この出願は、双方向直流変換器及びその制御方法を提供する。コントローラが、第1スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタとに対する相補的な制御を行うとともに、第2スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタとに対する相補的な制御を行うことで、インダクタのインダクタンスを低減させ、それにより、インダクタのサイズ及びコストを減らし、さらには双方向直流変換器全体のサイズ及びコストを減らす。
第1の態様によれば、この出願は双方向直流変換器を提供する。当該双方向直流変換器は、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ、第4スイッチングトランジスタ、キャパシタ、インダクタ、及びコントローラを含み得る。
オプションで、当該双方向直流変換器は、第1直流端子、第2直流端子、第3直流端子、及び第4直流端子を含み得る。
一例において、第1直流端子及び第2直流端子が当該双方向直流変換器の入力端子を構成し、第3直流端子及び第4直流端子が当該双方向直流変換器の出力端子を構成し得る。従って、当該双方向直流変換器は、これら4つの直流端子を用いることによって順方向電力伝送を実施し得る。
他の一例において、第3直流端子及び第4直流端子が当該双方向直流変換器の入力端子を構成し、第1直流端子及び第2直流端子が当該双方向直流変換器の出力端子を構成してもよい。従って、当該双方向直流変換器は、これら4つの直流端子を用いることによって逆方向電力伝送を実施し得る。
また、インダクタの第1端子が第1直流端子に接続するように構成され、インダクタの第2端子が第1ノードに接続するように構成され得る。第1スイッチングトランジスタの第1電極が第1ノードに接続するように構成され、第1スイッチングトランジスタの第2電極が第2ノードに接続するように構成され得る。第2スイッチングトランジスタの第1電極が第2ノードに接続するように構成され、第2スイッチングトランジスタの第2電極が第2直流端及び第4直流端子に接続するように構成され得る。第3スイッチングトランジスタの第1電極が第1ノードに接続するように構成され、第3スイッチングトランジスタの第2電極が第3ノードに接続するように構成され得る。第4スイッチングトランジスタの第1電極が第3ノードに接続するように構成され、第4スイッチングトランジスタの第2電極が第3直流端子に接続するように構成され得る。キャパシタの第1端子が第3ノードに接続するように構成され、キャパシタの第2端子が第2ノードに接続するように構成され得る。コントローラは、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ、及び第4スイッチングトランジスタに接続するように構成され得る。
上述の接続関係に基づいて、コントローラは、第1スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタとに対する相補的な制御を行うとともに、第2スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタとに対する相補的な制御を行うように構成され得る。
相補的な制御とは、相補的な制御における2つのスイッチングトランジスタが同時にオン又はオフにされることができないことを指し示すために使用され得る。例えば、第1スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタを同時にオン又はオフにすることはできず、第2スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタを同時にオン又はオフにすることはできない。
すなわち、コントローラは、第1スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタを同時にオン又はオフにしないように制御することができ、コントローラは更に、第2スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタを同時にオン又はオフにしないように制御することができる。
コントローラは更に、同一サイクル内で第2スイッチングトランジスタのオン時間の量を第1スイッチングトランジスタのオン時間の量よりも多くするように制御するように構成され得る。これはまた、1サイクル内で、コントローラは、第2スイッチングトランジスタのスイッチング周波数を第1スイッチングトランジスタのスイッチング周波数よりも高くするように制御することができ、それにより、第1スイッチングトランジスタ及び第2スイッチングトランジスタの損失を低減させ得ることとして理解され得る。
この出願において、コントローラは、同一サイクル内で第2スイッチングトランジスタのオン時間の量を第1スイッチングトランジスタのオン時間の量とは異なるように制御し得る。これは、1サイクル中のインダクタの充放電時間の量を増加させることができ、すなわち、インダクタの充放電周波数を高めることができる。従って、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
取り得る一実装において、第1スイッチングトランジスタの任意のサイクルにおいて、第1スイッチングトランジスタのオン時点と第2スイッチングトランジスタのオン時点との間に遅延が存在し得る。すなわち、いずれのサイクルにおいても第1スイッチングトランジスタと第2スイッチングトランジスタとが同時にターンオンされることはない。
また、第1スイッチングトランジスタのサイクルは第3スイッチングトランジスタのサイクルと同じとし得る。
取り得る一実装において、コントローラは更に、同一サイクル内で第4スイッチングトランジスタのオン時間の量を第3スイッチングトランジスタのオン時間の量よりも多くするように制御するように構成される。これはまた、1サイクル内で、コントローラは、第4スイッチングトランジスタのスイッチング周波数を第3スイッチングトランジスタのスイッチング周波数よりも高くするように制御することができ、それにより、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタの損失を低減させ得ることとして理解され得る。
理解され得ることには、コントローラは、同一サイクル内で第4スイッチングトランジスタのオン時間の量を第3スイッチングトランジスタのオン時間の量とは異なるように制御する。同様に、これは、1サイクル中のインダクタの充放電時間の量を増加させることができ、すなわち、インダクタの充放電周波数を高めることができる。従って、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
取り得る一実装において、コントローラは、第1スイッチングトランジスタに第1駆動信号を送り、第2スイッチングトランジスタに第2駆動信号を送り、第3スイッチングトランジスタに第3駆動信号を送り、且つ第4スイッチングトランジスタに第4駆動信号を送るように構成される。すなわち、コントローラは、第1スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタとに対する相補的な制御を実施するとともに、第2スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタとに対する相補的な制御を実施するように、スイッチングトランジスタに駆動信号を送り得る。
例えば、コントローラは、第1スイッチングトランジスタに第1駆動信号を送って第1スイッチングトランジスタのオン及びオフを制御する。理解され得ることには、第1駆動信号は、第1スイッチングトランジスタにターンオンするように指示するために使用されることができ、あるいは、第1駆動信号は、第1スイッチングトランジスタにターンオフするように指示するために使用されることができる。
同様に、コントローラは、第2スイッチングトランジスタに第2駆動信号を送って第2スイッチングトランジスタのオン及びオフを制御する。理解され得ることには、第2駆動信号は、第2スイッチングトランジスタにターンオンするように指示するために使用されることができ、あるいは、第2駆動信号は、第2スイッチングトランジスタにターンオフするように指示するために使用されることができる。
コントローラは、第3スイッチングトランジスタに第3駆動信号を送って第3スイッチングトランジスタのオン及びオフを制御する。理解され得ることには、第3駆動信号は、第3スイッチングトランジスタにターンオンするように指示するために使用されることができ、あるいは、第3駆動信号は、第3スイッチングトランジスタにターンオフするように指示するために使用されることができる。
コントローラは、第4スイッチングトランジスタに第4駆動信号を送って第4スイッチングトランジスタのオン及びオフを制御する。理解され得ることには、第4駆動信号は、第4スイッチングトランジスタにターンオンするように指示するために使用されることができ、あるいは、第4駆動信号は、第4スイッチングトランジスタにターンオフするように指示するために使用されることができる。
オプションで、第1駆動信号がハイレベルにあるとき、第1スイッチングトランジスタはオンにされることができ、また、第1駆動信号がローレベルにあるとき、第1スイッチングトランジスタはオフにされることができる。
同様に、第3駆動信号がハイレベルにあるとき、第3スイッチングトランジスタはオンにされることができ、また、第3駆動信号がローレベルにあるとき、第3スイッチングトランジスタはオフにされることができる。
理解され得ることには、第1駆動信号は第3駆動信号に対して相補であるとし得る。すなわち、第1駆動信号がハイレベルにあるとき、第3駆動信号はローレベルにあるとし得る。同様に、第1駆動信号がローレベルにあるとき、第3駆動信号はハイレベルにあるとし得る。
なお、第1駆動信号の立ち下がりエッジと第3駆動信号の立ち上がりエッジとの間には遅延間隔が存在する。すなわち、遅延間隔の範囲内で、第1スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタは同時にオフにされる。
オプションで、第2駆動信号がハイレベルにあるとき、第2スイッチングトランジスタはオンにされることができ、また、第2駆動信号がローレベルにあるとき、第2スイッチングトランジスタはオフにされることができる。
同様に、第4駆動信号がハイレベルにあるとき、第4スイッチングトランジスタはオンにされることができ、また、第4駆動信号がローレベルにあるとき、第4スイッチングトランジスタはオフにされることができる。
理解され得ることには、第2駆動信号は第4駆動信号に対して相補であるとし得る。すなわち、第2駆動信号がハイレベルにあるとき、第4駆動信号はローレベルにあるとし得る。同様に、第2駆動信号がローレベルにあるとき、第4駆動信号はハイレベルにあるとし得る。
オプションで、第1スイッチングトランジスタの任意のサイクルにおいて、第1スイッチングトランジスタのオン時点と第2スイッチングトランジスタのオン時点との間に遅延が存在し得る。従って、第1駆動信号の各サイクルにおいて、第2駆動信号のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジが、第1駆動信号の立ち下がりエッジの後であるとし得る。すなわち、第2駆動信号の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスと第1駆動信号との間に遅延時間(つまり、遅延)が存在する。
同様に、第3駆動信号の各サイクルにおいて、第4駆動信号のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジが、第3駆動信号の立ち下がりエッジの前であるとし得る。すなわち、第4駆動信号の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスと第3駆動信号との間に遅延が存在する。
取り得る一実装において、第1スイッチングトランジスタのサイクルは第3スイッチングトランジスタのサイクルと同じとし得る。従って、第1駆動信号のサイクルは第3駆動信号のサイクルと同じとし得る。
また、第2駆動信号は、第1駆動信号の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができ、すなわち、第2駆動信号と第1駆動信号は2つの非対称な駆動信号とし得る。
同様に、第4駆動信号は、第3駆動信号の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができ、すなわち、第4駆動信号PWMと第3駆動信号PWMは2つの非対称な駆動信号とし得る。
また、インダクタは、第1駆動信号又は第3駆動信号の各サイクル内でN+1個の充放電サイクルを持つことができ、Nは2以上の整数である(例えば、Nは3より大きい)。
従って、インダクタは各サイクル内で少なくとも3つの充放電サイクルを持つ。コントローラは、各サイクルにおいてインダクタの充放電周波数を高め(すなわち、周波数上昇)、それにより、インダクタのインダクタンスを低減させ、インダクタのサイズ及びコストを低減させる。
なお、第4駆動信号のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち下がりエッジと、第2駆動信号のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジとの間にも遅延間隔が存在する。遅延間隔の範囲内で、第2スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタは同時にオフにされる。
第2駆動信号は第1駆動信号の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができるので、第2駆動信号のサイクルは第1駆動信号のサイクルとは異なる。同様に、第4駆動信号も第3駆動信号の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができるので、第4駆動信号のサイクルは第3駆動信号のサイクルとは異なる。
この出願で提供される双方向直流変換器において、コントローラは、第1駆動信号又は第3駆動信号の各サイクル中のインダクタの充放電回数を増加させるように、すなわち、インダクタの充放電周波数を高めるように、第1スイッチングトランジスタ及び第2スイッチングトランジスタに非対称な第1駆動信号及び第2駆動信号を送り得るとともに、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタに非対称な第3駆動信号及び第4駆動信号を送り得る。従って、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
また、この出願では、第1スイッチングトランジスタの状態が第3スイッチングトランジスタの状態の逆であり(すなわち、第1スイッチングトランジスタは第3スイッチングトランジスタに対して相補的であり)、且つ第2スイッチングトランジスタの状態が第4スイッチングトランジスタの状態の逆である(すなわち、第2スイッチングトランジスタは第4スイッチングトランジスタに対して相補的である)ように、第1スイッチングトランジスタ及び第2スイッチングトランジスタに非対称な駆動信号が送られるとともに、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタに非対称な駆動信号が送られる。さらに、キャパシタの電圧が安定したままであるように、第1スイッチングトランジスタ及び第2スイッチングトランジスタが位置する分岐と、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタが位置する分岐との間(すなわち、2つの分岐の間)で、電流の共有又は補填が実施される。
取り得る一実装において、第2駆動信号のN個の駆動パルスは、第1駆動信号の各サイクルのローレベル期間内にあるとし得る。
確かなことには、第2駆動信号のN個の駆動パルスは、代わりに、第1駆動信号の各サイクルのハイレベル期間内にあってもよい。あるいは、第2駆動信号のN個の駆動パルスは、第1部分の駆動パルスと第2部分の駆動パルスとに分けられてもよい。第1部分の駆動パルスは第1駆動信号の各サイクルのローレベル期間内にあることができ、第2部分の駆動パルスは第1駆動信号の各サイクルのハイレベル期間内にあることができる。これはこの出願において限定されることではない。
他の取り得る一実装において、第4駆動信号のN個の駆動パルスは、第1部分の駆動パルスと第2部分の駆動パルスとに分けられ得る。第1部分の駆動パルスは第3駆動信号の各サイクルのローレベル期間内にあることができ、第2部分の駆動パルスは第3駆動信号の各サイクルのハイレベル期間内にあることができる。
確かなことには、第4駆動信号のN個の駆動パルスは、全てが第3駆動信号の各サイクルのローレベル期間内にあってもよく、あるいは、全てが第3駆動信号の各サイクルのハイレベル期間内にあってもよい。これはこの出願において限定されることではない。
オプションで、第2駆動信号又は第4駆動信号のN個の駆動パルスのうちの少なくとも2つに対応する周波数が相異なり得る。
なお、駆動パルスの周波数は駆動パルスのサイクル(周期)に反比例する。従って、第2駆動信号又は第4駆動信号のN個の駆動パルスのうちの少なくとも2つに対応するサイクルが相異なり、それ故に、第2駆動信号又は第4駆動信号のN個の駆動パルスのうちのそれら少なくとも2つに対応する周波数が相異なる。
さらに、第2駆動信号又は第4駆動信号のN個の駆動パルスの各々に対応する周波数が異なってもよい。
オプションで、第2駆動信号又は第4駆動信号のN個の駆動パルスの各々のパルス幅が同じとし得る。
なお、第2駆動信号又は第4駆動信号のN個の駆動パルスのうちの異なる駆動パルスのパルス幅及び周波数の間には対応関係は存在しない。すなわち、異なる駆動パルスのパルス幅が同じである場合に、それら異なる駆動パルスの周波数は同じであってもよいし異なっていてもよい。同様に、異なる駆動パルスの周波数が同じである場合に、それら異なる駆動パルスのパルス幅は同じであってもよいし異なっていてもよい。
取り得る一実装において、N≧3である場合、第2駆動信号又は第4駆動信号のN個の駆動パルスのうちの最初のN-1個の駆動パルスの周波数は同じとすることができ、第2駆動信号のN個の駆動パルスのうちの最後の駆動パルスの周波数は、最初のN-1個の駆動パルスの周波数よりも低くすることができる。
取り得る一実装において、
この出願におけるラグタイムは、次の2つの方式で定義され得る。
方式1:第1駆動信号の各サイクルにおいて、第1駆動信号の立ち上がりエッジと第2駆動信号のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジとの間の時間をラグタイムとし得る。
方式2: 第3駆動信号の各サイクルにおいて、第3駆動信号の立ち上がりエッジと第4駆動信号のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジとの間の時間をラグタイムとし得る。
確かなことには、ラグタイムは別の方式で定義されてもよい。これはこの出願において限定されることではない。
以下、ラグタイムの取得プロセスを詳細に説明する。
一例において、インダクタのリップル電流はラグタイムの影響を受けるため、コントローラは、インダクタのリップル電流に基づいてラグタイムを取得し得る。インダクタのリップル電流を低減させるために、インダクタの各充放電サイクルにおいて、コントローラは、ラグタイムを得るために、インダクタの充電電流をインダクタの放電電流に等しくなるように制御し得る。
また、インダクタの各充放電サイクルにおいて、コントローラは、ラグタイムを得るために、インダクタの充電電流をインダクタの放電電流に等しくなるように制御し得る。
また、コントローラは、当該双方向直流変換器の第1電圧、当該双方向直流変換器の第2電圧、キャパシタの電圧、及び第1駆動信号/第3駆動信号のサイクルに基づいて、ラグタイムを得てもよい。
オプションで、第1電圧は、当該双方向直流変換器の入力電圧を示すために使用されることができ、第2電圧は、当該双方向直流変換器の出力電圧を示すために使用されることができる。かわりに、第1電圧は、当該双方向直流変換器の出力電圧を示すために使用されてもよく、第2電圧は、当該双方向直流変換器の入力電圧を示すために使用されてもよい。
具体的には、コントローラは、ラグタイム(D1+D2)Tswを、次式:
(V1+Vc-V2)D1Tsw=(V2-V1)D2Tsw
に従って取得し得る。
この式において、V1は当該双方向直流変換器の第1電圧を表すことができ、V2は当該双方向直流変換器の第2電圧を表すことができ、Vcはキャパシタの電圧を表すことができ、Tswは第1駆動信号又は第3駆動信号のサイクル(周期)を表すことができ、D1は第1駆動信号のデューティサイクルを表すことができ、D2Tswは第2駆動信号のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジと第1駆動信号の立ち下がりエッジとの間の遅延時間を表すことができる。
他の一例において、コントローラは、第1スイッチングトランジスタの損失及び/又は第2スイッチングトランジスタの損失に基づいてラグタイムを取得してもよく、又は第3スイッチングトランジスタの損失及び/又は第4スイッチングトランジスタの損失に基づいてラグタイムを取得してもよい。
すなわち、コントローラは、第1スイッチングトランジスタの損失のみに基づいてラグタイムを得てもよいし、第2スイッチングトランジスタの損失のみに基づいてラグタイムを得てもよいし、あるいは、第1スイッチングトランジスタの損失及び第2スイッチングトランジスタの損失の両方に基づいてラグタイムを得てもよい。
同様に、コントローラは、第3スイッチングトランジスタの損失のみに基づいてラグタイムを得てもよいし、第4スイッチングトランジスタの損失のみに基づいてラグタイムを得てもよいし、あるいは、第3スイッチングトランジスタの損失及び第4スイッチングトランジスタの損失の両方に基づいてラグタイムを得てもよい。
他の一例において、コントローラは、インダクタのリップル電流と、第1スイッチングトランジスタ及び第2スイッチングトランジスタのうち少なくとも一方の損失(すなわち、第1スイッチングトランジスタの損失及び/又は第2スイッチングトランジスタの損失)とに基づいて、ラグタイムを得てもよく、あるいは、インダクタのリップル電流と、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタのうち少なくとも一方の損失(すなわち、第3スイッチングトランジスタの損失及び/又は第4スイッチングトランジスタの損失)とに基づいて、ラグタイムを得てもよい。
なお、ラグタイムは代わりに、この出願において別のプロセスを用いて取得されてもよい。これはこの出願において限定されることではない。
この出願では、双方向直流変換器が発生する損失を、複数の異なるスイッチングトランジスタの損失に基づいて低減させることができ、それにより、双方向直流変換器の変換効率が向上される。
取り得る一実装において、この出願で提供される双方向直流変換器は更に第5スイッチングトランジスタを含み得る。第5スイッチングトランジスタの第1端子がキャパシタの第2端子に接続されるように構成され得るとともに、第5スイッチングトランジスタの第2端子が第2ノードに接続されるように構成され得る。
オプションで、第5スイッチングトランジスタは、絶縁ゲート電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、双方向スイッチ、又はこれらに類するものを使用し得る。確かなことには、第5スイッチングトランジスタは代わりに別のタイプの制御可能なパワーデバイスを使用してもよい。第5スイッチングトランジスタのタイプはこの出願において限定されることではない。
この出願において、第5スイッチングトランジスタは、過大な電圧ストレスによってダメージを受けないように第2スイッチングトランジスタを保護すべくターンオン及びオフされる。
他の取り得る一実装において、キャパシタの予備充電と双方向直流変換器内のバスの電圧の急激な変化とを考慮して、この出願で提供される双方向直流変換器は更に第1ダイオード及び第2ダイオードを含み得る。
オプションで、第1ダイオードのアノードは第2ノードに接続するように構成され、第1ダイオードのカソードは第2電圧の中点に接続するように構成され、第2ダイオードのアノードは第2電圧の中点に接続するように構成され、第2ダイオードのカソードは第3ノードに接続するように構成され得る。
理解され得ることには、第1ダイオードの機能は、第4スイッチングトランジスタがオンにされるときに第2スイッチングトランジスタが直流バス全体の電圧を負担するのを防ぐために、第2スイッチングトランジスタが負担する電圧降下をクランプすることである。同様に、第2ダイオードの機能は、第2スイッチングトランジスタがオンにされるときに第4スイッチングトランジスタが直流バス全体の電圧を負担するのを防ぐために、第4スイッチングトランジスタが負担する電圧降下をクランプすることである。従って、第1ダイオード及び第2ダイオードはクランピングダイオードと称され得る。
また、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ、及び第4スイッチングトランジスタは別々に、絶縁ゲート電界効果トランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、及び双方向スイッチのうちのいずれか1つを使用する。
オプションで、第1ダイオード及び第2ダイオードは各々、代わりに、別のタイプのパワーデバイスで置き換えられてもよい。この場合、コントローラは、スイッチングトランジスタがダイオードの動作モードを遂行するように、対応する駆動信号を送りさえすればよい。詳細をこの出願において再び説明することはしない。
第2の態様によれば、この出願はエレクトロニクス装置を提供する。当該エレクトロニクス装置は双方向直流変換器を含み得る。該双方向直流変換器の詳細な説明については、上述の説明を参照されたい。詳細をこの出願において再び説明することはしない。
第3の態様によれば、この出願は双方向直流変換器の制御方法を提供する。当該双方向直流変換器は、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ、第4スイッチングトランジスタ、キャパシタ、インダクタ、及びコントローラを含み得る。
オプションで、当該双方向直流変換器は、第1直流端子、第2直流端子、第3直流端子、及び第4直流端子を含み得る。
一例において、第1直流端子及び第2直流端子が当該双方向直流変換器の入力端子を構成し、第3直流端子及び第4直流端子が当該双方向直流変換器の出力端子を構成し得る。従って、当該双方向直流変換器は、これら4つの直流端子を用いることによって順方向電力伝送を実施し得る。
他の一例において、第3直流端子及び第4直流端子が当該双方向直流変換器の入力端子を構成し、第1直流端子及び第2直流端子が当該双方向直流変換器の出力端子を構成してもよい。従って、当該双方向直流変換器は、これら4つの直流端子を用いることによって逆方向電力伝送を実施し得る。
また、インダクタの第1端子が第1直流端子に接続するように構成され、インダクタの第2端子が第1ノードに接続するように構成され得る。第1スイッチングトランジスタの第1電極が第1ノードに接続するように構成され、第1スイッチングトランジスタの第2電極が第2ノードに接続するように構成され得る。第2スイッチングトランジスタの第1電極が第2ノードに接続するように構成され、第2スイッチングトランジスタの第2電極が第2直流端及び第4直流端子に接続するように構成され得る。第3スイッチングトランジスタの第1電極が第1ノードに接続するように構成され、第3スイッチングトランジスタの第2電極が第3ノードに接続するように構成され得る。第4スイッチングトランジスタの第1電極が第3ノードに接続するように構成され、第4スイッチングトランジスタの第2電極が第3直流端子に接続するように構成され得る。キャパシタの第1端子が第3ノードに接続するように構成され、キャパシタの第2端子が第2ノードに接続するように構成され得る。コントローラは、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ、及び第4スイッチングトランジスタに接続するように構成され得る。
従って、当該双方向直流変換器の制御方法は、コントローラが、第1スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタとに対する相補的な制御を行うとともに、第2スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタとに対する相補的な制御を行う、ことを含み得る。
相補的な制御とは、相補的な制御における2つのスイッチングトランジスタが同時にオン又はオフにされることができないことを指し示すために使用される。例えば、第1スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタを同時にオン又はオフにすることはできず、第2スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタを同時にオン又はオフにすることはできない。
オプションで、コントローラは、同一サイクル内で第2スイッチングトランジスタのオン時間の量を第1スイッチングトランジスタのオン時間の量よりも多くするように制御する。これはまた、1サイクル内で、コントローラは、第2スイッチングトランジスタのスイッチング周波数を第1スイッチングトランジスタのスイッチング周波数よりも高くするように制御することができ、それにより、第1スイッチングトランジスタ及び第2スイッチングトランジスタの損失を低減させ得ることとして理解され得る。
この出願で提供される制御方法において、コントローラは、同一サイクル内で第2スイッチングトランジスタのオン時間の量を第1スイッチングトランジスタのオン時間の量とは異なるように制御する。これは、1サイクル中のインダクタの充放電時間の量を増加させることができ、すなわち、インダクタの充放電周波数を高めることができる。従って、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
取り得る一実装において、第1スイッチングトランジスタの任意のサイクルにおいて、第1スイッチングトランジスタのオン時点と第2スイッチングトランジスタのオン時点との間に遅延が存在し得る。すなわち、いずれのサイクルにおいても第1スイッチングトランジスタと第2スイッチングトランジスタとが同時にターンオンされることはない。
また、第1スイッチングトランジスタのサイクルは第3スイッチングトランジスタのサイクルと同じとし得る。
取り得る一実装において、当該制御方法は更に、コントローラが、同一サイクル内で第4スイッチングトランジスタのオン時間の量を第3スイッチングトランジスタのオン時間の量よりも多くするように制御する、ことを含み得る。これはまた、1サイクル内で、コントローラは、第4スイッチングトランジスタのスイッチング周波数を第3スイッチングトランジスタのスイッチング周波数よりも高くするように制御することができ、それにより、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタの損失を低減させ得ることとして理解され得る。
理解され得ることには、コントローラは、同一サイクル内で第4スイッチングトランジスタのオン時間の量を第3スイッチングトランジスタのオン時間の量とは異なるように制御する。同様に、これは、1サイクル中のインダクタの充放電時間の量を増加させることができ、すなわち、インダクタの充放電周波数を高めることができる。従って、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
理解されるべきことには、この出願の第2の態様及び第3の態様の技術的ソリューションは、この出願の第1の態様の技術的ソリューションと一貫しており、これらの態様及び対応する実現可能な実装によって得られる有益な効果は同様である。詳細をここで再び説明することはしない。
以下、添付図面を参照して、この出願の技術的ソリューションを説明する。
この出願の目的、技術的ソリューション、及び利点をいっそう明確にするために、以下では、この出願の添付図面を参照して、この出願の技術的ソリューションを明確に説明する。明らかなことには、説明される実施形態は、この出願の実施形態のうちの単なる一部であり、全てではない。この出願の実施形態に基づいて創造的努力なしに当業者によって得られる他の全ての実施形態も、この出願の保護範囲に入るものである。
この出願の明細書実施形態、特許請求の範囲、及び添付図面における用語“第1”、“第2”、及びこれらに類するものは、単に記載を区別するために使用されており、相対的な重要性を示したり意味したりするものとして理解されるべきでなく、また、順序を示したり意味したりするものとして理解されるべきでない。また、用語“含む”、“持つ”、及びこれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットが含まれる。方法、システム、プロダクト、又は装置は、明確に列挙されたステップ又はユニットに限定されるものではなく、明確には列挙されていない他のステップ又はユニットや、それらのプロセス、方法、プロダクト、又は装置に生来的に備わる他のステップ又はユニットも含まれ得る。
理解されるべきことには、この出願において、“少なくとも1つの(アイテム)”は1つ以上を指し、“複数の”は2つ以上を指す。用語“及び/又は”は、関連するオブジェクト間の連関関係を記述するために使用され、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、“A及び/又はB”は、以下の3つのケース、すなわち、Aのみが存在する、Bのみが存在する、及び、AとBの両方が存在するという3つのケースを表し得るものであり、A及びBは単数であっても複数であってもよい。文字“/”は、通常、関連するオブジェクト間の“又は”の関係を指し示す。“以下のアイテム(ピース)のうち少なくとも1つ”又はこれに類する表現は、複数のアイテム(ピース)のうちの単一のアイテム(ピース)又は任意の組み合わせを含め、それらのアイテムのうちの任意の組み合わせを指し示す。例えば、a、b、又はcのうちの少なくとも1つアイテム(ピース)は、a、b、c、“a及びb”、“a及びc”、“b及びc”、又は“a、b、及びc”を表し得るものであり、a、b、及びcは単数であっても複数であってもよい。
この出願の一実施形態は、図1に示すような双方向直流変換器を提供する。図1において、双方向直流変換器1は、第1スイッチングトランジスタS1、第2スイッチングトランジスタS2、第3スイッチングトランジスタS3、第4スイッチングトランジスタS4、キャパシタC(フライングキャパシタ)、インダクタL、及びコントローラ(図1には示さず)を含み得る。
オプションで、双方向直流変換器1は、第1直流端子DC1、第2直流端子DC2、第3直流端子DC3、及び第4直流端子DC4を含み得る。
一例において、第1直流端子DC1及び第2直流端子DC2が双方向直流変換器1の入力端子を構成し、第3直流端子DC3及び第4直流端子DC4が双方向直流変換器1の出力端子を構成し得る。従って、図1において、双方向直流変換器1の入力電圧を示すためにV1(つまり、第1直流端子DC1と第2直流端子DC2との間の電圧である第1電圧)を使用することができ、双方向直流変換器1の出力電圧を示すためにV2(つまり、第3直流端子DC3と第4直流端子DC4との間の電圧である第2電圧)を使用することができる。
他の一例において、第3直流端子DC3及び第4直流端子DC4が双方向直流変換器1の入力端子を構成し、第1直流端子DC1及び第2直流端子DC2が双方向直流変換器1の出力端子を構成してもよい。従って、図1において、双方向直流変換器1の出力電圧を示すためにV1(つまり、第1電圧)を使用してもよく、双方向直流変換器1の入力電圧を示すためにV2(つまり、第2電圧)を使用してもよい。
分かることには、この出願のこの実施形態で提供される双方向直流変換器は双方向の電力伝送を実現することができる。具体的には、入力端子として使用される第1直流端子DC1及び第2直流端子DC2から出力端子として使用される第3直流端子DC3及び第4直流端子DC4へと電力を伝送して、順方向電力伝送を遂行し得る(すなわち、双方向直流変換器が順方向動作を実行する)。
同様に、代わりに入力端子として使用される第3直流端子DC3及び第4直流端子DC4から出力端子として使用される第1直流端子DC1及び第2直流端子DC2へと電力を伝送して、逆方向電力伝送を遂行し得る(すなわち、双方向直流変換器が逆方向動作を実行する)。
インダクタLの第1端子(つまり、図1においてインダクタLの左側の端子)が第1直流端子DC1に接続され、インダクタLの第2端子がノードA(つまり、第1ノード)に接続され得る。第1スイッチングトランジスタS1の第1電極(つまり、図1においてノードAに近い方の第1スイッチングトランジスタS1の電極)がノードAに接続され、第1スイッチングトランジスタS1の第2電極(つまり、図1においてノードBに近い方の第1スイッチングトランジスタS1の電極)がノードB(つまり、第2ノード)に接続され得る。第2スイッチングトランジスタS2の第1電極(つまり、図1においてノードBに近い方の第2スイッチングトランジスタS2の電極)がノードBに接続され、第2スイッチングトランジスタS2の第2電極(つまり、図1においてノードBから遠い方の第2スイッチングトランジスタS2の電極)がノードEに接続され得る。ノードEは、第2直流端子DC2及び第4直流端子DC4に接続されている。第3スイッチングトランジスタS3の第1電極(つまり、図1においてノードAに近い方の第3スイッチングトランジスタS3の電極)がノードAに接続され、第3スイッチングトランジスタS3の第2電極(つまり、図1においてノードDに近い方の第3スイッチングトランジスタS3の電極)がノードD(つまり、第3ノード)に接続され得る。第4スイッチングトランジスタS4の第1電極(つまり、図1においてノードDに近い方の第4スイッチングトランジスタS4の電極)がノードDに接続され、第4スイッチングトランジスタS4の第2電極(つまり、図1において第3直流端子DC3に近い方の第4スイッチングトランジスタS4の電極)が第3直流端子DC3に接続され得る。キャパシタCの第1端子(これをキャパシタCの正端子とすることがある)がノードDに接続され、キャパシタCの第2端子(これをキャパシタCの負端子とすることがある)がノードBに接続され得る。第1スイッチングトランジスタS1、第2スイッチングトランジスタS2、第3スイッチングトランジスタS3、及び第4スイッチングトランジスタS4にコントローラが接続され得る。
上述の接続関係から分かることには、この出願のこの実施形態で提供される双方向直流変換器は3レベル直流変換器であり、当該双方向直流変換器のトポロジーを用いて3レベルが実現される。また、パワーデバイスの電圧ストレスを低減させることができ、それ故に、低い耐電圧レベルのパワーデバイスを用いて高いレベルの電圧出力を実現することができる。
オプションで、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1と第3スイッチングトランジスタS3とに対する相補的な制御を行うとともに、第2スイッチングトランジスタS2と第4スイッチングトランジスタS4とに対する相補的な制御を行うように構成され得る。
相補的な制御とは、相補的な制御における2つのスイッチングトランジスタが同時にオン又はオフにされることができないことを指し示すために使用される。例えば、第1スイッチングトランジスタS1と第3スイッチングトランジスタS3を同時にオン又はオフにすることはできず、第2スイッチングトランジスタS2と第4スイッチングトランジスタS4を同時にオン又はオフにすることはできない。
すなわち、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1と第3スイッチングトランジスタS3を同時にオン又はオフにしないように制御することができ、コントローラは更に、第2スイッチングトランジスタS2と第4スイッチングトランジスタS4を同時にオン又はオフにしないように制御することができる。
また、コントローラは更に、同一サイクル内で第2スイッチングトランジスタS2のオン時間の量を第1スイッチングトランジスタS1のオン時間の量よりも多くするように制御するように構成され得る。これはまた、1サイクル内で、コントローラは、第2スイッチングトランジスタS2のスイッチング周波数を第1スイッチングトランジスタS1のスイッチング周波数よりも高くするように制御することができ、それにより、第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2の損失を低減させ得ることとして理解され得る。
この出願のこの実施形態において、コントローラは、同一サイクル内で第2スイッチングトランジスタのオン時間の量を第1スイッチングトランジスタのオン時間の量とは異なるように制御し得る。これは、1サイクル中のインダクタの充放電時間の量を増加させることができ、すなわち、インダクタの充放電周波数を高めることができる。従って、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
取り得る一実装において、第1スイッチングトランジスタS1の任意のサイクルにおいて、第1スイッチングトランジスタS1のオン時点と第2スイッチングトランジスタS2のオン時点との間に遅延が存在し得る。すなわち、いずれのサイクルにおいても第1スイッチングトランジスタS1と第2スイッチングトランジスタS2とが同時にターンオンされることはない。
また、第1スイッチングトランジスタS1のサイクルは第3スイッチングトランジスタS3のサイクルと同じとし得る。
取り得る一実装において、コントローラは更に、同一サイクル内で第4スイッチングトランジスタS4のオン時間の量を第3スイッチングトランジスタS3のオン時間の量よりも多くするように制御するように構成され得る。これはまた、1サイクル内で、コントローラは、第4スイッチングトランジスタS4のスイッチング周波数を第3スイッチングトランジスタS3のスイッチング周波数よりも高くするように制御することができ、それにより、第4スイッチングトランジスタS4及び第3スイッチングトランジスタS3の損失を低減させ得ることとして理解され得る。
理解され得ることには、コントローラは、同一サイクル内で第4スイッチングトランジスタのオン時間の量を第3スイッチングトランジスタのオン時間の量とは異なるように制御する。同様に、これは、1サイクル中のインダクタの充放電時間の量を増加させることができ、すなわち、インダクタの充放電周波数を高めることができる。従って、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
取り得る一実装において、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1に第1駆動信号(これをPWM(pulse width modulation、すなわち、パルス幅変調)1で表すことがある)を送り、第2スイッチングトランジスタS2に第2駆動信号(これをPWM2で表すことがある)を送り、第3スイッチングトランジスタS3に第3駆動信号(これをPWM3で表すことがある)を送り、且つ第4スイッチングトランジスタS4に第4駆動信号(これをPWM4で表すことがある)を送り得る。
オプションで、第1駆動信号PWM1のサイクル(つまり、各サイクル)と第3駆動信号PWM3のサイクル(つまり、各サイクル)は同じであり、どちらもTswで表され得る(すなわち、Tswは第1駆動信号PWM1又は第3駆動信号PWM3のサイクル(周期)を表す)。
第2駆動信号PWM2は、第1駆動信号PWM1の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができ、すなわち、第2駆動信号PWM2と第1駆動信号PWM1は2つの非対称な駆動信号である。
同様に、第4駆動信号PWM4も、第3駆動信号PWM3の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができ、すなわち、第4駆動信号PWM4と第3駆動信号PWM3は2つの非対称な駆動信号である。
第2駆動信号PWM2は第1駆動信号PWM1の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができるので、第2駆動信号PWM2のサイクルは第1駆動信号PWM1のサイクルとは異なる。同様に、第4駆動信号PWM4も第3駆動信号PWM3の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができるので、第4駆動信号PWM4のサイクルも第3駆動信号PWM3のサイクルとは異なる。
オプションで、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1に第1駆動信号PWM1を送って第1スイッチングトランジスタS1のオン及びオフを制御する。理解され得ることには、第1駆動信号PWM1は、第1スイッチングトランジスタS1にターンオンするように指示するために使用されることができ、あるいは、第1駆動信号PWM1は、第1スイッチングトランジスタS1にターンオフするように指示するために使用されることができる。
同様に、コントローラは、第2スイッチングトランジスタS2に第2駆動信号PWM2を送って第2スイッチングトランジスタS2のオン及びオフを制御する。理解され得ることには、第2駆動信号PWM2は、第2スイッチングトランジスタS2にターンオンするように指示するために使用されることができ、あるいは、第2駆動信号PWM2は、第2スイッチングトランジスタS2にターンオフするように指示するために使用されることができる。
コントローラは、第3スイッチングトランジスタS3に第3駆動信号PWM3を送って第3スイッチングトランジスタS3のオン及びオフを制御する。理解され得ることには、第3駆動信号PWM3は、第3スイッチングトランジスタS3にターンオンするように指示するために使用されることができ、あるいは、第3駆動信号PWM3は、第3スイッチングトランジスタS3にターンオフするように指示するために使用されることができる。
コントローラは、第4スイッチングトランジスタS4に第4駆動信号PWM4を送って第4スイッチングトランジスタS4のオン及びオフを制御する。理解され得ることには、第4駆動信号PWM4は、第4スイッチングトランジスタS4にターンオンするように指示するために使用されることができ、あるいは、第4駆動信号PWM4は、第4スイッチングトランジスタS4にターンオフするように指示するために使用されることができる。
インダクタLは、第1駆動信号PWM1又は第3駆動信号PWM3の各サイクル(つまり、Tsw)内でN+1個の充放電サイクルを持ち、Nは2以上の整数とし得る。Nの値はこの出願のこの実施形態において限定されない。
従って、インダクタLは各サイクルTsw内で少なくとも3つの充放電サイクルを持つ。コントローラは、各サイクルTswにおいてインダクタLの充放電周波数を高め(すなわち周波数上昇)、それにより、インダクタLのインダクタンスを低減させ、インダクタLのサイズ及びコストを低減させる。
例えば、Nが2に等しい場合、インダクタLは各サイクルTsw内で3つの充放電サイクルを持つことができ、Nが3に等しい場合、インダクタLは各サイクルTsw内で4つの充放電サイクルを持つことができる。
説明を容易にするため、以下では、詳細な説明のための例としてN=2を用いる。
図2は、4つの駆動信号(つまり、第1駆動信号PWM1(破線)、第2駆動信号PWM2(破線)、第3駆動信号PWM3(実線)、及び第4駆動信号PWM4(実線))の波形の概略図である。図2において、iLはインダクタLの実電流(実線)を表し、ILavgはインダクタLの平均電流(破線)を表し得る。
オプションで、第1駆動信号PWM1がハイレベルにあるとき、第1スイッチングトランジスタS1はオンにされることができ、また、第1駆動信号PWM1がローレベルにあるとき、第1スイッチングトランジスタS1はオフにされることができる。
同様に、第3駆動信号PWM3がハイレベルにあるとき、第3スイッチングトランジスタS3はオンにされることができ、また、第3駆動信号PWM3がローレベルにあるとき、第3スイッチングトランジスタS3はオフにされることができる。
理解され得ることには、第1駆動信号PWM1は第3駆動信号PWM3に対して相補であるとし得る。すなわち、第1駆動信号PWM1がハイレベルにあるとき、第3駆動信号PWM3はローレベルにあるとし得る。同様に、第1駆動信号PWM1がローレベルにあるとき、第3駆動信号PWM3はハイレベルにあるとし得る。
なお、第1駆動信号PWM1の立ち下がりエッジと第3駆動信号PWM3の立ち上がりエッジとの間には遅延間隔(つまり、図2中のTdelay1)が存在する。すなわち、遅延間隔Tdelay1の範囲内で、第1スイッチングトランジスタS1と第3スイッチングトランジスタS3は同時にオフにされる。
オプションで、第2駆動信号PWM2がハイレベルにあるとき、第2スイッチングトランジスタS2はオンにされることができ、また、第2駆動信号PWM2がローレベルにあるとき、第2スイッチングトランジスタS2はオフにされることができる。
同様に、第4駆動信号PWM4がハイレベルにあるとき、第4スイッチングトランジスタS4はオンにされることができ、また、第4駆動信号PWM4がローレベルにあるとき、第4スイッチングトランジスタS4はオフにされることができる。
理解され得ることには、第2駆動信号PWM2は第4駆動信号PWM4に対して相補であるとし得る。すなわち、第2駆動信号PWM2がハイレベルにあるとき、第4駆動信号PWM4はローレベルにあるとし得る。同様に、第2駆動信号PWM2がローレベルにあるとき、第4駆動信号PWM4はハイレベルにあるとし得る。
なお、第4駆動信号PWM4のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち下がりエッジと、第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジとの間にも遅延間隔(つまり、図2中のTdelay2)が存在する。遅延間隔Tdelay2の範囲内で、第2スイッチングトランジスタS2と第4スイッチングトランジスタS4は同時にオフにされる。
取り得る一実装において、第1スイッチングトランジスタS1の任意のサイクルにおいて、第1スイッチングトランジスタS1のオン時点と第2スイッチングトランジスタS2のオン時点との間に遅延が存在し得る。従って、第1駆動信号PWM1の各サイクルにおいて、第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジが、第1駆動信号PWM1の立ち下がりエッジの後であるとし得る。すなわち、第2駆動信号PWM2の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスと第1駆動信号PWM1との間に遅延時間(つまり、遅延)が存在する。
同様に、第3駆動信号PWM3の各サイクルにおいて、第4駆動信号PWM4のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジが、第3駆動信号PWM3の立ち下がりエッジの前であるとし得る。すなわち、第4駆動信号PWM4の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスと第3駆動信号PWM3との間に遅延が存在する。
以下では、図1の第3直流端子DC3及び第4直流端子DC4を双方向直流変換器の入力端子として用い、第1直流端子DC1及び第2直流端子DC2を双方向直流変換器の出力端子として用いて、4つのスイッチングトランジスタに対するコントローラの制御プロセスを説明する。当該双方向直流変換器が逆方向動作を行うとき、当該双方向直流変換器はバックコンバータである。
図2において、期間F11、期間F12、期間F13、期間F14、期間F15、及び期間F16は、第1駆動信号PWM1の1サイクルTswのうちの異なる期間である。これら6つの期間(つまり、期間F11、期間F12、期間F13、期間F14、期間F15、及び期間F16)で、第1駆動信号PWM1の1サイクルTswを構成する。
図2から見て取れるように、第1駆動信号PWM1の各サイクルにおいて、第2駆動信号PWM2の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジは、第1駆動信号PWM1の立ち下がりエッジの後にあるとし得る。すなわち、第2駆動信号PWM2の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスと第1駆動信号PWM1との間には遅延時間(つまり、遅延)が存在する。
オプションで、第2駆動信号PWM2は、第1駆動信号PWM1の各サイクルTsw内で2つの駆動パルスを持つことができ、第2駆動信号PWM2は、第1駆動信号PWM1の各サイクルTswのローレベル期間内に2つの駆動パルスを持つ。従って、第1駆動信号PWM1の1サイクルTsw内で、インダクタLは合計3つの充放電サイクルを持ち、すなわち、インダクタLは、第1駆動信号PWM1の1サイクルTsw中に3回の充放電を完了する。これはインダクタLの充放電周波数を高める。
一例として、第1駆動信号PWM1の1サイクルTswを用い得る。期間F11は、第1駆動信号PWM1のハイレベル期間であり、期間F12、期間F13、期間F14、期間F15、及び期間F16は各々、第1駆動信号PWM1のローレベル期間である。
第2駆動信号PWM2は、期間F13と期間F15とに駆動パルスを持ち、すなわち、第2駆動信号PWM2は期間F13及び期間F15においてハイレベルにある。第2駆動信号PWM2は、期間F11、期間F12、期間F14、及び期間F16には駆動パルスを持たず、すなわち、第2駆動信号PWM2は期間F11、期間F12、期間F14、及び期間F16においてローレベルにある。
すなわち、第2駆動信号PWM2は、第1駆動信号PWM1の1サイクルTswのローレベル期間中に2つの駆動パルス、すなわち、期間F13に対応する駆動パルスと、期間F15に対応する駆動パルスとを持つ。従って、インダクタLは、期間F11と期間F12とで1回目の充放電を完了し、期間F13と期間F14とで2回目の充放電を完了し、期間F15と期間F16とで3回目の充放電を完了する。分かることには、インダクタLは合計3回の充放電を完了する。これは、第1駆動信号PWM1の1サイクルTsw内でのインダクタLの充放電の頻度を増加させ、インダクタLのリップル電流を更に低減させる。
以下、図2を参照して、インダクタLの充放電周波数を高めるために第1駆動信号PWM1の各サイクルTswのローレベル期間内に2つの駆動パルスを持つように第2駆動信号PWM2をコントローラが制御することを詳細に説明する。
説明を容易にするために、以下では、第1駆動信号PWM1の1サイクルTswを例として用いてインダクタLの充放電プロセスを説明する。
図2に示すように、期間F11において、第1駆動信号PWM1はハイレベルにあり、第2駆動信号PWM2はローレベルにある。具体的には、コントローラが、第1スイッチングトランジスタS1を制御してオンにさせるとともに、第2スイッチングトランジスタS2を制御してオフにさせ、その結果、インダクタLが放電され、iLが徐々に減少する。期間F12において、第1駆動信号PWM1及び第2駆動信号PWM2は両方ともローレベルにある。具体的には、コントローラが第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2を制御してどちらもオフにさせ、その結果、インダクタLが充電され、iLが徐々に増加する。この場合、インダクタLは1回目の充放電を完了する。
期間F13において、第1駆動信号PWM1はローレベルにあり、第2駆動信号PWM2はハイレベルにある。具体的には、コントローラが、第1スイッチングトランジスタS1を制御してオフにさせるとともに、第2スイッチングトランジスタS2を制御してオンにさせ、その結果、インダクタLが放電され、iLが徐々に減少する。期間F14において、第1駆動信号PWM1及び第2駆動信号PWM2は両方ともローレベルにある。具体的には、コントローラが第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2を制御してどちらもオフにさせ、その結果、インダクタLが充電され、iLが徐々に増加する。この場合、インダクタLは2回目の充放電を完了する。
期間F15において、第1駆動信号PWM1はローレベルにあり、第2駆動信号PWM2はハイレベルにある。具体的には、コントローラが、第1スイッチングトランジスタS1を制御してオフにさせるとともに、第2スイッチングトランジスタS2を制御してオンにさせ、その結果、インダクタLが放電され、iLが徐々に減少する。期間F16において、第1駆動信号PWM1及び第2駆動信号PWM2は両方ともローレベルにある。具体的には、コントローラが第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2を制御してどちらもオフにさせ、その結果、インダクタLが充電され、iLが徐々に増加する。この場合、インダクタLは3回目の充放電を完了する。
従って、インダクタLは第1駆動信号PWM1の1サイクルTsw内で合計3回の充放電を完了する。
コントローラは、第1駆動信号PWM1の各サイクル中のインダクタLの充放電回数を増加させるように、すなわち、インダクタLの充放電周波数を高めるように、第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2に非対称な第1駆動信号PWM1及び第2駆動信号PWM2を送る。従って、インダクタLのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。
なおも図2を参照されたい。期間F21、期間F22、期間F23、期間F24、期間F25、及び期間F26は、第3駆動信号PWM3の1サイクルTswのうちの異なる期間である。これら6つの期間(すなわち、期間F21、期間F22、期間F23、期間F24、期間F25、及び期間F26)で、第3駆動信号PWM3の1サイクルTswを構成する。
図2から更に見て取れるように、第1駆動信号PWM3の各サイクルにおいて、第4駆動信号PWM4の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジは、第3駆動信号PWM3の立ち下がりエッジの前にあるとし得る。すなわち、第4駆動信号PWM4の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスと第3駆動信号PWM3との間にも遅延が存在する。
オプションで、第4駆動信号PWM4は、第3駆動信号PWM3の各サイクルTsw内で2つの駆動パルスを持つことができる。第4駆動信号PWM4の2つの駆動パルスのうち一方(つまり、第4駆動信号PWM4の複数の駆動パルスのうち第1部分の駆動パルス)は、第3駆動信号PWM3の各サイクルTswのローレベル期間内にあり、第4駆動信号PWM4の2つの駆動パルスのうち他方(つまり、第4駆動信号PWM4の複数の駆動パルスのうち第2部分の駆動パルス)は、第3駆動信号PWM3の各サイクルTswのハイレベル期間内にある。従って、第3駆動信号PWM3の1サイクルTsw内で、インダクタLは合計3つの充放電サイクルを持ち、すなわち、インダクタLは、第3駆動信号PWM3の1サイクルTsw中に3回の充放電を完了する。同様に、これはインダクタLの充放電周波数を高めることができる。
一例として、第3駆動信号PWM3の1サイクルTswを用い得る。期間F21は、第3駆動信号PWM3のローレベル期間であり、期間F22、期間F23、期間F24、期間F25、及び期間F26は各々、第3駆動信号PWM3のハイレベル期間である。
第4駆動信号PWM4は、期間F21、期間F22、期間F24、及び期間F26に駆動パルスを持ち、すなわち、第4駆動信号PWM4は期間F21、期間F22、期間F24、及び期間F26においてハイレベルにある。第4駆動信号PWM4は、期間F23及び期間F25には駆動パルスを持たず、すなわち、第4駆動信号PWM4は期間F23及び期間F25においてローレベルにある。
すなわち、第4駆動信号PWM4は、第3駆動信号PWM3の1サイクルTswのローレベル期間中に1つの駆動パルス、つまり、期間F21に対応する駆動パルスを持つ。さらに、第4駆動信号PWM4は、第3駆動信号PWM3の1サイクルTswのハイレベル期間中に2つの駆動パルス、つまり、期間F24に対応する駆動パルスと、期間F26に対応する駆動パルスとを持つ。
従って、インダクタLは、期間F21から期間F23に1回目の充放電を完了し、期間F24及び期間F26に2回目の充放電を完了し、期間F26に3回目の充放電を完了する。分かることには、インダクタLは合計3回の充放電を完了する。これは、第3駆動信号PWM3の1サイクルTsw内でのインダクタLの充放電の頻度を増加させ、インダクタLのリップル電流を更に低減させる。
以下、図1を参照して、インダクタLの充放電周波数を高めるために第3駆動信号PWM3の各サイクルTswのローレベル期間内に1つの駆動パルスを持ち且つハイレベル期間内に2つの駆動パルスを持つように第4駆動信号PWM4をコントローラが制御することを詳細に説明する。
説明を容易にするために、以下では、第3駆動信号PWM3の1サイクルTswを例として用いてインダクタLの充放電プロセスを説明する。
図2に示すように、期間F21において、第3駆動信号PWM3はローレベルにあり、第4駆動信号PWM4はハイレベルにある。具体的には、コントローラが、第3スイッチングトランジスタS3を制御してオフにさせるとともに、第4スイッチングトランジスタS4を制御してオンにさせ、その結果、インダクタLが放電され、iLが徐々に減少する。期間F22において、第3駆動信号PWM3及び第4駆動信号PWM4は両方ともハイレベルにある。具体的には、コントローラが第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4を制御してどちらもオンにさせ、その結果、インダクタLが充電され、iLが徐々に増加する。この場合、インダクタLは1回目の充放電を完了する。
期間F23において、第3駆動信号PWM1はハイレベルにあり、第4駆動信号PWM2はローレベルにある。具体的には、コントローラが、第3スイッチングトランジスタS3を制御してオンにさせるとともに、第4スイッチングトランジスタS4を制御してオフにさせ、その結果、インダクタLが放電され、iLが徐々に減少する。期間F24において、第3駆動信号PWM3及び第4駆動信号PWM4は両方ともハイレベルにある。具体的には、コントローラが第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4を制御してどちらもオンにさせ、その結果、インダクタLが充電され、iLが徐々に増加する。この場合、インダクタLは2回目の充放電を完了する。
期間F25において、第3駆動信号PWM3はハイレベルにあり、第4駆動信号PWM4はローレベルにある。具体的には、コントローラが、第3スイッチングトランジスタS3を制御してオンにさせるとともに、第4スイッチングトランジスタS4を制御してオフにさせ、その結果、インダクタLが放電され、iLが徐々に減少する。期間F26において、第3駆動信号PWM3及び第4駆動信号PWM4は両方ともハイレベルにある。具体的には、コントローラが第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4を制御してどちらもオンにさせ、その結果、インダクタLが充電され、iLが徐々に増加する。この場合、インダクタLは3回目の充放電を完了する。
従って、インダクタLは第3駆動信号PWM3の1サイクルTsw内で合計3回の充放電を完了する。
コントローラは、第3駆動信号PWM3の各サイクル中のインダクタLの充放電回数を増加させるように、すなわち、インダクタLの充放電周波数を高めるように、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4に非対称な第3駆動信号PWM3及び第4駆動信号PWM4を送る。従って、インダクタLのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。
この出願のこの実施形態で提供される双方向直流変換器において、コントローラは、第1スイッチングトランジスタ及び第2スイッチングトランジスタに非対称な駆動信号を送るとともに、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタに非対称な駆動信号を送ることができる。これは、インダクタの充放電周波数を高め、それにより、インダクタのコストを低減させ、さらに、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らす。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
また、この出願のこの実施形態では、第1スイッチングトランジスタの状態が第3スイッチングトランジスタの状態の逆であり(すなわち、第1スイッチングトランジスタは第3スイッチングトランジスタに対して相補的であり)、且つ第2スイッチングトランジスタの状態が第4スイッチングトランジスタの状態の逆である(すなわち、第2スイッチングトランジスタは第4スイッチングトランジスタに対して相補的である)ように、第1スイッチングトランジスタ及び第2スイッチングトランジスタに非対称な駆動信号が送られるとともに、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタに非対称な駆動信号が送られる。さらに、キャパシタの電圧が安定したままであるように、第1スイッチングトランジスタ及び第2スイッチングトランジスタが位置する分岐と、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタが位置する分岐との間(すなわち、2つの分岐の間)で、電流の共有又は補填が実施される。
図2に示した非対称な駆動信号の利点を検証するため、以下では、図3及び図4で提供される対称な駆動信号の波形の図を参照して説明を行う。
図1に示した双方向直流変換器が順方向動作を行う(具体的には、第1直流端子DC1及び第2直流端子DC2が双方向直流変換器の入力端子として使用され、第3直流端子DC3及び第4直流端子DC4が双方向直流変換器の出力端子として使用される)とき、当該双方向直流変換器はブーストコンバータである。従って、図1に示した双方向直流変換器の第3スイッチングトランジスタS3と第4スイッチングトランジスタS4は別々にダイオードに等価となり得る。この場合、コントローラは第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2のみに駆動信号を送り得る。
コントローラによって第1スイッチングトランジスタS1に送られる第1駆動信号PWM1と、コントローラによって第2スイッチングトランジスタS2に送られる第2駆動信号PWM2との波形を図3に示す。図3から見て取れることには、第1駆動信号PWM1と第2駆動信号PWM2は対称的であり、すなわち、これら2つの駆動信号のサイクル(周期)は同じであり、デューティサイクルも同じである。
図3から見て取れることには、第1駆動信号PWM1の1サイクルTsw内で、第1駆動信号PWM1は1つの駆動パルスを持つことができ、第2駆動信号PWM2も1つの駆動パルスを持つことができ、インダクタLは2回の充放電を行うことができる。iLは2つのサイクルを持つ。具体的には、第1駆動信号PWM1又は第2駆動信号PWM2がハイレベルにあるとき、インダクタLが充電され、iLが徐々に増加し、そして、第1駆動信号PWM1又は第2駆動信号PWM2がローレベルにあるとき、インダクタLが放電され、iLが徐々に減少する。
一方、図2では、第1駆動信号PWM1と第2駆動信号PWM2は非対称な駆動信号である。第1駆動信号PWM1の1サイクルTsw内で、第1駆動信号PWM1は1つの駆動パルスを持ち、第2駆動信号PWM2は少なくとも2つの駆動パルスを持ち、インダクタLは少なくとも3回の充放電を行う。
図2と図3との比較から分かることには、この出願のこの実施形態では、非対称な駆動信号を用いてこれらの駆動信号のうち一方(つまり、第2駆動信号)の周波数を高めることができ、それにより、インダクタLの充放電周波数を高め、インダクタのインダクタンスを減らすことができる。
図1に示した双方向直流変換器が逆方向動作を行う(具体的には、第3直流端子DC3及び第4直流端子DC4が双方向直流変換器の入力端子として使用され、第1直流端子DC1及び第2直流端子DC2が双方向直流変換器の出力端子として使用される)とき、当該双方向直流変換器はバックコンバータである。従って、図1に示した双方向直流変換器の第1スイッチングトランジスタS1と第2スイッチングトランジスタS2は別々にダイオードに等価となり得る。この場合、コントローラは第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4のみに駆動信号を送り得る。
コントローラによって第3スイッチングトランジスタS3に送られる第3駆動信号PWM3と、コントローラによって第4スイッチングトランジスタS4に送られる第4駆動信号PWM4との波形を図4に示す。図4から見て取れることには、第3駆動信号PWM3と第4駆動信号PWM4は対称的であり、すなわち、これら2つの駆動信号のサイクル(周期)は同じであり、デューティサイクルも同じである。
図4から見て取れることには、第3駆動信号PWM3の1サイクルTsw内で、第3駆動信号PWM3は1つの駆動パルスを持つことができ、第4駆動信号PWM4も1つの駆動パルスを持つことができる。iLは2つのサイクルを持つ。具体的には、インダクタLは、次のように2回の充放電を行い得る。第3駆動信号PWM3がローレベルにあり且つ第4駆動信号PWM4がハイレベルにあるとき、インダクタLが1回目の充電をされてiLが徐々に増加し、第3駆動信号PWM3及び第4駆動信号の両方がハイレベルにあるとき、インダクタLが1回目の放電をされてiLが徐々に減少して、インダクタLが1回目の充放電を完了し、そして、第3駆動信号がハイレベルにあり且つ第4駆動信号PWM4がローレベルにあるとき、インダクタLが2回目の充電をされてiLが徐々に増加し、第3駆動信号PWM3がローレベルにあり且つ第4駆動信号PWM4がローレベルにあるとき、インダクタLが2回目の放電をされてiLが徐々に減少して、インダクタLが2回目の充放電を完了する。
図2と図4との比較から分かることには、この出願のこの実施形態では、非対称な駆動信号を用いてこれらの駆動信号のうち一方(つまり、第4駆動信号)の周波数を高めることができ、それにより、インダクタLの充放電周波数を高め、インダクタのインダクタンスを減らすことができる。
以上にて、コントローラが第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2に非対称な駆動信号を送るとともに、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4に非対称な駆動信号を送ることで、インダクタLのインダクタンスを減少させ、それにより、インダクタLのサイズ及びコストを減らし、さらに、双方向直流変換器全体のサイズ及びコストを減らすことを説明した。
オプションで、図1の第1スイッチングトランジスタS1、第2スイッチングトランジスタS2、第3スイッチングトランジスタS3、及び第4スイッチングトランジスタS4は別々に、絶縁ゲート電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor、MOSFET、略してMOSトランジスタ)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor、IGBT)、双方向スイッチ、又はこれらに類するものを使用し得る。確かなことには、これら4つのスイッチングトランジスタは各々、代わりに別の制御可能なパワーデバイスを使用してもよい。これはこの出願のこの実施形態において限定されることではない。
取り得る一実装において、第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスは、次の3つの方式で、第1駆動信号PWM1の各サイクル内に存在し得る。
方式1:第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスは全て、第1駆動信号PWM1の各サイクルのローレベル期間内にあるとし得る。
方式2:第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスは全て、第1駆動信号PWM1の各サイクルのハイレベル期間内にあるとし得る。
方式3:第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスは、第1部分の駆動パルスと第2部分の駆動パルスとに分けられ得る。第1部分の駆動パルスは第1駆動信号PWM1の各サイクルのローレベル期間内にあることができ、第2部分の駆動パルスは第1駆動信号PWM1の各サイクルのハイレベル期間内にあることができる。
なお、この出願のこの実施形態では、説明のために、第2駆動信号PWM2の2つの駆動パルスが第1駆動信号PWM1の各サイクルのローレベルの間内にある例(つまり、方式1)を用いる。
また、この出願のこの実施形態において、第1駆動信号PWM1の各サイクルのローレベル期間内に存在する第2駆動信号PWM2の駆動パルスの数は特に限定されず、すなわち、Nは2以上、例えば3又は4とし得る。
他の取り得る一実装において、第4駆動信号PWM4のN個の駆動パルスは、次の3つの方式で、第3駆動信号PWM3の各サイクル内に存在し得る。
方式1:第4駆動信号PWM4のN個の駆動パルスは全て、第3駆動信号PWM3の各サイクルのローレベル期間内にあるとし得る。
方式2:第4駆動信号PWM4のN個の駆動パルスは全て、第3駆動信号PWM3の各サイクルのハイレベル期間内にあるとし得る。
方式3:第4駆動信号のN個の駆動パルスは、第1部分の駆動パルスと第2部分の駆動パルスとに分けられ得る。第1部分の駆動パルスは第3駆動信号PWM3の各サイクルのローレベル期間内にあることができ、第2部分の駆動パルスは第3駆動信号PWM3の各サイクルのハイレベル期間内にあることができる。
なお、この出願のこの実施形態では、説明のために、第4駆動信号PWM4のうち1つの駆動パルス(つまり、2つの駆動パルスのうちの第1部分の駆動パルス)が第3駆動信号PWM3の各サイクルのハイレベル期間内にあり、1つの駆動パルス(つまり、2つの駆動パルスのうちの第2部分の駆動パルス)が第3駆動信号PWM3の各サイクルのローレベル期間内にある例(つまり、方式3)を用いる。
この出願のこの実施形態において、第3駆動信号PWM3の各サイクルのローレベル期間又はハイレベル期間内に存在する第4駆動信号PWM4の駆動パルスの数は特に限定されないとし得る。
第1駆動信号PWM1は単純であるから、以下、第1駆動信号PWM1の1サイクルTsw中の第2駆動信号PWM2と、第3駆動信号PWM3の1サイクルTsw中の第4駆動信号PWM4を説明する。
先ず、第1駆動信号PWM1の1サイクルTsw中の第2駆動信号PWM2を、以下の3つの態様にて説明する。
第1態様によれば、第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスのうち少なくとも2つに対応する周波数が相異なる。
以下では、説明のために、第2駆動信号PWM2が、第1駆動信号PWM1の各サイクルTswのローレベル期間内に3つの駆動パルスを持つ例、すなわち、3つの駆動パルスのうち2つに対応する周波数が相異なる例を用いる。
図5に示すように、P(パルス)1は、第1駆動信号PWM1の各サイクルTswのローレベル期間内にある第2駆動信号PWM2の3つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスを表し、P2は2番目の駆動パルスを表し、P3は3番目の駆動パルスを表している。T1は駆動パルスP1に対応するサイクル(周期)であり、T2は駆動パルスP2に対応するサイクルであり、T3は駆動パルスP3に対応するサイクルである。
図5から見て取れることには、駆動パルスP2に対応するサイクルT2と駆動パルスP3に対応するサイクルT3は同じである(すなわち、T2=T3)。サイクルと周波数との間の逆数関係から分かることには、駆動パルスP2に対応する周波数(これはf2で表され得る)と駆動パルスP3に対応する周波数(これはf3で表され得る)は等しい、すなわち、f2=f3である。しかし、駆動パルスP2に対応するサイクルT2及び駆動パルスP3に対応するサイクルT3はどちらも、駆動パルスP1に対応するサイクルT1とは異なる。従って、駆動パルスP2の周波数及び駆動パルスP3の周波数はどちらも駆動パルスP1の周波数とは異なる。図5から見て取れることには、T3>T1である。従って、駆動パルスP3に対応する周波数は、駆動パルスP1に対応する周波数(これはf1で表され得る)よりも低く、すなわちf3<f1である。
P0は、1サイクルTsw中の第1駆動信号PWM1の駆動パルスを表しており、駆動パルスP0は、第1スイッチングトランジスタS1のオン時間に対応し、第1スイッチングトランジスタS1のオン時間は、第1スイッチングトランジスタS1のデューティサイクルD1に第1駆動信号PWM1のサイクルTswを乗算することによって得られ得る。
図5を参照されたい。駆動パルスP1、駆動パルスP2、及び駆動パルスP3のパルス幅は全て同じであり、すなわち、P1=P2=P3である。
確かなことには、第1駆動信号PWM1の各サイクルTswのローレベル期間内に存在する第2駆動信号PWM2の3つの駆動パルスは異なっていてもよい。
例えば、図6に示すように、駆動パルスP2及び駆動パルスP3のパルス幅は同じであり、駆動パルスP2及び駆動パルスP3のパルス幅は駆動パルスP1のパルス幅とは異なる。図6から見て取れることには、駆動パルスP1のパルス幅は、駆動パルスP2(又は駆動パルスP3)のパルス幅よりも大きい。
第1駆動信号PWM1のローレベル期間内にある第2駆動信号PWM2の駆動パルスが複数(例えば、3つの駆動パルス)存在し得るので、インダクタLの充放電周波数が高められる。(図6に示すように)第2駆動信号PWM2の複数の駆動パルスのパルス幅が異なっていても、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、なおもインダクタLのインダクタンスを小さくすることができ、それにより、インダクタLのサイズ及びコストを更に減らすことができる。
第2態様によれば、第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスの各々に対応する周波数が異なる。
以下では、第1駆動信号PWM1の各サイクルのローレベル期間内に第2駆動信号PWM2が3つの駆動パルスを持つ例を用いて、第2駆動信号PWM2の実装形態を説明する。すなわち、N=3である場合、3つの駆動パルスに対応する周波数が相異なる。
図7に示すように、駆動パルスP3に対応するサイクルT3は、駆動パルスP2に対応するサイクルT2より大きく、駆動パルスP2に対応するサイクルT2は、駆動パルスP1に対応するサイクルT1より大きく、すなわち、T3>T2>T1である。同様に、サイクルと周波数との間の逆数関係から分かることには、駆動パルスP3に対応する周波数f3は、駆動パルスP2に対応する周波数f2より低く(すなわち、f3<f2)、駆動パルスP2に対応する周波数f2は、駆動パルスP1に対応する周波数f1より低い(すなわち、f2<f1)。すなわち、駆動パルスP1、駆動パルスP2、及び駆動パルスP3に対応する周波数が全て異なる。
確かなことには、第1駆動信号PWM1の各サイクルのローレベル期間内に存在する第2駆動信号PWM2の3つの駆動パルスのパルス幅は代わりに異なっていてもよい。
図8に示すように、駆動パルスP3に対応するサイクルT3は、駆動パルスP2に対応するサイクルT2より大きく、駆動パルスP2に対応するサイクルT2は、駆動パルスP1に対応するサイクルT1より大きく、すなわち、T3>T2>T1である。加えて、駆動パルスP1のパルス幅は、駆動パルスP2のパルス幅に等しい。しかし、駆動パルスP1のパルス幅及び駆動パルスP2のパルス幅もどちらも、駆動パルスP3のパルス幅よりも小さい。
同様に、図9に示すように、第2駆動信号PWM2は、第1駆動信号PWM1の各サイクルのローレベル期間内に駆動パルスP1と駆動パルスP2とを持っていてもよく、ここで、駆動パルスP2に対応するサイクルT2は、駆動パルスP1に対応するサイクルT1より大きい、すなわち、T2>T1である。加えて、駆動パルスP2のパルス幅は、駆動パルスP1のパルス幅より大きい(すなわち、駆動パルスP1おパルス幅と駆動パルスP2のパルス幅とが異なる)。
なお、第2駆動信号PWM2は、図2に示したように2つの駆動パルスのパルス幅を同じにして、第1駆動信号PWM1の各サイクルのローレベル期間内に2つの駆動パルスを持っていてもよい。詳細をこの出願のこの実施形態において再び説明することはしない。
第3態様によれば、第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスのうちの最初のN-1個の駆動パルスの周波数は同じであり、第2駆動信号におけるN個の駆動パルスのうちの最後の駆動パルスの周波数は最初のN-1個の駆動パルスの周波数よりも低い。
以下では、説明のために、第1駆動信号PWM1の各サイクルのローレベル期間内に第2駆動信号PWM2が3つの駆動パルスを持つ例を用いる。
一例において、図10に示すように、駆動パルスP1、駆動パルスP2、及び駆動パルスP3のパルス幅は同じであり、駆動パルスP1及び駆動パルスP2(つまり、最初の2つの駆動パルス)のサイクルは同じである(すなわち、T1=T2)。従って、駆動パルスP1及び駆動パルスP2の周波数は同じである(すなわち、f1=f2)。加えて、駆動パルスP3(つまり、3つの駆動パルスのうちの最後の駆動パルス)のサイクルは、駆動パルスP1及び駆動パルスP2のサイクルよりも大きい、すなわち、駆動パルスP3の周波数は、駆動パルスP1(又は駆動パルスP2)の周波数よりも低い(すなわち、f3<f1)。
他の一例において、図11に示すように、駆動パルスP1のパルス幅は、駆動パルスP2のパルス幅よりも大きく、駆動パルスP2のパルス幅は、駆動パルスP3のパルス幅と同じである。加えて、駆動パルスP1及び駆動パルスP2のサイクルは同じであり、すなわち、T1=T2である。すなわち、駆動パルスP1及び駆動パルスP2の周波数は同じである(すなわち、f1=f2)。加えて、駆動パルスP3のサイクルは、駆動パルスP1及び駆動パルスP2のサイクルよりも大きく、すなわち、駆動パルスP3の周波数は、駆動パルスP1(又は駆動パルスP2)の周波数よりも低い(すなわち、f3<f1)。
上述の3つの態様から分かることには、この出願のこの実施形態において、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1と第2スイッチングトランジスタS2とに非対称な駆動信号を送ることで、インダクタLの充放電周波数が高くなり、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、なおもインダクタLのインダクタンスを小さくすることができ、それにより、インダクタLのサイズ及びコストを更に減らすことができるようにする。
以下、第3駆動信号PWM3の1サイクルTsw中の第4駆動信号PWM4を、以下のケースにて説明する。
第1態様によれば、第4駆動信号PWM4のN個の駆動パルスのうち少なくとも2つに対応する周波数が相異なる。
以下では、説明のために、第3駆動信号PWM3の各サイクルTsw中に第4駆動信号PWM4が3つの駆動パルスを持ち、それら3つの駆動パルスのパルス幅が同じである例を用いる。
第3駆動信号PWM3の各サイクルTswのローレベル期間内に1つの駆動パルスP1が存在し、第3駆動信号PWM3の各サイクルTswのハイレベル期間内に2つの駆動パルス(つまり、駆動パルスP2及び駆動パルスP3)が存在し、駆動パルスP1のパルス幅、駆動パルスP2のパルス幅、及び駆動パルスP3のパルス幅は全て同じである。駆動パルスP1に対応するサイクルT1が駆動パルスP2に対応するサイクルT2と同じである(すなわち、T1=T2)が、駆動パルスP2に対応するサイクルT2が駆動パルスP3に対応するサイクルT3と異なる(すなわち、T2≠T3)場合、駆動パルスP1に対応する周波数f1は駆動パルスP2に対応する周波数f2と同じであり(すなわち、f1=f2)、駆動パルスP2に対応する周波数f2は駆動パルスP3に対応する周波数f3とは異なる(すなわち、f2≠f3)。
確かなことには、第3駆動信号PWM3の各サイクルTsw内に存在する第4駆動信号PWM4の3つの駆動パルスのパルス幅は代わりに異なっていてもよい。詳細については、上述の関連する説明を参照されたい。詳細をこの出願のこの実施形態において再び説明することはしない。
第3駆動信号PWM1のローレベル期間及びハイレベル期間内にある第4駆動信号PWM4の駆動パルスが複数(例えば、2つの駆動パルス)存在し得るので、インダクタLの充放電周波数も高められる。第4駆動信号PWM4の複数の駆動パルスのパルス幅が異なっていても、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、なおもインダクタLのインダクタンスを小さくすることができ、それにより、インダクタLのサイズ及びコストを更に減らすことができる。
第2態様によれば、第4駆動信号PWM4のN個の駆動パルスの各々に対応する周波数が異なる。
以下では、説明のために、第3駆動信号PWM3の各サイクルTsw中に第4駆動信号PWM4が3つの駆動パルスを持ち、それら3つの駆動パルスのパルス幅が同じであり、且つそれら3つの駆動パルスに対応する周波数が全て異なる例を用いる。
第3駆動信号PWM3の各サイクルTswのローレベル期間内に1つの駆動パルスP1が存在し、第3駆動信号PWM3の各サイクルTswのハイレベル期間内に駆動パルスP2及び駆動パルスP3が存在し、駆動パルスP1のパルス幅、駆動パルスP2のパルス幅、及び駆動パルスP3のパルス幅の全てが同じである。駆動パルスP1に対応するサイクルT1、駆動パルスP2に対応するサイクルT2、及び駆動パルスP3に対応するサイクルT3の全てが異なる(すなわち、T1≠T2≠T3)場合、駆動パルスP1に対応する周波数f1、駆動パルスP2に対応する周波数f2、及び駆動パルスP3に対応する周波数f3の全てが異なる(すなわち、f1≠f2≠f3)。
確かなことには、第3駆動信号PWM3の各サイクルTsw中に存在する第4駆動信号PWM4の3つの駆動パルスのパルス幅は代わりに異なっていてもよい。詳細については、上述の関連する説明を参照されたい。詳細をこの出願のこの実施形態において再び説明することはしない。
第3態様によれば、第4駆動信号PWM4のN個の駆動パルスのうちの最初のN-1個の駆動パルスの周波数は同じであり、第4駆動信号におけるN個の駆動パルスのうちの最後の駆動パルスの周波数は最初のN-1個の駆動パルスの周波数よりも低い。
同様に、以下では、説明のために、第3駆動信号PWM3の各サイクルのローレベル期間内に第4駆動信号PWM4が3つの駆動パルスを持つ例を用いる。
一例において、駆動パルスP1、駆動パルスP2、及び駆動パルスP3のパルス幅は同じであり、駆動パルスP1及び駆動パルスP2(つまり、最初の2つの駆動パルス)のサイクルは同じである(すなわち、T1=T2)。従って、駆動パルスP1及び駆動パルスP2の周波数は同じである(すなわち、f1=f2)。加えて、駆動パルスP3(つまり、3つの駆動パルスのうちの最後の駆動パルス)のサイクルは、駆動パルスP1及び駆動パルスP2のサイクルよりも大きい、すなわち、駆動パルスP3の周波数は、駆動パルスP1(又は駆動パルスP2)の周波数よりも低い(すなわち、f3<f1)。
他の一例において、駆動パルスP1のパルス幅は、駆動パルスP2のパルス幅よりも大きいとすることができ、駆動パルスP2のパルス幅は、駆動パルスP3のパルス幅と同じであるとすることができる。加えて、駆動パルスP1及び駆動パルスP2のサイクルは同じであり、すなわち、T1=T2である。すなわち、駆動パルスP1及び駆動パルスP2の周波数は同じである(すなわち、f1=f2)。加えて、駆動パルスP3のサイクルは、駆動パルスP1及び駆動パルスP2のサイクルよりも大きく、すなわち、駆動パルスP3の周波数は、駆動パルスP1(又は駆動パルスP2)の周波数よりも低い(すなわち、f3<f1)。
上述の3つの態様から分かることには、この出願のこの実施形態において、コントローラは、第3スイッチングトランジスタS3と第4スイッチングトランジスタS4とに非対称な駆動信号を送ることで、インダクタLの充放電周波数が高くなり、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、なおもインダクタLのインダクタンスを小さくすることができ、それにより、インダクタLのサイズ及びコストを更に減らすことができるようにする。
取り得る一実装において、この出願のこの実施形態では、(第1駆動信号PWM1の各サイクルにおいて)第1駆動信号PWM1の立ち上がりエッジと第2駆動信号PWM2のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジとの間の時間がラグタイムとして定義され得る(これは、方式1で定義されるラグタイムであり、理解及び区別しやすいようにTd1で表す)。あるいは、(第3駆動信号PWM3の各サイクルにおいて)第3駆動信号PWM3の立ち上がりエッジと第4駆動信号PWM4のN個の駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジとの間の時間がラグタイムとして定義され得る(これは、方式2で定義されるラグタイムであり、理解及び区別しやすいようにTd2で表す)。
以下、上述の2つの方式で定義されるラグタイムを取得するやり方を、添付図面を参照して詳細に説明する。
方式1で定義されるラグタイムTd1について、理解の容易さのため、この出願のこの実施形態では、説明のために、第1駆動信号PWM1の各サイクル内で第2駆動信号PWM2が2つの駆動パルスを持ち、それら2つの駆動パルスのパルス幅が同じである例を用いる。
第1の例において、インダクタLのリップル電流はラグタイムTd1の影響を受けるため、コントローラは、インダクタLのリップル電流に基づいてラグタイムTd1を取得し得る。インダクタLのリップル電流を低減させるために、インダクタLの各充放電サイクルにおいて、コントローラは、ラグタイムTd1を得るために、インダクタLの充電電流をインダクタLの放電電流に等しくなるように制御し得る。
図12から見て取れることには、第1駆動信号PWM1の立ち上がりエッジと第2駆動信号PWM2の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジとの間の時間は、D1Tsw+D2Tswであり、すなわち、Td1=D1Tsw+D2Tswである。
Tswは第1駆動信号PWM1の1サイクルを表す。D1は第1スイッチングトランジスタS1のデューティサイクルを表し、D3は第2スイッチングトランジスタS3のデューティサイクルを表し、D1+D3=1を満たす。D1Tswは第1スイッチングトランジスタS1のオン時間を表す。
同様に、D2は第2スイッチングトランジスタS2のデューティサイクルを表し、D4は第4スイッチングトランジスタS4のデューティサイクルを表し、D2+D4=1を満たす。D2Tswは、第2駆動信号PWM2の2つの駆動パルスのうちの最初の駆動パルスの立ち上がりエッジと、第1駆動信号PWM1の立ち下がりエッジとの間の遅延時間を表し得る。
以下、図1及び図2を参照して、コントローラがラグタイムTd1を取得する詳細なプロセスを説明する。
コントローラは、図1に示す双方向直流変換器の第1電圧V1及び第2電圧V2と、キャパシタCの電圧Vcと、第1駆動信号PWM1又は第3駆動信号PWM3のサイクルTswとに基づいて、ラグタイムTd1を得ることができる。
オプションで、第1電圧V1は、双方向直流変換器の出力電圧を示すために使用されることができ、第2電圧V2は、双方向直流変換器の入力電圧を示すために使用されることができる。あるいは、第1電圧V1は、双方向直流変換器の入力電圧を示すために使用されることができ、第2電圧V2は、双方向直流変換器の出力電圧を示すために使用されることができる。この出願のこの実施形態では、説明のために、第1電圧V1が入力電圧であり、第2電圧V2が出力電圧である例を用いる。
図2を参照されたい。例えば、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1に第1駆動信号PWM1を送り、第2スイッチングトランジスタS2に第2駆動信号PWM2を送る。この場合、期間F11と期間F12とでインダクタLの1回の充放電サイクルに対応する。そして、期間F11は、第1スイッチングトランジスタS1がオンにされ且つ第2スイッチングトランジスタS2がオフにされることに対応し、期間F12は、第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2の両方がオフにされることに対応する。この充放電サイクルにおいて、インダクタLは次式:
(V1+Vc-V2)D1Tsw=(V2-V1)D2Tsw 式(1)
を満たす。
式(1)において、第1駆動信号PWM1のデューティサイクルD1は
D1=1-V1/V2 式(2)
を満たし得る。
また、コントローラは、式(1)及び式(2)に基づいてラグタイムTd1を得ることができ、それにより、インダクタLのインダクタンスを減らすことができる。
第2の例において、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2のうち少なくとも一方の損失(つまり、第1スイッチングトランジスタS1の損失及び/又は第2スイッチングトランジスタS2の損失)に基づいて、ラグタイムTd1を取得し得る。
すなわち、ラグタイムTd1を得るために、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1の損失のみに基づいてラグタイムTd1を得るか、第2スイッチングトランジスタS2の損失のみに基づいてラグタイムTd1を得るか、又は第1スイッチングトランジスタS1の損失及び第2スイッチングトランジスタS2の損失の両方に基づいてラグタイムTd1を得るかすることができる。
例えば、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1の損失のみに基づいてラグタイムTd1を得る。この場合、第1スイッチングトランジスタS1の最小損失に対応する時間がラグタイムTd1となり得る。
他の一例では、コントローラは、第2スイッチングトランジスタS2の損失のみに基づいてラグタイムTd1を得る。この場合、第2スイッチングトランジスタS2の最小損失に対応する時間がラグタイムTd1となり得る。
他の一例では、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1の損失及び第2スイッチングトランジスタS2の損失の両方に基づいてラグタイムTd1を得る。この場合、第1スイッチングトランジスタS1と第2スイッチングトランジスタS2の損失が均等に分散されることに対応する時間がラグタイムTd1となり得る。
従って、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1の損失及び/又は第2スイッチングトランジスタS1の損失に基づいてラグタイムTd1を得ることができ、それにより、双方向直流変換器によって発生される損失を低減させ、双方向直流変換器の変換効率を向上させ得る。
第3の例において、コントローラは、インダクタLのリップル電流と、第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2のうち少なくとも一方の損失とに基づいて、ラグタイムTd1を取得し得る。
インダクタLのリップル電流と双方向直流変換器によって発生される損失との両方を低減させるために、コントローラは、第1の例と第2の例とを組み合わせてラグタイムTd1を取得し得る。
従って、コントローラは、インダクタLの低いリップル電流、並びに第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2のうち少なくとも一方の低い損失に対応する時間を、ラグタイムTd1として使用することができる。
方式2で定義されるラグタイムTd2について、理解の容易さのため、この出願のこの実施形態では、説明のために、第3駆動信号PWM3の各サイクル内で第4駆動信号PWM4が2つの駆動パルスを持ち、それら2つの駆動パルスのパルス幅が相異なる例を用いる。
第1の例において、インダクタLのリップル電流はラグタイムTd2の影響を受けるため、コントローラは、インダクタLのリップル電流に基づいてラグタイムTd2を取得し得る。インダクタLのリップル電流を低減させるために、インダクタLの各充放電サイクルにおいて、コントローラは、ラグタイムTd2を得るために、インダクタLの充電電流をインダクタLの放電電流に等しくなるように制御し得る。
以下、図1を参照して、コントローラがラグタイムTd2を取得する詳細なプロセスを説明する。
第1の例において、コントローラは、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4のうち少なくとも一方の損失(つまり、第3スイッチングトランジスタS3の損失及び/又は第4スイッチングトランジスタS4の損失)に基づいて、ラグタイムTd2を取得し得る。
すなわち、ラグタイムTd2を得るために、コントローラは、第3スイッチングトランジスタS3の損失のみに基づいてラグタイムTd2を得るか、第4スイッチングトランジスタS4の損失のみに基づいてラグタイムTd2を得るか、又は第3スイッチングトランジスタS3の損失及び第4スイッチングトランジスタS4の損失の両方に基づいてラグタイムTd2を得るかすることができる。
例えば、コントローラは、第3スイッチングトランジスタS3の損失のみに基づいてラグタイムTd2を得る。この場合、第3スイッチングトランジスタS3の最小損失に対応する時間がラグタイムTd2となり得る。
他の一例では、コントローラは、第4スイッチングトランジスタS4の損失のみに基づいてラグタイムTd2を得る。この場合、第4スイッチングトランジスタS4の最小損失に対応する時間がラグタイムTd2となり得る。
他の一例では、コントローラは、第3スイッチングトランジスタS3の損失及び第4スイッチングトランジスタS4の損失の両方に基づいてラグタイムTd2を得る。この場合、第3スイッチングトランジスタS3と第4スイッチングトランジスタS4の損失が均等に分散されることに対応する時間がラグタイムTd2となり得る。
従って、コントローラは、第3スイッチングトランジスタS3の損失及び/又は第4スイッチングトランジスタS4の損失に基づいてラグタイムTd2を得ることができ、それにより、双方向直流変換器によって発生される損失を低減させ、双方向直流変換器の変換効率を向上させ得る。
第2の例において、コントローラは、インダクタLのリップル電流と、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4のうち少なくとも一方の損失とに基づいて、ラグタイムTd2を取得し得る。
インダクタLのリップル電流と双方向直流変換器によって発生される損失との両方を低減させるために、コントローラは、第1の例と第2の例とを組み合わせてラグタイムTd2を取得し得る。
従って、コントローラは、インダクタLの低いリップル電流、並びに第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4のうち少なくとも一方の低い損失に対応する時間を、ラグタイムTd2として使用することができる。
取り得る一実装において、図1に基づき、この出願のこの実施形態で提供される双方向直流変換器1は更に、図13に示すようにキャパシタC1及びキャパシタC2を含み得る。
キャパシタC1はノードHとノードIとの間に接続され、ノードHは第1直流端子DC1に接続され、ノードIは第2直流端子DC2に接続される。キャパシタC2はノードFとノードGとの間に接続され、ノードFは第3直流端子DC3に接続され、ノードGは第4直流端子DC4に接続される。
オプションで、キャパシタC1の一方の端子(これを正端子とし得る)がノードHに接続され、キャパシタC1の他方の端子(これを負端子とし得る)がノードIに接続される。キャパシタC2の一方の端子(これを正端子とし得る)がノードFに接続され、キャパシタC2の他方の端子(これを負端子とし得る)がノードGに接続される。
また、図13に基づき、この出願のこの実施形態で提供される双方向直流変換器1は更に、図14に示すように第5スイッチングトランジスタS5を含み得る。図14において、第5スイッチングトランジスタS5の第1端子(つまり、図14において第5スイッチングトランジスタS5の右側の端子)がキャパシタCの第2端子(つまり、図14においてキャパシタCの下側の端子であり、これを負端子とし得る)に接続され、第5スイッチングトランジスタS5の第2端子(つまり、図14において第5スイッチングトランジスタS5の左側の端子)がノードBに接続され得る。
オプションで、例えば第1スイッチングトランジスタS1などの上述の4つのスイッチングトランジスタと同様に、第5スイッチングトランジスタS5も、MOSトランジスタ、IGBT、双方向スイッチ、又はこれらに類するものを使用し得る。確かなことには、第5スイッチングトランジスタS5は代わりに別のタイプの制御可能なパワーデバイスであってもよい。第5スイッチングトランジスタS5のタイプはこの出願のこの実施形態において限定されることではない。
例えば、第5スイッチングトランジスタS5はMOSトランジスタである。第5スイッチングトランジスタS5のドレインがキャパシタCの第2端子に接続され、第5スイッチングトランジスタS5のソースがノードBに接続され得る。
他の一例では、第5スイッチングトランジスタS5はIGBTである。第5スイッチングトランジスタS5のコレクタがキャパシタCの第2端子に接続され、第5スイッチングトランジスタS5のエミッタがノードBに接続され得る。
図14に示す双方向直流変換器1は、第5スイッチングトランジスタS5を用いて第2スイッチングトランジスタS2を保護し得る。原理は次のとおりである。
双方向直流変換器1が第1電圧V1(入力電圧として使用される)を第2電圧V2(出力電圧として使用される)に変換する(すなわち、図14において左から右に電力が伝送される)プロセスにおいて、コントローラは先ず第5スイッチングトランジスタS5をオフにさせるよう制御する。この場合、第5スイッチングトランジスタS5がオフにされるので、キャパシタCに電流が流れることはできない。この場合、第2スイッチングトランジスタS2に第1電圧V1は印加されない。従って、第2スイッチングトランジスタS2は保護される。
例えば、第1電圧V1が900Vであり、且つ第2電圧V2が1200Vである(双方向直流変換器1が昇圧の役割を果たす)場合、第1スイッチングトランジスタS1及び第3スイッチングトランジスタS3は各々、例えば650Vといった低い耐電圧レベルのIGBTを使用し得る。第5スイッチングトランジスタS5が配置されない場合、双方向直流変換器1が電源に接続された瞬間のキャパシタCの電圧Vcは0であり、すなわち、第1電圧V1はほぼ完全に第2スイッチングトランジスタS2に印加される。その結果、第2スイッチングトランジスタS2によって負担される必要がある電圧が第2スイッチングトランジスタS2の電圧ストレスを超え、第2スイッチングトランジスタS2がダメージを受ける。
同様に、双方向直流変換器1が第2電圧V2(入力電圧として使用される)を第1電圧V1(出力電圧として使用される)に変換する(すなわち、図14において右から左に電力が伝送される)プロセスにおいて、コントローラは先ず第5スイッチングトランジスタS5をオフにさせるよう制御する。この場合、第5スイッチングトランジスタS5がオフにされるので、キャパシタCに電流が流れることはできない。この場合、第2スイッチングトランジスタS2に第2電圧V2は印加されない。従って、第2スイッチングトランジスタS2はなおも保護され得る。
例えば、第1電圧V1が900Vであり、且つ第2電圧V2が1200Vである(双方向直流変換器1が降圧の役割を果たす)場合、同様に、第1スイッチングトランジスタS1及び第3スイッチングトランジスタS3は各々、例えば650Vといった低い耐電圧レベルのIGBTを使用し得る。第5スイッチングトランジスタS5が配置されない場合、双方向直流変換器1が電源に接続された瞬間のキャパシタCの電圧Vcは0であり、すなわち、第2電圧V2はほぼ完全に第2スイッチングトランジスタS2に印加される。その結果、第2スイッチングトランジスタS2によって負担される必要がある電圧が第2スイッチングトランジスタS2の電圧ストレスを超え、第2スイッチングトランジスタS2がダメージを受ける。
他の取り得る一実装において、図13に基づき、キャパシタの予備充電と双方向直流変換器内のバスの電圧の急激な変化とを考慮して、この出願で提供される双方向直流変換器1は更に、図15に示すように第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2を含み得る。
図15において、図13の第2キャパシタC2をキャパシタC21とキャパシタC22とに分割することができ、キャパシタC21とキャパシタC22との間の接続ノードがノードJである(ノードJは第2電圧V2の中点として理解され得る)。第1ダイオードD1のアノードがノードBに接続され、第1ダイオードD1のカソードがノードJに接続され得る。第2ダイオードD2のアノードがノードJに接続され、第2ダイオードD2のカソードがノードDに接続され得る。
理解され得ることには、第1ダイオードD1の機能は、第4スイッチングトランジスタS4がオンにされるときに第2スイッチングトランジスタS2が直流バス全体の電圧Vbus(つまり、第2電圧V2)を負担するのを防ぐために、第2スイッチングトランジスタS2が負担する電圧降下をクランプすることである。同様に、第2ダイオードD2の機能は、第2スイッチングトランジスタS2がオンにされるときに第4スイッチングトランジスタS4が直流バス全体の電圧Vbus(つまり、第2電圧V2)を負担するのを防ぐために、第4スイッチングトランジスタS4が負担する電圧降下をクランプすることである。従って、第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2はクランピングダイオードと称され得る。
図15に示す双方向直流変換器1の機能は、図14に示した双方向直流変換器1の機能と同じである。それらの機能はどちらも、双方向直流変換器1が電源に接続されて動作を開始するときに、第2スイッチングトランジスタS2が負担する電圧ストレスを低減させることである。図15に示す双方向直流変換器は以下の利点を有する。
双方向直流変換器1が電源に接続されて順方向動作を実行し始めるときに、第1電圧V1を用いてキャパシタCが充電され、キャパシタCの電圧がゼロである瞬間がない。従って、第1電圧V1が完全に第2スイッチングトランジスタS2に印加されることがなく、それにより、第2スイッチングトランジスタS2が負担する電圧ストレスが低減され、第2スイッチングトランジスタS2が保護される。
同様に、双方向直流変換器1が電源に接続されて逆方向動作を実行し始めるときにも、第2電圧V2を用いてキャパシタCが充電され、キャパシタCの電圧がゼロである瞬間がない。従って、第2電圧V2が完全に第2スイッチングトランジスタS2に印加されることがなく、それにより、第2スイッチングトランジスタS2が負担する電圧ストレスが低減され、第2スイッチングトランジスタS2が保護される。
オプションで、第1ダイオード及び第2ダイオードは各々、代わりに、スイッチングトランジスタ(例えば、MOSトランジスタ、IGBT、又は双方向スイッチ)で置き換えられてもよい。この場合、コントローラは、スイッチングトランジスタがダイオードの動作モードを遂行するように、対応する駆動信号を送りさえすればよい。詳細をこの出願のこの実施形態において再び説明することはしない。
最後に、図14及び図15に示した双方向直流変換器1において、コントローラはやはり、第1スイッチングトランジスタS1と第2スイッチングトランジスタS2とに非対称な駆動信号を送るとともに、第3スイッチングトランジスタS3と第4スイッチングトランジスタS4とに非対称な駆動信号を送り得る。これはやはり、インダクタLの充放電周波数を高め、インダクタLのリップル電流を低減させ、インダクタLのインダクタンスを減少させ、双方向直流変換器全体のサイズ及びコストを減らすことができる。
この出願の一実施形態は更にエレクトロニクス装置を提供する。当該エレクトロニクス装置は双方向直流変換器を含み得る。該双方向直流変換器の詳細な説明については、上述の説明を参照されたい。詳細をこの出願のこの実施形態において再び説明することはしない。
以上にて、双方向直流変換器を詳細に説明した。以下、双方向直流変換器の制御方法を説明する。図16に示すように、制御方法100は、コントローラが、第1スイッチングトランジスタS1と第3スイッチングトランジスタS3とに対する相補的な制御を行うとともに、第2スイッチングトランジスタS2と第4スイッチングトランジスタS4とに対する相補的な制御を行う、ことを含み得る。
相補的な制御とは、相補的な制御における2つのスイッチングトランジスタが同時にオン又はオフにされることができないことを指し示すために使用される。例えば、第1スイッチングトランジスタS1と第3スイッチングトランジスタS3を同時にオン又はオフにすることはできず、第2スイッチングトランジスタS2と第4スイッチングトランジスタS4を同時にオン又はオフにすることはできない。
オプションで、コントローラは、同一サイクル内で第2スイッチングトランジスタS2のオン時間の量を第1スイッチングトランジスタS1のオン時間の量よりも多くするように制御する。これはまた、1サイクル内で、コントローラは、第2スイッチングトランジスタS2のスイッチング周波数を第1スイッチングトランジスタS1のスイッチング周波数よりも高くするように制御することができ、それにより、第1スイッチングトランジスタS1及び第2スイッチングトランジスタS2の損失を低減させ得ることとして理解され得る。
この出願のこの実施形態で提供される制御方法において、コントローラは、同一サイクル内で第2スイッチングトランジスタのオン時間の量を第1スイッチングトランジスタのオン時間の量とは異なるように制御する。これは、1サイクル中のインダクタの充放電時間の量を増加させることができ、すなわち、インダクタの充放電周波数を高めることができる。従って、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
取り得る一実装において、第1スイッチングトランジスタS1の任意のサイクルにおいて、第1スイッチングトランジスタS1のオン時点と第2スイッチングトランジスタS2のオン時点との間に遅延が存在し得る。すなわち、いずれのサイクルにおいても第1スイッチングトランジスタS1と第2スイッチングトランジスタS2とが同時にターンオンされることはない。
また、第1スイッチングトランジスタS1のサイクルは第3スイッチングトランジスタS3のサイクルと同じとし得る。
取り得る一実装において、当該制御方法は更に、コントローラが、同一サイクル内で第4スイッチングトランジスタS4のオン時間の量を第3スイッチングトランジスタS3のオン時間の量よりも多くするように制御する、ことを含み得る。これはまた、1サイクル内で、コントローラは、第4スイッチングトランジスタS4のスイッチング周波数を第3スイッチングトランジスタS3のスイッチング周波数よりも高くするように制御することができ、それにより、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4の損失を低減させ得ることとして理解され得る。
理解され得ることには、コントローラは、同一サイクル内で第4スイッチングトランジスタのオン時間の量を第3スイッチングトランジスタのオン時間の量とは異なるように制御する。同様に、これは、1サイクル中のインダクタの充放電時間の量を増加させることができ、すなわち、インダクタの充放電周波数を高めることができる。従って、インダクタのリップル電流の割合が同じであることを確保しながら、小さいインダクタンスのインダクタを使用することができる。また、小さいインダクタンスのインダクタは小さいサイズ及び低いコストを有する。これは、双方向直流変換器のサイズ及びコストを減らすことができる。双方向直流変換器のサイズが小さくなると、双方向直流変換器の電力密度を高めることができる。
取り得る一実装において、コントローラは、第1スイッチングトランジスタS1に第1駆動信号PWM1を送り、第2スイッチングトランジスタS2に第2駆動信号PWM2を送り、第3スイッチングトランジスタS3に第3駆動信号PWM3を送り、且つ第4スイッチングトランジスタS4に第4駆動信号PWM4を送って、第1スイッチングトランジスタS1と第3スイッチングトランジスタS3とに対する相補的な制御を遂行するとともに、第2スイッチングトランジスタS2と第4スイッチングトランジスタS4とに対する相補的な制御を遂行し得る。
オプションで、第1スイッチングトランジスタS1のサイクルは第3スイッチングトランジスタS3のサイクルと同じとし得る。従って、第1駆動信号のサイクルは第3駆動信号のサイクルと同じとし得る。
第2駆動信号は、第1駆動信号の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができ、すなわち、第2駆動信号と第1駆動信号は2つの非対称な駆動信号である。
同様に、第4駆動信号も、第3駆動信号の各サイクル内でN個の駆動パルスを持つことができ、すなわち、第4駆動信号と第3駆動信号は2つの非対称な駆動信号である。
双方向直流変換器内のインダクタLは、第1駆動信号又は第3駆動信号の各サイクル内でN+1個の充放電サイクルを持ち、Nは2以上の整数とし得る。Nの値はこの出願のこの実施形態において限定されない。
第1スイッチングトランジスタS1がオンにされているときに、第2スイッチングトランジスタS2に第2駆動信号PWM2を送ることにより、インダクタLは少なくとも2回の充放電を行い得る。確かなことには、代わりに、第2スイッチングトランジスタS2がオフにされているときに、第1スイッチングトランジスタS1に第1駆動信号PWM1を送ることにより、インダクタLが1回の充放電を行ってもよい。
同様に、第3スイッチングトランジスタS3がオンにされているときに、第4スイッチングトランジスタS4に第4駆動信号PWM4を送ることにより、インダクタLは少なくとも2回の充放電を行い得る。代わりに、第4スイッチングトランジスタS4がオフにされているときに、第3スイッチングトランジスタS3に第3駆動信号PWM3を送ることにより、インダクタLが1回の充放電を行ってもよい。
分かることには、第1駆動信号PWM1又は第3駆動信号PWM3の1サイクル中に、インダクタLは少なくとも3つの充放電サイクルを持つ。コントローラは、各サイクルにおいてインダクタLの充放電周波数を高め(すなわち周波数上昇)、それにより、インダクタLのインダクタンスを低減させ、インダクタLのサイズ及びコストを低減させる。
なお、第1駆動信号、第2駆動信号、第3駆動信号、及び第4駆動信号の詳細な説明については、上述の説明を参照されたい。詳細をこの出願のこの実施形態において再び説明することはしない。
以上の説明は、単にこの出願の特定の実装であり、この出願の保護範囲を限定する意図ではない。この出願にて開示された技術範囲内で当業者が容易に考え付く如何なる変更又は置換もこの出願の保護範囲に入るものである。従って、この出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものである。