JP2023085359A - ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子 - Google Patents

ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】色収差の補正、光学系の高機能化、コンパクト化のために有用な光学素子用の材料である、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44の範囲であるガラスを提供する。【解決手段】質量%表示にて、B2O3とSiO2との合計含有量が15~35質量%、La2O3、Y2O3、Gd2O3およびYb2O3の合計含有量が45~65質量%、但し、Yb2O3含有量が3質量%以下であり、ZrO2含有量が3~11質量%、Ta2O5含有量が5質量%以下、B2O3とSiO2との合計含有量に対するB2O3含有量の質量比が0.4~0.900、La2O3、Y2O3、Gd2O3およびYb2O3の合計含有量に対するB2O3およびSiO2の合計含有量の質量比が0.42~0.53である、酸化物ガラスであるガラスが提供される。【選択図】なし

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年1月13日出願の日本特願2015-004542号および日本特願2015-004544号の優先権を主張し、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明は、ガラス、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子に関する。
屈折率が高く、分散の低いガラス(高屈折率低分散ガラス)として、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44の範囲であるガラスが、例えば特許文献1~18に記載されている。特許文献1~18の全記載は、ここに特に開示として援用される。
特許文献1:特開2002-12443号公報
特許文献2:特開2003-267748号公報
特許文献3:特開2005-281124号公報
特許文献4:特開2005-298262号公報
特許文献5:特開昭55-121925号公報
特許文献6:特開2009-203083号公報
特許文献7:特開昭54-090218号公報
特許文献8:特開昭56-160340号公報
特許文献9:特開2009-167080号公報
特許文献10:特開2009-167081号公報
特許文献11:特開2009-298646号公報
特許文献12:特開2010-111527号公報
特許文献13:特開2010-111528号公報
特許文献14:特開2010-111530号公報
特許文献15:特開昭57-056344号公報
特許文献16:特開昭61-163138号公報
特許文献17:特開2002-284542号公報
特許文献18:特開2007-269584号公報
屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44の範囲であるガラスは、色収差の補正、光学系の高機能化、コンパクト化のために有用な光学素子用の材料である。なお以下において、屈折率は、特記しない限り、d線(ヘリウムの波長587.56nm)における屈折率ndをいうものとする。また、アッベ数は、特記しない限り、νdをいうものとする。周知のように、νdは、F線(水素の波長486.13nm)、C線(水素656.27nm)における屈折率をそれぞれnF、nCとしたとき、νd=(nd-1)/(nF-nC)と定義される。
上記範囲の屈折率およびアッベ数を有する高屈折率低分散ガラスについては、その有用性を更に高めるためには、以下の点を満たすことが望まれる。
安定供給可能であること。そのためには、希少価値が高い元素であって、近年、市場における需要に対して供給が不足している元素であるGdやTaがガラス組成に占める割合を低減することが望ましい。これに対し、特許文献7に記載されているガラスは、Taを多量に含んでいる。また、特許文献8~14に記載のガラスおよび特許文献17に記載の上記範囲の屈折率およびアッベ数を有するガラスは、Gdを多く含んでいる。
ガラス組成においてYbが占める割合が低いこと。これは、以下の理由による。
Ybは近赤外域に吸収を有する。そのため、Ybを多く含むガラス(例えば特許文献16に記載のガラス)は、可視域から近赤外域にわたって高い透過率が必要とされる用途、例えば、監視カメラ、暗視カメラ、車載カメラのレンズ等の光学素子用の材料には適していない。また、Ybは重希土類元素に属し、ガラスの成分としては原子量が大きく、ガラスの比重を増大させる。ガラスの比重が増大すると、レンズが重くなる。その結果、そのようなレンズをオートフォーカス式のカメラレンズに組み込むと、消費電力が大きくなり、電池の消耗が激しくなってしまう。以上の点から、ガラス組成においてYbが占める割合を低減することが望ましい。
熱的安定性に優れること。熱的安定性の低いガラスは、ガラスを製造する過程でガラスが失透傾向を示してしまうためである。しかるに、本発明者の検討によれば、例えば特許文献6に記載のガラスは、熱的安定性に劣るものであった。
以上の点に鑑み、本発明の一態様は、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44の範囲であって、ガラス組成においてGd、TaおよびYbの占める割合が低減されているとともに、熱的安定性に優れるガラスを提供する。
また一態様では、上記ガラスは、以下の点の1つ以上を更に満たすことも望ましい。
ガラスの短波長側の光吸収端の長波長化が抑制されていること。これは以下の理由による。
色収差の補正のために、それぞれ異なる光学特性を有するガラスを用いて複数のレンズを作り、これらのレンズを貼り合わせ、接合レンズを作る方法が知られている。接合レンズを作る過程で、レンズ同士を貼り合わせるために、通常、紫外線硬化型接着剤が用いられる。詳しくは、次の通りである。レンズ同士を貼り合せる面に紫外線硬化型接着剤を塗布し、レンズを貼り合わせる。このとき、通常、レンズ間に紫外線硬化型接着剤の極めて薄い塗布層が形成される。次いで、上記塗布層に対して、レンズを通して紫外線を照射し紫外線硬化型接着剤を硬化する。したがって、レンズの紫外線の透過率が低いと、レンズを通して上記塗布層に十分な光量の紫外線が届かず、硬化が不十分になってしまう。または硬化に長時間を要してしまう。また、紫外線硬化型接着剤を用いて、レンズ鏡筒等にレンズを接着し固定する場合にも、同様に、レンズの紫外線透過率が低いと、硬化が不十分になるか、または硬化に長時間を要してしまう。
したがって、光学系の作製に好適な透過率特性を有するガラスとするためには、ガラスの紫外域の透過率を高くすること、換言すれば、ガラスの短波長側の光吸収端の長波長化を抑制することが望ましい。
しかるに、本発明者の検討によれば、例えば特許文献5に記載のガラスは、ガラスの短波長側の光吸収端が長波長化し、紫外域の透過率が低下していた。また、従来の高屈折率低分散ガラスのガラス組成において、GdやTaの含有量を低減しつつ、高屈折率低分散特性と熱的安定性をともに維持しようとすると、ガラスの短波長側の光吸収端が長波長化し、紫外線の透過率が大きく低下する傾向があった。
機械加工に適すること。詳しくは、次の通りである。ガラスから光学素子を得る方法としては、精密プレス成形法(例えば特許文献1~4参照)のほかに、ガラスから光学素子ブランクを成形し、この光学素子ブランクに研削加工や研磨加工などの機械加工を行い光学素子に仕上げる方法もある。このような機械加工においてガラスが破損しやすいと、製造歩留りを低下させてしまう。一般に、精密プレス成形用のガラスはガラス転移温度が低いが、ガラス転移温度の低いガラスは機械加工において破損しやすい傾向がある。したがって、機械加工に適したガラスとするためには、ガラス転移温度を精密プレス成形用のガラスより高くすることが望ましい。
本発明の一態様は、質量%表示にて、
23とSiO2との合計含有量が15~35質量%、
La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量が45~65質量%、但し、Yb23含有量が3質量%以下であり、
ZrO2含有量が3~11質量%、
Ta25含有量が5質量%以下、
23とSiO2との合計含有量に対するB23含有量の質量比(B23/(B23+SiO2))が0.4~0.900、
La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するB23およびSiO2の合計含有量の質量比((B23+SiO2)/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0.42~0.53、
La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するY23含有量の質量比(Y23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0.05~0.45、
La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するGd23含有量の質量比(Gd23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0~0.05、
Nb25、TiO2、Ta25およびWO3の合計含有量に対するNb25含有量の質量比(Nb25/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))が0.5~1、
であり、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44である酸化物ガラスであるガラス(以下、「ガラス1」という。)、
に関する。
また、本発明の一態様は、カチオン%表示にて、
3+とSi4+との合計含有量が45~65%、
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量が25~35%、但し、Yb3+
有量が2%未満であり、
Zr4+含有量が2~8%、
Ta5+含有量が3%以下、
3+とSi4+との合計含有量に対するB3+含有量のカチオン比(B3+/(B3++Si4+))が0.65以上0.94未満、
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比((B3++Si4+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が1.65~2.60、
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するY3+含有量のカチオン比(Y3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が0.05~0.45、
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するGd3+含有量のカチオン比(Gd3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が0~0.05、
Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するNb5+含有量のカチオン比(Nb5+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))が0.4~1、
であり、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44である酸化物ガラスであるガラス(以下、「ガラス2」という。)、
に関する。
ガラス1は、上記範囲の屈折率ndおよびアッベ数νdを有するガラスであって、Gd23を含む各種成分(すなわちLa23、Y23、Gd23、Yb23)の合計含有量が上記範囲の中で、Gd23含有量を分子に、上記各種成分の合計含有量を分母とする上記質量比を満たす。したがって、ガラス組成においてGdが占める割合が低減されている。更に、Ta25含有量およびYb23含有量がそれぞれ上記の通りであって、ガラス組成においてTaおよびYbが占める割合も低減されている。上記ガラスは、このようにGd、TaおよびYbが占める割合を低減した組成の中で、上述の含有量、合計含有量および質量比を満たす組成調整が行われていることにより、高い熱的安定性(失透しにくい性質)を実現することができる。更には、短波長側の光吸収端の長波長化の抑制、高ガラス転移温度(Tg)化(ガラス転移温度の高温化)も可能となる。
ガラス2は、上記範囲の屈折率ndおよびアッベ数νdを有するガラスであって、Gd3+を含む各種成分(すなわちLa3+、Y3+、Gd3+、Yb3+)の合計含有量が上記範囲の中で、Gd3+含有量を分子に、上記各種成分の合計含有量を分母とする上記カチオン比を満たす。したがって、ガラス組成においてGdが占める割合が低減されている。更に、Ta5+含有量およびYb3+含有量がそれぞれ上記の通りであって、ガラス組成においてTaおよびYbが占める割合も低減されている。上記ガラスは、このようにGd、TaおよびYbが占める割合を低減した組成の中で、上述の含有量、合計含有量およびカチオン比を満たす組成調整が行われていることにより、高い熱的安定性(失透しにくい性質)を実現することができる。更には、短波長側の光吸収端の長波長化の抑制、高ガラス転移温度(Tg)化(ガラス転移温度の高温化)も可能となる。
本発明の一態様によれば、光学系において有用な高屈折率低分散特性を有し、安定供給が可能であり、かつ熱的安定性に優れるガラスを提供することができる。更に、本発明の一態様によれば、上記ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子を提供することができる。
後述するガラスAの厚さ10.0mmにおける分光透過率曲線を示す。 後述するガラスBの厚さ10.0mmにおける分光透過率曲線を示す。
本発明におけるガラス組成は、例えばICP-AES(Inductively Coupled Plasma - Atomic Emission Spectrometry)などの方法により定量することができる。ICP-AESにより求められる分析値は、例えば、分析値の±5%程度の測定誤差を含んでいることがある。また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%または含まないもしくは導入しないとは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、この構成成分の含有量が不純物レベル程度以下であることを指す。
以下では、数値範囲に関して、(より)好ましい下限および(より)好ましい上限を、表に示して記載することがある。表中、下方に記載されている数値ほど好ましく、最も下方に記載されている数値が最も好ましい。また、特記しない限り、(より)好ましい下限とは、記載されている値以上であることが(より)好ましいことをいい、(より)好ましい上限とは、記載されている値以下であることが(より)好ましいことをいう。表中の(より)好ましい下限の列に記載されている数値と(より)好ましい上限の列に記載されている数値とを、任意に組み合わせて数値範囲を規定することができる。
[ガラス]
本発明の一態様にかかるガラス1およびガラス2は、上記ガラス組成を有し、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44である酸化物ガラスである。以下、ガラス1およびガラス2の詳細について説明する。
<ガラス1のガラス組成>
本発明では、ガラス1のガラス組成を、酸化物基準で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいうものとする。また、特記しない限り、ガラス1のガラス組成は、質量基準(質量%、質量比)で表示するものとする。
23、SiO2は、ガラスのネットワーク形成成分である。B23とSiO2との合計含有量(B23+SiO2)が15%以上であると、ガラスの熱的安定性が向上し、製造中のガラスの結晶化を抑制することができる。一方、B23とSiO2との合計含有量が35%以下であると、屈折率ndの低下を抑制することができるため、上記した光学特性を有するガラス、すなわち、屈折率ndが1.800~1.850の範囲にあるとともに、アッベ数νdが41.5~44の範囲にあるガラスの作製が可能となる。したがって、ガラス1におけるB23とSiO2との合計含有量は、15~35%の範囲とする。B23とSiO2との合計含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000001
ガラスのネットワーク形成成分であるB23とSiO2の各成分の含有量の比率は、ガラスの熱的安定性、熔融性、成形性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性等に影響を与える。B23は、SiO2よりも熔融性を改善する働きが優れているが、熔融時に揮発しやすい。これに対し、SiO2は、ガラスの化学的耐久性、耐候性、機械加工性を改善したり、熔融時のガラスの粘性を高める働きを有する。
一般に、B23とLa23等の希土類元素を含む高屈折率低分散ガラスでは、熔融時のガラスの粘性が低い。しかし、熔融時のガラスの粘性が低いと熱的安定性が低下する(結晶化しやすくなる)。ガラス製造時の結晶化は、アモルファス状態(非晶質状態)よりも結晶化したほうが安定であり、ガラスを構成するイオンがガラス中を移動して結晶構造をもつように配列することにより生じる。したがって、熔融時の粘性が高くなるようにB23とSiO2の各成分の含有量の比率を調整することにより、上記イオンを結晶構造をもつように配列しにくくして、ガラスの結晶化を更に抑制しガラスの熱的安定性を改善することができる。
鋳型に熔融ガラスを流し込んで成形する時、熔融ガラスの粘度が低いと、鋳型内に流し込んだガラスの固化した表面部が依然として熔融状態にあるガラスの内部に巻き込まれて脈理となり、ガラスの光学的な均質性が低下してしまう。成形性の優れたガラスとは、希土類元素を含む高屈折率低分散ガラスの中でも、熔融状態のガラスを鋳型に流し込む時の粘度が比較的高いガラスに相当する。
23とSiO2との合計含有量に対するB23含有量の質量比(B23/(B23+SiO2))が0.900以下であれば、熔融時の粘性低下を抑制することができ、これによりガラスの熱的安定性を改善したり、熔融時の揮発を抑制することができる。熔融時の揮発は、ガラス組成の変動、特性の変動を大きくする原因となる。そしてその結果、光学的に均質なガラスを成形することを難しくする。したがって、質量比(B23/(B23+SiO2))を0.900以下として熔融時の揮発を抑制できることは、組成や特性のばらつきの少ないガラスを量産する観点から好ましい。更に、質量比(B23/(B23+SiO2))が0.900以下であれば、ガラスの化学的耐久性、耐候性、機械加工性の低下を抑制することもできる。これに対し、前述の特許文献15(特開昭57-056344号公報)に記載されているガラス組成では、B23含有量は28~30質量%、SiO2の含有量は1~3質量%である(特許文献15の特許請求の範囲参照)。これら成分の含有量から算出される質量比(B23/(B23+SiO2))は、0.903~0.968と大きい値になる。
一方、質量比(B23/(B23+SiO2))が0.4以上であれば、熔融時のガラス原料の熔け残りを防ぐことができるため、熔融性を向上することができる。
以上の点から、ガラス1において、質量比(B23/(B23+SiO2))を0.4~0.900の範囲とする。ガラス1における質量比(B23/(B23+SiO2))の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000002
23の含有量、SiO2の含有量のそれぞれについて、ガラスの熱的安定性、熔融性、成形性、化学的耐久性、耐候性、機械加工等を改善する上から好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000003
Figure 2023085359000004
La23、Y23、Gd23およびYb23は、アッベ数の低下を抑えつつ屈折率を高める働きを有する成分である。また、これらの成分は、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善し、ガラス転移温度を高める働きも有する。
La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量(La23+Y23+Gd23+Yb23)が45%以上であると、屈折率の低下を抑制することができるため、上記した光学特性を有するガラスの作製が可能となる。更に、ガラスの化学的耐久性や耐候性の低下を抑制することもできる。なお、ガラス転移温度が低下すると、ガラスを機械的に加工(切断、切削、研削、研磨など)するときにガラスが破損しやすくなる(機械加工性の低下)が、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量が45%以上であると、ガラス転移温度の低下を抑制することができるため、機械加工性を高めることもできる。一方、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量が65%以下であれば、ガラスの熱的安定性を高めることができるため、ガラスを製造するときの結晶化の抑制や、ガラスを熔融するときの原料の熔け残りを低減することもできる。したがって、ガラス1において、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量は、45~65%の範囲とする。La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000005
ZrO2は、屈折率を高める働きのある成分であり、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。また、ZrO2は、ガラス転移温度を高め、機械的な加工時にガラスが破損しにくくする働きも有する。これらの効果を良好に得るために、ガラス1では、ZrO2の含有量を3%以上とする。一方、ZrO2の含有量が11%以下であれば、ガラスの熱的安定性を改善することができるため、ガラス製造時の結晶化やガラス熔融時の熔け残りの発生を抑制することができる。したがって、ガラス1におけるZrO2の含有量は、3~11%の範囲とする。ZrO2含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000006
Ta25は、先に記載したように、ガラスの安定供給の観点からは、ガラス組成に占める割合を低減することが望ましい成分である。また、Ta25は、屈折率を高める働きを有する成分であるが、ガラスの比重を増大させ、熔融性を低下させる成分でもある。したがって、ガラス1におけるTa25含有量は、5%以下とする。Ta25の含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000007
ガラスの熱的安定性を改善し、比重の増大を抑えつつ、上記の光学特性を実現するために、ガラス1において、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するB23およびSiO2の合計含有量の質量比((B23+SiO2)/(La23+Y23+Gd23+Yb23))を0.42~0.53の範囲とする。質量比((B23+SiO2)/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0.42以上であれば、ガラスの熱的安定性を改善することができるため、ガラスの失透を抑制することができる。また、ガラスの比重の増大を抑制することもできる。ガラスの比重が増大すると、このガラスを用いて作製される光学素子が重くなる。その結果、この光学素子を組み込んだ光学系が重くなる。例えば、オートフォーカス式のカメラに重い光学素子を組み込むとオートフォーカスを駆動する際の消費電力が増加し、早く電池が消耗してしまう。ガラスの比重の増大を抑制できることは、このガラスを用いて作製される光学素子およびこの光学素子を組み込んだ光学系の軽量化の低減の観点から好ましい。一方、質量比((B23+SiO2)/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0.53以下であれば、上記の光学特性を実現することができる。また、質量比((B23+SiO2)/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0.53以下であることは、ガラスの化学的耐久性の改善、高ガラス転移温度(Tg)化の観点からも好ましい。質量比((B23+SiO2)/(La23+Y23+Gd23+Yb23))の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000008
La23、Y23、Gd23およびYb23の中で、Yb23は、先に記載した理由から、ガラス組成において占める割合を低減することが望ましい成分である。そこでガラス1では、Yb23含有量を3%以下とする。Yb23含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000009
23は、近赤外域の光線透過率を大幅に低下させることなく、ガラスの熱的安定性を改善する働きをする成分である。また、原子量が小さいことから、ガラスの比重の増大を抑える上で好ましい成分である。ただし、Y23の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性は著しく低下し、結晶化しやくなる。また、熔融性が低下する。熱的安定性を改善しつつ、近赤外域の光線透過率を大幅に低下させることなく、比重の増大を抑え、上記の光学特性を有するガラスを作る上から、ガラス1では、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するY23含有量の質量比(Y23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))を0.05~0.45の範囲とする。質量比(Y23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000010
Gd23は、先に記載した理由から、ガラス組成において占める割合を低減することが望ましい成分である。また、GdはYbと同様に重希土類元素に属し、ガラスの成分としては原子量が大きく、ガラスの比重を増大させる。この点からも、ガラス組成においてGdが占める割合を低減することが望ましい。
ガラス1において、Gd23の含有量は、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量と、この合計含有量に対するGd23含有量により定まる。ガラス1では、上記した光学特性を有する高屈折率低分散ガラスを安定供給する上から、更には高屈折率低分散ガラスとしては比重が小さいガラスを作る上から、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するGd23含有量の質量比(Gd23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))を0~0.05の範囲とする。質量比(Gd23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000011
La23は、近赤外域の光線透過率を大幅に低下させることがなく、熱的安定性を改善しつつ、比重の増大を抑制し、高屈折率低分散ガラスを提供するうえで有用な成分である。そこでガラス1では、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するLa23含有量の質量比(La23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))を0.55~0.95の範囲とすることが好ましい。質量比(La23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000012
La23、Y23、Gd23の各成分の含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000013
Figure 2023085359000014
Figure 2023085359000015
Nb25、TiO2、Ta25およびWO3は、屈折率を高める働きのある成分であり、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。Nb25、TiO2、Ta25およびWO3の合計含有量(Nb25+TiO2+Ta25+WO3)が3~15%の範囲であることが、上記の光学特性を実現しつつ、ガラスの熱的安定性を更に改善する上で好ましい。Nb25、TiO2、Ta25およびWO3の合計含有量のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000016
ZnOは、ガラスを熔融するときに、ガラスの原料の熔けを促進する働き、すなわち、熔融性を改善する働きを有する。また、屈折率やアッベ数を調整したり、ガラス転移温度を低下させる働きも有する。ZnO含有量をB23とSiO2との合計含有量で割った値、すなわち、質量比(ZnO/(B23+SiO2))が0.04以上であることが、熔融性を改善する上で好ましい。一方、質量比(ZnO/(B23+SiO2))が0.4以下であることが、アッベ数の低下(高分散化)を抑制し上記の光学特性を実現する上で好ましい。また、質量比(ZnO/(B23+SiO2))が0.4以下であることは、ガラスの熱的安定性の改善および高ガラス転移温度(Tg)化の上でも好ましい。したがって、ZnOの含有量を、質量比でB23とSiO2との合計含有量の0.04~0.4倍とすること、すなわち、質量比(ZnO/(B23+SiO2))を0.04~0.4とすることが好ましい。質量比(ZnO/(B23+SiO2))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000017
ガラスの熔融性、熱的安定性、成形性、機械加工性等を改善し、上記の光学特性を実現する上から、ZnO含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000018
Nb25、TiO2、Ta25およびWO3の合計含有量に対するB23およびSiO2の合計含有量の質量比((B23+SiO2)/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))は、上記の光学特性を実現しつつ、後述する着色度λ5の増加を抑制してガラスの紫外線透過率を高める上で、2.65~10の範囲とすることが好ましい。また、ガラスの熱的安定性の改善の上でも、質量比((B23+SiO2)/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))を2.65以上とすることは好ましい。質量比((B23+SiO2)/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000019
Nb25、TiO2、Ta25およびWO3は、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きをする。
これら成分のうち、TiO2の含有量が多くなると、ガラスの可視域の透過率が低下して、ガラスの着色が増大する傾向がある。
Ta25の作用については、前述の通りである。
WO3については、その含有量が増加すると、ガラスの可視域の透過率が低下してガラスの着色が増大する傾向があり、また比重が増大する傾向がある。
これに対し、Nb25は、ガラスの比重、着色、製造コストを増大させにくく、屈折率を高め、ガラスの熱的安定性を改善する働きがある。そこで、ガラス1では、Nb25の優れた作用、効果を活かすために、Nb25、TiO2、Ta25およびWO3の合計含有量に対するNb25の含有量の質量比(Nb25/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))を0.5~1の範囲とする。着色度λ5を低下させ、紫外線照射による紫外線硬化型接着剤の硬化を促進させる上からは、質量比(Nb25/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))を大きくすることが好ましい。質量比(Nb25/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000020
Ta25は、先に記載した理由から、ガラスに積極的に導入することは好ましくない。そこで、Nb25、TiO2、Ta25およびWO3の中で、Ta25を除外したNb25、TiO2およびWO3の合計含有量に対するNb25の含有量の質量比(Nb25/(Nb25+TiO2+WO3))の好ましい範囲について説明する。優れた熱的安定性を有し、着色の少ないガラスを作るために、質量比(Nb25/(Nb25+TiO2+WO3))は、0.50~1の範囲であることが好ましい。質量比(Nb25/(Nb25+TiO2+WO3))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000021
Nb25、TiO2、Ta25およびWO3の合計含有量に対するZnO含有量の質量比(ZnO/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))は、熔融性の向上の観点から、0.1以上とすることが好ましい。なお熔融性の低いガラスについて、ガラス原料の熔け残りがないようにするためにガラスの熔融温度を高めたり、熔融時間を長くすると、ガラスの着色が増大する傾向がある。これは、例えば白金等の貴金属製の熔融坩堝内でガラスを熔融する時に、熔融温度を高くしたり、熔融時間を長くすると、坩堝を構成する貴金属が熔融ガラスに溶け込んで、貴金属イオンによる光吸収が生じ、ガラスの着色、特にλ5の値が増大するためと推察される。一方、他のガラス成分の含有量を調整することより熔融性を改善しようとすると、熱的安定性が低下したり、上記の光学特性を有する均質なガラスを得ることが難しくなる場合がある。したがって、ガラスの熔融性を向上するために、質量比(ZnO/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))を0.1以上とすることは、ガラスの着色抑制の上でも好ましい。また、ガラスの熱的安定性の更なる改善、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)、化学的耐久性の改善の観点からは、質量比(ZnO/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))を3以下とすることが好ましい。質量比(ZnO/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000022
Nb25含有量、TiO2含有量、WO3含有量のそれぞれについて、好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000023
Figure 2023085359000024
Figure 2023085359000025
Li2O含有量は、ガラスの熱的安定性の更なる改善、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)、化学的耐久性や耐候性の改善の観点からは、1%以下とすることが好ましい。Li2O含有量の好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000026
Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oは、いずれも、ガラスの熔融性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性が低下傾向を示す。したがって、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oの各含有量の下限および上限は、それぞれ下記表に示す通りとすることが好ましい。
Figure 2023085359000027
Figure 2023085359000028
Figure 2023085359000029
Figure 2023085359000030
Rb2O、Cs2Oは高価な成分であり、Li2O、Na2O、K2Oと比較して、汎用的なガラスには適していない成分である。したがって、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性を維持しつつ、ガラスの熔融性を改善する上から、Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量(Li2O+Na2O+K2O)の下限および上限は、それぞれ下記表に示す通りとすることが好ましい。
Figure 2023085359000031
MgO、CaO、SrO、BaOは、いずれもガラスの熔融性を改善させる働きを有する成分である。ただし、これら成分の含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性が低下し、失透傾向を示す。したがって、これら成分の各含有量は、それぞれ下記に示す下限以上とすることが好ましく、上限以下とすることが好ましい。
Figure 2023085359000032
Figure 2023085359000033
Figure 2023085359000034
Figure 2023085359000035
また、ガラスの熱的安定性を更に改善する上から、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(MgO+CaO+SrO+BaO)は、下記表に示す下限以上とすることが好ましく、上限以下とすることが好ましい。
Figure 2023085359000036
Al23は、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有する成分である。ただし、Al23の含有量が多くなると、屈折率の低下傾向、ガラスの熱的安定性の低下傾向、熔融性の低下傾向がみられることがある。以上の点を考慮し、Al23含有量は、下記表に示す下限以上であることが好ましく、上限以下であることが好ましい。
Figure 2023085359000037
Ga23、In23、Sc23、HfO2は、いずれも屈折率ndを高める働きを有する。ただし、これらの成分は高価であり、ガラス1を得るうえで必須の成分ではない。したがって、Ga23、In23、Sc23、HfO2の各含有量は、下記表に示す下限以上とすることが好ましく、上限以下とすることが好ましい。
Figure 2023085359000038
Figure 2023085359000039
Figure 2023085359000040
Figure 2023085359000041
Lu23は、屈折率ndを高める働きを有するが、ガラスの比重を増加させる成分でもある。また、高価な成分でもある。以上の点から、Lu23の含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000042
GeO2は、屈折率ndを高める働きを有するが、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。ガラスの製造コストを低減する上から、GeO2含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000043
Bi23は、屈折率ndを高めるとともに、アッベ数を低下させる成分である。また、ガラスの着色を増大させやすい成分でもある。上記の光学特性を有し、着色の少ないガラスを作る上から、Bi23含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000044
以上説明した各種作用・効果を良好に得るうえで、以上記載した各ガラス成分の含有量の合計(合計含有量)は、95%よりも多くすることが好ましく、98%よりも多くすることがより好ましく、99%よりも多くすることがさらに好ましく、99.5%よりも多くすることが一層好ましい。
以上記載したガラス成分以外の中で、P25は、屈折率を低下させる成分であり、ガラスの熱的安定性を低下させる成分でもあるが、極少量の導入であればガラスの熱的安定性を向上させることがある。上記した光学特性を有するとともに、熱的安定性が優れたガラスを作る上で、P25含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000045
TeO2は、屈折率を高める成分であるが、毒性を有する成分であることから、TeO2の含有量を少なくすることが好ましい。TeO2含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000046
なお上記の各表において(より)好ましい下限または0%が記載されている成分は、含有量が0%であることも好ましい。複数成分の合計含有量についても同様である。
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、それぞれ毒性を有する。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことが好ましい。
U、Th、Raはいずれも放射性元素である。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことが好ましい。
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ceは、ガラスの着色を増大させたり、蛍光の発生源となり、光学素子用のガラスに含有させる元素としては好ましくない。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことが好ましい。
Sb、Snは清澄剤として機能する任意に添加可能な元素である。
Sbの添加量は、Sb23に換算し、酸化物基準のガラス組成において、Sb23以外のガラス成分の合計含有量を100質量%としたとき、0~0.11質量%の範囲にすることが好ましく、0.01~0.08質量%の範囲にすることがより好ましく、0.02~0.05質量%の範囲にすることがさらに好ましい。ここで、「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいうものとする。後述の表に示すガラス組成におけるSb23含有量も、上記の方法により算出される含有量である。
Snの添加量は、SnO2に換算し、酸化物基準のガラス組成において、SnO2以外のガラス成分の合計含有量を100質量%としたとき、0~1.0質量%の範囲にすることが好ましく、0~0.5質量%の範囲にすることがより好ましく、0~0.2質量%の範囲にすることがさらに好ましく、0質量%が一層好ましい。
<ガラス2のガラス組成>
本発明では、ガラス2のガラス組成を、カチオン成分についてカチオン%で表記する。カチオン%とは、周知のように、ガラスに含まれるすべてのカチオン成分の合計含有量を100%とした百分率である。
カチオン成分については、例えば、B3+、Si4+、La3+のように表示するが、カチオン成分の価数(例えば、B3+の価数は+3、Si4+の価数は+4、La3+の価数は+3)は、慣習により定まった値であり、B、Si、Laを酸化物基準でB23、SiO2、La23と表記することと同様である。酸化物基準でAmn(Aはカチオンを表し、Oは酸素を表し、mおよびnは化学量論的に定まる整数である。)と表記される成分について、カチオンAはAs+と表記される。ここで、s=2n/mである。したがって、例えば、ガラス組成を分析、定量する際に、カチオン成分の価数まで分析しなくてもよい。以下、特記しない限り、カチオン成分の含有量、複数種のカチオン成分の含有量の合計(合計含有量)をカチオン%で表示する。更に、カチオン%表示において、カチオン成分同士の含有量(複数種のカチオン成分の合計含有量も含む)の比をカチオン比という。
3+、Si4+は、ガラスのネットワーク形成成分である。B3+とSi4+との合計含有量(B3++Si4+)が45%以上であると、ガラスの熱的安定性が向上し、製造中のガラスの結晶化を抑制することができる。一方、B3+とSi4+との合計含有量が65%以下であると、屈折率の低下を抑制することができるため、上記した光学特性を有するガラス、すなわち、屈折率ndが1.800~1.850の範囲にあるとともに、アッベ数νdが41.5~44の範囲にあるガラスの作製が可能となる。したがって、ガラス2におけるB3+とSi4+との合計含有量は、45~65%の範囲とする。B3+とSi4+との合計含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000047
ガラスのネットワーク形成成分であるB3+とSi4+の各成分の含有量の比率は、ガラスの熱的安定性、熔融性、成形性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性等に影響を与える。B3+は、Si4+よりも熔融性を改善する働きが優れているが、熔融時に揮発しやすい。これに対し、Si4+は、ガラスの化学的耐久性、耐候性、機械加工性を改善したり、熔融時のガラスの粘性を高める働きを有する。
一般に、B3+とLa3+等の希土類元素を含む高屈折率低分散ガラスでは、熔融時のガラスの粘性が低い。しかし、熔融時のガラスの粘性が低いと熱的安定性が低下する(結晶化しやすくなる)。ガラス製造時の結晶化は、アモルファス状態(非晶質状態)よりも結晶化したほうが安定であり、ガラスを構成するイオンがガラス中を移動して結晶構造をもつように配列することにより生じる。したがって、熔融時の粘性が高くなるようにB3+とSi4+の各成分の含有量の比率を調整することにより、上記イオンが結晶構造をもつように配列しにくくして、ガラスの結晶化を更に抑制しガラスの熱的安定性を改善することができる。
鋳型に熔融ガラスを流し込んで成形する時、熔融ガラスの粘度が低いと、鋳型内に流し込んだガラスの固化した表面部が依然として熔融状態にあるガラスの内部に巻き込まれて脈理となり、ガラスの光学的な均質性が低下してしまう。成形性の優れたガラスとは、希土類元素を含む高屈折率低分散ガラスの中でも、熔融状態のガラスを鋳型に流し込む時の粘度が比較的高いガラスに相当する。
3+およびSi4+の合計含有量に対するB3+の含有量のカチオン比(B3+/(B3++Si4+))が0.94未満であれば、熔融時の粘性低下を抑制することができ、これによりガラスの熱的安定性を改善したり、熔融時の揮発を抑制することができる。熔融時の揮発は、ガラス組成の変動、特性の変動を大きくする原因となる。そしてその結果、光学的に均質なガラスを成形することを難しくする。したがって、カチオン比(B3+/(B3++Si4+))を0.94未満として熔融時の揮発を抑制できることは、組成や特性のばらつきの少ないガラスを量産する観点から好ましい。更に、カチオン比(B3+/(B3++Si4+))が0.94未満であれば、ガラスの化学的耐久性、耐候性、機械加工性の低下を抑制することもできる。これに対し、前述の特許文献15(特開昭57-056344号公報)に記載されているガラス組成では、B23含有量は28~30質量%、SiO2の含有量は1~3質量%である(特許文献15の特許請求の範囲参照)。これら成分の含有量から算出されるカチオン比(B3+/(B3++Si4+))は、0.942~0.981と大きい値になる。
一方、カチオン比(B3+/(B3++Si4+))が0.65以上であれば、熔融時のガラス原料の熔け残りを防ぐことができるため、熔融性を向上することができる。
以上の点から、ガラス2において、カチオン比(B3+/(B3++Si4+))を0.65以上0.94未満とする。ガラス2におけるカチオン比(B3+/(B3++Si4+))の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000048
3+の含有量、Si4+の含有量のそれぞれについて、ガラスの熱的安定性、熔融性、成形性、化学的耐久性、耐候性、機械加工等を改善する上から好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000049
Figure 2023085359000050
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+は、アッベ数の低下を抑えつつ屈折率を高める働きを有する成分である。また、これらの成分は、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善し、ガラス転移温度を高める働きも有する。
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量(La3++Y3++Gd3++Yb3+)が25%以上であると、屈折率の低下を抑制することができるため、上記した光学特性を有するガラスの作製が可能となる。更に、ガラスの化学的耐久性や耐候性の低下を抑制することもできる。なお、ガラス転移温度が低下すると、ガラスを機械的に加工(切断、切削、研削、研磨など)するときにガラスが破損しやすくなる(機械加工性の低下)が、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量が25%以上であると、ガラス転移温度の低下を抑制することができるため、機械加工性を高めることもできる。一方、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量が35%以下であれば、ガラスの熱的安定性を高めることができるため、ガラスを製造するときの結晶化の抑制や、ガラスを熔融するときの原料の熔け残りを低減することもできる。したがって、ガラス2において、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量は、25~35%の範囲とする。La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000051
Zr4+は、屈折率を高める働きのある成分であり、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。また、Zr4+は、ガラス転移温度を高め、機械的な加工時にガラスが破損しにくくする働きも有する。これらの効果を良好に得るために、ガラス2では、Zr4+の含有量を2%以上とする。一方、Zr4+の含有量が8%以下であれば、ガラスの熱的安定性を改善することができるため、ガラス製造時の結晶化やガラス熔融時の熔け残りの発生を抑制することができる。したがって、ガラス2におけるZr4+の含有量は、2~8%の範囲とする。Zr4+含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000052
Ta5+は、先に記載したように、ガラスの安定供給の観点からは、ガラス組成に占める割合を低減することが望ましい成分である。また、Ta5+は、屈折率を高める働きを有する成分であるが、ガラスの比重を増大させ、熔融性を低下させる成分でもある。したがって、ガラス2におけるTa5+含有量は、3%以下とする。Ta5+の含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000053
ガラスの熱的安定性を改善し、比重の増大を抑えつつ、上記の光学特性を実現するために、ガラス2において、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比((B3++Si4+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))を1.65~2.60の範囲とする。カチオン比((B3++Si4+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が1.65以上であれば、ガラスの熱的安定性を改善することができるため、ガラスの失透を抑制することができる。また、ガラスの比重の増大を抑制することもできる。ガラスの比重が増大すると、このガラスを用いて作製される光学素子が重くなる。その結果、この光学素子を組み込んだ光学系が重くなる。例えば、オートフォーカス式のカメラに重い光学素子を組み込むとオートフォーカスを駆動する際の消費電力が増加し、早く電池が消耗してしまう。ガラスの比重の増大を抑制できることは、このガラスを用いて作製される光学素子およびこの光学素子を組み込んだ光学系の軽量化の低減の観点から好ましい。一方、カチオン比((B3++Si4+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が2.60以下であれば、上記の光学特性を実現することができる。また、カチオン比((B3++Si4+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が2.60以下であることは、ガラスの化学的耐久性の改善、高ガラス転移温度(Tg)化の観点からも好ましい。カチオン比((B3++Si4+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000054
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の中で、Yb3+は、先に記載した理由から、ガラス組成において占める割合を低減することが望ましい成分である。そこでガラス2では、Yb3+含有量を2%未満とする。Yb3+含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000055
3+は、近赤外域の光線透過率を大幅に低下させることなく、ガラスの熱的安定性を改善する働きをする成分である。また、原子量が小さいことから、ガラスの比重の増大を抑える上で好ましい成分である。ただし、Y3+の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性は著しく低下し、結晶化しやくなる。また、熔融性が低下する。熱的安定性を改善しつつ、近赤外域の光線透過率を大幅に低下させることなく、比重の増大を抑え、上記の光学特性を有するガラスを作る上から、ガラス2では、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するY3+の含有量のカチオン比(Y3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))を、0.05~0.45の範囲とする。カチオン比(Y3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000056
Gd3+は、先に記載した理由から、ガラス組成において占める割合を低減することが望ましい成分である。また、GdはYbと同様に重希土類元素に属し、ガラスの成分としては原子量が大きく、ガラスの比重を増大させる。この点からも、ガラス組成においてGdが占める割合を低減することが望ましい。
ガラス2において、Gd3+の含有量は、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量と、この合計含有量に対するGd3+含有量により定まる。ガラス2では、上記した光学特性を有する高屈折率低分散ガラスを安定供給する上から、更には高屈折率低分散ガラスとしては比重が小さいガラスを作る上から、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するGd3+含有量のカチオン比(Gd3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))を0~0.05の範囲とする。カチオン比(Gd3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000057
La3+は、近赤外域の光線透過率を大幅に低下させることがなく、熱的安定性を改善しつつ、比重の増大を抑制し、高屈折率低分散ガラスを提供するうえで有用な成分である。そこでガラス2では、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するLa3+含有量のカチオン比(La3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))を0.55~0.95の範囲とすることが好ましい。カチオン比(La3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000058
La3+、Y3+、Gd3+の各成分の含有量の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000059
Figure 2023085359000060
Figure 2023085359000061
Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+は、屈折率を高める働きのある成分であり、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きも有する。Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+の合計含有量(Nb5++Ti4++Ta5++W6+)が2~10%の範囲であることが、上記の光学特性を実現しつつ、ガラスの熱的安定性を更に改善する上で好ましい。Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+の合計含有量のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000062
Zn2+は、ガラスを熔融するときに、ガラスの原料の熔けを促進する働き、すなわち、熔融性を改善する働きを有する。また、屈折率やアッベ数を調整したり、ガラス転移温度を低下させる働きも有する。Zn2+含有量をB3+とSi4+との合計含有量で割った値、すなわち、カチオン比(Zn2+/(B3++Si4+))が0.01以上であることが、熔融性を改善する上で好ましい。一方、カチオン比(Zn2+/(B3++Si4+))が0.22以下であることが、アッベ数の低下(高分散化)を抑制し上記の光学特性を実現する上で好ましい。また、カチオン比(Zn2+/(B3++Si4+))が0.22以下であることは、ガラスの熱的安定性の改善および高ガラス転移温度(Tg)化の上でも好ましい。したがって、Zn2+の含有量を、カチオン比でB3+とSi4+との合計含有量の0.01~0.22倍とすること、すなわち、カチオン比(Zn2+/(B3++Si4+))を0.01~0.22とすることが好ましい。カチオン比(Zn2+/(B3++Si4+))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000063
ガラスの熔融性、熱的安定性、成形性、機械加工性等を改善し、上記の光学特性を実現する上から、Zn2+含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000064
Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するB3+およびSi4+の合計含有量のカチオン比((B3++Si4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))は、上記の光学特性を実現しつつ、後述する着色度λ5の増加を抑制してガラスの紫外線透過率を高める上で、9.0~32の範囲とすることが好ましい。また、ガラスの熱的安定性の改善の上でも、カチオン比((B3++Si4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))を9.0以上とすることは好ましい。カチオン比((B3++Si4+)/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000065
Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+は、適量を含有させることにより、ガラスの熱的安定性を改善する働きをする。
これら成分のうち、Ti4+の含有量が多くなると、ガラスの可視域の透過率が低下して、ガラスの着色が増大する傾向がある。
Ta5+の作用については、前述の通りである。
6+については、その含有量が増加すると、ガラスの可視域の透過率が低下してガラスの着色が増大する傾向があり、また比重が増大する傾向がある。
これに対し、Nb5+は、ガラスの比重、着色、製造コストを増大させにくく、屈折率を高め、ガラスの熱的安定性を改善する働きがある。そこで、ガラス2では、Nb5+の優れた作用、効果を活かすために、Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するNb5+の含有量のカチオン比(Nb5+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))を0.4~1の範囲とする。着色度λ5を低下させ、紫外線照射による紫外線硬化型接着剤の硬化を促進させる上からは、カチオン比(Nb5+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))を大きくすることが好ましい。カチオン比(Nb5+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000066
Ta5+は、先に記載した理由から、ガラスに積極的に導入することは好ましくない。そこで、Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+の中で、Ta5+を除外したNb5+、Ti4+およびW6+の合計含有量に対するNb5+の含有量のカチオン比(Nb5+/(Nb5++Ti4++W6+))の好ましい範囲について説明する。優れた熱的安定性を有し、着色の少ないガラスを作るために、カチオン比(Nb5+/(Nb5++Ti4++W6+))は、0.4~1の範囲であることが好ましい。カチオン比(Nb5+/(Nb5++Ti4++W6+))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000067
Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するZn2+含有量のカチオン比(Zn2+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))は、熔融性の向上の観点から、0.1以上とすることが好ましい。なお熔融性の低いガラスについて、ガラス原料の熔け残りがないようにするためにガラスの熔融温度を高めたり、熔融時間を長くすると、ガラスの着色が増大する傾向がある。これは、例えば白金等の貴金属製の熔融坩堝内でガラスを熔融する時に、熔融温度を高くしたり、熔融時間を長くすると、坩堝を構成する貴金属が熔融ガラスに溶け込んで、貴金属イオンによる光吸収が生じ、ガラスの着色、特にλ5の値が増大するためと推察される。一方、他のガラス成分の含有量を調整することより熔融性を改善しようとすると、熱的安定性が低下したり、上記の光学特性を有する均質なガラスを得ることが難しくなる場合がある。したがって、ガラスの熔融性を向上するために、カチオン比(Zn2+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))を0.1以上とすることは、ガラスの着色抑制の上でも好ましい。また、ガラスの熱的安定性の更なる改善、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)、化学的耐久性の改善の観点からは、カチオン比(Zn2+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))を5以下とすることが好ましい。カチオン比(Zn2+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000068
Nb5+含有量、Ti4+含有量、W6+含有量のそれぞれについて、好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000069
Figure 2023085359000070
Figure 2023085359000071
Li+含有量は、ガラスの熱的安定性の更なる改善、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)、化学的耐久性や耐候性の改善の観点からは、3%以下とすることが好ましい。Li+含有量の好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000072
Na+、K+、Rb+、Cs+は、いずれも、ガラスの熔融性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性が低下傾向を示す。したがって、Na+、K+、Rb+、Cs+の各含有量の下限および上限は、それぞれ下記表に示す通りとすることが好ましい。
Figure 2023085359000073
Figure 2023085359000074
Figure 2023085359000075
Figure 2023085359000076
Rb+、Cs+は高価な成分であり、Li+、Na+、K+と比較して、汎用的なガラスには適していない成分である。したがって、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性、機械加工性を維持しつつ、ガラスの熔融性を改善する上から、Li+、Na+およびK+の合計含有量(Li++Na++K+)の下限および上限は、それぞれ下記表に示す通りとすることが好ましい。
Figure 2023085359000077
Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+は、いずれもガラスの熔融性を改善させる働きを有する成分である。ただし、これら成分の含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性が低下し、失透傾向を示す。したがって、これら成分の各含有量は、それぞれ下記に示す下限以上とすることが好ましく、上限以下とすることが好ましい。
Figure 2023085359000078
Figure 2023085359000079
Figure 2023085359000080
Figure 2023085359000081
また、ガラスの熱的安定性を更に改善する上から、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量(Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+)は、下記表に示す下限以上とすることが好ましく、上限以下とすることが好ましい。
Figure 2023085359000082
Al3+は、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有する成分である。ただし、Al3+の含有量が多くなると、屈折率の低下傾向、ガラスの熱的安定性の低下傾向、熔融性の低下傾向がみられることがある。以上の点を考慮し、Al3+含有量は、下記表に示す下限以上であることが好ましく、上限以下であることが好ましい。
Figure 2023085359000083
Ga3+、In3+、Sc3+、Hf4+は、いずれも屈折率を高める働きを有する。ただし、これらの成分は高価であり、ガラス2を得るうえで必須の成分ではない。したがって、Ga3+、In3+、Sc3+、Hf4+の各含有量は、下記表に示す下限以上とすることが好ましく、上限以下とすることが好ましい。
Figure 2023085359000084
Figure 2023085359000085
Figure 2023085359000086
Figure 2023085359000087
Lu3+は、屈折率を高める働きを有するが、ガラスの比重を増加させる成分でもある。また、高価な成分でもある。以上の点から、Lu3+の含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000088
Ge4+は、屈折率を高める働きを有するが、一般的に使用されるガラス成分の中で、突出して高価な成分である。ガラスの製造コストを低減する上から、Ge4+含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000089
Bi3+は、屈折率を高めるとともに、アッベ数を低下させる成分である。また、ガラスの着色を増大させやすい成分でもある。上記の光学特性を有し、着色の少ないガラスを作る上から、Bi3+含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000090
以上説明した各種作用・効果を良好に得るうえで、以上記載したカチオン成分の各含有量の合計(合計含有量)は、95%よりも多くすることが好ましく、98%よりも多くすることがより好ましく、99%よりも多くすることがさらに好ましく、99.5%よりも多くすることが一層好ましい。
以上記載したカチオン成分以外のカチオン成分の中で、P5+は、屈折率を低下させる成分であり、ガラスの熱的安定性を低下させる成分でもあるが、極少量の導入であればガラスの熱的安定性を向上させることがある。上記した光学特性を有するとともに、熱的安定性が優れたガラスを作る上で、P5+含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000091
Te4+は、屈折率を高める成分であるが、毒性を有する成分であることから、Te4+の含有量を少なくすることが好ましい。Te4+含有量の好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000092
なお上記の各表において(より)好ましい下限または0%が記載されている成分は、含有量が0%であることも好ましい。複数成分の合計含有量についても同様である。
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、それぞれ毒性を有する。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことが好ましい。
U、Th、Raはいずれも放射性元素である。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことが好ましい。
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ceは、ガラスの着色を増大させたり、蛍光の発生源となり、光学素子用のガラスに含有させる元素としては好ましくない。そのため、これらの元素を含有させないこと、すなわち、これら元素をガラス成分としてガラス中に導入しないことが好ましい。
Sb、Snは清澄剤として機能する任意に添加可能な元素である。
Sbの添加量は、Sb23に換算し、酸化物基準のガラス組成において、Sb23以外のガラス成分の合計含有量を100質量%としたとき、0~0.11質量%の範囲にすることが好ましく、0.01~0.08質量%の範囲にすることがより好ましく、0.02~0.05質量%の範囲にすることがさらに好ましい。ここで、「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいうものとする。後述の表に示すガラス組成におけるSb23含有量も、上記の方法により算出される含有量である。
Snの添加量は、SnO2に換算し、酸化物基準のガラス組成において、SnO2以外のガラス成分の合計含有量を100質量%としたとき、0~1.0質量%の範囲にすることが好ましく、0~0.5質量%の範囲にすることがより好ましく、0~0.2質量%の範囲にすることがさらに好ましく、0質量%が一層好ましい。
以上、カチオン成分について説明した。次に、アニオン成分について説明する。
ガラス2は、酸化物ガラスであるため、アニオン成分としてO2-を含む。O2-の含有量は、98~100アニオン%の範囲であることが好ましく、99~100アニオン%の範囲であることがより好ましく、99.5~100アニオン%であることが更に好ましく、100アニオン%であることが一層好ましい。
2-以外のアニオン成分としては、F-、Cl-、Br-、I-を例示することができる。ただし、F-、Cl-、Br-、I-は、いずれもガラスの熔融中に揮発しやすい。これらの成分の揮発によって、ガラスの特性が変動しガラスの均質性が低下したり、熔融設備の消耗が著しくなる傾向がある。したがって、F-、Cl-、Br-およびI-の合計含有量を、100アニオン%から、O2-の含有量を差し引いた量に抑えることが好ましい。
なお、アニオン%とは周知のように、ガラスに含まれるすべてのアニオン成分の合計含有量を100%とした百分率である。
<ガラス特性>
次に、ガラス1およびガラス2に共通するガラス特性について説明する。以下に記載するガラスは、ガラス1およびガラス2を指すものとする。
(ガラスの光学特性)
上記ガラスは、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44である。
屈折率が1.800以上であるガラスは、屈折力の大きなレンズなどの光学素子の材料として好適である。他方、屈折率が1.850よりも高くなると、アッベ数が減少したり、ガラスの熱的安定性が低下する傾向があり、また着色が増大する傾向がある。屈折率の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000093
アッベ数が41.5以上のガラスは、光学素子の材料として色収差の補正に有効である。他方、アッベ数が44より大きくなると、屈折率が減少したり、ガラスの熱的安定性が低下する傾向がある。アッベ数の好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000094
(部分分散特性)
色収差補正の観点から、上記ガラスは、アッベ数を固定したとき、部分分散比が小さいガラスであることが好ましい。
ここで、部分分散比Pg,Fは、g線(水銀の波長435.84nm)、F線、C線における各屈折率ng、nF、nCを用いて、(ng-nF)/(nF-nC)と表される。
高次の色収差補正に好適なガラスを提供する上から、上記ガラスの部分分散比Pg,Fの好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000095
(ガラス転移温度)
上記ガラスは、機械加工性改善の観点から、ガラス転移温度が640℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度を640℃以上にすることにより、切断、切削、研削、研磨などガラスを機械的に加工する時に、ガラスを破損しにくくすることができる。
一方、ガラス転移温度を高くし過ぎると、ガラスを高温でアニールしなければならなくなり、アニール炉が著しく消耗する。また、ガラスを成形するときに、高い温度で成形を行わなければならず、成形に使用する型の消耗が著しくなる。
機械加工性の改善、アニール炉や成形型への負担軽減から、ガラス転移温度のより好ましい下限および好ましい上限は、下記表に示す通りである。
Figure 2023085359000096
(ガラスの光線透過性)
ガラスの光線透過性、詳しくは、短波長側の光吸収端の長波長化が抑制されていることは、着色度λ5により評価することができる。着色度λ5とは、紫外域から可視域にかけて、厚さ10mmのガラスの分光透過率(表面反射損失を含む)が5%となる波長である。後述の実施例に示すλ5は、250~700nmの波長域において測定された値である。分光透過率とは、例えばより詳しくは、10.0±0.1mmの厚さに光学研磨された互いに平行な平面を有するガラス試料を用い、上記光学研磨された面に対して垂直方向から光を入射して得られる分光透過率、すなわち、上記ガラス試料に入射する光の強度をIin、上記ガラス試料を透過した光の強度をIoutとしたときの強度比Iout/Iinのことである。
着色度λ5によれば、分光透過率の短波長側の吸収端を定量的に評価することができる。前述の通り、接合レンズ作製のためにレンズ同士を紫外線硬化型接着剤により接合する際など、光学素子を通して接着剤に紫外線を照射し接着剤を硬化させることが行われる。効率よく紫外線硬化型接着剤の硬化を行う上から、分光透過率の短波長側の吸収端が短い波長域にあることが好ましい。この短波長側の吸収端を定量的に評価する指標として、着色度λ5を用いることができる。上記ガラスは、先に記載した組成調整により、好ましくは335nm以下、より好ましくは332nm以下、更に好ましくは330nm以下、一層好ましくは328nm以下、より一層好ましくは326nm以下のλ5を示すことができる。λ5の下限は、一例として、315nmを目安とすることができるが、低いほど好ましく特に限定されるものではない。
一方、ガラスの着色度の指標としては、着色度λ70が挙げられる。λ70は、λ5について記載した方法で測定される分光透過率が70%となる波長である。着色の少ないガラスとする上から、λ70の好ましい範囲は420nm以下、より好ましい範囲は400nm以下、一層好ましい範囲は390nm以下、より一層好ましい範囲は380nm以下である。λ70の下限の目安は340nmであるが、低いほど好ましく特に限定されるものではない。
また、ガラスの着色度の指標としては、着色度λ80も挙げられる。λ80は、λ5について記載した方法で測定される分光透過率が80%となる波長である。着色の少ないガラスとする上から、λ80の好ましい範囲は480nm以下、より好ましい範囲は460nm以下、一層好ましい範囲は440nm以下、より一層好ましい範囲は420nm以下である。λ80の下限の目安は350nmであるが、低いほど好ましく特に限定されるものではない。
(ガラスの比重)
光学系を構成する光学素子(レンズ)では、レンズを構成するガラスの屈折率とレンズの光学機能面(制御しようとする光線が入射、出射する面)の曲率によって、屈折力が決まる。光学機能面の曲率を大きくしようとすると、レンズの厚みも増加する。その結果、レンズが重くなる。これに対し、屈折率の高いガラスを使用すれば、光学機能面の曲率を大きくしなくても大きな屈折力を得ることができる。
以上より、ガラスの比重の増加を抑えつつ、屈折率を高めることができれば、一定の屈折力を有する光学素子の軽量化が可能となる。
屈折率ndの屈折力への寄与に関しては、ガラスの屈折率ndから真空中の屈折率である1を引いた値(nd―1)に対するガラスの比重dの比を取ることにより、光学素子の軽量化を図る際の指標とすることができる。すなわち、d/(nd-1)を光学素子の軽量化を図る際の指標とし、この値を低減することにより、レンズの軽量化を図ることができる。
上記ガラスは、比重の増加を招くGd、Ta、Ybの占める比率が少ないため、高屈折率低分散ガラスでありながら、低比重化が可能である。したがって、上記ガラスのd/(nd-1)は、例えば5.70以下であることができる。ただし、d/(nd-1)を過剰に減少させると、ガラスの熱的安定性が低下傾向を示す。そのため、d/(nd-1)は、5.00以上とすることが好ましい。d/(nd-1)のより好ましい下限およびより好ましい上限を、下記表に示す。
Figure 2023085359000097
更に、上記ガラスの比重dの好ましい下限および好ましい上限を、下記表に示す。比重dを下記表に示す上限以上にすることは、このガラスからなる光学素子の軽量化の観点から好ましい。また、比重を下記表に示す下限以上にすることは、ガラスの熱的安定性をより改善する上で好ましい。
Figure 2023085359000098
(液相温度)
ガラスの熱的安定性の指標の一つに液相温度がある。ガラス製造時の結晶化、失透を抑制する上から、液相温度LTが1300℃以下であることが好ましく、1250℃以下であることがより好ましく、1200℃以下であることが一層好ましく、1150℃以下であることがより一層好ましい。液相温度LTの下限は、一例として1100℃以上であるが、低いことが好ましく特に限定されるものではない。
以上説明した本発明の一態様にかかるガラス(ガラス1およびガラス2)は、高屈折率低分散ガラスであって、光学素子用のガラス材料として有用である。更に、先に記載した組成調整により、ガラスの均質化および着色低減も可能である。加えて、上記ガラスは、成形しやすく、機械的にも加工しやすい。したがって上記ガラスは、光学ガラスとして好適である。
<ガラスの製造方法>
上記ガラスは、目的のガラス組成が得られるように、原料である酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物などを秤量、調合し、十分に混合して混合バッチとし、熔融容器内で加熱、熔融し、脱泡、攪拌を行い均質かつ泡を含まない熔融ガラスを作り、これを成形することによって得ることができる。具体的には公知の熔融法を用いて作ることができる。上記ガラスは、上記した光学特性を有する高屈折率低分散ガラスでありながら、熱的安定性が優れているため、公知の熔融法、成形法を用いて、安定的に製造することができる。
[プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、およびそれらの製造方法]
本発明の他の一態様は、
上述のガラス1またはガラス2からなるプレス成形用ガラス素材;
上述のガラス1またはガラス2からなる光学素子ブランク、
に関する。
本発明の他の一態様によれば、
上述のガラス1またはガラス2をプレス成形用ガラス素材に成形する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法;
上述のプレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する工程を備える光学素子ブランクの製造方法;
上述のガラス1またはガラス2を光学素子ブランクに成形する工程を備える光学素子ブランクの製造方法、
も提供される。
プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランクが上述のガラス1またはガラス2で作られているため、当然のことながら、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランクも上述のガラスに相当する。
光学素子ブランクとは、目的とする光学素子の形状に近似し、光学素子の形状に研磨しろ(研磨により除去することになる表面層)、必要に応じて研削しろ(研削により除去することになる表面層)を加えた光学素子母材である。光学素子ブランクの表面を研磨することにより、あるいは研削および研磨することにより、光学素子が仕上げられる。一態様では、上記ガラスを適量熔融して得た熔融ガラスをプレス成形する方法(ダイレクトプレス法と呼ばれる。)により、光学素子ブランクを作製することができる。他の一態様では、上記ガラスを適量熔融して得た熔融ガラスを固化し、さらに加工することにより光学素子ブランクを作製することもできる。
また、他の一態様では、プレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材をプレス成形することにより、光学素子ブランクを作製することができる。
プレス成形用ガラス素材のプレス成形は、加熱して軟化した状態にあるプレス成形用ガラス素材をプレス成形型でプレスする公知の方法により行うことができる。加熱、プレス成形は、ともに大気中で行うことができる。プレス成形後にアニールしてガラス内部の歪を低減することにより、均質な光学素子ブランクを得ることができる。
プレス成形用ガラス素材は、そのままの状態で光学素子ブランク作製のためのプレス成形に供されるプレス成形用ガラスゴブと呼ばれるものに加え、切断、研削、研磨などの機械加工を施してプレス成形用ガラスゴブを経てプレス成形に供されるものも含む。切断方法としては、ガラス板の表面の切断したい部分にスクライビングと呼ばれる方法で溝を形成し、溝が形成された面の裏面から溝の部分に局所的な圧力を加えて、溝の部分でガラス板を割る方法や、切断刃によってガラス板をカットする方法などがある。また、研削、研磨方法としてはバレル研磨など公知の加工法が挙げられる。
プレス成形用ガラス素材は、例えば、熔融ガラスを鋳型に鋳込みガラス板に成形し、このガラス板を複数のガラス片に切断することにより、あるいはこれら複数のガラス片をバレル研磨することにより作製することができる。または、適量の熔融ガラスを成形してプレス成形用ガラスゴブを作製することもできる。プレス成形用ガラスゴブを、再加熱、軟化してプレス成形して作製することにより、光学素子ブランクを作製することもできる。ガラスを再加熱、軟化してプレス成形して光学素子ブランクを作製する方法は、ダイレクトプレス法に対してリヒートプレス法と呼ばれる。
[光学素子およびその製造方法]
本発明の他の一態様は、
上述のガラス1またはガラス2からなる光学素子
に関する。
上記光学素子は、上述のガラス1またはガラス2を用いて作製される。上記光学素子において、ガラス表面には、例えば、反射防止膜等の多層膜等、一層以上のコーティングが形成されていてもよい。
光学素子は上述のガラス1またはガラス2により作られているので、当然のことながら、上述のガラスに相当する。また光学素子のガラス表面にコーティングが形成されている場合は、コーティングを除いたガラスの部分が上述のガラスに相当する。
また、本発明の一態様によれば、
上述の光学素子ブランクを少なくとも研磨することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法、
も提供される。
上記光学素子の製造方法において、研削、研磨は公知の方法を適用すればよく、加工後に光学素子表面を十分洗浄、乾燥させるなどすることにより、内部品質および表面品質の高い光学素子を得ることができる。このようにして、上記ガラスからなる光学素子を得ることができる。光学素子としては、球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズなどの各種のレンズ、プリズムなどを例示することができる。
また、上記ガラス1またはガラス2からなる光学素子は、接合光学素子を構成するレンズとしても好適である。接合光学素子としては、レンズ同士を接合したもの(接合レンズ)、レンズとプリズムを接合したものなどを例示することができる。例えば、接合光学素子は、接合する2つの光学素子の接合面を形状が反転形状となるように精密に加工(例えば、球面研磨加工)し、上記の接合面に紫外線硬化型接着剤を塗布し、接合面同士を貼り合わせてから光学素子を通して接合面の接着剤に紫外線を照射し、接着剤を硬化させることで作製することができる。このように接合光学素子を作製するために、上記ガラスは好ましい。接合する複数個の光学素子を、アッベ数が相違する複数種のガラスを用いてそれぞれ作製し、接合することにより、色収差の補正に好適な素子とすることができる。
ガラス組成の定量分析の結果、ガラス成分が酸化物基準で表され、ガラス成分の含有量が質量%表示されることがある。このように酸化物基準で質量%表示された組成は、例えば次のような方法で、カチオン%、アニオン%表示の組成に換算することができる。
例えば、カチオンAと酸素からなる酸化物はAmnと表記される。mとnはそれぞれ化学量論的に定まる整数である。例えば、B3+では酸化物基準による表記がB23となり、m=2、n=3となり、Si4+ではSiO2となり、m=1、n=2となる。
まず、質量%表示におけるAmnの含有量をAmnの分子量で割り、さらにmを乗じる。この値をPとする。そして、カチオン成分のすべてについてPを合計する。Pを合計した値をΣPとすると、ΣPが100%になるように各カチオン成分のPの値を規格した値が、カチオン%表示におけるAs+の含有量となる。ここで、sは2n/mである。
なお、微量の添加剤、例えばSb23のような清澄剤については、ΣPの中に含めなくてもよい。その場合、Sbの含有量は、上述のようにSb23に換算した外割りの含有量(質量%)とすればよい。すなわち、Sb23の含有量を除くガラス成分の含有量の合計を100質量%とし、Sb23の含有量を100質量%に対する値として表す。
また、上記の分子量は、例えば、小数点以下4桁目を四捨五入し、小数点以下3桁目までの表示とした値を用いて計算すればよい。なお、例えば、酸化物Amnの分子量は、元素Aの原子量をm倍した値と酸素の原子量をn倍した値の合計である。幾つかのガラス成分、添加剤について、酸化物基準による表記における分子量を、下記の表に示す。
Figure 2023085359000099
以下、本発明を実施例に基づき更に説明する。但し本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の表に示す組成を有するガラスが得られるように、原料として酸化物、ホウ酸などの化合物を秤量し、充分、混合してバッチ原料を作製した。
このバッチ原料を白金坩堝中に入れ、1350~1450℃の温度に坩堝ごと加熱し、2~3時間かけてガラスを熔融、清澄した。熔融ガラスを攪拌して均質化した後、予熱した成形型に熔融ガラスを鋳込み、ガラス転移温度付近まで放冷してから直ちに、成形型ごとガラスをアニール炉内に入れた。それから、ガラス転移温度付近で約1時間アニールした。アニールした後、アニール炉内で室温まで放冷した。
このようにして作製したガラスを観察したところ、結晶の析出、泡、脈理、原料の熔け残りは認められなかった。このようにして、均質性の高いガラスを作ることができた。
表100(表100-1~100-7)中のNo.1~33は、ガラス1、表101(表101-1~101-6)中のNo.1~33は、ガラス2である。
得られたガラスのガラス特性を、以下に示す方法で測定した。測定結果を下記の表に示す。
(1)屈折率nd、nF、nC、ng、アッベ数νd
降温速度-30℃/時間で降温して得たガラスについて、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法により、屈折率nd、nF、nC、ngを測定した。屈折率nd、nF、nCの各測定値を用いて、アッベ数νdを算出した。
(2)ガラス転移温度Tg
示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて、昇温速度を10℃/分にして測定した。
(3)比重
アルキメデス法により測定した。
(4)着色度λ5、λ70、λ80
互いに対向する2つの光学研磨された平面を有する厚さ10±0.1mmのガラス試料を用い、分光光度計により、研磨された面に対して垂直方向から強度Iinの光を入射し、ガラス試料を透過した光の強度Ioutを測定し、分光透過率Iout/Iinを算出し、分光透過率が5%になる波長をλ5、分光透過率が70%になる波長をλ70、分光透過率が80%になる波長をλ80とした。
(5)部分分散比Pg,F
上記(1)で測定したnF、nC、ngの値から算出した。
(6)液相温度
ガラスを所定温度に加熱された炉内に入れて2時間保持し、冷却後、ガラス内部を100倍の光学顕微鏡で観察し、結晶の有無から液相温度を決定した。
Figure 2023085359000100
Figure 2023085359000101
Figure 2023085359000102
Figure 2023085359000103
Figure 2023085359000104
Figure 2023085359000105
Figure 2023085359000106
Figure 2023085359000107
Figure 2023085359000108
Figure 2023085359000109
Figure 2023085359000110
Figure 2023085359000111
Figure 2023085359000112
(実施例2)
実施例1で得られた各種ガラスを使用し、プレス成形用ガラス塊(ガラスゴブ)を作製した。このガラス塊を大気中で加熱、軟化し、プレス成形型でプレス成形し、レンズブランク(光学素子ブランク)を作製した。作製したレンズブランクをプレス成形型から取り出し、アニールし、研磨を含む機械加工を行い、実施例1で作製した各種ガラスからなる球面レンズを作製した。
(実施例3)
実施例1において作製した熔融ガラスを所望量取得し、取得したガラスが軟化状態にある間にプレス成形型でプレス成形し、冷却してレンズブランク(光学素子ブランク)を作製した。作製したレンズブランクをプレス成形型から取り出し、アニールし、研磨を含む機械加工を行い、実施例1で作製した各種ガラスからなる球面レンズを作製した。
(実施例4)
実施例1において作製した熔融ガラスを固化して作製したガラス塊(光学素子ブランク)をアニールし、研磨を含む機械加工を行い、実施例1で作製した各種ガラスからなる球面レンズを作製した。
(実施例5)
実施例2~4において作製した球面レンズを、他種のガラスからなる球面レンズと貼り合せ、接合レンズを作製した。実施例2~4において作製した球面レンズの接合面は凸状の球面、他種の光学ガラスからなる球面レンズの接合面は凹状の球面であった。上記2つの接合面は、互いに曲率半径の絶対値が等しくなるように作製した。接合面に光学素子接合用の紫外線硬化型接着剤を塗布し、2つのレンズを接合面同士で貼り合せた。その後、実施例2~4において作製した球面レンズを通して、接合面に塗布した接着剤に紫外線を照射し、接着剤を固化させた。
上記のようにして接合レンズを作製した。接合レンズの接合強度は充分高く、光学性能も充分なレベルのものであった。
(近赤外域の透過率に対するYbの影響の検討)
下記の表102に示す組成を有するガラス(以下、「ガラスA」と記載する。)、表103に示す組成を有するガラス(以下、「ガラスB」と記載する。)を、それぞれ熔融、成形し、板状に加工した。これらガラス板は、対向する2つの平面を有する。2つの平面は互いに平行であり、光学研磨されている。2つの平面の間隔は10.0mmとした。
このようなガラス板を使用し、分光透過率を測定した。上記の対向する2つの平面に垂直に光を入射し、波長をスキャンしながら、ガラス板に入射する入射光の強度とガラス板を透過した透過光の強度の比(透過光の強度/入射光の強度)を算出し、ガラス板の分光透過率曲線を得た。これら2種類のガラスの厚さ10.0mmにおける分光透過率曲線を図1、図2にそれぞれ示す(図1:ガラスA、図2:ガラスB)。
Figure 2023085359000113
Figure 2023085359000114
ガラスBは、質量%表示のガラス組成において、Y23を含まないため質量比(Y23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が前述の範囲外となるガラスである。また、ガラスBは、カチオン%表示のガラス組成において、Y3+を含まないためカチオン比(Y3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が前述の範囲外となるガラスである。したがって、ガラスBは、先に記載した本発明の一態様にかかるガラス1にもガラス2にも該当しないが、Yb含有量の大小により近赤外域の吸収が増減することは、Y23およびY3+のの有無に依拠するものではない。したがって、ガラスAとガラスBとの対比により、Ybが近赤外域の透過率に与える影響を確認することができる。
図1に示されているように、質量%表示のガラス組成においてYb23を0.1質量%含み、カチオン%表示のガラス組成においてYb3+を0.04カチオン%含むガラスAでは、波長950nm付近を中心とするYbの光吸収により、この付近の透過率が低下している。
また、図2に示されているように、質量%表示のガラス組成においてYb23を3.68質量%含み、カチオン%表示のガラス組成においてYb3+を2.00カチオン%含むガラスBでは、波長960nm付近を中心とするYbの光吸収により、この付近の透過率が大幅に低下する。
このように、Ybの含有量の増加に伴い、ガラスの近赤外域における透過率は大幅に低下するため、可視域から近赤外域にわたり高い透過率を求められる用途に用いられるガラスとしては、Ybを多く含むガラスは適していない。
(比較例1)
特許文献6(特開2009-203083号公報)の実施例4のガラスを再現することを試みたが、ガラス作製中に結晶化した。これは、このガラスは、質量%表示のガラス組成において質量比(B23/(B23+SiO2))が1であり、カチオン%表示のガラス組成においてカチオン比(B3+/(B3++Si4+))が1であるため熱的安定性が低いことに起因するものと考えられる。
(比較例2)
特許文献5(特開昭55-121925号公報)の実施例28のガラス(以下、「ガラスC」と記載する。)を再現し、上記方法によりλ5を測定したところ、348nmであった。
ガラスCを用いて球面レンズを作製した。次に、この球面レンズの凸状の球面と他種の光学ガラスからなる球面レンズの凹状の球面とを接合面として、光学素子接合用の紫外線硬化型接着剤を塗布し、実施例5と同様に接合レンズの作製を試みた。しかし、接合面に塗布した紫外線硬化型接着剤に、ガラスCからなるレンズを通して紫外線を照射したところ、ガラスCの紫外線透過率が低いため、接着剤を充分に硬化することができなかった。
(比較例3)
特許文献17(特開2002-284542号公報)の実施例7のガラスは、質量比(Gd23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0.09、質量比(B23/(B23+SiO2))が0.92である。このガラスについて、La23、Y23、Gd23以外の成分の含有量を一定とし、Gd23の一部または全部をLa23とY23へ置換したときの、ガラスの熱的安定性の変化を検証した。
まず、酸化物基準のガラス組成として、5.15質量%含まれているGd23を0%とし、Gd23含有量の減少量5.15質量%をLa23の含有量とY23の含有量に応じてLa23とY23へそれぞれ配分した。具体的には、5.15質量%×((La23の含有量/(La23の含有量とY23の含有量との合計含有量))として算出される4.09質量%をGd23からLa23へ置換し、5.15質量%×((Y23の含有量/(La23の含有量とY23と合計含有量))として算出される1.06質量%をGd23からY23へ置換した。この組成を、以下において「組成a」と記載する。
次に、5.15質量%含まれているGd23を3質量%に減量し、Gd23含有量の減少量2.15質量%をLa23の含有量とY23の含有量に応じてそれぞれLa23とY23へ配分した。具体的には、2.15質量%×((La23の含有量/(La23の含有量とY23との合計含有量))として算出される1.71質量%をGd23からLa23へ置換し、5.15質量%×((Y23の含有量/(La23の含有量とY23との合計含有量))として算出される0.44質量%をGd23からY23へ置換した。この組成を、以下において「組成b」と記載する。
特許文献17の実施例7の組成、「組成a」および「組成b」を表104に示す。
Figure 2023085359000115
組成a、bを有するガラス150gを用いて、特許文献17の実施例に記載の方法にしたがいガラスを作製したところ、熔融ガラスを鋳型に流し込み成形したガラスの周辺部、すなわち、鋳型との接触により急冷された部分には結晶の析出は認められなかったが、ガラスの中央部、すなわち周辺部に比べて冷却スピードが小さい部分に多数の結晶が析出した。なお先に記載した実施例のガラスを同様の方法により作製すると、ガラスの周辺部に限らず、全体にわたり、結晶の析出は認められなかった。
以上の結果は、質量比(B23/(B23+SiO2))が先に記載した範囲を超えるガラス組成において、Gd23含有量を低下させると熱的安定性が低下することを示す結果と考えられる。
(比較例4)
特許文献17(特開2002-284542号公報)の実施例7のガラスは、カチオン比(Gd3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が0.08、カチオン比(B3+/(B3++Si4+))が0.95である。このガラスについて、La3+、Y3+、Gd3+以外の成分の含有量を一定とし、Gd3+の一部または全部をLa3+とY3+へ置換したときの、ガラスの熱的安定性の変化を検証した。
まず、2.31カチオン%含まれているGd3+を0%とし、Gd3+含有量の減少量2.31カチオン%をLa3+の含有量とY3+の含有量に応じてそれぞれLa3+とY3+へ配分した。具体的には、2.31カチオン%×((La3+の含有量/(La3+の含有量とY3+の含有量との合計含有量))として算出される1.68カチオン%をGd3+からLa3+へ置換し、2.31カチオン%×((Y3+の含有量/(La3+の含有量とY3+と合計含有量))として算出される0.63カチオン%をGd3+からY3+へ置換した。この組成を、以下において「組成c」と記載する。
次に、2.31カチオン%含まれているGd3+を1.5カチオン%に減量し、Gd3+含有量の減少量0.81カチオン%をLa3+の含有量とY3+の含有量に応じてLa3+とY3+へそれぞれ配分した。具体的には、0.81カチオン%×((La3+の含有量/(La3+の含有量とY3+との合計含有量))として算出される0.59カチオン%をLa3+へ置換し、0.81カチオン%×((Y3+の含有量/(La3+の含有量とY3+との合計含有量))として算出される0.22カチオン%をY3+へ置換した。この組成を、以下において「組成d」と記載する。
特許文献17の実施例7の組成、「組成c」および「組成d」を表105に示す。
Figure 2023085359000116
組成c、dを有するガラス150gを用いて、特許文献17の実施例に記載の方法にしたがいガラスを作製したところ、熔融ガラスを鋳型に流し込み成形したガラスの周辺部、すなわち、鋳型との接触により急冷された部分には結晶の析出は認められなかったが、ガラスの中央部、すなわち周辺部に比べて冷却スピードが小さい部分に多数の結晶が析出した。なお先に記載した実施例のガラスを同様の方法により作製すると、ガラスの周辺部に限らず、全体にわたり、結晶の析出は認められなかった。
以上の結果は、カチオン比(B3+/(B3++Si4+))が先に記載した範囲を超えるガラス組成において、Gd3+含有量を低下させると熱的安定性が低下することを示す結果と考えられる。
最後に、前述の各態様を総括する。
一態様によれば、質量%表示にて、B23とSiO2との合計含有量が15~35質量%、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量が45~65質量%、但し、Yb23含有量が3質量%以下であり、ZrO2含有量が3~11質量%、Ta25含有量が5質量%以下、B23とSiO2との合計含有量に対するB23含有量の質量比(B23/(B23+SiO2))が0.4~0.900、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するB23およびSiO2の合計含有量の質量比((B23+SiO2)/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0.42~0.53、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するY23含有量の質量比(Y23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0.05~0.45、La23、Y23、Gd23およびYb23の合計含有量に対するGd23含有量の質量比(Gd23/(La23+Y23+Gd23+Yb23))が0~0.05、Nb25、TiO2、Ta25およびWO3の合計含有量に対するNb25含有量の質量比(Nb25/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))が0.5~1であり、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44である酸化物ガラスであるガラス(ガラス1)を提供することができる。
一態様によれば、カチオン%表示にて、B3+とSi4+との合計含有量が45~65%、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量が25~35%、但し、Yb3+含有量が2%未満であり、Zr4+含有量が2~8%、Ta5+含有量が3%以下、B3+とSi4+との合計含有量に対するB3+含有量のカチオン比(B3+/(B3++Si4+))が0.65以上0.94未満、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比((B3++Si4+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が1.65~2.60、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するY3+含有量のカチオン比(Y3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)が0.05~0.45、La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するGd3+含有量のカチオン比(Gd3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+)が0~0.05、Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するNb5+含有量のカチオン比(Nb5+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))が0.4~1であり、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44である酸化物ガラスであるガラス(ガラス2)を提供することができる。
ガラス1およびガラス2は、上記範囲の屈折率ndおよびアッベ数νdを有し、光学系を構成する光学素子用の材料として有用な高屈折率低分散光学ガラスである。上記ガラスは、Gd、TaおよびYb含有量が低減されているガラスであって、かつ高い熱的安定性を示すことができるガラスである。
一態様では、ガラス1は、熔融性の向上、ガラスの熱的安定性の更なる改善、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)、化学的耐久性の改善の観点から、質量比(ZnO/(Nb25+TiO2+Ta25+WO3))が0.1~3の範囲であることが好ましい。
一態様では、ガラス2は、熔融性の向上、ガラスの熱的安定性の更なる改善、ガラス転移温度の低下抑制(これによる機械加工性の改善)、化学的耐久性の改善の観点から、カチオン比(Zn2+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))が0.1~5の範囲であることが好ましい。
一態様では、ガラス1およびガラス2は、着色度λ5が335nm以下となるようにガラスの短波長側の光吸収端の長波長化が抑制されていることが好ましい。
一態様では、ガラス1およびガラス2は、一定の屈折力を有する光学素子の軽量化を可能とする観点から、比重dと屈折率ndとが、前述の(A)式を満たすことが好ましい。
一態様では、ガラス1およびガラス2は、機械加工性の改善の観点から、ガラス転移温度が640℃以上であることが好ましい。
以上説明したガラス1またはガラス2から、プレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子を作製することができる。即ち、他の態様によれば、ガラス1またはガラス2からなるプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、および光学素子が提供される。
また、他の態様によれば、ガラス1またはガラス2をプレス成形用ガラス素材に成形する工程を備えるプレス成形用ガラス素材の製造方法も提供される。
さらに他の態様によれば、上記プレス成形用ガラス素材を、プレス成形型を用いてプレス成形することにより光学素子ブランクを作製する工程を備える光学素子ブランクの製造方法も提供される。
さらに他の態様によれば、ガラス1またはガラス2を光学素子ブランクに成形する工程を備える光学素子ブランクの製造方法も提供される。
さらに他の態様によれば、上記光学素子ブランクを少なくとも研磨することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法も提供される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかるガラスを得ることができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。
また、あるガラスが、ガラス1およびガラス2の両方に該当することもある。
本発明は、各種光学素子の製造分野において有用である。
また、本発明の一態様は、カチオン%表示にて、
3+とSi4+との合計含有量が45~65%、
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量が25~35%、但し、Yb3+ 有量が2%未満であり、
Zr4+含有量が2~8%、
Ta5+含有量が3%以下、
3+とSi4+との合計含有量に対するB3+含有量のカチオン比(B3+/(B3++Si4+))が0.65以上0.94未満、
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するB3+とSi4+との合計含有量のカチオン比((B3++Si4+)/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が1.65~2.60、
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するY3+含有量のカチオン比(Y3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が0.05~0.45、
La3+、Y3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量に対するGd3+含有量のカチオン比(Gd3+/(La3++Y3++Gd3++Yb3+))が0~0.05、
Nb5+、Ti4+、Ta5+およびW6+の合計含有量に対するNb5+含有量のカチオン比(Nb5+/(Nb5++Ti4++Ta5++W6+))が0.4~1、
であり、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44である酸化物ガラスであるガラス(以下、「ガラス2」という。)、
に関する。

Claims (8)

  1. 質量%表示にて、
    とSiOとの合計含有量が15~35質量%、La、Y、GdおよびYbの合計含有量が45~65質量%、但し、Yb含有量が3質量%以下であり、
    ZrO含有量が3~11質量%、
    Ta含有量が5質量%以下、
    とSiOとの合計含有量に対するB含有量の質量比(B/(B+SiO))が0.4~0.900、
    La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するBおよびSiOの合計含有量の質量比((B+SiO)/(La+Y+Gd+Yb))が0.42~0.53、
    La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するY含有量の質量比(Y/(La+Y+Gd+Yb))が0.05~0.45、
    La、Y、GdおよびYbの合計含有量に対するGd含有量の質量比(Gd/(La+Y+Gd+Yb))が0~0.05、
    Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するNb含有量の質量比(Nb/(Nb+TiO+Ta+WO))が0.5~1、
    であり、屈折率ndが1.800~1.850の範囲であり、かつアッベ数νdが41.5~44である酸化物ガラスであるガラス。
  2. Nb、TiO、TaおよびWOの合計含有量に対するZnO含有量の質量比(ZnO/(Nb+TiO+Ta+WO))が0.1~3の範囲である請求項1に記載のガラス。
  3. 着色度λ5が335nm以下である請求項1または2に記載のガラス。
  4. 比重dと屈折率ndとが、下記(A)式:
    d/(nd-1)≦5.70 …(A)
    を満たす請求項1~3のいずれか1項に記載のガラス。
  5. ガラス転移温度が640℃以上である請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のガラスからなるプレス成形用ガラス素材。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載のガラスからなる光学素子ブランク。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載のガラスからなる光学素子。
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