JP2023091531A - 既設管渠更生のためのライニング材並びにこれを用いた下水道用及び上水道用の既設管渠の更生工法 - Google Patents

既設管渠更生のためのライニング材並びにこれを用いた下水道用及び上水道用の既設管渠の更生工法 Download PDF

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【課題】薄くて高い止水性及び耐久性を兼ね備えた既設管渠補修のためのライニング材並びにこれを用いた下水用及び上水用の既設管渠の補修工法を提供すること。【解決手段】既設管渠の内周面の補修に用いる管状ライニング材(1)であって、前記ライニング材(1)は、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に、未硬化状態の光硬化性又は熱硬化性の合成樹脂を含浸させた中間層(3)と、前記中間層(3)の片面を覆う熱可塑性樹脂の被覆層(4)を有することを特徴とし、前記中間層(3)を前記被覆層(4)が覆う面と反対側の面を保護する保護膜(6)を含む、ライニング材(1)並びにこれを用いた下水用及び上水用の既設管渠の補修工法。【選択図】 図1

Description

本発明は、既設管渠補修のためのライニング材並びにこれを用いた下水用及び上水用の既設管渠の補修工法に関する。
平成28年度末における全国の下水道管渠の総延長は約47万kmで、このうち標準耐用年数である50年を経過した管渠の延長は約1.4万km(総延長の3%)にのぼる。 これらの既設管渠は、長年の経年劣化や地盤沈下、又は交通荷重の増大による老朽化が著しく、管渠の損傷等が原因と思われる漏水事故や道路陥没、臭気問題等が多発している。
標準耐用年数を経過し更生が必要な老朽管は、10年後には5.7万km(総延長の12%)、20年後には14万km(総延長の30%)と、今後急速に増加することがわかっており、早急な対応が必要である。
老朽化した既設管渠を補修する工法として、熱硬化性又は光硬化性のライニング材を使用する方法が知られている(特許文献1参照)。
このような方法として、主にガラス繊維のベース材に、不飽和ポリエステル樹脂を含浸させたライニング材が知られている。
特許文献1に記載されているように、従来のライニング材は厚さが20mm程度に設定されていた。
従来のライニング材は、既設管渠に施工する前には、折り畳んで、またはリールなどに巻き取って、保管している。例えば30mの長さを有するライニング材は、厚みによって嵩張り、大きな保管場所が必要である。
しかし、ライニング材の厚みを減少させると、十分な強度を持ったライニング材を得ることができず、薄さと強度を両立したライニング材の実現が求められている。
特許6125285号
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、薄くて高い止水性及び耐久性を兼ね備えた既設管渠補修のためのライニング材並びにこれを用いた下水用及び上水用の既設管渠の補修工法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、既設管渠の内周面の補修に用いる管状ライニング材であって、前記ライニング材は、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に、未硬化状態の光硬化性又は熱硬化性の合成樹脂を含浸させた中間層と、前記中間層の片面を覆う熱可塑性樹脂の被覆層を有することを特徴とし、前記中間層を前記被覆層が覆う面と反対側の面を保護する保護膜を含む、ライニング材に関する。
請求項2に係る発明は、前記被覆層は、厚みが0.5mm以上であり、ポリエチレン樹脂を含む合成樹脂を主成分とする、請求項1に記載のライニング材に関する。
請求項3に係る発明は、前記被覆層は、前記中間層に接する面にポリエステル樹脂の不織布が固着されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のライニング材に関する。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のライニング材を用いて、下水用既設管渠の内周面を補修する工法であって、既設管渠内に前記ライニング材を、前記被覆層が前記中間層より外側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、前記ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、前記ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、中間層を硬化させる工程と、前記下水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む下水用既設管渠の補修工法に関する。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のライニング材を用いて、上水用既設管渠の内周面を補修する工法であって、既設管渠内に前記ライニング材を、前記被覆層が前記中間層より内側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、前記ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、前記ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、中間層を硬化させる工程と、前記上水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む上水用既設管渠の補修工法に関する。
請求項1に係る発明によれば、ライニング材は、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に、未硬化状態の光硬化性又は熱硬化性の合成樹脂を含浸させた中間層と、中間層の片面を覆う熱可塑性樹脂の被覆層を有することを特徴とし、中間層を被覆層が覆う面と反対側の面を保護する保護膜を含む。
本発明の特徴である被覆層は、中間層と比較し、より優れた伸び性能を有するため、地面の不等沈下等により応力がかかり湾曲した既設管渠の形状にも柔軟に追随することができ、ひびが生じることがないため、水漏れの虞がない。
このため、本発明のライニング材は、既設管渠の内周面に優れた強度で高い止水性を備えたライニング材を形成することができる。
請求項2に係る発明によれば、ライニング材は厚みが0.5mm以上のポリエチレン樹脂を含む合成樹脂を主成分とする被覆層を有するため、より優れた伸び性能と長期間に亘り高い耐水性を維持することができる。
このため、本発明のライニング材は、既設管渠の内周面に高い止水性及び耐久性を備えたライニング材を形成することができる。
請求項3に係る発明によれば、被覆層は、中間層に接する全面にポリエステル樹脂の不織布が固着されており、未硬化の合成樹脂が不織布に浸透することで、硬化工程を経て被覆層が不織布を介し中間層と一体となることで、被覆層と中間層が密着し剥離する虞がない。
このため、本発明のライニング材は、既設管渠の内周面に高い止水性及び耐久性を備えたライニング材を形成することができる。
請求項4に係る発明によれば、既設管渠内にライニング材を、被覆層が中間層より外側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、中間層を硬化させる工程と、下水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む下水用既設管渠の補修工法であるため、被覆層が中間層の外側に配置され、地下水等の侵入を効率よく防止することができる。
請求項5に係る発明によれば、既設管渠内にライニング材を、被覆層が中間層より内側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、中間層を硬化させる工程と、上水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む上水用既設管渠の補修工法であるため、被覆層が中間層の内側に配置され、既設管内の圧力水の漏れを効率よく防止することができる。
本発明に係る一実施形態である、下水用既設管渠の補修に用いるライニング材の断面部の斜視図である。(a)は、既設管渠内をライニング材により補修した状態の図であり、(b)は、保管時のライニング材の状態を示す図である。 本発明に係る既設管渠の補修工法の一実施形態において、下水用の既設管渠内に、ライニング材を引き込む工程を示す図である。 本発明に係る既設管渠の補修工法の一実施形態において、既設管渠内に引き込んだライニング材を膨張させて、ライニング材の外周面を既設管渠の内周面に密着させる工程を示す図である。 本発明に係る既設管渠の補修工法の一実施形態において、既設管渠内に導入した光照射装置により、ライニング材の内周面に光を照射し、ライニング材に含まれる光硬化性の合成樹脂を硬化させる工程を示す図である。 本発明に係る既設管渠の補修工法の一実施形態において、既設管渠内に、ライニング材を反転挿入する工程を示す図である。
以下、本発明に係る既設管渠補修のためのライニング材並びにこれを用いた下水用及び上水用の既設管渠の補修工法について図面を参照しながら詳述する。
ここでは既設管渠(10)は、下水道管路の本管として例示しているが、これに限定されず、本発明のライニング材(1)は、例えば、工業用水用の管路、農業用水用の管路などにも適用可能である。また管渠は、コンクリート管、陶管、塩化ビニール管など、材質は問わない。
<既設管渠補修のためのライニング材>
図1は、本発明の一実施形態である、下水用既設管渠の補修で使用する状態のライニング材(1)の断面を表した斜視図である。
本発明の一実施形態である、下水用既設管渠の内面に形成されたライニング材(1)は、図1(a)に示すように管状であり、外側から、保護材(5)、被覆層(4)、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に未硬化状態の光硬化性の合成樹脂を含侵させた中間層(3)、保護膜(6)の順に積層された構造を有している。
本発明のライニング材(1)の中間層(3)に含まれる合成樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等が使用されるが、ビニルエステル樹脂が好適に使用される。
中間層(3)におけるガラス繊維マット及び/又は不織布の含有率は特に限定されないが、例えば、不織布が約70%にガラス繊維が約30%で作成してもよい。それぞれの含有率を変動させることで、合成樹脂を含侵させた中間層(3)の厚みを自由に調節することができる。中間層(3)は、ガラス繊維マット及び/又は不織布層を含み、どちらか一方のみで形成されていても構わない。ガラス繊維マット及び不織布層の2層を合わせた厚みは3mm~16mmの間で調節することが好ましく、6mm~7mmの間で調節することがさらに好ましい。
被覆層(4)は、厚みが0.5mm以上であることが好ましく、0.8mm~2.0mmであることがさらに好ましい。
被覆層(4)には、中間層(3)に接する面にポリエステル樹脂の不織布が固着されている。この不織布の厚みが薄いと、被覆層(4)及び中間層(3)との密着性が高くなり、層間分離が発生する可能性は低くなる。厚みが増すと、強度は高くなるが、ライニング材(1)全体が厚くなることで補修後の既設管渠(10)の内径が縮小するため、管内の流下能力が下がる。このため、層間分離が発生せず、強度が高く、尚且つ既設管の内径をなるべく広く確保できるライニング材(1)を得るために、不織布もなるべく薄くすることが肝要である。
従って、不織布の厚みは、0.8mm~1.5mmであることが好ましく、1mm程度あることがより好ましい。
また、大径の下水用既設管渠の補修には、16mm迄の厚いライニング材(1)が好適に使用でき、小径の上水用既設管渠の補修には、3mmからの薄いライニング材(1)が好適に使用できる。
ライニング材(1)は、使用するまで図1(b)に示すように扁平状をしており、材料ドラム(14)に巻き付ける等の状態で保管される。ライニング材(1)の保管方法は、材料ドラム(14)に巻き付ける方法に限定されず、例えば、交互に折り畳んで蛇腹状に保管してもよい。
ライニング材(1)が、工場において図1のように被覆層(4)が外側で、中間層(3)が内側となるよう作製された場合は、下水既設管渠の補修時には引き込み工法が適用され、図1とは反対に中間層(3)が外側で、被覆層(4)が内側となるよう作製された場合は、下水既設管渠の補修時には反転工法が適用される。
<既設管渠の補修工法>
図2~図5は、本発明の一実施形態に係る下水用既設管渠の補修工法を工程毎に示した図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る下水用既設管渠の補修工法において、既設管渠(10)内に、ライニング材(1)を引き込む工程を示す図である。
既設管渠(10)には、ある間隔ごとにマンホール(11a、11b)が設けられている。日本国内では、2つのマンホール(11a、11b)の設置間隔は、特段定められたものではない。100mを超えることもあるが、30m~50mであることが多い。ライニング材(1)は、マンホール(11a)と他のマンホール(11b)との間隔と同じか、又はそれ以上の長さであらかじめ製造されており、これを補修工法に使用する。
ライニング材(1)を既設管渠(10)に引き込む際には、図2に示すように、マンホール(11a)近傍に設置した材料ドラム(14)からライニング材(1)を引き出し、隣接する他のマンホール(11b)から、ライニング材の端部に接続した引込用ワイヤ(15)をウインチ等の牽引装置(16)により巻き取ることで管渠内に引き込む。
マンホール(11a)の開口部から引込用ワイヤ(15)を挿入し、引込用ワイヤ(15)の一方の先端を、他のマンホール(11b)の開口部付近の地上部に配置した牽引装置(16)に接続する。引込用ワイヤ(15)の他方の先端は、ジョイントを介して、ライニング材(1)に接続される。
牽引装置(16)(例えば、ウインチなど)を作動させ、引込用ワイヤ(15)を巻取り、既設管渠(10)の内部にライニング材(1)を引き込んでいく。
図5は、既設管渠(10)内にライニング材(1)を反転挿入する工程を示す図である。
ライニング材(1)は、シューター(20)内のリールに巻き取られ、先端の金具に固定された状態で準備され、ライニング材(1)は、開口部付近の地上部に配置したシューター(20)から供給された圧縮空気により既設管渠(10)の内部に反転挿入される。
既設管渠(10)の内部にライニング材(1)を引き込むときに、図示してはいないが、潤滑剤を塗布した樹脂シートなどを既設管渠(10)の内部に予め配置しておくと、ライニング材(1)を損傷することなくスムーズに引き込むことができるため好ましい。
図3は、本発明の補修工法における一実施形態において、既設管渠(10)内に引き込んだライニング材(1)をライニング材(1)内部に送り込んだ空気圧により膨張させて、ライニング材(1)を既設管渠(10)の内周面に密着させる工程を示す図である。
マンホール(11a)から他のマンホール(11b)の長さに亘って、既設管渠(10)の内部にライニング材(1)の引き込みが完了したあと、ライニング材(1)を既設管渠(10)の内周面に密着させる工程である。
密着は、例えば、図示されるようなエアーホースを介して接続されたエアーコンプレッサー(17)によって、圧縮空気をライニング材(1)の内部に送り込んで、ライニング材(1)を加圧拡径することでおこなうことができる。
既設管渠(10)に引き込まれた扁平状のライニング材(1)は膨張して、図1のようにライニング材(1)の外周面と既設管渠(10)の内周面が密着した形態になる。
ライニング材(1)の外周面を既設管渠(10)の内周面に密着させたあと、ライニング材(1)にシワや破損などの不具合がないことを確認する工程、を含むことが好ましい。確認は、ライニング材(10)の内部を移動可能なTVカメラなどを使用して行うことができる。
図4は、本発明の補修工法における一実施形態において、既設管渠(10)内に導入した光照射装置(18)により、ライニング材(1)の内周面に光を照射し、ライニング材(1)に含まれる光硬化性の合成樹脂を硬化させる工程を示す図である。
合成樹脂には熱重合開始剤を含んでいても良い。ライニング材(1)を熱で硬化させる場合、熱水又は水蒸気等の高温流体を使用しても良く、その他当業者が使用し得るあらゆる熱硬化手段が利用可能であることは言うまでもない。
光照射装置(18)には、先端にTVカメラ(19)が備えられており、補修前の既設管渠(10)及びライニング材(1)の状態を確認するために使用する。
TVカメラ(19)を使用し、ライニング材(1)の外周面を既設管渠(10)の内周面に不具合なく密着させたあとに、LEDを備える光照射装置(18)をライニング材(1)の内側に配置して、光照射装置(18)からライニング材(1)の内周面に光を照射して、中間層(3)に含浸された光硬化性の合成樹脂を硬化させる。
本発明の補修工法において、ライニング材(1)を硬化させた後、ライニング材(1)の内面にある保護膜(6)を除去する工程があってもよい。
保護膜(6)は、施工時に中間層(3)が硬化するまで、ライニング材(1)の形態を保持しておく為に設ける場合がある。
保護膜(6)は、既設管渠の補修状況によっては、無くても構わない。
合成樹脂が光硬化性樹脂である場合、保護膜(6)の遮光性及び光透過性を考慮し、遮光性の保護膜(6)を必要とする。ライニング材が工場出荷から施工されるまでの間、長時間光に晒されることで硬化が進むことを防止するためである。
一方で、施工時には光がライニング材の光硬化性樹脂に到達するように、光透過性の保護膜(6)が必要である。
以上のように、保護膜(6)の形態及び有無は、材料の構成及び施工方法によって適宜選択することができる。
保護膜(6)の材質としては、限定されないが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどが好適に使用される。
本発明の補修工法には、取付管と本管(既設管渠(10))を連通させるために、ライニング材(1)の取付管部分を穿孔する工程が含まれていてもよい。
以下、本発明に係るライニング材の実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
ライニング材の物理的強度について確認するため、試験片を用いた各種耐性試験をおこなった。
試験は、厚み8mm程度の平板を試験片とし、JISK7171に示されたプラスチック-曲げ特性の試験方法や、JISK7161に示されたプラスチック-引張特性の試験方法に準拠しおこなわれた。
以下に示す表は、本発明のライニング材の一実施例である光硬化性のビニルエステル樹脂とガラス繊維から造られた試験片と、従来の工法で用いられる光硬化性の不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維から造られた試験片の比較例1及び2について物理的強度を比較したものである。
<耐性試験1>
Figure 2023091531000002
試験の結果、本発明のライニング材の一実施例であるビニルエステル樹脂は、従来のライニング材に使用されている不飽和ポリエステル樹脂と比較し、曲げ強さ、曲げ弾性率、引張強さ、及び引張弾性率の全てにおいて、優れた強度を有することがわかった。
また、試験において、本発明のライニング材の中間層が破壊された状態になっても、被覆層の破断や中間層と被覆層との剥離は見られなかった。
ライニング材の化学的強度について確認するため、以下の試験をおこなった。
以下に示す表は、ライニング材を各種試験液(薬品)に浸漬させた際の質量変化率を表したものである。表の右欄に示す値は、下水道用強化プラスチック複合管(JSWAS K-2)の規格値(%)である。
<耐性試験2>
Figure 2023091531000003
試験の結果、本発明のライニング材は、下水道用強化プラスチック複合管(JSWAS K-2)と同等以上の耐薬品性を備えていることがわかった。
さらに、ライニング材を23℃で28日間、8種の試験液(薬品等)に浸漬させた後、曲げ強さ保持率及び曲げ弾性率保持率を測定した。
<耐性試験3>
Figure 2023091531000004
試験の結果、本発明のライニング材は、試験液(薬品等)に28日浸漬後も、曲げ強さ保持率及び曲げ弾性率保持率共に80%以上であり、優れた耐薬品性を備えていることがわかった。
本発明に係るライニング材は、下水用管渠から上水用管渠、工業用水用の管路、農業用水用の管路まで、幅広い種類の既設管渠に適用可能であり、尚且つ本発明に係る既設管渠の補修工法は、既設管渠の内周面に高い止水性及び耐久性を備えたライニング材を形成できることから、老朽管の増加が見込まれる近い将来における既設管渠の補修工法として最適な工法を提供できる。
1 ライニング材
3 中間層
4 被覆層
5 保護材
6 保護膜
10 既設管渠
11a マンホール
11b マンホール
14 材料ドラム
15 引込用ワイヤ
16 牽引装置
17 エアーコンプレッサー
18 光照射装置
19 TVカメラ
20 シューター
本発明は、既設管渠更生のためのライニング材並びにこれを用いた下水用及び上水用の既設管渠の更生工法に関する。
令和2年度末における全国の下水道管渠の総延長は約4万kmで、このうち標準耐用年数である50年を経過した管渠の延長は約2.5万km(総延長の%)にのぼる。
これらの既設管渠は、長年の経年劣化や地盤沈下、又は交通荷重の増大による老朽化が著しく、管渠の損傷等が原因と思われる漏水事故や道路陥没、臭気問題等が多発している。
標準耐用年数を経過し更生が必要な老朽管は、10年後には8.2万km(総延長の1%)、20年後には1万km(総延長の3%)と、今後急速に増加することがわかっており、早急な対応が必要である。
老朽化した既設管渠を更生する工法として、熱硬化性又は光硬化性のライニング材を使用する方法が知られている(特許文献1参照)。
このような方法として、主にガラス繊維のベース材に、不飽和ポリエステル樹脂を含浸させたライニング材が知られている。
特許文献1に記載されているように、従来のライニング材は厚さが20mm程度に設定されていた。
従来のライニング材は、既設管渠に施工する前には、折り畳んで、またはリールなどに巻き取って、保管している。例えば30mの長さを有するライニング材は、厚みによって嵩張り、大きな保管場所が必要である。
しかし、ライニング材の厚みを減少させると、十分な強度を持ったライニング材を得ることができず、薄さと強度を両立したライニング材の実現が求められている。
特許6125285号
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、薄くて高い止水性及び耐久性を兼ね備えた既設管渠更生のためのライニング材並びにこれを用いた下水用及び上水用の既設管渠の更生工法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、既設管渠の内周面の更生に用いる管状ライニング材であって、
前記ライニング材は、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に、未硬化状態の光硬化性又は熱硬化性の合成樹脂を含浸させた中間層と、
前記中間層の片面を覆う熱可塑性樹脂の被覆層を有し、
前記被覆層は、厚みが0.5mm以上であり、ポリエチレン樹脂を含む合成樹脂を主成分とし、
前記被覆層は、前記中間層に接する面にポリエステル樹脂の不織布が固着され、
前記不織布の厚みは、0.8mm~1.5mmであり、
前記不織布に浸透した前記合成樹脂を光の照射又は高温流体による加熱で硬化させ、前記中間層と前記被覆層が一体となり密着することを特徴とし、
前記中間層を前記被覆層が覆う面と反対側の面を保護する保護膜を含む、ライニング材に関する。
請求項に係る発明は、請求項1に記載のライニング材を用いて、下水用既設管渠の内周面を更生する工法であって、既設管渠内に前記ライニング材を、前記被覆層が前記中間層より外側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、前記ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、前記ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、前記中間層を硬化させる工程と、前記下水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む下水用既設管渠の更生工法に関する。
請求項に係る発明は、請求項1に記載のライニング材を用いて、上水用既設管渠の内周面を更生する工法であって、既設管渠内に前記ライニング材を、前記被覆層が前記中間層より内側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、前記ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、前記ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、前記中間層を硬化させる工程と、前記上水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む上水用既設管渠の更生工法に関する。
請求項1に係る発明によれば、ライニング材は、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に、未硬化状態の光硬化性又は熱硬化性の合成樹脂を含浸させた中間層と、中間層の片面を覆う熱可塑性樹脂の被覆層を有することを特徴とし、中間層を被覆層が覆う面と反対側の面を保護する保護膜を含む。
本発明の特徴である被覆層は、中間層と比較し、より優れた伸び性能を有するため、地面の不等沈下等により応力がかかり湾曲した既設管渠の形状にも柔軟に追随することができ、ひびが生じることがないため、水漏れの虞がない。
また、ライニング材は厚みが0.5mm以上のポリエチレン樹脂を含む合成樹脂を主成分とする被覆層を有するため、より優れた伸び性能と長期間に亘り高い耐水性を維持することができる。
覆層は、中間層に接する全面にポリエステル樹脂の不織布が固着されており、未硬化の合成樹脂が不織布に浸透することで、硬化工程を経て被覆層が不織布を介し中間層と一体とな、被覆層と中間層が密着し剥離する虞がない。
また、不織布の厚みを0.8mm~1.5mmと薄くしたことで、被覆層及び中間層との密着性が高くなり、ライニング材の層間分離が発生せず、強度が高くなる。さらに、既設管の内径をなるべく広く確保することができる。
このため、本発明のライニング材は、既設管渠の内周面に高い止水性及び耐久性を付与することができる。
請求項に係る発明によれば、既設管渠内にライニング材を、被覆層が中間層より外側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、中間層を硬化させる工程と、下水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む下水用既設管渠の更生工法であるため、被覆層が中間層の外側に配置され、地下水等の侵入を効率よく防止することができる。
請求項に係る発明によれば、既設管渠内にライニング材を、被覆層が中間層より内側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、中間層を硬化させる工程と、上水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む上水用既設管渠の更生工法であるため、被覆層が中間層の内側に配置され、既設管内の圧力水の漏れを効率よく防止することができる。
本発明に係る一実施形態である、下水用既設管渠の更生に用いるライニング材の断面部の斜視図である。(a)は、既設管渠内をライニング材により更生した状態の図であり、(b)は、保管時のライニング材の状態を示す図である。 本発明に係る既設管渠の更生工法の一実施形態において、下水用の既設管渠内に、ライニング材を引き込む工程を示す図である。 本発明に係る既設管渠の更生工法の一実施形態において、既設管渠内に引き込んだライニング材を膨張させて、ライニング材の外周面を既設管渠の内周面に密着させる工程を示す図である。 本発明に係る既設管渠の更生工法の一実施形態において、既設管渠内に導入した光照射装置により、ライニング材の内周面に光を照射し、ライニング材に含まれる光硬化性の合成樹脂を硬化させる工程を示す図である。 本発明に係る既設管渠の更生工法の一実施形態において、既設管渠内に、ライニング材を反転挿入する工程を示す図である。
以下、本発明に係る既設管渠更生のためのライニング材並びにこれを用いた下水用及び上水用の既設管渠の更生工法について図面を参照しながら詳述する。
ここでは既設管渠(10)は、下水道管路の本管として例示しているが、これに限定されず、本発明のライニング材(1)は、例えば、工業用水用の管路、農業用水用の管路などにも適用可能である。また管渠は、コンクリート管、陶管、塩化ビニール管など、材質は問わない。
<既設管渠更生のためのライニング材>
図1は、本発明の一実施形態である、下水用既設管渠の更生で使用する状態のライニング材(1)の断面を表した斜視図である。
本発明の一実施形態である、下水用既設管渠の内面に形成されたライニング材(1)は、図1(a)に示すように管状であり、外側から、保護材(5)、被覆層(4)、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に未硬化状態の光硬化性の合成樹脂を含侵させた中間層(3)、保護膜(6)の順に積層された構造を有している。
本発明のライニング材(1)の中間層(3)に含まれる合成樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等が使用されるが、ビニルエステル樹脂が好適に使用される。
中間層(3)におけるガラス繊維マット及び/又は不織布の含有率は特に限定されないが、例えば、不織布が約70%にガラス繊維が約30%で作成してもよい。それぞれの含有率を変動させることで、合成樹脂を含侵させた中間層(3)の厚みを自由に調節することができる。中間層(3)は、ガラス繊維マット及び/又は不織布層を含み、どちらか一方のみで形成されていても構わない。ガラス繊維マット及び不織布層の2層を合わせた厚みは3mm~16mmの間で調節することが好ましく、6mm~7mmの間で調節することがさらに好ましい。
被覆層(4)は、厚みが0.5mm以上であることが好ましく、0.8mm~2.0mmであることがさらに好ましい。
被覆層(4)には、中間層(3)に接する面にポリエステル樹脂の不織布が固着されている。この不織布の厚みが薄いと、被覆層(4)及び中間層(3)との密着性が高くなり、層間分離が発生する可能性は低くなる。厚みが増すと、強度は高くなるが、ライニング材(1)全体が厚くなることで更生後の既設管渠(10)の内径が縮小するため、管内の流下能力が下がる。このため、層間分離が発生せず、強度が高く、尚且つ既設管の内径をなるべく広く確保できるライニング材(1)を得るために、不織布もなるべく薄くすることが肝要である。
従って、不織布の厚みは、0.8mm~1.5mmであることが好ましく、1mm程度あることがより好ましい。
また、中口径の下水用既設管渠の更生には、16mm迄の厚いライニング材(1)が好適に使用でき、小径の上水用既設管渠の更生には、3mmからの薄いライニング材(1)が好適に使用できる。
ライニング材(1)は、使用するまで図1(b)に示すように扁平状をしており、材料ドラム(14)に巻き付ける等の状態で保管される。ライニング材(1)の保管方法は、材料ドラム(14)に巻き付ける方法に限定されず、例えば、交互に折り畳んで蛇腹状に保管してもよい。
ライニング材(1)が、工場において図1のように被覆層(4)が外側で、中間層(3)が内側となるよう作製された場合は、下水既設管渠の更生時には引き込み工法が適用され、図1とは反対に中間層(3)が外側で、被覆層(4)が内側となるよう作製された場合は、下水既設管渠の更生時には反転工法が適用される。
<既設管渠の更生工法>
図2~図5は、本発明の一実施形態に係る下水用既設管渠の更生工法を工程毎に示した図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る下水用既設管渠の更生工法において、既設管渠(10)内に、ライニング材(1)を引き込む工程を示す図である。
既設管渠(10)には、ある間隔ごとにマンホール(11a、11b)が設けられている。日本国内では、2つのマンホール(11a、11b)の設置間隔は、特段定められたものではない。100mを超えることもあるが、30m~50mであることが多い。ライニング材(1)は、マンホール(11a)と他のマンホール(11b)との間隔と同じか、又はそれ以上の長さであらかじめ製造されており、これを更生工法に使用する。
ライニング材(1)を既設管渠(10)に引き込む際には、図2に示すように、マンホール(11a)近傍に設置した材料ドラム(14)からライニング材(1)を引き出し、隣接する他のマンホール(11b)から、ライニング材の端部に接続した引込用ワイヤ(15)をウインチ等の牽引装置(16)により巻き取ることで管渠内に引き込む。
マンホール(11a)の開口部から引込用ワイヤ(15)を挿入し、引込用ワイヤ(15)の一方の先端を、他のマンホール(11b)の開口部付近の地上部に配置した牽引装置(16)に接続する。引込用ワイヤ(15)の他方の先端は、ジョイントを介して、ライニング材(1)に接続される。
牽引装置(16)(例えば、ウインチなど)を作動させ、引込用ワイヤ(15)を巻取り、既設管渠(10)の内部にライニング材(1)を引き込んでいく。
図5は、既設管渠(10)内にライニング材(1)を反転挿入する工程を示す図である。
ライニング材(1)は、シューター(20)内のリールに巻き取られ、先端の金具に固定された状態で準備され、ライニング材(1)は、開口部付近の地上部に配置したシューター(20)から供給された圧縮空気により既設管渠(10)の内部に反転挿入される。
既設管渠(10)の内部にライニング材(1)を引き込むときに、図示してはいないが、潤滑剤を塗布した樹脂シートなどを既設管渠(10)の内部に予め配置しておくと、ライニング材(1)を損傷することなくスムーズに引き込むことができるため好ましい。
図3は、本発明の更生工法における一実施形態において、既設管渠(10)内に引き込んだライニング材(1)をライニング材(1)内部に送り込んだ空気圧により膨張させて、ライニング材(1)を既設管渠(10)の内周面に密着させる工程を示す図である。
マンホール(11a)から他のマンホール(11b)の長さに亘って、既設管渠(10)の内部にライニング材(1)の引き込みが完了したあと、ライニング材(1)を既設管渠(10)の内周面に密着させる工程である。
密着は、例えば、図示されるようなエアーホースを介して接続されたエアーコンプレッサー(17)によって、圧縮空気をライニング材(1)の内部に送り込んで、ライニング材(1)を加圧拡径することでおこなうことができる。
既設管渠(10)に引き込まれた扁平状のライニング材(1)は膨張して、図1のようにライニング材(1)の外周面と既設管渠(10)の内周面が密着した形態になる。
ライニング材(1)の外周面を既設管渠(10)の内周面に密着させたあと、ライニング材(1)にシワや破損などの不具合がないことを確認する工程、を含むことが好ましい。確認は、ライニング材(10)の内部を移動可能なTVカメラなどを使用して行うことができる。
図4は、本発明の更生工法における一実施形態において、既設管渠(10)内に導入した光照射装置(18)により、ライニング材(1)の内周面に光を照射し、ライニング材(1)に含まれる光硬化性の合成樹脂を硬化させる工程を示す図である。
合成樹脂には熱重合開始剤を含んでいても良い。ライニング材(1)を熱で硬化させる場合、熱水又は水蒸気等の高温流体を使用しても良く、その他当業者が使用し得るあらゆる熱硬化手段が利用可能であることは言うまでもない。
光照射装置(18)には、先端にTVカメラ(19)が備えられており、更生前の既設管渠(10)及びライニング材(1)の状態を確認するために使用する。
TVカメラ(19)を使用し、ライニング材(1)の外周面を既設管渠(10)の内周面に不具合なく密着させたあとに、LEDを備える光照射装置(18)をライニング材(1)の内側に配置して、光照射装置(18)からライニング材(1)の内周面に光を照射して、中間層(3)に含浸された光硬化性の合成樹脂を硬化させる。
本発明の更生工法において、ライニング材(1)を硬化させた後、ライニング材(1)の内面にある保護膜(6)を除去する工程があってもよい。
保護膜(6)は、施工時に中間層(3)が硬化するまで、ライニング材(1)の形態を保持しておく為に設ける場合がある。
保護膜(6)は、既設管渠の更生状況によっては、無くても構わない。
合成樹脂が光硬化性樹脂である場合、保護膜(6)の遮光性及び光透過性を考慮し、遮光性の保護膜(6)を必要とする。ライニング材が工場出荷から施工されるまでの間、長時間光に晒されることで硬化が進むことを防止するためである。
一方で、施工時には光がライニング材の光硬化性樹脂に到達するように、光透過性の保護膜(6)が必要である。
以上のように、保護膜(6)の形態及び有無は、材料の構成及び施工方法によって適宜選択することができる。
保護膜(6)の材質としては、限定されないが、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどが好適に使用される。
本発明の更生工法には、取付管と本管(既設管渠(10))を連通させるために、ライニング材(1)の取付管部分を穿孔する工程が含まれていてもよい。
以下、本発明に係るライニング材の実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
ライニング材の物理的強度について確認するため、試験片を用いた各種耐性試験をおこなった。
試験は、厚み8mm程度の平板を試験片とし、JISK7171に示されたプラスチック-曲げ特性の試験方法や、JISK7161に示されたプラスチック-引張特性の試験方法に準拠しおこなわれた。
以下に示す表は、本発明のライニング材の一実施例である光硬化性のビニルエステル樹脂とガラス繊維から造られた試験片と、従来の工法で用いられる光硬化性の不飽和ポリエステル樹脂とガラス繊維から造られた試験片の比較例1及び2について物理的強度を比較したものである。
<耐性試験1>
Figure 2023091531000010
試験の結果、本発明のライニング材の一実施例であるビニルエステル樹脂は、従来のライニング材に使用されている不飽和ポリエステル樹脂と比較し、曲げ強さ、曲げ弾性率、引張強さ、及び引張弾性率の全てにおいて、優れた強度を有することがわかった。
また、試験において、本発明のライニング材の中間層が破壊された状態になっても、被覆層の破断や中間層と被覆層との剥離は見られなかった。
ライニング材の化学的強度について確認するため、以下の試験をおこなった。
以下に示す表は、ライニング材を各種試験液(薬品)に浸漬させた際の質量変化率を表したものである。表の右欄に示す値は、下水道用強化プラスチック複合管(JSWAS K-2)の規格値(%)である。
<耐性試験2>
Figure 2023091531000011
試験の結果、本発明のライニング材は、下水道用強化プラスチック複合管(JSWAS K-2)と同等以上の耐薬品性を備えていることがわかった。
さらに、ライニング材を23℃で28日間、8種の試験液(薬品等)に浸漬させた後、曲げ強さ保持率及び曲げ弾性率保持率を測定した。
<耐性試験3>
Figure 2023091531000012
試験の結果、本発明のライニング材は、試験液(薬品等)に28日浸漬後も、曲げ強さ保持率及び曲げ弾性率保持率共に80%以上であり、優れた耐薬品性を備えていることがわかった。
本発明に係るライニング材は、下水用管渠から上水用管渠、工業用水用の管路、農業用水用の管路まで、幅広い種類の既設管渠に適用可能であり、尚且つ本発明に係る既設管渠の更生工法は、既設管渠の内周面に高い止水性及び耐久性を備えたライニング材を形成できることから、老朽管の増加が見込まれる近い将来における既設管渠の更生工法として最適な工法を提供できる。
1 ライニング材
3 中間層
4 被覆層
5 保護材
6 保護膜
10 既設管渠
11a マンホール
11b マンホール
14 材料ドラム
15 引込用ワイヤ
16 牽引装置
17 エアーコンプレッサー
18 光照射装置
19 TVカメラ
20 シューター
請求項1に係る発明は、既設管渠の内周面の更生に用いる管状ライニング材であって、
前記ライニング材は、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に、未硬化状態の光硬化性又は熱硬化性の合成樹脂を含浸させた中間層と、
前記中間層の片面を覆う熱可塑性樹脂の被覆層を有し、
前記被覆層は、厚みが0.mm以上であり、ポリエチレン樹脂を含む合成樹脂を主成分とし、
前記被覆層は、前記中間層に接する面にポリエステル樹脂の不織布が固着され、
前記被覆層において、前記中間層に接する面に固着しているポリエステル樹脂の不織布の厚みは、0.8mm~1.5mmであり、
前記中間層に接する面に固着しているポリエステル樹脂の不織布に浸透した前記合成樹脂を光の照射又は高温流体による加熱で硬化させ、前記中間層と前記被覆層が一体となり密着することを特徴とし、
前記中間層を前記被覆層が覆う面と反対側の面を保護する保護膜を含む、ライニング材に関する。
請求項1に係る発明によれば、ライニング材は、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に、未硬化状態の光硬化性又は熱硬化性の合成樹脂を含浸させた中間層と、中間層の片面を覆う熱可塑性樹脂の被覆層を有することを特徴とし、中間層を被覆層が覆う面と反対側の面を保護する保護膜を含む。
本発明の特徴である被覆層は、中間層と比較し、より優れた伸び性能を有するため、地面の不等沈下等により応力がかかり湾曲した既設管渠の形状にも柔軟に追随することができ、ひびが生じることがないため、水漏れの虞がない。
また、ライニング材は厚みが0.mm以上のポリエチレン樹脂を含む合成樹脂を主成分とする被覆層を有するため、より優れた伸び性能と長期間に亘り高い耐水性を維持することができる。
被覆層は、中間層に接する全面にポリエステル樹脂の不織布が固着されており、未硬化の合成樹脂が、中間層に接する全面に固着しているポリエステル樹脂の不織布に浸透することで、硬化工程を経て被覆層が不織布を介し中間層と一体となり、被覆層と中間層が密着し剥離する虞がない。
また、被覆層において、中間層に接する全面に固着しているポリエステル樹脂の不織布の厚みを0.8mm~1.5mmと薄くしたことで、被覆層及び中間層との密着性が高くなり、ライニング材の層間分離が発生せず、強度が高くなる。さらに、既設管の内径をなるべく広く確保することができる。
このため、本発明のライニング材は、既設管渠の内周面に高い止水性及び耐久性を付与することができる。


Claims (5)

  1. 既設管渠の内周面の補修に用いる管状ライニング材であって、
    前記ライニング材は、ガラス繊維マット及び/又は不織布の基材に、未硬化状態の光硬化性又は熱硬化性の合成樹脂を含浸させた中間層と、
    前記中間層の片面を覆う熱可塑性樹脂の被覆層を有することを特徴とし、
    前記中間層を前記被覆層が覆う面と反対側の面を保護する保護膜を含む、ライニング材。
  2. 前記被覆層は、厚みが0.5mm以上であり、ポリエチレン樹脂を含む合成樹脂を主成分とする、請求項1に記載のライニング材。
  3. 前記被覆層は、前記中間層に接する面にポリエステル樹脂の不織布が固着されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のライニング材。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のライニング材を用いて、下水用既設管渠の内周面を補修する工法であって、
    既設管渠内に前記ライニング材を、前記被覆層が前記中間層より外側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、
    前記ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、
    前記ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、中間層を硬化させる工程と、
    前記下水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む下水用既設管渠の補修工法。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載のライニング材を用いて、上水用既設管渠の内周面を補修する工法であって、
    既設管渠内に前記ライニング材を、前記被覆層が前記中間層より内側に位置するように引き込み又は反転挿入で導入する工程と、
    前記ライニング材に圧搾流体を流入させて該ライニング材を、既設管の内周面に密着させる工程と、
    前記ライニング材に対して光の照射又は高温流体による加熱をおこない、中間層を硬化させる工程と、
    前記上水用既設管渠両端管口の管口処理工程、を含む上水用既設管渠の補修工法。
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