JP2023090407A - インクジェット画像形成方法及びインクジェット画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】確実な転写性及び最終画像の高い堅牢性を可能とするインクジェット画像形成方法の提供である。【解決手段】転写体上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程と、転写体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線照射を行い、第二の中間画像を形成する第一の活性エネルギー線照射工程と、第二の中間画像上の一部に対し、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して第三の中間画像を形成する液体組成物付与工程と、第三の中間画像に対して活性エネルギー線照射を行い、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射工程と、を有し、第二の活性エネルギー線照射工程において、第三の中間画像に含まれる液体組成物を仮硬化させた際の硬化物の複素弾性率(Pa)が、常用対数で5.0以上7.1以下であることを特徴とするインクジェット画像形成方法に関する。【選択図】図1
Description
本発明は、活性エネルギー線の照射により硬化する、色剤入りインクと透明インクの二種類のインクを用いた、転写型のインクジェット画像形成方法及びインクジェット画像形成装置に関する。
従来、インクジェット方式の画像形成装置において、活性エネルギー線硬化性のインクを使用する技術が知られている。活性エネルギー線硬化性インクを利用した画像形成方法として、記録媒体上に直接インクを付与する直接描写方式の画像形成方法や、転写体上に中間画像を形成した後、その中間画像を記録媒体に転写する転写方式の画像形成方法がある。このうち転写方式の画像形成方法において、転写体上でのインクの固定、記録媒体への転写、並びに記録媒体上でのインクの硬化及び定着を成立させるために、インクを転写体上で仮硬化し、転写した後に本硬化する方法が求められている。例えば活性エネルギー線硬化性のインクの仮硬化及び本硬化を実施するプロセスとして、仮硬化及び本硬化の間で照射する光の照度を変える技術(特許文献1)、照射する光の波長を変える技術(特許文献2、3)、異なる感光特性を持つ光ラジカル重合開始剤を2種類以上添加したうえで、照射する光の波長を変える技術(特許文献4)等が提案されている。
特許文献1~4のいずれにおいても、画像を高速に仮硬化及び本硬化するうえで用いられる反応は、いずれもラジカル重合反応である。ラジカル重合反応における硬化の進行度を、照射する光の照度及び積算光量の調節で制御することは難しく、これらの微妙な変化で、硬化の進行度は大幅に変わってしまう。そのため、実画像に対して仮硬化のための光照射を行うとき、インクの色や印字デューティーによって、硬化の進行度が不均一になりやすい。これにより、インクの色や印字デューティーによって転写体上での仮硬化度にムラが生じ、良好な画像の固定や転写性を得られない場合がある。仮硬化及び本硬化をそれぞれ全く異なる反応によって実施する機構として、ラジカル重合とカチオン重合を利用した例(特許文献5)がある。この場合、仮硬化の段階で、いずれか一方の反応を進行させきってしまってよいので、画像の色や印字デューティーに差があっても粘弾性を均一に制御することは容易である。一方で、カチオン重合による光硬化は一般的に硬化の進行が遅く、また硬化時に強酸が発生し、それがインクの硬化物中に残るため記録媒体に対して腐食などの悪影響を及ぼしてしまうことがあるため、実用上問題が生じてしまう場合がある。本発明は上記課題を鑑みてなされたものである。本発明の第一の目的は、確実な転写性及び転写後の本硬化による最終画像の高い堅牢性を成立することが可能なインクジェット画像形成方法及びインクジェット画像形成装置を提供することである。
上記目的は、下記のインクジェット画像形成方法及びインクジェット画像形成装置にて達成される。
すなわち、本発明は、
転写体上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程と、
該転写体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線照射を行い、該付与されたインクを造膜して第二の中間画像を形成する第一の活性エネルギー線照射工程と、
該第二の中間画像上の一部に対し、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して第三の中間画像を形成する液体組成物付与工程と、
該第三の中間画像に対して活性エネルギー線照射を行い、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射工程と、
該第四の中間画像を記録媒体に圧接し、該記録媒体上に転写する転写工程と、
該記録媒体上に転写された画像に対して活性エネルギー線を照射して、該記録媒体上で画像を硬化及び定着させる第三の活性エネルギー線照射工程と、
を有し、該第二の活性エネルギー線照射工程は、該第三の中間画像に含まれる該液体組成物を、仮硬化させる工程であり、
該第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で3.9以上であり、
該液体組成物を仮硬化させた際の液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が、常用対数で5.0以上7.1以下であり、
前記第三の活性エネルギー線照射工程の後における記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)が、該液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)より大きい
ことを特徴とするインクジェット画像形成方法に関する。
転写体上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程と、
該転写体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線照射を行い、該付与されたインクを造膜して第二の中間画像を形成する第一の活性エネルギー線照射工程と、
該第二の中間画像上の一部に対し、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して第三の中間画像を形成する液体組成物付与工程と、
該第三の中間画像に対して活性エネルギー線照射を行い、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射工程と、
該第四の中間画像を記録媒体に圧接し、該記録媒体上に転写する転写工程と、
該記録媒体上に転写された画像に対して活性エネルギー線を照射して、該記録媒体上で画像を硬化及び定着させる第三の活性エネルギー線照射工程と、
を有し、該第二の活性エネルギー線照射工程は、該第三の中間画像に含まれる該液体組成物を、仮硬化させる工程であり、
該第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で3.9以上であり、
該液体組成物を仮硬化させた際の液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が、常用対数で5.0以上7.1以下であり、
前記第三の活性エネルギー線照射工程の後における記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)が、該液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)より大きい
ことを特徴とするインクジェット画像形成方法に関する。
また、本発明は、
転写体と、
該転写体上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与装置と、
該転写体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線照射を行い、該付与されたインクを造膜して第二の中間画像を形成する第一の活性エネルギー線照射装置と、
該第二の中間画像上の一部に対し、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して、第三の中間画像を形成する液体組成物付与装置と、
該第三の中間画像に対して活性エネルギー線照射を行い、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射装置と、
該第四の中間画像を記録媒体に圧接し、該記録媒体上に転写させる転写装置と、
該記録媒体上に転写された画像に対して活性エネルギー線を照射して、該記録媒体上で画像を硬化及び定着させる第三の活性エネルギー線照射装置と、
を有し、
該第二の活性エネルギー線照射装置は、該第三の中間画像に含まれる該液体組成物を、仮硬化させる機能を有し、
該第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で3.9以上であり、
該液体組成物を仮硬化させた際の液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が、常用対数で5.0以上7.1以下であり、
該第三の活性エネルギー線照射装置により硬化された記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)が、該液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)より大きい
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置に関する。
転写体と、
該転写体上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与装置と、
該転写体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線照射を行い、該付与されたインクを造膜して第二の中間画像を形成する第一の活性エネルギー線照射装置と、
該第二の中間画像上の一部に対し、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して、第三の中間画像を形成する液体組成物付与装置と、
該第三の中間画像に対して活性エネルギー線照射を行い、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射装置と、
該第四の中間画像を記録媒体に圧接し、該記録媒体上に転写させる転写装置と、
該記録媒体上に転写された画像に対して活性エネルギー線を照射して、該記録媒体上で画像を硬化及び定着させる第三の活性エネルギー線照射装置と、
を有し、
該第二の活性エネルギー線照射装置は、該第三の中間画像に含まれる該液体組成物を、仮硬化させる機能を有し、
該第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で3.9以上であり、
該液体組成物を仮硬化させた際の液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が、常用対数で5.0以上7.1以下であり、
該第三の活性エネルギー線照射装置により硬化された記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)が、該液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)より大きい
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置に関する。
本発明によれば、中間画像の仮硬化により、確実な転写性及び転写後の本硬化による最終画像の高い堅牢性を成立することが可能なインクジェット画像形成方法及びインクジェット画像形成装置を提供することができる。
以下に、本発明に係るインクジェット画像形成方法及びインクジェット画像形成装置に関し、インクジェット記録装置を例示して詳しく説明する。ただし、構成、構造、材料、設定等は、発明を適用する各種条件に応じて適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクジェット画像形成方法を適用した転写型のインクジェット記録装置である。本発明のインクジェット画像形成方法は、以下の第一から第六の工程を有し、第四の工程において、第三の中間画像に含まれる液体組成物を、仮硬化させることを特徴とする。ここで、仮硬化とは、液体組成物を記録媒体へ転写することができる範囲内の硬化度に硬化させることをいう。
(第一の工程)
第一の工程は、転写体上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程である。
第一の工程は、転写体上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程である。
(第二の工程)
第二の工程は、前記転写体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線照射を行い、インクを造膜して第二の中間画像を形成する第一の活性エネルギー線照射工程である。
第二の工程は、前記転写体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線照射を行い、インクを造膜して第二の中間画像を形成する第一の活性エネルギー線照射工程である。
(第三の工程)
第三の工程は、前記第二の中間画像上の一部に対し、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して第三の中間画像を形成する液体組成物付与工程である。
第三の工程は、前記第二の中間画像上の一部に対し、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して第三の中間画像を形成する液体組成物付与工程である。
(第四の工程)
第四の工程は、前記第三の中間画像に対して第二の活性エネルギー線照射を行い、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射工程である。
第四の工程は、前記第三の中間画像に対して第二の活性エネルギー線照射を行い、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射工程である。
(第五の工程)
第五の工程は、前記第四の中間画像を記録媒体に圧接し、記録媒体上に転写する転写工程である。
第五の工程は、前記第四の中間画像を記録媒体に圧接し、記録媒体上に転写する転写工程である。
(第六の工程)
前記記録媒体上に転写された画像に対して活性エネルギー線を照射して、記録媒体上で画像を硬化及び定着させる第三の活性エネルギー線照射工程である。
前記記録媒体上に転写された画像に対して活性エネルギー線を照射して、記録媒体上で画像を硬化及び定着させる第三の活性エネルギー線照射工程である。
図1は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置100の概略構成の一例を示す模式図である。この記録装置は、転写体101を介して記録媒体108にインク像を転写することで記録物を製造するインクジェット記録装置である。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、インクジェット記録装置100の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体108はX方向に搬送される。本発明の転写型インクジェット記録装置100は、図1に示すように、以下の部材を有する。
・支持部材102及び支持部材102によって支持された転写体101
・転写体101上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与し、第一の中間画像形成を行うインクジェットヘッドを備えたインク付与装置104
・インクにより転写体101上に形成された第一の中間画像に対して活性エネルギー線を照射して、インクを造膜し第二の中間画像を形成する活性エネルギー線照射装置110
・転写体101上に形成された第二の中間画像上に、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して第三の中間画像を形成するインクジェットヘッドを備えた液体組成物付与装置111
・転写体101上に形成された第三の中間画像に対して第二の活性エネルギー線照射を行い、第三の中間画像中の液体組成物を転写可能な程度に硬化度に仮硬化して、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射装置112
・転写体101上の第四の中間画像を紙等の記録媒体108上に転写して画像形成を行うための転写用の押圧部材106を有する転写装置
・紙等の記録媒体108上に形成された画像に対して活性エネルギー線を照射して、記録媒体108上での画像の硬化・定着を行う第三の活性エネルギー線照射装置113
・支持部材102及び支持部材102によって支持された転写体101
・転写体101上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与し、第一の中間画像形成を行うインクジェットヘッドを備えたインク付与装置104
・インクにより転写体101上に形成された第一の中間画像に対して活性エネルギー線を照射して、インクを造膜し第二の中間画像を形成する活性エネルギー線照射装置110
・転写体101上に形成された第二の中間画像上に、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して第三の中間画像を形成するインクジェットヘッドを備えた液体組成物付与装置111
・転写体101上に形成された第三の中間画像に対して第二の活性エネルギー線照射を行い、第三の中間画像中の液体組成物を転写可能な程度に硬化度に仮硬化して、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射装置112
・転写体101上の第四の中間画像を紙等の記録媒体108上に転写して画像形成を行うための転写用の押圧部材106を有する転写装置
・紙等の記録媒体108上に形成された画像に対して活性エネルギー線を照射して、記録媒体108上での画像の硬化・定着を行う第三の活性エネルギー線照射装置113
転写型インクジェット記録装置100は、必要に応じて、転写体101上にインクと反応する反応液を付与する反応液付与装置103、転写体101上の第一から第四の中間画像に含まれる液体成分を適宜除去する機構を持つ液体除去装置105、又は転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。当然のことではあるが、以下の部材はそれぞれ、用いられる記録媒体108に対応するだけのY方向長さを有している。
転写体101は支持部材102の回転軸102aを中心として図1の矢印Aの方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動する。移動する転写体101上に、必要に応じ反応液付与装置103によって反応液、及び、インク付与装置104によって色材を含むインクが順次付与され、転写体101上に第一の中間画像が形成される。転写体101上に形成された第一の中間画像は、第一の活性エネルギー線照射装置110による活性エネルギー線の照射を受けて造膜し、第二の中間画像となる。その後、転写体上に形成された第二の中間画像上に、液体組成物付与装置111によって色材を含まない液体組成物が付与され、第三の中間画像となる。形成された第三の中間画像は、第二の活性エネルギー線照射装置112による光の照射を受けて第四の中間画像となる。この時、第四の中間画像に含まれる液体組成物の層は、記録媒体へ転写することのできる範囲内の硬化度に仮硬化される。第一の中間画像から第四の中間画像に対しては、必要に応じて、液体除去装置105によって、その中に含まれる液体成分を除去する何らかの液体除去機構が設けられていてもよい。そして、第四の中間画像は、転写体101により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部へ移動される。第四の中間画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が転写体101を押圧することによって、記録媒体108上に画像が転写される。記録媒体108上に転写された転写後の画像は第四の中間画像の反転画像である。転写による画像形成をなされた記録媒体108は記録媒体搬送装置107により、第三の活性エネルギー線照射装置113の下に移動させられる。ここで、記録媒体108上に形成された画像は、第三の活性エネルギー線照射装置113による活性エネルギー線の照射を受けて、記録媒体上での硬化・定着がなされる。必要に応じて、転写体クリーニング部材109によって、転写後の転写体表面のクリーニングが実施され、繰り返し転写体上での画像形成と転写を行うことができるよう、転写体表面の状態がある程度イニシャライズされる。このようなプロセスで、転写型インクジェット記録装置100による画像形成が行われる。
本実施形態では転写体101上には好ましくは反応液が付与されてから各インクが付与されて画像が形成されるため、各インクによる中間画像が形成されない非画像領域には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置における液体除去装置105は中間画像からのみならず、未反応の反応液の液体成分も併せて除去している。したがって、以上では、中間画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、中間画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体101上の中間画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、各インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有することが好ましい。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理等が挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。
<転写体>
転写体101は、画像形成面を含む表面層を有することが好ましい。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理等が挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。
また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。
本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンの共重合体、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。
転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。
<支持部材>
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体101の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。又は、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体101を支持部材102上に支持してもよい。
転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体101の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。又は、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体101を支持部材102上に支持してもよい。
支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。
<反応液付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有することが好ましい。反応液はインクと接触することによって、転写体(被吐出媒体ともいう)上でのインク/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制することができる。具体的には、反応液に含まれる反応剤(インク高粘度化成分とも称する)が、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等と接触することによって化学的に反応、あるいは物理的に吸着する。これによって、インク全体の粘度の上昇や、色材等インクを構成する成分の一部が凝集することによる局所的な粘度の上昇を生じさせ、インク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下させることができる。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有することが好ましい。反応液はインクと接触することによって、転写体(被吐出媒体ともいう)上でのインク/又はインク組成物の一部の流動性を低下せしめて、画像形成時のブリーディングや、ビーディングを抑制することができる。具体的には、反応液に含まれる反応剤(インク高粘度化成分とも称する)が、インクを構成している組成物の一部である色材や樹脂等と接触することによって化学的に反応、あるいは物理的に吸着する。これによって、インク全体の粘度の上昇や、色材等インクを構成する成分の一部が凝集することによる局所的な粘度の上昇を生じさせ、インク及び/又はインク組成物の一部の流動性を低下させることができる。図1の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。
反応液付与装置103は、反応液を被吐出媒体上に付与できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができる。具体的には、グラビアオフセットローラ、インクジェットヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)等が挙げられる。反応液付与装置103による反応液の付与は、被吐出媒体上でインクと混合(反応)することができれば、インクの付与前に行っても、インクの付与後に行ってもよい。好ましくは、インクの付与前に反応液を付与する。反応液をインクの付与前に付与することによって、インクジェット方式による画像記録時に、隣接して付与されたインク同士が混ざり合うブリーディングや、先に着弾したインクが後に着弾したインクに引き寄せられてしまうビーディングを抑制することもできる。
<反応液>
以下に、本実施形態に適用される反応液を構成する各成分について詳細に説明する。
(反応液)
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料等)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂等のカチオン性成分や、有機酸等を挙げることができる。
以下に、本実施形態に適用される反応液を構成する各成分について詳細に説明する。
(反応液)
反応液は、インクと接触することによりインク中のアニオン性基を有する成分(樹脂、自己分散顔料等)を凝集させるものであり、反応剤を含有する。反応剤としては、例えば、多価金属イオン、カチオン性樹脂等のカチオン性成分や、有機酸等を挙げることができる。
多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+及びZn2+等の2価の金属イオンや、Fe3+、Cr3+、Y3+及びAl3+等の3価の金属イオンが挙げられる。反応液に多価金属イオンを含有させるためには、多価金属イオンとアニオンとが結合して構成される多価金属塩(水和物であってもよい)を用いることができる。アニオンとしては、例えば、Cl-、Br-、I-、ClO-、ClO2
-、ClO3
-、ClO4
-、NO2
-、NO3
-、SO4
2-、CO3
2-、HCO3
-、PO4
3-、HPO4
2-、及びH2PO4
-等の無機アニオン;HCOO-、(COO-)2、COOH(COO-)、CH3COO-、C2H4(COO-)2、C6H5COO-、C6H4(COO-)2及びCH3SO3
-等の有機アニオンを挙げることができる。反応剤として多価金属イオンを用いる場合、反応液中の多価金属塩換算の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上20.00質量%以下であることが好ましい。
有機酸を含有する反応液は、酸性領域(pH7.0未満、好ましくはpH2.0~5.0)に緩衝能を有することによって、インク中に存在する成分のアニオン性基を酸型にして凝集させるものである。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピコリン酸、ニコチン酸、チオフェンカルボン酸、レブリン酸、クマリン酸等のモノカルボン酸及びその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、セバシン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、等のジカルボン酸、及びその塩や水素塩;クエン酸、トリメリット酸等のトリカルボン酸及びその塩や水素塩;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸及びその塩や水素塩、等を挙げることができる。反応液中の有機酸の含有量(質量%)は、1.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、例えば、1~3級アミンの構造を有する樹脂、4級アンモニウム塩の構造を有する樹脂等を挙げることができる。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、エチレンイミン、グアニジン等の構造を有する樹脂等を挙げることができる。反応液における溶解性を高めるために、カチオン性樹脂と酸性化合物とを併用したり、カチオン性樹脂の4級化処理を施したりすることもできる。反応剤としてカチオン性樹脂を用いる場合、反応液中のカチオン性樹脂の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上10.00質量%以下であることが好ましい。
(反応液以外の成分)
反応液以外の成分としては、下記のインクに用いることができるものとして挙げられる、水性媒体、その他の添加剤等と同様のものを用いることができる。
反応液以外の成分としては、下記のインクに用いることができるものとして挙げられる、水性媒体、その他の添加剤等と同様のものを用いることができる。
<インク付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与するインク付与装置104を有する。インク付与装置104は、第一の工程、即ち、前記転写体上に、少なくとも活性エネルギー線の照射により硬化する成分を含むインクを付与し、前記転写体上に、第一の中間画像を形成する工程を実施し得る装置である。なお、転写体上に反応液が付与される場合は、反応液とインクとが混合され、反応液とインクとによって第一の中間画像が形成される。また、インク付与装置は、インクを収容するインク収容部を備えていてもよいし、インクジェット記録装置が、インク付与装置とは別に、インク収容部を備えていてもよい。
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与するインク付与装置104を有する。インク付与装置104は、第一の工程、即ち、前記転写体上に、少なくとも活性エネルギー線の照射により硬化する成分を含むインクを付与し、前記転写体上に、第一の中間画像を形成する工程を実施し得る装置である。なお、転写体上に反応液が付与される場合は、反応液とインクとが混合され、反応液とインクとによって第一の中間画像が形成される。また、インク付与装置は、インクを収容するインク収容部を備えていてもよいし、インクジェット記録装置が、インク付与装置とは別に、インク収容部を備えていてもよい。
本実施形態ではインクを付与するインク付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、例えば電気-熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気-機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気-熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。
本実施形態ではインクジェットヘッドはY方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。インクジェットヘッドはその下面(転写体101側)にノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
インク付与装置104は、転写体上に各色のカラーインクを付与するために、インクジェットヘッドを複数有していてもよい。例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクを用いてそれぞれの色画像を形成する場合、インク付与装置は上記4種類のインクを転写体上にそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッドを有することになる。これらはX方向に並ぶように配置される。
<色材を含む活性エネルギー線硬化性インク>
本実施形態の色材を含む活性エネルギー線硬化性インク(以下、単に「インク」とも称す。)には、少なくとも活性エネルギー線の照射により硬化する成分と色材とを含むインクを用いる。
本実施形態の色材を含む活性エネルギー線硬化性インク(以下、単に「インク」とも称す。)には、少なくとも活性エネルギー線の照射により硬化する成分と色材とを含むインクを用いる。
(重合性成分)
活性エネルギー線の照射により硬化する成分として、特に限定はないが、エチレン性不飽和結合を有する重合性成分であることが好ましい。電子線源を用いてこれを硬化する場合は、重合開始剤を添加することなく、重合性化合物のみで硬化することができる。一方で光照射により硬化する場合は、重合開始剤をインクの成分として添加し、光硬化が可能な構成とする。重合性成分の例を以下の表1に示す。
活性エネルギー線の照射により硬化する成分として、特に限定はないが、エチレン性不飽和結合を有する重合性成分であることが好ましい。電子線源を用いてこれを硬化する場合は、重合開始剤を添加することなく、重合性化合物のみで硬化することができる。一方で光照射により硬化する場合は、重合開始剤をインクの成分として添加し、光硬化が可能な構成とする。重合性成分の例を以下の表1に示す。
本発明においてインクにおける重合性成分は常温で液体であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂は水に溶けないものが多いが、本発明におけるインクを水性のインクとする場合には、その構造に親水性の結合基を持つことが好ましい。親水性を持つための結合基としては例えば、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基及びこれらの塩、エーテル結合、アミド結合等が挙げられる。このような例としては、表1における、M-6~M-22等がある。また、インクを水性インクとする場合には、重合性成分は耐加水分解性の観点から(メタ)アクリルアミド構造を有することがさらに好ましい。このような例としては、表1における、M-12~M-22等がある。重合性成分はさらに反応液にも含有されていてもよい。
(重合開始剤)
インクの重合性成分がラジカル重合性化合物であり、光照射によって硬化を進行させる場合には、光によってラジカルを生成する重合開始剤を添加する。光ラジカル重合開始剤であれば、化合物の構造等に特に制限はない。重合開始剤の例を以下の表2に示す。
インクの重合性成分がラジカル重合性化合物であり、光照射によって硬化を進行させる場合には、光によってラジカルを生成する重合開始剤を添加する。光ラジカル重合開始剤であれば、化合物の構造等に特に制限はない。重合開始剤の例を以下の表2に示す。
重合開始剤は水に溶けないものが多いが、本発明におけるインクを水性インクとする場合には、その構造に親水性の結合基を持つことが好ましい。親水性を持つための結合基としては例えば、水酸基、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基及びこれらの塩、エーテル結合、アミド結合等が挙げられる。このような例としては、表2における、PI-6~PI-9等がある。重合開始剤としてチオキサントン系重合開始剤等を用いる場合は、水素供与剤を添加することが好ましい。水素供与剤としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
また、2種類以上の重合開始剤を組み合わせて使用することができる。2種類以上の重合開始剤を添加することで、1種類の重合開始剤では有効に利用できない波長の光を利用して、さらなるラジカルの発生を期待できる。
さらに、反応速度を向上させるために光の吸収波長を広げる役割を有する増感剤を併用することも好ましい形態の一つである。
上記のような重合開始剤は、活性エネルギー線として電子線を用いてインクを硬化する場合には必ずしも必要ではない。また前記活性エネルギー線の照射により硬化する成分は、活性エネルギー線硬化触媒と組み合わせて用いてもよい。かかる硬化触媒としては、αヒドロキシケトン、ベンジルケタール、アシルフォスフィン、チオキサントン等の骨格を持つ化合物が挙げられる。
(色材)
インクにおける色材としては、一般的に染料や顔料、またこれらの分散体が好適に用いられる。
インクにおける色材としては、一般的に染料や顔料、またこれらの分散体が好適に用いられる。
染料としては限定を受けず、一般的に使われる染料であれば問題なく用いることが出来る。例としては、C.Iダイレクトブルー6,8,22,34,70,71,76,78,86,142,199、C.Iアシッドブルー9,22,40,59,93,102,104,117,120,167,229、C.Iダイレクトレッド1,4,17,28,83,227、C.Iアシッドレッド1,4,8,13,14,15,18,21,26,35,37,249,257,289、C.Iダイレクトイエロー12,24,26,86,98,132,142、C.Iアシッドイエロー1,3,4,7,11,12,13,14,19,23,25,34,44,71、C.Iフードブラック1,2、C.Iアシッドブラック2,7,24,26,31,52,112,118等が挙げられる。
顔料としては限定を受けず、一般的に使われる顔料であれば問題なく用いることが出来る。例としては、C.Iピグメントブルー1,2,3,15:3,16,22、C.Iピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn)57(Ca),112,122、C.Iピグメントイエロー1,2,3,13,16,83、カーボンブラックNo2300,900,33,40,52、MA7,8,MCF88(三菱化成製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL330R、660R、MOGUL(キャボット)、Color Black FW1,FW18,S170,S150,Printex35(デグッサ)等が挙げられる。
インクを水性のインクとする場合、前記染料及び顔料を分散し得る分散樹脂としては、水溶性で重量平均分子量が1000から15000程度のものが好適に使用される。例としては、以下のモノマーからなるブロック共重合体あるいはランダム共重合体、またこれらの塩等が挙げられる。
・スチレン及びその誘導体
・ビニルナフタレン及びその誘導体
・α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル
・アクリル酸及びその誘導体
・マレイン酸及びその誘導体
・イタコン酸及びその誘導体
・フマル酸及びその誘導体。
また、分散樹脂を用いず、活性エネルギー線硬化性樹脂を単独で用いる事も出来る。
・スチレン及びその誘導体
・ビニルナフタレン及びその誘導体
・α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル
・アクリル酸及びその誘導体
・マレイン酸及びその誘導体
・イタコン酸及びその誘導体
・フマル酸及びその誘導体。
また、分散樹脂を用いず、活性エネルギー線硬化性樹脂を単独で用いる事も出来る。
また本発明はインク形態としての限定を受けず、自己分散タイプ、樹脂分散タイプ、マイクロカプセルタイプ等の使用も適宜可能である。
さらにインク中にはインクジェット吐出性や乾燥性を制御するために有機溶剤を含んでも良い。使用する有機溶剤は高沸点で蒸気圧の低い水溶性の材料が好ましく、例としては、上述したポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン等である。また、インクの粘度又は表面張力等を調整する成分としてエチルアルコールやイソプロピルアルコール等のアルコール類や各種界面活性剤を添加する事も出来る。
インク中の各成分の配合比についても限定を受けることなく、選択したインクジェット記録方式やヘッドの吐出力、ノズル径等から吐出可能な範囲で調整可能である。一般的には、インクの全質量に対して、色材の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下、重合性開始剤の含有量は、0質量%以上10質量%以下、重合性成分の含有量は、3質量%以上40質量%以下、残りは水、有機溶剤、界面活性剤等である。
インクが水を含有する場合、水の含有量は、インクの全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
本発明におけるインクは、硬化を進行しきった際に、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0より大きくなるような組成であることが好ましい。これにより、最終的に記録媒体上に形成される画像が、高い堅牢性を発現しやすくなる。
<第一の活性エネルギー線照射装置>
第一の活性エネルギー線照射装置は、前記第二の工程、具体的には、第一の中間画像に活性エネルギー線を照射して、インクを造膜して第二の中間画像を形成する工程を実施し得る装置である。第一の活性エネルギー線照射装置としては、インクの重合を進めることのできる活性エネルギー線を照射できる装置であれば、公知の照射装置を特に限定せずに用いることができる。例として、水銀ランプ、メタルハイドランプ、エキシマランプ、LED、EB照射装置等が挙げられる。
第一の活性エネルギー線照射装置は、前記第二の工程、具体的には、第一の中間画像に活性エネルギー線を照射して、インクを造膜して第二の中間画像を形成する工程を実施し得る装置である。第一の活性エネルギー線照射装置としては、インクの重合を進めることのできる活性エネルギー線を照射できる装置であれば、公知の照射装置を特に限定せずに用いることができる。例として、水銀ランプ、メタルハイドランプ、エキシマランプ、LED、EB照射装置等が挙げられる。
本発明では、インクを硬化するために、インク付与装置より後であって液体組成物付与装置より前の位置に、少なくとも一つ以上の活性エネルギー線照射装置を配置する。この時、インクを完全に硬化させてもよいし、完全に硬化させない仮硬化状態に留めるような条件で活性エネルギー線照射を行ってもよい。ここでインクの硬化が不十分であった場合、後述の転写工程にて、インク層内部で泣き別れが生じてしまい、転写不良となってしまうことがある。こういった現象を避けるために、第二の工程終了の段階で、インク全体が造膜されていることが求められる。第二の工程終了の段階で、第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が常用対数で3.9以上であることが必要である。より好ましくは、第二の工程終了の段階で、第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が常用対数で4.0以上となっていることが求められる。
本発明では、画像の仮留め、仮硬化、完全硬化等、その役割に応じて、任意の位置に任意の条件で、任意の数の活性エネルギー線照射装置を配置することができ、それらは特に限定されない。例えば、主にブリーディングやビーディングの抑制を目的として、活性エネルギー線照射装置をインク付与装置の各ヘッド間に配置することができる。また、このような場合に、それぞれの活性エネルギー線照射は、複数の活性エネルギー線照射装置によって連続的に行われていてもよい。
<液体組成物付与装置>
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与する液体組成物付与装置111を有する。液体組成物付与装置111は、第三の工程、即ち、少なくとも第二の中間画像上の一部に対し、活性エネルギー線硬化性の色材を含まない液体組成物を付与し、前記転写体上に、第三の中間画像を形成する工程を実施し得る装置である。そして、液体組成物付与装置は、液体組成物を収容する液体組成物収容部を備えていてもよいし、インクジェット記録装置が、液体組成物付与装置とは別に、液体組成物収容部を備えていてもよい。
本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与する液体組成物付与装置111を有する。液体組成物付与装置111は、第三の工程、即ち、少なくとも第二の中間画像上の一部に対し、活性エネルギー線硬化性の色材を含まない液体組成物を付与し、前記転写体上に、第三の中間画像を形成する工程を実施し得る装置である。そして、液体組成物付与装置は、液体組成物を収容する液体組成物収容部を備えていてもよいし、インクジェット記録装置が、液体組成物付与装置とは別に、液体組成物収容部を備えていてもよい。
本実施形態では液体組成物を付与する液体組成物付与装置として、インクジェットヘッドを用いる。インクジェットヘッドとしては、インク付与装置と同様、例えば電気-熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する形態、電気-機械変換体によってインクを吐出する形態、静電気を利用してインクを吐出する形態等が挙げられる。本実施形態では、公知のインクジェットヘッドを用いることができる。中でも特に高速で高密度の印刷の観点からは電気-熱変換体を利用したものが好適に用いられる。描画は画像信号を受け、各位置に必要なインク量を付与する。
本実施形態ではインクジェットヘッドは、インク付与装置と同様、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。インクジェットヘッドはその下面(転写体101側)にノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は微小な隙間(数ミリ程度)を空けて転写体101の表面と対向している。
<色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物>
本実施形態の液体組成物には、少なくとも活性エネルギー線の照射により硬化する成分を含むインクを用いる。活性エネルギー線の照射により硬化する成分、及び重合開始剤は、基本的にインクで用いることができるものから選定される。この時、液体組成物に含まれる硬化成分、及び重合開始剤はインクに含まれるものと同じものを用いても、異なるものを用いてもよい。
本実施形態の液体組成物には、少なくとも活性エネルギー線の照射により硬化する成分を含むインクを用いる。活性エネルギー線の照射により硬化する成分、及び重合開始剤は、基本的にインクで用いることができるものから選定される。この時、液体組成物に含まれる硬化成分、及び重合開始剤はインクに含まれるものと同じものを用いても、異なるものを用いてもよい。
液体組成物は、色材を含有しない、あるいは含有したとしてもその割合が非常に低く、実質的に透明なクリアインクであり、これと、前記重合性成分と前記重合開始剤を含む以外は、何ら制限を受けない。インクと同様、インクジェット吐出性や乾燥性を制御するために有機溶剤を含んでも良く、さらに界面活性剤を含んでいても良い。
また、液体組成物が水を含有する場合、水の含有量は、インクの全質量を基準として、50.0質量%以上であることが好ましい。
本発明における液体組成物は、硬化を進行しきった際に、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0より大きくなるような組成であることが好ましい。これにより、最終的に記録媒体上に形成される画像が、高い堅牢性を発現しやすくなる。
<第二の活性エネルギー線照射装置>
第二の活性エネルギー線照射装置は、前記第四の工程、具体的には、前記第三の中間画像に活性エネルギー線を照射して前記第四の中間画像を形成する工程を実施し得る装置である。第二の活性エネルギー線照射装置としては、液体組成物の硬化を進めることのできる活性エネルギー線を照射できる装置であれば、公知の照射装置を特に限定せずに用いることができる。例として、水銀ランプ、メタルハイドランプ、エキシマランプ、LED、EB照射装置等が挙げられる。
第二の活性エネルギー線照射装置は、前記第四の工程、具体的には、前記第三の中間画像に活性エネルギー線を照射して前記第四の中間画像を形成する工程を実施し得る装置である。第二の活性エネルギー線照射装置としては、液体組成物の硬化を進めることのできる活性エネルギー線を照射できる装置であれば、公知の照射装置を特に限定せずに用いることができる。例として、水銀ランプ、メタルハイドランプ、エキシマランプ、LED、EB照射装置等が挙げられる。
本発明では、液体組成物を硬化するために、液体組成物付与装置より後であって転写装置より前の位置に、少なくとも一つ以上の第二の活性エネルギー線照射装置を配置する。この時、液体組成物は完全に硬化させず、仮硬化状態に留めるような条件で第二の活性エネルギー線照射を行う。付与するエネルギーを制御して仮硬化を行うシステムのため、活性エネルギー線照射装置としては、水銀ランプ、メタルハイドランプ、エキシマランプ、LED照射装置が好適に用いられ、EB照射装置は比較的不向きである。
第二の活性エネルギー線照射により液体組成物を仮硬化させるにあたっては、照射する光の照度・積算光量・波長等を適切に調節するのがよい。液体組成物中の重合性成分における、官能基の一部を意図的に未反応な状態とし、完全に硬化させた場合よりも柔らかい状態に硬化させる。液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が、5.0以上7.1以下であることが必要である。この時、液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0以下となるように制御することがより好ましい。これにより第四の中間画像の良好な転写性が担保される。
<液体除去装置>
本実施形態において、液体除去装置105は、前記第一から第四の中間画像に対して、何らかの手段によって液体成分を除去する機能を有する。液体除去装置105としては、転写体上に形成された第一から第四の中間画像から液体成分を除去する機構を持つ装置であれば、その装置構成になんら制限はない。液体除去装置105の液体成分の除去手段としては、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、液体吸収体を接触させる方法等が考えられる。液体除去装置105によって第一から第四の中間画像から、少なくとも一部の液体成分を除去することによって、転写時の液体成分による転写阻害を抑制するとともに、記録媒体として紙類を使用した場合に、転写後のカールやコックリングを抑制することができるようになる。
本実施形態において、液体除去装置105は、前記第一から第四の中間画像に対して、何らかの手段によって液体成分を除去する機能を有する。液体除去装置105としては、転写体上に形成された第一から第四の中間画像から液体成分を除去する機構を持つ装置であれば、その装置構成になんら制限はない。液体除去装置105の液体成分の除去手段としては、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法、液体吸収体を接触させる方法等が考えられる。液体除去装置105によって第一から第四の中間画像から、少なくとも一部の液体成分を除去することによって、転写時の液体成分による転写阻害を抑制するとともに、記録媒体として紙類を使用した場合に、転写後のカールやコックリングを抑制することができるようになる。
本発明では、インク付与装置より後であって、転写工程より前に、一つ以上の液体除去装置を配置してよい。インク付与装置より後であって、液体組成物付与装置より前に、液体除去装置を配置した場合、液体組成物中に含まれる液体成分は除去することができなくなる。そのため、液体組成物付与装置より後であって、転写装置より前に、一つ以上の液体除去装置を配置し、インク、液体組成物のいずれからも液体成分を除去できることが好ましい。当然、インク付与装置より後であって、転写工程より前に、一つ以上の液体除去装置を配置し、液体組成物付与装置より後であって、転写装置より前にも、一つ以上の液体除去装置を配置し、インク、液体組成物からの液体除去を順番に行うことも効果的である。
液体除去機構として、液体吸収体を接触させて液体成分の除去を行う場合には、第二の中間画像もしくは、第四の中間画像に対して、液体成分除去を実施することが好ましい。第一の中間画像はインクが硬化前の状態であるため、液体吸収体を当接した時、インクの未反応の重合性成分や色材の大部分が移行してしまう。第三の中間画像は液体組成物が硬化前の状態であるため、液体吸収体を当接した時、液体組成物の未反応の重合性成分の大部分が移行してしまう。液体吸収体を利用した液体除去装置は、液体吸収体、及び液体吸収体を転写体上の中間画像に接触させる液吸収用の位置調整部材を有する。なお、液体吸収体及び位置調整部材の形状については特に制限がない。例えば、位置調整部材が円柱形状であり、液体吸収体がベルト形状であって、円柱形状の位置調整部材でベルト形状の液体吸収体を転写体に接触させる構成などが考えられる。また、位置調整部材が円柱形状であり、液体吸収体が円柱形状の位置調整部材の周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の位置調整部材で円筒形状の液体吸収体を転写体に接触させる構成なども考えられる。本実施形態において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液体吸収体はベルト形状であることが好ましい。また、このようなベルト形状の液体吸収体を有する液吸収装置は、液体吸収体を張架する張架部材を有していてもよい。液体吸収体を利用した液体除去装置では、多孔質体を有する液体吸収体を位置調整部材によって中間画像に接触させることで、中間画像に含まれる液体成分の少なくとも一部を液体吸収体に吸収させ、液体成分を減少させる。
(液体吸収体)
液体除去装置において液体吸収体を用いる場合、その材質としては、有機、無機、あるいはそれらのハイブリッドからなる多孔質や繊維、高分子吸水材等が挙げられる。表面と内部の組成、構造は、特に区別されず同一であってもよいし、機能に応じて異なっていてもよい。
液体除去装置において液体吸収体を用いる場合、その材質としては、有機、無機、あるいはそれらのハイブリッドからなる多孔質や繊維、高分子吸水材等が挙げられる。表面と内部の組成、構造は、特に区別されず同一であってもよいし、機能に応じて異なっていてもよい。
液体吸収体には、親水材料、撥水材料さらに親水撥油材料のいずれも使用することができる。親水材料としては、セルロース、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアクリル酸ナトリウム等の有機材料、アルミナやシリカ、グラスファイバー等の無機材料が挙げられる。また撥水材料を、スパッタエッチング法、放射線やH2Oイオン照射、エキシマ(紫外線)レーザー第二の活性エネルギー線照射、プラズマ照射等の方法により親水化処理してもよい。
撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素樹脂や、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン等が挙げられる。
親水撥油材料としては、撥油性付与基と親水性付与基とを有するフッ素系化合物等が挙げられる。
液体吸収体は、多孔質や繊維等であり、液体が浸透したり透過したりできる細孔を持つものが好ましい。液体吸収体が細孔を持つ場合、その孔径が転写体に残しておくべき中間画像中の固体成分、溶解成分、又はそれらから得られる組成物(以下、離型すべき内容物)のサイズより、略同等かそれより小さい状態であることが好ましい。一方で孔径が小さすぎると液体の流抵抗が増大するため、固体成分を凝集させたり、溶解成分を析出させたり、重合させる等して、そのサイズを大きくしたり、その粘度を高くする等、インク側に工夫を加えることも好ましい。
液体吸収体の形状としては、一度中間画像に接触した後、循環して再度接触して液吸収が可能な形状を有するものも好ましく、例えばベルトやドラム等の形状が挙げられる。また、液体吸収体は中間画像への接触に際して、ほとんど押圧せずに毛管力や材料との親和性を駆動力として液体を吸収してもよいし、押圧して細孔に押し込む作用を付加する等してもよい。
なお、インクが付与されない非画像領域にも、反応液が付与されることはあり得る。液体吸収体は中間画像からのみならず、反応液の液体成分も併せて除去しうる。中間画像から液体成分を除去するという表現は、中間画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体上に付与された液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。
液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。
<転写装置>
転写装置では、第五の工程、即ち、第四の中間画像を転写体101から記録媒体108に転写して、記録媒体108上に画像を形成する工程を実施する。具体的には、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の第四の中間画像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。記録媒体108を紙類とした場合、転写体101上で液体除去装置105によって、第一から第四の中間画像に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去することで、転写後にカールやコックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
転写装置では、第五の工程、即ち、第四の中間画像を転写体101から記録媒体108に転写して、記録媒体108上に画像を形成する工程を実施する。具体的には、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108上に転写体101上の第四の中間画像を、転写用の押圧部材106により記録媒体108に接触させることで転写する。記録媒体108を紙類とした場合、転写体101上で液体除去装置105によって、第一から第四の中間画像に含まれる液体成分の少なくとも一部を除去することで、転写後にカールやコックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。
押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。
転写体101上の第四の中間画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が転写体を押圧する押圧時間・ニップ幅については特に制限はない。尚、本実施形態における押圧時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。
押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。
転写体101上の画像を記録媒体108に圧接させる圧力及び時間は、転写性やその他の条件を鑑みて適切に調整すればよい。一般に圧力が大きく、時間が長いほど、紙等記録媒体の凹凸への追従性は良化し、真実接触面積が増大して転写性は良好になる。一方で圧力が大きすぎると紙の風合いが損なわれたり、転写体の耐久性を損なったりする可能性が高まる。また圧力が大きいほど、時間が長いほど、転写用の押圧部材にかける総圧が大きくなるため、装置構成は大型化しやすい。
転写体101上の第四の中間画像を記録媒体108に圧接させる温度についても特に制限はなく、これらの温度とするために、転写体101上の中間画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱手段を備えていてもよい。
<記録媒体及び記録媒体搬送装置>
実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体108としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルム等が挙げられる。また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体108としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルム等が挙げられる。また、図1において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107a及び記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。
<第三の活性エネルギー線照射装置>
第三の活性エネルギー線照射装置は、前記第六の工程、具体的には、転写工程を経て記録媒体108上に転写された画像に活性エネルギー線を照射して最終画像を形成する工程を実施し得る装置である。第三の活性エネルギー線照射装置としては、液体組成物またはインク及び液体組成物の記録媒体上での硬化及び定着を進めることのできる活性エネルギー線照射装置であれば、公知の照射装置を特に限定せずに用いることができる。例として、水銀ランプ、メタルハイドランプ、エキシマランプ、LED、EB照射装置等が挙げられる。
第三の活性エネルギー線照射装置は、前記第六の工程、具体的には、転写工程を経て記録媒体108上に転写された画像に活性エネルギー線を照射して最終画像を形成する工程を実施し得る装置である。第三の活性エネルギー線照射装置としては、液体組成物またはインク及び液体組成物の記録媒体上での硬化及び定着を進めることのできる活性エネルギー線照射装置であれば、公知の照射装置を特に限定せずに用いることができる。例として、水銀ランプ、メタルハイドランプ、エキシマランプ、LED、EB照射装置等が挙げられる。
本発明では、液体組成物またはインク及び液体組成物を硬化させるために、転写装置より後の位置に、少なくとも一つ以上の活性エネルギー線照射装置を配置する。この場合、記録媒体上に転写された画像(液体組成物またはインク及び液体組成物)の硬化をさらに進行させて、複素弾性率(Pa)の上昇、記録媒体への定着をさせるような条件で活性エネルギー線照射を行う。最終画像の堅牢性は、第三の活性エネルギー線照射装置により硬化された記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)により評価をおこなう。本発明において、第三の活性エネルギー線照射装置により硬化された記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)(以下、「最終画像の複素弾性率」とも呼ぶ。)が、液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)より大きいことを必要とする。この時、最終画像が印直で高い堅牢性を発現するために、最終画像の複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0より大きくとなることが好ましい。
<制御システム>
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。図2において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部であり、302は操作パネル等の操作制御部であり、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部である。また304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部であり、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図2は図1に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。図2において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部であり、302は操作パネル等の操作制御部であり、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部である。また304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部であり、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。
図3は図1の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液体吸収体搬送モータ406を駆動するための液体吸収体搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。
上記のような装置構成又はプロセスで画像形成を行うことによって、転写体上でインクによって形成された画像は、第一の活性エネルギー線照射により、確実に画像固定を行うことができる。その後、固定された画像上に透明な液体組成物を付与して、第二の活性エネルギー線照射をおこなうことにより、均一に転写できる程度の硬化度に液体組成物を仮硬化することができる。この状態の画像を記録媒体に圧接することで、液体組成物の仮硬化物が記録媒体に良好に追従し、高い転写性を発現することができる。その後、記録媒体上に転写された画像に対して、再び活性エネルギー線照射を行うことで、液体組成物をより硬い状態に硬化を進行させ、印字直後であっても画像全体に高い堅牢性を持たせることができる。このようにして、活性エネルギー線硬化性インクを用いた転写型のインクジェット画像形成方法又はインクジェット画像形成装置において、制御性の良い仮硬化プロセス又は機構を設けることによって、画像の仮固定と確実な転写性、及び転写後の本硬化による高い堅牢性の発現を、成立させることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。以下で特に断らない限り、「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。
(顔料分散樹脂の調製)
水系インクとして顔料を用いる場合、以下の原料の混合物を分散処理して得られる顔料分散液を、遠心分離機にかけて粗大粒子を除去して顔料濃度10%とした顔料分散液を使用した。
・顔料(ピグメントレッド122):10%
・樹脂水溶液(顔料分散剤):15%
樹脂:スチレン-アクリル酸-アクリル酸エチル共重合体
(酸価150、重量平均分子量8000 固形分20%の水溶液、中和剤KOH)
・イオン交換水:75%
また非水系インクとして顔料を用いる場合は、溶媒をジプロピレングリコールジメチルエーテル、分散剤をソルスパーズ39000(ルーブリゾール社製)として、同様に調製した。
水系インクとして顔料を用いる場合、以下の原料の混合物を分散処理して得られる顔料分散液を、遠心分離機にかけて粗大粒子を除去して顔料濃度10%とした顔料分散液を使用した。
・顔料(ピグメントレッド122):10%
・樹脂水溶液(顔料分散剤):15%
樹脂:スチレン-アクリル酸-アクリル酸エチル共重合体
(酸価150、重量平均分子量8000 固形分20%の水溶液、中和剤KOH)
・イオン交換水:75%
また非水系インクとして顔料を用いる場合は、溶媒をジプロピレングリコールジメチルエーテル、分散剤をソルスパーズ39000(ルーブリゾール社製)として、同様に調製した。
(インク及び液体組成物の調製)
下記に示す組成で、インクとしてインク1~4、液体組成物として、液体組成物1~5を調製した。詳細な組成は表3にまとめた。
(組成)
・顔料分散液
・重合性成分
・上記表1のM-1
・上記表1のM-5
・上記表1のM-14
・上記表1のM-15
・上記表1のM-22
・重合開始剤
・上記表2のPI-1
・上記表2のPI-6
・界面活性剤(川研ファインケミカル製アセチレノールEH)
・溶媒(水もしくはジエチレングリコールモノエチルエーテル)
下記に示す組成で、インクとしてインク1~4、液体組成物として、液体組成物1~5を調製した。詳細な組成は表3にまとめた。
(組成)
・顔料分散液
・重合性成分
・上記表1のM-1
・上記表1のM-5
・上記表1のM-14
・上記表1のM-15
・上記表1のM-22
・重合開始剤
・上記表2のPI-1
・上記表2のPI-6
・界面活性剤(川研ファインケミカル製アセチレノールEH)
・溶媒(水もしくはジエチレングリコールモノエチルエーテル)
<実施例1~8>
本実施例では以下のような転写型インクジェット記録装置を用いて画像形成を行った。転写体には下記構成のものを用い、接着剤により支持部材に固定した上で、搬送速度600mm/sで搬送した。転写型インクジェット記録装置は加熱、冷却機構は特に有していない。
本実施例では以下のような転写型インクジェット記録装置を用いて画像形成を行った。転写体には下記構成のものを用い、接着剤により支持部材に固定した上で、搬送速度600mm/sで搬送した。転写型インクジェット記録装置は加熱、冷却機構は特に有していない。
(転写体)
厚さ50μmのPET基材上に厚さ200μmのシリコーンゴム層を設けたものに対して、PET基材側に両面テープで厚さ250μmのPETフィルムを接着したもの(クレハエラストマー社製)を用意した。この積層材のシリコーンゴム側にギャップ0.5mm、190V、窒素:Air=6:1の環境下、走査速度108mm/minの条件で、ダイレクト式のプラズマ処理を行ったものを転写体として用いた。
厚さ50μmのPET基材上に厚さ200μmのシリコーンゴム層を設けたものに対して、PET基材側に両面テープで厚さ250μmのPETフィルムを接着したもの(クレハエラストマー社製)を用意した。この積層材のシリコーンゴム側にギャップ0.5mm、190V、窒素:Air=6:1の環境下、走査速度108mm/minの条件で、ダイレクト式のプラズマ処理を行ったものを転写体として用いた。
前記方法で作成した転写体に、インク付与装置で上記組成のマゼンタインク1~4のいずれかを付与し、第一の中間画像を形成した。水系インクを使用する場合は、インク付与装置として、電気-熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインク吐出を行うタイプのインクジェットヘッド(ノズル列密度1200dpi)を使用し、周波数14.173kHzで駆動させてインクを10g/m2付与した。油系インクを使用する場合は、インク付与装置として、IJ‐DESK‐Hオンデマンドインクジェット塗布装置(株式会社ビーエムティー製)に搭載されたヘッドを使用し、同量のインクを付与した。インクの付与量は、付与前後の転写体の質量を測定することで算出した。
次いで転写体上の第一の中間画像に、第一の活性エネルギー線照射装置としてUV-LED照射装置(UV-LED Unijet、波長395nm、ウシオ電機製)を用いて光を照射し、第一の中間画像を硬化して第二の中間画像を得た。この時、照射する光のピーク照度及び積算光量は実施例毎に個別に設定した。
次いで、転写体上の第二の中間画像を完全に被覆するように、液体組成物付与装置で上記組成の液体組成物1~5のいずれかを付与し、第三の中間画像を形成した。使用する液体組成物付与装置は、インク付与装置と同様の基準で選定した。また、液体組成物の付与量はインクの付与量と同様10g/m2とした。
次いで転写体上の第三の中間画像に、第二の活性エネルギー線照射装置としてUV-LED照射装置(UV-LED Unijet、波長395nm、ウシオ電機製)を用いて光を照射し、第三の中間画像に含まれる液体組成物を仮硬化して、第四の中間画像を得た。この時、照射する光のピーク照度及び積算光量は実施例毎に個別に設定した。
次いで転写体上の第四の中間画像を記録媒体に圧接させて、第四の中間画像を記録媒体上に転写させた。記録媒体としてはコート紙(オーロラコート紙、坪量127.9g/m2、日本製紙製)を用い、搬送速度600mm/sで搬送した。転写用の押圧部材は表面の3mmがゴムで構成されたφ150mmのローラであり、圧力9.8MPa(100kgf/cm2)で第四の中間画像を記録媒体に押圧した。ニップ幅は20mmであり、接触時間は33msであった。
次いで記録媒体上に転写した画像に対して、第三の活性エネルギー線照射装置としてUV-LED照射装置(UV-LED Unijet、波長395nm、ウシオ電機製)を用いて活性エネルギー線を照射し、記録媒体上に転写された画像をさらに硬化して、最終画像を得た。この時照射した光のピーク照度は約4500mW/cm2で、積算光量は約8000mJ/cm2とした。
(複素弾性率(Pa)の測定)
第二の中間画像の複素弾性率を以下のように測定した。転写体の代わりにガラス基板を用い、インク付与工程と第一の活性エネルギー線照射工程のみを行った。この時、形成されたインク硬化物を取り出し、即座に複素弾性率の測定を行った。複素弾性率の測定には、アントンパール社製の「レオメータMCR302」(商品名)を用いた。振動モードで、周波数はニップ時間の逆数である30Hz、変位は1%、ノーマルフォースは1Nとした。
第二の中間画像の複素弾性率を以下のように測定した。転写体の代わりにガラス基板を用い、インク付与工程と第一の活性エネルギー線照射工程のみを行った。この時、形成されたインク硬化物を取り出し、即座に複素弾性率の測定を行った。複素弾性率の測定には、アントンパール社製の「レオメータMCR302」(商品名)を用いた。振動モードで、周波数はニップ時間の逆数である30Hz、変位は1%、ノーマルフォースは1Nとした。
第四の中間画像における液体組成物の仮硬化物の複素弾性率を以下のように測定した。転写体の代わりにガラス基板を用い、液体組成物付与工程と第二の活性エネルギー線照射工程のみを行った。この時、形成された液体組成物の硬化物を取り出し、即座に複素弾性率の測定を行った。複素弾性率の測定には、第二の中間画像の複素弾性率を測定するとき同様に、レオメータを用いて測定した。
最終画像の複素弾性率は以下のように測定した。転写体の代わりにガラス基板を用い、インク付与工程から第二の活性エネルギー線照射工程まで、上述の通りに行った。その後、転写工程は行わず、ガラス基板のインク及び液体組成物が付与されていない側から、第三の活性エネルギー線照射工程を行った。この時のピーク光量及び積算光量は上述の第二の活性エネルギー線照射と同様である。その後、ガラス基板上のインク及び液体組成物の積層物を取り出し、即座に複素弾性率の測定を行った。複素弾性率の測定には、第二の中間画像の複素弾性率を測定するときと同様に、レオメータを用いて測定した。
(転写性・堅牢性の評価)
各実施例において、記録媒体に対する第四の中間画像の転写性と、最終画像の堅牢性を評価した。転写性に関しては、まず、転写後の目視による泣き別れの有無を確認し、泣き別れ無く記録媒体上転写した箇所に関しては、A:転写体上の中間画像のうち面積として98%以上が転写する、B:転写体上の中間画像のうち面積として90%以上98%未満が転写する、C:転写体上の中間画像のうち面積として70%以上90%未満が転写する、D:転写体上の中間画像のうち面積として20%以上~70%未満が転写する、E:転写体上の中間画像のうち面積として20%未満しか転写しない、という5水準で評価を行った。
各実施例において、記録媒体に対する第四の中間画像の転写性と、最終画像の堅牢性を評価した。転写性に関しては、まず、転写後の目視による泣き別れの有無を確認し、泣き別れ無く記録媒体上転写した箇所に関しては、A:転写体上の中間画像のうち面積として98%以上が転写する、B:転写体上の中間画像のうち面積として90%以上98%未満が転写する、C:転写体上の中間画像のうち面積として70%以上90%未満が転写する、D:転写体上の中間画像のうち面積として20%以上~70%未満が転写する、E:転写体上の中間画像のうち面積として20%未満しか転写しない、という5水準で評価を行った。
堅牢性については、最終成果物として得られた画像を、上記オーロラコート紙を用いた500g、200往復の学振試験に供した際に、A:面積として試験面の10%未満が白抜けする、B:面積として試験面の10%以上40%未満が白抜けする、C:面積として試験面の40%以上が白抜けする、という3水準で評価を行った。
下記表4に実施例1~8において用いたインク及び液体組成物の種類、第二の中間画像、第四の中間画像における液体組成物の仮硬化物及び最終画像の複素弾性率、並びに転写性及び堅牢性の評価結果をまとめた。
<実施例1>
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は30mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は50mJ/cm2とした。これにより、第二の中間画像は全体が膜化し、転写時の泣き別れは微小な領域で確認される程度であった。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、良好な転写性(評価:A)が確認できた。また、第四の中間画像を記録媒体へ転写した後に、第三の活性エネルギー線を照射することで、記録媒体上でより硬化が進んだ最終画像を得ることができ、一定の堅牢性(評価:B)の発現が認められた。
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は30mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は50mJ/cm2とした。これにより、第二の中間画像は全体が膜化し、転写時の泣き別れは微小な領域で確認される程度であった。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、良好な転写性(評価:A)が確認できた。また、第四の中間画像を記録媒体へ転写した後に、第三の活性エネルギー線を照射することで、記録媒体上でより硬化が進んだ最終画像を得ることができ、一定の堅牢性(評価:B)の発現が認められた。
<実施例2>
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は40mJ/cm2とし第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は50mJ/cm2とした。これにより、第二の中間画像は全体が十分に膜化し、転写時の泣き別れは見られなかった。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、良好な転写性(評価:A)が確認できた。また、第四の中間画像を記録媒体へ転写した後に、第三の活性エネルギー線を照射することで、記録媒体上でより硬化が進んだ最終画像を得ることができ、一定の堅牢性(評価:B)の発現が認められた。
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は40mJ/cm2とし第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は50mJ/cm2とした。これにより、第二の中間画像は全体が十分に膜化し、転写時の泣き別れは見られなかった。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、良好な転写性(評価:A)が確認できた。また、第四の中間画像を記録媒体へ転写した後に、第三の活性エネルギー線を照射することで、記録媒体上でより硬化が進んだ最終画像を得ることができ、一定の堅牢性(評価:B)の発現が認められた。
<実施例3>
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は150mJ/cm2とした。第一の活性エネルギー線照射工程で、十分な積算光量の光照射を行うことで、第二の中間画像は全体が十分に膜化し、転写時の泣き別れは全く見られなくなった。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、一定の転写性(評価:D)が確認できた。また、第四の中間画像を記録媒体へ転写した後に、第三の活性エネルギー線を照射することで、記録媒体上でより硬化が進んだ最終画像を得ることができ、高い堅牢性(評価:A)の発現が認められた。この時の第四の中間画像における液体組成物仮硬化物は、実施例2と比較すると硬く、それによって転写性が劣っている様子であった。一方で転写後の第三の活性エネルギー線の照射により、インク及び液体組成物は非常に硬い硬化物となり、最終画像の堅牢性は実施例2と比較してより良好であった。
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は150mJ/cm2とした。第一の活性エネルギー線照射工程で、十分な積算光量の光照射を行うことで、第二の中間画像は全体が十分に膜化し、転写時の泣き別れは全く見られなくなった。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、一定の転写性(評価:D)が確認できた。また、第四の中間画像を記録媒体へ転写した後に、第三の活性エネルギー線を照射することで、記録媒体上でより硬化が進んだ最終画像を得ることができ、高い堅牢性(評価:A)の発現が認められた。この時の第四の中間画像における液体組成物仮硬化物は、実施例2と比較すると硬く、それによって転写性が劣っている様子であった。一方で転写後の第三の活性エネルギー線の照射により、インク及び液体組成物は非常に硬い硬化物となり、最終画像の堅牢性は実施例2と比較してより良好であった。
<実施例4>
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は120mJ/cm2とした。これにより、第四の中間画像における液体組成物は複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0以下に制御され、一定の転写性を担保できる硬さに仮硬化された。実際に実施例3と比較して、良好な転写性(評価:C)が確認できた。実施例3と比較して、第四の中間画像における液体組成物の複素弾性率が低いため、転写性が良化したと考えられる。また、記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。実際に試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は120mJ/cm2とした。これにより、第四の中間画像における液体組成物は複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0以下に制御され、一定の転写性を担保できる硬さに仮硬化された。実際に実施例3と比較して、良好な転写性(評価:C)が確認できた。実施例3と比較して、第四の中間画像における液体組成物の複素弾性率が低いため、転写性が良化したと考えられる。また、記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。実際に試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
<実施例5>
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は40mJ/cm2とした。これにより、第四の中間画像における液体組成物は複素弾性率(Pa)が常用対数で5.0以上の高い転写性を担保できる硬さに仮硬化され、実施例4より良好な転写性(評価:B)が確認できた。また、記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
インク及び液体組成物は非水系のものを使用した。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は40mJ/cm2とした。これにより、第四の中間画像における液体組成物は複素弾性率(Pa)が常用対数で5.0以上の高い転写性を担保できる硬さに仮硬化され、実施例4より良好な転写性(評価:B)が確認できた。また、記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
<実施例6>
インク及び液体組成物は水系のものを使用した。水系のインクを用いることにより、非水系と比較してインクの安全性を高めることができる。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は50mJ/cm2とした。これにより、非水系の実施例と同様に、第二の中間画像は全体が十分に膜化し、転写時の泣き別れは見られなかった。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、一定の転写性(評価:C)が確認された。この時、インク及び液体組成物に含まれている水の一部が、第四の中間画像上で層状に存在し、記録媒体への転写性を損なう要因になっていると思われる。記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。実際に試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
インク及び液体組成物は水系のものを使用した。水系のインクを用いることにより、非水系と比較してインクの安全性を高めることができる。第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は50mJ/cm2とした。これにより、非水系の実施例と同様に、第二の中間画像は全体が十分に膜化し、転写時の泣き別れは見られなかった。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、一定の転写性(評価:C)が確認された。この時、インク及び液体組成物に含まれている水の一部が、第四の中間画像上で層状に存在し、記録媒体への転写性を損なう要因になっていると思われる。記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。実際に試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
<実施例7>
インク及び液体組成物は水系のものを使用した。本実施例においては、第一の活性エネルギー線照射工程より後であって、液体組成物付与工程よりも前に、液体除去工程を設けた。本実施例における液体除去は、以下の液体吸収体を圧力9.8hPa(10gf/cm2)、ニップ幅は20mmで当接することにより行った。
(液体吸収体)
・ポアフロン(登録商標)親水膜HPW-045-30、住友電工ファインポリマー社製
上記液体除去工程がある以外は、実施例6と同様の検討を行った。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、実際に転写性(評価:B)が確認された。この時、インクに含まれている水の一部が液体除去工程により除去されることで、水による転写の阻害が抑制され、実施例6と比較して転写性が向上している様子が見られた。記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。実際に試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
インク及び液体組成物は水系のものを使用した。本実施例においては、第一の活性エネルギー線照射工程より後であって、液体組成物付与工程よりも前に、液体除去工程を設けた。本実施例における液体除去は、以下の液体吸収体を圧力9.8hPa(10gf/cm2)、ニップ幅は20mmで当接することにより行った。
(液体吸収体)
・ポアフロン(登録商標)親水膜HPW-045-30、住友電工ファインポリマー社製
上記液体除去工程がある以外は、実施例6と同様の検討を行った。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、実際に転写性(評価:B)が確認された。この時、インクに含まれている水の一部が液体除去工程により除去されることで、水による転写の阻害が抑制され、実施例6と比較して転写性が向上している様子が見られた。記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。実際に試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
<実施例8>
インク及び液体組成物は水系のものを使用した。本実施例においては、第二の活性エネルギー線照射工程より後であって、転写工程よりも前に、実施例7と同様の液体除去工程を設けた。上記液体除去工程がある以外は、実施例6と同様の検討を行った。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、実際に転写性(評価:A)が確認された。この時、インク及び液体組成物に含まれている水の一部が液体除去工程により除去されることで、水による転写の阻害が抑制され、実施例7と比較して転写性がさらに向上している様子が見られた。記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。実際に試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
インク及び液体組成物は水系のものを使用した。本実施例においては、第二の活性エネルギー線照射工程より後であって、転写工程よりも前に、実施例7と同様の液体除去工程を設けた。上記液体除去工程がある以外は、実施例6と同様の検討を行った。第四の中間画像における液体組成物は転写可能な範囲内の硬さに仮硬化され、実際に転写性(評価:A)が確認された。この時、インク及び液体組成物に含まれている水の一部が液体除去工程により除去されることで、水による転写の阻害が抑制され、実施例7と比較して転写性がさらに向上している様子が見られた。記録媒体上に転写された第四の中間画像は、第三の活性エネルギー線の照射により、複素弾性率(Pa)が常用対数で7.0を上回り、高い堅牢性が認められる硬さに本硬化された。実際に試験により、良好な堅牢性(評価:A)の発現が確認できた。
また実施例3~8では、第一の活性エネルギー線照射工程において、十分な積算光量の活性エネルギー線照射を行っている。マゼンタ以外のシアン(ピグメントブルー15:3)、イエロー(ピグメントイエロー150)、ブラック(カーボンブラック)に関して、顔料以外マゼンタと同様の顔料分散樹脂、インク及び液体組成物の調製を行って画像形成を行ったところインクの色やデューティーによらず、転写体上でインクをほとんど完全に硬化しきることができた。上記工程での画像形成を行うことで、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの全ての色で、安定した転写性と堅牢性の発現を確認することができた。
(比較例)
比較例では、インクとして上記表3のインク1~4を、液体組成物として上記表3の液体組成物1、2、4、5を用い、実施例と同様の手法で画像形成・複素弾性率の測定・転写性と堅牢性の評価を行った。下記表5に比較例1~4において、用いたインク及び液体組成物、第二の中間画像、第四の中間画像における液体組成物の仮硬化物、及び最終画像の複素弾性率、転写性・堅牢性の評価結果をまとめた。
比較例では、インクとして上記表3のインク1~4を、液体組成物として上記表3の液体組成物1、2、4、5を用い、実施例と同様の手法で画像形成・複素弾性率の測定・転写性と堅牢性の評価を行った。下記表5に比較例1~4において、用いたインク及び液体組成物、第二の中間画像、第四の中間画像における液体組成物の仮硬化物、及び最終画像の複素弾性率、転写性・堅牢性の評価結果をまとめた。
<比較例1>
実施例2と同様の組成のインク及び液体組成物を用いて、第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は15mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は50mJ/cm2とした。第二の中間画像が膜化しておらず、転写時に画像全面でインク層の泣き別れが生じてしまった。全面的に転写不良が生じているため、他の評価は実施することができなかった。
実施例2と同様の組成のインク及び液体組成物を用いて、第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は15mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は50mJ/cm2とした。第二の中間画像が膜化しておらず、転写時に画像全面でインク層の泣き別れが生じてしまった。全面的に転写不良が生じているため、他の評価は実施することができなかった。
<比較例2>
実施例3と同様の組成のインク及び液体組成物を用いて、第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度を500mW/cm2、積算光量を250mJ/cm2とした。第四の中間画像を形成するに当たって、第三の中間画像における液体組成物を仮硬化してはいるが、転写できない硬化度まで仮硬化を進行させてしまっている例である。これにより、第四の中間画像はほとんど記録媒体上に転写することができなかった。
実施例3と同様の組成のインク及び液体組成物を用いて、第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度を500mW/cm2、積算光量を250mJ/cm2とした。第四の中間画像を形成するに当たって、第三の中間画像における液体組成物を仮硬化してはいるが、転写できない硬化度まで仮硬化を進行させてしまっている例である。これにより、第四の中間画像はほとんど記録媒体上に転写することができなかった。
<比較例3>
第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は1000mJ/cm2とした。第四の中間画像を形成するに当たって、第三の中間画像が、実質的に硬化しきってしまっている例である。したがって第三の活性エネルギー線照射によって、画像の複素弾性率の上昇は見られない。この時、液体組成物は転写可能な硬さに硬化されており、記録媒体への第四の中間画像の転写は成立しているが、記録媒体上での画像のさらなる硬化・定着ができず、十分な堅牢性が発現しなかった。
第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は1000mJ/cm2とした。第四の中間画像を形成するに当たって、第三の中間画像が、実質的に硬化しきってしまっている例である。したがって第三の活性エネルギー線照射によって、画像の複素弾性率の上昇は見られない。この時、液体組成物は転写可能な硬さに硬化されており、記録媒体への第四の中間画像の転写は成立しているが、記録媒体上での画像のさらなる硬化・定着ができず、十分な堅牢性が発現しなかった。
<比較例4>
第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は1000mJ/cm2とした。第四の中間画像を形成するに当たって、第三の中間画像における液体組成物を、実質的に硬化しきってしまっている例である。したがって第三の活性エネルギー線照射によって、画像の複素弾性率の上昇は見られない。この時、液体組成物はほとんど転写ができない硬さにまで硬化してしまっており、記録媒体への第四の中間画像の転写はできなかった。
第一の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は4500mW/cm2、積算光量は8000mJ/cm2とし、第二の活性エネルギー線照射工程における、光のピーク照度は500mW/cm2、積算光量は1000mJ/cm2とした。第四の中間画像を形成するに当たって、第三の中間画像における液体組成物を、実質的に硬化しきってしまっている例である。したがって第三の活性エネルギー線照射によって、画像の複素弾性率の上昇は見られない。この時、液体組成物はほとんど転写ができない硬さにまで硬化してしまっており、記録媒体への第四の中間画像の転写はできなかった。
Claims (14)
- 転写体上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与工程と、
該転写体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線照射を行い、該付与されたインクを造膜して第二の中間画像を形成する第一の活性エネルギー線照射工程と、
該第二の中間画像上の一部に対し、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して第三の中間画像を形成する液体組成物付与工程と、
該第三の中間画像に対して活性エネルギー線照射を行い、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射工程と、
該第四の中間画像を記録媒体に圧接し、該記録媒体上に転写させる転写工程と、
該記録媒体上に転写された画像に対して活性エネルギー線を照射して、該記録媒体上で画像を硬化及び定着させる第三の活性エネルギー線照射工程と、
を有し、
該第二の活性エネルギー線照射工程は、該第三の中間画像に含まれる該液体組成物を、仮硬化させる工程であり、
該第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で3.9以上であり、
該液体組成物を仮硬化させた際の液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が、常用対数で5.0以上7.1以下であり、
前記第三の活性エネルギー線照射工程の後における記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)が、該液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)より大きい
ことを特徴とするインクジェット画像形成方法。 - 前記第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で4.0以上である請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が、常用対数で7.0以下である請求項1又は2に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で7.0より大きい請求項3に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクが、水を含有しており、前記色材を含む活性エネルギー線硬化性のインク中の水の含有量が前記色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクの全質量を基準として、50.0質量%以上であり、前記液体組成物が、水を含有しており、前記液体組成物中の水の含有量が前記液体組成物の全質量を基準として、50.0質量%以上である請求項1~4のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記インク付与工程から前記転写工程までの間に、前記第一の中間画像から前記第四の中間画像に含まれる液体成分を適宜除去する、液体除去工程を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 前記液体組成物付与工程から前記転写工程までの間に、前記第三の中間画像又は前記第四の中間画像に含まれる液体成分を適宜除去する、液体除去工程を有する請求項1~5のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成方法。
- 転写体と、
該転写体上に色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクを付与して第一の中間画像を形成するインク付与装置と、
該転写体上に付与されたインクに対して活性エネルギー線照射を行い、該付与されたインクを造膜して第二の中間画像を形成する第一の活性エネルギー線照射装置と、
該第二の中間画像上の一部に対し、色材を含まない活性エネルギー線硬化性の液体組成物を付与して、第三の中間画像を形成する液体組成物付与装置と、
該第三の中間画像に対して活性エネルギー線照射を行い、第四の中間画像を形成する第二の活性エネルギー線照射装置と、
該第四の中間画像を記録媒体に圧接し、該記録媒体上に転写させる転写装置と、
該記録媒体上に転写された画像に対して活性エネルギー線を照射して、該記録媒体上で画像を硬化及び定着させる第三の活性エネルギー線照射装置と、
を有し、
該第二の活性エネルギー線照射装置は、該第三の中間画像に含まれる該液体組成物を、仮硬化させる機能を有し、
該第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で3.9以上であり、
該液体組成物を仮硬化させた際の液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が、常用対数で5.0以上7.1以下であり、
該第三の活性エネルギー線照射装置により硬化された記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)が、該液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)より大きい
ことを特徴とするインクジェット画像形成装置。 - 前記第二の中間画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で4.0以上である請求項8に記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記液体組成物の仮硬化物の複素弾性率(Pa)が、常用対数で7.0以下である請求項8又は9に記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記記録媒体上の画像の複素弾性率(Pa)が、常用対数で7.0より大きい請求項10に記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記インク付与装置が、前記色材を含む活性エネルギー線硬化性のインクの全質量を基準として水の含有量が50.0質量%以上であるインクを収容するインク収容部を有し、前記液体組成物付与装置が、前記液体組成物の全質量を基準として、水の含有量が50.0質量%以上である液体組成物を収容する液体組成物収容部を有する請求項8~11のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記転写体上に形成される前記第一の中間画像から前記第四の中間画像に含まれる液体成分を適宜除去する液体除去装置を有する請求項8~12のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
- 前記転写体上に形成される前記第三の中間画像又は前記第四の中間画像に含まれる液体成分を適宜除去する液体除去装置を有する請求項8~12のいずれか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
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JP2021205351A JP2023090407A (ja) | 2021-12-17 | 2021-12-17 | インクジェット画像形成方法及びインクジェット画像形成装置 |
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