JP2023091418A - 共重合ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性に優れる共重合ポリエステル樹脂を提供する。【解決手段】硫黄成分を含む共重合ポリエステル樹脂である。本発明のポリエステル樹脂は、金属触媒由来の金属成分の含有量が1ppm以下であり、ガラス転移温度が-20℃~80℃であり、DSCを用い-40℃から200℃まで、10℃/分で昇温させたチャートから求めた融解ピーク熱量が1mJ/mg以下である。硫黄成分の含有量が1~500ppmであることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、共重合ポリエステル樹脂に関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル樹脂は、機械的特性、化学的特性に優れており、広範な分野において使用されている。
構成成分であるジカルボン酸成分およびグリコール成分の種類や共重合割合を調節することにより、非晶性で接着性に優れる共重合ポリエステル樹脂を得ることができる。このようなポリエステル樹脂は、例えば、有機溶剤に溶解されたり、水性分散体に分散されて、接着剤、コーティング剤、インキバインダー、塗料等に使用されることがある。例えば、特許文献1には、接着性に優れる接着剤を得るための、共重合ポリエステル樹脂が記載されている。
特開2010-189549号公報
近年、透明基材や印刷層を有する基材等に積層されて用いられる接着層や塗膜においては、基材自体の透明性や、印刷層の色彩を阻害しないように、透明性に優れることが望まれている。同様に、光学フィルムや基材等の光学部材に用いられる際にも、透明性に優れる接着層や塗膜が望まれている。
本発明の目的は、非晶性で、透明性に優れる共重合ポリエステル樹脂を提供することである。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)硫黄成分を含む共重合ポリエステル樹脂であって、金属触媒由来の金属成分の含有量が1ppm以下であり、ガラス転移温度が-20℃~80℃であり、DSCを用い-40℃から200℃まで、10℃/分で昇温させたチャートから求めた融解ピーク熱量が1mJ/mg以下である、共重合ポリエステル樹脂。
(2)硫黄成分の含有量が1~500ppmである、(1)の共重合ポリエステル樹脂。
(3)有機溶媒に溶解したときの溶液のヘイズが4.5%以下である、(1)または(2)の共重合ポリエステル樹脂。
(4)(1)~(3)の何れかの共重合ポリエステル樹脂を含む、接着剤。
(5)(1)~(3)の何れかの共重合ポリエステル樹脂を含む、塗料。
(6)(1)~(3)の何れかの共重合ポリエステル樹脂から形成された、塗膜。
(7)(6)の塗膜を含む、積層体。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、透明性に優れるものであり、接着剤、コーティング剤等に好適である。
以下、本発明の共重合ポリエステル樹脂を詳細に説明する。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、硫黄成分を含有し、金属触媒由来の金属成分の含有量が1ppm以下である。そして、ガラス転移温度が-20℃~80℃であり、DSCを用い、-40℃から200℃まで10℃/分で昇温させたチャートから求めた融解ピーク熱量が、1mJ/mg以下である。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が-20℃~80℃であり、-20~70℃であることが好ましく、-20~65℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が-20℃未満であると、粘着性が強い樹脂となり取り扱いにくくなり、80℃を超えると粘着性が低い樹脂となる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、上記の融解ピーク熱量が、1mJ/mg以下であり、0.8mJ/mg以下であることがより好ましく、検出されないことがさらに好ましい。1mJ/mgを超えると、非晶性の樹脂とならないことから、接着性が低下する。
ガラス転移温度、融解ピーク熱量の求め方は、実施例において詳述する。
<グリコール成分>
本発明の共重合ポリエステル樹脂を構成するグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール等の脂肪族グリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロブタンジメタノール等の脂環族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテル結合含有グリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上のアルコール、等が挙げられる。さらに、2,2-ビス[4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンのようなビスフェノール類(ビスフェノールA)のアルキレンオキシド付加体やビス[4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホンのようなビスフェノール類(ビスフェノールS)のアルキレンオキシド付加体等が挙げられる。
中でも、接着性を向上させることから、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールを含有することが好ましい。
エチレングリコールの含有量は、20~60モル%であることが好ましい。
ネオペンチルグリコールの含有量は、30~70モル%であることが好ましい。
ジエチレングリコールの含有量は、0.5~20モル%であることが好ましい。
ポリテトラメチレングリコールの含有量は、1~40モル%であることが好ましい。
エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの合計した含有量が、50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましい。
<ジカルボン酸成分>
本発明の共重合ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、3-tert-ブチルイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物等の脂環式ジカルボン酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸等の3官能以上のカルボン酸が挙げられる。また、スルホン酸基を有するものであってもよく、例えば、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-ナトリウムスルホテレフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5-ナトリウムスルホテレフタル酸ジメチル、5-カリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5-リチウムスルホイソフタル酸ジメチル等が挙げられる。
中でも、接着力を高めるために、凝集力を向上させることから、テレフタル酸、イソフタル酸を含有することが好ましい。また、溶剤溶解性の観点から飽和脂肪族ジカルボン酸を含有することが好ましい。特に、テレフタル酸とイソフタル酸とを同時に含有することがより好ましい。
テレフタル酸の含有量は、1~90モル%であることが好ましい。
イソフタル酸の含有量は、1~60モル%であることが好ましい。
セバシン酸の含有量は、1~50モル%であることが好ましい。
テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸の合計した含有量が70モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂を構成する他の成分として、上記ジカルボン酸成分以外の多価カルボン酸成分や、ヒドロキシカルボン酸成分等が挙げられる。
<多価カルボン酸成分>
上記ジカルボン酸成分以外の多価カルボン酸成分として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4,3′,4′-ビフェニルテトラカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
<ヒドロキシカルボン酸成分>
ヒドロキシカルボン酸成分としては、例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体や、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、β-メチル-β-プロピオラクトン、δ-バレロラクトン、グリコリド、ラクチド等の環状エステルが挙げられる。中でも、ε-カプロラクトンを含有することが好ましく、特に、共重合ポリエステル樹脂の1.0~50.0モル%であることが好ましい。
多価カルボン酸やヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物等が挙げられる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、必要に応じて、モノカルボン酸、モノアルコールが共重合されていてもよい。モノカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4-ヒドロキシフェニルステアリン酸等が挙げられ、モノアルコールとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2-フェノキシエタノール等が挙げられる。
<ヘイズ>
上記成分を含む本発明の共重合ポリエステル樹脂は透明性に優れるものである。その指標としては、有機溶剤に溶解し溶液とした場合のヘイズが4.5%以下であることが好ましく、3.5%以下であることがより好ましく、2.5%以下であることがさらに好ましい。ヘイズの求め方については、実施例において詳述する。
<酸価>
共重合ポリエステル樹脂の酸価は、0.5mgKOH/g以上であることが好ましく、0.5~3.5mgKOH/gであることがより好ましく、0.5~3.0mgKOH/gであることがさらに好ましい。酸価が0.5mgKOH/g未満であると、接着性に劣る場合がある。
<数平均分子量>
共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量は、3,000~40,000であることが好ましく、5,000~35,000であることがより好ましく、5,000~30,000であることがさらに好ましく、5,000~20000であることが特に好ましい。数平均分子量が3,000未満であると樹脂の取り扱いが困難となったり、接着力が低下したりする場合があり、40,000を超えると、溶媒への溶解性が劣る場合がある。
<極限粘度>
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、極限粘度が0.25dl/g以上であることが好ましく、0.3dl/g以上であることがより好ましく、0.3~1.0dl/gであることがさらに好ましい。極限粘度が0.25dl/g未満であると、樹脂の取り扱いが困難となる場合がある。
<添加剤>
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の重合体、制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、顔料、艶消剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、難燃剤、その他の添加剤が添加されていてもよい。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系等の酸化防止剤が挙げられる。安定剤としては、リン酸またはリン酸エステル系等のリン系、硫黄系、アミン系等の安定剤が挙げられる。
<共重合ポリエステル樹脂の製造方法>
本発明の共重合ポリエステル樹脂の製造方法は、重合触媒として、有機スルホン酸系化合物を用いることが好ましい。
本発明においては、重合触媒として、金属系触媒(例えばアンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、鉄、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マンガン、ニッケル、コバルト等の化合物)を用いないことにより、得られる本発明の共重合ポリエステル樹脂中の、金属系触媒由来の金属成分の含有量を少なくすることができる。金属成分の含有量が多いと、透明性に劣ったり、異物が発生したりする。金属成分の含有量は、1ppm以下であり、0.5ppm以下であることが好ましく、0ppmであることがより好ましい。
(原料)
共重合ポリエステル樹脂の原料としては、例えば、グリコール成分、ジカルボン酸成分、グリコール成分とジカルボン酸成分とからなる低次縮合物としてのエステル化物等が挙げられる。
上記エステル化物を得る手法としては、上記の原料を直接反応させて水を留去し、エステル化して、ポリエステル樹脂の原料としてのエステル化物を得る。または、原料を反応させてメチルアルコ-ルを留去し、エステル交換させてエステル化物を得る。エステル化反応、エステル交換反応は1段階で行ってもよいし、多段階に分けて行ってもよい。
エステル化反応は、エチレングリコ-ルが還流する条件下で、反応によって生成した水またはアルコ-ルを、精留塔で系外に除去しながら行う。エステル化反応は、複数のエステル化反応器を直列に連結した多段式装置を用いて行うことができる。
エステル化反応を多段階で行う場合、第1段階の温度は、240~270℃であることが好ましく、245~265℃であることがより好ましい。圧力は、0.2~3kg/cmGであることが好ましく、0.5~2kg/cmGであることがより好ましい。
最終段階のエステル化反応の温度は、250~290℃であることが好ましく、255~275℃であることがより好ましい。圧力は、0~1.5kg/cmGであることが好ましく、0~1.3kg/cmGであることがより好ましい。
上記のようにして得られたエステル化物に対し、重合触媒として、有機スルホン酸系化合物を添加した後、重縮合反応を進行させて、本発明の共重合ポリエステル樹脂を得る。
(触媒)
本発明においては、重合触媒として、例えば、有機スルホン酸系化合物を用いることで、硫黄成分を含有するポリエステル樹脂とすることができる。有機スルホン酸系化合物としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、m-またはp-ベンゼンジスルホン酸、1,3,5-ベンゼントリスルホン酸、o-、m-またはp-スルホ安息香酸、ベンズアルデヒド-o-スルホン酸、アセトフェノン-p-スルホン酸、アセトフェノン-3,5-ジスルホン酸、o-、m-またはp-アミノベンゼンスルホン酸、スルファニル酸、2-アミノトルエン-3-スルホン酸、フェニルヒドロキシルアミン-3-スルホン酸、フェニルヒドラジン-3-スルホン酸、1-ニトロナフタレン-3-スルホン酸、チオフェノール-4-スルホン酸、アニソール-o-スルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、o-、m-またはp-クロルベンゼンスルホン酸、o-、m-またはp-ブロモベンゼンスルホン酸、o-、m-またはp-ニトロベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼン-2,4-ジスルホン酸、ニトロベンゼン-3,5-ジスルホン酸、ニトロベンゼン-2,5-ジスルホン酸、2-ニトロトルエン-5-スルホン酸、2-ニトロトルエン-4-スルホン酸、2-ニトロトルエン-6-スルホン酸、3-ニトロトルエン-5-スルホン酸、4-ニトロトルエン-2-スルホン酸、3-ニトロ-o-キシレン-4-スルホン酸、5-ニトロ-o-キシレン-4-スルホン酸、2-ニトロ-m-キシレン-4-スルホン酸、5-ニトロ-m-キシレン-4-スルホン酸、3-ニトロ-p-キシレン-2-スルホン酸、5-ニトロ-p-キシレン-2-スルホン酸、6-ニトロ-p-キシレン-2-スルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、3,5-ジニトロベンゼンスルホン酸、o-、m-またはp-フルオロベンゼンスルホン酸、4-クロロ-3-メチルベンゼンスルホン酸、2-クロロ-4-スルホ安息香酸、5-スルホサリチル酸、4-スルホフタル酸、2-スルホ安息香酸無水物、3,4-ジメチル-2-スルホ安息香酸無水物、4-メチル-2-スルホ安息香酸無水物、5-メトキシ-2-スルホ安息香酸無水物、1-スルホナフトエ酸無水物、8-スルホナフトエ酸無水物、3,6-ジスルホフタル酸無水物、4,6-ジスルホイソフタル酸無水物、2,5-ジスルホテレフタル酸無水物、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、メチオン酸、シクロペンタンスルホン酸、1,1-エタンジスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸無水物、3-プロパンジスルホン酸、β-スルホプロピオン酸、イセチオン酸、ニチオン酸、ニチオン酸無水物、3-オキシ-1-プロパンスルホン酸、2-クロルエタンスルホン酸、フェニルメタンスルホン酸、β-フェニルエタンスルホン酸、α-フェニルエタンスルホン酸、クロルスルホン酸アンモニウム、ベンゼンスルホン酸メチル、p-トルエンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸エチル、5-スルホサリチル酸ジメチル、4-スルホフタル酸トリメチル等、およびこれらの塩が挙げられる。中でも、汎用性の観点から、2-スルホ安息香酸無水物、o-スルホ安息香酸、m-スルホ安息香酸、p-スルホ安息香酸、5-スルホサリチル酸、ベンゼンスルホン酸、o-アミノベンゼンスルホン酸、m-アミノベンゼンスルホン酸、p-アミノベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸メチル、5-スルホイソフタル酸、これらの塩などが好ましい。
有機スルホン酸系化合物は、例えば固体状、スラリー状、または水、グリコール等に溶解させた溶液として、ポリエステル原料に添加することができる。
有機スルホン酸系化合物の添加量は、その種類にもよるが、ポリエステル樹脂を構成する酸成分1モルに対して0.5×10-4~40×10-4モルとすることが好ましく、1.0×10-4~20.0×10-4モルであることがより好ましい。添加量が上記範囲より少ないと、重合度の高い共重合ポリエステル樹脂を短時間で得ることができない場合がある。一方、上記範囲を超えると、ポリエステル樹脂の着色の原因となる場合がある。
有機スルホン酸系化合物の添加量を上記の範囲とすることで、得られる共重合ポリエステル樹脂の硫黄成分の含有量を、好ましくは1~500ppm、より好ましくは2~250ppm、さらに好ましくは2~50ppmとすることができる。硫黄成分の含有量が1ppm未満であると、重合度が低い樹脂となり接着性に劣る場合がある。一方、500ppmを超えると、耐湿熱性や強度が低下する場合がある。
(重合反応)
重縮合反応としては、例えば溶融重縮合反応が挙げられる。
重縮合反応条件としては、特に限定されるものではないが、温度が250~290℃であることが好ましく、260~280℃であることがより好ましい。圧力は500~20Torrであることが好ましく、200~30Torrであることがより好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂に、他の樹脂または添加剤等を含有させる場合、添加段階は特に限定されず、適宜選択することができる。
<共重合ポリエステル樹脂の用途>
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、接着剤や塗料として好適に用いられる。接着剤や塗料には、溶媒または各種の添加剤を含有していてもよい。
本発明のポリエステル樹脂をホットメルト接着剤としてもよい。この場合の接着方法としては、ペレット状、粉状、シート状、フィルム状、不織布状等各種の形状に成形し、被着体に挟み込んで加熱接着する方式、溶融アプリケータを使用し被着体に塗布した後、貼り合わせる方式、押出機を使用して被着体にフィルム状、チューブ状に被覆コートした後、貼り合わせる方式等、各種の方式を採用することができる。
(樹脂溶液)
また、本発明の共重合ポリエステル樹脂は、種々の溶媒に溶解または分散し、樹脂溶液の形態で種々の用途に展開できる。本発明において樹脂溶液とは、共重合ポリエステル樹脂が溶解した溶液および分散した溶液の両者を含む。
溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン、トリフルオロ酢酸、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、トリメチルベンゼン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン等が挙げられる。上記溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、上記以外の溶媒と混合して使用してもよい。上記溶媒は、ポリエステル樹脂の種類、重合度、所望の濃度等を考慮し、適宜選択できる。
樹脂溶液には、無機フィラー、バインダー、酸化防止剤、濡れ剤、レベリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂を、他の樹脂または硬化剤と反応させて使用する場合、本発明の樹脂溶液と、他の樹脂または硬化剤の溶液とをそれぞれ調製し、使用直前に混合し、その後、塗布乾燥等して両樹脂を反応硬化させてもよい。
本発明の樹脂溶液を塗布し、乾燥することにより、塗膜、積層体等を形成することができる。塗膜、積層体形成の際に使用できる基材の具体例としては、ガラス基板、各種金属板、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム等が挙げられる。
樹脂溶液を基材へ塗布する方法は特に限定されないが、例えば、ワイヤーバーコーター塗り、フィルムアプリケーター塗り、スプレー塗り、グラビアロールコーティング法、スクリーン印刷法、リバースロールコーティング法、リップコーティング、エアナイフコーティング法、カーテンフローコーティング法、浸漬コーティング法、ダイコート法、スプレー法、凸版印刷法、凹版印刷法、インクジェット法が挙げられる。塗膜は、従来の方法、装置等を使用して形成することができ、本発明の樹脂溶液を基材に塗布し、溶媒成分を乾燥することにより得られる。
本発明の樹脂溶液は、缶塗料として使用できる。缶塗料の塗布用機材である金属板としては、シート状または帯状の鋼板、アルミニウム板、あるいは、それらの表面に種々のメッキ処理や化成処理を施したものが挙げられる。樹脂溶液を金属板上に塗布後、焼き付けることで、金属表面に塗膜を形成することができる。塗膜を有する金属板は2ピース缶の缶胴や上蓋、3ピース缶の缶胴や底蓋材等加工性が必要な部材として用いることができる。
本発明の樹脂溶液は、リチウムイオン二次電池等の蓄電素子用セパレータにも使用できる。樹脂溶液を用いて作製した多孔膜をセパレータとして使用してもよいし、既存のセパレータの両面または片面に本発明の樹脂溶液を用いて多孔被膜を形成したものをセパレータとして使用してもよい。
また、本発明の樹脂溶液は、プリプレグの製造にも使用できる。プリプレグは、ポリエステルと反応重合する化合物を有機溶媒に溶解した樹脂溶液を、強化繊維クロスに含浸または塗布させた後、乾燥することにより得ることができる。
また、本発明の樹脂溶液は、塗料、コーティング剤、接着剤、ワニス等に用いることもできる。
(繊維)
本発明のポリエステル樹脂は、繊維形態に成形することができる。繊維に成形するには、常法の溶融紡糸法を採用することができ、例えば、紡糸、延伸を2ステップで行う方法、または1ステップで行う方法を採用できる。さらに、繊維に対して捲縮を付与したり、熱セットを施したり、カット工程によるステープル(短繊維)としたりすることができる。
繊維は、短繊維の場合には、紡糸操業性、抄紙用途に用いる場合の分散性を向上させるために、フィラーを含有してもよい、フィラーとしては、シリカなどの無機物または有機フィラー等が挙げられる。
また繊維は、フィラメント(長繊維)の場合には、滑り性、隠蔽性を付与するために、非金属系の艶消剤等の添加剤を含有してもよい。
繊維は、異型断面糸、中空断面糸、複合繊維等であってもよいし、原着糸であってもよい。また、例えば、混繊、混紡等の公知の糸加工手段を採用し、加工糸としてもよい。
上記ポリエステル繊維は、織編物または不織布等に加工することができる。例えば、ポリエステル繊維は、衣料用繊維、カーテン、カーペット、ふとん綿、ファイバーフィル等に代表されるインテリア・寝装用繊維、タイヤコード、ロープ等の抗張力線、土木・建築資材、エアバッグ等の車輛用資材等に代表される産業資材用繊維、各種織物、各種編物、ネット、短繊維不織布、長繊維不織布用等の各種繊維用途に使用することができる。
不織布は、単体だけでなく、例えば、不織布同士、または不織布とフィルム等との2層以上の多層積層体に積層することができる。不織布は、分離膜またはろ過材の支持体、各種フィルター、電池セパレータ、ハウスラップ等の産業資材用途をはじめ、マスク、メディカルガウン等の医療用途、衣料用途、カーペット用途、梱包用資材等、タイヤ類、ベルト類、ホース類、ターポリン等のゴム製品の補強用材料、重布類、ロープ類、網類等に用いることができる。
(成形体)
本発明のポリエステル樹脂は、中空成形体等の成形体に成形することができる。中空成形体としては、ミネラルウォーター、ジュース、ワインまたはウイスキー等の飲料容器、ほ乳瓶、瓶詰め食品容器、整髪料、化粧品等の容器、住居および食器用洗剤容器等が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂の持つ衛生性、強度、耐溶剤性を活かし、耐圧容器、耐熱耐圧容器、耐アルコール容器の形態として、各種飲料用に特に好適である。
中空成形体の製造方法としては、ポリエステルチップを真空乾燥法等によって乾燥した後、押出成形機または射出成形機等の成形機を用いて成形する方法、溶融重合後の溶融体を溶融状態のまま成形機に導入して成形する直接成形方法により、有底の予備成形体を得、この予備成形体を延伸ブロー成形、ダイレクトブロー成形、押出ブロー成形するブロー成形法を採用することができる。
中空容器は、積層ボトルなどの多層構造を有するものであってもよい。例えば、ポリビニルアルコールまたはポリメタキシリレンジアミンアジペート等のガスバリア性樹脂層、遮光性樹脂層、リサイクルポリエステル層等を中間層として設けた多層構造が挙げられる。蒸着またはCVD(ケミカルベーパーデポジット)等の方法を用いて、アルミニウム等の金属またはダイヤモンド状カーボンの層で容器の内外を被覆することもできる。
本発明のポリエステル樹脂をホットメルトモールディング用途またはポッティング用途に用いることもできる。
なお、ホットメルトモールディング法とは、溶剤を用いることなく、樹脂を溶融し、予め工業用部品(特に電子部品)が配置された金型内に、溶融した樹脂を低圧(好ましくは0.1~3MPa)で射出注入し、前記部品のハウジングまたはケースとして樹脂の成形(いわゆるインサート成形)を行う方法をいう。
ポッティング法とは、予めハウジング内または基板上に工業用部品を置き、これに溶融した樹脂を低圧(好ましくは1MPa以下)で注入または滴下し、前記ハウジングまたは基板と前記部品とを一体化させる方法をいう。
また、本発明のポリエステル樹脂は、熱伝導性充填材を混合し、射出成形、圧縮成形、押出し成形、トランスファー成形、シート成形など通常公知の溶融成形法を用いて所望の形状に成形して、熱伝導性の成形体とすることもできる。
熱伝導性の成形体の具体例としては、半導体素子や抵抗などの封止物、コネクタ、ソケット、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品、家庭電気製品部品、放熱シートや電子部品からの熱を外部に逃すための放熱部材、ランプソケットなど照明器具部品、通信機器部品、印刷機関連部品、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品、自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品、耐熱食器等の調理用器具、航空機、宇宙機、宇宙機器用部品、センサー類部品等が挙げられる。
(シート)
本発明のポリエステル樹脂は、シートに成形することができる。シートは、例えば、ポリエステル樹脂を押出機からシート状物に押出すことにより製造することができる。その後、さらに真空成形、圧空成形、型押し等により加工することができる。シートの用途としては、食品用または雑貨用のトレイまたは容器、カップ、ブリスターパック、電子部品のキャリアテープ、電子部品配送用トレイ、各種カード等が挙げられる。シートにおいても、中間層としてガスバリア性樹脂層、遮光性樹脂層、リサイクルポリエステル層等を設けた多層構造とすることもできる。
(フィルム)
本発明のポリエステル樹脂は、フィルムに成形することができる。フィルムに成形する方法としては、例えば、ポリエステル樹脂を溶融押出し、T-ダイスより冷却回転ロール上にシート状に成形し、未延伸フィルムを作成する方法が挙げられる。また、複数の押出機を用い、共押出法により積層フィルムとし、コア層、スキン層に各種機能を分担させることもできる。
本発明のフィルムは、例えば、帯電防止性フィルム、易接着性フィルム、カード用、ダミー缶用、農業用、建材用、化粧材用、壁紙用、OHPフィルム用、印刷用、インクジェット記録用、昇華転写記録用、レーザービームプリンタ記録用、電子写真記録用、熱転写記録用、感熱転写記録用、プリント基板配線用、メンブレンスイッチ用、プラズマディスプレイ用、タッチパネル用、マスキングフィルム用、写真製版用、レントゲンフィルム用、写真ネガフィルム用、位相差フィルム用、偏光フィルム用、偏光膜保護(TAC)用、プロテクトフィルム用、感光性樹脂フィルム用、視野拡大フィルム用、拡散シート用、反射フィルム用、反射防止フィルム用、導電性フィルム用、セパレータ用、紫外線防止用、バックグラインドテープ用等に用いられる。
(熱伝導性組成物)
本発明のポリエステル樹脂は、熱伝導性充填材を混合することで、熱伝導性の組成物とすることもできる。熱伝導性の組成物の具体的な用途としては、上述の熱伝導性成形体の具体例に挙げられたものがある。
(粉体)
本発明のポリエステル樹脂は、粉体に加工し、金型に充填して圧縮成形して樹脂成形体を作製する際の原料、または、樹脂に配合するフィラー等として用いることができる。ポリエステル樹脂の粉体を原料として得られる樹脂成形体は、例えば、コネクタ、LEDリフレクタに用いることができる。またポリエステル樹脂のフィラーを配合した樹脂は、例えば、研磨剤に用いることができる。
粉体は、粉体塗料として用いることもできる。粉体塗料は、例えば、自転車カゴ、ガーデニング用品、台所用品、衣料金具、冷蔵庫棚、冷凍ショーケース、食器洗い乾燥機カゴ、取手、ショッピングカート、フェンス、グレーチング、鋼管継柱下管、支部アンカー部品、建築スペーサ、防護棚、鋼管、パネルタンク、バルブ、自動車部品、車両用取手、レール締付具、ボンネットステー、室外機ファンカバー、ブースバー、テレフォンポール、テレフォンケーブル部品、架線金物バンド、電線管継手、工業用配管、配管機材、フランジ・バルブ類、硫酸タンク、タンクローリー内面、継手内面塗装、配管機材、熱交換機、屎尿処理器具、メッキ治具等に用いることできる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、接着性と透明性とに優れることから、透明基材や印刷層を有する基材等に積層されて用いられる接着層や塗膜、または光学部材用途などに、特に好ましく用いられる。
光学部材用途としては、例えば、透明電極膜、偏光板、位相差板、楕円偏光板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルム、AR(アンチリフレクション)フィルム、液晶フィルム、偏光子保護フィルム、太陽電池用フィルム等、これらの光学部材の貼り合わせに用いられる接着剤やコーティング剤、これらの光学部材に用いられる塗膜等が挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、測定、評価は以下の方法により行った。
(1)共重合ポリエステル樹脂の組成
重水素化クロロホルム/重水素化トリフルオロ酢酸=9/1(質量比)の混合溶媒1mLに10mgの試料を溶解し、日本電子社製のECZ-400R型NMRにてH-NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピーク積分強度から各ジカルボン酸成分と、各グリコール成分とのモル比を算出した。
(2)金属成分含有量、硫黄成分の含有量
共重合ポリエステル樹脂を200℃で溶融成形して直径3cm×厚み1cmの円盤状の成形板とし、リガク社製蛍光X線分析装置 ZSX Primusを用いて、検量線法により定量分析を行った。
(3)共重合ポリエステル樹脂の数平均分子量
GPC分析装置(島津製作所社製 送液ユニットLC-10ADvp型および紫外-可視分光光度計SPD-6AV型、検出波長254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により、数平均分子量を求めた。
(4)共重合ポリエステル樹脂の酸価
0.5gの試料にジオキサン/水(9/1、体積比)を加え、加熱還流後、クレゾールレッドを指示薬とし、KOHメタノール溶液(濃度:100mol/m)で滴定し、その滴定量から酸価を求めた。
(5)共重合ポリエステル樹脂の極限粘度(IV)
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合液を溶媒として測定した。
(6)共重合ポリエステル樹脂のヘイズ
共重合ポリエステル樹脂を固形分濃度30質量%になるようにトルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶剤に溶解させ、日本電色工業社製のSpectral Haze Meter SH7000にて測定を行った。
(7)ガラス転移点(Tg)、融解ピーク熱量
JIS-K 7121に従って、熱流束示差走査熱量測定装置(日立ハイテクサイエンス社製 DSC7020)を用い、-40℃から200℃まで、10℃/分で昇温させたチャートから、ガラス転移点と、昇温時の融解温度のピーク面積を融解ピーク熱量として求めた。
実施例1
テレフタル酸60モル%、イソフタル酸10モル%、セバシン酸30モル%、エチレングリコール47モル%、ジエチレングリコール4モル%、ネオペンチルグリコール49モル%になるように、原料をエステル化反応缶に投入し、アンカー翼の撹拌機で200rpmの回転数で攪拌しながら、0.25MPaの制圧下、250℃で6時間エステル化を行った。次に、重合缶へ移送して、重合触媒として5-スルホサリチル酸二水和物(SS)を2.0×10-4mol/unitを添加し、60分かけて徐々に1.3hPaになるまで減圧していき、その後、所定の分子量に到達するまで270℃で重縮合反応を行い、共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂は、金属成分含有量0ppm、硫黄成分含有量が17ppm、Tgが5℃、ヘイズが1.1%であった。
実施例2~6
重合触媒の種類と樹脂組成とが表1に記載したものとなるように、エステル化反応缶への原料の投入量を変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、共重合ポリエステル樹脂を得た。
なお、表1において、触媒種類の略語は以下を示す。
OSB;2-スルホ安息香酸無水物
o,m,p-ABS;o,m,p-アミノベンゼンスルホン酸
p-TSMe;p-トルエンスルホン酸メチル
Figure 2023091418000001
実施例7~11
樹脂組成が表1に記載したものとなるように、エステル化反応缶への原料の投入量を変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って、共重合ポリエステル樹脂を得た。
実施例12
テレフタル酸53モル%、イソフタル酸47モル%、エチレングリコール39モル%、ジエチレングリコール4モル%、ネオペンチルグリコール53モル%、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1000)4モル%になるように、原料をエステル化反応缶に投入し、アンカー翼の撹拌機で200rpmの回転数で攪拌しながら、0.25MPaの制圧下、250℃で6時間エステル化を行った。次に、重合缶へ移送して、重合触媒5-スルホサリチル酸二水和物(SS)を2.0×10-4mol/unitを添加し、60分かけて徐々に1.3hPaになるまで減圧していき、その後、所定の分子量に到達するまで255℃で重縮合反応を行い、共重合ポリエステル樹脂を得た。
実施例13
樹脂組成が表1に記載したものとなるように、エステル化反応缶への原料の投入量を変更した以外は、実施例12と同様の操作を行って共重合ポリエステル樹脂を得た。
実施例14
テレフタル酸32モル%、イソフタル酸40モル%、セバシン酸15モル%、ε-カプロラクトン12モル%、1,4-ブタンジオール88モル%になるように、原料をエステル化反応缶に投入し、アンカー翼の撹拌機で200rpmの回転数で攪拌しながら、0.25MPaの制圧下、220℃で9時間エステル化を行った。次に、重合缶へ移送して、重合触媒5-スルホサリチル酸二水和物(SS)を2.0×10-4mol/unitを添加し、60分かけて徐々に1.3hPaになるまで減圧していき、その後、所定の分子量に到達するまで240℃で重縮合反応を行い、共重合ポリエステル樹脂を得た。
実施例15
樹脂組成が表1に記載したものとなるように、エステル化反応缶への原料の投入量を変更した以外は、実施例14と同様の操作を行って、共重合ポリエステル樹脂を得た。
比較例1
テレフタル酸60モル%、イソフタル酸10モル%、セバシン酸30モル%、エチレングリコール49モル%、ジエチレングリコール2モル%、ネオペンチルグリコール49モル%になるように、原料をエステル化反応缶に投入し、アンカー翼の撹拌機で200rpmの回転数で攪拌しながら、0.25MPaの制圧下、250℃で5時間エステル化を行った。次に、重合缶へ移送して、重合触媒としての三酸化二アンチモンを6.0×10-4mol/unitを添加し、60分かけて徐々に1.3hPaになるまで減圧していき、その後、所定の分子量に到達するまで260℃で重縮合反応を行い、共重合ポリエステル樹脂を得た。得られた樹脂は、金属成分含有量が649ppmであり、金属触媒の析出があった。ヘイズは10.6%であった。
比較例2
重合触媒の添加量、樹脂組成が表1に記載したものとなるように、原料の投入量を変更した以外は、比較例1と同様の操作を行って共重合ポリエステル樹脂を得た。金属成分含有量は228ppmであり、ヘイズは6.5%であった。
比較例3
重合触媒の添加量、樹脂組成が表1に記載したものとなるように、原料の投入量を変更した以外は、比較例1と同様の操作を行って共重合ポリエステル樹脂を得た。金属成分含有量は621ppmであり、ヘイズは9.8%であった。
比較例4
重合触媒の添加量、樹脂組成が表1に記載したものとなるように、原料の投入量を変更した以外は、比較例1と同様の操作を行って共重合ポリエステル樹脂を得た。金属成分含有量は215ppmであり、ヘイズは5.9%であった。
表1に示したように、実施例1~15で得られた本発明の共重合ポリエステル樹脂は、有機溶媒に溶解し、溶液としたときのヘイズが好ましい範囲であり、透明性に優れるものであった。
比較例1~4で得られた共重合ポリエステル樹脂は、重合触媒由来の金属成分の含有量が多いことから、溶液としたときのヘイズが高くなり、透明性に劣るものであった。

Claims (7)

  1. 硫黄成分を含む共重合ポリエステル樹脂であって、
    金属触媒由来の金属成分の含有量が1ppm以下であり、ガラス転移温度が-20℃~80℃であり、
    DSCを用い-40℃から200℃まで、10℃/分で昇温させたチャートから求めた融解ピーク熱量が1mJ/mg以下である、共重合ポリエステル樹脂。
  2. 硫黄成分の含有量が1~500ppmである、請求項1に記載の共重合ポリエステル樹脂。
  3. 有機溶媒に溶解したときの溶液のヘイズが4.5%以下である、請求項1または2に記載の共重合ポリエステル樹脂。
  4. 請求項1~3の何れか1項に記載の共重合ポリエステル樹脂を含む、接着剤。
  5. 請求項1~3の何れか1項に記載の共重合ポリエステル樹脂を含む、塗料。
  6. 請求項1~3の何れか1項に記載の共重合ポリエステル樹脂から形成された、塗膜。
  7. 請求項6に記載の塗膜を含む、積層体。
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