JP2023084362A - 金属皮膜の成膜装置 - Google Patents

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Keiji Kuroda
春樹 近藤
Haruki Kondo
和昭 岡本
Kazuaki Okamoto
連太郎 森
Rentaro Mori
博 柳本
Hiroshi Yanagimoto
功二 稲垣
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Abstract

【課題】金属皮膜の成膜不良の発生を抑制することができる金属皮膜の成膜装置を提供する。【解決手段】成膜装置1の陽極11は、金属皮膜と同じ金属からなり、めっき液Lに対して可溶性を有した陽極である。成膜装置1は、収容体15に対して陽極11を移動させることにより、電解質膜13に接触した状態の基材(陰極)Wと陽極11との極間距離を調整する調整装置73と、調整装置73による陽極11の移動量を制御する制御装置60と、をさらに備えている。制御装置60は、成膜時における基材と陽極11との極間距離Dを推定する極間距離推定部64と、極間距離Dが所定の範囲内に収まるように、推定した極間距離Dから陽極11の移動量を算出する移動量算出部65と、移動量で陽極11が移動するように、調整装置73を制御する調整実行部66と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、基材の表面に金属皮膜を成膜する成膜装置に関する。
この種の技術として、たとえば、特許文献1には、基材の表面に金属皮膜を成膜する成膜装置が提案されている。この成膜装置は、陽極と、陽極と基材(陰極)との間に配置される電解質膜と、陽極と基材との間に電圧を印加する電源部と、を備えている。成膜装置は、陽極と電解質膜との間に、これらに接触するように、めっき液を収容する収容体をさらに備えている。
特開2016-169399号公報
しかしながら、特許文献1に示す成膜装置において、陽極が、金属皮膜と同じ金属からなり、めっき液に対して可溶性を有する場合には、金属皮膜の成膜回数に応じて、陽極が消費されることになる。このような陽極の消費により、陽極と陰極(基材)との極間距離が大きくなってしまう。これにより、陰極の端部に電流が集中したり、陽極の溶け出しによるイオン供給のための拡散抵抗が上昇したりして、均質な金属皮膜を成膜することができず、金属皮膜の成膜不良が生じることが想定される。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属皮膜の成膜不良の発生を抑制することができる金属皮膜の成膜装置を提供することである。
前記課題を鑑みて、本発明に係る金属皮膜の成膜装置は、陽極と、前記陽極と陰極を有した基材との間に配置される電解質膜と、前記陽極およびめっき液を収容し、前記基材側に開口した開口部を前記電解質膜で封止した収容体と、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備え、前記陰極に前記電解質膜を接触させた状態で、前記電圧の印加により前記めっき液の金属イオンに由来した金属皮膜を、前記基材の表面に成膜する成膜装置であって、前記陽極は、前記金属皮膜と同じ金属からなり、前記めっき液に対して可溶性を有した陽極であり、前記成膜装置は、前記収容体に対して前記陽極を移動させることにより、前記電解質膜に接触した状態の前記陰極と前記陽極との極間距離を調整する調整装置と、前記調整装置による陽極の移動量を制御する制御装置と、をさらに備えており、前記制御装置は、成膜時における前記陰極と前記陽極との極間距離を推定する極間距離推定部と、前記極間距離が所定の範囲内に収まるように、推定した前記極間距離から前記陽極の移動量を算出する移動量算出部と、前記移動量で前記陽極が移動するように、前記調整装置を制御する調整実行部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、成膜時に、基材に電解質膜を接触させた状態で、陽極と基材との間に、電圧を印加すると、収容体内のめっき液の金属イオンが、電解質膜を介して基材側に移動する。基材の表面から、金属イオンに電子が授与されると、基材の表面にめっき液の金属イオンに由来した金属が析出し、この析出した金属からなる金属皮膜を、基材の表面に成膜することができる。
ここで、陽極を有した可溶性の陽極であるので、成膜時に、この陽極を構成する金属が、めっき液に溶解するため、金属皮膜を成膜するに従って、陽極の金属が消費される。この結果、陽極の厚みが減少し、陽極と基材との極間距離が拡がってしまう。そこで、本発明によれば、制御装置は、成膜時における陰極と陽極との極間距離を推定し、極間距離が所定の範囲内に収まるように、陽極の移動量を算出し、調整装置を制御することにより、算出した移動量で陽極を陰極側に近づけることができる。これにより、陽極と陰極との間の極間距離を所定の範囲内に収めることができるため、陽極から陰極に電流を安定して流すとともに、陽極から溶解する金属イオンの拡散も安定させることができる。このような結果、金属皮膜を安定して成膜することができる。
好ましい態様としては、前記極間距離推定部は、前記電源部による電圧の印加により、前記陽極から前記基材に通電された電流値から、時間経過に応じて積算した積算電流量を算出し、前記積算電流量に基づいて、前記極間距離を推定する。
この態様によれば、陽極の消費量は、時間経過に応じて積算した積算電流量に相当するので、直接、陽極の厚さなどを測定するなどして、陽極の消費量を測定することなく、陽極と陰極の極間距離を推定することができる。
さらに、別の好ましい態様としては、前記成膜装置は、前記収容体の特定の位置を基準として、前記陰極と対向する前記陽極の対向面の変位量を測定する変位計をさらに備えており、前記極間距離推定部は、前記変位量に基づいて、前記極間距離を推定する。
この態様によれば、変位計により、陰極と対向する陽極の対向面の変位量を測定することで、陽極の対向面側の厚みの減少を直接的に捉えることができるため、陽極と陰極の極間距離をより正確に推定することができる。
本発明によれば、金属皮膜の成膜不良の発生を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る金属皮膜の成膜装置の模式的断面図である。 図1に示す制御装置の制御ブロック図である。 図1に示す成膜装置の模式的断面図であり、成膜時の状態を示すものである。 図1に示す成膜装置の制御フロー図である。 積算電流量と極間距離のとの関係を示した図である。 本発明の第2実施形態に係る金属皮膜の成膜装置の模式的断面図である。 図6に示す成膜装置の模式的断面図であり、成膜時の状態を示すものである。 レーザ変位計およびマイクロメータを用いて測定した陽極の厚み(厚み比)と、処理回数との関係を示したグラフである。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る金属皮膜の成膜装置について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る金属皮膜の成膜装置1の模式的断面図である。図2は、図1に示す制御装置の制御ブロック図であり、図3は、図1に示す成膜装置の模式的断面図であり、成膜時の状態を示すものである。
図1および図3に示すように、成膜装置1は、陽極11と、陽極11と基材Wとの間に配置される電解質膜13と、陽極11およびめっき液Lを収容し、基材W側に開口した開口部15gを電解質膜13で封止した収容体15と、を備えている。成膜装置1は、陽極11と陰極となる基材Wとの間に電圧を印加する電源部19をさらに備えており、この他にも、成膜装置1は、必要に応じて、基材Wを載置する載置台20と、昇降装置70と、をさらに備えていてもよい。
成膜装置1は、載置台20に載置した基材Wに対して、電解質膜13を接触させた状態で、電源部19により、陽極11と基材Wとの間に電圧を印加して、金属皮膜を基材Wの表面waに成膜する装置である。成膜時には、めっき液Lから電解質膜13の内部に含有された金属イオンが基材Wの表面waで還元されて、金属イオンに由来の金属が析出し、析出した金属により金属皮膜が形成される。
基材Wは陰極として機能するものである。基材Wの材料は、陰極(すなわち導電性を有した表面)として機能するものであれば特に限定されるものではなく、アルミニウム、鉄等の金属材料からなってもよく、樹脂、セラミックス等の表面に、銅、ニッケル、銀、または鉄などの金属層が被覆されていてもよい。本実施形態では、基材Wの表面waのうち、陽極11と対向し、陽極11との間で、電源部19により電圧が印加される表面が、陰極である。たとえば、基材Wの表面waの全体に金属皮膜が成膜される場合には、この表面が陰極であり、極間距離Dとは、陽極11の表面と、基材Wのうち、陽極11と対向する表面waとの距離のことをいう。
載置台20は、導電性を有した材料からなり、基材Wが電解質膜13に対向するように、収容体15の下方に配置されている。基材(具体的には、陰極)Wは、載置台20を介して電源部19の負極に電気的に接続されている。載置台20は絶縁性を有する材料からなる場合には、基材Wに電源部19の負極が、配線を介して直接接続されていてもよい。
陽極11は、基材Wの成膜領域に応じた形状となっている。基材Wの成膜領域とは、陽極11と対向する基材Wの表面waの部分を意味する。陽極11は、金属皮膜の金属と同じ金属からなる非多孔質(たとえば無孔質)の陽極であり、ブロック状または平板状の陽極である。陽極11は、金属皮膜と同じ金属からなり、めっき液Lに対して可溶性を有した陽極である。
陽極11の材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、または錫などを挙げることができる。本実施形態では、電源部19を用いて電圧を印加することにより陽極11が溶解するものであれば、特に限定されるものではない。陽極11は、例えば絶縁性の材料から形成された収容体15に取り付けられており、電源部19の正極に電気的に接続されている。
めっき液Lは、上述したように成膜すべき金属皮膜の金属をイオンの状態で含有している液であり、その金属としては、銅、ニッケル、銀、または錫などを挙げることができる。めっき液Lは、これらの金属を、硝酸、リン酸、コハク酸、硫酸ニッケル、またはピロリン酸などの酸で溶解(イオン化)した水溶液である。たとえば、金属がニッケルの場合には、めっき液Lとしては、たとえば、硝酸ニッケル、リン酸ニッケル、コハク酸ニッケル、硫酸ニッケル、またはピロリン酸ニッケルなどの水溶液を挙げることができる。また、たとえば金属が銅の場合には、めっき液Lとしては、硫酸銅、ピロリン酸銅などを含む水溶液を挙げることができる。
電解質膜(固体電解質膜)13は、上述しためっき液Lに接触させることにより、金属イオンを内部に含浸(含有)することができる膜であり、可撓性を有した膜である。電解質膜13は、電源部19により電圧を印加したときに基材Wにおいて金属イオンが還元され、金属イオン由来の金属が析出することができるのであれば、特に限定されるものではない。電解質膜13の材質としては、たとえばデュポン社製のナフィオン(登録商標)などのフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸樹脂、旭硝子社製のセレミオン(CMV、CMD、CMFシリーズ)などのイオン交換機能を有した樹脂を挙げることができる。
図1に示すように、収容体15は、めっき液Lに対して不溶性の材料からなり、収容体15には、陽極11および電解質膜13が取り付けられている。収容体15の内部には、収容体15の側壁、陽極11、および電解質膜13によって、めっき液Lを収容する収容空間Sが形成されている。収容体15の内部において、陽極11が取り付けられており、陽極11と対向する位置には、基材Wの側に開口した開口部15gが形成されている。開口部15gは下方に向かって開口しており、この開口部15gを封止するように、電解質膜13が取り付けられている。本実施形態では、電解質膜13の周縁は、収容体15の本体15aと枠体15bに、挟み込まれることにより、収容体15に取り付けられている。陽極11と電解質膜13とは、互いに離間して配置されて非接触状態にあり、これらの間の収容空間Sにはめっき液Lが充填される。このように、収容体15は、収容空間Sに収容されためっき液Lが陽極11および電解質膜13に直接接触する構造となっている。
さらに、収容体15には、めっき液Lを収容空間Sに供給する供給流路15cと、めっき液Lを収容空間Sから排出する排出流路15dとが形成されている。供給流路15cおよび排出流路15dは、収容空間Sに連通する孔であり、収容空間Sを挟んで形成されている。成膜装置1は、供給流路15cの上流側に(たとえば、めっき液Lを収容するタンクTに)加熱装置(図示せず)を有してもよい。
昇降装置70は、電解質膜13と基材Wが接離自在となるように、収容体15および載置台20の少なくとも一方を昇降させる。本実施形態では、載置台20が固定されており、収容体15が昇降装置70により昇降する。図1および図3に示すように、昇降装置70は、収容体15の上部に設けられている。昇降装置70は、たとえばサーボモータなどのモータの回転を、直線運動に変換する公知の電動アクチュエータであってもよい。直線運動により、電解質膜13を基材Wに接離させることができるのであれば、昇降装置70は、載置台20に設けられていてもよく、油圧式または空気式のシリンダなどであってもよい。
本実施形態では、昇降装置70のうち、本体71は、成膜装置1を収容するハウジング(図示せず)に固定されており、本体71に対して直動するロッド72の先端部分が、収容体15に取り付けられている。これにより、収容体15は、昇降装置70を介して吊下げられた状態となり、収容体15は、載置台20に対して、移動可能になる。
本実施形態では、ロッド72には、収容体15に対して陽極11を移動させることにより、電解質膜13に接触した状態の陰極(基材W)と陽極11との極間距離Dを調整する調整装置73が取り付けされている。調整装置73は、ロッド72に固定される本体74と、本体74に対して、直動することにより、伸縮自在となるロッド75と、を備えている。調整装置73は、昇降装置70と同様の機構であり、たとえばサーボモータなどのモータの回転を、直線運動に変換する公知の電動アクチュエータである。
以下に、成膜装置1にめっき液Lを循環させるための循環機構と、制御装置60について説明する。成膜装置1は、循環機構として、収容体15に接続されて、収容体15から排出されためっき液Lを収容するタンク17と、タンク17に接続されて、タンク17のめっき液Lを収容体に圧送するポンプ(圧送装置)18とを備えている。成膜装置1は、収容体15とタンク17との間には、収容体15から排出されためっき液Lの液圧を調節する圧力調整弁31をさらに備えている。
タンク17から、ポンプ18を介して、供給流路15cまでの経路が、めっき液Lを収容体15に供給する供給ルート41である。排出流路15dから、圧力調整弁31および濾過器51を介して、タンク17までの経路が、めっき液Lをタンク17に排出する排出ルート42である。
供給ルート41と排出ルート42を含む循環機構により、タンク17で、金属イオンの濃度が所定の濃度に調整されためっき液Lを、収容空間Sに供給するとともに、収容空間Sで成膜時に使用されためっき液Lを、タンク17へ戻すことができる。
入れ替え機構53Aは、収容体15に収容されためっき液Lを大気に入れ替える機構であり、収容体15に収容されためっき液Lをタンク17に戻すとともに、収容体15に大気を導入する機構である。本実施形態では、収容体15の供給流路15cに、大気を圧送するエアポンプ53が接続されており、入れ替え機構53Aは、エアポンプ53と、エアポンプ53と収容体15の供給流路15cを接続する配管で構成されている。なお、収容体15に収容された大気は、ポンプ18によりめっき液Lに入れ替えられる。図1等では、排出流路15dは、陽極11の近傍に形成されているため、大気の流れにより収容空間Sのめっき液Lの大半を押し出すが、電解質膜13の近傍において、排出流路15dを、収容空間Sに接続することにより、収容空間S内のめっき液Lの大半を、大気と入れ替えてもよい。
本実施形態では、入れ替え機構53Aにエアポンプ53を設けることにより、めっき液Lと大気とを入れ替えた。しかしながら、これに限定されず、たとえば、排出ルートにリリーフ弁を設け、ポンプ18を逆回転させることにより、収容体15からめっき液Lを吸引するとともに、リリーフ弁から大気を導入してもよい。また、収容体15のうち電解質膜13の近傍に、液抜き孔を設けて、めっき液Lの自重により、めっき液Lを排出してもよい。
制御装置60は、昇降装置70、調整装置73、ポンプ18、および入れ替え機構53Aのエアポンプ53の動作の制御と、電源部19の印加の制御とを行うものである。図示しないが、制御装置60は、以下の一連の工程を実行するための制御プログラムを記憶する記憶装置(図示せず)と、制御プログラムを実行する演算装置(図示せず)を備えている。記憶装置は、ポンプ18およびエアポンプ53の起動時間、電源部19により電圧を印加するための時間、および昇降装置70による変位量などの設定値をさらに記憶されている。制御装置60は、入力装置等により収容体15の収容空間Sの圧力を測定する圧力センサ(図示せず)の信号などが入力される。
図2に示すように、制御装置60は、ソフトウエアとして、昇降制御部61、成膜実行部62、入れ替え部63、極間距離推定部64、移動量算出部65、および調整実行部66を備えている。
昇降制御部61は、載置台20に基材Wを載置した後、たとえば入力装置の信号により収容体15を下降させ、成膜完了後に、収容体15を上昇させるように、昇降装置70を制御するものである。
成膜実行部62は、図3に示す状態で、成膜すべき金属皮膜の膜厚に応じた時間、電源部19による電圧の印加を行うものである。これにより、めっき液Lの金属イオンに由来した金属皮膜を、基材Wの表面に成膜する。
入れ替え部63は、成膜実行部62による成膜実行が完了した後、昇降制御部61により、電解質膜13を基材Wから引き離す前に(収容体15を上昇する前に)、めっき液Lを大気に入れ替えるように、エアポンプ53を駆動させる。また、入れ替え部63は、昇降制御部61により、電解質膜13を基材Wに接触させた後(収容体15を下降した後)、成膜実行部62による成膜の開始前に、大気をめっき液Lに入れ替えるように、ポンプ18を駆動させる。
極間距離推定部64は、成膜時における基材(陰極)Wと陽極11との極間距離Dを推定する。具体的には、極間距離推定部64は、電源部19による電圧の印加により、陽極11から基材Wに通電された電流値から、時間経過に応じて積算した積算電流量を算出し、積算電流量に基づいて、極間距離を推定する。ここで、積算電流量とは、通電された電流値に通電時間(秒)を乗じた値である。
ここで、図5に示すように、陽極11から基材Wに通電された積算電流量が、陽極11の溶解量に略比例するため、積算電流量の増加に伴い、基材Wと陽極11との極間距離Dが大きくなる。したがって、成膜初期は、極間距離が良好な範囲(たとえば図5の〇印参照)にあるが、所定の極間距離を超えると、極間距離が不良な範囲(たとえば図5の×印参照)に変化する。極間距離が不良な範囲では、陽極11と基材Wとの極間距離Dが大きいため、基材Wの端部に電流が集中したり、陽極11の溶け出しによる金属イオン供給のための拡散抵抗が上昇したりして、均質な金属皮膜を成膜することができず、金属皮膜の成膜不良が生じることがある。
このような点から、本実施形態では、移動量算出部65は、極間距離Dが所定の範囲(良好な範囲)内に収まるように、推定した極間距離から陽極11の移動量を算出する。さらに、調整実行部66は、移動量算出部65で算出した移動量で陽極11が基材Wに近づく方向に移動するように、調整装置73を制御する。これにより、図5の●印に示すように、極間距離Dを、成膜に適した良好な範囲に維持することができる。
以下に、制御フローを、以下の図4を参照しながら、説明する。まず、ステップS1では、図1に示す状態で、極間距離推定部64により、成膜時における基材(陰極)Wと陽極11との極間距離Dを推定する。本実施形態では、上述した如く、極間距離推定部64は、陽極11から基材Wに通電された積算電流量に基づいて、極間距離を推定する。なお、このステップS1は、成膜後、図3に示す状態で行ってもよい。
次に、ステップS2に進み、極間距離Dが、所定の範囲内であるかを判定し、所定の範囲内である場合(YESの場合)には、ステップS5に進み、後述する成膜実行のための一連のステップを行う。極間距離Dが、所定の範囲内でない場合(Noの場合)には、ステップS3に進む。ステップS3では、移動量算出部65により、極間距離Dが所定の範囲(良好な範囲)内に収まるように、推定した極間距離から陽極11の移動量を算出し、ステップS4に進む。ステップS4では、調整実行部66により、算出した移動量で、基材Wに近づくように陽極11を移動させる。このようにして、成膜において、良好な極間距離Dを保持した状態で、金属皮膜を成膜することができる。なお、ステップS3およびステップS4までの間に、積算電流量の値をリセットする。
次に、ステップS5では、昇降制御部61により、予め設定されたストロークで、収容体15を下降させ、基材Wの表面waに、上方から電解質膜13を接触させる。これにより、収容体15と基材Wとは、図3に示す配置状態となる。
次に、ステップS6では、入れ替え部63により、ポンプ18を駆動制御し、タンク17からめっき液Lを収容体15の収容空間Sに供給する。収容空間Sには、後述するように大気(エア)が充填されているので、収容体15の大気をめっき液Lに入れ替えることができる。収容体15内にめっき液Lが充填され、収容空間S内のめっき液Lの液圧が所定の圧力に到達すると、圧力調整弁31をめっき液Lが通過する。このようにして、めっき液Lの液圧を利用して、電解質膜13で基材Wを均一に押圧することができる。なお、収容空間Sのめっき液Lの液圧が所定の圧力に到達したことを、圧力センサにより検出してもよく、予め設定した時間の経過により判定してもよい。
次に、ステップS7では、基材Wがめっき液Lの液圧により電解質膜13で押圧された状態で、成膜実行部62により、電源部19を制御し、所定の時間、陽極11と基材Wとの間に電圧を印加する。これにより、電解質膜13に含有した金属イオンは、電解質膜13に接触した基材Wの表面に移動して基材Wの表面waで還元される。この結果、基材Wの表面に金属が析出し、基材Wの表面に、所定の膜厚の金属皮膜が成膜される。この際、収容空間Sには、めっき液Lが収容されているので、金属イオンを電解質膜13に常時供給することができる。
次に、ステップS8では、入れ替え部63により、電解質膜13が基材Wに接触した状態で、収容体15に収容されためっき液Lが大気に入れ替わるように、入れ替え機構53Aの入れ替え動作を制御する。具体的には、エアポンプ53を駆動し、収容体15に大気を圧送することで、収容体15からめっき液Lを排出する。排出されためっき液Lは、圧力調整弁31を通過して、タンク17に戻される。
次に、ステップS9では、昇降制御部61により、大気への入れ替え動作の完了後、電解質膜13を基材Wから離間し、ステップS10では、成膜した基材Wを、成膜前の基材Wに交換し、載置台20に載置する。このような一連の工程を、繰り返す。
本実施形態では、陽極11と基材W(陰極)との極間距離Dを所定の範囲内に収めることができるため、陽極11から基材Wに電流を安定して流すとともに、陽極11から溶解する金属イオンの拡散も安定させることができる。このような結果、金属皮膜を安定して成膜することができる。
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係る金属皮膜の成膜装置の模式的断面図である。図7は、図6に示す成膜装置の模式的断面図であり、成膜時の状態を示すものである。第2実施形態に係る成膜装置1が、第1実施形態のものと相違する点は、電流積算値で、極間距離を推定するのではなく、変位計を用いて推定する点である。第1実施形態に係る成膜装置1と同じ又は類似する機能を有する構成については、第1実施形態に係る成膜装置1と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
第2実施形態に係る成膜装置1は、図6および図7に示すように、収容体15の特定の位置を基準として、基材W(陰極)と対向する陽極11の対向面11aの変位量を測定する変位計80をさらに備えている。ここで、測定基準となる収容体15の特定の位置とは、陽極11と電解質膜13との間の特定の位置である。
変位計80は、シャフト81の先端部に取り付けられており、シャフト81は、シールベアリング91等を介して、収容体15に取り付けられている。シャフト81の基端部には、駆動装置83が取り付けられている。図6および図7では、簡略化して描かれているが、駆動装置83は、シャフト81の先端に取り付けられた変位計80が、陽極11と電解質膜13との間の位置(図6参照)から、これらの間から外れた位置(図7参照)まで、水平方向に、シャフト81を移動させる装置である。
変位計80として、たとえば、超音波を利用して陽極11の対向面11aまでの距離を測定する変位計、赤外線などのレーザ光を利用して陽極11の対向面11aまでの距離を測定する変位計などを挙げることができ、変位計80から陽極11の対向面11aまでの距離を測定することができるのであれば、その測定原理は、特に限定されるものではない。この他にも、変位計80として、磁気を利用した変位計、または接触式の変位計であってもよい。
本実施形態では、制御装置60は、極間距離推定部64は、電流積算値を用いずに、変位計80で測定した変位量に基づいて、陽極11と基材Wとの極間距離Dを推定する。具体的には、極間距離推定部64は、図6に示す非成膜時において、変位計80が、陽極11と電解質膜13との間に位置するように、駆動装置83でシャフト81を移動させた後、変位計80により、変位量を測定する。ただし、変位量を測定するタイミング以外では、図7に示すように、成膜に影響がないように、駆動装置83により陽極11と電解質膜13との間から外れた位置に、シャフト81を退避させる。なお、極間距離Dは、変位計80で測定した変位計80から陽極11の対向面11aまでの距離と、変位計80から基材Wまでの距離を加算する。
この他にも、変位計80を陽極11と電解質膜13との間において、シャフト81を介して変位計80を移動させながら、陽極11の対向面11aの複数の点における変位を測定し、測定した変位量の最大値を用いて、陽極11と基材Wとの極間距離Dを推定してもよい。
本実施形態によれば、変位計80により、基材Wと対向する陽極11の対向面11aの変位量を測定することで、陽極11の対向面11a側の厚みの減少を直接的に捉えることができるため、陽極11と基材W(陰極)の極間距離をより正確に推定することができる。
さらに、この他にも、第2実施形態に変形例として、制御装置60が、第1実施形態と同様に、電源部19による電圧の印加により、陽極11から基材Wに通電された電流値から、時間経過に応じて積算した積算電流量を算出し、積算電流量が、所定の積算電流量になった際に、変位計80による変位量の測定を実行してもよい。この変形例では、変位計80で測定するタイミングを、積算電流量を基準として行うため、変位計80により測定する頻度を抑え、装置の信頼性を確保することができる
以下の確認試験を行った。表面に成膜する基材として、10%硫酸水溶液に1分間浸漬した銅ブロックを準備した。なお、銅ブロックの成膜領域は、2cmである。
次に、図6の第2実施形態に係る成膜装置を用いて銅皮膜を成膜した。めっき液には、1Mの硫酸銅水溶液を使用し、陽極には銅板(ニコラ社製)を使用した。成膜条件としては、めっき液の温度を室温条件とし、電解質膜(日本ゴア社製)を基材に密着させ、めっき液の液圧0.2MPa、電流値184mAで、10分間、厚さ10μmの銅皮膜を成膜した。この成膜処理を、複数回の処理回数で行った。処理回数が所定の回数となった時点で、成膜装置に搭載したレーザ変位計で測定した変位量から陽極の厚みを測定するとともに、成膜装置から陽極を取り外してマイクロメータで陽極の厚みを測定した。この結果を図8に示す。
図8に示すように、成膜処理の処理回数が進むにしたがって、陽極の金属が消費されるので、陽極の厚みが減少することがわかる。さらに、成膜装置に搭載したレーザ変位計で測定した変位量から算出した陽極の厚みと、成膜装置から取り外してマイクロメータで測定した陽極の厚みは略同じであった。この結果から、変位計を用いて、極間距離を正確に測ることができると考えられる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
1:成膜装置、11:陽極、13:電解質膜、15:収容体、15g:開口部、19:電源部、60:制御装置、64:極間距離推定部、65:移動量算出部、66:調整実行部、73:調整装置、80:変位計、D:極間距離、L:めっき液、W:基材(陰極)

Claims (3)

  1. 陽極と、前記陽極と陰極を有した基材との間に配置される電解質膜と、前記陽極およびめっき液を収容し、前記基材側に開口した開口部を前記電解質膜で封止した収容体と、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源部と、を少なくとも備え、前記陰極に前記電解質膜を接触させた状態で、前記電圧の印加により前記めっき液の金属イオンに由来した金属皮膜を、前記基材の表面に成膜する成膜装置であって、
    前記陽極は、前記金属皮膜と同じ金属からなり、前記めっき液に対して可溶性を有した陽極であり、
    前記成膜装置は、前記収容体に対して前記陽極を移動させることにより、前記電解質膜に接触した状態の前記陰極と前記陽極との極間距離を調整する調整装置と、前記調整装置による陽極の移動量を制御する制御装置と、をさらに備えており、
    前記制御装置は、成膜時における前記陰極と前記陽極との極間距離を推定する極間距離推定部と、
    前記極間距離が所定の範囲内に収まるように、推定した前記極間距離から前記陽極の移動量を算出する移動量算出部と、
    前記移動量で前記陽極が移動するように、前記調整装置を制御する調整実行部と、を備えることを特徴とする金属皮膜の成膜装置。
  2. 前記極間距離推定部は、前記電源部による電圧の印加により、前記陽極から前記基材に通電された電流値から、時間経過に応じて積算した積算電流量を算出し、前記積算電流量に基づいて、前記極間距離を推定することを特徴とする請求項1に記載の金属皮膜の成膜装置。
  3. 前記成膜装置は、前記収容体の特定の位置を基準として、前記陰極と対向する前記陽極の対向面の変位量を測定する変位計をさらに備えており、
    前記極間距離推定部は、前記変位量に基づいて、前記極間距離を推定することを特徴とする請求項1に記載の金属皮膜の成膜装置。
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