JP2023084557A - 粘着剤組成物及び粘着シート並びに積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】段差追従性に優れ、貼り合わせてから後硬化した状態で急激な温度変化に伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくい粘着シートを形成できる粘着剤組成物及び粘着シートを提供する。【解決手段】本発明は、重量平均分子量が30万~50万の(メタ)アクリル系共重合体と、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物と、多官能単量体と、自己開裂型光ラジカル重合開始剤とを少なくとも含む。前記アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.01質量部以上、0.4質量部以下含まれており、前記自己開裂型光ラジカル重合開始剤は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下含まれており、前記多官能単量体は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下含まれている。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物及び粘着シート並びに積層体に関する。
粘着シートは、例えば、部材(被着体)どうしを貼り合わせる用途等に使用されており、種々の分において広く利用されている。このような粘着シートは、近年では液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置、あるいはタッチパネル等の入力装置等の用途にも使用されている。表示装置あるいは入力装置を構成する光学ディスプレイ等の各部材どうしの貼り合わせに粘着シートを使用することで、高精度、かつ、容易に各種装置を製造することができる。
タッチパネルや液晶ディスプレイの中には印刷等で生じる段差を有する構成部材を含むことがある。例えば、スマートフォン等のカメラ用途では、パンチホールが空いたデザインを有する偏光板が使用されており、前記パンチホールは60~90μmの深さを有し、しかも、熱衝撃等により伸縮する。このため、斯かる偏光板を接着するための粘着シートに対しては、優れた段差追従性及び応力緩和性が求められる。例えば、特許文献1、2には、段差に追従した後に活性エネルギー線を照射し、粘着シートを後硬化することで粘着性を向上させたアフターキュア型の粘着シート(アフターUV硬化型OCA)が開示されている。
特開2009-292986号公報 特開2020-83996号公報
従来の粘着シートでは特許文献2に記載のように、初期の凝集力を向上させるために熱架橋剤によって共重合体に架橋構造を形成させることが行われているが、従来の熱架橋剤による架橋構造は強直であるため、被着体どうしを貼り合わせてからの応力緩和性が不足しやすいものであった。特に前述のパンチホールなどを有する偏光板等に粘着シートを貼り合わせると、急激な温度変化があった際に剥がれや気泡が生じやすい等の課題を有していた。また、特許文献1のように熱架橋剤を使用せずに水素引き抜き型光重合開始剤を使用することで共重合体に架橋構造を形成する手法も知られているが、水素引き抜き型光重合開始剤は失活しにくく、使用製品が太陽光等の紫外線に曝露すると、粘着シートの架橋が進行し、却って応力緩和性が低下しやすいものであった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、段差追従性に優れ、貼り合わせてから後硬化した状態で急激な温度変化に伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくい粘着シートを形成することができる粘着剤組成物及び粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、熱架橋剤としてアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物を必須として含有する特定成分を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
重量平均分子量が30万~50万の(メタ)アクリル系共重合体と、
アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物と、
多官能単量体と、
自己開裂型光ラジカル重合開始剤と、
を少なくとも含む粘着剤組成物であって、
前記アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.01質量部以上、0.4質量部以下含まれており、
前記自己開裂型光ラジカル重合開始剤は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下含まれており、
前記多官能単量体は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下含まれている、粘着剤組成物。
項2
重合性二重結合を1個有する単量体又は多量体、及び、重量平均分子量が3万以下の重合体からなる群より選ばれる1種以上をさらに含む、項1に記載の粘着剤組成物。
項3
前記重合性二重結合を1個有する単量体又は多量体が、アクリル系単官能単量体又はアクリル系単官能多量体である、項1又は2に記載の粘着剤組成物。
項4
前記重量平均分子量が3万以下の重合体がアクリル系重合体である、項1~3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
項5
水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤の含有量が前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.3質量部以下である、項1~4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
項6
項1~5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物の半硬化物を含む粘着剤層を備える、粘着シート。
項7
項6に記載の粘着シートを備える、積層体。
本発明の粘着剤組成物は、段差追従性に優れ、貼り合わせてから後硬化した状態においても剥がれ及び気泡も生じにくい粘着シートを形成することができる。また、本発明の粘着シートは、段差追従性に優れ、貼り合わせてから後硬化した後で急激な温度変化に伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくい耐久性(TS耐久性)に優れるものである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.粘着剤組成物
本発明の粘着剤組成物は、重量平均分子量が30万~50万の(メタ)アクリル系共重合体と、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物と、多官能単量体と、自己開裂型光ラジカル重合開始剤とを少なくとも含む。本発明の粘着剤組成物において、前記アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.01質量部以上、0.4質量部以下含まれており、前記自己開裂型光ラジカル重合開始剤は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下含まれており、前記多官能単量体は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下含まれている。
本発明の粘着剤組成物は、段差追従性に優れ、被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態においても剥がれ及び気泡も生じにくい粘着シートを形成することができる。すなわち、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着シートは、段差追従性に優れ、被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態で急激な温度変化に伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくい。
特に、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着シートは、パンチホールなどの微小な空孔を有する偏光板に貼り合わせる用途に適用した場合であっても、段差追従性に優れ、しかも、貼り合わせてから後硬化した状態においても剥がれ及び気泡の発生が抑制されるものである。従って、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着シートは、段差追従性に優れ、また、後硬化してから急激な温度変化を伴う条件においても耐久性に優れる積層体を形成することができる。
<(メタ)アクリル系共重合体>
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体を構成成分として含有する。(メタ)アクリル系共重合体は、本発明の粘着シートの主たる成分であり、いわゆる粘着シートのベースポリマーとなる成分である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」または「メタクリル」を、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」または「メタクリレート」を、「(メタ)アリル」とは「アリル」または「メタリル」を意味する。
(メタ)アクリル系共重合体の種類は、重量平均分子量が30万~50万の範囲である限りは特に限定されず、例えば、公知の粘着シートを構成するために使用されている(メタ)アクリル系共重合体を広く適用することができる。
なお、本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値又は実施例から一義的に導き出せる値に置き換えてもよい。また、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を有することができる。本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し構造単位(単量体単位ともいう)である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等が挙げられる。(メタ)アクリル系共重合体に含まれる(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位は1種を単独とすることができ、2種以上を併用することもできる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの中でも、粘着性が高くなることから、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選ばれる少なくとも1種類が好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位以外の他のアクリル系単量体単位を有してもよい。他のアクリル系単量体単位としては、架橋性官能基を有するアクリル系単量体単位を挙げることができ、例えば、ヒドロキシ基含有アクリル系単量体単位、カルボキシル基含有アクリル系単量体単位を挙げることができる。これら単量体単位は(メタ)アクリル系共重合体中に1種含むことができ、あるいは、2種以上を含むこともできる。
ヒドロキシ基含有アクリル系単量体単位は、ヒドロキシ基含有アクリル系単量体に由来する。ヒドロキシ基含有アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。カルボキシル基含有アクリル系単量体単位は、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
(メタ)アクリル系共重合体は、ヒドロキシ基含有アクリル系単量体単位を含むことが好ましい。例えば、(メタ)アクリル系共重合体中に含まれるヒドロキシ基含有アクリル系単量体単位の含有割合が0.1~5質量%であることが好ましい。この場合、粘着シートの水蒸気透過率や吸水率を抑えることができ、粘着シートの白化や配線等の金属腐食を抑制することができる。(メタ)アクリル系共重合体は、金属腐食防止の観点からカルボキシル基を含まないことも好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及びヒドロキシ基含有アクリル系単量体単位以外の他のアクリル系単量体単位を有する場合、他のアクリル系単量体単位の含有量は(メタ)アクリル系共重合体の全質量に対して0.01~20質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましい。中でも、架橋性官能基を有するアクリル系単量体単位の含有量が上記範囲内であることが好ましい。他のアクリル系単量体単位の含有量が上記下限値以上であれば、凝集力を十分に高めることができ、上記上限値以下であれば、十分な粘着力を確保しやすくなる。
(メタ)アクリル系共重合体は、その構造単位中にアクリロイル基を含まないことが好ましい。これにより、(メタ)アクリル系共重合の製造が容易になると共に、後硬化時に(メタ)アクリル系共重合体が強固に架橋されることで応力緩和性が不足することを防ぐことができる。
(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は特に限定されない。例えば、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は-50℃以上、-10℃以下とすることができる。この場合、粘着シートの段差追従性をより効果的に高めることができ、また、粘着シートの凝集力をより高めることができ、耐久性と粘着性にも優れ、加えて、粘着シートのハンドリング性を高めることができるので加工がしやすくなる。(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、-49℃以上であることが好ましく、-48℃以上であることがより好ましく、また、-20℃以下であることが好ましく、-30℃以下であることがより好ましく、-40℃以下であることが特に好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、前述のとおり、30万~50万であり、35万以上であることが好ましく、また、45万以下であること好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレン換算で求めた値である。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI-2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI-2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工製)Mw=1320~2500000迄の10サンプルによる校正曲線を使用する。
(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、公知の方法で製造することができ、例として、(メタ)アクリルモノマーの重合反応によって製造することができる。この場合、各種の重合方法を採用することができ、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系共重合体は、市販品から入手することもでき、例えば、アイカ工業社製のOP-9200-1、OP-9200-2、OP-9200-3、OP-9200-4、OP-9200-5、OP-9200-7等が挙げられる。
(熱架橋剤)
本発明の粘着剤組成物は、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物を必須成分として含む。アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物は、粘着剤組成物において、架橋剤としての機能を果たすものであり、とりわけ熱架橋剤としての機能を果たすものである。すなわち、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物は熱によって、架橋反応を促進させるものであり、具体的には、前記(メタ)アクリル系共重合体に架橋構造を付与することができるものである。
アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物は、例えば、公知のアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネートを広く使用することができる。なお、アダクト型のイソシアネート化合物は、例えば、R´-(OCONH-R-NCO)という構造を有する化合物として知られている。
アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物は、例えば、公知の方法で製造して得ることができ、あるいは、市販品等から入手することも可能である。アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物の市販品としては、旭化成社製「E402-80B」、「E405-80B」等が例示される。
本発明の粘着剤組成物は、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物を含有することで、被着体としてパンチホールなどの微小な空孔を有する偏光板を使用した場合でも、段差追従性をより効果的に高めることができると共に、被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態においても剥がれ及び気泡も生じにくい粘着シートを形成することができる。アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物により形成される架橋構造体は、一般的な熱硬化剤として知られているTDI(トリレンジイソシアネート)やXDI(キシリレンジイソシアネート)よりも架橋点間距離が長く、柔軟なHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系イソシアネート化合物の中でも低温での弾性率が低いことから、段差追従性及び耐久性のさらなる向上がもたらされるものと推察される。
本発明の粘着剤組成物は、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物を熱硬化剤として単独で使用することができ、また、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物と他の熱硬化剤との併用も可能である。他の熱硬化剤は、粘着シートに使用される公知の熱硬化剤を広く例示することができ、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の熱架橋剤を挙げることができる。本発明の粘着剤組成物は、熱硬化剤としてアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のみを含むことが好ましい。
前述のように、本発明の粘着剤組成物において、前記アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、0.01質量部以上、0.4質量部以下である。これにより、粘着剤組成物から得られる粘着シートは、被着体としてパンチホールなどの微小な空孔を有する偏光板を使用した場合でも、段差追従性をより効果的に高めることができると共に、被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態においても剥がれ及び気泡も生じにくい粘着シートを形成することができる。
前記アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、0.03質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.07質量部以上であることがさらに好ましく、0.1質量部以上であることが特に好ましい。また、前記アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、0.35質量部以下であることが好ましく、0.33質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以下であることがさらに好ましく、0.25質量部以下であることが特に好ましい。
(多官能単量体)
本発明の粘着剤組成物は、多官能単量体も含む。多官能単量体は、分子内に反応性官能基、特には重合性官能基を2つ以上有するモノマーである。重合性官能基としては、例えば、公知の重合性官能基を広く挙げることができ、具体的にはアクリロイル基である。
多官能単量体としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,9-ノナンジオール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクレート、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。
多官能単量体は、公知の方法で製造することができ、あるいは、市販品から入手することもできる。市販品の例としては、新中村化学工業社製の「ATM-4P」、「ATM-4PL」、「A-TMM-3L」等、日本化薬社製の「PET-30」、大阪有機化学工業社製の「ビスコート#230」等を挙げることができる。
前述のように、本発明の粘着剤組成物において、前記多官能単量体の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、0.1質量部以上、10質量部以下である。これにより、粘着剤組成物から得られる粘着シートは、後硬化後において十分な耐久性を持ちつつも硬くなり過ぎるのを抑制することができ、被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態で急激な温度変化を伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくい粘着シートを形成することができる。
前記多官能単量体の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましく、3質量部以上であることが特に好ましい。また、前記多官能単量体の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、8質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることがさらに好ましく、5質量部以下であることが特に好ましい。
本発明の粘着剤組成物に含まれる多官能単量体は、1種のみとすることができ、あるいは、2種以上とすることができる。
(自己開裂型光ラジカル重合開始剤)
本発明の粘着剤組成物は、自己開裂型光ラジカル重合開始剤も含む。自己開裂型光ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により、前記多官能単量体及びその他含まれ得る重合性成分の重合反応を開始させることができる。自己開裂型光ラジカル重合開始剤は後記水素引き抜き型光重合開始剤以外である。
ここで、本明細書における「活性エネルギー線」とは電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられる。汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
自己開裂型光ラジカル重合開始剤の種類は特に限定されず、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤、チオキサントン系開始剤、アミン系開始剤、アシルフォスフィンオキシド系開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン等が挙げられる。チオキサントン系開始剤として具体的には、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等が挙げられる。アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4-ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。アシルフォスフィンオキシド系開始剤として具体的には、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド等が挙げられる。
自己開裂型光ラジカル重合開始剤は、例えば、波長220~450nmに吸収波長ピークを有することができる。特に340~390nmに吸収波長ピークを有するものが好ましい。自己開裂型光ラジカル重合開始剤の吸収波長ピークが340nm未満である場合には、適切な増感剤を使用することが好ましい。
前述のように、本発明の粘着剤組成物において、前記自己開裂型光ラジカル重合開始剤の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下である。これにより、粘着剤組成物から得られる粘着シートは、被着体としてパンチホールなどの微小な空孔を有する偏光板を使用した場合でも被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態で急激な温度変化を伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくい粘着シートを形成することができる。
前記自己開裂型光ラジカル重合開始剤の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、0.2質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましい。また、前記自己開裂型光ラジカル重合開始剤の含有量は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、8質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましく、1質量部以下であることが特に好ましい。
自己開裂型光ラジカル重合開始剤は、公知の方法で製造することができ、あるいは、市販品から入手することもできる。市販品の例としては、IGM RESINS B.V製のEsacureOne、Omnirad 184、Omnirad 819、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 379EG、Omnirad TPO、Omnirad TPO H、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02等を挙げることができる。
本発明の粘着剤組成物に含まれる自己開裂型光ラジカル重合開始剤は、1種のみとすることができ、あるいは、2種以上とすることができる。
(その他の光重合開始剤)
本発明の粘着剤組成物は、自己開裂型光ラジカル重合開始剤を所定料含む限り、他の光重合開始剤を含むこともできる。本発明の粘着剤組成物に含まれる光重合開始剤は、自己開裂型光ラジカル重合開始剤のみであってもよい。
本発明の粘着剤組成物が他の光重合開始剤を含む場合、例えば、水素引き抜き型光重合開始剤を挙げることができる。水素引き抜き型光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることにより重合を促進する光重合開始剤である。従って、水素引き抜き型光重合開始剤は、多官能単量体及びその他含まれ得る重合性成分の重合反応を開始させ、そればかりか前記(メタ)アクリル系共重合体に対しても作用して架橋構造を形成させることができる。
水素引き抜き型光重合開始剤の種類は特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、チオキサンソン、2-クロルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2-エチルアンスラキノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン等を挙げることができる。中でも、水素引き抜き型光重合開始剤は、ベンゾフェノン系の光重合開始剤であることが好ましい。ベンゾフェノン系の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン及び2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等を挙げることができる。
水素引き抜き型光重合開始剤は、公知の方法で製造することができ、あるいは、市販品から入手することもできる。市販品の例としては、IGMレジン社製のTZT、MBFやLambson社製の「SPEED CURE MBP」(例えば、「4MBP」等を挙げることができる。
本発明の粘着剤組成物が前記水素引き抜き型光重合開始剤を含む場合、その含有量は前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.3質量部以下が好ましい。これにより、水素引き抜き型光重合開始剤は失活しにくいため、積層体が太陽光などの活性エネルギー線に曝された際に硬化反応が進行し、粘着層の応力緩和性が低下することを防ぐことができる。
(粘着剤組成物)
本発明の粘着剤組成物は、上記のように、(メタ)アクリル系共重合体と、熱架橋剤としてのアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物と、多官能単量体と、自己開裂型光ラジカル重合開始剤とを必須の成分として含む。粘着剤組成物は、その他、必要に応じて、他の成分を含むことができる。他の成分としては、例えば、前述の水素引き抜き型光重合開始剤が挙げられ、その他、重合性二重結合を1個有する単量体又は多量体、重量平均分子量が3万以下の重合体が挙げられる。
すなわち、本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体と、アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物と、多官能単量体と、自己開裂型光ラジカル重合開始剤に加えて、重合性二重結合を1個有する単量体、重合性二重結合を1個有する多量体、及び、重量平均分子量が3万以下の重合体からなる群より選ばれる1種以上をさらに含むこともできる。
前記重合性二重結合を1個有する単量体又は多量体は、アクリル系単官能単量体又はアクリル系単官能多量体であることが好ましい。
アクリル系単官能単量体は、例えば、粘着シートに含まれる公知の単官能モノマーを広く挙げることができ、(メタ)アクリルエステル化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、その他のビニル化合物を挙げることができる。
(メタ)アクリルエステル化合物としては、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、鎖状エーテル構造又は4~6員環の環状エーテル構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。(メタ)アクリルアミド化合物としては、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド等が挙げられる。その他、(メタ)アクリルエステル化合物としては、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドンなどを挙げることができる。前述の鎖状エーテル構造を有する(メタ)アクリレートは、例えば、大阪有機化学工業社製「ビスコート#190」や「2-MTA」が挙げられ、具体的には、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリル系単官能多量体は、例えば、粘着シートに含まれる公知の単官能多量体を広く挙げることができ。重合性二重結合を1個有する多量体としては、大阪有機化学工業社製「ビスコート#190D」や「ビスコート#150D」が挙げられる。
重合性二重結合を1個有する単量体及び重合性二重結合を1個有する多量体が重合してなるホモポリマーのガラス転移点(Tg)は、例えば、0℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-40℃以下が更に好ましい。
本発明の粘着シートが重合性二重結合を1個有する単量体を含む場合、その含有量は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、重合性二重結合を1個有する単量体を30質量部以下含むことが好ましく、20質量部以下含むことがより好ましく、10質量部以下含むことがさらに好ましい。また、本発明の粘着シートが重合性二重結合を1個有する多量体を含む場合、その含有量は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対し、重合性二重結合を1個有する多量体を30質量部以下含むことが好ましく、20質量部以下含むことがより好ましく、10質量部以下含むことがさらに好ましい。
本発明の粘着剤組成物に含まれる重合性二重結合を1個有する単量体及び重合性二重結合を1個有する多量体はいずれも1種のみとすることができ、あるいは、2種以上とすることができる。
本発明の粘着シートが重量平均分子量3万以下の重合体を含む場合、斯かる重合体として、重量平均分子量が3万以下の重合体がアクリル系重合体を挙げることができる。重量平均分子量3万以下の重合体の重量平均分子量は500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、2000以上であることがさらに好ましく、また、2万以下であることが好ましい。
重量平均分子量3万以下の重合体のガラス転移点(Tg)は、例えば、0℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-40℃以下が更に好ましい。
重量平均分子量3万以下の重合体の例として、東亞合成社の無官能アクリルポリマー「ARUFON UP-1000」シリーズ、東亞合成社のOH基含有ポリマー「ARUFON UH-2000」シリーズ、東亞合成社のCOOH基含有ポリマー「ARUFON UC-3000」シリーズが挙げられる。
本発明の粘着シートが重量平均分子量3万以下の重合体を含む場合は、粘着シートに可塑効果をもたらすことができる。
本発明の粘着シートが重量平均分子量3万以下の重合体を含む場合、その含有量は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して30質量部以下含むことが好ましく、20質量部以下含むことがより好ましく、10質量部以下含むことがさらに好ましい。
本発明の粘着剤組成物に含まれる重量平均分子量3万以下の重合体は、1種のみとすることができ、あるいは、2種以上とすることができる。
本発明の粘着剤組成物は、塗布性を向上させる観点から、溶剤を含むことができる。すなわち、本発明の粘着剤組成物は、溶液又は分散液とすることができる。
溶剤としては、例えば、従来の粘着剤組成物に含まれる溶剤を広く挙げることができ、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物が溶剤を含む場合、その含有量は特に限定されず、例えば、粘着剤組成物の全質量に対して、90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。粘着剤組成物に含まれる溶剤は、1種のみとすることができ、あるいは、2種以上とすることができる。
上記の他、本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を含むことができる。添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。
本発明の粘着剤組成物を用いることで、後記するように粘着シートを形成することができる。本発明の粘着剤組成物は、上記のように構成されていることで、被着体としてパンチホールなどの微小な空孔を有する偏光板を使用した場合でも、段差追従性をより効果的に高めることができると共に、被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態で急激な温度変化を伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくい粘着シートを形成することができる。
従って、本発明の粘着剤組成物は、パンチホールなどの微小な空孔を有する偏光板用の粘着シートを製造するための組成物(原料)として好適に使用することができる。
2.粘着シート
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤組成物の半硬化物を含む粘着剤層を備えることができる。つまり、本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤組成物を用いて形成することができるものである。
粘着剤組成物の半硬化物とは、粘着剤組成物の固形分で形成されるものであって、例えば、活性エネルギー線硬化能を有する粘着剤組成物の塗膜や乾燥物である。当該半硬化物は、例えば、熱架橋剤による架橋反応が進行したものであってもよく、つまり、半硬化物には、前記(メタ)アクリル系共重合体の架橋構造体が含まれる。粘着剤組成物の半硬化物は、前記(メタ)アクリル系共重合体の架橋構造体の他、自己開裂型光ラジカル重合開始剤、多官能単量体を含むことができ、その他、必要に応じて前述の水素引き抜き型光重合開始剤、重合性二重結合を1個有する単量体、重合性二重結合を1個有する多量体、重量平均分子量が3万以下の重合体等を含むことができる。
つまり、本発明の粘着シートの粘着剤層は、前記(メタ)アクリル系共重合体の架橋構造体の他、自己開裂型光ラジカル重合開始剤、多官能単量体を含むことができ、その他、必要に応じて、水素引き抜き型光重合開始剤、重合性二重結合を1個有する単量体、重合性二重結合を1個有する多量体及び重量平均分子量が3万以下の重合体等のいずれか1種以上を含むことができる。粘着剤層に含まれる各成分の含有割合は、粘着剤組成物に含まれる各成分の含有割合に応じて決まるものである。
粘着剤層は、前記半硬化物のみで形成することができ、また、粘着シートは、前記粘着剤層のみで形成することができる。
本発明の粘着シートは、片面粘着シートであってもよいし、両面粘着シートであってもよい。また、本発明の粘着シートは、片面又は両面に剥離シートが設けられていてもよい。剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用され得る。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-4527、SD-7220等や、信越化学工業(株)製のKS-3600、KS-774、X62-2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO単位と(CHSiO1/2単位あるいはCH=CH(CH)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-843、SD-7292、SHR-1404等や、信越化学工業(株)製のKS-3800、X92-183等が挙げられる。
剥離性積層シートとして、市販品を用いてもよい。例えば、東洋紡(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである重セパレータフィルムや、東洋紡(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである軽セパレータフィルムを挙げることができる。
本発明の粘着シートは、剥離力が互いに異なる1対の剥離シートを有することが好ましい。一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シートだけを先に剥離することが容易となる。
本発明の粘着シートは前記粘着剤層を備えるものであり、斯かる粘着剤層には、多官能単量体と、光重合開始剤(特には、自己開裂型光ラジカル重合開始剤)が含まれるので、粘着剤層に活性化エネルギー線を照射することで、さらに硬化反応が進行する。すなわち、本発明の粘着シートは、いわゆる後硬化性を有する。従って、被着体どうしを本発明の粘着シートで貼り合わせた形成した積層体に、紫外線等の活性エネルギー線を照射することで、後硬化が進行する。これにより、被着体どうしがより強固に接着される。
本発明の粘着シートを後硬化する方法は特に限定されず、例えば、公知の方法を広く採用することができる。例えば、後記する積層体に活性エネルギー線を照射する方法によって、後硬化することができる。
特に本発明の粘着シートは、前述の粘着剤組成物から形成されるので、被着体としてパンチホールなどの微小な空孔を有する偏光板を使用した場合でも、段差追従性をより効果的に高めることができると共に、被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態で急激な温度変化を伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくい。従って、本発明の粘着シートは、パンチホールなどの微小な空孔を有する偏光板用として好適に使用することができる。
本発明の粘着シートの厚みは特に限定されず、使用目的に応じて適宜の範囲とすることができ、例えば、5~500μmであることが好ましく、30~300μmであることがより好ましく、50~200μmであることがさらに好ましい。粘着シートの厚みを上記範囲内とすることにより、段差追従性と耐久性を十分に高めることができる。
本発明の粘着シートの後硬化前のゲル分率は、例えば、20%以下であり、10%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、6%以下であることがさらに好ましく、5%以下であることが特に好ましい。後硬化前のゲル分率の下限値は特に限定的ではなく、例えば0%であってもよい。光架橋前の粘着シートのゲル分率を上記範囲内とすることにより、段差追従性に優れた粘着シートとすることができる。なお、粘着シートのゲル分率とは詳しくは後硬化前のゲル分率(いわば初期のゲル分率)を意味する。
粘着シートの後硬化前のゲル分率は、以下の方法で測定した値である。まず、粘着シート(粘着剤層のみ)約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうする。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥重量W(g)を測定する。得られた乾燥重量から下記式
ゲル分率(%)=(乾燥質量W/粘着シートの採取質量)×100
から算出される値をゲル分率(%)とする
本発明の粘着シートの後硬化の処理をした後のゲル分率は、例えば、5%以上になることが好ましく、10%以上になることがより好ましく、15%以上になることがさらに好ましく、20%以上になることが特に好ましい。ここでいう後硬化処理は、照度150mW/cmの紫外線LEDランプ(365nm)を用いて積算光量が3000mJ/cmとなるように粘着シートに光照射することを意味する。
本発明の粘着シートを後硬化の処理をした後、速度1000mm/minで引張伸び率が500%となるまで引っ張った際の応力値は、0.5N/mm以下であることが好ましく、0.4N/mm以下であることがより好ましく、0.35N/mm以下であることがさらに好ましい。これにより、被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態においても剥がれ及び気泡も生じにくくなる。ここでいう後硬化処理は、照度150mW/cmの紫外線LEDランプ(365nm)を用いて積算光量が3000mJ/cmとなるように粘着シートに光照射することを意味する。
本発明の粘着シートを前記後硬化処理した後、速度1000mm/minで引張試験を行った場合の破断点伸度は、700%以上であることが好ましい。これにより、被着体どうしを貼り合わせてから後硬化した状態で急激な温度変化を伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくくなる。
3.粘着シートの製造方法
本発明の粘着シートの製造方法は特に限定されず、例えば、公知の製造方法を広く採用することができる。例えば、前述の本発明の粘着剤組成物を用いて本発明の粘着シートを製造することができる。
例えば、本発明の粘着剤組成物を基材上に塗工して塗膜を形成することで粘着剤層を形成することができる。このように形成される粘着剤層を、そのまま粘着シートとして得てもよい。粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
粘着剤組成物の塗工後の厚みも特に制限されず、目的とする粘着剤層の厚みに応じて適宜設定することができる。粘着剤組成物が後記する溶剤を含む場合は、適宜の方法で溶剤を除去することができる。
粘着剤組成物を塗工するにあたって、使用する基材は、特に限定されない。例えば、粘着剤組成物は、樹脂製の基材、ガラス製の基材等の各種基材に塗工することができる。基材が前記した剥離シートである場合、この剥離性積層シート上に粘着剤組成物を塗工することもでき、また、粘着剤組成物は接着対象とする部材上に直接塗工することもできる。
基材が前記した剥離シートである場合は、前述の片面に剥離シートを有する粘着シートを得ることができる。また、片面に剥離シートを有する粘着シートの粘着面を、剥離性が同じ又は異なる剥離シートで保護することで、両面に剥離シートを有する粘着シートを得ることができる。
4.積層体
本発明の積層体は、前記粘着シートを備える。例えば、積層体は第1の被着体と、粘着シートと、第2の被着体とがこの順に積層した構造を有する。積層体において、粘着シートは、例えば、粘着剤層のみである。粘着シートを被着体に貼り合わせる方法は特に限定されず、例えば、ロール貼合方法、真空貼合方法等の公知の方法を採用できる。
本発明の積層体の製造において、第1の被着体、粘着シート及び第2の被着体貼り合わせた後、加熱処理を行うことができ、あるいは、第1の被着体、粘着シート及び第2の被着体貼り合わせた後、活性エネルギー線を照射する前に脱泡処理してから加熱処理を行うこともできる。加熱処理及び脱泡処理の方法は特に限定されず、例えば、公知の条件と同様とすることができる。
本発明の積層体において、粘着シートは後硬化性を有するので、例えば、活性エネルギー線を照射することで、粘着シート(粘着剤層)の硬化反応が進行し、これにより、第1の被着体及び第2の被着体が粘着シートに強固に接着する。活性エネルギー線を照射する方法は特に限定されず、例えば、公知の方法と同様の方法を広く採用できる。また、積層体への活性エネルギー線の照射は、被着体が活性エネルギー線を透過する限り、第1の被着体及び第2の被着体のどちら側からも行うことができる。
第1の被着体及び第2の被着体は、凸部及び凹部から選択される少なくとも1種を有していてもよい。また、第1の被着体及び第2の被着体は、それぞれ光学部材であることが好ましい。光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材を挙げることができる。
タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等を使用した樹脂板、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。第1の被着体及び第2の被着体は、透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、樹脂板、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルムを適用できる。
画像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置に用いられる反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。中でも、第1の被着体はガラスもしくはポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートを使用したタッチパネルであり、第2の被着体は偏光板や有機ELディスプレイ等の画像表示装置を適用できる。
特に、本発明の積層体は前述の粘着シートを備えるものであるので、第1の被着体及び第2の被着体の一方又は両方は、パンチホールなどの微小な空孔を有する被着体であっても良く、パンチホールなどの微小な空孔を有する偏光板用であってもよい。
積層体に照射する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられ、中でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
本発明の積層体は、自己開裂型光ラジカル重合開始剤を所定量含む粘着シートを備えることから、LEDランプ(例えば、365nm)を使用したとしても反応性が高く、積層体において後硬化が進行しやすい。従って、本発明の積層体に対しては、例えば、従来の高圧水銀やメタルハライドUVランプを使用できることに加えて、LEDランプも使用できるので、積層体の製造がしやすく、導入コストも抑えられる。すなわち、本発明の粘着シートを備える積層体は、後硬化に使用するランプの種類によらず、安定した性能を有することができる。
本発明の積層体は、段差追従性に優れ、また、粘着シートを後硬化した状態に急激な温度変化に伴う条件においても剥がれ及び気泡も生じにくい。従って、本発明の積層体は、段差追従性及び耐久性に優れるものである。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
下記に示す原料(具体的に、(メタ)アクリル系共重合体、熱架橋剤、多官能単量体、重合性二重結合を1個有する単量体、重合性二重結合を1個有する多量体、自己開裂型光ラジカル重合開始剤、水素引き抜き型光重合開始剤、重量平均分子量が3万以下の重合体)の中から各成分を選択して、粘着シートを製造した。
(原料)
<(メタ)アクリル系共重合体>
・OP-9200-3:アイカ工業社「OP-9200-3」(Mw=41万、Tg=-48℃、固形分濃度40質量%の酢酸エチル溶液)
・OP-9200-27:アイカ工業社「OP-9200-27」(Mw=60万、Tg=-48℃、固形部濃度30%の酢酸エチル溶液)
<熱架橋剤>
アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物
・E402-80B:旭化成社「E402-80B」(アダクト型HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート))
・E405-70B:旭化成社「E405-80B」(アダクト型HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート))
その他熱架橋剤
・コロネートHX:東ソー社「コロネートHX」(イソシアヌレート型HDI)
・コロネートL-55E:東ソー社「コロネートL-55E」(TDI(トリレンイソシアネート)のTMP(トリメチロールプロパン)アダクト体)
・コロネート2793:東ソー社「コロネート2793」(アロファロネート型HDI)
<多官能単量体>
・ATM-4PL:新中村化学工業社「ATM-4PL」(プロポキシ化ペンタエリスリトールトリおよびテトラアクリレート)
・ATM-4P:新中村化学工業社「ATM-4P」(プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート)
・ビスコート#230:大阪有機化学工業社「ビスコート#230」(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート)
<重合性二重結合を1個有する単量体・多量体>
・ビスコート#190D:大阪有機化学工業社「ビスコート#190D」(エトキシエトキシエタノール アクリル酸多量体エステル、Tg<-50℃)
・IDAA:大阪有機化学工業社「IDAA」(イソデシルアクリレート、Tg=-62℃)
・ビスコート#190:大阪有機化学工業社製「ビスコート#190」(エトキシエトキシエチルアクリレート、Tg=-67℃)
<重量平均分子量が3万以下の重合体>
・UP-1000:東亞合成社「UP-1000」(無官能アクリルポリマー、Mw=3000、Tg=-77℃)
<自己開裂型光ラジカル重合開始剤>
・Omn.TPO:IGMレジン社「Omnirad TPO(2,4,6-trimethylbenzoyl-diphenyl phosphine oxide)
・Omn.127:IGMレジン社「Omnirad 127(2-hydroxy-1-(4-(4-(2-hydroxy-2-methylpropionyl)benzyl)phenyl)-2-methylpropan-1-one)
<水素引き抜き型光重合開始剤>
・4MBP:Lambson社製「Speed cure MBP(4-メチルベンゾフェノン)
(実施例1~9及び比較例1~8)
粘着剤組成物の調製
後掲の表1及び表2に示す配合に従って、粘着剤組成物を作製した。具体的には、表1に示すように、前述の原料の中から配合に必要な成分を選択して所定量を配合して粘着剤組成物を作製した。なお、表1中の配合量はいずれも固形分換算量(質量部)を示す。
剥離シート付き両面粘着シートの作製
得られた粘着剤組成物を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の剥離シート)(王子エフテックス社製:38RL-07(2))の表面に、乾燥後の塗工膜厚が100μmになるようにアプリケーターで均一に塗工した。その後、100℃の空気循環式恒温オーブンで10分間乾燥し、第1の剥離シートの表面に粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に厚さ38μmの第2の剥離シート(王子エフテックス社製:38RL-07(L))を貼合して、粘着剤層が剥離力差のある1対の剥離シートに挟まれた第1の剥離シート/粘着剤層/第2の剥離シートの構成を備える剥離シート付き両面粘着シートを得た。
(評価)
<ゲル分率(後硬化前)>
実施例及び比較例で得られた剥離シート付き両面粘着シートから、粘着シートを剥がし、粘着シート(粘着剤層のみ)約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうした。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥重量W(g)を測定した。得られた乾燥重量から下記式
ゲル分率(%)=(乾燥質量W/粘着シートの採取質量)×100
から算出される値を後硬化前の粘着シートのゲル分率とした。
<ゲル分率(後硬化後)>
実施例及び比較例で得られた剥離シート付き両面粘着シートの第2の剥離シート側から照度150mW/cmの紫外線LEDランプ(365nm)を用いて積算光量が3000mJ/cmとなるように光照射することで粘着シートを後硬化させた粘着シート約0.1gをサンプル瓶に採取したこと以外は、ゲル分率(後硬化前)と同様の方法でゲル分率を計測した。
<引張応力及び破断点伸度(後硬化後)>
実施例及び比較例で得た剥離シート付き両面粘着シートを縦50mm、横(幅方向)75mmとなるように切り出した。切り出した剥離シート付き両面粘着シートの第2の剥離シート側から照度150mW/cmの紫外線LEDランプ(365nm)を用いて積算光量が3000mJ/cmとなるように紫外線を照射した後に、次いで、第2の剥離シートを剥離し、粘着シートのみを幅方向に丸め、円柱状サンプルとした。円柱状サンプルの上端及び下端のそれぞれ10mmまでの領域を、厚み188μm、縦25mm、横50mmのPETフィルム2枚(合計4枚)で挟みこみ、この領域を引張試験機のチャック部分とし、チャック間距離が30mmとなるように固定した。その後、測定温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張速度1000mm/分の条件で破断するまで引っ張った。この際に500%引っ張り時の応力と破断時の伸び率を測定した。
<貯蔵弾性率(後硬化後)>
実施例及び比較例で得られた剥離シート付き両面粘着シートの第2の剥離シート側から照度150mW/cmの紫外線LEDランプ(365nm)を用いて積算光量が3000mJ/cmとなるように紫外線を照射した後、第2の剥離シートを剥離した2枚を重ね合わせることで厚さ200μmの後硬化後の測定用サンプルを作製した。このサンプルを用いて、動的粘弾性装置Rheogel―E4000(株式会社ユービーエム製)を用いて、固体剪断モード、周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分の条件で、10℃~85℃までの温度領域における粘着剤層の剪断貯蔵弾性率G’を測定した。
<段差追従性及び耐久性>
積層体の作製
ガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インクを塗布厚が5μmになるように額縁状(縦90mm×横50mm、幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射して印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させた。この工程を所定の回数繰り返し、50μmの厚みの段差部を有する印刷段差ガラス(第1の被着体)を得た。一方、偏光板と糊の総厚みが80μmの粘着層付偏光板(サムスンSDI社製偏光板:「2144」)を縦90mm×横50mmに裁断した。次いで、上端から15mm、左端から10mmの位置に直径4mmの円形の穴をあけた後、上記とは別のガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)に貼合することにより穴あき偏光板付ガラス板(第2の被着体)を得た。
次いで、実施例及び比較例で得られた剥離シート付き両面粘着シートを、縦94mm×横54mmの形状に裁断し、第2の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO-650EMT)を用いて、粘着シート(粘着剤層)が第1の被着体の額縁印刷の各辺に2mm重なった状態で、額縁印刷内側全面を覆うように貼合した。その後、第1の剥離シートを剥離し、表出した粘着シート(粘着剤層)に、真空貼合機(常陽工学社製:真空重ね合せ装置(JE2020B-MVH))を用いて穴あき偏光板付ガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の偏光板側を貼合した。この際の貼合条件は、40℃、弱加圧力0.6kN、強加圧力1.2kN、真空圧100Pa、加圧保持時間10秒とした。次いで、脱泡処理(オートクレーブ処理:60℃、0.5MPa、30分間)を実施した。その後、印刷段差ガラス側から照度150mW/cmの紫外線LEDランプ(365nm)を用いて、積算光量が3000mJ/cmとなるように紫外線を照射し、積層体を得た。
段差追従性
後記する耐久性試験前の積層体の印刷段差部をマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、以下の基準で評価した。
○:段差貼合面に気泡が見られず、段差が完全に埋まっている状態であり、段差追従性に優れる。
×:段差貼合面に気泡が見られ、段差が埋まっていない状態であった。
<耐久性(TS耐久性)>
前記積層体を熱衝撃試験機に仕掛け、80℃で30分の処理及び-40℃で30分の処理からなるサイクルを計100回実施した。このように処理した積層体において、第2の被着体が有するホールに気泡が生じていないかをマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、以下の基準で耐久性(TS耐久性)を評価した。
○:気泡の発生がまったく無く、耐久性に優れるものであった。
×:気泡がパンチホール内縁に沿って発生していた。
××:気泡がパンチホールの縁を跨いで発生しているか、パンチホールの中心に伸びるように気泡が発生していた。
(評価結果)
表1及び2には、粘着シートを製造するために使用した粘着剤組成物の成分割合、及び、得られた粘着シートの評価結果を示している。各実施例で得られた粘着シートは、段差追従性に優れ、貼り合わせてから後硬化した状態においても剥がれ及び気泡も生じにくいものであった。従って、各実施例で得られた粘着シートは、段差追従性及び耐久性に優れるものであった。これに対し、比較例の粘着シートでは、段差追従性及び耐久性の一方又は両方が劣るものであった。
以上より、重量平均分子量が30万~50万の(メタ)アクリル系共重合体とアダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物と、多官能単量体と、自己開裂型光ラジカル重合開始剤とが所定量で含まれる粘着剤組成物は、段差追従性及び耐久性に優れる粘着シートを形成することができることがわかった。
Figure 2023084557000001
Figure 2023084557000002

Claims (7)

  1. 重量平均分子量が30万~50万の(メタ)アクリル系共重合体と、
    アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物と、
    多官能単量体と、
    自己開裂型光ラジカル重合開始剤と、
    を少なくとも含む粘着剤組成物であって、
    前記アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート化合物は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.01質量部以上、0.4質量部以下含まれており、
    前記自己開裂型光ラジカル重合開始剤は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下含まれており、
    前記多官能単量体は、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下含まれている、粘着剤組成物。
  2. 重合性二重結合を1個有する単量体又は多量体、及び、重量平均分子量が3万以下の重合体からなる群より選ばれる1種以上をさらに含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記重合性二重結合を1個有する単量体又は多量体が、アクリル系単官能単量体又はアクリル系単官能多量体である、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記重量平均分子量が3万以下の重合体がアクリル系重合体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  5. 水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤の含有量が前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.3質量部以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物の半硬化物を含む粘着剤層を備える、粘着シート。
  7. 請求項6に記載の粘着シートを備える、積層体。
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