JP2023085741A - 紙用ニス、該紙用ニスを塗工した塗工紙及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙用オーバーコートニスに求められる耐水性、撥水性、耐摩擦性に優れ、且つ、高い耐熱性を有するニス、及び該ニスを用いた塗工紙、包装体を提供する。【解決手段】本発明は、スチレンアクリル系共重合体と、第一のワックス(A)と、第二のワックス(B)と、水性溶剤を少なくとも含有し、スチレンアクリル系共重合体は、スチレン類と(メタ)アクリレートの共重合体がコアシェル構造を形成し、第一のワックス(A)はスチレンアクリル系共重合体中に存在し、第二のワックス(B)はニス中に分散して存在するパラフィンワックスである紙用ニスである。【選択図】なし

Description

本発明は、紙用ニス、該紙用ニスを塗工した塗工紙及び包装体に関する。
従来より、食品、衛生用品、日用品等の包装や生活コーティング消費材にはポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルム等のフィルム基材が多用されている。しかし、近年、マイクロプラスチックを始めとする海洋プラスチックごみ問題がクローズアップされ、プラスチックごみの削減は世界的な重要テーマとなっている。従って、これらの用途に適用可能なフィルム基材の代替品が求められており、再生可能な資源である「木」を原料とする「紙」が、「再利用可能」「生分解性を有する」などの機能を持つ素材の一つとして再評価されている。
包装材におけるプラスチック使用量を削減する動きが加速化される中、食品や洗剤、シャンプー等の高い密封性、バリア性が求められるパウチ包装においても、パウチ包装の素材の一部を「紙化」することにより、環境に配慮した容器が開発されている。パウチ包装の紙化においては、熱で溶かしたポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等をフィルム状に押し出したポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を紙基材に貼り合わせた基材が用いられる。このような基材においては、ポリエチレンフィルムやポリプロプレンフィルムがバーナーや熱風等の間接加熱下による熱溶融により接着剤の役目を果たし、且つ、フィルムが容器内側に存在するので紙基材が直接内容物と接触する事なく水バリア性や強度が付与される。一方で、包装表面とになる紙基材には高い撥水性・防水性・耐摩擦性等の機能に加え、パウチ化する際のシール部分には耐熱性が必須となる。そのため、これら機能を兼ね揃えた紙用ニスの開発が急務である。
紙に対して防湿性等の各種機能を高めたい場合、防湿加工用等の各種機能を有するコーティング剤を塗布する検討が従来より行われている。例えば特許文献1には、ワックスを含有するスチレン-アクリル系エマルジョンの防湿加工用樹脂組成物を塗工することにより、防湿性と耐ブロッキング性に優れた防湿紙を得ることが開示されている。
特開2000-119528号公報
フィルムの代替として紙を使用したり、パウチ包装のように高い密封性、バリア性が求められる基材に紙を使用したりする場合、紙に塗工するコートニスは、耐水性、防湿性、強度のより高いものが求められる。また、パウチ包装のようにヒートシールにより成形する包装体や容器の場合、コートニスにおいてもヒートシール時の耐熱性が必須である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、紙用オーバーコートニスに求められる耐水性、撥水性、耐摩擦性に優れ、且つ、高い耐熱性を有するニスを提供することにある。また、該ニスを用いた塗工紙、包装体を提供することにある。
即ち本発明は、スチレンアクリル系共重合体と、第一のワックス(A)と、第二のワックス(B)と、水性溶剤を少なくとも含有し、スチレンアクリル系共重合体は、スチレン類と(メタ)アクリレートの共重合体がコアシェル構造を形成し、第一のワックス(A)はスチレンアクリル系共重合体中に存在し、第二のワックス(B)はニス中に分散して存在するパラフィンワックスである紙用ニスを提供する。
また、本発明は、上記紙用ニスを用いた塗工紙又は包装体を提供する。
本発明の紙用ニスは、オーバーコートニスとして紙基材に塗工するたけで、紙に対し優れた耐水性、撥水性を付与することが可能であり、且つ、該ニスにより形成された塗工層は優れた耐熱性と耐摩擦性を有する。そのため、本発明のニスを塗工した塗工紙は、耐水性、撥水性、耐摩擦性に優れた包装体を実現でき、プラスチックフィルムの代替として使用することによりプラスチックゴミを削減できる。また、本発明の紙用ニスは耐熱性に優れていることから、ヒートシール適性にも優れるため、包装の適用範囲が広がる。
(言葉の定義)
本発明において「部」とは全て「質量部」を示し、「ニス全量」とは、有機溶剤等の揮発性成分をすべて含んだニスの全量を示し、「ニス固形分全量」とは、揮発性成分を含まない、不揮発性成分のみの全量を示す。また、本発明において(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの総称を表し、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸の総称を表す。
<ニス>
本発明のニスは、スチレンアクリル共重合体と、第一のワックス(A)と、第二のワックス(B)と、水性溶剤を少なくとも含有する。
(スチレンアクリル共重合体)
本発明のスチレンアクリル共重合体は、スチレン類と(メタ)アクリレートの共重合体がコアシェル構造を形成し、スチレンアクリル共重合体中に第一のワックス(A)を含有する。
スチレンアクリル共重合体の構成成分として用いられるスチレン類は、スチレン、αメチルスチレン(o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレンのいずれかまたは混合物)、スチレンダイマー、スチレントリマー、スチレン誘導体(p-ジメチルシリルスチキシスチレン、p-tert-ブチルジメチルシロキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン)等のスチレン骨格を有する重合性化合物である。スチレン類は、1種類であっても2種類以上であってもよい。中でも、スチレンを用いることが好ましく、2種類以上のスチレン類を用いる場合は、全スチレン類のうちスチレンの質量割合を最も多くする等、スチレンを主成分として用いることが好ましい。
スチレンアクリル共重合体の構成成分として用いられる(メタ)アクリレートとしては特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸iso-プロピル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸iso-アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-トリデシル、(メタ)アクリル酸n-ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピル、メタクリル酸ペンタフルオロプロピル、メタクリル酸オクタフルオロペンチル、メタクリル酸ペンタデカフルオロオクチル、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロニトリル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール-ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレンオキサイド基含有(メタ)アクリル単量体等、汎用の(メタ)アクリレートを使用することが出来る。
中でも、アクリレートを有するホモポリマーがより低いガラス転移温度を呈することから好ましく、炭素原子数1~20のアルキル基を有するアクリレートを主成分とすることが好ましく、炭素原子数1~12のアルキル基を有するアクリレートを主成分とすることが好ましい。このような炭素原子数1~12のアルキル基を有するアクリレートとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸iso-プロピル、アクリル酸アリル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸iso-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸n-アミル、アクリル酸iso-アミル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル等が挙げられる。本発明のスチレンアクリル共重合体の構成成分として用いられる(メタ)アクリレートは、1種類であっても2種類以上であってもよい。
スチレンアクリル共重合体の構成成分として、スチレン類、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸以外の他の公知の重合性化合物を含有していてもよい。
該スチレンアクリル共重合体のコアシェル構造は、スチレン類と(メタ)アクリレートとの共重合体、及びスチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体がコアシェル構造を形成していることがより好ましい。
スチレンアクリル系共重合体のコアシェル構造とは、「スチレン類と(メタ)アクリレートとの共重合体」が多く存在する領域と、「スチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体」が多く存在する領域を有することにより、コアシェル構造を形成するものである。該コアシェル構造において、例えば、「スチレン類と(メタ)アクリレートとの共重合体」が多く存在する領域に「スチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体」が存在していてもよいし、また、これらの共重合体が互いに重合していてもよい。水媒体中での安定性を高めるためには、酸性基を有する「スチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体」がシェル成分となることが好ましいが、「スチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体」の一部がコア部に存在していてもよい。
スチレンアクリル系共重合体において、「スチレン類と(メタ)アクリレートとの共重合体」と「スチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体」の割合は、質量比で20:80~95:5の範囲が好ましく、30:70~92:8の範囲がより好ましく、40:60~90:10の範囲が最も好ましい。
スチレン類と(メタ)アクリレートとの共重合体において、スチレン類と(メタ)アクリレートの割合は、質量比で20:80~80:20の範囲が好ましく、30:70~70:30の範囲がより好ましく、40:60~60:40の範囲が最も好ましい。
スチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体において、スチレン類の割合は10~90質量%であることが好ましく、20~80質量%であることがより好ましく、30~70質量%であること最もが好ましい。また、スチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体において、(メタ)アクリレートの割合は10~80質量%であることが好ましく、15~70質量%であることがより好ましく、20~60質量%であることが最も好ましい。また、スチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体において、(メタ)アクリル酸の割合は10~70質量%であることが好ましく、15~60質量%であることがより好ましく、20~50質量%であることが最も好ましい。
スチレンアクリル共重合体において、スチレン類、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸以外の他の公知の重合性化合物を含有する場合は、スチレンアクリル共重合体(A)における他の重合性化合物の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましい。
スチレンアクリル共重合体のガラス転移温度(以下Tgと称する場合がある)は、-30℃~30℃の範囲であり、好ましくは-25℃~20℃の範囲であり、より好ましくは-20℃~10℃の範囲である。本発明においてガラス転移温度は、示差走査熱量計による測定により得られるものである。
ガラス転移温度が低いほど耐水性、撥水性に優れる傾向があるが、その一方で、ガラス転移温度が低いほど耐ブロッキング性が劣る傾向がある。そこで、好ましくはガラス転移温度が-30℃~30℃の範囲のスチレンアクリル共重合を用いることにより、耐水性、撥水性と対ブロッキング性とのバランスを向上させることができる。
(第一のワックス(A))
スチレンアクリル系共重合体中には、第一のワックス(A)を含有する。スチレンアクリル系共重合体中に第一のワックス(A)を含有、すなわちスチレンアクリル共重合体と第一のワックス(A)が一体化して存在することにより、耐水性、撥水性をより向上させることができる。ワックス(A)は、コア部に存在していてもシェル部に存在していてもよい。スチレンアクリル系共重合体(A)の表面に存在していてもよい。
第一のワックス(A)は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ポリエチレン-ワックス、アマイドワックスから選ばれる少なくとも一つ以上のワックスが好ましく、パラフィンワックス又はマイクロクリスタリンワックスがより好ましい。これらは単独で使用してもよいし併用してもよい。
ワックス(A)の融点は、30℃~130℃の範囲であることが好ましく、50℃~100℃の範囲であることがより好ましい。第一のワックス(A)の配合量は、スチレンアクリル共重合体100質量%に対して0.5~20質量%であることが好ましく、1~15質量%であることが好ましい。
スチレンアクリル共重合体は公知の方法により製造することができる。例えば、シェルポリマーを形成するモノマー混合物を供給して、開始剤の存在下、このモノマー混合物を重合させてシェルポリマーを形成する工程(i)と、コアポリマーを形成するモノマー混合物を工程(i)のシェルポリマーに供給し、開始剤の存在下、このモノマー混合物を重合させてコアポリマーにシェルを形成する工程(ii)により得られる。また、コアポリマーを形成するモノマー混合物を供給して、開始剤の存在下、このモノマー混合物を重合させてコアポリマーを形成する工程(1)と、シェルポリマーを形成するモノマー混合物を工程(1)のコアポリマーに供給し、開始剤の存在下、このモノマー混合物を重合させてコアポリマーにシェルを形成する工程(2)により得られる。
開始剤としては特に限定なく、乳化重合法等で使用される過酸化物、過硫酸塩、アゾ化合物、又はレドックス系、或いはこれらの混合物を使用すればよい。過酸化物としては例えば、過酸化水素、過酸化アンモニウム、過酸化ナトリウム、又は過酸化カリウム、t-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、及びベンゼンペルオキシドが挙げられる。また過硫酸塩としては例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、又は過硫酸カリウムが挙げられる。またアゾ化合物としては例えば、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、及び4,4’-(4-シアノバレリン酸)が挙げられる。またレドックス系は酸化剤と還元剤とから成り、酸化剤としては例えば先に挙げたうちの1の過酸化物、過硫酸塩、若しくはアゾ化合物、又は塩化ナトリウム若しくは塩化カリウム、又は臭化ナトリウム若しくは臭化カリウムが挙げられる。還元剤としては例えばアスコルビン酸、グルコース、又はアンモニウム、硫酸水素ナトリウム若しくは硫酸水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム若しくは亜硫酸水素カリウム、ナトリウムチオスルフェート若しくはカリウムチオスルフェート、又は硫化ナトリウム若しくは硫化カリウム、又は鉄(II)アンモニウムスルフェートが挙げられる。
中でも過硫酸塩、より好ましくは過硫酸アンモニウムが好ましい。
前記モノマー混合物の重合は、例えば界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤等の添加剤の存在下で、例えば界面活性剤及び連鎖移動剤の存在下で行うことができる。これらの添加剤は、工程(i)及び/又は工程(ii)、工程(1)及び/又は工程(2)で使用する水性媒体に予め添加させておいてもよいし、工程(i)及び/又は工程(ii)、工程(1)及び/又は工程(2)で供給するモノマー混合物と混合させておいてもよい。
本発明のスチレンアクリル共重合体は、モノマー混合物の重合を第一のワックス(A)の存在下で行うことにより、スチレンアクリル共重合体中に第一のワックス(A)を含有するものを得られる。第一のワックス(A)を、工程(i)及び/又は工程(ii)、工程(1)及び/又は工程(2)で使用する水性媒体に予め添加させておいてもよいし、工程(i)及び/又は工程(ii)、工程(1)及び/又は工程(2)で供給するモノマー混合物と混合させておくことにより、スチレンアクリル共重合体中に第一のワックス(A)がとりこまれた状態のコアシェル構造が形成できる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば二ナトリウムドデシルジフェニルオキシド、ジスルホン酸塩等が挙げられる。また連鎖移動剤としても特に限定されないが、例えばα-メチルスチレン二量体、チオグリコール酸、亜リン酸水素ナトリウム、2-メルカプトエタノール、N-ドデシルメルカプタン、及びt-ドデシルメルカプタン等が挙げられる。キレート剤としては特に限定されないが、例えばエチレンジアミン四酢酸が挙げられる。
また中和が必要な場合は、中和剤としてアンモニア、トリエチルアミン、アミノメチルプロパノール、モノエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の塩基類等を使用することができる。
(第二のワックス(B))
第二のワックス(B)は、スチレンアクリル系共重合体中に含有されるものではなく、ニス中に分散して存在するワックスであり、パラフィンワックスである。
第二のワックス(B)を含有することにより、ニスを塗工した塗膜の耐熱性が向上し、また、擦り傷防止等の塗膜を強化させる機能を付与や、耐ブロッキング性、滑り性を向上させることができる。
第二のワックス(B)の配合量は、第二のワックス(B)の総量が本発明のニス組成物中の固形分100質量%全量に対し0.3~30質量%であることが好ましい。第二のワックス(B)の総量が本発明の組成物中の固形分100%全量に対し0.3質量%以上であれば耐熱性、耐摩擦性、耐ブロッキング性を保持できる傾向にあり、より好ましくは0.5質量%以上である。また、第二のワックス(B)の総量がニス中の固形分100%全量に対し30質量%以下であれば滑り角が大きくなりすぎずないことから、作業性を良好に保つことができる傾向にあり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
また、第二のワックス(B)の融点は、30℃~130℃の範囲であることが好ましく、50℃~100℃の範囲であることがより好ましい。
第二のワックス(B)は、スチレンアクリル共重合体を含む樹脂のエマルジョンに直接添加し混合分散させてもよいし、ワックスの分散体を作製した後、エマルジョンと混合させてもよい。分散方法としては、公知の方法、例えばメディアを用いた分散装置として、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミル等を使用することができ、メディアを用いないものとして超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機等で分散することができる。
粉体のワックスを使用する場合は、ワックスを均一分散させるために、メディアを用いて練肉を行ったり、ワックスの分散体を作製した後配合を行ったりすることが好ましい。練肉方法は公知の方法で行うことができる。
また複数種のワックスを併用する際には、複数種のワックスを同時に添加してもよいし、複数の工程に分けて添加してもよい。
耐ブロッキング性を向上させるために、第二のワックス(B)はスチレンアクリル共重合体中に取り込まれて存在するものではなくニス中に分散して存在するもので、該ニスを塗布したときに塗工層の表面付近に存在させられるように、分散していることが好ましい。
(第三のワックス(C))
本発明のニスは、第二のワックス(B)以外の第三のワックス(C)を含有することが好ましい。第三のワックス(C)も、第二のワックス(B)と同様にスチレンアクリル系共重合体中に含有されるものではなく、ニス中に分散して存在するワックスである。第三のワックス(C)を含有することにより、ニスを塗布した塗工紙を積層した際の、耐ブロッキング性、耐摩擦性、滑り性を向上することができる。
第三のワックスは、脂肪酸アミドワックス、カルナバワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、みつろう、マイクロクリスタリンワックス、酸化ポリエチレン-ワックス、アマイドワックスなどのワックスを挙げることができ、これらは単独で使用してもよいし併用してもよい。中でも脂肪酸アミドワックス、カルナバワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスを使用することが好ましい。中でも、ポリオレフィンワックスは耐摩擦性向上に効果的である。第三のワックスは単独で使用してもよいし併用してもよい。
脂肪酸アミドワックスの具体例としては、例えば、ペラルゴン酸アミド、カプリン酸アミド、ウンデシル酸アミド、ラウリン酸アミド、トリデシル酸アミド、ミリスチン酸アミド、ペンタデシル酸アミド、パルミチン酸アミド、ヘプタデシル酸アミド、ステアリン酸アミド、ノナデカン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、リグノセリン酸アミド、オレイン酸アミド、セトレイン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、これらの混合物及び動植物油脂脂肪酸アミド等が挙げられる。
前記カルナバワックスの具体例としてはMICROKLEAR 418(Micro Powders,Inc.社製)、精製カルナバワックス1号粉末(日本ワックス株式会社)等が挙げられる。
前記オレフィンワックスの具体例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが挙げられ、例えばMPP-635VF(MicroPowders,Inc.)、MP-620VF XF(Micro Powders,Inc)、ケミパール W-400(三井化学(株)製)等が挙げられる。
第三のワックス(C)の配合量は、第三のワックス(C)の総量が本発明のニス組成物中の固形分100質量%全量に対し0.3~10質量%であることが好ましい。第三のワックス(C)の総量が本発明の組成物中の固形分100%全量に対し0.3質量%以上であれば耐摩擦性、耐ブロッキング性を保持できる傾向にあり、より好ましくは0.5質量%以上である。また、第三のワックス(C)の総量がニス中の固形分100%全量に対し10質量%以下であれば滑り角が大きくなりすぎずないことから、作業性を良好に保つことができる傾向にあり、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
また、第三のワックス(B)の融点は、耐熱性の観点から、50℃~130℃の範囲であることが好ましい。
第二のワックス(B)と第三のワックス(C)の配合量は、第二のワックス(B)と第三のワックス(C)の総量が本発明のニス組成物中の固形分100質量%全量に対し0.3~30質量%であることが好ましい。第二のワックス(B)と第三のワックス(C)の総量は、より好ましくは0.5質量%以上である。また、第二のワックス(B)と第三のワックス(C)の総量はより好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
本発明のニスにおいて、塗膜の耐熱性や擦り傷防止等の効果を充分に得るためには、第二のワックス(B)及び第三のワックスの総量のうち、第二のワックスの割合が50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましい。
(水性溶剤)
水性ヒートシール剤HSに用いる水性溶剤としては、水、水に溶解する水溶性有機溶剤等が使用できる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、前記水としては、紫外線照射または過酸化水素添加等によって滅菌された水を用いることが、水性顔料分散体やそれを使用したインク等を長期保存する場合に、カビまたはバクテリアの発生を防止することができるため好適である。
水溶性有機溶剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールなどのジオール類;ラウリン酸プロピレングリコールなどのグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシル、カルビトールなどのジエチレングリコールエーテル類;プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブなどのグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコールなどのアルコール類;スルホラン、エステル、ケトン、γ-ブチロラクトンなどのラクトン類、N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類、グリセリンおよびそのポリアルキレンオキサイド付加物など、水性有機溶剤として知られる他の各種の溶剤などを挙げることができる。これらの水性有機溶剤は、単独または2種以上組み合わせて使用することができる。中でも水が最も好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のニスは、本発明の目的を阻害しない範囲において前記成分の他に、更に、シリカ、アルミナ、ワックス、消泡剤、レベリング剤、粘着性付与剤、防腐剤、抗菌剤、防錆剤等の添加剤が配合されていてもよい。また、前記スチレンアクリル系共重合体以外の他の樹脂が配合されていてもよい。例えば、スチレンアクリル共重合体中に第一のワックス(A)を含有しないスチレンアクリル共重合体等の他の樹脂を含有してもよい。中でも、レベリング剤が更に配合されていることが好ましい。
レベリング剤の種類は特に限定されないが、アセチレン系界面活性剤を用いることが好ましい。アセチレン系界面活性剤として具体的には、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-ヘキシン-2,5-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオール等が挙げられ
る。又、市販品としては、サーフィノール61、82、104(いずれも、エアープロダクツ社製)等のアルキレンオキサイド非変性アセチレングリコール系界面活性剤や、[0037] サーフィノール420、440、465、485、TG、2502、ダイノール604、607(いずれも、エアープロダクツ社製)、サーフィノールSE、MD-20、オルフィンE1004、E1010、PD-004、EXP4300、PD-501、PD-502、SPC(いずれも、日信化学工業(株)製)、アセチレノールEH、E40、E60、E81、E100、E200(いずれも、川研ファインケミカル(株)製)等のアルキレンオキサイド変性アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
レベリング剤の添加量としては、ニス組成物全量の0.01重量%~0.1重量%が好ましい。
また、本発明のニスは、紙にコーティングする際に組成物が泡立つことを防止するため、ポリマー系消泡剤、シリコン系消泡剤、フッ素系消泡剤配合されていることが好ましい。これら消泡剤としては乳化分散型及び可溶化型などいずれも使用できる。中でもポリマー系消泡剤が好ましい。前記消泡剤の添加量としては、紙用オーバーコーティング組成物全量の0.005重量%~0.1重量%が好ましい。
<塗工紙>
本発明の塗工紙は、紙基材上に上記したニスを塗工した塗工層を少なくとも有する構成である。
ニスを紙基材上に塗布する場合の方法としては、公知の方法が使用できる。例えばコンマコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイレクトグラビアコーター、リバースグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、ロールキスコーター、リバースキスコーター、キスグラビアコーター、リバースキスグラビアコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、リップコーター、ディップコーター、ブレードコーター、ブラシコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、オフセット印刷機、スクリーン印刷機等のいずれかもしくは二つ以上の塗工方法を組み合わせて用いることができる。
また、紙基材を本発明のニスに含浸させることにより、紙基材上に塗工層を設けてもよい。また塗工後オーブン等で乾燥工程を設けてもよい。
塗工する際のニスの膜厚は、用途によるが、各種容器や袋、箱のオーバーコートニスとして使用する場合は、例えば0.5~10g/mの範囲であることが好ましい。膜厚が0.5g/m以上であれば、耐水性、撥水性、耐摩耗性、耐スクラッチ性等のニスとしての効果を充分得ることができ、より好ましくは1g/m以上であることが好ましい。一方、膜厚が厚くなると、耐熱性、耐ブロッキング性が劣る傾向があることから、膜厚は8g/m以下であることがより好ましく、5g/m以下であることが更に好ましい。膜厚が厚くなると、ニス中に分散させた第二のワックスが該ニスにより形成した塗工層中に埋もれてしまい、塗工層の表面付近に存在する第二のワックスが存在しにくくなるため、耐熱性、耐ブロッキング性に影響を及ぼすと考えられる。
上記のようにして形成された塗工層は、耐水性、撥水性、耐摩擦性、耐熱性に優れている。また、本発明のニスは分散性に優れていることから、第二のワックス(B)が塗工層の表面に位置し、第二のワックスが塗工層表面で露出された構造となりやすい。そのため、塗工層が優れた耐熱性・擦り傷防止機能を発揮することができる。
紙基材としては、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。また、市販の各種上質紙やコート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙などを用いることもできる。
前記紙基材は、目的に応じ紙の種類、厚み等を逐次選択する事ができる。例えばバーガーラップであれば米坪対応20グラム/m程度、紙コップであれば米坪対応200~300グラム/m、紙皿、紙スプーン、紙マドラー等であれば米坪対応50~500グラム/mのカップ原紙等の食品用原紙が好ましい。
また、紙基材は、前記紙基材をドライラミネート法や無溶剤ラミネート法、あるいは押出ラミネート法により積層させた積層構造を有する積層体であっても構わない。また該積層体の構成に、金属箔、金属蒸着膜層、無機蒸着膜層、酸素吸収層、アンカーコート層、印刷層、ニス層等があっても構わない。紙基材に、ポリエチレン-フィルムやアルミ等をラミネートすることにより、耐水性、耐湿性、酸素バリア性等の各種バリア性を向上することができる。
このような積層体は用途に応じて多種存在するが、現在食品包装用や生活用品に最も多く使用される構成は、本発明のニスを用いた塗工層を(P1)、紙基材を(F1)と表現し、更に、印刷や他のニス層を(P2)、前記紙基材に積層された他の紙基材又はフィルムを(F2)、金属箔や蒸着膜層の金属あるいは無機層を(M)、接着剤層を(AD)、ホットメルト接着剤やヒートシール剤やコールドシール剤を(AD2)と表現すると、積層フィルムの具体的態様として以下の構成が考えられるが、もちろんこれに限定されることはない。
(P1)/(P2)/(F1)/(F2)
(P1)/(P2)/(F1)/(AD)/(F2)、
(P1)/(P2)/(F1)/(AD)/(F2)/(AD)/(F2)、
(P1)/(P2)/(F1)/(AD)/(M)/(AD)/(F2)、
(P1)/(P2)/(F1)/(AD)/(M)、
(P1)/(P2)/(F1)/(AD)/(F2)/(AD)/(M)/(AD)/(F2)、
(P1)/(P2)/(F1)/(AD)/(M)/(AD)/(F2)/(AD)/(F2)、
(P1)/(M)/(F1)/(AD)/(M)、
(P1)/(M)/(AD)/(F1)/(AD)/(M)、
(P1)/(F1)
(P1)/(F1)/(AD)/(F2)、
(P1)/(F1)/(AD)/(F2)/(AD)/(F2)
(P1)/(F1)/(F2)/(AD2)
(P1)/(F1)/(AD2)
(P1)/(F1)/(AD)/(M)/(AD2)
(P1)/(P2)/(F1)/(F2)/(AD2)
(P1)/(P2)/(F1)/(AD2)
(P1)/(P2)/(F1)/(AD)/(M)/(AD2)
包装袋やパウチを成型する場合は、紙基材において本発明のニスの塗工層が設けられている面と反対の面に、ポリエチレンやポリプロピレンなどのヒートシール性を有するポリオレフィン樹脂層をシーラント層として設ける構成が好ましい。
前記単層の紙基材、又は該紙基材を用いて積層構造を有する積層体は、業界や使用方法等により、包装袋、スタンディングパウチ、ピロー形状の袋、カートン、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、石鹸、シャンプー等の生活用品、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等に用いられる上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、各種合成紙等様々な表現がなされているが、本発明のニスは特に限定なく使用することができる。この際本発明のニスは、これらを使用した容器や包装材とした際に最表層となる面にコーティングされることが好ましい。
前述の通り、紙基材には印刷層が施された印刷層を有する基材も多いが、本発明の紙ニスは、該印刷インキ層を有する基材上にコーティングすることももちろんでき好ましい。
(リキッド印刷インキ)
グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキとして使用されるリキッド印刷インキは、有機溶剤を主溶媒とする有機溶剤型リキッド印刷インキと、水を主溶媒とする水性リキッド印刷インキとに大別される。
(有機溶剤型リキッド印刷インキ)
有機溶剤型リキッド印刷インキは、着色剤の他、後述のバインダー樹脂、有機溶剤媒体、分散剤、消泡剤等を添加した混合物を分散機で分散し、顔料分散体を得る。得られた顔料分散体に樹脂、水性媒体、必要に応じてレベリング剤等の添加剤を加え、撹拌混合することで得られる。分散機としてはグラビア、フレキソ印刷インキの製造に一般的に使用されているビーズミル、アイガーミル、サンドミル、ガンマミル、アトライター等を用いて製造される。
有機溶剤型リキッド印刷インキのインキ粘度は、グラビアインキとして使用する場合であっても、フレキソインキとして使用する場合であっても、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、バインダー樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
有機溶剤型リキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である。
本発明の有機溶剤型リキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
(バインダー樹脂)
有機溶剤型リキッド印刷インキ用のバインダー樹脂としては特に限定なく、一般の特に限定なく一般のリキッド印刷インキに使用される、ポリウレタン系樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、およびこれらの変性樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
上記の中でも、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ダンマル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂および環化ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むバインダー樹脂が好ましい。
バインダー樹脂の含有量は、本発明の水性リキッド印刷インキの固形分換算で固形分換算で1~50質量%の範囲であり、更に好ましくは2~40質量%である。
(有機溶剤)
有機溶剤型リキッド印刷インキ用の有機溶剤としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系有機溶剤、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独または2種以上を混合しても用いることができる。
有機溶剤型リキッド印刷インキでは更に必要に応じて、ワックス、キレート系架橋剤、体質顔料、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
(着色剤)
有機溶剤型リキッド印刷インキは、着色剤として、一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている有機顔料及び/または無機顔料を使用することができる。
有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
前記顔料の平均粒子径は、10~200nmの範囲にあるものが好ましくより好ましくは50~150nm程度のものである。
前記顔料は、水性リキッド印刷インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキの総質量に対して1~60質量%、インキ中の固形分質量比では10~90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
(水性リキッド印刷インキ)
水性リキッド印刷インキは、着色剤の他、後述のバインダー樹脂、水性媒体、分散剤、消泡剤等を添加した混合物を分散機で分散し、顔料分散体を得る。得られた顔料分散体に樹脂、水性媒体、必要に応じてレベリング剤等の添加剤を加え、撹拌混合することで得られる。分散機としてはグラビア、フレキソ印刷インキの製造に一般的に使用されているビーズミル、アイガーミル、サンドミル、ガンマミル、アトライター等を用いて製造される
水性リキッド印刷インキを、フレキソインキとして使用する場合、その粘度が離合社製ザーンカップ#4を使用し25℃にて7~25秒であればよく、より好ましくは10~20秒である。また、得られたフレキソインキの25℃における表面張力は、25~50mN/mが好ましく、33~43mN/mであればより好ましい。インキの表面張力が低いほどフィルム等の基材へのインキの濡れ性は向上するが、表面張力が25mN/mを下回るとインキの濡れ広がりにより、中間調の網点部分で隣り合う網点どうしが繋がり易い傾向にあり、ドットブリッジと呼ばれる印刷面の汚れの原因と成りやすい。一方、表面張力が50mN/mを上回るとフィルム等の基材へのインキの濡れ性が低下し、ハジキの原因と成り易い。
一方で水性リキッド印刷インキを、グラビアインキとして使用する場合、その粘度が離合社製ザーンカップ#3を使用し25℃にて7~25秒であればよく、より好ましくは10~20秒である。また、得られたグラビアインキの25℃における表面張力は、フレキソインキと同様に25~50mN/mが好ましく、33~43mN/mであればより好ましい。インキの表面張力が低いほどフィルム等の基材へのインキの濡れ性は向上するが、表面張力が25mN/mを下回るとインキの濡れ広がりにより、中間調の網点部分で隣り合う網点どうしが繋がり易い傾向にあり、ドットブリッジと呼ばれる印刷面の汚れの原因と成りやすい。一方、表面張力が50mN/mを上回るとフィルム等の基材へのインキの濡れ性が低下し、ハジキの原因と成り易い。
水性リキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である。
本発明の水性リキッドインキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
(バインダー樹脂)
水性リキッド印刷インキ用のバインダー樹脂としては特に限定なく、一般の水性リキッド印刷インキに使用される、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム-アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル系重合体エマルジョン、ポリエステル系ウレタンディスパージョン、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル共重合体;スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体などのスチレン-アクリル酸樹脂;スチレン-マレイン酸;スチレン-無水マレイン酸;ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体;ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体;酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びこれらの塩を使用することができる。これらのバインダ―樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
なかでも、前記バインダー樹脂としては、アクリル樹脂またはウレタン樹脂を使用することが、入手しやすく好ましく、特にアクリル酸エステル系重合体エマルジョン、ポリエステル系ウレタンディスパージョンが好ましい。
前記バインダー樹脂は、本発明の水性リキッド印刷インキの固形分換算で5~50質量%であることが好ましい。5質量%以上であれば、インキ塗膜強度が低下することもなく、基材密着性、耐水摩擦性等も良好に保たれる。反対に50質量%を以下であれば、着色力が低下する事が抑制でき、また高粘度となる事が避けられ、作業性が低下することもない。中でも5~40質量%であることがなお好ましく、5~20質量%であることが最も好ましい。
(水性媒体)
水性リキッド印刷インキ用の水性媒体としては、例えば、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。また、水性媒体としては、安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
水性リキッド印刷インキは、その他、前述の着色剤、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。中でも耐摩擦性、滑り性等を付与するためのオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミド類及び印刷時の発泡を抑制するためのシリコン系、非シリコン系消泡剤及び顔料の濡れを向上させる各種分散剤等が有用である。
[包装体又は容器]
本発明の塗工紙は、耐水性、撥水性に優れていることから耐水紙及び/又は撥水紙として利用できる。また、本発明の塗工紙を利用して、各種の包装体又は容器として利用できる。
包装体は、例えば、パッケージ用の袋、スタンディングパウチ、紙袋、紙箱、段ボール、ラップ紙、封筒、カップスリーブ、蓋等が挙げられる。容器としては、紙容器、紙皿、トレイ、カップホルダー等が挙げられる。本発明の耐水紙は、耐水性・防湿性を必要とする食品、雑貨、生活用品等に利用できるし、また、液体又は水分を含有する食品、雑貨、生活用品を包装するためにも使用することができる。例えば、紙コップ、カップ麺、各種飲料、アイスクリーム、プリン、ゼリー等のデザート用のカップ又は蓋、米菓、ポテトチップス、チョコレート菓子袋又は箱、ビスケット等のスナック菓子袋又は箱、ピザ等の持ち帰り用容器、から揚げやポテト等のホットスナック用容器、納豆等の総菜を対象とするカップ類、米、雑穀を始めとする袋、等の食品用紙容器又包装材や、洗剤、サニタリー用品をはじめとする衛生品用の袋又は箱等が挙げられる。
また、本発明の塗工紙を、瓶や缶のラベル、養生用紙テープや紙ガムテープ等の紙テープ、本・雑誌等の書籍、ポスター、カレンダー等に利用することも好ましい。耐水コート層は、印刷層を有する紙基材のオーバーコート層として機能する。
また、紙基材としてニスの塗工層が設けられた面と反対の面に、ヒートシール性を有するポリオレフィン樹脂層(シーラント層)を有する場合、該シーラント層部分をシールすることにより、箱、袋、容器、ラッピング紙に加工することができる。例えば、飲料等の水分を含む食品や洗剤やせっけん、シャンプー等の生活用品を包装するスタンディングパウチ、菓子等を包装するピロー形状の袋、封筒型の袋、百貨店用の袋、化粧箱、ピザやドーナツ等の持ち帰り用の袋又は箱、ハンバーガーやホットドック等を包装するヒートシール部を部分的に有する開放形のラップ紙、チューブ形の容器等が挙げられる。
本発明のニスを用いた塗工層は優れた耐熱性を有するため、ヒートシール時にも塗工層が 金型に付着することを防止でき、加工性に優れている。また、収容物が加熱食品などの高温の場合にも適応可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
以下の実施例中の「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
<スチレンアクリル系共重合体(A)の合成>
(製造例1:スチレンアクリル系共重合体の水分散体(1))
窒素ガス置換した四つ口フラスコに、イソプロピルアルコールを100部仕込み、温度を80~82℃に上げた後、滴下ロートに仕込んだスチレン30部、2-エチルヘキシルアクリレート15部、(メタ)アクリル酸20部、メチルメタクリレート5部、過酸化ベンゾイル1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、過酸化ベンゾイル0.5部を追加し、更に2時間反応させた。温度を40℃に下げ、ジメチルエタノールアミン、イオン交換水を添加した。その後、反応フラスコの温度を80~82℃に上げ、ストリッピングを行ない、最終的に固形分30%の水溶性樹脂を得た。
上記で得た水溶性樹脂に、第一のワックス(A)としてパラフィンワックス(パラフィンワックス155、日本精蝋株式会社製)を2質量部を仕込み、攪拌してワックス分散体を作製した。続いて、ワックス分散体に、イオン交換水10部を反応フラスコに仕込み、温度を80℃~82℃に上げた後、過硫酸カリウムを2部添加し、スチレン30部、2-エチルヘキシルアクリレート24部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、過硫酸カリウム0.2部を添加し、2時間反応させた。このようにして得られたスチレンアクリル系共重合体の水分散体(1)の固形分は35%であり、ガラス転移点は-10℃であった。
(製造例2スチレンアクリル系共重合体の水分散体(1))
スチレンアクリル系共重合体(1)の合成において、パラフィンワックスの代わりにマイクロクリスタリンワックス(Hi-Mic-1080、日本精蝋株式会社製)を添加した以外はスチレンアクリル系共重合体(1)の合成と同様にして、スチレンアクリル系共重合体の水分散体(2)を得た。水分散体(2)の固形分は35%であり、ガラス転移点は-10℃であった。
<スチレンアクリル系共重合体の水分散体(3)>
スチレンアクリル系共重合体(A)として、スチレン類と(メタ)アクリレートとの共重合体、及びスチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体がコアシェル構造を形成し、ガラス転移温度が40℃である市販のスチレンアクリル系共重合体の水分散体(A-3)を用いた。水分散体(A-3)の固形分は40%であった。
<スチレンアクリル系共重合体の水分散体(4)>
スチレンアクリル系共重合体(A)として、スチレン類と(メタ)アクリレートとの共重合体、及びスチレン類と(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体がコアシェル構造を形成し、ガラス転移温度が100℃である市販のスチレンアクリル系共重合体の水分散体(A-4)を用いた。水分散体(A-4)の固形分は40%であった。
<塗工紙の作成>
(実施例1~4、比較例1~4)
上記の水分散体(1)~水分散体(4)を使用し、表1の組成に従って混合した組成物をディスパーにて十分攪拌しコートニスを調整した。該ニスを、未晒しクラフト紙(大王製紙社製、坪量70g)に表1又は表2に記載の塗布量になるように塗布し、乾燥機を用いて150℃にて20秒乾燥させ、実施例1~4、比較例1~4の積層体をそれぞれ作製した。
<評価項目>
(吸水性)
吸水度コッブ法(JIS8140)に則り、Cobb吸水器に試験片を設置し、その上から水を加えて30分間浸漬させ、前後の試験片重量差より吸水量(g/m2)を算出する。
(撥水性)
JIS P8137に則り、滑り角度試験機を45度の傾斜状態にして試験片を設置し、1cm上方から水滴を1mlを滴下し、水滴痕の状態から撥水度を確認した。
R0:連続した跡があって一様な幅を示す
R2:連続した跡があって水滴よりわずかに狭い幅を示す
R4:連続した跡があるが所々切れていて、明らかに水滴より狭い幅を示す
R6:跡に半分が濡れている
R7:跡の1/4は長く伸びた水滴によって濡れている
R8:跡の1/4以上は球形の小滴が散在している
R9:所々に球形の小滴が散らばる
R10:完全に転がり落ちる
(耐熱性1:剥離抵抗)
作製した実施例及び比較例の塗工紙のニス塗工面にアルミニウムを当ててヒートシーラーにてシールを行った(圧:1kg/cm2、時間1秒、180~250℃ (10℃間隔))。ヒートシール後、アルミニウム面と剥がしたときの剥離抵抗を観察した。
〇:抵抗が全くない
△:わずかに抵抗を感じる
×:ニスが貼り付いて大きい抵抗を感じる
(耐熱性2:ニス取られ)
耐熱性1において、ヒートシール後、アルミニウム面と剥がした後の、ニスの取られを観察し、ニスがアルミニウムに取られた温度を評価する。
〇:250℃以上
△:180℃以上250℃未満
×:180℃未満
(耐ブロッキング性)
得られたニス塗工面を、ブロッキングテスターを用いて、印刷面×印刷面および印刷面と紙面を圧着させ、5kg/cm2・40℃・80%にて24時間放置後の剥離抵抗やインキ取られ具合を評価した。
5:圧着面が容易に剥がれる
4:圧着面を剥がすとわずかに抵抗感がある
3:圧着面を剥がすと抵抗感がある
2:圧着面を剥がすと抵抗感があり、インキ層や原紙がわずかに剥がれる
1:圧着面を剥がすと強い抵抗感があり、インキ層や原紙が剥がれる
(耐摩耗性)
塗工紙のニス塗工面を、学振型耐摩擦性試験機を用いて、上質紙にて摩擦し、ニス塗工層の剥離度合いを目視判定した。(荷重500gにて往復100回)
尚、実用レベルは△以上である。
◎:インキが全く剥離しなかったもの
○:インキがフィルムから僅かに剥離するもの(10%未満)
○△:インキがフィルムから剥離するもの(10%以上、30%未満)
△:インキがフィルムから剥離するもの(30%以上、75%未満)
×:インキがフィルムから著しく剥離するもの(75%以上)
(耐スクラッチ性)
得られた印刷インキ積層体に対し、爪でインキ塗工面を引掻き、塗膜の傷つき程度から耐スクラッチ性を目視評価した。
尚、実用レベルは○△以上である。
◎:傷が生じなかったもの
○:僅かに傷を生ずるもの
○△:○と△の中位の傷を生ずるもの
△:傷を生ずるもの
×:著しく傷を生ずるもの(爪を縦にしても剥がれるもの)
Figure 2023085741000001
Figure 2023085741000002
表中のパラフィンワックス系分散体は、水にパラフィンワックス(パラフィンワックス155、日本精蝋株式会社製)を8質量部仕込み、攪拌してワックス分散体を作製したもの(固形分30%)を使用した。
また、ポリエチレンワックス分散体は、水にポリエチレンワックス(ケミパール W-400(三井化学(株)製))を40質量部仕込み、攪拌してワックス分散体を作製したもの(固形分40%)を使用した。
シリコン系消泡剤は、DOWSIL FS Antifoam 013A(ダウ・東レ株式会社製)を使用した。
実施例1~4より、本発明のニスは、耐水性、撥水性に優れ、且つ、耐熱性、耐摩擦性、耐ブロッキング性、耐摩擦性、耐スクラッチ性にも優れたニスを得られることがわかった。本発明のニスは、オーバーコートニスとして好適な特性を有し、また、優れた耐熱性を有することから本発明のニスを塗工した積層体にヒートシール処理を施した場合においてもニスが剥がれたりすることなく、作業性も良好である。

Claims (8)

  1. スチレンアクリル系共重合体と、第一のワックス(A)と、第二のワックス(B)と、水性溶剤を少なくとも含有し、
    前記スチレンアクリル系共重合体は、スチレン類と(メタ)アクリレートの共重合体がコアシェル構造を形成し、
    第一のワックス(A)は前記スチレンアクリル系共重合体中に存在し、
    第二のワックス(B)はニス中に分散して存在するパラフィンワックスである
    ことを特徴とする、紙用ニス。
  2. 前記第一のワックス(A)が、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸化ポリエチレン-ワックス、アマイドワックスから選ばれる少なくとも一つ以上のワックスである、請求項1に記載の紙用ニス。
  3. 更に、前記第二のワックス(B)以外の第三のワックス(C)を含有する、請求項1又は2に記載の紙用ニス。
  4. 前記スチレンアクリル系共重合のガラス転移温度が-30℃~30℃の範囲である請求項1~3のいずれかに記載の紙用ニス。
  5. 紙基材と、前記紙基材に請求項1~4の紙用ニスを塗工した塗工層を有する塗工紙。
  6. 前記紙基材の前記紙用ニスの塗工層が設けられた面と反対の面に、ポリオレフィン樹脂層を有する請求項5に記載の塗工紙。
  7. 請求項5~6の塗工紙を用いた包装体。
  8. 前記紙基材の前記紙用ニスの塗工層が設けられた面と反対の面に、ポリオレフィン樹脂層を有し、該ポリオレフィン樹脂層をヒートシールすることにより袋又は箱に成形された請求項7に記載の包装体。
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