以下、本発明の実施の形態における送風装置について説明する。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態の一つにおけるファン1を示す斜視図である。図2は、ファン1の構成を示すブロック図である。
図1及び図2に示されるように、ファン(送風装置の一例)1は、それぞれインペラ62を有する2つの送風機11,12(第1送風機11、第2送風機12)を備える送風装置である。本実施の形態において、ファン1は、インレット側(吸気側)の第1送風機11と、アウトレット側(排気側)の第2送風機12とを有している。本実施の形態において、一体となったフレームに第1送風機11と第2送風機12とが取り付けられており、一体となったファン1が構成されている。
第1送風機11と第2送風機12とは、それぞれ、互いのインペラ62の回転軸中心が軸流方向に揃うようにして配置されている軸流ファンである。第1送風機11と第2送風機12とは、互いに異なる方向にそれぞれのインペラ62を回転させる。換言すると、軸方向に見て、第1送風機11のインペラ62の回転方向は、第2送風機12のインペラ62の回転方向とは逆の方向である。すなわち、ファン1は、いわゆる二重反転式の送風機である。本実施の形態において、ファン1は、例えば、電子計算機やOA機器などの電子機器の内部で発生する熱を風力によって外部へ排出することにより電子機器の内部を冷却するファンモータである。
ファン1は、第1送風機11と第2送風機12との間で互いに通信を行うために接続する通信線45を備える。第1送風機11と第2送風機12との間で行われる通信については、後述する。
第1送風機11は、第1送風機11のインペラ62を回転させる第1のモータ21と、第1モータ駆動制御装置(第1駆動制御手段、第1通信手段、第1異常検出手段の一例)111とを有している。第1のモータ21のロータの回転軸に、インペラ62が取り付けられている。
第2送風機12は、第2送風機12のインペラ62を回転させる第2のモータ22と、第2モータ駆動制御装置(第2駆動制御手段、第2通信手段、第2異常検出手段の一例)112とを有している。第2のモータ22のロータの回転軸に、インペラ62が取り付けられている。
以下、第1のモータ21と第2のモータ22とを区別せず、モータ21,22と表記することがある。また、第1モータ駆動制御装置111と第2モータ駆動制御装置112とを区別せず、モータ駆動制御装置111,112と表記することがある。
各モータ駆動制御装置111,112は、モータ21,22を駆動させる。本実施の形態において、モータ21,22は、例えば3相のブラシレスモータである。各モータ駆動制御装置111,112は、モータ21,22のコイルに周期的に駆動電流を流すことで、モータ21,22を回転させる。
ファン1は、外部装置の一例である制御装置800に接続されている。本実施の形態において、制御装置800は、各送風機11,12に、モータ21,22の回転速度(回転数)に対応する速度指令信号Sc(速度指令情報の一例)を出力する。速度指令信号Scは、各モータ駆動制御装置111,112に入力される。各モータ駆動制御装置111,112は、速度指令信号Scに対応する回転数でモータ21,22を駆動することができる。なお、各モータ駆動制御装置111,112は、モータ21,22に対応する回転数信号S(例えば、FG信号など)を制御装置800に出力する。制御装置800は、回転数信号Sに基づいて、各送風機11,12の駆動状態を検知し、それに応じて、出力する速度指令信号Scの制御などを行うことができる。なお、回転数信号Sがファン1の外部に出力されないようにしてもよい。
本実施の形態において、第1モータ駆動制御装置111と第2モータ駆動制御装置112は、後述のように互いに通信を行う部分の具体的な動作などを除いて、略同一の動作を行う。
後述するように、第1モータ駆動制御装置111は、第1のモータ21の駆動を制御する第1駆動制御手段、第2送風機12と通信を行う第1通信手段、及び第1送風機11において異常が発生していることを検出する第1異常検出手段として機能する。また、第2モータ駆動制御装置112は、第2のモータ22の駆動を制御する第2駆動制御手段、第1送風機11と通信を行う第2通信手段、及び第2送風機12において異常が発生していることを検出する第2異常検出手段として機能する。
第1モータ駆動制御装置111と第2モータ駆動制御装置112は、同一のハードウエア構成を有している。以下、第1モータ駆動制御装置111と第2モータ駆動制御装置112とに共通する構成要素について同一の符号を用いて表記し、それらの構成要素について行う説明は、特記する場合を除いて、第1モータ駆動制御装置111と第2モータ駆動制御装置112のそれぞれにおいて共通するものとする。
各モータ駆動制御装置111,112は、モータ駆動部2と、制御回路部3とを有している。なお、図2に示されているモータ駆動制御装置111,112の構成要素は、全体の一部であり、モータ駆動制御装置111,112は、図1に示されたものに加えて、他の構成要素を有していてもよい。
本実施の形態において、各モータ駆動制御装置111,112は、一部(例えば、制御回路部3及びモータ駆動部2)がパッケージ化された集積回路装置(IC)である。なお、各モータ駆動制御装置111,112の全部が1つの集積回路装置としてパッケージ化されていてもよいし、他の装置と一緒に各モータ駆動制御装置111,112の全部又は一部がパッケージ化されて1つの集積回路装置が構成されていてもよい。
モータ駆動部2は、インバータ回路及びプリドライブ回路を有する。モータ駆動部2は、制御回路部3から出力された駆動制御信号Sdに基づいて、モータ21,22に駆動信号を出力し、モータ21,22を駆動させる。
プリドライブ回路は、制御回路部3による制御に基づいて、インバータ回路を駆動するための出力信号を生成し、インバータ回路に出力する。インバータ回路は、プリドライブ回路から出力された出力信号に基づいてモータ21,22に駆動信号を出力し、モータ21,22が備えるコイルに通電する。
制御回路部3には、制御装置800から出力された速度指令信号Scが入力される。また、制御回路部3は、制御装置800に回転数信号Sを出力する。
速度指令信号Scは、モータ21,22の回転速度に関する信号である。例えば、速度指令信号Scは、モータ21,22の目標回転速度に対応するPWM(パルス幅変調)信号である。換言すると、速度指令信号Scは、モータ21,22の回転速度の目標値に対応する速度指令情報である。なお、速度指令信号Scとして、クロック信号が入力されてもよい。
また、本実施の形態において、制御回路部3には、モータ21,22から、3つのホール信号(位置検出信号)Hu,Hv,Hwが入力される。ホール信号Hu,Hv,Hwは、例えば、モータ21,22に配置された3つのホール(HALL)素子25u,25v,25wの出力信号である。ホール信号Hu,Hv,Hwは、モータ21,22のロータの回転に対応する信号である。制御回路部3は、ホール信号Hu,Hv,Hwを用いてモータ21,22の回転状態を検出し、モータ21,22の駆動を制御する。すなわち、制御回路部3は、ホール信号Hu,Hv,Hwを用いてモータ21,22のロータの回転位置を検出し、モータ21,22の駆動を制御する。また、制御回路部3は、ホール信号Hu,Hv,Hwを用いてモータ21,22のロータの実際の回転数に関する実回転数情報を得て、モータ21,22の駆動を制御することができる。
ホール信号Hu,Hv,Hwを出力する3つのホール素子25(図2においては、簡略化のため、モータ21,22について1つのホール素子25が示されている)は、例えば、互いに略等間隔(隣り合うものと120度の間隔で)でモータ21,22の回転子の回りに配置されている。3つのホール素子25は、それぞれ、モータ21,22のロータの磁極を検出し、ホール信号Hu,Hv,Hwを出力する。
なお、制御回路部3には、このようなホール信号Hu,Hv,Hwに加えて、又はホール信号Hu,Hv,Hwに代えて、モータ21,22の回転状態に関する他の情報が入力されるように構成されていてもよい。例えば、モータ21,22の回転子の回転に対応するFG信号として、回転子の側にある基板に設けたコイルパターンを用いて生成される信号(パターンFG)が入力されるようにしてもよい。また、モータ21,22の各相(U、V、W相)に誘起する逆起電圧を検出する回転位置検出回路の検出結果に基づいてモータ21,22の回転状態が検知されるように構成されていてもよい。エンコーダやレゾルバなどを設け、それによりモータ21,22の回転速度等の情報が検出されるようにしてもよい。
制御回路部3は、例えば、マイクロコンピュータやデジタル回路等で構成されている。制御回路部3は、入力される信号に基づいて、モータ21,22を駆動させるための駆動制御信号Sdを出力する。具体的には、制御回路部3は、ホール信号Hu,Hv,Hwに基づいて、駆動制御信号Sdをモータ駆動部2に出力する。
制御回路部3は、モータ21,22を駆動させるための駆動制御信号Sdをモータ駆動部2に出力し、モータ21,22の回転制御を行う。モータ駆動部2は、駆動制御信号Sdに基づいて、モータ21,22に駆動信号を出力してモータ21,22を駆動させる。
制御回路部3は、回転数算出部31と、速度指令解析部32と、PWM指令部33と、PWM信号生成部35と、送受信部37と、通信処理部38と、異常判定部39とを有している。
回転数算出部31には、3つのホール素子25から出力されたホール信号Hu,Hv,Hwが入力される。回転数算出部31は、入力されたホール信号Hu,Hv,Hwに基づいて、各相とモータ21,22のロータとの位置関係を示す位置信号を出力する。また、回転数算出部31は、ホール信号Hu,Hv,Hwに基づいて、位置信号の周期に対応する実回転数情報を生成して出力する。すなわち、回転数算出部31は、モータ21,22のロータの実際の回転数に関する実回転数情報を出力する。図においては、位置信号と実回転数情報とを合わせて、実回転信号S2が示されている。実回転信号S2は、PWM指令部33に出力される。
速度指令解析部32には、速度指令信号Scが入力される。速度指令解析部32は、速度指令信号Scに基づいて、モータ21,22の目標回転数を示す目標回転数信号S1を出力する。目標回転数信号S1は、速度指令信号Scに対応するデューティ比を示すPWM信号である。目標回転数信号S1は、PWM指令部33に出力される。
PWM指令部33には、回転数算出部31から出力された実回転信号S2と、速度指令解析部32から出力された目標回転数信号S1とが入力される。また、PWM指令部33には、後述のように通信処理部38から出力された設定信号S9が入力される。PWM指令部33は、駆動制御信号Sdを出力するためのデューティ比を示すPWM設定指示信号S3を生成して出力する。PWM設定指示信号S3は、PWM信号生成部35に出力される。
PWM信号生成部35には、PWM設定指示信号S3が入力される。PWM信号生成部35は、PWM設定指示信号S3に基づいて、モータ駆動部2を駆動させるためのPWM信号S4を生成する。PWM信号S4は、例えば、デューティ比がPWM設定指示信号S3と同一となる信号である。換言すると、PWM信号S4は、PWM設定指示信号S3に対応するデューティ比を有する信号である。
PWM信号生成部35から出力されたPWM信号S4は、駆動制御信号Sdとして制御回路部3からモータ駆動部2に出力される。これにより、モータ駆動部2からモータ21,22に駆動信号が出力され、モータ21,22が駆動される。
送受信部37は、通信を行うインターフェースである。第1送風機11の送受信部37は、第2送風機12の送受信部37と、通信線45を介して接続されている。通信線45は、1本でも複数本であってもよく、通信は、シリアル通信であってもパラレル通信であってもよい。第1送風機11の送受信部37は、第2送風機12の送受信部37と通信を行うことができる。通信に関する制御は、通信処理部38によって行われる。
通信処理部38は、送受信部37の動作を制御し、第1送風機11と第2送風機12との間の通信を制御する。すなわち、第1送風機11の通信処理部38は、第1送風機11の送受信部37を制御し、第2送風機12との通信を行う。後述するように、通信処理部38は、第1送風機11と第2送風機12との間の通信の内容に応じて、PWM指令部33に設定信号S9を出力する。
本実施の形態において、第1送風機11と第2送風機12とは、第1送風機11をマスター、第2送風機12をスレーブとして、互いの通信を行うように構成されている。例えば、第1送風機11の通信処理部38は、送受信部37を介して、第2送風機12の状態についての問い合わせを第2送風機12に対して行う。すなわち、問い合わせは、第2送風機12における第2のモータ22の駆動状態を示す情報を第1モータ駆動制御装置111に送信するように依頼するものである。第2送風機12の通信処理部38は、送受信部37を介して第1送風機11からの問い合わせを受信すると、問い合わせへのレスポンスとして、第2送風機12の状態すなわち第2のモータ22の駆動状態に関するメッセージを、送受信部37を介して第1送風機11に対して送信する。その他、第1送風機11と第2送風機12とは、例えば第1送風機11から第2送風機12に対して所定の指示コマンドを送信し、第2送風機12から第1送風機11に対して指示コマンドに対する応答を送信するというようにして、互いに通信を行うことができる。以上のように、第1モータ駆動制御装置111の制御回路部3における送受信部37と通信処理部38は、第1通信手段としての直接的な機能を有し、第2モータ駆動制御装置112の制御回路部3における送受信部37と通信処理部38は、第2通信手段としての直接的な機能を有する。
異常判定部39は、送風機11,12に異常が発生していることを検出する。すなわち、異常判定部39は、送風機11,12が異常状態であることを判定する。第1送風機11の通信処理部38は、第1送風機11の異常判定部39によって第1送風機11において異常が発生していることが検出された場合に、それに応じた動作を行う。また、第2送風機12の通信処理部38は、第2送風機12の異常判定部39によって第2送風機12において異常が発生していることが検出された場合に、それに応じた動作を行う。以上のように、第1モータ駆動制御装置111の制御回路部3における異常判定部39は、第1異常検出手段としての直接的な機能を有し、第2モータ駆動制御装置112の制御回路部3における異常判定部39は、第2異常検出手段としての直接的な機能を有する。
異常判定部39は、例えば、モータ21,22において断線等が発生してモータ21,22が正常に駆動されない場合に、異常が発生していることを検出する。また、例えば、インペラ62に異物が噛み込むことなどによりモータ21,22がロック状態になった場合に、異常が発生していることを検出する。なお、異常の内容はこれらに限られるものではない。すなわち、異常が発生している状態を直接的に検知する対象(例として、回転数、温度、電流などの異常)はさまざまであり、本実施の形態において、検知する対象は特に限定されない。
本実施の形態において、制御回路部3は、モータ21,22を駆動する駆動モードとして、第1の駆動モードと第2の駆動モードとを有している。第1の駆動モードは、速度指令信号Scに対応する回転数でモータ21,22を駆動する駆動モードである。第2の駆動モードは、速度指令情報に対応する回転数よりも高い所定の回転数でモータ21,22を駆動する駆動モードである。
本実施の形態においては、第2の駆動モードは、入力される速度指令信号Scにかかわらず、所定の回転数でモータ21,22を駆動する駆動モードである。より具体的には、第2の駆動モードは、出力可能な最大のトルクで回転するようにモータ21,22を駆動する駆動モードである。換言すると、第2の駆動モードは、各送風機11,12においてモータ21,22が回転可能な最大の回転数(所定の回転数の一例)で回転するようにモータ21,22を駆動する駆動モードである。
制御回路部3が第1の駆動モードで動作する場合、PWM指令部33は、実回転信号S2すなわち位置信号及び実回転数情報と、目標回転数信号S1とに基づいて、PWM設定指示信号S3を出力する。具体的には、PWM指令部33は、目標回転数信号S1と、モータ21,22の回転数に対応する実回転数情報とを比較し、モータ21,22の回転速度が目標回転数信号S1に対応するものとなるように、PWM設定指示信号S3を生成する。このようにしてPWM設定指示信号S3が生成されるため、制御回路部3から速度指令信号Scに基づいた駆動制御信号Sdが出力され、モータ21,22が速度指令信号Scに対応する回転数で駆動される。
他方、制御回路部3が第2の駆動モードで動作する場合、PWM指令部33は、目標回転数信号S1にかかわらず、所定の態様で生成したPWM設定指示信号S3を出力する。具体的には、PWM指令部33は、各送風機11,12においてモータ21,22が回転可能な最大の回転数で回転するように、PWM設定指示信号S3を生成する。例えば、PWM信号生成部35から出力可能なPWM信号S4やPWM指令部33から出力可能なPWM設定指示信号S3のデューティ比の最大値が100パーセントであって、デューティ比が100パーセントであるPWM信号S4を出力した場合にモータ21,22を駆動可能である場合、PWM指令部33は、デューティ比が100パーセントであるPWM設定指示信号S3を生成して出力する。モータ駆動制御装置111,112からこのようにしてPWM設定指示信号S3が生成されるため、制御回路部3は、速度指令信号Scに基づかない駆動制御信号Sdが出力され、モータ21,22が回転可能な最大の回転数で駆動される。
第1送風機11と第2送風機12とがともに正常に駆動している場合、それぞれの制御回路部3は、第1の駆動モードで動作する。すなわち、第1送風機11と第2送風機12とは、それぞれ、速度指令信号Scに基づく回転数で駆動される。
ここで、本実施の形態においては、第1送風機11と第2送風機12とが通信線45を介して通信を行う。そして、第1モータ駆動制御装置111は、第2送風機12と通信を行った結果に基づいて第1のモータ21の駆動を制御する。具体的には、第1モータ駆動制御装置111の制御回路部3は、第2送風機12の第2モータ駆動制御装置112と通信を行った結果に基づいて、第1のモータ21を第1の駆動モードで駆動するか第1の駆動モードとは異なる第2の駆動モードで駆動するかを切り替える。また、第2モータ駆動制御装置112は、第1送風機11と通信を行った結果に基づいて第2のモータ22の駆動を制御する。具体的には、第2モータ駆動制御装置112の制御回路部3は、第1送風機11の第1モータ駆動制御装置111と通信を行った結果に基づいて、第2のモータ22を第1の駆動モードで駆動するか第2の駆動モードで駆動するかを切り替える。
駆動モードの切り替えは、例えば、以下のようにして行われる。本実施の形態においては、制御回路部3が第1の駆動モードと第2の駆動モードとのいずれで動作するかは、通信処理部38から出力される設定信号S9に応じて変更される。すなわち、通信処理部38は制御回路部3の駆動モードを切り替える制御を行う。
駆動モードの切り替えは、マスター側である第1送風機11からスレーブ側である第2送風機12に対して送信される問い合わせに応じて第2送風機12から送信されるレスポンスの内容に応じて行われる。
具体的には、第1送風機11から第2送風機12に対して問い合わせが行われると、それに応じて、第2モータ駆動制御装置112は、正常応答又は異常応答を第1モータ駆動制御装置111に送信する。
すなわち、第1送風機11から第2送風機12に対して問い合わせが行われたとき、第2のモータ22の駆動状態が正常であれば、その旨を示す情報が第2モータ駆動制御装置112から第1モータ駆動制御装置111に送信される(正常応答)。このように第1送風機11と第2送風機12とがともに正常に駆動している場合、それぞれの制御回路部3は、第1の駆動モードで動作する。
他方、第1送風機11から第2送風機12に対して問い合わせが行われたとき、第2のモータ22の駆動状態が正常でなければ、その旨を示す情報が第1モータ駆動制御装置111に送信される。すなわち、第2モータ駆動制御装置112において、通信処理部38は、異常判定部39により第2送風機12において異常が発生していることが検出された場合に、送受信部37を介して、そのことを示す情報を第1送風機11に送信する(異常応答)。第1モータ駆動制御装置111において、通信処理部38は、第2送風機12において異常が発生していることを示す情報を受信した場合に、第1のモータ21の駆動モードを第1の駆動モードから第2の駆動モードに切り替える。すなわち、第1送風機11の通信処理部38は、第2モータ駆動制御装置112から送信された異常応答に応じて、設定信号S9をPWM指令部33に出力する。そうすると、PWM指令部33は、目標回転数信号S1に基づいてPWM設定指示信号S3を出力する状態から、所定の回転数で第1のモータ21が回転するようにPWM設定指示信号S3を出力する状態に切り替わる。これにより、異常が発生していない第1送風機11において、第2の駆動モードで駆動が行われる。
また、駆動モードの切り替えは、異常判定部39により第1送風機11において異常が発生していることが検出された場合にも行われる。
すなわち、第1モータ駆動制御装置111において、通信処理部38は、送受信部37を介して、第2のモータ22を第2の駆動モードで駆動させるための指示を第2送風機12に送信する。第2モータ駆動制御装置112において、通信処理部38は、第2のモータ22を第2の駆動モードで駆動させるための指示を受信した場合に、第2のモータ22の駆動モードを第1の駆動モードから第2の駆動モードに切り替える。すなわち、第2送風機12の通信処理部38は、受信した指示に応じて設定信号S9をPWM指令部33に出力する。そうすると、PWM指令部33は、目標回転数信号S1に基づいてPWM設定指示信号S3を出力する状態から、所定の回転数で第2のモータ22が回転するようにPWM設定指示信号S3を出力する状態に切り替わる。これにより、異常が発生していない第2送風機12において、第2の駆動モードで駆動が行われる。
また、駆動モードの切り替えは、マスター側である第1送風機11からスレーブ側である第2送風機12に対して送信される問い合わせの有無や、その問い合わせに対するレスポンスの有無に応じて行われる。
具体的には、第1モータ駆動制御装置111から第2送風機12への問い合わせは定期的に行われるように構成されているところ、第2モータ駆動制御装置112は、第1モータ駆動制御装置111による問い合わせが所定時間行われなかった場合に、第2のモータ22の駆動モードを第1の駆動モードから第2の駆動モードに切り替える。これにより、例えば第1送風機11において電源電圧が供給されなくなるなどして制御回路部3が動作しなくなるというような異常が発生している可能性がある場合に、異常が発生していない第2送風機12において、第2の駆動モードで駆動が行われる。
また、第1モータ駆動制御装置111は、第2送風機12への問い合わせに対する応答が第2送風機12から送信されていない状態で、問い合わせを行ってから所定時間が経過した場合に、第1のモータ21の駆動モードを第1の駆動モードから第2の駆動モードに切り替える。これにより、例えば、第2送風機12において電源電圧が供給されなくなるなどして制御回路部3が動作しなくなるというような異常が発生している可能性がある場合に、異常が発生していない第1送風機11において、第2の駆動モードで駆動が行われる。
なお、第1モータ駆動制御装置111は、第2の駆動モードで第1のモータ21を駆動している場合において、第2送風機12との通信により第2送風機12が正常であることを示す情報を得た場合には、第1のモータ21の駆動モードを第2の駆動モードから第1の駆動モードに切り替える。また、第2モータ駆動制御装置112は、第2の駆動モードで第2のモータ22を駆動している場合において、第1送風機11との通信により第1送風機11が正常であることを示す情報を得た場合には、第2のモータ22の駆動モードを第2の駆動モードから第1の駆動モードに切り替える。これにより、異常状態が解消された場合には、自動的に、当初行われていた速度指令信号Scに基づくモータ21,22の駆動制御が行われる。
図3は、第1モータ駆動制御装置111の制御回路部3が行う処理動作の一例を示す第1のフローチャートである。図4は、第1モータ駆動制御装置111の制御回路部3が行う処理動作の一例を示す第2のフローチャートである。
図3及び図4の説明においては、特記する場合を除き、第1送風機11の構成についての動作を示すものとする。
図3に示されるように、ステップS11において、通信処理部38は、異常判定部39により第1送風機11において異常が発生している異常状態であると判定されたか否かを判断する。異常状態であると判定された場合にはステップS14に進み(YES)、異常状態であると判定されていない場合はステップS12に進む(NO)。
ステップS12において、制御回路部3は、速度指令信号Scに応じた第1のモータ21の駆動制御を行う。すなわち、PWM指令部33が速度指令信号Scに基づいてPWM設定指示信号S3を出力し、制御回路部3から駆動制御信号Sdが出力されることにより、モータ駆動部2によって第1のモータ21が駆動される。すなわち、第1のモータ21は、第1の駆動モードで駆動される。
ステップS13において、通信制御部38は、問い合わせを行う確認タイミングが到来したか否かを判断する。確認タイミングは、例えば、前回問い合わせを送信してから所定時間が経過したタイミングである。確認タイミングが到来していれば(YES)、図4のステップS17に進む。他方、確認タイミングが到来していなければ(NO)、ステップS11に戻る。
ステップS14において、通信処理部38は、送受信部37により、最大回転要求コマンドを第2送風機12に送信する。最大回転要求コマンドは、第2のモータ22を第2の駆動モードで駆動させるための指示である。最大回転要求コマンドが送信されることにより、第2のモータ22の駆動モードが第1駆動モードから第2駆動モードに切り替わり、第2のモータ22は、回転可能な最大の回転数で駆動される。
ステップS15において、通信処理部38は、異常判定部39により第1送風機11において異常状態ではないと判定されたか否かを判断する。異常状態ではないと判定された場合にはステップS16に進み(YES)、異常状態ではないと判定されていない場合(すなわち、異常状態と判定された場合)はステップS15を繰り返し行う(NO)。
ステップS16において、通信処理部38は、送受信部37により、復帰コマンドを第2送風機12に送信する。復帰コマンドは、第2のモータ22を第1の駆動モードで駆動させるための指示である。復帰コマンドが送信されることにより、第2のモータ22の駆動モードが第2駆動モードから第1駆動モードに切り替わり、第2のモータは、速度指令信号Scに応じた回転数で駆動される。ステップS16の処理が行われると、ステップS11に戻る。
図4に示されるように、ステップS17において、通信処理部38は、第2送風機12に対して問い合わせを行う。すなわち、通信処理部38は、送受信部37により、回転状態の確認コマンド(以下、単に確認コマンドということがある)を第2送風機12に送信する。
ステップS18において、通信処理部38は、第2送風機12から送信された正常応答を受信したか否かを判断する。正常応答を受信した場合には、図3のステップS11に戻る(YES)。正常応答を受信していない場合には、ステップS19に進む(NO)。
ステップS19において、通信処理部38は、第2送風機12から送信された異常応答を受信したか否かを判断する。異常応答を受信した場合には、ステップS21に進む(YES)。異常応答を受信していない場合には、ステップS20に進む(NO)。
ステップS20において、通信処理部38は、確認コマンドを送信してから所定時間が経過したか否かを判断する。確認コマンドを送信してから所定時間が経過した場合には、ステップS21に進む(YES)。確認コマンドを送信してから所定時間が経過していない場合には、ステップS18に戻る(NO)。
ステップS21において、制御回路部3は、第1のモータ21が回転可能な最大回転数で駆動されるように制御を行う。すなわち、通信処理部38は、設定信号S9を出力する。PWM指令部33は、設定信号S9に応じて、第1のモータ21が最大の回転数で回転するように、速度指令信号Scに基づかないPWM設定指示信号S3を出力する。こうして出力されたPWM設定指示信号S3に応じて制御回路部3から駆動制御信号Sdが出力されることにより、第1のモータ21は、第2の駆動モードで駆動される。
第1のモータ21が第2の駆動モードで駆動されているとき、ステップS22において、通信処理部38は、問い合わせを行う確認タイミングが到来したか否かを判断する。確認タイミングが到来していなければ(NO)、ステップS21に戻り、第2の駆動モードでの駆動が継続される。確認タイミングが到来していれば(YES)、ステップS17に戻る。
すなわち、第1のモータ21が第2の駆動モードで駆動されているとき、通信処理部38は、第2送風機12との通信を定期的に行い(ステップS17)、第2送風機12から正常応答があれば(ステップS18においてYES)、動作モードを第2の駆動モードから第1の駆動モードに戻す(ステップS11においてNO、ステップS12)。他方、第2送風機12から異常応答がある場合(ステップS19においてYES)又は確認コマンドの送信(ステップS17)から所定時間が経過した場合(ステップS20においてYES)には、第2の駆動モードでの駆動が継続される。
図5は、第2モータ駆動制御装置112の制御回路部3が行う処理動作の一例を示す第1のフローチャートである。図6は、第2モータ駆動制御装置112の制御回路部3が行う処理動作の一例を示す第2のフローチャートである。
図5及び図6の説明においては、特記する場合を除き、第2送風機12の構成についての動作を示すものとする。
図5に示されるように、ステップS31において、制御回路部3は、速度指令信号Scに応じた第2のモータ22の駆動制御を行う。すなわち、PWM指令部33が速度指令信号Scに基づいてPWM設定指示信号S3を出力し、制御回路部3から駆動制御信号Sdが出力されることにより、モータ駆動部2によって第2のモータ22が駆動される。すなわち、第2のモータ22が第1の駆動モードで駆動される。
ステップS32において、通信処理部38は、第1送風機11から送信された最大回転要求コマンドを受信したか否かを判断する。最大回転要求コマンドを受信した場合にはステップS33に進む(YES)。最大回転要求コマンドを受信していない場合には、ステップS35に進む(NO)。
ステップS33において、制御回路部3は、第2のモータ22が回転可能な最大回転数で駆動されるように制御を行う。すなわち、通信処理部38は、設定信号S9を出力する。PWM指令部33は、設定信号S9に応じて、第2のモータ22が最大の回転数で回転するように、速度指令信号Scに基づかないPWM設定指示信号S3を出力する。こうして出力されたPWM設定指示信号S3に応じて制御回路部3から駆動制御信号Sdが出力されることにより、第2のモータ22は、第2の駆動モードで駆動される。換言すると、第2のモータ22の駆動モードが第1の駆動モードから第2の駆動モードに切り替えられる。
このようにして最大回転要求コマンドを受信したことにより第2のモータ22を第2の駆動モードで駆動しているとき、ステップS34において、通信処理部38は、第1送風機11から送信された復帰コマンドを受信したか否かを判断する。復帰コマンドを受信していない場合(NO)、ステップS33に戻り、第2の駆動モードでの駆動が継続される。他方、復帰コマンドを受信した場合(YES)、ステップS31に戻り、動作モードを第2の駆動モードから第1の駆動モードに戻す(ステップS31)。
ステップS35において、通信処理部38は、第1送風機11から送信された回転状態の確認コマンドを受信したか否かを判断する。確認コマンドを受信した場合には図6のステップS39に進む(YES)。確認コマンドを受信していない場合にはステップS36に進む(NO)。
ステップS36において、通信処理部38は、前回確認コマンドを受信したタイミングから所定時間が経過したか否かを判断する。前回受信したタイミングから所定時間が経過した場合には、ステップS37に進む(YES)。前回受信したタイミングから所定時間が経過していない場合には、ステップS32に戻る(NO)。
ステップS37において、制御回路部3は、第2のモータ22が回転可能な最大回転数で駆動されるように制御を行う。すなわち、通信処理部38は、設定信号S9を出力する。PWM指令部33は、設定信号S9に応じて、第2のモータ22が最大の回転数で回転するように、速度指令信号Scに基づかないPWM設定指示信号S3を出力する。こうして出力されたPWM設定指示信号S3に応じて制御回路部3から駆動制御信号Sdが出力されることにより、第2のモータ22が第2の駆動モードで駆動される。
このように前回確認コマンドを受信したタイミングから所定時間が経過したことにより第2のモータ22が第2の駆動モードで駆動されているとき、ステップS38において、通信処理部38は、第1送風機11から送信された回転状態の確認コマンドを受信したか否かを判断する。確認コマンドを受信しなければ(NO)、ステップS37に戻り、第2の駆動モードでの駆動が継続される。確認コマンドを受信したとき(YES)、図6のステップS39に進む。
すなわち、前回確認コマンドを受信したタイミングから所定時間が経過したことにより第2のモータ22が第2の駆動モードで駆動されているとき、通信処理部38は、第1送風機11からの確認コマンドを受信するまで、第2の駆動モードでの駆動を継続させる。確認コマンドを受信した場合には、以下のように確認コマンドに対して応答を行った上で、動作モードを第2の駆動モードから第1の駆動モードに戻す(ステップS31)。
図6に示されるように、ステップS39において、通信処理部38は、異常判定部39により第2送風機12において異常が発生している異常状態であると判定されたか否かを判断する。異常状態であると判定された場合にはステップS40に進み(YES)、異常状態であると判定されていない場合はステップS42に進む(NO)。
ステップS40において、通信処理部38は、送受信部37により、第2送風機12が異常である旨を示す情報(異常応答)を第1送風機11に送信する。これにより、第1送風機11において、第2の駆動モードで第1のモータ21が駆動される。
異常応答を行った後、ステップS41において、通信処理部38は、第2送風機12が異常状態ではないと異常判定部39によって判定されたか否かを判断する。異常状態ではないと判定されなかった場合にはステップS41を繰り返し行い(NO)、異常状態ではないと判定された場合はステップS42に進む(YES)。
ステップS42において、通信処理部38は、送受信部37により、第2送風機12が正常である旨を示す情報(正常応答)を第1送風機11に送信する。この場合、第1送風機11において、第1のモータ21は、駆動モードが第1の駆動モードになり、速度指令信号Scに応じた回転数で駆動される。すなわち、第1のモータ21が第1の駆動モードで駆動されている場合には、そのまま継続して第1の駆動モードで第1のモータ21が駆動される。他方、第1のモータ21が第2の駆動モードで駆動されている場合には、動作モードが第2の駆動モードから第1の駆動モードに切り替えられて、第1のモータ21が駆動される。
このように、本実施の形態においては、第1送風機11と第2送風機12とが互いの間の通信結果に応じてモータ21,22の駆動を制御するので、ファン1は、全体として、以下の図7から図11に示したように動作する。なお、各送風機11,12において行われる動作の詳細な説明は上述の通りであるため、以下においては説明を省略することがある。
図7は、第1送風機11と第2送風機12とがともに通常の動作を行う場合のファン1の動作例を説明するシーケンス図である。
図7に示されるように、マスター側の第1送風機11が正常な状態である場合、定期的に、スレーブ側の第2送風機12に対して回転状態の確認コマンドが送信される(ステップS101)。すなわち、第1送風機11は、第2送風機12に第2のモータ22の回転状態を確認する。
そうすると、第2送風機12は、正常な状態で第2のモータ22を駆動しているため、正常である旨を第1送風機11に送信する(ステップS102)。すなわち、第2送風機12は、正常応答を行う。
このように、各送風機11,12が正常な状態であるとき、各送風機11,12は第1の駆動モードでモータ21,22を駆動させる。
図8は、第2送風機12が異常状態である場合のファン1の第1の動作例を説明するシーケンス図である。
図8に示されるように、第1送風機11が正常な状態である場合、定期的に、第2送風機12に対して回転状態の確認コマンドが送信される(ステップS111)。
そうすると、第2送風機12は、異常状態であるため、異常である旨を第1送風機11に送信する(ステップS112)。すなわち、第2送風機12は、異常応答を行う。
このように第2送風機12から異常応答が送られると、第1送風機11は、最大回転数で第1のモータ21を駆動させる(ステップS113)。すなわち、第1送風機11において、第2の駆動モードで第1のモータ21が駆動される。
その後、第2送風機12において異常が解消した場合を想定する。このとき、第1送風機11から第2送風機12に対して回転状態の確認コマンドが送信されると(ステップS114)、第2送風機12は、正常応答を送信する(ステップS115)。
このように第2送風機12から正常応答が送られると、第1送風機11は、速度指令信号Scに対応する回転数で回転するように、第1のモータ21を駆動させる(ステップS116)。すなわち、第1送風機11において、動作モードが第2の駆動モードから第1の駆動モードに切り替えられる。これにより、第1送風機11と第2送風機12とがともに第1の駆動モードでモータ21,22を駆動させる状態に戻る。
図9は、第2送風機12が異常状態である場合のファン1の第2の動作例を説明するシーケンス図である。
図9に示されるように、第1送風機11が正常な状態である場合、定期的に、第2送風機12に対して回転状態の確認コマンドが送信される(ステップS121)。
ここで、第2送風機12が異常状態であり、確認コマンドが送信されてから所定時間の間に確認コマンドに対する応答を行うことができない場合(ステップS122)、第1送風機11は、それを検知する。
そうすると、第1送風機11は、最大回転数で第1のモータ21を駆動させる(ステップS123)。すなわち、第1送風機11において、第2の駆動モードで第1のモータ21が駆動される。
その後、第2送風機12において異常が解消すると、第1送風機11から第2送風機12に対して回転状態の確認コマンドが送信されるのに伴って(ステップS124)、第2送風機12から第1送風機11に正常応答が送信される。(ステップS125)。これにより、第1送風機11が、速度指令信号Scに対応する回転数で第1のモータ21を駆動させる制御を行う(ステップS126)。すなわち、第1送風機11と第2送風機12とがともに第1の駆動モードでモータ21,22を駆動させる状態に戻る。
図10は、第1送風機11が異常状態である場合のファン1の第1の動作例を説明するシーケンス図である。
図10に示されるように、第1送風機11が異常状態である場合には、第1送風機11は、第2送風機12に対して、最大回転要求コマンドを送信する(ステップS151)。
そうすると、第2送風機12は、正常な状態で第2のモータ22を駆動しているため、正常である旨を第1送風機11に送信する(ステップS152)。すなわち、第2送風機12は、正常応答を行う。なお、第2送風機12は、正常応答ではなく、最大回転要求コマンドを受信した旨の返答を送信したり、第1送風機11に対する応答を行わなかったりしてもよい。
また、最大回転要求コマンドを受信した第2送風機12は、最大回転数で第2のモータ22を駆動させる(ステップS153)。すなわち、第2送風機12において、動作モードが第1の駆動モードから第2の駆動モードに切り替えられて、第2の駆動モードで第2のモータ22が駆動される。
その後、第1送風機11において異常が解消した場合を想定する。このとき、第1送風機11から第2送風機12に対して、通常の駆動モードすなわち第1の駆動モードへの復帰を要求するための復帰コマンドが送信される(ステップS154)。
このように第1送風機11から復帰コマンドが送られると、第2送風機12は、正常応答を送信する(ステップS155)。また、第2送風機12は、速度指令信号Scに対応する回転数で回転するように、第2のモータ22を駆動させる(ステップS156)。すなわち、第2送風機12において、動作モードが第2の駆動モードから第1の駆動モードに切り替えられる。これにより、第1送風機11と第2送風機12とがともに第1の駆動モードでモータ21,22を駆動させる状態に戻る。
図11は、第1送風機11が異常状態である場合のファン1の第2の動作例を説明するシーケンス図である。
図11に示されるように、第1送風機11が正常な状態である場合、第2送風機12に対して回転状態の確認コマンドが送信される(ステップS161)。これに対して、第2送風機12は、正常な状態である場合には、第1送風機11に対して正常応答が送信される(ステップS162)。
ここで、第1送風機11が異常状態になると、第1送風機11から第2送風機12に対する確認コマンドの送信が行われなくなる。前回確認コマンドが送信されてから、確認コマンドが送信されずに所定時間が経過した場合(ステップS163)、第2送風機12は、それを検知する。
そうすると、第2送風機12は、最大回転数で第2のモータ22を駆動させる(ステップS164)。すなわち、第2送風機12において、第2の駆動モードで第2のモータ22が駆動される。
その後、第1送風機11において異常が解消すると、第1送風機11から第2送風機12に対する回転状態の確認コマンドの送信が再開される(ステップS165)。なお、このとき、第1送風機11は第2送風機12に復帰コマンドを送信するようにしてもよい。
このように第1送風機11から確認コマンドが送られると、第2送風機12は、正常応答を送信する(ステップS166)。また、第2送風機12は、速度指令信号Scに対応する回転数で回転するように、第2のモータ22を駆動させる(ステップS167)。すなわち、第2送風機12において、動作モードが第2の駆動モードから第1の駆動モードに切り替えられる。これにより、第1送風機11と第2送風機12とがともに第1の駆動モードでモータ21,22を駆動させる状態に戻る。
図12は、複数のファン1を用いて構成された送風システム801の一例を示す図である。
図12に示されるように、ファン1は、複数台まとめて用いることができる。例えば、送風システム801は、1つの制御装置800と、4つのファン1(ファン1A,1B,1C,1D)とを有している。各ファン1は、制御装置800に接続されている。各ファン1の送風機11,12は、動作モードが第1の駆動モードであるとき、制御装置800から入力される速度指令信号Scに基づいて、モータ21,22を駆動させる。各ファン1において、第1送風機11と第2送風機12とは通信線45を介して互いに通信可能に接続されている。
送風システム801は、例えば、冷却対象である電子計算機などの電子機器900に対して、それぞれのファン1から風を送風する。電子機器900は、電源装置や、CPUや、メモリや、記憶装置や、周辺装置などで構成されている。電子機器900は、送風システム801から電子機器900の内部に送られる風により、冷却され、正常に動作する状態を維持することができる。
ここで、本実施の形態では、上述のように、各ファン1において送風機11,12の一方に異常が生じてインペラ62が回転しなくなったときに、送風機11,12の他方の動作モードが第1の動作モードから第2の動作モードに切り替えられる。第2の動作モードでは、インペラ62をより高い回転数で回転させることができる。したがって、送風機11,12の一方に異常が生じることにより低下する送風能力を、送風機11,12の他方により補わせることができる。そのため、異常が生じたファン1が正常なものに交換されるまでの間にも、多くの風を冷却対象に送ることができる。
一般に、2つの送風機11,12を含むファン1において、用途に照らしてファン1の全体として十分に風量や静圧を確保することができる場合には、各送風機11,12の回転数の制御可能範囲(例えば、制御装置800から各送風機11,12に速度指令信号Scを出力することにより回転数のフィードバック制御を行うことが可能な回転数の範囲)が、各送風機11,12自身において回転可能な最大回転数よりも制限された範囲に設定されることが多い。
このように各送風機11,12の回転数の制御可能範囲が送風機11,12自身の能力に比して制限されている場合において、例えば第2送風機12が故障したとき、故障していない第1送風機11についての速度指令を制御可能範囲における最大の回転数とする制御を行ったとしても、第1送風機11は第1送風機11自身が動作可能な最大回転数よりも制限された回転数で回転するに過ぎない。このような制御しか行われなければ、1つのファン1が故障した場合に、ファン1の全体として、十分な風量や静圧を確保することができない。例えば、ファン1を発熱体の冷却用途に使用する場合において、冷却対象の発熱体を十分に冷却することができない場合がある。
これに対して、本実施の形態では、例えば第2送風機12が故障したとき、故障していない第1送風機11は、回転可能な最大のトルクで第1のモータ21を駆動させる。したがって、第2送風機12が故障するなどの異常が生じたファン1が正常なものに交換されるまでの間にも、可能な限り多くの風量や高い静圧を確保することができる。したがって、送風機11,12の一方に異常状態が発生した場合であっても、送風機11,12の他方のみで、冷却性能の低下を抑制可能である。
このことについて一例を挙げて説明する。第1の動作モードで動作する正常駆動時において、速度指令信号Scのデューティが100パーセントであるとき、各送風機11,12が次のように動作する場合を想定する。すなわち、第1送風機11においては第1のモータ21が20000rpmで回転するように駆動制御が行われる。他方、第2送風機12は、PWM設定指示信号S3のデューティが50パーセントに設定されて、第2のモータ22が10000rpmで回転するように駆動制御が行われる。
この場合において、第1送風機11が故障により停止すると、第2送風機12は、第2の駆動モードで動作する。すなわち、第2送風機12は、フルトルクで第2のモータ22を駆動させる。例えば、PWM設定指示信号S3のデューティを最大値となる100パーセントとして、第2のモータ22が回転可能な最大の回転数である20000rpmで回転するように駆動制御が行われる。これにより、第1送風機11が故障しても、それによるパワー低下を補うように、第2送風機12を動作させることができ、ファン1の全体としての性能の低下を抑制することができる。
同様に、正常駆動時において、速度指令信号Scのデューティが100パーセントであるとき、各送風機11,12において、ともに、PWM設定指示信号S3のデューティが50パーセントに設定されて、各モータ21,22が5000rpmで回転するように駆動制御が行われる場合を想定する。この場合において、第1送風機11が故障により停止すると、第2送風機12は、PWM設定指示信号S3のデューティを最大値となる100パーセントとして第2のモータ22をフルトルクで駆動する。例えば、第2のモータ22は、回転可能な最大の回転数である10000rpmで回転する。また、第2送風機12が故障により停止した場合には、第1送風機11が、第1のモータ21を同様にフルトルクで駆動する。これにより、第1送風機11又は第2送風機12が故障しても、ファン1の全体としての性能の低下を抑制することができる。
このように送風機11,12の一方で異常が発生した場合において送風機11,12の他方で行われる駆動モードの切り替えは、送風機11,12間の通信結果に応じて行われる。換言すると、送風機11,12は、互いに動作状態を監視し合っており、その一方で異常が発生したときに、他方において駆動モードが第2の駆動モードに切り替えられる。このように送風機11,12間で直接通信を行って駆動モードが切り替えられるので、例えば制御装置800により送風機11,12の状態の把握や動作状態の切り替えを行う場合と比較して、送風機11,12の一方で異常が発生してから送風機11,12の他方の回転数を高める動作を速やかに行うことができる。ファン1単体で、送風機11,12の一方で異常が発生したときの補償動作を実行させることができるので、制御装置800の制御内容を簡素にすることができ、送風システム801の構成をシンプルにすることができる。
[その他]
ファンを構成する送風機やそのモータ駆動制御装置は、上述の実施の形態に示されるような回路構成に限定されない。本発明の目的に適合するように構成された、様々な回路構成が適用できる。上記の実施の形態の特徴点が部分的に組み合わされて送風機やそのモータ駆動制御装置が構成されていてもよい。上記の実施の形態において、いくつかの構成要素が設けられていなくてもよく、あるいは、いくつかの構成要素が他の態様で構成されていてもよい。
制御回路部は、各駆動モードについて動作の態様が予め規定された一の態様になるように制御を行うものに限られない。例えば、制御回路部による種々の制御が行われた場合に、結果として、その動作の態様が第1の動作モードに適合する態様又は第2の動作モードに適合する態様になっていると評価できるようなものであってもよい。このような構成であっても、制御回路部の動作の態様が、第1の動作モードに適合する態様と第2の動作モードに適合する態様との間で変化したことを、制御回路部の動作モードが切り替わったということができる。
ファンは、制御装置に接続されていなくてもよい。例えば、2つのモータ駆動制御装置それぞれは、動作モードが第1の駆動モードであるとき、各モータの回転数に関して予め設定された速度指令情報に対応する回転数で、各モータを駆動させることができるようにしてもよい。
第1モータ駆動制御装置から第2送風機への問い合わせは、必ずしも定期的に行われるものに限られず、例えば不定期に行われるようにしてもてもよい。例えば、あるときには第1の間隔(例えば、100ミリ秒)をあけて次の問い合わせが行われ、その後の問い合わせが行われるまでの間隔が、第2の間隔(例えば、200ミリ秒)、第3の間隔(例えば、300ミリ秒)と変化するというように、問い合わせの間隔が変わることがあってもよい。このように問い合わせの間隔が不定期である場合であっても、問い合わせの間隔が第1の間隔、第2の間隔、第3の間隔よりも長い所定時間(例えば1秒)を超えた場合に、異常が発生したと検知するようにすればよい。
第1送風機と第2送風機との通信方式や通信プロトコルは、上述の実施の形態の内容に限定されない。第1送風機と第2送風機とのいずれが通信におけるマスターとなってもよい。第1送風機と第2送風機とが、互いに無線通信を行うように構成されていてもよい。この場合、通信線が設けられていなくてもよい。
第2の駆動モードは、モータをフルトルクで駆動させるものに限定されない。通常の回転数(第1の駆動モードで駆動される場合の回転数)よりも高い回転数で駆動されればよい。すなわち、第2の駆動モードでは、PWM設定指示信号のデューティが第1の駆動モードで駆動される場合よりも高くなるようにすればよい。
第2送風機がインレット側(吸気側)に配置されており、第1送風機がアウトレット側(排気側)に配置されていてもよい。第1の駆動モードで駆動される場合の第1のモータの回転数と第2のモータの回転数とは、同じであっても、異なっていてもよい。
ファンは、回転軸中心が揃わないように配置された第1送風機と第2送風機とを有するものであってもよい。また、第1送風機と第2送風機の少なくとも一方が軸流ファンでなくてもよい。
ファンは、3つ以上の送風機を有するものであってもよい。その場合であっても、複数の送風機のうち少なくともいずれか2つの送風機が上述のように通信を行った結果に基づいて動作するように構成されていればよい。
第1送風機のみが第2送風機との通信結果に基づいて第1のモータの駆動を制御し、第2送風機は第1送風機との通信結果にかかわらずに第2のモータの駆動を制御するようにしてもよい。
本実施の形態のモータ駆動制御装置により駆動されるモータは、3相のブラシレスモータに限られず、他の相数のモータや、他の種類のモータであってもよい。ホール素子の数は、3個に限られない。ホール素子とは異なる検出器を用いて、モータの位置検出信号が得られるようにしてもよい。例えば、ホールIC等を用いてもよい。また、モータは、ホール素子やホールIC等の位置検出器を用いない、センサレス方式により駆動されるようにしてもよい。
上述のフローチャートなどは、動作を説明するための一例を示すものであって、これに限定されない。フローチャートの各図に示したステップは具体例であって、このフローに限定されるものではなく、例えば、各ステップの順番が変更されたり各ステップ間に他の処理が挿入されたりしてもよいし、処理を並列化してもよい。
上述の実施の形態における処理の一部又は全部が、ソフトウエアによって行われるようにしても、ハードウエア回路を用いて行われるようにしてもよい。例えば、制御回路部は、マイコンに限定されない。制御回路部の内部の構成は、少なくとも一部がソフトウエアで処理されるようにしてもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。