JP2023088558A - 窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い熱伝導性及び耐水性を有する窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末およびその製造方法を提供する。【解決手段】(I)窒化アルミニウム粉末の表面を特定のシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物により覆い、有機シリコーン被覆粉末を得る工程と、(II)前記有機シリコーン被覆粉末を窒素雰囲気中で1,300~1,600℃の温度で加熱して還元窒化させ、窒化アルミニウム粉末表面に窒化ケイ素被膜を形成して窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得る工程と、を含む窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法および窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末に関する。
シリコーンゴム、シリコーングリス、シリコーン接着剤にアルミナや窒化ホウ素などのフィラーが充填されている放熱材料は、例えば、放熱シートや放熱グリスとして各種電子機器に広く使用されている。窒化アルミニウムは、電気絶縁性に優れており且つ高熱伝導性を有していることから、このような放熱材料のフィラーとして注目されている。
しかしながら、窒化アルミニウムは、水分との反応で加水分解を引き起こし、熱伝導性の低い水酸化アルミニウムに変性する。また、窒化アルミニウムは、加水分解の際に腐食性を持つアンモニアが発生する。
このような問題を解決するための手段として、例えば特許文献1には、窒化アルミニウム粒子の表面を、特定のSi-H基を含む有機シリコーン化合物により覆い、この窒化アルミニウム粒子を大気中で300℃以上1000℃未満の温度で加熱して表面にSiO被膜を形成する方法が提案されている。しかしながら、この方法で形成されるSiO被膜を有する窒化アルミニウム粒子は熱伝導性が低く、また耐水性も不十分であるため、熱伝導性及び耐水性に優れる表面処理窒化アルミニウム粉末およびその製造方法が求められている。
特許文献2には、大気圧プラズマCVD法を利用し窒化アルミニウム粉末の表面に窒化ケイ素からなる被覆膜を形成する方法が提案されている。しかしながら、この方法では大気圧プラズマ重合装置が必須であり、反応ガスの流入条件により必ずしも均一、均質な窒化ケイ素被膜にはならず、耐水性の向上は困難である。
特許第6687818号公報 特開2019-172511号公報
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、高い熱伝導性及び耐水性を有する表面処理窒化アルミニウム粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
窒化アルミニウム粉末と、前記窒化アルミニウム粉末の表面を覆う窒化ケイ素被膜とを備える窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法であって、
(I)前記窒化アルミニウム粉末の表面を下記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物により覆い、有機シリコーン被覆粉末を得る工程と、
(II)前記有機シリコーン被覆粉末を窒素雰囲気中で1,300~1,600℃の温度で加熱して還元窒化させ、前記窒化アルミニウム粉末表面に前記窒化ケイ素被膜を形成して前記窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得る工程と、
を含む窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法を提供する。
Figure 2023088558000002
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
このような製造方法であれば、高い熱伝導性及び耐水性を有する窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得ることができる。このような製造方法で得られる窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末であれば、放熱材料用フィラーとして好適に使用できる。
また、本発明において、前記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物を、下記式(2)で示される有機シリコーン化合物とすることが好ましい。
Figure 2023088558000003
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
このような製造方法によれば、より高い熱伝導性を有し、耐水性が向上した窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得ることができる。
また、本発明では、
窒化アルミニウム粉末と、前記窒化アルミニウム粉末の表面を覆う窒化ケイ素被膜とを備える窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末であって、
前記窒化ケイ素被膜が、下記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物の還元窒化生成物である窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を提供する。
Figure 2023088558000004
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
このような窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末であれば、高い熱伝導性及び耐水性を有することができる。このような窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末であれば、放熱材料用フィラーとして好適に使用できる。
また、本発明において、前記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物が、下記式(2)で示される有機シリコーン化合物であることが好ましい。
Figure 2023088558000005
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
このような窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末であれば、より高い熱伝導性と、向上した耐水性を得ることができる。
また、本発明において、前記窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末は、蒸留水に5質量%分散させて25℃で120時間振とうした後の抽出水のpHが6~8となるものであることが好ましい。
このような窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末であれば、優れた耐水性を得ることができる。
以上のように、本発明の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法であれば、高い熱伝導性を維持し、耐水性が向上した表面処理窒化アルミニウム粉末を製造することができる。また、本発明の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法により製造される窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末は、熱伝導性及び耐水性に優れるため放熱材料用フィラーとして信頼性の高いものである。
実施例1で得られた窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末のSEM写真である。
上述のように、熱伝導性及び耐水性に優れる表面処理窒化アルミニウム粉末およびその製造方法が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、本発明の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末および、後述する窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法であれば、目的とする性状の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
窒化アルミニウム粉末と、前記窒化アルミニウム粉末の表面を覆う窒化ケイ素被膜とを備える窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法であって、
(I)前記窒化アルミニウム粉末の表面を下記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物により覆い、有機シリコーン被覆粉末を得る工程と、
(II)前記有機シリコーン被覆粉末を窒素雰囲気中で1,300~1,600℃の温度で加熱して還元窒化させ、前記窒化アルミニウム粉末表面に前記窒化ケイ素被膜を形成して前記窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得る工程と、
を含む窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法である。
Figure 2023088558000006
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
また、本発明は、
窒化アルミニウム粉末と、前記窒化アルミニウム粉末の表面を覆う窒化ケイ素被膜とを備える窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末であって、
前記窒化ケイ素被膜が、下記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物の還元窒化生成物である窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末である。
Figure 2023088558000007
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本明細書において、平均粒径は、後述する実施例に示す方法によって測定した値である。
[工程(I)]
工程(I)は、窒化アルミニウム粉末の表面を後述の有機シリコーン化合物により覆い、有機シリコーン被覆粉末を得る工程である。
[窒化アルミニウム粉末]
本発明の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法において、出発原料として用いられる窒化アルミニウム粉末は、市販品など公知のものを使用することができる。窒化アルミニウム粉末の製法としては、特に制限はなく、例えば、金属アルミニウム粉と窒素を直接反応させる直接窒化法、アルミナや水酸化アルミニウムをカーボンと混合し、窒素雰囲気中で加熱する還元窒化法などがある。
本発明で用いられる窒化アルミニウム粉末の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、無定状、球状、板状(鱗片状)などが挙げられる。また、窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を、放熱用のフィラーとして樹脂などに分散させる場合、窒化アルミニウム粉末としては、同一の形状、構造を有する同じ種類の窒化アルミニウム粉末のみを用いてもよいが、異なる形状、構造を持つ2種類以上の異種の窒化アルミニウム粉末を種々の割合で混合した窒化アルミニウム粉末の混合物を用いることもできる。
[有機シリコーン化合物]
本発明の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法において、窒化アルミニウム粉末を覆う窒化ケイ素被膜の原料として用いられる有機シリコーン化合物は、下記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物であれば、直鎖状、環状または分岐鎖状の形態にかかわらず、特に制限なく使用できる。
Figure 2023088558000008
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
上記式(1)において、Rは炭素数1~4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、t-ブチル基などが挙げられ、好ましくはメチル基である。
また、本発明では、上記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物を、下記式(2)で示される有機シリコーン化合物とすることが好ましい。
Figure 2023088558000009
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
本発明において、上記窒化アルミニウム粉末の表面を、上記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物により覆い有機シリコーン被覆粉末を得る方法は限定されないが、一般的な粉体混合装置を用いて、原料の窒化アルミニウム粉末を攪拌しながら有機シリコーン化合物を噴霧などで添加して、乾式混合することで被覆する乾式混合法などが挙げられる。粉体混合装置としては、例えば、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(何れも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等がある。この場合における温度条件は、有機シリコーン化合物の沸点、蒸気圧にもより、特に限定されないが、好ましい温度は10℃以上200℃以下であり、より好ましくは20℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上100℃以下の範囲である。
上記有機シリコーン化合物の使用量は、特に限定されないが、窒化アルミニウム粉末に対して1~50質量%であることが好ましく、より好ましくは2~30質量%、さらに好ましくは5~20質量%である。この理由としては1質量%以上とすることにより被覆量が多い均一な窒化ケイ素被膜を形成でき、また、50質量%以下とすることで、熱伝導率を低下させることの少ない窒化ケイ素被膜を形成できるためである。
[工程(II)]
工程(II)は、有機シリコーン被覆粉末を窒素雰囲気中で1,300~1,600℃の温度で加熱して還元窒化させ、窒化アルミニウム粉末表面に窒化ケイ素被膜を形成して窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得る工程である。
上記有機シリコーン化合物により覆われた窒化アルミニウム粉末(有機シリコーン被覆粉末)を、窒素雰囲気中で1,300℃~1,600℃、好ましくは1,400℃~1,600℃、より好ましくは1,450~1,550℃の温度で加熱することにより、有機シリコーン化合物中のアルキル基、フェニル基等の炭化水素基が炭素源となり還元窒化が進行し、窒化アルミニウム粉末(粒子)表面に窒化ケイ素被膜を形成することができる。
この還元窒化工程での加熱が1,300℃未満の場合は、窒化アルミニウム粉末表面に十分な窒化ケイ素被膜が形成されず、また、1,600℃を超える場合は、窒化アルミニウム粉末表面に、ケイ素-アルミニウム複合物の被膜が形成され、窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の耐水性が低下したり、熱伝導率が低下する場合がある。
加熱方法としては、特に限定されず、上記温度で加熱できるものであれば一般の加熱炉を使用することができる。
加熱時間としては、0.5~12時間が好ましく、1~6時間がより好ましく、さらに好ましくは2~4時間の範囲である。熱処理時間が0.5時間以上であれば還元窒化が十分に進行し、窒化アルミニウム粒子表面に十分な窒化ケイ素被膜を形成することができる。12時間以下であれば、加熱時間が長くなりすぎず、経済的である。
[窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末]
本発明の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末は、窒化アルミニウム粉末と、窒化アルミニウム粉末の表面を覆う窒化ケイ素被膜とを備える窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末であって、窒化ケイ素被膜が、上述の有機シリコーン化合物の還元窒化生成物である窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末である。
本発明の製造方法により得られる窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末は、フラックス剤等を用いずに製造されているため、不純物の陽イオン含量は極めて少なく、例えば、0.3質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらにより好ましい。
本発明の製造方法により得られる窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末は、窒化ケイ素被膜により耐水性に優れ、窒化アルミニウムの加水分解に伴うアンモニアの発生を抑制することができる。
ここで、耐水性は、水を抽出溶媒に用いた固液抽出における抽出水のpHにより評価することができる。具体的には、窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を蒸留水に5質量%分散させ、25℃で120時間振とうした後の抽出水のpHが6~8であることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末は、窒化アルミニウム粉末に由来する高熱伝導性を有し、かつ、耐水性にも優れているため、電気電子分野などで使用される放熱材料用途のフィラーとして広く適用できる。窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末のレーザ回折法による体積メジアン径(D50)は、10~150μm、特に20~100μmが好ましく、このような範囲であれば、成形性を損なわずに樹脂等のバインダに高充填するために適している。
放熱材料のマトリックスとなる樹脂、グリスとして、シリコーンゴム、EPR、SBR等のゴム類、シリコーンオイル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。放熱材料には、樹脂又はグリス100質量部あたり150~1000質量部の本発明の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を添加しても良い。
このような放熱材料には、本発明の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末以外に、アルミナ、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭化珪素、グラファイトなどのフィラーを一種、または二種以上を充填しても良い。これらのフィラーとして、例えばシランカップリング剤やリン酸又はリン酸塩などで表面処理したものを用いることができる。放熱材料の特性や用途に応じて、本発明の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末とそれ以外のフィラーの形状、粒径を選択することができる。
さらに、放熱材料には、可塑剤、加硫剤、硬化促進剤、離形剤等の添加剤を添加しても良い。
以下、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例における各種物性は、下記の方法により測定した。
(1)粒径(D50)
測定する試料をホモジナイザーにてイオン交換水中に分散させ、レーザ回折粒度分布装置(日機装(株)製MICROTRAC MT3300EXII)にて体積積算で50%となる粒径(D50)を測定した。
(2)耐水性
250mlのポリエチレン製容器に窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末5g及び蒸留水95gを入れた後、栓をして振とう機を用いて25℃で120時間振とうさせ、次いで濾紙を用いて濾液を採取し、そのpHを(株)堀場製作所のpH測定機(型式F-15)を用いて測定した。
(3)陽イオン不純物含有量(金属元素濃度)
窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末をアルカリ溶融後、酸で中和し、島津製作所製ICP-1000を使用して溶液のICP発光分析によりSi、Na、Feの含有量を定量した。
(4)シリコーンゴムシートの熱伝導率
窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末1,000質量部に付加硬化型シリコーンゴム(信越化学工業製KE-106/CAT-RG)100質量部が配合された熱伝導性シリコーンゴム組成物を、150℃で20分間加圧プレスし、10cm×6cm、厚さ2mmの大きさに成形して得た熱伝導性シリコーンゴムシートについて、熱伝導率計(京都電子工業製QTM-500)を用いて熱伝導率を測定した。
(5)シリコーンゴムシートの硬度
(4)で得た熱伝導性シリコーンゴムシートについて、JIS K6253に準拠してデュロメータA硬度計を用いて硬度を測定した。
(6)引張強度
(4)で得た熱伝導性シリコーンゴムシートについて、JIS K6301に準拠して引張試験を行い、破断時の引張強度を測定した。
実施例及び比較例で用いた有機シリコーン化合物を以下に示す。
Figure 2023088558000010
[実施例1]
出発原料の球状アルミナ水和物粉末として、レーザ回折粒度分布装置による平均粒径(D50):100μm、真球度:0.92の球状水酸化アルミニウム粉末(たとえば日本軽金属社製SB93:BET比表面積;0.07m/g)120gと嵩密度が0.04g/mlであるカーボン粉末(たとえばデンカ社製デンカブラック粉状)40gとを混合した。次いで、混合粉末をカーボン製容器に充填し、窒素流通下2,000℃で3時間還元窒化させた後、空気流通下700℃で3時間酸化処理を行って球状窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた球状窒化アルミニウム粉末100gに対して、有機シリコーン化合物A-1を10g混合し、プラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)に投入し、25℃で10分間攪拌混合して有機シリコーン被覆粉末を得、次いで、窒素雰囲気中で1,500℃、3時間加熱して還元窒化させて窒化ケイ素被膜を形成させ、窒化ケイ素被膜を有する表面処理窒化アルミニウム粉末(窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末)を得た。前述の方法にて、粒径(D50)、耐水性、陽イオン不純物含有量を測定した結果を表1に示す。また、得られた窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の走査電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。
上記で得られた窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末1,000質量部と、付加硬化型シリコーンゴム(信越化学工業製KE-106/CAT-RG)100質量部とを自転・公転ミキサーにて混練した。次いで、150℃で20分間加圧プレスして、縦10cm、横6cm、厚さ2mmのシートを得た。
得られたシートについて、前述した方法で熱伝導率、硬度、引張強度を測定した結果を表1に示す。
[実施例2]
有機シリコーン化合物A-1の配合量を20gとした以外は実施例1と同様にして窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末について、実施例1と同様に、平均粒径、耐水性、陽イオン不純物含有量を測定し、また、実施例1と同様に、窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末が配合されたシリコーンゴムシートについて、実施例1と同様に、熱伝導率、硬度、引張強度を測定した結果を表1に示す。
[実施例3]
還元窒化条件を1,450℃、2時間とした以外は、実施例1と同様にして窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末について、実施例1と同様に、平均粒径、耐水性、陽イオン不純物含有量を測定し、また、実施例1と同様に、窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末が配合されたシリコーンゴムシートについて、実施例1と同様に、熱伝導率、硬度、引張強度を測定した結果を表1に示す。
[比較例1]
有機シリコーン化合物A-1に代えて有機シリコーン化合物A-2を10g用いた以外は実施例1と同様にして窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末について、実施例1と同様に、平均粒径、耐水性、陽イオン不純物含有量を測定し、また、実施例1と同様に、窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末が配合されたシリコーンゴムシートについて、実施例1と同様に、熱伝導率、硬度、引張強度を測定した結果を表1に示す。
[比較例2]
有機シリコーン化合物A-1に代えて有機シリコーン化合物A-2を20g用いた以外は実施例1と同様にして窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得た。
得られた窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末について、実施例1と同様に、平均粒径、耐水性、陽イオン不純物含有量を測定し、また、実施例1と同様に、窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末が配合されたシリコーンゴムシートについて、実施例1と同様に、熱伝導率、硬度、引張強度を測定した結果を表1に示す。
Figure 2023088558000011
<評価結果>
比較例1~2の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を水に加えて25℃で120時間振とうさせた後の濾液のpHは、比較例1で11、比較例2で10であったことから、比較例1~2の窒化ケイ素被膜下の窒化アルミニウムは加水分解され、比較例1~2の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末は耐水性に劣ることが分かった。一方、実施例1~3の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を上記と同様に処理した濾液のpHはいずれも7であり、実施例1~3の窒化ケイ素被膜下の窒化アルミニウムは加水分解されず、実施例1~3の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末は耐水性に優れていることが分かった。
従って、本発明の製造方法で形成される窒化アルミニウム粉末上の窒化ケイ素被膜は耐水性に優れることが示された。
実施例1~3の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を配合したシリコーンゴムシートの熱伝導率は、比較例1~2の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を使用したものより優れていた。
シリコーンゴムシートの硬度と引張強度、及び、窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の不純物の陽イオン含有量(Si、Na、Fe)は、実施例と比較例において同程度であった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (5)

  1. 窒化アルミニウム粉末と、前記窒化アルミニウム粉末の表面を覆う窒化ケイ素被膜とを備える窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法であって、
    (I)前記窒化アルミニウム粉末の表面を下記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物により覆い、有機シリコーン被覆粉末を得る工程と、
    (II)前記有機シリコーン被覆粉末を窒素雰囲気中で1,300~1,600℃の温度で加熱して還元窒化させ、前記窒化アルミニウム粉末表面に前記窒化ケイ素被膜を形成して前記窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末を得る工程と、
    を含むことを特徴とする窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法。
    Figure 2023088558000012
    (式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
  2. 前記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物を、下記式(2)で示される有機シリコーン化合物とすることを特徴とする請求項1に記載の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末の製造方法。
    Figure 2023088558000013
    (式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
  3. 窒化アルミニウム粉末と、前記窒化アルミニウム粉末の表面を覆う窒化ケイ素被膜とを備える窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末であって、
    前記窒化ケイ素被膜が、下記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物の還元窒化生成物であることを特徴とする窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末。
    Figure 2023088558000014
    (式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
  4. 前記式(1)で示されるシロキサン単位を有する有機シリコーン化合物が、下記式(2)で示される有機シリコーン化合物であることを特徴とする請求項3に記載の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末。
    Figure 2023088558000015
    (式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基である。)
  5. 前記窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末は、蒸留水に5質量%分散させて25℃で120時間振とうした後の抽出水のpHが6~8となるものであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の窒化ケイ素被覆窒化アルミニウム粉末。
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