はない。誘導情報決定処理が終了すると、表示制御処理が実行される。
表示制御処理(図4のステップS13)の詳細について、図6を参照して説明する。
図6は、退出誘導システム10が行う表示制御処理を説明するフローチャートである。本フローチャートで説明する表示制御処理は、退出誘導システム10が稼働している間、原則として常時実行される。これにより、退出誘導システム10は、作業領域101から退出しようとする車両11のドライバーに対して、出口102からの退出可否に関する情報をリアルタイムに報知し続けることができる。なお、コントローラ2が備える記憶媒体には、図示のフローチャートを参照して以下に説明する処理を実行する制御プログラムが格納されている。
ステップS131では、コントローラ2(表示制御部24)が、現在が待機時間帯か否かを判定する。待機時間帯であれば、表示装置3を介して退出不可を報知するために、ステップS132の処理を実行する。待機時間帯でなければステップS133の処理が実行される。
ステップS132では、コントローラ2(表示制御部24)が、表示装置3に「待機」の文字を表示する。待機の文字が表示されると、本フローに係る表示制御処理は終了する。なお、退出誘導システム10が稼働している間、表示制御処理は繰り返し実行されるので、誘導情報決定部23が算出した待機時間帯に該当する時間(すなわちS131がYES判定となる間)は常に表示装置3に「待機」の文字が表示され続ける。
ステップS133では、コントローラ2(表示制御部24)が、現在が退出準備時間帯であるか否かを判定する。退出準備時間帯であれば、表示装置3を介してまもなく退出可能な時間帯に移行することを報知するために、ステップS134の処理を実行する。退出準備時間帯でなければステップS135の処理が実行される。
ステップS134では、コントローラ2(表示制御部24)が、表示装置3に「準備」の文字を表示する。準備の文字が表示されると、本フローに係る表示制御処理は終了するとともに、退出誘導システム10が稼働している間ステップS131からの処理が繰り返し実行される。
ステップS135では、コントローラ2(表示制御部24)が、現在が退出時間帯か否かを判定する。退出時間帯であれば、表示装置3を介して退出可能であることを報知するために、ステップS136の処理を実行する。退出時間帯でなければステップS137の処理が実行される。
ステップS136では、コントローラ2(表示制御部24)が、表示装置3に「退出」の文字を表示する。退出の文字が表示されると、本フローに係る表示制御処理は終了するとともに、退出誘導システム10が稼働している間ステップS131からの処理が繰り返し実行される。
ステップS137では、コントローラ2(表示制御部24)は、本フローの実行時においては退出可否に関するいずれの時間帯にも該当しないので、表示装置3にはいずれの文字も表示しない(黒色表示)か、或いは「エラー」等の文字を表示して、本フローに係る表示制御処理を終了する。なお、ステップS137における表示は、安全性を考慮して少なくとも退出を許可しない表示であることを前提に特に制限されない。例えば、ステップS137では、現在の時間帯が退出可否に関するいずれの時間帯にも該当しない場合であっても、「待機」或いは「準備」等の退出を禁止する旨が表示されてもよい。
以上が本実施形態における表示制御処理の詳細である。ただし、表示制御処理は必ずしも上述のフローに従って全ての処理が実行される必要は無い。例えば、ステップS131、S133、S135に係る各種時間帯の判定順は適宜変更されてもよい。また、表示装置3に表示される誘導情報の正確性と安全性とが担保されることを前提に、例えばステップS135とステップS137の処理を削除するとともに、ステップS131とステップS133とが共にNO判定だった場合には、消去法的に残るステップS136の処理を実行して「退出」の文字が表示されるように構成されてもよい。
なお、レーダ1が複数の移動体を検出した場合には、それぞれの移動体の予測時間が個別に算出されるとともに、各移動体に対する誘導情報とその表示タイミングが個別に算出されてよい。この場合、複数の移動体に対して一つでも「待機時間帯」があれば、他の移動体に対して退出時間帯であったとしても「待機時間帯」が常に優先される。換言すると、レーダ1が複数の移動体を検出した場合は、検出されたすべての移動体に対して算出された退出時間帯が重複する時間帯にのみ「退出」が表示される。
以上が本実施形態の退出誘導システムが実行する退出誘導処理の詳細である。以下では、図7を参照して、退出誘導システム10が高速道路100に適用された際の挙動について説明する。
図7は、退出誘導システム10の稼働時における時間経過と誘導情報の内容との関係を説明する図である。
図の最も右側に記載した0m、100m、300m、500mに係る距離情報は、出口102の下流側の端部を起点(0m)とした場合におけるレーダ1の設置距離(500m)等を示す。該距離情報の左側に記載したt0~t3に係る時刻情報は、レーダ1が車両12を検出した時点(t0)から車両12が出口102の下流側端部を通過すると予測される時点(t3)までの時間経過を示す。ただし、各距離、各時刻は説明のための例示であって、図中の縮尺との一致は考慮しない。なお、レーダ1は出口102の下流側端部から500m上流側に配置され、表示装置3と不図示のコントローラ2は、出口102の近傍に配置されているものとする。
時刻t0では、出口102から500m上流の地点を下流に向かって走行する車両12が検出される。この時、コントローラ2は、車両12の移動速度を算出するとともに、車両12が出口102に到達するまでに要する時間(到達時間)を予測する。なお、ここでの到達時間は、時刻t0~時刻t3までの時間に相当する。例えば、車両12の速度が80km/hと算出された場合には、到達時間は、約22.5秒と算出され得る。
そして、コントローラ2は、予測した到達時間に基づいて、車両11の退出を許可しない時間帯(待機時間帯:時刻t1~t2)と、車両11の退出準備を促す時間帯(退出準備時間帯:時刻t2~t3)と、車両11の退出を許可する時間帯(退出時間帯:時刻t0~t1、および時刻t3以降)と、を算出する。
本例においては、時刻t0~t1に係る約9秒間が退出時間帯として算出される。そうすると、コントローラ2は、退出時間帯の9秒間(80km/hで走行する車両12が約200m進む間)、表示装置3に車両11の退出を許可する「退出」の文字を表示する。この時、車両12は出口102に対して上流側に300m以上離れた地点を走行しているので、少なくとも13.5秒以上は出口102に到達しない。したがって、車両11は表示装置3の誘導情報に従って作業領域101から車線120に安全に退出することができる。なお、車両12を検出した時点で既に「退出」の文字が表示されていた場合は、当該表示は時刻t1になるまで維持される。
その後時刻t1を過ぎて待機時間帯になると、コントローラ2は、表示装置3に「待機」の文字を表示して、作業領域101から車両11が退出することを禁止する。この時、車両12は、出口102から上流側に300mの地点を下流に向かって走行している。
そして、時刻t2を過ぎて退出準備時間帯になると、コントローラ2は、表示装置3に「準備」の文字を表示することにより、まもなく退出が可能になることを車両11のドライバーに報知する。
そして、時刻t3を過ぎて再び退出時間帯になると、コントローラ2は、表示装置3に「退出」の文字を表示して、作業領域101から車両11が退出することを再び許可する。この時、車両12は、出口102を通過してより下流側を走行しているので、車両11は、車両12と衝突することなく、作業領域101から車線120に安全に退出することができる。
以上が退出誘導システム10の稼働時における時間経過と誘導情報の内容との関係である。これにより、車両11は、所定領域(作業領域101)の出口(出口102)から隣接する車道(車線120)に安全に退出することができる。
なお、退出誘導システム10は、車道を走行する移動体を検出可能なレーダ1a、およびレーダ1bの少なくとも一つをさらに備えてもよい(図中の1a、1bを参照)。レーダ1aは、図示するようにレーダ1を設置した位置から出口102までの間の任意の場所に配置されてよい。レーダ1aが当該位置にてレーダ1と同様に移動体を検出することによって、コントローラ2は、レーダ1とレーダ1aとによって移動体の存在と移動速度とをより精度よく把握することができる。このような構成により、退出誘導システム10は、車両11の退出をより安全に誘導することができる。
また、レーダ1bは、出口102よりも下流側の任意の場所に設置されてもよい。レーダ1bが当該位置にて移動体を検出することによって、コントローラ2は、レーダ1が検出した移動体が出口102を通過したか否かをより確実に把握することができる。このような構成により、退出誘導システム10は、車両11の退出をより安全に誘導することが可能となる。
以上、一実施形態の退出誘導システム10は、所定領域(作業領域101)の出口102から隣接する車道(車線120)に退出する車両を誘導する退出誘導システムであって、出口102の上流側に配置され、車道(車線120)を下流側に移動する移動体(車両12)を検出する検出手段(レーダ1)と、車道(車線120)への退出可否を決定するコントローラ2と、車両11のドライバーに対して車道(車線120)への退出可否を報知する報知手段(表示装置3)と、を備える。そして、コントローラ2は、検出手段(レーダ1)が検出した移動体(車両12)の移動速度を算出し、移動体(車両12)が出口102に到達するまでに要する到達時間を予測し、到達時間に基づいて車両11の車道(車線120)への退出可否を決定し、報知手段(表示装置3)を介して車道(車線120)への退出可否を報知する。
このように、退出誘導システム10は、所定領域の出口から上流側に離れた位置に配置されたレーダを用いて該出口へ向かって走行してくる移動体を検出することができるので、所定領域内において停車している車両を当該所定領域の出口から隣接する車道へ安全に退出させることができる。
また、一実施形態の退出誘導システム10によれば、到達時間に基づいて車道(車線120)への退出を許可する退出可能時間帯を算出し、報知手段(表示装置3)を用いて、退出可能時間帯にドライバーに対して退出可能であることを報知する。これにより、退出誘導システム10は、ドライバーに対して安全な退出を誘導することができる。
また、一実施形態の退出誘導システム10によれば、到達時間に基づいて車道(車線120)への退出を許可しない待機時間帯を算出し、報知手段(表示装置3)を用いて、待機時間帯にドライバーに対して退出できないことを報知する。これにより、退出誘導システム10は、他車両と衝突する可能性がある場合には、ドライバーに対して出口102からの退出を禁止することができる。
また、一実施形態の退出誘導システム10によれば、到達時間に基づいて車道(車線120)への退出をまもなく許可する退出準備時間帯を算出し、報知手段(表示装置3)を用いて、退出準備時間帯にドライバーに対してまもなく退出可能であることを報知する。これにより、退出誘導システム10は、まもなく退出可能となるタイミングに、ドライバーに対して退出の準備を促すことができる。
また、一実施形態の退出誘導システム10によれば、所定領域は、高速道路100上に区画された作業領域101であって、車道は、高速道路を構成する一又は複数の車線(車線120等)を含む。このように、退出誘導システム10は、高速道路上で行われる工事現場等にも適用され得る。
また、一実施形態の退出誘導システム10によれば、予測した予測時間を車道(車線120)の特性に応じて補正する。これにより、移動体の移動速度が車道の特性に起因して変化した場合でも、誘導情報の精度を担保することができる。
また、一実施形態の退出誘導システム10によれば、報知手段は画像表示装置3であって、コントローラ2は、退出可否に関する画像を画像表示装置3に表示することによりドライバーに車道(車線120)への退出可否を報知するように構成される。これにより、退出誘導システム10は、視覚を介して誘導情報を報知することができる。
また、本発明は、方法として観念することもできる。すなわち、一実施形態の退出誘導方法は、所定領域(作業領域101)の出口から隣接する車道(車線120)に退出する車両11を誘導する退出誘導方法であって、出口102の上流側の所定位置において、車道(車線120)を下流側に移動する移動体(車両12)を検出し、移動体(車両12)の移動速度を算出し、移動体(車両12)が出口102に到達するまでに要する到達時間を予測し、到達時間に基づいて車両11の車道(車線120)への退出可否を決定し、車両11のドライバーに対して車道(車線120)への退出可否を報知する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。退出誘導システム10は上述の技術的効果を奏する限り適宜変更されてもよい。
例えば、退出誘導システム10が適用される所定領域は、道路上に区画された作業領域101に限られない。退出誘導システム10は、例えば道路に面した商業施設の駐車場等、車両が退出する出口が道路に直接、または歩道等を介して間接的に面している限り多様な場所に適用することが可能である。
また、レーダ1が検出する対象として説明した移動体は上述の車両12に限られない。検出対象の移動体は、自転車や人等であってもよい。一方で、レーダ1の検出対象となる移動体の下限速度を設定する等して、下限速度(例えば5km/h)以下の移動体は到達時間を予測する対象から除外してもよい。
また、報知手段の態様も上述の表示装置3に限られない。例えば、音声で報知するスピーカや、物理的に退出を遮る踏切等が、表示装置3に加えて、或いは代えて採用されてもよい。
また、上述の設定処理(図4、ステップS10)において、種々の設定がなされる際には必ずしもユーザが各設定値を直接入力する必要はない。例えば、退出誘導システム10がGPS等をさらに備え、該GPSの位置情報から取得可能な道路情報等に応じて、道路特性に応じた補正値が自動的に設定されるように構成されてもよい。また、レーダ1がGPS等をさらに備えることにより、レーダ1の設置位置から出口102までの距離が自動的に設定されるように構成されてもよい。
1…レーダ
2…コントローラ
3…表示装置(報知手段)
2…コントローラ
3…表示装置(報知手段)
Claims (8)
- 所定領域の出口から隣接する車道に退出する車両を誘導する退出誘導システムであって、
前記出口の上流側に配置され、前記車道を下流側に移動する移動体を検出する検出手段と、
前記車道への退出可否を決定するコントローラと、
前記車両のドライバーに対して前記車道への退出可否を報知する報知手段と、
を備え、
前記コントローラは、
前記検出手段が検出した前記移動体の移動速度を算出し、
前記移動体が前記出口に到達するまでに要する到達時間を予測し、
前記到達時間に基づいて前記車両の前記車道への退出可否を決定し、
前記報知手段を介して前記車道への退出可否を報知する、
退出誘導システム。 - 前記コントローラは、
前記到達時間に基づいて前記車道への退出を許可する退出可能時間帯を算出し、
前記報知手段を用いて、前記退出可能時間帯に前記ドライバーに対して退出可能であることを報知する、
請求項1に記載の退出誘導システム。 - 前記コントローラは、
前記到達時間に基づいて前記車道への退出を許可しない待機時間帯を算出し、
前記報知手段を用いて、前記待機時間帯に前記ドライバーに対して退出できないことを報知する、
請求項1または2に記載の退出誘導システム。 - 前記コントローラは、
前記到達時間に基づいて前記車道への退出をまもなく許可する退出準備時間帯を算出し、
前記報知手段を用いて、前記退出準備時間帯に前記ドライバーに対してまもなく退出可能であることを報知する、
請求項2または3に記載の退出誘導システム。 - 前記所定領域は、高速道路上に区画された作業領域であって、
前記車道は、前記高速道路を構成する一又は複数の車線を含む、
請求項1から4のいずれかに記載の退出誘導システム。 - 前記コントローラは、
予測した前記予測時間を前記車道の特性に応じて補正する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の退出誘導システム。 - 前記報知手段は画像表示装置であって、
前記コントローラは、
退出可否に関する画像を前記画像表示装置に表示することにより前記ドライバーに前記車道への退出可否を報知する、
請求項1から6のいずれかに記載の退出誘導システム。 - 所定領域の出口から隣接する車道に退出する車両を誘導する退出誘導方法であって、
前記出口の上流側の所定位置において、前記車道を下流側に移動する移動体を検出し、
前記移動体の移動速度を算出し、
前記移動体が前記出口に到達するまでに要する到達時間を予測し、
前記到達時間に基づいて前記車両の前記車道への退出可否を決定し、
前記車両のドライバーに対して前記車道への退出可否を報知する、
退出誘導方法。
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JP2021209738A JP2023094326A (ja) | 2021-12-23 | 2021-12-23 | 退出誘導システムおよび退出誘導方法 |
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