JP2023086720A - 色調整板、太陽電池モジュール、色調整板の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置 - Google Patents

色調整板、太陽電池モジュール、色調整板の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置 Download PDF

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裕之 和田
Hiroyuki Wada
均 齋
Hitoshi Sai
零生 足立
Reo Adachi
聡 久保田
Satoshi Kubota
元輝 端無
Genki HANASHI
道雄 近藤
Michio Kondo
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Tokyo Institute of Technology NUC
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Abstract

【課題】角度依存性が低い色調整板を提供することである。【解決手段】本発明の色調整板10は、基板1と、基板1上に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜2と、を備え、誘電体多層膜2は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されてなるものである;(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示す。(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含む。(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。【選択図】図1

Description

本発明は、色調整板、太陽電池モジュール、色調整板の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置に関する。
太陽電池モジュールを建物に設置する場合、発電量を増加させるために屋根だけではなく、壁面等に設置することがある。この場合、太陽電池モジュールの表面が通常、黒色を呈しているため、景観上問題がある。
太陽電池モジュールの受光面側に配置するガラス基板上に着色された被覆層を形成し、太陽電池モジュールの外観を着色することが提案されている(特許文献1参照)。
国際公開第2017/090056号
しかしながら、太陽電池モジュールの外観を着色すると、その色を反射するためにその分の光が太陽電池モジュールに届かず、変換効率が低下してしまうという問題があり、変換効率の低下を抑制可能な着色技術が求められている。
本発明者は、鋭意検討の結果、変換効率の低下が抑制可能な着色技術を開発した。さらに本発明者は、かかる着色技術を検討する中で、垂直反射で所望の色の反射光を得られても入射角度が変わるとその反射光の色が変わるという課題に直面した。そこで、さらに検討を加えた結果、反射光の入射角度依存性を低減する方法を見出した。さらに、当該方法は太陽電池モジュール以外にも適用可能であることに想到して、反射光の入射角度依存性が低い本発明を完成した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、角度依存性が低い色調整板、太陽電池モジュール、色調整板の製造方法、成膜方法、及び、成膜装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
本発明の態様1は、基板と、前記基板上に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜と、を備え、前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されてなる、色調整板である;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
本発明の態様2は、態様1の色調整板において、前記基板の、前記誘電体多層膜が形成されている膜形成面、及び、前記誘電体多層膜が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなる。
本発明の態様3は、態様2の色調整板において、前記非膜形成面が拡散反射面として形成されてなる色調整板である。
本発明の態様4は、態様3の色調整板において、前記拡散反射面の二乗平均平方根高さRqが0.4μm~1.3μmである。
本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの色調整板において、前記基板が拡散板である。
本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つの色調整板において、前記複数の反射ピークが2つの反射ピークである。
本発明の態様7は、態様1から態様5のいずれか一つの色調整板において、前記複数の反射ピークが3つの反射ピークである。
本発明の態様8は、態様1から態様5のいずれか一つの色調整板において、前記複数の反射ピークが4つの反射ピークである。
本発明の態様9は、態様1から態様8のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-4)を満たすように構成されてなる;
(1-4)前記垂直方向からの入射角度を0°から30°で変化させたときの前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下である。
本発明の態様10は、態様1から態様9のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-5)を満たすように構成されてなる;
(1-5)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの少なくとも一方の半値全幅(FWHM)は200nm以下である。
本発明の態様11は、態様1から態様10のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-6)を満たすように構成されてなる色調整板である;
(1-6)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの反射率はいずれも70%以下である。
本発明の態様12は、態様1から態様11のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-7)を満たすように構成されてなる色調整板である;
(1-7)前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)が、0.25≦x≦0.4、かつ、0.25≦y≦0.4で囲まれる範囲に存在する。
本発明の態様13は、態様1から態様12のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-8)を満たすように構成されてなる;
(1-8)前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)が、0.25≦x≦0.4、かつ、0.25≦y≦0.4で囲まれる範囲以外に存在する。
本発明の態様14は、複数の太陽電池と、前記複数の太陽電池の受光面側に配置する色調整板と、を備え、前記色調整板は、基板と、前記基板上に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜とを有し、前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)、(1-5)及び(1-6)を満たすように構成されてなる、太陽電池モジュール;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示すものである、
(1-5)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの少なくとも一方の半値全幅(FWHM)は200nm以下であり、
(1-6)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの反射率はいずれも70%以下である。
本発明の態様15は、態様14の太陽電池モジュールにおいて、前記基板の、前記誘電体多層膜が形成されている膜形成面、及び、前記誘電体多層膜が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなる。
本発明の態様16は、態様15の太陽電池モジュールにおいて、前記非膜形成面が拡散反射面として形成されてなる色調整板である。
本発明の態様17は、態様16の太陽電池モジュールにおいて、拡散反射面の二乗平均平方根高さRqが0.4μm~1.3μmである。
本発明の態様18は、態様14~17のいずれか一つの太陽電池モジュールにおいて、前記基板が拡散板である。
本発明の態様19は、二次元性を有する透明基板と、前記透明基板の外表面全体に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜と、を備え、前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されてなる、色調整板である;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
本発明の態様20は、態様19の色調整板において、前記基板の、前記誘電体多層膜が形成されている膜形成面、及び、前記誘電体多層膜が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなる。
本発明の態様21は、態様20の色調整板において、前記非膜形成面が拡散反射面として形成されてなる色調整板である。
本発明の態様22は、態様19から態様21のいずれか一つの色調整板において、前記透明基板のサイズが1μm~1000μmである。
本発明の態様23は、態様19から態様22のいずれか一つの色調整板において、前記透明基板が天然雲母、人工雲母、ガラス及び無機単結晶からなる群から選択された一種である。
本発明の態様24は、態様19から態様23のいずれか一つの色調整板において、前記基板が拡散板である。
本発明の態様25は、態様19から態様24のいずれか一つの色調整板において、前記複数の反射ピークが2つの反射ピークである。
本発明の態様26は、態様19から態様25のいずれか一つの色調整板において、前記複数の反射ピークが3つの反射ピークである。
本発明の態様27は、態様19から態様26のいずれか一つの色調整板において、前記複数の反射ピークが4つの反射ピークである。
本発明の態様28は、態様19から態様27のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-4)を満たすように構成されてなる;
(1-4)前記垂直方向からの入射角度を0°から30°で変化させたときの前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下である。
本発明の態様29は、態様19から態様28のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-5)を満たすように構成されてなる;
(1-5)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの少なくとも一方の半値全幅(FWHM)は200nm以下である。
本発明の態様30は、態様19から態様29のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-6)を満たすように構成されてなる;
(1-6)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの反射率はいずれも70%以下である。
本発明の態様31は、態様19から態様30のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-7)を満たすように構成されてなる;
(1-7)前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)が、0.25≦x≦0.4、かつ、0.25≦y≦0.4で囲まれる範囲に存在する。
本発明の態様32は、態様19から態様31のいずれか一つの色調整板において、前記誘電体多層膜がさらに、以下の(1-8)を満たすように構成されてなる;
(1-8)前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)が、0.25≦x≦0.4、かつ、0.25≦y≦0.4で囲まれる範囲以外に存在する。
本発明の態様33は、複数の太陽電池と、前記複数の太陽電池の受光面側に配置する色調整板と、を備え、前記色調整板は、二次元性を有する複数の透明基板と、前記透明基板の外表面全体に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜とを有し、前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)、(1-5)及び(1-6)を満たすように構成されてなる、太陽電池モジュールである;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示すものである、
(1-5)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの少なくとも一方の半値全幅(FWHM)は200nm以下であり、
(1-6)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの反射率はいずれも70%以下である。
本発明の態様34は、態様33の太陽電池モジュールにおいて、前記基板の、前記誘電体多層膜が形成されている膜形成面、及び、前記誘電体多層膜が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなる。
本発明の態様35は、態様34の太陽電池モジュールにおいて、前記非膜形成面が拡散反射面として形成されてなる。
本発明の態様36は、態様33~35のいずれか一つの太陽電池モジュールにおいて、前記基板が拡散板である。
本発明の態様37は、態様1、態様2又は態様19のいずれか一つの色調整板の製造方法であって、前記誘電体多層膜の前記高屈折率層及び前記低屈折率層の材質、各層の層厚、及び、層数の少なくとも一つのパラメータを光学薄膜設計シミュレーションによって決定する誘電体多層膜決定工程を有する色調整板の製造方法である。
本発明の態様38は、基板上、又は、透明基板の外表面全体に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜を形成する成膜方法であって、前記誘電体多層膜が、少なくとも以下の(1-1)~(1-3)を満たすように前記高屈折率層及び前記低屈折率層の材質、各層の層厚、及び、層数の少なくとも一つのパラメータを光学薄膜設計シミュレーションによって決定する、成膜方法である;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
本発明の態様39は、基板上、又は、透明基板の外表面全体に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜を形成する成膜装置であって、前記誘電体多層膜が、少なくとも以下の(1-1)~(1-3)を満たすように前記高屈折率層及び前記低屈折率層の材質、各層の層厚、及び、層数の少なくとも一つのパラメータを光学薄膜設計シミュレーションによって決定する光学パラメータ決定手段を備える、成膜装置である;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
本発明の態様40は、基板と、前記基板のおもて面及び裏面の少なくとも一方に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜と、を備え、
前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されてなる、色調整板;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
本発明の態様41は、態様40の色調整板において、前記基板が拡散板である。
本発明の態様42は、複数の太陽電池と、前記複数の太陽電池の受光面側に配置する色調整板と、を備え、前記色調整板は、基板と、前記基板のおもて面及び裏面の少なくとも一方に形成された無機顔料を含有する無機顔料含有層とを有し、前記基板は、前記無機顔料含有層が形成されている膜形成面、及び、前記無機顔料含有層が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなるか、又は、拡散板である、太陽電池モジュールである。
本発明の態様43は、態様42の太陽電池モジュールにおいて、前記拡散反射面の二乗平均平方根高さRqが0.1μm~2.0μmである。
本発明の色調整板によれば、角度依存性が低い色調整板を提供できる。
一実施形態に係る色調整板の断面模式図である。 図1に示した色調整板の誘電体多層膜の部分を拡大した断面模式図である。 色調整板が備える誘電体多層膜に白色光が垂直反射した反射光の反射スペクトルの一例である。 誘電体多層膜における光の反射を示す概念図である。 CIE-xy色度図である。 xy色度図の見方について説明するための図である。 主波長を説明するための図である。 (a)は、図3に例示した反射スペクトルの反射光についてxy色度図上の色度座標を示すものであり、(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。 (a)は、第1実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射光の入射角度依存性をxy色度図上の色度座標の移動によって示したものであり、(b)は、各入射角度で入射した入射光が反射する様子を模式的に示した図である。 図3に示した反射スペクトルの波長範囲の上限を1200nmまで広げたものである。 (a)は、第2実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものであり、(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。 第2実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直反射した反射光の反射スペクトルを示すものである。 (a)は、第2実施例の誘電体多層膜に各入射角度で入射した白色光の反射スペクトルを示すものであり、(b)は、各入射角度における第1主反射ピーク及び第2主反射ピークの色度座標をxy色度図上に示したものである。 (a)は、図13(b)のxy色度図について第1主反射ピーク及び第2主反射ピークの色度座標が存在する部分を拡大したものであり、(b)は、各入射角度の反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。 (a)は、第3実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものであり、(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。 第3実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直反射した反射光の反射スペクトルを示すものである。 第3実施例の誘電体多層膜に白色光が入射した各入射角度の反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。 (a)は、第4実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものであり、(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。 第4実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直反射した反射光の反射スペクトルを示すものである。 第4実施例の誘電体多層膜に白色光が入射した各入射角度の反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。 第5実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものである。 第5実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直反射した反射光の反射スペクトルを示すものである。 第5実施例の誘電体多層膜に白色光が入射した各入射角度の反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。 第6実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものである。 第6実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直反射した反射光の反射スペクトルを示すものである。 第6実施例の誘電体多層膜に白色光が入射した各入射角度の反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。 (a)は、第7実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものであり、(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。 第7実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものである。 第7実施例の誘電体多層膜に白色光が入射した各入射角度の反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。 (a)は、第8実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものであり、(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。 第8実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものである。 第8実施例の誘電体多層膜に白色光が入射した各入射角度の反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。 第9実施形態に係る色調整板の断面模式図である。 (a)は、第9実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものであり、(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。 第9実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものである。 第9実施例の誘電体多層膜に白色光が入射した各入射角度の反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。 (a)は、第10実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものであり、(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。 第10実施例の誘電体多層膜に入射した白色光の反射スペクトルについてxy色度図上の色度座標を示すものである。 本発明に係る色調整板の用い方の例を示す断面模式図である。 本発明に係る色調整板の用い方の例を示す断面模式図である。 (a)~(c)に断面模式図を示す、本発明に係る色調整板であって、基板の膜形成面又は非膜形成面のいずれか一方の面が拡散反射面である色調整板の白色度と、(d)に断面模式図を示す、拡散反射面を有するガラス基板の白色度のグラフである。 図41(a)~(c)に断面模式図を示す色調整板を用いた太陽電池モジュールの短絡電流の減少割合ΔJsc(%)と、図41(d)に断面模式図を示す基板を用いた太陽電池モジュールの短絡電流の減少割合ΔJsc(%)を測定した結果のグラフである。 砥粒を用いてサンドブラストを行ったガラス基板の拡散反射面の光学顕微鏡写真であり、(a)は#600の砥粒、(b)は#400の砥粒、(c)は#220の砥粒を用いた場合である。 図43(a)~(c)のそれぞれのX-X線の算術平均粗さRa、最大高さRy、二乗平均平方根高さRqを示す。 本発明に係る太陽電池モジュールの一部を示す断面模式図である。 拡散反射面の面粗度と太陽電池モジュールの短絡電流の減少割合ΔJscとの関係を示すグラフである。 拡散反射面の面粗度と太陽電池モジュールの色調整板の白色度との関係を示すグラフである。 本発明に係る他の実施形態に係る太陽電池モジュールの一部を示す断面模式図である。
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。また、いずれかの実施形態でのみ説明した構成であっても、別の実施形態に適宜適用して実施することが可能である。
図1は、本実施形態に係る色調整板の断面模式図である。図2は、図1に示す色調整板の誘電体多層膜の部分を拡大した断面模式図である。図3は、色調整板が備える誘電体多層膜に白色光が垂直方向から入射し、垂直反射した反射光の反射スペクトルの一例である。
(色調整板(第1実施形態))
図1に示す色調整板10は、基板1と、基板1上に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜2と、を備えるものである。
また、誘電体多層膜2は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されてなるものである;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示す。
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含む。
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
ここで、「色調整板」とは、誘電体多層膜を構成する高屈折率層及び低屈折率層のパラメータによって色が調整された誘電体多層膜を備えた板であり、特に用途は限定されない。
<色調整板の用途>
色調整板は、種々の用途に適用可能である。
色調整板は例えば、太陽電池モジュールの外観を着色する用途で用いることができる。この場合は、太陽電池の変換効率の低下をできるだけ抑制する観点から、反射光のエネルギーをできるだけ抑制しつつ、着色する必要がある。求められる色も、太陽電池モジュールの設置場所の景観維持やデザイン性等の観点から種々あるが、任意の着色が可能である。
また、色調整板は、加飾(機能を変えずに外観を変える方法)の観点で用いる場合には、用途に特に制限はなく、大きな物で言えば、建物などの壁面に設置して用いたり、自動車やバス・電車・自転車等の移動体の外板、交通標識・看板・掲示板等の各種表示板、小さな物で言えば、個人が使用する情報・電子端末や小箱、携帯電話・スマートフォン等の通信端末、自動販売機・灯台等の電気を必要とする機器などの上面や側面に貼り付けて用いることもできる。
<基板>
色調整板を用いる用途によって、種々の基板を用いることができる。
例えば、色調整板を太陽電池セルの受光面側に着色用部材として用いる場合は、基板1は、各種ガラス基板、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂などからなるプラスチック基板、ガラス以外の透明無機材料基板、雲母(マイカ)等の、可視光域の光が透過可能な透明基板を用いる。
また、色調整板用加飾の観点で用いる場合には、誘電体多層膜が形成可能な基板であれば、特に制限なく用いることができる。
基板1は、その上に備える誘電体多層膜を形成する観点では、その表面(誘電体多層膜が形成されている膜形成面)は平坦であることが通常は好ましいが、ある程度の凹凸を有する場合であっても色調整板としての機能を発現する限り、あるいは色調整板としての機能を強化できる場合は、その表面に凹凸を有する基板を用いることができる。この場合の凹凸の大きさは例えば、数10ナノメートル~数10マイクロメートル程度である。
また、基板1の、誘電体多層膜が形成される膜形成面、あるいは、誘電体多層膜が形成されない非膜形成面に、拡散反射機能を持たせるように凹凸構造を備える構成とすることができる。この構成によって、色調整板の性能を向上させることができる。この構成について後で詳述する。
なお、本明細書において、基板1の膜形成面又は非膜形成面のうち、拡散反射機能を持たせるように凹凸構造を備える面を「拡散反射面」ということがある。
また、基板1は、拡散板であってもよい。
拡散板の代表的な種類として、光拡散粒子を含有するもの、表面に凹凸形状を有するものを挙げることができるが、基板1として用いるものは表面に凹凸形状を有する拡散板である。従って、拡散板も凹凸構造を有する拡散反射面を備える基板である。
表面に凹凸形状を有する拡散板としては例えば、市販のすりガラスなどを用いてもよい。例えば、ソーラボ(THORLABS)社製のすりガラス拡散板(例えば、N-BK7すりガラス拡散板)、反射型拡散板(例えば、N-BK7反射型拡散板)、エンジニアード・ディフューザー(Engeneered Diffuser)などを用いることができる。番手としては例えば、#120、#220、#600、#1500のものを用いることができる。
(誘電体多層膜)
誘電体多層膜2は、基板1側から順に高屈折率層2aと低屈折率層2bとが交互に積層された多層膜である。高屈折率層2aと低屈折率層2bの層数は、特に制限されるものではなく、任意の層数とすることができる。
誘電体多層膜は高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された多層膜であり、高屈折率層と低屈折率層の各材料の組み合わせ(主には高低の屈折率の組み合わせ)、層厚(膜厚)、層数によって、多様な分光反射特性を有するものとすることができる。
図2に示す誘電体多層膜2は、基板1側から順に高屈折率層2aと低屈折率層2bとが交互に積層されているが、基板1側から順に低屈折率層2bと高屈折率層2aとが交互に積層されていてもよい。
また、最上層の屈折率層が高屈折率層2aでも低屈折率層2bでも構わない。
高屈折率層2aの屈折率は例えば、1.91 ~ 3.4である。
高屈折率層2aに用いられる誘電体材料は例えば、酸化チタン(TiO、屈折率2.33~2.55)、五酸化ニオブ(Nb、屈折率2.33)、酸化セリウム(CeO、屈折率2.18~2.52)、酸化ハフニウム(HfO、屈折率2.15)、酸化インジウム(In、屈折率2.00)、ケイ素(Si、屈折率3.4)、一酸化ケイ素(SiO、屈折率2.0)、五酸化タンタル(Ta、屈折率2.2~2.4)、酸化亜鉛(ZnO、屈折率2.1)、硫化亜鉛(ZnS、屈折率2.31~2.38)、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率1.95~2.05)などが挙げられる。
低屈折率層2bの屈折率は例えば、1.38 ~ 1.9である。
低屈折率層2bに用いられる誘電体材料は例えば、二酸化シリコン(SiO、屈折率1.46)、フッ化マグネシウム(MgF、屈折率1.38)、酸化アルミニウム(Al、屈折率1.59~1.62)、酸化ガドリニウム(Gd、屈折率1.8)、酸化マグネシウム(MgO、屈折率1.70~1.75)、三酸化セレン(Se、屈折率1.89)、酸化イットリウム(Y、屈折率1.89)などが挙げられる。
高屈折率層2aおよび低屈折率層2bの膜厚はそれぞれ、所望の分光反射特性に応じて適宜選択できる。
高屈折率層2aの膜厚は例えば、0.1nm~1000nmとすることができる。
低屈折率層2bの膜厚は例えば、0.1nm~1000nmとすることができる。
なお、本発明の効果を奏する限り、基板1と誘電体多層膜2との間に他の層を有してもよい。例えば、基板1と誘電体多層膜2との間の密着性をよくするために密着層を有してもよい。
誘電体多層膜2は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されている;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示す。
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含む。
(1-3)(1-1)の複数の反射ピークは、上記の波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示すものである。
(1-1)の「380nm以上780nm以下」は、可視光という観点から、「400nm以上700nm以下」であってもよい。また、同様の観点から、下限は390nm、410nmでもよく、上限は770nm、760nm、750nm、740nm、730nm、720nm、710nmでもよい。
(1-1)~(1-3)の要件から、(1-2)の「第1主反射ピーク」は、380nm以上520nm未満の波長の反射ピークであって、かつ、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示すものである。「第1主反射ピーク」は1つに限らず、複数でもよい。また、(1-2)の「第2主反射ピーク」は、520nm以上780nm以下の波長の反射ピークであって、かつ、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示すものである。「第2主反射ピーク」は1つに限らず、複数でもよい。
(1-3)の「20%以上」であるため、前記複数の反射ピークには色への影響が小さい反射ピークは含まれない。従って、(1-3)の要件は「25%以上」であることが好ましく、「30%以上」であることがより好ましい。
また、(1-1)の「380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピーク」には、上記の波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して5%以下のものが存在しないことが好ましく、10%以下のものが存在しないことがより好ましく、15%以下のものが存在しないことがさらに好ましく、20%未満のものが存在しないことがもっと好ましい。
(1-1)及び(1-3)は、本発明に係る誘電体多層膜の反射光の色を決定するのに支配的な反射ピークは複数であることを示すものである。この「複数の反射ピーク」の数は、2つ、3つ又は4つのいずれかであることが好ましい。
また、(1-2)は、入射角度が大きくなった場合の反射光のブルーシフトを抑制することにつながるものである。ブルーシフトについては後述する。
図3に例示した反射スペクトルを用いて、(1-1)~(1-3)について説明する。なお、この反射スペクトルは光学薄膜設計ソフトウェア「OptiLayer」(OptiLayer社)を用いてシミュレーションを行って得たものであり、このときに用いられた誘電体多層膜モデルのパラメータは図8(b)に示したものである。以下、この誘電体多層膜を第1実施例の誘電体多層膜ということがある。
図3に示す反射スペクトルは、380nm以上780nm以下の波長範囲にp11~p14の4つの反射ピークを有する。
p11~p14の4つの反射ピークのうち、最大の反射率を示すのは反射ピークp11である。
(1-1)の「複数の反射ピーク」は、(1-3)で規定する通り、最大の反射率を示す反射ピークp11に対して20%以上の反射率を示すものに限定されているため、反射ピークp12及び反射ピークp14は(1-1)の「複数の反射ピーク」に含まれない。従って、(1-1)の「複数の反射ピーク」は、反射ピークp11及び反射ピークp13のみである。このうち、波長400nm近傍に反射ピークを有する反射ピークp11が(1-2)の「第1主反射ピーク」に相当し、波長560nm近傍に反射ピークを有する反射ピークp13が(1-2)の「第2主反射ピーク」に相当する。
上記(1-2)の構成は、上述の通り、ブルーシフトを抑制するためのものである。
ブルーシフトは、誘電体多層膜に入射する光の入射角度が大きくなると反射率波長特性が短波長側にずれる現象のことである。ブルーシフトについては図を用いて説明する。
図4は、誘電体多層膜における光の反射を示す概念図である。図4では理解を容易にするために説明に要する部分のみを描いている。図4に示す符号2Aは、第1屈折率n1を有する高屈折率層2Aa(膜厚:d1)と第2屈折率n2を有する低屈折率層2Ab(膜厚:d2)とが交互に多層に積層された誘電体多層膜の一部である。図4では、2層の高屈折率層2Aaの膜厚を符号d1として示しているが、同じ膜厚であることは意味しておらず、各高屈折率層の膜厚は所望の光学特性を有するように適宜決定される。低屈折率層の膜厚について同様である。
垂直入射した場合の反射光と入射角度θ1で入射した場合の反射光とを比較して説明する。
誘電体多層膜2Aに白色光が入射すると、高屈折率層2Aaと低屈折率層2Abとの間の界面において、入射光の一部が反射し、その他は屈折して(屈折角:θ)透過していく。高屈折率層と低屈折率層との間の界面は繰り返し現れるので、各界面で生じた反射光は干渉する。誘電体多層膜に光が垂直入射する場合は、層内を往復してくる光と表面で反射する光の位置は同じ位置になるため、2つの光の光路長差は層内を往復する光路長と一致する。しかし、入射角度がつくと、反射する光の位置と層内を往復する光の入射位置にずれが生ずる。垂直入射でない場合、反射する光の位置と層内を往復する光の入射位置のずれによって光路長nbが発生する。一方、層内を往復して層の表面を抜けてくる光の光路長2naと光路長nbの差が、平行平面基層の入射角度θによって生じる光路長差Sである(S=2na-nb)。
入射光の入射角θを徐々に大きくすると、各界面で生じた反射光の光路長差は徐々に小さくなり、より短波長の光が干渉して強め合うようになる。従って、白色光があたっている誘電体多層膜2をより斜め(面に平行に近い角度)から見るほど、より短波長の光が強く反射しているように見える。すなわち、入射角θを大きくするほど、反射光がだんだん青っぽく見えるようになる。この現象をブルーシフトという。
なお、入射角は入射面への垂線と入射光の光軸とがなす角度として定義される。
<xy色度図>
図5は、CIE(国際照明委員会)の規定にもとづくxy色度図(CIE-xy色度図)である。また、図6は、xy色度図の見方について説明するための図である。
人間の色の知覚の最も基本的な特性は色相、彩度、明度(白色度)である。色相とは赤・黄・緑・シアン・青・マゼンダといった色の種類を意味し、すなわち人間の目に知覚される互いに異なった波長の光の色を意味し、彩度とは色の鮮やかさ、色の純度を意味し、彩度が高いと純粋な色に近づき、彩度が低いと無彩色(白~グレー~)に近づき、明度とは色の明るさを意味する。
XYZ表色系においてX、Y、Zで示される数値を三刺激値というが、X、Y、Zの値を見ても直ちに色を判断することは困難なため、三刺激値の比率(三原刺激の混色比)を用いた色度図で表現されることが一般的である。X、Y、Zの混色比x、y、zはそれぞれ、x=X/(X+Y+Z)、y=Y/(X+Y+Z)、z=Z/(X+Y+Z)で表され、x+y+z=1(100%)となる。xとyが分かればzの値も分かるのでzの表示を行わず、xとy だけを用いて表示したものがxy色度図である。
<xy色度図における色相>
図5及び図6に示されている通り、xy色度図はxを横軸に、yを縦軸にして馬蹄形状(あるいは釣鐘形状)をしている。馬蹄形状に湾曲した外周曲線はスペクトル軌跡あるいは単色光軌跡といい、また、直線状の部分は純紫軌跡という。馬蹄形の中央部の少し下側の色度座標(x、y) =(0.333、0.333)近辺が無彩色(白~グレー)になっている。この無彩色を中心として、スペクトル軌跡において右端の赤から反時計周りに黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫といった色相が順次配列されている。スペクトル軌跡には各色相の単色の光が配列しており、このスペクトル軌跡の内側の色はすべて混色の光になる。
<xy色度図における彩度>
色度座標(x、y) =(0.333、0.333)を中心としたエリアから外周方向に放射状に遠ざかるほど彩度が高くなる。最外周のスペクトル軌跡(単色光軌跡)および純紫軌跡上に、その色相のうちで最高彩度の色が配置されている。
<xy色度図における明度>
XYZ表色系において、物体色の明度(L)に対応する表示は視感反射(透過)率Yで表わされる。あるxy色度図上の色は全て同一の視感反射率Y値、つまり同じ明度の色で構成されている。xy色度図は無彩色エリアが白く描かれている場合が多いが、これは、視感反射率Y値が大きい(明るい)場合である。Yの値が小さく(暗く)なるにつれて、xy色度図全体が暗くなっていく。このように、xy色度図は視感反射率Y値(明るさ)毎の多層構造になっている。このような多層構造になっていることから、XYZ表色系をYxy表色系と称されることもある。以下では、無彩色点である(x、y) =(0.333、0.333)について白色点と称することもあるが、これはY値が大きい場合を示するものである。
xy色度図においては、光の色はx座標とy座標の2つの数値によって表現されるが、その2つの数字からその色を連想することは簡単ではないため、多少の正確さは犠牲にしても1つの数字によって色が連想できると実用的である。この要求に応えるものとして、主波長を用いられる。
図7を用いて、主波長を説明する。例えば、xy色度図上にF(0.41、0.42)いう色があったとき、白色点W(0.333、0.333)からFに向かって直線を引き、さらにその直線をまっすぐ延長してスペクトル軌跡に突きあたった点をSとすると、この点Sには575nmの波長の単色光の色度が一義的に対応するのでこの単色光の波長を色Fの主波長とする。換言すると、主波長とは、ある色を白色光と単色光との混色で作った場合にその単色光の波長のことである。色度図上のスペクトル軌跡には主波長を数値で示している。
xy色度図において、色相は主波長の波長に相当する。
図8(a)に、図3に例示した反射スペクトルの反射光についてxy色度図上の色度座標c=(0.330、0.325)を示す。xy色度図上のWは白色光(無彩色)の色度座標(0.333、0.333)である。図8(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。
図3に例示した反射スペクトルの反射光は白色(無彩色)に近い色度座標を有することがわかる。
<入射角度依存性>
次に、xy色度図を用いて反射光の入射角度依存性について説明する。
図9(a)は、誘電体多層膜に白色光を垂直入射(入射角度:0°)から5°づつ入射角度を大きくしたときのそれぞれの反射スペクトルについて光学薄膜設計ソフトウェア「OptiLayer」(OptiLayer社)を用いてシミュレーションを行い、その結果得た反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。図9(b)は、各入射角度で光が誘電体多層膜に入射し、それに応じた反射角度(反射スペクトルを得る方向)で反射する様子を模式的に示した図である。
図9(a)に示すxy色度図上において、符号Wで示すのは白色の色度座標であり、符号c10で示すのは垂直入射のときの反射スペクトルの色度座標であり、符号c11、符号c12、符号c13、符号c14、符号c15、符号c16はそれぞれ、入射角度5°、入射角度10°、入射角度15°、入射角度20°、入射角度25°、入射角度30°で入射したときの反射スペクトルの色度座標を示すものである。
各入射角度における反射スペクトルの色度座標は以下の通りである;
W=(0.333、0.333)、c10=(0.325、0.336)、c11=(0.325、0.346)、c12=(0.322、0.375)、c13=(0.309、0.415)、c14=(0.280、0.446)、c15=(0.235、0.441)、c16=(0.186、0.391)。
図9(a)において、垂直入射から入射角度が大きくなるにつれて、入射角度0°で黄みがかった色から始まり、黄緑みがかった色、緑みがかった色へ変わり、入射角度30°では青みがかった色へと色相が変わっていくことがわかる。このように入射角度が変わるにつれて青みがかった色へ変わっていく現象がブルーシフトである。
図10に示す反射スペクトルは、図3に示した反射スペクトルの波長範囲の上限を1200nmまで広げたものである。図10には、太陽電池モジュールの外部量子効率の波長依存性の典型例を併せて示している。
図10に示す反射スペクトルは、図3を用いて説明した通り、上記(1-1)~(1-3)を満たすものである。すなわち、反射スペクトルが有する反射ピークp11及び反射ピークp13はそれぞれ、約390nmのピーク波長、約560nmのピーク波長であり((1-1)を満たす)、反射ピークp11の波長は520nm未満であり、かつ、反射ピークp13の波長は520nm以上であり((1-2)を満たす)、反射ピークp13の反射率(約33%)は最大の反射率を示す反射ピークp11の反射率(約90%)に対して37%である((1-3)を満たす)。
図10に示す反射スペクトルから、反射ピークp11及び反射ピークp13はいずれも、その半値全幅(FWHM)が100nm以下であることがわかる。
反射ピークの半値全幅(FWHM)が狭いことは、本発明の色調整板を太陽電池モジュールで用いる場合には反射光エネルギーが抑制されることを意味し、その結果、発電効率の低下を抑制できるため、好ましい。
この観点から、上記(1-1)~(1-3)を満たす反射ピークは少なくともその一つの反射ピークは、半値全幅(FWHM)が200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。この色調整板は、狭帯域の反射ピークを2つ備える反射スペクトルを示す反射膜として誘電体多層膜を備えるものである。
また、図10に示す太陽電池モジュールの外部量子効率は約600nmから下がり始め、約480nmで0.8となり、約420nmで0.6となり、約390nmで0.5となる。従って、本発明の色調整板を太陽電池モジュールで用いる場合に発電効率の低下を抑制する観点で、「第1主反射ピーク」は(1-1)要件の波長範囲の下限である380nmに近いほど好ましく、また、「第2主反射ピーク」も(1-1)要件の波長範囲の下限である520nmに近いほど好ましい。
また、発電効率の低下を抑制する観点では、「第1主反射ピーク」及び「第2主反射ピーク」の反射率は70%以下であることが好ましい。特に、図10に示した外部量子効率の波長依存性の観点で、「第1主反射ピーク」の反射率よりも「第2主反射ピーク」の反射率の方が発電効率の低下抑制に効くため、「第2主反射ピーク」の反射率が低いことが好ましい。例えば、「第2主反射ピーク」の反射率は60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。
(色調整板(第2実施形態))
第2実施形態に係る色調整板は、入射角度依存性が第1実施例の誘電体多層膜よりも低い誘電体多層膜を備えるものである。
かかる特徴を有する2実施例の誘電体多層膜について光学特性を説明する。
図11(a)は、第2実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射した場合の反射光についてxy色度図上の色度座標c20(0.330、0.330)を示すものである。図11(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。図12は、第2実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直入射した場合の反射スペクトルを示すものである。
図12に示す反射スペクトルは、上記の(1-1)~(1-3)の要件を満たす2つの反射ピークp21及び反射ピークp22を有する。
すなわち、反射ピークp21及び反射ピークp22はそれぞれ、380nm以上780nm以下の波長範囲である波長480nm近傍、波長620nm近傍にピーク波長を有し、かつ、反射ピークp21及び反射ピークp22はそれぞれ、520nm未満の波長の第1主反射ピーク、520nm以上の波長の第2主反射ピークであり、かつ、反射ピークp22の反射率は最大の反射率を示す反射ピークp21に対して20%以上の反射率を示すものである。
このように第2実施例の誘電体多層膜は、第1実施例の誘電体多層膜と異なる反射特性を有するものであるが、第1実施例の誘電体多層膜と同程度に白色光(無彩色)に近い色度座標を有する反射スペクトルを示すものであることがわかる。
<入射角度依存性>
第2実施例の誘電体多層膜について反射光の入射角度依存性について説明する。
この例では、第1主反射ピーク及び第2主反射ピークに着目し、それらの入射角度依存性から反射光の入射角度依存性を説明する。
図13(a)は、垂直入射から5°づつ入射角度を大きくしたときのそれぞれの入射角度の反射スペクトルについて光学薄膜設計ソフトウェアを用いてシミュレーションを行った結果である。いずれの反射スペクトルでも第1主反射ピーク及び第2主反射ピークが存在することがわかる。図13(b)は、各入射角度における第1主反射ピーク及び第2主反射ピークの色度座標をxy色度図上に示したものである。図13(b)において、点線はスペクトル軌跡の波長520nmと白色Wとを結んだものである。
図14(a)は、図13(b)のxy色度図について、第1主反射ピーク及び第2主反射ピークの色度座標が存在する部分を拡大したものである。図14(b)は、各入射角度の反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。
図13(b)において、第1主反射ピーク及び第2主反射ピークのそれぞれがブルーシフトしていることがわかる。各入射角度の第1主反射ピーク及び第2主反射ピークの色度座標が、白色(無彩色)W近傍のエリア(以下、xy色度図上で0.25≦x≦0.4、かつ、0.25≦y≦0.4で囲まれる範囲を無彩色近傍エリアということがある。)を挟んで対称的な位置に配置するため、各入射角度の反射スペクトルの色度座標はいずれも、無彩色近傍エリアに配置する。より具体的には、各入射角度の反射スペクトルの色度座標は0.31≦x≦0.34、0.28≦x≦0.34の範囲に存在する。
このように、第2実施例の誘電体多層膜は第1実施例の誘電体多層膜よりも入射角度依存性が低く、入射角度を0°から30°で変化させたときの反射光の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下であり、x座標の変化は0.03以下、y座標の変化は0.06以下である。
誘電体多層膜の第1主反射ピーク及び第2主反射ピークが図13(b)で示した点線を挟んで短波長側と長波長側に色度座標を有することで、反射光の色度座標が無彩色近傍エリアに存在するものとなる。このことが各入射角度で成り立つと、入射角度依存性が低いものとなる。
図12に示す反射スペクトルから、反射ピークp21及び反射ピークp22はいずれも、その半値全幅(FWHM)が150nm以下であることがわかる。反射ピークp21の半値全幅(FWHM)は100nm以下であることがわかる。
反射ピークの半値全幅(FWHM)が狭いことは、本発明の色調整板を太陽電池モジュールで用いる場合には反射光エネルギーが抑制されることを意味し、その結果、発電効率の低下を抑制できるため、好ましい。
また、発電効率の低下を抑制する観点では、「第1主反射ピーク」及び「第2主反射ピーク」の反射率は70%以下であることが好ましいが、第2実施例の誘電体多層膜では、「第1主反射ピーク」及び「第2主反射ピーク」の反射率は40%以下である。
(色調整板(第3実施形態))
第3実施形態に係る色調整板は、入射角度依存性が第2実施例の誘電体多層膜よりもさらに低い誘電体多層膜を備えるものである。
かかる特徴を有する第3実施例の誘電体多層膜について光学特性を説明する。
図15(a)は、第3実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射した場合の反射光についてxy色度図上の色度座標c30(0.333、0.327)を示すものである。図15(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。図16は、第3実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直入射した場合の反射スペクトルを示すものである。
図16に示す反射スペクトルは、上記の(1-1)~(1-3)の要件を満たす2つの反射ピークp31及び反射ピークp32を有する。
すなわち、反射ピークp31及び反射ピークp32はそれぞれ、380nm以上780nm以下の波長範囲である波長470nm近傍、波長600nm近傍にピーク波長を有し、かつ、反射ピークp31及び反射ピークp32はそれぞれ、520nm未満の波長の第1主反射ピーク、520nm以上の波長の第2主反射ピークであり、かつ、反射ピークp32の反射率は最大の反射率を示す反射ピークp31に対して20%以上の反射率を示すものである。なお、反射ピークp33は(1-1)の要件はぎりぎり満たしているにしても(1-3)の要件は満たさず、また、反射ピークp34は(1-1)の要件を満たさない。
このように第3実施例の誘電体多層膜は、第1実施例の誘電体多層膜と異なる反射特性を有するものであるが、図15(a)に示すように第1実施例の誘電体多層膜と同程度に白色光(無彩色)に近い色度座標を有する反射スペクトルを示すものであることがわかる。
<入射角度依存性>
第3実施例の誘電体多層膜について反射光の入射角度依存性について説明する。
図17は、第3実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射から5°づつ入射角度を大きくしたときのそれぞれの反射スペクトルについて光学薄膜設計ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、その結果得た反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。
図17において、各入射角度の反射スペクトルの色度座標はいずれも、無彩色近傍エリアに配置する。より具体的には、各入射角度の反射スペクトルの色度座標は0.31≦x≦0.34、0.32≦x≦0.34の範囲に存在する。
このように、第3実施例の誘電体多層膜は第2実施例の誘電体多層膜よりもさらに入射角度依存性が低く、入射角度を0°から30°で変化させたときの反射光の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下であり、x座標の変化は0.03以下、y座標の変化は0.02以下である。
図16に示す反射スペクトルから、反射ピークp31及び反射ピークp32はいずれも、その半値全幅(FWHM)が150nm以下であることがわかる。反射ピークp31の半値全幅(FWHM)は100nm以下であることがわかる。
反射ピークの半値全幅(FWHM)が狭いことは、本発明の色調整板を太陽電池モジュールで用いる場合には反射光エネルギーが抑制されることを意味し、その結果、発電効率の低下を抑制できるため、好ましい。
また、発電効率の低下を抑制する観点では、「第1主反射ピーク」及び「第2主反射ピーク」の反射率は70%以下であることが好ましいが、第3実施例の誘電体多層膜では、「第1主反射ピーク」及び「第2主反射ピーク」の反射率は30%以下である。
(色調整板(第4実施形態))
第4実施形態に係る色調整板は、上記の(1-1)及び(1-3)の要件を満たす複数の反射ピークを4つ有する誘電体多層膜を備えるものである。
かかる特徴を有する第4実施例の誘電体多層膜について光学特性を説明する。
図18(a)は、第4実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射した場合の反射光についてxy色度図上の色度座標c40(0.311、0.325)を示すものである。図18(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。図19は、第4実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直入射した場合の反射スペクトルを示すものである。
図19に示す反射スペクトルは、上記の(1-1)~(1-3)の要件を満たす4つの反射ピークp41~反射ピークp44を有する。
すなわち、反射ピークp41~反射ピークp44はそれぞれ、380nm以上780nm以下の波長範囲である波長440nm近傍、波長490nm近傍、波長560nm近傍、波長660nm近傍にピーク波長を有し、かつ、反射ピークp41及び反射ピークp42は520nm未満の波長の第1主反射ピークであり、反射ピークp43及び反射ピークp44は520nm以上の波長の第2主反射ピークであり、かつ、反射ピークp42~反射ピークp44の反射率は最大の反射率を示す反射ピークp41に対して20%以上の反射率を示すものである。なお、反射ピークp45及び反射ピークp46は(1-1)の要件を満たさない。
このように第4実施例の誘電体多層膜は、第1実施例の誘電体多層膜と異なる反射特性を有するものであるが、図18(a)に示すように第1実施例の誘電体多層膜と同程度に白色光(無彩色)に近い色度座標を有する反射スペクトルを示すものであることがわかる。
<入射角度依存性>
第4実施例の誘電体多層膜について反射光の入射角度依存性について説明する。
図20は、第4実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射から5°づつ入射角度を大きくしたときのそれぞれの反射スペクトルについて光学薄膜設計ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、その結果得た反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。
図20において、各入射角度の反射スペクトルの色度座標はいずれも、無彩色近傍エリアに配置する。より具体的には、各入射角度の反射スペクトルの色度座標は0.31≦x≦0.33、0.32≦x≦0.35の範囲に存在する。
このように、第4実施例の誘電体多層膜も第3実施例の誘電体多層膜と同程度に入射角度依存性が低く、入射角度を0°から30°で変化させたときの反射光の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下であり、x座標の変化は0.02以下、y座標の変化は0.03以下である。
図19に示す反射スペクトルから、反射ピークp41~反射ピークp44はいずれも、その半値全幅(FWHM)が100nm以下であることがわかる。反射ピークp41及び反射ピークp43の半値全幅(FWHM)は70nm以下であることがわかる。
反射ピークの半値全幅(FWHM)が狭いことは、本発明の色調整板を太陽電池モジュールで用いる場合には反射光エネルギーが抑制されることを意味し、その結果、発電効率の低下を抑制できるため、好ましい。
また、発電効率の低下を抑制する観点では、「第1主反射ピーク」及び「第2主反射ピーク」の反射率は70%以下であることが好ましいが、第4実施例の誘電体多層膜では、「第1主反射ピーク」及び「第2主反射ピーク」の反射率は55%以下である。
(色調整板(第5実施形態))
第5実施形態に係る色調整板は、第1主反射ピーク及び第2主反射ピークの少なくとも一方の半値全幅(FWHM)が第1実施例~第4実施例に係る誘電体多層膜のいずれよりも狭い特性を有する誘電体多層膜を備えるものである。
かかる特徴を有する第5実施例の誘電体多層膜について光学特性を説明する。
図21は、第5実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射した場合の反射光についてxy色度図上の色度座標c50(0.347、0.331)を示すものである。第5実施例の誘電体多層膜は、二酸化チタン(TiO)の高屈折率層及び二酸化シリコン(SiO)の低屈折率層が交互に積層した63層で、総膜厚875.3nmからなるものである。図21(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。図22は、第5実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直入射した場合の反射スペクトルを示すものである。
図22に示す反射スペクトルは、上記の(1-1)~(1-3)の要件を満たす3つの反射ピークp51~反射ピークp53を有する。
すなわち、反射ピークp51~反射ピークp53はそれぞれ、380nm以上780nm以下の波長範囲である波長390nm近傍、480nm近傍、波長590nm近傍にピーク波長を有し、かつ、反射ピークp51及び反射ピークp52は520nm未満の波長の第1主反射ピークであり、反射ピークp53は520nm以上の波長の第2主反射ピークであり、かつ、反射ピークp52及び反射ピークp53の反射率は最大の反射率を示す反射ピークp51に対して20%以上の反射率を示すものである。
このように第5実施例の誘電体多層膜は、第1実施例の誘電体多層膜と異なる反射特性を有するものであるが、図21に示すように第1実施例の誘電体多層膜と同程度に白色光(無彩色)に近い色度座標を有する反射スペクトルを示すものであることがわかる。
<入射角度依存性>
第5実施例の誘電体多層膜について反射光の入射角度依存性について説明する。
図23は、第5実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射から5°づつ入射角度を大きくしたときのそれぞれの反射スペクトルについて光学薄膜設計ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、その結果得た反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。
図23において、各入射角度の反射スペクトルの色度座標はいずれも無彩色近傍エリアに配置する。より具体的には、各入射角度の反射スペクトルの色度座標は0.30≦x≦0.35、0.31≦x≦0.34の範囲に存在する。
第5実施例の誘電体多層膜は第2実施例の誘電体多層膜よりも入射角度依存性が低く、入射角度を0°から30°で変化させたときの反射光の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下であり、x座標の変化は0.05以下、y座標の変化は0.03以下である。
図22に示す反射スペクトルから、反射ピークp51~反射ピークp53はいずれも、その半値全幅(FWHM)が50nm以下であることがわかる。
反射ピークの半値全幅(FWHM)が狭いことは、本発明の色調整板を太陽電池モジュールで用いる場合には反射光エネルギーが抑制されることを意味し、その結果、発電効率の低下を抑制できるため、好ましい。
(色調整板(第6実施形態))
第6実施形態に係る色調整板は、第1実施例~第5実施例に係る誘電体多層膜よりも少ない8層以下の層数からなる誘電体多層膜を備えるものである。
かかる特徴を有する第6実施例の誘電体多層膜について光学特性を説明する。
図24(a)は、第6実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射した場合の反射光についてxy色度図上の色度座標c60(0.324、0.334)を示すものである。図24(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータであり、二酸化チタン(TiO)の高屈折率層及び二酸化シリコン(SiO)の低屈折率層が交互に積層した3層で、総膜厚217.4nmからなるものである。図25は、第6実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直入射した場合の反射スペクトルを示すものである。
図25に示す反射スペクトルは、上記の(1-1)~(1-3)の要件を満たす2つの反射ピークp61及び反射ピークp62を有する。
すなわち、反射ピークp61及び反射ピークp62はそれぞれ、380nm以上780nm以下の波長範囲である波長460nm近傍、波長610nm近傍にピーク波長を有し、かつ、反射ピークp61は520nm未満の波長の第1主反射ピークであり、反射ピークp62は520nm以上の波長の第2主反射ピークであり、かつ、反射ピークp61及び反射ピークp62の反射率はほぼ同程度の7%程度であるから、一方の反射ピークの反射率が他方の反射率の20%以上であることを示すものである。
このように第6実施例の誘電体多層膜は、第1実施例の誘電体多層膜と異なる反射特性を有するものであるが、図24(a)に示すように第1実施例の誘電体多層膜と同程度に白色光(無彩色)に近い色度座標を有する反射スペクトルを示すものであることがわかる。
<入射角度依存性>
第6実施例の誘電体多層膜について反射光の入射角度依存性について説明する。
図26は、第6実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射から5°づつ入射角度を大きくしたときのそれぞれの反射スペクトルについて光学薄膜設計ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、その結果得た反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。
図26において、各入射角度の反射スペクトルの色度座標はいずれも、無彩色近傍エリアに配置する。より具体的には、各入射角度の反射スペクトルの色度座標は0.32≦x≦0.34、0.33≦x≦0.35の範囲に存在する。
このように、第6実施例の誘電体多層膜も第3実施例の誘電体多層膜と同程度に入射角度依存性が低く、入射角度を0°から30°で変化させたときの反射光の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下であり、x座標の変化は0.02以下、y座標の変化は0.02以下である。
(色調整板(第7実施形態))
第7実施形態に係る色調整板は、垂直入射に対する反射光の色度座標が無彩色近傍エリア以外の範囲に存在する誘電体多層膜を備えるものである。すなわち、白っぽい着色以外の色に着色された誘電体多層膜を備えるものである。
かかる特徴を有する第7実施例の誘電体多層膜について光学特性を説明する。
図27(a)は、第7実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射した場合の反射光についてxy色度図上の色度座標c70(0.506、0.345)を示すもの、すなわち、橙色系の色を示すものである。図27(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。図28は、第7実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直入射した場合の反射スペクトルを示すものである。
図28に示す反射スペクトルは、上記の(1-1)~(1-3)の要件を満たす2つの反射ピークp71及び反射ピークp72を有する。
すなわち、反射ピークp71及び反射ピークp72はそれぞれ、380nm以上780nm以下の波長範囲である波長480nm近傍、波長630nm近傍にピーク波長を有し、かつ、反射ピークp71は520nm未満の波長の第1主反射ピークであり、反射ピークp72は520nm以上の波長の第2主反射ピークであり、かつ、反射ピークp71の反射率は最大の反射率を示す反射ピークp72に対して20%以上の反射率を示すものである。なお、反射ピークp73及び反射ピークp74は(1-3)の要件を満たさず、反射ピークp75は(1-1)の要件を満たさない。
第7実施例の誘電体多層膜では、それぞれ1つの第1主反射ピーク及び第2主反射ピークの反射ピークの反射率を大きく違えるという構成をとることによって、無彩色近傍エリア以外の色度座標c70(0.506、0.345)を有する反射光を生ずるものとした。
<入射角度依存性>
第7実施例の誘電体多層膜について反射光の入射角度依存性について説明する。
図29は、第7実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射から5°づつ入射角度を大きくしたときのそれぞれの反射スペクトルについて光学薄膜設計ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、その結果得た反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。
図29において、各入射角度の反射スペクトルの色度座標はいずれも、橙色のエリアに配置する。より具体的には、各入射角度の反射スペクトルの色度座標は0.47≦x≦0.52、0.33≦x≦0.36の範囲に存在する。
このように、垂直入射で橙色のエリアに色度座標を有する第7実施例の誘電体多層膜についても、狭い色度座標範囲内で色度座標が変わるのみであり、入射角度依存性が低いものとなっている。
(色調整板(第8実施形態))
第8実施形態に係る色調整板は、上記の(1-1)及び(1-3)の要件を満たす複数の反射ピークを4つ有する誘電体多層膜を備えるものである。反射光の入射角度依存性について0°~80°の広い範囲で変化させたときの反射光の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化が0.1以下であることを確認した。
かかる特徴を有する第8実施例の誘電体多層膜について光学特性を説明する。
図30(a)は、第8実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射した場合の反射光についてxy色度図上の色度座標c80(0.311、0.325)を示すものである。図30(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。図31は、第8実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直入射した場合の反射スペクトルを示すものである。
図31に示す反射スペクトルは、上記の(1-1)~(1-3)の要件を満たす4つの反射ピークp81~反射ピークp84を有する。
すなわち、反射ピークp81~反射ピークp84はそれぞれ、380nm以上780nm以下の波長範囲である波長380nm近傍、波長430nm近傍、波長490nm近傍、波長610nm近傍にピーク波長を有し、かつ、反射ピークp81~p83は520nm未満の波長の第1主反射ピークであり、反射ピークp84は520nm以上の波長の第2主反射ピークであり、かつ、反射ピークp82~反射ピークp84の反射率は最大の反射率を示す反射ピークp81に対して20%以上の反射率を示すものである。
このように第4実施例の誘電体多層膜は、第1実施例の誘電体多層膜と異なる反射特性を有するものであるが、図31(a)に示すように第1実施例の誘電体多層膜と同程度に白色光(無彩色)に近い色度座標を有する反射スペクトルを示すものであることがわかる。
<入射角度依存性>
第8実施例の誘電体多層膜について反射光の入射角度依存性について説明する。
図32は、第8実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射から5°づつ入射角度を大きくしたときのそれぞれの反射スペクトルについて光学薄膜設計ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、その結果得た反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。先に示した実施例の入射角度依存性よりも広く0°から80°の範囲で確認した。
図32において、各入射角度の反射スペクトルの色度座標はいずれも、無彩色近傍エリアに配置する。より具体的には、各入射角度の反射スペクトルの色度座標は0.31≦x≦0.33、0.33≦x≦0.36の範囲に存在する。
このように、上記実施例の誘電体多層膜と同程度に入射角度依存性が低く、それらよりも広い入射角度を0°から80°で変化させたときの反射光の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下であり、x座標の変化は0.02以下、y座標の変化は0.03以下である。
(色調整板(第9実施形態))
図33は、第9実施形態に係る色調整板の断面模式図である。
図33に示す色調整板20は、二次元性を有する透明基板21(21A、21B、21C)と、透明基板21の外表面全体(21a、21b、21c、21d)に、高屈折率層22aと低屈折率層22bとが交互に積層された誘電体多層膜22と、を備えるものである。図33には、3個の色調整板20を示した。
また、誘電体多層膜22は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されている;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
二次元性を有する複数の透明基板21としては例えば、天然雲母、人工雲母、ガラス、無機単結晶などを挙げることができる。二次元性を有するとは、平面視のサイズに比べて厚みが小さいことを意味し、例えば、1/10以下であることを意味する。
本実施形態に係る色調整板は後述するように、透明基板にゾルゲル法等の液相法によって誘電体多層膜を形成するため、透明基板21の外表面全体に誘電体多層膜が形成される。
高屈折率層22a及び低屈折率層22bは、可視光の波長よりも小さい多数の結晶粒子からなる層とすることができる。可視光の波長よりも小さい結晶粒子からなる層は光学的に膜として作用する。結晶粒子としては、上述した高屈折率層2a及び低屈折率層2bの材料の結晶粒子を用いることができる。
かかる特徴を有する第9実施例の誘電体多層膜について光学特性を説明する。
図34(a)は、第9実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射した場合の反射光についてxy色度図上の色度座標c80(0.329、0.322)を示すものである。図34(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。図35は、第9実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直入射した場合の反射スペクトルを示すものである。透明基板としては雲母を用い、色調整板を太陽電池セル等の物品に取り付けるためのPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)を誘電体多層膜の上に形成したモデルで、シミュレーションは雲母の上面のみの結果であるが下面も同様の結果が得られた。
図35に示す反射スペクトルは、上記の(1-1)~(1-3)の要件を満たす2つの反射ピークp91及びp92を有する。
すなわち、反射ピークp91及びp92はそれぞれ、380nm以上780nm以下の波長範囲である波長380nm近傍、波長600nm近傍にピーク波長を有し、かつ、反射ピークp91は520nm未満の波長の第1主反射ピークであり、反射ピークp92は520nm以上の波長の第2主反射ピークであり、かつ、反射ピークp92の反射率は最大の反射率を示す反射ピークp91に対して20%以上の反射率を示すものである。
このように第9実施例の誘電体多層膜は、第1実施例の誘電体多層膜と異なる反射特性を有するものであるが、図34(a)に示すように第1実施例の誘電体多層膜と同程度に白色光(無彩色)に近い色度座標を有する反射スペクトルを示すものであることがわかる。
<入射角度依存性>
第9実施例の誘電体多層膜について反射光の入射角度依存性について説明する。
図36は、第9実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射から5°づつ入射角度を大きくしたときのそれぞれの反射スペクトルについて光学薄膜設計ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、その結果得た反射スペクトルの色度座標をxy色度図上に示したものである。
図36において、各入射角度の反射スペクトルの色度座標はいずれも、無彩色近傍エリアに配置する。より具体的には、各入射角度の反射スペクトルの色度座標は0.32≦x≦0.33、0.31≦x≦0.34の範囲に存在する。
このように、第9実施例の誘電体多層膜も上記実施例の誘電体多層膜と同程度に入射角度依存性が低く、入射角度を0°から30°で変化させたときの反射光の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下であり、x座標の変化は0.01以下、y座標の変化は0.03以下である。
後述するように、本実施形態に係る色調整板は多数の色調整板を塗布等によって、太陽電池セル等の対象物品に付けるが、色調整板が互いに傾いていても、反射スペクトルに対して入射角度依存性が低いために色に対する影響はほとんどない。
(色調整板(第10実施形態))
第10実施形態に係る色調整板も、第9実施形態に係る色調整板と同様に、二次元性を有する複数の透明基板と、透明基板の外表面全体に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜と、を備えるものである。
かかる特徴を有する第10実施例の誘電体多層膜について光学特性を説明する。
図37(a)は、第10実施例の誘電体多層膜に白色光を垂直入射した場合の反射光についてxy色度図上の色度座標c90(0.325、0.329)を示すものである。図37(b)は、シミュレーションで用いた誘電体多層膜モデルのパラメータである。図38は、第10実施例の誘電体多層膜に白色光が垂直入射した場合の反射スペクトルを示すものである。透明基板としては雲母を用い、色調整板を太陽電池セル等の物品に取り付けるためのPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)を誘電体多層膜の上に形成したモデルでシミュレーションを行った。
図38に示す反射スペクトルは、上記の(1-1)~(1-3)の要件を満たす2つの反射ピークp101及びp102を有する。
すなわち、反射ピークp101及びp102はそれぞれ、380nm以上780nm以下の波長範囲である波長380nm近傍、波長590nm近傍にピーク波長を有し、かつ、反射ピークp91は520nm未満の波長の第1主反射ピークであり、反射ピークp92は520nm以上の波長の第2主反射ピークであり、かつ、反射ピークp102の反射率は最大の反射率を示す反射ピークp101に対して20%以上の反射率を示すものである。
このように第9実施例の誘電体多層膜は、第1実施例の誘電体多層膜と異なる反射特性を有するものであるが、図37(a)に示すように第1実施例の誘電体多層膜と同程度に白色光(無彩色)に近い色度座標を有する反射スペクトルを示すものであることがわかる。
(色調整板の用い方)
図39及び図40に、本発明に係る色調整板の用い方の例を示す。
図39(b)に示すように、本発明の色調整板(図39(a)について、誘電体多層膜上に封止材など、適宜、他の層を配置して用いることができる。
図40に示す例は、太陽電池モジュールで用いる場合を例示するものであるが、同様の使い方であれば、他の製品に用いることができる。図40(a)~(g)において、符号100A、100B、100C、100D、100E、100F、100Gで示すのは太陽電池モジュールであり、符号10A、10B、10C、10D、10E、10F、10Gで示すのは色調整板であり、符号11A、11B、11C、11D、11E、11F、11Gで示すのは太陽電池(セル)であり、符号1A、1B、1C、1D、1E、1F、1Gで示すのは基板であり、符号2A、2B、2C、2D、2E、2F、2Gで示すのは誘電体多層膜である。
図40(a)は、本発明の色調整板が太陽電池モジュールの受光面側に設けられた例であり、誘電体多層膜が太陽電池セル側に向いた配置の場合であり、(b)は(a)とは逆に、基板側が太陽電池セル側に向いた配置の場合であり、(c)は太陽電池モジュールの裏面側にバックシートを備える例であり、(d)は本発明の色調整板が太陽電池モジュールの受光面側に設けられた例であり、太陽電池セルが空気など気体を有する状態で密閉された空間に配置する場合であり、(e)~(g)は、基板の表面に凹凸を有する例であり、(e)は本発明の色調整板が太陽電池モジュールの受光面側に設けられた例であり、誘電体多層膜が太陽電池セル側に向いた配置であって、基板の大気側の面に凹凸を有する場合であり、(f)は、本発明の色調整板が太陽電池モジュールの受光面側に設けられた例であり、基板が太陽電池セル側に向いた配置であって、基板の大気側の面に凹凸を有し、その凹凸を有する面に誘電体多層膜が形成された場合であり、(g)は、本発明の色調整板が太陽電池モジュールの受光面側に設けられた例であり、誘電体多層膜が太陽電池セル側に向いた配置であって、基板の太陽電池セル側の面に凹凸を有し、その凹凸を有する面に誘電体多層膜が形成された場合である。
<拡散反射面を有する基板を用いた色調整板>
図41(a)~(c)は、本発明に係る色調整板であって、基板の膜形成面又は非膜形成面のいずれか一方の面が拡散反射面である構成の断面模式図である。図41に示すグラフは、#600、#400、#220(株式会社不二製作所、フジランダムA)の各砥粒を用いてサンドブラストを行って拡散反射面を形成した構成について、色調整板の下方に太陽電池を配置する場合に、(a)~(c)の上方から白色光が垂直入射し(図中の矢印)、その反射光の白色度(L値)を測定した結果を示すものである。なお、フジランダムAは材質がアルミナ・炭化ケイ素系の褐色溶融アルミナの研磨材である。グラフにおいて、横軸の#600、#400、#220は砥粒のサイズ示す番手であり、縦軸は白色度(L値)を示す。砥粒のサイズは、#600は平均粒子径20.0μm±1.5μmで最大粒子径53.0μm以下であり、#400は平均粒子径25.0μm±2.0μmで最大粒子径63.0μm以下であり、#220は中心粒径が75~45μmである。
図41(a)~(c)の基板1(1a、1b、1c、1d)はBK7(ボロシリケートクラウンガラス)であり、誘電体多層膜2(2a、2b、2c)は基板側から順に、第1層(TiO、15.1nm)、第2層(SiO、37.1nm)、第3層(TiO、15.3nm)、第4層(SiO、44.1nm)、第5層(TiO、84.9nm)、第6層(SiO、21.4nm)、第7層(TiO、97.7nm)、第8層(SiO、22.7nm)、第9層(TiO、22.5nm)、第10層(SiO、22.4nm)、第11層(TiO、10nm)、第12層(SiO、103.8nm)の12層からなる多層膜であった。
図41(a)の色調整板は、誘電体多層膜2aが基板1aの白色光の入射面側であってサンドブラストを行っていない平坦面に形成され、基板1aの拡散反射面1aaが太陽電池側に配置する構成である。
図41(b)の色調整板(図40(g)に相当)は、誘電体多層膜2bが基板1bの太陽電池側の拡散反射面1bbに形成され、白色光の入射面がサンドブラストを行っていない平坦面が配置する構成である。
図41(c)の色調整板(図40(e)に相当)は、誘電体多層膜2bが基板1bの太陽電池側であって、サンドブラストを行っていない平坦面に形成され、白色光の入射面が拡散反射面1ccである構成である。
図41(d)は参考として、誘電体多層膜を有さない基板1dだけの構成であって、サンドブラストを行っていない平坦面に白色光が入射し、太陽電池側に拡散反射面1ddを有する構成である。
図41に示した結果から、以下の知見が得られた。
(a)~(c)はいずれも、#220、#400、#600の砥粒の順でL値が高い。すなわち、この3種類の砥粒でサンドブラストを行って拡散反射面を形成した場合には、粗い砥粒(番手が小さい砥粒)を用いた方がL値が高い。これは、拡散反射面の凹凸構造の大きさの程度によって散乱光を調整できることを示すものであり、#220、#400、#600の砥粒の順で、得られた拡散反射面の凹凸構造の大きさがL値を高めるのに適していたことを示すものである。
#220及び#400の砥粒を用いた場合、基板の平坦面に配置した誘電体多層膜が太陽電池側に配置し、光が入射する側に拡散反射面が配置する(c)の色調整板(図40(e)に相当)が最もL値が高い。
図42に、図41(a)~(c)に示した構成の色調整板であって、その拡散反射面を#600、#400、#220の各砥粒を用いてサンドブラストを行って形成した場合の太陽電池モジュールの短絡電流(太陽電池に印加される外部電圧が0Vのときに流れる電流)の減少割合ΔJsc(%)を測定した結果を示す。また、参考として色調整板の代わりに、図41(d)に示した構成の基板を用いた場合の太陽電池モジュールの短絡電流の減少割合ΔJsc(%)を測定した結果も示す。ΔJsc(%)は太陽電池効率を評価する指標である。
図42で示した結果から、以下の知見が得られた。
(a)~(c)はいずれも、#600、#400、#220の砥粒の順で短絡電流の減少割合ΔJscが小さい。すなわち、この3種類の砥粒でサンドブラストを行って拡散反射面を形成した場合には、細かい砥粒(番手が大きい砥粒)を用いた方がΔJscが抑制されている(すなわち、太陽電池の効率低下が抑制されている)。これは、拡散反射面の凹凸構造の大きさの程度によって短絡電流の減少割合ΔJscを調整できることを示すものであり、#600、#400、#220の砥粒の順で、得られた拡散反射面の凹凸構造の大きさが短絡電流の減少割合ΔJscを抑制するのに適していることを示すものである。
いずれの砥粒を用いた場合も、基板の平坦面に配置した誘電体多層膜が太陽電池側に配置し、光が入射する側に拡散反射面が配置する(c)の色調整板(図40(e)に相当)が最も短絡電流の減少割合ΔJscが抑制されている(すなわち、太陽電池の効率低下が抑制されている)。
図41及び図42で示した結果に基づくと、図41(a)~(c)に示した構成の色調整板のうち、基板の平坦面に配置した誘電体多層膜が太陽電池側に配置し、光が入射する側に拡散反射面が配置する(c)の色調整板(図40(e)に相当)が、高いL値を奏し、も短絡電流の減少割合ΔJscを最も抑制することがわかった。
図43(a)~(c)に、それぞれ、#600、#400、#220の各砥粒を用いてサンドブラストを行ったガラス基板の拡散反射面の光学顕微鏡写真を示す。図44に、図43(a)~(c)のそれぞれのX-X線における算術平均粗さRa、最大高さRy、二乗平均平方根高さRqを示す。
図44に示した拡散反射面の粗さと図41及び図42で示した結果とに基づくと、以下の知見が得られる。
粗さの代表として二乗平均平方根高さRqを用いると、Rqが1.2μm~1.8μm程度であると、高い白色度(L値)を得ることができる。
また、Rqが0.4μm~1.3μm程度であると、短絡電流の減少割合ΔJscを抑制できる(すなわち、太陽電池の効率低下が抑制できる)。
太陽電池の効率を重視しつつ、白色度を高めるためには、拡散反射面の粗さRqは0.4μm~1.3μmであることが好ましい。
(太陽電池モジュール(第1実施形態))
本実施形態に係る太陽電池モジュールは、複数の太陽電池と、複数の太陽電池の受光面側に配置する色調整板と、を備え、色調整板は、基板と、基板上に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜とを有し、誘電体多層膜は、上記(1-1)~(1-3)、(1-5)及び(1-6)を満たすように構成されてなるものである。
図45は、本発明の色調整板を適用した太陽電池モジュールの一部を模式的に描いた断面模式図である。
図45に示す太陽電池モジュール100は、太陽電池111と、太陽電池111の受光面側に設けられた色調整板10Aと、太陽電池111の裏面側に設けられた第2保護部材112と、第1保護部材11及び第2保護部材112の間に設けられ、太陽電池111を封止する封止材114とを備える。封止材114は、太陽電池111と第1保護部材11との間に配置された封止材114aと、太陽電池111と第2保護部材112との間に配置された封止材114bとを含む。本実施形態では、各保護部材の間に複数の太陽電池111が配置され、太陽電池111同士を接続する配線材115が設けられている。
図45に示す色調整板10Aは、第1保護部材(基板1に相当)11と、第1保護部材11上に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜12とからなる。
太陽電池111としては、公知のタイプの太陽電池セルを用いることができる。例えば、電極配置の観点では、両面電極型太陽電池セル、裏面電極型太陽電池セルのいずれを用いることもできる。また、太陽電池セルをシリコン系、化合物半導体系、有機系に3つに分類した観点でも特に制限なく、いずれの種類の太陽電池セルも用いることができる。
第1保護部材11には、例えばガラス基板や樹脂基板、樹脂フィルム等の透光性を有する部材を用いることができる。第2保護部材112には、第1保護部材11と同じ透明な部材を用いてもよいし、不透明な部材を用いてもよい。
封止材114は、太陽電池111に水分等が接触することを防止する役割を果たす。封止材114を構成する樹脂は、各保護部材及び太陽電池111に対する密着性が良く、水分を透過し難いものが好ましい。配線材115は、例えば接着剤により太陽電池111の電極に取り付けられる。
(太陽電池モジュール(第2実施形態))
本実施形態に係る太陽電池モジュールは、複数の太陽電池と、複数の太陽電池の受光面側に配置する色調整板と、を備え、色調整板は、二次元性を有する複数の透明基板と、透明基板の外表面全体に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜と、を有し、誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)、(1-5)及び(1-6)を満たすように構成されてなるものである。
(太陽電池モジュール(第3実施形態))
本実施形態に係る太陽電池モジュールは、複数の太陽電池と、複数の太陽電池の受光面側に配置する色調整板と、を備え、色調整板は、基板と、基板のおもて面及び裏面の少なくとも一方に形成された無機顔料を含有する無機顔料含有層とを有し、基板は、無機顔料含有層が形成されている膜形成面、及び、無機顔料含有層が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなるか、又は、拡散板である。
無機顔料含有層が含有する無機顔料としては例えば、パール顔料を用いることができる。パール顔料は、薄片状の粒子(例えば、最長径が2~100μm、厚さが0.01~10μmである粒子)の表面が金属またはその酸化物によって被覆されている顔料である。薄片状の粒子としては、天然雲母、人工雲母、ガラス及び無機単結晶などが挙げられる。薄片状の粒子表面を被覆する金属またはその酸化物としては、二酸化チタン、酸化鉄、銀等が挙げられる。
市販のパール顔料としては例えば、TWINCLEPEARL(製品名、日本光研工業社製)が挙げられる。例えば、TWINCLEPEARL SXD(平均粒子径:5~60μm)を用いることができる。
無機顔料含有層は塗布や蒸着等によって形成することができる。
例えば、マイカパール顔料としてTWINCLEPEARL SXD(平均粒子径:5~60μm)を用いて塗布によって無機顔料含有層を形成する場合、濃度は0.125重量%程度にするのが好ましい。濃度は短絡電流の減少割合ΔJsc(%)及び白色度(L値)の観点から、0.5重量%を超えない方がよく、例えば、0.1~0.5重量%とすることができる。
図41(c)に示した構成の色調整板であって、図41(c)中の符号2cが、マイカパール顔料(TWINCLEPEARL SXD)が0.125重量%の濃度で塗布されて形成された無機顔料含有層である色調整板を用いて、拡散反射面(図41(c)中の符号1ccに相当)の面粗度と、太陽電池モジュールの短絡電流の減少割合ΔJsc(%)との関係を調べて結果を図46に示す。白色光を入射光角度45°(基板面に対して垂直方向を0°として)で拡散反射面から入射した。面粗度としては、二乗平均平方根高さRq〔μm〕を用い、ISO25178に準拠した「接触式(触針式)」の評価方法で評価した。測定は、触針式表面粗さ計のデクタック(Dektak、Bruker社製)を用いて行った。
拡散反射面の作製はサンドブラストで行った。比較のために、サンドブラストを行っていないもの(サンドブラストを行っていない以外は同様の構成)についてもΔJscを評価した。図46において、拡散反射面から入射するものをテクスチャ面入射、比較として、サンドブラストを行っていない、テクスチャを有さない面への入射を平板入射と記載した。
図46から、拡散反射面の面粗度が3μm程度まで面粗度が増加すると共に、ΔJscが大きくなること(換言すると、太陽電池効率が低下すること)がわかる。ΔJscを25%以内に抑えるためには、拡散反射面の面粗度Rqを2.0μm以下にすることが好ましい。また、ΔJscを20%以内に抑えるためには、拡散反射面の面粗度Rqを1.3μm以下にすることが好ましい。
図47に、図46を得るために用いた色調整板と同じ色調整板を用いて、白色光を入射光角度45°(基板面に対して垂直方向を0°として)で拡散反射面から入射し、0°で観察して、拡散反射面の面粗度と、色調整板の白色度(L値)との関係を調べて結果を示す。比較のために、サンドブラストを行っていないもの(サンドブラストを行っていない以外は同様の構成)についても白色度(L値)を評価した。図47において、平面入射がサンドブラストを行っていないものである。
図47から、面粗度が3μm程度まで面粗度の増加と共に、色調整板の白色度(L値)が増加することがわかる。白色度(L値)を25以上にするためには、面粗度Rqを0.1μm以上にすることが好ましい。また、白色度(L値)を35以上にするためには、面粗度Rqを1.5μm以上にすることが好ましい。
図46及び図47に示した結果から、第3実施形態に係る太陽電池モジュールについて以下の知見が得られる。
拡散反射面を有する色調整板において、ΔJscを25%以内に抑え、かつ、白色度(L値)を25以上にするためには、拡散反射面の面粗度Rqを0.1μm以上2.0μm以下にすることが好ましい。
拡散反射面を有する色調整板において、ΔJscを25%以内に抑え、かつ、白色度(L値)を30以上にするためには、面粗度Rqを0.7μm以上2.0μm以下にすることが好ましい。
拡散反射面を有する色調整板において、ΔJscを25%以内に抑え、かつ、白色度(L値)を35以上にするためには、面粗度Rqを1.5μm以上2.0μm以下にすることが好ましい。
拡散反射面を有する色調整板において、ΔJscを20%以内に抑え、かつ、白色度(L値)を25以上にするためには、面粗度Rqを0.1μm以上1.3μm以下にすることが好ましい。
拡散反射面を有する色調整板において、ΔJscを20%以内に抑え、かつ、白色度(L値)を30以上にするためには、面粗度Rqを0.7μm以上1.3μm以下にすることが好ましい。
色調整板で色調整の機能を有する層が無機顔料含有層である場合も、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜である場合も、拡散反射面を有する基板を用いるときは、太陽電池効率及び白色度のいずれを重視するかにより、拡散反射面の面粗度Rqは0.1μm~2.0μmであることが好ましい場合、0.1μm以上1.3μm以下であることが好ましい場合、0.7μm以上1.3μm以下であることが好ましい場合、0.3μm以上1.3μm以下であることが好ましい場合、0.7μm以上2.0μm以下であることが好ましい場合、1.5μm以上2.0μm以下にすることが好ましい場合などがある。
(色調整板の製造方法)
本発明に係る色調整板の製造方法は、本発明に係る色調整板を製造する方法であって、誘電体多層膜の前記高屈折率層及び前記低屈折率層の材質、各層の層厚、及び、層数の少なくとも一つのパラメータを光学薄膜設計シミュレーションによって決定する誘電体多層膜決定工程を有する。
(成膜方法)
本発明に係る成膜方法は、基板上、又は、透明基板の外表面全体に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜を形成する成膜方法であって、誘電体多層膜が、少なくとも以下の(1-1)~(1-3)を満たすように前記高屈折率層及び前記低屈折率層の材質、各層の層厚、及び、層数の少なくとも一つのパラメータを光学薄膜設計シミュレーションによって決定する;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
第1実施形態~第8実施形態に係る色調整板について、基板上に誘電体多層膜を形成する成膜する際には、蒸着法やスパッタ法などの公知の乾式の薄膜法を用いることができる。また、公知の湿式の薄膜法を用いてもよい。
また、第9実施形態~第10実施形態に係る色調整板の製造に際して、雲母等の二次元性の透明基板のサイズを調製する工程を有してもよい。例えば、雲母原石を粉砕(例えば、湿式粉砕)し、分級・粒度調整して、所望の粒度分布の雲母基板を得てもよい。
また、第9実施形態~第10実施形態に係る色調整板について、透明基板の外表面全体に誘電体多層膜を形成する成膜する際には、硫酸チタニル法、四塩化チタン法、ゾルゲル法などの公知の湿式の薄膜形成法を用いることができる。例えば、TiO層の成膜、SiO層の成膜、SnO層の成膜について以下の化学反応を利用することができる。それらの層は適宜、乾燥、焼成等による結晶化工程を行ってもよい。
・TiOSO4 + 3H2O → TiO2・2H2O + H2SO4
・Ti(OCH2CH3)4 + 2H2O → TiO2 + 4CH3CH2OH
・Si(OCH2CH3)4 + 2H2O → SiO2 + 4CH3CH2OH
・Sn(OCH2CH3)4 + 2H2O → SnO2 + 4CH3CH2OH
また、例えば、雲母等の二次元性を有する複数の透明基板上に誘電体多層膜を成膜した色調整板をアクリル樹脂等(図48の符号30)によって太陽電池セル等の対象物品に付けることができる。より具体的には例えば、色調整板をアクリル樹脂等のクリア塗料に混ぜて、塗布・乾燥させることによって太陽電池モジュール等を製造することができる。塗布方法は、バーコーターやドクターブレード、スプレーガン、アプリケーター等を用いることができる。雲母等の二次元性を有する複数の透明基板を備える色調整板20は、雲母等がクリア塗料内の溶媒が蒸発して固化する際にガラス基板に並行して固定され、図48に示したように、対象物品(例えば、太陽電池)121の上に二次元面を並行にして接合され、太陽電池モジュール200を作製できる。固定に際しては適宜、顔料の塗布技術を適用することができる。また、仮に二次元面が30°程度の傾きができたとしても上述したように反射スペクトルの低入射角度依存性のために色への影響はほとんどない。雲母等の二次元性を有する透明基板のサイズ(二次元面方向)は、通常、はく離したものを粉砕して使用するため、特に規定しないが、数μm~数100μm程度の不定形で、厚さは数nm~数μmである。
また、このように作製した色調整板を透明基板(ガラスなど)に付着させれば、図40と全く同様の構造において用いることが出来る。
上述した塗布の例として、アクリル樹脂は酢酸ブチル等で薄めて塗布しやすいようにしてもよい。すなわち、例えば、乾燥後に70%程度になるようにアクリル樹脂を薄めてもよい。また、スプレーガンやアプリケーターでの初期膜厚は200μm程度とし、乾燥収縮後に樹脂固形分30%程度が残り、雲母がガラス基板に平行に並ぶようにしてもよい。また、ガラス基板表面は雲母顔料やアクリル樹脂が強固にかつ均質に付着する様に極性等の表面処理を行うことが好ましい。
(成膜装置)
本発明に係る成膜装置は、基板上、又は、透明基板の外表面全体に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜を形成する成膜装置であって、誘電体多層膜が、少なくとも以下の(1-1)~(1-3)を満たすように前記高屈折率層及び前記低屈折率層の材質、各層の層厚、及び、層数の少なくとも一つのパラメータを光学薄膜設計シミュレーションによって決定する光学パラメータ決定手段を備える;
(1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
(1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
(1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
1 基板
2、22 誘電体多層膜
2a、22a 高屈折率層
2b、22b 低屈折率層
10、10A、20 色調整板
21 透明基板
30 色調整板固定剤
100、200 太陽電池モジュール
111、121 太陽電池(セル)

Claims (43)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜と、を備え、
    前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されてなる、色調整板;
    (1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
    (1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
    (1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
  2. 前記基板の、前記誘電体多層膜が形成されている膜形成面、及び、前記誘電体多層膜が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなる、請求項1に記載の色調整板。
  3. 前記非膜形成面が拡散反射面として形成されてなる、請求項2に記載の色調整板。
  4. 前記拡散反射面の二乗平均平方根高さRqが0.4μm~1.3μmである、請求項3に記載の色調整板。
  5. 前記基板が拡散板である、請求項1に記載の色調整板。
  6. 前記複数の反射ピークは2つの反射ピークである、請求項1又は2に記載の色調整板。
  7. 前記複数の反射ピークは3つの反射ピークである、請求項1又は2に記載の色調整板。
  8. 前記複数の反射ピークは4つの反射ピークである、請求項1又は2に記載の色調整板。
  9. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-4)を満たすように構成されてなる、請求項1又は2に記載の色調整板;
    (1-4)前記垂直方向からの入射角度を0°から30°で変化させたときの前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下である。
  10. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-5)を満たすように構成されてなる、請求項1又は2に記載の色調整板;
    (1-5)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの少なくとも一方の半値全幅(FWHM)は200nm以下である。
  11. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-6)を満たすように構成されてなる、請求項1又は2に記載の色調整板;
    (1-6)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの反射率はいずれも70%以下である。
  12. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-7)を満たすように構成されてなる、請求項1又は2に記載の色調整板;
    (1-7)前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)が、0.25≦x≦0.4、かつ、0.25≦y≦0.4で囲まれる範囲に存在する、色調整板。
  13. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-8)を満たすように構成されてなる、請求項1又は2に記載の色調整板;
    (1-8)前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)が、0.25≦x≦0.4、かつ、0.25≦y≦0.4で囲まれる範囲以外に存在する、色調整板。
  14. 複数の太陽電池と、
    前記複数の太陽電池の受光面側に配置する色調整板と、を備え、
    前記色調整板は、基板と、前記基板上に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜とを有し、
    前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)、(1-5)及び(1-6)を満たすように構成されてなる、太陽電池モジュール;
    (1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
    (1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
    (1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示すものである、
    (1-5)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの少なくとも一方の半値全幅(FWHM)は200nm以下であり、
    (1-6)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの反射率はいずれも70%以下である。
  15. 前記基板の、前記誘電体多層膜が形成されている膜形成面、及び、前記誘電体多層膜が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなる、請求項14に記載の太陽電池モジュール。
  16. 前記非膜形成面が拡散反射面として形成されてなり、
    前記色調整板は、前記膜形成面が前記太陽電池に対向するように配置されている、請求項15に記載の太陽電池モジュール。
  17. 前記拡散反射面の二乗平均平方根高さRqが0.4μm~1.3μmである、請求項16に記載の太陽電池モジュール。
  18. 前記基板が拡散板である、請求項14に記載の太陽電池モジュール。
  19. 二次元性を有する透明基板と、
    前記透明基板の外表面全体に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜と、を備え、
    前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されてなる、色調整板;
    (1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
    (1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
    (1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
  20. 前記基板の、前記誘電体多層膜が形成されている膜形成面、及び、前記誘電体多層膜が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなる、請求項19に記載の色調整板。
  21. 前記非膜形成面が拡散反射面として形成されてなる、請求項20に記載の色調整板。
  22. 前記透明基板のサイズが1μm~1000μmである、請求項19又は20に記載の色調整板。
  23. 前記透明基板が天然雲母、人工雲母、ガラス及び無機単結晶からなる群から選択された一種である、請求項19又は20に記載の色調整板。
  24. 前記基板が拡散板である、請求項19に記載の色調整板。
  25. 前記複数の反射ピークは2つの反射ピークである、請求項19又は20に記載の色調整板。
  26. 前記複数の反射ピークは3つの反射ピークである、請求項19又は20に記載の色調整板。
  27. 前記複数の反射ピークは4つの反射ピークである、請求項19又は20に記載の色調整板。
  28. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-4)を満たすように構成されてなる、請求項19又は20に記載の色調整板;
    (1-4)前記垂直方向からの入射角度を0°から30°で変化させたときの前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)におけるx座標及びy座標の変化がいずれも0.1以下である。
  29. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-5)を満たすように構成されてなる、請求項19又は20に記載の色調整板;
    (1-5)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの少なくとも一方の半値全幅(FWHM)は200nm以下である。
  30. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-6)を満たすように構成されてなる、請求項19又は20に記載の色調整板;
    (1-6)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの反射率はいずれも70%以下である。
  31. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-7)を満たすように構成されてなる、請求項19又は20に記載の色調整板;
    (1-7)前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)が、0.25≦x≦0.4、かつ、0.25≦y≦0.4で囲まれる範囲に存在する、色調整板。
  32. 前記誘電体多層膜はさらに、以下の(1-8)を満たすように構成されてなる、請求項19又は20に記載の色調整板;
    (1-8)前記反射光のCIE-xy色度図上の色度座標(x、y)が、0.25≦x≦0.4、かつ、0.25≦y≦0.4で囲まれる範囲以外に存在する、色調整板。
  33. 複数の太陽電池と、
    前記複数の太陽電池の受光面側に配置する色調整板と、を備え、
    前記色調整板は、二次元性を有する複数の透明基板と、前記透明基板の外表面全体に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜と、を有し、
    前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)、(1-5)及び(1-6)を満たすように構成されてなる、太陽電池モジュール;
    (1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
    (1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
    (1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示すものである、
    (1-5)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの少なくとも一方の半値全幅(FWHM)は200nm以下であり、
    (1-6)前記第1主反射ピーク及び前記第2主反射ピークの反射率はいずれも70%以下である。
  34. 前記基板の、前記誘電体多層膜が形成されている膜形成面、及び、前記誘電体多層膜が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなる、請求項33に記載の太陽電池モジュール。
  35. 前記非膜形成面が拡散反射面として形成されてなる、請求項33に記載の太陽電池モジュール。
  36. 前記基板が拡散板である、請求項33に記載の太陽電池モジュール。
  37. 請求項1、2、及び、19のいずれか一項に記載の色調整板の製造方法であって、
    前記誘電体多層膜の前記高屈折率層及び前記低屈折率層の材質、各層の層厚、及び、層数の少なくとも一つのパラメータを光学薄膜設計シミュレーションによって決定する誘電体多層膜決定工程を有する、色調整板の製造方法。
  38. 基板上、又は、透明基板の外表面全体に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜を形成する成膜方法であって、
    前記誘電体多層膜が、少なくとも以下の(1-1)~(1-3)を満たすように前記高屈折率層及び前記低屈折率層の材質、各層の層厚、及び、層数の少なくとも一つのパラメータを光学薄膜設計シミュレーションによって決定する、成膜方法;
    (1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
    (1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
    (1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
  39. 基板上、又は、透明基板の外表面全体に形成され、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜を形成する成膜装置であって、
    前記誘電体多層膜が、少なくとも以下の(1-1)~(1-3)を満たすように前記高屈折率層及び前記低屈折率層の材質、各層の層厚、及び、層数の少なくとも一つのパラメータを光学薄膜設計シミュレーションによって決定する光学パラメータ決定手段を備える、成膜装置;
    (1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
    (1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
    (1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
  40. 基板と、
    前記基板のおもて面及び裏面の少なくとも一方に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された誘電体多層膜と、を備え、
    前記誘電体多層膜は、以下の(1-1)~(1-3)を満たすように構成されてなる、色調整板;
    (1-1)白色光を垂直方向から入射させて前記垂直方向と同じ方向に反射する反射光が380nm以上780nm以下の波長範囲の複数の反射ピークを有する分光反射特性を示し、
    (1-2)前記複数の反射ピークは少なくとも、520nm未満の波長の第1主反射ピークと520nm以上の波長の第2主反射ピークとを1つづつ含み、
    (1-3)前記複数の反射ピークは、前記波長範囲の反射ピークのうち、最大の反射率を示す反射ピークに対して20%以上の反射率を示す。
  41. 前記基板が拡散板である、請求項40に記載の色調整板。
  42. 複数の太陽電池と、
    前記複数の太陽電池の受光面側に配置する色調整板と、を備え、
    前記色調整板は、基板と、前記基板のおもて面及び裏面の少なくとも一方に形成された無機顔料を含有する無機顔料含有層とを有し、
    前記基板は、前記無機顔料含有層が形成されている膜形成面、及び、前記無機顔料含有層が形成されていない非膜形成面のうち一方の面は、凹凸構造を有する拡散反射面として形成されてなるか、又は、拡散板である、太陽電池モジュール。
  43. 前記拡散反射面の二乗平均平方根高さRqが0.1μm~2.0μmである、請求項42に記載の太陽電池モジュール。
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