JP2023092698A - 積層セラミック電子部品及びその製造方法、並びに製造履歴確認方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層セラミック電子部品のトレーサビリティを向上させる。【解決手段】積層セラミック電子部品の製造方法では、第1剥離フィルムに複数の第1セラミックシートが形成される。上記第1剥離フィルムとは異なる剥離強度を有する第2剥離フィルムに第2セラミックシートが形成される。上記第1剥離フィルムに保持された上記複数の第1セラミックシートと上記第2剥離フィルムに保持された上記第2セラミックシートとに共通の導体パターンが形成される。上記第1剥離フィルムから剥離させた上記複数の第1セラミックシートと上記第2剥離フィルムから剥離させた上記第2セラミックシートとを積層して積層シートが作製される。上記積層シートを切り分けることで複数のセラミック素体が作製される。【選択図】図5

Description

本発明は、積層セラミック電子部品のトレーサビリティに関する。
積層セラミックコンデンサは、複数の内部電極が積層されたセラミック素体に一対の外部電極が設けられた構成を有する。一般的な積層セラミックコンデンサの製造過程では、複数のセラミックシートが積層された積層シートを切り分けることで複数のセラミック素体を一括して製造することができる。
積層セラミックコンデンサなどの各種電子部品には、トレーサビリティの向上が求められる。例えば、積層セラミックコンデンサに故障が発生した場合に、当該積層セラミックコンデンサのセラミック素体が、切り分けられる前において積層シートのどの位置に存在していたかを特定可能なことが求められる。
特許文献1には、レーザ照射によってセラミックシートにパターンを描画する技術が開示されている。この技術を用いて、セラミックシートに積層シートの位置に応じて変化するパターンを描画しておくことで、切り分けられる前の積層シートにおけるセラミック素体の位置情報としてこのパターンを利用可能となる。
特開2003-188039号公報
しかしながら、積層セラミックコンデンサでは、セラミックシートにパターンを描画する工程の追加によって製造コストが高くなる。また、製造過程における新たな工程の追加や、新たな部材の追加を伴う設計変更は、エネルギの消費量の増大を伴うため、環境負荷の観点から好ましくない。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、積層セラミック電子部品のトレーサビリティを向上させることにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法では、第1剥離フィルムに複数の第1セラミックシートが形成される。
上記第1剥離フィルムとは異なる剥離強度を有する第2剥離フィルムに第2セラミックシートが形成される。
上記第1剥離フィルムに保持された上記複数の第1セラミックシートと上記第2剥離フィルムに保持された上記第2セラミックシートとに共通の導体パターンが形成される。
上記第1剥離フィルムから剥離させた上記複数の第1セラミックシートと上記第2剥離フィルムから剥離させた上記第2セラミックシートとを積層して積層シートが作製される。
上記積層シートを切り分けることで複数のセラミック素体が作製される。
この構成では、第1及び第2セラミックシートが第1及び第2剥離フィルムから剥離させられる際に加わる張力によって拡張し、これに伴って第1及び第2セラミックシートに形成された導体パターンも拡張する。異なる剥離強度を有する第1及び第2剥離フィルムから剥離させた第1及び第2セラミックシートでは、導体パターンの拡張率が相互に異なる。このため、各セラミック素体では、第1セラミックシートに形成された導体パターンに対応する内部電極と、第2セラミックシートに形成された導体パターンに対応する内部電極と、で切り分けられる前の積層シートにおける位置に応じた位置ズレが発生する。したがって、この内部電極の位置ズレを、切り分けられる前の積層シートにおける各セラミック素体の位置情報として利用することができる。
上記第2剥離フィルムの剥離強度が上記第1剥離フィルムよりも低くてもよい。この場合、上記第2剥離フィルムから剥離させる際の上記第2セラミックシートの拡張率が、上記第1剥離フィルムから剥離させる際の上記複数の第1セラミックシートの拡張率よりも小さくなる。
上記積層シートでは、複数の第2セラミックシートが連続して積層されていてもよい。
上記複数の第2セラミックシートの積層数が10層以下であってもよい。
本発明の一形態に係る製造履歴確認方法では、上記導体パターンに対応する内部電極の位置ズレを、切り分けられる前の上記積層シートにおける上記セラミック素体の位置情報として利用する。
本発明の一形態に係る積層セラミック電子部品は、セラミック素体と、外部電極と、を有する。
上記セラミック素体は、第1軸方向に積層された複数の内部電極と、上記第1軸と直交する第2軸に垂直であり、上記複数の内部電極のうちの少なくとも一部が引き出された端面と、上記複数の内部電極の位置が上記第1軸と直交する方向に揃った第1領域と、上記複数の内部電極の位置が上記第1領域に対して上記第1軸と直交する一方向にずれた第2領域と、を有する。
上記外部電極は、上記セラミック素体の上記端面を覆う。
上記複数の内部電極では、上記第1領域に対する上記第2領域での最大の位置ズレ量が5μm以上50μm以下であってもよい。
上記セラミック素体は、上記第1軸及び上記第2軸と直交する第3軸に垂直であり、上記複数の内部電極の上記第3軸方向の端部が上記第1領域よりも上記第2領域において近接する側面を更に有してもよい。この場合、上記複数の内部電極のうち上記第2領域に位置する内部電極は、上記側面に近接する上記端部のうち少なくとも一部に形成された酸化領域を有することが好ましい。
積層セラミック電子部品のトレーサビリティを向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のA-A'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のB-B'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図2の部分拡大図である。 上記積層セラミックコンデンサの図3の部分拡大図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造方法を示すフローチャートである。 上記製造方法のステップS01を示す平面図である。 上記製造方法のステップS02を示す平面図である。 上記製造方法のステップS03で得られる積層シートの斜視図である。 上記製造方法のステップS03を示す平面図である。 上記製造方法のステップS03を示す平面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は全図において共通である。
[積層セラミックコンデンサ10の構成]
図1~3は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10を示す図である。図1は、積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。図2は、積層セラミックコンデンサ10の図1のA-A'線に沿った断面図である。図3は、積層セラミックコンデンサ10の図1のB-B'線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ10は、セラミック素体11と、第1外部電極14と、第2外部電極15と、を備える。セラミック素体11は、X軸と直交する一対の端面と、Y軸と直交する一対の側面と、Z軸と直交する一対の主面と、を有する6面体として構成される。外部電極14,15は、セラミック素体11の一対の端面を被覆している。
セラミック素体11の一対の端面、一対の側面、及び一対の主面はいずれも、平坦面として構成される。本実施形態に係る平坦面とは、全体的に見たときに平坦と認識される面であれば厳密に平面でなくてもよく、例えば、表面の微小な凹凸形状や、所定の範囲に存在する緩やかな湾曲形状などを有する面も含まれる。
外部電極14,15は、セラミック素体11を挟んで相互にX軸方向に対向している。外部電極14,15はそれぞれ、セラミック素体11の各端面から主面及び側面に延出している。これにより、外部電極14,15では、X-Z平面に平行な断面、及びX-Y平面に平行な断面がいずれもU字状となっている。
なお、外部電極14,15の形状は、図1に示すものに限定されない。例えば、外部電極14,15は、セラミック素体11の両端面から一方の主面のみに延び、X-Z平面に平行な断面がL字状となっていてもよい。また、外部電極14,15は、いずれの主面及び側面にも延出していなくてもよい。
外部電極14,15は、電気の良導体により形成されている。外部電極14,15を形成する電気の良導体としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)などを主成分とする金属又は合金が挙げられる。なお、本実施形態で主成分とは最も含有比率の高い成分を言うものとする。
セラミック素体11は、誘電体セラミックスで形成されている。セラミック素体11は、誘電体セラミックスに覆われた複数の第1内部電極12及び第2内部電極13を有する。複数の内部電極12,13は、いずれもX-Y平面に沿って延びるシート状であり、Z軸方向に沿って交互に配置されている。
図2,3には、図示の都合上、セラミック素体11における内部電極12,13の積層数を実際よりも少なく示している。積層セラミックコンデンサ10では、目的とする容量を得るために、内部電極12,13の合計の積層数を、例えば、100層以上500層以下の範囲内とすることができる。
内部電極12,13は、電気の良導体により形成されている。内部電極12,13を形成する電気の良導体としては、典型的にはニッケル(Ni)が挙げられ、この他にも銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)などを主成分とする金属又は合金が挙げられる。
セラミック素体11は、交差部16と、一対のエンドマージン部17と、一対のカバー部18と、一対のサイドマージン部19と、を有する。セラミック素体11では、一対のカバー部18が一対の主面を構成し、一対のエンドマージン部17が一対の端面を構成し、一対のサイドマージン部19が一対の側面を構成する。
交差部16では、内部電極12,13がセラミック層を挟んでZ軸方向に対向している。セラミック素体11では、第1内部電極12が交差部16からエンドマージン部17を介して第1外部電極14側の端面に引き出され、第2内部電極13が交差部16からエンドマージン部17を介して第2外部電極15側の端面に引き出されている。
つまり、セラミック素体11では、第1内部電極12が、第1外部電極14に接続される一方で、エンドマージン部17によって第2外部電極15から絶縁されている。また、第2内部電極13は、第2外部電極15に接続される一方で、エンドマージン部17によって第1外部電極14から絶縁されている。
一対のカバー部18は、交差部16及び一対のエンドマージン部17をZ軸方向両側から被覆している。一対のサイドマージン部19は、交差部16及び一対のエンドマージン部17をY軸方向両側から被覆している。カバー部18及びサイドマージン部19は、内部電極12,13を保護する機能を有する。
このような構成により、積層セラミックコンデンサ10では、外部電極14,15間に電圧が印加されると、内部電極12,13がZ軸方向に対向する交差部16において複数のセラミック層に電圧が加わる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、外部電極14,15間の電圧に応じた電荷が蓄えられる。
セラミック素体11では、内部電極12,13間の各セラミック層の容量を大きくするため、高誘電率の誘電体セラミックスが用いられる。高誘電率の誘電体セラミックスとしては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)に代表される、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の材料が挙げられる。
なお、誘電体セラミックスは、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸マグネシウム(MgTiO)、ジルコン酸カルシウム(CaZrO3)、チタン酸ジルコン酸カルシウム(Ca(Zr,Ti)O)、チタン酸ジルコン酸カルシウムバリウム((Ba,Ca)(Zr,Ti)O)、ジルコン酸バリウム(BaZrO)、酸化チタン(TiO)などの組成系でもよい。
図4は、セラミック素体11における交差部16と一対のエンドマージン部17との境界部を拡大して示す部分断面図である。図5は、セラミック素体11における交差部16と一対のサイドマージン部19との境界部を拡大して示す部分断面図である。交差部16及びエンドマージン部17は、第1領域R1と第2領域R2とによって構成される。
第1領域R1は、内部電極12,13におけるX軸及びY軸方向の位置がZ軸方向に沿って揃った領域である。第2領域R2は、製造履歴に応じて、内部電極12,13に、第1領域R1に位置する内部電極12,13に対するX軸及びY軸方向の少なくとも一方への位置ズレ量が変化するように構成された領域である。
つまり、セラミック素体11では、第2領域R2に位置する内部電極12,13における第1領域R1に位置する内部電極12,13に対する位置ズレの有無や位置ずれの態様(向きや大きさなど)を製造履歴を確認するための情報として利用することができる。本実施形態に係る製造履歴確認方法の詳細については後述する。
第1領域R1は、交差部16及びエンドマージン部17の大部分を占める。第1領域R1では、内部電極12,13のX軸及びY軸方向の端部の位置が実質的にZ軸方向に揃っておいる。具体的に、第1領域R1では、内部電極12,13における、外部電極14,15に接続されていない側のX軸方向の端部の位置のX軸方向のバラツキ範囲、及びY軸方向の両端部の位置のY軸方向のバラツキ範囲がいずれも15μm以内である。なお、第1領域R1における複数の内部電極12,13のX軸及びY軸方向の端部の位置は、X軸及びY軸方向のバラツキ範囲における平均位置として規定することができる。
第2領域R2は、交差部16及びエンドマージン部17の一部のみに設けられる。第2領域R2における第1領域R1に対する内部電極12,13の位置ズレは、内部電極12,13における、外部電極14,15に接続されていない側のX軸方向の端部の位置、及びY軸方向の両端部の位置ズレとして表れる。
図4,5に示すセラミック素体11では、第2領域R2において、外部電極14,15に接続されていない側の複数の内部電極12,13のX軸方向の端部の位置が第1領域R1に対して図4の紙面に沿って右側にずれており、複数の内部電極12,13のY軸方向の両端部の位置が第1領域R1に対して図5の紙面に沿って右側にずれている。
第2領域R2に含まれる内部電極12,13の層数は、1層以上であればよいが、第2領域R2における内部電極12,13の位置ズレを判別しやすくするために、複数層であることが好ましい。具体的に、第2領域R2に含まれる内部電極12,13の層数は、3層以上であることが好ましく、5層以上であることが更に好ましい。
セラミック素体11では、第2領域R2における第1領域R1に対する内部電極12,13のX軸及びY軸方向の位置ズレ量が、Z軸方向の中央領域で最も大きく、Z軸方向の外側ほど小さくなることが好ましい。これにより、セラミック素体11では、製造過程における応力が緩和され、クラックや層間剥離の発生を抑制することができる。
セラミック素体11では、第2領域R2における第1領域R1に対する内部電極12,13のX軸及びY軸方向の最大の位置ズレ量が5μm以上となるように設計されていることが好ましい。これにより、セラミック素体11では、内部電極12,13の位置ズレの態様を判別しやすくなる。
また、セラミック素体11では、高い耐湿性を確保する観点から、第2領域R2における第1領域R1に対する内部電極12,13のX軸及びY軸方向の最大の位置ズレ量が、好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下、最も好ましくは15μm以下となるように設計されていることが好ましい。
セラミック素体11では、第2領域R2において内部電極12,13のY軸方向外向きに位置ズレして突出した部分、つまりセラミック素体11の側面に近接した位置にある内部電極12,13のY軸方向の端部の少なくとも一部を酸化によって電気抵抗を低下させた酸化領域とすることが好ましい。これにより、セラミック素体11では、第2領域R2における内部電極12,13の位置ズレによる耐湿性の低下を抑制することができる。
第2領域R2に含まれる内部電極12,13の層数は、第1領域R1よりも少なければよいが、積層セラミックコンデンサ10の性能のバラツキを抑制するために、多すぎることは好ましくない。このため、第2領域R2に含まれる内部電極12,13の層数は、10層以下に留めることが好ましい。
[積層セラミックコンデンサ10の製造方法]
図6は、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10の製造方法を示すフローチャートである。図7~11は積層セラミックコンデンサ10の製造過程を示す図である。以下、積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、図6に沿って、図7~11を適宜参照しながら説明する。
(ステップS01:セラミックシート形成)
ステップS01では、第1セラミックシートS1及び第2セラミックシートS2を形成する。セラミックシートS1,S2は、誘電体セラミックスを主成分とする未焼成の誘電体グリーンシートとして構成される。セラミックシートS1,S2の形成には、共通の構成のセラミックスラリーが用いられる。
図7に示すように、第1セラミックシートS1は第1剥離フィルムF1に形成され、第2セラミックシートS2は第2剥離フィルムF2に形成される。剥離フィルムF1,F2では、セラミックシートS1,S2を剥離させる際の剥離強度が相互に異なる。本実施形態では、第2剥離フィルムF2の剥離強度が第1剥離フィルムF1よりも低い。
剥離フィルムF1,F2の剥離強度は、例えば、セラミックシートS1,S2のX軸又はY軸に沿って延びる4辺の中央部をそれぞれ把持した状態でZ軸方向上方に引き上げる際に加わる力の最大値として得られる。剥離フィルムF1,F2における剥離強度の比率は、0.5以上0.9以下であることが好ましい。
剥離フィルムF1,F2の剥離強度は、例えば、表面に塗布する離型剤の量や種類などによって変化させることができる。剥離フィルムF1,F2では、基材として、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどを用いることができ、基材に塗布する離型剤として、例えば、シリコーン系の離型剤を用いることができる。
セラミックシートS1,S2は、例えば、剥離フィルムF1,F2に対し、ドクターブレード法やダイコータ法やグラビアコータ法などによってセラミックスラリーを塗布することでシート状に成形される。セラミックシートS1,S2の厚みは、焼成後のセラミック素体11の交差部16におけるセラミック層の厚みに応じて調整される。
(ステップS02:導体パターン形成)
ステップS02では、図8に示すように、セラミックシートS1,S2に共通の第1及び第2導体パターンP1,P2を形成する。第1導体パターンP1は第1内部電極12に対応し、第2導体パターンP2は第2内部電極13に対応する。導体パターンP1,P2は、内部電極12,13を構成する金属を主成分とする導体ペーストで形成される。
導体パターンP1,P2は、例えば、セラミックシートS1,S2に対し、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法やグラビア印刷法などによって所定のパターンで導体ペーストを塗布することで形成することができる。導体ペーストは、セラミック素体11の主成分である誘電体セラミックスの粉末を含んでいてもよい。
(ステップS03:積層)
ステップS03では、セラミックシートS1,S2を積層することで図9に示す積層シートSxを作製する。積層シートSxでは、交差部16及びエンドマージン部17に対応する領域に導体パターンP1,P2が交互に位置し、カバー部18に対応する領域に第1導体パターンP1が形成されていない第1セラミックシートS1が位置する。
図10は、セラミックシートS1,S2を剥離フィルムF1,F2から剥離させる操作を示す平面図である。セラミックシートS1,S2を剥離させる際には、セラミックシートS1,S2のX軸又はY軸に沿って延びる4辺の中央部をそれぞれ把持した状態で剥離フィルムF1,F2からZ軸方向上方に引き上げる。
セラミックシートS1,S2は、剥離フィルムF1,F2から引き上げる際に加わる張力によってX軸及びY軸方向に沿って拡張する。図10Aには剥離後の第1セラミックシートS1の概形が破線で示され、図10Bには剥離後の第2セラミックシートS2の概形が破線で示されている。
剥離強度の低い第2剥離フィルムF2から剥離される第2セラミックシートS2に加わる張力は、剥離強度の高い第1剥離フィルムF1から剥離される第1セラミックシートS1に加わる張力よりも低くなる。このため、剥離前後における拡張率は、第2セラミックシートS2において第1セラミックシートS1よりも低くなる。
導体パターンP1,P2は、セラミックシートS1,S2の拡張に伴って、実質的に相似な形状を保ちながら拡張する。つまり、剥離フィルムF1,F2からの剥離後において、第2セラミックシートS2に形成された導体パターンP1,P2は、第1セラミックシートS1に形成された導体パターンP1,P2よりも小さくなる。
図11は、積層シートSxにおけるセラミックシートS1,S2の積層状態を示している。積層シートSxでは、セラミックシートS1,S2がX軸及びY軸方向の中央に揃えられた状態で積層されている。このため、積層直後の積層シートSxは、第2セラミックシートS2の4辺が第1セラミックシートS1から窪んだ形状となる。
ステップS03では、積層シートSxをプレス加工することによって、積層されたセラミックシートS1,S2を圧着させることが好ましい。これにより、高密度のセラミック素体11が得られる。積層シートSxのプレス加工には、例えば、静水圧加圧法や一軸加圧法などを用いることができる。
(ステップS04:切断)
ステップS04では、図9に示す積層シートSxをX軸及びY軸方向に切り分けることで未焼成の複数のセラミック素体11を作製する。積層シートSxの切断には、一般的な切断装置を用いることができ、例えば、押し切り刃を備えた切断装置や回転刃を備えたダイシング装置を用いることができる。
図9には、積層シートSxを切り分ける際の切断線Lが破線で示され、X軸方向に延びる切断線LがY軸方向に等間隔に並び、Y軸方向に延びる切断線LがX軸方向に等間隔に並んでいる。積層シートSxでは、切断線LによってX軸及びY軸方向に区画された部分がそれぞれセラミック素体11として個片化される。
(ステップS05:焼成)
ステップS05では、ステップS04で得られた未焼成のセラミック素体11を焼成することで図1~3に示すセラミック素体11が得られる。ステップS05では、ステップS04で得られた複数のセラミック素体11を一括して焼成することで、製造効率を向上させることができる。
ステップS05では、セラミック素体11の第2領域R2において内部電極12,13におけるY軸方向外向きに位置ズレした部分に酸化領域が形成される焼成条件で行うことが好ましい。このような焼成条件は、焼成温度や雰囲気や焼成時間などを調整することで実現することが可能である。
(ステップS06:外部電極形成)
ステップS06では、ステップS07で得られたセラミック素体11のX軸方向両端部に外部電極14,15を形成することにより、図1~3に示す積層セラミックコンデンサ10を作製する。ステップS06における外部電極14,15の形成方法は、公知の方法から任意に選択可能である。
[積層セラミックコンデンサ10の製造履歴確認方法]
本実施形態に係る製造履歴確認方法では、上記の製造方法で製造された積層セラミックコンデンサ10の製造履歴として、セラミック素体11がステップS04で切り分けられる前のステップS03の段階において積層シートSxのどの位置に存在していたかを確認することができる。
図9には、積層シートSx上に、X軸及びY軸方向の中心点Cと、中心点Cを通る中心線Cx,Cyが示されている。中心線Cxは、Y軸方向に延び、積層シートSxをX軸方向に2等分する区画線である。中心線Cyは、X軸方向に延び、積層シートSyをY軸方向に2等分する区画線である。
積層シートSxにおける中心点Cに対応する部分では、領域R1,R2間において導体パターンP1,P2にX軸及びY軸方向の位置ズレ
が生じない。このため、積層シートSxにおける中心点Cを含む領域に存在したセラミック素体11では、領域R1,R2間において内部電極12,13の位置ズレが実質的に見られない。
積層シートSxにおける中心線Cxに沿った部分では、領域R1,R2間において導体パターンP1,P2にX軸方向の位置ズレが発生しない。この一方で、積層シートSxにおける中心線Cxに沿った部分では、領域R1,R2間における導体パターンP1,P2のY軸方向の位置ズレが中心点Cから遠ざかるにつれて大きくなる。
このため、積層シートSxにおける中心線Cxが通る領域に存在したセラミック素体11では、いずれも領域R1,R2間において内部電極12,13のX軸方向の位置ズレが実質的に見られず、かつ中心点Cからの距離に応じた領域R1,R2間における内部電極12,13のY軸方向の位置ズレが見られる。
積層シートSxにおける中心線Cyに沿った部分では、領域R1,R2間において導体パターンP1,P2にY軸方向の位置ズレが発生しない。この一方で、積層シートSxにおける中心線Cyに沿った部分では、領域R1,R2間における導体パターンP1,P2のX軸方向の位置ズレ量が中心点Cから遠ざかるにつれて大きくなる。
このため、積層シートSxにおける中心線Cyが通る領域に存在したセラミック素体11では、いずれも領域R1,R2間において内部電極12,13のY軸方向の位置ズレが実質的に見られず、かつ中心点Cからの距離に応じた領域R1,R2間における内部電極12,13のX軸方向の位置ズレが見られる。
図9には、積層シートSx上に、中心線Cx,Cyで区画された領域D1,D2,D3,D4が示されている。領域D1,D2,D3,D4ではいずれも、領域R1,R2間における導体パターンP1,P2のX軸及びY軸方向の位置ズレが中心点CからX軸及びY軸方向に沿って遠ざかるにつれて大きくなる。
このため、積層シートSxにおける中心線Cx,Cyを通らない領域に存在していたセラミック素体11では、領域R1,R2間において、中心点CからのX軸方向の距離に応じた導体パターンP1,P2のX軸方向の位置ズレが見られ、中心点CからのY軸方向の距離に応じた導体パターンP1,P2のY軸方向の位置ズレが見られる。
このように、セラミック素体11では、領域R1,R2間における内部電極12,13のX軸及びY軸方向の位置ズレによって切り分けられる前の積層シートSxにおける中心点Cに対応する部分からの相対位置を特定することができる。これにより、積層セラミックコンデンサ10のトレーサビリティが向上する。
このように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10では、新たな工程の追加や、新たな部材の追加を伴うことなく、製造履歴の確認が可能となる。つまり、本実施形態に係る技術を用いることで、環境負荷の増大を伴わずに、製造履歴の情報によって故障の原因を特定することや技術革新の糸口を掴むことが可能となる。したがって、本実施形態の技術は、資源を有効に活用して持続可能な生産、開発に寄与するものである。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、剥離フィルムF1,F2の剥離強度は相互に異なればよく、つまり第2剥離フィルムF2の剥離強度が第1剥離フィルムF1よりも高くてもよい。この場合、積層シートSxにおけるセラミックシートS1,S2の導体パターンP1,P2には上記とは反対の位置ズレが発生する。
また、ステップS03においてセラミックシートS1,S2をX軸及びY軸方向の中央からずらして積層してもよい。一例として、セラミックシートS1,S2は、X軸及びY軸方向の4隅のうちの1つを揃えて積層してもよい。これにより、セラミック素体11の切り分けられる前の積層シートSxにおける絶対位置を特定可能となる。
更に、ステップS03でセラミックシートS1,S2を剥離フィルムF1,F2から剥離させる方法は、上記に限定されない。例えば、剥離フィルムF1,F2から剥離させるセラミックシートS1,S2を把持する位置は、4辺の中央部でなく、4つの角部や、相互に対向する2辺の中央部などであってもよい。
加えて、ステップS03では、第2セラミックシートS2をZ軸方向の中央ではなく、Z軸方向の上下方向のいずれかにずらして配置してもよい。これにより、セラミック素体11では、第2領域R2のZ軸方向の位置によって、ステップS03でZ軸方向のいずれの側から積層されたか、その製造過程を特定することが可能となる。
また更に、本発明は、積層セラミックコンデンサのみならず、内部電極が積層された構成を有する積層セラミック電子部品全般に適用可能である。本発明を適用可能な積層セラミック電子部品としては、積層セラミックコンデンサ以外に、例えば、チップバリスタ、チップサーミスタ、積層インダクタなどが挙げられる。
10…積層セラミックコンデンサ
11…セラミック素体
12,13…内部電極
14,15…外部電極
16…交差部
17…エンドマージン部
18…カバー部
19…サイドマージン部
R1,R2…領域
S1,S2…セラミックシート
F1,F2…剥離フィルム
P1,P2…導体パターン
Sx…積層シート

Claims (9)

  1. 第1剥離フィルムに複数の第1セラミックシートを形成し、
    前記第1剥離フィルムとは異なる剥離強度を有する第2剥離フィルムに第2セラミックシートを形成し、
    前記第1剥離フィルムに保持された前記複数の第1セラミックシートと前記第2剥離フィルムに保持された前記第2セラミックシートとに共通の導体パターンを形成し、
    前記第1剥離フィルムから剥離させた前記複数の第1セラミックシートと前記第2剥離フィルムから剥離させた前記第2セラミックシートとを積層して積層シートを作製し、
    前記積層シートを切り分けることで複数のセラミック素体を作製する
    積層セラミック電子部品の製造方法。
  2. 請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    前記第2剥離フィルムの剥離強度が前記第1剥離フィルムよりも低い
    積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 請求項2に記載の積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    前記第2剥離フィルムから剥離させる際の前記第2セラミックシートの拡張率が、前記第1剥離フィルムから剥離させる際の前記複数の第1セラミックシートの拡張率よりも小さい
    積層セラミック電子部品の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    前記積層シートでは、複数の第2セラミックシートが連続して積層されている
    積層セラミック電子部品の製造方法。
  5. 請求項4に記載の積層セラミック電子部品の製造方法であって、
    前記複数の第2セラミックシートの積層数が10層以下である
    積層セラミック電子部品の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法で製造された積層セラミック電子部品の製造履歴確認方法であって、
    前記導体パターンに対応する内部電極の位置ズレを、切り分けられる前の前記積層シートにおける前記セラミック素体の位置情報として利用する
    製造履歴確認方法。
  7. 第1軸方向に積層された複数の内部電極と、前記第1軸と直交する第2軸に垂直であり、前記複数の内部電極のうちの少なくとも一部が引き出された端面と、前記複数の内部電極の位置が前記第1軸と直交する方向に揃った第1領域と、前記複数の内部電極の位置が前記第1領域に対して前記第1軸と直交する一方向にずれた第2領域と、を有するセラミック素体と、
    前記セラミック素体の前記端面を覆う外部電極と、
    を具備する積層セラミック電子部品。
  8. 請求項7に記載の積層セラミック電子部品であって、
    前記複数の内部電極では、前記第1領域に対する前記第2領域での最大の位置ズレ量が5μm以上50μm以下である
    積層セラミック電子部品。
  9. 請求項7又は8に記載の積層セラミック電子部品であって、
    前記セラミック素体は、前記第1軸及び前記第2軸と直交する第3軸に垂直であり、前記複数の内部電極の前記第3軸方向の端部が前記第1領域よりも前記第2領域において近接する側面を更に有し、
    前記複数の内部電極のうち前記第2領域に位置する内部電極は、前記側面に近接する前記端部のうち少なくとも一部に形成された酸化領域を有する
    積層セラミック電子部品。
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