JP2023081357A - 粘着テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】粘着剤層に含有する難燃剤が少なくても高い難燃性を有する粘着テープを提供する。【解決手段】基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記粘着剤層が樹脂成分、およびリン酸エステル系難燃剤を含有し、前記リン酸エステル系難燃剤の5%質量減少温度Td5が前記樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxより低い粘着テープ。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着テープに関し、さらに詳しくは、難燃性に優れた粘着テープに関するものである。
従来、粘着テープは様々な用途で使用される様になり、特に航空機用、自動車用、建築用に使用される粘着テープは、近年のより安全性を重視する傾向によって難燃性の向上が求められている。特に航空機用部材を固定するために用いられる粘着テープは、手切れ性、難燃性、剥離性等のバランスに優れることが求められ、とりわけ高い難燃性が要求される。
粘着テープに難燃性を付与する方法としては、粘着テープの基材に難燃剤を含有させる方法、粘着剤層に難燃剤を含有させる方法があるが、基材の強度を保持するためには、難燃剤を基材に含有させるのではなく、粘着剤層に難燃剤を添加する方法がとられている。
しかし、粘着剤層に難燃剤を含有させる場合、粘着テープに十分な難燃性を保有させようとすると、粘着剤層の粘着剤に対する難燃剤の割合を大きくする必要がある。難燃剤の割合を大きくすると粘着剤層の粘着物性が低下する傾向があり、少量の難燃剤であっても高い難燃性を付与できる難燃剤が含有された難燃テープが望まれていた。
一般的にハロゲン系の難燃剤は難燃性が高いが、燃焼時にハロゲンガスが発生する問題があり、近年は主にリン系の難燃剤の使用が検討されている。
特開2017-179329号公報
上記特許文献1には粘着剤層にリン酸エステル系難燃剤を少量含有する粘着剤組成物が開示されているが難燃性は十分とは言えず、さらに高い難燃性が求められる。
そこで、本発明ではこのような背景の下において、粘着剤層に含有する難燃剤が少なくても高い難燃性を有する粘着テープを提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、織物を含んでなる基材の少なくとも一面に、難燃剤として、粘着剤層中の樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxより5%質量減少温度Td5が低い難燃剤を含有する粘着剤の粘着剤層を有する粘着テープが、高い難燃性を有する粘着テープとなることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1]
基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記基材が織物を含み、前記粘着剤層が樹脂成分、およびリン酸エステル系難燃剤を含有し、前記リン酸エステル系難燃剤の5%質量減少温度Td5が前記樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxより低い粘着テープ。
[2]
前記リン酸エステル系難燃剤の5%質量減少温度Td5と前記樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxとの差が30℃以上である、[1]記載の粘着テープ。
[3]
前記樹脂成分がアクリル系樹脂を含有する、[1]または[2]記載の粘着テープ。
[4]
前記粘着剤層が架橋剤を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の粘着テープ。
[5]
前記架橋剤がイソシアネート系架橋剤を含有する、[4]に記載の粘着テープ。
[6]
前記基材がフラットヤーンクロスを含む基材である、[1]~[5]のいずれかに記載の粘着テープ。
本発明は、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記基材が織物を含み、前記粘着剤層が樹脂成分、およびリン酸エステル系難燃剤を含有し、前記リン酸エステル系難燃剤の5%質量減少温度Td5が前記樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxより低い粘着テープとすることで、高い難燃性を有する粘着テープである。そのため、特に高い難燃性が要求される航空機部材固定用粘着テープ用の粘着剤として好適に用いることができる。
そして本発明のなかでも前記リン酸エステル系難燃剤の5%質量減少温度Td5と前記樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxとの差が30℃以上であることでより高い難燃性を有する粘着テープとすることができる。
そして本発明のなかでも前記樹脂成分がアクリル系樹脂を含有することで、粘着物性に優れた粘着テープとすることができる。
そして本発明のなかでも前記粘着剤層が架橋剤を含有することで粘着物性に優れた粘着テープとすることができる。
そして本発明のなかでも前記架橋剤がイソシアネート系架橋剤を含有することで粘着物性により優れた粘着テープとすることができる。
そして、本発明のなかでも、特に、基材がフラットヤーンクロスを含む基材であることでより難燃性に優れ、手切れ性にも優れた粘着テープとすることができる。
以下に、本発明を実施するための形態の例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が、次に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む共重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明において「テープ」とは「フィルム」や「シート」をも含めた意味である。
本発明において、「主成分」とは、対象物中の最も多い成分をさし、通常、対象物中の50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、殊に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
また、本発明において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」あるいは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)あるいは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」あるいは「Y未満であることが好ましい」旨の意も包含する。
また、「Xおよび/またはY(X,Yは任意の構成)」とは、XおよびYの少なくとも一方を意味するものであって、Xのみ、Yのみ、XおよびY、の3通りを意味するものである。
本発明の一実施形態に係る粘着テープ(以下、「本粘着テープ」という場合がある)は基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有するものである。そして、前記基材が織物を含み、前記粘着剤層が樹脂成分、およびリン酸エステル系難燃剤を含有し、前記リン酸エステル系難燃剤の5%質量減少温度Td5が前記樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxより低い粘着剤層を有する。
一般に難燃剤として使用されるリン酸エステル系難燃剤は、ハロゲン系難燃剤に比べ難燃性が低く、高い難燃性を付与しようとすると添加量を多くする必要がある。しかし、粘着剤層に多くの難燃剤を含有させた場合、粘着物性が低下する。よって少量の含有量であっても十分な難燃性を発現することが望ましい。粘着剤層中の樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxより5%質量減少温度Td5が低い難燃剤を含有する粘着剤の粘着剤層を有する粘着テープが高い難燃性を有する理由は明らかではないが、粘着剤の主成分である樹脂成分が、燃焼時に温度が上昇し、分解ガスが多く発生する時に有効に難燃剤が働くことで難燃性が発現する。リン酸エステル系難燃剤の難燃性の発現機構は昇温により熱分解して脱水作用によりチャーと呼ばれる膜を形成することで空気を遮断して燃焼を停止させる。よって、樹脂成分が激しく分解ガスを発生させる温度に達する前に難燃剤が分解を始めていることで効率よく難燃性を発現するものと考えられる。しかし、粘着剤中の難燃剤の含有量を低く抑えた場合、十分な難燃性を発現するのは難しく、粘着テープの基材として織物を含む基材を用い、その少なくとも1面に樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxより5%質量減少温度Td5が低い難燃剤を含有する粘着剤の粘着剤層を有することで、高い難燃性を有する粘着テープとすることができる。
本粘着テープに用いられる粘着剤層は、樹脂成分、およびリン酸エステル系難燃剤を含有する粘着剤組成物を架橋することにより得られる粘着剤(以下、「本粘着剤」という場合がある)から形成される。
以下、本粘着剤に用いられる各構成成分について詳述する。
<樹脂成分>
本粘着剤に用いられる樹脂成分は、本粘着剤の主成分として用いられる。樹脂成分としては、粘着剤に用いられる公知の樹脂成分であれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂(A)、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、アクリル系樹脂(A)が好ましく用いられる。
また、樹脂成分としてアクリル系樹脂(A)を用いる場合、アクリル系樹脂(A)を樹脂成分の主成分として用いることが好ましい。
本粘着剤に用いられるアクリル系樹脂(A)としては、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む共重合成分を重合して得られる樹脂をいい、例えば、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体の他、これと共重合可能な共重合モノマーを重合することにより得られる共重合体を挙げることができる。以下、アクリル系樹脂(A)を構成し得る各モノマー単位について説明する。
〔水酸基含有モノマー(a1)単位〕
アクリル系樹脂(A)は水酸基含有モノマー(a1)単位を有することが好ましい。 水酸基含有モノマー(a1)単位を形成するための共重合モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルアミド、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル-2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。なお、これらモノマーは「水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー」と表記することもできる。
これらの中でも、架橋剤との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであり、特には2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a1)単位は、後記の架橋剤(C)、特にイソシアネート系架橋剤(c1)による架橋点を形成することから有用である。かかる水酸基含有モノマー(a1)単位の含有割合は、アクリル系樹脂(A)全体に対して、通常0.01~5質量%であり、好ましくは0.05~3質量%、より好ましくは0.05~2質量%である。かかるモノマー(a1)単位が少なすぎると難燃性が低下する傾向があり、多すぎると粘着力が低下する傾向がある。
なお、水酸基含有モノマー(a1)単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)を製造する際のモノマーの配合比により調整することができ、NMR等により分析することができる。
〔(メタ)アクリル酸モノマー(a2)単位〕
アクリル系樹脂(A)は(メタ)アクリル酸モノマー(a2)単位も有することが好ましい。(メタ)アクリル酸モノマー(a2)単位の含有割合は、アクリル系樹脂(A)全体に対して、通常0.1~5質量%であり、好ましくは0.5~4.5質量%、より好ましくは1~4質量%である。(メタ)アクリル酸モノマー(a2)単位が少なすぎると粘着力が低下する傾向があり、多すぎると塗工液の粘度が上昇し、塗工性が低下する傾向がある。
〔アルキル(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)単位〕
アクリル系樹脂(A)は炭素数4~24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)単位も有することが好ましい。
かかるアルキル(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)単位を形成するための共重合モノマーとしては、炭素数4~24のいずれかのアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーであればよく、なかでも炭素数4~7のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a3-1)、および、炭素数8~24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a3-2)を共に含有することが好ましい。
なお、炭素数4~24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーであって水酸基をも有するものは、水酸基含有モノマー(a1)に分類される。
上記炭素数4~7のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a3-1)としては、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも入手が容易で経済性に優れる点で、n-ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記炭素数8~24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a3-2)としては、例えば、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、べヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも極性が低く、ガラス転移温度が低い点で、炭素数8~12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特には2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記モノマー(a3)単位の含有割合は、アクリル系樹脂(A)全体に対して、通常55~98質量%であり、好ましくは70~97質量%、より好ましくは80~95質量%である。かかるモノマー(a3)単位が少なすぎると粘着力が低下する傾向があり、多すぎると粘着力が低下すると共に保持力も低下する傾向がある。
また、上記モノマー(a3-1)およびモノマー(a3-2)を併用する場合、モノマー(a3-1)単位のモノマー(a3-2)単位に対する含有割合は、質量比で、(a3-1)/(a3-2)=15/85~85/15が好ましく、より好ましくは25/75~75/25、さらに好ましくは30/70~70/30、特に好ましくは40/60~60/40、殊に好ましくは45/55~55/45である。上記モノマー(a3-1)単位の含有割合が小さすぎると保持力が低下する傾向があり、大きすぎると難燃性が低下する傾向がある。
〔モノマー(a4)単位〕
アクリル系樹脂(A)は、さらに炭素数1~3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a4-1)単位、環状構造含有モノマー(a4-2)単位、および炭素数3~10のビニルエステル系モノマー(a4-3)単位を有していてもよい。 なお、上記モノマー(a4-1)~(a4-3)の総称が、モノマー(a4)である。また、モノマー(a4)に該当するものであっても水酸基をも有するものは、水酸基含有モノマー(a1)に分類される。
上記炭素数1~3のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー(a4-1)単位を形成するための共重合モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記環状構造含有モノマー(a4-2)単位を形成するための共重合モノマーは、通常、環状構造を含有する置換基を有する(メタ)アクリル系モノマーであり、例えば、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン等のモルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等の複素環を有する複素環含有(メタ)アクリレートが挙げられ、またフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレートも挙げられる。その他、(メタ)アクリル系モノマーではないものとして、スチレン、α-メチルスチレン等が挙げられる。なかでも各種物性のバランスが良いことから、モルホリン環を有する複素環含有(メタ)アクリレートが好ましく、特には入手の容易さや安全性の点から、N-(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましい。
上記炭素数3~10のビニルエステル系モノマー(a4-3)単位を形成するための共重合モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる。なかでも、入手が容易な点で、酢酸ビニルが好ましい。
上記モノマー(a4)単位の含有割合は、アクリル系樹脂(A)全体に対して、通常、11質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。モノマー(a4)単位が多すぎると被着体に対する粘着力が低下する傾向がある。なお、モノマー(a4)単位の含有割合の下限は、通常0質量%であるが、1質量%以上が好ましい。
〔他のモノマー(a5)単位〕
アクリル系樹脂(A)は、必要に応じて、他のモノマー(a5)単位を有していてもよい。他のモノマー(a5)単位を形成するための共重合モノマーとしては、例えば、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー等の官能基含有モノマーやその他の共重合モノマーが挙げられる。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
上記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合およびアミノ基(無置換または置換アミノ基)を有するモノマーが挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノイソプロピル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキルや(メタ)アクリル酸N-(t-ブチル)アミノエチル等のN-アルキルアミノアルキルの(メタ)アクリル酸エステル等の一置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノプロピル等のN,N-ジアルキルアミノアルキルの(メタ)アクリル酸エステル等の二置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル;N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、これらアミノ基含有モノマーの四級化塩等;p-アミノスチレン等のアミノ基含有スチレン類;3-(ジメチルアミノ)スチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン類;N,N-ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N-ジエチルアミノエチルビニルエーテル等のジアルキルアミノアルキルビニルエーテル類;アリルアミン、4-ジイソプロピルアミノ-1-ブテン、トランス-2-ブテン-1,4-ジアミン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合およびアミド基(アミド結合を有する基)を有するモノマーが挙げられる。例えば、(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブチル(メタ)アクリルアミド、N-s-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N'-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N-(1,1-ジメチル-3-オキソブチル)(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(s-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジペンチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアリル(メタ)アクリルアミド、N,N-エチルメチルアクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、(メタ)アクリルアミドエチルエチレンウレア、(メタ)アクリルアミド-t-ブチルスルホン酸等の置換アミド基含有モノマー;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のアルコキシ基含有(メタ)アクリルアミド;これらアミド基含有モノマーの四級化塩等が挙げられる。
上記その他の共重合モノマーとしては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有するモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
他のモノマー(a5)は、用途に応じて物性を調整するために、本発明の効果を阻害しない程度で用いることができる。例えば、他のモノマー(a5)単位の含有割合は、アクリル系樹脂(A)全体に対して、通常、10質量%以下であり、下限値は通常0質量%である。
上記各モノマー(a1)~(a5)の中から選ばれる1または2以上のモノマーを適宜重合することにより、アクリル系樹脂(A)が得られる。すなわち、上記モノマー(a1)~(a5)単位を適宜有するアクリル系樹脂(A)が得られ、例えば、好ましくは上記モノマー(a1)単位、より好ましくはモノマー(a2)単位、さらに好ましくはモノマー(a3)単位、特に好ましくはモノマー(a4)単位、必要に応じてさらにモノマー(a5)単位を有するアクリル系樹脂(A)が得られる。なお、これら各モノマー(a1)~(a5)単位は、それぞれ単独で、または2種類以上を併せて有していてもよい。
上記重合としては溶液重合を採用することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成でアクリル系樹脂(A)を製造できる点で好ましい。
かかる溶液重合は、常法にしたがって行なうことができる。例えば、有機溶剤中に、上記モノマー(a1)~(a5)、および重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50~98℃で、0.1~20時間の重合を行なうことができる。有機溶剤中で重合されたアクリル系樹脂(A)は有機溶剤系アクリル系樹脂である。
かかる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を用いることができる。例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が具体例として挙げられる。これら重合開始剤は単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量としては、通常、共重合成分100質量部に対して、0.001~5質量部である。
〔溶解度パラメーター(SP値)〕
本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)は、溶解度パラメーター(SP値)が10(cal/cm31/2以下、好ましくは9.9(cal/cm31/2以下、より好ましくは9.8(cal/cm31/2以下であることが好ましい。
SP値が10(cal/cm31/2を超えると難燃性や粘着物性が低下する傾向がある。
なお、SP値の下限としては、7(cal/cm31/2以上であり、好ましくは8(cal/cm31/2以上、より好ましくは8.5(cal/cm31/2以上、さらに好ましくは9.0(cal/cm31/2以上、特に好ましくは9.5(cal/cm31/2以上である。
SP値は、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーや共重合可能なモノマーの蒸発エネルギー(ΔE)、モル容積(ΔV)およびモル比から求めることができ、具体的には下記式により求めることができる。
[式]
SP値(cal/cm31/2=(ΔE/ΔV)1/2
ΔE=(x×ΔEx/Mx)+(y×ΔEy/My)+・・・(n×ΔEn/Mn)×(1/C)
ΔV=(x×ΔVx/Mx)+(y×ΔVy/My)+・・・(n×ΔVn/Mn)×(1/C)
C=(x/Mx)+(y/My)+・・・・(n/Mn)
・x:共重合成分に対するモノマーXの含有量(質量%)
・ΔEx:モノマーXの蒸発エネルギー
・ΔVx:モノマーXのモル容積
・Mx:モノマーXの分子量
・y:共重合成分に対するモノマーYの含有量(質量%)
・ΔEy:モノマーYの蒸発エネルギー
・ΔVy:モノマーYのモル容積
・My:モノマーYの分子量
・n:共重合成分に対するモノマーNの含有量(質量%)
・ΔEn:モノマーNの蒸発エネルギー
・ΔVn:モノマーNのモル容積
・Mn:モノマーNの分子量
・C:樹脂成分のモル比
本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)のSP値を10(cal/cm31/2以下にする方法としては、例えば、モノマー(a1)~(a5)の種類や含有量、特に官能基含有モノマーの種類や含有量を調整する方法が挙げられる。
〔平均分子量〕
本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、通常10万~500万、好ましくは30万~150万、より好ましくは40万~90万である。重量平均分子量が小さすぎると耐久性が低下する傾向があり、大きすぎると粘着力が低下する傾向がある。
また、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは7以下である。かかる分散度が高すぎると粘着剤層の耐久性が低下し、発泡等が発生し易くなる傾向にある。なお、分散度は、製造の限界の点からは1.1以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましい。
本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100~2×107、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)を3本直列にして用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いて測定することができる。
〔ガラス転移温度〕
本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、通常、-80~10℃であり、好ましくは-70~-10℃、より好ましくは-65~-20℃である。ガラス転移温度が高すぎるとタック性が不足する傾向があり、低すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
上記ガラス転移温度(Tg)は、アクリル系樹脂(A)を構成するそれぞれのモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度および質量分率を下記のFoxの式に当てはめて算出した値である。
Figure 2023081357000001
Tg :樹脂成分(特にアクリル系樹脂(A))のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wa :モノマーAの質量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb :モノマーBの質量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn :モノマーNの質量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
ここで、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)を構成するモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、JIS K7121-1987や、JIS K6240に準拠した方法で示差走査熱量計(DSC)により測定される値、およびカタログの記載値を用いる。
本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)は通常、溶剤等により粘度が調整され、樹脂溶液として塗工に供せられる。上記樹脂溶液の粘度としては、取扱い易さの点から、500~20000mPa・s/25℃であることが好ましく、より好ましくは1000~18000mPa・s/25℃、さらに好ましくは2000~15000mPa・s/25℃である。かかる粘度が高すぎると流動性が低下して取り扱い難くなる傾向にあり、低すぎると粘着剤溶液の塗工が困難となる傾向がある。なお、この際の溶液濃度は、通常10~70質量%である。
粘度調整に用いられ得る溶剤としては、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤等を用いることができる。これらの中でも、溶解性、乾燥性、価格等の点から、酢酸エチル、メチルエチルケトンが好ましく、酢酸エチルがより好適に用いられる。これら上記の溶剤の中からいずれかを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)溶液の粘度は、25℃に調温した樹脂溶液を、B型粘度計を用いた回転粘度計法により測定される。
本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の分解ピークトップ温度Tdmaxは、好ましくは200~500℃、より好ましくは250~450℃、さらに好ましくは300~430℃、特に好ましくは350~400℃である。
分解ピークトップ温度Tdmaxとは、示差熱・熱重量同時測定装置(TG-DTA)を用い、昇温による試料の熱分解がピーク時の温度をいう。
分解ピークトップ温度Tdmaxは、示差熱・熱重量同時測定装置(TG-DTA)を用い、10℃/分の昇温速度条件によって測定することができる。
<難燃剤(B)>
本粘着剤に用いられる難燃剤(B)は、少なくともリン酸エステル系難燃剤(b1)を含有し、リン酸エステル系難燃剤(b1)は、難燃剤(B)の主成分であることが本発明の効果の点から好ましい。
かかるリン酸エステル系難燃剤(b1)の5%質量減少温度Td5は、難燃性発現のため前記樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxより低ければよく、好ましくは樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxとの差が30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以上、殊に好ましくは70℃以上である。樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxとの差の上限値は、通常300℃である。
リン酸エステル系難燃剤(b1)の5%質量減少温度Td5は、好ましくは130~370℃、より好ましくは150~360℃、さらに好ましくは170~350℃、特に好ましくは190~340℃である。
5%質量減少温度Td5とは、示差熱・熱重量同時測定装置(TG-DTA)を用い、昇温によって試料が熱分解することにより試料の質量が5%減少した時の温度をいう。
5%質量減少温度Td5は、示差熱・熱重量同時測定装置(TG-DTA)装置を用い、10℃/分の昇温速度条件によって測定することができる。
リン酸エステル系難燃剤(b1)としては、非ハロゲン系難燃剤が好ましく、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(i-ブチル)ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート等の脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、2-ナフチルジフェニルホスフェート、クレジルジ2,6-キシレニルホスフェート、トリス(t-ブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピル化フェニル)ホスフェート、リン酸トリアリールイソプロピル化物等の芳香族リン酸エステル;(1,3-フェニレンジオキシ)ビス(ホスホン酸ジフェニル)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の縮合リン酸エステル;ジメチルメチルホスホネート、ジメチルエチルホスホネート、ジエチルメチルホスホネート、ビス(メチルフェニル)ペンタエリストールジホスホネート等のホスホン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)中の分散性が良好となる点で、縮合リン酸エステル系難燃剤および/またはホスホン酸エステル系難燃剤が好ましい。
縮合リン酸エステルの具体的製品としては、「DAIGUARD-580」、「DAIGUARD-880」、「CR-733S」(いずれも大八化学工業社製)、「FP-900L」、「PFR」(いずれもADEKA社製)、ホスホン酸エステルの具体例製品としては、「FCX-210」(帝人社製)が挙げられ、特には「DAIGUARD-880」や「FCX-210」が本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)中で好ましい。
なお、「DAIGUARD-580」は(2,2-ジメチル-1,3-プロピレンジオキシ)ビス(ジ2-ヒドロキシプロピルホスホネート)を含有し、「DAIGUARD-880」は(2,2-ジメチル-1,3-プロピレンジオキシ)ビス(ジt-ブチルホスホネート)を含有し、「CR-733S」は(1,3-フェニレンジオキシ)ビス(ホスホン酸ジフェニル)を含有し、「FP-900L」は1,1-ビフェニル-4,4-ジオールとフェノールの混合ホスホネートを含有し、「PER」はレゾルシノールビス(ジフェニルリン酸エステル)を含有し、「FCX-210」はビス(メチルフェニル)ペンタエリストールジホスホネートを含有する。
リン酸エステル系難燃剤(b1)以外の難燃剤では、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)中に溶解または相溶しないので、樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)中で均一に分散させるのが困難となる。そのため、十分な難燃性を発現するために難燃剤の配合量を増やす必要があり、樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の粘着力が低下することになる。これに対して、リン酸エステル系難燃剤(b1)とSP値10(cal/cm31/2以下の樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)とを含有する粘着剤では、リン酸エステル系難燃剤(b1)により樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)が柔軟化されると考えられるため、逆に粘着力を向上させることができる。
ただし、本発明においては、本発明の目的達成に支障のない範囲内で、リン酸エステル系難燃剤(b1)以外の難燃剤を難燃剤(B)として含有していてもよい。
難燃剤(B)の含有量は、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、一方、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。難燃剤(B)の含有量が多すぎると、樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)中の難燃剤(B)に溶け残りが生じると考えられるため、粘着テープの粘着物性が低下する傾向があり、少なすぎると難燃性が不十分となる傾向がある。
リン酸エステル系難燃剤(b1)の含有量も、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、一方、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。
<架橋剤(C)>
本粘着剤は、上記成分に加え、架橋剤(C)を含有する。
上記架橋剤(C)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤(c1)、エポキシ系架橋剤(c2)、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記イソシアネート系架橋剤(c1)は、イソシアネート基を少なくとも2個含むものであり、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート等が挙げられ、これらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等も挙げられる。特にはトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体が好ましい。これらは単独で用いることができ、また2種以上を併用することもできる。
上記エポキシ系架橋剤(c2)としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアミン等の脂肪族エポキシ系架橋剤;1,3-ビス(N,N'-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン等の脂環式エポキシ系架橋剤;ジグリシジルアニリン等の芳香族エポキシ系架橋剤;1,3,5-トリス-(2,3-エポキシブチル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス-(3,4-エポキシブチル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス-(4,5-エポキシペンチル)-イソシアヌレート等の複素環式エポキシ架橋剤等が挙げられ、なかでも脂環式エポキシ系架橋剤が好ましい。これらは単独で用いることができ、また2種以上を併用することもできる。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ-β-アジリジニルプロピオネート、トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、トリス-1-(2-メチルアジリジン)ホスフィン、トリメチロールプロパントリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるアミノ基含有メチロールメラミン、イミノ基含有メチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロールメラミン誘導体、メチロールメラミン誘導体にメチルアルコールやブチルアルコール等の低級アルコールを反応させて部分的または完全にエーテル化した、部分または完全アルキル化メチロールメラミン、イミノ基含有部分または完全アルキル化メチロールメラミン等のアルキル化メチロールメラミン等が挙げられる。
上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-2-イミダゾリジン、ジメチロール尿素、N-メチロールアクリルアミド、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂等の水溶液中でアルデヒドを遊離するアルデヒド系化合物、または、ベンズアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド系化合物が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、4,4'-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)(以下「MOCA」と略記する。)、変性MOCA、ジエチルトルエンジアミン等が挙げられる。
上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等のキレート化合物が挙げられ、性能の点から、アルミニウムキレート化合物が好ましい。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート等が挙げられる。
架橋剤(C)として上記の架橋剤から選ばれる1種または2種以上を用いることができるが、架橋剤(C)としてイソシアネート系架橋剤(c1)および/またはエポキシ系架橋剤(c2)を含有することが好ましい。さらに少なくともイソシアネート系架橋剤(c1)を含有することが好ましく、イソシアネート系架橋剤(c1)のみを含有する架橋剤(C)、イソシアネート系架橋剤(c1)と1種または2種以上の他の架橋剤とを含有する架橋剤(C)を用いることができる。
架橋剤(C)としてイソシアネート系架橋剤(c1)を用いる場合、架橋剤(C)におけるイソシアネート系架橋剤(c1)の含有量は、架橋剤(C)100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95~100質量%である。
架橋剤(C)としてエポキシ系架橋剤(c2)を用いる場合、架橋剤(C)におけるエポキシ系架橋剤(c2)の含有量は、架橋剤(C)100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95~100質量%である。
上記架橋剤(C)は、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)中の官能基と反応し、架橋構造を形成させるものであり、架橋剤(C)として特にイソシアネート系架橋剤(c1)を使用することで難燃剤(B)を含有させたときの難燃性の改善効果がさらに大きくなる。
難燃性の改善効果がさらに増大する理由は明らかではないが、イソシアネート系架橋剤(c1)と、樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)中の官能基、特に水酸基との反応により、高い架橋密度を持つ粘着剤層を形成することができるので、少量の難燃剤(B)の添加で難燃性を向上することができると考えられる。
架橋剤(C)の含有量は、樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上であり、0.005質量部以上が好ましい。また、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.2~5質量部、さらに好ましくは0.3~3質量部、特に好ましくは0.4~1質量部である。上記含有量が少なすぎると保持力が低下する傾向があり、多すぎると粘着力が低下する傾向がある。
なお、架橋剤(C)は通常、溶剤等で希釈して使用されることが多く、上記含有量は溶剤等を除く実質(固形分)の架橋剤の含有量を示す。
また、本粘着剤に含有される架橋剤(C)は、樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)と混合された時の未反応の架橋剤と同じ構造のものであってもよいし、樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)中の官能基と反応した構造のものであってもよい。したがって、本粘着剤に含有される架橋剤(C)の含有量は、未反応および反応後の両方の構造の架橋剤の含有量を指し、本粘着剤の調製の際に樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)と混合された時の架橋剤(C)の含有量と同等である。
<粘着付与剤(D)>
本粘着剤は、必須成分ではないが、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の良好な物性をさらに発揮させるために、粘着付与剤(D)をさらに含有していてもよい。
粘着付与剤(D)としては、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)に相溶性を示す樹脂が用いられ、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、クマロン系樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与剤(D)は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。なかでも、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂が好ましく、以下に具体的に説明する。
上記ロジン系樹脂としては、例えば、原料ロジンを水素化(水添)、不均化、二量化、または酸付加した後に、さらに、グリセリンやペンタエリスリトールを用いてエステル化したロジンエステル樹脂や、原料ロジンにフェノールを付加したロジンフェノール樹脂が挙げられる。いずれのロジン系樹脂を用いても本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の良好な物性をさらに発揮させることができる。なかでも、原料ロジンを不均化し、グリセリンまたはペンタエリスリトールでエステル化を行い軟化点を70~130℃の範囲に調整した不均化ロジンエステルや、原料ロジンを二量化してペンタエリスリトールでエステル化を行い、軟化点を110~170℃の範囲に調整した重合ロジンエステルや、原料ロジンにフェノールを付加して軟化点を120~160℃の範囲に調整したロジンフェノールが好ましい。
上記テルペン系樹脂は、分子式(C58)nで表されるイソプレン則に基づく化合物の総称であり、本実施形態に用いられる粘着付与剤(D)としては、モノテルペン(例:α-ピネン、β-ピネン、リモネン等)を原料とし、フリーデルクラフト触媒により単独または共重合した樹脂が挙げられる。具体的には、モノテルペンが単独または共重合した樹脂として、例えば、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、ジペンテン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂やこれらを水素添加した水添テルペン樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)と相溶性が良いことから、テルペンフェノール樹脂が好ましい。いずれのテルペンフェノール樹脂も樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の良好な物性をさらに発揮させることができるが、特には、軟化点が90~170℃、水酸基価が20~250(mgKOH/g)の範囲のものが好ましく、さらには軟化点が100~150℃、水酸基価が50~150(mgKOH/g)の範囲のものが好ましい。
上記石油系樹脂は、例えば、ナフサ等の熱分解により生成するC4-C5およびC9-C11留分モノマーの重合、さらには水添によって得られる。原料留分の種類によって、純モノマー系樹脂、脂肪族系(C5)石油樹脂、芳香族系(C9)石油樹脂、水添石油系樹脂等が挙げられる。いずれの石油系樹脂を用いても樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の良好な物性をさらに発揮させることができる。なかでも、軟化点が90~130℃の範囲のものが好ましく、さらにはスチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとの共重合系を用いることが好ましい。
なお、粘着付与剤(D)の軟化点はJIS K 2531の環球法により測定することができ、水酸基価はJIS K 0070に準ずる電位差滴定法により測定することができる。
本粘着剤が粘着付与剤(D)を含有する場合、粘着付与剤(D)の含有量は、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)100質量部に対して、通常50質量部以下であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。下限値は0質量部であるが、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。ただし、粘着付与剤(D)は粘着剤に要求される物性に応じて適量配合すればよく、粘着付与剤(D)の含有量は上記の範囲に限定されない。
<その他の成分>
本粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分として、アクリル系モノマー、重合禁止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、架橋促進剤、ラジカル発生剤、過酸化物、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、安定化剤、充填剤、ラジカル捕捉剤等の各種添加剤、金属および樹脂粒子等を配合することができる。これらは単独で用いてもよく、または2種以上を併用してよい。また、上記の他にも、粘着剤の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
本粘着剤がその他の成分を含有する場合、その他の成分の含有量は、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。下限値は通常0質量部である。かかる含有量が多すぎるとアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下し、耐久性が低下する傾向がある。ただし、上記の含有量ではその効果を発揮しない添加剤(顔料、充填剤、金属および樹脂粒子等)に関しては、添加剤の効果を発揮しつつ本発明の効果を阻害しない範囲で適量を添加する場合がある。
本粘着剤は、上記の樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)、難燃剤(B)に加え、必要に応じて架橋剤(C)、さらには、粘着付与剤(D)、その他の成分等を含有する粘着剤組成物の少なくとも一部が架橋したものである。即ち、粘着剤組成物の殆ど全てが架橋された場合だけでなく、未架橋の状態の粘着剤組成物を一部に含有する場合や、粘着剤組成物の一部が架橋されている場合を含むものである。なお、アクリル系樹脂(A)が有機溶剤系アクリル系樹脂である上記粘着剤または粘着剤組成物は有機溶剤系粘着剤または有機溶剤系粘着剤組成物である。
上記粘着剤組成物の作製方法は、特に限定されるものではないが、一般に知られる機械的混練分散法の他に、必要に応じて、溶剤分散法、超音波分散法等の公知の方法を用いることができる。
本粘着剤は、保持力が高くなる点で、ゲル分率が20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。ゲル分率の調整は、架橋剤(C)の種類や含有量を調整することにより行なうことができる。ゲル分率の上限としては70質量%以下が好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。ゲル分率が低すぎると保持力が低下する傾向にあり、ゲル分率が高すぎると剥離強度が低下する傾向にある。
また、ゲル分率が低すぎると難燃性が低下する傾向があり、逆に高すぎても粘着剤層が硬くなりすぎるためか、基材の収縮が起こらず難燃性が低下する傾向がある。
なお、ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、後述の方法により求められる。
<<粘着テープ>>
本粘着テープは、基材と、この基材の少なくとも一方の面(片面)に粘着剤層を有しており、この粘着剤層は上記粘着剤組成物が架橋することにより得られた粘着剤を含有するものである。
例えば、上記粘着剤組成物を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、固形分濃度が10~70質量%になるように塗工用の粘着剤組成物溶液を調液し、この溶液を基材に塗工、乾燥することにより粘着剤組成物が架橋して粘着剤を含有する粘着剤層が形成され、粘着テープが製造される。
本粘着テープの製造方法については、特に限定はなく公知の製造方法を採用することができる。例えば、基材の一方の面に粘着剤組成物溶液を塗工、乾燥して形成された粘着剤層の表面にリリースライナーを重ねる方法、あるいはリリースライナーの一方の面に粘着剤組成物溶液を塗工、乾燥して形成された粘着剤層の表面に基材を重ねる方法によって、本粘着テープを製造することができる。なかでも、リリースライナーの一方の面に粘着剤組成物溶液を塗工、乾燥して形成された粘着剤層の表面に基材を重ねる方法がハンドリング等の点から好ましい。
上記基材は、手切れ性を有するものが好ましい。基材の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理等の公知ないし慣用の表面処理を適宜施してもよい。
基材としては、織物を含むものであり、特に限定されることなく公知の織物を含む基材を用いることができ、例えば、レーヨン布、綿布、ポリエステル布、レーヨンとポリエステルの混紡糸からなる布、フラットヤーンクロス等の織物、またフラットヤーンクロス等の織物にプラスチックフィルム等がラミネートされた積層フィルム等が挙げられる。これらの中でも、長手方向の引張強度が高い点から、織物を含む基材が好ましく、なかでもフラットヤーンクロスを有する基材がより好ましい。フラットヤーンクロスを有する基材を用いた本粘着テープはより難燃性に優れた粘着テープとすることができる。その理由は明らかでないが、フラットヤーンクロスは一方向に延伸されたヤーンを織ったもので、着火源が近づき温度が上がると収縮し、着火源が遠ざかることで火が着きにくくなるものと思われる。また手切れ性にも優れたものとすることができる。
なお、「フラットヤーンクロスを有する基材」は、フラットヤーンクロスそれ自体だけでなく、フラットヤーンクロスにプラスチックフィルム等がラミネートされた積層フィルムを概念的に包含する。
フラットヤーンクロスとは、フラットヤーンと呼ばれるフィルムを短冊状にカットし延伸することにより強度を持たせた平らな糸を織って織布としたものであり、通常は、この織布の縦と横に交差するフラットヤーンの交差部を熱融着により固定して目ずれしないようにしたものが用いられる。フラットヤーンの材質としては、ポリエチレンやポリプロピレンといったオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレンがより好ましく、高密度ポリエチレンがさらに好ましい。
本粘着テープの基材としてフラットヤーンクロスを含有する基材を用いることでより難燃性に優れた粘着テープとすることができる。その理由は明らかでないが、フラットヤーンクロスは一方向に延伸されたヤーンを織ったもので、着火源が近づき温度が上がると収縮し、着火源が遠ざかることで火が着きにくくなるものと思われる。
フラットヤーンクロスにプラスチックフィルムがラミネートされた基材を使用することが、安定した粘着物性や剥離性が得られる点で好ましい。これは両面粘着テープの場合、プラスチックフィルムを有することで、一方の面の粘着剤が基材を抜けて他方の面の粘着剤と混合することを防いだり、一方の面の粘着剤に含有されている添加剤、例えば架橋剤や難燃剤、可塑剤等が他方の面の粘着剤に移行することを抑制したりできるためと考えられる。また、フラットヤーンクロスにプラスチックフィルムをラミネートすることで、破断点がスムーズに伝播されるためか、手切れ性も向上し、破断面の直線性が向上する。フラットヤーンクロスにラミネートするプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンフィルムが好ましく、低密度ポリエチレンフィルムがより好ましい。
また、フラットヤーンクロスにプラスチックフィルムがラミネートされた基材は軽量であることが好ましく、プラスチックフィルムは薄膜であることが好ましい。プラスチックフィルムの厚みは10~80μmであることが好ましい。プラスチックフィルムはフラットヤーンクロスの片面のみにラミネートされていてもよく、両面にラミネートされていてもよい。フラットヤーンクロスへのフィルムのラミネート方法については、接着剤を使わずに軽量化できる点で、押出ラミネートが好ましい。
フラットヤーンクロスを含む基材の厚みは、好ましくは10~200μmであり、より好ましくは50~100μmであり、さらに好ましくは60~90μmである。かかる厚みが薄すぎると、手切れ性は向上するものの粘着テープ製造時にシワが混入する等の不良が増加する傾向があり、厚すぎると粘着テープ製造時の不良は低減するものの、切断により大きな力が必要となり手切れ性が低下する傾向がある。
上記リリースライナーとしては、例えば、グラシン紙、クラフト紙、クレーコート紙にポリエチレン等のフィルムをラミネートした紙、ポリビニルアルコールやアクリル酸エステル共重合体等の樹脂を塗工した紙、ポリエステルやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム等に剥離剤であるフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等を塗工した合成樹脂フィルムが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
これらの中でも、容易に手で引き裂けやすいという点で、紙製のリリースライナーが好ましく、原紙の坪量が40~120g/m2、好ましくは50~80g/m2である紙製リリースライナーが特に好ましい。さらに、かかるリリースライナーの厚みとしては、40~180μmが好ましく、より好ましくは60~140μm、さらに好ましくは80~120μmである。かかる厚みが薄すぎると巻き取り時にシワが入る等、製造が困難になる傾向があり、厚すぎると手切れ性が低下する傾向がある。
上記基材またはリリースライナーの一方の面に粘着剤組成物を塗工する際に用いる塗工装置としては、通常使用されている塗工装置を用いることができ、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーター等が挙げられる。
粘着剤層の乾燥後の厚みは、5~200μmが好ましく、より好ましくは10~150μm、さらに好ましくは15~130μmである。
かかる厚みが厚すぎると粘着剤組成物の塗工が困難になる傾向があり、薄すぎると十分な粘着力が得られない傾向がある。
粘着剤組成物溶液を乾燥する際の乾燥条件は、乾燥時に粘着剤組成物中の溶剤や残留モノマーが乾燥し除去され、かつ、本粘着剤に用いられる樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)が有する官能基と架橋剤(C)とが反応し、架橋構造が形成され得る条件であればよい。乾燥条件として、例えば、60~120℃、1~5分間程度が好ましい。乾燥後、シート状の基材を粘着剤層で積層した状態で熟成(エージング)し、さらに架橋反応を進行させることができる。
本粘着テープは、基材の片面に粘着剤層を有する片面粘着テープであってもよいし、基材の両面にそれぞれ粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。また、両面粘着テープの両粘着剤層は、ともに同一組成の粘着剤層であってもよいし、異なる組成の粘着剤層であってもよい。
なお、両面粘着テープの粘着剤層上にリリースライナーを積層する場合においては、作業性の向上のために、両面に積層されるリリースライナーの剥離力が異なるようにそれぞれのリリースライナーを選択することが好ましい。例えば、両面粘着テープの初めに貼着する面側のリリースライナーの剥離力は、次に貼着する面側のリリースライナーの剥離力より軽剥離であるリリースライナーを選択すると作業性が向上する。
本粘着テープは、ロール状であってもよいし、枚葉状態であってもよいし、あるいはさらに種々の形状に加工されたものであってもよい。
粘着テープが、両面粘着テープであり、枚葉状態である場合には、2つの粘着剤層の両方の表面にリリースライナーが設けられることが好ましく、また、ロール状態の場合には、2つの粘着剤層の一方の表面のみにリリースライナーが設けられることが好ましい。
かくして本粘着テープが得られるものであるが、本粘着テープは、粘着物性を低下させる被着体や基材に対しても粘着物性の低下がないことが好ましい。また、本粘着テープは、良好な保持力を有することも好ましい。さらに、基材として、手切れ性を有する基材を用いた場合には、テープの幅方向に対してテープカッター等を使用することなく任意の位置において手で容易に切断することができ、粘着テープとして特に有用なものとなる。
本粘着テープにおける粘着剤層の粘着力としては、通常、使用される被着体に対して、180°剥離強度が1~100N/25mmであることが好ましい。なかでも、被着体として比較的極性が高いSUS304鋼の試験板を使用した場合は、180°剥離強度が10N/25mm以上であることが好ましく、特に好ましくは20N/25mm以上、さらに好ましくは30N/25mm以上である。なお、通常上限は100N/25mm程度である。
かかる粘着力の測定は、JIS Z0237に準じて測定することができる。具体的には、粘着テープを幅25mm、長さ150mmにカットした粘着テープの粘着剤層を試験板に重さ2kgのローラーを圧着速さ10mm/sで2往復させて圧着させ、引き剥がし角度180°、300mm/分の速度で試験板から粘着テープを引き剥がし、剥離強度を測定することができる。
なお、粘着力は被着体の組成(材質)や表面状態(表面粗さ)、処理(洗浄)条件等で変わるため、上記剥離強度の範囲に限定されるものではない。
試験片が両面粘着テープである場合には、試験しない粘着面はJIS C2318に規定される呼び厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラー S10)で覆って測定することができる。
また、本粘着テープにおける粘着剤層の保持力としては、下記の方法で測定した場合、24時間(1440分間)経過後に試験片が試験板から落下しないことが特に好ましく、試験片が24時間以内に落下したとしても、その保持時間は、100分間以上であることが好ましく、150分間以上であることがより好ましく、500分間以上であることが特に好ましい。
保持力の測定としては、幅25mm、長さ75mmにカットした粘着テープの粘着剤層とSUS板との接触面積が幅25mm×長さ25mmになるように圧着した後、SUS板に対し粘着テープが鉛直に垂れ下がるように1000gの錘を取り付け、その後40℃の環境にて粘着テープが落下した時間を測定することにより、保持力を測定することができる。
本粘着テープの粘着剤層のゲル分率は、粘着剤のゲル分率と同様であり、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。ゲル分率の上限としては70質量%以下が好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。ゲル分率を上記範囲内とすることで難燃性を有する粘着テープが得られる傾向がある。
上記ゲル分率は、架橋度(硬化度合い)の目安となるもので、例えば、下記の方法で測定することができる。
ゲル分率の測定は、粘着テープを包み込めるサイズの200メッシュのSUS製金網を準備し質量を測定する(1)。粘着テープから紙製リリースライナーを剥離し、前述のSUS金網で包みテープ質量を金網ごと測定する(2)。23℃に保ったトルエン中に48時間浸漬した後、十分に乾燥させ、テープ質量を金網ごと測定する(3)。浸漬後のテープを金網から取り出し、残存している粘着剤層を取り除いた後、基材質量を測定する(4)。下記式に示すように差し引きを行い、浸漬前に対する浸漬後の粘着剤成分の質量百分率をゲル分率とした。
[式]
ゲル分率(%)=(SUS金網質量を含む浸漬後のテープ質量(3)-基材質量(4)-SUS金網質量(1))/(SUS金網質量を含む浸漬前のテープ質量(2)-基材質量(4)-SUS金網質量(1))×100
なお、粘着剤のゲル分率を上記範囲に調整するにあたっては、架橋剤(C)の種類と量を調整すること等により達成される。
本粘着テープは、航空機内で使用される物品に関する難燃性規格である14 CFR Part 25 Appendix F Part I Section (a)(1)(ii) に記載された難燃性試験に準じた試験において、合格するものである。
以上の方法により製造された粘着テープは、粘着物性が高いだけでなく、高い難燃性をも有するので、高い難燃性が要求される航空機部材固定用の粘着テープとして好適に用いることができる。
航空機部材としては、例えば、カーペット、塩化ビニルシート、床材、壁材等が挙げられる。特に好適には、カーペット、塩化ビニルシート、または床材である。
カーペットとしては、航空機内で使用される公知のカーペットが挙げられ、具体的には、ナイロン繊維やオレフィン繊維を用いたカーペットが挙げられる。
塩化ビニルシートとしては、可塑剤(軟化剤)の含有量が比較的少ない硬質塩化ビニルシートや、可塑剤(軟化剤)の含有量が比較的多い軟質塩化ビニルシート等が挙げられる。
床材としては、アルミニウム合金やチタン合金等の金属合金、ガラス強化繊維とエポキシ樹脂の複合材、ガラス強化繊維とフェノール樹脂との複合材等が挙げられる。
また、本粘着テープが両面粘着テープの態様である場合には、2種以上の航空機部材を貼り合わせるために用いることができる。両面粘着テープを用いて貼り合わされる航空機部材の組み合わせとしては、例えば、床材とカーペットとの組み合わせが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、質量基準を意味する。
まず、下記のようにして樹脂成分である各種アクリル系樹脂(A)を調製した。
なお、樹脂成分、特にアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度、および粘度に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
<アクリル系樹脂(A)>
アクリル系樹脂(A)の製造に先立ち、製造に用いる共重合成分(モノマー)として以下のものを用意した。
・モノマー(a1):2-ヒドロキシエチルメタクリレート
・モノマー(a2):アクリル酸
・モノマー(a3-1):n-ブチルアクリレート
・モノマー(a3-2):2-エチルヘキシルアクリレート
・モノマー(a4):酢酸ビニル
〔アクリル系樹脂(A-1)の製造〕
温度計、撹拌機、および還流冷却機を備えた反応器内に、共重合成分として、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)0.1部、アクリル酸(a2)2.9部、n-ブチルアクリレート(a3-1)46部、2-エチルヘキシルアクリレート(a3-2)46部、酢酸ビニル(a4)5部、さらに溶剤として酢酸エチル40部、および重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1部を仕込み、撹拌しながら昇温し、酢酸エチル(混合物)の還流温度にて9時間重合させた。その後、反応混合物をトルエンで希釈して、固形分45%のアクリル系樹脂(A-1)溶液を得た。
得られたアクリル系樹脂(A-1)の重量平均分子量は60万、分散度は4.8、ガラス転移温度は-57℃、SP値は9.65(cal/cm31/2であり、アクリル系樹脂(A-1)溶液の粘度は7500mPa・s/25℃であった。
〔アクリル系樹脂(A-2)の製造〕
温度計、撹拌機、および還流冷却機を備えた反応器内に、共重合成分として、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)0.2部、アクリル酸(a2)3部、2-エチルヘキシルアクリレート(a3-2)93.8部、酢酸ビニル(a4)3部、さらに溶媒として酢酸エチル40部、アセトン15部、および重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.12部を仕込み、撹拌しながら昇温し、酢酸エチル(混合物)の還流温度にて7時間重合させた後、粘着付与剤(D)としてマイティーエースG-125(テルペン系樹脂、ヤスハラケミカル社製)を3部、ニカノールH-80(キシレン系樹脂、三菱ガス化学社製)を2部添加し、反応混合物をトルエンと酢酸エチルで希釈して、固形分40%のアクリル系樹脂(A-2)溶液を得た。
得られたアクリル系樹脂(A-2)の重量平均分子量は60万、分散度は4.7、ガラス転移温度は-65℃であり、アクリル系樹脂(A-2)溶液の粘度は6000mPa・s/25℃であった。
なお、得られた各アクリル系樹脂(A)の分解ピークトップ温度Tdmaxを下記表1に示す。
<難燃剤(B)>
難燃剤(B)として以下のものを用意した。なお、各難燃剤(B)の5%質量減少温度Td5を下記表1に示す。
・難燃剤(b1-1):ホスホン酸エステル系難燃剤(帝人社製、商品名「FCX-210」)
・難燃剤(b1-2):リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業社製、商品名「DAIGUARD-580」)
・難燃剤(b1-3):リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業社製、商品名「DAIGUARD-880」)
・難燃剤(b1-4):リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業社製、商品名「CR-733S」)
・難燃剤(b1-5):リン酸エステル系難燃剤(リン濃度11.0%、ADEKA社製、商品名「PFR」)
・難燃剤(b1-6):リン酸エステル系難燃剤(大八化学工業社製、商品名「SR-3000」)
<樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmax、リン酸エステル系難燃剤の5%質量減少温度Td5の測定>
日立ハイテクサイエンス社製、熱量分析装置「STA7300」を用いて、樹脂成分のサンプル量は7~10mgとし、リン酸エステル系難燃剤のサンプル量は5mgとしてアルミニウムの容器に取り、窒素ガス流量を200mL/分として、昇温温度を10℃/分で室温(23℃)から550℃まで測定した時の分解ピークトップ温度Tdmaxと5%質量減少温度Td5を求めた。
<架橋剤(C)>
架橋剤(C)として以下のものを用意した。
・イソシアネート系架橋剤(c1-1):東ソー社製、コロネートL-55E(固形分55%)
・エポキシ系架橋剤(c2-1):三菱ガス化学社製、テトラッドC(1,3-ビス(N,N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン)
<実施例1>
〔両面粘着テープの作製〕
上記アクリル系樹脂(A-1)の固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤(c1)を0.5部、ホスホン酸エステル系難燃剤(b1-1)を10部、および適量のメチルエチルケトンを添加して均一になるまで混合して粘着剤組成物溶液を調製し、紙製リリースライナー(シノムラ化学工業社製、商品名「SSW-53FOAG」:原紙坪量93g/m2)(1)の重剥離面に塗工後の厚みが100μmになるようにアプリケーターを用いてこの溶液を塗工し、80℃で5分間乾燥して、粘着剤層(I)付き紙製リリースライナー(1)を製造した。
次に、上記アクリル系樹脂(A-2)の固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤(c1-1)を2.75部および適量の酢酸エチルを添加して均一になるまで混合し、別の紙製リリースライナー(シノムラ化学工業社製、商品名「SSW-53FOAG」:原紙坪量93g/m2)(2)の軽剥離面に塗工後の厚みが35μmになるようにアプリケーターを用いて塗工し、80℃で3分間乾燥して、粘着剤層(II)付き紙製リリースライナー(2)を製造した。
さらに、高密度ポリエチレン製フラットヤーンクロスの一方の面に低密度ポリエチレンフィルムをラミネートした軽量タイプの基材(ダイヤテックス社製:47g/m2、厚み62μm)の低密度ポリエチレンフィルムをラミネートしていない方の面に、上記粘着剤層(I)付き紙製リリースライナー(1)の粘着剤面を貼り合わせた後、基材の反対の面(低密度ポリエチレンフィルム側)に上記粘着剤層(II)付き紙製リリースライナー(2)の粘着剤面を貼り合せた。その後、40℃の乾燥機中で7日間加熱エージング処理を行い、実施例1の両面粘着テープを得た。
<実施例2>
上記実施例1において、粘着剤層(I)中の難燃剤(b1-1)に代えて難燃剤(b1-2)としてリン酸エステル系難燃剤DAIGUARD-580(大八化学工業社製)を含有させたこと以外は同様にして、実施例2の両面粘着テープを得た。
<実施例3>
上記実施例1において、粘着剤層(I)中の難燃剤(b1-1)に代えて難燃剤(b1-3)としてリン酸エステル系難燃剤DAIGUARD-880(大八化学工業社製)を含有させたこと以外は同様にして、実施例3の両面粘着テープを得た。
<実施例4>
上記実施例1において、粘着剤層(I)中の難燃剤(b1-1)に代えて難燃剤(b1-4)としてリン酸エステル系難燃剤CR-733S(大八化学工業社製)を含有させたこと以外は同様にして、実施例4の両面粘着テープを得た。
<実施例5>
上記実施例1において、粘着剤層(I)中の難燃剤(b1-1)に代えて難燃剤(b1-5)としてリン酸エステル系難燃剤PFR(ADEKA社製)を含有させたこと以外は同様にして、実施例5の両面粘着テープを得た。
<実施例6>
上記実施例1において、粘着剤層(I)中のイソシアネート系架橋剤(c1-1)に代えてエポキシ系架橋剤(c2-1)を0.014部含有させたこと以外は同様にして、実施例6の両面粘着テープを得た。
<比較例1>
上記実施例1において、粘着剤層(I)中の難燃剤(b1-1)に代えて難燃剤(b1-6)としてリン酸エステル系難燃剤SR-3000(大八化学工業社製)を含有させたこと以外は同様にして、比較例1の両面粘着テープを得た。
<比較例2>
上記実施例1において、粘着剤層(I)中に難燃剤(B)を含有させなかった以外は同様にして、比較例2の両面粘着テープを得た。
<比較例3>
上記実施例6において、粘着剤層(I)中に難燃剤(B)を含有させなかった以外は同様にして、比較例3の両面粘着テープを得た。
以上の実施例および比較例で得られた両面粘着テープを用いて、下記の評価試験を行なった。その結果を下記表1にまとめた。
<難燃性試験>
航空機内で使用される物品に関する難燃性規格である14 CFR Part 25 Appendix F Part I Section (a)(1)(ii)に記載された難燃性試験に準じた試験を実施して、燃焼長を測定すると共に合格/不合格の判定を行った。また、試験時の燃焼長を計測し、サンプル長が30cmであることから燃焼長30cmは全焼を意味する。
<剥離強度>
上記で得られた両面粘着テープの測定面の粘着剤層に対して反対側の粘着剤層を覆う紙製リリースライナーを剥がし、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラー S10」:厚み25μm)で裏打ちを行い、幅25mm、長さ150mmにカットして試験片を作製した。次に、幅25mm、長さ180mmにカットしたポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、商品名「ルミラー S10」:厚み38μm)のコロナ処理面と、上記試験片の測定面の粘着剤層を覆う紙製リリースライナーの片端を3cm程度剥がして露出した粘着剤層とを貼り合せ、貼り合せた部分をステープラーで固定した。
被着体として175℃で1時間の熱乾燥処理を施したSUS-BA板(光輝焼鈍処理ステンレス鋼板)の試験板を用い、上記試験片から、測定する粘着剤層を覆う紙製リリースライナーを剥離し、露出した粘着剤層を上記試験板に重ね、2kgのローラーを圧着速さ10mm/sで2往復させて圧着させた。圧着後、23℃、50%RHの雰囲気下に20分間静置し、試験片を180°折り返し、30mm剥がした後、同雰囲気下で剥離強度試験機の下部のチャックに上記試験板を固定し、上部のチャックに、上記の片端を試験片と貼り合せたポリエチレンテレフタレートフィルムと反対側の端を固定した。引き剥がし角度180°、300mm/minの速度で被着体から粘着テープを引き剥がしたときの180°剥離強度(N/25mm)を測定した。
Figure 2023081357000002
上記表1の結果より、5%質量減少温度Td5が規定範囲内のリン酸エステル系難燃剤(b1-1)~(b1-5)を使用した両面粘着テープは難燃性試験で合格した。また、いずれの粘着テープも十分な剥離強度を有していた。
これに対し、難燃剤(B)を使用しなかったり、5%質量減少温度Td5がTdmaxより高いリン酸エステル系難燃剤(b1-6)を使用した両面粘着テープは難燃性が低く、難燃性試験で不合格となった。
本発明の粘着剤、および粘着テープは難燃性、粘着性に優れ、特に航空機部材固定用粘着テープとして優れており、大いに期待される。

Claims (6)

  1. 基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記基材が織物を含み、前記粘着剤層が樹脂成分、およびリン酸エステル系難燃剤を含有し、前記リン酸エステル系難燃剤の5%質量減少温度Td5が前記樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxより低い粘着テープ。
  2. 前記リン酸エステル系難燃剤の5%質量減少温度Td5と前記樹脂成分の分解ピークトップ温度Tdmaxとの差が30℃以上である、請求項1記載の粘着テープ。
  3. 前記樹脂成分がアクリル系樹脂を含有する、請求項1または2記載の粘着テープ。
  4. 前記粘着剤層が架橋剤を含有する、請求項1または2記載の粘着テープ。
  5. 前記架橋剤がイソシアネート系架橋剤を含有する、請求項4に記載の粘着テープ。
  6. 前記基材がフラットヤーンクロスを含む基材である、請求項1または2記載の粘着テープ。
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