JP2023078736A - 光学素子、光学機器、撮像装置、及び光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】第1透明部材に対する第2透明部材の相対的な変位が抑制される光学素子を提供すること。【解決手段】光学素子は、第1透明部材と、前記第1透明部材と接触して配置された、前記第1透明部材と線膨張係数が異なる第2透明部材と、前記第1透明部材と前記第2透明部材とを接合する接着部材と、を備える。前記接着部材の弾性率は、-30℃の温度条件下において、1700MPa以下である。これにより、前記第1透明部材に対する前記第2透明部材の相対的な変位が抑制される。【選択図】図2
Description
本発明は、光学素子、光学機器、撮像装置、及び光学素子の製造方法に関する。
従来、光学機器の光学系において、光学系に含まれるレンズを、樹脂レンズとすることで、光学機器の軽量化が図られている。レンズは、光学機能面に歪みを発生させることなく、被取り付け部材に位置精度良く強固に固定されることが好ましい。被取り付け部材にレンズを取り付ける方法の1つとして、被取り付け部材を熱かしめにより変形させることでレンズを被取り付け部材に取り付ける方法がある。レンズが樹脂レンズである場合、熱かしめ時に樹脂レンズが変形することがあり、樹脂レンズが変形すると樹脂レンズの光学性能が劣化する原因となる。特許文献1には、被取り付け部材に熱かしめにより固定するレンズをガラスレンズとし、そのガラスレンズに樹脂レンズを接着剤により接着する方法が提案されている。
しかしながら、上記の2つのレンズが低温に晒された後、2つのレンズが置かれている環境の温度が低温から室温に戻った際に、2つのレンズのうち一方のレンズが他方のレンズに対して変位することがあった。
本発明は、第1透明部材に対する第2透明部材の相対的な変位が抑制される光学素子を提供することを目的とする。
本発明の光学素子は、第1透明部材と、前記第1透明部材と接触して配置された、前記第1透明部材と線膨張係数が異なる第2透明部材と、前記第1透明部材と前記第2透明部材とを接合する接着部材と、を備え、前記接着部材の弾性率は、-30℃の温度条件下において、1700MPa以下である、ことを特徴とする。
本発明の光学素子の製造方法は、第1透明部材と第2透明部材とを接触させ、前記第1透明部材と前記第2透明部材との間に接着剤を供給し、前記接着剤を硬化させることで、前記第1透明部材と前記第2透明部材とを接合する、-30℃の温度条件下において弾性率が1700MPa以下である接着部材を形成する、ことを特徴とする。
本発明によれば、第1透明部材に対する第2透明部材の相対的な変位を抑制することができる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[撮像装置]
図1は、実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラ600の概略構成を示す説明図である。デジタルカメラ600は、例えば一眼レフデジタルカメラである。デジタルカメラ600は、撮像装置本体の一例であるカメラ本体602と、光学機器の一例であるレンズ鏡筒601と、を備える。レンズ鏡筒601はカメラ本体602対して着脱可能な交換レンズである。
図1は、実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラ600の概略構成を示す説明図である。デジタルカメラ600は、例えば一眼レフデジタルカメラである。デジタルカメラ600は、撮像装置本体の一例であるカメラ本体602と、光学機器の一例であるレンズ鏡筒601と、を備える。レンズ鏡筒601はカメラ本体602対して着脱可能な交換レンズである。
レンズ鏡筒601は、筐体610と、筐体610の内部に配置された光学系611と、を有する。光学系611は、撮像光学系であり、光軸L0上に配置された、複数のレンズ603、光学素子10、絞り605、及び複数のレンズ606を含む。被写体からの光は、複数のレンズ603、光学素子10、絞り605、及び複数のレンズ606を通過して、カメラ本体602のイメージセンサ621に受光される。
光学素子10は、光学ユニット100と、光学ユニット100を支持する内筒604と、を有する。光学ユニット100は、第1透明部材の一例であるレンズ11と、第2透明部材の一例であるレンズ12と、を有する。透明とは、波長が400nm以上780nm以下の範囲の光の透過率が、10%以上であることを示す。
レンズ11は、内筒604に保持され、レンズ12は、レンズ11に固定されている。内筒604は、保持部材の一例である。内筒604、即ち光学素子10は、フォーカシングやズーミングのために筐体610に対して光軸L0の方向に移動可能に筐体610の内部に配置されている。
カメラ本体602は、筐体620と、筐体620の内部に配置された、上述したイメージセンサ621と、を有する。イメージセンサ621は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。
撮像前の観察期間においては、レンズ鏡筒601の光学系611を通過した被写体からの光は、カメラ本体602の筐体620内の主ミラー607により反射される。その反射光は、プリズム622を透過後、ファインダレンズ612を通して撮像者に撮像画像が映し出される。主ミラー607は例えばハーフミラーである。主ミラー607を透過した光は、サブミラー608によりAF(オートフォーカス)ユニット613の方向に反射される。この反射光は、例えば測距に使用される。また、主ミラー607は、主ミラーホルダ640に接着剤などによって装着されることで、主ミラーホルダ640に支持されている。撮像時において撮像者によって不図示のシャッタボタンが押下された場合、不図示の駆動機構が、主ミラー607とサブミラー608を光路外に移動させ、シャッタ609を開く。これにより、レンズ鏡筒601の光学系611を通過した被写体からの光、即ち撮像光像は、イメージセンサ621に結像される。これにより、イメージセンサ621から撮像画像が得られる。なお、絞り606は、開口面積を変更することにより撮像時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
[光学ユニット]
図2(a)は、実施形態に係る光学ユニット100の平面図である。図2(b)は、実施形態に係る光学ユニット100の断面図である。図2(c)は、実施形態に係る光学ユニット100の断面拡大図である。図2(b)には、図2(a)に示すIIB-IIB線に沿う光学ユニット100の断面を図示している。図2(c)には、図2(b)の一部分を拡大して図示している。
図2(a)は、実施形態に係る光学ユニット100の平面図である。図2(b)は、実施形態に係る光学ユニット100の断面図である。図2(c)は、実施形態に係る光学ユニット100の断面拡大図である。図2(b)には、図2(a)に示すIIB-IIB線に沿う光学ユニット100の断面を図示している。図2(c)には、図2(b)の一部分を拡大して図示している。
光学ユニット100は、上述したように、レンズ11と、レンズ12とを備える。レンズ11の中心軸とレンズ12の中心軸とが互いに重なる状態で、レンズ11とレンズ12とが互いに接触して配置されている。
各レンズ11,12の外形は、光軸L0の方向に視て、円形状である。光軸L0は、各レンズ11,12の中心を通る中心軸でもある。光軸L0の方向に視て、レンズ11は、レンズ12より大きい。即ち、レンズ11は、レンズ12より大径である。以下、光軸L0の方向をZ方向とする。また、光軸L0に直交し、光軸L0から延びる方向を半径方向R1とする。また、光軸L0を中心とした光軸L0の周りの方向を周方向R2とする。
レンズ11は、第1主面である主面111と、主面111の裏の主面112と、外周面113と、を含む。レンズ12は、第2主面である主面121と、主面121の裏の主面122と、外周面123と、を含む。各主面111,112,121,122の一部又は全部は、光学機能面として用いられる。
主面121は、主面111からZ方向に離間して主面111と対面している。即ち、主面111と主面121とは間隔をあけて配置されている。各主面111,112,121,122の形状は、特に限定されるものではないが、凹球面、凸球面、軸対称非球面、及び平面などの形状のいずれかが好適である。
レンズ11は、図1に示す内筒604の内壁6041に固定されている。本実施形態において、内筒604は、樹脂製である。レンズ11は、内筒604に熱かしめにより固定されている。
レンズ12は、主面121に対して突出する突出部125を有する。突出部125は、レンズ11の主面111に向かって突出している。本実施形態では、突出部125は、Z方向に視て、リング形状に形成されている。突出部125は、主面121を主面111に対して所定の間隔をあけるように位置決めするためのものであり、主面111に接触して設けられている。これにより、レンズ12は、主面121が主面111に対してZ方向に所定の間隔をあけるように、レンズ11に対して高精度に位置決められている。
光学ユニット100は、接着剤で形成された少なくとも1つの接着部材、本実施形態では複数、例えば6つの接着部材13を有する。レンズ11とレンズ12とは、複数の接着部材13で接合されている。本実施形態では、レンズ12は、複数の接着部材13でレンズ11に接着により固定されている。複数の接着部材13は、周方向R2に間隔をあけて配置されている。本実施形態では、複数の接着部材13は、周方向R2に等間隔、例えば光軸L0を中心に60度の間隔をあけて配置されている。各接着部材13は、一部又は全部、本実施形態では全部が、レンズ11とレンズ12との間に配置されている。そして、各接着部材13は、主面111及び主面121に接触して配置されている。
突出部125は、先端面である端面1251を含む。端面1251は、主面111と対面し、主面111と部分的に接触する。即ち、端面1251及び/又は主面111は、粗面となっているため、端面1251は、主面111に部分的に接触する。具体的には、主面111及び端面1251の少なくとも一方は、平滑面ではなく、ミクロンオーダー又はサブミクロンオーダーの凹凸表面となっている。図2(c)の例では、主面111が粗面となっている。そのため、端面1251は、主面111と部分的に接触し、接触していない箇所においては主面111との間にわずかな隙間がある。各接着部材13の少なくとも一部は、主面111と端面1251との間の隙間に介在している。
各接着部材13は、主面111と端面1251との間の隙間に介在している部分である接着部(固定部)131と、主面111、主面121、及び突出部125の外側面1252に接触する接着部(固定部)132と、を含む。接着部131と接着部132とは、連続して一体に形成されている。つまり、接着部131と接着部132とは互いに接触している。接着部132は、接着部131に対して半径方向R1の外方に位置している。また、接着部132の体積は、接着部131の体積より大きい。接着部材13は未硬化の樹脂を含む接着剤の硬化物である。接着部材13は樹脂の硬化物を含む。
レンズ11は、第1透明基材の一例である基材110を含む。基材110は、レンズ本体である。レンズ11は、基材110の表面に形成される機能膜を含んでいてもよい。機能膜は、少なくとも1つの機能層で構成される。機能層は、コーティング層であり、例えば反射防止層、親水層などが挙げられる。反射防止層は、例えば、ミクロンオーダーの粒子を含む塗料から形成される。親水層は、例えばSiO2を含んで構成されている。
レンズ12は、第2透明基材の一例である基材120を含む。基材120は、レンズ本体である。レンズ12は、基材120の表面に形成される機能膜を含んでいてもよい。機能膜は、少なくとも1つの機能層で構成される。機能層は、コーティング層であり、例えば反射防止層、親水層などが挙げられる。親水層は、例えばSiO2を含んで構成されている。
基材110の材質は、光学ガラスなどのガラスである。ガラスとしては、珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、リン酸ガラス、石英ガラス、ガラスセラミックスなどから選択することができる。
基材120の材質は、基材110の材質とは異なる材質であり、本実施形態では樹脂である。樹脂は、光学樹脂が好ましい。光学樹脂としては、シクロオレフィンポリマー、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネートなどから選択することができる。
ここで、比較例の光学ユニットについて説明する。なお、以下の説明では、レンズ11をガラスレンズ、レンズ12を樹脂レンズともいう。図3は、比較例の光学ユニット100Xの平面図である。比較例の光学ユニット100Xは、本実施形態と同様、レンズ11と、レンズ12とを備える。比較例の光学ユニット100Xは、接着部材13を構成する材料とは異なる材料で構成された、複数の接着部材13Xを備える。各接着部材13Xには、接着剤が用いられる。各接着部材13Xは、接着部131Xと、接着部132Xとを含む。接着部131Xは、接着部131と同じ位置に配置されている。接着部132Xは、接着部132と同じ位置に配置されている。
比較例の光学ユニット100Xを有する光学機器が低温環境下で使用された後、低温環境下から室温環境下に戻った際に、レンズ12がレンズ11に対して相対的に変位する、即ち偏心する現象が発生することがあった。このように、レンズ11に対してレンズ12の固定位置が変化することにより、撮像性能が低下する虞があった。
そこで、本発明者らは、光学ユニット100Xを観察した結果、複数の接着部材13Xうち一部の接着部材13Xに含まれる接着部131Xが、突出部125又はレンズ11から部分的又は全体的に剥離していることを確認した。例えば6つの接着部材13Xのうち、4つの接着部材13Xのそれぞれにおいて、接着部131Xが部分的又は全体的に剥離するような現象である。本発明者らは、このような界面剥離が発生することで、低温環境下から室温環境下に戻った際に、各接着部材13Xの間で接着力のアンバランスが生じ、レンズ12がレンズ11に対して偏心するものと考えた。
本発明者らは、このような界面剥離が発生する原因について、以下のように考察するに至った。即ち、基材120の材質は、基材110の材質とは異なる。基材120の材質が基材110の材質とは異なるため、基材120の線膨張係数は、基材110の線膨張係数とは異なる。即ち、ガラス製の基材110の線膨張係数は、樹脂製の基材120の線膨張係数に比べて小さい。光学ユニット100Xの置かれている環境の温度が室温から低温に変化する場合、樹脂製の基材110を含むレンズ12は、ガラス製の基材120を含むレンズ11に比べて、半径方向R1の熱収縮量が大きい。ここで、室温とは、常温、例えば23℃±2℃である。また、低温とは、例えば氷点下である。低温環境下で光学機器が使用された場合、レンズ11の熱収縮量とレンズ12の熱収縮量との差により、各接着部材13Xには熱応力が発生する。よって、接着部材13Xの接着部131Xに熱応力が発生することにより接着部材13Xの接着部131Xにおいて界面剥離が発生したものと考えられる。
そこで、本発明者らは、低温環境下における各接着部材13の弾性率Eを低く調整することで、各接着部材13の剥離を抑制できることを見出したものである。即ち、本実施形態の各接着部材13の弾性率Eは、-30℃の温度条件下において、1700MPa以下である。ここで、-30℃とは、±0.5℃の誤差を含む。また、本実施形態において、弾性率Eとは貯蔵弾性率である。なお、-30℃の温度環境下における接着部材13の弾性率Eの測定には、ナノインデンターによる微小押し込み硬さ試験を用いることが可能である。
本実施形態によれば、低温環境下において各接着部材13に柔軟性を持たせることで、各接着部材13をレンズ11とレンズ12の熱収縮量の差に追従させることができ、各接着部材13の接着部131に発生する熱応力を緩和することができる。これにより、各接着部材13の接着部131における界面剥離が防止される。よって、光学素子10が低温環境下に晒された後、光学素子10の置かれている環境の温度が低温から室温に変化しても、各接着部材13における接着力のバランスは保たれ、レンズ11に対するレンズ12の相対的な変位、即ち偏心が抑制される。レンズ12を基準とすれば、レンズ12に対するレンズ11の相対的な変位が抑制される。
また、複数の接着部材13が周方向R2に等間隔に配置されているので、各レンズ11,12の熱収縮により各接着部材13に生じる応力が均一となり、レンズ11に対するレンズ12の変位が抑制される。
ここで、レンズ11に機能膜が含まれていたとしても、レンズ11の大部分は基材110であるため、基材110の熱収縮は、レンズ11の熱収縮といえる。また、レンズ12に機能膜が含まれていたとしても、レンズ12の大部分は基材120であるため、基材120の熱収縮は、レンズ12の熱収縮といえる。
各接着部材13の弾性率Eは、-30℃の温度条件下において、200MPa以上であることが好ましい。即ち、レンズ12をレンズ11から引き剥がすのに要する力が40N以上であることが好ましい。これにより、レンズ11とレンズ12とが互いに接着部材13によってより強固に固定される。なお、レンズ11からレンズ12を引き剥がすのに要する力は、レンズ12からレンズ11を引き剥がすのに要する力と同じである。以下、これらの力を「引き剥がし力」という。
このように、低温環境下において、各接着部材13の弾性率Eが、200MPa以上1700MPa以下であることで、レンズ11,12の間の相対的な位置ずれを抑制することができ、かつ引き剥がし力を高めることができる。以上の観点から、各接着部材13の弾性率Eは、-30℃の温度条件下において、400MPa以上1400MPa以下であることがより好ましい。
引き剥がし力の測定方法について説明する。まず、-10℃から0℃までの温度範囲の環境下において、レンズ12の外周面123を120度間隔で3点、半径方向R1の内方に向けて押圧するようにしてレンズ12を保持する。次に、レンズ11の全体を、プッシュプルゲージを用いてレンズ12に対して持ち上げる。具体的には、レンズ11の光学面の中心に対して法線方向に持ち上げる。このときに、複数の接着部材13がレンズ12から剥離されるときの最大の荷重を、引き剥がし力とする。
また、基材110及び基材120のそれぞれの表面に形成される機能膜又は機能膜の外層として、SiO2などの親水層を用いてもよい。これにより、接着部131の接着界面における密着性を向上させることができ、接着部131の剥離を効果的に抑制することができる。また、レンズ11及びレンズ12のそれぞれの表面に、大気圧プラズマ処理やUVオゾン処理などによってカルボニル基やカルボキシル基等化学的に結合させるような表面改質を施してもよい。これにより、接着部131の接着界面における密着性を向上させることができ、接着部131の剥離を効果的に抑制することができる。
ここで、基材110の線膨張係数をα1とし、基材120の線膨張係数をα2とする。α1/α2≦0.24の関係を満たす場合に各接着部材13が上述した弾性率Eであると、より効果的である。即ち、α1/α2が0.24以下のような、線膨張係数α1と線膨張係数α1とに大きな差がある組み合わせであっても、各接着部材13に発生する熱応力を効果的に緩和でき、効果的に接着部131の剥離を抑制することができる。よって、レンズ11に対するレンズ12の相対的な変位、即ち偏心を効果的に抑制することができる。
なお、レンズ11とレンズ12との大小関係は、上述の関係に限定されない。また、樹脂製の基材120を有するレンズ12の半径が大きくなるに連れ、低温時においてレンズ12の半径方向R1の収縮量が大きくなる。このため、各接着部材13に発生する熱応力も大きくなるが、各接着部材13が上述の構成であるため、レンズ11に対するレンズ12の偏心を抑制することができる。
また、接着部131のZ方向の平均厚みTは、0.05mm以下であることが好ましい。低温環境下において、基材110と基材120との線膨張係数の差に起因した、レンズ11に対するレンズ12の半径方向R1の相対的な収縮に、各接着部材13がより効果的に追随することができる。同様の理由で、接着部131のZ方向の平均厚みTは、0.01mm以上であることが好ましい。すなわち、接着部131のZ方向の平均厚みTは、0.01mm以上0.05mm以下であることがより好ましい。
接着部131の厚みの測定方法について説明する。まず、-10℃から0℃までの温度範囲の環境下において、レンズ12の外周面123を120度間隔で3点、半径方向R1の内方に向けて押圧するようにしてレンズ12を保持する。次に、レンズ11の全体をレンズ12に対して持ち上げる。具体的には、レンズ11の光学面の中心に対して法線方向に持ち上げる。これにより、接着部材13は、レンズ11にくっついた状態でレンズ12から剥離される。その剥離された接着部材13の接着部131の膜厚を膜厚計で3箇所測定し、その3つの測定値の平均値を平均厚みTとする。
次に、各接着部材13を形成するのに用いる接着剤について説明する。接着部材13は未硬化の樹脂を含む接着剤の硬化物である。接着部材13は樹脂の硬化物を含む。各接着部材13は、架橋型の接着剤の硬化物であることが好ましい。即ち、接着剤は、架橋型の接着剤であることが好ましい。架橋型の接着剤として、例えば紫外線硬化樹脂を含む紫外線硬化型接着剤などの光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、又は湿気硬化型接着剤を使用することができる。これらの種類の接着剤の中でも、光硬化型接着剤が好ましい。光硬化型接着剤の中でも、紫外線硬化型接着剤がより好ましい。紫外線硬化型接着剤は、紫外線を照射することで瞬間的に硬化させることが可能である。そのため、塗布の作業性と接着性が向上する。
また、-30℃の温度条件下における各接着部材13の弾性率をE[MPa]、各接着部材13の接着部131の平均厚みをT[mm]としたとき、E≦3.5×104×T-50の関係を満たすことが好ましい。
[光学素子の製造方法]
以下、光学素子10の製造方法を説明する。図4(a)~図4(d)は、実施形態に係る光学素子10の製造方法の各工程の説明図である。
以下、光学素子10の製造方法を説明する。図4(a)~図4(d)は、実施形態に係る光学素子10の製造方法の各工程の説明図である。
まず、図4(a)に示すように、レンズ11,12を用意し、レンズ11とレンズ12とを接触させる。具体的には、レンズ12の突出部125を、レンズ11の主面111と接触させる。このとき、レンズ11の中心軸とレンズ12の中心軸とが重なるように調整される。
次に、図4(b)に示すように、レンズ11とレンズ12との間に接着剤Aを供給する。接着剤Aの供給には、接着剤Aを定量吐出できる公知の方法が用いられる。例えば、接着剤Aは、エアディスペンサー41などを用いて、レンズ12の外周面123の近傍からレンズ11とレンズ12との間に塗布される。本実施形態では、接着剤Aは、図2(a)に示す周方向R2に、等間隔に6箇所、塗布される。
各箇所に接着剤Aが塗布されると、各箇所の接着剤Aは、レンズ11とレンズ12との間を濡れ広がっていき、突出部125の端面1251と主面111との間の隙間まで到達する。そして、接着剤Aがその隙間に毛細管現象で浸透することで、隙間が接着剤で充填される。
接着剤Aの粘度は、特に限定されないが、3000mPa・s未満であることが好ましい。接着剤Aの粘度が3000mPa・s未満の場合、接着剤Aが濡れ広がりやすく、接着剤Aが突出部125の端面1251と主面111との間に容易に浸透する。なお、形成される接着部131の厚みを制御するため、端面1251に予め高さ0.05mm以下の突起を設けておいてもよい。
その後、接着剤Aを硬化させる。接着剤Aは、例えば紫外線硬化型接着剤である。図4(c)に示すように、光源42により接着剤Aに紫外線L1を照射することで、接着剤Aを硬化させる。光源42には、例えば高圧水銀ランプやLED照射機などを使用することができる。接着剤Aが硬化することにより、レンズ12をレンズ11に固定する接着部材13が形成される。接着部材13は、-30℃の温度条件下において弾性率Eが1700MPa以下である。このようにして、レンズ11とレンズ12とが接着部材13で接合されることにより、光学ユニット100が得られる。
なお、得られた光学ユニット100をアニール処理してもよい。アニール処理することによって、接着剤の硬化物から生じるアウトガスを低減でき、接着部材13の接着力をより強固にすることができる。
次に、図4(d)に示すように、内筒604の内部に光学ユニット100を配置し、内筒604の内壁6041の一部を熱かしめすることによってレンズ11を内筒604の内壁6041に固定する。以上の工程により、光学素子10が得られる。
なお、各工程の順番は、これに限定されるものではない。例えば、レンズ11を内筒604に熱かしめによって固定した後、レンズ11上にレンズ12を接着固定してもよい。また、接着部材13の個数は、6つに限定するものではなく、2つ以上、例えば3つであってもよい。
[変形例]
上記実施形態の変形例について説明する。図5(a)~図5(c)は、変形例の光学ユニットの説明図である。図5(a)に変形例1の光学ユニット100A、図5(b)に変形例2の光学ユニット100B、図5(c)に変形例3の光学ユニット100Cを示す。なお、上記実施形態のレンズ鏡筒601において、光学ユニット100の代わりに光学ユニット100A~100Cのいずれかが適用される。
上記実施形態の変形例について説明する。図5(a)~図5(c)は、変形例の光学ユニットの説明図である。図5(a)に変形例1の光学ユニット100A、図5(b)に変形例2の光学ユニット100B、図5(c)に変形例3の光学ユニット100Cを示す。なお、上記実施形態のレンズ鏡筒601において、光学ユニット100の代わりに光学ユニット100A~100Cのいずれかが適用される。
図5(a)に示すように、光学ユニット100Aは、複数の接着部材13の代わりに複数の接着部材13Aを有する。各接着部材13Aは、レンズ11の主面111、レンズ12の主面121、及びレンズ12の外周面123に接触していてもよい。光学ユニット100Aを製造する際には、接着剤は、レンズ12の外側に溢れるように塗布すればよい。レンズ12の外周面123を接着部材13Aが接触するので、より強固にレンズ12をレンズ11に固定することができる。したがって、低温環境下で光学素子、即ちデジタルカメラを使用した際に、レンズ11に対するレンズ12の偏心をより効果的に抑制することができる。
また、図5(b)に示すように、第2透明部材の一例であるレンズ12Bが、周方向R2に間隔をあけて配置された複数の突出部152Bを有していてもよい。各突出部152Bには、複数の接着部材13のうち対応する接着部材13が接触して配置されている。
また、図5(c)に示すように、1つの接着部材13Cが突出部125を囲むように配置されていてもよい。光学ユニット100Cを製造する際には、接着剤は、周方向R2全体に亘ってレンズ11とレンズ12との間に塗布すればよい。
[実施例]
以下に実験を行った結果として、上記実施形態に対応する実施例1~7、及び上記比較例に対応する比較例1について説明する。
以下に実験を行った結果として、上記実施形態に対応する実施例1~7、及び上記比較例に対応する比較例1について説明する。
[実施例1]
光学ユニット100の製造工程について説明する。レンズ11,12は、それぞれ機能膜を有しておらず、それぞれ基材110,120で構成されているものとした。レンズ11として、S-FPL53(オハラ社製)の光学ガラスを用いたガラスレンズを用意した。ガラスレンズは、直径が35mm、R1面が平面、R2面が凹球面のレンズとした。凹球面の曲率半径Rは190mmとした。
光学ユニット100の製造工程について説明する。レンズ11,12は、それぞれ機能膜を有しておらず、それぞれ基材110,120で構成されているものとした。レンズ11として、S-FPL53(オハラ社製)の光学ガラスを用いたガラスレンズを用意した。ガラスレンズは、直径が35mm、R1面が平面、R2面が凹球面のレンズとした。凹球面の曲率半径Rは190mmとした。
レンズ12として、ゼオネックスE48R(日本ゼオン社製)の樹脂を用いた樹脂レンズを用意した。樹脂レンズは、直径が34mm、R1面が非球面、R2面が平面のレンズとした。突出部125は、高さが0.8mmのリング形状とした。突出部125の配置位置は、外周面123から半径方向R1の内方に2mmの位置とした。α1/α2の値は0.24であった。
レンズ11のR1面にレンズ12の突出部125を接触させ、レンズ11の中心軸とレンズ12の中心軸とが重なるように調整を行った。接着部131の平均厚みTは0.01mmであった。
接着剤として、アクリル系UV接着剤(ケミシールU-1455N/ケミテック製)を用いた。この接着剤を硬化させた硬化物の-30℃時の弾性率Eは、1030MPaであった。この接着剤が入ったシリンジ容器をエアパルス方式エアディスペンサーSuperΣCMIII(武蔵エンジニアリング社製)に設置し、レンズ11とレンズ12との間に、120度℃の間隔で3箇所、接着剤を2mgずつ塗布した。最後に接着剤を塗布してから10秒が経過した後、光の波長が365nmのLEDエリア照射機で、50mWの光を300秒間、レンズ11,12全体に照射し、光学ユニット100を得た。
(評価)
接着部131の厚みを光干渉計IRMS8599B(チノー社製)により3点計測し、3点の平均値を平均厚みTとして算出した。-30℃における接着部材13の弾性率Eを、アジレントテクノロジー社の微小押し込み硬さ試験装置を用いて計測した。接着部材13を上から顕微鏡で観察したところ、接着部材13の一部は、接着部131として、端面1251と主面111との間に介在している状態であった。
接着部131の厚みを光干渉計IRMS8599B(チノー社製)により3点計測し、3点の平均値を平均厚みTとして算出した。-30℃における接着部材13の弾性率Eを、アジレントテクノロジー社の微小押し込み硬さ試験装置を用いて計測した。接着部材13を上から顕微鏡で観察したところ、接着部材13の一部は、接着部131として、端面1251と主面111との間に介在している状態であった。
予め、常温において、レンズ11に対するレンズ12の固定位置を画像計測機NEAIV VHZ-H3030(ニコン社製)で計測した。その後、光学ユニット100を庫内温度が-30℃である冷凍庫に入れて24時間放置した。その後、光学ユニット100を冷蔵庫から取り出して常温に戻した後、レンズ11に対するレンズ12の固定位置を上記の画像計測機で同様に計測した。そして、レンズ11に対するレンズ12の固定位置の変化を算出した。
レンズ11に対するレンズ12の固定位置の変化が10μm未満の評価を「A」、10μm以上の評価を「B」とする。また、レンズ11とレンズ12との引き剥がし力の測定方法は、プッシュプルゲージ((株)イマダ製)によりレンズ12の側面より荷重をかけ、引き剥がれる最大荷重が40N以上の評価を「A」、40N未満の評価を「B」とする。
実施例1の測定結果は、α1/α2=0.24、接着部131の平均厚みTが0.05mm、-30℃の温度環境下における接着部材13の弾性率Eが1030MPa、引き剥がし力が53N、固定位置の変化が3.2μmであった。
実施例1の固定位置の変化が3.2μmであったため、評価結果は「A」である。実施例1の引き剥がし力が53Nであったため、評価結果は「A」である。
[実施例2]
実施例2では、レンズ11として、BK7(オハラ社製)の光学ガラスを用いたガラスレンズを用意した。また、実施例2では、レンズ12として、ゼオネックスE480R(日本ゼオン社製)の樹脂を用いた樹脂レンズを用意した。これら以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例2では、レンズ11として、BK7(オハラ社製)の光学ガラスを用いたガラスレンズを用意した。また、実施例2では、レンズ12として、ゼオネックスE480R(日本ゼオン社製)の樹脂を用いた樹脂レンズを用意した。これら以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例2の測定結果は、α1/α2=0.10、接着部131の平均厚みTが0.05mm-30℃の温度環境下における接着部材13の弾性率Eが1030MPa、引き剥がし力が55N、固定位置の変化が6.4μmであった。
実施例2の固定位置の変化が6.4μmであったため、評価結果は「A」である。また実施例2の引き剥がし力が55Nであったため、評価結果は「A」である。実施例2では、固定位置の変化が実施例1と比較して大きくなったのは、α1/α2の値が実施例1と比較して小さくなったためと考えられる。
[実施例3]
実施例3では、接着剤として、紫外線硬化型接着剤(ケミシールU-1558D/ケミテック製)を用いた。この接着剤を硬化させた硬化物の-30℃時の弾性率Eは、1700MPaであった。これ以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例3では、接着剤として、紫外線硬化型接着剤(ケミシールU-1558D/ケミテック製)を用いた。この接着剤を硬化させた硬化物の-30℃時の弾性率Eは、1700MPaであった。これ以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例3の測定結果は、α1/α2=0.24、接着部131の平均厚みTが0.05mm、-30℃の温度環境下における接着部材13の弾性率Eが1700MPa、引き剥がし力が60N、固定位置の変化が3.8μmであった。
実施例3の固定位置の変化が3.8μmであったため、評価結果は「A」である。また実施例3の引き剥がし力が60Nであったため、評価結果は「A」である。
[実施例4]
実施例4では、接着部131の平均厚みTを0.01mmとした。また、実施例4では、接着剤として、紫外線硬化型接着剤(XVL-14L/協立化学製)を用いた。この接着剤を硬化させた硬化物の-30℃時の弾性率Eは、200MPaであった。これら以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例4では、接着部131の平均厚みTを0.01mmとした。また、実施例4では、接着剤として、紫外線硬化型接着剤(XVL-14L/協立化学製)を用いた。この接着剤を硬化させた硬化物の-30℃時の弾性率Eは、200MPaであった。これら以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例4の測定結果は、α1/α2=0.24、接着部131の平均厚みTが0.01mm、-30℃の温度環境下における接着部材13の弾性率Eが200MPa、引き剥がし力が42N、固定位置の変化が2.8μmであった。
実施例4の固定位置の変化が2.8μmであったため、評価結果は「A」である。また実施例4の引き剥がし力が42Nであったため、評価結果は「A」である。実施例4では、固定位置の変化が実施例1と比較して小さくなったのは、接着部131の弾性率Eが実施例1と比較して小さくなったことにより接着部131の熱応力が低くなったためと考えられる。
[実施例5]
実施例5では、接着部131の平均厚みTを0.02mmとした。また、実施例5では、接着剤として、紫外線硬化型接着剤(XVL-90T3/協立化学製)を用いた。この接着剤を硬化させた硬化物の-30℃時の弾性率Eは、400MPaであった。これら以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例5では、接着部131の平均厚みTを0.02mmとした。また、実施例5では、接着剤として、紫外線硬化型接着剤(XVL-90T3/協立化学製)を用いた。この接着剤を硬化させた硬化物の-30℃時の弾性率Eは、400MPaであった。これら以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例5の測定結果は、α1/α2=0.24、接着部131の平均厚みTが0.02mm、-30℃の温度環境下における接着部材13の弾性率Eが400MPa、引き剥がし力が44N、固定位置の変化が3.2μmであった。
実施例5の固定位置の変化は3.2μmであったため、評価結果は「A」である。また実施例5の引き剥がし力は44Nであったため、評価結果は「A」である。
[実施例6]
実施例6では、接着部131の平均厚みTを0.03mmとした。これ以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例6では、接着部131の平均厚みTを0.03mmとした。これ以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例6の測定結果は、α1/α2=0.24、接着部131の平均厚みTが0.03mm、-30℃の温度環境下における接着部材13の弾性率Eが1030MPa、引き剥がし力が53N、固定位置の変化が6.2μmであった。
実施例6の固定位置の変化が6.2μmであったため、評価結果は「A」である。また実施例6の引き剥がし力が53Nであったため、評価結果は「A」である。実施例6では、固定位置の変化が実施例1と比較して大きくなったのは、接着部131の平均厚さTが実施例1と比較して小さくなったことにより、接着部131の熱応力が高くなったためと考えられる。
[実施例7]
実施例7では、接着部131の平均厚みTを0.04mmとした。これ以外は、実施例5と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例7では、接着部131の平均厚みTを0.04mmとした。これ以外は、実施例5と同様の条件で光学ユニット100を製造した。
実施例7の測定結果は、α1/α2=0.24、接着部131の平均厚みTが0.04mm、-30℃の温度環境下における接着部材13の弾性率Eが400MPa、引き剥がし力が47N、固定位置の変化が3.0μmであった。
実施例7の固定位置の変化が3.0μmであったため、評価結果は「A」である。また実施例7の引き剥がし力が47Nであったため、評価結果は「A」である。
[比較例1]
比較例1では、接着剤として、紫外線硬化型接着剤(ケミシールU-2043V/ケミテック製)を用いた。この接着剤を硬化させた硬化物の-30℃時の弾性率Eは、2600MPaであった。これら以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100Xを製造した。
比較例1では、接着剤として、紫外線硬化型接着剤(ケミシールU-2043V/ケミテック製)を用いた。この接着剤を硬化させた硬化物の-30℃時の弾性率Eは、2600MPaであった。これら以外は、実施例1と同様の条件で光学ユニット100Xを製造した。
比較例1の測定結果は、α1/α2=0.24、接着部131の平均厚みTが0.05mm、-30℃の温度環境下における接着部材13Xの弾性率Eが2600MPa、引き剥がし力が35N、固定位置の変化が21μmであった。
比較例1の固定位置の変化が21μmであったため、評価結果は「B」である。また比較例1の引き剥がし力が35Nであったため、評価結果は「B」である。
以上の実施例1~7、及び比較例1の条件及び結果を図6の表に示す。また、図6に示す実施例1~7の結果を図7のグラフに示す。-30℃の温度条件下における各接着部材13の弾性率をE[MPa]、各接着部材13の接着部131の平均厚みをT[mm]とする。図7において、横軸に接着部131の平均厚みT[mm]を示し、縦軸に接着部材13の弾性率E[MPa]を示す。図7に示す結果から、各実施例1~7は、E≦3.5×104×T-50の範囲にある。このため、E≦3.5×104×T-50の関係を満たすことが好ましい。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
上述の実施形態では、デジタルカメラ等の撮像装置、及びレンズ鏡筒等の光学機器に、本発明の光学素子を適用した場合について説明したが、これに限定するものではない。例えばスマートフォン、タブレットPC、ゲーム機、モバイル通信機器、ウェアラブル機器、プロジェクターなど、あらゆる撮像装置又はあらゆる光学機器について、本発明の光学素子は適用可能である。
また、上述の実施形態では、好適な例として、基材110の材質がガラスであり、基材120の材質が樹脂である場合について説明したが、これに限定されるものではない。即ち、基材110の線膨張係数と基材120の線膨張係数とが異なる場合について、本発明は適用可能である。
11…レンズ(第1透明部材)、12…レンズ(第2透明部材)、13…接着部材
Claims (22)
- 第1透明部材と、
前記第1透明部材と接触して配置された、前記第1透明部材と線膨張係数が異なる第2透明部材と、
前記第1透明部材と前記第2透明部材とを接合する接着部材と、を備え、
前記接着部材の弾性率は、-30℃の温度条件下において、1700MPa以下である、
ことを特徴とする光学素子。 - 前記接着部材の弾性率は、-30℃の温度条件下において、200MPa以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。 - 前記第2透明部材を前記第1透明部材から引き剥がすのに要する力は、40N以上である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。 - 前記第1透明部材は、第1透明基材を含み、
前記第2透明部材は、第2透明基材を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記第1透明基材の線膨張係数をα1、前記第2透明基材の線膨張係数をα2としたとき、α1/α2≦0.24の関係を満たす、
ことを特徴とする請求項4に記載の光学素子。 - 前記第1透明基材の材質は、ガラスであり、
前記第2透明基材の材質は、樹脂である、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の光学素子。 - 前記第1透明部材を保持する樹脂製の保持部材を更に備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の光学素子。 - 前記接着部材は、架橋型の接着剤の硬化物である、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記第1透明部材は、第1主面を有し、
前記第2透明部材は、前記第1主面と対面する第2主面と、前記第2主面に対して突出する突出部と、を有し、
前記突出部は、前記第1主面と対面し、前記第1主面と部分的に接触する端面を含み、
前記接着部材の少なくとも一部は、前記第1主面と前記端面との間の隙間に介在している、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記第1主面と前記端面との間に介在する前記接着部材の少なくとも一部の平均厚みは、0.05mm以下である、
ことを特徴とする請求項9に記載の光学素子。 - -30℃の温度条件下における前記接着部材の弾性率をE[MPa]、前記接着部材の少なくとも一部の平均厚みをT[mm]としたとき、E≦3.5×104×T-50の関係を満たす、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の光学素子。 - 前記接着部材は、前記第1主面及び前記第2主面に接触している、
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記第2透明部材は、外周面を有し、
前記接着部材は、前記外周面に接触している、
ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記第2主面は、前記第1主面から離間している、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記突出部は、周方向に間隔をあけて配置された複数の突出部のうちの1つである、
ことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記突出部は、リング形状である、
ことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記接着部材は、周方向に間隔をあけて配置された複数の接着部材のうちの1つである、
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光学素子。 - 筐体と、
前記筐体の内部に配置された、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光学素子と、を備える、
ことを特徴とする光学機器。 - 前記光学機器が撮像装置本体に着脱可能なレンズ鏡筒である、
ことを特徴とする請求項18に記載の光学機器。 - 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光学素子と、
前記光学素子を通過した光を受光するイメージセンサと、を備える、
ことを特徴とする撮像装置。 - 第1透明部材と第2透明部材とを接触させ、
前記第1透明部材と前記第2透明部材との間に接着剤を供給し、
前記接着剤を硬化させることで、前記第1透明部材と前記第2透明部材とを接合する、-30℃の温度条件下において弾性率が1700MPa以下である接着部材を形成する、
ことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 前記第1透明部材は、ガラス製の第1透明基材を含み、
前記第2透明部材は、樹脂製の第2透明基材を含み、
保持部材を熱かしめすることによって前記第1透明部材を前記保持部材に固定する、
ことを特徴とする請求項21に記載の光学素子の製造方法。
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