JP2023089638A - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を油剤として用いた水中油型乳化組成物において、経時安定性に優れ、さらに塗布時のツヤ及びべたつきの無さにも優れる組成物を提供する。【解決手段】次の成分(A)~(D)を含有する水中油型乳化組成物であって、成分(C)及び成分(D)を含有する水性溶媒中に、成分(A)により乳化された成分(B)が分散され、乳化粒子の平均粒子径が200nm以下である水中油型乳化組成物。(A)少なくとも1種のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含み、加重平均HLBが9以上11以下であるノニオン性界面活性剤(B)少なくとも1種の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を含む油性成分(C)ジプロピレングリコールを除く多価アルコール及びアルキレンオキシド誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上(D)水【選択図】なし

Description

本発明は、水中油型乳化組成物に関する。
一般に、水中油型乳化組成物は、連続相が水性成分で構成されているため、化粧料として用いられた場合に、製造の容易さ、温度に対する影響の受けにくさ、軽いなめらかな伸び広がり、さっぱりとした使用感、油の種類・量による幅広い感触・性状の調整が可能、といった特徴を有する。中でも、乳化滴を微細化することで、経時安定性が良好な水中油型乳化組成物とすることが可能となり、油性成分を含有しながらも半透明~透明な外観を呈する化粧水等が提案されている。なお、乳化滴の微細化の方法としては、高圧乳化機の使用や転相温度乳化法等が知られている。
水中油型乳化組成物のうち、油性成分として極性油が用いられることがある。これまでに、極性油等を用いた水中油型乳化組成物において、乳化滴の粒子径を小さくし、安定性に優れる組成物とする試みもなされてきた。例えば、特許文献1では、加温した油分、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び多価アルコールに加温した水を加えて乳化した化粧水において、平均粒子径が50~200nmであり、かつ油分の50%以上がホホバ油である化粧水の技術が開示されている(特許文献1参照)。
また、極性油の中でも、アシルアミノ酸ステロースや脂肪酸ステロール等の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油は、塗布のツヤ等の効果を付与することができる。これまでに有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を配合した化粧料又は皮膚外用剤は数多く開発されており、さらなる製品展開のためにも、当該極性油を安定にかつ簡便に微細乳化する技術の開発が求められている。
特開2007―63183号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術においても、水中油型乳化組成物の安定性が十分なものとは言えず、改良の余地があった。さらに、有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油の微細乳化に関しては想定されていなかった。また、特許文献1は油分の加熱が必須条件となっており、エネルギーコストや生産性、さらには環境への配慮の面でも改良の余地があった。
そこで本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を用いた水中油型乳化組成物において、経時安定性に優れる水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
さらに本発明の他の目的は、皮膚や毛髪に適用した場合に、べたつくこと無く、ツヤを付与することができる水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を含む油性成分を、ジプロピレングリコールを除く多価アルコール及びアルキレンオキシド誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上の水性溶媒中にて、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含む特定のHLBを示すノニオン性界面活性剤により乳化することで、当該極性油を透明~半透明な外観を維持可能なほどに安定に微細乳化できるとともに、皮膚や毛髪に適用することに、べたつくこと無く、より優れたツヤ効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
本発明は、次の成分(A)~(D)を含有する水中油型乳化組成物であって、
成分(C)及び成分(D)を含有する水性溶媒中に、成分(A)により乳化された成分(B)が分散され、乳化粒子の平均粒子径が200nm以下である水中油型乳化組成物である。
(A)少なくとも1種のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含み、加重平均HLBが9以上11以下であるノニオン性界面活性剤
(B)少なくとも1種の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を含有する油性成分
(C)ジプロピレングリコールを除く多価アルコール及びアルキレンオキシド誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上
(D)水
[2]
前記成分(A)のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、エチレンオキシドの平均付加モル数が20であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であってもよい。
[3]
前記成分(B)の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油が、
25℃でペースト状を呈する脂肪酸ステロールエステル、25℃で高粘性液状、ペースト状及び固形状のいずれかの性状を呈するN-アシルアミノ酸エステル、25℃でペースト状又は固形状を呈する植物性油脂、25℃で高粘性液状又はペースト状を呈するポリグリセリン脂肪酸エステル、及び25℃で高粘性液状又はペースト状を呈するダイマー酸誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上であってもよい。
[4]
前記成分(C)がアルキレンオキシド誘導体であるものであってもよい。
[5]
前記成分(C)のアルキレンオキシド誘導体が、ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルからなる群から選択される1種又は2種以上であってもよい。
[6]
前記成分(A)及び成分(B)の含有質量割合(B)/(A)が、3以下であってもよい。
[7]
前記成分(B)の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油が、シア脂、オレイン酸フィトステリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物からなる群から選択される1種又は2種以上であってもよい。
[8]
前記成分(B)に対する、有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油の含有量が50質量%以上であってもよい。
[9]
前記成分(A)~(C)の含有質量割合(A)/{(A)+(B)+(C)}が0.1以上であってもよい。
[10]
前記水中油型乳化組成物を含む化粧料又は皮膚外用剤であってもよい。
また、本発明は、成分(A)少なくとも1種のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含み、加重平均HLBが9以上11以下であるノニオン性界面活性剤、成分(B)少なくとも1種の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を含有する油性成分、及び成分(C)ジプロピレングリコールを除く多価アルコール及びアルキレンオキシド誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上の水溶性溶媒を混合した後に、成分(D)水の一部を添加し、次いで、さらに残りの成分(D)水を添加することを特徴とする平均粒子径が200nm以下の水中油型乳化組成物の製造方法であってもよい。
本発明は、有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を安定に微細乳化することができ、経時安定性に優れるものである。さらに本発明は、有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油により塗布時のツヤ及びべたつきの無さにも優れるものである。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。
成分(B)少なくとも1種の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を含む油性成分を用いて水中油型の乳化を行う場合、前記成分(B)の極性油は分子量が大きく、構造が複雑であることから、微細な乳化滴を得ることが難しく、製剤安定性が不安定なものになりやすい。しかしながら、成分(A)及び成分(C)を組み合わせることで、平均粒子径が200nm以下の微細な乳化滴とすることができ、製剤安定性(初期安定性及び経時安定性)を担保することができる。これは、成分(A)、成分(B)及び成分(C)が両連続相を形成することで低界面張力状態となり、機械力に依存することなく微細な乳化滴を形成することによると考えられる。界面活性剤が有するHLBのバランスで水中油型乳化の油剤の乳化安定性が検討されることが多いが、極性油等の微細乳化においては、界面活性剤のHLBのバランスだけでは乳化の安定性が担保されないことを本発明者らは知見した。そして、検討の結果、成分(C)を含む溶媒中に、成分(A)及び(B)を含むことが微細乳化物の安定性に重要であることを見出した。つまり、本発明は成分(B)の微細乳化において、多種存在する成分の中で、成分(A)及び成分(C)を組み合わせが極めて重要であることを見出したものである。
さらに、乳化粒子の平均粒子径を200nm以下とすることで、皮膚や毛髪に適用した場合に、成分(B)が均一に塗布され、油剤の効果が発揮されやすくなる。また、本実施形態の構成とすることで、肌や毛髪に塗布した際にツヤを付与することができる。
本実施形態の水中油型乳化組成物は、25℃で液状であることが好ましい。液状の水中油型乳化組成物の製剤安定性は、粘性を有するものよりも担保することが一般的に困難である。本実施形態であることで、25℃で液状であるにもかかわらず、経時での安定性が担保される。ここで、本明細書において、25℃で液状とは、25℃で流動性を有する状態であることを意味する。具体的には、25℃において、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて測定された粘度が、10000mPa・s以下、好ましくは5000mPa・s以下、さらに好ましくは2000mPa・s以下であることを指す。
また、本実施形態の水中油型乳化組成物は、透明~半透明の外観を呈することが好ましく、透明の外観を呈することがより好ましい。
経時安定性の観点から、水中油型乳化組成物における乳化粒子の平均粒子径は200nm以下であり、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。水中油型乳化組成物における乳化粒子の平均粒子径の下限は、小さければ小さいほど製剤安定性に優れるため、特に限定されるものではないが、通常、20nm以上である。このような微細な乳化粒子は、特に限定されるものではないが、後述する方法によって得ることができる。
乳化粒子の平均粒子径は、実施例によって測定された値を採用する。
(成分(A):少なくとも1種のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含み、加重平均HLBが9以上11以下であるノニオン性界面活性剤)
本発明に用いられる成分(A)は、少なくとも1種のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含み、加重平均HLBが9以上11以下であるノニオン性界面活性剤である。ノニオン性界面活性剤は、アルキル基などの親油基に、多価アルコールなどの親水基を付加したものであり、成分(B)及び成分(C)との両連続相形成、及び乳化滴の形成を目的として含まれる。
ノニオン性界面活性剤としては、化粧料等に一般に用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタン、脂肪酸ソルビタン、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンステロールエーテル等を用いることができる。例えば、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;モノヤシ脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(80E.O.)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(60E.O.)等のポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタン;ヤシ脂肪酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等の脂肪酸ソルビタン;モノラウリン酸ポリグリセリル-10、モノステアリン酸ポリグリセリル-10、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10、モノオレイン酸ポリグリセリル-10、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリオレイン酸ポリグリセリル-5、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、テトライソステアリン酸ポリグリセリル―2、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10等の脂肪酸ポリグリセリンエステル;水添ヤシ脂肪酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル等の脂肪酸グリセリンエステル;モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(8E.O.)、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)等のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル;PEG-5コレステロール、PEG-10コレステロール、PEG-20コレステロール、PEG-30コレステロール、PEG-5フィトステロール、PEG-10フィトステロール、PEG-20フィトステロール、PEG-30フィトステロール等のポリオキシエチレンステロールエーテルが挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、これらの1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
本発明においては、成分(A)として、経時安定性の観点から、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、セスキステアリン酸ソルビタン、PEG-5フィトステロールからなる群から選択される1種又は2種以上を選択して用いることが好ましい。
本組成物の成分(A)は少なくとも1種のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含む。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、水素添加ヒマシ油に酸化エチレンを付加させたものである。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-50水添ヒマシ油等が挙げられる。本発明においては、経時安定性の観点から、エチレンオキシドの平均付加モル数が20であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(PEG-20水添ヒマシ油)を用いることが好ましい。
本発明において、経時安定性の観点から、成分(A)がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有するものであり、少なくともPEG-20水添ヒマシ油を含有することがより好ましく、成分(A)がPEG-20水添ヒマシ油であることが特に好ましい。
成分(A)は、加重平均HLBが9以上11以下である。加重平均HLBがこの値である場合、成分(B)及び成分(C)と両連続相を形成し、乳化滴が微細で安定性に優れる乳化組成物を得ることができる。本発明における加重平均HLBの計算方法は、含有される成分(A)の個々のHLB値を含有質量比率に基づいて加重平均して求めた値(下記(式1))を用いる。

成分(A)の加重平均HLB=[(A1:含有量(質量%)×HLB)+(A2:含有量(質量%)×HLB)+(A3:含有量(質量%)×HLB)+・・・/(A1+A2+A3+・・・:含有量(質量%))]・・・(式1)
ここで、本発明におけるHLB(Hydphile-Lipophile Balance)とは、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、小田・寺村らによる下記(式2)で計算されるものである。
HLB=「無機性値(IV)/有機性値(OV)」×10・・・(式2)
(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、11~17頁、三共出版、1984年発行参照)
成分(A)の含有量、は特に限定されないが、水中油型乳化組成物中に、0.1~30質量%(以下、単に「%」と略す場合あり)が好ましく、0.5~15%がより好ましく、1~5%がさらに好ましい。この範囲であれば、経時安定性及び塗布時のツヤ等により優れるためより好ましい。また、成分(A)中のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量は、20%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。この範囲であれば、より微細な乳化滴を得ることができ、経時安定性により優れるためより好ましい。
(成分(B):少なくとも1種の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を含む油性成分)
本発明に用いられる成分(B)は、少なくとも1種の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を含む油性成分であり、成分(A)及び成分(C)と両連続相を形成し、乳化滴として水性溶媒中に分散するものである。成分(B)の少なくとも1種の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油(以下、単に「極性油」と略す場合あり)は、炭化水素骨格を主とし、極性基を有する油性成分を指し、主にエステル油類等が挙げられる。前記成分(B)の極性油は、肌や毛髪に塗布した際にツヤを付与する効果に優れている。
ここで、IOB値とは、有機概念図(藤田穆、有機化合物の予測と有機概念図、化学の領域VOL).11,No.10(1957)719-715)に基づき求められる値である。より詳しくは、この有機概念図では、化合物の物理化学的物性について、主にファンデルワールス(Van Der Waals)力による物性の程度を「有機性」、主に電気的親和力による物性の程度を「無機性」と定義して表現する値である。IOB値は、無機性(inorganic)と有機性(organic)のバランスを示す指標であり、IOB値=無機性値/有機性値として表される。
前記成分(B)の極性油は、25℃において液状、ペースト状、固形状いずれの性状のものでも使用することできるが、塗布時のツヤ等の観点から、高粘性液状、ペースト状又は固形状のいずれかの性状を呈するものがより好ましい。なお、本発明において、液状の油剤とは融点が25℃以下であるものを指し、更に高粘性液状とはブルックフィールド型回転粘度計による25℃の粘度が200mPa・s以上であることを指す。ペースト状の油剤とは、融点が25℃以上であるが、25℃で完全に固化していない油剤を指す。また、固形状の油剤とは、融点が25℃以上であり、25℃で完全に固化している油剤を指す。
前記成分(B)の極性油は、有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上であれば、天然油、合成油いずれのものでも使用することができる。なお、本発明において合成油とは、一部合成油が含まれるものであればよい。これら天然油、合成油の1種又は2種以上を用いることができる。
有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の天然油としては、脂肪酸モノグリセリドや植物性油脂等を使用することができる。25℃において液状を呈する天然油としては、オリーブ果実油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、アボカド油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、キャノーラ油、キョウニン油、ワサビノキ種子油、ツバキ油、米胚芽油、米糠油、オレンジラフィー油、オリザノール等の植物性油脂、ホホバ油等の脂肪酸モノグリセリド等が挙げられる。また、また、25℃においてペースト状又は固形状を呈する天然油としては、シア脂、アリストカリウムムルムル種子油、カカオ脂等が挙げられる。25℃において固形状を呈する天然油としては、ミツロウ等が挙げられる。本発明において、塗布時のツヤ等の観点から、25℃においてペースト状又は固形状を呈する植物性油脂が好ましく、シア脂(有機性値:1140、IOB値:0.16)がより好ましい。
さらに、前記天然油において、有機性値が700以上、IOB値が0.07以上であれば特に限定されるものではないが、乳化滴の平均粒子径、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、有機性値が800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、IOB値が0.07~0.3であることが好ましく、0.1~0.2であることがより好ましい。前記有機性値の上限は、大きければ大きいほど塗布時のツヤに優れるため、特に限定されるものではないが、通常、1500以下が好ましく、1300以下がより好ましい。
有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の合成油としては、脂肪酸とアルコールのエステル、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸ステロールエステル、N-アシルアミノ酸エステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、ダイマー酸誘導体等を使用することができる。本発明において、成分(B)の極性油は、塗布時のツヤ等の観点から、25℃において高粘性液状、ペースト状または固形状を呈する合成油が好ましい。
前記脂肪酸とアルコールのエステルは、脂肪酸とアルコールのエステル体である。塗布時のツヤ等の観点から、本発明においては、25℃においてペースト状又は固形状を呈するエステルが好ましい。
前記エステルにおいて、有機性値が700以上、IOB値が0.07以上であれば特に限定されるものではないが、乳化滴の平均粒子径、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、IOB値が0.07~0.3であることが好ましく、0.1~0.2であることがより好ましい。有機性値の上限は、大きければ大きいほど塗布時のツヤに優れるため、特に限定されるものではないが、通常、1000以下が好ましく、900以下がより好ましい。
前記エステルのエステル部分を構成する脂肪酸は、特に限定されるものではないが、その炭化水素は飽和でも不飽和を有していても良く、分岐や環状であっても良い。具体的には、例えば、酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸、トリアコンタン酸などが挙げられる。単一組成の脂肪酸のほか、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、マカデミアナッツ油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸、あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)であっても良い。
また、前記エステルのエステル部分を構成するアルコールは、特に限定されるものではないが、その炭化水素は飽和でも不飽和を有していても良く、分岐や環状であっても良い。具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、オレイルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、アラキジルアルコール、オクチルドデシルアルコール等が挙げられる。中でも、本発明においては、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、脂肪酸またはアルコールの一方または両方に、不飽和または分岐を有することがより好ましい。具体的には、オレイン酸オレイル(有機性値:720、IOB値:0.09)、ベヘン酸アラキル(有機性値:840、IOB値:0.07)、オレイン酸オクチルドデシル(有機性値:720、IOB値:0.09)、イソステアリン酸イソステアリル(有機性値:700、IOB値:0.09)等が挙げられる。本発明においては、塗布時のツヤ等の観点から、前記エステルがオレイン酸オレイルであることがより好ましい。
前記脂肪酸トリグリセリドは、脂肪酸とグリセリンのトリエステル体である。本発明においては、塗布時のツヤ等の観点から、25℃において高粘性液状、ペースト状又は固形状のいずれかの性状を呈する脂肪酸トリグリセリドが好ましい。
前記脂肪酸トリグリセリドにおいて、有機性値が700以上、IOB値が0.07以上であれば特に限定されるものではないが、乳化滴の平均粒子径、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、有機性値が800以上であることが好ましく、IOB値が0.07~0.3が好ましい。前記有機性値の上限は、大きければ大きいほど塗布時のツヤに優れるため、特に限定されるものではないが、通常、1500以下が好ましく、1300以下がより好ましい。
前記脂肪酸トリグリセリドのエステル部分を構成する脂肪酸は、特に限定されるものではないが、モノカルボン酸が好ましく、その炭化水素は飽和でも不飽和を有していても良く、分岐や環状であっても良い。具体的な、脂肪酸は上記した通りである。中でも、本発明においては、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、不飽和または分岐構造を有する脂肪酸が好ましい。具体的には、トリイソステアリン酸グリセリド(有機性値:1110、IOB値:0.16)、トリオレイン酸グリセリド(有機性値:1140、IOB値:0.16)、トリベヘン酸グリセリド(有機性値:1380、IOB値:0.13)等が挙げられる。
前記脂肪酸ステロールエステルは、脂肪酸とステロールのエステル体である。本発明においては、塗布時のツヤ等の観点から、25℃において高粘性液状又はペースト状を呈する脂肪酸ステロールエステルが好ましく、ペースト状を呈する脂肪酸ステロールエステルがより好ましい。
前記脂肪酸ステロールエステルにおいて、有機性値が700以上、IOB値が0.07以上であれば特に限定されるものではないが、乳化滴の平均粒子径、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、有機性値が800以上であることが好ましく、900以上であることがより好ましく、IOB値が0.1~0.3であることが好ましく、IOB値が0.1~0.2であることが好ましい。前記有機性値の上限は、大きければ大きいほど塗布時のツヤに優れるため、特に限定されるものではないが、通常、1200以下が好ましく、1000以下がより好ましい。
前記脂肪酸ステロールエステルのエステル部分を構成する脂肪酸は、特に限定されるものではないが、モノカルボン酸が好ましく、その炭化水素は飽和でも不飽和を有していても良く、分岐や環状であっても良い。具体的には、例えば、酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸、トリアコンタン酸等が挙げられる。単一組成の脂肪酸のほか、ヤシ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、マカデミアナッツ油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸、あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)であっても良い。中でも、本発明においては、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、不飽和または分岐構造を有する脂肪酸が好ましい。
また、前記脂肪酸ステロールエステルのエステル部分を構成するステロールは、特に限定されるものではないが、コレステロール又はフィトステロールであることが好ましく、フィトステロールであることがより好ましい。具体的には、オレイン酸フィトステリル(有機性値:920、IOB値:0.16)、イソステアリン酸フィトステリル(有機性値:900、IOB値:0.16)、オレイン酸コレステリル(有機性値:980、IOB値:0.16)、イソステアリン酸コレステリル(有機性値:870、IOB値:0.16)等が挙げられる。本発明においては、ツヤ付効果与等の観点から、前記脂肪酸ステロールエステルがオレイン酸フィトステリルであることがより好ましい。
前記N-アシルアミノ酸エステルは、化粧料等に一般に用いられるものであれば、特に限定されるものではない。本発明においては、塗布時のツヤ等の観点から、25℃において高粘性液状、ペースト状又は固形状のいずれかの性状を呈するN-アシルアミノ酸エステルが好ましい。
前記N-アシルアミノ酸エステルにおいて、有機性値が700以上、IOB値が0.07以上であれば特に限定されるものではないが、乳化滴の平均粒子径、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、有機性値が1000以上であることが好ましく、1100以上であることがより好ましく、IOB値が0.1~0.6であることが好ましく、IOB値が0.2~0.4であることが好ましい。前記有機性値の上限は、大きければ大きいほど塗布時のツヤに優れるため、特に限定されるものではないが、通常、1500以下が好ましく、1300以下がより好ましい。
前記N-アシルアミノ酸は、N-アシルアスパラギン酸、N-アシルグルタミン酸等が好ましく、アシル基としては炭素数8~22の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基が好ましく用いられる。例えば、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジイソステアリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル/ベヘニル)、ミリストイルメチル-β-アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)等が挙げられる。この中でも、N-アシルアミノ酸部分がラウロイルグルタミン酸であり、エステル中にステロール骨格を有するアシルアミノ酸エステルであることがより好ましく、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)(有機性値:1236、IOB値:0.3)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)(有機性値:1218、IOB値:0.3)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(有機性値:1214、IOB値:0.3)等が挙げられる。本発明においては、塗布時のツヤ等の観点から、前記N-アシルアミノ酸エステルが、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)及び/又はラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)であることがより好ましい。
前記脂肪酸ポリグリセリンエステルとしては、脂肪酸とポリグリセリンのエステル体である。本発明においては、塗布時のツヤ等の観点から、25℃において高粘性液状又はペースト状を呈する脂肪酸ポリグリセリンエステルが好ましい。
前記脂肪酸ポリグリセリンエステルにおいて、有機性値が700以上、IOB値が0.07以上であれば特に限定されるものではないが、乳化滴の平均粒子径、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、有機性値が1000以上であることが好ましく、2000以上であることがより好ましく、IOB値が0.1~0.5であることが好ましく、IOB値が0.2~0.4であることが好ましい。前記有機性値の上限は、大きければ大きいほど塗布時のツヤに優れるため、特に限定されるものではないが、通常、6000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。
前記脂肪酸ポリグリセリンエステルのエステル部分を構成する脂肪酸は、特に限定されるものではないが、モノカルボン酸が好ましく、その炭化水素は飽和でも不飽和を有していても良く、分岐や環状であっても良い。具体的な、脂肪酸は上記した通りである。中でも、本発明においては、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、不飽和または分岐構造を有する脂肪酸が好ましい。
また、前記脂肪酸ポリグリセリンエステルのエステル部分を構成するポリグリセリンは、特に限定されるものではないが、グリセリンの2~10量体であることがより好ましく、ジグリセリン、トリグリセリン(ポリグリセリン-3)、ポリグリセリン-4、ポリグリセリン-6、ポリグリセリン-10であることがさらに好ましい。具体的には、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(有機性値:1520、IOB値:0.17)、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-4(有機性値:2040、IOB値:0.23)、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-6(有機性値:2160、IOB値:0.33)、デカオレイン酸ポリグリセリル-10(有機性値:4200、IOB値:0.24)、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10(有機性値:4100、IOB値:0.25)等が挙げられる。本発明においては、前記脂肪酸ポリグリセリンエステルが、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10であることがより好ましい。
前記ダイマー酸誘導体は、2分子の不飽和脂肪酸の重合によって得られる2塩基酸のジエステル体である。本発明においては、塗布時のツヤ等の観点から、25℃において高粘性液状又はペースト状を呈するダイマー酸誘導体が好ましい。
前記ダイマー酸誘導体において、有機性値が700以上、IOB値が0.07以上であれば特に限定されるものではないが、乳化滴の平均粒子径、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、有機性値が1000以上であることが好ましく、1500以上であることがより好ましく、IOB値が0.08~0.3であることが好ましく、IOB値が0.09~0.2であることが好ましい。前記有機性値の上限は、大きければ大きいほど塗布時のツヤに優れるため、特に限定されるものではないが、通常、6000以下が好ましく、4500以下がより好ましい。
前記ダイマー酸誘導体のエステル部分を構成するダイマー酸は、特に限定されるものではないが、炭素数が11~22の不飽和脂肪酸の二量体が好ましい。具体的には、例えば、ダイマージリノール酸、ダイマージリノレイン酸、ダイマージオレイン酸、あるいは、これらの水素添加物などがある。
また、前記ダイマー酸誘導体のエステル部分を構成するアルコールは、特に限定されるものではないが、飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐状の炭素数が12~34である1価アルコールや環含有もしくは環状のステロール類を挙げることができる。具体的には、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル(有機性値:1420、IOB値:0.09)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル(有機性値:4300、IOB値:0.1)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(有機性値:1610、IOB値:0.11)、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物(有機性値:1500、IOB値:0.17)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)(有機性値:1620、IOB値:0.12)等が挙げられる。本発明においては、前記ダイマー酸誘導体が、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル及び/又はダイマージリノレイル水添ロジン縮合物であることがより好ましい。
上記成分の中でも、塗布時のツヤ等の観点から、シア脂、オレイン酸フィトステリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物からなる群から選択される1種又は2種以上であることが特に好ましい。
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化組成物中に、0.1~20%が好ましく、0.5~15%がより好ましく、1~10%がさらに好ましい。この範囲であれば、経時安定性、塗布時のツヤ及びべたつきの無さにより優れるためより好ましい
さらに、前記成分(B)の総量に対する有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油の含有量は、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%(水中油型乳化組成物中の成分(B)が、全て有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油である)が特に好ましい。この範囲とすることで、より経時安定性に優れ、塗布時のツヤの高い組成物を得ることができるためより好ましい。
本発明において、より安定性に優れる組成物を得るために、成分(A)及び成分(B)の比率を適宜設定することが可能である。成分(A)及び成分(B)の含有質量割合(B)/(A)は、特に限定されるものではないが、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。この範囲とすることで、経時安定性がより優れた組成物を得ることができるためより好ましい。なお、水中油型乳化組成物における含有質量割合(B)/(A)の下限は、油性成分に対するノニオン性界面活性剤の量が過剰になり、安定性が向上するため、特に限定されるものではないが、通常、0.1以上が好ましい。
(成分(C):ジプロピレングリコールを除く多価アルコール及びアルキレンオキシド誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上)
本発明に用いられる成分(C)は、ジプロピレングリコールを除く多価アルコール及びにアルキレンオキシド誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上である。成分(C)は、成分(A)及び成分(B)と両連続相を形成し、乳化滴の分散媒体として用いられる。
前記多価アルコールは、分子内に水酸基を2個以上有する化合物である。具体的には、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、トリプロピレングリコール、PEG-8などが挙げられる。また、前記アルキレンオキシド誘導体は、ポリオキシアルキレンが1価アルコールまたは多価アルコールに結合した化合物であり、ポリオキシアルキレングリセリン、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオキシブチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビット、ポリオキシアルキレンエリスリトールエーテル、ポリオキシアルキレンペンタエリスリトールエーテル、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレントリメチロールプロパン、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンキシリトール、ポリオキシアルキレンジペンタエリスリトール、ポリオキシアルキレンイノシトール、ポリオキシアルキレンスクロースエーテル、ポリオキシアルキレントレハロースエーテル、ポリオキシアルキレンマルチトールエーテル等が挙げられる。
本発明において、成分(C)は、塗布時のべたつきの無さ等の観点から、アルキレンオキシド誘導体であることが好ましく、ポリオキシアルキレングリセリン、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテルからなる群から選択される1種又は2種以上であることがより好ましく、経時安定性及び塗布時のツヤの観点から、ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルからなる群から選択される1種又は2種以上であることがさらに好ましく、ポリオキシエチレングリセリン(26E.O.)、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3B.O.)(8E.O.)(5P.O.)、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(10E.O.)、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(20E.O.)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(10E.O.)、ポリオキシプロピレンメチルメチルグルコシド(20E.O.)、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル(9E.O.)からなる群から選択される1種又は2種以上であることがさらにより好ましく、塗布時のツヤにより優れるという観点から、ポリオキシエチレングリセリン(26E.O.)であることが特に好ましい。
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化組成物中に、0.5~30%が好ましく、1~20%がより好ましく、2~15%がさらに好ましい。この範囲であれば、経時安定性及び塗布時のべたつきの無さにより優れるためより好ましい。
また、上記のように本発明における成分(C)は溶媒として機能するものであり、溶媒中にはその他水性成分を含有してもよい。成分(C)を含む溶媒に対する成分(C)の含有量は、特に限定されるものではないが、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、100%(溶媒がすべて成分(C)である)が特に好ましい。この範囲とすることで、安定性が向上し、またべたつきの無さに優れるため好ましい。なお、ここで溶媒とは、水以外の水溶性成分であり、例えば、ジプロピレングリコール等の成分(C)以外の多価アルコール、エタノール等の低級アルコール等が挙げられる。
本発明は、成分(A)~(D)を適宜含有することで得られるものではあるものの、前記成分(A)~(C)の含有する質量割合を特定することにより、経時安定性及びべたつきの無さ等の使用性により高い効果が期待できるため好ましい。このような含有質量割合(A)/{(A)+(B)+(C)}は、特に限定されるものではないが、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。なお、水中油型乳化組成物における含有質量割合(A)/{(A)+(B)+(C)}の上限は、界面活性剤である成分(A)に対する成分(B)及び成分(C)の割合が少なくなり、組成物として安定性に優れる方向であるため、特に限定されるものではないが、通常、0.8以下が好ましい。
(成分(D):水)
本実施形態は水中油型乳化組成物であり、水を含むものである。水は、分散媒体として用いられるものであり、特に限定されないが、例えば精製水、蒸留水、イオン交換水、水道水、温泉水、海洋深層水等があげられる。
成分(D)の含有量としては、特に限定されるものではないが、水中油型乳化組成物中、40%以上であることが好ましい。
本発明の水中油型乳化組成物には、上記した必須成分の他に、他の添加剤を添加してもよい。他の添加剤としては、例えば、成分(A)以外の界面活性剤、油性成分、水溶性高分子、低級アルコール、成分(C)以外の多価アルコール、アミノ酸、防腐剤、キレート剤、美容成分等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有することができる。
油性成分としては、特に限定されるものではなく、成分(B)中の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油以外のものである。具体的には、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化類剤、油溶性美容成分類等が挙げられる。
本実施形態の水中油型乳化組成物は、最終形態の化粧料又は皮膚外用剤としてそのまま用いてもよいし、当該水中油型乳化組成物を他の成分として混合して化粧料としてもよい。すなわち、第二実施形態は、第一実施形態の水中油型乳化組成物を含む、化粧料である。第二実施形態の化粧料は、水中油型乳化組成物の効果である、塗布時のツヤ、べたつきの無さ、経時安定性の向上といった効果が発揮されやすい。また、化粧料としても水中油型であることが好ましい。水中油型乳化化粧料としては、例えば、第一実施形態の水中油型乳化組成物に水性添加剤を添加して水中油型乳化化粧料とする形態(第一実施形態の水中油型乳化組成物および水性添加剤を含む、化粧料)、第一実施形態の水中油型乳化組成物に他の水中油型乳化組成物を添加して水中油型乳化化粧料とする形態などが挙げられる。
化粧料としては、例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、マッサージ化粧料、パック化粧料、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリーム、メイクアップ化粧料、化粧用下地化粧料、目元用クリーム、日焼け止め、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアミスト等の化粧料を例示することができる。また、皮膚外用剤としては、分散液、軟膏剤、ローション剤、エアゾール、貼付剤、パップ剤、リニメント剤等の皮膚外用剤を例示することができる。中でも、透明~半透明な外観を維持可能なほどに安定に微細乳化でき、皮膚や毛髪に適用することで、べたつくこと無く、より優れた塗布時のツヤを実感できるという点では、化粧水、乳液、クリーム、美容液、マッサージ化粧料、パック化粧料、ボディローション、ヘアミスト等の化粧料が好ましい。その使用方法は、手や指、コットンで使用する方法、不織布等に含浸させて使用する方法、毛髪に噴霧する方法等が挙げられる。また、化粧料の性状としては、液状、ゲル状、乳液状、クリーム状、半固形状、固形状のものが挙げられる。
化粧料中、水中油型乳化組成物の含有量は、特に限定されるものではないが、10~100%であることが好ましい。
化粧料に添加される他の成分(特に水性添加剤)としては、水溶性高分子、防腐剤、酸化防止剤、低級アルコール、美容成分等が挙げられる。
水溶性高分子としては、カラギーナン、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カルボマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)共重合体、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、ポリクオタニム―7、ポリクオタニム―10、ポリクオタニム―51、ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール等が挙げられる。
(製造方法)
本実施形態の水中油型乳化組成物は、成分(A)~(D)を混合することで得ることができ、例えば、成分(A)~(C)を混合した後に成分(D)を添加混合することで得ることができる。本発明においては、成分(A)~(C)を混合した後に、一部の成分(D)を添加混合し、その後更に成分(D)を添加することがより好ましい。この際、加熱は不要であるが、必要に応じ加熱しても良い。つまり、本実施形態において、成分(D)は1段階又は2段階で添加することができるが、2段階で添加することにより、成分(A)、成分(B)及び成分(C)が界面張力の低い両連続相を形成し、強力な機械力を加えることなく、微細な乳化滴を得ることができるためより好ましい。なお、成分(D)を2段階で添加する際、最初に添加する一部の成分(D)の含有量は、成分(A)~(C)によって適宜調整されるものであり、本発明においては外観が半透明になるまで添加混合することが好ましく、具体的には、成分(A)~(C)の合計含有量(A)+(B)+(C)に対して30~500%であることがより好ましい。この範囲とすることで、平均粒子径が200nm以下の微細な乳化滴とすることができ、経時安定性により優れた水中油型乳化組成物とすることができるためより好ましい。このようにして得られた水中油型乳化組成物に、各種水性添加剤を添加、混合して化粧料としてもよい。ここで、上記の外観が半透明になるまで添加するの「半透明」とは、目視により半透明と判断できれば特に制限されるものではないが、分光光度計(セルの光路長:10mm、光の波長700nm)で測定される透過率が30%以上であることが好ましい。分光光度計として特に限定されないが、「UV-2500PC UV-VIS REDCORDING SPECTROPHOTOMETER」(SHIMADZU社製)等を用いることができる。
本発明の効果を、以下の実施例及び比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。なお、表中の「極性油」は、成分(B)の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を表す。
実施例1~29及び比較例1~9:水中油型乳化組成物(化粧水)
下記表1~3に示す処方の水中油型乳化組成物を調製し、平均粒子径、経時安定性(室温/14日)、塗布時のツヤ、塗布時のべたつきの無さについて下記の方法により評価した。その結果も併せて表1-3に示す。
表1
Figure 2023089638000001
表2
Figure 2023089638000002
表3
Figure 2023089638000003
注1:エルデュウ PS-203(味の素社製)
注2:エルデュウ PS-304(味の素社製)
注3:LUSPLAN DA-DD-IS(日本精化社製)
注4:LUSPLAN DD-DHR(日本精化社製)
注5:Sフェイス IS-1009P(阪本薬品工業社製)
注6:ライステロールエステル(築野ライスファインケミカルズ社製)
注7:リペックスシア(Aarhus Karlshamn Sweden AB社製)
注8:精製ホホバ油(高級アルコール工業社製)
注9:オリーブ油R-X(日油社製)
注10:SUPER REFINED CRODAMOL OO(CRODA社製)
注11:NIKKOL EOO(日本サーファクタント工業社製)
注12:シリコン KF-56(信越化学工業社製)
注13:LIPONIC EG-1(LIPO CHEMICALS INC社製)
注14:ウィルブライド S-753D(日油社製)
注15:マクビオブライド MG-10E(日油社製)
注16:マクビオブライド MG-10P(日油社製)
注17:SY-DP9(阪本薬品工業社製)
(製造方法)
A.成分(1)~(31)均一に混合する。
B.Aに成分(32)の一部を外観が半透明になるまで添加混合し、その後、残りの成分(32)を更に添加し乳化することで水中油型乳化組成物を得た。
(評価方法1:平均粒子径)
平均粒子径については、プラスチックキュベットUVette 220-1600 nm(Eppendorf社製)に各試料を充填し、リアルタイムナノ粒子径測定装置DelsaMax CORE(ベックマン・コールター株式会社製)にて製造直後の平均粒子径を測定し、下記4段階判定基準により判定した。
4段階判定基準
(判定) :(判定基準)
◎(優) :平均粒子径が50nm以下
〇(良) :平均粒子径が50nmより大きく200nm以下
△(やや不可):平均粒子径が200nmより大きく1000nm以下
×(不可) :平均粒子径が1000nmより大きい
(評価方法2:経時安定性)
経時安定性については、調製後の各試料を8号規格瓶に30g充填し、室温にて14日間保管したものを、下記4段階判定基準により判定した。
4段階判定基準
(判定) :(判定基準)
◎(優) :油浮きがなく均一である
〇(良) :わずかに油浮きが見られるが、軽く振盪することで均一にもどる
△(やや不可):油浮きが見られ、軽い振盪では均一にならない
×(不可) :油層が分離している
(評価方法3:塗布時のツヤ)
20代~40代の女性で官能評価の訓練を受け、一定の基準で評価が可能な化粧品専門評価パネルを10名選定した。各試料について化粧品専門評価パネルが皮膚に塗布した時に感じるツヤを下記絶対評価にて5段階に評価し評点を付け、試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
絶対評価基準
(評点) :(評価)
5点 :非常に肌にツヤがあると感じる
4点 :肌のツヤがあると感じる
3点 :やや肌のツヤがあると感じる
2点 :あまり肌のツヤがあると感じない
1点 :肌のツヤがあると感じない
4段階判定基準
(判定) :(評点の平均点)
◎(優) :4点を超える :非常に良好
○(良) :3点を超える4点以下 :良好
△(やや不可):2点を超える3点以下 :やや不良
×(不可) :2点以下 :不良
(評価方法4:塗布時のべたつきの無さ)
20代~40代の女性で官能評価の訓練を受け、一定の基準で評価が可能な化粧品専門評価パネルを10名選定した。各試料について化粧品専門評価パネルが皮膚に塗布した時に感じるべたつきの無さを下記絶対評価にて5段階に評価し評点を付け、試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
絶対評価基準
(評点) :(評価)
5点 :べたつきを感じない
4点 :ほとんどべたつきを感じない
3点 :ややべたつきを感じる
2点 :べたつきを感じる
1点 :非常にべたつきを感じる
4段階判定基準
(判定) :(評点の平均点)
◎(優) :4点を超える :非常に良好
○(良) :3点を超える4点以下 :良好
△(やや不可):2点を超える3点以下 :やや不良
×(不可) :2点以下 :不良
表1~3の結果から明らかなように、実施例1~29の水中油型乳化組成物は、比較例1~9の水中油型乳化組成物に比べ、平均粒子径、経時安定性、塗布時のツヤ、塗布時のべたつきの無さの全てにおいて優れたものであった。
これに対して、成分(A)の加重平均HLBが11より大きい比較例1では平均粒子径が1000nm以上と大きく、経時安定性及び塗布時のべたつきの無さの項目において劣るものであった。また、成分(A)としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含まない比較例2及び3においても、平均粒子径が1000nm以上と大きく、経時安定性及び塗布時のべたつきの無さの項目において劣るものであった。成分(B)の極性油が、有機性値700未満である比較例4及び5は、平均粒子径が200nmより大きく、経時安定性、塗布時のツヤ、塗布時のべたつきの無さにおいて劣るものであった。さらに、成分(B)の極性油の代わりにシリコーン油又は炭化水素油を含有する比較例6及び7は、平均粒子径が1000nm以上と大きく、経時安定性及び塗布時のツヤにおいて劣るものであった。また、成分(C)の代わりにジプロピレングリコール又はエタノールを用いた比較例8及び9に関しては、平均粒子径が1000nm以上と大きく、経時安定性、塗布時のツヤ、塗布時のべたつきの無さにおいて劣るものであった。
実施例30:化粧水
(成分) (質量%)
(1)ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(成分(B))

(2)PEG-20水添ヒマシ油(成分(A)) 2
(3)ジ(C12-15)パレス―8リン酸 0.05
(4)ポリオキシエチレングリセリン(26E.O.)(成分(C)) 4
(5)アスタキサンチン(成分(B)) 0.002
(6)イソプロピルメチルフェノール(成分(B)) 0.01
(7)ビタミンE(成分(B)) 0.03
(8)精製水(成分(D)) 50
(9)グリセリン 5
(10)ジプロピレングリコール 5
(11)1,3-ブチレングリコール 5
(12)精製水 残量
(13)エタノール 8
(14)フェノキシエタノール 0.2
(15)ナイアシンアミド 3
(16)ベタイン 1
(17)乳酸ナトリウム 1
(18)ポリクオタニウム-51 注18 0.01
(19)シクロヘキサン-1,4―ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 注19

(20)アルカリゲネス産生多糖体 注20 0.01
注18:LIPIDURE PMB(BG)(日油社製)
注19:NEOSOLUE-AQULIO(日本精化社製)
注20:アルカシーラン(伯東社製)。
(製造方法)
A.成分(1)~(7)を均一に混合する。
B.Aに成分(8)の一部を外観が半透明になるまで添加混合し、その後成分(8)の残りを更に添加し乳化することで水中油型乳化組成物を得た。当該水中油型乳化組成物は、25℃で液状であり、平均粒子径が200nm以下であった。また、経時安定性、塗布時のツヤ及びべたつきの無さに優れるものであった。
C.Bに成分(9)~(20)を混合する。
D.Cを容器に充填して化粧水を得た。
以上のようにして得られた化粧水は、皮膚塗布直後に高いツヤが付与され、べたつきが無く、経時安定性にも優れるものであった。
実施例31:化粧水
(成分) (質量%)
(1) ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(成分(B))

(2)PEG-20水添ヒマシ油(成分(A)) 2
(3)ポリオキシエチレンメチルグルコシド(10E.O.)(成分(C))

(4)コレステロール(成分(B)) 0.01
(5)セラミド3(成分(B)) 0.01
(6)ビタミンE(成分(B)) 0.01
(7)精製水(成分(D)) 40
(8)グリセリン 5
(9)1,3-ブチレングリコール 10
(10)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(11)精製水 残量
(12)エタノール 5
(13)アスコルビン酸グルコシド 3
(14)アルブチン 1
(15)乳酸ナトリウム 2
(16)ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール 注21 0.01
(17)水酸化ナトリウム 0.13
(18)リン酸一水素ナトリウム 0.1
(19)リン酸二水素ナトリウム 0.1
(20)キサンタンガム 0.05
注21:LIPIDURE HM-600(日油社製)
(製造方法)
A.成分(1)~(6)を約80℃に加熱し、均一に混合する。
B.Aに約80℃に加熱した成分(7)を徐々に添加し乳化させた後、冷却することで水中油型乳化組成物を得た。当該水中油型乳化組成物は、25℃で液状であり、平均粒子径が200nm以下であった。また、経時安定性、塗布時のツヤ及びべたつきの無さに優れるものであった。
C.Bに成分(8)~(20)を混合する。
D.Cを容器に充填して化粧水を得た。
以上のようにして得られた化粧水は、皮膚塗布直後に高いツヤが付与され、べたつきが無く、経時安定性に優れるものであった。
実施例32:含浸シート化粧料
(成分) (質量%)
(1) シア脂(成分(B)) 0.5
(2) コメヌカ油(成分(B)) 0.5
(3) スクワラン(成分(B)) 0.5
(4)PEG-10水添ヒマシ油(成分(A)) 0.5
(5)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)(成分(A))
0.5
(6)PEG/PPG/ポリブチレングリコール―8/5/3グリセリン(成分(C))

(7)精製水(成分(D)) 50
(8)精製水 残量
(9)グリセリン 6
(10)ジグリセリン 1
(11)1,3-ブチレングリコール 5
(12)エタノール 2
(13)フェノキシエタノール 0.3
(14)水酸化ナトリウム 0.15
(15)ヒアルロン酸 0.01
(16)加水分解コラーゲン 0.01
(17)エデト二酸ナトリウム 0.02
(18)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
(19)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.2
(20)カルボキシビニルポリマー 0.12
(製造方法)
A.成分(1)~(6)を均一に混合する。
B.Aに成分(7)を徐々に添加し、乳化することで水中油型乳化組成物を得た。当該水中油型乳化組成物は、25℃で液状であり、平均粒子径が200nm以下であった。また、経時安定性、塗布時のツヤ及びべたつきの無さに優れるものであった。
C.Bで得られた水中油型乳化組成物に成分(8)~(20)を混合する。
D.Cをアルミラミネートの袋状容器に密封充填し、含侵シート化粧料を得た。
以上のようにして得られた含浸シート化粧料は、皮膚塗布直後に高いツヤが付与され、べたつきが無く、経時安定性に優れるものであった。
実施例33:ヘアミスト
(成分) (質量%)
(1)ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(成分(B))

(2)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分(B)) 1
(3)PEG-20水添ヒマシ油(成分(A)) 1
(4)クオタニウム―33 0.1
(5)ポリオキシエチレングリセリン(26E.O.)(成分(C)) 2
(6)オリーブ脂肪酸エチル(成分(B)) 0.2
(7)精製水(成分(D)) 40
(8)精製水 残量
(9)エタノール 10
(10)フェノキシエタノール 0.2
(11)シロキクラゲキス 注22 0.01
(12)ベタイン 1
(13)クエン酸 0.02
(14)ポリクオタニウム-51 0.01
注22:TREMOIST-TP(日本精化社製)
(製法)
A.成分(1)~(6)を均一に混合する。
B.Aに成分(7)の一部を外観が半透明になるまで添加混合し、その後成分(7)の残りを添加し乳化することで水中油型乳化組成物を得た。当該水中油型乳化組成物は、25℃で液状であり、平均粒子径が200nm以下であった。また、経時安定性、塗布時のツヤ及びべたつきの無さに優れるものであった。
C.Bで得られた水中油型乳化組成物に成分(8)~(14)を混合する。
D.Cをミスト容器に充填し、ヘアミストを得た。
以上のようにして得られたヘアミストは、毛髪塗布直後に高いツヤが付与され、べたつきが無く、経時安定性に優れるものであった。
実施例34:乳液
(成分) (質量%)
(1)スクワラン 5
(2)コレステロール 3
(3)PEG-60水添ヒマシ油 2
(4)ベヘニルアルコール 0.5
(5)1,3-ブチレングリコール 7
(6)グリセリン 5
(7)アクリル酸-メタクリル酸アルキル共重合体 注23 0.2
(8)キサンタンガム 0.1
(9)トリエタノールアミン 0.2
(10)エデト酸二ナトリウム 0.02
(11)精製水 残量
(12)香料 0.05
(13)フェノキシエタノール 0.2
(14)オレイン酸フィトステリル(成分(B)) 1
(15)PEG-10水添ヒマシ油(成分(A)) 0.45
(16)PEG-30水添ヒマシ油(成分(A)) 0.6
(17)ポリオキシエチレンメチルグルコシド(10E.O.)(成分(C))

(18)精製水(成分(D)) 15
注23:ペミュレンTR-2(NOVEON社製)
(製造方法)
A.成分(1)~(6)を80℃にて加熱溶解する。
B.成分(7)~(13)を80℃にて加熱後、Aに添加し乳化する。
C.Bを室温まで冷却する。
D.成分(14)~(17)を均一に混合する。
E.Dに成分(18)を徐々に添加し、乳化することで水中油型乳化組成物を得た。当該水中油型乳化組成物は、25℃で液状であり、平均粒子径が200nm以下であった。また、経時安定性、塗布時のツヤ及びべたつきの無さに優れるものであった。
F:EにCを添加混合し、乳液を得た。
以上のようにして得られた乳液は、皮膚塗布直後に高いツヤが付与され、べたつきが無く、経時安定性に優れるものであった。
実施例35:ローション剤
(成分) (質量%)
(1)ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(成分(B))

(2)スクワラン(成分(B)) 1
(3)PEG-20水添ヒマシ油(成分(A)) 2
(4)ポリオキシエチレングリセリン(26E.O.)(成分(C)) 4
(5)精製水(成分(D)) 35
(6)精製水 残量
(7)グリセリン 10
(8)1,3-ブチレングリコール 5
(9)尿素 5
(10)グリチルリチン酸二カリウム 0.5
(11)酢酸トコフェロール 0.5
(12)フェノキシエタノール 0.2
(13)キサンタンガム 0.1
(製造方法)
A.成分(1)~(4)を均一に混合する。
B.Aに成分(5)の一部を外観が半透明になるまで添加混合した後、残りの成分(5)を更に添加し乳化することで水中油型乳化組成物を得た。当該水中油型乳化組成物は、25℃で液状であり、平均粒子径が200nm以下であった。また、経時安定性、塗布時のツヤ及びべたつきの無さに優れるものであった。
C.Bに成分(6)~(13)を混合する。
D.Cを容器に充填してローション剤を得た。
以上のようにして得られたローション剤は、皮膚塗布直後に高いツヤが付与され、べたつきが無く、経時安定性に優れたものであった。

Claims (11)

  1. 次の成分(A)~(D)を含有する水中油型乳化組成物であって、
    成分(C)及び成分(D)を含有する水性溶媒中に、成分(A)により乳化された成分(B)が分散され、乳化粒子の平均粒子径が200nm以下である水中油型乳化組成物。
    (A)少なくとも1種のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含み、加重平均HLBが9以上11以下であるノニオン性界面活性剤
    (B)少なくとも1種の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を含有する油性成分
    (C)ジプロピレングリコールを除く多価アルコール及びアルキレンオキシド誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上
    (D)水
  2. 前記成分(A)のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が、エチレンオキシドの平均付加モル数が20であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  3. 前記成分(B)の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油が、
    25℃でペースト状を呈する脂肪酸ステロールエステル、25℃で高粘性液状、ペースト状及び固形状のいずれかの性状を呈するN-アシルアミノ酸エステル、25℃でペースト状又は固形状を呈する植物性油脂、25℃で高粘性液状又はペースト状を呈するポリグリセリン脂肪酸エステル、及び25℃で高粘性液状又はペースト状を呈するダイマー酸誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. 前記成分(C)がアルキレンオキシド誘導体である請求項1~3のいずれかの項に記載の水中油型乳化組成物。
  5. 前記成分(C)のアルキレンオキシド誘導体が、ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルからなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1~4のいずれかの項に記載の水中油型乳化組成物。
  6. 前記成分(A)及び成分(B)の含有質量割合(B)/(A)が、3以下である請求項1~5のいずれかの項に記載の水中油型乳化組成物。
  7. 前記成分(B)の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油が、シア脂、オレイン酸フィトステリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1~6のいずれかの項に記載の水中油型乳化組成物。
  8. 前記成分(B)に対する、有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油の含有量が50質量%以上である請求項1~7のいずれかの項に記載の水中油型乳化組成物。
  9. 前記成分(A)~(C)の含有質量割合(A)/{(A)+(B)+(C)}が0.1以上である請求項1~8のいずれかの項に記載の水中油型乳化組成物。
  10. 請求項1~9に記載の水中油型乳化組成物を含む化粧料又は皮膚外用剤。
  11. 成分(A)少なくとも1種のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含み、加重平均HLBが9以上11以下であるノニオン性界面活性剤、成分(B)少なくとも1種の有機性値が700以上、かつIOB値が0.07以上の極性油を含有する油性成分、及び成分(C)ジプロピレングリコールを除く多価アルコール及びアルキレンオキシド誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上の水溶性溶媒を混合した後に、成分(D)水の一部、具体的には(A)、(B)及び(C)の合計量の30~500質量%を添加し、次いで、さらに残りの成分(D)水を添加することを特徴とする平均粒子径が200nm以下の水中油型乳化組成物の製造方法。

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