JP2023091581A - 回転電気機械及び電動車 - Google Patents

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Abstract

【課題】高回転時においても所定のトルクを維持しつつ、特性切替時の応答性を高める事のできる回転電気機械を提供する。【解決手段】ハウジング内に永久磁石とステータ及び3相のステータコイルを備えた回転電気機械において、前記各相のステータコイルは3つ以上のコイル要素を備え、該コイル要素間の接続を切り替えることにより、直列、並列、直列と並列の組み合わせ、又は並列と並列の組み合わせのパターンに切り替わるようにし、その切替の為のスイッチを前記コイル要素間に配置し、かつ、前記コイル要素の内、両端のコイル要素を除くコイル要素については当該コイル要素の両端が夫々2つのスイッチに接続されることによって当該コイル要素に直接つながるスイッチ合計が4つとなっていることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、回転電気機械に係り、特に、効率的な運転を実行する場合に好適な回転電気機械、及びこれを用いた電動車に関する。
回転電気機械としてのモータの特性を変化させる技術としては、特許文献1や特許文献2に開示されているように、内部巻き線の接続形態を切り替えるという事が提案されている。例えば特許文献1は、工作機用のモータに関する技術であり、3つの相により構成されるコイルをステータとし、各相を構成するコイルを巻回数の異なる複数のコイル要素により構成している。そして、高速回転時には、コイル全体の巻回数が少なくなるように、低速回転時には、コイル全体の巻回数が多くなるように、1から複数のコイル要素を選択的に直列接続する構成としている。
また、特許文献2には、主に電動工具または自動車用のスタータジェネレータ用のモータに関する技術が開示されている。特許文献2に開示されているモータも、特許文献1に開示されているモータと同様に3つの相により構成されるコイルをステータとしている。そして、各相を複数のコイル要素により構成し、各相を構成する複数のコイル要素を、直列または並列に接続切り替えする事のできるスイッチ装置を備える構成としている。このような構成とする事で、直列接続では、コイルにより励磁される磁界が強くなりトルクの向上を図る事ができ並列接続では、磁界が弱くなることで、高速回転を実現させることができる。
また、特許文献3、4には、複数の相を有するコアレスモータにおいて、各相の接続方式を直列、または並列と定めることで、モータの特性を異ならせることができる旨の記載がある。さらに、特許文献5には、固定コイルを有するモータにおいて、3相のコイルを構成するコイル要素の接続方式を直列と、並列に切り替える際、回路を用いる旨の記載がある。
特許第3596711号公報 特表2010-537621号公報 特開2014-121102号公報 特開2019-54628号公報 特開2011-229221号公報
特許文献1、2に開示されている技術によれば、確かにモータの特性を変化させ、複数のモータの作用を1つのモータにより実現する事が可能となると考えられる。
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、実質的にコイルの巻き数が変化するため、高回転域においては極端にトルクが低下する虞がある。また、特許文献2に開示されている技術は、鉄心の影響により自己インダクタンスが大きく、スイッチングから特性変化までの間にタイムラグが生じることが懸念される。
また、特許文献3、4に開示されているコアレスモータは容量が小さなものである。このため、使用段階においてモータの特性を切り替えるという概念が生じ得なかった。また、コアレスモータを大容量化した場合、ステータコイルがロータを回転させる際の反トルクを受けて変形する虞があり、大容量化には向かないというのが当業者における常識とされてきた。よって、特許文献5に開示されているようなコアドモータの技術をそのまま適用する事はできないという技術常識があった。
そこで本発明では、上記課題を解決すると共に従来の技術常識を打開し、コアレスモータの大容量化にも適用出来て、かつ、高回転時においても所定のトルクを維持しつつ、特性切替時の応答性を高める事のできる回転電気機械、及びこれを用いた電動車を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る回転電気機械は、ハウジング内に永久磁石とステータ及び3相のステータコイルを備えていて、前記各相のステータコイルは3つ以上のコイル要素を備え、該コイル要素間の接続を切り替えることにより、直列、並列、直列と並列の組み合わせ、又は並列と並列の組み合わせのパターンに切り替わるようにし、その切替の為のスイッチを前記コイル要素間に配置し、かつ、前記コイル要素の内、両端のコイル要素を除くコイル要素については当該コイル要素の両端が夫々2つのスイッチに接続されることによって当該コイル要素に直接つながるスイッチ合計が4つとなっていることを特徴とする。スイッチ数とコイル要素数の合計値で見てみると、大方、各相につきコイル要素の数(後述する補コイルは無視して)をXとした場合に、スイッチ合計は(5X-6)個になる。尚、本願においてコイル要素同士は同形・同質のものである。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械では前記ステータコイルは円筒状であり、該ステータコイルと離間して該ステータコイルの対向面に位置するように前記永久磁石を備えたロータを有することが望ましい。また、各相のコイル要素の数は偶数、奇数を問わない。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械では、複数コイル要素の内の一つに、当該コイル要素と並列に一つのコイル要素をつなげるか又は当該コイルの断面積を倍にすることにより、当該コイル要素の抵抗を半減させることが望ましい。本願においてはこの「並列に追加したコイル要素」を「補コイル」と呼ぶことがある。このような特徴を有する事により当該コイル要素の抵抗値を下げるからコイル全体の抵抗値を下げることに寄与する。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械では、使用コイル要素数から想定されるコイル要素接続切替パターンの内、全部のコイル要素を並列にするパターンを不使用とすることが望ましい。全部のコイル要素を並列につなげた場合のモータの最大回転数は最大回転数が2位となるコイル要素接続パターンに相当するモータよりも格段に大きくなるので運転者や装置に与える切替ショックが大きくなるが、このように全部のコイル要素を並列につなげるパターンを不使用にすれば、それだけショックは和らげられることになる。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械では、使用コイル要素数から想定されるコイル要素接続切替パターンごとにモータのT-N特性が決まり、これによってT-N特性の異なる複数のモータが想定され、任意の2つの前記モータの各最大回転数同士の幅(全部直列時の最大回転数の場合は回転数ゼロからの幅を含む)が、実質的に等しい(使用コイル要素数を全部直列に繋いだ時の最大回転数の(1±0.5)倍の幅の範囲とし、かつその幅が0.5未満のように細かくなる場合も除く)するように前記モータを選定し、この条件に満たないモータパターンを不使用にすることが望ましい。このような構成にすれば細かい切替を省略できるから切替制御が簡便になるし、最大回転数に応じた切替間隔がほぼ均等になるので運転者の感覚的にも操作し易くなる。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械において前記コイル要素間の接続切り替えのパターンのうち並列への切り替えは、各相を構成するコイル要素の数に応じて、組となるコイル要素の数を変化させた複数段階の切り替えを可能とすることも有効である。このような特徴を有する事により、所望する回転電気機械の特性に合わせて並列接続するコイルの数を変化させることが可能となる。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械では、前記スイッチを1つまたは複数の半導体素子により構成することもできる。このような構成とする事によれば、回転電気機械自体を小型、軽量化する事が可能となると共に、内部配線の簡略化等を図る事も可能となる。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械では、予め定めた回転数の閾値に対して低回転側では直列形式で接続するコイル要素を増やし、高回転側では並列形式で接続するコイル要素を増やすように前記回路部の切り替えを行う制御部を備えるようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、消費電力と発生トルクのバランスをとる事が出来と共に、使用可能な回転域の幅を広げることができる。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械において前記ステータコイルは、耐変形層を有する構成とすると良い。このような構成とすることで、モータの内部空間に空隙を設ける事が可能となる。よって、モータの内部空間を有効活用する事も可能となる。さらに、耐変形性を有する事により、モータ容量を大きくした場合であっても、ロータが回転する際の反トルクによるステータコイルの変形を防ぐことができる。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械において前記ステータコイルは、U、V、Wの3相から成ると良い。このような特徴を有する事によれば、コイルや回路数の煩雑化を避け、量産時における製造コストの低減を図る事が可能となる。
また、上記のような特徴を有する回転電気機械では、前記コイル要素は、リッツ線を用いて構成すると良い。このような特徴を有する事により、ステータコイルの形状維持のための強度を得る事ができると共に、ステータコイルに鉄板や銅板を使用する必要が無くなるため、自己インダクタンスの低減を図ることができる。
さらに、上記目的を達成するための電動車は、上記特徴を有する回転電気機械を推進用の動力に適用したことを特徴とする。
上記のような特徴を有する回転電気機械によれば、従来の技術常識に無い大容量化にも対応し、高回転時においても所定のトルクを維持しつつ、特性切替時の応答性を高める事が可能となる。電源線(V)とCOM線の間に位置する各中間コイル要素に流れる電流は、一旦はV及び/又は隣接コイル要素と繋がり、他端は隣接コイル要素及び/又はCOM線とつながるよう、夫々両端が2スイッチになっている。こうすることによって、スイッチの位置によって当該スイッチに過度な発熱(過負荷発生)が発生することを抑制でき、多数のコイル要素接続に展開可能となる。
尚、コイル要素接続の切替(以下、コイル切替と言う)ごとに、モータ機能が変わるので、コイル切替パターンごとに別のモータが存在することになる。そのモータごとに最高回転数が存在する。従って一つのモータ装置(ハード構成としてのモータ)にコイル要素やスイッチを共用するモータが複数存在することになる。尚、コイル切替は、コイル要素間の導通接続の切り替えのことを意味する。例えばコアレスモータの円筒状コイルは、複数のコイル要素を組み合わせて円筒状に形成したものを意味する。つまり、「コイル」と言う言葉には「コイル要素」と、組み合わせた完成品としての「コイル体」を含む。
第1実施形態に係るモータにおけるステータコイルの回路構成を示す図であり、各相を構成する4つのコイル要素を全て直接接続する場合の例を示す図である。 第1実施形態に係るモータにおけるステータコイルの回路構成を示す図であり、各相を構成する4つのコイル要素のうちの2つずつを直列接続し、直列接続した組を成すコイルを並列接続する場合の例を示す図である。 第1実施形態に係るモータにおけるステータコイルの回路構成を示す図であり、各相を構成する4つのコイル要素を全て並列接続する場合の例を示す図である。 第1実施態様に係るモータにおけるステータコイルの回路構成を示す図であり、図1~図3を纏めて整理した説明図である。 本発明の実施例に係るモータ装置としてのコアレスモータの概略構成を示す側断面図である。 第1実施形態に係るモータにおいて、ステータコイルを構成するコイル要素の接続方式を切り替えてモータを運転する場合の特性変化を示すグラフである。 3段切替のモータを車両に適用した場合における運転切替の具体例を示す図である(回転数の変化と接続切り替えの関係)。 3段切替のモータを車両に適用した場合における運転切替の具体例を示す図である(速度の変化と接続切り替えの関係)。 3段切替のモータを車両に適用した場合における運転切替の具体例を示す図である(路面傾斜状況の変化と接続切り替えの関係)。 各実施態様に適用できるコイル切替装置を含めたモータ動作用システム図である。 第2実施形態に係り、1相に12個のコイル要素、5個の回路部を備えた応用形態を示す図である。 第2実施形態に係り、12コイル要素を用いた場合におけるコイルの配置形態の例を示す断面図である。 第2実施形態に係り、12コイル要素で6段切替にしたモータにおける回路例を示す図であり、図中破線Aで囲んだ部分に関しては、同図中に部分拡大図を示す。 図12における回路部の切り替えと、接続状態の変化を示す表である。 第3実施形態に係り、ステータコイルを2相により構成する場合の回路例を示す図である。 第3実施形態に係り、2相のステータコイルにおいて各相のコイル要素を直列接続した場合の例を示す模式図である。 第3実施形態に係り、2相のステータコイルにおいて各相のコイル要素を並列接続した場合の例を示す模式図である。 第4実施形態に係り、ステータコイルを5相により構成する場合の回路例を示す図である。 第5実施形態に係り、5相のステータコイルにおいて各相のコイル要素を直列接続した場合の例を示す模式図である。 第5実施形態に係り、5相のステータコイルにおいて各相のコイル要素を並列接続した場合の例を示す模式図である。 第6実施形態に係り、ステータコイルを構成する相を成すコイル要素の数を奇数(5コイル要素)とした場合のコイル接続回路図である。 第7実施形態に係り、ステータコイルを構成する相を成すコイル要素の数を奇数(5コイル要素)とした場合の応用例のコイル接続回路図である。 第7実施形態に係り、5コイル要素によるコイル切替と運転切替の例を説明する図である。 回路部をスイッチング素子により構成した場合におけるクロックと、 各種指令信号におけるLo、Hiの関係を示す図である。 スイッチング素子を用いた回路部に指令信号を出力する制御部の構成例を示す図である。 各相を構成するブロックの回路の例を示す図である。 第8実施形態に係り、ステータコイルを構成する相を成すコイル要素の数を3つとした場合 において、各コイル要素を直列に接続する接続形式の回路構成の例を示す図である。 第8実施形態に係り、ステータコイルを構成する相を成すコイル要素の数を3つとした場合において、各コイル要素を並列に接続する接続形式の回路構成の例を示す図である。 第8実施形態に係り、3コイル要素におけるコイル接続切替パターン例を示す説明図である。 ステータスコイルを構成する相を成すコイル要素の数を4つとした場合において、一部コイル要素不使用の場合も含めた接続切替パターンのバリエーションを説明する図である。
以下、本発明の回転電気機械、及び電動車に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態としては、回転電気機械としてモータ装置を例に挙げて説明する。
[基本構成]
まず、図5を参照して、本実施形態に係るモータ装置10の基本構成について説明する。本実施形態に係るモータ装置10は、ハウジング12と、回転軸14、ステータコイル18、及びロータ16を基本として構成される、いわゆるコアレスモータである。ハウジング12は、外殻を構成する要素であり内部空間に回転軸14やステータコイル18、及びロータ16を収容している。回転軸14は、ハウジング12を貫通するように配置され、ハウジング12との交点に備えられた軸受12aにより、回転自在に支持されている。
ステータコイル18は、複数の相(本実施形態ではU相、V相、W相の3相)に分けられたコイル群により、円筒状を成すように構成されている。ステータコイル18を構成するU相、V相、W相は、それぞれ極を構成する複数のコイル要素から成っている。このような構成のステータコイル18は、一方の端面が固定部材であるステータ(図5に示す例ではハウジング12)に支持されるように構成されている。
また、ロータ16は、円筒状を成すアウターヨーク16cとインナーヨーク16b、及び永久磁石16aを有し、一方の端面が回転軸14と接続されている。アウターヨーク16cは、上述したステータコイル18外周側(円筒中心を基点とした半径方向外周側)に位置する要素であり、インナーヨーク16bは、ステータコイル18の内周側に位置する要素である。また、本実施形態に係るモータ装置10では永久磁石16aを、アウターヨーク16cの内側であって、ステータコイル18の対向面に備えるように構成している。
このような構成のコアレスモータは、動力発生源と回転軸14とが離れている事より、モータ装置の大きさに比して大きな出力、及びトルクを得る事が可能となる。また、ステータコイル18が鉄心を備えないため、自己インダクタンスを小さく抑える事ができる。
さらに、本明細書の各実施例では、ステータコイル18を構成する際、巻き線にリッツ線を用いると共に絶縁層によるコーティングで形状形成する構成としている。なおリッツ線は、複数の導電細線が束ねられて構成されており、各導電細線の外周は、エナメル当の絶縁層で覆われている。さらに、その導電細線(束としての導電線)の外周には、ガラス繊維のような繊維状物による外皮層が設けられている。
このような構成により、形状維持のために鉄板や銅板を用いる事による渦電流の発生(渦電流損)を抑制し、自己インダクタンスの低減を図る事に寄与することができる。
[第1実施形態]
先ず図1から図4を参照して、第1実施形態に係るモータ装置10の構成について説明する。本実施形態に係るモータ装置10も図5の構成である。
本実施形態に係るステータコイル18は、1つの相に4つのコイル要素(合計12 個)を用いた3相12極とされている。このような構成のステータコイル18では、各相を構成するコイル要素(第1コイル要素U1、第2コイル要素U2、第3コイル要素U3、第4コイル要素U4、第1コイル要素V1、第 2コイル要素V2、第3コイル要素V3、第4コイル要素V4、第1コイル要素W1、第2コイル要素W2、第3コイル要素W3、第4コイル要素W4)の間にそれぞれ、スイッチ回路部20(20U1、20U2、20U3、20V1、20V2、20V3、20W1、20W2、20W3。以下、回路部20と称す)が設けられている。
回路部20の構成として、回路部20U1、20U3、20V1、20V3、20W1、20W3については、各回路部20は、入力側1ポート、出力側2ポートの切り替えスイッチが2つ(第1スイッチA、第2スイッチB)、並列に配置されて成る。第1スイッチAの入力側ポートには、最左端のコイルを例に取れば第1コイル要素U1、V1、W1がそれぞれ接続され、第2スイッチBの入力側ポートには、第1バイパス線が接続されている。第1スイッチAの出力側ポートには、aポート側に第2コイル要素U2、V2、W2が 接続され、bポート側に第2バイパス線が接続されている。また、第2スイッチBの出力側ポートには、aポート側が開放(未接続)となっており、bポート側には、第2コイル要素U2、V2、W2からの分岐線が接続されている。一方、回路部20U2、20V2、20W2については、 第2スイッチBについて、入力ポートの数と出力ポートの数が第1スイッチAと逆となるように構成されている。こうして、両端コイルを除く中間部分の2コイルは、夫々の中間コイルの左側も右側も2スイッチになっている。夫々の左側のスイッチは、一段下のコイルに接続するか、或いは、中点ラインに接続するのかを選択し、右側のスイッチは、電源ラインから接続するのか、或いは、一段前のコイルから接続するのかを選択するようになっている。
このような構成のモータ装置10では、U相、V相、W相のそれぞれにおいて 、回路部20U1~20W3について、それぞれ第1スイッチAと第2スイッチBをaポートに設定することで、第1コイル要素U1~第4コイル要素U4、第1コイル要素V1~第4コイル要素V4、第1コイル要素W1~第4コイル要素W4がそれぞれ直列接続されることとなる(この状態を1パラと称す:図1参照)。
また、1パラの状態から回路部20U2、20V2、20W2の第1スイッチAと第2スイッチBをbポートに設定した場合、例えばU相では、第1コイル要素U1と第2コイル要素U2が直列、第3コイル要素U3と第4コイル要素U4が直列にそれぞれ接続され、第1コイル要素U1と第2コイル要素U2の組と、第3コイル要素U3と第4コイル要素U4の組がそれぞれ並列に接続されることとなる。なお、V相、W相においても各コイル要素が同様に接続される(この状態を2パラと称す:図2参照)。
さらに、U相、V相、W相のそれぞれにおいて、回路部20U1~20W3について、それぞれ第1スイッチAと第2スイッチBをbポートに設定した場合には、第1コイル要素U1~第4コイル要素U4、第1コイル要素V1~第4コイル要素V4、第1コイル要素W1~第4コイル要素W4がそれぞれ並列接続されることとなる(この状態を4パラと称す:図3参照)。なお、スイッチの切り替えは、制御部22からの信号によれば良い。
以上の図1~図3の回路を統合整理すると図4の回路情報になる。この図が示すように各相の4つのコイル要素の両端を除く、中間コイル要素2つは、夫々、両端が2つのスイッチ(U2コイル要素については左端側がスイッチUSw2とスイッチUSw3、右端側がスイッチUSw4とスイッチUSw5)に、つまり計4つに接続されている(U3コイル要素についても同様で左がUSw5とUSw6、右側がUSw7とUSw8に接続されており、これは他の各相(V,W)についても同様である)。このような接続関係で有れば各スイッチに流れる電流が同じになるから過度の発熱が抑えられる。
上記のような構成のモータ装置10では、直列接続されるコイル要素が多いシステムほどトルク特性が高く(上記1パラ)、並列接続されるコイルが多いシステムほど回転特性が高い(上記4パラ)。このような特性を活かし、1パラから4パラまでのシステム切り替えを行ってモータ装置10を運転する場合のトルクと回転数の関係特性(T-N特性)と、トルクと電流の関係特性(T-I)について、図6に示す。
図6によれば、1パラ、2パラ、4パラと、回転数の上昇に伴うシステム切り替えを実施することで、消費電力を所定値以下に押えつつ、高トルクの運転を実現することができる。また、2パラ、4パラと切り替え運転することで、1パラでは得る事のできない高回転域での運転を実現する事ができる。例えばこのような構成のモータ装置10を電動車の推進用の動力に適用した場合、4パラ、2パラ、1パラ(つまり全コイル要素直列)は、それぞれトップギア、セカンドギア、ローギアに相当する変速機構としての機能を果たすこととなる。
[効果]
このような構成のモータ装置10によれば、高回転域においても所定のトルクを得る事ができる。また、コアレスモータにすればコイル体に鉄心を備えないから鉄損が無くなり、自己インダクタンスを小さく抑える事ができ、回路部20による接続切り替えによるスイッチングから特性切り替えに至るまでの応答性を高める事ができる。さらに、コイル要素と回路部の数を増やす事により、特性の切り替えの自由度を向上させることができる。
[運転切替]
本実施形態に係るモータ装置10を電動車に適用した場合における運転切替の具体例について、図7から図10を参照して説明する。なお、本実施例は、車椅子、バイク、電動自転車、所謂シニアカー、自動車、AGV(自動搬送手段)などの電動車両全般における運転切替の実施例に該当すると共に、回転刃を備えた電動芝刈り機等における回転速度と負荷の変化にも共通視することができる。
図7から読み取れるように、スタート時(=車両発進時)は、低回転であると共に車両を動かすための初期トルクが必要であるため、L(ロー)、すなわちコイル要素の接続形式を直列(1パラ。コイル要素が4つなら4つ全てのコイル要素が直列。つまり4S)としている。発進後、一例として、モータ装置10の回転数が700rpm(30km/h相当)になると、Lから2パラ(コイル要素総数が4つなら2P+2P)に自動的に切り替わる。なお、本例では、モータ装置10の回転数により自動的に接続切り替えが行われるように設定されている。このため、更に車両速度を向上させて、例えばモータ装置10の回転数が1400rpm(60km/h相当)になった場合には4パラ(コイル要素が4つとも並列)に切り替わる。
さらに車両速度を上げて、4パラのまま車両速度100km/h(例えば モータ装置10の回転数が2000rpm)で進んだ場合、若干の登り坂(傾斜角度α)に入ると、モータ装置10に対する負荷が向上するため回転数が低下してスピードが落ちる。例えば回転数が1167rpm(50km/h相当:1400rpmの5/6)程度に低下すると、2パラに切り替わる。
さらに、若干の登り坂から急坂(傾斜角度β)に入ると、モータ装置10への負荷はさらに向上して回転数が低下し、スピードが落ちる。例えば回転数が467rpm(20km/h相当:700rpmの2/3)程度に低下すると、直列(1パラつまり4S:L)に自動的に切り替わる。なお、坂道を進行する際における50km/h(1167rpm)、20km/h(467rpm)等の設定はヒステリシスのブレ幅対応になる。
坂道の走行において徐々に加速し、平坦路付近で30km/h(700rpm)程度になると、モータ装置10の接続形式は2パラ(2P+2P)に自動的に切り替わる。また、平坦路においてさらに加速して60km/h(1400rpm)に至ると4パラ(4P)になり、100km/h(2000rpm)程度まで加速することができる。ここまではモータ装置10の回転速度の向上に伴い、コイル接続パターン切替装置80(図10参照。以下同じ)によって自動的にギア機能が切り替わる制御が成される。
これに対し、下り坂(例えば、傾斜角度γの急坂)に入ると、乗車者からの指令信号によりコイル接続パターン切替装置80による切り替えを行い、モータ装置10の回転抵抗による制動(=回生制動:いわゆるエンジンブレーキ)をかけるように制御する。このように自動制御とマニュアル制御を組み合わせても良い。例えば急坂では、4パラ(4P)の状態で徐々に速度を低下させ、60km/h(1400rpm)程度まで落とす。その後、下り坂が穏やか(例えば、傾斜角度θ)になったら、2パラ(2P+2P)に切り替え、さらに速度を低下させる。このように段階的に速度(回転数)を落とす事により、モータ装置10に急激な負荷がかかることを防ぐことができる。
穏やかな下り坂において車両速度が30km/h(700rpm)程度まで落ちたら、モータ装置10の接続形式を1パラ(直列。つまり4S)に切り替え、平坦路に至る。なお、下り坂では、上記のように回生制動を効かせる事により、電源の充電を行うことができる。
以上の流れを高速(Top:T)、中速(Second:S)、低速(L ow:L)の切替として図8及び図9に示し、以下に説明する。
まず、平地で発進し速度が0-20km/hの範囲ではLで走行し、20km/hになるとS、60km/hではTに切り替わり、Tでは100km/hまで至ることとなる。図8に示す区間Aではアクセル開度はフル(全開)にしており、モータ装置10の回転数を検出して自動でコイル接続パターン切替装置80によりコイル要素接続が切り替わる。この区間では、車両の加速に伴いモータ装置10の回転数が向上するのに対し、運転者が入力するアクセル信号(手動アクセル信号)は、回転数をMAXに上げるための信号が出力される。このため、手動アクセル信号がモータ装置10の回転数よりも大きくなる。
次に、上り坂に入ると速度は60km/h程度に落ち、コイル接続パターン切替装置80はSに切り替わり、その後により急坂に入ってもSの状態を維持する。この区間(図8における区間B´)は、モータ装置の回転数(速度)によりコイル接続パターン切替装置80を制御するのではなく、アクセル開度による制御(電流コントロール)が行われる。そして坂を上りきって平地に入ると(区間B´を抜けると)回転数制御(速度制御)に切り替わり、コイル接続パターン切替装置80は、車両を加速させるためにLへと切り替わり、速度(回転数)の上昇と共にSへ切り替わり、その後にTへと切り替わる。ここで、Tでのトップスピードは100km/h程度に至ることとなる。
図8に示す区間Bでは、アクセル開度によるコイル接続パターン切替装置80の切り替え制御が優先される。このため、モータ装置10の回転数(速度)がアクセル開度に基づく指示より低い場合には、アクセル開度に基づく電流指示によりコイル接続パターン切替装置80の切り替えが成されることとなる。つまり、区間B´では、車両速度の低下に伴いモータ装置10の回転数は落ちるが、車両速度を60km/hに保つために電流値によって自動的にコイル接続パターン切替装置80が動作して切り替わる。上記のように、区間Bでは、アクセル開度に対するモータ装置10の回転数(速度)が低い状態が続くこととなる。よって、区間Bも、手動アクセル信号がモータ装置10の回転数よりも大きくなる。
次に、平坦路から下り坂に入ると、急な下り坂であっても最初はTの状態で下り始め、緩い坂になった後にSに切り替わり、その後平地に至ってLへと切り替えが成される。この区間Cは、重力加速に伴い、モータ装置10の回転数(速度)がアクセル開度(電流指令)より大きくなる。このため、運転者のアクセル開度の調整(アクセル指示)に従ってコイル接続パターン切替装置80による切り替えを行うことになる。以上のアクセル開度の切り替えは、本発明のコイルパターンの切り替えが担っている。
次に、運転切替パターンとして他の態様を図9に例示する。図9に示す例では、平地から傾斜角小の登り坂の範囲ではトップギアが選択される。その後、登り坂の傾斜が中角度になった場合にはセカンドギアに切り替わり、傾斜が角度大となるとローギアに切り替わる。そして、傾斜角が上り切りの緩やかな状態になると再びセカンドギアに切り替わり、台地に上って平地になるとトップギアに切り替わるという態様が採られる。このようにコイル接続パターン切替装置80は従来の自動車のギア切り替え機能を備えている。つまり、このギアの切り替えは、コイル要素接続パターンの切り替えが担っていることになる。
一般的に、モータを高トルクにする事とモータの最大回転数を上げることとは、トレードオフの関係にあり、モータを高トルクにしようとすると最大回転数が低くなり、モータの最大回転数を上げようとすると最大トルクが低くなる。そこで従来は電源の高電圧化による高回転化と電源の大電流化による高トルク化が図られて来たが、こうした制御方式では安全面での課題や技術的限界がある。そこで本発明者等は、特性が異なるモータを電気的に自動的に切り替えることを考え、この従来の課題を解決した。このような手段を講じる事により、モータ装置自体は1つとした上で、例えばLowギア、2´ndギア、Topギアのように複数段の回路切替(コイル接続パターン切替装置80によるコイル接続の切り替え)を可能にすることで、特性が異なる複数のモータを自動で切り替えることと同様な効果を得ることが可能となる。
ここで、Lowギアは高トルク、低回転数であり、少ない電流で高トルクを発生できる。Lowギアにおいて回転数を向上させるためには、高電圧が必要となるが、Lowギア段階では低回転数での運用となるため高電圧が必要となることはない。また、2´ndギアでは中トルク、中回転数となり、Topギアでは低トルク、高回転数(低い電圧で高速回転が可能)となる。Topギアにおいて高トルクを得るためには大電流が必要となるが、Topギア段階では低トルクでの運用となるため大電流が必要となることはない。
このように、モータに対してコイル要素間の接続の切換え機能を付与することにより、1台のモータ装置10が複数のモータの顔を内在させることになり、様々な走行シーンに対応できるようになる。従ってドライバの高電圧出力化、及び大電流出力化も不要となり、モータ装置に対する過負荷が低減され、モータ装置の温度の急上昇を抑制することができる。
以上に述べた通り、本発明に係るモータ装置10では、各相のコイル要素の位置及び数を選択することによって直列のLo状態と、複数の並列(例えばセカンド、サード)や直列・並列の混用と言ったコイル要素接続パターンの切り替えによって、3段以上の特性切り替えを可能にできる。すなわち、各相のコイル要素接続の位置及び数を選択することによって、接続形式を直列形式、及び複数パターンの並列形式に切り替え可能とすることができる。このため、自転車、バイク、所謂シニアカー、車椅子、自動車などの電動車両に適用した場合には、機械式のギアを介装させる事無く複数段のギア切り替え相当の機能(コイル要素接続の切替)が可能となる。なお、このような構成は、本発明に係るコアレスモータのみならず、コアドモータにも適用することができる。
本発明に係るモータ装置10を電動車の推進用の動力に適用する場合、適用対象とする電動 車の車両速度(車速)をエンコーダやレゾルバにて検出し、検出した車速値に基づいて本件コイル切替の適用をする。車速の検出に関しては、図示しないセンサ等を用いて行うようにしても良く、従前(既知)の様々な方式を用いることができる。尚、コイル要素接続の切替のタイミングはこのように種々の速度検知による切替タイミング設定を施したコイル接続パターン切替装置80によって行われる。
なお、各相のコイル要素総数は、切替段数(直列(=1パラ)、複数パターンの並列)に応じて分割することになるが、分割に際しては均等に分けることによってコイル間での循環電流の発生を防止することが望ましい。例えばコイル要素総数が24個であれば直列(1パラ)なら24コイル要素、2パラなら12コイル要素ずつ分けることとなる。同様に、3パラの場合には8コイル要素ずつ、4パラの場合には6コイル要素ずつ、6パラの場合には4コイル要素ずつとすることで、均等に分けることができる。さらに分割数を増やし、8パラとする場合には3コイル要素ずつ、12パラとする場合には2コイル要素ずつとなり、24パラの場合には1コイル要素ずつ分けることとなる。このようにコイル要素を均等分割することで、各相において並列を成すコイル要素数に差が生じないため、循環電流が発生しない。このため、循環電流の発生に基づく発熱を抑制することができ、エネルギー(電力)効率の無駄(ロス)の増大を避けることができる。
図10のシステム図ではコントローラ31、ドライバ40、コイル接続パターン切替装置80とモータ装置10の接続関係を示している。先ずコントローラ31は、スロットル情報と速度情報から、モータ装置10から出力するトルクを決定する。スロットル情報はスロットル開度であり、例えば、スロットルを閉じている場合は0%、フルスロットルの場合は100%になる。尚、コントローラ31では自動か手動でギア値が選択される。選択されたギア値とトルク値からモータ電流を計算する。尚、モータ電流計算にはギア毎のトルク定数情報が与えられている。
ドライバ40は、モータ電流値がコントローラ31からの指令値となるようにモータを 制御すると共に、速度情報としてモータの回転速度Nをコントローラ31に与える。ギア選択に関しては、回転数が低い場合はローギア、高い場合はギアを上げることになる。トルクは、コントローラ31に予め記憶されているトルクマップに従い決定される。このトルクマップは、例えば複数のスロットル状態、および、複数の速度それぞれに対するトルク値で構成されており、実際のスロットル状態と速度と、このトルクマップから補間計算により実際に出力すべきトルクが計算される。例えば、スロットルが閉じている(0%)場合、20%開いている場合、40%開いている場合、60%開いている場合、80%開いている場合、フルスロットル(100%)の場合、の全6種類のスロットル情報と速度に対する出力すべきトルクがトルクマップとしてコントローラ31に記憶されている。そしてコントローラ31は、速度Nとスロット情報と、このトルクマップからトルク値を算出する。スロットル値が前述の6種類(0%、20%、40%、60%、80%、100 %)以外の場合には、補間計算によりトルク値を算出する。
以上により、ギアの切り替えは今まで説明した通りコイル接続パターン切替装置80にてコイル接続パターンの切り替えを行うことにより実行される。こうしてギアは回転数に応じて切り替わる。
コントローラ31は出力すべき所定のトルクを出すために必要な電流値をギア毎に計算 しドライバ40に指示する。ドライバ40に対する電流指令はギア切替指示と同時に実行され、従ってギアを切替え時の出力トルク変動は非常に小さく、円滑な切替が実現される 。すなわち、切替前後でトルクが変わらないような電流指令を、切替と同時に行うから、円滑な切替となる。例えば、1速ではトルク定数が0.4Nm/A、2速ではトルク定数が0.2Nm/Aであるシステムを想定すると、ギアが1速で出力すべきトルクが1Nmであった場合、コントローラ31は2.5Aの電流指令をドライバ40に指示する。回転速度が上昇してきて、2速に切り替えることになった場合は、コントローラ31は切替指令と同時にドライバ40に与える電流指令を2.5Aから5Aへ変更する。これにより、切替前後でモータ装置10から出力されるトルクは1Nmに保たれ、円滑な切替が実現されることになる。
ところで、以上の実施形態に示した回路はモータ装置10に内蔵させることができる。回路をモータ装置内に収める場合には特に、コアレスモータ特有の内部空間を有効に活用することができる。さらに、モータ装置10をコアレスモータとする場合には、必ずしも回転軸14を設けなくとも、回転電気機械としての機能を保つことができる。これは、回転軸14とロータ16がコアにより接続されていないために可能とされる構成であり、例えば、ロータに直接、入出力機器の回転軸を接続することで実現することができる。このような構成とした場合には、モータ装置10の内部が中空構造となることより、内部空間をより有効に活用することが可能となる。
また、上記実施形態では主に、モータ装置10の回転数に基づいてコイル接続パターン切替装置80による切り替えを行う旨説明している。しかしながら、本発明に係るモータ装置10を電動車の推進用の動力に適用する場合、適用対象とする電動車の車両速度(車速)を検出し、検出した車速値に基づいてコイル切替パターン切替装置80による切り替えを行うようにすることもできる。なお、車速の検出に関しては、図示しないセンサ等を用いて行うようにすれば良く、従前(既知)の様々な方式を用いることができる。
[応用形態]
上記実施形態ではいずれも、単一のコイル単位に回路部を備える構成としていた。しかしながら、回路部間に配置するコイル要素の数は、1つに限るものでは無い。例えば、回路部間に配置するコイル要素の数に変化を持たせると共に回路部の配置を工夫することで、コイル要素を並列接続する際に、直列接続されるコイル要素の数を等分化することが可能となり、直列接続するコイル要素と並列接続するコイル要素の組み合わせによる特性変化の幅を広げることができる。
例えば図11に示すような構成のステータコイル18を備えるモータ装置10では 、各相(U相、V相、W相)に12個のコイル要素(第1コイル要素~第12コイル要素:U1-W12)を配置し、5つの回路部(20U1-20W5)を設ける構成としている。1例として、U相における回路部20U1-20U5)は、コイル要素U3とコイル要素U4の間、コイル要素U4とコイル要素U5の間、コイル要素U6とコイル要素U7の間、コイル要素U8とコイル要素U9の間、及びコイル要素U9とコイル要素U10の間にそれぞれ設けている。なお、V相とW相においても、回路部(20V1-20W5)の配置は同様とする。
回路部(20U1-20W5)には、それぞれポートa1、b1、a2、b 2、c1、c2が備えられている。このようなポートを有する回路部(20U1-20W5)では、ポートa1、b1がポートc1との間で切り替え可能とされ、ポートa2、b2がポートc2との間で切り替え可能とされており、両者は同時に切り替えが成されるように構成されている。
次に、本形態におけるステータコイル18の接続形態の切り替えと回路部(20U1-20W5)の切り替えの関係について説明する。なお、各相において対応する回路部(20U1-20W5)はそれぞれ同時に切り替えが成されるため、以下の説明においては、回路部20U1、20V1、20W1を回路部20X1、回路部20U2、20V2、20W2を回路部20X2、回路部20U3、20V3、20W3を回路部20X3、回路部20U4、20V4、20W4を回路部20X4、回路部20U5、20V5、20W5を回路部20X5と称して説明する。
本実施形態のモータ装置では、1パラ(直列接続)の場合には、全ての回路部20X1-20X5において、aポートとcポートが接続されるようにスイッチングが設定される。また、2パラとする場合には、回路部20X3のみがbポートとcポートが接続されるようにスイッチング設定される。また、3パラとする場合には、回路部20X2と回路部20X4がbポートとcポートが接続されるようにスイッチング設定される。さらに、4パラとする場合には、回路部20X1と回路部20X3、及び回路部20X5がbポートとcポートが接続されるようにスイッチング設定される。
各相を構成するコイル要素を円筒状に配置すると、図12のような形態となる。図12に示す例では、コイル要素U1とコイル要素U12の境界部を電力の入出力端として、右周りにコイル要素U1-U12を円筒(円環)状となるように配置している。このような配置形態のコイルにおいて、上記2パラを実行した場合、回路部20U3でコイルが分割(2等分)され、コイル要素U1-U6、コイル要素U7-U12がそれぞれ直列接続されることとなる。また、上記3パラを実行した場合、回路部20U2、20U4でコイルが分割(3等分)され、コイル要素U1-U4、コイル要素U5-U8、コイル要素U9-U12がそれぞれ直列接続されることとなる。さらに、上記4パラを実行した場合、回路部20U1、20U3、20U5でコイルが分割(4等分)され、コイル要素U1-U3、U4-U6、U7-U9、U10-U12がそれぞれ直列接続されることとなる。なお、図12においてはU相のコイル要素配置を示しているが、V相やW相においても同様である。
また、図13は、本発明を用いた6段切替の回路例を示している。この例では、U、V、Wの3相を用い、各相に12コイル要素を使用しており、コイル要素の接続方式を1パラ(つまり直列)、2パラ、3パラ、4パラ、6パラ、12パラ(2以上は並列)とする6段切替ができるようにしている。図13に示す例では、説明簡単化の為に図のようなリレーの組み合わせで説明しているが、FET等のスイッチング素子(半導体素子)を1つまたは複数用いて回路装置を纏めるようにしても良い。半導体素子を用いて回路装置を纏めるようにすることで、モータ装置10自体の小型軽量化や、内部配線の簡略化を図る事が可能となるからである。図中のa1、a2、b1、b2、c1、c2はポート(接点)、Lu1~Lu12、Lv1~Lv12、Lw1~Lw12はコイル要素、Ku1~Ku11、Kv1~Kv11、Kw1~Kw11は回路部(リレー)を示す。
回路部におけるポートc1とポートc2は同時に切り替わり、ポートc1がポートa1と繋がれば同時にポートc2はポートa2と繋がることとなる。このような接続形態では、当該回路部の両側に配置されたコイル要素が直列に接続されることとなる。なお、回路部においてポートa2は使わない端子(未接続)となっている。一方、ポートc1がポートb1と繋がれば同時にポートc2はポートb2に繋がることとなる。このような接続形態では、当該回路部の両側に配置されたコイル要素は並列に繋がることとなる。このような回路部が11個あれば、どの位置の回路部の選択先をaにするかbにするかにより、図14に示す表のように1パラ(1パラは直列)、2パラ、3パラ、4パラ、6パラ、12パラの選択ができる。なお、表中のKx1~Kx11のxは、u、v、wを示している(例えばU相のKx1はKu1になる)。
モータを回転させるには複数相(上記説明では3相)必要だが、夫々の相は表に示す切り替え方は同じになる。なお、切替操作はオートでもマニュアルでも良く、直列以外に複数段階の切り替えが可能であることが本実施例の本質になる。切替の操作は、例えば図10のシステムと図25(説明は後述)のギア切替操作手段30により段数を選定し、その選定指示をコントローラ31に送り、コントローラ31にて操作信号Sinをシフトレジスタ32に送ることになる。
[3相以外:2相の例と5相の例]
以上の実施形態では、ステータコイル18をU、V、Wの3相で構成するように示し、その旨説明してきた。しかしながら、本発明に係るモータ装置10は、直列と並列による複数段の回路切替を可能とするならばステータコイル18は、複数の相により構成されていれば、3相に限定されるものではない。
ステータコイル18を2相で構成する場合の例を図15から図17に示す。図15 の回路図中、回路部20が実線側に倒れれば、ステータコイル18を構成する各コイルは直列に接続され、破線側に倒れれば各コイル要素が並列に接続される。図16、図17は、ステータコイル18の構成を模式的に示した説明図である。両図では、2相を示すべくコイルを実線と破線の2種類で描いている。また、図中上側にSとNで示す永久磁石16aに対して近接している山型の部分が極を構成するコイルを表している。なお、図16は、各コイル要素が直列に接続されている状態を示しており、図17は、各コイル要素が並列に接続されている状態を示している。
次に、ステータコイル18を5相で構成する場合の例を図18から図20に示す。図18の回路図中、回路部20が実線側に倒れれば各コイル要素は直列に接続され、破線側に倒れれば各コイル要素が並列に接続される。図19、図20は、ステータコイル18の構成を模式的に示した説明図である。両図では、5相を示すべくコイルを5種類の線種で表現している。また、図中上側にSとNで示す永久磁石16aに対して近接している山型の部分が極を構成するコイルを表している。なお、図19は、各コイル要素が直列に接続されている状態を示しており、図20は、各コイル要素が並列に接続されている状態を示している。
[5コイル要素を用いた例]
図21はコイル要素を各相5つ用いた場合のスイッチ切替の関係で説明した切替パターン図であり、1コイル要素長さ逆電圧を1V、1Ωと仮定すれば(以下、本願明細書で同じ)、(A)は5コイル要素全部直列(5S)の場合になり、5Vの逆起電圧で5Ωとなる。(B)は5コイル全部が並列の場合になり、1V、0.2Ωとなる。(C)は3P+2Pの場合で、2V、0.83Ω(=0.33Ω+0.5Ω)となり、(D)は2P+2P+1Sで3V、2Ω(0.5Ω+0.5Ω+1Ω)となり、(E)は2P+3Sで4V、3.5Ωとなる。このように1V~5Vまで用意できているが、T-N特性に鑑み、Nの間隔が狭まるので4Vのケース(E)は使わなくても良い(つまり、コイル切替機能装置(ギア切替手段を含む制御機構)においては可能な接続パターンの内から、希望する使用パターンを予め選択範囲に設定することが可能であり、そうすれば切替幅がほぼ均一化する)。この図から明らかなように、両端のコイル要素に挟まれた中間コイル要素3つとも、その両端が接続しているスイッチは2つだけであり、全体としてスイッチ数を節約できているし、過度な発熱も抑制できる。
図22は図21の応用例であり、5コイル要素の内の一つのコイル要素につき、並列にコイル要素を追加しており、使用するコイル要素は6つだが、その内の2つが実質的に1コイル要素として機能する。この追加コイル要素は、一つのコイル要素に一つのコイル要素を並列に追加して(見かけは分岐して)双子の部分を形成しているので、本願ではこの追加コイルを補コイルということにする。図22の(A)は5コイル要素直列の内の一つに補コイルが付いていて逆起電圧が5Vには変わらないが抵抗値は4.5Ωとなり図21の(A)よりも低くなる。以下(B)~(E)についても補コイルを付けることによって抵抗値が低くなる。(B)は5コイル要素全部が並列(5P)でこれに補コイルが付くから見かけ6コイル要素が並列であり、逆起電圧は1V、抵抗値は0.167Ω(=1÷6)となる。(C)は3P+2P+補コイルで2V、0.66Ω(=0.33Ω+0.33Ω)となり、(D)は2P+2P+1S+補コイルで3V,1.5Ω(=0.5Ω+0.5Ω+0.5Ω)となり、(E)は2P+3S+補コイルで4V、3Ω(=0.5Ω+1Ω+1Ω+0.5Ω)となる。図21の例と同様の理由でパターン(E)は使わなくても良い。尚、当該コイルに補コイルを併設することに変えて、当該コイルの断面積を倍にしても良く、同じ効果が得られる。
図23は図22の実施形態(つまり補コイル付きの5コイル要素接続例)を用いた運転切替例を説明している。コイル要素の接続パターンが切り替わるごとに別のモータの顔に変貌し、夫々のパターンのモータが一つのモータ装置を成している。そこで、各パターンごとにモータの最高回転数が存在することになる。図23のグラフは1枚のT(トルク)-N(回転数)特性図に各パターンのモータのT-N特性の線を描き込んでいる。この時に図22のコイル要素接続パターンを対応させると次のようになる。
図22の(A)は5コイル要素が全部直列だから5V÷5V=1になり(これは図21の(A)も同じ)これはグラフ縦軸の回転数の目盛り1に相当する。これはパターン(A)のモータの最大回転数である。パターン(A)は5コイル要素の全てを直列に要したので、これはモータ装置に内在するモータの中で最も小さな最大回転数のモータということになる。尚、本願において以下の説明では目盛り1を20km/hに見立てる。(B)は5コイル要素全部が並列になるので1Vだから5V÷1V=5になり、縦軸の目盛り5(つまり100km/h)に相当する。これはパターン(B)のモータの最大回転数である。そして5コイル全てのコイルを並列に費やしたのでモータ装置に内在するモータの中で最も大きな最大回転数のモータということになる。(C)は2Vだから5÷2=2.5になり、縦軸の2.5目盛り位置に相当する(50km/h。パターン(C)のモータの最大回転数)。(D)は3Vなので5÷3=1.7になり、縦軸1.7目盛りに相当する(34km/h。パターン(D)の最大回転数。そして(E)になると4Vだから5÷4=1.25になる(25km/h。パターン(E)のモータの最大回転数)。
そうなるとパターン(A)のモータの最大回転数1と回転数0の幅は1になり、(A)と(D)の最大回転数の幅は1.7-1=0.7となり、(D)と(C)の最大回転数の幅は0.8となり、(C)と(B)の幅は2.5になる。つまり(C)と(B)の間隔が格段に大きくなる。これは運転操作する者にとってもモータ装置においてもショックをもたらす。そもそも最高速度を平常時に期待しないのであれば最高速度を出す前にリミッタを設けて良い。そこで本発明者は、この格段に大きな幅となる回転数の手前(例えば目盛り3.5。これは70km/hに相当することになる)にリミッタを設定することを提案する。そうなるとパターン(C)の最大回転数とリミッタ位置の回転数との目盛り幅は1.0になり、0から(A)、(A)~(D)、(D)~(C)、(C)~リミッタがほぼ1.0になるから運転者にも装置にもギア切り替えショックが少なくなる。この最大回転数同士の幅はほぼ等しければ良く、使用コイル要素数を全部直列に繋いだ時の最大回転数の(1±0.5)倍の幅の範囲にするようにコイル要素切替パターンのモータを選定すれば良い。
一方、使用コイル要素数を全部直列に繋いだ時の最大回転数の(1±0.5)倍の幅の範囲にするようにコイル要素切替パターンのモータを選定すれば十分なので、この条件に満たないモータパターン(例えばパターン(E)は最大回転数相当の目盛りが1.25になるので(A)と(E)との幅は0.25になり、(E)と(D)との間隔も0.45となって、1±0.5の範囲外になる)を不使用にして良い。そこまで細かい切替は省略できるから切替制御が簡便になるし、最大回転数に応じた切替間隔がほぼ均等になるので運転者の感覚的負担は軽減される。
ところでこの図23のグラフの横軸の目盛りは6まであり、図のような特性線で結ばれているが、これはT-N特性の傾斜を緩くするという補コイルの効果になる。
[回路構成とショート防止]
本発明の実施態様に用いている仕組回路について図24と図25により説明する。図25は 回路構成の全景となる。
直列と並列の切替は機械的な選択動作によるものであるならショートは起きない。しかしながら、機械的選択機構によらずスイッチング素子などを利用した場合には、そのタイミング次第で瞬時のショートが起きる可能性があるため、対策を講じる必要がある。その対策の1つとして、クロックを用いる方法がある。具体的には、直列のゲートと並列のゲートが同時にON(Hi)にならないようにすれば良い。
ギア切替操作手段30はコントローラ31に接続され、ギア切替操作手段30からの指令信号がコントローラ31に入力されると、コントローラ31からシフトレジスタ32に対しては、指令信号Sin(シリアルイン)としての入力となる。
指令信号Sinが入力されると、シフトレジスタ32からは、端子Q0、Q1、Q2からそれぞれ指令信号が出力されることとなる。この際、シフトレジスタ32では、クロック信号clkの作用により、各端子(Q0、Q1、Q2)からの出力が図23に示すようなズレを生じるように調整される。具体的には、SinがL(Lo、以下同じ)でclkが立ち上がるときはQ0がLになり、SinがH(Hi、以下同じ)でclkが立ち上がるときはQ0がHになる。一方、他の場合、すなわちSinに変化が無い場合には、clkの立ち上がりに関わらず、信号の状態がLまたはHのまま維持される。Q1についてはQ0の信号に基づく変化が成される。具体的には、Q0がLでclkが立ち上がる時はLになり、Q0がHでclkが立ち上がるときはQ1がHになる。そして、Q0の信号に変化が無い場合には、前の状態、すなわちLまたはHの状態が維持される。Q2についてはQ1の信号に基づく変化が成される。具体的には、Q1がLでclkが立ち上がる時はLになり、Q1がHでclkが立ち上がる時はQ2がHになる。Q1の信号に変化が無い場合には、Q1と同様に、前の状態、すなわちLまたはHの状態が維持されることとなる。
Q0とQ2からの出力は、NOR素子33に入力され、EN(XNOR:エクスクリーシブノア)として指令信号が出力される。NOR素子33では、Q0とQ2の信号が一致した場合に指令信号の出力が許可され、両者の信号が一致しない場合には指令信号の出力が許可されない。具体的には、Q0から出力される指令信号がLで、Q2からの出力もLである場合には、ゲートがHとなり、指令信号の出力が許可される。同様に、Q0からの出力がHで、Q2からの出力もHdeある場合にも、ゲートがHとなり、指令信号の出力が許可される。一方、Q0から出力される指令信号がLでQ2からの出力がHである場合や、Q0からの出力がHでQ2からの出力がLである場合には、ゲートがLとなり、指令信号の出力は許可されない。
シフトレジスタ32におけるQ1から出力される指令信号は、NOT素子34を介してAND素子35に入力されると共に、直接AND素子36にも入力される。NOT素子34からの出力信号は、入力された信号と逆になるため(Q1から出力された指令信号がLであった場合、NOT素子34からの出力はH、Q1からの指令信号がHであった場合、NOT素子34からの出力はL)、AND素子35とAND素子36には、Q1からの指令信号としてそれぞれ反対の指令信号が入力されることとなる。
AND素子35、AND素子36は、それぞれQ1からの指令信号と、NOR素子33からの出力信号が同時にHとなった場合のみ、指令信号としてHを出力することとなる。上述したように、AND素子35とAND素子36には、Q1からの指令信号としてそれぞれ反対の信号(L又はH)が入力されるため、両者が同時にHの指令信号を出力することは無い。また、シフトレジスタ32におけるQ0とQ1、及びQ2からの指令信号の切り替えタイミングにもズレが生じていることより、NOR素子33からの出力信号の切り替えタイミングとQ1からの指令信号の切り替えタイミングが一致することも無い。このため、AND素子35とAND素子36との指令信号の切り替えタイミングも一致する虞がない。
AND素子35とAND素子36からの出力はそれぞれ、各相の回路を構成するブロック37,38,39に入力される。なお、ブロック37は、U相のブロック、ブロック38は、V相のブロック、ブロック39は、W相のブロックをそれぞれ示す。また、ブロック37,38,39において、AND素子35から出力される指令信号が入力されるG1sは、ゲートシリアル(直列側)への切り替え信号の入力端子であり、AND素子36から出力される指令信号が入力されるG1pは、ゲートパラレル(並列側)への切り替え信号の入力端子である。上述したように、AND素子35とAND素子36からの指令信号は一致することが無く、L、Hの切り替えタイミングにもズレが生じることとなる。このため、図24に示すように、G1sとG1pが同時にON(Hi)となるタイミングが無く、ショートが生じる事が無い。なお、G1s、G1pにおける数字「1」は、それぞれ回路部の番号を示すものである。
図25及び図26に、ブロックを構成する回路図の例を示す。図25はU、V、Wの各相に対応して描いており、図26に示す例は、U相を構成するブロックにおける回路図の例しか描いていないが、V相、W相を構成するブロックについても同様な構成となる。例えばLu1hについては、V相の場合Lv1h、W相の場合Lw1h、Lu2hについては、Lv2h、Lw2hとなる。また、Lu1lはLv1lとLw1l、VuはVv、Vwにそれぞれなる。図26に示す例では、回路部に相当するスイッチング素子とFET(電界効果トランジスタ)素子20aを示しているが、本発明を実施するにあたってスイッチング素子を用いる場合には、FET素子を採用する事に限定することは無い。
上記実施形態では、コイル要素の数や回路部の数を限定的なものとしているが、コイル要素や回路の数を増減させ、コイル要素を直列接続と並列接続させる際の組み合わせを増やすようにしても良い。また、コイルの接続形態の組み合わせを増やすだけでなく、用途に応じた適正回転数やトルクを選定し、コイル要素の接続形態の組み合わせを限定的に定めるようにしても良い。例えば、電動工具などの初期動作のトルクよりも回転数を稼ぎたい用途への適用する場合には、4パラと3パラなど、高回転域の特性運転を行う事ができるコイル要素の組み合わせを選択切り替えできるようにすれば良い。
また、上記実施形態では、コイル要素の接続形態の切り替えを理解しやすくするために、回路部20を機械的に示しているが、回路部20は、半導体チップにより、同様な機能を持たせるようにしても良い。
また、上記実施形態では、いずれもステータコイル18の形態については、円筒状とする旨記載した。しかしながら、本発明に係るモータ装置は、ステータコイルを円盤状に配置した形態についても含むものとすることができるし、コアレスモータに限定せず、スロットレスモータを含むブラシレスモータに展開できる。スロットレスモータはコアドモータではあるが鉄心歯が無いのでその分鉄損が無く、インダクタンスが小さくなる点はコアレスモータに準じている。
[コイル要素数が3つの場合]
また、上記説明の中では、並列接続を行う際のコイル要素数を均等化すると共に複数段の切り替え接続を可能とする旨説明したが、既に実施形態を変えて説明したように、各相を構成するコイル要素の数は偶数でも良いし奇数でも良い。
例えば図27~図29に示すように、ステータコイル18を構成する各相のコイル数を3つとした場合には、3つのコイル要素を直列に接続する接続形式(上記実施形態における1パラ:図27参照)と、3つのコイルをそれぞれ並列に接続する接続形式(上記実施形態における3パラ:図28参照)との切り替えが可能となり、他にも図29に示すようなパターンが想定される。
図29にて3コイル要素使用の場合のコイルとスイッチの切替関係を説明する。パターン(A)は全部直列(図27相当)で逆起電圧は3Vとなり、パターン(C)は全部並列(図28相当)で逆起電圧は1Vとなる。尚、パターン(B)のように1コイル要素を不使用にして逆起電圧を2Vにすれば1V,2V,3Vの選択ができることになる。尚、パターン(D)は2P+1Sで2V,1.5Ωにはなっているが、同じ2V対応ならばパターン(B)の方を採用すべきである。パターン(D)はコイル要素を線材で作っている場合(銅板製で無いような場合)、パラレル使用する二つのコイルが線材製造等に起因して微妙な位相ズレが有るが為に、循環電流を引き起こす恐れがある。一方でパターン(B)のように1コイル要素を不使用にすればパラレル使用が無いので循環電流は無くなり、効率が良くなる。但しパターン(B)では使用コイル要素に電流が多く流れるから高温化対策の併用が望ましい。この図からわかるように、この3コイル要素の実施形態でも中間コイル要素の両端は夫々2スイッチに繋がっていて、一つの中間コイル要素には合計4つのスイッチが接続されていることになる。
[4つのコイル要素を使用して考えられる切替パターン]
図30は4コイル使用の場合のコイルとスイッチの切替関係を示し、図1~図3の例示に更に一部コイル要素の不使用のパターンも加えて、接続可能性を纏めたものである。各パターンの内容は次の通りである。パターン(A)は4個コイル要素全て直列で4V,4Ωになる。パターン(B)は4コイル要素全て並列で1V、0.25Ωになる。パターン(C)は2P+2Pで2V,1Ωになる。パターン(D)は2P+2Sで3V、2.55Ωになる。パターン(E)は3P+1Sで2V、1.33Ωになる。パターン(F)は1コイル要素を不使用とした3Sとなり、3V,3Ωになる。パターン(G)は1コイル要素不使用で2P+1Sとなり、2V、1.5Ωになる。パターン(H)は2コイル要素を不使用にした2Sとなり、2V,2Ωになる。パターン(I)は4コイル要素中の3コイル要素を不使用にしたから1Sとなり1V、1Ωになる。パターン(J)は2コイル要素不使用の2Pで1V,0.5Ω、そしてパターン(K)は1コイル要素不使用の3Pで1V,0.33Ωになる。
10………モータ装置、12………ハウジング、12a………軸受、14………回転軸、16………ロータ、16a………永久磁石、16b………インナーヨーク、16c………アウターヨーク、18………ステータコイル、20(20U、20V、20W)………回路部、22………制御部、30………ギア切替操作手段、31………コントローラ、32………シフトレジスタ、33………NOR素子、34………NOT素子、35………AND素子、36………AND素子、37………U相ブロック、38………V相ブロック、39………W相ブロック、U1………第1コイル要素、U2………第2コイル要素、U3………第3コイル要素、U4………第4コイル要素、V1………第1コイル要素、V2………第2コイル要素、V3………第3コイル要素、V4………第4コイル要素、W1………第1コイル要素、W2………第2コイル要素、W3………第3コイル要素、W4………第4コイル要素。

Claims (12)

  1. ハウジング内に永久磁石とステータ及び3相のステータコイルを備えた回転電気機械において、
    前記各相のステータコイルは3つ以上のコイル要素を備え、該コイル要素間の接続を切り替えることにより、直列、並列、直列と並列の組み合わせ、又は並列と並列の組み合わせのパターンに切り替わるようにし、その切替の為のスイッチを前記コイル要素間に配置し、かつ、前記コイル要素の内、両端のコイル要素を除くコイル要素については当該コイル要素の両端が夫々2つのスイッチに接続されることによって当該コイル要素に直接つながるスイッチ合計が4つとなっていることを特徴とする回転電気機械。
  2. 複数コイル要素の内の一つに、当該コイル要素と並列に一つのコイル要素をつなげるか当該コイルの断面積を倍にすることにより、当該コイル要素の抵抗を半減させることを特徴とする請求項1に記載の回転電気機械。
  3. 使用コイル要素数から想定されるコイル要素接続切替パターンの内、全部のコイル要素を並列にするパターンを不使用とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電気機械。
  4. 使用コイル要素数から想定されるコイル要素接続切替パターンごとにモータのT-N特性が決まり、これによってT-N特性の異なる複数のモータが想定され、
    任意の2つの前記モータの各最大回転数同士の幅(全部直列時の最大回転数の場合は回転数ゼロからの幅を含む)が、実質的に近似(使用コイル要素数を全部直列に繋いだ時の最大回転数の(1±0.5)倍の幅の範囲)するように前記モータを選定し、この条件に満たないモータパターンを不使用にすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電気機械。
  5. 前記ステータコイルは円筒状であり、該ステータコイルと離間して該ステータコイルの対向面に位置するように前記永久磁石を備えたロータを有するコアレス型の回転電気機械であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電気機械。
  6. 前記コイル要素間の接続切り替えのパターンのうち並列への切り替えは、各相を構成するコイル要素の数に応じて、組となるコイル要素の数を変化させた複数段階の切り替えを可能とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転電気機械。
  7. 前記スイッチを1つまたは複数の半導体素子により構成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回転電気機械。
  8. 予め定めた回転数の閾値に対して低回転側では直列形式で接続するコイル要素を増やし、高回転側では並列形式で接続するコイル要素を増やすように前記スイッチの切り替えを行う制御部を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回転電気機械。
  9. 前記ステータコイルは、耐変形層を有することを特徴とする請求項5、または請求項5を含む請求項6乃至8のいずれか1項に記載の回転電気機械。
  10. 前記ステータコイルは、U、V、Wの3相から成ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の回転電気機械。
  11. 前記ステータコイルは、リッツ線を用いて構成することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の回転電気機械。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の回転電気機械を推進用の動力に適用したことを特徴とする電動車。
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