JP2023090582A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】除電部材を設ける構成において、「白抜け」と「後端メモリ」とを共に抑制する。
【解決手段】画像形成装置100は、感光体1と、帯電部材2と、帯電電圧印加部21と、電流検知部22と、転写部材5と、転写電圧印加部18と、除電部材20と、除電電圧印加部23と、制御部50と、を有し、制御部50が、転写部Ntに記録材Pが挟持されない状態で転写部Ntを通過し、除電部材20に電圧が印加された状態で除電部材20との対向部を通過した感光体1の表面を、帯電部において帯電処理している状態で検知される電流検知部22の検知結果に基づいて、除電電圧印加部23から除電部材20に印加する除電電圧を設定する設定制御を実行し、トナー像が転写される記録材Pが転写部Ntを通過することに伴い除電部材20により感光体1の表面に電荷を供給する所定の期間に、設定制御で設定した上記除電電圧を除電部材20に印加するように除電電圧印加部23を制御する構成とする。
【選択図】図5
【解決手段】画像形成装置100は、感光体1と、帯電部材2と、帯電電圧印加部21と、電流検知部22と、転写部材5と、転写電圧印加部18と、除電部材20と、除電電圧印加部23と、制御部50と、を有し、制御部50が、転写部Ntに記録材Pが挟持されない状態で転写部Ntを通過し、除電部材20に電圧が印加された状態で除電部材20との対向部を通過した感光体1の表面を、帯電部において帯電処理している状態で検知される電流検知部22の検知結果に基づいて、除電電圧印加部23から除電部材20に印加する除電電圧を設定する設定制御を実行し、トナー像が転写される記録材Pが転写部Ntを通過することに伴い除電部材20により感光体1の表面に電荷を供給する所定の期間に、設定制御で設定した上記除電電圧を除電部材20に印加するように除電電圧印加部23を制御する構成とする。
【選択図】図5
Description
本発明は、電子写真方式を用いたレーザービームプリンタ、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置では、感光体(以下、「感光ドラム」を例とする。)の表面が帯電手段によって帯電処理されて、感光ドラムの表面に一様に暗部電位が形成される。その後、帯電処理された感光ドラムの表面が露光手段によって露光されて感光ドラムの表面に明部電位が形成され、暗部電位と明部電位とのコントラストにより感光ドラムの表面に静電潜像が形成される。感光ドラムの表面に形成された静電潜像は、現像手段によって現像剤としてのトナーが供給されて現像され、感光ドラムの表面にトナー像が形成される。感光ドラムの表面に形成されたトナー像は、転写手段(以下、「転写ローラ」を例とする。)によって紙などの記録材に転写される。転写ローラにはトナーの正規の帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加され、感光ドラム上のトナー像は静電的に記録材に転写される。なお、ここでは、電位や電圧の高低や大小は、特に言及しない場合はその絶対値で比較した場合の高低や大小をいうものとする。また、記録材の先端、後端とは、それぞれ記録材の搬送方向における先端、後端を意味する。
このような構成の画像形成装置において、転写後に記録材の後端が感光ドラムから剥離する際に、剥離放電により感光ドラムの表面に転写電圧と同極性の電荷が過剰に付与され、感光ドラムに表面電位ムラが生じることがある。そして、次の帯電工程において、この感光ドラムの表面電位ムラを除去できない場合、その後形成する画像上に横黒スジ状の「後端メモリ」(感光ドラムの回転軸線方向に沿って延びる濃度が濃い部分)が発生することがある。
「後端メモリ」を抑制する手段として、特許文献1では、記録材の搬送方向において転写部の下流に隣接して設けられた除電部材によって、剥離放電によって生じた感光ドラムの表面電位ムラを緩和する方法が記載されている。除電部材に転写電圧とは逆極性(例えば負極性)の電圧を印加することで、除電部材から感光ドラムの表面に負極性の電荷が供給され、剥離放電によって生じた過剰な正極性の電荷がキャンセルされる。さらに、特許文献1では、除電部材に流れる電流値に応じて、除電部材に印加する電圧を調整する手段についても記載されている。
しかしながら、除電部材から感光ドラムに供給される電荷量が多すぎると、画像上に「白抜け」(局所的に濃度が薄くなる部分)という別の問題が発生することがわかった。除電部材から感光ドラムに供給される電荷量が多すぎると、感光ドラムの表面電位が正規の暗部電位よりも過剰に高くなる。そして、過剰に高くなった電位を、その後の帯電工程で正規の暗部電位にリセットすることができない場合、「白抜け」が発生してしまう。
この「白抜け」は、特に、帯電手段の帯電能力が低い場合に発生しやすい。例えば、帯電手段としての帯電部材に印加する電圧として、直流電圧と交流電圧とを重畳した交番電圧を用いる、所謂、AC帯電方式がある。AC帯電方式であれば、上記のような除電部材により生じた感光ドラムの表面電位ムラも、その後の帯電工程で正規の暗部電位にリセットすることが比較的容易である。
ところが、低コスト化などのために直流電圧のみを帯電部材に印加する、所謂、DC帯電方式では、交流成分が無いため、正規の暗部電位よりも高くなった感光ドラムの表面電位ムラを、次の帯電工程で正規の暗部電位にリセットすることが難しい。正規の暗部電位よりも電位が高くなった箇所は、露光後の電位が正規の明部電位よりも高くなる。結果として、その箇所は、現像部において現像部材との適正な電位差を確保できないため、トナーが付着せず、「白抜け」として顕在化する。
このように、除電部材から感光ドラムに供給される電荷量が過剰に多いと「白抜け」が発生してしまう。一方、除電部材から感光ドラムに供給される電荷量が少ないと、剥離放電に起因する「後端メモリ」を抑制する効果が弱まってしまう。このような理由から、「白抜け」と「後端メモリ」とを共に抑制するためには、除電部材から感光ドラムに供給される電荷量を精度良くコントロールすることが望まれる。
しかし、様々な要因によって、除電部材から感光ドラムに供給される電荷量を精度良くコントロールすることは難しい。例えば、除電部材に印加する電圧が一定であったとしても、部材の取り付け位置(除電部材と感光ドラムとの距離や、除電部材と転写部材との距離)、部材の物性値(転写部材の電気抵抗値)、除電部材の汚染状態(紙粉やトナーの付着状態)、環境(温度、湿度、気圧)などによって、感光ドラムに供給される電荷量が変わってしまう。
前述のように、除電部材に流れる電流値をモニターし、除電部材に印加する電圧を調整することが考えられる。しかし、除電部材に流れる電流値、すなわち、除電部材から供給される電荷量は、全て感光ドラムに供給されるとは限らず、例えば転写部材などの感光ドラム以外の部材にもリークしてしまう。そして、このリークする電荷量は、上述のような様々な要因によって、常に一定であるとは限らない。そのため、除電部材に流れる電流値をモニターするだけでは、除電部材から感光ドラムに供給される電荷量を精度良くコントロールすることは難しい。
このように、従来、除電部材から感光ドラムに供給される電荷量を精度良くコントロールすることが困難であることから、特に帯電能力の低い帯電手段を用いた場合に、「白抜け」の抑制と「後端メモリ」の抑制とを両立することが難しいという課題がある。
そこで、本発明の目的は、除電部材を設ける構成において、「白抜け」と「後端メモリ」とを共に抑制することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転可能な感光体と、前記感光体の表面を帯電部において帯電処理する帯電部材と、前記帯電部材に電圧を印加する帯電電圧印加部と、前記帯電部材に流れる電流を検知する電流検知部と、前記感光体の表面に接触して転写部を形成し、前記感光体の表面にトナーで形成されたトナー像を前記転写部に挟持される記録材に転写させる転写部材と、前記転写部材に電圧を印加する転写電圧印加部と、前記記録材の搬送方向において前記転写部よりも下流で前記感光体の表面に対向する対向部において前記感光体の表面に電荷を供給することが可能な除電部材と、前記除電部材に電圧を印加する除電電圧印加部と、前記除電電圧印加部を制御可能な制御部と、を有し、前記制御部は、前記転写部に前記記録材が挟持されない状態で前記転写部を通過し、前記除電部材に電圧が印加された状態で前記対向部を通過した前記感光体の表面を、前記帯電部において帯電処理を行っている状態で検知される前記電流検知部の検知結果に基づいて、前記除電電圧印加部から前記除電部材に印加する除電電圧を設定する設定制御を実行し、前記トナー像が転写される前記記録材が前記転写部を通過することに伴い前記除電部材により前記感光体の表面に電荷を供給する所定の期間に、前記設定制御で設定した前記除電電圧を前記除電部材に印加するように前記除電電圧印加部を制御することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、除電部材を設ける構成において、「白抜け」と「後端メモリ」とを共に抑制することができる。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。まず、本実施例の画像形成装置100の構成について説明する。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてブラック単色画像を形成することが可能なレーザービームプリンタである。
1.画像形成装置の構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。まず、本実施例の画像形成装置100の構成について説明する。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてブラック単色画像を形成することが可能なレーザービームプリンタである。
画像形成装置100は、その装置本体Mの内部に、像担持体としてのドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、OPC(有機光半導体)、アモルファスセレン、アモルファスシリコンなどの感光材料を、アルミニウムやニッケルなどで形成されたシリンダ状のドラム基体上に設けて構成したものである。本実施例で使用する感光ドラム1は、外径φ24mmの負帯電性のOPC感光体であり、アルミニウム製のシリンダで構成された導電性基体の表面に、電荷発生層と電荷輸送層とがこの順番で導電性基体側から積層された感光層を有して構成されている。感光ドラム1は、図中矢印Rd方向(時計回り方向)に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向Rdに沿って順に、次の各手段が配置されている。
まず、感光ドラム1の周囲には、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2が配置されている。帯電ローラ2は、例えば、給電電極を兼ねた導電性基軸と、その外周面を円筒状に囲繞する弾性層とによって構成されている。本実施例で使用する帯電ローラ2は、ローラ外径φ10mm、芯金径φ5mm、弾性層の厚み2.5mmである。また、本実施例で使用する帯電ローラ2は、芯金にはSUS、弾性層にはNBRとエピクロルヒドリンとの混合ゴム材を使用している。
次に、感光ドラム1の周囲には、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ装置)3が配置されている。
次に、感光ドラム1の周囲には、現像手段としての現像装置4が配置されている。現像装置4は、トナーを感光ドラム1との対向部(現像部)に供給する現像剤担持体としての現像ローラ4aを有する。
次に、感光ドラム1の周囲には、転写手段としてのローラ状の転写部材である転写ローラ5が配置されている。転写ローラ5は、感光ドラム1との間で記録材Pを挟持すると共に、電圧が印加されることでトナー像を感光ドラム1から記録材Pに転写させる。転写ローラ5は、例えば、給電電極を兼ねた導電性基軸と、その外周面を円筒状に囲繞する弾性層とによって構成されている。この弾性層としては、一般的にEPDM、NBR、ウレタンゴム、エピクロルヒドリン、シリコーンゴムなどの半導電性ゴム材が用いられている。本実施例で使用する転写ローラ5は、ローラ外径φ14mm、芯金径φ5mm、弾性層の厚み4.5mmである。また、本実施例で使用する転写ローラ5は、芯金にはSUS、弾性層にはNBRとエピクロルヒドリンとの混合ゴム材を使用している。また、本実施例では、転写ローラ5の感光ドラム1への当接圧は9.8N(1kgf)である。また、本実施例における転写ローラ5の電気抵抗値は、転写ローラ5をアルミシリンダ上に9.8Nの力で押圧し、50mm/secで回転させ、+1000Vを印加した状態において4.0×107Ωである。
次に、感光ドラム1の周囲には、転写後の記録材Pの表面の過剰電荷を除電すると共に、剥離放電によって生じた感光ドラム1の表面電位ムラを緩和する除電部材としての除電針20が配置されている。本実施例では、除電針20としては、鋸歯状の尖鋭端部(以下、単に「先端」ともいう。)を備え、良好な導電性を有する、SUS(ステンレス鋼)板、アルミ板などの金属製薄板材で形成された除電針を用いている。この除電針20は、記録材Pの搬送方向において転写ローラ5の下流に隣接し、かつ、除電針20の先端が感光ドラム1の表面に対向するように配置されている。つまり、除電針20は、記録材Pの搬送方向において後述する転写部Ntよりも下流で感光ドラム1の表面に対向する対向部において感光ドラム1の表面に電荷を供給することが可能である。
次に、感光ドラム1の周囲には、感光ドラム1上に残ったトナーのクリーニング手段としてのクリーニング装置6が配置されている。
また、装置本体Mの図中下部には、紙などの記録材(転写材、記録媒体、シート)Pを収納した記録材カセット7が配置されている。また、記録材カセット7から記録材Pの搬送経路に沿って順に、給送ローラ8、搬送ローラ9、トップセンサ10、転写定着間搬送ガイド11、定着装置12、排出ローラ13、排出トレイ14が配置されている。
次に、本実施例の画像形成装置100における画像形成動作について説明する。
感光ドラム1は、駆動手段を構成する駆動源としてのモータ(図示せず)によって図中矢印Rd方向(時計回り方向)に320mm/secの周速度(プロセススピード)で回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電ローラ2によってトナーの正規の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)の所定の電位(暗部電位)に一様に帯電処理される。帯電工程時に、帯電ローラ2には、帯電電圧印加手段(帯電電圧印加部)としての帯電電源(高圧電源)21から、トナーの正規の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)の直流電圧である帯電電圧(帯電バイアス)が印加される(DC帯電方式)。本実施例では、帯電電圧は、帯電電源21から、帯電電流検知手段(帯電電流検知部)としての帯電電流検知回路22を介して、帯電ローラ2に印加される。本実施例では、帯電ローラ2に-1100Vの帯電電圧が印加され、感光ドラム1の表面に一様に-500Vの暗部電位が形成される。ここで、感光ドラム1の回転方向における、感光ドラム1上の帯電ローラ2による帯電処理が行われる位置が、帯電部である。本実施例では、帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転方向における、帯電ローラ2と感光ドラム1との接触部の上流側及び下流側に形成される微小な空隙のうちの少なくとも一方で発生する放電を利用して感光ドラム1の表面を帯電処理する。ただし、簡単のため、帯電ローラ2と接触する感光ドラム1上の位置が帯電部であると擬制して考えてもよい。
帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光装置(レーザー光学系)3によって、画像情報に基づいたレーザー光Lが照射されて、走査露光される。これにより、感光ドラム1の表面の露光された部分の電荷が除去されて、感光ドラム1の表面に明部電位(本実施例では-100V)が形成され、暗部電位と明部電位とのコントラストで感光ドラム1上に静電潜像(静電像)が形成される。
感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像装置4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1の表面にトナー像(トナー画像、現像剤像)が形成される。現像工程時に、現像ローラ4aには、現像電圧印加手段(現像電圧印加部)としての現像電源(高圧電源)24から、トナーの正規の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)の直流電圧である現像電圧(現像バイアス)が印加される。これにより、感光ドラム1上の静電潜像にトナーが付着してトナー像が形成される。本実施例では、現像ローラ4aに-350Vの現像電圧が印加される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像方式)。本実施例では、現像工程時のトナーの主要な帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写ローラ5の作用によって、紙などの記録材P上に転写される。転写ローラ5は、付勢手段としての付勢部材である転写加圧バネ(図示せず)により感光ドラム1に向けて付勢(押圧)され、感光ドラム1に圧接されている。これにより、感光ドラム1と転写ローラ5との接触部である転写部(転写ニップ部、転写挟持部)Ntが形成される。転写ローラ5は、感光ドラム1の回転に伴って従動回転し、感光ドラム1との間で記録材Pを挟持して搬送する。転写工程時に、転写ローラ5には、転写電圧印加手段(転写電圧印加部)としての転写電源(高圧電源)18から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である転写電圧(転写バイアス)が印加される。本実施例では、転写電圧は、転写電源18から、転写電流検知手段(転写電流検知部)としての転写電流検知回路19を介して、転写ローラ5に印加される。これにより、感光ドラム1上のトナー像が、静電的に記録材P上の所定の位置に転写される。記録材Pは、記録材カセット7に収納されており、給送ローラ8によって1枚ずつカセット7から送り出され、搬送ローラ9によって搬送されて、ガイド部材に沿って転写部Ntへと搬送される。
転写部Ntでトナー像が転写された記録材Pは、除電針20によってその表面の過剰な電荷量が除電される。除電工程時に、除電針20には、除電電圧印加手段(除電電圧印加部)としての除電電源(高圧電源)23から、トナーの正規の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)の直流電圧である除電電圧(除電バイアス)が印加される。
さらに、本実施例では、記録材Pの後端が転写部Ntを抜けたタイミングに合わせて、除電電圧の出力が大きくされ、剥離放電によって生じた感光ドラム1の表面電位ムラが緩和される。除電電圧の制御方法についは後述する。
除電針20を通過した記録材Pは、転写定着間搬送ガイド11に沿って定着手段としての定着装置12へと搬送される。定着装置12は、ヒータを内蔵する定着ローラ12aと、定着ローラ12aに圧接する加圧ローラ12bと、を有する。定着装置12は、定着ローラ12aと加圧ローラ12bとの当接部を通過する未定着のトナー像を担持した記録材Pに、熱及び圧力を印加して、その記録材P上にトナー像を定着(溶融、固着)させる。
定着装置12によってトナー像が定着された後の記録材Pは、排出ローラ13によって装置本体Mの図中上面に形成された排出トレイ14上に排出(出力)される。
一方、転写工程後に記録材Pに転写されずに感光ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置6によって感光ドラム1の表面から除去されて回収される。クリーニング装置6は、感光ドラム1の表面に当接して配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード6aによって、回転する感光ドラム1の表面から転写残トナーを掻き取って回収する。
なお、本実施例では、静電潜像の形成や転写電圧・除電電圧の増減などと、記録材Pの動きと、を同期させるために、トップセンサ10のON-OFFのタイミングから記録材Pの先後端の位置が把握されて、各部の動作の制御に反映されている。トップセンサ10の出力に基づいて、記録材Pがトップセンサ10を通過する時間を検出することができる。また、記録材Pを搬送するプロセススピードは所定の値に設定されている。そのため、例えば、演算によって、「後端メモリ」の発生し得る感光ドラム1上の領域(本実施例では、記録材Pの後端が転写部Ntを通過する時に転写部Ntを通過する感光ドラム1上の領域)を検出することが可能となる。
以上の動作を繰り返すことで、次々と画像形成を行うことができる。本実施例の画像形成装置100は、毎分60枚のプリントスピードでプリントを実行することができる。
図2は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。画像形成装置100には、制御部50が設けられている。制御部50は、演算処理を行う中心的素子である演算制御手段としてのCPU51、記憶手段としてのROMやRAMなどのメモリ(記憶素子)52、制御部50に接続された要素との間の信号の授受を制御する入出力部(図示せず)などを有する。RAMには、センサの検知結果、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。
制御部50は、画像形成装置100の動作を統括的に制御可能な制御手段である。制御部50には、画像形成装置100の各部が接続されている。本実施例では、制御部50には、例えば、帯電電源21、現像電源24、転写電源18、除電電源23、露光装置3などが接続されている。制御部50は、上記各種電源(バイアス供給手段)の動作(ON/OFFや出力値)、露光装置3の動作(ON/OFFや露光量)、これらの動作タイミングなどを制御して、画像形成動作や後述する紙後端除電電圧の最適化制御などを実行可能である。
また、画像形成装置100は、1つの開始指示により開始される単一又は複数の記録材Pに画像を形成する一連の動作であるプリントジョブ(プリント動作、印刷動作)を実行可能である。本実施例では、開始指示はパーソナルコンピュータなどの外部装置から画像形成装置100に入力される。プリントジョブは、一般に、画像形成工程(印字工程)、前回転工程、複数の記録材Pに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に感光ドラム1への静電潜像の形成、静電潜像の現像(トナー像の形成)、トナー像の転写、トナー像の定着などを行う期間であり、画像形成時とはこの期間のことをいう。より詳細には、これら静電潜像の形成、トナー像の形成、トナー像の転写、トナー像の定着などを行う位置で、画像形成時のタイミングは異なる。前回転工程は、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程(画像間工程)は、複数の記録材Pに対して画像形成工程を連続して行う際(連続画像形成時)の記録材Pと記録材Pとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置100の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。
2.除電電圧の制御方法
次に、本実施例における除電針20に印加する除電電圧の制御方法について説明する。
次に、本実施例における除電針20に印加する除電電圧の制御方法について説明する。
はじめに、本実施例における除電電圧の変更タイミングについて説明する。図3は、本実施例における記録材Pが転写部Ntを通過するタイミングに合わせて転写電圧及び除電電圧を変化させる動作を示すタイミングチャート図である。図3のタイミングチャート図に従う動作は、制御部50が各部を制御することで実行される。なお、記録材Pを「紙」と呼ぶことがあるが、記録材Pは、紙に限定されるものではなく、OHPシートや合成紙などの合成樹脂で形成されたものや、布などであってもよい。また、記録材Pが転写部Ntを通過することを「通紙」ともいう。また、先行する記録材Pと後続の記録材Pとの間の期間(あるいはこの期間に対応する領域)を「紙間」ともいう。
まず、本実施例における転写電圧の動きについて説明する。紙が転写部Ntを通過している通紙中から、紙の後端が転写部Ntを抜ける直前のタイミングT1までは、通紙中転写電圧Vt1が転写ローラ5に印加される。紙の後端が転写部Ntを抜ける直前の所定のタイミングT1は、後述するように適宜予め設定されるものであるが、典型的には紙の後端部の余白が転写部Ntを通過している間に設定される。通紙中転写電圧Vt1としては、感光ドラム1上のトナーを紙上に転写すると共に、過剰な電圧により異常放電が発生しない電圧が選択される。通紙中転写電圧Vt1は、固定電圧で定電圧制御してもよいし、転写ローラ5を流れる電流値(転写電流検知回路19の検知結果)が一定になるように定電流制御してもよい。本実施例では、転写電源18は、転写ローラ5を流れる電流値が20μAになるように通紙中転写電圧Vt1を定電流制御で出力する。
一方、タイミングT1から後続紙の先端が転写部Ntに突入するタイミングT2までの間は、紙間転写電圧Vt2が転写ローラ5に印加される。紙の先端が転写部Ntに突入する所定のタイミングT2は、紙の先端が転写部Ntに到達した時に限定されず、適宜予め設定されるものであるが、典型的には紙の先端部の余白が転写部Ntを通過している間に設定される。紙間転写電圧Vt2としては、非通紙時(紙間)において転写ローラ5から感光ドラム1に対して異常放電が発生しない電圧が選択される。本実施例では、紙間転写電圧Vt2としては、通紙中転写電圧Vt1よりも低い電圧が選択される。本実施例では、転写電源18は、紙間転写電圧Vt2として+700Vを定電圧制御で出力する。
次に、本実施例における除電電圧の動きについて説明する。紙が転写部Ntを通過している通紙中から、紙の後端が転写部Ntを抜ける直前のタイミングT3までは、通紙中除電電圧Vd1が除電針20に印加される。紙の後端が転写部Ntを抜ける直前の所定のタイミングT3は、後述するように適宜予め設定されるものであるが、典型的には紙の後端部の余白が転写部Ntを通過している間に設定される。転写後の紙の表面に過剰な正極性の電荷が存在する場合、異常放電によって水玉状の模様が出力画像上に発生してしまう。そのため、通紙中除電電圧Vd1としては、転写後の紙の表面の過剰な電荷量を適正に除電するような電圧が選択される。本実施例では、除電電源23は、通紙中除電電圧Vd1として-1000Vを定電圧制御で出力する。
なお、通紙中除電電圧Vd1は、搬送される紙と除電針20とのクリアランスや、紙種(紙の電気抵抗値、紙の剛性)などの条件に応じて適宜最適な電圧を選択することが好ましい。また、タイミングT1とタイミングT3とは、一致させる必要は無い(一致させてもよいし、させなくてもよい)。タイミングT1が早すぎると「画像の後端部の転写不良」が発生し、遅すぎると「紙間部(非通紙時)での異常放電に起因する画像不良」が発生する。また、タイミングT3が早すぎると「画像の後端部において過剰な除電作用によるトナー飛び散り」が発生し、遅すぎると上述の「後端メモリ」が発生する。このような現象が発生しないようにタイミングT1とタイミングT3とをそれぞれ選択することが好ましい。
一方、タイミングT3からタイミングT4までの間は、「後端メモリ」を抑制するために紙後端除電電圧Vd2が除電針20に印加される。タイミングT4は、「後端メモリ」の発生し得る感光ドラム1上の領域が、除電針20による除電効果を十分に受けられるようなタイミングに設定される。具体的には、本実施例では、タイミングT3からタイミングT4までの間に、感光ドラム1の表面において「後端メモリ」の発生し得る領域が、除電針20の先端との最近接位置を通過するまでに要する時間よりも長い時間が確保されている。上述のように、「後端メモリ」の発生し得る感光ドラム1上の領域は、本実施例では、記録材Pの後端が転写部Ntを通過する時に転写部Ntを通過する感光ドラム1上の領域である。本実施例では、タイミングT3から40msec後がタイミングT4として設定されている。これにより、「後端メモリ」の発生し得る感光ドラム1上の領域が、転写部Ntから感光ドラム1の回転方向Rdに沿って12.8mm移動している間、紙後端除電電圧Vd2が除電針20に印加される。
そして、紙後端除電電圧Vd2としては、前述の「白抜け」と「後端メモリ」とが共に発生しない最適な電圧を選択することが望まれる。本実施例では、以下で説明する「紙後端除電電圧Vd2の最適化制御」に基づき、条件に応じた最適な紙後端除電電圧Vd2を決定する。
3.紙後端除電電圧Vd2の最適化制御
<紙後端除電電圧Vd2の最適化制御の手順>
次に、本実施例における、紙後端除電電圧Vd2を設定する設定制御としての、紙後端除電電圧Vd2の最適化制御(以下、単に「最適化制御」ともいう。)について説明する。最適化制御は、除電電圧と帯電電流検知回路22の検知結果との関係を測定し、最適な紙後端除電電圧Vd2を決定する制御である。図4は、最適化制御の手順を示すフローチャート図である。図4のフローチャート図に従う動作は、制御部50が各部を制御することで実行される。
<紙後端除電電圧Vd2の最適化制御の手順>
次に、本実施例における、紙後端除電電圧Vd2を設定する設定制御としての、紙後端除電電圧Vd2の最適化制御(以下、単に「最適化制御」ともいう。)について説明する。最適化制御は、除電電圧と帯電電流検知回路22の検知結果との関係を測定し、最適な紙後端除電電圧Vd2を決定する制御である。図4は、最適化制御の手順を示すフローチャート図である。図4のフローチャート図に従う動作は、制御部50が各部を制御することで実行される。
制御部50は、最適化制御を、画像形成動作とは別に、非画像形成時に非通紙状態で実行する。まず、制御部50は、画像形成時と同じプロセススピードで感光ドラム1を回転させるように制御する。その際、制御部50は、帯電ローラ2には画像形成時と同じ-1100Vの帯電電圧、現像ローラ4aには画像形成時と同じ-350Vの現像電圧を印加するように制御する。一方、制御部50は、転写ローラ5には紙間転写電圧Vt2である+700Vを印加するように制御する。
この状態において、制御部50は、除電針20に除電電圧として0V(初期印加電圧)を印加するように制御し、帯電電流検知回路22の検知結果(帯電電流)をモニターする。そして、制御部50は、240msec間の帯電電流値を平均化した値を初期電流値I0としてメモリ52に記憶する(S101)。
次に、制御部50は、除電電圧をΔ-50V上げた-50Vを除電針20に印加するように制御し、240msec間の帯電電流値を平均化した値を逐次電流値Ivとしてメモリ52に記憶する(S102)。
そして、制御部50は、初期電流値I0と逐次電流値Ivとを比較して、両者の差が閾値0.3μAより大きいか(有意な差があるか)否かを判断する(S103)。S103では逐次電流値Ivが初期電流値I0から変化しているかを判断している。そのため、同一の除電電圧における帯電電流値の振れ幅が大きい場合には、0.3μAよりも大きな閾値を設定することが好ましい。
制御部50は、S103において初期電流値I0と逐次電流値Ivとの差が0.3μA以下であると判断した場合は、S102に戻り、除電電圧を更にΔ-50V上げた状態で帯電電流値を測定し逐次電流値Ivの値を更新する。
また、制御部50は、S103において初期電流値I0と逐次電流値Ivとの差が0.3μAより大きいと判断した場合は、そのときの除電電圧の値を基準除電電圧V0としてメモリ52に記憶する(S104)。なお、除電電圧を変化させ、帯電電流が変化し始めた際に印加していた除電電圧を、基準除電電圧V0とすることに限定されるものではない。例えば、複数の除電電圧を印加して取得した除電電圧と帯電電流との関係に基づいて、帯電電流が変化し始める(上記差が所定値となる)除電電圧を求めて、これを基準除電電圧V0としてもよい。
なお、本実施例では、S101で除電電圧の初期印加電圧を0Vにしているが、制御時間の短縮のために、0Vよりも高い電圧を初期印加電圧にしてもよい。予め、帯電電流が有意に変化しない除電電圧の上限がわかっている場合は、その上限値を初期印加電圧に設定し、可能な限り制御時間を短縮することが好ましい。
そして、制御部50は、「基準除電電圧V0に所定のオフセット電圧(本実施例では-200V)を加えた値」を紙後端除電電圧Vd2として決定しメモリ52に記憶する(S105)。基準除電電圧V0にオフセット電圧を加える理由については後述する。以降のプリント動作では、制御部50は、上述の最適化制御で決定した紙後端除電電圧Vd2を除電電源23から出力するように制御する。
以上のように、最適化制御では、除電電圧と帯電電流との関係から求められた基準除電電圧V0に基づいて、紙後端除電電圧Vd2を決定する。
<紙後端除電電圧Vd2の設定>
次に、本実施例において帯電電流が変化し始める基準除電電圧V0に基づいて紙後端除電電圧Vd2を決定した理由について詳細に説明する。
次に、本実施例において帯電電流が変化し始める基準除電電圧V0に基づいて紙後端除電電圧Vd2を決定した理由について詳細に説明する。
図5は、本実施例における除電電圧と帯電電流との関係を示すグラフ図である。本実施例の構成において、プリント動作中の「白抜け」及び「後端メモリ」の発生条件について調べた。その結果、図5に示すように、除電電圧が-1800V未満の領域(領域A)では「後端メモリ」が発生し、除電電圧が-2000V以上の領域(領域C)では「白抜け」が発生することがわかった。そして、図5中の領域Bの除電電圧の範囲では、「後端メモリ」も「白抜け」も発生しなかった。
図6及び図7を用いて、領域A~Cにおける除電電圧と感光ドラム1の表面電位の状態との関係について説明する。図6は、領域A~Cにおいて、除電針20から感光ドラム1の表面に供給される電荷の様子を模式的に表した図である。また、図7は、領域A~Cにおいて、感光ドラム1の表面電位が帯電、転写、除電、再帯電のプロセスによってどのように変化しているかを表した説明図である。
まず、領域Aでは、図6(a)に示すように除電電圧が小さいため、除電針20から感光ドラム1に供給される負極性の電荷が少ない。そのため、紙の後端の剥離放電が発生した箇所、すなわち、過剰な正極性の電荷が存在する箇所の電荷をキャンセルするこができないことから、「後端メモリ」が発生してしまう。感光ドラム1の表面電位の遷移に着目すると、図7(a)に示すように、帯電後は一様な暗部電位であった表面電位が、転写後は正極性の転写電圧により、全体的に正極性側にシフトする。さらに、紙の後端の剥離放電が発生した箇所(図中の剥離放電部)は、感光ドラム1の表面に過剰な正極性の電荷が付与されることにより、局所的に、より正極性側の電位となる。領域Aのように除電電圧が低い状態では、除電針20によって感光ドラム1の表面電位は変化せず、除電後の表面電位は転写後の表面電位と変わらない。その後、再帯電したとしても、剥離放電部の局所的な電位ムラを完全に解消することができず、その後現像部においてその部分に過剰なトナーが付着してしまい「後端メモリ」が発生する。
一方、領域Bでは、図6(b)に示すように除電針20から感光ドラム1に供給される負極性の電荷量が増え、剥離放電部の過剰な正極性の電荷をキャンセルすることができ、「後端メモリ」の発生を抑制することができる。感光ドラム1の表面電位の遷移に着目すると、図7(b)に示すように、帯電後、転写後の感光ドラム1の表面電位は領域Aと同じであるが、除電後の電位が異なる。領域Bでは、除電針20から供給される負極性の電荷により、除電後の電位は転写後の電位よりも全体的に負極性側にシフトする。特に、剥離放電部では除電針20との電位差が大きいため、除電針20から供給される電荷量が多くなり、負極性側へのシフト量が大きくなる。このように除電針20から供給される電荷により剥離放電部の電位ムラを小さくすることができるため、領域Bでは再帯電後の電位を一様な暗部電位にリセットすることができ、「後端メモリ」の発生を抑制することができる。
ただし、領域Cのように除電電圧が更に高くなると、図6(c)に示すように除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量が増え、剥離放電部以外にも負極性の電荷を過剰に供給してしまう。感光ドラム1の表面電位が負極性側に過剰に高くなった箇所では、露光後の電位が正規の明部電位よりも高くなり、現像部で現像ローラ4aとの適正な電位差を確保できないため、トナーが付着せず、「白抜け」が発生する。感光ドラム1の表面電位の遷移に着目すると、図7(c)に示すように、帯電後、転写後の感光ドラム1の表面電位は領域A、Bと同じであるが、除電後の電位が異なる。領域Cでは、除電針20から供給される負極性の電荷量が過剰であるため、剥離放電部の電位ムラを解消することができるが、剥離放電部以外の表面電位も含めて大幅に負極性側にシフトしてしまい、正規の暗部電位よりも高い電位となる。特に、DC帯電方式の帯電手段を用いた構成では、このような除電後の表面電位を正規の暗部電位にリセットすることは難しく、再帯電後の表面電位は正規の暗部電位よりも高いままである。そのため、上述のように「白抜け」が発生してしまう。
ここで、領域A~Cにおける帯電電流に着目すると、帯電電流値は、帯電ローラ2の電位と、帯電部直前の感光ドラム1の表面電位、すなわち、除電後の感光ドラム1の表面電位と、の電位差で決まる。帯電ローラ2に印加する電圧は-1100Vで一定であるため、帯電電流は、除電後の感光ドラム1の表面電位(図7中のVa、Vb、Vcで示す電位)で決まる。
領域Aのように除電針20から供給される電荷量が少ない場合は、除電後の感光ドラム1の表面電位Vaが変化しないため、図5に示すように帯電電流は一定の値(27μA)を示す。一方、領域Bや領域Cのように除電針20から供給される電荷量が増え、除電後の感光ドラム1の表面電位Vb、VcがVaよりも負極性側にシフトしている場合は、帯電ローラ2との電位差が小さくなり、図5に示すように帯電電流としては小さくなる。除電後の表面電位が負極性側にシフトするほど、すなわち、除電電圧が高くなり感光ドラム1の表面に供給される電荷量が多くなるほど、帯電電流は小さくなる。
図5において、帯電電流の変化点に着目すると、-1700Vから徐々に帯電電流が減少し始めていることがわかる。そのため、最適化制御では、この帯電電流が変化し始める除電電圧(-1700V)を基準除電電圧V0とする。そして、基準除電電圧V0にオフセット電圧である-200Vを加えた値、すなわち、-1900Vを紙後端除電電圧Vd2として選択する。
このように、紙後端除電電圧Vd2を基準除電電圧V0からΔ-200Vオフセットさせているのは、次の理由によるものである。つまり、図5に示すように、領域Bの中心電圧(「後端メモリ」と「白抜け」とに対するマージンが等しくなる電圧)である-1900Vと、基準除電電圧V0と、が一致しないためである。
更に説明すると、帯電電流が変化し始めた時点での除電電圧では、図7(a)に示すように、除電後の感光ドラム1の表面電位として、剥離放電部の電位ムラはほとんど解消されていない。図7(b)に示すように、除電後の感光ドラム1の表面電位がある程度負極性側にシフトし、剥離放電部の電位ムラが小さくならないと、再帯電時に「後端メモリ」が解消されない。
そのため、本実施例では、紙後端除電電圧Vd2として、基準除電電圧V0から負極性側に所定の電圧をオフセットさせた電圧を採用している。上述のメカニズムからも推測されるように、このオフセット電圧(Δ-200V)は、帯電手段の帯電能力によって最適値が異なる。したがって、画像形成装置100の構成や、帯電電源21の出力値に応じて、最適なオフセット電圧を選択することが好ましい。例えば、帯電手段の帯電能力が高い場合には、除電後の剥離放電部の電位ムラが多少大きくても「後端メモリ」を抑制することができるので、オフセット電圧をΔ-200Vよりも小さく設定し、「白抜け」に対するマージンを広くとるようにしてもよい。
なお、本実施例では、紙後端除電電圧Vd2として、基準除電電圧V0から所定電圧だけオフセットさせた値を選択しているが、帯電電流値の変化量が所定の変化量になるような除電電圧を選択してもよい。例えば、図5に示すように、領域Aにおける一定の値である帯電電流27μAから帯電電流がΔ-2μAになるときの除電電圧をVd2として選択するといった方法でもよい。なお、この場合も、除電電圧を変化させ、帯電電流の変化量が所定の変化量を超えた際に印加していた除電電圧を、紙後端除電電圧Vd2とすることに限定されるものではない。例えば、複数の除電電圧を印加して取得した除電電圧と帯電電流との関係に基づいて、帯電電流の変化量が所定の変化量となる除電電圧を求めて、これを紙後端除電電圧Vd2としてもよい。
以上のように、最適化制御では、帯電電流と除電電圧との関係から、帯電電流が変化し始める基準除電電圧V0、すなわち、除電針20から供給された電荷により感光ドラム1の表面電位が変化し始める除電電圧を検知する。そして、帯電手段の帯電能力に応じた所定のオフセット電圧を基準除電電圧V0に加えたものを、紙後端除電電圧Vd2として選択する。これにより、「後端メモリ」と「白抜け」とを共に抑制することができる。
このように、本実施例では、帯電電流から直接的に除電後の感光ドラム1の表面電位を検知することができるため、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量を精度良くコントロールすることが可能となる。
4.紙後端除電電圧Vd2の最適化制御の実施タイミング
次に、最適化制御を実行するタイミングについて説明する。
次に、最適化制御を実行するタイミングについて説明する。
前述のように、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量は、部材の取り付け位置(除電針20と感光ドラム1との距離や、除電針20と転写ローラ5との距離)、部材の物性値(転写ローラ5の電気抵抗値)、除電針20の汚染状態(紙粉やトナーの付着状態)、環境(温度、湿度、気圧)などによって変わってしまう。そのため、上記の条件が変化する場合には、最適化制御を適宜実行することが望まれる。
本実施例では、次の(1)~(3)のタイミングで最適化制御を実行する。
(1)画像形成装置100の電源を入れた後の直後。
(2)前回の最適化制御を実行してから通紙枚数(プリント枚数)が所定のプリント枚数(本実施例では1000枚)を超えたタイミング。
(3)画像形成装置100の環境(以下、「プリント環境」ともいう。)が、前回の最適化制御の実行時の環境(温度、湿度、気圧)から、予め設定された所定の条件を満たす程度に大きく変化したタイミング。
(1)画像形成装置100の電源を入れた後の直後。
(2)前回の最適化制御を実行してから通紙枚数(プリント枚数)が所定のプリント枚数(本実施例では1000枚)を超えたタイミング。
(3)画像形成装置100の環境(以下、「プリント環境」ともいう。)が、前回の最適化制御の実行時の環境(温度、湿度、気圧)から、予め設定された所定の条件を満たす程度に大きく変化したタイミング。
まず、(1)画像形成装置100の電源(主電源)を入れた後の直後に実行する理由について説明する。これは、画像形成装置100ごとの部材の取り付け位置(除電針20と感光ドラム1との距離や、除電針20と転写ローラ5との距離)による影響、及び部材の物性値(転写ローラ5の電気抵抗値)の影響を反映するためである。
例えば、画像形成装置100の製造過程において、部材の組み付け位置の振れにより、除電針20の先端と感光ドラム1との距離が近くなることがある。このような場合、同じ除電電圧でも感光ドラム1に供給される電荷量が多くなるため、基準除電電圧V0、及びV0から決まる紙後端除電電圧Vd2は小さい値にすることが望まれる。また、除電針20と転写ローラ5との距離が近くなるように部材が組付けられた場合は、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が増えてしまう。そのため、同じ除電電圧でも感光ドラム1に供給される電荷量が少なくなるため、基準除電電圧V0、及びV0から決まる紙後端除電電圧Vd2は大きい値にすることが望まれる。
さらに、転写ローラ5の電気抵抗値の振れにより、電気抵抗値の高い転写ローラ5であった場合には、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が少なくなる。そのため、感光ドラム1に供給される電荷量が増えてしまうので、基準除電電圧V0、及びV0から決まる紙後端除電電圧Vd2は小さい値にすることが望まれる。
このように、画像形成装置100の電源投入直後に最適化制御を実行することで、上述のような部材の取り付け位置による影響、及び部材の物性値による影響を、紙後端除電電圧Vd2に反映することが可能となる。
次に、(2)前回の最適化制御を実行してから通紙枚数(プリント枚数)が1000枚を超えたタイミングで実行する理由について説明する。これは、除電針20の汚染状態、及び部材の物性値の耐久変化による影響を反映させるためである。プリント枚数の増加に伴い、除電針20には紙粉やトナーが付着して、除電針20の除電性能が低下してしまう。除電針20が汚染されている状態では、感光ドラム1に供給される電荷量が少なくなることから、基準除電電圧V0、及びV0から決まる紙後端除電電圧Vd2を大きい値にすることが望まれる。また、転写ローラ5の電気抵抗値は、プリント枚数が増えるにつれて上昇する傾向にある。そのため、耐久変化により転写ローラ5の電気抵抗値が高くなった状態では、転写ローラ5にリークする電荷量が減り、感光ドラム1に供給される電荷量が増える傾向にある。したがって、この状態では、基準除電電圧V0、及びV0から決まる紙後端除電電圧Vd2を小さい値にすることが望まれる。このように、プリント枚数に応じて定期的に最適化制御を実行することで、除電針20の汚染状態による影響や部材の物性値の耐久変化の影響を紙後端除電電圧Vd2に反映することが可能となる。
本実施例では、制御部50は、1枚の記録材Pに画像を形成するごとに、画像形成装置100に設けられた計数手段としてのプリント枚数カウンタ61(図2)にプリント枚数を積算して記憶させる。そして、制御部50は、プリント枚数が予め設定された所定のプリント枚数(本実施例では1000枚)を超えた場合に、最適化制御を実行する。なお、プリント枚数カウンタは、メモリ52が兼ねるなどしてもよい。なお、プリント枚数に代えて、画像形成装置100の稼働量と相関する別の指標値を用いてもよい。
次に、(3)前回の最適化制御の実行時の環境(温度、湿度、気圧)からプリント環境が大きく変化したタイミングで最適化制御を実行する理由について説明する。これは、プリント環境によって除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量が変化するためである。さらに、温湿度が大きく変化すると転写ローラ5の電気抵抗値が変化し、転写ローラ5にリークする電荷量も変化する。そのため、プリント環境が大きく変化した場合には適宜最適化制御を実行し、環境変動の影響を紙後端除電電圧Vd2に反映することが望まれる。なお、プリント環境は、画像形成装置100の内部又は外部の少なくとも一方の温度又は湿度の少なくとも一方であってよい。
本実施例では、制御部50は、画像形成装置100に設けられた環境検知手段としての温度センサ62及び湿度センサ62のそれぞれの検知結果をモニターする。そして、制御部50は、前回の最適化制御の実行時から、温度の±5℃以上の変化、又は相対湿度の±10%以上の変化、の少なくとも一方の変化が生じた場合に、最適化制御を実行する。
なお、上述の(1)~(3)のタイミング以外でも、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量が変化するような場合には、最適化制御を適宜実行することが好ましい。例えば、画像形成装置100に設けられた操作部53(図2)や画像形成装置100に接続された外部装置から、ユーザーなどの操作者が任意に最適化制御の実行を制御部50に指示できるようになっていてもよい。
また、上述の(1)~(3)のタイミングが到来した場合や操作者の指示に応じて、制御部50は、次のプリント動作の前や現在のプリント動作の後で、あるいは現在のプリント動作を中断して、非画像形成時に最適化制御などを実行することができる。最適化制御は、非画像形成時であれば、前回転工程、前多回転工程、後回転工程、紙間工程などのいずれにおいて実行してもよい。
このように、本実施例では最適化制御を適宜実行することで、部材の取り付け位置(除電針20と感光ドラム1との距離や、除電針20と転写ローラ5との距離)、部材の物性値(転写ローラ5の電気抵抗値)、除電針20の汚染状態(紙粉やトナーの付着状態)、環境(温度、湿度、気圧)などにかかわらず、最適な紙後端除電電圧Vd2を選択することが可能となり、あらゆる条件において「後端メモリ」と「白抜け」とを共に抑制することができる。
なお、前述のように、除電針20に流れる電流値をモニターし、除電電圧を調整することが考えられる。しかし、除電針20に流れる電流値からだけでは、感光ドラム1に供給される電荷量を精度良くコントロールすることは難しい。なぜなら、除電針20に流れる電流値、すなわち、除電針20から供給される電荷が、全て感光ドラム1に供給されるとは限らないからである。例えば、転写ローラ5などにもリークしてしまう。そして、このリーク電荷量は、上述のような様々な要因により、常に一定であるとは限らない。例えば、製造時の組み付け位置の振れにより、除電針20と転写ローラ5との距離が近接し、更に転写ローラ5の製造時の振れにより電気抵抗値が低いような条件では、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が多くなる。逆に、除電針20と転写ローラ5との距離が遠く、更に転写ローラ5の電気抵抗値が高いような条件では、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が少なる。両条件において、除電針20に流れる電流量が一定であったとしても、転写ローラ5にリークする電流量が異なるため、結果的に感光ドラム1に供給される電荷量が変わってしまう。このように、除電針20に流れる電流値をモニターするだけでは、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量を精度良くコントロールすることは難しい。
これに対して、本実施例では、帯電電流から直接的に除電後の感光ドラム1の表面電位を検知することができる。そのため、本実施例によれば、感光ドラム1以外へリークする電荷量の多寡にかかわらず、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量を精度良くコントロールすることが可能となる。
5.本実施例の作用効果
次に、本実施例の効果を確認した評価実験について説明する。評価実験は、最適化制御を実行する本実施例と、最適化制御を実行しない比較例1と、除電針20に流れる電流量に基づいて除電電圧を決定する比較例2と、について行った。なお、比較例1、2についても、本実施例のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については同一の符号を付して説明する。また、比較例1、2の画像形成装置100の構成及び動作は、上記の点を除いて実質的に同じである。
次に、本実施例の効果を確認した評価実験について説明する。評価実験は、最適化制御を実行する本実施例と、最適化制御を実行しない比較例1と、除電針20に流れる電流量に基づいて除電電圧を決定する比較例2と、について行った。なお、比較例1、2についても、本実施例のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については同一の符号を付して説明する。また、比較例1、2の画像形成装置100の構成及び動作は、上記の点を除いて実質的に同じである。
評価実験は次のようにして行った。記録材P(紙)として、LTRサイズの坪量75g/m2のVitality(Xerox社製)を用いた。画像形成装置100を温度23℃、湿度50%の環境下に設置してプリント動作を行った。濃度40%の画像を連続して2枚プリントし、先行紙の後端部と感光ドラム1との間の剥離放電に起因する「後端メモリ」(横黒スジ状の画像不良)が後続紙に発生するか否かを確認した。同時に、除電針20から感光ドラム1に過剰な電荷が供給されることによって生じる「白抜け」(画像上で局所的に濃度が薄くなる部分)が発生するか否かについても確認した。
そして、評価実験では、以下の条件1~4の4つ条件で、比較例1、比較例2、本実施例において「後端メモリ」及び「白抜け」が発生するか否かを確認した。
(条件1)
条件1は、除電針20の先端と転写ローラ5との間の距離が公差中心、転写ローラ5の電気抵抗値が公差中心(4.0×107Ω)、かつ、除電針20の先端が汚染されていない清浄な状態でプリントした場合である。なお、条件1では、「後端メモリ」と「白抜け」とが共に発生しない除電電圧の領域Bは、図5に示すように-1800V~-2000Vである。そして、除電電圧-1900Vを印加したときに、除電針20に流れる電流値は7μAである。
条件1は、除電針20の先端と転写ローラ5との間の距離が公差中心、転写ローラ5の電気抵抗値が公差中心(4.0×107Ω)、かつ、除電針20の先端が汚染されていない清浄な状態でプリントした場合である。なお、条件1では、「後端メモリ」と「白抜け」とが共に発生しない除電電圧の領域Bは、図5に示すように-1800V~-2000Vである。そして、除電電圧-1900Vを印加したときに、除電針20に流れる電流値は7μAである。
(条件2)
条件2は、除電針20の先端と転写ローラ5との間の距離、及び転写ローラ5の電気抵抗値は条件1と同じであるが、除電針20の先端が汚染されている状態(除電針20の先端にトナーを付着させた状態)でプリントした場合である。
条件2は、除電針20の先端と転写ローラ5との間の距離、及び転写ローラ5の電気抵抗値は条件1と同じであるが、除電針20の先端が汚染されている状態(除電針20の先端にトナーを付着させた状態)でプリントした場合である。
(条件3)
条件3は、除電針20の先端と転写ローラ5との間の距離が公差下限(条件1よりも1mm短い)、転写ローラ5の電気抵抗値が公差下限(2.0×107Ω)、かつ、除電針20の先端が汚染されていない清浄な状態でプリントした場合である。条件3は、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が多くなる条件である。
条件3は、除電針20の先端と転写ローラ5との間の距離が公差下限(条件1よりも1mm短い)、転写ローラ5の電気抵抗値が公差下限(2.0×107Ω)、かつ、除電針20の先端が汚染されていない清浄な状態でプリントした場合である。条件3は、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が多くなる条件である。
(条件4)
条件4は、除電針20の先端と転写ローラ5との間の距離が公差上限(条件1よりも1mm長い)、転写ローラ5の電気抵抗値が公差上限(6.0×107Ω)、かつ、除電針20の先端が汚染されていない清浄な状態でプリントした場合である。条件4は、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が少なくなる条件である。
条件4は、除電針20の先端と転写ローラ5との間の距離が公差上限(条件1よりも1mm長い)、転写ローラ5の電気抵抗値が公差上限(6.0×107Ω)、かつ、除電針20の先端が汚染されていない清浄な状態でプリントした場合である。条件4は、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が少なくなる条件である。
最適化制御を実行しない比較例1では、上記の4つの条件の全てに対して、-1900Vで固定された紙後端除電電圧Vd2が除電電源23から出力される。一方、比較例2では、上記の4つの条件のそれぞれにおいて、除電針20に流れる電流値が7μAになるような紙後端除電電圧Vd2が除電電源23から出力され、除電針20に流れる電流値が一定になるように制御される。これに対して、本実施例では、上記の4つの条件のそれぞれにおいて、前述の最適化制御によって決定された紙後端除電電圧Vd2が除電電源23から出力される。
評価実験の結果を表1に示す。表1において、「後端メモリ」が発生した場合を×(不良)、発生しなかった場合を○(良好)とし、同様に「白抜け」が発生した場合を×(不良)、発生しなかった場合を○(良好)とした。
表1に示すように、条件1では、比較例1、比較例2、本実施例の全てで「後端メモリ」及び「白抜け」は発生しなかった。条件1では、-1900Vの紙後端除電電圧Vd2が図5の領域Bに含まれているため、比較例1においても「後端メモリ」及び「白抜け」は発生しなかった。また、比較例2においても、除電針20に流れる電流値が7μAになる紙後端除電電圧Vd2が-1900Vであるため、比較例1と同様に「後端メモリ」及び「白抜け」は発生しなかった。さらに、本実施例においても、最適化制御によって決定される紙後端除電電圧Vd2の値が-1900Vであるため、比較例1、2と同様に「後端メモリ」及び「白抜け」は発生しなかった。
次に、条件2では、比較例2及び本実施例では「後端メモリ」及び「白抜け」が発生しなかったのに対し、比較例1では「後端メモリ」が発生した。条件2では、条件1と異なり除電針20の先端がトナーで汚染されているため、除電針20の除電能力が低下する。そのため、-1900Vの固定の紙後端除電電圧Vd2を出力する比較例1では、感光ドラム1に供給される電荷量が条件1よりも少なくなり、剥離放電部の電位ムラを解消することができないことから、「後端メモリ」が発生したものと考えられる。これに対し、比較例2では、除電針20の先端が汚染されたとしても、除電針20に流れる電流量を一定に保つために、紙後端除電電圧Vd2の値が条件1のときよりも高くなる。これによって、感光ドラム1に供給される電荷量は維持され、「後端メモリ」を抑制することができたものと考えられる。また、本実施例でも、除電針20の先端が汚染されたことにより、最適化制御における基準除電電圧V0が条件1よりも高い値となる。これに伴い、紙後端除電電圧Vd2の値も条件1よりも高くなるため、比較例2同様に、「後端メモリ」を抑制することができたものと考えられる。
次に、条件3では、比較例1及び比較例2で「後端メモリ」が発生したのに対し、本実施例では「後端メモリ」及び「白抜け」が発生しなかった。条件3では、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が多い。そのため、紙後端除電電圧Vd2が固定である比較例1では、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量が少なくなることから、剥離放電部の電位ムラを解消することができなくなり、後端メモリが発生したものと考えられる。また、比較例2では、除電針20に流れる電流量が一定になるような紙後端除電電圧Vd2を出力しているが、転写ローラ5にリークする電荷量が多いため、感光ドラム1に供給される電荷量としては条件1よりも少なくなる。そのため、条件3では、除電針20に流れる電流量を一定にする比較例2においても「後端メモリ」が発生してしたものと考えられる。これに対し、本実施例では、転写ローラ5にリークする電荷量が多い条件3においても、最適化制御を実行することで、帯電電流の変化から感光ドラム1に供給される電荷量が少ないことを検知することができる。具体的には、転写ローラ5にリークする電荷量が多いため、基準除電電圧V0が条件1よりも高い値となる。これに伴い、紙後端除電電圧Vd2の値も条件1より高くなり、剥離放電部の電位ムラを解消するのに十分な除電電圧が印加され、「後端メモリ」を抑制することができたものと考えられる。
また、条件4では、比較例1及び比較例2で「白抜け」が発生したのに対し、本実施例では「後端メモリ」及び「白抜け」が発生しなかった。条件4では、除電針20から供給される電荷のうち、転写ローラ5にリークする電荷量が少ない。そのため、紙後端除電電圧Vd2が固定である比較例1では、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量が多くなり、感光ドラム1の表面電位を過剰に負極性側にシフトさせてしまい、結果的に「白抜け」が発生したものと考えられる。また、比較例2では、除電針20に流れる電流量が一定になるような紙後端除電電圧Vd2を出力しているが、転写ローラ5にリークする電荷量が少ないため、感光ドラム1に供給される電荷量としては条件1よりも多くなる。そのため、条件4では、除電針20に流れる電流量を一定にする比較例2においても「白抜け」が発生してしたものと考えられる。これに対し、本実施例では、転写ローラ5にリークする電荷量が少ない条件4においても、最適化制御を実行することで、帯電電流の変化から感光ドラム1に供給される電荷量が多いことを検知することができる。具体的には、転写ローラ5にリークする電荷量が少ないため、基準除電電圧V0が条件1よりも低い値となる。これに伴い、紙後端除電電圧Vd2の値も条件1よりも低くなり、感光ドラム1に対して過剰な電荷を供給することはなく、「白抜け」を抑制することができたものと考えられる。
以上のように、本実施例によれば、除電針20の汚染状態や、転写ローラ5にリークする電荷量の多寡にかかわらず、「後端メモリ」と「白抜け」とを共に抑制することができる。
このように、本実施例では、画像形成装置100は、回転可能な感光体1と、感光体1の表面を帯電部において帯電処理する帯電部材2と、帯電部材2に電圧を印加する帯電電圧印加部21と、帯電部材2に流れる電流を検知する電流検知部22と、感光体1の表面に接触して転写部Ntを形成し、感光体1の表面にトナーで形成されたトナー像を転写部Ntに挟持される記録材Pに転写させる転写部材5と、転写部材5に電圧を印加する転写電圧印加部18と、記録材Pの搬送方向において転写部Ntよりも下流で感光体1の表面に対向する対向部において感光体1の表面に電荷を供給することが可能な除電部材20と、除電部材20に電圧を印加する除電電圧印加部23と、除電電圧印加部23を制御可能な制御部50と、を有し、制御部50は、転写部Ntに記録材Pが挟持されない状態で転写部Ntを通過し、除電部材20に電圧が印加された状態で上記除電部材20との対向部を通過した感光体1の表面を、上記帯電部において帯電処理している状態で検知される電流検知部22の検知結果に基づいて、除電電圧印加部23から除電部材20に印加する除電電圧を設定する設定制御を実行し、トナー像が転写される記録材Pが転写部Ntを通過することに伴い除電部材20により感光体1の表面に電荷を供給する所定の期間に、設定制御で設定した上記除電電圧を除電部材20に印加するように除電電圧印加部23を制御する。
本実施例では、制御部50は、設定制御において、除電部材20に複数の電圧を印加して取得した電流検知部22の検知結果に基づいて、除電部材20に印加する電圧を変化させた場合に電流検知部22の検知結果が変化し始める電圧を求め、該電圧に所定のオフセット電圧を加えた電圧を上記除電電圧として設定する。なお、制御部50は、設定制御において、除電部材20に複数の電圧を印加して取得した電流検知部22の検知結果に基づいて、除電部材20に印加する電圧を変化させて電流検知部22の検知結果が変化し始めた場合に該検知結果が示す電流の変化量が所定の変化量となる電圧を求め、該電圧を上記除電電圧として設定することもできる。ここで、制御部50は、当該画像形成装置100の電源が投入された場合に、最初の画像形成を行なう前に、設定制御を実行することができる。また、制御部50は、設定制御を実行した後、所定のプリント枚数のプリントを実行した場合に、次の設定制御を実行することができる。また、制御部50は、設定制御を実行した後、予め設定された所定の条件を満たすプリント環境の変化が生じた場合に、次の設定制御を実行することができる。
また、本実施例では、制御部50は、トナー像が転写される記録材Pが転写部Ntを通過するごとに、記録材Pの搬送方向の後端部が転写部Ntを抜ける直前の所定のタイミングから所定の時間が経過するまで、トナー像を記録材Pに転写する際に転写部材5に印加される転写電圧と同極性で該転写電圧よりも絶対値が小さい電圧である弱電圧を転写部材5に印加するように転写電圧印加部18を制御する。また、本実施例では、制御部50は、設定制御において、上記帯電処理を行う感光体1の表面が転写部Ntを通過している時に上記弱電圧を転写部材5に印加するように転写電圧印加部18を制御する。また、本実施例では、制御部50は、トナー像が転写される記録材Pが転写部Ntを通過するごとに、記録材Pの搬送方向の後端部が転写部Ntを抜ける直前の所定のタイミングから所定の時間が経過するまで、設定制御で設定した上記除電電圧を除電部材20に印加するように除電電圧印加部23を制御する。また、本実施例では、帯電電圧印加部21は、直流成分のみからなる電圧を帯電部材2に印加する。
以上説明したように、本実施例によれば、最適化制御を適宜実行し、帯電電流から直接的に除電後の感光ドラム1の表面電位を検知することができる。そのため、本実施例によれば、除電針20の汚染状態や感光ドラム1以外へリークする電荷量の多寡にかかわらず、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量を精度良くコントロールすることが可能となる。したがって、本実施例によれば、例えば低コストの帯電能力の低い帯電手段を用いた場合でも、「白抜け」と「後端メモリ」とを共に抑制することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、転写電圧の制御方法が実施例1とは異なる。本実施例では、紙の後端が転写部Ntを抜ける際に、転写ローラ5に感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)の電圧を印加する。
図8は、本実施例における記録材Pが転写部Ntを通過するタイミングに合わせて転写電圧及び除電電圧を変化させる動作を示すタイミングチャート図である。図8のタイミングチャート図に従う動作は、制御部50が各部を制御することで実行される。
本実施例では、実施例1と同様のタイミングT1からタイミングT5までの間、紙後端負電圧Vt3が転写ローラ5に印加される。紙後端負電圧Vt3の値としては、転写ローラ5から感光ドラム1への異常放電によって画像不良が発生しない電圧が選択される。本実施例では、転写電源18は、紙後端負電圧Vt3として-300Vを定電圧制御で出力する。また、本実施例ではタイミングT5は、実施例1と同様のタイミングT4と同じタイミングに設定している。なお、本実施例においても、タイミングT5から後続紙の先端が転写部Ntに突入するタイミングT2までの間は、実施例1と同様の紙間転写電圧Vt2が転写ローラ5に印加される。
このように紙の後端が転写部Ntを抜ける際に転写ローラ5に負極性の電圧を印加しているのは、次の理由によるものである。つまり、紙の後端が感光ドラム1から剥離する際の剥離放電を低減し、「後端メモリ」の抑制効果を更に高めるためである。本実施例のように紙の後端部に負極性の電圧を印加することで、紙の後端部における正極性の電荷量を減少させることができる。これにより、紙の後端が剥離する際に、感光ドラム1との電位差が小さくなり、剥離放電によって感光ドラム1に付与させる正極性の電荷量が減少する。その結果、感光ドラム1における剥離放電部の電位ムラが小さくなるため、「後端メモリ」が、より発生しにくくなる。
次に、本実施例のように、紙の後端が転写部Ntを抜ける際に転写ローラ5に負極性の電圧を印加する構成における、最適化制御について説明する。
本実施例における最適化制御では、制御中に転写ローラ5に印加する電圧が実施例1とは異なる。本実施例の最適化制御において転写ローラ5に印加する電圧が実施例1と異なるのは、次の理由によるものである。つまり、本実施例では、紙の後端が転写部Ntを抜ける際に転写ローラ5に印加している電圧が、実施例1と異なるからである。このように転写ローラ5に印加する電圧が実施例1と異なると、まず、図7を用いて説明した転写後の感光ドラム1の表面電位が実施例1と異なることとなる。さらに、このように転写ローラ5に印加する電圧が実施例1と異なると、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量についても実施例1と異なることとなる。転写後の感光ドラム1の表面電位や、除電針20から転写ローラ5にリークする電荷量が異なる条件で最適化制御を実行すると、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量を精度良くコントロールすることが難しくなる。
そこで、本実施例では、最適化制御において転写ローラ5に印加する電圧は、紙間転写電圧Vt2である+700Vではなく、紙後端負電圧Vt3である-300Vとする。
ここで、本実施例において、タイミングT5を実施例1と同様のタイミングT4と同じタイミングに設定しているのは、次の理由によるものである。つまり、除電針20から剥離放電部に電荷を供給している状態と、最適化制御を実行した際の状態と、を実質的に同一にするためである。上述のように、転写ローラ5に印加する電圧が変化することで、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量が変化してしまう。そこで、剥離放電部に電荷を供給している間(感光ドラム1の表面において「後端メモリ」の発生し得る領域が、除電針20の先端との最近接位置を通過するまでの間)は、転写ローラ5に印加する電圧を最適化制御で印加した電圧と同じ電圧で固定する。これにより、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量を精度よくコントロールすることが可能となる。
なお、タイミングT5をタイミングT4と一致させないようにすることも可能である。例えば、転写電圧の異なる複数の状態に対して、それぞれ最適化制御を実行し、各状態において最適な除電電圧を印加することで対応することも可能である。
このように、本実施例では、制御部50は、トナー像が転写される記録材Pが転写部Ntを通過するごとに、記録材Pの搬送方向の後端部が転写部Ntを抜ける直前の所定のタイミングから所定の時間が経過するまで、トナーの正規の帯電極性と同極性の電圧である逆電圧を転写部材5に印加するように転写電圧印加部18を制御する。また、本実施例では、制御部50は、設定制御において、上記帯電処理を行う感光体1の表面が転写部Ntを通過している時に上記逆電圧を転写部材5に印加するように転写電圧印加部18を制御する。
以上説明したように、本実施例では、紙の後端が転写部Ntを抜ける際に転写ローラ5に紙後端負電圧Vt3を印加すると共に、紙後端負電圧Vt3を印加した状態で最適化制御を実行する。そして、最適化制御から求められた紙後端除電電圧Vd2を除電針20に印加する。これにより、本実施例では、「後端メモリ」の発生を更に低減することが可能となる。
[実施例3]
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、基準除電電圧V0に基づいて紙後端除電電圧Vd2を決めるための所定のオフセット電圧を、プリント動作において画像をプリントする記録材Pの種類(ここでは、「紙種」ともいう。)に応じて変える。
紙の後端部が感光ドラム1から剥離する際に、剥離放電によって感光ドラム1に供給される正極性の電荷量は、紙種によって異なる。例えば、紙種によって紙の物性値(電気抵抗値、静電容量など)や、紙の後端エッジ部の状態(紙を裁断するときの裁断面の状態)などが異なる。これらの違いにより、剥離放電時に感光ドラム1に供給される電荷量が変化し、結果として剥離放電部の電位ムラの大きさが変化する。すなわち、剥離放電部の電位ムラが小さい紙種も存在する。剥離放電部の電位ムラが小さい紙種に対しては、除電針20から感光ドラム1に供給される電荷量を、より少ない電荷量としても、「後端メモリ」を抑制することができる。そのため、剥離放電部の電位ムラが小さい紙種では、オフセット電圧を小さい値に設定し、「白抜け」に対するマージンを広げることが好ましい。
そこで、本実施例では、予め「紙種」と「剥離放電部の電位ムラの大きさ」との関係を調べておき、「紙種」に応じた最適な「オフセット電圧」を決めておく。この紙種とオフセット電圧との関係を示す情報は、予めメモリ52に記憶させておく。そして、制御部50は、その情報を参照して、プリント動作で画像をプリントする紙の紙種に応じて、基準除電電圧V0に基づいて紙後端除電電圧Vd2を決めるためのオフセット電圧を変化させる。例えば、「剥離放電部の電位ムラの大きさ」が小さい「紙種」の紙に画像をプリントする際には、図4のS105におけるオフセット電圧を-200Vよりも小さい値とする。
なお、図9に示すように、制御部50は、プリント動作で画像をプリントする紙の紙種を、画像形成装置100内に配置された紙種検知手段(記録材情報取得手段)としてのメディアセンサ64の検知結果に基づいて判断することができる。メディアセンサ64としては、例えば、超音波センサや光学センサなどを組み合わせた公知のものを利用することができる。また、制御部50は、ユーザーなどの操作者が操作部53や外部装置からプリント条件を指定する際に選択した紙種の情報に基づいて、プリント動作で画像をプリントする紙の紙種を判断してもよい。この場合、CPU51や入出力部が紙種検知手段(記録材情報取得手段)として機能する。
ここで、記録材Pに関する情報は、普通紙、上質紙、光沢紙、グロス紙、コート紙、エンボス紙、厚紙、薄紙、合成紙、ラベル紙などの一般的な特徴に基づく属性(いわゆる、紙種カテゴリー);坪量、厚み、表面光沢度、白色度、剛性などの物性に関する数値や数値範囲;銘柄(メーカー、商品名、品番などを含む。);などの記録材Pを区別することのできる任意の情報を包含するものである。そして、記録材Pに関する情報によって区別される記録材Pごとに、記録材Pの種類を構成するものとみることができる。また、記録材Pに関する情報は、例えば「普通紙モード」、「厚紙モード」、「薄紙モード」といった、画像形成装置100の動作設定を指定するプリントモードの情報に含まれていたり、プリントモードの情報で代替されたりしてもよい。
以上説明したように、本実施例では、基準除電電圧V0に基づいて紙後端除電電圧Vd2を決めるための所定のオフセット電圧を、プリント動作で画像をプリントする紙の紙種に応じて変える。これにより、本実施例では、剥離放電部の電位ムラが小さい紙種に対しては、「白抜け」に対するマージンを広げることが可能となる。
なお、本実施例では、紙種によってオフセット電圧を変える例について説明したが、紙種以外でも予め剥離放電部の電位ムラが変化することが既知である要因が存在する場合には、その要因に応じてオフセット電圧を変えることが好ましい。例えば、プリントモード(プロセススピードの違いなど)や、プリント環境の違いによって、剥離放電部の電位ムラが変化するような場合には、プリントモードや、プリント環境に応じてオフセット電圧を変えることが好ましい。
また、実施例1で説明したように、最適化制御において、帯電電流値の変化量が所定の変化量となる除電電圧を紙後端除電電圧Vd2として選択することができる。このような場合には、その所定の変化量(実施例1ではΔ-2μA)を紙種、プリントモード、プリント環境などに応じて変えることが望ましい。
このように、制御部50は、紙後端除電電圧を設定するための所定のオフセット電圧を、記録材Pの種類、プリントモード、及びプリント環境のうちの少なくとも1つに応じて変更可能である。また、制御部50が、紙後端除電電圧を設定するための電流検知部22で検知される電流の所定の変化量を、記録材Pの種類、プリントモード、及びプリント環境のうちの少なくとも1つに応じて変更可能とすることもできる。
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
4 現像装置
5 転写ローラ
20 除電針
50 制御部
2 帯電ローラ
4 現像装置
5 転写ローラ
20 除電針
50 制御部
Claims (14)
- 回転可能な感光体と、
前記感光体の表面を帯電部において帯電処理する帯電部材と、
前記帯電部材に電圧を印加する帯電電圧印加部と、
前記帯電部材に流れる電流を検知する電流検知部と、
前記感光体の表面に接触して転写部を形成し、前記感光体の表面にトナーで形成されたトナー像を前記転写部に挟持される記録材に転写させる転写部材と、
前記転写部材に電圧を印加する転写電圧印加部と、
前記記録材の搬送方向において前記転写部よりも下流で前記感光体の表面に対向する対向部において前記感光体の表面に電荷を供給することが可能な除電部材と、
前記除電部材に電圧を印加する除電電圧印加部と、
前記除電電圧印加部を制御可能な制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記転写部に前記記録材が挟持されない状態で前記転写部を通過し、前記除電部材に電圧が印加された状態で前記対向部を通過した前記感光体の表面を、前記帯電部において帯電処理している状態で検知される前記電流検知部の検知結果に基づいて、前記除電電圧印加部から前記除電部材に印加する除電電圧を設定する設定制御を実行し、前記トナー像が転写される前記記録材が前記転写部を通過することに伴い前記除電部材により前記感光体の表面に電荷を供給する所定の期間に、前記設定制御で設定した前記除電電圧を前記除電部材に印加するように前記除電電圧印加部を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御部は、前記設定制御において、前記除電部材に複数の電圧を印加して取得した前記電流検知部の検知結果に基づいて、前記除電部材に印加する電圧を変化させた場合に前記電流検知部の検知結果が変化し始める電圧を求め、該電圧に所定のオフセット電圧を加えた電圧を前記除電電圧として設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記所定のオフセット電圧を、前記記録材の種類、プリントモード、及びプリント環境のうちの少なくとも1つに応じて変更可能であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記設定制御において、前記除電部材に複数の電圧を印加して取得した前記電流検知部の検知結果に基づいて、前記除電部材に印加する電圧を変化させて前記電流検知部の検知結果が変化し始めた場合に該検知結果が示す電流の変化量が所定の変化量となる電圧を求め、該電圧を前記除電電圧として設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置
- 前記制御部は、前記所定の変化量を、前記記録材の種類、プリントモード、及びプリント環境のうちの少なくとも1つに応じて変更可能であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、当該画像形成装置の電源が投入された場合に、最初の画像形成を行なう前に、前記設定制御を実行することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記設定制御を実行した後、所定のプリント枚数のプリントを実行した場合に、次の前記設定制御を実行することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記設定制御を実行した後、予め設定された所定の条件を満たすプリント環境の変化が生じた場合に、次の前記設定制御を実行することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記トナー像が転写される前記記録材が前記転写部を通過するごとに、前記記録材の搬送方向の後端部が前記転写部を抜ける直前の所定のタイミングから所定の時間が経過するまで、前記トナー像を前記記録材に転写する際に前記転写部材に印加される転写電圧と同極性で該転写電圧よりも絶対値が小さい電圧である弱電圧を前記転写部材に印加するように前記転写電圧印加部を制御することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記設定制御において、前記帯電処理を行う前記感光体の表面が前記転写部を通過している時に前記弱電圧を前記転写部材に印加するように前記転写電圧印加部を制御することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記トナー像が転写される前記記録材が前記転写部を通過するごとに、前記記録材の搬送方向の後端部が前記転写部を抜ける直前の所定のタイミングから所定の時間が経過するまで、前記トナーの正規の帯電極性と同極性の電圧である逆電圧を前記転写部材に印加するように前記転写電圧印加部を制御することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記設定制御において、前記帯電処理を行う前記感光体の表面が前記転写部を通過している時に前記逆電圧を前記転写部材に印加するように前記転写電圧印加部を制御することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記トナー像が転写される前記記録材が前記転写部を通過するごとに、前記記録材の搬送方向の後端部が前記転写部を抜ける直前の所定のタイミングから所定の時間が経過するまで、前記設定制御で設定した前記除電電圧を前記除電部材に印加するように前記除電電圧印加部を制御することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電電圧印加部は、直流成分のみからなる電圧を前記帯電部材に印加することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021205613A JP2023090582A (ja) | 2021-12-17 | 2021-12-17 | 画像形成装置 |
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2021
- 2021-12-17 JP JP2021205613A patent/JP2023090582A/ja active Pending
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