JP2023093836A - ゴルフボール用ゴム部材の製造方法 - Google Patents

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潤 進藤
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Abstract

【解決手段】下記(a)~(d)成分(a)基材ゴム(b)共架橋剤(c)水及び/又は分子量200未満の低級アルコール(d)脂肪酸金属塩を含有するゴム組成物を混錬する工程を有するゴルフボール用ゴム部材の製造方法であって、(d)成分の脂肪酸金属塩は、体積基準の累積90%の粒子径が500μm以下であると共に、(a)~(d)成分を混錬した時の最高到達温度が、(c)成分の沸点以下であり、且つ(d)成分の融点以下であるように混錬を行うことを特徴とするゴルフボール用ゴム部材の製造方法。【効果】本発明の製造方法によれば、中心と表面との硬度差を大きくするために用いる水又は低級アルコ-ルの効果を確実に得ることができ、また、ゴム組成物中に脂肪酸金属塩が凝集等により残留することなく共架橋剤の分散性を高めると共に、架橋反応の促進性を高め、その結果、ゴルフボールの打撃耐久性を確実に高く得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴルフボール用コアなどに用いられるゴルフボール用ゴム部材の製造方法に関する。
コアなどに用いられるゴルフボール用ゴム組成物において、基材ゴムとして主に用いられるポリブタジエンにはアクリル酸亜鉛等の共架橋剤が配合されることが多い。最近では、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩を添加することにより、特開平9-202747号公報に記載されるように共架橋剤の分散性を改善したり、または、有機過酸化物架橋における共架橋剤の反応を促進することが知られている。
しかしながら、ゴム組成物中の脂肪酸金属塩の分散不良や凝集が発生した場合には、ゴム組成物を加硫成形したコアの打撃耐久性が低下するおそれがある。
また、最近では、コアの断面硬度を適宜調整することで特異なコア硬度傾斜を実現し、ドライバーやアイアンのフルショット時のスピン特性適正化による飛距離向上を達成する技術が種々提案されている。コアの表面と中心との硬度差をより拡大することがドライバーのフルショット時のスピンを低減させる効果が分かっており、このフルショット時のスピン低減化は、飛距離向上の実現につながることが知られている。コアの表面と中心との硬度差を拡大してフルショット時のボールの低スピン化を実現させる新しい技術としては、特開2015-47502号公報(対応する米国特許出願公開第2015-0065268号明細書)に記載されたゴルフボールが挙げられる。この公報には、コア用ゴム組成物に水を配合させて加硫成形してコアを得ている。また、特開2019-213606号公報(対応する米国特許出願公開第2019-0375917号明細書)に記載されたゴルフボールが挙げられる。この公報には、コア用ゴム組成物に低級アルコールを配合させて加硫成形してコアを得ている。
しかしながら、上記のようにゴム組成物に水やアルコールを配合する場合には、これらの成分の揮発によって、本来含有することで得られる効果が十分に発揮されないことがある。
特開平9-202747号公報 特開2015-47502号公報 米国特許出願公開第2015-0065268号明細書 特開2019-213606号公報 米国特許出願公開第2019-0375917号明細書
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、コアの表面と中心との硬度差を拡大したゴルフボールにおいて、上記硬度差が安定して得られ、且つ、共架橋剤の分散性と架橋反応性に優れ、高い打撃耐久性が確実に得られるゴルフボール用ゴム部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、表面と中心との硬度差を拡大したコアを得るために、コア用ゴム組成物の配合成分を、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)水及び/又は分子量200未満の低級アルコール、(d)脂肪酸金属塩の上記(a)~(d)成分を含有すると共に、これらの成分を混錬する工程において、用いる(d)成分の脂肪酸金属塩として、体積基準の累積90%の粒子径が500μm以下のものを採用し、(a)~(d)成分を混錬した時の最高到達温度が、(c)成分の沸点以下、且つ(d)成分の融点以下となるように混錬を行うことにより、(d)成分がゴム組成物中に凝集や析出等により不均一に残留することなく(b)共架橋剤のゴム組成物中への分散性を高め、架橋反応の促進性が高くなり、その結果、ゴルフボールの打撃耐久性を確実に高く得ることができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記のゴルフボール用ゴム部材の製造方法を提供する。
1.下記(a)~(d)成分
(a)基材ゴム
(b)共架橋剤
(c)水及び/又は分子量200未満の低級アルコール
(d)脂肪酸金属塩
を含有するゴム組成物を混錬する工程を有するゴルフボール用ゴム部材の製造方法であって、(d)成分の脂肪酸金属塩は、体積基準の累積90%の粒子径が500μm以下であると共に、(a)~(d)成分を混錬した時の最高到達温度が、(c)成分の沸点以下であり、且つ(d)成分の融点以下であるように混錬を行うことを特徴とするゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
2.(d)成分の脂肪酸金属塩の炭素数が30以下である上記1記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
3.(d)成分の脂肪酸金属塩が飽和脂肪酸金属塩である上記1又は2記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
4.(d)成分の脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛である上記3記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
5.(d)成分の脂肪酸金属塩の体積基準の累積90%の粒子径が300μm以下である上記1~4のいずれかに記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
6.(d)成分の配合量が、(a)成分100質量部に対して10質量部以下である上記1~5のいずれかに記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
7.更に、上記ゴム組成物には有機過酸化物を含む上記1~6のいずれかに記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
8.更に、上記ゴム組成物には有機硫黄化合物を含む上記1~7のいずれかに記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
9.上記ゴルフボール用ゴム部材がゴルフボール用コアであり、該コアの表面と中心との硬度差がJIS-C硬度で20以上である上記1~8のいずれかに記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
本発明のゴルフボール用ゴム部材の製造方法は、中心と表面との硬度差を大きくするために用いる水成分又は低級アルコ-ル成分による効果を確実に得ることができ、また、ゴム組成物中に脂肪酸金属塩が凝集や析出等により不均一に残留することなく共架橋剤の分散性を高めると共に、架橋反応の促進性を高め、その結果、ゴルフボールの打撃耐久性を確実に高く得ることができる。
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボール用ゴム部材の製造方法においては、下記(a)~(d)成分
(a)基材ゴム
(b)共架橋剤
(c)水及び/又は分子量200未満の低級アルコール
(d)脂肪酸金属塩
を含有するゴム組成物を混錬する工程を有する。
上記(a)成分の基材ゴムについては、特に制限されるものではないが、特にポリブタジエンを用いることが好適である。
上記のポリブタジエンは、そのポリマー鎖中に、シス-1,4-結合を60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上有することが好適である。ポリブタジエン分子中の結合に占めるシス-1,4-結合が少なすぎると、反発性が低下する場合がある。
また、上記ポリブタジエンに含まれる1,2-ビニル結合の含有量としては、そのポリマー鎖中に、通常2%以下、好ましくは1.7%以下、更に好ましくは1.5%以下である。1,2-ビニル結合の含有量が多すぎると、反発性が低下する場合がある。
上記ポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、好ましくは20以上、より好ましくは30以上であり、上限としては、好ましくは120以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは80以下である。
なお、上記ムーニー粘度とは、回転可塑度計の1種であるムーニー粘度計で測定される工業的な粘度の指標(JIS K 6300)であり、単位記号としてML1+4(100℃)を用いる。また、Mはムーニー粘度、Lは大ロータ(L型)、1+4は予備加熱時間1分間、ロータの回転時間は4分間を示し、100℃の条件下にて測定したことを示す。
上記ポリブタジエンは、希土類元素系触媒やVIII族金属化合物触媒を用いて合成したものを使用することができる。
なお、基材ゴム中には、上記ランタン系列希土類元素化合物とは異なる触媒にて合成されたポリブタジエンゴムを配合してもよい。また、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等を配合してもよく、これら1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
ゴム全体に占める上記ポリブタジエンの割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。また、基材ゴムの100質量%、即ち基材ゴムの全てが上記ポリブタジエンであってもよい。
次に、(b)成分は共架橋剤であり、α,β-不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩である。この不飽和カルボン酸の炭素数は、3~8個であることが好適であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。上記の不飽和カルボン酸の金属として具体的には、亜鉛、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等が挙げられ、特に亜鉛が好ましい。従って、共架橋剤としては、アクリル酸亜鉛が最も好ましい。
(b)成分の配合量は、上記(a)成分の基材ゴム100質量部に対し、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、上限としては、好ましくは65質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは55質量部以下である。上記配合量が上記範囲より少ないと、軟らかくなり過ぎて反発性が悪いものとなり、上記範囲より多いと、硬くなり過ぎて打球感が悪くなるとともに、脆く耐久性に劣るものとなる。
(b)成分の共架橋剤は、平均粒度3~30μmを有することが好ましく、より好ましくは5~25μm、更に好ましくは8~15μmである。上記共架橋剤の平均粒度が3μm未満では、ゴム組成物中で凝集しやすく、アクリル酸同士の反応性が向上してしまい、基材ゴム同士の反応性が減少してしまうため、ゴルフボールの反発性能を十分に得られないことがある。上記共架橋剤の平均粒度が30μmを超えると、共架橋剤粒子が大きくなり過ぎてしまい、得られるゴルフボールの特性のバラツキが大きくなる。
次に、本発明に用いられる(c)成分の水については、特に制限はなく、蒸留水であっても水道水であってもよいが、特には、不純物を含まない蒸留水を使用することが好適に採用される。水の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上配合することが好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であり、上限としては、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下である。
また、上記の水を適量配合することにより、加硫前のゴム組成物における水分含有率が1000ppm以上となることが好ましく、より好ましくは1500ppm以上である。上限としては、好ましくは8500ppm以下であり、より好ましくは8000ppm以下である。上記ゴム組成物の水分含有率が小さすぎると、適切な架橋密度・Tan δを得ることが困難となり、エネルギーロスが少なく低スピン化を図ったゴルフボールを成形することが困難となる場合がある。上記ゴム組成物の水分含有率が大きすぎると、加硫したゴム部材(コア)が軟らかくなりすぎてしまい、適切なコア初速を得ること困難な場合がある。
上記ゴム組成物に水を直接配合することも可能ではあるが、例えば、下記の(i)~(iii)の方法を採用することができる。
(i)スチームや超音波によりミスト状の水をゴム組成物(配合材料)の全部または一部にあてる方法
(ii)ゴム組成物の全部または一部を水に浸漬させる方法
(iii)ゴム組成物の全部または一部を恒湿槽等の湿度管理可能な場所において高湿度環境下に一定時間放置する方法
なお、高湿度環境とはゴム組成物等を湿らせることができる環境であれば特に制限されるものではないが湿度40~100%であることが好ましい。
また、水をゼリー状に加工して上記ゴム組成物に配合することができる。或いは、予め水を、充填剤,未加硫ゴム,ゴム粉等に担持した材料を用い、これを上記ゴム組成物に配合することができる。このような態様は、直接水を配合するよりも作業性に優れるため、ゴルフボールの生産効率を向上させることができる。水を所定量含有させた材料の種類については特に制限はないが、十分に水を含有させた充填剤,未加硫ゴム,ゴム粉等が挙げられ、特に、耐久性や反発性を損なうことがない材料を使用することが好適である。上記の材料の水分含有率としては、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、上限として、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
また、本発明においては、上記の水の代わりに、分子量が200未満の低級アルコールを用いることができる。ここで言うアルコールとは、アルコール性ヒドロキシ基を1個以上もつ物質のことであり、ヒドロキシ基を2個以上もつ多価アルコールを縮重合したものもアルコールに含まれる。また、低級アルコールとは、炭素原子数が少なく、すなわち分子量の小さいアルコールを意味する。この低級アルコールをゴム組成物に含有させることにより、ゴム組成物の加硫(硬化)時に、所望のコア硬度傾斜を有するゴム硬化物(コア)を得ることができ、打撃時のボールの低スピン化を十分に実現させ、飛び性能を優れるものにすることができる。
上記の低級アルコールとしては、6価以下のアルコール(6個以下のアルコール性ヒドロキシ基を有するアルコール)であることが特に好適であり、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジ(トリメチロールプロパン)、ペンタエリトリトール、ソルビトールなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの分子量としては、200未満であり、好ましくは150未満、より好ましくは100未満である。分子量が大きく、即ち、炭素数が多くなりすぎると、所望の加硫したゴム部材(コア)の硬度傾斜が得られず、打撃時のボールの低スピン化を十分に実現させることができなくなる。
上記の低級アルコールの配合量は、基材ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、上限値としては、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。この配合量が多すぎると、硬度が軟化し所望の打感や耐久性や反発性が得られず、配合量が少なすぎると、所望のコア硬度傾斜が得られず、打撃時のボールの低スピン化を十分に実現できなくなるおそれがある。
(d)成分は脂肪酸金属塩であり、(b)共架橋剤の分散性を改善し、有機過酸化物架橋における共架橋剤の反応を促進する目的で配合するものである。この脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、炭素数30以下、より好ましくは炭素数12~30を有する脂肪酸である。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸またはリノール酸等が挙げられる。これらの中でも、パルミチン酸又はステアリン酸が好ましい。脂肪酸金属塩の金属イオンとしては、例えば、Li+、Ca++、Mg++、Zn++、Mn++、Al+++、Ni++、Fe++、Fe+++、Cu++、Sn++、Pb++、Co++が挙げられる。
(d)成分の配合量は、上記(a)成分の基材ゴム100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、上限としては、好ましくは10質量部以下、より好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である。上記配合量が上記範囲より少ないと、(b)成分の分散や反応が十分に進まず、十分な加硫ゴム部材の硬度が得られない場合があり、上記範囲より多いと、加硫ゴム部材の反発性が低下することがある。
(d)成分の脂肪酸金属塩は、その粒度分布については、体積基準の累積90%の粒子径が500μm以下であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下である。一方、この下限値は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。この粒子径が上記範囲よりも大きくなると、ゴム組成物の内部に脂肪酸金属塩が凝集等により不均一に残留することで破壊起点となり高い耐久性を維持することが困難になる。なお、上記の粒度分布は、体積基準(体積分布)でマイクロトラック(レーザー回折・散乱法)に基づいたもので、粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが90%となる点の粒子径を示すものである。
上述した(a)~(d)の各成分の他には本発明の効果を妨げない限り、例えば、有機過酸化物、充填材、老化防止剤及び有機硫黄化合物などの各種添加物を配合することができる。
有機過酸化物としては、1分間半減期温度が110~185℃であるものを用いることが好適である。このような有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド(日油社製「パークミルD」)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン(日油社製「パーヘキサ25B」)、ジ(2-t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(日油社製「パーブチルP」)等が挙げられ、ジクミルパーオキサイドを好適に用いることができる。そのほかの市販品としては、「パーヘキサC-40」、「ナイパーBW」、「パーロイルL」等(いずれも日油社製)、または、Luperco 231XL(アトケム社製)などを例示することができる。これらは1種を単独であるいは2種以上を併用してもよい。有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、上限値としては、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
充填材としては、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を好適に用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。充填材の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上とすることができる。また、この配合の上限は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは40質量部以下とすることができる。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると適正な質量、及び好適な反発性を得ることができない場合がある。
老化防止剤としては、特に制限はないが、例えば、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-tertブチルフェノール)、4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tertブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール)などのフェノール系老化防止剤が挙げられ、市販品としてはノクラックNS-6、同NS-30、同NS-5(大内新興化学工業(株)製)等を採用することができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。老化防止剤の配合量については、特に制限はないが、基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、上限として好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.7質量部以下、更に好ましくは0.4質量部以下である。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると、適正な加硫したゴム部材の硬度傾斜が得られずに好適な反発性、耐久性及びフルショット時の低スピン効果を得ることができない場合がある。
有機硫黄化合物としては、特に制限はないが、例えばチオフェノール類、チオナフトール類、ジフェニルポリスルフィド類、ハロゲン化チオフェノール類、又はそれらの金属塩等を挙げることができる。具体的には、ペンタクロロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、パラクロロチオフェノール等の亜鉛塩、硫黄数が2~4のジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジベンゾイルポリスルフィド、ジベンゾチアゾイルポリスルフィド、ジチオベンゾイルポリスルフィド等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。中でも、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、及び/又はジフェニルジスルフィドを好適に用いることができる。
有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上であり、上限として、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下であることが推奨される。有機硫黄化合物の配合量が多すぎると、ゴム組成物の加熱成形物の硬さが軟らかくなりすぎてしまう場合があり、一方、少なすぎると反発性の向上が見込めない場合がある。
本発明の製造方法は、上記(a)~(d)成分を混錬する混錬工程を有する。この混錬工程では、上記(a)~(d)成分を混錬した時の最高到達温度が、(c)成分の沸点以下であり、且つ(d)成分の融点以下であるように混錬を行うことを特徴とする。上記の最高到達温度が(c)成分の沸点を超えてしまうと、(c)成分が揮発してしまい、狙い通りの加硫したゴム部材の表面と中心との硬度差が得られるなるおそれがある。また、最高到達温度が(d)成分の融点以上である場合には、ゴム組成物中の(d)脂肪酸金属塩が溶けてしまい冷却過程での析出等による分散不良を発生させ、作業性や耐久性が悪くなってしまう。
上記の混錬方法は、例えば、ニーダーやロール等の混練機を用いて混練することができ、1ステージで混錬するほか、2ステージ以上で混錬することができる。混錬時間については、好ましくは3~15分、より好ましくは5~11分である。また、混錬する際のミキサー等の回転数は、好ましくは10~50rpm、より好ましくは20~40rpmである。
上記混錬後のゴム組成物は、金型を用いて圧縮成形または射出成型し、有機過酸化物や共架橋剤が作用するのに十分な温度として、約100~200℃、10~40分の条件にて成形体を適宜加熱することにより、該成形体を硬化させてゴム部材を得ることができる。
上記製造方法に得られるゴム部材はゴルフボール用コアとして用いることが好適である。即ち、上記製造方法に得られるゴム部材を、表面と中心との硬度差が大きな硬度傾斜を有するコアとして用いることにより、ドライバー(W#1)打撃時の低スピン効果を付与し、耐久性を高めることができる。
コアの中心硬度については、特に制限はないが、JIS-C規格で、好ましくは40以上、より好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上であり、上限値としては、好ましくは75以下、より好ましくは70以下、さらに好ましくは65以下である。コアの中心硬度が上記範囲を逸脱すると、打感が悪くなり、または耐久性が低下してしまうことがあり、低スピン効果を得ることができない場合がある。
コアの表面硬度については、特に制限はないが、JIS-C規格で、好ましくは65以上、より好ましくは70以上、さらに好ましくは72以上であり、上限値としては、好ましくは95以下、より好ましくは90以下、さらに好ましくは88以下である。コアの表面硬度が上記範囲よりも低すぎると、反発性が低くなり飛距離が十分に得られなくなることがある。また、コアの表面硬度が上記範囲よりも高すぎると、打感が硬くなり過ぎ、また、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。
上記コアの表面と中心との硬度差については、JIS-C硬度で15以上であることが好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは24以上、最も好ましくは30以上であり、上限としては、好ましくは50以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは40以下である。上記硬度差の値が小さすぎると、ドライバー(W#1)打撃時の低スピン効果が足りずに飛距離が出なくなることがある。一方、上記硬度差の値が大きすぎると、ゴルフボールを実打したときのボール初速が低くなり飛距離が出なくなり、または、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。ここで、上記の中心硬度とは、コアを半分に(中心を通るように)切断して得た断面の中心において測定される硬度を意味し、表面硬度は上記コアの表面(球面)において測定される硬度を意味する。また、JIS-C硬度とは、JIS K 6301-1975に規定するスプリング式硬度計(JIS-C形)で測定された硬度を意味する。
また、本発明で用いるコアの硬度傾斜は、該コアの中心から表面に向かって、硬度が同等又は増加するものであって減少するものではないことが好適である。
また、上記コア(加熱成形物)における初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)を負荷した時の圧縮硬度(変形量)については、特に制限はないが、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは2.3mm以上、更に好ましくは2.5mm以上であり、上限としては、好ましくは6.0mm以下、より好ましくは5.5mm以下、更に好ましくは5.0mm以下であることが推奨される。上記の値よりも大きすぎると、コアが軟らかくなりすぎるため、十分な低スピン効果を得られず反発性も低下することがある。また、上記の値よりも小さすぎると、低スピン効果を得られず、打感が硬くなってしまうことがある。
コアの直径としては、特に制限はなく製造するゴルフボールの層構造にも依るが、好ましくは30mm以上、より好ましくは35mm以上であり、上限として、好ましくは41mm以下、より好ましくは40mm以下である。コアの直径がこの範囲を逸脱すると、ボールの初速が低くなり、あるいは適切なスピン特性を得られない場合がある。
上記コアに1層または複数層のカバーを形成してゴルフボールを製造することができる。このカバー材料については、特に制限はないが、ゴルフボールに用いられている各種のアイオノマー樹脂、ウレタンエラストマー等の公知の材料を使用することができる。
また、ボールの低スピン化をより一層実現するために、コアに隣接する層には高度に中和されたアイオノマー材料を用いることが特に好ましい。具体的には、下記(A)~(D)成分を配合した材料を用いることが好ましい。
(A-1)オレフィン-不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン-不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、
(A-2)オレフィン-不飽和カルボン酸-不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン-不飽和カルボン酸-不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを質量比で100:0~0:100になるように配合した(A)ベース樹脂と、(B)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを質量比で100:0~50:50になるように配合した樹脂成分100質量部に対して、
(C)分子量が228~1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5~80質量部と、
(D)上記(A)成分及び(B)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1~17質量部
とを配合する混合材料。特に、上記(A)~(D)成分の混合材料を用いる場合には、酸基が70%以上中和されているものを採用することが好ましい。
また、カバーのうち最外層の材料としては、ウレタン材料、特に熱可塑性ウレタンエラストマーを主材とすることが好適である。
更に、上記コアに隣接する層と最外層カバーとの間には、1層または2層以上のカバー(中間層)を成形してもよい。この場合、中間層材料としては、アイオノマー等の熱可塑性樹脂を用いることが好適である。
上記カバーを得るには、例えば、ボールの種類に応じて予め作製した単層又は2層以上の多層コアを金型内に配備し、上記混合物を加熱混合溶融し、射出成形することにより、コアの周囲に所望のカバーを被覆する方法等を採用できる。この場合、カバーの製造は、優れた熱安定性、流動性、成形性が確保された状態で作業でき、これにより、最終的に得られたゴルフボールは、反発性が高く、その上、打感が良く、耐擦過傷性に優れている。また、カバーの形成方法は、上記のほかに、例えば、カバー材料により予め一対の半球状のハーフカップを成形し、このハーフカップでコアを包んで120~170℃、1~5分間、加圧成形する方法などを採用することもできる。
上記カバーが1層の場合、その厚さは0.3~3.0mmとすることができる。上記カバーが2層の場合、外層カバーの厚さは0.3~2.0mm、内層カバーの厚さは0.3~2.0mmの範囲とすることができる。また、上記カバーを構成する各層(カバー層)のショアD硬度は、特に制限はないが、40以上とすることが好ましく、より好ましくは45以上であり、上限としては、好ましくは70以下、より好ましくは65以下である。
なお、上記カバーの最外層の表面には、多数のディンプルが形成されるものであり、更にカバー上には下地処理、スタンプ、塗装等種々の処理を行うことができる。上記カバーにこのような表面処理を施す場合、カバー表面の成形性が良好であるため作業性を良好にして行うことができる。
本発明の製造方法により得られるコア(ゴム部材)を含むゴルフボールの種類としては、コアと少なくとも1層以上のカバー層を有するものである限り、特に制限されるものではない。例えば、ソリッドコアをカバーで被覆したツーピースやスリーピースソリッドゴルフボール、3層構造以上のマルチピースゴルフボール等のソリッドゴルフボール、更には、糸巻きコアに単層又は2層以上の多層構造のカバーを被覆した糸巻きゴルフボールが挙げられる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1~3,比較例1~5〕
下記表1に示すポリブタジエンを主成分とするゴム組成物を用いて、実施例1~3,比較例1~5のゴム配合(各成分及び配合量)によりコア組成物を調整する。これらのゴム組成物の混合及び成型方法は下記のとおりである。
〔ゴム組成物の混錬方法〕
下記表1に示すA~Dの混錬条件により、(a)~(d)成分を含有するゴム組成物の混錬を東洋精機社製のプラストミルを用いて、30rpm,10分間の条件で行う。また混錬時の温度条件は以下のとおりである。
A:混錬ゴムの到達温度が(c)成分の沸点以上、且つ、(d)脂肪酸金属塩の融点以上
B:混錬ゴムの到達温度が(c)成分の沸点以下、且つ、(d)脂肪酸金属塩の融点以上
C:混錬ゴムの到達温度が(c)成分の沸点以上、且つ、(d)脂肪酸金属塩の融点以下
D:混錬ゴムの到達温度が(c)成分の沸点以下、且つ、(d)脂肪酸金属塩の融点以下
上記により混錬したゴム組成物を155℃、15分間で加硫を行い、直径38.5mmのコアを作製する。
Figure 2023093836000001
下記表1のゴム配合についての詳細は下記のとおりである。
・ポリブタジエンゴム:商品名「BR01」(JSR社製)
・アクリル酸亜鉛:商品名「ZN-DA85S」(85%アクリル酸亜鉛/15%ステアリン酸亜鉛)、日本触媒社製
・酸化亜鉛:商品名「三種酸化亜鉛」(堺化学工業社製)
・老化防止剤:商品名「ノクラックNS-6」(大内新興化学工業社製)
・水:蒸留水
・プロピレングリコール(低級2価アルコール):分子量76.1(林純薬工業社製)
・脂肪酸金属塩(1):商品名「ジンクステアレートG」(融点122℃、体積基準の累積90%の粒子径700μm)日油社製
・脂肪酸金属塩(2):商品名「ジンクステアレートGP」(融点122℃、体積基準の累積90%の粒子径250μm)日油社製
・脂肪酸金属塩(3):商品名「ジンクステアレートGP-200」(融点122℃、体積基準の累積90%の粒子径40μm)日油社製
・有機過酸化物(ジクミルパーオキサイド):商品名「パークミルD」(日油社製)
・ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩:和光純薬工業社製
得られたコアについては、コアの混錬作業性、コア内部の分散性の観察、コアの断面硬度の測定を行う。
ゴム組成物の混錬作業性
下記の基準によりゴム組成物を混錬する際の作業性を評価する。
〇 ・・・ 混錬作業が問題なく良好に行える。
× ・・・ 脂肪酸金属塩のニーダー内部への付着等により分散不良が生じ、混錬作業性が悪い。
コア内部の分散性の観察
加硫コアの断面をマイクロスコープで30倍拡大し、残留物の有無を確認する。
〇 ・・・ 残留物が見つからない。
× ・・・ 残留物が有ることが確認できる。
コアの断面硬度
上記の各実施例及び各比較例の直径38.5mmのコアについて、下記の方法により、表面及び中心の断面硬度を測定し、これらの硬度差を表3に記載する。
ゴム加硫速度
混錬後のゴム組成物について、キュラストメーターを用いて、飽和トルク値の90%時のトルク値になる時間t90値を求め、表3に記載する。測定温度は155℃である。数値が大きいほど、加硫速度が低下することでゴム加硫時間が長くなり、生産性が悪いことを意味する。
(1)コアの表面硬度
23±1℃の温度で、球状のコアの表面部分に硬度計の針を垂直になるようにセットし、JIS-C硬度により、コアの表面の4点をランダムに測定し、その平均値を1個のボールの測定値とし、測定個数3個のコアの平均値を求める。
(2)コアの中心硬度
断面がコアの中心を通るようにコアを平面状にカットして、23±1℃の温度で、上記平断面に硬度計の針を垂直になるようにセットし、JIS-C硬度計により、半球コアの中心の硬度を測定し、1個のボールの測定値とし、測定個数3個のコアの平均値を求める。
カバー(中間層及び最外層)の形成
次に、射出成形用金型を用いて、上記のコア表面の周囲に、表2に示す中間層の材料(アイオノマー樹脂材料)を射出成形し、厚さ1.3mm、ショアD硬度64の中間層を形成する。次いで、別の射出成形用金型を用いて、上記の中間層被覆球体の周囲に、表3に示す最外層材料(ウレタン樹脂材料)を射出成形し、厚さ0.8mm、ショアD硬度40の最外層を形成する。
Figure 2023093836000002
上記表2中の配合成分の詳細は下記のとおりである。
・「ハイミラン1706」「ハイミラン1557」及び「ハイミラン1605」:三井・ダウポリケミカル社製のアイオノマー樹脂
・「TPU」:ディーアイシーコベストロポリマー社製の商品名「パンデックス」、エーテルタイプの熱可塑性ポリウレタン「ショアD硬度40」
・「ポリエチレンワックス」:商品名「サンワックス161P」(三洋化成社製)
・イソシアネート化合物:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
上記製造により得られるゴルフボールの圧縮変形量及び耐久性を下記方法で評価する。その結果を表4に示す。
ボールの圧縮変形量
ボールを、23±1℃の温度で、10mm/sの速度で圧縮し、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)に負荷した時までのボールの圧縮変形量(mm)を計測し、測定個数10個の平均値を求める。
耐久性
米国Automated Design Corporation製のADC Ball COR Durability Testerにより、ボールの耐久性を評価する。この試験機は、ゴルフボールを空気圧で発射させた後、平行に設置した2枚の金属板に連続的に衝突させる機能を有する。金属板への入射速度は43m/sに設定とする。ゴルフボールが割れるまでに要した発射回数を測定し、ゴルフボール10個の測定値の平均値を算出すると共に、比較例1のボールが割れた平均回数を1.0(基準値)とした場合の指数を求め、表3に記載する。
Figure 2023093836000003
表3の内容により、実施例1~3は、いずれも、コアの中心と表面との硬度差がJIS-Cで20以上となると共に、混錬作業性が良好であり、且つ、ゴム組成物中に(d)ステアリン酸亜鉛の凝集等により残留することなくゴルフボールの打撃耐久性を確実に高く得ることができる。これに対して、比較例1~5は、本発明(実施例)よりも以下の点で劣る。
比較例1は、実施例1と比べると、(d)成分のステアリン酸亜鉛の90%累積平均径が大きく、ステアリン酸亜鉛の残留が確認され、耐久性が低い。
比較例2は、実施例1と比べると、沸点以上の高温での混錬により水が揮発し、コアの硬度差が狙い通りの高い値を得られず、また、(d)成分のステアリン酸亜鉛の90%累積平均径が大きく、ステアリン酸亜鉛の残留が確認され、耐久性が低い。
比較例3は、実施例2と比べると、沸点以上の高温での混錬によりステアリン酸亜鉛が溶けしまい、ステアリン酸亜鉛がニーダー内部に付着し分散不良となり、混錬作業性が悪くなる。更に、混練不良時の溶融物が凝集することで異物が生成され、これが原因で耐久性が低くなる。
比較例4は、実施例1と比べると、沸点以上の高温での混錬によりステアリン酸亜鉛が溶けしまい、ステアリン酸亜鉛がニーダー内部に付着し分散不良となり、混錬作業性が悪くなる。更に、混練不良時の溶融物が凝集することで異物が生成され、これが原因で耐久性が低くなる。また、ゴム混錬時に水分が蒸発してしまい、コアの硬度差が狙い通りの高い値を得られない。
比較例5は、(d)成分が含まれず、実施例1と比べると、加硫速度が遅くなり生産効率が低下する。

Claims (9)

  1. 下記(a)~(d)成分
    (a)基材ゴム
    (b)共架橋剤
    (c)水及び/又は分子量200未満の低級アルコール
    (d)脂肪酸金属塩
    を含有するゴム組成物を混錬する工程を有するゴルフボール用ゴム部材の製造方法であって、(d)成分の脂肪酸金属塩は、体積基準の累積90%の粒子径が500μm以下であると共に、(a)~(d)成分を混錬した時の最高到達温度が、(c)成分の沸点以下であり、且つ(d)成分の融点以下であるように混錬を行うことを特徴とするゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
  2. (d)成分の脂肪酸金属塩の炭素数が30以下である請求項1記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
  3. (d)成分の脂肪酸金属塩が飽和脂肪酸金属塩である請求項1又は2記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
  4. (d)成分の脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛である請求項3記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
  5. (d)成分の脂肪酸金属塩の体積基準の累積90%の粒子径が300μm以下である請求項1~4のいずれか1項記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
  6. (d)成分の配合量が、(a)成分100質量部に対して10質量部以下である請求項1~5のいずれか1項記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
  7. 更に、上記ゴム組成物には有機過酸化物を含む請求項1~6のいずれか1項記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
  8. 更に、上記ゴム組成物には有機硫黄化合物を含む請求項1~7のいずれか1項記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
  9. 上記ゴルフボール用ゴム部材がゴルフボール用コアであり、該コアの表面と中心との硬度差がJIS-C硬度で20以上である請求項1~8のいずれか1項記載のゴルフボール用ゴム部材の製造方法。
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