JP2023080644A - 制震構造物及び制震装置 - Google Patents

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泰介 長島
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Abstract

【課題】並列するように立設された2つの構造部材の互いに対向する鉛直面間に制震装置が装着され、構造部材間の面外方向の相対的な変位を拘束して大きな制震効果が得られる制震構造物及び制震構造物に使用する制震装置を提供する。【解決手段】制震装置5は、2つの構造部材1,2の配列された方向へ該構造部材が傾斜したときに対向する面の相対的な変位に対応してエネルギーを吸収する。制震装置は、2つの構造部材の互いに対向する面の一方に固定された第1の接合部材21と、対向する面の他方に、第1の接合部材と上下方向へ位置に差を設けて固定された第2の接合部材22と、第1及び第2の接合部材に両端が連結された制震部材25と、接合部材が固定された面と対向する面に固定され、対向する面に沿った方向で制震部材の軸線と直角となる方向への相対的変位を拘束する面外拘束部材23,24とを有するものとする。【選択図】図5

Description

本発明は、地震時等の水平力に対して柔軟に変形を許容するとともに、震動を早期に減衰させる制震構造物及び制震構造物に使用される制震装置に関するものである。
中規模又は大規模の建築物等では、地震時の水平力に対して柔軟に変形を許容する、いわゆる柔構造として構造躯体の損傷や倒壊を抑止することが行われている。このような制震構造物は層間変形に抵抗を付与する構造が多く採用されている。つまり、上層階と下層階との間に制震装置を介挿し、上層階と下層階との間の相対的な変位に対して抵抗を付与して運動エネルギーを吸収するものである。
これに対して、特許文献1及び特許文献2には、複数の柱状又は壁状の構造部材を、間隙を設けて並列するように立設し、これらの構造部材の対向するほぼ鉛直となった面に制震装置を取り付けた構造が提案されている。これらの構造部材は下端が回転変形を許容するように支持され、地震時等の水平力によってこれらの構造部材が傾斜するときに、双方の対向する鉛直面間で生じる相対的な変位に対応して制震装置が機能するものとしている。
特表2010-500493号公報 特開2021-1458号公報
特許文献1又は特許文献2に記載されるような制震構造物では、地震時等の水平力によって並設された複数の構造部材が傾斜し、対向する鉛直面が相対的に変位することを許容するために、構造部材間を剛性の大きい部材で連結することは行われていない。このために、構造部材が並列する方向と直角方向つまり面外方向にも相対的な変位が生じ易くなっている。
また、二つの構造部材間の対向する鉛直面に取り付けられた制震装置は、建築物が大規模になると大きな制震効果が求められるが、並列された構造物間で面外方向の相対的変位が生じると、制震機能が有効に機能しないおそれが生じる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、並列するように立設された2つの構造部材の互いに対向する鉛直面間に制震装置が装着され、構造部材間の面外方向の相対的な変位を拘束して大きな制震効果が得られる制震構造物及び制震構造物に使用する制震装置を提供することである。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 双方の鉛直面が間隔をあけて対向するように並設され、水平力の作用時に傾斜することを許容するように支持された2つの構造部材と、 前記構造部材の一方の、他方の構造部材と対向する面に固定された第1の接合部材と、 前記構造部材の他方の、一方の構造部材と対向する面に、第1の接合部材と上下方向の位置に差を設けて固定された第2の接合部材と、 第1の接合部材又は第2の接合部材が固定された面と対向する面に固定され、第1の接合部材又は第2の接合部材が上下方向へ相対的に変位するのを許容するとともに、2つの前記構造部材が配列された方向と直角となる方向へ第1の接合部材又は第2の接合部材が相対的に変位するのを拘束する面外拘束部材と、 第1の接合部材と第2の接合部材とに両端が連結され、2つの前記構造部材が配列された方向へ該構造部材が傾斜したときに互いに対向する面の相対的変位によって伸縮し、運動エネルギーを吸収する制震部材と、を有する制震構造物を提供する。
この制震構造物では、地震等の水平力が作用したときに、2つの構造部材が傾斜して対向する面が上下方向に相対的に変位する。これにともなって制震部材が伸縮し、繰り返し作用する水平力の運動エネルギーを吸収して水平方向の震動を有効に減衰させることができる。そして、制震部材に作用する力が引張方向から圧縮方向に転換するときに、2つの構造部材が配列された方向と直角となる方向つまり面外方向に、これらの構造部材が相対的に変位すると、第1の接合部材と第2の接合部材との上下方向の相対的変位の一部が制震部材の伸縮に作用しないことが生じ得る。しかし、面外拘束部材によって2つの構造部材の面外方向への相対的変位が拘束されることによって制震部材が有効に機能し、震動が効率よく減衰される。
なお、上記制震部材は金属からなる帯状又は棒状の部材であって塑性変形が生じることによってエネルギーを吸収するものや、オイルダンパー等を用いることができるものである
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の制震構造物において、 2つの前記構造部材の少なくとも一方は、一対の側面より隣接する他の一対の側面の幅が大きい扁平な矩形断面の柱であって、基礎上又は下部構造部材上に立設された木質材からなる扁平柱であって、幅の狭い側面が他方の構造部材と対向するものであり、 該扁平柱は、水平力の作用時に該扁平柱の幅の大きい側面に沿った方向に傾斜することを許容するように支持されているものとする。
この制震構造物では、扁平柱が幅の広い面に沿った方向の水平力に対して耐力壁として機能する。そして、この扁平柱が水平力によって傾斜したときには、他の構造部材と幅の狭い側面との間に大きな相対的な変位が生じ、制震部材が有効に機能して効率の良い減衰効果が得られる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の制震構造物において、 前記扁平柱は、該扁平柱の軸線方向に配置された緊張材の緊張力によって、下端面が基礎又は下部構造部材に押し付けられており、 該扁平柱の上部に水平力が作用したときには、前記緊張力が作用した状態で、下端部に回転変位が生じるものとする。
この制震構造物では、扁平柱が下端部の回転変位によって傾斜するとともに、緊張材の緊張力によって復元力が作用する。これにより、扁平柱の傾斜によって有効に制震部材が機能するとともに、耐力壁として構造物の耐震性に有効に寄与するものとなる。
請求項4に係る発明は、 間隔をあけて立設された2つの構造部材の互いに対向するほぼ鉛直となる面に取り付けられ、前記2つの構造部材の配列された方向へ該構造部材が傾斜したときに前記対向する面の相対的な変位に対応して運動エネルギーを吸収する制震装置であって、 2つの前記構造部材の互いに対向する面の一方に固定される第1の接合部材と、 互いに対向する面の他方に、第1の接合部材と上下方向へ位置に差を設けて固定される第2の接合部材と、 第1の接合部材と第2の接合部材とに両端が連結され、第1の接合部材と第2の接合部材との間の相対的な変位に対応して運動エネルギーを吸収する制震部材と、 第1の接合部材又は第2の接合部材が固定される面と対向する面に固定され、第1の接合部材又は第2の接合部材が前記制震部材の軸線方向へ相対的に変位するのを許容するとともに、前記対向する面に沿った方向で前記制震部材の軸線と直角となる方向への相対的変位を拘束する面外拘束部材と、を有する制震装置を提供するものである。
この制震装置では、地震等の水平力が作用したときに、2つの構造部材が傾斜して対向する面が上下方向に相対的に変位するのにともなって制震部材が伸縮する。これによって繰り返し作用する水平力の運動エネルギーを吸収し、水平方向の震動を減衰させることができる。そして、制震部材に作用する力が引張方向から圧縮方向に転換するときに、2つの構造部材が配列された方向と直角となる方向つまり面外方向にこれらの構造部材が相対的に変位するのが面外拘束部材によって拘束される。これにより、制震部材が有効に機能して効率よく震動が減衰される。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の制震装置において、 第1の接合部材が固定された面と対向する面に第1の面外拘束部材が固定され、 第2の接合部材が固定された面と対向する面に第2の面外拘束部材が固定されており、 第1の接合部材と第2の面外拘束部材とは、連続する第1の基板に固定され、 第2の接合部材と第1の面外拘束部材とは、連続する第2の基板に固定され、 第1の基板と第2の基板とがそれぞれ前記構造部材に固定されているものとする。
この制震装置では、第1の接合部材と第2の面外拘束部材とを一体に組み立てた状態で構造部材の一方に固定することができるとともに、第2の接合部材と第1の面外拘束部材とを一体に組み立てた状態で構造部材の他方に固定することができる。これにより、接合部材と面外拘束部材とを構造部材の正確な位置に簡単に取り付けることが可能となる。
請求項6に係る発明は、 請求項5に記載の制震装置において、 第1の基板及び第2の基板は、前記構造部材の互いに対向する面とほぼ直角方向に張り出した鉛直固定板を有し、 前記2つの構造部材は木質の部材であり、互いに対向する面には前記鉛直固定板を差し入れることができるスリットが設けられ、 前記構造部材には側面から複数の横穴が穿設されるとともに、前記鉛直固定板には前記横穴と対応する位置にピン孔が設けられ、 第1の基板及び第2の基板は、前記構造部材の側面から前記横穴に挿入され、前記鉛直固定板に設けられたピン孔を貫通するドリフトピンによって前記構造部材に固定されるものとする。
この制震装置では、木質の構造部材に接合部材と面外拘束部材とを簡単かつ強固に取り付けることが可能となる。
以上説明したように、本発明の制震構造物及び制震装置では、並列するように立設された2つの構造部材間の面外方向の相対的な変位を拘束し、大きな制震効果が発揮されるものとなる。
本発明の一実施形態である制震構造物を示す概略斜視図である。 図1に示す制震構造物の正面図である。 図1に示す制震構造物で用いられる扁平柱及び並設された軸柱の平断面図及び下端部の支持構造を示す拡大図である。 図1に示す制震構造物で用いられる扁平柱の下端部を基礎に結合する構造を示す平面図、側面図及び断面図である。 図1に示す制震構造物で用いられている制震装置の平面図及び側面図である。 図1に示す制震構造物に地震時の水平力が作用した状態を示す概略図である。 図5に示す制震装置が機能している状態を示す概略図である。 図5に示す制振装置が取り付けられた2つの構造部材間に面外方向の相対的な変位が生じたときの制震装置の挙動を説明する概略図である。 図1に示す制震構造物に繰り返し水平力が作用したときの、図5に示す制震装置が備える制震部材の応力-ひずみ履歴であって、(a)図は取り付けられた2つの構造部材間の面外方向の相対的な変位が拘束されない場合、(b)図は2つの構造部材間の面外方向の相対的な変位が拘束された場合を示す図である。 本発明の他の実施形態である制震構造物を示す概略図である。 本発明の他の実施形態である制震構造物を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である制震構造物を示す概略斜視図である。また、図2は、図1示す制震構造物の正面図、図3は図1に示す制震構造物が備える扁平柱及び軸柱の平断面図及び下端部の支持構造を示す拡大図である。
この制震構造物は、木造建築物の構造躯体として機能するものであり、扁平な矩形断面を有する複数の扁平柱1と、扁平柱のそれぞれの幅の小さい側面と間隔を開けて対向するように立設された軸柱2と、軸柱と所定の間隔をあけて立設された中間軸柱3と、軸柱間、中間軸柱間又は軸柱と中間軸柱との間に架け渡された複数の梁4と、を主要部材として構成されるものである。そして、扁平柱1と軸柱2とは制震装置5によって接合されており、床構造は梁4、軸柱2又は中間軸柱3に支持される。これらの扁平柱1、軸柱2,中間軸柱3及び梁4はいずれも木質材からなるものである。扁平柱1及び軸柱2には、軸線方向に貫通孔が設けられ、緊張材6,7が配置されて扁平柱1及び軸柱2の底面を基礎8に向けて押し付けるように緊張力が導入されている。
上記扁平柱1、軸柱2、中間軸柱3は、図1中に示すX方向及びY方向に配列され、梁4と組み合わせて立体的な構造体を形成しており、扁平柱1は幅の大きい側面をX方向に向けて配置されるものと、幅の大きい側面をY方向に向けて配置されるものとがある。それぞれの扁平柱1の両脇には、幅の小さい側面と対向して軸柱2が立設され、軸柱2と扁平柱1との間には下端から上端まで所定の間隔が維持されている。そして、これらの扁平柱1と軸柱2とは双方間に配置された制震装置5によって接合されている。
軸柱と他の軸柱との間隔が大きくなる部分では、これらの間に中間軸柱3が立設されている。例えば、図1中に示す軸柱2-1と軸柱2-2との間には3つの中間軸柱3-1,3-2,3-3が所定の間隔で立設されている。これらの軸柱及び中間軸柱は、これらの間に架け渡された梁4によって連結されている。
上記扁平柱1は、小断面の木材を貼り合わせた集成材で形成されたものであり、断面の中央部に軸線方向の貫通孔が設けられ、緊張材が挿通されている。この緊張材6には緊張力が導入され、下端部は基礎8を構成するコンクリート内に埋め込んで定着され、上端部は扁平柱1の上端面に定着されている。これにより扁平柱1は下端面に取り付けられたベースプレート12を介して基礎8に押し付けられている。
緊張材6にはPC鋼棒が用いられており、図3に示すように扁平柱1を構成する集成材に設けられた開口1aからの操作によりカプラー6aを介して接続して用いることができる。
なお本実施の形態では、扁平柱1が一つの集成材で構成されているが、2つの扁平な断面を有する集成材を、幅の広い側面が間隔をあけて対向するように配置するものであってもよい。このような扁平柱を用いるときには、緊張材を2つの集成材の間の間隙に配置することができる。
上記軸柱2は、扁平柱1と同様に集成材で形成されており、断面がほぼ正方形となっている。この断面の一片の長さは扁平柱1の断面の長い辺より短く、扁平柱1の断面の短い辺より長く設定されている。
上記軸柱2には、中央部分に軸線方向の貫通孔が形成されており、この貫通孔に緊張材8が挿通されている。緊張材7には緊張力が導入され、扁平柱1に定着された緊張材6と同様に上端が軸柱2の上部に定着されるとともに下端部は基礎8のコンクリート中に埋め込んで定着されている。
中間軸柱3は、軸柱2と同様に集成材からなり、断面形状がほぼ正方形となっている。このような中間軸柱3が配置される位置、数等は建築物の用途や規模等に基づいて適宜に設定することができるものである。
扁平柱1、軸柱2及び中間軸柱3の下端には、図3に示すようにベースプレート12が固定されており、基礎8の上面に固定されている支圧プレート13上に重ね合わされ、ベースプレート12と支圧プレート13とが接合ボルト14によって結合されている。ベースプレート12は、扁平柱1、軸柱2又は中間軸柱3の下端部に埋め込まれて接着剤によって結合された埋め込みボルト(図示しない)によって扁平柱1、軸柱2又は中間軸柱3の下端部に固定されている。また、支圧プレート13は基礎8のコンクリート中に埋め込まれたアンカーボルト15によって基礎8の上面に固定されている。
ベースプレート12を支圧プレート13に結合する構造は、図4に示すように、支圧プレート13に設けられたボルト孔に接合ボルト14をねじ込み、締め付けることによって結合するものである。接合ボルトの頭部14aとベースプレート12との間には、円筒状のボルト受け部材16が介挿されており、接合ボルト14の長さを大きくして引張力が作用したときの伸び量を大きく設定することができるものとなっている。
ボルト受け部材16は、中心軸線の方向に貫通する中心孔16aを有するものであり、この中心孔16aに接合ボルト14が挿通され、ベースプレート12に設けられた貫通孔を経て支圧プレート13のボルト孔にねじ込まれる。中心孔16aは接合ボルト14の外径よりわずかに大きい内径を有するものである。
このボルト受け部材16の下部は下部固定ボルト17によってベースプレートに固定されている。また、接合ボルト14の頭部には鍔状部14bが設けられており、この鍔状部14bがボルト受け部材16の上面に当接される。そして、接合ボルトの頭部14aは上部固定ボルト18により、鍔状部14bを介してボルト受け部材16の上部に固定されている。
このようにベースプレート12が支圧プレート13に結合されていることにより、ベースプレート12が支圧プレート13から離れて浮き上がるように変位が生じ、接合ボルト14の伸び変形が塑性領域となった後にベースプレート12が支圧プレート13に押し付けられたときに、接合ボルト14には圧縮力が作用する。そして、ボルト受け部材16の中心孔16aの内径が接合ボルトの外径よりわずかに大きくなっていることにより、接合ボルト14の座屈が抑止されるものである。
図5は、扁平柱1と軸柱2とを接合する制震装置5を示す平面図及び側面図である。この制震装置は本発明の一実施形態である。
この制震装置5は、軸柱2に固定される第1の接合部材21と、扁平柱1の幅の狭い側面に、第1の接合部材21と上下方向へ位置に差を設けて固定される第2の接合部材22と、軸柱2に固定された第1の接合部材21と対向する位置で扁平柱1に固定された第1の面外拘束部材23と、扁平柱1に固定された第2の接合部材22と対向する位置で軸柱に固定された第2の面外拘束部材24と、第1の接合部材21と第2の接合部材22とに両端が連結された制震部材25と、を備えている。第1の接合部材21と第2の面外拘束部材24とは、一つの連続する基板26に固定され、さらにこの基板26が軸柱2に固定されている。基板26には、鉛直固定板27が基板26の取り付け面とほぼ直角に取り付けられており、軸柱2に設けられたスリット内に鉛直固定板27が差し入れられている。軸柱2には、側面から水平方向に貫通する複数の横穴が穿設されており、鉛直固定板27にはこの横穴と対応する位置にピン孔が設けられている。そして、軸柱2の側面から横穴に挿入され、鉛直固定板27を貫通するドリフトピン28によって基板26が軸柱2に強固に固定される。
第2の接合部材22と第1の面外拘束部材23とは、同様に一つの連続する基板36に固定され、さらにこの基板36が扁平柱1に固定されている。基板36は、第1の接合部材21と第2の面外拘束部材24とが固定された基板26と同様に鉛直固定板37を介して複数のドリフトピン38によって扁平柱1に固定されている。
第1の接合部材21と第2の接合部材22とは同じ構成となっており、基板26,36に重ねて固定される取付板41,51と、取付板41,51から直角に張り出して互いに鉛直面が間隔をあけて対向する2枚の接合板42,52と、を有するものであり、2枚の接合板42,52の間に板状の制震部材25を挟み込み接合ボルト43,53によって制震部材25の端部が連結されるものとなっている。接合板42,52と取付板41.51とには双方とほぼ直角となるように補剛板44,54が結合され、接合板42,52の変形を抑制する。そして、接合板42,52の制震部材25が連結される部分より先端側には2枚の接合板を貫通する調整ボルト45,55が設けられ、2つの接合板42,52の間隔の微調整が可能となっている。
第1の面外拘束部材23は、基板36に固定された2つのガイドブロック23aを有するものであり、2つのガイドブロック23aが互いに対向する鉛直面を形成するように間隔をあけて固定され、鉛直方向の溝状の凹部を形成している。この凹部内に第1の接合部材21が有する接合板42の先端部分が突き入れられ、2つの接合板42の外側面が2つのガイドブロック23aの対向面の双方に近接又は接触している。したがって、第1の接合部材21は2つのガイドブロック23a間で鉛直面に沿って上下方向には移動が可能となるが、水平方向で第1の接合部材21の取り付け面に沿った方向つまり面外方向には、第1の面外拘束部材23に対して相対的な変位が拘束される。
第2の面外拘束部材24も第1の面外拘束部材と同じ構成を有するものであり、2つのガイドブロック間に第2の接合部材22が有する接合板52の先端部が差し入れられており、第2の接合部材と第2の面外拘束部材24との上下方向の相対的な変位を許容するとともに面外方向の相対的な変位を拘束するものである。
制震部材25は、帯状の鋼板からなるものであり、構造用鋼、低降伏点鋼等を用いることができる。帯状となった制震部材25の一方の端部は第1の接合部材21に接合ボルト43によって連結され、他方の端部は第2の接合部材22に接合ボルト53によって連結されており、第1の接合部材21と第2の接合部材22とが上下方向に相対的に変位することによって制震部材25には軸方向の引張力又は圧縮力が作用するものとなっている。そして引張力又は圧縮力によって塑性変形が生じるのを許容するものである。
制震部材25の周囲には、圧縮力が作用したときの座屈を抑止するための座屈拘束部材29が取り付けられている。座屈拘束部材29は、例えば制震部材25を囲む管部材とこの管部材内に充填されたモルタルとを有するものを採用することができる。制震部材の表面には摺動層が形成されており、モルタルは制震部材25の伸縮を許容するとともに曲げ変形を拘束するものである。また、座屈拘束部材の他の例として、帯状となった制震部材の両面に鋼部材を重ね合わせ、制震部材の側縁に沿って配置された制震部材よりわずかに厚さが大きい間隔保持部材を挟み込んで上記2つの鋼部材を結合した部材を採用することもできる。2つの鋼部材は制震部材を強く押圧することなく近接又は接触して制震部材の伸縮を許容するとともに、曲げ変形を拘束して座屈を抑止するものである。
このような制震構造物では、地震時に水平方向の力が繰り返し反復して作用すると、図6に示すように扁平柱1及び軸柱2が傾斜し、制震装置5が取り付けられた扁平柱1と軸柱2との互い対向する面に相対的な変位が生じる。これにともなって、図7に示すように第1の接合部材21と第2の接合部材22との間隔が変動し、制震部材25に圧縮力又は引張力が繰り返し作用する。そして、水平力が大きくなると制震部材25には塑性変形が生じ、応力-ひずみ履歴はループ状となって、震動のエネルギーを吸収し、構造物の震動を減衰させる。
このとき扁平柱1と軸柱2とが面外方向に相対的に変位すると、第1の接合部材21と第2の接合部材22との間隔の変動量の全部が制震部材25の伸縮に反映されないことがある。つまり制震部材25に作用する軸力が引張力から圧縮力に反転するときに、図8に示すように扁平1柱と軸柱2との面外方向(図8中に符号Aで示す方向)の相対的な変位が生じ、第1の接合部材21と第2の接合部材22との上下方向の相対的な変位が生じても制震部材25の圧縮力が対応して増加しないことがある。このとき制震部材25の応力-ひずみ履歴は図9(a)に示すように、制震部材25に作用する軸力が引張から圧縮に反転するときに軸圧縮力がわずかしか変化しないまま変位のみが生じる期間が生じる。そして、圧縮側でループ状に囲まれる面積が引張側に比べて小さくなっており、エネルギーの吸収量が低下することになる。
これに対し、第1の接合部材21及び第2の接合部材22が面外拘束部材23,24によって面外方向へ相対的に変位するのが拘束されることにより、図9(b)に示すように制震部25材の軸力が引張から圧縮に反転するときに、軸方向力の変動にともなってひずみは連続的に圧縮側に生じる。これにより応力-ひずみ履歴は大きな面積を囲むように推移し、有効に震動のエネルギーを吸収することが可能となる。
以上に説明した制震構造物及び制震装置は、本発明の一実施形態であって、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜に態様を変更して実施することができる。
例えば、図1から図3までに示す制震構造物では、扁平柱1の両側にそれぞれ軸柱2が間隙を設けて立設され、扁平柱1と軸柱との間に制震装置5が用いられているが、図10に示すように2以上の扁平柱61,62を幅の狭い側面が間隙をおいて対向するように立設し、これらの扁平柱間に制震装置63を取り付けるものであってもよい。なお、このような構造でも扁平柱61,62と隣り合うように立設された軸柱2との間にも制震装置5を取り付けることができる。
また、本発明の制震構造物は、構造部材が木質の部材であるときに好適に採用することができるものであるが、制震装置が取り付けられる2つの構造部材の一方又は双方が木質以外の構造部材であってもよい。
また、図1から図3までに示す制震構造物では、扁平柱1が基礎8上に立設されているが、図11に示すように多層階の建築物で扁平柱71が梁72上に立設されるものであってもよい。扁平柱71と間隔をあけて軸柱73,74又は他の扁平柱を立設し、これらの対向する鉛直面間に制震装置75を取り付けるものである。このとき、梁72は下層階の扁平柱76又は軸柱77に支持されるものとすることができる。下層階の扁平柱76も基礎78と扁平柱76上に支持された梁72との間で、上端及び下端の回転変位が可能に支持されるものとすることができ、扁平柱76と隣り合うように立設される軸柱77又は他の扁平柱との間に制震装置79を使用することができる。
制震装置を扁平柱又は軸柱に取り付ける形態は、上記実施形態では同じ基板上に接合部材と面外拘束部材とを固定し、これを扁平柱に取り付けるものとしているが、接合部材と面外拘束部材とを別個に扁平柱又は軸柱に取り付けるものであってもよい。このとき基板を用いずに取付板を直接に扁平柱又は軸柱に取り付けるものであってよいし、制震部材が連結される接合板から連続するように設けられた鉛直固定板を木質の部材である扁平柱又は軸柱に設けられたスリットに挿入して固定するものであってもよい。
制震装置を扁平柱又は軸柱に固定する手段として、上記実施形態では、木質部材にスリットを設け、これに差し入れられた鉛直固定板27,37と側方から挿入したドリフトピン28,38とで固定するものとなっているが、これ以外の固定手段を採用することができる。
例えば、ビス又はラグスクリューによって接合部材及び面外拘束部材を木質の構造部材に取り付けることもできる。また、木質部材である扁平柱又は軸柱にボルト挿入孔を穿設し、このボルト挿入孔に挿入して接着剤の充填により固定されたボルトで接合部材及び面外拘束部材を固定するものであってもよい。さらに、木質の部材に大径のスクリュー部材をねじ込み、このスクリュー部材の端面から軸線方向に設けられたボルト孔にねじ込まれるボルトによって接合部材及び面外拘束部材を固定することもできる。
一方、面外拘束部材は、上記の実施形態では2つのガイドブロック間の間隙に接合部材の先端部を差し入れ、面外方向の相対的な変位を拘束するものとなっているが、溝状の凹部を有する一つの部材を使用し、凹部に接合部材の一部を差し入れて面外方向の相対的な変位を拘束するものであってもよい。
1:扁平柱, 1a:扁平柱に設けられた開口, 2:軸柱, 3:中間軸柱, 4:梁, 5:制震装置, 6:緊張材, 6a:緊張材を接続するカプラー, 7:緊張材, 8:基礎,
12:ベースプレート, 13:支圧プレート, 14:接合ボルト, 15:アンカーボルト, 16:ボルト受け部材, 17:下部固定ボルト, 18:上部固定ボルト,
21:第1の接合部材, 22:第2の接合部材, 23:第1の面外拘束部材, 23a:ガイドブロック, 24:第2の面外拘束部材, 25:制震部材, 26,36:基板, 27,37:鉛直固定板, 28,38:ドリフトピン, 29:座屈拘束部材,
41,51:取付板, 42,52:接合板, 43,53:接合ボルト, 44,54:補剛板, 45,55:調整ボルト,
61,62:扁平柱, 63:制震装置,
71:扁平柱, 72:梁, 73,74:軸柱, 75:制震装置, 76:下層階の扁平柱, 77:下層階の軸柱, 78:基礎, 79:制震装置,

Claims (6)

  1. 双方の鉛直面が間隔をあけて対向するように並設され、水平力の作用時に傾斜することを許容するように支持された2つの構造部材と、
    前記構造部材の一方の、他方の構造部材と対向する面に固定された第1の接合部材と、
    前記構造部材の他方の、一方の構造部材と対向する面に、第1の接合部材と上下方向の位置に差を設けて固定された第2の接合部材と、
    第1の接合部材又は第2の接合部材が固定された面と対向する面に固定され、第1の接合部材又は第2の接合部材が上下方向へ相対的に変位するのを許容するとともに、2つの前記構造部材が配列された方向と直角となる方向へ第1の接合部材又は第2の接合部材が相対的に変位するのを拘束する面外拘束部材と、
    第1の接合部材と第2の接合部材とに両端が連結され、2つの前記構造部材が配列された方向へ該構造部材が傾斜したときに互いに対向する面の相対的変位によって伸縮し、運動エネルギーを吸収する制震部材と、を有することを特徴とする制震構造物。
  2. 2つの前記構造部材の少なくとも一方は、一対の側面より隣接する他の一対の側面の幅が大きい扁平な矩形断面の柱であって、基礎上又は下部構造部材上に立設された木質材からなる扁平柱であって、幅の狭い側面が他方の構造部材と対向するものであり、
    該扁平柱は、水平力の作用時に該扁平柱の幅の大きい側面に沿った方向に傾斜することを許容するように支持されていることを特徴とする請求項1に記載の制震構造物。
  3. 前記扁平柱は、該扁平柱の軸線方向に配置された緊張材の緊張力によって、下端面が基礎又は下部構造部材に押し付けられており、
    該扁平柱の上部に水平力が作用したときには、前記緊張力が作用した状態で、下端部に回転変位が生じるものであることを特徴とする請求項2に記載の制震構造物。
  4. 間隔をあけて立設された2つの構造部材の互いに対向するほぼ鉛直となる面に取り付けられ、前記2つの構造部材の配列された方向へ該構造部材が傾斜したときに前記対向する面の相対的な変位に対応して運動エネルギーを吸収する制震装置であって、
    2つの前記構造部材の互いに対向する面の一方に固定される第1の接合部材と、
    互いに対向する面の他方に、第1の接合部材と上下方向へ位置に差を設けて固定される第2の接合部材と、
    第1の接合部材と第2の接合部材とに両端が連結され、第1の接合部材と第2の接合部材との間の相対的な変位に対応して運動エネルギーを吸収する制震部材と、
    第1の接合部材又は第2の接合部材が固定される面と対向する面に固定され、第1の接合部材又は第2の接合部材が前記制震部材の軸線方向へ相対的に変位するのを許容するとともに、前記対向する面に沿った方向で前記制震部材の軸線と直角となる方向への相対的変位を拘束する面外拘束部材と、を有することを特徴とする制震装置。
  5. 第1の接合部材が固定された面と対向する面に第1の面外拘束部材が固定され、
    第2の接合部材が固定された面と対向する面に第2の面外拘束部材が固定されており、
    第1の接合部材と第2の面外拘束部材とは、連続する第1の基板に固定され、
    第2の接合部材と第1の面外拘束部材とは、連続する第2の基板に固定され、
    第1の基板と第2の基板とがそれぞれ前記構造部材に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の制震装置。
  6. 第1の基板及び第2の基板は、前記構造部材の互いに対向する面とほぼ直角方向に張り出した鉛直固定板を有し、
    前記2つの構造部材は木質の部材であり、互いに対向する面には前記鉛直固定板を差し入れることができるスリットが設けられ、
    前記構造部材には側面から複数の横穴が穿設されるとともに、前記鉛直固定板には前記横穴と対応する位置にピン孔が設けられ、
    第1の基板及び第2の基板は、前記構造部材の側面から前記横穴に挿入され、前記鉛直固定板に設けられたピン孔を貫通するドリフトピンによって前記構造部材に固定されるものであることを特徴とする請求項5に記載の制震装置。
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