JP2023094052A - 粘着シート、画像表示装置用積層体及び画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高屈折率を有しながら、透明性に優れ、かつ、曲面や凹凸、折り曲げに対して良好な追従性を有する粘着シートを提供することを目的とする。【解決手段】アクリル系重合体(A)及び塩素原子含有樹脂(B)を含有する粘着剤組成物[I]から形成される粘着シートであり、25℃におけるD線波長(589nm)により測定される屈折率(α)が1.48~1.56である粘着シートとする。【選択図】なし

Description

本発明は、画像表示装置の構成部材の貼合に好適に用いることができる粘着シート、該粘着シートを用いた画像表示装置用積層体及び画像表示装置に関する。
近年、有機発光ダイオード(OLED)や量子ドット(QD)を用いた、曲面からなる画像表示装置や、折り曲げ可能なフレキシブル画像表示装置が開発され、広く商用化されつつある。
このような表示装置では、表面硬度や耐衝撃性、透明性等の観点から、超薄膜ガラス(「UTG」と略記することがある。)がカバーガラスとして用いられることがある。
上記UTGを含む各種光学部材同士を、粘着シートを用いて貼り合わせる際、粘着剤層と光学部材との屈折率の差に起因して、粘着剤層と光学部材との界面で光散乱等が発生し、これにより貼合された光学部材の積層体の光透過性が低下するといった問題があった。
また、曲面や凹凸、折り曲げに対して高い追従性も求められるため、ガラス転移温度(Tg)が高い粘着剤層では界面に応力が集中して剥離してしまうという問題もあった。
このような物性の低下を抑制するためには、ガラス転移温度(Tg)の低い粘着剤層の屈折率をなるべく高くし、粘着剤層と光学部材との屈折率の差を減少させることが有効である。
しかし、アクリル系重合体を含有する粘着剤の屈折率は、通常1.47程度であり、UTGを始めとする光学ガラスの屈折率は一般的に1.47以上であることから、光学部材と粘着剤層との屈折率の差が大きく、それらの界面にて反射が生じるものであった。そのため、粘着剤層の屈折率を高くすることが望まれている。
粘着剤層の屈折率を高くするには、屈折率の高い材料を配合する方法があり、アクリル系重合体に粒子(フィラー)を含有させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2020-132875号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の方法では、ガラス転移温度(Tg)の低いアクリル系重合体で構成されているものの、粒子を含有させると、透明性が損なわれてしまい、光学特性が低下するという問題がある。
そこで、本発明はこのような背景下において、高屈折率を有しながら透明性に優れ、かつ、ガラス転移温度(Tg)が低いため、曲面や凹凸、折り曲げに対して良好な追従性を有する粘着シート、更には粘着シートがガラスに積層された画像表示装置用積層体、及び画像表示装置を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、アクリル系重合体と塩素原子含有樹脂とを含有する粘着剤組成物から形成される粘着シートが、追従性はもとより高屈折率を有しながら、透明性に優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1] アクリル系重合体(A)及び塩素原子含有樹脂(B)を含有する粘着剤組成物[I]から形成される粘着シートであり、25℃におけるD線波長(589nm)により測定される屈折率(α)が1.48~1.56である粘着シート。
[2] 前記塩素原子含有樹脂(B)が、ポリ塩化ビニリデン(B1)及び/又はポリ塩化ビニル(B2)を含む樹脂である[1]記載の粘着シート。
[3] 前記粘着剤組成物[I]におけるアクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の含有割合(質量比)が、99/1~30/70である[1]または[2]記載の粘着シート。
[4] 前記アクリル系重合体(A)が、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の構造部位及びヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位を有するアクリル系重合体である[1]~[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5] 前記アクリル系重合体(A)中におけるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位の含有割合が1~40質量%である[1]~[4]のいずれかに記載の粘着シート。
[6] 前記アクリル系重合体(A)の重量平均分子量が60万~150万である[1]~[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7] 前記粘着剤組成物[I]が光重合開始剤(C)を含有する[1]~[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の粘着シートがガラスに積層された画像表示装置用積層体。
[9] 前記ガラスの厚みが10~50μmである[8]記載の画像表示装置用積層体。
[10] [8]または[9]記載の画像表示装置用積層体を備える画像表示装置。
本発明の粘着シートは、追従性と高い屈折率を有しながら、透明性に優れたものとすることができ、とりわけ画像表示装置に用いる粘着シートとして好適に利用することができる。
粘着シートの屈折率を向上させるために、一般的に高屈折率用の添加剤を配合することが例として挙げられるが、光学用途に用いられる粘着シートは透明性に優れることが必要であるため、通常、余計な添加剤等を含有させないように考えるところ、本発明においては、塩素原子含有樹脂、特にはポリ塩化ビニリデン及び/又はポリ塩化ビニルを含む樹脂等を含有させる場合においては、意外にも透明性や粘着性能を低下させることなく、高屈折率を有することができたものである。
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態に限定されるものではない。
なお、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シート及びフィルムを包含するものである。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」又は「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
さらに、「X及び/又はY(X,Yは任意の構成)」とは、X及びYの少なくとも一方を意味するものであって、Xのみ、Yのみ、X及びY、の3通りを意味するものである。
本発明において「主成分」とは、対象物の特性に大きな影響を与える成分の意味であり、その成分の含有量は、通常、対象物中の30質量%以上であり、好ましくは35質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。また、対象物中の中で最も多い質量比率を占める成分であることが多く、50質量%以上を占める場合、なかでも55質量%以上、そのなかでも60質量%以上、そのなかでも70質量%以上、そのなかでも80質量%以上、そのなかでも90質量%以上(100質量%を含む)を占める場合が想定される。
本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」を、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」を、それぞれ包括する意味である。
また、「アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリレート由来の単量体単位を含むものを意味し、(メタ)アクリル系重合体を包含する意味である。
本発明の一実施形態に係る粘着シート(以下、「本粘着シート」と称する)は、アクリル系重合体(A)及び塩素原子含有樹脂(B)を含有する粘着剤組成物[I]から形成される。
<粘着剤組成物[I]>
本発明で用いる粘着剤組成物[I]について説明する。
前記粘着剤組成物[I]は、アクリル系重合体(A)及び塩素原子含有樹脂(B)を含有するものである。
〔アクリル系重合体(A)〕
前記アクリル系重合体(A)は、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造部位を主として含むものであり、さらに他の共重合成分由来の構造部位を含んでいてもよい。このようなアクリル系重合体(A)は、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合、またはアルキル(メタ)アクリレートと、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他の共重合成分とを共重合させることにより得られる。
アクリル系重合体(A)としては、粘着性能、および塩素原子含有樹脂(B)との相溶性の点から、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の構造部位及びヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位を有するアクリル系共重合体が好ましい。
前記炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の構造部位を構成する(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート;イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート等の分岐アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上が含まれていてもよい。
これらのなかでも、粘着性能の点から直鎖アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、さらには炭素数4~6のアルキル基を有する直鎖アルキル(メタ)アクリレート、例えばn-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、とりわけ、n-ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
アクリル系重合体(A)中における炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の構造部位の含有割合は、曲面や凹凸、折り曲げに対する良好な追従性の点から、通常50~99質量%であり、好ましくは55~95質量%、特に好ましくは60~85質量%である。
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位を構成する(メタ)アクリレートとしては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性(メタ)アクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有(メタ)アクリレート;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上が含まれていてもよい。
これらのなかでも、粘着性能の点で、1級水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基を有する1級水酸基含有(メタ)アクリレートであり、特に好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
アクリル系重合体(A)中におけるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位の含有割合は、粘着性能の点から、1~40質量%が好ましく、より好ましくは5~35質量%であり、特に好ましくは10~30質量%である。
前記アクリル系重合体(A)は、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の構造部位、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位以外の構造部位、例えば炭素数7~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の構造部位、ヒドロキシ基以外の官能基を有するエチレン性不飽和基モノマー由来の構造部位、その他の共重合性モノマー由来の構造部位等を有していてもよい。
前記炭素数7~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の構造部位を構成する(メタ)アクリレートとしては、例えばn-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の分岐アルキル(メタ)アクリレート;t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上が含まれていてもよい。
アクリル系重合体(A)が炭素数7~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の構造部位を有する場合、その含有割合は、通常40質量%以下であり、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。下限値は通常0質量%である。
前記ヒドロキシ基以外の官能基を有するエチレン性不飽和基含有モノマー(以下、「官能基含有エチレン性不飽和モノマー」という場合がある)由来の構造部位としては、例えば窒素原子を有する官能基含有モノマー由来の構造部位、カルボキシ基含有モノマー由来の構造部位、アセトアセチル基含有モノマー由来の構造部位、グリシジル基含有モノマー由来の構造部位等が挙げられる。
これらのなかでも、凝集力や架橋促進作用を付与する点で、アクリル系重合体(A)が、窒素原子を有する官能基含有モノマー由来の構造部位を有することが好ましい。
また、前記窒素原子を有する官能基含有モノマー由来の構造部位のなかでも、アミノ基含有モノマー由来の構造部位、アミド基含有モノマー由来の構造部位、イソシアネート基含有モノマー由来の構造部位が好ましく、アミノ基含有モノマー由来の構造部位がより好ましい。
前記アミノ基含有モノマー由来の構造部位を構成するモノマーとしては、例えばアミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等の第1級アミノ基含有(メタ)アクリレート;t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の第2級アミノ基含有(メタ)アクリレート;エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アミド基含有モノマー由来の構造部位を構成するモノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N'-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-エチルメチルアクリルアミド、N,N-ジアリル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
前記イソシアネート基含有モノマー由来の構造部位を構成するモノマーとしては、例えば2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。また、イソシアネート基はメチルエチルケトンオキシム、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール、マロン酸ジエチル等のブロック化剤で保護されていてもよい。
前記カルボキシ基含有モノマー由来の構造部位を構成するモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等が挙げられる。
前記アセトアセチル基含有モノマー由来の構造部位を構成するモノマーとしては、例えば2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
前記グリシジル基含有モノマー由来の構造部位を構成するモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
これらの官能基含有エチレン性不飽和モノマー由来の構造部位は、単独でもしくは2種以上が含まれていてもよい。
アクリル系重合体(A)が前記官能基含有エチレン性不飽和モノマー由来の構造部位を有する場合、その含有割合は、高弾性化による粘着性低下の可能性を低減する観点から、通常30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。下限値は通常0質量%である。
前記その他の共重合性モノマー由来の構造部位を構成するモノマーとしては、例えばフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリレートや、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4'-ブロモベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4'-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4'-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4'-ブロモベンゾフェノン及びこれらの混合物等のベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のビニル系モノマー等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上が含まれていてもよい。
アクリル系重合体(A)が前記その他の共重合性モノマー由来の構造部位を有する場合、その含有割合は、通常20質量%以下であり、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。下限値は通常0質量%である。
また、アクリル系重合体(A)は、側鎖に光活性部位、例えば重合性炭素二重結合基が導入されていてもよい。これにより、粘着剤組成物[I]の架橋効率を高めることができ、より短時間の活性エネルギー線照射により粘着剤組成物[I]を架橋し、生産性を上げたりすることができる。
アクリル系重合体(A)の側鎖に重合性炭素二重結合基を導入する方法としては、例えば上述したヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位や官能基含有エチレン性不飽和モノマー由来の構造部位を有するアクリル系重合体を調製し、その後、これらの官能基と反応しうる官能基と重合性炭素二重結合基とを有する化合物を、重合性炭素二重結合基の活性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法を挙げることができる。
これらの官能基の組み合わせとしては、エポキシ基(グリシジル基)とカルボキシ基、アミノ基とカルボキシ基、アミノ基とイソシアネート基、エポキシ基(グリシジル基)とアミノ基、ヒドロキシ基とエポキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基等を挙げることができる。これらの官能基の組み合わせのなかでも、反応制御のしやすさからヒドロキシ基とイソシアネート基との組み合わせが好ましい。なかでもアクリル系重合体がヒドロキシ基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する組み合わせが好適である。
重合性炭素二重結合基を有するイソシアネート化合物としては、上述した2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
前記官能基と反応しうる官能基と重合性炭素二重結合基とを有する化合物の含有量は、粘着性や応力緩和性を向上させる観点から、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。下限値は通常0質量%である。
アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、粘着性能の点から-15℃以下であることが好ましく、より好ましくは-20℃以下、特に好ましくは-25℃以下である。なお、ガラス転移温度(Tg)の下限値は通常-50℃である。
前記アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定装置を用いて、動的粘弾性を周波数1Hzの剪断モードにて測定した際の損失正接(損失弾性率G"/貯蔵弾性率G'=tanδ)が最大となった温度を読み取ることにより求められる。
例えば、アクリル系重合体(A)を、直径8mmの円柱体(高さ1.0mm)に成型し、これを粘弾性測定装置(T.A.Instruments社製、製品名「DHR 2」)を用いて、以下の測定条件下で、損失正接(tanδ)を測定することができる。
(測定条件)
・測定治具:Φ8mmパラレルプレート
・歪み:0.1%
・周波数:1Hz
・測定温度:-60~100℃
・昇温速度:5℃/分
アクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、凝集力の高い粘着剤組成物[I]が得られ、取り扱い性や均一撹拌性の観点から、60万~150万であることが好ましく、より好ましくは65万~120万、さらに好ましくは70万~110万である。
前記重量平均分子量(Mw)は、例えば以下のようにして求めることができる。
(重量平均分子量の測定方法)
4mgのアクリル系重合体(A)に対して、テトラヒドロフラン(THF)12mLを用いて溶解させたものを測定試料とし、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)分析装置(東ソー社製、HLC-8320GPC)を用いて、下記の条件で分子量分布曲線を測定することで、重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
・ガードカラム:TSKguardcolumnHXL
・分離カラム:TSKgelGMHXL(4本)
・温度:40℃
・注入量:100μL
・ポリスチレン換算
・溶媒:THF
・流速:1.0mL/分
粘着剤組成物[I]におけるアクリル系重合体(A)の含有割合は、通常40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは55質量%以上である。なお、上限は通常99質量%であり、好ましくは80質量%、特に好ましくは70質量%である。
〔塩素原子含有樹脂(B)〕
本発明で用いる塩素原子含有樹脂(B)は、塩素原子を含有するものであればよく、例えばポリ塩化ビニリデン(B1)及び/又はポリ塩化ビニル(B2)を含む樹脂等が挙げられる。また、前記ポリ塩化ビニリデン(B1)又は塩化ビニル(B2)には、ポリ塩化ビニリデン(B1)単位とポリ塩化ビニル(B2)単位とが共重合(ランダム共重合やブロック共重合)した樹脂も含まれる。
なかでも、屈折率とガラス転移温度の関係からポリ塩化ビニリデン(B1)を含むことが好ましい。
前記ポリ塩化ビニリデン(B1)としては、例えば塩化ビニリデンの単独重合体であってもよいし、塩化ビニリデンと共重合可能な他のモノマーとの共重合体である塩化ビニリデン共重合体であってもよい。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
前記他のモノマーとしては、例えば塩化ビニル、炭素数1~18のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、スチレン等の芳香族ビニル、炭素数1~18の脂肪族カルボン酸のビニルエステル、炭素数1~18のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル、ビニル重合性不飽和カルボン酸、ビニル重合性不飽和ポリカルボン酸のアルキルエステル等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチルが好ましく、柔軟性、及び低コスト性の点から塩化ビニルが特に好ましい。
塩化ビニリデンと他のモノマーとの割合は、質量基準で塩化ビニリデン/他のモノマー=80/20~20/80であることが好ましく、70/30~30/70であることがより好ましく、60/40~40/60であることが特に好ましい。
塩素原子含有樹脂(B)の密度は、通常1.0~2.0g/cm3であり、好ましくは1.3~1.9g/cm3、より好ましくは1.5~1.8g/cm3である。
前記塩素原子含有樹脂(B)の含有量は、屈折率を高くでき、高い透明性を維持できる点から、前記アクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の含有割合(質量比)が99/1~30/70であることが好ましく、97/3~40/60であることがより好ましく、95/5~50/50が特に好ましく、90/10~55/45が殊に好ましい。
[光重合開始剤(C)]
前記粘着剤組成物[I]は、さらに光重合開始剤(C)を含有することが好ましい。
前記光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線によってラジカルを発生する化合物であれば特に限定されない。
光重合開始剤(C)は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類され、開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光重合開始剤と、励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることができる水素引抜型光重合開始剤と、に大別される。
光重合開始剤(C)としては、開裂型光重合開始剤及び水素引抜型光重合開始剤のいずれであってもよく、それぞれ単独に使用しても両者を混合して使用してもよく、さらに、各々について1種又は2種以上を併用してもよい。
本発明においては、アクリル系重合体(A)自体に炭素間二重結合のような官能基を必要とせず、効率的に架橋できる点から、水素引抜型光重合開始剤を用いることが好ましい。
前記開裂型光重合開始剤としては、例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-[4-{4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル}フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、フェニルグリオキシリック酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイドや、それらの誘導体等を挙げることができる。
前記水素引抜型光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、4-メチル-ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、ベンゾイル蟻酸メチル、ビス(2-フェニル-2-オキソ酢酸)オキシビスエチレン、4-(1,3-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキソトリデシル)ベンゾフェノン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、3-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノンやその誘導体等を挙げることができる。なかでも、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンが好ましい。
前記光重合開始剤(C)の含有量は、通常アクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の合計100質量部に対して0.1~10質量部、なかでも0.5~5質量部、そのなかでも1~3質量部であることが好ましい。かかる含有量が前記下限値以上であると硬化不良を防げる傾向があり、前記上限値以下であると粘着剤組成物[I]から析出する等の溶液安定性の低下を抑えやすく、脆化や着色の問題を抑制しやすい傾向がある。
[架橋剤(D)]
粘着剤組成物[I]は、アクリル系重合体(A)及び塩素原子含有樹脂(B)の他に、架橋剤(D)を含有させてもよい。
粘着剤組成物[I]が、架橋剤(D)を含むことにより、粘着剤組成物[I]が架橋構造を形成し、粘着層(粘着シート)に凝集力や適度な靭性を付与することができる。粘着層が適度な靭性を有することで、画像表示装置構成部材の表面がうねったり、裁断時に粘着層が変形して割れたりするのを防ぐことができる。
架橋剤(D)は、粘着剤組成物[I]に架橋構造を形成する化合物及び/又は組成物であり、例えば2以上の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーや(メタ)アクリル系オリゴマー等を挙げることができる。これらは単独又は2種以上併せて用いることができる。
2以上の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリングリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε-カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
なかでも、硬化物に適度な靭性を付与する観点から、(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、そのなかでも、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール骨格を有する多官能(メタ)アクリル系モノマー、とりわけ2官能(メタ)アクリル系モノマーがより好ましい。
2以上の官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーの重量平均分子量は、硬化物に適度な柔軟性を付与する観点から、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、250以上がさらに好ましい。なお、上限は通常1000である。
また、粘着剤組成物[I]を可視光によって硬化させた際には、靭性の高い硬化物を得ることができる。言い換えれば、適度な柔軟性を有する硬化物を得ることができる観点からは、架橋剤(D)としては、2以上の官能基を有する(メタ)アクリル系オリゴマーが好ましく、重量平均分子量3000以上が好ましく、より好ましくは5000以上、さらに好ましくは8000以上、特に好ましくは10000以上である。重量平均分子量の上限値は通常10万である。
前記重量平均分子量の測定は、必要に応じて、前記アクリル系重合体(A)の重量平均分子量の測定方法を準用する。
2以上の官能基を有する(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。
なかでも、硬化物に適度な靭性を付与する観点から、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましい。
架橋剤(D)の含有量は、粘着シートの形状安定性や、積層体としたときの耐久性を付与することができる観点から、アクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の合計100質量部に対して、通常1質量部以上であり、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がさらに好ましく、10質量部以上が特に好ましい。
架橋剤(D)の含有量の上限値に関しては、粘着性を担保する観点から、アクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の合計100質量部に対して、通常100質量部以下であり、60質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
また、前記架橋剤(D)に加えて、架橋密度をより向上して長期信頼性を改善する点から熱架橋剤(D')を併用することもできる。
かかる熱架橋剤(D')としては、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。これらのなかでもアクリル系重合体(A)との反応性に優れる点で、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
[その他の成分]
粘着剤組成物[I]は、「その他の成分」として、本発明の効果を損なわない限度で必要に応じて、例えば可塑剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、防錆剤、粘着付与樹脂や、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、老化防止剤、吸湿剤、防錆剤、無機粒子等の各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
また、必要に応じて、三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物等の反応触媒を適宜含有してもよい。
これらは単独又は2種以上併せて用いることができる。
(可塑剤)
可塑剤は、弾性率の高い樹脂を軟化させることで、加工性、フレキシブル性を向上するための材料である。前記可塑剤としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。なかでも、塩素原子含有樹脂(B)との相溶性から、ポリ塩化ビニルが好ましい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、構造中に反応性官能基と、ケイ素原子と結合したアルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物である。前記反応性官能基としては、例えばエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基が挙げられ、これらのなかでも、耐久性のバランスの点からエポキシ基、メルカプト基が好ましい。
前記ケイ素原子と結合したアルコキシ基としては、耐久性と保存安定性の点から炭素数1~8のアルコキシ基を含有することが好ましく、特に好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。
なお、シランカップリング剤は、反応性官能基及びケイ素原子と結合したアルコキシ基以外の有機置換基、例えばアルキル基、フェニル基等を有していてもよい。
本発明で用いられるシランカップリング剤としては、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のシラン化合物であるモノマー型のエポキシ基含有シランカップリング剤や、前記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したり、前記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したシラン化合物であるオリゴマー型エポキシ基含有シランカップリング剤;
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン化合物であるモノマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤や、前記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したり、前記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したシラン化合物であるオリゴマー型メルカプト基含有シランカップリング剤;
3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、耐久性に優れる点から、エポキシ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤が好ましく用いられ、なかでもエポキシ基含有シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の含有量としては、アクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.005~10質量部であることが好ましく、特に好ましくは0.01~5質量部、さらに好ましくは0.05~1質量部である。かかる含有量が前記下限値以上であると耐久性が向上する傾向があり、前記上限値以下であると耐久性が向上する傾向がある。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独又は2種以上併せて用いることができる。
紫外線吸収剤の含有量としては、アクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部である。かかる含有量が前記下限値以上であると耐光信頼性が向上する傾向があり、前記上限値以下であると耐黄変性が向上する傾向がある。
(防錆剤)
防錆剤としては、例えばトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類等が好ましく、光学部材が腐食するのを防止することができる。
防錆剤の含有量は、アクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の合計100質量部に対して0.01~5質量部であるのが好ましく、なかでも0.1質量部以上3質量部以下であることが好ましい。
前記その他の成分の含有量は、アクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の合計100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、特に好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下であり、下限値は通常0質量部である。かかる含有量が多すぎるとアクリル系重合体(A)との相溶性が低下し、耐久性が低下する傾向がある。
粘着剤組成物[I]は、アクリル系重合体(A)及び塩素原子含有樹脂(B)、好ましくは光重合開始剤(C)、必要に応じてさらに架橋剤(D)、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、防錆剤、その他の成分をそれぞれ所定量混合することにより調製される。
かくして粘着剤組成物[I]が得られ、この粘着剤組成物[I]から、本粘着シートが形成される。
また、本粘着シートは、粘着剤組成物[I]から形成されてなる粘着層(「本粘着層」とも称する)のみからなる単層シートであっても、本粘着層が複数積層されている複層シートであってもよい。
<本粘着シート>
本粘着シートは、次のような物性を有することができる。
(屈折率)
本粘着シートは、25℃におけるD線波長(589nm)により測定される屈折率(α)が1.48~1.56である。屈折率(α)を前記範囲とすることにより、光学部材、特には光学ガラスとの屈折率の差を少なくすることができ、積層体とした時の透明性に優れるようになる。
(ゲル分率)
本粘着シートのゲル分率は、30~95質量%であることが好ましく、より好ましくは35~90質量%、さらに好ましくは40~85質量%である。前記下限値以上であると、経時での糊はみだしのリスクが低減できる傾向があり好ましい。
前記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安になるものであり、後述の実施例に記載の測定条件で測定することができる。
(粘着力)
本粘着シートのガラスへの粘着力(剥離角度:180°、剥離速度300mm/分)は、1~30N/cmが好ましく、より好ましくは2~20N/cm、さらに好ましくは3~15N/cmである。かかる範囲であると、十分な粘着性があり、画像表示装置用の粘着シートとして好適に用いられる傾向がある。
前記粘着力は、後述の実施例に記載の測定条件で測定することができる。
(透明性、ヘイズ)
本粘着シートは、目視観察にて透明性を有するものであり、透明性は粘着剤組成物が均一に相溶していることを示すものである。
また、本粘着シートは、ヘイズが1.0%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがさらに好ましく、特に0.5%以下であることがより好ましい。
本粘着シートのヘイズが1.0%以下であることにより、画像表示装置用の用途に使用することができる。
本粘着シートのヘイズを前記範囲にするためには、本粘着シートが有機粒子等の粒子を含まないことが好ましい。ヘイズは後述の実施例に記載の測定方法で測定することができる。
(厚み)
本粘着シートの厚みは、特に制限されるものではなく、その厚みが10μm以上であれば、ハンドリング性が良好であり、また、厚みが1000μm以下であれば、本粘着シートの薄型化に寄与することができる。
よって、本粘着シートの厚みは、10μm以上であることが好ましく、中でも15μm以上、特に20μm以上、更に25μm以上であることがより好ましい。
一方、上限に関しては、1000μm以下であることが好ましく、中でも500μm以下、特に250μm以下、更に100μm以下、殊には75μm以下であることがさらに好ましい。
〔本粘着シートの製造方法〕
次に、本粘着シートの製造方法について説明する。
但し、以下の説明は、本粘着シートを製造する方法の一例であり、本粘着シートはかかる製造方法により製造されるものに限定されるものではない。
本粘着シートの作製においては、アクリル系重合体(A)及び塩素原子含有樹脂(B)、好ましくは光重合開始剤(C)、必要に応じてその他の成分等を含有する粘着剤組成物[I]を調製し、当該粘着剤組成物[I]をシート状に成形し、架橋すなわち重合反応させて硬化させ、必要に応じて適宜加工を施すことにより、本粘着シートを作製すればよい。
また、本粘着シートの作製においては、前記と同様にして本粘着シート形成用の粘着剤組成物[I]を調製し、これを部材シート又はフレキシブル画像表示装置構成部材上にコーティングし、当該粘着剤組成物[I]を硬化させることにより、本粘着シートを形成すればよい。
但し、この方法に限定するものではない。
前記粘着剤組成物[I]を調製する際は、前記原料を、温度調節可能な混練機(例えば一軸押出機、二軸押出機、プラネタリーミキサー、二軸ミキサー、加圧ニーダー等)を用いて混練すればよい。
なお、種々の原料を混合する際、シランカップリング剤、酸化防止剤等の各種添加剤は、予め樹脂と共にブレンドしてから混練機に供給してもよいし、予め全ての材料を溶融混合してから供給してもよいし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもよい。
粘着剤組成物[I]をシート状に成形する方法としては、公知の方法、例えばウェットラミネーション法、ドライラミネート法、Tダイを用いる押出キャスト法、押出ラミネート法、カレンダー法やインフレーション法、射出成形、注液硬化法等を採用することができる。中でも、シートを製造する場合は、ウェットラミネーション法、押出キャスト法、押出ラミネート法が好適である。
また、粘着剤組成物[I]は、活性エネルギー線を照射し硬化させることにより、硬化物とすることができる。なお、活性エネルギー線の照射の他に、加熱してさらに硬化を図ることもできる。
特に、粘着剤組成物[I]を成形体、例えばシート状に成形したものに、活性エネルギー線を照射することにより、本粘着シートを製造することができる。
また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法等に関しては特に限定されず、光重合開始剤(C)を活性化させてモノマー成分を重合できればよい。
光重合開始剤(C)として水素引抜型光重合開始剤を用いた場合、アクリル系重合体(A)からも水素引抜反応を起こして、アクリル系重合体(A)が架橋構造に取り込まれ、架橋点が多い架橋構造を形成することができる。
したがって、本粘着シートは水素引抜型光重合開始剤を用いて硬化してなるものであることが好ましい。
また、本粘着シートの製造方法の別の実施態様として、粘着剤組成物[I]を適切な溶剤に溶解させ、各種コーティング手法を用いて実施することもできる。
コーティング手法を用いた場合、前記の活性エネルギー線照射による硬化の他、熱硬化させることにより、本粘着シートを得ることもできる。コーティングの場合、本粘着シートの厚みは塗工厚みと塗工液の固形分濃度によって調整できる。
例えば、粘着剤組成物[I]を溶剤に溶解した後、離型フィルムにコーティングして乾燥し、活性エネルギー線照射により硬化し、本粘着シートを形成することができる。さらに、必要に応じて離型フィルムを積層してもよい。この場合、離型フィルムにコーティングして乾燥し、活性エネルギー線照射により硬化し、その上に離型フィルムを積層してもよいし、また、離型フィルムにコーティングして乾燥し、離型フィルムを積層した後、活性エネルギー線照射により硬化し本粘着シートを形成してもよい。
かかる溶剤としては、粘着剤組成物[I]を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤が挙げられる。これらは単独で又は2種以上併せて用いることができる。中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンが好ましく、特に酢酸エチルが好適に用いられる。
溶剤の含有量としては、乾燥性から、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、1~600質量部が好ましく、50~500質量部がより好ましく、100~400質量部がさらに好ましく、150~300質量部が特に好ましい。
前記コーティング方法としては、例えばロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷、バーコーティング等の慣用の方法により行なうことができる。
前記乾燥後における粘着剤組成物[I]中の溶剤含有量としては1質量%以下となることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。
乾燥温度としては、通常40~150℃であり、より好ましくは45~140℃、さらに好ましくは50~130℃、特に好ましくは55~120℃である。前記温度範囲であると、離型フィルムの熱変形を抑えつつ、効率的かつ比較的安全に溶剤を除去できる。
乾燥時間としては、通常1~30分間であり、より好ましくは3~25分間、さらに好ましくは5~20分間である。前記時間範囲であると、効率的かつ充分に溶剤を除去できる。
乾燥方法としては、例えば乾燥機、熱ロールによる乾燥、フィルムに熱風を吹き付ける乾燥等が挙げられる。中でも、乾燥機を用いることが均一かつ容易に乾燥できる点から好ましい。これらは単独で又は2種以上併せて用いることができる。
前記活性エネルギー線照射における活性エネルギー線としては、例えば遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線、可視光線等の光線、X線、α線、β線、γ線、電子線、プロトン線、中性子線等の電離性放射線が挙げられる。中でも、光学装置構成部材へのダメージ抑制や反応制御の観点から紫外線が好適である。また、硬化速度、照射装置の入手のしやすさ、価格等からも、紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射の光源としては、150~450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いることが挙げられる。中でも、高圧水銀ランプを用いることが好ましい。
活性エネルギー線照射量(積算光量)としては、硬化の点から、30~3000mJ/cm2が好ましく、より好ましくは100~2000mJ/cm2、さらに好ましくは300~1500mJ/cm2の条件で行われる。
活性エネルギー線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化度を上げることもできる。
前記にて得られた粘着シートの少なくとも片面に、ブロッキング防止や異物付着防止の観点から、離型フィルムを設けることもできる。
かかる離型フィルムとしては、公知の離型フィルムを適宜用いることができる。
離型フィルムの材質としては、例えばポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、フッ素樹脂フィルム等のフィルムに、シリコーン樹脂を塗布して離型処理したものや、離型紙等を適宜選択して用いることができる。
離型フィルムの厚みは、特に制限されない。中でも、例えば加工性及びハンドリング性の観点からは、10~250μmであることが好ましく、その中でも25~200μm、その中でも35~190μmであることがさらに好ましい。
また、必要に応じて、エンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状等)加工を行ってもよい。また、各種部材シートへの接着性を向上させる目的で、表面にコロナ処理、プラズマ処理及びプライマー処理等の各種表面処理を行ってもよい。
本粘着シートは、粘着剤組成物[I]からなる粘着層(本粘着シート)の片面又は両面に、離型フィルムを積層して離型フィルム付き粘着シート(粘着シート積層体)として提供することもできる。
本粘着シートは、画像表示装置構成部材の貼合に好適に使用されるものである。具体的には、画像表示装置を構成する部材の粘着部品として使用される。
<画像表示装置用積層体>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置用積層体(以下、「本画像表示装置用積層体」と称する)は、本粘着シートがガラスに積層されたものである。
前記ガラスとしては特に限定されず、例えば無アルカリガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、アルミノケイ酸ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
前記ガラスの厚みは、10~50μmであることが透明性の点から好ましく、15~45μmであることが特に好ましい。
<画像表示装置>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置(以下、「本画像表示装置」と称する)は、前記本画像表示装置用積層体を備える画像表示装置である。
本画像表示装置の一例として、本画像表示装置用積層体と、画像表示装置構成部材とを組み合わせてなる構造を備えた画像表示装置を挙げることができる。
この際、「画像表示装置構成部材」とは、例えばFPCケーブル、反射シート、導光板と光源、拡散フィルム、プリズムシート、液晶パネル、有機ELパネル、反射防止フィルム、カラーフィルター、偏光板、位相差板、ガラス基板、表面保護フィルムおよび、これら部材を複合一体化したもの等を挙げることができる。
本画像表示装置の具体例としては、例えば、パソコン、モバイル端末(PDA)、ゲーム機、テレビ(TV)、カーナビ、タッチパネル、ペンタブレット等に使用される液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー、プラズマディスプレイおよびマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ディスプレイ等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中、「部」、「%」とあるのは、質量基準を意味する。
<原料>
実施例に先立って、粘着剤組成物に用いた各成分について説明する。
<アクリル系重合体(A)>
下記の表1に示す通りの共重合成分組成にてアクリル系重合体(A-1)及び(A-2)を用意した。
Figure 2023094052000001
<塩素原子含有樹脂(B)>
・Ixan SGA-1(SOLVAY社製、主成分:ポリ塩化ビニリデン/ポリ塩化ビニルのランダム共重合体)
<光重合開始剤(C)>
・Esacure TZT(IGM社製、4-メチルベンゾフェノンと2,4,6-トリメチルベンゾフェノンの混合物(水素引抜型))
[実施例1~3、及び比較例1]
後記の表2に示す通りの配合組成にて、アクリル系重合体(A)、塩素原子含有樹脂(B)、光重合開始剤(C)、溶剤としての酢酸エチルを均一混合し、粘着剤組成物溶液(固形分濃度33%)を得た。
前記粘着剤組成物溶液を、離型フィルム(三菱ケミカル社製、シリコーン剥離処理ポリエステルフィルム、厚み100μm)上に、乾燥後の厚みが50μmとなるようコーティングした。コーティング後、温度90℃に加熱した乾燥機内に入れて7分間保持し、粘着剤組成物が含有する溶剤を揮発乾燥させた。
さらに、溶剤を乾燥させた当該粘着剤組成物の表面に、離型フィルム(三菱ケミカル社製、シリコーン剥離処理ポリエステルフィルム、厚み75μm)を積層した積層体を形成し、高圧水銀ランプを用いて、前記離型フィルムを介して前記粘着剤組成物に対して、紫外線照射を行い(各照射量については表2参照)、粘着シート積層体(離型フィルム付粘着シート)を得た。
得られた粘着シート積層体について、以下の評価を行った。
<屈折率>
アッベ屈折率計(アタゴ社製「NAR-4T」)を使用し、25℃で測定波長589nmにて測定した。
<ゲル分率>
実施例及び比較例で作製した各粘着シート積層体から離型フィルムを取り除き、粘着シートを複数層積層することで厚み1.0mmの積層体とした後、直径8mmの円柱体を打ち抜き、サンプルとした。前記サンプルの質量を測定し、これを予め質量を測定した200メッシュのSUS製金網で包み、23℃に調整した酢酸エチル中に72時間浸漬し、その後75℃で4.5時間乾燥させ、質量を測定した。酢酸エチル浸漬の前後における粘着剤の質量の差を金網中に残存した不溶解の粘着剤の質量とした。そして、酢酸エチル浸漬前における粘着剤の質量に対する、金網中に残存した不溶解の粘着剤の質量百分率をゲル分率(%)として算出した。
<ヘイズ>
得られた粘着シート積層体のヘイズ(%)は、JIS K7136:2000に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業社製「Haze Meter NDH7000IINDH5000」)により測定した。
<粘着力>
実施例及び比較例で作製した各粘着シート積層体から、一方の離型フィルムを取り除いた粘着シート積層体の粘着面に、裏打ちフィルムとして150WATT・min/m2でコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製、ダイアホイル「S100」、厚み50μm)をハンドローラーにてロール貼合した。これを、10mm幅×150mm長の短冊状に裁断し、残る離型フィルムを剥がして露出した粘着面を、ガラス板にハンドローラーを用いてロール貼合して、ガラス/粘着シート/裏打ちフィルムからなる積層シートを作製し、この積層シートを室温(23℃)環境下に置いて24時間静置して養生し、粘着力測定サンプルを作製した。
裏打ちフィルムを、ガラスと180°をなす角度に剥離速度300mm/分にて引っ張りながら、剥離し、ロードセルで引張強度を測定して、粘着シートのガラスに対する180°剥離強度(N/10mm)を測定し、粘着力(23℃)とした。
前記測定、評価によって得られた結果を下記の表2に示す。
Figure 2023094052000002
前記の評価結果より、アクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)とりわけポリ塩化ビニリデン(B1)及びポリ塩化ビニル(B2)を含む樹脂を含有する粘着剤組成物から形成された実施例1~3の粘着シートは屈折率が高く、ガラスとの屈折率差が少ないものとなった。そのため、ガラスとの積層においても視認性に優れるものとなり、さらには、粘着性能にも優れるものであった。
これに対し、塩素原子含有樹脂(B)を含まない粘着剤組成物から形成された比較例1の粘着シートは、ガラスとの屈折率差が大きくなり、視認性に劣るものであった。
本発明においては、追従性と高い屈折率を有しながら、透明性に優れ粘着性能に優れた粘着シートを得ることができる。このため、様々な画像表示装置を得るための粘着シートとして有用である。

Claims (10)

  1. アクリル系重合体(A)及び塩素原子含有樹脂(B)を含有する粘着剤組成物[I]から形成される粘着シートであり、25℃におけるD線波長(589nm)により測定される屈折率(α)が1.48~1.56である粘着シート。
  2. 前記塩素原子含有樹脂(B)が、ポリ塩化ビニリデン(B1)及び/又はポリ塩化ビニル(B2)を含む樹脂である請求項1記載の粘着シート。
  3. 前記粘着剤組成物[I]におけるアクリル系重合体(A)と塩素原子含有樹脂(B)の含有割合(質量比)が、99/1~30/70である請求項1または2記載の粘着シート。
  4. 前記アクリル系重合体(A)が、炭素数1~6のアルキル基を有する(メタ)アクリレート由来の構造部位及びヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位を有するアクリル系重合体である請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 前記アクリル系重合体(A)中におけるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位の含有割合が1~40質量%である請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着シート。
  6. 前記アクリル系重合体(A)の重量平均分子量が60万~150万である請求項1~5のいずれか一項に記載の粘着シート。
  7. 前記粘着剤組成物[I]が光重合開始剤(C)を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着シート。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の粘着シートがガラスに積層された画像表示装置用積層体。
  9. 前記ガラスの厚みが10~50μmである請求項8記載の画像表示装置用積層体。
  10. 請求項8または9記載の画像表示装置用積層体を備える画像表示装置。
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