JP2023085885A - 歪み検出用光ファイバケーブル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定対象物に設置する際に光ファイバ素線が損傷しにくく、かつ、光ファイバ素線の端部を容易に露出させることができる歪み検出用光ファイバケーブル及びその製造方法を提供する。【解決手段】測定対象物に設置されてその歪み検出に用いられる光ファイバケーブル10を、1又は2以上の光ファイバ素線1と、この光ファイバ素線1の周囲に設けられ、熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束により形成された複数の繊維強化樹脂層2a,2bが相互に剥離可能に積層されてなる強化層2と、熱可塑性樹脂により形成され、強化層2を被覆する被覆層3を備える構成にする。【選択図】図1

Description

本発明は、測定対象物に設置されてその歪み検出に用いられる光ファイバケーブル及びその製造方法に関する。
土木・建築分野において構造物や地盤などに生じる歪みを検出する方法の1つとして、測定対象物に光ファイバケーブルを設置し、光ファイバ内を伝搬する光の変調を確認する光ファイバセンシングシステムがある。一般に、この用途に用いられる光ファイバケーブルは、施工時の折れなどを防いで取り扱い性を確保するため、光ファイバ素線を繊維強化樹脂などで被覆することで強度向上が図られている(例えば、特許文献1参照)。また、被覆層の表面に凹部を形成することで、測定対象物との密着性向上を図った歪み検出用光ファイバケーブルも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
一方、環境湿度の影響による測定精度の低下を防止するため、繊維強化樹脂などからなる強化被覆層を設けず、光ファイバを保護する被覆部の引張弾性係数が光ファイバの引張弾性係数よりも小さくなるようにした光ファイバケーブルも提案されている(特許文献3参照)。更に、本発明者らは、光ファイバ素線の周囲に強化層及び定着層に加えて保護緩衝層を設けることにより、取り扱い時や施工作業中に光ファイバ素線に折れや断線が発生し難くすると共に、伝送損失を低減した歪み検出用光ファイバケーブルを提案している(特許文献4参照)
特開平11-60286号公報 特開2002-23030号公報 特開2012-229992号公報 特開2019-184596号公報
しかしながら、前述した従来の歪み検出用光ファイバケーブルには、以下に示す問題点がある。歪み検出用光ファイバケーブルを測定対象物に埋設する際は、コンクリートを打設した後、コンクリートを充填、緻密化させるためにバイブレータなどで振動を与えるが、特許文献1~3に記載の光ファイバケーブルは、施工時に光ファイバ素線に折れや破断が発生しやすいという問題がある。
一方、特許文献4に記載の光ファイバケーブルは、光ファイバ素線の保護効果が高く、取り扱い時や敷設時における折れや破断の発生を防止することが可能であるが、近時、コンクリート打設時の強い振動による損傷も確実に防止するため、光ファイバケーブルの太径化が求められている。通常、歪み検出用光ファイバケーブルを機器などと接続する際は、光ファイバ素線の端部を露出させる必要があるが、特許文献4に記載の光ファイバケーブルは、光ファイバ素線を被覆する樹脂被覆層を厚くすることで大径化すると、樹脂被覆層を構成する各層を剥いで、光ファイバ素線を露出させることが難しくなる。
そこで、本発明は、測定対象物に設置する際に光ファイバ素線が損傷しにくく、かつ、光ファイバ素線の端部を容易に露出させることができる歪み検出用光ファイバケーブル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る歪み検出用光ファイバケーブルは、測定対象物に設置され、前記測定対象物の歪み検出に用いられる光ファイバケーブルであって、1又は2以上の光ファイバ素線と、前記光ファイバ素線の周囲に設けられ、熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束により形成された複数の繊維強化樹脂層が相互に剥離可能に積層されてなる強化層と、熱可塑性樹脂により形成され前記強化層を被覆する被覆層とを有する。
前記強化層は、例えば前記光ファイバ素線の周囲に設けられた第1の繊維強化樹脂層と、前記第1の繊維強化樹脂層上に剥離可能に設けられた第2の繊維強化樹脂層とで構成することができる。その際、前記第1の繊維強化樹脂層の厚さを、前記第2の繊維強化樹脂層の厚さ以下にしてもよい。
本発明の歪み検出用光ファイバケーブルでは、最外層に、熱可塑性樹脂からなり、表面に複数の凹部及び/又は凸部が形成された定着層が設けられていてもよい。
また、本発明の歪み検出用光ファイバケーブルは、外径を0.9mm以上にすることができる。
本発明に係る歪み検出用光ファイバケーブルの製造方法は、1又は2以上の光ファイバ素線の周囲に熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束からなる複数の繊維強化樹脂層を相互に剥離可能に積層して強化層を形成する工程と、前記強化層の周囲に熱可塑性樹脂を押しだし、前記強化層を被覆する被覆層を形成する工程とを有する。
前記強化層を形成する工程では、例えば前記光ファイバ素線の周囲に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置した後加熱して前記熱硬化性樹脂を硬化させ、前記光ファイバ素線の周囲に第1の繊維強化樹脂層を形成する工程と、前記第1の繊維強化樹脂層の周囲に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置した後加熱して前記熱硬化性樹脂を硬化させ、前記第1の繊維強化樹脂層上に第2の繊維強化樹脂を形成する工程とを行う。
その場合、前記強化層を形成する工程において、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束の周囲をフッ素系樹脂で被覆し、前記熱硬化性樹脂を硬化させた後で前記フッ素系樹脂を剥離して、形成された繊維強化樹脂層の周囲に更に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置してもよい。
更に、本発明の検出用光ファイバケーブルの製造方法では、前記被覆層の周囲に熱可塑性樹脂を押しだした後、その表面に加工を施し、複数の凹部及び/又は凸部が設けられた定着層を形成する工程を実施してよい。
本発明によれば、光ファイバ素線の周囲に強化層が設けられているため、測定対象物に設置する際に光ファイバ素線が損傷しにくく、また、強化層は剥離可能に積層された複数の層で構成されているため、光ファイバ素線の端部を容易に露出させることができる。
本発明の第1の実施形態の光ファイバケーブルの構造を示す横断面図である。 図1に示す光ファイバケーブル10の製造工程を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態の光ファイバケーブルの構造を示す横断面図である。 図3に示す光ファイバケーブル20の製造工程を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係る光ファイバケーブルについて説明する。図1は本実施形態の光ファイバケーブルの構造を示す横断面図である。図1に示すように、本実施形態の光ファイバケーブル10は、光ファイバ素線1の周囲に、強化層2と被覆層3がこの順に設けられている。この光ファイバケーブル10は、測定対象物の歪み検出に用いられるものであり、特に外径が0.9mm以上の太径の検出用光ファイバケーブルである。
[光ファイバ素線1]
光ファイバ素線1は、石英ガラスなどの光透過率が高い材料からなる光ファイバの周囲に、1又は2層の樹脂保護層を形成したものである。保護層を形成する樹脂としては、一般に、紫外線硬化型ウレタンアクリレートなどの紫外線硬化型樹脂が用いられる。また、光ファイバ素線1の太さは特に限定されるものではなく、測定対象物や要求される検出精度などに応じて適宜選択することができるが、一般には外径0.25mmのものが用いられる。
[強化層2]
強化層2は、光ファイバ素線1の強度を確保するためのものであり、光ファイバ素線1の周囲に設けられている。本実施形態の光ファイバケーブル10の強化層2は、熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束により形成された複数の繊維強化樹脂層2a,2bが相互に剥離可能に積層された構成となっている。ここで、「剥離可能に積層」とは、複数の繊維強化樹脂層2a,2bがそれぞれ個別に硬化しており、化学的にも物理的にも結合しておらず、通常は密着した状態にあるが、力を加えることで容易に分離できる状態をいう。
長繊維束を構成する繊維としては、ポリオレフィンやポリエステルなどからなる合成繊維(有機繊維)、又は、炭素繊維、ガラス繊維及び金属繊維などの無機繊維を用いることができるが、光ファイバ素線1の保護の観点から強度や弾性率などを考慮すると、無機繊維が好ましい。特に、光ファイバがガラス製の場合は、長繊維束には炭素繊維又はガラス繊維を用いることが好ましい。これにより、光ファイバ素線1への追従性が向上するため、屈曲させたときの折れ発生を防止することができる。また、長繊維束に細番手のヤーンを多数使用すると割れやすくなるため、60tex以上の番手の繊維を用いることが好ましい。
一方、熱硬化性樹脂は、加熱により硬化する性質の樹脂であればよく、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和アルキド樹脂及びエポキシ樹脂などを用いることができる。また、熱硬化性樹脂は、硬化後の硬さ及び賦形後の形状の熱的安定性から、架橋性物質を含有することが好ましく、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和アルキド樹脂又はエポキシアクリレートのうち少なくとも1種と、架橋性モノマーなどの架橋性物質と、ジアシルパーオキサイドなどの重合開始剤とを含むことがより好ましい。
なお、強化層2を構成する各繊維強化樹脂層2a,2bは、同種の熱硬化性樹脂で形成しても、異種の熱硬化性樹脂で形成してもよいが、各層の収縮率が異なると意図しないタイミングで剥がれてしまう可能性があるため、各繊維強化樹脂層2a,2bは同種の繊維と同種の熱硬化性樹脂を用いて形成することが好ましい。
強化層2を構成する繊維強化樹脂層2a,2bの厚さは、特に限定されるものではないが、光ファイバ素線1の周囲に設けられた第1の繊維強化樹脂層2aの厚さを、第1の繊維強化樹脂層2a上に設けられた第2の繊維強化樹脂層2bの厚さ以下とすることが好ましい。これにより、強度向上と光ファイバ素線1の取り出しやすさを両立させることができる。
具体的には、第1の繊維強化樹脂層2aの厚さは、光ファイバ素線1の取り出しやすさ及び光ファイバ素線1を光ファイバケーブル10の中心に配置する観点から、0.1~0.5mmが好ましく、0.3~0.4mmがより好ましい。一方、第2の繊維強化樹脂層2bは、強度向上の観点からは厚い方が好ましく、歪みの正確な検出、光ファイバ素線1の取り出しやすさ、作業時の質量や取り扱い時の巻き径からは、薄い方が好ましいが、厚さが0.3~1.5mmであることが好ましく、より好ましい厚さは0.5~1.0mmである。
更に、第1の繊維強化樹脂層2aと第2の繊維強化樹脂層2bの外径比は、剥ぎ取りやすさの観点から、第1の繊維強化樹脂層2aの外径D:第2の繊維強化樹脂層2bの外径D=1:1.5~1:5の範囲が好ましく、1:2~1:3の範囲がより好ましい。
[被覆層3]
被覆層3は、柔軟性を有する熱可塑性樹脂で形成されていればよく、樹脂の種類は特に限定されるものではないが、例えばポリオレフィン系樹脂を用いることができる。また、熱可塑性樹脂層3を形成する樹脂には、耐候性、耐薬品性及び難燃性などの性能が付与されたものを用いることもできる。被覆層3の厚さは、特に限定されるものではないが、光ファイバ素線1への感度伝達と保護及び剥ぎやすさの観点から、0.05~1.50mmが好ましい。
[製造方法]
次に、本実施形態の光ファイバケーブル10の製造方法について説明する。図2は本実施形態の光ファイバケーブル10の製造工程を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態の光ファイバケーブル10を製造する際は、先ず、光ファイバ素線1の周囲に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置した後加熱して熱硬化性樹脂を硬化させ、光ファイバ素線1の周囲に第1の繊維強化樹脂層2aを形成する(ステップS1)。具体的には、光ファイバ素線1の周囲に熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置又は熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束の中心に光ファイバ素線1を配置し、それを絞りノズルなどを通過させることにより所定径に成形すると共に余分な熱硬化性樹脂を除去した後、加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる。
その際、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束の周囲をフッ素系樹脂で被覆し、熱硬化性樹脂を硬化させた後でフッ素系樹脂による被覆を剥離することが好ましい。これにより、フッ素系樹脂が金型の代用をするため、熱硬化性樹脂を硬化させる際に、加熱時により長繊維束が変形することを防止できる、即ち、長繊維束を変形させることなく、熱硬化性樹脂を硬化させることができる。
また、このフッ素系樹脂による被覆は、長繊維束にダメージを与えることなく容易に剥がすことができる上に、被覆を剥がした後の第1の繊維強化樹脂層2aは表面が非常に滑らかで、且つ形状を安定させることができる。第1の繊維強化樹脂層2aの表面に凹凸がなく平滑であると、その上に形成される第2の繊維強化樹脂層2bと密着するが、物理的には接着しない。即ち、第1の繊維強化樹脂層2aと第2の繊維強化樹脂層2bとが剥離可能に積層される。その結果、光ファイバ素線1を取り出すために第2の繊維強化樹脂層2bを剥がしたとき、第1の繊維強化樹脂層2aは残って、光ファイバ素線1は薄い第1の繊維強化樹脂層2aのみに覆われている状態になるため、容易に光ファイバ素線1を露出させることが可能となる。
次に、第1の繊維強化樹脂層2aの周囲に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置した後加熱して熱硬化性樹脂を硬化させ、第1の繊維強化樹脂層2a上に第2の繊維強化樹脂層2bを形成する(ステップS2)。具体的には、ステップS1で第1の繊維強化樹脂層2aを形成した光ファイバ素線1の周囲に熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置又は熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束の中心に第1の繊維強化樹脂層2aを形成した光ファイバ素線1を配置し、それを絞りノズルなどを通過させることにより所定径に成形すると共に余分な熱硬化性樹脂を除去した後、加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる。
これにより、光ファイバ素線1の周囲に、第1の繊維強化樹脂層2aと第2の繊維強化樹脂層2bが剥離可能に積層された強化層2が形成される。なお、強化層2を繊維強化樹脂層が3層以上積層された構成とする場合は、前述したステップS2を複数回繰り返せばよい。なお、繊維強化樹脂層を3層以上形成する場合は、下層の繊維強化樹脂層を形成する際に、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束の周囲をフッ素系樹脂で被覆し、熱硬化性樹脂を硬化させた後でフッ素系樹脂による被覆を剥離することで、上層の繊維強化樹脂層が剥離可能に積層されるようにすることが望ましい。ただし、強化層2を構成する繊維強化樹脂層が3層以上になると、加熱回数が多くなることにより光ファイバ素線1が受けるダメージが増すことが予想されると共に、各繊維強化樹脂層にずれが生じてセンサの感度が低下する虞もあるため、強化層2を構成する繊維強化樹脂層は2層であることが好ましい。
また、ステップS1及びステップS2において長繊維束に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させる際は、気泡が含まれないようにすることが好ましい。繊維強化樹脂層2a,2bに気泡が存在し、熱硬化性樹脂の含浸が十分でない箇所が存在すると、製造される光ファイバケーブル10に曲げ応力がかかったとき、折れなどの不具合が発生する虞がある。
引き続き、強化層2の周囲に熱可塑性樹脂を押しだし、直ちに水冷して被覆層3を形成する(ステップS3)。これにより、強化層2が被覆層3で被覆され、所定外径を有する光ファイバケーブル10が得られる。
以上詳述したように、本実施形態の光ファイバケーブルは、光ファイバ素線の周囲に細径で繊維強化樹脂層を形成した後、更に繊維強化樹脂層を積層して太径化しているため、光ファイバケーブルの外径を0.9mm以上にしても、光ファイバ素線を中心に配置することができる。このように強化層を複数回に分けて形成することで、一度に太径の(厚い)強化層を形成するよりも、光ファイバ素線に加わる熱量を少なくし、製造過程において光ファイバ素線が受けるダメージを低減することができる。
更に、本実施形態の光ファイバケーブルは、強化層を構成する各繊維強化樹脂層が接着しておらず、剥離可能となっているため、光ファイバ素線を露出させる際に、容易に剥ぐことができる。その結果、本実施形態の光ファイバケーブルは、測定対象物に設置する際に光ファイバ素線が損傷しにくく、かつ、光ファイバ素線の端部を容易に露出させることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバケーブルについて説明する。図3は本実施形態の光ファイバケーブルの構造を示す横断面図である。なお、図3においては、図1に示す第1の実施形態の光ファイバケーブル10の構成要素と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図3に示すように、本実施形態の光ファイバケーブル20は、被覆層3の周囲に定着層4が設けられている以外は、前述した第1の実施形態の光ファイバケーブル10と同様である。
[定着層4]
定着層4は、最外層に設けられ、構造物や地盤などの測定対象物に埋設された後、光ファイバケーブルとコンクリートや土壌などとの密着性を確保するためのものであり、複数の凹部4a及び/又は凸部が形成されている。なお、図3には定着層4に所定間隔をあけて凹部4aが形成された例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、定着層4には凸部を設けてもよく、凹凸形状を形成してもよい。また、凹部や凸部は、規則的に形成されていても、不規則(ランダム)に形成されていても、どちらでもよい。
定着層4を設けることにより、コンクリートや土壌などから光ファイバケーブルのみが脱落することを防止できると共に、埋設後に測定対象物に加わる歪や応力に光ファイバケーブルが追従しやすくなり、良好な検出性能が得られる。定着層4を形成する樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂を用いることができるが、被覆層3との接着性を良好にする観点から、被覆層3と同種で、被覆層3よりも硬度が高い樹脂を用いることが好ましい。
[製造方法]
次に、本実施形態の光ファイバケーブル20の製造方法について説明する。図4は本実施形態の光ファイバケーブル20の製造工程を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態の光ファイバケーブル20を製造する際は、前述したステップS1~S3を行った後、被覆層3の周囲に熱可塑性樹脂を押しだし、直後に表面に凹凸を付与する加工を施した後、熱可塑性樹脂を冷却して固化させる(ステップS4)。これにより、被覆層3の周囲、即ち、光ファイバケーブル20の最外層に、表面に複数の凹部4a及び/又は凸部が設けられた定着層4が形成される。
定着層形成時に強化層を構成する各繊維強化樹脂層が未硬化状態であると、定着層形成時に強化層がダメージを受ける可能性がある。また、定着層に凹凸を付与する際、固化した樹脂を溶融させて加工すると、光ファイバ素線や強化層にダメージを与える可能性がある。一方、本実施形態の光ファイバケーブルは、定着層形成時には強化層を構成する各繊維強化樹脂層は完全に硬化しており、また、熱可塑性樹脂を冷却固化する前に表面に凹凸を形成しているため、光ファイバ素線や強化層にダメージを与えずに、表面に複数の凹部4a及び/又は凸部が設けられた定着層を形成することができる。
なお、本実施形態における上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。
以下、実施例により、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例では、図4に示す工程により、図3に示す構成の光ファイバケーブル20を作製した。具体的には、280texのガラス繊維3本を引取りながらノンスチレンタイプの熱硬化性樹脂に含浸し、直径0.9mmの絞りノズルを通し、その中心に外径0.25mmの青色保護層付の光ファイバ素線1を配置した。その状態で押出機のTダイを通し、外径が0.9mmになるようにFEP樹脂で被覆し、直ちに水冷した後、硬化槽にて熱硬化性樹脂を硬化させて第1の繊維強化樹脂層2aを形成し、FEP樹脂を剥ぎ取った。この時点、即ち第1の繊維強化樹脂層2a形成時の外径は0.9mmであった。
次に、280texのガラス繊維14本を引取りながら熱硬化性樹脂に含浸し、直径2.0mmの絞りノズルを通し、その中心に光ファイバ素線1に第1の繊維強化樹脂層2aを設けたものを配置した。その状態で押出機のTダイを通し、外径が3.0mmになるようにポリエチレン樹脂で被覆し、直ちに水冷した後、硬化槽にて熱硬化性樹脂を硬化させて第2の繊維強化樹脂層2bとポリエチレン樹脂からなる被覆層3を形成した。
引き続き、光ファイバ素線に強化層2及び被覆層3を設けたものを押出機のTダイを通過させて、被覆層3をポリエチレン樹脂で被覆し、その直後にギアにて表面に凹凸加工を施して定着層4を形成した後、引き取った。これにより、外径が3.7mmの定着層付き光ファイバケーブル20を得た。
前述した方法で製造した光ファイバケーブル20の断面を、マイクロスコープで観察したところ、光ファイバ素線1は略中央に配置されていた。また、光ファイバケーブル20の端部の被覆を、剃刀で100mm剥ぎ、さらに内部の第2の繊維強化樹脂層2bを縦に数回裂くと、第1の繊維強化樹脂層2aが残った。この第1の繊維強化樹脂層2a慎重に裂くと、中心にある光フィバー素線1を容易に露出させることができた。
1 光ファイバ素線
2 強化層
2a、2b 繊維強化樹脂層
3 被覆層
4 定着層
4a 凹部
10、20 光ファイバケーブル

Claims (9)

  1. 測定対象物に設置され、前記測定対象物の歪み検出に用いられる光ファイバケーブルであって、
    1又は2以上の光ファイバ素線と、
    前記光ファイバ素線の周囲に設けられ、熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束により形成された複数の繊維強化樹脂層が相互に剥離可能に積層されてなる強化層と、
    熱可塑性樹脂により形成され前記強化層を被覆する被覆層と
    を有する歪み検出用光ファイバケーブル。
  2. 前記強化層は、前記光ファイバ素線の周囲に設けられた第1の繊維強化樹脂層と、前記第1の繊維強化樹脂層上に剥離可能に設けられた第2の繊維強化樹脂層で構成されている請求項1に記載の歪み検出用光ファイバケーブル。
  3. 前記第1の繊維強化樹脂層の厚さは、前記第2の繊維強化樹脂層の厚さ以下である請求項2に記載の歪み検出用光ファイバケーブル。
  4. 最外層に、熱可塑性樹脂からなり、表面に複数の凹部及び/又は凸部が形成された定着層が設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の歪み検出用光ファイバケーブル。
  5. 外径が0.9mm以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の歪み検出用光ファイバケーブル。
  6. 1又は2以上の光ファイバ素線の周囲に熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束からなる複数の繊維強化樹脂層を相互に剥離可能に積層して強化層を形成する工程と、
    前記強化層の周囲に熱可塑性樹脂を押しだし、前記強化層を被覆する被覆層を形成する工程と
    を有する歪み検出用光ファイバケーブルの製造方法。
  7. 前記強化層を形成する工程は、
    前記光ファイバ素線の周囲に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置した後加熱して前記熱硬化性樹脂を硬化させ、前記光ファイバ素線の周囲に第1の繊維強化樹脂層を形成する工程と、
    前記第1の繊維強化樹脂層の周囲に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置した後加熱して前記熱硬化性樹脂を硬化させ、前記第1の繊維強化樹脂層上に第2の繊維強化樹脂を形成する工程と
    を有する請求項6に記載の歪み検出用光ファイバケーブルの製造方法。
  8. 前記強化層を形成する工程では、未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束の周囲をフッ素系樹脂で被覆し、前記熱硬化性樹脂を硬化させた後で前記フッ素系樹脂を剥離して、形成された繊維強化樹脂層の周囲に更に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸させた長繊維束を配置する請求項7に記載の歪み検出用光ファイバケーブルの製造方法。
  9. 前記被覆層の周囲に熱可塑性樹脂を押しだした後、その表面に加工を施し、複数の凹部及び/又は凸部が設けられた定着層を形成する工程を有する請求項6~8のいずれか1項に記載の歪み検出用光ファイバケーブルの製造方法。
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