JP2023081757A - ステータおよび回転電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルにおける部分放電を抑制する技術を提供する。【解決手段】ステータ6は、第1の樹脂材料が硬化した第1の硬化物(コイル被覆部92)で被覆されたコイル9(巻線)と、コイル9を収容しかつ第2の樹脂材料が硬化した第2の硬化物(樹脂封止部65)が充填されたスロット8と、を有し、第1の硬化物の第1の比誘電率εr1(25℃)と第2の硬化物の第2の比誘電率εr2(25℃)の差Δが4以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、ステータおよびそのようなステータを有する回転電機に関する。
回転電機の一種であるモータのステータに樹脂材料を用いる技術として、特許文献1(特開2003-284277号公報)に記載にものがある。同文献には、複数の電磁鋼板を積層したステータコアに複数のコイルを所定間隔で巻線したステータと、このステータに対し回転可能に保持されたロータと、ステータを固定する冷却フレームを有する回転電機において、ステータの巻線部分となるスロットを樹脂成分中に異方性構造が存在する熱硬化性樹脂で構成した高熱伝導複合材を配置した回転電機について記載されており、かかる構成により、コイルで発生した熱が伝わりやすく放熱性のよい回転電機が提供されるとされている。
特開2003-284277号公報
コイルにおいて、部分放電が発生すると、絶縁劣化に強く影響を及ぼす。電気自動車等では高電圧のモータが用いられることからコイルにおける部分放電を抑制する必要があり、新たな技術が求められていた。
本発明によれば、
第1の樹脂材料が硬化した第1の硬化物で被覆された巻線と、前記巻線を収容しかつ第2の樹脂材料が硬化した第2の硬化物が充填されたスロットと、を有するステータであって、
前記第1の硬化物の第1の比誘電率εr1(25℃)と前記第2の硬化物の第2の比誘電率εr2(25℃)の差Δが4以下である、ステータが提供される。
本発明によれば、上述のステータを有する回転電機が提供される。
本発明によれば、コイルにおける部分放電を抑制する技術を提供できる。
実施形態のモータの回転軸方向と垂直な方向の断面図である。 実施形態のモータの回転軸方向の縦断面図である。 実施形態のスロット周辺を拡大して示した図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1はモータ100の回転軸方向と垂直な方向の断面図を模式的に示している。図2はモータ100の回転軸方向の断面図を模式的に示している。図3は、スロット8の周辺(図1の領域X)を拡大して示した図であって、コイル9がスロット8の端部から突出した部分の断面図を模式的に示している。
本実施形態のステータ6は、第1の樹脂材料が硬化した第1の硬化物(コイル被覆部92)で被覆されたコイル9(巻線)と、コイル9を収容しかつ第2の樹脂材料が硬化した第2の硬化物(樹脂封止部65)が充填されたスロット8と、を有する。
コイル9の部分放電については、次のDakin式によって、部分放電開始電圧Vが示されている。
V=√2×163×(2×t/εr)^0.46
εr:絶縁皮膜の比誘電率
t :絶縁皮膜の厚み
本実施形態では、コイル9において部分放電抑制のために、第1の硬化物の第1の比誘電率εr1(25℃)と第2の硬化物の第2の比誘電率εr2(25℃)の差Δが4以下とする。
以下具体的に説明するが、まずモータ100の構造について説明し、つづいてコイル被覆部92及び樹脂封止部65の材料について説明する。
<モータ100の基本構造>
モータ100は、ケース1と、ケース1の内部に収容されたロータ2とステータ4とコイル9とを備える。
<ケース1>
ケース1は、円筒部1aと、この円筒部1aの軸方向両端を閉塞する側板部1b、1cとを有して構成される。ケース1の材料として、例えば、アルミニウム合金(鋳物鋳造品)や樹脂材料、それらを組み合わせたものを用いることができる。
<ロータ2>
図1に示すように、ロータ2は、ケース1の内部に収容されている。ロータ2の中心には、図2に示すように、図出力軸として回転軸3が取り付けられている。回転軸3の両端がそれぞれベアリング3aを介して側板部1b、1cに支持されている。これによって、ロータ2は回転軸3を中心に回転自在となっている。
ロータ2には永久磁石5が内装されている。具体的には、図1に示すように、複数(ここでは8個)の永久磁石5が同一円周上に等間隔で配置されている。このとき、隣合う永久磁石5の磁極は互いに異なるように設置されている。
図2に示すように、円筒部1aの内周側には円筒型のステータ4が、ロータ2の外周を取り囲むように配置され固定されている。ステータ4の内周面とロータ2の外周面との間には微少な間隙(エアギャップ)が設けられている。
<ステータ4>
ステータ4は、複数の電磁鋼板を軸方向に積層し密着固定して設けられており、図1に示すように軸方向端部から見たときに、環状に設けられたヨーク部6と、ヨーク部6からロータ2側(内周側)に向かって延出する複数のティース部7とが設けられている。複数のティース部7は周方向に等間隔に配列されて設けられている。ここでは、図1に示すように、24個のティース部7が設けられている。各ティース部7の間にスロット8が設けられている。
<コイル9>
コイル9は、平角線かつU字形状であって、ティース部7を跨いで離間した二つのスロット8に収納されるようにして巻かれている。ここでは、スロット8に配置されたライナー部材20にコイル9が分布巻きで収容されている(図1)。コイル9は、コイル本体91と、コイル本体91を樹脂組成物で被覆したコイル被覆部92とを有する。
コイル本体91を構成する材料は、導電性に優れる金属である銅、銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金から選択される少なくとも一種の金属を含むことが好ましい。特に、低損失化の観点からは銅又は銅合金が好ましく、軽量化の観点からはアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
コイル被覆部92は、第1の樹脂材料が硬化した第1の硬化物で構成されている。コイル被覆部92の厚さは、例えば、1μm以上100μm以下とすることができる。第1の樹脂材料については後述する。
<ティース部7>
ティース部7は上述したロータ2の永久磁石5と対応して設けられ、各コイル9を順次励磁していくことにより、これに対応した永久磁石5との吸引、反発によりロータ2が回転する。
ティース部7は、外周側の周方向の幅が大きく、内周側の幅が小さく、内周側に向けて先細に形成されている。ティース部7の内周側の端部には、スロット8の幅を縮めるように周方向に沿って対向するティース部先端71が形成されている。
<スロット8>
スロット8は、隣接するティース部7間の空間であって、図3に示すように、径方向に沿って対向するティース部7の壁面72が平行面となるように設けられている。ティース部先端71間がスロット8の内周側開口となっている。スロット8には、上述した樹脂被覆されたコイル9と、コイル9の周囲に樹脂組成物(第2の樹脂材料が硬化した第2の硬化物)が充填された樹脂封止部65とを備える。第2の樹脂材料については後述する。
<ステータ4の製造方法>
本実施形態のステータ4の製造方法を説明する。
まず、複数の電磁鋼板を軸方向に積層し密着固定させたステータ4を用意する(ステータ準備工程)。
つぎに、スロット8内に、樹脂被覆されたコイル9(コイル本体91、コイル被覆部92)を配置する(コイル配置工程)。
全てのコイル9の収容後、スロット8の内周側の領域に、本実施形態の樹脂組成物を充填してインサート成形することで樹脂封止部65を得る(樹脂充填工程)。
以上の工程により、ステータ4が得られる。
<第1の樹脂材料と第2の樹脂材料について>
つづいて、コイル被覆部92を構成する第1の硬化物の第1の樹脂材料と、樹脂封止部65を構成する第2の硬化物の第2の樹脂材料について説明する。
<第1の樹脂材料について>
コイル被覆部92を構成する第1の硬化物の第1の樹脂材料は、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエーテル-ケトン樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
<第2の樹脂材料について>
樹脂封止部65を構成する第2の硬化物の第2の樹脂材料は、熱硬化性樹脂組成物であって、エポキシ樹脂が用いられる。
(エポキシ樹脂)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂としては、たとえば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の2官能性または結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂およびアルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、得られる樹脂組成物の流動性と、樹脂組成物の硬化物の強度を確保する観点から、好ましくはフェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂からなる群から選択される1または2以上のエポキシ樹脂を含み、より好ましくはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を含む。
樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂の含有量は、得られる樹脂組成物の流動性を向上させ、作業性および成形性を向上する観点から、樹脂組成物の全固形分に対して、たとえば3質量%以上としてもよく、好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは12質量%以上である。
また、樹脂組成物を用いて形成される硬化物の強度および耐熱性を向上する観点から、エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である。
なお本実施形態において、樹脂組成物の全固形分とは、樹脂組成物中における不揮発分を指し、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。また、本実施形態において、樹脂組成物全量に対する含有量とは、溶媒を含む場合には、樹脂組成物のうちの溶媒を除く固形分全体に対する含有量を指す。
一実施形態において、樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂をさらに含んでもよい。使用できる熱硬化性樹脂としては、たとえば、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびベンゾシクロブテン樹脂が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせも一手もよい。
(硬化剤)
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物に用いられる硬化剤としては、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物に一般に使用されているものであれば制限はないが、たとえば、フェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等、およびその他の硬化剤が挙げられる。これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からフェノール樹脂系硬化剤が好ましい。
フェノール樹脂系硬化剤としては、たとえばエポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれよく、さらに具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール、α-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類とホルムアルデヒドやケトン類とを酸性触媒下で縮合または共縮合させて得られるノボラック樹脂;上記したフェノール類とジメトキシパラキシレンまたはビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂;ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂などのフェノールアラルキル樹脂;および、トリスフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。フェノール樹脂系硬化剤、好ましくはフェノールノボラック樹脂を含む。
硬化剤がフェノール樹脂系硬化剤の場合、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比、すなわち、(エポキシ樹脂中のエポキシ基モル数/フェノール樹脂系硬化剤中のフェノール性水酸基モル数)の比は、樹脂組成物の成形性および信頼性を向上する観点から、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上である。また、同様の観点から、上記比は、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。
アミン系硬化剤としては、たとえば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン;ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m-フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミン;および、ジシアンジアミド(DICY)や有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、たとえば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)、無水マレイン酸などの脂環族酸無水物;および無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、無水フタル酸などの芳香族酸無水物からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
メルカプタン系硬化剤としては、たとえば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、および、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
その他の硬化剤としては、たとえば、イソシアネートプレポリマーやブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;および、カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
なお、硬化剤は、上記のうち異なる系の硬化剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、封止工程において、優れた流動性を実現し、充填性や成形性の向上を図る観点から、樹脂組成物全量に対して、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
一方、樹脂硬化物の耐湿信頼性や耐熱性を向上させる観点から、硬化剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、よりいっそう好ましくは5質量%以下である。
(無機充填材)
無機充填材としては、たとえば、溶融破砕シリカおよび溶融球状シリカ等の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化珪素、および窒化アルミからなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。無機充填材は、樹脂組成物の硬化物の機械特性または熱特性を好ましいものとする観点から、好ましくはシリカを含み、より好ましくは破砕シリカおよび溶融球状シリカからなる群から選択される1種以上を含む。
無機充填材の平均粒径d50は、樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性を向上させる観点から、好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。また、無機充填材の平均粒径d50は、充填性を向上し、未充填の発生を抑制する観点から、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下である。
また、無機充填材として、平均粒径d50の異なる2種以上の充填材を併用してもよい。これにより、樹脂組成物の全固形分に対する無機充填材の充填性をより効果的に高めることができる。たとえば、樹脂組成物の充填性を向上させる観点から、無機充填材は、好ましくは平均粒径1μm以上12μm以下の第1の充填材と、平均粒径12μmより大きく30μm以下の第2の充填材とを含む。また、同様の観点から、無機充填材は、たとえば平均粒径0.01μm以上1μm以下の第1の充填材と、平均粒径1μmより大きく50μm以下の第2の充填材とを含んでもよい。
また、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される累積頻度が90%となる無機充填材の粒子径d90の値と、無機充填材の平均粒径d50の値とから算出される、(d50/d90)の値は、樹脂組成物の流動性を向上する観点から、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.3以上である。また、狭部充填性を向上する観点から、上記比(d50/d90)は、好ましくは1.0以下であり、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下である。
ここで、無機充填材の粒径、具体的にはd50、d90は、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置(たとえば、島津製作所社製、SALD-7000)を用いて粒子の粒度分布を体積基準で測定することにより、得ることができる。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、樹脂組成物の吸湿性および熱膨張性を抑制し、樹脂組成物の硬化物の耐温度サイクル性や耐湿性より効果的に向上させる観点から、樹脂組成物全量に対して、50質量%以上であり、好ましくは65質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。また、樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上させる観点から、無機充填材の含有量は、樹脂組成物全量に対して、95質量%以下であり、好ましくは93質量%以下である。
また、無機充填材がシリカを含むとき、樹脂組成物中のシリカの含有量は、樹脂組成物の吸湿性および熱膨張性を抑制し、樹脂組成物の硬化物の耐温度サイクル性や耐湿性をより効果的に向上させる観点から、樹脂組成物全量に対して好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
また、樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上させる観点から、樹脂組成物中のシリカの含有量は、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは93質量%以下である。
(その他の成分)
本実施形態において、樹脂組成物は上述した成分以外の成分をさらに含んでもよい。たとえば、樹脂組成物は、硬化促進剤、カップリング剤、難燃剤、イオン捕捉剤、着色剤、低応力剤および酸化防止剤をさらに含んでもよい。
(硬化促進剤)
硬化促進剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、の架橋反応を促進させるものであればよく、一般のエポキシ樹脂組成物に使用するものを用いることができる。
硬化促進剤の具体例としては、たとえば、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等のジアザビシクロアルケンおよびその誘導体;トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;2-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物(イミダゾール系硬化促進剤);ならびに、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレートが挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、たとえば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-ウンデシルイミダゾリル(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-エチル-4-メチルイミダゾリル(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミ
ダゾリル(1')]-エチル-s-トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。
(カップリング剤)
カップリング剤としては、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシランまたはビニルシランのシラン系化合物がより好ましい。また、充填性や成形性をより効果的に向上させる観点からは、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランに代表される2級アミノシランを用いることがさらに好ましい。
カップリング剤を用いる場合、その含有量は、樹脂組成物の流動性を好ましいものとする観点から、樹脂組成物の全固形分に対して好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.10質量%以上である。また、樹脂組成物の硬化物の機械的強度を向上する観点から、カップリング剤の含有量は、樹脂組成物の全固形分に対して好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
(着色剤)
着色剤としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン等が挙げられる。中でも、着色剤としては、カーボンブラックが好ましく用いられる。
着色剤の含有量は、樹脂組成物の硬化物を好ましい外観とする観点から、樹脂組成物全量に対して好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.10質量%以上である。また、樹脂粘度を好ましいものとする観点から、着色剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下である。
(低応力剤)
低応力剤としては、シリコーンオイル、シリコーンゴム、ポリイソプレン、1,2-ポリブタジエン、1,4-ポリブタジエン等のポリブタジエン、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ-ε-カプロラクトン等の熱可塑性エラストマー、ポリスルフィドゴム、およびフッ素ゴム等が挙げられる
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物およびチオエーテル系化合物等が挙げられる。
<第1及び第2の樹脂材料(第1及び第2の硬化物)の特性>
(比誘電率)
第1の硬化物の第1の比誘電率εr1(25℃)は、1以上10以下である。第1の比誘電率εr1の下限値は、第1の硬化物の強度維持の観点から、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。上限値は、低比誘電率とする観点、すなわち絶縁破壊強さの観点から、好ましくは8以下であり、より好ましくは7以下である。
第1の硬化物の第1の比誘電率εr1(25℃)と第2の硬化物の第2の比誘電率εr2(25℃)の差Δが4以下である。
誘電率の差Δを上記範囲とすることで、第1の硬化物と第2の硬化物との間、すなわち、コイル9(コイル被覆部92)と樹脂封止部65との間に部分放電が発生することを抑制することができる。その結果、部分放電に起因する絶縁破壊を抑制することができる。
(線膨張係数)
第1の樹脂材料の第1の硬化物の線膨張係数α1が20ppm/℃以上80ppm/℃以下である。
線膨張係数α1の下限値は、好ましくは25ppm/℃以上であり、より好ましくは27ppm/℃以上である。上限値は、好ましくは70ppm/℃以下であり、より好ましくは60ppm/℃以下である。
第2の硬化物の線膨張係数α1が5ppm/℃以上25ppm/℃以下である。
線膨張係数α1の下限値は、好ましくは7ppm/℃以上であり、より好ましくは10ppm/℃以上である。上限値は、好ましくは23ppm/℃以下であり、より好ましくは20ppm/℃以下である。
(曲げ弾性率)
第1の硬化物の、25℃における曲げ弾性率が1GPa以上6GPa以下である。
曲げ弾性率の下限値は、好ましくは1.5GPa以上であり、より好ましくは2.0GPa以上である。上限値は、好ましくは5.5GPa以下であり、より好ましくは5.0GPa以下である。
第2の硬化物の、25℃における曲げ弾性率が、10GPa以上30GPa以下である。曲げ弾性率の下限値は、好ましくは12GPa以上であり、より好ましくは15GPa以上である。上限値は、より好ましくは28GPa以下であり、より好ましくは25GPa以下である。
(第1の硬化物は内部の気泡の割合)
第1の硬化物は内部に気泡を有しており、第1の樹脂材料の硬化物における気泡の割合は30体積%以上70体積%以下である。
気泡の割合の下限値は、好ましくは35%以上であり、より好ましくは40%以上である。上限値は、好ましくは65%以下であり、より好ましくは60%以下である。
第1の硬化物は内部に気泡を設けることで低誘電率化が図られる。また、気泡の割合を上記範囲とすることで、強度と低誘電率化のバランスを取ることができる。
(絶縁破壊強さ)
第1の硬化物の絶縁破壊強さは10kV/mm以上30kV/mm以下である。
絶縁破壊強さは10kV/mmの下限値は、好ましくは12kV/mm以上であり、より好ましくは15kV/mm以上である。上限値は、好ましくは28kV/mm以下であり、より好ましくは25kV/mm以下である。
第2の硬化物の絶縁破壊強さは10kV/mm以上30kV/mm以下である。
絶縁破壊強さの下限値は、好ましくは12kV/mm以上であり、より好ましくは15kV/mm以上である。上限値は、好ましくは28kV/mm以下であり、より好ましくは25kV/mm以下である。
(第2の硬化物のストレスインデックス)
第2の硬化物(樹脂封止部65)について、120℃で4時間熱処理して得られる硬化物について、0℃から前記硬化物のガラス転移温度にわたる温度領域における線膨張係数をα[ppm/℃]、第2の硬化物の25℃における貯蔵弾性率をE’[GPa](25℃)としたときに、下記の(式)でストレスインデックスFが算出される。
F=α×E’ ・・・(式)
このストレスインデックスFの値が150以上450以下である。ストレスインデックスFを上記範囲とすることで、第2の樹脂材料を硬化させて樹脂封止部65形成した際、スロット壁面やコイル9との密着性を確保しつつ、コイル9にかかる応力を低減できる。その結果、コイル90のコイル被覆部92にかかる応力を低減できるため、コイル被覆部92の状態を適正に維持でき、絶縁破壊強さの低下を回避できる。
ストレスインデックスFの値の下限値は、好ましくは170以上であり、より好ましくは200以上である。これにより、第2の樹脂材料を硬化させて樹脂封止部65を得た際に、適切な機械的強度を保つことができる。
上限値は、好ましくは430以下であり、より好ましくは450以下である。これにより、コイル9にかかる応力を低減できる。
本実施形態の特徴を以下にまとめて説明する。
(1)本実施形態のステータ6は、第1の樹脂材料が硬化した第1の硬化物(コイル被覆部92)で被覆されたコイル9(巻線)と、コイル9を収容しかつ第2の樹脂材料が硬化した第2の硬化物(樹脂封止部65)が充填されたスロット8と、を有するステータであって、
第1の硬化物の第1の比誘電率εr1(25℃)と第2の硬化物の第2の比誘電率εr2(25℃)の差Δが4以下である。
(2) 第2の硬化物(樹脂封止部65)の線膨張係数をα2、第2の硬化物の貯蔵弾性率をE’(25℃)としたときに、
F=α2×E’
の値が150以上450以下である。
(3)第1の硬化物(コイル被覆部92)の線膨張係数α1が20ppm/℃以上80ppm/℃以下である。
(4)第2の硬化物(樹脂封止部65)の線膨張係数α2が5ppm/℃以上25ppm/℃以下である。
(5)第1の硬化物(コイル被覆部92)の第1の比誘電率εr1(25℃)が10以下であって、
第2の硬化物(樹脂封止部65)の第2の比誘電率εr2(25℃)が10以下である。
(6)第1の樹脂材料は、
ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエーテル-ケトン樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
(7)第1の硬化物の、25℃における曲げ弾性率が、1GPa以上6GPa以下である。
(8)第1の硬化物は内部に気泡を有しており、
第1の硬化物における前記気泡の割合は30体積%以上70体積%以下である。
(9)第1の硬化物の絶縁破壊強さは10kV/mm以上30kV/mm以下である。
(10)第2の樹脂材料は、熱硬化性樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂組成物は、
エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
無機充填材を含み、
無機充填材の含有量が、当該熱硬化性樹脂組成物全固形分に対して、50質量%以上95質量%以下である。
(11)無機充填材が破砕シリカを含む。
(12)エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、およびナフトール型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む。
(13)第2の硬化物の、25℃における曲げ弾性率が、10GPa以上30GPa以下である。
(14)第2の硬化物の絶縁破壊強さは10kV/mm以上30kV/mm以下である。
(15)コイル9(コイル本体91)は平角線である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
各実施例で用いた原料成分について、以下に示す。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂1:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、製品名「EPICRON N-670」)
・エポキシ樹脂2:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、製品名「EPICRON N-660」)
・エポキシ樹脂3:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、YX-4000K)
・エポキシ樹脂3:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、1032H60)
(硬化剤)
・硬化剤1:ノボラック型フェノール化合物(住友ベークライト株式会社製、PR-51470)
・硬化剤2:ノボラック型フェノール化合物(住友ベークライト株式会社製、PR-51714)
・硬化剤3:トリフェノールメタン型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、MEH-7500)
・硬化剤4:ノボラック型フェノール化合物(明和化成株式会社製、PR-55617)
(無機充填材)
・無機充填材1:溶融球状シリカ(デンカ株式会社製、FB-950)
・無機充填材2:溶融球状シリカ(デンカ株式会社製、FB-105)
・無機充填材3:溶融破壊シリカ(フミテック株式会社製、FMT-15C)
・無機充填材4:ガラス繊維(日東紡績株式会社製、CS3E479)
・無機充填材5:結晶破砕シリカ(株式会社龍森製、HFC-7)
・無機充填材6:溶融球状アルミナ(デンカ株式会社製、DAB-45SI)
(硬化促進剤)
・硬化促進剤1:テトラフェニルホスフォニウム 2,3-ジヒドロキシナフタレート
・硬化促進剤2:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製、2PHZ-PW)
(離型剤)
・ワックス1:ジエタノールアミン・ジモンタン酸エステル(伊藤製油株式会社製、ITOHWAX TP NC-133)
・ワックス2:ステアリン酸(日油株式会社製、SR-サクラ)
・ワックス3:カルナバワックス(東亜化成株式会社製、TOWAX-132)
(シランカップリング剤)
・シランカップリング剤1:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製、CF-4083)
(着色剤)
・着色剤1:カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製、カーボン#5)
(低応力剤)
・低応力剤1:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング株式会社製、CF-2152)
・低応力剤2:エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製、FZ-3730)
(樹脂組成物の調製)
まず、表1に従い配合された各原材料を常温でミキサーを用いて混合した後、70℃以上110℃以下でロール混練した。次いで、得られた混練物を冷却した後、これを粉砕して樹脂組成物を得た。
各例で得られた樹脂組成物について、以下の測定をおこなった。測定結果を表1に合わせて示す。
(製造直後の樹脂組成物のスパイラルフロー)
各例で得られた封止用樹脂組成物に対しスパイラルフロー測定を行った。スパイラルフロー測定は、低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS-15」)を用いて、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で封止用樹脂組成物を注入し、流動長(cm)を測定することにより行った。スパイラルフローは、流動性の指標であり、数値が大きい方が、流動性が良好である。
(ゲルタイム)
各例で得られた封止用樹脂組成物のゲルタイムを測定した。ゲルタイムの測定は、175℃に加熱した熱板上で封止用樹脂組成物を溶融した後、へらで練りながら硬化するまでの時間(ゲルタイム:秒)を測定することによりおこなった。
(ガラス転移温度、線膨張係数(α1))
各例について、得られた樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度を、次のように測定した。まず、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、15mm×4mm×4mmの試験片を得た。次いで、得られた試験片を175℃、4時間で後硬化した後、熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、測定温度範囲40℃~300℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行った。この測定結果から、ガラス転移温度、および測定温度範囲40℃~80℃における線膨張係数(α1)を算出した。
(曲げ弾性率)
樹脂組成物を、175℃/3分でのトランスファー成型後に、更に175℃/4時間で硬化して、JIS K 7171に準じて、25℃での曲げ弾性率を測定した。
(曲げ強さ)
上記の曲げ弾性率の測定と同様に硬化物を作成し、JIS K 7171に準じて、25℃での曲げ強度を測定した。
(熱伝導率)
各例で得られた樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、10mm×10mm×1mmの硬化体を得た。
得られた硬化物の熱伝導率を、レーザーフラッシュ法(ハーフタイム法)にて測定した熱拡散係数(α)、DSC法により測定した比熱(Cp)、JIS K 6911に準拠して測定した密度(ρ)より次式を用いて算出した。熱伝導率の単位はW/m・Kである。
熱伝導率[W/m・K]=α[mm/s]×Cp[J/kg・K]×ρ[g/cm
(絶縁破壊強さ)
各例で得られた樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、100mmφ×2mmの硬化体を得た。
上記で得た樹脂組成物の硬化物の絶縁破壊電圧をJIS K 6911に準じて、次のように測定した。まず、得られた硬化物を円電極に挟んだ状態で絶縁油中に設置した。次いで、菊水電子社製TOS9201を用いて、両電極に昇圧速度2.5kV/秒の速度で電圧が上昇するように、交流電圧を印加した。試験片が破壊した電圧を、絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧の値が大きいほど、絶縁破壊強さが良好であることを示す。
(誘電率)
各例で得られた樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、50mmφ×3mmの硬化体を得た。
得られた硬化物の25℃での周波数1MHzにおける誘電率の測定には、Qメータ法による誘電率測定装置(横河ヒューレット・パッカード社製、JIS K 6911規格準拠)を用いた。
(貯蔵弾性率E’)
各例で得られた樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間3分で封止用樹脂組成物を注入成形し、65mm×10mm×4mmの硬化体を得た。
次いで、得られた硬化物の25℃での貯蔵弾性率E’を、DMA(動的粘弾性測定)により測定した。ここで、貯蔵弾性率E’は、3点曲げ法にて、周波数10Hz、昇温速度5℃/分で0℃から300℃で測定した際の、25℃での貯蔵弾性率の値である。
Figure 2023081757000002
表2には、第1の樹脂材料として用いるポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエーテル-ケトン樹脂に関する情報をまとめている。
Figure 2023081757000003
1 ケース
2 ロータ
4 ステータ
5 永久磁石
6 ヨーク部
7 ティース部
8 スロット
9 コイル
65 樹脂封止部
91 コイル本体
92 コイル被覆部
100 モータ

Claims (16)

  1. 第1の樹脂材料が硬化した第1の硬化物で被覆された巻線と、前記巻線を収容しかつ第2の樹脂材料が硬化した第2の硬化物が充填されたスロットと、を有するステータであって、
    前記第1の硬化物の第1の比誘電率εr1(25℃)と前記第2の硬化物の第2の比誘電率εr2(25℃)の差Δが4以下である、ステータ。
  2. 前記第2の硬化物の線膨張係数をα2、前記第2の硬化物の貯蔵弾性率をE’(25℃)としたときに、
    F=α2×E’
    の値が150以上450以下である、請求項1に記載のステータ。
  3. 前記第1の硬化物の線膨張係数α1が20ppm/℃以上80ppm/℃以下である、請求項1または2に記載のステータ。
  4. 前記第2の硬化物の線膨張係数α2が5ppm/℃以上25ppm/℃以下である、請求項1から3までのいずれか1項に記載のステータ。
  5. 前記第1の比誘電率εr1(25℃)が10以下であって、
    前記第2の比誘電率εr2(25℃)が10以下である、
    請求項1から4までのいずれか1項に記載のステータ。
  6. 前記第1の樹脂材料は、
    ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエーテル-ケトン樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載のステータ。
  7. 前記第1の硬化物の、25℃における曲げ弾性率が、1GPa以上6GPa以下である、請求項1から6までのいずれか1項に記載のステータ。
  8. 前記第1の硬化物は内部に気泡を有しており、
    前記第1の硬化物における前記気泡の割合は30体積%以上70体積%以下である、請求項1から7までのいずれか1項に記載のステータ。
  9. 前記第1の硬化物の絶縁破壊強さは10kV/mm以上30kV/mm以下である、請求項1から8までのいずれか1項に記載のステータ。
  10. 前記第2の樹脂材料は、熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物は、
    エポキシ樹脂と、
    硬化剤と、
    無機充填材を含み、
    前記無機充填材の含有量が、当該熱硬化性樹脂組成物全固形分に対して、50質量%以上95質量%以下である、
    請求項1から9までのいずれか1項に記載のステータ。
  11. 前記無機充填材が破砕シリカを含む、請求項10に記載のステータ。
  12. 前記エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、およびナフトール型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項10または11に記載のステータ。
  13. 前記第2の硬化物の、25℃における曲げ弾性率が、10GPa以上30GPa以下である、請求項1から12までのいずれか1項に記載のステータ。
  14. 前記第2の硬化物の絶縁破壊強さは10kV/mm以上30kV/mm以下である、請求項1から13までのいずれか1項に記載のステータ。
  15. 前記巻線は平角線である、請求項1から14までのいずれか1項に記載のステータ。
  16. 請求項1から15までのいずれか1項に記載のステータを有する回転電機。
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